JP2005515391A - 溶接多室管 - Google Patents

Abstract

【課題】 僅かな肉厚と十分な耐圧性とにおいてプロセス上確実に、すなわち特にろう接・溶接プロセスに関して確実に多室管が製造可能であるように、多室管を改良する。
【解決手段】 平帯（２）から製造されて長辺側を溶接された多室管（１）であって、２つの平らな長辺面（１０、１１）と、２つの湾曲した短辺面（１２、１３）と、平帯（２）から折畳まれた腹部（７、８、９）とを有し、腹部が隣接する室（３、４、５、６）を仕切りかつ管内壁（１１’）とろう接されており、腹部（７、８、９）が多室管（１）の一方の長辺面（１０）のみから成形されており、他方の長辺面（１１）が実質的に平滑に構成されていることを特徴とする多室管。

Description

本発明は、平帯から製造されて長辺側を溶接された多室管であって、２つの平らな長辺面と、２つの湾曲した短辺面と、平帯から折畳まれた腹部とを有し、腹部が隣接する室を仕切りかつ管内壁とろう接（はんだ付け）されている多室管に関する。

このような多室扁平管が特許文献１により公知である。公知の扁平管は帯板もしくは平帯から製造され、まず平帯に突部が、しかもその全幅にわたって、すなわち両方の平帯半部に、形成される。突部は次に折畳まれた腹部へと成形され、腹部の両方の脚部が密に隣接する。管は次にほぼ中央で折畳まれ、両方の帯半部が隣り合うことになり、腹部は互いにずらして配置されている。両方の帯半部の相突接する長辺縁は次に縦溶接部によって互いに溶接され、こうして密閉横断面が得られる。最後に、その帯材料が溶加材で被覆された管がろう接され、腹部の背面は向き合う管壁とでろう接継手を形成する。扁平管の外面にいわゆる波形フィンが配置されており、波形フィンが扁平管とろう接され、こうして熱交換器の網を形成する。

特許文献１の他の実施形態において腹部は相互にずらされているのでなく、相向き合わせて配置されているが、しかしながら管厚の半分にわたってのみ延び、中央で突接している。両方の帯半部もしくは両方の長辺面から腹部を折畳むと製造過程時に公差問題が生じ、これがなかんずく溶接部の位置に不都合な影響を及ぼすことがある。
欧州特許出願公開第０４５７４７０号明細書 独国特許出願公開第１９８２０９３７号明細書

そこで本発明の課題は、僅かな肉厚と十分な耐圧性とにおいてプロセス上確実に、すなわち特にろう接・溶接プロセスに関して確実に多室管が製造可能であるように、多室管を改良することである。

この課題は、前文の技術分野に記載した多室管において、腹部が多室管の一方の長辺面のみから成形されており、他方の長辺面が実質的に平滑に構成されていることによって解決される。材料を突部もしくは折畳まれた腹部へと成形することは一方の平帯半部でのみ行われ、他方の平帯半部は平滑なままである。そのことから突部の位置点検および成形性が向上し、さらには扁平管短辺面領域の溶接部の位置点検も向上する。管の形状と溶接部の位置は溶接プロセス中に十分点検することができ、そのことで管製造時のプロセス信頼性が高まる。

発明の実施の形態

本発明の有利な態様によれば、短辺面の領域で溶接部の位置が可変であり、すなわち溶接部は湾曲部の頂点の上方または頂点の下方のいずれかに配置しておくことができる。これにより溶接過程は一層良好に制御することができる。

本発明の有利な態様によれば、この多室扁平管の肉厚は０．２５ｍｍ以下にまで減らすことができ、これは一方で費用節約、他方でこの管を装備した熱交換器の性能向上を意味する。

有利な１態様によれば、この扁平管の厚さが２ｍｍ以下であり、これはこの管の空気側、つまり外側で圧力低下が特別低いことを意味する。有利にはこのような管は例えば自動車用の空冷単列冷媒冷却器用に利用することができる。

本発明の他の構成によれば、この管は特に管端の非対称拡開に適している。これは従来の折畳み管では容易には可能でない。

本発明の１実施例が図面に示してあり、以下で詳しく説明される。

図１が横断面図で示す多室扁平管１は平帯板２から製造されている。この平板は主に両側に溶加材で被覆されたアルミニウム合金からなる。多室管１が４つの室３、４、５、６を有し、室は３つの腹部７、８、９によって相互に仕切られている。扁平管１は上側長辺面１０と下側長辺面１１と左側の湾曲短辺面１２と右側のやはり湾曲短辺面１３とを有する。平帯２が２つの縁１３’、１３’’を有し、縁は短辺面１３で互いに鈍角で突接し、そこで縦溶接部１４によって密封結合されている。

腹部７、８、９は先行技術により公知の折畳みプロセスによって製造され、すなわち各腹部は２つの脚部７’、７’’、８’、８’’、９’、９’’と両方の脚部を結合する腹部背面１５、１６、１７とからなる。３つの腹部７、８、９はすべて長辺壁１０、すなわち平帯２の上側半部から折畳まれており、すなわち、上側長辺壁１０から下側長辺壁１１の方向ですべて突出しており、その腹部背面１５、１６、１７はろう接継手１８’、１８’’、１８’’’によって下側長辺壁１１の内壁１１’と密にかつ強固に結合されている。それとともに腹部は３つの機能を果たす：
１）腹部は内圧から帰結する諸力を吸収し、扁平管の変形に対抗して働く（タイロッド）、
２）腹部は扁平管の総横断面を個々の室に仕切る（液圧直径の縮小）、
３）腹部は内側から外側へと熱を導出する。

平帯は好ましくは肉厚がｓ≒０．２５ｍｍ、扁平管の厚さｄはｄ≒１．８ｍｍである。折畳み腹部によって長辺面１０の外側に曲げ半径Ｒが生じるが、しかしながら曲げ半径は極力小さく抑えられている。これは肉厚ｓが小さいので問題なく可能である。それとともに長辺面１０にもかなり平滑な表面が生じ、ここで図面には示していない波形フィンとの隙間のないろう接も保証されている。半径Ｒによって残るくぼみはろう接プロセス時に難なくろうで満たされる。

すでに触れたように腹部は平帯２の一方の半部のみから成形され、すなわち他方の帯半部は平滑なままである。折畳まれた腹部のこの片側配置のゆえに、製造プロセス中に溶接部の位置は本質的に良好に点検することができ、変更することもできる。溶接部１４の可能なさまざまな位置は他の溶接部１４’、１４’’、１４’’’で示唆されている。これが生じるのは、製造プロセス中に長辺縁１３’、１３’’が短辺面１３の頂点、つまり中心線ｍで正確には重なり合わないときである。平滑な帯半部、すなわち長辺面１１によって次に補正は比較的簡単に行うことができる。

図２が示す多室管２０はその管端２１が非対称に、すなわち片側でのみ、拡開されている。このような非対称な管端拡開は本出願人の特許文献２により公知である。この管端拡開は、従来の管底を省くことができるように管端を長辺側で互いにろう接する目的に役立つ。

多室管２０の横断面は下側平面図にはっきり認めることができる。多室管は４つの室２２、２３、２４、２５からなり、室は３つの折畳まれた腹部２６、２７、２８によって仕切られる。この多室管２０は‐上記実施例と同様に‐平帯から製造され、縦溶接部２９によって溶接されている。腹部２６、２７、２８が一方の長辺面、つまり左側長辺面３０のみから成形されていることによって、反対側の長辺面３１は管端２１の領域で僅かに外方に成形し、すなわち拡開することができる。こうして、特許文献２による構造様式を多室管、すなわち肉薄高性能管用にも応用可能とすることが達成される。

図２ａと図２ｂは腹部２６、２７、２８を有する多室扁平管２０の斜視図である。

多室扁平管の横断面図である。 多室扁平管の非対称に拡開された管端を示す。 図２の多室扁平管の斜視図である。 図２の多室扁平管の斜視図である。

符号の説明

１ 扁平管
２ 平帯板
３、４、５、６ 室
７、８、９ 腹部
１０ 上側長辺面
１１ 下側長辺面
１２、１３ 湾曲短辺面
１３’、１３’’ 長辺縁
１４ 縦溶接部
１４’、１４’’、１４’’’ 溶接部
１５、１６、１７ 腹部背面
１８’、１８’’、１８’’’ ろう接継手
２０ 多室扁平管
２１ 管端
２２、２３、２４、２５ 室
２６、２７、２８ 腹部
２９ 縦溶接部
３０、３１ 長辺面

Claims (5)

1. 平帯（２）から製造されて長辺側を溶接された多室管（１）であって、２つの平らな長辺面（１０、１１）と、２つの湾曲した短辺面（１２、１３）と、平帯（２）から折畳まれた腹部（７、８、９）とを有し、腹部が隣接する室（３、４、５、６）を仕切りかつ管内壁（１１’）とろう接されており、腹部（７、８、９）が多室管（１）の一方の長辺面（１０）のみから成形されており、他方の長辺面（１１）が実質的に平滑に構成されていることを特徴とする多室管。
2. 短辺面（１３）の領域に縦溶接部（１４）が配置されており、縦溶接部の位置（１４’、１４’’、１４’’’）が可変であることを特徴とする、請求項１記載の多室管。
3. 管（１）の肉厚がｓ≦０．５ｍｍ、特にｓ≦０．２５ｍｍであることを特徴とする、請求項１または２記載の多室管。
4. 管（１）の厚さ（外寸）がｄ≦２．０ｍｍであることを特徴とする、請求項１、２または３記載の多室管。
5. 管（２０）が末端側（２１）で非対称に拡開されており、折畳まれた腹部（２６、２７、２８）を有する長辺面（３０）が実質的に未変形のままであることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項記載の多室管。
   
   

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