JP2006008959A - 高分子量ポリオレフィン多孔フィルム - Google Patents

高分子量ポリオレフィン多孔フィルム Download PDF

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Akinao Hashimoto
暁直 橋本
Masahiro Gonda
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Abstract

【課題】、膜厚が200μ以上の厚いフィルムで、高い透過性を有し、かつ0.05μmから5μmの孔径範囲において孔径分布の狭いフィルムを得ること。
【解決手段】 熱処理温度をT,不透気性フィルムの溶解温度をTp℃、第一の液体の沸点をT1℃、第二の液体の沸点をT2℃とすると、
Tp℃−T℃≦2℃、T1℃>T2℃
という条件で、処理前フィルムを拘束下で、多孔化処理温度以上の沸点を持ち高分子量ポリオレフィンを溶解可能な第一の液体中において熱処理をし、続いて、第一の液体と相溶性があり、第一の液体より沸点が低い第二の液体に浸漬した後、乾燥およびヒートセットすることを特徴とする高分子量ポリオレフィン多孔フィルムを提供するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、適度な孔径を有し、厚い膜厚と優れた透過性の特徴を有する高分子量ポリオレフィン多孔フィルムに関するものである。
高分子量ポリオレフィン微多孔フィルムの製造方法は、特公平7−17782号公報、特開平5−98065公報等に見られるようにすでに数多く提案されている。これらの方法は、いずれも微多孔フィルムを得るために、高分子量ポリオレフィンにデカン、ドデカン、デカリン、パラフィンオイル、鉱油等の炭化水素系溶剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール等の脂肪酸炭化水素誘導体、パラフィン系ワックスあるいはジオクチルフタレート、ジブチルセバケート等の低分子量化合物から成る溶剤や可塑剤を添加してフィルムを成形した後、該低分子量化合物をフィルムから除去することにより、微多孔フィルムを得るものである。また、高強度の微多孔フィルムを得るためや、孔径の調節のために、延伸を付与することも提案されている。しかしながら、膜厚が200μm以上の厚いフィルムで、高い透過性を有し、かつ0.05μmから5μmの孔径範囲において孔径分布の狭いフィルムは得られていなかった。
本出願人においては、既に特開平10−306168号公報、特開平10−258462号公報で多孔フィルムおよびその製造方法を提案している。さらに、特開平10−306168号公報には、可塑剤および/または溶剤を実質的に含まない極限粘度[η]4dl/g以上のポリオレフィン不透気性フィルムを熱処理を行って微多孔化することにより製造される葉脈状をなすフィブリルを主な構成要素とする微多孔フィルムであって、フィブリルの各繊維上に不定形で大きさ1μm以下の微結晶が凝集して存在することを特徴とすることを特徴とする高分子量ポリオレフィン微多孔フィルムが記載されている。そしてその製造は、拘束下において処理温度以上の沸点を持ち、ポリオレフィンの非晶性部分を選択的に溶融もしくは溶解させるための第一の液体中で処理が行われた後、第一の液体と相溶性があり、第一の液体より沸点が低く、ポリオレフィンとの親和性に劣る第二の液体中にポリオレフィンフィルムを浸漬した後乾燥されることにより行われる。また、特開平10−258462号公報には、葉脈状および/または網目状をなすフィブリルを主な構成要素とする多孔フィルムであって、該フィルムが、延伸鎖結晶と板状晶よりなるフィブリルおよび/またはらせん状結晶からなるフィブリルより構成される極限粘度[η]が3dl/g以上の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムについて記載がある。
しかし、これらのいずれの方法によっても、膜厚が200μm以上の厚いフィルムで、高い透過性を有し、かつ0.05μmから5μmの孔径範囲において孔径分布の狭いフィルムは得られていなかった。
特公平7−17782号公報 特開平5−98065号公報 特開平10−306168号公報 特開平10−258462公報
本発明が解決しようとする課題は、膜厚が200μm以上の厚いフィルムで、高い透過性を有し、かつ平均孔径が0.05μmから5μmの孔径範囲であって、かつ孔径分布の狭いフィルムを得ようとするものである。
本発明者らは、上記フィルムを得るために、特定原料と特定の処理前フィルムを使用し、多孔化処理に特定の液体を使用するとともに、限りなく溶解温度に近い多孔化処理温度が好ましいことを見出し本発明に至った。
すなわち本発明は、 極限粘度〔η〕が6.0dl/g〜20.0dl/gの高分子量ポリオレフィンからなり、以下の特性を有する高分子量ポリオレフィン多孔フィルムであって、
(1)膜厚が200μm〜500μm
(2)空孔率が40%以上
(3)平均孔径が0.05μm〜5μm
(4)最大孔径と平均孔径の比(最大孔径/平均孔径)が1.1〜3.5であるものを提供する。
また、本発明は、ガーレーデンソメーターにより測定した透気度が、2〜60sec/100mlである上記高分子量ポリオレフィン多孔フィルムを提供する。
また、本発明は、重量法により測定した空孔率が80%以上である上記高分子量ポリオレフィン多孔フィルムを提供する。
また、本発明は、イソプロパノール流量が3.0ml/min・cm以上である上記高分子量ポリオレフィン多孔フィルムを提供する。
本発明によれば、膜厚が200μm以上の厚いフィルムで優れた透過性と適度な孔径を有する高分子量ポリオレフィン多孔フィルムが提供される。本発明の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムは、特定極限粘度の高分子量ポリオレフィンから特定条件下で不透気性フィルムを調製し、これを第1の液体中において特定条件下で熱処理し、第2の液体中で洗浄、乾燥することにより得ることができる。
以下に、本発明の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムおよびその製造方法に関して、原料、処理前フィルム、多孔化処理、得られたフィルムの特徴について述べる。
〈原料〉
本発明に用いる高分子量ポリオレフィンとは、エチレン、プロピレンおよび炭素数4〜8のα−オレフィンを、公知の方法により製造されたものを用いることができる。例えば、チーグラー系触媒を用いたスラリー重合により、単独もしくは、二つ以上の組み合わせで重合して得られる。ポリオレフィンとしては、公知の重合体を用いることができるが、好ましい共重合体としては、エチレンと少量のプロピレンもしくは炭素数4〜8のα−オレフィンの単独ないし二つ以上の組み合わせによる共重合体である。ここで、「高分子量」のものとは、溶液粘度法で測定される極限粘度〔η〕が6.0dl/gよりも大きいものを全般的に指すが、通常、6.0〜20.0dl/gであり、好ましくは6.6〜20.0dl/gであり、さらに好ましくは7.0〜15.0dl/gである。原料の極限粘度[η]の範囲が6.0〜20.0dl/gの範囲外となった場合には、本願発明のフィルムが製造できなかったり、本願発明の効果が得られない場合がある。エチレン共重合体の場合、共単量体の量は熱処理温度が広く取れる点で5モル%以下が好ましい。これらの中で高分子量ポリエチレンとして特に好ましいものは、エチレンの単独重合体である。
〈処理前フィルム〉
処理前フィルムの作成は、インフレーションフィルム成形法または、Tダイ成形、カレンダー成形またはベルトプレス成形等によるシート成形後の延伸によるフィルム成形が使用できる。得られたポリオレフィンからなる不透気性フィルムは、実質的にポリオレフィンから成る。実質的にポリオレフィンから成るということは、成形時に用いられる原料ポリオレフィンに多量の溶剤および/または可塑剤が検出されないことを意味し、その上限は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。また、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料等の通常ポリオレフィンに添加して使用される各種添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で配合されていても良く、その上限は、溶剤および可塑剤と合わせて、総量10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。
本発明において、処理前フィルムは、本発明の多孔フィルムを得るための原料フィルムであって、インフレーション成形法により製造することが好ましい。好ましいインフレーション成形法について、特公平6−55433号公報等に詳述されている。インフレーション成形条件について、本発明における好ましいドラフト比は、5〜18であり、より好ましくは4〜15である。また好ましい膨比は、5〜14であり、より好ましくは7〜12である。さらに、ドラフト比と膨比の積(面倍率)は150倍以下、より好ましくは140倍以下である。ドラフト比とはインフレーションフィルムダイのリップ出口でのフィルム樹脂の流出速度(線速度)に対する冷却固化したチューブフィルムの引き取り速度の比であり、また膨比とは、インフレーションフィルムダイ出口における膨張前のチューブ円周長さに対する冷却固化したチューブフィルムの円周長さの比である。なお、インフレーションフィルムで成形された処理前フィルムは後述するように不透気性であり、本明細書においては処理前フィルムのことを不透気性フィルムと言うことがある。
得られる処理前フィルムは、極限粘度〔η〕で6.0〜20.0dl/gであり、好ましくは6.6〜20.0dl/gであり、さらに好ましくは7.0〜15.0dl/gが用いられ、二軸方向に配向する不透気性フィルムである。不透気性フィルムとは、後述する透気性試験において、透気度が10000秒/100cc以上のフィルムである。処理前フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、通常20〜120μm、好ましくは20〜50μm、より好ましくは20〜40μmである。インフレ−ションフィルム成形の場合、ドラフト比と膨比の積が高いために、結果的に20μmを下回ると、本発明の目的とする厚いフィルムを得ることが困難となる。また、120μmを超えると処理前フィルムの成形安定性が悪くなるため好ましくない。
本発明の処理前フィルムは、二軸配向していることが好ましい。配向は大きくなり過ぎても、多孔化処理時の配向緩和が起こり難く、膜厚を厚く、空孔率を大きくして、優れた透気性を得ることができないが、配向していないと、多孔化処理時にフィルムが伸びてたるみ、フィルム全体が溶解する、あるいはフィルム表面溶解が起こり、孔が貫通しない恐れがあるため好ましくない。
本発明でいう二軸配向とは、フィルム面内でポリオレフィンの単位結晶のうち、分子鎖方向に対応するc軸以外のa軸及びb軸のいずれかが、主としてフィルム面に垂直に存在している状態で、かつその軸以外の例えばc軸がフィルム面内にほぼ無配向に分布している状態をいう。フィルム面に垂直に存在する軸はポリエチレンの場合通常a軸であり、それ以外のポリオレフィンの場合、通常b軸である。この状態は、X線回折装置による観測で確認することができる。
〈多孔化処理〉
本発明は、前記処理前フィルムを拘束し、その状態で多孔化処理温度以上の沸点を持つ液体であって、高分子量ポリオレフィンを溶解可能な液体中(これを、[第一の液体」という。)において熱処理をし、続いて、第一の液体と相溶性があり、第一の液体より沸点が低い液体(これを「第二の液体」という。)に浸漬した後、乾燥およびヒートセットして得られる高分子量ポリオレフィン多孔フィルムを提供するものである。すなわち、熱処理温度をT,不透気性フィルムの溶解温度をTp℃、第一の液体の沸点をT1℃、第二の液体の沸点をT2℃とすると、
Tp℃−T℃≦2℃、T1℃>T2℃
と書くことができる。
処理前フィルムは、特定温度(T℃)で多孔化処理される。特定温度は、処理前フィルムの溶解温度−2℃〜溶解温度、より好ましくは、処理前フィルムの溶解温度−2℃〜溶解温度−0.5℃である。処理温度が溶解温度−2℃より低い温度では、空孔率が上がらないため、目的のフィルムが得られない。また、溶解温度−0.5℃より高いとシートの一部で溶解が始まり、むらができた。シート表面に溶解に起因する無孔層を生じる恐れがある。本発明における処理時間は、1分〜5分が好ましい。処理温度にも依存するため一概には言えないが、おおむね1分を下回るとフィルム内部で孔が形成され難く、優れた透気性が得られない恐れがあり、5分を上回ると表面の溶解が発生する恐れがあるため好ましくない。この時、処理前フィルムは、収縮を妨げるように、好ましくは少なくとも一方向で、最も好ましくは、直交する二方向で拘束される。収縮が余儀なくされる場合の好ましい収縮の許容範囲は、長さおよび幅方向で10%以下である。
多孔化処理は、通常第一の液体中で行う。第一の液体は、高分子量ポリオレフィンと適度な親和性があり、多孔化処理温度以上の沸点を持つ。高分子量ポリオレフィンと親和性を持つとは、多孔化処理前の高分子量ポリオレフィンフィルムに液体が充分に馴染むことであり、表面張力が小さいと言い換えることもできる。そしてその尺度としては、接触角で100度以下、好ましくは90度以下、更に好ましくは80度以下の液体である。なお、表面張力は、市販の自動接触角計を用い、常法で測定できる。
多孔化処理により、全体としてはフィルム結晶化度が上がる現象が生じる。すなわち、高分子量ポリオレフィンの処理前フィルムを成形し、第一の液体に処理温度で浸漬することで、第一の液体が処理前フィルムの一部に、主として非晶性部分、低配向領域、低分子量領域に浸透し、あるいは、選択的に溶解させ、もしくは膨潤させ、第二の液体に浸漬、冷却した時にその一部を結晶化させる現象である。
ポリエチレンおよびポリプロピレンに対する好適な第一の液体は、オクタン、デカン、ドデカン、パラフィンオイル、溶融パラフィンワックスやそれらを主成分とする液体であり、2種以上の混合物として使用することもできる。ベンゼン、キシレン、テトラリンは、高分子量ポリオレフィンを多孔化処理温度で処理前フィルムの全部を溶解するため、好ましくない。
一般的に第一の液体での処理時間は、処理すべきポリオレフィンフィルムの種類等により異なるが、処理前フィルムが処理温度に到達後、10秒〜10分間、好ましくは30秒〜5分間保持される。
前記第一の液体中で熱処理を行ったフィルムは、乾燥処理が行われる。乾燥処理は通常第二の液体中で行うことが好ましい。第二の液体は、通常第一の液体と相溶性があり、その液体より沸点が低くかつその液体よりもポリオレフィンとの親和性に劣る物であることが好ましい。さらに、乾燥する際にも、処理フィルムは収縮を抑えるように、好ましくは少なくとも一方向で、最も好ましくは直交する二方向で固定される。収縮が余儀なくされる場合の好ましい収縮の許容範囲は長さおよび幅方向で10%以下である。
用いることのできる第二の液体の例としては、ヘキサン、ヘプタンのような低沸点炭化水素、塩化メチレンのような塩素置換低沸点炭化水素、1,2−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1、1ージクロロー1ーフルオロエタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパノールのような塩素フッ素置換低沸点炭化水素、エチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテルのようなフッ素置換炭化水素基を少なくとも1つ有するエーテル化合物等を挙げる事ができる。浸漬温度や浸漬時間は、熱処理温度以下で液体の置換が完全に行われる条件のうち、最低の温度と最短の時間が選ばれる。
本発明においては、高空孔率を得ようとする場合、結晶化速度を制御するため、第二の液体がフッ素置換炭化水素化合物またはフッ素置換炭化水素基を少なくとも1つ有するエーテル化合物であることが好ましい。さらに第一の液体との組み合わせを検討することも有用であり、第一の液体がパラフィンオイルであり、第二の液体がフッ素置換炭化水素化合物またはフッ素置換炭化水素基を少なくとも1つ有するエーテル化合物であることがさらに好ましい。
〈ヒートセット〉
多孔化処理後の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムは、皺の除去、空孔率やフィルム厚みの調整、シート表面摩擦抵抗の低減、熱収縮の低減のために、ヒートセットを行ってもよい。ヒートセットとは、上記多孔フィルムの直交する二方向を固定した状態で加熱することをいい、その際の条件は、気体(空気)雰囲気下で所望の物性値を得るために必要な温度や処理時間などが適宜選ばれるが、通常、多孔化処理後のフィルムの融点以下で最適な温度と時間が決められる。
また、本発明の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムは、透気性向上や、膜厚、空孔率、孔径等の調節のために、多孔化処理後に、目的を逸脱しない範囲で延伸を行ってもよい。
〈表面処理〉
さらに、本発明の高分子量ポリオレフィン多孔フィルムは、水系電池用セパレータ等に適用するために、親水化処理をしてもよい。親水化方法としては、界面活性剤で処理する方法、スルホン化剤により表面改質する方法、フッ素ガス等のガス処理を行って官能基を付加する方法、またはコロナ放電処理、プラズマ処理および電子線処理からなる群より選ばれる1種の方法で表面処理するか、あるいはフィルムの表面に、親水性基を有するビニル単量体を重合させる方法ならびにこれらの方法の組み合わせによる方法等が挙げられる。
水系電池セパレータに用いる場合には、電池特性の点で、界面活性剤および/またはスルホン化剤による方法が好ましい。フィルムの表面に、親水性基を有するビニル単量体を結合(重合)して、表面に親水性基を付与する方法としては、例えば、親水性基を有するビニル単量体をフィルムの表面に塗布し、次いで電子線照射する方法が挙げられる。親水性基を有するビニル単量体として具体的には、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル;およびこれらの混合物が挙げられる。また、反対にフッ素コート等の公知の撥水化処理も可能である。その他公知の化学的処理・物理的処理を行うことができる。
〈高分子量ポリオレフィン多孔フィルム〉
本発明において得られる高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの構造は、網目状構造を形成している。具体的には、図1の表面写真に示すような形態である。
網目構造の構成単位は、処理前フィルムの構造に大きく依存しており、図2に示すような、処理前フィルム中の葉脈構造が最終的な網目構造に大きく影響している。
高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの極限粘度〔η〕は、6.0〜20.0dl/gであり、好ましくは6.6〜20.0dl/gであり、さらに好ましくは7.0〜15.0dl/gである。6.0dl/gを下まわると、厚膜のフィルムとなり、かつ優れた透過性を得ることができなくなる恐れがあるため好ましくない。20.0dl/gをこえると処理前フィルムの作製が困難なばかりでなく、孔径を大きくすることが困難となるため好ましくない。
高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの膜厚は、200μm〜500μmである。好ましくは250μm〜450μmである。200μm未満の場合、高い空孔率を両立した場合、実用的な強度が得られない恐れがあるため好ましくない。また、500μmをこえると多孔化の過程で、孔が貫通しない恐れがあるため好ましくない。
高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの空孔率は、40%以上である。好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。空孔率が40%を下回ると優れた透過性を得ることができないため好ましくない。空孔率の上限は特に定めないが、実用的な強度を得るためには通常95%以下である。
高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの平均孔径は、0.05μm〜5.0μmである。好ましくは0.1μm〜4.0μm、より好ましくは0.1μm〜3.0μmである。
高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの最大孔径と平均孔径の比は、1.1〜3.5である。好ましくは、1.1〜3.0、より好ましくは1.1〜2.7である。最大孔径と平均孔径の比が大きくなると、孔径分布が広くなり、フィルム内での透過性等、均一性が損なわれるため好ましくない。
ガーレーデンソメーターにより測定した高分子量ポリオレフィン多孔フィルムの透気度は、2sec/100ml〜60sec/100mlである。好ましくは7sec/100ml〜50sec/100ml、より好ましくは8sec/100ml〜40sec/100mlである。
イソプロパノール流量は、3.0ml/min・cm以上、好ましくは5.0ml/min・cm以上、より好ましくは10.0ml/min・cm以上である。
本発明における前記特性は、下記の方法によって測定されたものである。
〈極限粘度〉本明細書中での極限粘度は、デカリン溶媒にて135℃で測定する値である。測定法はASTM D4020に基づいて行う。
〈膜厚〉
株式会社セイコーイーエム製、計太郎Gにて測定した。コンタクトアンビルは908H (φ12、R30)を使用した。
〈空孔率〉
重量法で測定した。試料フィルム重量を測定し、密度を0.95g/cm3 として、緻密フィルムとしての厚み(T)を計算で求め、上述の膜厚測定機による値(T)との関係で求めた。
空孔率(容積%)=(T-T)÷T×100
〈透気度〉
JIS P8117に準じ、東洋精機製作所製B型ガーレーデンソメーターにより測定した。
〈最大孔径・平均孔径〉
ASTM F316−86に準じ、Porous Materials,Inc.製 Automated Perm Porometerを使用し、測定液体フロリナートFC−40(3M製)で測定した。
〈イソプロパノール流量〉
JIS K3831に準じ、加圧法で、差圧0.1MPaで測定した。測定セルには、ステンレス製フィルターホルダーKS−47(東洋濾紙株式会社製)を使用した。
〈処理前フィルムの溶解温度〉
溶解温度は、直交する二方向で固定されて拘束された処理前フィルムを、各温度の第一の液体浸漬し、1分間で破膜する温度とした。
〈突刺強度〉
ハンディー圧縮試験機KES−G5(カトーテック社製)を使用し、針形状は、直径1mmφ,0.5Rを使用した。
膜厚が200μm以上の厚いフィルムで、高い透過性を有し、かつ0.05μmから5μmの孔径範囲において孔径分布の狭いフィルムを得ようとする目的、特定原料とインフレーションフィルム成形条件、多孔化条件の組合せで実現した。以下に最良な様態を示す。

特公平6−55433号公報に示すインフレーションフィルムの成形装置において、下記の仕様による装置を用いて高分子量ポリエチレン製の処理前フィルムを成形した。
装置の仕様
押出機の第1スクリュー外径50mmφ;スクリュー有効長さ1100mm;フライトピッチ30mm一定;スクリュー圧縮比1.8;押出機に対して立設してなるスクリューダイ有効長さ1490mm(L/D=28);ダイ出口アウターダイ内径53mmφ、ダイ出口マンドレル外径45mmφ;S1/S2=1.17;S2/S3=3.14;スクリューダイの第2スクリュー外径70mmφ;第2スクリュー有効長さ238mm;フライトピッチ25mm一定;第2スクリュー圧縮比1.0;安定棒の外径39mmφ;安定棒長さ600mm;第2スクリュー内部、マンドレル内部及び安定棒シャフト内部に延在してなる8mmφの気体流路、安定板、ピンチロール及び製品巻取機を具備してなる。ここで、S1は、第2スクリュー先端部20Aの樹脂流路の断面積、S2は、スクリューダイ中間部20B5の樹脂流路の断面積、S3は、スクリューダイ出口部20Cでの樹脂流路の断面積である。
処理前フィルム成形
高分子量ポリエチレンの粉末樹脂を用い、押出機、図4に示すジョイント部(J)、ダイ基部(D1)及びダイ先端部(D2)の設定温度を各々205℃、180℃、160℃、160℃にし、第1スクリュー回転数を21rpm、第2スクリュー回転数を4.5rpmに設定し、ピンチロールで各ドラフト比で引取りながら、第2スクリュー内部、マンドレル及び安定棒シャフトの内部に延在してなる8mmφの気体流路から圧搾空気を吹込んで、膨比8.9倍に膨らませて、高分子量ポリエチレンインフレーションフィルムを成形した。使用した原料の極限粘度〔η〕、ドラフト比を示す。
多孔化処理
多孔化処理は、第1の液体には、パラフィンオイル(粘度4.3cSt/40℃)を使用し、処理時間は、280secとした。第二の液体には、沸点に加温したハイドロフルオロエーテル(HFE−7200:3M社製)を使用し、約30分浸漬した。処理前フィルムの溶解温度、多孔化処理温度を表1に示す。多孔化処理後のヒートセットは、120℃で1分実施した。多孔化処理およびヒートセットは、直交する二方向で固定した状態で実施した。得られた多孔フィルムの物性を表2に示す。
Figure 2006008959
Figure 2006008959


本発明によれば、優れた透過性と適度な孔径を有する高分子量ポリオレフィン多孔シートおよびその製造方法が提供され、その優れた特性を利用して、電池用セパレータフィルムや液体フィルタ・ガスフィルタ等のろ過材に使用した場合、電解液等の保液性・耐ショート性や粒子等の捕捉性やを向上させると同時に、イオンや液体・ガスの著しく優れた透過性を得ることが可能となる。また、通気性フィルムの用途、ハウスラップ等の透湿防水用途、その他衣料・包装・印刷分野の用途に好適に供される。
多孔化処理後フィルムの表面写真である。(実施例1) 多孔化処理前フィルムの表面写真である。(実施例1) 多孔化処理前フィルムの表面写真である。(比較例3)

Claims (5)

  1. 極限粘度〔η〕が6.0dl/g〜20.0dl/gの高分子量ポリオレフィンからなり、以下の特性を有する高分子量ポリオレフィン多孔フィルム。
    (1)膜厚が200μm〜500μm
    (2)空孔率が40%以上
    (3)平均孔径が0.05μm〜5μm
    (4)最大孔径と平均孔径の比(最大孔径/平均孔径)が1.1〜3.5
  2. ガーレーデンソメーターにより測定した透気度が、2〜60sec/100mlである請求項1記載の高分子量ポリオレフィン多孔フィルム。
  3. 重量法により測定した空孔率が80%以上である請求項1〜2記載の高分子量ポリオレフィン多孔フィルム。
  4. イソプロパノール流量が3.0ml/min・cm以上である請求項1〜3記載の高分子量ポリオレフィン多孔フィルム。
  5. 高分子量ポリオレフィンが、高分子量ポリエチレンである請求項1〜4記載の高分子量ポリオレフィン多孔フィルム。
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