JP2005522180A - チロシン、桂皮酸およびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法 - Google Patents

チロシン、桂皮酸およびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法 Download PDF

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Abstract

パラ−ヒドロキシ桂皮酸(PHCA)の産生のために、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)、チロシンアンモニアリアーゼ(TAL)およびフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を、コード化する遺伝子を宿主生物体に導入した。これらの遺伝子の導入により、宿主において炭素流の再指令が生じ、グルコースからPHCAへの炭素流が最適化される。中間体、チロシンおよび桂皮酸も産生される。

Description

本出願は、2001年5月4日に出願された米国仮出願第60/228,701号明細書の利益を主張する。
本発明は、分子生物学および微生物学の分野に関する。より具体的には、本発明は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼを介するフェニルアラニンからチロシンへの変換およびそれに続くチロシンアンモニアリアーゼを介するチロシンからパラ−ヒドロキシ桂皮酸への変換による、組換え生物体におけるチロシンおよびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生に関する。
微生物由来からの化学物質の産生は、バイオテクノロジーの重要な応用例である。典型的に、そのようなバイオ産生の方法を開発する工程には、1)適切な微生物宿主の選択、2)副産物を生じる代謝経路の排除、3)酵素活性レベルおよび転写レベルの両方におけるそのような経路の脱調節、ならびに4)所望する経路における適切な酵素の過剰発現が含まれ得る。本発明は、パラ−ヒドロキシ桂皮酸の所望する生合成に必要な前駆体およびエネルギーを供給するフェニルアラニンヒドロキシラーゼを介するフェニルアラニンからチロシンへの炭素の流れを再指令するための、上記の工程の組み合わせを用いている。
パラ−ヒドロキシ桂皮酸(PHCA)は、液晶ポリマー(LCP)の製造に有用なモノマーである。LCPは、電子接続具およびテレコミュニケーションならびに航空宇宙の適用において使用することができる。LCPは滅菌放射線に耐性であるため、それらの材料を医療機器ならびに化学、および食品包装の応用において使用することも可能である。
パラ−ヒドロキシ桂皮酸(PHCA)またはp−クマリン酸は、植物のリグニン生合成経路における既知の中間体である(非特許文献1)。PHCAの単離および精製方法は公知である((非特許文献2)および(特許文献1))。これらの方法は時間を浪費し、かつ煩雑であり、このモノマーの大規模合成のためのより平易な産生方法が必要とされている。発酵経路は1つの可能な解決方法を与える。
PHCAへの発酵経路には、PHCA合成に関与するいくらかの重要な酵素の適切な宿主への操作が必要である。PHCAはリグニン生合成経路における天然の中間体であり、合成のための重要な酵素は、さまざまな植物から得ることができる。リグニンの生合成は、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)の作用を介するフェニルアラニンの桂皮酸への変換によって開始される。経路の第2の酵素は、桂皮酸−4−ヒドロキシラーゼ(C4H)、ケイヒ酸のPHCA(p−クマリン酸とも呼ばれる)への変換を担うチトクロムP450依存性モノオキシゲナーゼ(P450)である。
従って、PHCAへの1つの可能な経路は、フェニルアラニンからフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)を介することが明白である。しかし、この経路はまた、第2の酵素である桂皮酸4−ヒドロキシラーゼ(ほとんどの微生物において稀である酵素)の存在を必要とする。
利用可能な情報によると、いくつかの植物および微生物由来のPALは、フェニルアラニンを桂皮酸に変換する能力に加えて、基質としてチロシンを受容することができることが示されている。そのような反応における酵素活性はチロシンアンモニアリアーゼ(TAL)と呼ばれる。TALによるチロシンの変換により、桂皮酸の媒介を伴わずにチロシンからPHCAが直接的形成される。しかし、すべての天然のPAL/TAL酵素は、それらの基質としてチロシンを使用するよりもむしろフェニルアラニンを使用することを選好する。TAL活性のレベルは常にPAL活性よりも低いが、この差の大きさは広範に変動する。例えば、パセリの酵素は、フェニルアラニンに対して15〜25μMおよびチロシンに対して2.0〜8.0mMのKを有し、代謝回転数はそれぞれ22/秒および0.3/秒である(非特許文献3)。対照的に、トウモロコシの酵素は、フェニルアラニンに対してチロシンよりも僅か15倍高いK、および約10倍高い代謝回転数を有する(非特許文献4)。この規則の例外は酵母のロドスポリジウム(Rhodosporidium)であり、PAL触媒活性に対するTAL触媒活性の比は約0.58である(非特許文献5)。従って、チロシンの豊富な供給源が存在するのであれば、PHCAに対する代替的経路はTALを介するチロシンのPHCAへの直接変換に関与し得る。しかし、ほとんどの微生物においてチロシンは一般に供給が低く、フェニルアラニンの方が豊富である。フェニルアラニンをチロシンに変換する方法により、TALを介するPALへの経路が可能となる。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)系は、原核生物において稀にしか認められないようである。フェニルアラニンヒドロキシラーゼは、プロテオバクテリア(Proteobacteria)綱のα部門(非特許文献6)に属する少数の種およびγ部門の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)において報告されている。これらのうち、緑膿菌は分子遺伝子レベルで最も良好に特徴付けされている((非特許文献7)および(非特許文献6))。緑膿菌は、哺乳動物のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、およびチロシンヒドロキシラーゼに相同なフェニルアラニンヒドロキシラーゼを含む多重遺伝子オペロンを有する(非特許文献6)。緑膿菌およびクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)由来の細菌性フェニルアラニンヒドロキシラーゼはクローニングされ、発現され、精製され、そして十分に特徴付けされている(非特許文献8)。さらに、ストレプトマイセス・オーレオファシエンス(Streptomyces aureofaciens)におけるPAHの存在が実証されている(非特許文献9)。
フェニルアラニンのチロシンへの酵素変換は真核生物において公知である。ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼは肝臓において特異的に発現され、L−フェニルアラニンをL−チロシンに変換する(非特許文献10)。PAH酵素が欠損すると、一般的遺伝子疾患である古典的フェニルケトン尿症が発症する。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼを介するフェニルアラニンからチロシンへの炭素流を再指令し、細胞内のチロシン濃度を最大にしてグルコースのPHCAへのTAL経路の使用を可能にすることによって、グルコースをパラ−ヒドロキシ桂皮酸へ変換することに関する文献はあまり知られていない。
ここで解決しようとする課題は、遺伝子組み換え微生物を使用して、産業上適切なチロシンおよびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法を開発することである。
出願人らは、発酵可能な炭素基質からのチロシンおよびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生のためのフェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子ならびにフェニルアラニンおよびチロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子を含んで成るいくらかの組換え微生物を操作することによって上記の課題を解決した。
WO 972134号明細書 Plant Biochemistry(植物生化学)、P.M.デイ(P.M.Dey)編、アカデミック出版(Academic Press)、1997年 R.ベンリーフ(R.Benrief)ら著、「Phytochemistry(植物光学)」第47巻、1998年、p.825−832 アッペルト(Appert)ら著、「Eur.J.Biochem.(ヨーロッパ生化学雑誌)」第225巻、p.491、1994年 ハビル(Havir)ら著、「Plant Physiol.(植物生理学)」48:130、1971年 ハンソン(Hanson)およびハビル(Havir)著、「The Biochemistry of Plants(植物の生化学)」、第7巻、アカデミック(Academic)、ニューヨーク市(New York)、1981年、p.577−625 ジャオ(Zhao)ら著、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(全米科学アカデミー会報)」91:1366、1994年 ソン(Song)ら著、「Mol.Microbiol.」第22巻、1996年、p.497−507 アブ−オマー(Abu−Omar)ら著、「219ACS全国集会要旨集(Book of Abstracts,219 ACS National Meeting)」、カリフォルニア州サンフランシスコ(San Francisco,CA)、2000年3月26〜30日INOR−068 発行者:米国化学会(American Chemical Society)ワシントンDC(Washington,D.C.) マラドカル・ヒンド(Maladkar,Hind.)著、「Antibiot.Bull.」第28巻、1986年、p.1−4、p.30−6 ワン(Wang)ら著、「J.Biol.Chem.(生物学雑誌)」第269(12)巻、1994年、p.9137−46
本発明は、a)
i)チロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
ii)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
を含む組換え生物体を提供する工程、および
b)発酵可能な炭素基質の存在下で前記組換え生物体を増殖させ、それによってパラ−ヒドロキシ桂皮酸が産生される工程、
を含んで成る、パラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法を提供する。
さらに、本発明は、
a)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子を含む組み換え生物体を提供する工程と、
b)発酵可能な炭素基質の存在下で前記組換え生物体を増殖させ、それによってチロシンが産生される工程と、
を含んで成る、チロシンの産生方法を提供する。
もう1つの実施態様において、本発明は、
i)チロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
ii)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
を含んで成る、組換え宿主を提供する。
配列の説明および生物学的寄託の簡単な説明
本発明は、本出願の一部を形成する以下の詳細な説明および添付の配列の説明からさらに完全に理解することができる。
以下の配列は、米国特許法施行規則第1.821〜1.825条(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列の開示を含む特許出願の要件−配列規則」)に従い、そして世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)ならびにEPOおよびPCTの配列表の要件(規則5.2および49.5(aの2)、ならびに実施細則第208号および付属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに使用した記号および形式は、米国特許法施行規則第1.822に記載の規則に従う。
配列番号1は、C.ビオラセウム(C.violaceum)フェニルアラニンアンモニアリアーゼ酵素をコード化するヌクレオチド配列である。
配列番号2は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列によってコードされるC.ビオラセウムフェニルアラニンアンモニアリアーゼ酵素の推定されたアミノ酸配列である。
配列番号3は、野生型R.グルチニス(R.glutinis)PAL酵素をコード化するヌクレオチド配列である。
配列番号4は、野生型R.グルチニスPAL酵素をコード化するヌクレオチド配列によってコードされる推定されたアミノ酸配列である。
配列番号5および配列番号6は、クロモバクテリウム・ビオラセウムのPAH遺伝子の単離に使用されるプライマーである。
配列番号7〜16は、大腸菌(E.coli)宿主においてPAHオペロンおよびその相補体を増幅するために設計および使用されるプライマーである。
配列番号17〜22は、野生型R.グルチニスPAL/TALアミノ酸内のアミノ酸置換を有する変異TALタンパク質である。
配列番号23は、増強されたTAL活性を有する変異または改変されたR.グルチニスPAL酵素をコード化するヌクレオチド配列である。
配列番号24は、増強されたTAL活性を有する変異R.グルチニスPAL酵素をコード化するヌクレオチド配列によってコードされる推定されたアミノ酸配列である。
出願人らは、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に基づき、以下の生物学的寄託を行った。
Figure 2005522180
本発明は、チロシン、およびPHCAの産生のための生物学的方法について記載している。さらに、本発明は、遺伝子的に改変されて、PHCA産生への炭素流を増加する微生物に関する。具体的には、本発明は、最初にフェニルアラニンをチロシンに変換するためにラクトバチルスまたはバチルスのフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子を使用してフェニルアラニン産生微生物においてチロシンおよびPHCAを産生させる方法を提供する。
本開示では、多数の用語および略語が使用される。以下の定義が提供される。
「フェニルアラニンアンモニアリアーゼ」はPALと略称される。
「チロシンアンモニアリアーゼ」はTALと略称される。
「パラ−ヒドロキシ桂皮酸」はPHCAと略称される。
「桂皮酸4−ヒドロキシラーゼ」はC4Hと略称される。
「フェニルアラニンヒドロキシラーゼ」はPAHと略称される。
「フェニルアラニン4−モノオキゲナーゼ」はphhAと略称される。
「4−αカルビノールアミンデヒドラターゼ」はphhBと略称される。
「芳香族アミノ酸トランスフェラーゼ」はphhCと略称される。
「4−α−カルビノールアミンデヒドラターゼおよび芳香族アミノ酸トランスフェラーゼ」はphhBCと略称される。
「フェニルアラニン4−モノオキシゲナーゼおよび4α−カルビノールアミンデヒドラターゼ」はphhABと略称される。
フェニルアラニン4−モノオキシゲナーゼおよび芳香族アミノトランスフェラーゼはphhACと略称される。
用語「全オペロン」は、phhA、phhBおよびphhC遺伝子を含んで成るDNAフラグメントを指す。
用語「TAL活性」または「TAL酵素」は、タンパク質がチロシンのパラ−ヒドロキシ桂皮酸(PHCA)への直接変換を触媒する能力を指す。
用語「PAL活性」または「PAL酵素」は、タンパク質がフェニルアラニンの桂皮酸への変換を触媒する能力を指す。
用語「PAL/TAL活性」または「PAL/TAL酵素」は、PALおよびTAL活性の両方を含有するタンパク質を指す。そのようなタンパク質は、酵素基質としてのチロシンおよびフェニルアラニンの両方に対する少なくともいくつかの特異性を有する。
用語「改変されたPAL/TAL」または「変異PAL/TAL」は、PAL活性よりも大きなTAL活性を有する野生型PAL酵素から誘導されるタンパク質を指す。例えば、改変されたPAL/TALタンパク質は、フェニルアラニンよりもチロシンに対して大きな基質特異性を有する。
用語「PAH活性」または「PAH酵素」は、フェニルアラニンのチロシンへの変換を触媒するタンパク質を指す。
本明細書において使用される用語「桂皮酸(cinnamic acid)」および「シンナメート(cinnamate)」は交換可能に使用される。
用語「発酵可能な炭素基質」は、本発明の宿主生物体により代謝されることができる炭素源を指し、また特に、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、および単炭素基質またはこれらの混合物から成る群より選択される炭素源である。
用語「相補的」は、相互にハイブリダイズすることが可能なヌクレオチド塩基間の関係を記述するために使用される。例えば、DNAについて、アデノシンはチミンに相補的であり、そしてシトシンはグアニンに相補的である。従って、本発明はまた、付随する配列表で報告されるような完全な配列、ならびにそれらの本質的に類似の核酸配列に相補的である単離された核酸フラグメントを含む。
「遺伝子」は、コーディング配列の前(5’非コーディング配列)および後(3’非コーディング配列)に調節配列を含む特定のタンパク質を発現する核酸フラグメントを指す。「生来の遺伝子」または「野生型遺伝子」は、それ自体の調節配列と共に天然に見出されるような遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」は、天然には一緒に見出されない調節およびコーディング配列を含んで成る、生来の遺伝子ではないあらゆる遺伝子を指す。従って、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する調節配列およびコーディング配列、または同じ起源から由来するが、しかし天然に見出されるものとは異なる様式で配列される調節配列およびコーディング配列を含んでいてもよい。「内因性遺伝子」は、生物体のゲノム内の天然の位置にある生来の遺伝子を指す。「外来」遺伝子は、宿主生物体内に通常は見出されない遺伝子を指すが、しかしこれは遺伝子導入により宿主生物体内に導入される。外来遺伝子は、非生来の生物体内に挿入された生来の遺伝子、またはキメラ遺伝子を含むことができる。
「コーディング配列」は特定のアミノ配列をコーディングするDNA配列を指す。
「適切な調節配列」は、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)、内、または下流(3’非コーディング配列)に位置し、転写、RNAプロセシングもしくは安定、または関連するコーディング配列の翻訳に影響するヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、およびポリアデニル化認識配列を含んでもよい。
「プロモーター」は、コーディング配列または機能的RNAの発現を制御することが可能なDNA配列を指す。一般に、コーディング配列はプロモーター配列に対し3’側に配置される。プロモーターは生来の遺伝子に完全に由来してよいか、または、天然に見出される多様なプロモーター由来の異なるエレメントから構成されてよいか、または合成DNAセグメントさえ含むことができる。異なるプロモーターは、異なる組織もしくは細胞型において、または発生の異なる段階で、または異なる環境条件に応答して、遺伝子の発現を指令することができることが、当業者に理解される。大部分の時間で大部分の細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは普遍的に「構成プロモーター」と称される。大部分の場合で調節配列の正確な境界が完全に規定されていないため、異なる長さのDNAフラグメントが同一のプロモーター活性を有することができることがさらに認識される。
用語「操作可能に連結される」は、一方の機能が他方により影響を受ける単一核酸フラグメント上の核酸配列の対合(association)を指す。例えば、プロモーターがコーディング配列の発現を影響することができる(すなわちコーディング配列がプロモーターの転写制御下にある)場合、プロモーターはコーディング配列に操作可能に連結されている。コーディング配列はセンスまたはアンチセンスの配向で調節配列に操作可能に連結されることができる。
本明細書において使用される用語「発現」は、本発明の核酸フラグメントに由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指すことができる。「アンチセンス阻害」は、標的タンパク質の発現を抑制することが可能なアンチセンスRNA転写物の産生を指す。「過剰発現」は、正常または非形質転換生物体内での産生のレベルを超えるトランスジェニック生物体内の遺伝子産物の産生を指す。「共抑制」は、同一または本質的に類似する外来または内因性遺伝子の発現を抑制することが可能なセンスRNA転写物の産生を指す(米国特許第5,231,020号明細書)。
「形質転換」は、遺伝的に安定に遺伝する核酸フラグメントの宿主生物のゲノムへの伝達を指す。形質転換された核酸フラグメントを含有する宿主生物を「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換された」生物体と呼ぶ。
用語「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」は、しばしば細胞の中心的代謝の部分ではない遺伝子を担持する染色体外エレメントを指し、通常は、環状二本鎖DNA分子の形態である。そのようなエレメントは、任意の起源から誘導される一本鎖または二本鎖DNAあるいはRNAの自律的反復配列、ゲノム組込み配列、ファージもしくはヌクレオチド配列で、線状あるいは環状であってもよく、ここで、プロモーターフラグメントおよび適切な3’非翻訳配列を伴う選択された遺伝子産物に対するDNA配列を細胞に導入することが可能である独特な構築物に、多くのヌクレオチド配列が接続または組換えられている。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有し、かつ該外来遺伝子に加えて特定の宿細胞の形質転換を可能にするエレメントを有する特定のベクターを指す。「発現カセット」は、外来遺伝子を含有し、かつ該外来遺伝子に加えて外来宿主の遺伝子の発現の増強を可能にするエレメントを有する特定のベクターを指す。
用語「アミノ酸」は、タンパク質またはポリペプチドの基本的化学構造単位を指す。以下の略記号は、本明細書において特定のアミノ酸を同定するために使用する:
Figure 2005522180
用語「化学的に等価なアミノ酸」は、所定のタンパク質の化学的または機能的性質を変更することなく、該タンパク質において別のアミノ酸に置換することが可能なアミノ酸を指す。例えば、所定の部位で化学的に等価なアミノ酸の産生を生じるが、コード化されるタンパク質の機能的特性に影響を及ぼさない遺伝子の変更が一般的であることは、当該分野において周知である。本発明の目的として、置換とは、以下の5つの群のうちの1つの中での交換であると規定される。
1.小さな脂肪族の非極性または僅かに極性の残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly);
2.極性の負に荷電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;
3.極性の正に荷電した残基:His、Arg、Lys;
4.大きな脂肪族の非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys);および
5.大きな芳香族残基:Phe、Tyr、Trp
従って、疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンを、別の疎水性のより小さな残基(例えば、グリシン)、またはより疎水性の大きな残基(例えば、バリン、ロイシンもしくはイソロイシン)により置換してよい。同様に、1個の負に荷電した残基の別のもの(例えば、グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸)、または1個の正に荷電した残基の別のもの(例えば、アルギニンの代わりにリジン)への置換をもたらす変化もまた、機能的に等価な産物を生じさせるものと期待することができる。さらに、多くの場合、タンパク質分子のN末端およびC末端部分の変更もまた、該ポリペプチドの活性を変更しないことが期待される。
ここで使用した標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野において周知であり、サンブルックJ.(Sambrook,J.)、フリッシュE.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティスT.(Maniatis,T.)著、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」第2版(コールド・スプリング・ハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,NY)、1989年(以後「マニアティス(Maniatis)」))、ならびにシルハビーT.J.(Silhavy,T.J.)、ベンナンM.L.(Bennan,M.L.)、およびエンクイストL.W.(Enquist,L.W.)著、「Experiments with Gene Fusions(遺伝子融合の実験)」(コールド・スプリング・ハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,NY)、1984年)、ならびにアウスベルF.M.(Ausubel,F.M.)ら著、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学最新プロトコル)」(グリーン・パブリッシング・アソシエーション・エンド・ワイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)より出版、1987年)により記載されている。
本発明は、フェニルアラニンを産生する組換え微生物におけるチロシンならびにp−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法について記載している。チロシン産生のため、組換え微生物はフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)活性をコード化する異種遺伝子を含有する。p−ヒドロキシ桂皮酸の産生のため、組換え微生物はチロシンアンモニアリアーゼ(TAL)活性をコード化する遺伝子をさらに含有する。関連経路を以下に例示する:
Figure 2005522180
本発明は、組換え宿主におけるフェニルアラニンの供給源に依存する。フェニルアラニンは、外因的に供給されてもよく、または細胞により内因的に産生されてもいずれでもよい。
本発明は、液晶ポリマー(LCP)の製造のためのモノマーとして使用することができるPHCAの生物学的産生に有用である。LCPは、電子接続具およびテレコミュニケーションならびに航空宇宙アプリケーションにおいて使用することができる。LCPは滅菌放射線に耐性であるため、それらの材料を医療デバイスならびに化学、および食品包装アプリケーションに使用することも可能である。
さらに、本発明は、産業微生物学および製薬合成方法において広範に使用されるアミノ酸であるチロシンの新規産生方法を提供する。
遺伝子
本発明において使用される重要な酵素は、当該分野において公知の多くの遺伝子によってコードされる。主要酵素はフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)およびチロシンアンモニアリアーゼ(TAL)である。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)およびチロシンアンモニアリアーゼ(TAL)
本発明は、フェニルアラニンのチロシンへの変換に有用なPAH活性を有する組換え生物体を提供する。この酵素は当該分野において公知であり、プロテオバクテリア(Proteobacteria)において報告されている(ジャオ(Zhao)ら著、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(全米科学アカデミー会報)」第91巻、p.1366(1994年))。例えば、緑膿菌は、哺乳動物のフェニルアラニンヒドロキシラーゼに相同なフェニルアラニンヒドロキシラーゼ、トリプトファンヒドロキシラーゼ、およびチロシンヒドロキシラーゼを含む多遺伝子オペロンを有する(ジャオ(Zhao)ら著、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(全米科学アカデミー会報)」第91巻、p.1366(1994年))。
フェニルアラニンのチロシンへの酵素変換は真核生物において公知である。ヒトフェニルアラニンヒドロキシラーゼは肝臓において特異的に発現され、L−フェニルアラニンをL−チロシンに変換する(ワン(Wang)ら著、「J.Biol.Chem.(生物学雑誌)」第269(12)巻、p.9137−46(1994年))。
PAH活性をコード化するいかなる遺伝子も有用であり、プロテオバクテリアから単離される遺伝子は特に適切であるが、本発明において、PAHをコード化する配列番号1に記載の遺伝子はクロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)から単離されることが好ましい。
天然では、フェニルアラニンアンモニアリアーゼをコード化する遺伝子は、フェニルアラニンを桂皮酸に変換することが公知であり、次いで桂皮酸は、p−450/p−450レダクターゼ酵素系を介してパラ−ヒドロキシ桂皮酸に変換され得る。多くの場合、フェニルアラニンアンモニアリアーゼは、二基質特異性を有し、原則としてフェニルアラニンに作用するが、チロシンにもいくらかの親和性を有する。例えば、パセリ(アッペルト(Appert)ら著、「Eur.J.Biochem.(ヨーロッパ生化学雑誌)」第225巻、p.491(1994年))およびトウモロコシ(ハビル(Havir)ら著、「Plant Physiol.(植物生理学)」第48巻、p.130(1971年))から単離されるPAL酵素は両方とも基質としてチロシンを使用する能力を実証している。同様に、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)から単離されるPAL酵素(ホドギンスDS(Hodgins DS)著、「J.Biol.Chem.(生物化学雑誌)」第246巻、p.2977(1971年))も基質としてチロシンを使用することができる。そのような酵素を、本明細書ではPAL/TAL酵素または活性と呼ぶ。PAL/TAL活性をコード化する野生型の遺伝子を発現する組換え生物体を作製することを所望する場合、トウモロコシ、コムギ、パセリ、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)、ロドスポリジウム、スポロボロマイセス・パラロセウス(Sporobolomyces pararoseus)およびロドスポリジウムから単離される遺伝子は、ハンソン(Hanson)およびハビル(Havir)著、「The Biochemistry of Plants(植物の生化学)」第7巻(アカデミック(Academic)、ニューヨーク市(New York)、1981年、p.577−625)において考察されている通りに使用することができ、ここで、ロドスポリジウムが好ましく、配列番号3に記載の遺伝子が最も好ましい。
場合によって、様々な形態の変異誘発およびタンパク質工学を介するPAL/TAL酵素の基質特異性を増加することが可能である。PAL/TAL酵素の変異誘発のために、様々な取り組み方を使用することができる。変異誘発に適切な取り組み方には、誤りがちなPCR(ロイング(Leung)ら著、「Techniques(テクノロジーズ)」第1巻、p.11−15(1989年)およびジョウ(Zhou)ら著、「Nucleic Acids Res.(核酸残基)」第19巻、p.6052−6052(1991年)およびスピー(Spee)ら著、「Nucleic Acids Res.(核酸残基)」第21巻、p.777−778(1993年))およびインビボ変異誘発が含まれる。タンパク質工学は、「遺伝子シャッフリング」(米国特許第5,605,793号明細書、同第5,811,238号明細書、同第5,830,721号明細書、および同第5,837,458号明細書)として一般に公知である方法、または3次元構造および古典的なタンパク質化学に基づく合理的設計によって達成することができる。出願人らは、古典的なロドスポリジウムPAL/TAL酵素(配列番号4)内のどのようなアミノ酸の変更がチロシンに対する基質特異性の増強を与えるかを決定するためのこれらの様々な方法を使用してきた。これらの変異、変更されたアミノ酸残基、およびTAL/PAL活性を以下に示す。
Figure 2005522180
本発明は、上記の特異的変異だけではなく、化学的に等価なアミノ酸の置換を可能にする方法をも包含することが理解されよう。従って、例えば、脂肪族比極性アミノ酸であるアラニンでアミノ酸を置換する場合、同じ部位を化学的に等価なアミノ酸であるセリンで置換してもよいことが予想される。従って、本発明は、野生型のPAL/TALアミノ酸配列(配列番号4)内の以下のアミノ酸置換を有する変異TALタンパク質を提供する。
Figure 2005522180
上記の合理的改変に加えて、無作為に変異を作製することができる。今回、野生型R.グルチニスPALから、増強されたTAL活性を有する改変されたPAL酵素を作製した。この変異は、誤りがちなPCRによって作製したが、配列番号23に記載されており、配列番号24に記載のタンパク質をコード化する。
本発明は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはチロシンアンモニアリアーゼ活性のいずれかをコード化するいかなる特定の配列にも制限されず、当該分野において公知である類似の活性を有し、日常的な配列依存性プロトコルによって入手可能な遺伝子によって補足することができる。配列依存性プロトコルの例としては、核酸ハイブリダイゼーションの方法、ならびに核酸増幅技術(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR))の多様な使用によって例示されるようなDNAおよびRNA増幅の方法が挙げられるがこれらに限定されない。
例えば、上記の活性(TAL、またはPAH)のいずれか1つの相同物をコード化する遺伝子は、既知の配列のすべてまた一部を、DNAハイブリダイゼーションプローブとして使用し、当業者に周知の方法論を使用して任意の所望される植物、菌類、酵母、または細菌からライブラリーをスクリーニングすることによって、直接単離し得る。本文献の核酸配列に基づく特異的オリゴヌクレオチドプローブは、当該分野において既知の方法(マニアティス、上掲)により設計および合成することができる。さらに、配列全体は、ランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーション、もしくは末端標識技術のような当業者に既知の方法によりDNAプローブを、または利用可能なインビトロ転写系を使用してRNAプローブを合成するのに直接使用することができる。加えて、本配列の一部または完全長を増幅するための特異的プライマーを設計かつ使用することができる。生じる増幅産物は増幅反応中に直接標識することができるか、または増幅反応後に標識することができ、そして適切なストリンジェンシーの条件下で、完全長のcDNAまたはゲノムフラグメントを単離するためのプローブとして使用することができる。これらおよび他のプロトコルによって、チロシンアンモニアリアーゼおよびフェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する様々な遺伝子を単離することができる。
微生物宿主
本発明の産生生物体には、PHCAまたはチロシンの産生に必要な遺伝子を発現することが可能な任意の生物体が含まれる。典型的に、産生生物体は微生物に限定される。
PHCAおよびチロシンの産生のための本発明において有用な微生物としては、例えば、腸内細菌(例えば、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella))ならびにバチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、メチロバクター(Methylobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomona)などの細菌、ロドバクター(Rhodobactor)およびシネコシスチス(Synechocystis)などのシアノバクテリア(Cyanobacteria);サッカロマイセス(Saccharomyces)、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ケカビ(Mucor)、ピヒア(Pichia)、トルロプシス(Torulopsis)などの酵母、ならびにアスペルギルス(Aspergillus)およびアースロボトリス(Arthrobotrys)などの糸状菌、ならびに藻類が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のPAL/TALおよびPAH遺伝子は、これらおよび他の微生物宿主において産生され、商業的に有用な大量のPHCAおよびチロシンを調製する。
外来タンパク質の高レベル発現を指令する調節配列を含有する微生物発現系および発現ベクターは当業者に周知である。これらのいずれをも使用して、PHCAの産生のためのキメラ遺伝子を構築することができる。次いで、これらのキメラ遺伝子を、形質転換によって適切な微生物に導入し、高レベルの酵素発現を可能にすることができる。
適切な微生物宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは、当該分野において周知である。典型的に、ベクターまたはカセットは、関連遺伝子の転写および翻訳を指令する配列、選択マーカー、および自己複製もしくは染色体組込みを可能にする配列を含有する。適切なベクターは、転写開始の制御を有する遺伝子の5’側領域および転写の終了を制御するDNAフラグメントの3’側領域を含む。両方の制御領域が形質転換された宿主細胞に相同な遺伝子に由来することが最も好ましいが、そのような制御領域は、産生宿主として選択される特定種に生来である遺伝子に由来する必要はないことを理解すべきである。
所望の宿主細胞において、関連遺伝子の発現を推進するのに有用である、開始制御領域またはプロモーターは多数あり、かつ当業者に馴染みである。事実上、これらの遺伝子を駆動することができるいかなるプロモーターも本発明に適し、CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロマイセスでの発現に有用);AOX1(ピヒアでの発現に有用);ならびにlac、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌での発現に有用)が挙げられるが、これらに限定されない。
終了制御領域もまた、好適な宿主に生来の様々な遺伝子から誘導することができる。必要に応じて、終了部位は必要ではないが、含まれている場合が最も好ましい。
PHCAまたはチロシンの商業的産生を所望する場合、様々な発酵方法論を適用することができる。例えば、バッチまたは連続発酵の両方によって、大規模産生を行うことができる。
古典的なバッチ培養方法は閉鎖系であり、ここで、培地の組成は発酵の開始時に設定され、発酵中に人工的に変更されることはない。従って、発酵の開始時に、培地に所望の微生物または複数の微生物を接種し、発酵を可能にして、系には何も添加しない。しかし、典型的に、「バッチ」発酵における炭素源の濃度は制限され、しばしばpHおよび酸素濃度などの因子を制御することが試みられる。バッチ系では、系の代謝物およびバイオマス組成は、発酵が終了する時点まで一定に変化する。バッチ培養物内では、細胞は静的対数期を穏やかに通過して高対数増殖期に達し、最終的に、増殖速度が減少または停止する定常期に達する。処理を行わなければ、定常期の細胞は最終的に死滅する。対数期の細胞は、一般的に、最終産物または中間体の大量産生を担う。
標準的なバッチ系の1つのバリエーションは流加培養系である。流加発酵プロセスも本発明に適切であり、発酵の進行に伴って基質を徐々に増量しながら添加することを除いて、典型的なバッチ系を構成する。異化産物の出現によって細胞の代謝が阻害される傾向がある場合、および培地中の基質量を制限することを所望する場合は、流加培養系が有用である。流加培養系における実際の基質濃度の測定は困難であるため、pH、溶存酸素およびCOなどの排気体分圧などの測定可能な因子の変化に基づいて見積もられる。バッチおよび流加培養発酵は当該分野において一般的かつ周知であり、その例はブロックT.D.(T.D.Brock)著、「Biotechnology(バイオテクノロジー):A Textbook of Industrial Microbiology」第2版(シナウエル・アソシエート(Sinauer Associates)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland,Massachusettes)、1989年)、またはデスパンデM.V.(Deshpande,M.V.)著、Appl.Biochem.Biotechnol.(応用生化学バイオテクノロジー)第36巻p.227、(1992年)(本明細書において参考として援用される)に見出すことができる。
PHCAまたはチロシンの商業的産生は、連続培養によっても達成することができる。連続培養は開放系であり、規定された発酵培地を連続的にバイオリアクターに添加し、同時に等量の順化培地を処理のために取り出す。一般に、連続発酵は、培養物を一定の高密度で維持し、ここで、細胞は主に対数増殖期にある。
連続発酵によって、細胞増殖または最終産物の濃度に影響を及ぼすいくつかの因子を変調することが可能である。例えば、1つの方法は、炭素源などの制限されている栄養物または窒素レベルを一定速度で維持し、他のすべてのパラメータを中位にすることが可能である。他の系では、培地の濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、増殖に影響を及ぼす多くの因子は連続的に変更することができる。連続系は定常状態の増殖条件を維持しようとし、従って、培地を取り出すことによって失われる細胞は発酵中の細胞増殖速度に対して均衡を保たなければならない。連続発酵プロセスの栄養および増殖因子を変調するための方法ならびに生成物の形成速度を最大にするための技術は、産業微生物学の分野において周知であり、様々な方法がブロック(Brock)、上掲によって詳述されている。
PHCAまたはチロシンの産生には、適切な炭素基質が必要である。適当な基質としては、グルコース、ラフィノースおよびフルクトースなどの単糖類、ラクトースまたはスクロースなどのオリゴ糖類、デンプンまたはセルロースなどの多糖類、またはこれらの混合物、ならびにチーズ乳漿浸透液(cheese whey permeate)、コーンステープリカー(cornsteep liquor)、テンサイモラス、およびオオムギモルトなどの再生可能な原料からの未精製混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、炭素基質は、重要な生化学中間体への代謝返還が実証されている二酸化炭素、ホルムアルデヒド、ホルメート(formate)またはメタノールなどの単炭素基質であってもよい。
好適な実施例の説明
クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)(配列番号1)のPAH遺伝子をクローニングし、緑膿菌およびDH5α大腸菌の両方において発現させた。クロモバクテリウム・ビオラセウム(配列番号1)のPAH遺伝子を含有する緑膿菌株によるチロシン、桂皮酸、およびPHCAの産生を実証した。緑膿菌は、桂皮酸をパラ−ヒドロキシ桂皮酸に変換するのに必要なp−450/p−450レダクターゼ酵素系を欠くことが実証されたため、これらの実験系において産生されるすべてのパラ−ヒドロキシ桂皮酸はフェニルアラニンからチロシン、次いでパラ−ヒドロキシ桂皮酸への炭素流の再指令から生じた。桂皮酸の産生は、PAL/TAL酵素によって保持されるフェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性の副産物である可能性がある。
本発明の方法の特定のアプリケーションにおいて、改変されたPAL/TAL遺伝子(配列番号23)によるフェニルアラニンのチロシンへの変換のためのPAHオペロンを含有する緑膿菌の形質転換体はチロシンへの炭素流を増加し、産生されるPHCAの量を増加させることを見出した。
好適な実施態様では、C.ビオラセウムPAH遺伝子を内因性緑膿菌PAHオペロンおよび改変されたPAL/TALの発現と組み合わせて組み入れることにより、チロシンおよびPHCAの産生量を増加させた。
もう1つの実施態様では、緑膿菌PAHをクローニングし、フェニルアラニン過剰発現大腸菌および大腸菌の栄養要求性突然変異体において発現させた。
以下の実施例において本発明をさらに規定する。これらの実施例は本発明の好適な実施態様を示すと同時に例示のみの方法によって与えられることを理解すべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者であれば、本発明の本質的特徴を確かめることができ、そして本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および改変を加えて、さまざまな用途および条件に適応することができる。
一般的方法
実施例で使用した標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野において周知であり、サンブルックJ.(Sambrook,J.)、フリッシュE.F.(Fritsch,E.F.)およびマニアティスT.(Maniatis,T.)著、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:実験室マニュアル)」(コールド・スプリング・ハーバー実験室出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor)(1989年)(マニアティス))、ならびにT.J.シルハビー(T.J.Silhavy)、M.L.ベンナン(M.L.Bennan)、およびL.W.エンクイスト(L.W.Enquist)著、「Experiments with Gene Fusions(遺伝子融合の実験)」(コールド・スプリング・ハーバー実験室(Cold Spring Harbor Laboratory)、ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバー(Cold Spring Harbor,NY)(1984年))、ならびにアウスベルF.M.(Ausubel,F.M.)ら著、「Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学最新プロトコル)」(グリーン・パブリッシング・アソシエーション・エンド・ワイリー・インターサイエンス(Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience)より出版)(1987年))により記載されている。
細菌培養の維持または増殖に適切な材料および方法は当該分野において周知である。以下の実施例での使用に適切な技術は、「Manual of Methods for General Bacteriology(マニュアル・オブ・メソッズ・フォー・ジェネラル・バクテリオロジー)」(フィリップ・ゲルハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.ミュレイ(R.G.E.Murray)、ラルフN.コスチロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーンW.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリスA.ウッド(Willis A.Wood)、ノエルR.クリーグ(Noel R.Krieg)およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編)、米国微生物学会(American Society for Microbiology)、ワシントンDC(Washington,DC.)(1994年))、またはトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)著、「Biotechnology(バイオテクノロジー):A Textbook of Industrial Microbiology」第2版(シナウエル・アソシエーツ社(Sinauer Associates,Inc.)、マサチューセッツ州サンダーランド(Sunderland,MA)(1989年))に記載の通りに見ることができる。すべての試薬、制限酵素ならびに細菌細胞の増殖および維持のために使用した材料は、特に特定しない限りアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI))、ディフコ・ラボラトリーズ(DIFCO Laboratories)(ミシガン州デトロイト(Detroit,MI))、ギブコ/BRL(GIBCO/BRL)(メリーランド州ガイセルブルグ(Gaithersburg,MD))、またはシグマ・ケミカル・カンパニー(Sigma Chemical Company)(ミズーリ州セントルイス(St.Louis,MO))より入手した。
略語の意味は次のようである:「sec」は秒(単数および複数)を意味し、「min」は分(単数および複数)を意味し、「h」は時間(単数および複数)を意味し、「psi」は平方インチあたりのポンドを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「d」は日(単数および複数)を意味し、「μL」はマイクロリットル(単数および複数)を意味し、「mL」はミリリットル(単数および複数)を意味し、「L」はリットル(単数および複数)を意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mM」は「ミリモルの」を意味し、「M」は「モルの」を意味し、「mmol」はミリモル(単数および複数)を意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ng」はナノグラムを意味し、「U」は単位を意味し、「mU」はミリ単位を意味し、「Umg−1」はmgあたりの単位を意味する。
株の説明
全体を通して、緑膿菌ATCC15691をコントロールとして使用した。ATCC15691株は、生来のPAHオペロンを含有するが、PALまたはTALのいずれの酵素機能をも欠き、桂皮酸をパラ−ヒドロキシ桂皮酸に変換するのに必要なp−450/p−450レダクターゼ酵素系を欠く。また、緑膿菌ATCC15691をR.グルチニス由来の生来のPAL/TALで形質転換し、フェニルアラニンを桂皮酸に変換する能力を与えた。さらに、緑膿菌ATCC15691を、チロシンに対して増強された基質特異性を有する変異PAL/TAL酵素[配列番号23](R.グルチニスの野生型配列(配列番号4)に基づく)で形質転換した。さらに、C.ビオラセウム由来のPAHをコード化する遺伝子(配列番号1)およびR.グルチニス(R.glutinis)由来の野生型PALをコード化する遺伝子(配列番号3)を含有する緑膿菌ATCC15691形質転換体を作製した。同様の様式で、緑膿菌ATCC15691を、増強されたTAL活性を有するR.グルチニス由来の変異PAL/TALをコード化する遺伝子[配列番号23]およびC.ビオラセウム由来のPAHをコード化する遺伝子(配列番号1)で形質転換した。緑膿菌ATCC15691に加えて、大腸菌のフェニルアラニン過剰産生菌を、変異および野生型PAL/TAL遺伝子、ならびにC.ビオラセウム由来のPAH遺伝子で形質転換した。
本発明の株は、以下の実施例において以下のように標識される:
コントロール=緑膿菌(ATCC15691)
TAL=R.グルチニス由来の改変されたPAL/TAL(配列番号23)を含有する緑膿菌(ATCC15691)
PAH/TAL=R.グルチニス由来の改変されたPAL/TAL(配列番号23)およびC.ビオラセウム由来のPAH(配列番号11)を含有する緑膿菌(ATCC15691)
緑膿菌(ATCC15691)のエレクトロポレーション:
緑膿菌のグリセロールストックのサンプルを、抗生物質を含まない寒天プレート上に拡げ、37℃で1晩インキュベートすると、コロニーは直径が少なくとも1.0mmであり稠密であった。細胞(約1.0〜3.0mg)をプレートから回収し、滅菌接種ループを使用してチューブに移した。必要なサンプルを得るには、通常、1枚のプレートから大きく3回スワイプすれば十分であった。次いで、回収した細胞を再懸濁し、滅菌水で1回洗浄し、水(500μl)中に再懸濁した。プラスミドDNA(約50ng、下記のプラスミド)を、細胞を含有するチューブに添加した。次いで、DNA/細胞懸濁液を、予め冷却したエレクトロポレーションキュベット(0.1cm、バイオ−ラド(Bio−Rad)、カリフォルニア州ハーキュリーズ(Hercules,CA))に移し、キュベットを氷上に保持した。各サンプルに、ジーンパルサー(Gene Pulser)(バイオ−ラド)(25μF、200om)中、18kV/cmで電気パルスを印加した。パルス印加直後、SOC培地(1.0ml)を各キュベットに添加した。次いで、細胞混合物をチューブに移し、振盪器に置いた(37℃、220rpmで1.0時間)。次いで、各形質転換反応のサンプル(100μl)を個別のLBプレート上にピペッティングし、37℃で1晩インキュベートした。
酵素活性アッセイ
アベル(Abell)ら著、「酵母ロドトルラ・グルチニス由来のフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(Phenylalanine Ammonia−lyase from Yeast Rhodotorula glutinis)」(Methods Enzymol.(メソッズ・エンザイモール)社、第142巻、p.242−248(1987年))に従い、分光光度計を使用して、精製された酵素のPALまたはTAL活性を測定した。PALの決定に関する分光光度アッセイは、1.0mMのL−フェニルアラニンおよび50mMTris−HCl(pH8.5)を含有する溶液に酵素を添加することによって開始した。次いで、9000cm−1のモル吸光係数を使用して、産物である桂皮酸の吸収をモニターすることによって、反応を追跡した。アッセイは、0.0075〜0.018/分の範囲の吸収の変化を生じる酵素の量を使用して、5分間行った。1単位の活性は、1分間当たりの1.0μmolフェニルアラニンの桂皮酸への脱アミノ化を示した。同様に、反応溶液中のチロシンを使用して、TAL活性を測定した。産生するパラ−ヒドロキシ桂皮酸の吸収を315nmで追跡し、PHCAに対する10,000cm−1の吸光係数を使用して活性を決定した。1単位の活性は、1分間当たりの1.0μmolチロシンのパラ−ヒドロキシ桂皮酸への脱アミノ化を示した。
SDSゲル電気泳動
8〜25%ネイティブファストゲルズ(PhastGels)を、レーンあたり4.0μgのタンパク質で行った。ファルマシア高分子量(Pharmacia High Molecular Weight)(HMW)マーカーおよびシグマ(Sigma)製1級PALを標準として使用した。
HPLC分析用サンプルの調製
全細胞により形成される桂皮酸およびPHCAのレベルを測定するために、HPLCアッセイを開発した。典型的なアッセイでは、選択した培地中で増殖した培養物の遠心分離後、20〜1000μLの上清をリン酸で酸性化し、0.2または0.45ミクロンフィルターでろ過し、HPLCで分析し、増殖培地中のPHCAおよび桂皮酸の濃度を決定した。あるいは、遠心分離後、細胞を、1.0mMチロシンまたは1.0mMフェニルアラニンを含有する100mMTris−HCl(pH8.5)中に再懸濁し、室温で1.0〜16時間インキュベートした。次いで、この懸濁液のろ過したアリコート(20〜1000mL)を分析した。
HPLC方法:
オートサンプラーおよびダイオードアレイUV/可視検出器を具備したヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)1090M HPLCシステムを、MAC−MODアナリティカル(Analytical)社製逆相ゾルバックス(Zorbax)SB−C8カラム(4.6 mm×250 mm)と共に使用した。40℃のカラム温度で、1分間あたり1.0mLの流速を行った。UV検出器を設定して、250、230、270、290および310nmの波長で溶出物をモニターした。
Figure 2005522180
上記のHPLCシステムを使用する関連代謝物の保持時間(RT)を以下にまとめる。
Figure 2005522180
モノ(MONO)Q緩衝液:
これらの分析に使用した緩衝液は、開始緩衝液としての50mMリン酸カリウム、pH7.0、続いて、モノ(Mono)Qカラムに対する溶出液としての400mMリン酸カリウム緩衝液pH7.2であった。
実施例1
微生物におけるクロモバクテリウム・ビオラセウムフェニルアラニンヒドロキシラーゼのクローニングおよび発現
クロモバクテリウム・ビオラセウムDNAの増幅およびクローニングに対するフェニルアラニンヒドロキシラーゼ:
これらの研究では、クロモバクテリウム・ビオラセウムのPAH遺伝子(配列番号1)を緑膿菌(ATCC15691)およびDH5α大腸菌の両方にクローニングした。先に記載のC.ビオラセウムフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子のコーディング領域に隣接するデオキシヌクレオチド配列(A.オオニシ(A.Onishi)、L.J.リオッタ(L.J.Liotta)、S.J.ベンコビック(S.J.Benkovic)著、「大腸菌におけるクロモバクテリウム・ビオラセウムフェニルアラニンヒドロキシラーゼのクローニングおよび発現ならびに哺乳動物芳香族アミノ酸ヒドロキシラーゼとのアミノ酸配列の比較(Cloning and Expression of Chromobacterium violaceum phenylalanine hydroxylase in Escherichia coli and comparison of amino acid sequence with mammalian aromatic amino acid hydroylase)」J.Biol.Chem.(生物化学雑誌)第266巻、p.18454−18459(1991年))に基づいて、2つのオリゴヌクレオチドプライマー5’−TCCAGGAGCCCAGGATCCAACGATCGCGCCGA−3’[配列番号5](CVPH168と称する)および5’−GGACAAGCTTAATGATGCAGCGACACAT−3’[配列番号6](CVPH1170と称する)を合成した。各プライマーの5’末端に制限エンドヌクレアーゼ部位(BamHIまたはHindIII、上記のプライマーの下線を付した配列)を設計し、クローニングを容易にした。キアゲン・キット(Qiagen Kit)でC.ビオラセウムゲノムDNAを単離および精製し、DNAの複製を行った。増幅反応混合液(100μl)は、1.0mgのゲノムDNAテンプレート、100pmolの2種の各プライマー、10mM Tris−HCl(pH8.8)中2.5単位のTaqDNAポリメラーゼ(キアゲン(Qiagen))、0.2mMの4種の各dNTP、50mM KCl、1.5mM MgCl、および0.01%ウシ血清アルブミンを含有した。30回のPCRサイクル(94℃、0.5分間;55℃、0.5分間および72℃、2.0分間)を実施した。正確に増幅されたDNAフラグメント(フラグメントのサイズに基づく)をTAベクター(インビトロゲン(Invitrogen)、カリフォルニア州カールスバット(Carlsbad,California))にクローニングし、配列分析に供した。このようにして、遺伝子を含有するいくらかのクローンを得た。
遺伝子発現およびタンパク質の精製:
クローニングされたフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子を発現するために、ジーンクリーン(GeneClean)IIキット(バイオ101社(Bio101)、カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad,California))を使用して増幅された目的のDNAフラグメントを精製し、エンドヌクレアーゼBamHIおよびHindIII(プロメガ(Promega)、ウィスコンシン州マディソン(Madison,Wisconsin))で消化し、pET24a(ノボゲン(Novogen)、ウィスコンシン州マディソン(Madison,WI))、pQE30(キアゲン(Qiagen))およびpTrc99A(ファルマシア(Pharmacia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ))などのプラスミドベクターのBamHIおよびHindIII部位にクローニングした。調製したベクターに対し、次の名称:pETDW(C.ビオラセウム由来のPAH遺伝子(配列番号1)を含有するPET24aベクター)、PQSW−PAH1170(同じ遺伝子を含有するpQE30ベクター)およびpTrc−PAH(PAH遺伝子を含有するpTrc99a)を使用した。エレクトロポレーションにより発現ベクターを形質転換したシュードモナスおよび大腸菌株を、イソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)の非存在または存在下で、vpESW−PAH1170については25mg/mlのカナマイシンもしくはpQSE−PAH1170およびpTrc−PAHの両方については100mg/mlのアンピシリンのいずれかを含有するLB培地中、37℃で増殖させた。組換え体のフェニルアラニンヒドロキシラーゼの発現を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分析した。均質化までのフェニルアラニンヒドロキシラーゼの精製は、1μg/mlのロイペプチンおよびペプスタチンAを含有する50mM酢酸緩衝液、pH6.0中の細胞懸濁液を18,000psiでフレンチプレッシャー(French Pressure)セルに通過させる(×2)ことによって達成した。次いで、プロテアーゼ阻害剤であるPMSFを抽出物に添加し、最終濃度を0.5mMとした。38,000×gで20分間の遠心分離により、細胞破砕物および封入体を除去した。次いで、上清を、細胞を含まない抽出物として使用した。
20mm×165mm、50μmHQカラム上、30ml/分の流量で陰イオン交換を行った。開始緩衝液(緩衝液A)は、20mM NaClを含有する50mM酢酸ナトリウムpH6.0であり、溶出緩衝液(緩衝液B)は、500mM NaClを含有する50mM酢酸ナトリウムpH6.0である。カラムを平衡化し、サンプル注入後、緩衝液Aで洗浄した。勾配は緩衝液Aの100%から緩衝液Bの100%へ10カラム容量で行った。カラムを緩衝液Bで洗浄し、次いで、緩衝液Aで再平衡化した。280nmでタンパク質をモニターし、2カラム容量の勾配後に10ml画分を回収した。カラムに対し1回の操作ですべての粗抽出物を使用した。PAH活性を含有する画分を集め、セントリコン10(Centricom−10)限外ろ過により濃縮した。液体窒素中で凍結後、精製した酵素を−70℃で保存した。サンプルの電気泳動後、クーマシーブルー(Coomassie Blue)で染色したSDSポリアクリルアミドゲルを調べることにより、フェニルアラニンヒドロキシラーゼの純度を判定した。
Figure 2005522180
フェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素活性およびタンパク質濃度の決定:
分光光度計でチロシンの産生をモニターすることにより、フェニルアラニン依存性DMPH4脱水素活性を測定した。L−フェニルアラニン(1.0mM、10mlの100mM溶液);ジチオトレイトール(DTT、6.0mM、6.0mlの1.0M溶液);Fe(NH(SO(10mM、10mlの100mM溶液)、6,7−ジメチルテトラヒドロプテリン(DMPH4)(120mM、10mlの12mM溶液)およびHEPES緩衝液(960mlの100mM、pH7.4)を含有する1.0mlの溶液に酵素溶液(1.0〜10ml)を添加することによって、アッセイを実施した。フェニルアラニンを上記の混合物に添加することによって反応を開始し、生成物であるチロシンの形成による275nmでの上昇をモニターすることによって、追跡した。約0.01/分で吸収の変化が生じる様な酵素量を使用して、アッセイを数分間行った。1700cm−1のモル吸光係数を使用して、活性を決定した。1単位の酵素活性は1分間あたり1.0μmolのチロシンを生じる。BCAタンパク質アッセイ(バイオ−ラッド・ラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories)、カリフォルニア州ハーキュリーズ(Hercules,California))によって、溶液中の酵素濃度を日常的に決定した。
チロシンのインビボ産生:
HPLC方法により、インビボでのチロシン産生のアッセイを行った。フェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子を含有する微生物を、補因子DMPH4および/またはFeSOの存在あるいは非存在下で、対応する抗生物質を有するLB培地に接種した。細胞を37℃で1晩、振盪器に置いた。次いで、培養物を、2%グルコースを含有するM9倍値で洗浄(×3)し、同培地に再懸濁した。サンプル(1.0ml)を特定の時間間隔で採取し、調製し、HPLCで分析した。
実施例2
クロモバクテリウム・ビオラセウムのフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子を含有する緑膿菌株によるチロシン、桂皮酸およびPHCAの産生
本実施例では、緑膿菌におけるC.ビオラセウム由来のフェニルアラニンヒドロキシラーゼの発現について説明する。
緑膿菌(ATCC15691)において産生されるパラ−ヒドロキシ桂皮酸の供給源を確認するためには、緑膿菌(ATCC15691)が桂皮酸からパラ−ヒドロキシ桂皮酸を産生する酵素機構を有さないことを確認することがまず必要であった。このことを確認するために、以下の研究を行った。
1個のコロニーをLB寒天プレートから拾い出し、4.0mlのLB培地に接種した。培養液を1晩、振盪器(30℃、225rpm)に置いた。次いで、200μlの培養液を150.0mlの新鮮LB培地に移し、培養液を1晩、振盪器(30℃、225rpm)に置いた。次いで、細胞を遠心分離し、2%グルコースを含有するM9培地で2回洗浄した。次いで、細胞ペレットを、M9培地、2%グルコースを含有するM9培地、LB培地、2%グルコースを含有するLB培地のいずれかに再懸濁し、600nmでのODを0.2に調整した。pHCAまたは桂皮酸(1.0mM)のいずれかを培養液に添加し、次いで、振盪器に置いた(30℃)。PHCAまたは桂皮酸のいずれも添加されていない培養液をコントロールとして使用した。24時間および48時間目に培養液から、HPLC分析用にサンプル(1.0ml)を採取した。分析結果を以下にまとめる(表2)が、これは、緑膿菌は、桂皮酸からPHCAを産生することができず、実質的量で消費されなかったことを示す。
Figure 2005522180
この研究で使用される組換え株は、緑膿菌を発現ベクターpE−PAL(アンピシリン選択マーカーを有するロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来の生来のPAL/TALを含有する)およびpJ−PAH(カナマイシン選択マーカーを有するクロモバクテリウム・ビオラセウム由来のPAH(配列番号1)を含有する)でエレクトロポレーションすることによって調製した。二重選択プレートは、LB培地+カルベニシリン(175μg/ml)およびカナマイシン(150μg/ml)を含有した。単一のコロニーを選択プレートから拾い出し、抗生物質を有するLB培地(10ml)を含有するチューブに接種した。培養液を1晩、振盪器に置いた(37℃、225rpm)。次いで、それらを遠心分離し、LB培地で1回洗浄し、10mlの同培地に再懸濁した。イソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG、10μlの1.0Mストック溶液)を培養液に添加し(最終濃度1.0mM)、振盪器に置いた(37℃、225rpm、24時間)。IPTG接種の24時間後、サンプル(1.0ml)を採取し、HPLC分析用に調製して、サンプル中のチロシン、桂皮酸およびPHCAの濃度を決定した。HPLC分析の結果を表3にまとめる。コントロール細胞(シュードモナスPAHオペロンを含有する生来の緑膿菌)、ならびにPALおよびTAL形質転換体は、LB培地上での増殖後、何らチロシンを産生しなかった。しかし、(生来のPAHに加えて)C.ビオラセウム由来のPAH[配列番号1]を含有するシュードモナス形質転換体およびPAH/PALまたはPAH/TALのいずれかを含有するそれらの形質転換体は、これらの実験条件下でそれぞれ233.5、13.6および23.5Mのチロシンを産生した。様々な株による桂皮酸産生の分析により、生来の緑膿菌株およびC.ビオラセウム由来のPAH[配列番号1]を含有する細胞の両方による極めて低いレベルの産生(1.45および12.2M)が示された。しかし、PALまたはTALのいずれか一方を含有する細胞は、極めて高いレベルの桂皮酸の産生(それぞれ322.3および220.8M)を示した。PALまたはTALのいずれか一方に加えて、C.ビオラセウムPAHを含む細胞は、PALまたはTALのみを含有する細胞と比較して、より低い量の桂皮酸(それぞれ204.8および109.5m)を形成することを示した。同様に、コントロールおよびPAH含有細胞によって極少量のPHCA(それぞれ0.46および0.37M)が形成されたが、PALおよびTAL(それぞれ188.9および285.1)またはPAH/PALおよびPAH/TALの組み合わせ(それぞれ155.6および207.5m)を含有する細胞によりより高いレベルのPHCAが観察された。これらの結果は、生来のPAHオペロンに加えてC.ビオラセウム遺伝子を含有するシュードモナス形質転換体においてチロシンが認められることによって証明されるように、フェニルアラニンからチロシンへの炭素流を転換する際のPAH酵素の効果を明瞭に表す。PAHおよびPALの両方またはTALを含有する形質転換体によって形成されるPHCAのレベルは若干低いという事実は、これらの細胞におけるPAHの律速的役割に反映し得る。
Figure 2005522180
実施例3
M9+グルコースにおける増殖後の組換え緑膿菌株によるチロシン、桂皮酸およびPHCAの産生
組換え体緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)株によるチロシン、桂皮酸およびPHCAの産生:
本研究で使用した組換え株は、実施例に1に記載のものである。実験手順は、本実施例において、限定M9培地で細胞を増殖させ、次いで、唯一の炭素減としてグルコースを添加し、24時間ではなく6時間後に分析のためにサンプルを採取することを除いて、実施例1の手順と同様であった。増殖培地をLB(実施例2)から限定M9+グルコース(実施例3)に変更することにより、産生される細胞塊が有意に減少し、従って、産生されるチロシン、桂皮酸およびPHCAの濃度について得られる値は、実施例1で得られる値よりも有意に低い。
得られた結果は、コントロール細胞(それらは常に生来のPAHオペロンを含有したが)グルコースからチロシンを産生することはできないことを示した。これらの細胞を改変されたPAL/TAL(配列番号23)で形質転換する場合、6時間のサンプルにおいてチロシン(95.54M)が認められた。しかし、これらの細胞は何ら桂皮酸および/またはPHCAを産生しなかった。TALをシュードモナス細胞に組み入れた場合、極僅かな量のチロシン(3.44M)しか検出されなかった。これらの培養物では桂皮酸およびPHCA(それぞれ18.49Mおよび13.59M)が検出された。PAHおよびTALの両方を含有する形質転換体は、最も高いレベルのチロシン、桂皮酸およびPHCA(それぞれ97.24M、23.44M、および19.19M)を産生した。TALおよび/またはPAH/TALを含有する細胞が桂皮酸を産生することによって、実施例1において考察されたように、培地におけるチロシン産生を可能にするためにはシュードモナスにおけるPAHの過剰発現が必要であること、およびTALはなおいくらかのPAL活性を含有するという結果が確認される。
Figure 2005522180
実施例4
フェニルアラニンの添加を伴うまたは伴わない緑膿菌TAL形質転換体によるチロシンおよびPHCA産生
緑膿菌は、フェニルアラニンのチロシンへの変換のためのPAHオペロンを含有する。チロシンへの炭素流を増加すること、従って産生されるPHCAの量を増加することに対する緑膿菌(P.aeruginosa)PAHオペロンの効果について研究するために、改変されたPAL/TAL遺伝子(配列番号23)によりこの株の形質転換体を調製した。形質転換体をLB培地中で増殖させ、次いで、2つのグループに分けた。一方のグループには、フェニルアラニン(0.1mM)を添加し、他方のグループには何らさらなるフェニルアラニンを添加しなかった。サンプルを6時間後に採取したが、これは表5に見ることができる。培地において検出されたチロシンのレベルは、コントロールの誘導されなかった細胞での約23Mからさらなるフェニルアラニンを伴うことなくIPTGで誘導された形質転換体による約66M、さらなるフェニルアラニンを添加された誘導された形質転換体による約350Mにまで増加した。コントロール細胞は、PHCAを何ら産生しなかったが、フェニルアラニンの添加を伴わないおよび伴う培養物では、それぞれ約10および13.0MのPHCAが検出された。
Figure 2005522180
実施例5
フェニルアラニンの添加を伴うまたは伴わない緑膿菌PAH形質転換体によるチロシンおよびPHCA産生
C.ビオラセウムPAH(配列番号1)で形質転換された緑膿菌を使用して、実験を実施し、それらがチロシンを産生する能力について調べた(表6)。細胞をLB培地中で増殖させ、次いで、2つのグループに分けた。一方のグループには、フェニルアラニン(0.1mM)を添加し、他方のグループには何らさらなるフェニルアラニンを添加しなかった。サンプルを6時間後に採取したが、これは表6に見ることができる。培地において検出されたチロシンのレベルは、コントロールの誘導されなかった細胞での約69.0Mからさらなるフェニルアラニンを伴うことなくIPTGで誘導された形質転換体による約174M、さらなるフェニルアラニンを添加された誘導された形質転換体による約424Mにまで増加した。PAL/TAL遺伝子が存在しないため、本研究では、研究過程でPHCAを産生した細胞は認められなかった(表6)。
Figure 2005522180
実施例6
フェニルアラニンの添加を伴うまたは伴わない緑膿菌PAH/TAL形質転換体によるチロシンおよびPHCA産生
形成されるチロシンおよびPHCAのレベルに対する内因性緑膿菌PAHオペロン、および改変されたPAL/TAL(配列番号23)に加えて、C.ビオラセウムPAHを組み入れることの組み合わされた効果について研究するために、以下の実験を実施した。緑膿菌をC.ビオラセウムPAH遺伝子(配列番号1)および改変されたPAL/TAL遺伝子(配列番号23)の両方で形質転換した。さらなるフェニルアラニンの存在および非存在下でLB培地において細胞を増殖させた。表7は得られた結果をまとめている。PHCAおよびチロシンの両方のレベルとも、さらなるフェニルアラニンを添加された誘導された細胞において増加した。チロシンとPHCAのレベルを比較すると、TAL経路を介するフェニルアラニンのPHCAへの完全な変換における律速段階は、PAL/TAL酵素であることは明らかであった。
Figure 2005522180
実施例7
フェニルアラニンの添加を伴うまたは伴わない緑膿菌PAH形質転換体によるチロシンおよびPHCA産生
Mg+2を補充したM9およびグルコース培地中で増殖する実施例5の形質転換体の挙動について調べるため、C.ビオラセウムPAHを含有する緑膿菌細胞を上記の培地中で増殖させ、チロシンおよびPHCAのレベルを測定した。表8に得られた結果をまとめている。コントロール(誘導なし)細胞は何らチロシンまたはPHCAを産生しなかった。さらなるフェニルアラニンの存在下で、誘導された細胞は約335Mのチロシンを産生したが、PHCAを産生しなかった。0.1mMのフェニルアラニンを添加すると、612Mのチロシンが産生された。しかし、PHCAは検出されなかった。
Figure 2005522180
実施例8
フェニルアラニンの添加を伴うまたは伴わない緑膿菌TAL形質転換体による桂皮酸およびPHCA産生
改変されたPAL/TAL遺伝子(配列番号23)を含有する実施例5において使用した緑膿菌細胞をM9+グルコース+Mg+2中で増殖させ、形成される桂皮酸およびPHCAのレベルを測定した。試験したすべての細胞において、桂皮酸のレベルは、PHCAについて観察されたレベルよりも高く、改変された酵素においてTAL活性よりも高いPALが存在することが証明された(表9)。
Figure 2005522180
実施例9
C.ビオラセウムPAH(配列番号1)および改変されたPAL/TAL遺伝子(配列番号23)の両方を含有する実施例6において使用された緑膿菌細胞を本実験で使用した。それらをM9+グルコースおよびMg+2中で増殖させ、24時間後の桂皮酸およびPHCAのレベルを測定した。すべての場合において、PHCAと比較した場合よりも高いレベルの桂皮酸が産生された(表10)。
Figure 2005522180
実施例10
フェニルアラニン過剰産生大腸菌における緑膿菌フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)オペロンのクローニングおよび発現
緑膿菌のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH):DNA増幅およびクローニング:
緑膿菌からフェニルアラニン過剰産生大腸菌株(ATCC31884)および大腸菌チロシン栄養要求性突然変異体株(AT2741)へのPAHオペロンの組み入れに使用するために、表11に列挙したプライマーを設計した。大腸菌宿主におけるPAHオペロンおよびその相補体を増幅するために、緑膿菌オペロンの以下のプライマーを設計し、使用した。
Figure 2005522180
上に記載の緑膿菌フェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子オペロン(ジャオ(Zhao)G、シャーT(Xia T)、ソンJ(Song J)およびジェンセンRA(Jensen RA)(1994年)著、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA.(全米科学アカデミー会報)」第91巻、p.1366−1370)のコーディング領域に隣接するデオキシヌクレオチド配列に基づいて、オリゴヌクレオチドプライマー(表11)を合成した。制限エンドヌクレアーゼ部位(実施例1の上記のプライマーの下線を付した配列、配列番号5および6)を各プライマーの5’末端で設計し、クローニングを容易にした。キアゲン・キットで緑膿菌ゲノムDNAを単離および精製し、DNAの複製を行った。増幅反応混合液(100μl)は、1.0mgのゲノムDNAテンプレート、100pmolの2種の各プライマー、10mM Tris−HCl(pH8.8)中2.5単位のTaqDNAポリメラーゼ(キアゲン)、0.2mMの4種の各dNTP、50mM KCl、1.5mM MgCl、および0.01%ウシ血清アルブミンを含有した。30回のPCRサイクル(94℃、0.5分間;55℃、0.5分間および72℃、2.0分間)を実施した。正確に増幅されたDNAフラグメント(フラグメントのサイズに基づく)をTAベクター(インビトロゲン(Invitrogen)、カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad,California))にクローニングし、配列分析に供した。このようにして、遺伝子を含有するいくらかのクローンを得た。
遺伝子発現およびタンパク質の精製
クローニングされたフェニルアラニンヒドロキシラーゼ遺伝子のオペロンを発現するために、ジーンクリーン(GeneClean)IIキット(バイオ101社、カリフォルニア州カールスバッド(Carlsbad,California))を使用して増幅された目的のDNAフラグメントを精製し、エンドヌクレアーゼ(プロメガ(Promega)、ウィスコンシン州マディソン(Madison,Wisconsin))で消化し、表12に見られるように、pD100(ATCC87222)、pKSM715(ATCC87161)およびpTrc99A(ファルマシア(Pharmacia)、ニュージャージー州ピスカタウェイ(Piscataway,NJ))などのプラスミドベクターの制限ヌクレアーゼ部位にクローニングした。
Figure 2005522180
エレクトロポレーションにより発現ベクターを形質転換した大腸菌株を、イソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)の非存在または存在下で、pD100発現ベクターについては25μg/mlのクロラムフェニコールもしくはpKK223−3およびpTrc19Aについては100μg/mlのアンピシリンのいずれかを含有するLB培地中、37℃で増殖させた。
実施例11
C.ビオラセウムPAHおよび緑膿菌PAHオペロンの様々な成分による形質転換後の大腸菌AT271Tyr−栄養要求性突然変異体株の増殖
M9培地+グルコースを含有する寒天プレートを調製した。チロシン栄養要求性突然変異体AT271株は、チロシン非存在下では、このプレート上で増殖することができない(コントロール−1を参照のこと)。1.0mMのチロシンを含有するフィルターディスクをプレートに添加する場合、ディスクの周囲に増殖が観察され、生物体のチロシン存在への依存性を示す(コントロール−2を参照のこと)。本研究で使用したAT271組換え株には、PhhA、PhhB、PhhC、PhhBC、PhhABC、PAHおよびPAH/PhhB/PhhCを含有する株が含まれる。3種の組換え体に対し、それぞれのプレートの中央にトリプシンディスクを配置した。PhhA、PhhB、PhhC、およびPhhBCを含有する株については、チロシンディスクの周辺にのみ増殖が認められ、これらの株がトリプシンを合成することができず、増殖のためにこの化合物の外部からの供給になお依存することを示す。しかし、PhhABC、PAHおよびPAH/PhhB/PhhCを含有する組換え体については、プレート全体に増殖が認められ、増殖のために要求されるチロシンを合成する生物体の能力および外部のチロシンを含有するディスクの必要がないことが証明された。
実施例12
PAH遺伝子を含有するフェニルアラニン過剰産生大腸菌の形質転換体による増殖およびチロシン産生に対する鉄の影響
PAHの活性に対する鉄の影響、従ってチロシンの産生を調べるために、C.ビオラセウムのPAH遺伝子(PAH)[配列番号1]およびシュードモナスPAHオペロンのPhhA成分を含有する大腸菌株を、FeSOまたはFe(NH(SO(最終濃度1.0M)の添加を伴うおよび伴わないグルコースを有するM9培地中で増殖させた。2.0、6.0、16.0、および22時間目にサンプルを採取した。結果を表13に示す。得られた結果に基づいて、2つの鉄供給源のいずれの添加も、産生されるチロシンのレベルに有意なポジティブな影響を何ら有さないと結論された。
Figure 2005522180
実施例13
様々なフェニルアラニン過剰産生大腸菌株によって産生されるフェニルアラニンのレベルの決定
フェニルアラニン、またはチロシンによるDAHPシンターゼの阻害が除去され、フェニルアラニンによる酵素コリスミ酸ムターゼP−プレフェン酸デヒドラターゼの阻害が除去され、そして酵素DAHPシンターゼ、コリスミ酸ムターゼP−プレフェン酸デヒドラターゼおよびシキミ酸キナーゼのレベルの増強が達成されるフェニルアラニン過剰産生大腸菌株(ATCC31882、31883、31884)(トライブD.E.(Tribe,D.E.)「新規微生物および方法(Novel microorganism and method)」、米国特許第4681852号明細書、1987年)を、グルコースを含有するM9培地中に増殖させた場合のフェニルアラニン産生能について試験した。表14に見られるように、株ATCC31884は最も高いレベルのフェニルアラニン(870.54M)を産生した。
Figure 2005522180
実施例14
フェニルアラニン過剰産生大腸菌株(ATCC31884)による桂皮酸およびパラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生
桂皮酸およびPHCAを産生させるためにロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)由来の生来のPAL/TAL酵素で形質転換されたATCC31884株の能力を試験するために、実験を実施した。大腸菌株(DH5α)をコントロールおよびまたPAL/TAL酵素組み入れ後の試験株として使用した。第3の株は、生来のPAL/TAL酵素を有するフェニルアラニン過剰産生菌の大腸菌ATCC31884であった。すべての株をM9+グルコース培地中で増殖させ、サンプルを採取(18時間後)し、前記のようにHPLC分析用に調製した。結果を表15に示す。生来のPAL/TALを含有するDH5α株によって産生されるPHCAおよび桂皮酸のレベル間に有意さが認めらなかったことに留意したことは興味深かった。しかし、PHCA(175M)に比べて、桂皮酸は、非常に高いレベル(約750M)でフェニルアラニン過剰産生ATCC31884株+PAL/TALによって産生された。これらの結果は、ロドトルラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)の生来のPAL/TAL酵素におけるTAL活性と比較して、高いレベルのPAL活性が認められることのさらにもう1つの証拠を提供する。
Figure 2005522180
【配列表】
Figure 2005522180
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Claims (12)

  1. a)
    i)チロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
    ii)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
    を含む組換え生物体を提供する工程、および
    b)発酵可能な炭素基質の存在下で前記組換え生物体を増殖させ、それによってパラ−ヒドロキシ桂皮酸が産生される工程、
    を含んで成る、パラ−ヒドロキシ桂皮酸の産生方法。
  2. a)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子を含む組み換え生物体を提供する工程と、
    b)発酵可能な炭素基質の存在下で前記組換え生物体を増殖させ、それによってチロシンが産生される工程と、
    を含んで成る、チロシンの産生方法。
  3. 前記発酵可能な炭素基質が、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、二酸化炭素、メタノール、ホルムアルデヒド、ホルメート、および炭素含有アミン類から成る群より選択される、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記発酵可能な炭素基質がグルコースである、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  5. チロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する前記遺伝子が、配列番号4、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群より選択されるポリペプチドをコード化する、請求項1に記載の方法。
  6. フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する前記遺伝子がプロテオバクテリア(Proteobacteria)から単離される、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記遺伝子が配列番号2に記載のフェニルアラニンヒドロキシラーゼ酵素をコード化する、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記組換え生物体が、細菌、酵母、糸状菌類および藻類から成る群より選択される、請求項1または2のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記組換え生物体が、エシェリキア(Escherichia)、サルモネラ(Salmonella)、バチルス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、メチロバクター(Methylobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、シュードモナス(Pseudomonas);シアノバクテリア(Cyanobacteria)、ロドバクター(Rhodobactor)、シネコシスチス(Synechocystis)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、デバリオマイセス(Debaryomyces)、ケカビ(Mucor)、ピヒア(Pichia)、トルロプシス(Torulopsis)、アスペルギルス(Aspergillus)およびアースロボトリス(Arthrobotrys)から成る群より選択される、請求項8に記載の方法。
  10. i)チロシンアンモニアリアーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
    ii)フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する少なくとも1つの遺伝子と、
    を含んで成る、組換え宿主。
  11. 遺伝子が、配列番号4、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21および配列番号22から成る群より選択されるチロシンアンモニアリアーゼ酵素をコード化する、請求項10に記載の組換え宿主。
  12. フェニルアラニンヒドロキシラーゼ活性をコード化する遺伝子がプロトバクテリアから単離される、請求項10に記載の組換え宿主。
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