JP2005535727A - タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質亜集団の単離方法 - Google Patents

タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質亜集団の単離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質亜集団の単離方法
【解決手段】本発明は、複合体混合物におけるタンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質の単離と同定の方法を提供する。本方法は、他のタンパク質に順に非共有結合しているタンパク質を単離するために、化学的反応性担持マトリクスを用いる。該担持マトリクスは単離され、非共有結合タンパク質が続いて分析するために放出される。該タンパク質が、結合及び放出段階で化学的操作を受けやすいため、非共有結合タンパク質の同定は、相互作用しているタンパク質の特異的な分類、例えばカルシウム依存性又は基質依存性タンパク質相互作用の情報を与える。これは、規定の相互作用基準に基づいて、複合体混合物からタンパク質の亜集団を選択することを可能にする。シングルバイトタンパク質に結合しているタンパク質のみが一度に検出可能である、ツーハイブリッドシステム又はファージディスプレイと異なり、該方法は、全プロテオームの同時スクリーニングを可能にする。

Description

本発明は、タンパク質−タンパク質相互作用の研究に関し、生化学的なシグナル伝達、プロテオミクス(proteomics)、創薬、毒性学、及び診断の分野において有用であることが期待される。
タンパク質−タンパク質相互作用は、膨大な数の生理学的プロセスの基礎となる。神経細胞のシグナル伝達、細胞の発育、増殖、及び複製のような細胞性のプロセスは全て、細胞内のタンパク質−タンパク質及びタンパク質−小分子の相互作用の複合体ネットワークに依存している。これらの相互作用は、ヘモグロビンのサブユニット間のような構成的な相互作用、及び、cAMP依存性タンパク質キナーゼのサブユニット間又はGTP結合タンパク質のサブユニットの間のような、シグナル依存性相互作用に分類することができる。これらの相互作用の調査における課題の複雑さは、タンパク質相互作用の潜在的な数から明白である:15,000のタンパク質の間の二成分相互作用の包括的スクリーニングには、2×108対以上のタンパク質の組合せを試験する必要がある。この複雑性は、従来の生化学的手法の使用には限界があることを意味する。集中的な研究にも関わらず、哺乳類細胞におけるタンパク質相互作用、又は他のタンパク質の複雑な混合物を系統的に研究するための良好な方法は未だにない。
タンパク質架橋結合[1,2,3]、緑色蛍光タンパク質[4,5]、ファージディスプレイ[6,7]、ツーハイブリッドシステム[8]、タンパク質アレイ[9]、ファイバーオプティック消失波センサー[10,11]、クロマトグラフィー技術[12]、及び蛍光共鳴エネルギー伝達[13,14]を含む多くの技術が、タンパク質−タンパク質相互作用の研究のために用いられている。しかしながら、これらの方法は一般に、一度に一つだけのおとり(bait)タンパク質をスクリーニングするために用いられる。簡単な概説は、[15]を参照されたい。
適度に大きいスケールでのインビボタンパク質−タンパク質相互作用の同定のために、これらの方法を拡大することが報告されている。一つのアプローチは、「タンデム型親和性精製」(TAP)タッグによる、関心のあるタンパク質の融合タンパク質の生成に関連する[16]。融合タンパク質は、それらが形成する複合体のすべてのタンパク質と共に、TAP親和性タグに基づく2工程の親和性精製プロセスによって単離され、そして関係するタンパク質はゲル電気泳動法及び質量分析の組合せによって同定される。他の報告された方法は、非常に類似したストラテジーを使用し、エピトープタグ及び1工程の親和性精製プロセスを用いる[17]。両者の方法は、力任せのアプローチにより「高処理量」になり、これはそれぞれ、前者の場合で1,700以上の遺伝子及び1,000以上の酵母発現クローンの処理を必要とし、後者の場合で725以上の遺伝子の処理を必要とする。
ラップシルバー(Rappsilber)ら[18]もまた、タンパク質複合体の親和性精製に続く、関係するタンパク質の架橋結合を行っている。
上記方法は、調製の必要性及び個々の融合タンパク質の発現が必要であることによって制限され、組換え発現宿主の確実性によって、研究できる細胞型の多様性が厳しく制限される。TAPタグ付け方法もまた、15 kDaより下のタンパク質に対してバイアスを示し、TAP及びエピトープタグの両者は、通常のタンパク質-タンパク質相互作用に干渉し得る。
高処理量ロボティクスの助力によって、ツーハイブリッドシステムもまた、タンパク質のスクリーニングに適用される。これらの実験において[19,20]、6000の酵母タンパク質のGal4ライブラリーが、96ウェルプレートの個々のウェルに分配され、そして各ウェルは活性化ドメインライブラリーをスクリーニングされ、酵母タンパク質の中から4,549もの数の見込みのある相互作用が得られた。
残念ながら、この技術は、多大な割合の非特異的相互作用を生じるために、哺乳類のタンパク質のスクリーニングでは実行不可能である。哺乳類のタンパク質は、通常、多様に区画化された細胞下の細胞小器官中で、また、特異的な細胞型中で発現され、組織に特異的な方法で広範に翻訳後修飾される。組織サンプル上での二重ハイブリッド分析に利用できる技術は存在しない。従って、学習又はアルツハイマー病、又はシグナル伝達の結果起こる相互作用のような、生理学的なプロセスに関わる天然タンパク質の相互作用は、この技術では調査できない。
発明の概要
本発明は、構成的及び信号を媒介するものの両方の、タンパク質−タンパク質相互作用をスクリーニングする方法を提供する。本発明の方法は、幾つかの利点を有する:
(1)タンパク質を基本とした技術であり、クローニングを必要とせず、未変性タンパク質を、適切な翻訳後修飾された天然の折りたたみ状態で使用する;
(2)その相互作用は、化学的操作が利用しやすく、例えばカルシウム依存性タンパク質−タンパク質相互作用のような、関心のある亜集団のタンパク質−タンパク質相互作用の研究を容易にする;
(3)薬理学的な薬剤又は毒素によるタンパク質−タンパク質相互作用の撹乱、或いは癌性及び非形質転換細胞の間の相違もスクリーニングすることができる;及び、
(4)適切な対照群を用いた場合、天然のタンパク質相互作用のみが観察される。非生理学的な相互作用は両群で同一であるために、非生理学的相互作用は分析から排除される。
前記方法は、他のタンパク質に非共有結合しているタンパク質を単離するために、活性化された固体担体を用いる。担体は好ましくはゲルであり、より好ましくはアガロースである。担体は、タンパク質と共有結合可能な化学的反応性官能基の存在によって活性化される。臭化シアン−活性化セファロース(TM)は、好ましい担体である。関心のあるタンパク質が実験的な環境の操作に供されるために、タンパク質の質量分析の同定は、カルシウム依存性又は基質依存性タンパク質−タンパク質相互作用のような、関心のあるタンパク質の特異的な分類上の情報を与えることができる。これにより、規定相互作用基準に基づいて、複合体混合物からタンパク質の亜集団の選択及び単離が可能になる。
シングルバイトタンパク質に結合しているタンパク質のみが一度に検出可能である、ツーハイブリッドシステム又はファージディスプレイと異なり、該方法は、全プロテオームの同時スクリーニングを可能にする。それらの自然な状態における天然のタンパク質相互作用だけが観察されることから、該方法は、シグナル伝達分子、薬理学的薬剤または毒素によるタンパク質−タンパク質相互作用の撹乱のスクリーニングのため、並びに、癌性及び非形質転換細胞の間の相違のスクリーニングのための、組織サンプル及び部検標本におけるタンパク質相互作用の研究に広く適用される。
その広義の側面において、本発明は、タンパク質の混合物から、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質から本質的になる亜集団を単離する方法を提供する。該方法は、工程(a)前記タンパク質混合物を化学的反応性担体と、タンパク質と担体の共有結合、及びタンパク質−タンパク質相互作用の両者を可能にする条件下において、接触させること;(b)前記混合物中のタンパク質を、前記担体に共有結合させる;(c)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離する;(d)前記担体を、タンパク質−タンパク質相互作用を破壊する条件に供する;及び最後に、(e)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離する。工程(e)において放出されたタンパク質は、工程(a)の条件下で他のタンパク質に非共有結合したタンパク質である。
化学的反応性単体は、水性環境においてタンパク質に共有結合可能な任意の化学的反応性官能基を含む。好ましい化学的反応性部分は、シアン酸基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、活性化カルボキシル基、活性化スルホニル基、アルデヒド基、エポキシド基、およびチオール基を含むが、これらに限定されない。特に好ましくはシアン酸基である。
担体は、反応混合物から物理的に分離可能な任意のマトリクスであってよい。担体は好ましくは、粒子又はビーズの形体である。好ましくは、担体は、任意に架橋結合したポリマー又はゲルを含む。好ましい担体物質は、ポリスチレン、寒天、アガロース、ポリアクリルアミド、デキストラン、ヒドロキシル化ビニルポリマー、及びカルボキシル化ビニルポリマーを含むが、これらに限定されない。特に好ましい担体はアガロースを含み、例えば、セファロース(TM)という名称で販売されている架橋結合されたアガロースの変種である。
本発明の方法は、タンパク質マイクロアレイを用いたタンパク質相互作用の分析にも有用である。従来のマイクロアレイの施用においては、タンパク質−タンパク質相互作用を調査するために、固定化されたタンパク質のマイクロアレイに全プロテオームがアプライされる[21,22]。しかしながら、関心のある任意の特異的に結合したタンパク質は、特異的なタンパク質相互作用に関与しない莫大な過剰量のタンパク質と競合する。これら過剰のタンパク質は、マイクロアレイ上に非特異的に吸着される得、及び/又は混合物中における大濃度の効力によって、結合サイトにおいて競合し得る。また、比較的大きな質量のタンパク質は、比例して大容量の可溶化バッファーを必要とし、これは関心のあるタンパク質の濃度を減少させる。濃度効果、蛍光消光、競合、及び希釈を通して、大量の無関係なタンパク質の存在が、タンパク質マイクロアレイから得られる信号対雑音比を大きく減少させ得る。
本発明は、タンパク質の亜集団を、他のタンパク質ターゲットと相互作用できるそれらの能力に基づいて事前選択することによって、これらの問題を減少させる。この亜集団は、タンパク質マイクロアレイに特異的に結合する可能性のあるタンパク質を正確に含む。本発明の方法は、プロテオーム中の異なるタンパク質の総量を、タンパク質マイクロアレイに適用する前に少なくとも75%減少させる。排除されるタンパク質は、特異的なタンパク質−タンパク質相互作用に関与しないものであり、アレイ上に非特異的に吸着されるか又は捕捉される可能性を有するものの多くを含む。
保持されたタンパク質は、必要であれば標識されてよく(例えば、ビオチン又は適切な蛍光色素を用いて)、現存の適用において現在行われているのと同様の方法で、タンパク質マイクロアレイに適用される。そのような実施において、タンパク質マイクロアレイ上における、望ましくないタンパク質からの雑音可能性は相当に減少され、結果として、タンパク質マイクロアレイから得られる結果の品質が、実質的に改良される。該方法のマイクロアレイへの他の適用は、該方法が、特異的な、所望の生化学的性質を有するタンパク質亜集団を容易に単離できることによる。例えば、開業医は、該方法を、相互作用がカルシウム、cAMP、特異的DNA配列、又はラパマイシンのような薬理学的薬剤の存在に依存するようなタンパク質を選択するために用いることができる。洗浄条件を操作することによって、比較的低い又は比較的高い親和性を有するタンパク質を選択できる。本発明の方法が関心のあるタンパク質の事前選択のために使用される場合、そのマイクロアレイは、相互作用に関与するタンパク質の同定がより成功しやすい。該方法は、別の方法であれば同様の結果を得るために、特殊化された構造のマイクロアレイ、又は他の費用のかかる方法、或いは間接的な方法が必要となる試験を、研究者が行うことを可能にする。
従って、混合物を固定化されたタンパク質のアレイに接触させることを含む、タンパク質の混合物の分析のための方法において、本発明の方法は、タンパク質の混合物から、タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質から本質的に成る亜集団を、該亜集団が続いてアレイに接触される前に、単離することからなる改良点を提供する。
本発明の方法は、公報[23]に開示されている。
発明の詳細な説明
<略語>
CHAPS:3-[(3-コラミドプロピル(cholamidopropyl))ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート
EGTA:エチレングリコール ビス-(2-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-テトラ酢酸
MARCKS:ミリストイル化アラニン-リッチCキナーゼ基質。
生理学的に関連のない相互作用は、ツーハイブリッドシステムを含むタンパク質−タンパク質相互作用の多くの研究において、重要な潜在的問題である。本方法において、組織サンプルがホモジナイズされる場合、処理によって引き起こされるタンパク質相互作用に加えて、通常はお互いに接触しないタンパク質の間での非特異的なタンパク質相互作用も生じる。例えば、膜及び核タンパク質の間で、或いは星状細胞と神経細胞の間で相互作用が起こり得る。この誤った相互作用が生じることを防ぐために、処理サンプル及び対照サンプルの両方を用いることが必要であり、また、重要な相互作用である可能性を表す、二つのサンプルの間の相違のみを考慮する必要がある。細胞のホモジナイズ後に生じる非特異的又は非生理学的なタンパク質相互作用は何れも、対照群及び処理群の両者において同定されることから、通常の生理学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作用を、人為的なものから区別する事は容易に可能である。非特異的相互作用は、対照群及び処理群の両者において確認され、しかるに、処理によって引き起こされたインビボで生じた結合における変化は、容易に検出可能である。
そのような鑑別分析の例として、該方法は、水中迷路課題ラットにおける連合学習後に生じ得るタンパク質相互作用の研究に用いることができた[24,25]。この実験は、訓練されたグループ(隠されたプラットホームを含む水のタンクで泳ぐ)、及び、訓練されていないグループ(プラットホームのないタンクで泳ぐもの)を用いる。各グループの海馬抽出物の相互作用しているタンパク質を、CNBr-セファロース(TM)法を用いて別々に単離し、2次元ポリアクリルアミドゲルで分析する。学習によって生じたタンパク質相互作用における全ての相違が、訓練されたグループの強度のスポットが、対照グループの対応するタンパク質スポットの強度と異なることによって示される。図6に、そのような実験の結果が示してある。二つのタンパク質が恐らくタンパク質相互作用における学習特異的増強を示している(左パネルの上部中央)。一旦、これらのタンパク質が質量分析又は他の方法で同定されると、それらの結合相手は容易に同定できる。これは、生理学的プロセスに関与する新しいシグナル伝達経路を同定する有用な方法を提供することができる。
この鑑別分析の使用の他の例は、通常細胞と癌性細胞の間のタンパク質相互作用の相違を試験すること、及び薬理学的薬剤又は毒素のインビボでの効果を測定することである。二つのグループの間の如何なる相違も、サンプル処理の間に生じる人為的な相互作用からは生じず、処理によって生じたインビボでのタンパク質相互作用における相違を表す。
カルシウム依存性相互作用を受けるタンパク質のセット、或いは、その相互作用が薬理学的薬剤の存在に依存するセットのような、インビトロで相互作用するタンパク質を単離する場合、試験されるカルシウム又は薬理学的薬剤は、全ての関連するタンパク質の堅い結合を確実にするのに十分な濃度で、各工程においてバッファーに添加される。溶出工程の間、クロマトグラフィーカラムを8M尿素の代わりに薬理学的薬剤が除かれた点を除いて全ての点で等しいバッファーで洗浄することによって、タンパク質が溶出される。pH又はイオン濃度の変化による如何なるタンパク質の溶出も避けるために、二つのバッファーのイオン強度及びpHは等しくされるべきである。この場合、関心のあるタンパク質相互作用は試験チューブにおいて生じることから、二つの別々のサンプルを比較するために厳密さは要求されない、
この方法は、相互作用しているタンパク質を50倍も濃縮させるが、非相互作用タンパク質のセファロース(TM)に対する親和性が、タンパク質同士の親和性よりも高い場合、非相互作用タンパク質も検出される可能性がある。タンパク質のセファロース(TM)への吸着は起こり得るが[26]、その影響は通常小さく、上記したような対照群を追加することによって除去される。セファロース(TM)への非特異的結合は、ここに開示された実験では観察されなかった。
本方法を用いて生じたデータは、他の、今までのところはまだ同定されていないタンパク質又はタンパク質と、相互作用し得るタンパク質に関する生の情報から成る。これはそれ自体で貴重な情報であり、問題の範囲を数オーダー分だけ減少させるが、それはそれでも推定上のタンパク質相互作用を確認することが必要である。標的タンパク質が一度同定されれば、それらの結合相手は、例えば親和性クロマトグラフィー[27]又はツーハイブリッド分析のような従来技術を用いて容易に発見することができる。相互作用の完全な理解を提供するために、何らかの代替方法を用いて、推定上の相互作用が生じることを確認することも必要である。観察された変化の確認は、もちろん、DNAマイクロアレイ、ファージディスプレイ、又はツーハイブリッドシステムのような他のスクリーニング方法においても必要である。本方法は、相互作用状態にあるタンパク質の総量のみを測定するために、相互作用の確証は、レベルが上昇した相互作用の生化学的な基底を測定する必要もあり、これは、標的タンパク質の大親和性、大存在量、又はさらに、まれに、活性化因子の誘導又は相互作用の何らかの阻害剤のレベルの減少によって作成されることができる。
この技術は、最初の洗浄後に架橋結合工程を加えることによって改変されることもでき、チオール-セファロース(TM)をCNBr-セファロース(TM)に置換することによって改変される事もできる。これは、タンパク質とセファロース(TM)を結び付けているジスルフィド結合の切断によって、相互作用タンパク質対が分離されることを許容し、架橋結合したタンパク質対が分離されて単一ユニットとして同定されることを可能にする。
カルシウム依存性タンパク質相互作用の他に、GTP、cAMP、タンパク質ホスホリル化、酵素基質、または他の生化学的現象によって媒介される、タンパク質−タンパク質相互作用の多くの例が存在する。本発明の方法は、これらの分類のタンパク質相互作用を、例えばタンパク質ホスファターゼ又はヌクレオチドホスフォヒドロラーゼの存在又は非存在において生じるパターンを比較する事によって調査するのに用いることができる。
シングルバイトタンパク質に結合しているタンパク質しか一度に検出できない他の方法とは異なり、新しい方法は、全プロテオームを同時にスクリーニングするという利点を有する。加えて、該方法はクローニングを必要とせず、適切な翻訳後修飾された天然の折りたたみ状態のタンパク質間の自然発生的な相互作用を単離する。また、該タンパク質は化学的操作が利用しやすく、規定相互作用基準に基づいたタンパク質の亜集団の複合体混合物からの選択が可能である。該方法はタンパク質−タンパク質相互作用調査のためのみならず、生体異物又は薬理学的薬剤のような低分子量化合物の作用サイトの同定のためにも有用である。以前は、生体異物がタンパク質−タンパク質相互作用に影響するかどうかの測定は、標的タンパク質のうちの一つが既知のものでない限り、人の気力をくじく作業であった。現在の方法によれば、全プロテオームは、その相互作用が関心のある分子によって及ぼされたものであるようなタンパク質を同定するために迅速にスクリーニングされることができ、さらなる調査のための具体的な標的が得られる。
二官能性架橋結合試薬を複合タンパク質抽出物に添加することによって、複合タンパク質を含む、しばしば難溶性である凝集体の、扱い難い混合物となる。これは恐らく、小さい分子サイズの架橋結合試薬によって引き起こされ、これは、両方の相互作用相手に、複数の位置で結合させることを許容する。架橋結合試薬はまた、通常は会合しないタンパク質を、互いにランダムに結合させる事をも許容する。本発明の方法では、化学的反応性単体を架橋結合試薬の変わりに用いることによって、これらの問題を排除する。
相互作用しているタンパク質A及びBの対の、化学的反応性担体との共有結合は、一つ又は両者のタンパク質が担体に結合しているかどうかによって、6つの可能なカテゴリーを生じる。具体的な態様の模式的な図を、担体にセファロース(TM)粒子を用いて図1Aに示す。6つの結果を説明すると:
1.タンパク質Aが両方の粒子に結合し、タンパク質Bは結合していない。
2.タンパク質Aは一つの粒子に結合し、タンパク質Bは結合していない。
3.タンパク質A及びタンパク質Bは異なる粒子に結合している。
4.タンパク質Aは一つの粒子に結合し、タンパク質Bは両方の粒子に結合している。
5.タンパク質A及びBは共に、両方の粒子に結合している。及び、
6.タンパク質A及びBは共に、一つの粒子に結合している。
図中のそれぞれの線は、一以上の結合を表し、二つのセファロース(TM)粒子は交換可能に想定される。A及びBを転換すると、3つのさらなる結果が可能になる。この粒子は比較的大きいサイズであるために、タンパク質複合体が異なる粒子に結合する結果(図1A中1,3,4及び5)は、力学的なストレスが化学的結合を圧倒するために排除される。両対が同じ粒子に結合する結果(6)は、粒子上の活性化基の密度が高すぎないかぎり、比較的まれである。これで唯一の結果(2)が残り、これは、一つのタンパク質が粒子に共有結合し、他はそれに非共有的に会合するというものである。
非共有的相互作用タンパク質を選択するために、タンパク質混合物を、50%のタンパク質が共有結合するような方法で、臭化シアン活性化セファロース(TM)と反応させる。残ったタンパク質は、洗浄して除去してもよく、又は共有結合タンパク質と非共有的に相互作用してセファロース(TM)上に保持していてもよい。適切なバッファーで洗浄した後、主成分は、単一のサイトで結合したタンパク質であり(結果2)、その対の一つは粒子に共有結合し、その非共有結合した相互作用している対は、その結合したタンパク質に対する親和性のために保持される。非共有結合的に結合したタンパク質は、次いで、8M尿素中で洗浄されて排除される(図1B)。或いは、溶出バッファーは、例えば基質依存性又はカルシウム依存性相互作用のような、タンパク質−タンパク質相互作用の具体的なタイプを試験するために改変されることもできる。溶出されたタンパク質は、適切な方法、例えば2-Dゲル電気泳動又はキャピラリLC-MSのような方法によって分析される[28,29]。
該方法のスクリーニング技術としての可能性は、カルモジュリンを含む周知のカルシウム依存性タンパク質−タンパク質相互作用を検出する方法の能力によって証明された。ラット脳のホモジネートCHAPS抽出物を、CNBr-活性化セファロース(TM)に結合し、該セファロース(TM)をトリス-酢酸バッファーで洗浄し、相互作用しているタンパク質をEGTAで溶出した。EGTAは、カルボキシル基又はアミノ基の濃度において、その変化はイオン強度の変化によるタンパク質の溶出を起こし得るが、EGTAへの移行を生じるまで変化が生じないように、トリス-酢酸の正確に半分の濃度で用いた。溶出されたタンパク質は濃縮され、脱塩され、1次元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離され、ニトロセルロースにブロットされ、そして、カルモジュリン依存性キナーゼI、カルモジュリン依存性キナーゼII、MARCKS、又はタンパク質ホスファターゼ2Aに対する抗体を用いて染色された。ウェスタンブロット分析(図2、左のレーン)は、試験された4つのカルモジュリン結合タンパク質の全て(CaMキナーゼI及びII、MARCKS、及びタンパク質ホスファターゼ2A)が、該方法で検出可能であることを示している。
脳ホモジネート抽出物の別々のサンプルを、従来法で調製されたカルモジュリン親和性カラムに結合し、EGTAで溶出し、そして溶出されたタンパク質を上記のようなウェスタンブロッティングで分析した。その結果(図2、右のレーン)が比較でき、本発明の該方法によって、Ca2+依存性カルモジュリン結合タンパク質の単離が可能であることが示された。空白(「blk」レーン)は、脳抽出物が、Tris-HClと反応することによって不活性になったセファロース(TM)上に積まれたサンプルからのものである。
実施例によって、カルシウム依存性タンパク質相互作用の調査のための、本発明の方法の使用が記載される。該方法は、カルシウム依存性タンパク質相互作用を示すタンパク質を選択するために、ラット脳抽出物に適用された。質量分析によって同定された12のタンパク質のうち、8のタンパク質が、カルシウム結合タンパク質又はカルシウム依存性タンパク質相互作用と知られているタンパク質の何れかであり、該方法が、タンパク質相互作用の特定の分類に基づいて、非常に複雑な混合物からタンパク質の亜集団を濃縮できることを示している。
該方法の具体的な研究のために、ラット脳抽出物のサンプルを上記のようなCNBr-セファロース(TM)に結合させ、EGTA溶出タンパク質を2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離した。図3に、この実験によるクーマシー染色ゲルを示す。測定可能なスポットの総数(約172)は、全ての相互作用タンパク質が8M尿素で溶出された場合(図4)の300〜400の可視スポットよりも小さく、非選択性抽出(示さず)による、1000〜1200の慣例的な可視スポットよりもより小さい。2Dゲル状で検出されたより強烈な23のスポットは、トリプシンによる消化に供し、得られたペプチドをLC−MS/MSによって分析した。LC−MS/MSデータと、タンパク質データベースにおける配列からのペプチド及び断片集団とのマッチングの結果、分析された23のタンパク質の12が陽性に同定された。12の同定されたタンパク質のうち、8のタンパク質が、カルシウムに結合しているか、又は、カルシウム依存性手段で他のタンパク質と相互作用しているかの何れかの、周知のタンパク質である(表1)。
図3において残っている、10 kDa、pI7.3及び52 kDa、pI4.8の大きなスポットを含む、11の大きなスポットを同定する試みは、成功しなかった。多くのペプチドが得られたにも関わらず、その質量分析データの解析は、データベース中の何れのタンパク質とも一致しなかった。
2次元ゲル上の最も大量のタンパク質は(スポット#1)、カルシウム結合タンパク質カルモジュリンであると同定された(表1及び図3)。このスポットはまた、粗抽出物でも検出可能であり、しかし比較的微量な成分である(図5)。残りの同定可能なスポットのほとんどは、ATP合成酵素、ミトコンドリアのATPアーゼ阻害剤、及び異質核内リボヌクレオタンパク質A2(hnRNP A2)を含み、カルシウム結合タンパク質又はカルシウム結合タンパク質と直接相互作用するタンパク質のいずれかであると知られている[30,31,32]。S-100からのペプチド、多数のカルシウム依存性タンパク質相互作用を受ける他のカルシウム結合タンパク質[35]もまた検出された。M及びpIがS-100と同一であるにも関わらず、消化において得られるペプチドの数が小さいために、質量分析同定が統計学的有意性に達しなかった。
表1に、質量分析によって同定されたタンパク質を要約する。ヘモグロビン、クエン酸合成酵素、及び脱炭酸酵素を除いて、同定された全てのタンパク質は、カルシウム結合タンパク質、又はよく特性を決定されたカルシウム依存性相互作用を有するタンパク質の何れかであった。例えば、トロポミオシンは、よく知られたアクチン-トロポニン-ミオシン複合体と関係している。トロポニンへのCa2+結合は、トロポニンがトロポミオシンに結合することを可能にし、それをミオシンの結合サイトからアクチンタンパク質上へシフトさせることを可能にする。Ca2+の存在なしでは、トロポニンはもはやトロポミオシンに結合できず、トロポミオシンは再び、アクチンタンパク質上のミオシンの結合サイトをブロックする。トロポミオシンはまた、カルシウム結合タンパク質カルサイクリンに結合する[36]。同様に、Rho GDP解離阻害剤は、低分子量GTP結合タンパク質rhoに強力に結合し、これは、アクチン細胞骨格の再構築におけるタンパク質カドヘリンに結合しているカルシウムに関係する[37]。カルポニンもまた、rhoキナーゼの基質である[38]。
Figure 2005535727
上記例において、得られた総タンパク質の30%を超えるタンパク質が、カルモジュリンであり、カルシウム依存性手段で多数の他のタンパク質に結合するカルシウム結合タンパク質であった[39]。他の4つのタンパク質(ATP合成酵素、二つのATPアーゼ阻害剤の形体、及びS100)もまた、カルシウム結合タンパク質であると知られており、一方で3つ(トロポミオシン、Rho GDP溶解阻害剤、及び異種核内リボヌクレオタンパク質A2(hnRNP A2))は、カルシウム結合タンパク質と親密に関係することが知られている。本発明の方法は、単にカルシウム結合性タンパク質を検出するだけの方法ではないことは、留意されるべきである。むしろ、本方法は、カルシウム依存性手段において、何らかの他のタンパク質と結合するタンパク質のサブセットを特異的に検出する方法である。これは、いくらかのカルシウム結合タンパク質を含むが、しかし例えばカルシウム依存性キナーゼ及びシグナル伝達タンパク質(rho及びrabのような)のような、カルシウム依存性手段におけるカルシウム結合タンパク質と相互作用する、それらの標的をも含む。
3つの予想外のタンパク質、ヘモグロビン、脱炭酸酵素2、及びクエン酸合成酵素も検出された。他のヘモグロビンサブユニットに結合しているヘモグロビンは、Fe2+及びO2に依存しているが、それはカルシウムに結合していないことが知られている:しかしながら、ヘモグロビンは、カルシウムの存在下において網状赤血球膜に結合可能であり、カルシウムが結合している膜結合タンパク質の対であることが示唆される。同様に、クエン酸合成酵素及び脱炭酸酵素は、カルシウムの存在下で、未だ性質決定されていないタンパク質と結合する事ができる可能性がある。
ここで記載された方法は、哺乳類の組織におけるタンパク質−タンパク質相互作用を調査するのに有用である。例えば、アルツハイマー病及び他の神経変性疾患は、病理学的なタンパク質−タンパク質相互作用がきっかけになることが示唆されている[41,42]。同様に、細胞シグナル伝達、シナプスのプラスティシティ、学習、及び発達は、タンパク質−タンパク質相互作用の複雑なネットワークに依存している。この方法は、さらなる研究のために、関連するタンパク質−タンパク質相互作用を同定するスクリーニングするプロテオームの任意のプログラムの一部である、巨大分子タンパク質複合体を単離するのに有用であることが期待される。
<CNBrセファロース(TM)の滴定>
臭化シアン活性化セファロース(TM)4B(Pharmacia)を再水和し、使用前に水で3回洗浄した。CNBrを、ラット脳抽出物を用い、固定量の抽出物を可変量のCNBrセファロース(TM)と、室温でインキュベートして滴定した。1時間後、サンプルを遠心分離し、未結合タンパク質を、色素結合アッセイ[43]を用いて測定し、タンパク質の濃度を50%減少させるCNBrセファロース(TM)の量を算出した。
<相互作用タンパク質の単離>
一つのラットの脳を、5% CHAPS, 0.1 mM 塩化フェニルメチルスルホニル,及び1 mM CaCl2を含む10 mM NaHCO3, pH 7.7中で、超音波処理してホモジナイズし、100,000gで20分間遠心分離した。タンパク質の50%に結合するのに十分な量の、再水和されたCNBrセファロース(TM)を加え、サンプルを室温で1時間振盪した。次いで、トリス酢酸を、未反応のCNBrをブロックするために0.1M 加えて、さらに30分間インキュベートを続けた。混合物を小クロマトグラフィーカラムに移し、1 mMのCaCl2を含む100 mMのトリス酢酸で広範囲に洗浄した。溶出液のA280が0に達したとき、カルシウム依存性相互作用によって保持されたタンパク質を、50 mMのEGTAで溶出し、脱塩してセントリコン(Centricon)-3 限外濾過デバイスで濃縮し、IEF サンプルバッファー(8.5 M 尿素, 2 M チオ尿素, 0.4% CHAPS, 0.5% IPG バッファー(Amersham),及び0.01% ブロムフェノールブルー)と1:1で混合し、同じ溶液で再水和された、インモービリン(Immobiline)pH3-10ポリアクリルアミド等電点電気泳動小板にアプライし、平面2次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した(エクセルゲル12-14)。
ゲルをクーマシーブルーで染色し、23の大きな可視スポットを切除し、トリプシン消化及びLC-MS/MS分析に供した。これらのうち、12が、下記のSEQUEST及びMascotソフトウェアによって同定された。
<親和性クロマトグラフィー>
ラット脳抽出物を、50 mMのNaHCO3、pH7.7及び1 mMのCaCl2中において、2cm3のカルモジュリン-セファロース(TM)4Bと共に室温で15分間インキュベートした。この混合物をカラムに移し、1 mM CaCl2を含む 100 mM Tris-HClで、A280が検出されなくなるまで洗浄した。カルモジュリン結合タンパク質を50 mM EGTAで溶出し、脱塩して、セントリコン(Centricon)-3 限外濾過デバイスで濃縮し、4-20%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動して分離し、ニトロセルロース膜にブロットした。
<ウェスタンブロット分析>
サンプルを、4-20%のアクリルアミド勾配SDSゲルで電気泳動して分析し、続いてニトロセルロース上にブロットし、抗体で探索し、ニトロブルーテトラゾリウム及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェートで可視化した。
<質量分析>
染色されたタンパク質スポットを、生体分子資源設備協会(Association of Biomolecular Resource Facilities)[44]によって開示されたインゲル(in-gel)法を用いて、2次元ゲルから切除してトリプシンで消化した。トリプシンによる消化は、37℃で一晩行い、ペプチドをゲルから5%ギ酸:アセトニトリル(1:1)中で抽出し、5%ギ酸:アセトニトリル(5:95)中で2回目の抽出を行った。抽出物は貯蔵し、真空遠心分離によって容積を減少させ、最終的な容積を0.1%TFAで10マイクロリッターにした。混入している塩及び粒子を、ペプチドをC18-ZipTip (Millipore, MA)に結合させて除去し、0.1%TFAで洗浄し、そして10マイクロリッターの0.1%TFA:アセトニトリル(1:1)中に溶出した。トリプシン消化によるペプチドは、タンデム型液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS/MS)によって分析した。液体クロマトグラフィーは、マイクロム マジック(Michrom Magic)HPLCシステムを用いて一定圧力のスプリッタで、カラム通過流速を400nl/分に減じて行った。ペプチドは、逆相クロマトグラフィーで、Vydac C18、5マイクロメーター粒子、300オングストローム細孔充填を用いて分離した。約5cmのカラムは、75マイクロメーターI.D.融合シリカキャピラリ中に充填された(PicoFrit, New Objective Inc., Woburn MA)。ペプチドは、直線勾配2-85%のバッファーB(バッファーA: 0.5%酢酸及び0.005% TFAを含む、水中5%アセトニトリル;バッファーB: 0.5% 酢酸, 0.005% TFAを含む、80% アセトニトリル, 10% n-プロパノール, 10% 水)を用いて分離した。LC溶出物は、マイクロスケールエレクトロスプレーインターフェース[45]のアダプション(adaption)を用いて、LCQ DECAスペクトロメーター(Thermo Finnigan, CA)のサンプリングオリフィスに直接エレクトロスプレーした。LCQ DECAは、データ依存的方法で操作されてMS/MSスペクトラを収集し、予め設定された閾値を超える、4つまでの最も激しいイオンが、断片化及び分析
に供される。生成したMS/MSデータを分析し、NCBI非還元体データベース(哺乳類サブセット)中のタンパク質配列との一致を、SEQUEST[46]及びMASCOT[47]プログラムの両者を用いて測定した。
配列同定は、Mowse score[48]に基づく(10×log(P)、ここでPは、Mascotソフトウェアによって発見された観察された一致が、ランダムな現象であることの確率である)。60より大きいタンパク質スコアは、p<0.05で有意である。それぞれの場合において、同定の予測されたMr及びpIは、観察されたMr及びpI値と、±5%以内で一致した。
<コンピューター分析>
イメージ定量化、スポットアライメント、及び分子量評価を、イメージ分析プログラムトニメージ(tnimage)[49]を用いて行った。(http://)entropy.brni-jhu.org/tnimage.htmlで入手可能である。)
生物分子タンパク質混合物(AB)がセファロース(TM)担体粒子に結合した6つの可能な結果を示す。 図1Aのセファロース(TM)粒子からの、非共有的に結合したタンパク質の溶出を示す。 CNBr-セファロース(TM)方法を用いて単離された、カルモジュリン結合タンパク質(左)と、カルモジュリン-親和性クロマトグラフィーによって単離されたもの(右)と比較した、SDS-PAGEゲルのウェスタンブロット。 本発明の方法による、Ca2+−依存性タンパク質−タンパク質相互作用の濃縮に供された、ラット脳抽出物のクーマシーブルー染色2次元ゲル。このゲルでは、タンパク質の選択された亜集団を示す200程のスポットが見える。23の大きなスポットのうち、12の示されたスポットは、質量分析によって同定された。 8Mの尿素でCNBr-セファロースから放出された、ラット脳タンパク質の二次元ゲルである。 Ca2+依存性タンパク質−タンパク質相互作用の選択後の2次元ゲルにおけるカルモジュリンスポット(左)と、選択なしの2-Dゲルにおけるカルモジュリンスポット(右)とを比較したものを示す。同一の総タンパク質量(100μg)をそれぞれのゲルにアプライした。カルモジュリンスポットは、約50倍に濃縮される。 タンパク質相互作用における、学習依存性変化の調査に対する本発明の適用可能性を示す。パネルは、水中迷路で訓練されたラット(左のパネル)と訓練されていないラット(右のパネル)の海馬の抽出物からのタンパク質の2-Dポリアクリルアミドゲルの対応する領域である。二つのタンパク(左のパネルの中央)は、タンパク質−タンパク質相互作用における学習特異的変化の候補である。
参考文献
Figure 2005535727
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Claims (7)

  1. タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質から本質的に成る亜集団を、タンパク質の混合物から単離する方法であって:
    (a)前記混合物を、以下を許容する条件下で化学的反応性担体と接触させることと、
    (i)タンパク質の該担体への共有結合、及び
    (ii)タンパク質−タンパク質相互作用;
    (b)前記混合物中のタンパク質を、前記担体に共有結合させることと;
    (c)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離することと;
    (d)前記担体を、タンパク質−タンパク質相互作用を破壊する条件に供することと;
    (e)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離することと;
    を含んで成る方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記化学的反応性担体は、シアン酸基、イソシアン酸基、イソチオシアン酸基、活性化カルボキシル基、活性化スルホニル基、アルデヒド基、エポキシド基、およびチオール基から成る群から選択される化学的反応性部分を含む方法。
  3. 前記化学的反応性担体はシアン酸基を具備する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記担体は、任意に架橋結合したポリマー又はゲルを具備する、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記担体は、ポリスチレン、寒天、アガロース、ポリアクリルアミド、デキストラン、ヒドロキシル化ビニルポリマー、及びカルボキシル化ビニルポリマーから成る群から選択される物質を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記担体はアガロースを具備する、請求項5に記載の方法。
  7. タンパク質の混合物を固定化されたタンパク質のアレイと接触させることを含んでなる、タンパク質の混合物を分析する方法において、
    タンパク質−タンパク質相互作用に関与するタンパク質から本質的に成る亜集団を、前記タンパク質の混合物から単離することと、続いて、前記亜集団を前記アレイに接触させることから成る改良を含み、
    前記亜集団を単離する方法が、
    (a)前記混合物を化学的反応性担体と、以下を許容する条件下で接触させることと
    (i)タンパク質の該担体への共有結合、及び
    (ii)タンパク質−タンパク質相互作用;
    (b)前記混合物中のタンパク質を、前記担体に共有結合させることと;
    (c)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離することと;
    (d)前記担体を、タンパク質−タンパク質相互作用を破壊する条件に供することと;
    (e)前記担体を、それに結合していないすべてのタンパク質から分離することと;
    を含んでなることを特徴とする方法。
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