JP2005505749A - タンパク質を分析するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
(発明の背景)
本発明は、ポリペプチドの検出および定量における使用のための分離可能な組成物、方法およびキットに関する。本発明は、翻訳後の活性に関するタンパク質を含むポリペプチドに対するマルチ(multi−plex)アッセイの分野に特定の適用を見出す。
【0002】
血液または他の生物学的流体中のポリペプチドおよび核酸配列を含む多くの分析物を測定することの必要性は、薬物の多くの分野においてますます明らかとなっている。多くのマルチ分析物(multianalyte)アッセイ(例えば、ゲノム領域において複数の核酸配列を測定する複数の工程を含むアッセイ)は、感受性に乏しく、限定された動的範囲(代表的に、2〜100倍の異なるオーダー)を有し、そしていくつかは精巧な器具を必要とする。マルチ分析アッセイの公知の典型的な方法のいくつかとしては、以下が挙げられる:
a.2つの分析物を区別するための、2つの異なる放射性同位元素標識の使用。
b.2つ以上の分析物を区別するための、2つ以上の異なる蛍光標識の使用。
c.寿命および波長の両方を使用して、2つの以上の分析物を区別する、ランタノイドキレートの使用。
d.2つ以上の分析物を区別するための、蛍光標識および化学発光標識の使用。
e.2つ以上の分析物を区別するための、2つの異なる酵素の使用。
f.2つ以上の分析物を区別するための、酵素およびアクリジニウムエステルの使用。
g.複数の分析物を同定および数量化するための、例えば、アレイでの異なる分析物の空間的分解。
h.寿命またはジオキセタノン形成を使用して、2つの異なるウイルス標的を数量化する場合、アクリジニウムエステルの使用。
【0003】
プロテオミクスは、数年間にわたり利益を創り出している。プロテオミクスはゲノミクスよりもより複雑であるので、タンパク質の研究は、mRNA研究よりも細胞生物学のより正確な実態を反映する。プロテオミクスの分野は、非常に広範であり、そして例えば、細胞内で発現したタンパク質を研究するための二次元のゲル電気泳動および質量分析の使用によるタンパク質のプロファイリング、酵母のツーハイブリッド方法を使用するタンパク質−タンパク質相互作用、シグナル形質導入および他の複雑な細胞プロセスを理解するための経路分析、大きいスケールでのタンパク質の折りたたみおよび三次元構造研究、ならびにタンパク質のハイスループット発現および精製、外部刺激(例えば、薬物、ウイルス、物理的状態または化学的状態での変化(栄養分および補因子の過剰または欠乏に含む)、ストレス、加齢、生物体の特定の系の存在に対する応答における、代謝、有糸分裂、減数分裂の間の細胞の発現のような領域を含み、そして生物体および系(複数の薬物耐性、タンパク質−DNA相互作用、タンパク質−ペプチド相互作用など)を同定する。単一サンプル中の多数のタンパク質を同定し、ならびに検出される異なるタンパク質のいくつかの定量を提供する手段を有する必要がある。
【0004】
ヒトゲノムが明らかにされているので、遺伝子のコード配列に関する診断的手順を実行するための多数の機会が存在する。遺伝子の1つの主要な機能は、タンパク質を生成することであり、これは細胞中で実行される働きにおいて主要な役割を果たす。細胞中でのタンパク質の機能は、動的なので、特定の時点での特定のタンパク質の構造、濃度、局在などは、耐えず変化する。タンパク質の発現パターンの分析は、進行中のゲノミクス計画の対称である。タンパク質およびそれらの細胞中での空間的ならびに時間的な相互作用の生理学的に活性な形態の研究は、全ての研究の重要な局面である。
【0005】
タンパク質の1つの翻訳後修飾は、リン酸基の付加および除去である。タンパク質リン酸化反応および脱リン酸反応は、代謝調節およびシグナル伝達経路の主要な成分として確立される。タンパク質のリン酸化における変化は、生物学的系において(特に細胞表面レセプターからのシグナル伝達の調節において)、現在公知の酵素的調節の主な手段を提供する。可逆的なリン酸化は、全ての生細胞において、増殖性のシグナルを含む調節シグナルを伝達するために重要である。これらの調節機構の分子の基礎を理解するために、リン酸化する特定のアミノ酸残基を同定する必要がある。リン酸化の基質および部位を同定することによって、診断的ツールが、いくつかの腫瘍のために開発され得、そしてそのプロセス自体の改変が、治療的処置のための標的となり得る。
【0006】
成長因子、分化因子およびホルモンのようなポリペプチドは、多細胞生物の発達を協調する調節系の重大な成分である。多数のこれらの因子は、内因的なタンパク質チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面レセプターと結合し、そして活性化することによって、これらの多面的作用を媒介する。細胞挙動における変化は、細胞外シグナル分子(例えば、成長因子およびサイトカイン)によって導入される転写事象の複雑なプログラムの実行を必要とする。転写を活性化または抑制するために、転写因子は、核中に局在し、DNAを結合し、そして基本の転写装置と相互作用しなければならない。従って、転写因子活性を調節する細胞外シグナルは、1つ以上のこれらのプロセスに影響し得る。最も一般的に、調節は、可逆的リン酸化によって達成される。いくつかの異なるキナーゼ(または1つより多い経路に連結するキナーゼ)による転写因子のリン酸化は、異なるシグナルが同じ因子に集束するのを可能にする簡単な機構である。
【0007】
リン酸化の分析に関する文献において、多数のアプローチが存在する。1つのこのような方法は、32P標識タンパク質の二次元リン酸化マッピングである。別のアプローチは、放射標識されていないリンタンパク質の分析の質量分析に依存する。別のアプローチ(Caoら、Rapid Commun.Mass Spectrom.(2000)14:1600−1606)において、タンパク質のリン酸化部位は、オンライン固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)/キャピラリー電気泳動法(CE)/エレクトロスプレーイオン化複数段階タンデム型質量分析(MS)を用いて、マッピングされる。IMAC樹脂は、リン酸化タンパク質およびペプチドを保存し、そして予め濃縮し、CEは、IMAC樹脂から溶出した混合物のリンペプチドを分離し、そしてMSは、各々の成分のリン酸化部位を含む情報を提供する。
【0008】
質量分析の初期段階として、リン酸化ペプチドのミクロ精製(micropurification)の手順は、Posewitzら、Anal.Chem.(1999)71:2883−2892によって開示される。マイクロチップ形式、およびより特に、ガリウムIIIイオンとの組み合わせでの固定化金属アフィニティークロマトグラフィーが、使用される。リンペプチドは、近い定量および高い選択様式で検出され、マトリックス補助レーザー脱離/イオン化飛行時間およびナノエレクトロスプレーイオン化質量分析によって直接的な分析のために濃縮されたサンプルを回収する。
【0009】
しかし、翻訳後修飾プロセスに関するペプチドの活性を同定しそして/または検出する方法、ならびに/またはペプチドの存在および/または量を決定する方法の必要性は、なお存在する。この方法は、修飾の部位および修飾の部位の位置を生じた修飾を同定し得る。この方法は、単一アッセイにおいて、複数のポリペプチドを検出可能であり、そして検出し得る(すなわち、多重化能力の高い程度を有する)クラス特異的試薬を使用する。この方法は、リアルタイムで、情報を検出可能にし、そして生物学的経路における特定のポリペプチドの重要性の決定を可能にする。さらに、特定の経路が活性化されるか否かを決定するために、この方法が、多重化を可能にすることが重要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、標的ポリペプチドを含む疑いのあるサンプル中の、1つ以上の標的ポリペプチドの存在および/または量を測定する方法に関する。混合物は、(i)サンプル;(ii)切断誘導部分および1つ以上の標的ポリペプチド上の翻訳後修飾に特異的な第1の結合因子を含む第1の試薬(本明細書中で「クラス特異的試薬」ともいう);および(iii)標的ポリペプチドおよび切断可能な連結によって各々結合された1つ以上の電気泳動タグに特異的な結合部分を各々有する1つ以上の電気泳動的プローブを含んで形成される。この混合物は、それぞれの結合因子および部分の結合を生じるような条件下に供される。第1の結合因子と翻訳後修飾との間の相互作用により、切断誘導部分は、切断可能な連結と近接し(本明細書中で「効果的な近接」ともいう)、これはポリペプチドに関連するプローブ上に存在し、そして切断−導入部分に近接する場合にのみ、切断に感受性である。この方法において、結合が起こる場合、各々のポリペプチドに対する独特の電気泳動タグは、電気泳動的プロ−ブから放出され得る。次いで、放出された電気泳動タグは、分離され、そして標的ポリペプチドの存在および/または量が、対応するタグの同一性および量に基づき測定される。好ましくは、各々の電気泳動タグは、独特の光学特性および/または質量特性を有する。
【0011】
本発明の別の実施形態は、標的ポリペプチドがリン酸化を起こす、サンプル中の複数の標的ポリペプチドの測定のための多重化アッセイを実行する方法である。サンプルは、切断誘導部分を含む第1の試薬と親和性支持体および複数の電気泳動的プローブを含む第1の結合因子と合わせられる。各々の電気泳動的プローブは、それぞれの標的ポリペプチドおよび切断可能な電気泳動タグ、または放出可能な電気泳動タグに対する結合部分を含む。組み合わせは、標的ポリペプチドへの第1の結合因子の結合のための条件に供される。各々の電気泳動的プローブにおいて、電気泳動タグは、i)切断誘導部分に近接する場合にのみ、切断に感受性な切断可能な連結、およびii)独特な電気泳動的特性および/または光学特性を有する検出可能な部分を含む。第1の結合因子と標的ポリペプチドとの間の相互作用により、切断誘導部分は切断可能な連結と近接される。電気泳動タグは、電気泳動プローブから放出され、これは切断可能な連結の切断によって、標的ポリペプチドに結合される。放出されたタグは、各々のタグに独特な分離特性および光学特性によって同定され、そしてサンプル中の標的ポリペプチドの存在を検出する。好ましくは、電気泳動タグは、独特な電気泳動移動度および/または蛍光特性を有する。
【0012】
本発明の別の実施形態は、予め決定された翻訳後のクラス(例えば、リン酸化タンパク質、糖タンパク質、脂質誘導体化タンパク質など)中の各々および任意の複数の標的ポリペプチドの存在および/または量および/または活性の測定に使用するための組成物である。この組成物は、切断誘導部分を含む第1の試薬および標的ポリペプチドの翻訳後修飾を含む結合部位に対する第1の結合因子を含む。決定は、それ自身の標的ポリペプチドまたは標的ポリペプチドの翻訳後修飾に関する因子についてであり得る。この組成物は、キットの一部であり得、これはまた、複数の電気泳動プローブの包装された組み合わせ中に含まれ、ここで、各々の電気泳動プローブは、それぞれの標的ポリペプチドのための第2の結合因子および切断可能な電気泳動タグを含む。各々の電気泳動的プローブ中のこの切断タグは、切断誘導部分に近接する場合にのみ、切断に感受性な切断可能部分、および独特の電気泳動的特性および/または光学特性を有する少なくとも1つの検出可能な部分を含む。
【0013】
(定義)
本明細書中で使用される場合、「アルキルジイル」は、親のアルカン、アルケンまたはアルキンの各々2つの異なる炭素原子からの1つの水素原子の除去によって、あるいは親のアルカン、アルケンまたはアルキンの1つの炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導された、飽和または不飽和の、分枝鎖、直鎖または環状二価炭化水素ラジカルをいう。2つの一価のラジカル中心または二価のラジカル中心の各々の結合価は、同じかまたは異なる原子と結合を形成し得る。代表的なアルキルジイルとしては、限定されないが、以下が挙げられる:メタンジイル;エタンジイル(例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル);プロピルジイル(例えば、プロパン−I,I−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,1−ジイル、プロプ−1−エン−1,2−ジイル、プロペン−1,2−ジイル、プロプ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロプ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロペン−1,2−ジイル、シクロプロペン−I,I−ジイル、プロピン−1,3−ジイルなど);ブチルジイル(例えば、ブタン−I,I−ジイル、ブタン1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−I,I−ジイル、2−メチルプロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,1−ジイル、ブト−1−エン−1,2−ジイル、ブト−1−エン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、2−メチル−プロプ−1−エン−1,17ジイル、2−メタニリデン(methanylidene)−プロパン−I,I−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−I,I−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、シクロブト−1−エン−1,2−ジイル、シクロブト−1−エン−1,3−ジイル、シクロブテン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブチン1,3−ジイル、ブチン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジン−1,4−ジイル);など。
【0014】
「抗体」は、別の分子の特定の空間的機構または極性機構に特異的に結合し、そしてそれによって別の分子の特定の空間的機構または極性機構と相補的として定義される免疫グロブリンを意味する。抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得、そして当該分野で周知の技術(例えば、宿主の免疫化および血清の収集(ポリクローナル)、または連続的なハイブリッド細胞株を調製し、そして分泌されたタンパク質を収集すること(モノクローナル))によって、あるいは天然の抗体の特異的結合に必要なアミノ酸配列を少なくともコードするヌクレオチド配列またはその変異誘発されたバージョンをクローン化し、そして発現することによって、調製され得る。抗体は、完全な免疫グロブリンまたはそのフラグメントを含み得、これらの免疫グロブリンは、様々なクラスおよびアイソタイプ(例えばIgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bおよびIgG3、IgMなど)を含む。それらのフラグメントは、Fab、FvおよびF(ab’)2、Fab’などを含み得る。さらに、特定のポリペプチドに対する結合親和性が維持される限り、適切な場合には、免疫グロブリンまたはそのフラグメントの凝集体、ポリマーおよび結合体が、使用され得る。
【0015】
「抗体結合成分」は、1つ以上の抗体および抗体からその結合特異性が由来する分子または分子複合体を意味する。抗体結合成分としては、限定されないが、以下が挙げられる:第1の抗体が標的分子に特異的に結合し、そして第2の抗体が第1の抗体の定常の領域に特異的に結合する抗体対;標的分子および電気泳動タグまたは光増感剤のような成分で誘導体化されたストレプトアビジンに特異的に結合するビオチン化抗体;標的分子に特異的であり、かつ次に、電気泳動タグまたは光増感剤のような成分で誘導体化されるポリマー(例えば、デキストラン)に結合体化される抗体;標的分子に特異的であり、かつ次に、電気泳動タグまたは光増感剤のような成分で誘導体化されるビーズまたはミクロビーズまたは他の固相支持体、あるいは後者を含むポリマーに結合体化される抗体。
【0016】
「キャピラリー電気泳動」は、キャピラリー管またはキャピラリープレートでの電気泳動を意味し、分離カラムの直径または分離プレートの厚さは、約25〜500ミクロンの間であり、結果的な媒体内の低い熱対流を伴って、分離媒体全体の効率的な熱損失を可能にする。
【0017】
「ふるいマトリックス」または「ふるい媒体」は、マトリックスを通して荷電種の電気泳動移動度を遅延するために効果的な、架橋したまたは架橋していないポリマーを含む、電気泳動媒体を意味する。
【0018】
2つの分子または1つの分子および分子の複合体の結合に関連する「特異的な」は、他の分子の実質的により少ない認識およびこのような他の分子との安定な複合体の形成の欠如と比較した場合の、一方の他方に対する特異的認識および安定な複合体の形成をいう。好ましくは、結合に関連する「特異的な」は、分子が、他の分子または複合体と複合体を形成し、この分子は、それが特異性を有する分子または複合体との複合体の少なくとも50%を形成する程度を意味する。一般的に、分子または複合体は、2つの分子の間の特異的認識を生じさせる、それらの表面上または空洞中の領域を有する。特異的結合の例としては、以下が挙げられる:抗体−抗原相互作用、酵素−基質相互作用、ポリヌクレオチド相互作用、細胞レセプター−リガンド相互作用など。
【0019】
本明細書中で使用される場合、複数の蛍光標識に関連する用語「スペクトル分解可能」は、標識の蛍光発光帯域が、十分に異なり(すなわち、十分に非重複である)、それぞれの標識が結合する電気泳動タグは、標準の光検出システム(例えば、米国特許第4,230,558号、同第4,811,218号など、またはWheelessら、pgs. 21−76,Flow Cytometry:Instrumentation and Data Analysis (Academic Press, New York, 1985)に記載されるシステムによって例証されるような通過帯域フィルターおよび光電子増倍管などのシステムを使用する)による、それぞれの標識によって生成される蛍光シグナルに基づいて区別され得る。
【0020】
(特定の実施形態の説明)
本発明の1つの局面は、このようなポリペプチドを含むと予測されるサンプル中の標的ポリペプチドのクラスのメンバーの存在および/または量を決定するための方法に関する。本発明のアッセイの対象物であるタンパク質のクラスとしては、共通の物理学的特徴、機能的特徴または化学的特徴を有するタンパク質が挙げられ、これは物理学的同定または化学的同定のための手段を提供する。タンパク質の好ましいクラスとしては、膜結合タンパク質、一般的な結合特性を有するタンパク質(例えば、DNA結合タンパク質)および特定の型の翻訳後修飾を有するタンパク質(例えば、ホスホリン酸化、グリコシル化、リボシル化など)が挙げられる。好ましいクラスの標的ポリペプチドは、翻訳後修飾をうけたポリペプチドである。
【0021】
本発明の別の局面において、ポリペプチド上のどの部位が修飾されているか、いくつの修飾が修飾ポリペプチド上に存在するか、ポリペプチド上のどこに修飾があるか、ポリペプチドの位置などを決定することが所望され得る。一方で、標的ポリペプチドの存在および/または量は、標的ポリペプチドの翻訳後修飾を引き起こすことに関与する薬剤の存在および/または量、および/または活性を決定するために使用され得る。この実施形態において、薬剤が存在することおよび/または活性であることを知ることが所望される。この薬剤は、例えば、ポリペプチド(例えば、酵素、レセプター、複合体(例えば、マルチマータンパク質またはマルチサブユニットホロ酵素、タンパク質−核酸など))であり得る。
【0022】
ポリペプチドは、1つのアミノ酸のカルボキシ基と別のアミノ酸のアミノ基との間の水の除去によるアミド結合によって一緒に化学結合されるアミノ酸残基から構成される化合物のクラスである。ポリペプチドは、アミノ酸残基のポリマーであり、これは、多数のこのような残基を含み得る。ペプチドは、一般にこれらがより少ない数のアミノ酸から構成されることを除いて、ポリペプチドと同様である。ペプチドは、時折オリゴペプチドといわれる。ポリペプチドとペプチドとの間に明らかに分けられる差違はない。利便性のために、本開示および特許請求の範囲において、用語「ポリペプチド」は、一般的に、ペプチドおよびポリペプチドをいうために使用される。アミノ酸残基は、天然でも合成でもよい。
【0023】
タンパク質は、規定された3次構造に折り畳まれたポリペプチド鎖である。これらは、炭素、水素、窒素および硫黄を含む複雑な高ポリマーであり、そしてペプチド結合によって連結された線状鎖のアミノ酸から構成される。このタンパク質は、一般的に約5,000〜約5,000,000以上の分子量、より一般的には、約5,000〜約1,000,000の分子量である。広範な種々のタンパク質は、例えば、類似の構造特性を有するタンパク質のファミリー、特定の生物学的機能を有するタンパク質、特定の微生物に関するタンパク質、微生物が引き起こす特定の疾患などが考えられ得る。このようなタンパク質としては、サイトカインまたはインターロイキン、酵素(例えば、キナーゼ、プロテアーゼ、ガラクトシダーゼなど)、プロタミン、ヒストン、アルブミン、免疫グロブリン、硬タンパク質、ホスホタンパク質、ムコタンパク質、クロモタンパク質、リポタンパク質、核タンパク質、糖タンパク質、T細胞レセプター、プロテオグリカン、分類されていないタンパク質(例えば、成長ホルモン、プロラクチン、インスリン、ペプシン)、ヒト血漿中で見出されるタンパク質、血液凝固因子、血液型因子、タンパク質ホルモン、癌抗原、組織特異的抗原、ペプチドホルモン、栄養マーカー、組織特異的抗原および合成ペプチドが挙げられるが、例示のみで限定はされない。
【0024】
本発明の好ましい焦点は、天然のプロセス(例えば、翻訳後処理)によって修飾されたアミノ酸配列を含むポリペプチドである。このような修飾は、基本的な文書に十分に記載されており、そして研究論文、および著書の多い研究文献中に、より詳細に記載される。修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノ末端またはカルボキシ末端を含むポリペプチドのどこでも生じ得る。同じ型の修飾が、所定のポリペプチド中のいくつかの部位で同じ程度または異なる程度存在し得ることが理解される。また、所定のポリペプチドは、多くの型の修飾を含み得る。ポリペプチドは、ユビキチン結合の結果として分枝鎖であり得、これらは、枝を有する環状でも有さない環状でもよい。環状ポリペプチド、分枝鎖ポリペプチドおよび分枝した環状ポリペプチドは、翻訳後の天然のプロセスから生じ得る。修飾が、非天然の活性(例えば、化学的修飾)の結果であることもまた、本発明の範囲内である。
【0025】
修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトール(phosphotidylinositol)の共有結合、架橋、環状化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、タンパク質ヘのアミノ酸のトランスファーRNA媒介性添加(例えば、アルギニル化)およびユビキチン結合が挙げられる(例えば、Proteins−Structure and Molecular Properties,第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York,1993;Wold,F.,Post−translational Protein Modifications:Perspectives and Prospects,pgs.1〜12,Post−translational Covalent Modification of Proteins,B.C.Johnson(編)Academic Press,New York,1983;Seifterら、「Analysis for protein modifications and non−protein cofactors」,Meth.Enzymol.(1990)182:626〜646およびRattanら、「Protein Synthesis:post−translational Modifications and Aging」,Ann NY Acad Sci(1992)663:48〜62を参照のこと)。
【0026】
翻訳後修飾活性を決定するためのサンプルは、通常細胞由来の材料である。このサンプルは、血清、血漿、唾液、血液または他の体液由来の細胞の溶解によって獲得され得る。生物学的経路は、緩衝液中で分析され得る(例えば、酵素または別のレセプターによるレセプターの翻訳後修飾の検出)。
【0027】
(クラス特異的試薬)
本発明に従う方法を実施するための1つの試薬は、クラス特的試薬、または一般的試薬であり、これらは、全て、もしくは実質的に全ての標的ポリペプチドのクラスのメンバー上の結合部位に対する切断誘導部分および結合因子を含む。この試薬は、その結合因子が全てまたはほぼ全ての特定のクラスのタンパク質のメンバーに結合するという意味では一般的である。好ましくは、クラス特異的試薬の結合因子は、所望の場合に、非結合材料が、結合材料から容易に分離され得るように選択される。
【0028】
1つの実施形態において、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)は、固相(例えば、ビーズ、サンプル中に含まれる全てのリン酸化タンパク質(例えば、細胞溶解物))を捕捉するために使用される。例えば、Holmes,J.Liquid Chromatography and Rel.Technol.,20:123〜142(1997);Posewitzら、Anal.Chem.,71:2883〜2892(1999)などに開示されるとおりである。結合後、ビーズをろ過によって洗浄した。捕捉工程および洗浄工程は、ホスホタンパク質の濃縮するように作用し、そしてアッセイ由来の混入した非リン酸化タンパク質および他の細胞残余物を取り除く。ビーズに結合したタンパク質は、目的の候補タンパク質に対する抗体を含む溶液に再懸濁される。抗体は、1つ以上の指定された目的のタンパク質標的に特異的であり得るか、または全細胞溶解物に対して調製されたポリクローナル抗体試薬であり得る。好ましくは、モノクローナル抗体の収集が実行され、ここで1つ以上の異なるモノクローナル抗体は、予め決定されたセットのこのようなタンパク質中の各リン酸化タンパク質に特異的である。抗体試薬は、それに切断可能に結合した1つ以上のe−タグ部分を有し、ここで、結合は、IMAC残余物に含まれる切断誘導部分(たとえば、IMAC−24 DNP)によって切断に感受性である。各々異なる指定されたタンパク質に特異的であり、各々指定されたタンパク質に特有に割当られた指定されたe−タグ部分に連結される複数の抗体試薬は、多重の標的特異的決定のために結合され得る。抗体結合後、e−タグ部分に対する結合は、対応するe−タグレポーターを放出するために切断され、IMAC−24 DNPビーズによる指定された標的の捕捉を示す。タンパク質特異的モノクローナル抗体またはエピトープ特異的モノクローナル抗体は、直接付着したe−タグ部分を有し得るか、またはe−タグは、選択されたタンパク質に結合したモノクローナル抗体の定常領域に特異的な二次抗体に付着され得る。
【0029】
ポリペプチド上の結合部位は、通常ポリペプチドの翻訳後修飾の結果である。従って、結合部位は、上述の任意の1つの修飾であり得る。故に、ポリペプチド上の結合部位についての結合因子は、結合部位または修飾の性質に依存する。通常、結合因子は、修飾を特異的に認識し得る親和性試薬である。以下の表(表1a)は、種々の翻訳後修飾および対応する結合因子を示す。
【0030】
【表1a】
(金属親和性剤)
本発明の1つの実施形態において、適切な金属と組み合わせた金属親和性剤は、結合因子として用いられ得る。金属親和性剤は、特定の基に対して選択性を有する特定の金属イオンをキレート化するように設計される。従って、翻訳後修飾から得られる結合部位に結合する金属イオンについて親和性を有する任意の配位子が、用いられ得る。従って、キレート配位子の性質は、金属イオンに依存し、次いで、翻訳後修飾に依存する。用語「金属イオン」は、例えば、単塩(例えば、AlCl3、NiCl2など)、錯塩または有機配位子および無機配位子の両方を含む混合塩、ならびに金属錯体に由来するイオンをいう。本発明の実行において使用される金属イオンとしては、例えば、主な基の金属イオン、遷移金属イオン、ランタニドイオンなどが挙げられる。0価の金属前駆体は、この定義に含まれる。このような金属イオンの例としては、ガリウム、アルミニウム、鉄、鉛、水銀、ニッケル、カドミウム、タリウム、アンチモン、銀、クロム、マンガン、プラチナ、金、ビスマス、鉄、銅、亜鉛、コバルト、モリブデン、セレニウム、バナジウム、カルシウム、Eu、Gd、Tb、Sm、などのイオンが挙げられるが、例示の目的のみでこれらに限定されない。
【0031】
ポリペプチドのリン酸化から生じるようなホスフェート含有部分について、適切な金属イオンとしては、2価または3価を有するイオンが挙げられる。特に好ましい金属イオンは、ガリウムIII、アルミニウムIII、鉄III、CO+3、EU+3、Gd+3、SM+3、Tb+3である。
【0032】
キレート配位子は、通常二座、三座、または四座であり、ここでこのキレート配位子は、約2個〜約4個の金属配位部位を備える。この配位部位は、以下を含み得る:窒素(例えば、イミノ、ニトリロ、ピリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、イソシアニジルなど);酸素(例えば、カルボキシ、ヒドロキシ、エーテル、ケトなど);リン(例えば、ホスフィンなど);砒素(例えば、砒素など);アンチモン(例えば、スチルビンなど);硫黄(例えば、チオエーテル、チオケトなど);セレニウム(例えば、セレノエーテルなど);テルリウム(例えば、テルロエーテルなど);など。上述の組み合わせ(例えば、チオカルボキシ、ホスフィニミノ、オキサゾール、オキサゾリン、チオフェン、チアゾール、イソキサゾール、イソスラゾールなど)もまた、含まれる。有機部分(例えば、アレン、アセチレン、オレフィンなど)もまた、含まれる。前述の基を含むキレート配位子の具体的な例としては、イミノジアセテート、トリス(カルボキシメチル)エチレンジアミン、通常α位がアルキル(1〜30炭素原子)によって置換されたニトリロトリ酢酸、カルボキシメチル化アスパラギン酸、2−ヒドロキシ−3[N−(2−ピリジルメチル)グリシン]プロピルなどが挙げられるが、例示の目的のみでこれらに限定されない。
【0033】
このキレート配位子は、金属結合ペプチド(例えば、(GHHPH)nG)であり得、ここでnは1(配列番号1)、2(配列番号2)、3(配列番号3)、または5(配列番号4)などである(例えば、Hutchensら、J.Chromatogr.(1992)604:125〜132および133〜141を参照のこと)。
【0034】
前述の金属キレート配位子の多くは、市販されており、その他は、合成され、そしてその合成は文献の1部である。他の金属キレート配位子は、当該分野において周知の手順によって合成され得る。
【0035】
(ホウ酸含有剤)
本発明の1つの実施形態において、結合因子は、ホウ酸部分であり、これは、ポリペプチド上の結合部位の相互作用機能を用いて錯体形成を可能にする部分で置換された、少なくとも1つのホウ素原子を含む。通常、ホウ酸部分は、炭素、酸素、窒素、硫黄およびリン酸からなる群から選択される少なくとも約2個の原子を有する有機部分で置換されたホウ酸に由来する。通常、有機部分は、少なくとも約2個の炭素原子を有し、これらは置換されても置換されなくてもよい。この有機部分は、脂肪族でも芳香族でもよい。ホウ酸部分に関する重要な観点は、その酸性度である。一般に、ホウ酸部分の酸性度が高くなると、結合部位の相互作用機能での錯体形成能が良好になる。望ましくは、ホウ酸部分のpKaは、約11未満であり、好ましくは約9未満であり、より好ましくは約8.75未満である。ホウ酸部分のpKaが低くなると、ポリペプチドの結合部位への結合能力がより良好になる。従って、ホウ酸上の酸性度を増大するホウ素での置換が好ましい。例えば、フェニルおよび置換フェニルのような、ホウ素での芳香族の置換(アミノ、ニトロなどのような1つ以上の官能基で置換)が好ましい。ホウ酸部分の酸性度を増大するために、芳香族置換基は、好ましくは、1つ以上の電子求引基(例えば、ニトロなど)を含む。ホウ酸部分についての有機部分の具体的な例としては、フェニル、アミノフェニルなどが挙げられる。具体的なホウ酸部分としては、ホウ酸フェニル、および(3−アミノフェニル)ホウ酸が挙げられるが、例示の目的でこれらに限定されない。他の例は、米国特許第5,623,055号、同第5,876,938号、同第6,013,783号、同第5,831,045号に見出され得、これらの関連の開示は、本明細書中で参考として援用される。
【0036】
前述のホウ酸含有剤の多くは、市販されており、その他は、合成され、そしてその合成は、文献の1部である。他の金属ホウ酸含有剤は、当該分野において周知の手順によって合成され得る。
【0037】
(レクチン剤)
本発明の別の実施形態において、レクチンは、結合因子として用いられ得る。レクチンは、特定の糖に特異的であるが、他の糖には特異的でないレセプター部位を有するタンパク質または糖タンパク質である。従って、レクチンは、グリコシル化の検出のための結合因子として使用され得る。例えば、コンカナバリンA(Con A)は、α−D−グルコースおよびα−D−マンノースに特異性を有する。グルコースのような配位子がポリペプチド上に存在する場合、Con Aは、グリコシル化ポリペプチドに結合する。レクチンは、任意の適切な供給源(例えば、植物、哺乳動物、微生物など)に由来し得る。既知のレクチンの数は、余りにも多すぎて本明細書中で列挙することは不可能である。上述のように、レクチンは、特定の糖に特異的である。従って、レクチンは、ポリペプチドについて予想されるグリコシル化部分に基づいて選択される。レクチンの例としては、コンカナバリンA、凝集素(例えば、コムギ胚芽凝集素、Sambucus nigra凝集素(SNA)、Arachis Hypogaea凝集素、Bauhinia Purpurea凝集素、Galanthus nivalis凝集素(GNA)、Datura stramionium凝集素(DSA)、Maackia amurensis凝集素(MAA)、ピーナッツ凝集素など)、ニワトコの実レクチン、Ulex Europeus(UEA I)、Ulex Europaeus(UEA II)、Limulus Polyhemus(LPA)、Lotus Tetragonolobus(Lotus A)などが挙げられるが、例示の目的のみでこれらに限定されない。
【0038】
(抗体剤)
1つの実施形態において、結合因子は、ポリペプチド上での修飾のための抗体であり得る。例えば、リン酸基を認識する抗体が、リン酸化ポリペプチドについて用いられ得るか、または糖部分を認識する抗体が、グルコシル化ポリペプチドについて用いられ得るか、またはアセチル化を認識する抗体が、アセチル化ポリペプチドについて用いられ得る。抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。多くの適切な抗体は、当該分野において公知であり、そして/または当該分野において周知の技術によって調製され得る。このような技術としては、連続したハイブリッド細胞株の調製および分泌されたタンパク質(モノクローナル)の収集によってか、または天然の抗体の特異的な結合に必要なアミノ酸配列を少なくともコードする、ヌクレオチド配列またはその変異型をクローニングおよび発現することによる、宿主および血清の収集物(ポリクローナル)免疫化が挙げられる。抗体としては、完全な免疫グロブリンまたはそのフラグメントが挙げられ、この免疫グロブリンとしては、種々のクラスおよびイソ型(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG1、IgG2a、IgG2b、およびIgG3、IgMなど)が挙げられる。そのフラグメントとしては、Fab、FvおよびF(ab’)2Gab’などが挙げられる。さらに、凝集物、ポリマー、および免疫グロブリンの結合体またはそのフラグメントは、特定の分子についての結合親和性が維持される限り、適切に使用され得る。
【0039】
適切な抗体の調製のための1つのアプローチにおいて、抗体(ポリクローナル)を含む抗血清は、適切な免疫原を用いた動物(例えば、ウサギ、モルモット、またはヤギ)の免疫化を含む十分に確立された技術によって得られ、そして適切な待ち時間の後、免疫化動物の血液から抗血清を得る。当該分野の状態の概要は、Parker,Radioimmunoassay of Biologically Active Compounds,Prentice−Hall(Englewood Cliffs,N.J.,U.S.,1976),Butler,J.Immunol.Meth.7:1〜24(1975);BroughtonおよびStrong,Clin.Chem.22:726〜732(1976);ならびにPlayfairら、Br.Med.Bull.30:24〜31(1974)によって提供される。抗体はまた、体細胞ハイブリダイゼーション技術によって獲得され得、このような抗体は、一般にモノクローナル抗体といわれる。モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein,Nature 265:495〜497,1975の標準的な技術に従って生成され得る。モノクローナル抗体技術の概要は、Lymphocyte Hybridomas(編)Melchersら、Springer−Verlag(New York 1978),Nature 266:495(1977),Science 208:692(1980)、およびMethods of Enzymology 73(Part B):3〜46(1981)に見出される。種々の技術が、モノクローナル抗体の収率を増大するために存在する(例えば、細胞を受容する哺乳動物宿主の腹腔へのハイブリドーマ細胞の注射、および腹水の収集)。腹水で収集するモノクローナル抗体が、不十分な量の場合、抗体は、宿主の血液から回収される。あるいは、所望の抗体を生成する細胞は、中空線維細胞培養デバイスまたはスピナーフラスコデバイス(これらは、両方とも当該分野で周知である)中で増殖され得る。種々の従来法が、他のタンパク質および他の汚染物からのモノクローナル抗体の単離および精製のために存在する(KohlerおよびMilstein,前出を参照のこと)。抗体の調製のための別のアプローチにおいて、抗体結合部位をコードする配列は、染色体DNAから摘出され得、そしてクローニングベクター中に挿入され得る。このベクターは、細菌中で発現して対応する抗体結合部位を有する組み換えタンパク質を生成し得る。一般に、抗体は、クロマトグラフィー(例えば、DEAEクロマトグラフィー、ABxクロマトグラフィーなど)、ろ過などのような公知の技術によって、精製され得る。
【0040】
(ビオチン剤)
1つの実施形態において、ホスホタンパク質のリン酸基は、ビオチン化され得、そしてタンパク質は、ストレプトアビジンによって単離され得る(Gosheら、Anal.Chem,73:2578(2001))。
【0041】
(切断誘導部分)
切断誘導部分は、好ましくは酸化によって切断可能な結合を切断し得る活性種を生成する基である。好ましくは、活性種は、短命の活性を示す化学種であり、その結果、その切断誘導効果は、その生成部位の近位のみで効果がある。その作製の近位を越えるので、有意なバックグラウンドを作製しないように、活性種は、短命であるか、または活性種を効率的にスカベンジングするためにスカベンジャーが用いられるかのいずれかであり、その結果、これはその発生部位から短距離の切断可能な結合部と反応し得ない。例示的な活性種としては、一重項酸素、過酸化水素、NADH、およびヒドロキシルラジカル、フェノキシラジカル、スーパーオキシドなどが挙げられる。酸化を引き起こす活性種の例示的なクエンチャーとしては、ポリエン、カロテノイド、ビタミンE、ビタミンC、チロシンのアミノ酸ピロールN結合体、ヒスチジン、およびグルタチオンなどが挙げられる(例えば、Beutnerら、Meth.Enzymol.,319:226〜241(2000))。
【0042】
切断誘導部分および切断可能な結合についての重要な観点は、標的タンパク質に結合される場合に、これらは互いにそれほど遠くに離されず、感作物質によって生成された活性種が、切断可能な結合と相互作用し得る前に拡散するか、またはその活性を喪失する。従って、切断可能な結合は、好ましくは1000nm以内であり、好ましくは20〜100nmの結合した切断誘導部分である。切断誘導部分の有効な範囲は、本明細書中でその「有効な近似」といわれる。
【0043】
活性種の発生元としては、酵素(例えば、オキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、キサンテンオキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、NADH−FMNオキシドレダクターゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グリセリルホスフェートオキシダーゼ、サルコシンオキシダーゼ、コリンオキシダーゼおよびアルコールオキシダーゼ)過酸化水素、西洋ワサビペルオキシダーゼを生成する酵素、ヒドロキシルラジカルを生成する酵素、NADHまたはNADPHを生成する種々のデヒドロゲナーゼ、高い部分的pHを生じるアンモニアを生成するウレアーゼ、が挙げられる。1つの切断可能な結合が、硫黄またはセレニウムの酸化に基づき得、チオエーテル、スルホキシド、またはそのセレニウムアナログが、活性基と関連してα位またはβ位に存在する場合、これらは、活性基の酸性度に対する水素αを作製し、そして塩基によって除去され得、その結果、e−タグの放出可能な部分に付着したものに酸化された機能性を放出するか、またはe−タグの放出と共に酸化に供される。あるいは、ある酸化状態で安定であり、そして別の酸化状態で不安定である金属キレートが使用され得る。他の化合物としては、α−置換メチルキノンが挙げられ、これは脱離基(例えば、スルホニル、オキシ、アミノなど)を介して結合された試薬の放出可能な部分を有する。
【0044】
感作物質は、通常誘導されて反応性中間媒体を生成し得る化合物の分子であるか、または通常一重項酸素の種である。好ましくは、本発明に従って使用される感作物質は、光増感剤である。しかし、例えば、化学活性化(例えば、酵素および金属塩)のような他の感作物質が、本発明において用いられ得、これらとしては、外部の光供給源による活性化を用いるか、好ましくはほとんど用いないか、または、活性化なしで一重項酸素を生成し得る他の基質および組成物が挙げられるが、例示の目的のみでこれらに限定されない。従って、例えば、モリブデン(MoO4 −)塩および過酸化塩素およびミエロペルオキシダーゼと臭化物イオンもしくは塩化物イオンは、一重項酸素および水への過酸化水素の転換を触媒することが示されている。感作物質の上記の例について、それぞれ、過酸化水素は、補助的な試薬として含まれ得、過酸化塩素は、表面に結合され得、そしてモリブデン酸塩は、リポソームの水相に取り込まれ得る。本発明の範囲内に含まれる他の感作物質は、本当は感作物質ではなく、熱、光、イオン化放射、または化学的活性化による励起によって、一重項酸素の分子を放出する化合物である。このクラスの化合物の最もよく知られるメンバーとしては、エンドペルオキシド(例えば、1,4−ビスカルボキシエチル−1,4−ナフタレンエンドペルオキシド、9,10−ジフェニルアントラセン−9,10−エンドペルオキシド、および5,6,11,12−テトラフェニルナフタレン5,12−エンドペルオキシド)が挙げられる。これらの化合物による加熱または光の直接吸収は、一重項酸素を放出する。さらなる感作物質が、以下の参考文献で開示される:Di Mascioら、FEBS Lett.,355:287(1994)(ペルオキシダーゼおよびオキシゲナーゼ);Kanofsky,J.Biol.Chem.258:5991〜5993(1983)(ラクトペルオキシダーゼ);Pierlotら、Meth.Enzymol.,319:3〜20(2000)(エンドペルオキシダーゼの熱分解);など。
【0045】
切断誘導部分への結合因子の付着は、直接的または間接的な、共有結合もしくは非共有結合であり得、そして一般的に文献で利用可能な周知の技術によって達成され得る。例えば、「Immobilized Enzymes,」Ichiro Chibata,Halsted Press,New York(1978);Cuatrecasas,J.Biol.Chem.,245:3059(1970)を参照のこと。広範囲の官能基が利用可能であるか、または取り込まれ得る。官能基としては、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基などが挙げられる。広範囲の化合物に結合する様式は、周知であり、そして文献中で十分に説明されている(上記参照のこと)。結合因子への結合基の長さは、非常に広範であり得、結合されている化合物の性質、特異的結合特性に対するその距離の影響などに依存する。
【0046】
レクチンは、公知の共有結合技術によって切断誘導部分に付着され得る。このような結合は、二官能性の架橋結合因子を介してレクチンを切断誘導部分と、またはハブ分子と架橋結合させることによって適切に実施される。適切な二官能性化合物は、Peters,K.およびRichards,F.M.,(Ann.Rev.Biochim.46(1977)523)による総説において見出され得る。アルキルイミデート(alkyl imidate)は、タンパク質によってそれらに対し提示される官能基間での高度の特異性を示す。この反応は、1級アミノ基に特異的である。特異的な結合試薬としては、アミドエステル(例えば、ジメチルマロンイミデート(malonimidate))、アジド(例えば、アミド結合を生じるようにアミノ基と容易に反応するタルトリルジアジド(tartryl diazide)のアクリルアジド)、アリールジハライド(例えば、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼン、または4,4’−ジフルオロ−3,3’−ジニトロフェニルスルホン)、グルタルアルデヒド、ジマレイミド、混合された無水物、混合された芳香族ジカルボキシルまたは脂肪族ジカルボキシル,N−ヒドロキシスクシンイミド(N−hydroxysuccimide)エステル、および他の公知の架橋結合因子が挙げられる。触媒試薬(例えば、1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド)を用いて、1分子のアミノ基と他方のカルボキシル基との間に共有結合を形成し得る。
【0047】
クラス特異的試薬は、事前に形成され得るか、またはインサイチュで形成され得る。前者の状況において、クラス特異的試薬は、本発明の方法における使用前に、一緒に結合されるその成分全てを有する。後者の状況において、クラス特異的試薬の少なくともいくつかの成分が、本発明の方法が行われる媒体に別々に加えられる。1つのアプローチにおいて、結合因子は、切断誘導部分への付着のための部分を含む。通常、これは、切断誘導部分上に存在する第2の部分を含み、ここで、この第2の部分および結合因子の一部分が相互作用して結合因子への切断誘導部分の付着およびインサイチュでクラス特異的試薬の形成を提供する。代表的には、これらの部分は、非共有結合によって相互作用する。この状況は、低分子(分子量約100〜約1500)を含む2つの部分のうちの一方および低分子についての結合パートナーを含む他方の部分によって例示される。例えば、低分子は、ビオチン、ジゴキシン、フルオレセイン、ジニトロフェノールなどであり得、そして低分子についての結合パートナーは、それぞれ、アビジン、ジゴキシンに対する抗体、フルオレセインに対する抗体、ジニトロフェノールに対する抗体などである。
【0048】
例えば、生成される活性種の数を増加させるために、結合因子に結合される複数の切断誘導部分を有することが所望され得る。1つのアプローチにおいて、この結合因子は、例えば、抗体、レクチンなどのような付着のための複数の部位を有する。切断誘導部分の数をさらに高めるために、ハブ分子またはハブ核が、使用される。このハブ核は、多官能性物質であり、通常、ポリマー性であり、結合部位として複数の官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、カルボキシ、エチレン性、アルデヒドなど)を有している。このハブに対する官能基は、結合される切断誘導部分または結合因子に対する官能基と反応性である官能基であるべきである。他の試薬に関するハブ核の考察は、以下に示され、そして以下で考察される原理は、この場合においても適用され得る。
【0049】
特定の実施形態において、このクラス特異的試薬は、クラス特異的試薬の一成分が会合する支持体を含む。この支持体は、有機物または無機物の固体もしくは流体、透過性であり得るかまたは部分的に透過性であり得る水難溶性物質から構成され得る。この支持体は、多くの形状(例えば、ビーズ、フィルム、メンブレン、チューブ、ウェル、ストリップ、ロッドなどを含む粒子)のいずれかを有し得る。光増感剤が組み込まれている支持体について、その支持体の表面は、好ましくは、親水性であるか、または親水性を与えることができ、そして好ましくは、その支持体本体は、親水性である。この支持体は、使用される媒体に懸濁可能であり得る。懸濁可能な支持体の例(例としてであり制限するものではない)としては、ポリマー性物質(例えば、ラテックス、脂質二重層、油滴、セルおよびヒドロゲル)がある。他の支持体組成物としては、ガラス、金属、ポリマー(例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)など)が挙げられ;それら単独で使用されるか、または他の物質と併せて使用される。結合因子の支持体への付着は、直接または間接の、共有結合もしくは非共有結合であり得、そして一般的に、上記のような文献で利用可能な周知の技術によって達成され得る。例えば、「Immobilized Enzymes,」(Ichiro Chibata、前出)を参照のこと。支持体の表面は、通常、多官能性であるかまたは多官能性化され得るか、あるいは共有結合相互作用、または特異的もしくは非特異的な非共有結合相互作用によって、標的結合部分などに結合され得る。
【0050】
切断誘導部分は、共有結合的または非共有結合的に支持体の表面に結合されるか、または支持体本体内に組み込まれることによって、支持体と一体化され得る。表面への結合は、上記のように達成され得る。この切断誘導部分は、支持体の調製中または調製後のいずれかに、支持体本体に組み込まれ得る。概して、切断誘導部分は、必要量の活性種を得るために必要な量の支持体と一体化され得る。一般的に、切断誘導部分の量は、経験的に決定される。
【0051】
(切断誘導部分としての光増感剤)
上記のように、本発明に従う好ましい切断誘導部分は、一重項酸素を生じる光増感剤である。本明細書中で使用される場合、「光増感剤」とは、光によって活性化される場合に分子酸素を一重項酸素に転換する光吸収分子をいう。光増感剤は、共有結合もしくは非共有結合によって、直接または間接的に、クラス特異的試薬の結合因子に結合され得る。このような組成物の構築の指針は、特に、例えば、光力学療法、免疫診断などの分野において、文献で入手可能な結合因子としての抗体に関する。以下は、例示的な参考文献である:Ullmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,5426−5430(1994);Strongら、Ann.New York Acad.Sci.,745:297−320(1994);Yarmushら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Syst.,10:197−252(1993);Peaseら、米国特許第5,709,994号;Ullmanら、米国特許第5,340,716号;Ullmanら、米国特許第6,251,581号;McCapra,米国特許第5,516,636号;など。
【0052】
同様に、本発明における使用に適切な光増感剤の特性および選択に関する文献中に指針がある。以下は、その例示的な参考文献である:WassermanおよびR.W.Murray.Singlet Oxygen.(Academic Press,New York,1979);Baumstark,Singlet Oxygen,第2巻(CRC Press Inc.,Boca Raton,FL 1983);およびTurro,Modern Molecular Photochemistry(University Science Books,1991)。
【0053】
光増感剤は、光での励起による一重項酸素生成の増感剤である。この光増感剤としては、色素および芳香族化合物が挙げられ、そして一般的に、一般的に複数の共役二重結合または共役三重結合を用いて共有結合された原子を含む化合物である。これらの化合物は、代表的に、約200〜約1,100nm、一般的には、約300〜約1,000nm、好ましくは、約450〜約950nmの範囲の波長における光を吸収し、励起波長で、約500M−1cm−1、好ましくは、約5,000M−1cm−1、より好ましくは、約50,000M−1cm−1より大きなその吸収最大での吸光率を有する。酸素の非存在下での光吸収後に生じる励起状態の寿命は、通常、少なくとも約100ナノ秒であり、好ましくは、少なくとも約1ミリ秒である。概して、寿命は、本発明に関する試薬における結合の切断を可能にするに十分長くなければならない。このような試薬は、通常、以下に考察される濃度で存在する。光増感剤励起状態は、一般的に、基底状態(ground state)とは異なるスピン量子数(S)を有し、そして一般的に、基底状態が、通常の場合と同様に、一重項(S=0)である場合、三重項(S=1)である。好ましくは、光増感剤は、高い系間交差収率を有する。すなわち、光増感剤の光励起は、通常、少なくとも約10%の効率で、望ましくは、少なくとも約40%、好ましくは約80%より高い効率で、三重項状態を生じる。
【0054】
選択される光増感剤は、比較的光安定性であり、好ましくは、一重項酸素と効率的に反応しない。いくつかの構造特性は、最も有用な光増感剤に含まれ得る。ほとんどの光増感剤は、剛構造において(高い頻度で、芳香族性構造において)保持される、少なくとも1つの共役二重結合または共役三重結合を、そして高い頻度で3つ以上の共役二重結合または共役三重結合を有する。それらは、高い頻度で、系間交差を促進する少なくとも1つの基(例えば、カルボニル基もしくはイミン基)または周期表の3〜6列から選択される重原子(特に、ヨウ素もしくは臭素)を含むか、あるいはそれらは、拡張された芳香族性構造を有し得る。
【0055】
他種類の光源は、一重項酸素を生成するために光増感剤を光活性化するのに有用である。多色性光源および単色性光源の両方が、これらの光源が、実用的な時間で十分な一重項酸素を生じるように十分に強い限り使用され得る。照射の長さは、光増感剤の性質、切断可能な結合の性質、照射供給源のパワー、およびサンプルからのその距離などに依存する。概して、照射時間は、約1マイクロ秒未満〜約10分程度の長さ、通常、約1ミリ秒〜約60秒の範囲であり得る。照射の強度および時間は、光増感剤分子の少なくとも約0.1%、通常、光増感剤分子の少なくとも約30%、そして好ましくは、実質的に、光増感剤分子全てを励起させるために十分であるべきである。例示的光源としては、例えば、以下が挙げられる(例としてであり制限するものではない):レーザー(例えば、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、He/Cdレーザー、およびルビーレーザー);フォトダイオード;水銀、ナトリウムおよびキセノンの放電ランプ(vapor lamp);白熱電球(例えば、タングステンおよびタングステン/ハロゲン);フラッシュランプ;など。
【0056】
本発明で使用され得る光増感剤の例は、上記特性を有する光増感剤であり、そして以下の参考文献に列挙される:Turro,Modern Molecular Photochemistry(前掲);SinghおよびUllman,米国特許第5,536,834号;Liら、米国特許第5,763,602号;Ullmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,5426−5430(1994);Strongら、Ann.New York Acad.Sci.,745:297−320(1994);Martinら、Methods Enzymol.,186:635−645(1990);Yarmushら、Crit.Rev.Therapeutic Drug Carrier Syst.,10:197−252(1993);Peaseら、米国特許第5,709,994号;Ullmanら、米国特許第5,340,716号;Ullmanら、米国特許第6,251,581号;McCapra,米国特許第5,516,636号;Wohrle,Chimia,45:307−310(1991);Thetford,欧州特許公開第0484027号;Sesslerら、SPIE,1426:318−329(1991);Madisonら、Brain Research,522:90−98(1990);Poloら、Inorganica Chimica Acta,192:1−3(1992);Demasら、J.Macromol.Sci.,A25:1189−1214(1988);など。代表的な光増感剤は、表1bに列挙される。
【0057】
【表1b】
特定の実施形態において、光増感剤部分は、切断誘導部分に関して上記で考察されるように、支持体を含む。この光増感剤は、上記で考察されるように、支持体の表面に共有結合的または非共有結合的に結合されることによってか、または支持体本体に取り込まれることによって支持体と一体化し得る。概して、この光増感剤は、必要量の一重項酸素を得るために必要な量の支持体と一体化する。通常、光増感剤の量は、経験的に決定される。光増感剤として使用される光増感剤は、好ましくは、例えばPeaseら、米国特許第5,709,994に開示されるように、光増感剤が、例えば、光増感剤ビーズを形成するためにラテックス粒子に組み込まれる場合、親油性部材への溶解を確実にするように、比較的非極性である。例えば、この光増感剤ローズベンガルは、J.Amer.Chem.Soc.,97:3741(1975)に記載されるように、エステル結合基を提供するために、ラテックス上のクロロメチル基によって、0.5ミクロンのラテックスビーズに共有結合的に結合される。
【0058】
本発明の1つの局面において、クラス特異的試薬は、抗体である第1の結合因子、および光増感剤である切断誘導部分を含み、その結果、光増感剤は、例えば、Strongら(前掲);Yarmushら(前掲);などに記載されるような周知の技術を用いて、共有結合的に抗体に連結される。あるいは、クラス特異的試薬は、光増感剤が共有結合的または非共有結合的に結合され、そして抗体が、好ましくは、直接的にかまたは官能化されたポリマー(例えば、アミノ−デキストランなど)を経由してのいずれかで共有結合的に結合される、固相支持体(例えば、ビーズ)を含む。
【0059】
(電気泳動のプローブ組成物)
本発明の重要な特性に従って、1セットの電気泳動プローブが提供され、このプローブそれぞれが、独特のポリペプチド結合部分および独特の電荷対質量比および/または光学特性を有する関連「e−タグ部分」を有する。便宜上、e−タグ部分の独特の電荷対質量比は、移動度調節因子の化学構造に起因する。なぜなら、検出基残基および連結基残基(存在する場合)は、任意のセットの電気泳動プローブに対して共通であるからである。しかし、独特の電荷および/または質量の、e−タグレポーターに対する寄与は、検出量によってもなされ得ることが認識される。例えば、1セットの電気泳動プローブは、第1サブセットおよび第2サブセットから構成され得、この第1のサブセットは、1つの規定された電荷および/または質量を有する検出基と組み合わせて、1つの群の移動度調節因子(これは、この第1サブセットに対する独特の電気泳動の移動度を与える)を有し、そして第2サブセットは、異なる電荷および/または質量を有する第2の検出基と組み合わせて、同じ群の移動度調節因子を有する。従って、この1セットの電気泳動プローブは、両方のサブセット間で独特の電気泳動の移動度を与える。
【0060】
1つの局面において、本発明は、複数の電気泳動プローブを含む組成物を含む。電気泳動プローブは、標的ポリペプチドおよび1つ以上の電気泳動タグに特異的な結合部分を含む。この電気泳動タグは、結合部分に特異的に結合する第2の結合分子(例えば、一次抗体の定常領域に特異的な二次抗体)によって、結合部分に直接的または間接的に結合され得る。好ましくは、電気泳動プローブの結合部分は、抗体である。一般的に、電気泳動プローブは、以下の式:
T−(L−E)k
によって定義され、ここで、Tは結合部分であるか、またはより特異的には、ポリペプチド結合部分であり;Lは、切断可能な結合であり;そしてEは、電気泳動タグ(つまり、「e−タグ」)である。好ましくは、切断可能な結合(L)は、酸化不安定結合であり、そしてより好ましくは、一重項酸素によって切断され得る結合である。「−(L−E)k」部分は、切断可能な結合を介して結合される1つ以上の電気泳動タグを有し得ることを示す。kは、1以上の整数であり;そして好ましくは、kは、1〜500の範囲内の整数であり;そしてより好ましくは、kは、1〜100または1〜50の範囲内の整数であり;そしてなおより好ましくは、kは、1〜10の範囲内の整数である。好ましくは、複数の電気泳動プローブは、少なくとも5であり、そしてより好ましくは、少なくとも10である。なおより好ましくは、複数とは、5〜200の範囲内であり、そしてより好ましくは、5〜100であるか、または5〜50であるか、または10〜30である。好ましくは、複数内で、それぞれ異なる結合部分(T)は、異なる電気泳動タグ(E)を有する。酸化不安定結合およびタグ(E)は、従来の結合の化学によってTに結合される。好ましくは、Tがポリペプチドである場合はいつも、付着は、共通の反応官能基(例えば、アミノ、スルフィド、カルボキシルなど)を介し得る。
【0061】
好ましくは、結合部分(T)は、標的タンパク質またはポリペプチドに特異的な抗体であるか、または標的タンパク質またはポリペプチドに特異的な抗体を含む。後者の場合、Tは、標的タンパク質の辺りで電気泳動タグを保持するように一緒に作動する複数の結合成分を含み得る。例えば、Tは、結合されたe−タグを有する二次抗体と一緒になった抗体、結合されたe−タグを有する二次的な抗ハプテン抗体と一緒になったハプテン化抗体、結合されたe−タグを有するストレプトアビジンと一緒になったビオチン化抗体、機能化された(言い換えると、結合されたe−タグを有する)ポリマーによって誘導体化された抗体などであり得る。複数の電気泳動プローブは、好ましくは、本発明の方法において使用され、ここで各プローブは、異なる結合部分(T)を有する。
【0062】
好ましくは、Lは、チオエーテルまたはそのセレンアナログであるか;あるいは炭素−炭素の二重結合を含むオレフィンであり、ここでオキソ基に対する二重結合の切断は、e−タグ(E)を放出する。例示的なオレフィンとしては、硫化ビニル、ビニルエーテル、エナミン、炭素原子をα−メチン(CH、少なくとも1つの水素原子を有する炭素原子)で置換されたイミンが挙げられ、ここでビニル基は、環内にあり得、ヘテロ原子は、環内にあり得るかまたは環状オレフィンの炭素原子上で置換され得、そしてそのオレフィンの炭素原子に結合した少なくとも1〜4つまでのヘテロ原子が存在する。生じたジオキセタンは、周囲温度以上(通常、約75℃以下)に加熱することによってか、酸または塩基との反応によってか、あるいは光増感剤の非存在下または存在下での光活性化によって、自然に分解され得る。このような反応は、以下の例示的参考文献に記載されている:AdamおよびLiu,J.Amer.Chem.Soc.94,1206−1209,1972,Andoら、J.C.S.Chem.Comm.1972,477−8,Andoら、Tetrahedron 29,1507−13,1973,Andoら、J.Amer.Chem.Soc.96,6766−8,1974,AndoおよびMigita,ibid.97,5028−9,1975,WassermanおよびTerao,Tetra.Lett.21,1735−38,1975,AndoおよびWatanabe,ibid.47,4127−30,1975,Zaklikaら、Photochemistry and Photobiology 30,35−44,1979,ならびにAdamら、Tetra.Lett.36,7853−4,1995。また、米国特許第5,756,726号も参照のこと。
【0063】
ジオキセタンの形成は、1つの炭素原子においてe−タグ部分で置換された、オレフィンの他の炭素原子において結合部分で置換された活性化オレフィンと一重項酸素の反応によって得られる。例えば、米国特許第5,807,675号を参照のこと。これらの切断可能な結合は、以下の式:
−W−(X)nCα=Cβ(Y)(Z)−
によって表わされ得、ここで:
Wは、結合、ヘテロ原子(例えば、O、S、N、P、M(安定な共有結合を形成する金属を意味する)、または官能基(例えば、カルボニル、イミノなど)であり得、そしてXまたはCαに結合され得;少なくとも1つのXは、脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式であり、そしてヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を介してCαに結合され、そして他方のXは、同じであるかもしくは異なり得、そしてさらに、水素、脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式であり得(通常、芳香族、または複素環式芳香族である)、ここで1つのXは、Yと一緒になって、それらが結合される原子とともに、環(通常、複素環式環)を形成し、概して、水素以外の原子が、約1〜20、一般的には1〜12、より一般的には、1〜8個の炭素原子であり、そして一つのXは0〜6、一般的には0〜4のヘテロ原子を有するが、他のXは、少なくとも1つのヘテロ原子および6つまでのヘテロ原子、一般には1〜4のヘテロ原子を有し;
Yは、Xの定義内であり、一般に、ヘテロ原子を介してCβに結合され、そして示されるように、Xと一緒になって、複素環式環を形成し得;
Zは、一般に、上記のように約4〜12個の炭素原子、一般に4〜10個の炭素原子、および0〜4個のヘテロ原子の芳香族(複素環式芳香族を含む)であり、直接Cβに結合されるか、または上記のようにヘテロ原子を介して結合され;
nは、e−タグ部分がCαまたはXに結合されるか否かに依存して、1または2であり;
ここで1つのYおよびZは、結合部分への結合に対する官能基を有するか、あるいは、例えば、結合部分(T)として役立つかまたは結合部分(T)への結合基を含むことによって結合部分に結合される。
【0064】
好ましくは、W、X、Y、およびZは、切断の際に、電気泳動タグ(E)が下記のサイズ制限の範囲内であるように、選択される。
【0065】
式で表されないが、1つまたは両方のXに接続される1つ以上のe−タグ部分を有することによって、単一分子内に複数のe−タグ部分を有し得る。
【0066】
例示的な切断可能な結合としては、S−3−チオールアクリル酸、−N,N−メチル4−アミノ−4−ブテン酸、−O、3−ヒドロキシアクロレイン、N−(4−カルボキシフェニル)2−イミダゾール、オキサゾール、およびチアゾールが挙げられる。
【0067】
また、以下の式:
−(CO)X1(A)
の二価の基で9位において置換された、N−アルキルアクリジニル誘導体に興味があり、ここで:
X1は、O、S、N、およびSeからなる群より選択されるヘテロ原子(一般的に最初の3つのうちの1つ)であり;そして
Aは、少なくとも2個の炭素原子の鎖であり、そして一般的に、e−タグレポーターで置換された6個以下の炭素原子であり、ここで好ましくは、他方のAの原子価は、水素で満たされるが、その鎖は、他の基(例えば、アルキル基、アリール基、複素環式基など)によって置換され得、Aは、一般に、10個以下の炭素原子である。
【0068】
また、置換されたイミダゾール、チアゾール、オキサゾールなどによって例示されるように、複素環式化合物(例えば、ジヘテロシクロペンタジエン)に興味があり、ここで、環は、一般に、少なくとも1つの芳香族基で置換され、そしていくつかの例において、加水分解が、e−タグレポーターの放出に必要とされる。
【0069】
また、テルル(Te)誘導体に興味があり、ここでこのTeは、Te原子に対してβ位の水素原子を有するエチレン基と結合され、ここでこのエチレン基は、脂環式環または複素環式環の一部であり、それらはオキソ基を有し得、好ましくは芳香環と縮合され、そしてTeの他の原子価は、e−タグレポーターと結合される。これらの環は、クマリン、ベンゾキサジン、テトラリンなどであり得る。
【0070】
いくつかの好ましい切断可能な結合およびそれらの切断産物は、図10A〜Fに図示される。図10Aに示されるチアゾールの切断可能な連結、「−CH2−チアゾール−(CH2)n−C(=O)−NH−タンパク質」は、「−CH2−C(=O)−NH−CHO」部分を有する電気泳動タグを生じる。好ましくは、nは、1〜12の範囲内であり、そしてより好ましくは、1〜6の範囲内である。図10Bに示されるオキサゾールの切断可能な連結、「−CH2−オキサゾール−(CH2)n−C(=O)−NH−タンパク質」は、「−CH2−C(=O)O−CHO」部分を有する電気泳動タグを生じる。オレフィンの切断可能な連結(図10C)は、上記の電気泳動プローブの実施形態「T−L−M−D」と関連して示され、Dは、フルオレセイン色素である。このオレフィンの切断可能な連結は、他の実施形態においても使用され得る。例示されるオレフィン連結の切断は、以下の形態の電気泳動タグ:「R−(C=O)−M−D」を生じ、ここで、「R」は、上記で提供される電気泳動タグ(E)の一般的な記載における任意の置換基であり得る。好ましくは、Rは、電子供与基(例えば、Ullmanら、米国特許第6,251,581号;SmithおよびMarch,March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版(Wiley−Interscience,New York,2001);など)である。より好ましくは、Rは、1〜8個の炭素原子ならびにO、S、およびNからなる群より選択される0〜4個のヘテロ原子を有する電子供与基である。さらに好ましくは、Rは、−N(Q)2、−OQ、p−[C6H4N(Q)2]、フラニル、n−アルキルピロリル、2−インドリルなどであり、ここでDは、アルキルまたはアリールである。さらに、図10Cのオレフィンの切断可能な連結に関連して、置換基「X」および置換基「R」は、切断可能な連結(L)を説明する上記の式の置換基「X」および置換基「Y」に相当する。特に、図10CのXは、好ましくは、モルホリノ、−OR’、またはSR’’であり、ここでR’およびR’’は、1〜8個の炭素原子ならびにO、S、およびNからなる群より選択される0〜4個のヘテロ原子を有する脂肪族、芳香族、脂環式、または複素環式である。好ましいチオエーテルの切断可能な連結は、図10Dに図示され、形態「−(CH2)2−S−CH(C6H5)C(=O)NH−(CH2)n−NH−」を有し、ここで、nは、2〜12の範囲内であり、そしてより好ましくは、2〜6の範囲内である。図10Dに示される型の、チオエーテルの切断可能な連結は、図10Eおよび図10Fに示される前駆体の複素環式によって、連結部分(T)および電気泳動タグ(E)へ結合され得る。結合部分(T)のアミノ基に結合するために、末端のヒドロキシルは、従来の化学によってNHSエステルに転換される。アミノ基との反応および付着後、Fmoc保護基は、遊離アミンを生じるように取り除かれ、次いでこの遊離アミンは、最後の反応工程が、ホスホロアミダイト基の代わりにNHSエステルの添加であることを除いて、e−タグのNHSエステル(例えば、図1、図2、および図4のスキームによって生成される化合物)と反応する。
【0071】
電気泳動タグEは、活性種(特に一重項酸素)に関して安定であり、検出基またはレポーター基を含む水溶性有機化合物である。さもなければ、Eは、サイズおよび構造が広く変化し得る。好ましくは、Eは、中性pHにて電荷を有し、約150〜約10,000ダルトン、より好ましくは、約150〜約5000ダルトン、最も好ましくは、約150〜2500ダルトンの範囲の分子量を有する。Eの好ましい構造は、以下に十分に記載される。好ましくは、その検出基は、電気化学的シグナル、蛍光シグナルまたは発色性(chromogenic)シグナルを生成する。最も好ましくは、その検出基は、蛍光シグナルを生成する。本発明の組成物は、本発明の多重化アッセイを行うためにともに使用され得る複数の電気泳動タグを含む。好ましくは、組成物中のその複数の電気泳動タグは、少なくとも5種類、より好ましくは、少なくとも10種類である。さらにより好ましくは、その複数というのは、5〜200の範囲、より好ましくは、5〜100の範囲、または5〜75の範囲、または5〜50の範囲、または10〜30の範囲である。好ましくは、複数の組成物内の電気泳動タグは、各々、同じ複数の他のメンバーに対して、独自の電荷−対−質量比および/または独自の光学特性のいずれかを有する。好ましくは、その光学特性は、発光スペクトル、蛍光寿命などのような蛍光特性である。より好ましくは、その蛍光特性は、発光スペクトルである。例えば、複数の各電気泳動タグが、同じ蛍光発光特性を有し得るが、各々、互いに、独自の電荷−対−質量比が異なり得る。他方、複数の電気泳動タグの2種類以上が、同一の電荷−対−質量比を有し得るが、それらは、独自の蛍光特性(例えば、分光光度的に分離可能な発光スペクトル)を有し、その結果、その複数の全てのメンバーが、電気泳動分離および蛍光測定の組み合わせにより区別される。
【0072】
好ましくは、複数の電気泳動タグは、電気泳動分離および蛍光により検出される。好ましくは、実質的に同一の蛍光特性を有する電気泳動タグは、異なる電気泳動移動度を有し、その結果、電気泳動図における別個のピークが、分離条件で形成される。電気泳動分離度は、隣接するピークの差異の測定または隣接するピークの重なりがないことである。これは、それらピークの2つの標準偏差の大きい方を4倍で割った、隣接する最大ピーク間の距離である。好ましくは、隣接するピークは、少なくとも1.0の分離能、より好ましくは、少なくとも1.5の分離能、最も好ましくは、少なくとも2.0の分離能を有する。所定の分離および検出システムにおいて、所望の分離能は、複数の電気泳動タグ(そのメンバーは、少なくともピーク分離量(peak−resolving amount)が異なる電気泳動移動度を有する)を選択することにより得られ得、そのような量は、当業者に周知のいくつかの要因(シグナル検出システム、蛍光部分の性質、タグの拡散係数、ふるいマトリックスの存在または非存在、電気泳動装置の性質(例えば、チャネルの存在または非存在、分離チャネルの長さ)など)に依存する。好ましくは、本発明の複数の電気泳動タグは、従来のふるいマトリックスの存在または非存在下のいずれかで、従来のキャピラリー電気泳動装置により分離される。例示的なキャピラリー電気泳動装置としては、Applied Biosystems(Foster City,CA)モデル310、モデル3100およびモデル3700;Beckman(Fullerton,CA)モデルP/ACE MDQ;Amersham Biosciences(Sunnyvale,CA)MegaBACE 1000または4000;SpectruMedix遺伝子分析システムなどが挙げられる。好ましくは、そのような従来の装置において、複数の電気泳動タグの電気泳動移動度は、少なくとも1%、より好ましくは、少なくとも1〜10%の範囲の百分率で異なる。
【0073】
電気泳動移動度は、q/M2/3に比例し、ここでqは、分子の電荷であり、Mは、分子の質量である。望ましくは、最も近い電気泳動標識の間の決定の条件下での移動度の差異は、少なくとも約0.001、通常は、0.002、より通常には、少なくとも約0.01であり、そして0.02以上であり得る。
【0074】
電気泳動タグEの好ましい構造は、(M,D)である。ここでMは、移動度調節部分であり、Dは、検出部分である。表記「(M,D)」は、M部分およびD部分の順番が、いずれの部分も切断可能な連結Lに隣接し得るようなものであることを示すために使用される。すなわち、「T−L−(M,D)」は、2つの形態:「T−L−M−D」または「T−L−D−M」のいずれかの電気泳動プローブを示す。
【0075】
検出部分Dは、蛍光標識または蛍光色素、発色性標識または発色性色素、電気化学的標識などであり得る。好ましくは、Dは、蛍光色素である。本発明で使用するための例示的な蛍光色素としては、以下の参考文献に開示される、水溶性ローダミン色素、フルオレセイン、4,7−ジクロロフルオレセイン、ベンゾキサンテン色素、およびエネルギー移動色素が挙げられる:Handbook of Molecular Probes and Research Reagents,第8版(Molecular Probes,Eugene,2002);Leeら,米国特許第6,191,278号;Leeら,米国特許第6,372,907号;Menchenら,米国特許第6,096,723号;Leeら,米国特許第5,945,526号;Leeら,Nucleic Acids Research,25:2816−2822(1997);Hobb,Jr.,米国特許第4,997,928号;Khannaら,米国特許第4,318,846号;Reynolds,米国特許第3,932,415号;Eckertら,米国特許第2,153,059号;Eckertら,米国特許第2,242,572号;Taingら,国際特許公開WO02/30944など。さらに具体的な例示的蛍光色素としては、5−カルボキシローダミン6Gおよび6−カルボキシローダミン6G;5−カルボキシ−X−ローダミンおよび6−カルボキシ−X−ローダミン、5−カルボキシテトラメチルローダミンおよび6−カルボキシテトラメチルローダミン、5−カルボキシフルオレセインおよび6−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、ならびに2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインが挙げられる。最も好ましくは、Dは、フルオレセインまたはフルオレセイン誘導体である。本発明で使用するための例示的な最も好ましい色素は、図6Aおよび6Bに示される。
【0076】
Mは、一般に、化学基または特定の電荷−対−質量比、従って、規定の電気泳動システムにおいて特定の電気泳動移動度を有するかまたは有するように設計された部分である。移動度調節部分の例示的な型は、以下で議論される。n個の電気泳動プローブのセットにおいて、各々の独自の移動度調節因子が、Mjとして示され、ここでj=1〜nであり、nは、上記の値を有する。移動度調節部分は、質量改変領域および/もしくは電荷改変領域、または質量改変領域および電荷改変領域の両方として作用するシグナル領域を含むと考えられ得る。本発明において利用されるプローブセットにおいて、移動度調節部分は、以下の特徴のうち、1以上を有し得る:(i)質量の変動(電荷の変導ではない)に起因する独自の電荷−対−質量比;(ii)質量および電荷の両方に起因する独自の電荷−対−質量比;ならびに(iii)−約0.0001〜約0.5、通常は、約−0.001〜約0.1の独自の電荷−対−質量比。上記のように、Dは、代表的には、異なる電気泳動プローブのセットまたは複数の異なる電気泳動プローブの中で共通しているが、またプローブセットの中で異なってもよく、このことは、放出されたe−タグの独自の電気泳動移動度に寄与する。
【0077】
移動度調節部分Mのサイズおよび組成は、鎖中の結合から約100個の原子、通常には、約60個以下の原子、より通常には、約30個以下の原子まで変動し得る。ここでその原子は、炭素、酸素、窒素、リン、ホウ素および硫黄である。一般に、結合以外の場合、移動度調節部分は、約0〜約40個のヘテロ原子、より通常は、約0〜約30個のヘテロ原子である。上記で示したヘテロ原子に加えて、この移動度調節部分は、ハロゲンまたは他のヘテロ原子を含み得る。水素以外の原子の総数は、一般に、約200個未満の原子、通常は、約100個未満の原子である。酸性基が存在すると、移動度調節部分が存在する媒体のpHに依存して、種々の陽イオンが、酸性基と会合し得る。その酸は、有機酸であっても無機酸であってもよく、カルボン酸、チオノカルボン酸(thionocarboxyl)、チオカルボン酸、ヒドロキサム酸、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ボロン酸(boronic)、硝酸、亜硝酸などが挙げられる。正電荷については、置換基としては、アミノ(アンモニウムを含む)、ホスホニウム、スルホニウム、オキシニウムなどが挙げられ、ここで置換基は、一般に、約1〜6個の炭素原子(1個のヘテロ原子あたりの炭素原子の総数)の脂肪族であり、通常は、約12個未満であり、通常は、約9個未満である。側鎖は、アミン、アンモニウム塩、ヒドロキシル基(フェノール基を含む)、カルボキシル基、エステル、アミド、ホスフェート、複素環を含む。Mは、ホモオリゴマーまたはヘテロオリゴマー(これは、同じかまたは異なる化学的特徴の異なるモノマー(例えば、ヌクレオチドおよびアミノ酸)を有する)であり得る。
【0078】
荷電した移動度調節部分は、一般に、負電荷のみまたは正電荷のみを有するが、特に、その移動度調節部分が結合した領域が、荷電しており、その移動度調節部分が反対の電荷を有する場合、電荷の組み合わせもまた有し得る。移動度調節部分は、オリゴマー化のために異なる官能基を提供する単一のモノマーを有し、そして電荷を有し得るか、または2つのモノマーが使用され得、一般には、2つのモノマーが使用され得る。置換されたジオールが使用され得る。ここで、置換基は荷電しており、二塩基酸である。このようなオリゴマーの例は、ジオールまたはジアミノ(例えば、2,3−ジヒドロキシプロピオン酸、2,3−ジヒドロキシコハク酸、2,3−ジアミノコハク酸、2,4−ジヒドロキシグルタール酸など)の組み合わせである。ジオール化合物またはジアミノ化合物は、二塩基酸により結合され得、その二塩基酸は、上記の無機二塩基酸、ならびにシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、炭酸などのような二塩基酸を含む。エステルを使用する代わりに、アミドが使用され得る。ここで、アミノ酸またはジアミンおよび二酸が使用され得る。あるいは、ヒドロキシルまたはアミンが、アルキレン基またはアリーレン基と連結され得る。
【0079】
電荷を提供する置換基を有するモノマー、または電荷を提供するように改変され得る置換基を有するモノマーを使用することにより、所望の電荷−対−質量比を有する移動度調節部分が提供され得る。例えば、セリンまたはスレオニンを使用することにより、負に荷電した移動度調節部分を提供するように、ホスフェートによりヒドロキシル基が改変され得る。アルギニン、リジンおよびヒスチジンを用いると、正に荷電した移動度調節部分が提供される。オリゴマー化は、適切なサイズにされた移動度調節部分を提供するように、従来の様式で行われ得る。異なる移動度調節部分は、異なる次元のオリゴマーを使用し、一般に、1〜20のモノマー単位、より通常は、約1〜12モノマー単位を有する。ここで、単位は、1〜2の異なるモノマーを有し得るそれぞれの単位を意図する。大部分については、オリゴマーは、核酸標的結合領域以外の領域とともに使用され得る。そのモノマー単位の多官能性は、他の部分への結合のために使用され得る末端にて官能基を提供し、その結果、反応に利用可能な官能基を使用して、異なる官能基を提供し得る。例えば、カルボキシル基とアミノエチルチオールを反応させて、活性化オレフィンとの反応のために、カルボキシル基をチオール官能基と置き換え得る。
【0080】
約1〜約3電荷を有するモノマーを使用することにより、少数のモノマーを使用し得、分子量の変化による移動度のバリエーションを提供し得る。約2〜4の各官能基を有するポリオールポリカルボン酸(例えば、酒石酸、2,3−ジヒドロキシテレフタル酸、3,4−ジヒドロキシフタル酸、Δ5−テトラヒドロ−3,4−ジヒドロキシフタル酸など)が特に興味深い。さらなる負電荷を提供するために、これらのモノマーを、リン酸誘導体のような二塩基酸とオリゴマー化して、リン酸ジエステルを形成し得る。あるいは、カルボン酸をジアミンとともに使用して、ポリアミドを形成し得る一方、ヒドロキシ基を使用してリン酸エステルのようなエステル、またはグリコール酸のエーテルのようなエーテルなどを形成し得る。移動度を変動させるために、異なる分子量の種々の脂肪族基(例えば、ポリメチレン基、ポリオキシアルキレン基、ポリハロ脂肪族基または芳香族基、ポリオール(例えば、糖))が使用され得る。ここで移動度は、少なくとも約0.01、より通常は、少なくとも約0.02、およびより通常は、少なくとも約0.5異なる。
【0081】
別の局面において、(M,D)部分は、コンビナトリアルライブラリーの作製において使用される化学的足場から構築される。例えば、以下の参考文献は、多様な移動度調節部分を生成する際に有用な足場化合物を記載する:ペプトイド(PCT公開番号WO91/19735、1991年12月26日)、コードされたペプチド(PCT公開WO93/20242、1993年10月14日)、ランダム生体オリゴマー(PCT公開WO92/00091、1992年1月9日)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ディバーソマー(diversomer)(例えば、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチド)(Hobbs DeWitt,S.ら,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.90:6909−6913(1993)、ビニル性(vinylogous)ポリペプチド(Hagiharaら.J.Amer.Chem.Soc.114:6568(1992))、β−D−グルコース足場を有する非ペプチド性ペプチド模倣物(Hirschmann,R.ら,J.Amer.Chem.Soc.114:9217−9218(1992))、低分子化合物ライブラリーの類似有機合成(Chen,C.ら.J.Amer.Chem.Soc.116:2661(1994))、オリゴカルバメート(Cho,C.Y.ら、Science 261:1303(1993))、ペプチジルホスホネート(Campbell,D.A.ら,J.Org.Chem.59:658(1994));Chengら,米国特許第6,245,937号;Heizmannら,「Xanthines as a scaffold for molecular diversity」,Mol.Divers.2:171−174(1997);Paviaら,Bioorg.Med.Chem.,4:659−666(1996);Ostreshら,米国特許第5,856,107号;Gordon,E.M.ら,J.Med.Chem.37:1385(1994);など。好ましくは、この局面において、Dは、足場上の置換基であり、Mは、足場の残りである。
【0082】
なお別の局面において、(M,D)部分は、1以上の同じか、または頃なる一般的な、または市販される連結試薬、架橋試薬および標識試薬から構築される。これらの試薬は、特に、合成の全てまたは一部について市販のDNA合成機またはペプチド合成機を使用して、容易なアセンブリを可能にする。この局面において、(M,D)部分は、ホスホジエステルおよびアミド結合により通常は結合されるサブユニットから作製される。例示的な前駆体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ジメトキシトリチル(DMT)保護化ヘキサエチレングリコールホスホロアミダイト、6−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、12−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ドデシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、2−[2−(4−モノメトキシトリチル)アミノエトキシ]エチル−(2−シアノエチル)、N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、(S−トリチル−6−メルカプトヘキシル)−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、5’−フルオレセインホスホロアミダイト、5’−ヘキサクロロ−フルオレセインホスホロアミダイト、5’−テトラクロロ−フルオレセインホスホロアミダイト、9−O−ジメトキシトリチル−トリエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]ホスホロアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−1’2’−ジデオキシリボース−3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、18−O−ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデシル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、1−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]−3−[5−フルオレノメトキシカルボニルオキシペンチルアミド]−プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、スクシンイミジル−trans−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジルアセチルチオアセテート、テキサスレッド−X−スクシンインミジル、5−カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステルおよび6−カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル、ビス−(4−カルボキシピペリジニル)スルホンローダミン−ジ−(スクシンイミジルエステル)、5−((N−(5−アミノペンチル)アミノカルボニル)テトラメチルローダミンおよび6−((N−(5−アミノペンチル)アミノカルボニル)テトラメチルローダミン、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB);N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル(GMBS);p−ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA);4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH);等の試薬。上記の試薬は、例えば、Glen Research(Sterling,VA)、Molecular Probes(Eugene,OR)、Pierce Chemicalなどの試薬供給元から市販されている。従来の合成スキームにおける上記試薬の使用は、当該分野で周知である(例えば、Hermanson,Bioconjugate Techniques(Academic Press,New York,1996))。特に、Mは、以下の試薬から構築され得る:ジメトキシトリチル(DMT)保護ヘキサエチレングリコールホスホロアミダイト、6−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、12−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ドデシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、2−[2−(4−モノメトキシトリチル)アミノエトキシ]エチル−(2−シアノエチル)、N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、(S−トリチル−6−メルカプトヘキシル)−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、9−O−ジメトキシトリチル−トリエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−1’,2’−ジデオキシリボース−3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、18−O−ジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデシル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]ホスホロアミダイト、1−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]−3−[5−フルオレノメトキシカルボニルオキシペンチルアミド]−プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、スクシンイミジル−trans−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジルアセチルチオアセテート、スクシンイミジル−4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB);N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル(GMBS);p−ニトロフェニルヨードアセテート(NPIA);および4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)。
【0083】
Mはまた、公知のポリマーサブユニット合成法により調製されるポリマー鎖を含み得る。選択された長さのポリエチレンオキシド含有鎖を形成する方法は、周知である(例えば、Grossmanら、米国特許第5,777,096号)。これらの方法(これらの方法は、規定されたサイズの複数サブユニットポリマー単位を、直接または連結基を通じて互いにカップリングすることを含む)は、広範な種々のポリマー(例えば、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド)、ポルエステル(例えば、ポリグリコール酸、ポリ乳酸)、ポリペプチド、オリゴサッカリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリスルホキシド、ポリホスホネート、およびそれらのブロックコポリマー)に適用可能であり、これらのポリマーとしては、荷電した連結基または荷電していない連結基により連結された複数サブユニットの単位から構成されることが理解され得る。ホモポリマーに加えて、本発明に従って使用されるポリマー鎖としては、選択された長さのコポリマー(例えば、ポリエチレンオキシドユニットが、ポリプロピレンユニットと交互になったコポリマー)が挙げられる。別の例としては、ホモポリマーまたは混合されたポリマーとして選択された長さのポリペプチドおよびアミノ酸組成(すなわち、天然に存在するアミノ酸残基または人工のアミノ酸残基を含む)である。
【0084】
別の局面において、(M,D)の検出部分は、エネルギー移動機構により、蛍光シグナルを生成する。好ましくは、この局面において、Dは、形態「D1−g−D2」を有し、ここでD1およびD2は、分子のアクセプター−ドナー対であり(例えば、Wuら,Anal.Biochem.,218:1−13(1994))、gは、実質的に一定の距離でD1およびD2を維持する剛性リンカーである。剛性リンカーgを選択する際の手引きは、Weら(上記)および米国特許第5,863,727号;同第5,800,996号;同第5,945,526号;および同第6,008,379号に見いだされ得る。D1またはD2のいずれかは、対におけるアクセプター分子であり得、他方は、ドナー分子であり得る。本発明で使用するための例示的なエネルギー移動検出部分は、Leeら,米国特許第5,945,526号;Leeら,Nucleic Acids Research, 25:2816−2822(1997);Taingら,国際特許公開WO02/30944などの参考文献に開示される。好ましくは、剛性リンカーgは、D1とD2との間の距離が、10〜100Åの範囲内の、実質的に一定の距離に維持されるように選択される。広範な種々の連結基は、連結が一重項酸素の存在に対して安定であれば、使用され得る。好ましくは、D1およびD2は、フルオレセイン、ローダミン、ローダミン6G、ローダミン110、ローダミンX、テトラメチルローダミン、およびそれらのハロゲン化誘導体のセットから選択される。より好ましくは、D1およびD2は、ともにフルオレセイン色素である。
【0085】
1つの局面において、gは、R1−R2−R1およびR1−R2−C(=O)−X1−R3のいずれかから選択され得、後者は、D1およびD2に関していずれかの配向にて存在する;ここでX1は、O、SまたはNHであり; R1は、(C1〜C5アルキルジイル,X1,C(=O))であり、その結果、括弧中の部分の3つのうちのいずれか1つは、いずれの直線上の順番でも並べられる;R2は、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、フラン、ピロール、イソピロール、イソアゾール、ピラゾール、イソイミダゾール、ピラン、ピロン、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンオキサジン、インデン、ベンゾフラン、チオナフテン、インドールおよびナフタレンからなる群より選択される5〜6員環であり;R3は、C1〜C5アルキルジイルである。
【0086】
好ましい局面において、放出後、電気泳動タグEは、以下の式:
A−M−D
により規定され、ここで、
Aは、−C(=O)R(ここでRは、1〜8個の炭素原子、ならびにO、S、およびNから鳴る群より選択される0〜4個のヘテロ原子を有する脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式である);−CH2−C(=O)−NH−CHO;−SO2H;−CH2−C(=O)O−CHO;−C(=O)NH−(CH2)n−NH−C(=O)C(=O)−(C6H5)(ここでnは、2〜12の範囲である)であり;
Dは、蛍光色素であり;そして
Mは、上記の通りである。ただし、A−M−Dの総分子量は、約150〜約5000ダルトンの範囲内にある。
【0087】
好ましい局面において、Dはフルオレセイン(例えば、上記のような)であり、図6Aおよび6Bに例示され、A−M−Dの総分子量は、約150〜約2500ダルトンの範囲内である。
【0088】
別の好ましい局面においてDは、上記に記載されるように、形態「D1−g−D2」である。
【0089】
いくつかの実施形態において、eタグ部分は、荷電している必要はなく、単に質量が異なっているのみである。従って、同じモノマーまたは類似のモノマーが使用され得、ここでその官能基は、中性であるかまたは中性になるように、例えば、カルボン酸のエステルおよびアミドにされる。また、同位体置換(例えば、2H、18O、14Cなど)により、eタグ部分を変動させ得る。
【0090】
複数の電気泳動タグは、リジン、アルギニンおよびヒスチジンから生じる正電荷またはアスパラギン酸およびグルタミン酸から生じる負電荷のいずれかの電荷を提供するためのオリゴペプチド(特に、2〜6個のモノマー、通常は、2〜4個のモノマーのオリゴペプチド)を含み得る。当然のことながら、天然に存在するアミノ酸を使用する必要はなく、非天然アミノ酸または合成アミノ酸(例えば、タウリン、リン酸置換型のセリンまたはスレオニン、S−α−スクシニルシステイン、ジアミンとアミノ酸のコオリゴマーなど)が使用され得る。
【0091】
本発明の1つの実施形態において、電荷付与部分は、従来通り、アミノ酸から主に構成されるが、1〜5つの炭素原子を有するチオ酸および他のカルボン酸もまた含み得る。その電荷付与部分は、一部分あたり約1〜約30、好ましくは、約1〜約20、より好ましくは、約1〜約10アミノ酸を有し得、約1〜約3個のチオ酸もしくは他のカルボン酸もまた含み得る。しかし、荷電していない部分領域(sub−region)とともに使用する場合、その荷電した部分領域は、一般に、約1〜約4アミノ酸、頻繁には、約1〜約3アミノ酸を有する。上記のように、任意のアミノ酸(天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸の両方)が使用され得る。
【0092】
特定の実施形態において、T−L−M−Dは、以下の式:
T−L−(アミノ酸)n−L’−蛍光物質(Fluorescer)
によって示され得る。
ここでL’は、結合または1〜20個の原子(水素以外)の連結基であり、nは、1〜20であり、Lは、ペプチド結合部分に対する切断可能な連結である。この実施形態において、Tは、切断可能な連結により末端アミノ酸に連結される。この実施形態の例は、例示であって限定ではなく、蛍光物質がフルオレセインであり、L’が、フルオレセインのメタ−カルボキシル基とリジンの末端アミノ基に関連するアミド結合の形態にある結合であり、Tが、ポリペプチド結合部分であるものである。
【0093】
このような標識結合体に基づく電気泳動タグの例は、以下のように示され得る:
フルオレセイン−(CO)NH−(CH2)4−NH−(アミノ酸)n
ここで、具体的な化合物の式および中性pHでの電荷は、表2に示される。
【0094】
【表2】
別の実施形態において、移動度調節部分Mは、アルキレンまたはアラルキレン(約1〜約2個の脂肪族領域、および約1〜約2個の芳香族領域、(一般的にはベンゼン)を有する二価の脂肪族基)の使用に依存し、ここではそれらの基は、置換されるか非置換であり得、通常は、非置換であり、約2個〜約16個、より通常は約2個〜約12個の炭素原子を有し得、この場合、移動度調節部分は、モノマーの単位(例えば、1ヌクレオチド)に同一の蛍光剤または異なる蛍光剤を結合し得る。移動度調節部分は、カルボキシ基、ヒドロキシ基またはアミノ基で終結し得、これらはエステルまたはアミドとして存在する。発蛍光団上の置換基を変化することによって、当業者は少なくとも約5個以上、通常は少なくとも約9個の単位で、その質量を変化させ得、キャピラリー電気泳動において満足行く分離を獲得し得る。さらなる変化を提供するために、チオスクシンイミド基を使用して、炭素原子の総数は約2〜約30の範囲内、より通常は約2〜約20の範囲内にあり得るように、窒素または硫黄にアルキレン基またはアラルキレン基を結合し得る。上記の基の代替もしくは組み合わせにおいて、そして親水性を付加するために、当業者はアルキレンオキシ基を使用し得る。
【0095】
既に示されたように、移動度調節部分の性質に加えて、標識の化学的および光学的特徴、エネルギー移動複合体の使用、移動度調節部分の化学的性質における変化(これは、移動度に影響する(例えば、フォールディング))、溶媒と溶媒中のイオンとの相互作用、などによって、多様性を成し得る。本発明の1つの実施形態において、移動度調節部分はオリゴマーであり得、この場合、移動度調節部分は、支持体上で合成され得るか、または適切な宿主中でのクローニングもしくは発現によって生産され得る。都合のよいことに、ポリペプチドは、末端基以外に唯一のシステイン、またはセリン/スレオニン/チロシン、アスパラギン酸/グルタミン酸、またはリジン/アルギニン/ヒスチジンが存在し、その結果独特な官能性が存在するよう生産され得、それは異なって官能化され得る。保護基を使用することによって、当業者は末端アミノ酸の官能性から側鎖の官能性を区分し得る。また、適切な設計によって、当業者は、移動度調節部分の上の異なる部位に存在する同一の官能性の間に好ましい反応を提供し得る。当業者がオリゴペプチドの調製に合成を使用するかまたはクローニングを使用するかは、移動度調節部分の長さに実質的な程度まで依存し得る。
【0096】
置換されたアリール基は、質量改変領域および電荷改変領域の両方として役立ち得る。種々の官能性は、芳香族基(例えば、フェニル)上で置換されて、e−タグレポーターに質量および電荷を提供し得る。アリール基は末端基であり得、この場合、唯一の結合官能性を必要とし、その結果遊離したヒドロキシル基は、アシル化され得るか、e−タグレポーター鎖上に存在するヒドロキシルに、側鎖として結合され得るか、または2つの官能性(例えば、フェノールのヒドロキシル)を有し得、これらの官能基は、亜リン酸エステル形成および他の置換基(例えば、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、など、これらの基は電荷を有してよいし、または電荷を有さなくてもよい)に有用であり得る。
【0097】
標識結合体は、当該分野で周知の結合技術を利用して調製され得る。Mは、互いの分子連結を提供する官能基を有するより小さな分子から合成され得、通常は直鎖であり得る。このような官能基としては、カルボン酸、アミンおよびヒドロキシ基またはチオール基が挙げられる。本発明に従って、電荷を付与する部分は、中心鎖から延びた1つ以上の側鎖基を有し得る。側鎖基は、標識または電荷付与部分の別の分子との結合を提供する官能性を有する。使用される官能基の反応から生じる共通の官能性は、結合体化される分子間の共有結合を形成することによって例示される。このような官能性は、ジスルフィド、アミド、チオアミド、ジオール、エーテル、尿素、チオウレア、グアニジン、アゾ、チオエーテル、カルボキシレート、ならびに硫黄およびリンを含むエステルおよびアミド(例えば、スルホネート、リン酸エステル、スルホンアミド、チオエステルなど)などである。
【0098】
e−タグ部分の成分の連結が、上記に論じられる。検出部分と移動度調節部分との間の連結は一般的に、切断誘導部分の活性化に対して安定であり、その結果、移動度調節部分および検出部分は、e−タグプローブからのe−タグレポーターの切断中に、e−タグプローブからのインタクトな単位として放出され得る。
【0099】
大部分に対して、移動度調節部分は結合(この場合、検出可能な部分または標識は、標的結合部分と直接結合され得る)、または鎖中に約1〜約500個もしくはそれ以上、通常は約1〜約300個の原子、より通常は約2〜約100個の原子の連結であり得る。この実施形態において、鎖中の原子の総数は、決定されるべきすべての標的を認識するために必要な多様性に実質的な程度まで依存する。大部分の移動度調節部分の鎖は、炭素、窒素、酸素、リン、ホウ素または硫黄から構成される。種々の置換が移動度調節部分上に存在し得、これらは、天然に存在するモノマーの一部として天然に存在し得るか、または合成により導入され得る。鎖中に存在し得る官能性としては、アミド、リン酸エステル、エーテル、エステル、チオエーテル、ジスルフィド、ホウ酸エステル、硫酸エステル、などが挙げられる。側鎖には、アミン、アンモニウム塩、ヒドロキシル基が挙げられ、フェノール類基、カルボキシル基、エステル、アミド、ホスフェート、ヘテロ環、特に窒素へテロ環、(例えば、ヌクレオシド塩基)およびアミノ酸側鎖(例えば、イミダゾールおよびキノリン)、チオエステル、チオール、または電気泳動のタグの移動度を変えるための目的の他の基)が挙げられる。
【0100】
移動度調節部分は、ホモオリゴマー、同じ化学的特徴かもしくは異なる化学的特徴のモノマー(例えば、ヌクレオチドおよびアミノ酸を有する)またはヘテロオリゴマーであり得る。1つの実施形態において、e−タグ部分はリンカーを有し得、これは移動度調節部分と検出可能な標識分子(通常は、蛍光剤)、または検出可能な標識分子への連結のために使用され得る官能性との間の結合を提供する。検出可能な標識分子とそれぞれ結合され得る異なる官能性を有することによって、当業者は電気泳動タグの多様性についての機会を増大する。異なる官能性と結合させるために異なる蛍光剤を使用することにより、異なる蛍光剤は、電気泳動タグについて光の発光および電荷 対 質量の比率において差異を提供し得る。
【0101】
(複数の電気泳動タグと結合部分との結合)
ポリペプチドに関するアッセイにおいて、個々の標的分子に関連する結合事象についての複数のe−タグレポーターの放出を有することは、有利である。ある意味において、このことはシグナルの増幅を生じる。望ましくは、そのような各結合事象について放出されたe−タグレポーターの数は、約6×103〜約6×1010、好ましくは約6×104〜約6×108である。ポリペプチド結合部分が結合のための複数の部位を有する場合(例えば抗体)、e−タグ部分の結合のために、複数の結合部位が抗体上に存在する。e−タグプローブのポリペプチド結合部分がポリペプチドに結合して、第1の結合因子の第1結合部分がポリペプチド上の結合された結合部位に結合して、従って切断可能な連結の非常に近位に切断誘導部分を誘導する場合、複数のe−タグレポーターは単一のポリペプチドに関する結合事象に対して放出される。例えば、抗体へのe−タグ部分の結合は、抗体1分子当たり約2〜約10分子のe−タグ部分を生じ得る。
【0102】
放出されるe−タグレポーターの数をさらに増加するために、e−タグ部分はハブ(hub)と切断可能に結合されて、そのハブに、e−タグプローブのポリペプチド結合部分はまた、比較的安定な様式で結合される。複数の結合部位を有するポリペプチド結合部分については、複数のハブは、各ハブが放出のための複数のe−タグ部分を有する、ポリペプチド結合部分に結合され得る。従って、ハブの核は、通常はポリマー性の多機能性物質であり、結合のための部位として、複数の官能基(例えば、ヒドロキシ、アミノ、メルカプト、カルボキシ、エチレン性、アルデヒド、など)を有する。ハブ上のこれらの官能性は、結合されるe−タグ部分またはポリペプチド結合部分の上の官能性と反応性である官能性であるべきである。いくつかの官能性は、望まれない副反応加わらない能力に起因して、他のもの以上に好ましい。ハブの核は水溶性であっても水に不溶性であってもよい。ハブの核は、通常、少なくとも約35,000の分子量であり、そして約1000万以上の分子量であり得るが、通常は約600,000以下、より通常は300,000以下である。例示的なハブの核としては、ポリサッカライド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、イオン交換樹脂などが挙げられる。1つの局面において、ハブは分枝したリンカーであり、これはe−タグ部分の結合のための複数の部位を有する。複数部位のリンカーは、ポリペプチド結合部分を結合するための結合部位および複数のe−タグ部分の結合のための複数の部位を有する。無論、e−タグ部分は、本発明に従って、切断誘導部分によって切断可能な官能性を含む連結によって結合されなければならない。
【0103】
1つの実施形態において、ハブの核は、親水性ポリマーであり、一般的に、複数の部分の結合を可能とする複数の官能性を有する付加ポリマー、または縮合ポリマーである。本発明の試薬に有用であるポリマーの1クラスは、ポリサッカライドポリマーを含む。デキストラン、セファロース、ポリリボース、ポリキシロースなどのようなポリサッカライドが使用され得る。ポリマーの別のクラスは、置換されたエチレン型またはブタジエン型のモノマー(プロピレンのような短鎖非置換モノマーを含む)の付加重合より生じるポリマーであり、ここで、これらのモノマーは、親水性基であるかまたは親水基に誘導体化され得る置換基を有する。このエチレンに結合され得る適切な親水性基としては、ヒドロキシ、カルボキシ、ならびにこれらのエステルおよびアミド、アミンなどが挙げられる。アクリル酸モノマーが使用される場合、この酸は、重合の前または後に、適切な反応基に誘導体化され得る。従って、例えば、エチレングリコールおよびアクリル酸から形成されるエステルは、e−タグプローブの成分への誘導体化のためにヒドロキシル基を提供する。他の適切なポリマーとしては、ポリアリルアミンおよび例えば、ポリビニルアルコールのようなポリアリルアルコールが挙げられる。単一のモノマーから誘導されるポリマーを利用することに加えて、混合のポリマーもまた利用され得る。この場合、親水性は、ポリエチレングリコールのような非反応性成分によって提供され得、次いでこれはさらにe−タグプローブの成分との反応のための適切な官能基を有するモノマーへと重合される。1つのこのようなポリマーは、ポリエチレングリコールとポリビニルアルコールとのコポリマーである。ハブの1つの特定の例はデキストランであり、これにデキストランの1分子当たり約10〜約300分子のe−タグ部分が結合され得る。
【0104】
粒子を使用して、e−タグプローブ中に存在するe−タグ部分の数を増加し得る。この粒子は固体(例えば、有機ポリマーおよび非有機ポリマーまたはラテックスから構成される)、油滴(例えば、炭化水素、フッ化炭素、シリコン液体)、または小胞(例えば、リン脂質のような合成物もしくは細胞およびオルガネラのような天然物)であり得る。固体粒子は通常は、付加ポリマーまたは重合ポリマーのいずれかのポリマーであり、これらは容易にアッセイ溶媒中に分散し得る。e−タグ部分は、本発明に一致した、切断可能な連結によって粒子に連結される。この方法で、約100〜約105個のe−タグ部分が1つの粒子に連結され得る。この粒子は普通は、この粒子に結合された少なくとも1つのポリペプチド結合部分を有する。この粒子に複数のデキストラン分子を結合させ、そして上記のような切断可能な連結によって複数のe−タグ部分をデキストランに連結することもまた、本発明の範囲内である。
【0105】
本発明のe−タグプローブの特定の実施形態において、ポリペプチド結合部分は抗体である。多くの異なる反応を使用して、抗体に化合物を共有結合し得る。このことは、抗体分子のアミノ酸残基の反応によって達成されており、これら残基としては、リジンのアミン基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基ならびに芳香族アミノ酸の種々の部分が挙げられる。抗体との結合体化は、ランダムまたは部位特異的であり得る。部位特異的結合体化のために、リンカーまたは移動度調節部分を、任意の利用可能な様式で標的結合部分の1ユニット(例えば、抗体のFc部分またはヒンジ領域中のジスルフィド)と連結され得る。ランダムな結合体化のために、抗体のアミン基(例えば、N末端またはリジン)を使用し得る。あるいは、カルボキシレート基(例えば、C末端、アスパラギン酸、グルタミン酸)を使用し得る。他の例としては、チオール基が挙げられる。抗体に結合する時の主要な考慮は、抗体の識別特性または特異性、および活性の保持である。
【0106】
抗体への結合のための特定のアプローチは、公知である。1つのこのようなアプローチは、抗体のアミノ基(またはカルボキシ基)に、化合物のカルボキシ基(またはアミノ基)を連結させるカルボジイミド反応である。さらに、ジアルデヒドまたはイミドエステルのような二官能性の試薬を使用して、抗体分子のアミノ基に化合物のアミノ基を連結させた。別のアプローチにおいて、シッフ塩基反応を使用して、抗体分子に化合物を連結させる。この方法は、グリコール基またはヒドロキシ基を含む連結される化合物の、過ヨウ素酸酸化、従って抗体分子と次いで反応するアルデヒドを形成する工程を包含する。結合は、抗体分子のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して起こる。さらに、イソシアネートが、化合物を抗体に共有結合させるためのカップリング試薬として使用されている。酸化抗体または酸化抗体フラグメントとの反応のための適切なリンカーとしては、1級アミン基、2級アミン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、ヒドロキシルアミン基、フェニルヒドラジン基、セミカルバジド基、およびチオカルバジド基からなる群より選択されるアミンを含むリンカーが挙げられる。このような反応性の官能基は、リンカー構造の一部として存在し得るか、またはこのような基を含有しないリンカーの適切な化学修飾によって導入され得る。
【0107】
特定のアプローチにおいて、ポリサッカリド鎖を含む抗体は、反応性アルデヒド基を作製するために酸化される。このような酸化は、例えば、当該分野で公知の過ヨウ素酸によって達成され得る。切断可能な連結によってハブに結合されたe−タグ部分を有するハブ分子(例えば、アミノ−デキストラン分子)は、還元性アミノ化によって抗体上のアルデヒド基に結合されて、2級アミンの連結を形成する。
【0108】
従って、本発明において、上記のアプローチのうちの1つによって1つ以上のハブ分子を抗体に結合し、本発明で使用される条件下で相対的に耐久性の連結を達成する。もちろん、本発明と一致して、e−タグ部分は、切断可能な結合によりハブに結合されるか、またはこのような切断可能な結合によって、抗体に直接結合される。第1の結合試薬および抗体を含むe−タグプローブによるポリペプチドの結合の際、この結合はe−タグプローブを切断誘導試薬に接近させ、複数のe−タグレポーターが放出されて、その後の存在するポリペプチドの検出ならびにポリペプチドの存在および/または量と関係付ける。
【0109】
本明細書中で使用される場合、用語「捕捉リガンド(capture ligand)」とは、典型的にe−タグプローブの標的結合部分中に含まれ、そして「捕捉因子(capture agent)」またはレセプターに特異的に結合し得る基をいう。このような捕捉リガンドと対応する捕捉因子との間の相互作用を使用して、放出されたe−タグレポーターから未切断のe−タグプローブを分離し得る。所望される場合、レセプターを使用して、レセプターが結合する分子を物理的に隔離し得、ポリペプチド結合領域を含む完全なe−タグプローブ、またはリガンドを保持する改変ポリペプチド結合領域を完全に除去する。これらの改変ポリペプチド結合領域は、出発物質の分解、調製中の混入物、異常な切断など、またはポリペプチド結合部分の他の非特異的な分解産物の結果としてであり得る。上記のように、リガンド(ビオチンによって例証される)は、ポリペプチド結合領域に結合されて、切断の際、e−タグレポーターから分離される。
【0110】
このリガンドのためのレセプターが使用され得る。このようなレセプターとしては、天然のレセプターまたは合成レセプター(例えば、免疫グロブリン、レクチン、酵素など、アビジンその他)が挙げられる。望ましくは、天然ではアビジンの場合のように、レセプターは正電荷であるか、または正に荷電した部分(単数または複数)(例えば、アンモニウム基、塩基性アミノ基など)の付加によって、そのように製作される。アビジンは検出プローブおよびその分解産物に結合されたビオチンに結合する。アビジンは正に荷電しており、一方で切断された電気泳動タグは負に荷電している。従って、非切断プローブだけなく、その分解産物からの切断された電気泳動タグの分離は、従来の分離方法を使用することによって容易に達成される。あるいは、レセプターは固体支持体または高分子量巨大分子(例えば、血管壁、粒子(例えば、磁気粒子)、セルロース、アガロースなど)に結合され得、そして物理的な分離または遠心分離、透析などによって分離され得る。この方法はさらに、アッセイの特異性を増強し得、そして高度な多重化を可能とする。
【0111】
一般的な事態として、ポリペプチド結合部分の性質が許容する場合、当業者は2つのリガンドを有し得る。上記のように、1つのリガンドが、ポリペプチド結合領域に結合したe−タグ部分を隔離するために使用され得、これは第1のリガンドを欠いた生成物から第1のリガンドを保持する。次いで、第1リガンドを欠いた改変ポリペプチド結合領域に結合したe−タグ部分の単離および濃縮を実施する。2つのリガンドを使用して、当業者は最初に、第1リガンドを保持するポリペプチド結合領域を除去するために、反応混合物を、第1リガンドに対する第1レセプターと混合する。上記のように、当業者は組成物から第1レセプターを分離し得るか、または第1レセプターは組成物中で保持され得るかのいずれかである。この後、生じた組成物を混合して、この場合、第1リガンドを含むポリペプチド結合領域は、第1レセプターに結合し、第2レセプターが存在する場合、これは第1リガンドを欠くが第2リガンドを保持する改変ポリペプチド結合領域のための単離または富化に利用される。この第2リガンドは、検出可能な標識;レセプターが利用可能な低分子(例えば、ハプテン)であり得るか、またはe−タグプローブの一部分が第2リガンドとして使用され得る。生成物を単離または富化した後、e−タグレポーターを、レセプターの変性、生成物の置換、高塩濃度および/または有機溶媒などによって放出し得る。
【0112】
上記のようにe−タグ部分に結合される試薬に依存して、単一のe−タグ部分または複数のe−タグ部分が存在し得、これは一般的にハブまたは粒子が使用されるか否かに依存して、約1〜約105個の範囲に及び、より通常は約1〜約300個の範囲に及び、より特定すると、約1〜約20個の範囲に及ぶ。単一の標的結合領域に結合するe−タグ部分の数は、必要とされる感度、e−タグ部分の溶解度、複数のe−タグ部分のアッセイに対する影響などに依存する。
【0113】
(e−タグプローブの合成)
ペプチド鎖として電荷分与性部分または移動度調節物を形成するための合成型を実施するための化学反応は、当該分野で周知である。例えば、Marglinら、Ann.Rev.Biochem.(1970)39:841−866を参照のこと。一般的に、このような合成は、適切な保護基を用いて、反応に関係するべきでない官能基をブロックする工程を包含する。次いで、遊離の官能基を反応させて、所望の結合を形成する。ペプチドを、Merrifield合成(Merrifield,J.Am.Chem.Soc.(1980)85:2149−2154およびHoughtenら、Int.J.Pep.Prot.Res.(1980)16:311−320)におけるように、樹脂上で作製し得る。次いで、このペプチドを公知の技術に従って、樹脂から除去する。
【0114】
ペプチドの合成に利用可能な多くの技術の要約は、固相ペプチド合成については、J.M.Stewartら、「Solid Phase Peptide Synthesis」,W.H.Freeman Co,San Francisco(1969);およびJ.Meienhofer,「Hormanal Proteins and Peptides」,(1973),第2巻,46頁,Academic Press(New York)に見出され、そして溶液合成については、E.Schroderら,「The Peptides」,第1巻,Academic Press(New York),1965に見出される。
【0115】
一般的に、これらの方法は、ペプチド鎖を成長させるために、1つ以上のアミノ酸または適切な保護アミノ酸の連続的な添加を包含する。通常は、適切な保護基は、第1アミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基のどちらかを保護する。次いで、保護されたアミノ酸または誘導体化されたアミノ酸は、アミド結合を形成するために適切な条件下で、適切に保護された相補的な基(アミノ基またはカルボキシル基)を有する配列中の次のアミノ酸を添加することによって、不活性な固体支持体に結合されるか、または溶液中で利用されるかのいずれかである。次いでこの保護基を新たに添加したアミノ酸残基から除去して、次いで次のアミノ酸(適切に保護される)を添加する、などである。全てのアミノ酸を正確な順序で連結した後、任意の残った保護基(および任意の固体支持体)を続けてまたは同時に取り除いて、最終的なペプチドを得る。所望される場合、利用される特定の保護基に依存した公知の方法に従って、これら保護基を取り除く。例えば、水素およびチャコール上のパラジウム、液体アンモニア中のナトリウムなどを用いる還元;トリフルオロ酢酸、フッ化水素酸などを用いる加水分解によって、これら保護基を除去し得る。
【0116】
ホスホロアミダイトを使用するe−タグプローブの合成、またはその関連の化学反応に関して、多くのガイドが文献において利用可能である:Handbook of Molecular Probes and Research Products,第8版(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR、2002);BeaucageおよびIyer,Tetrahedron,48:2223−2311(1992);Molkoら、米国特許第4,980,460号;Kosterら、米国特許第4,725,677号;Caruthersら、米国特許第4,415,732;同第4,458,066号;および同第4,973,679号;などである。これらの化学反応の多くにより、電気泳動プローブの成分は、自動DNA合成機(例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City、California)モデル392またはモデル394のDNA/RNA Synthesizerなどで、都合よく合成され得る。
【0117】
移動度調節部分の一部としてヌクレオチドを含有するe−タグ試薬の合成を、標準的なホスホロアミダイト化学反応を使用して、固相支持体上での構築を介して容易にかつ効果的に達成し得る。生じた移動度調節部分を、上記のような標識および/またはポリペプチド結合部分に連結し得る。
【0118】
異なる電気泳動の移動度を有する上記の標識結合体は、誘導された結合部位を有する複数のポリペプチドの多重検出を可能とする。無論、多重化測定を実施するための多数の標識結合体を調製することは、本発明の範囲内である。
【0119】
(電気泳動タグのための例示的な合成アプローチ)
1つの例示的な合成アプローチを図1に要約する。市販の6−カルボキシフルオレセインを用いて開始し、フェノールのヒドロキシル基を、無水物を使用して保護する。ピリジン中の無水イソ酪酸を使用するが、他の改変は同様に適切である。保護基としてエステルの官能性を選択する意義を記すことが重要である。この種は、ホスホロアミダイトモノマー合成の全体およびオリゴヌクレオチド合成の間に、完全なままである。これらの基は、合成されたオリゴがアンモニアを使用して脱保護されるまで、除去されない。保護の後、次いで、カップリング試薬としてDCCを使用して、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS−エステル)の形成を介して、粗物質をインサイチュで活性化する。生成物によるDCUを濾過除去して、そしてアミノアルコールを添加する。多くのアミノアルコールは市販されており、そのうちのいくつかはアミノ酸の還元から誘導される。このアミノアルコールが「H2N−(CH2)n−OH」の形式である場合、nは2〜12の範囲内にあり、そしてより好ましくは、2〜6の範囲である。アミンのみが、N−ヒドロキシスクシンイミドを置換するのに十分に反応性である。標準的な抽出工程の際、95%収率の生成物を取得した。この物質をホスフィチル化(phosphitylate)して、ホスホロアミダイトモノマーを作製する。さらなるe−タグ部分の合成のために、対称的なビスアミノアルコールリンカーを、アミノアルコールとして使用する(図2)。このようにして、ホスフィチル化反応の前に、次いで第2アミンを複数のカルボン酸誘導体(図3に示される、いくつかの可能性のある安息香酸誘導体によって例示される)とカップリングする。この方法論を使用して、標準的な化学反応を使用するDNA合成機でのプローブ合成の間に、種々の電荷 対 質量の比率を有する数百個、さらに数千個のe−タグ部分を、容易に構築し得る。
【0120】
あるいは、e−タグ部分は、出発物質として5−アミノフルオレセインを使用するという代替のストラテジーを介して利用される(図4)。大容量の溶媒中の大過剰の二酸二クロライド(diacid dichloride)への5−アミノフルオレセインの添加は、ダイマー形成にわたるモノアシル化生成物の優性な形成を可能にする。フェノール基は、これらの条件下では反応しない。水溶液は、次第に、末端の酸クロライドをカルボキシル酸に転換する。この生成物は、6−カルボキシフルオレセインに対するアナログであり、そして同じ一連の工程を用いて、その保護されたホスホロアミダイトモノマーに転換される。多くの市販の二酸二クロライドおよび二酸が存在し、二酸は、SOCl2または塩化アセチルを用いて、二酸二クロライドに転換され得る。この方法論は、第2の移動度調節因子が使用されるという点で非常に魅力的である。このように、当業者が、10個の市販の改変されたホスホロアミダイトおよび10個の二酸二クロライドおよび10個のアミノアルコールを利用した場合、1000個の異なるe−タグ部分の可能性が存在する。多くの市販の二酸二クロライドおよびアミノアルコールが存在する(図5)。これらの合成アプローチは、コンビナトリアルケミストリーに理想的に適している。
【0121】
図1、図2および図4のスキームによって構築される電気泳動タグはさらに、例えば、以下に記載されるような化学を用いて、切断可能な結合に結合するために、ホスフィチレーション(phosphitylation)の前または後のいずれかに反応される。
【0122】
e−タグ部分は、ポリペプチド結合部分への結合のために、一端に適切な官能基を有して構築され得る。種々の官能基が使用され得る。従って、ペプチド中に通常存在する官能基(例えば、カルボキシ、アミノ、ヒドロキシおよびチオール)は、共有結合を形成するための反応官能基の標的であり得る。e−タグ部分は、連結基の化学的性質およびポリペプチド結合部分上の官能基のバイオアベイラビリティーに従って、結合される。例えば、上記のように、ポリペプチドに対して特異的な抗体、およびそれらのフラグメント(例えば、Fab’フラグメント)について、チオール基は、チオエーテル形成のために、マレイミドのような活性オレフィンを使用するために利用可能である。リジンが利用可能である場合、水と反応し得る活性化エステル(例えば、ニトロフェニルエステル、またはペンタフルオロフェニルエステル)、あるいはカルボジイミドおよび半エステルカルボン酸と同様に混合された無水物を使用し得る。文献において、結合についての十分な化学特性が存在し、その結果、各々特定の状態について、結合についての文献が十分に存在する。
【0123】
例示的な合成において、ジオールが使用される。このようなジオールの例としては、2〜3個の炭素原子のアルキレンを有する、アルキレンジオール、ポリアルキレンジオール、アルキレンが2〜3個の炭素原子であり、窒素が例えば、1〜6個の炭素原子のブロック基またはアルキル基と置換されたアルキレンアミンまたはポリ(アルキレンアミン)ジオールが挙げられる。ここで1個のジオールは、従来の保護基(例えば、ジメチルトリチル基)によりブロックされる。この基は、質量改変領域として、そしてアミノ基と一緒に電荷改変領域としても役立つ。所望される場合、この質量改変因子は、ホスホロアミダイト化学を介して結合される構築用ブロックを用いて構築され得る。この方法において、電荷改変因子は、質量改変因子間で分散され得る。例えば、1、2、3、n単位を有する一連のポリエチレンオキシド分子が調製され得る。多数の負電荷を導入するために、小さなポリエチレンオキシド単位が使用され得る。この質量および電荷改変領域は、リン酸単位によって結合される複数のポリエチレンオキシド単位を有することによって組み立てられ得る。あるいは、大きなスペーサーを用いることによって、小数のリン酸基が存在し、その結果、大きな質量の差異を有することなく、変化に対する質量の比における大きな差異が、認識され得る。
【0124】
使用される化学は、オリゴヌクレオチド合成に使用される従来化学であり、ここで、ヌクレオチド以外の構築用ブロックが使用されるが、この反応は、従来のホスホロアミダイト化学であり、そしてブロック基は、従来のジメトキシトリチル基である。言うまでもなく、自動合成機と両立し得る他の化学もまた、使用され得る。しかし、このプロセスの複雑さを最小化することが所望される。
【0125】
上記のように、1つの実施形態において、このハブ核は、親水性ポリマーであり、一般に、複数の部分の付着を可能にする複数の官能基を有する付加ポリマーまたは縮合ポリマーである。本発明の試薬として有用な1つのクラスのポリマーは、ポリサッカリドポリマー(例えば、デキストラン、セファロース、ポリリボース、キシロースなど)を含む。例えば、ハブは、複数のe−タグリポーターが本発明と一致する切断可能な様式で結合され得る、デキストランであり得る。このデキストランの少数のアルデヒド部分が残り、そして還元性のアミン化によって、デキストラン分子がオリゴヌクレオチド上のアミン基に結合するように使用され得る。ハブ核としてデキストランを使用する別の例において、デキストランは、無水コハク酸でキャップされ得、そして生じた物質は、アミド形成によって、アミン含有オリゴヌクレオチドに結合され得る。
【0126】
リンカーおよび移動度調節部分の性質に関わらず、既に示されたように、多様性は、蛍光剤の化学特性および光学特性、エネルギー輸送複合体、移動度に影響するリンカーの化学的性質(例えば、フォールディング)における変化、溶媒と、溶媒中のイオンとの相互作用などによって達成され得る。既に示唆されるように、1つの実施形態において、リンカーはオリゴマーであり、ここでこのリンカーは、支持体上で合成され得るか、あるいは適切な宿主中でのクローニングまたは発現によって生成され得る。好都合なことに、ポリペプチドが産生され得、ここで、末端基以外の、ただ1つの、システインまたはセリン/スレオニン/チロシン、アスパラギン酸/グルタミン酸、あるいはリシン/アルギニン/ヒスチジンが存在し得、その結果、差示的に官能化され得る独特の官能基が存在する。保護基を用いることによって、当業者は、末端のアミノ酸官能基と側鎖官能基を識別し得る。また、適切な設計によって、結合基の異なる部位に存在する同じ官能基間での優先的な反応を提供し得る。当業者が、オリゴペプチドの調製のために、合成を使用するかまたはクローニングを使用するかは、実質的程度、そのリンカーの長さに依存する。
【0127】
20個の異なるe−タグレポーターについて、たった5つの異なる質量改変領域、1つの切断可能な結合および4つの異なる検出可能な領域が、必要である。120個のe−タグレポーターについて、1つの必要性は、10個の異なる質量改変領域、3つの異なる電荷改変領域および4つの異なる検出可能領域を有することである。500個の異なるe−タグレポーターについて、1つの必要性は、25個の異なる質量改変領域、5つの異なる電荷改変領域および4つの異なる検出可能領域を有することだけである。
【0128】
(e−タグ試薬の使用のための方法)
以下の一般的な方法の考察および特定のアッセイの例は、例示であって、限定するものではない。当業者は、当業者に明らかなほとんどのアッセイ形式(特にタンパク質アッセイおよび遺伝生化学の領域)における任意の分析のためにアッセイすることにおいて、本明細書中の技術を使用し得る。
【0129】
アッセイを行う際、成分(すなわち、サンプル、第1試薬および電気泳動プローブ)は、任意の順序で、通常同時に、アッセイ媒体中で混合される。あるいは、1つ以上の試薬は、サブコンビネーションを形成するように、1つ以上の残りの試薬と混合され得る。次いで、このサブコンビネーションは、インキュベーションに供され得る。次いで、残りの試薬またはそれらのサブコンビネーションは混合され得、そしてその混合物はインキュベートされ得る。試薬の量は、通常、経験的に決定される。原則として、最も高い期待量の対象のポリペプチドと少なくとも等量(通常少なくとも約1.5倍以上、より一般的には少なくとも約2倍以上)の第1試薬および電気泳動プローブが使用され、そして約10倍以上を有し得る。これらの成分は、通常水性媒体中で、通常約5〜約10の範囲のpHで、約10〜約200mMの範囲の濃度の緩衝液を用いて、結合条件下で混合される。これらの条件は従来型であり、ここで従来の緩衝液(例えば、リン酸塩、炭酸塩、HEPES、MOPS、Tris、ホウ酸塩など、ならびに他の従来添加剤(例えば、塩、安定剤、有機溶媒など))が使用され得る。水性媒体は、単に水だけであり得るか、または0.01〜80以上の体積百分率の共溶媒を含み得る。
【0130】
混合された試薬は、かなりの量の結合事象が起こり得る温度で、一定時間インキュベートされる。一般に、試薬の全てまたは一部の混合後のインキュベーション時間は、混合物を照射(irradiating)する前または残りの試薬を添加する前に、少なくとも約5分、より一般には、少なくとも約15分である。中程度の温度は、通常インキュベーションに使用され、そして通常一定温度である。インキュベーション温度は、普通、約5〜99℃の範囲であり、通常、約15〜70℃、より一般には、20〜45℃の範囲である。測定中の温度は、一般に、約10〜70℃の範囲であり、より一般には、約20〜45℃の範囲であり、より一般には、20〜25℃である。
【0131】
適切なインキュベーション時間の後、および試薬全てが、第1試薬または切断誘導試薬、サンプル、および電気泳動プローブまたはe−タグプローブを含む混合物を形成するように混合された後、この混合物は、切断誘導部分を活性化するように処理される。言うまでもなく、活性化の性質は、切断誘導部分の性質に依存する。
【0132】
本発明は、種々の試薬系を使用し、ここで結合事象は、e−タグ部分の放出を生じる。切断誘導部分のこの効果は、物理学的な、化学的な、あるいは酵素学的な手段によって、結合を作製または破壊するはずである。異なる電気泳動プローブまたはポリペプチド結合領域を含むe−タグプローブの各々の生成物は、誘導される結合部位を伴う結合事象の発生を決定するように、正確に検出され得る。結合事象後、e−タグプローブまたは反応生成物が由来するプローブと異なる移動度を示す1つ以上の反応生成物が、生成される。e−タグの放出形態(e−タグレポーターと称される)は、それらが由来するe−タグプローブと異なる移動度および/または質量を示す。本発明は、公知または未知の物質をスクリーニングのための高度の汎用性を提供する。電気泳動装置は、e−タグレポーターの分離または検出のために使用され得る。この電気泳動装置は、その装置からのデータを受け取りそして処理するために、ならびに電気泳動装置を操作するために、データプロセッサに接続され得る。
【0133】
このシステムは、移動度調節部分が結合される部分を用いた電気泳動によって分離可能であるように、少なくとも複数の異なる移動度調節部分を含む複数のe−タグ試薬を含む利用可能なライブラリーを有することに基づく。移動度調節部分は、反応の生成物中に保持され、ここでこの生成物は、質量を変化させる基の獲得および/または損失によって改変され、そしてまた、出発物質と比較して、生成物の電荷を変化させ得る。移動度調節部分は、移動度調節部分が、誘導される結合部位の第1の結合因子への結合に続く分析のために放出されるように、切断可能な結合によってポリペプチド結合領域へと結合される。
【0134】
上記のように、本発明は、とりわけ、翻訳後修飾の領域への適用を有する。 当業者は、複数の経路、表面タンパク質集団における変化、加齢、新形成、活性化、または他の天然に発生する減少に起因する変化に関する化学的環境および物理学的環境の変化に対する、宿主細胞、細胞小器官などの応答を決定し得、ここで、タンパク質の量は、定量され得る。使用され得る方法論は、異質性(heterogeneous)または均質性(homogeneous)であり得る。
【0135】
異質な技術は、普通、分離工程を包含し、ここで非結合標識は、結合標識から分離され得る。一方、均質アッセイは、分離工程を必要としないが、使用してもよい。
【0136】
さらに、多くの異質なアッセイにおいて、非結合標識された試薬は、結合標識された試薬から分離可能であることが必要とされる。これは、種々の方法で達成され得、各々が、標識試薬およびポリペプチドの複合体間を識別する固体支持体に結合する試薬を必要とする。固体支持体は、容器壁(例えば、マイクロタイターウェルプレート、キャピラリー、プレート、スライド、磁気ビーズを含むビーズ、リポソームなど)であり得る。固体支持体の主要な特性は、結合標識特異的結合部材の非結合プローブからの分離を可能にすることであり、そしてこの支持体は、結合複合体の形成とも、定量の他の操作とも相互作用しない。
【0137】
固体支持体は、支持体に直接的または間接的に結合する複合体を有し得る。直接結合のために、当業者は、支持体に共有結合的または非共有結合的に結合する第一試薬またはe−タグプローブを有し得る。この表面は、第一試薬との共有結合を形成する種々の官能基を用いて活性化され得る。これらの基は、ハロゲン化イミノ、活性化カルボキシル基(例えば、混合無水物またはハロゲン化アシル)、アミノ基、α−ハロケトンまたは偽性ハロケトン(pseudohaloketone)などを含み得る。キャリアの表面に結合する特定の結合部材を使用して、複合体の部材に結合させ得る。
【0138】
通常、異質な方法において、非結合標識試薬またはe−タグプローブは、結合物質を洗浄することによって除去される。粒子またはビーズが使用される場合、これらは、濾過、遠心分離、磁気分離などによって、洗浄前に上清から分離され得る。洗浄後、支持体は、e−タグレポーターが放出されるべき液体と混合され得、そして/または放出前または後に、e−タグ部分の官能基は検出可能な標識と反応される。切断可能な結合の性質および切断方法に依存して、液体は、切断のための、任意のさらなる試薬を含み得る。切断のための試薬が必要とされない場合、その液体は、好都合なことに、電気泳動緩衝液である。例えば、切断可能な結合が感光性である場合、その媒体は、e−タグレポーターを放出するように、適切な波長の光で照射され得る。検出可能な標識が、e−タグ部分上に存在する場合、そのe−タグレポーターは、検出可能な標識と反応され得る。ある場合に、検出可能な標識は、切断可能な結合(例えば、チオールを有するジスルフィド)を切断する試薬の一部分であり得る。標識との反応のための異なる結合部材上に複数の異なる官能基が存在する場合、異なる標識は、官能基の1つと反応する官能基を有する。この異なる標識は、同時にか、または連続的な様式で別個に加えられ得る。例えば、官能基が、チオール、カルボキシル基、アルデヒドおよびオレフィンを含む場合、標識は、それぞれ、活性化されたオレフィン、アルコール、アミン、およびチオール基を有し得る。1つ以上の官能基に対する除去可能な保護基を有することによって、保護基は、段階的に除去され得、そして標識は、段階的に加えられ得る。この方法において、交差反応性は、回避され得る。最初に存在する検出可能な標識を有するか、または検出可能な標識を加えるかどうかは、本発明には重要ではなく、そしてポリペプチドそのものが、切断誘導部分によってか、またはポリペプチドおよび第一試薬および電気泳動プローブの性質によって切断されるかどうかによって、しばしば決定される。
【0139】
いくつかの実施形態において、試薬が電気泳動分析を妨害する場合に、e−タグレポーターは、試薬溶液から分離されるために必要とされる。e−タグレポーターおよび試薬の性質に依存して、当業者は、イオン交換カラム、液体クロマトグラフィー、初期電気泳動分離などを用いることによって、e−タグレポーターを試薬から隔離し得る。あるいは、以前に考察されるように、混合物中の任意の妨害成分を除去するために、e−タグレポーターを単離するための、e−タグ部分または標的結合領域の保持部分に結合される捕捉リガンドを有し得る。一旦、e−タグレポーターの溶液が調製されかつ任意の妨害成分を含まない場合、この溶液は、電気泳動的に分析され得る。この分析は、キャピラリー電気泳動装置、微小流体装置、または複数の複素環式を電気泳動的に分離し得る他の装置を使用し得、分離された別個のe−タグレポーターのバンドを提供する。
【0140】
好ましくは、本発明に従うアッセイは、均質な様式で実施され得る。本発明の均質なアッセイについてのプロトコルは、一般に、類似の異質なアッセイについての手順に従う。これらのプロトコルは、e−タグプローブの標識、場合によっては、e−タグプローブまたはポリペプチドに関連する切断可能な結合、電気泳動的な放射、反応に関与するかまたは背景シグナルを減少させるための、他の試薬を含む、シグナル生成系を使用する。一重項酸素の産生を伴うアッセイにおいて、結合性の標識含有試薬または非結合性の標識含有試薬によって産生される過酸化水素間の反応を回避するために、溶液中に、過酸化水素の存在期間を減少させるように過酸化水素を分解する分子を有することが所望され得る。
【0141】
通常、シグナル産生系に関する種々の試薬の濃度は、分析されるべきサンプル中の別個のポリペプチドの濃度によって、一般に、約10nM〜約10mMの範囲で変化する。通常、緩衝液は、約10〜約200mMの範囲の濃度で使用され得る。各ポリペプチドの濃度は、一般に、約1pM〜約100μMの範囲であり、より一般には、約100pM〜約10μMの範囲である。特定の状況において、その濃度は、分析物の性質、相反性の結合部材の親和性、e−タグレポーターの放出頻度、e−タグレポーターが検出される感度、およびポリペプチドの数、ならびに他の要件に依存して、より高くなり得るか、またはより低くなり得る。
【0142】
本発明の1つの局面に従って、ポリペプチドの基は、多数の反応においてモニターされ得る。この場合、種々のポリペプチドに対応する複数の対のe−タグプローブは、別個のポリペプチドが結合因子に結合し、そして媒体が一重項酸素を生じるように処置される場合に、e−タグレポーターが試薬から放出される条件下で、単一の反応容器中で、サンプルと組み合わされ得る。このe−タグレポーターが、検出のために標識されるか、またはこの標識が、e−タグ部分に存在する反応性の官能基によって加えられる。反応の標識されたe−タグレポーターは、電気泳動装置上で互いから分離され、そして再び、検出器を過ぎて移動する場合にモニターされる。この系において可能な多重化のレベルは、電気泳動装置上で、指定されたセットのe−タグレポーター間で得られ得る分離の程度によってのみ制限される。
【0143】
さらなる程度の可動性は、e−タグ部分が標識される段階によって、アッセイにおいて与えられ得る。上記のように、各々のe−タグ部分は、反応物中に取り込まれる場合、既に、検出可能な標識を含み得る。あるいは、e−タグ部分は、サンプルとの反応が完了した後に、標識に結合し得る官能基を含み得る。この実施形態において、反応可能な標識に結合するための官能基を含むe−タグプローブは、サンプルと混合され得る。e−タグプローブの標的ポリペプチドがサンプル中に存在する場合に、e−タグプローブの移動度を変更する反応の後に、さらなる試薬が、サンプル容器中で、第一反応の生成物と混合され、検出可能な標識を加えるために、改変されたe−タグレポーターと反応される。
【0144】
定量のために、当業者は、存在するかまたは導入された標的の量に対して、シグナルを提供するコントロールの使用を選択し得る。絶対量中の関連する蛍光シグナルの転換を可能にする制御は、e−タグレポーターを電気泳動によって分離する前に、各サンプルに既知量の蛍光体を加えることによって達成され得る。e−タグレポーターシグナルの検出を妨害しない任意の蛍光体は、蛍光シグナルを正規化するために使用され得る。コントロールシグナルは、好ましくは、サンプル中の任意のe−タグレポーターの電気泳動的移動度床となる電気泳動的移動度を有し、そして同じかまたは異なる放射波長を有し得る。例示的な蛍光分子としては、ROX、FAM、およびフルオレセインが挙げられる。
【0145】
本発明に従うアッセイの1つの例は、ポリペプチドのリン酸化の検出を含む。このサンプルは、細胞性物質を含み、そして翻訳後修飾は、標的ポリペプチドと呼ばれる特定のポリペプチドのリン酸化である。このサンプルは、金属イオンに結合される金属親和性試薬に結合される光増感剤を含む、第一試薬と混合される。リン酸化された標的ポリペプチドが存在する場合、リン酸基は、金属−金属親和性試薬複合体に結合する。電気泳動プローブは、上記反応混合物と混合される。この電気泳動プローブは、e−タグレポーターに切断可能に結合される、標的ポリペプチドに対する抗体を含む。切断可能な結合は、一重項酸素によって切断可能な部分を含む。電気泳動プローブを加えそして適切なインキュベーション時間の後、この反応混合物は、光増感剤を励起させるように光で照射され、一重項酸素を生じる。切断可能な部分は、一重項酸素によって切断される。なぜなら、この切断可能な部分は、光増感剤に非常に近く、そしてこの活性種(すなわち一重項酸素)は、切断可能な部分を切断し、そしてe−タグレポーターを放出するに十分な活性を保持しているからである。標的ポリペプチドが存在しないので、標的ポリペプチドに結合されない電気泳動プローブ(または過剰の電気泳動プローブ)、あるいはリン酸化されていないポリペプチドに結合する電気泳動プローブは、切断されたe−タグレポーターを生じない。なぜなら、一重項酸素の活性が非常に短命であり、そして任意の電気泳動プローブ(リン酸化された標的ポリペプチドの存在の効力によって第一試薬に結合しない)中の切断可能な部分は、切断されたe−タグレポーターを生じないからである。放出されたe−タグレポーターは、その異なる移動度に基づき分離され、そしてe−タグレポーターの移動度調節部分に結合されたままの検出部分に基づき検出される。放出されたe−タグレポーターの存在および/または量は、標的ポリペプチドの存在および/または量を示す。
【0146】
本発明は、標的ポリペプチドについての複合アッセイにおいて、特定の使用を見出す。本発明のこの局面に従うアッセイの例は、複数のポリペプチドのリン酸化の検出を含む。このサンプルは、細胞性物質を含み、そして翻訳後修飾は、標的ポリペプチドと呼ばれるいくつかのポリペプチドのリン酸化である。このサンプルは、金属イオンに結合される金属親和性因子に結合される光増感剤を含む第一試薬と混合される。この第一試薬は、反応混合物中に存在する任意のリン酸基に結合するクラス特異的試薬である。リン酸化標的ポリペプチドが存在する場合、リン酸基は、金属−金属親和性因子複合体に結合する。複数の電気泳動プローブは、上記混合物と混合される。各々の電気泳動プローブは、特定の標的ポリペプチドに対して唯一のe−タグレポーターに切断可能に結合される、特定の標的ポリペプチドに対する抗体を含む。切断可能な結合は、一重項酸素によって切断され得る部分を含む。電気泳動プローブを加えそして適切なインキュベーション時間の後、反応混合物は、光増感剤を励起させる光で照射され、一重項酸素を生じる。切断可能な部分は、一重項酸素によって切断される。なぜなら、この切断可能な部分は、光増感剤に非常に近く、そしてこの活性種(すなわち一重項酸素)は、切断可能な部分を切断するに十分な活性を保持し、そして標的ポリペプチド(クラス特異的試薬に結合される)に結合される電気泳動プローブ全てからe−タグレポーターを放出する。くり返すが、標的ポリペプチド(クラス特異的試薬に結合される)に結合されない電気泳動プローブは、所定の上記理由のために、切断されたe−タグレポーターを生じない。放出されるe−タグレポーターは、それらの移動度における差異に基づき分離され、そしてe−タグレポーターの移動度調節部分に接合されたままの検出部分に基づき検出される。各々の放出されたe−タグレポーターの存在および/または量は、各々別個の標的ポリペプチドの存在および/または量を示す。このような方法において、種々の細胞経路が、リアルタイム方法で研究され得る。タンパク質のリン酸化反応および脱リン酸化反応は、代謝調節およびシグナル伝達経路についてのより多くの情報を明らかにするために研究され得る。上記の方法は、細胞の発達を伴う細胞周期間の種々の時点で繰り返され得る。
【0147】
本発明の別の用途は、標的ポリペプチドの多重リン酸化を検出することである。例えば、ポリペプチドがモノ−リン酸化、ビス−リン酸化またはさらにより高度に多重にリン酸化されているかどうかを知ることが望ましい。本発明のこの局面に従うアッセイの例は、標的ポリペプチドのリン酸化の程度の検出を含む。細胞物質を含むサンプルは、ハブ(hub)分子に連結する複数の光増感剤分子を含む第1試薬と合わされ、そのハブ分子に、金属と結合される金属親和性因子の複数の分子がまた、連結される。クラス特異的試薬の適切な滴定によって、標的ポリペプチドのリン酸化レベルが決定され得る。リン酸化された標的ポリペプチドが存在する場合、そのリン酸基は、金属と金属親和性因子の複合体に結合する。電気泳動プローブが、上記の反応混合物と合わせられる。この電気泳動プローブは、特定の標的ポリペプチドに対する抗体を含む。この特定の標的ポリペプチドは、特定の標的ポリペプチドに対して特有であるe−タグレセプターに切断可能に連結される。この切断可能な連結は、一重項酸素によって切断可能である部分を含む。電気泳動プローブの付加および適切なインキュベーション期間の後、この反応混合物を、光増感剤を励起させる光で照射させる。この光増感剤は、一重項酸素を生成する。この切断可能な部分は、一重項酸素によって切断される。なぜなら、この切断可能な部分は、光増感剤のごく近位にあるからである。活性種、いわゆる一重項酸素は、切断可能な部分を切断し、そして電気泳動プローブからe−タグレポーター(これは、クラス特異的試薬に結合する標的ポリペプチドに結合する)を放出するのに十分な活性を有している。また、電気泳動プローブは、クラス特異的試薬に結合する標的ポリペプチドに結合せず、上記の理由のために切断されたe−タグレポーターを生じない。放出されたe−タグレポーターは、移動度の異なる塩基上に分離され、そしてe−タグレポーターの移動度調節部分に結合されたままである検出部分の塩基上で検出される。放出されたe−タグレポーターの存在および/または量は、標的ポリペプチドのリン酸化レベルを決定するために加えられたクラス特異的試薬の量と相関し得る。
【0148】
本発明は、標的ポリペプチド上のリン酸化部位を決定するために使用され得る。本発明のこの局面に従うアッセイの例において、細胞物質を含むサンプルは、金属イオンが結合される金属親和性因子に連結される、化学プロテアーゼを含む第1試薬と合わせられる。リン酸化標的ポリペプチドが存在する場合、リン酸基は、金属−金属親和剤複合体に結合する。化学プロテアーゼは、光での照射によって活性化され、そして部位特異的切断は、標的ポリペプチド上で起こり、そのリン酸基は、金属親和性−金属複合体に結合される。切断生成物は、特有の部分、またはe−タグ部分を示し、これらの部分は、例えば、電気分離によって直接的に分析され得る。一方、1つ以上の電気泳動プローブは、上記の反応混合物と合わせられ、特有の部分のための検出部分を提供する。各電気泳動プローブは、切断された部分に対する抗体を含み、その抗体に、検出部分が結合する。e−タグレポーターは、その異なる移動度に基づいて分けられ、そして結合される検出部分に基づいて検出される。e−タグレポーターの存在は、標的ポリペプチドのリン酸化の部位を示している。
【0149】
本発明に従うアッセイの別の例は、複数ポリペプチドのグリコシル化の検出を含む。このサンプルは、細胞物質を含み、そして翻訳後修飾は、標的ポリペプチドと呼ばれる、いくつかのポリペプチドのグリコシル化である。このサンプルは、ボロン酸含有試薬に連結される光増感剤を含む、第1試薬と合わせられる。この第1試薬は、反応混合物中に存在する任意の炭水化物部分に結合するクラス特異的試薬である。グリコシル化標的ポリペプチドが存在する場合、炭水化物基は、ボロン酸含有試薬に結合する。複数の電気泳動プローブは、上記の反応混合物と合わせられる。各電気泳動プローブは、特定の標的ポリペプチドに対する抗体を含み、この抗体は、特定の標的ポリペプチドに対して特有であるe−タグレポーターに切断可能に連結される。この切断可能な結合は、一重項酸素によって切断される部分を含む。電気泳動プローブの付加および適切なインキュベーション期間の後、この反応混合物は、光で照射されて、一重項酸素を生成する光増感剤を励起する。この切断可能部分は、一重項酸素によって切断され、それによって、クラス特異的試薬に結合する標的ポリペプチドに結合する、全ての電気泳動プローブからe−タグレポーターを放出する。また、電気泳動プローブは、クラス特異的試薬に結合する標的ポリペプチドに結合するようにはならず、上記の理由のために、切断されたe−タグレポーターを生じない。放出されたe−タグレポーターは、それらの移動度の差異に基づいて分けられ、そしてe−タグレポーターの移動度調節部分に結合されたままである検出部分に基づいて検出される。放出されたe−タグレポーターの各々の存在および/または量は、各標的ポリペプチド(すなわち、グリコシル化ポリペプチド)それぞれの存在および/または量を示す。上記の方法は、細胞サイクルの間に何度も繰り返され細胞の進化を生じる。
【0150】
本発明は、細胞シグナル伝達経路の研究に広い用途を有する。この経路としては以下が挙げられるが、例示の目的であって、限定の目的ではない;MAPキナーゼ経路、Ras/ERK MAPK経路、JNK/SAPKおよび他のMAPK経路、JAK/STAT経路、NF−Bおよび背側(dorsal)、NF−AT2重シグナル伝達経路、リンパ球機能の調節、T細胞抗原レセプターシグナル変換、種々のシグナルトランスデューサーおよび転写のアクチベーター、細胞分化サイクルチェックポイントなど。
【0151】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)は、増殖因子およびサイトカインレセプターシグナル伝達における細胞事象の理解を提供し得る。このMAPキナーゼ(細胞外シグナル調節プロテインキナーゼ、またはERKとも呼ばれる)は、3つのキナーゼカスケード中の末端酵素である。関連するが、異なるシグナル伝達経路のための3つのキナーゼカスケードの反復は、1つの経路内で連続的に作用するモジュラー、多機能シグナル伝達エレメントのようなMAPK経路の概念を生じ、ここで、各酵素はリン酸化し、それによって配列の次のメンバーを活性化する。全ての真核生物にわたって保存される異なるMAPKカスケードの最近の同定は、MAPKモジュールが、細胞外シグナルの多様なアレイの解釈のために適応されていることを示す。酵素のMAPKスーパーファミリーは、種々の細胞外メディエータ−および細胞内メディエータ−によって作製される、入ってくるシグナルを配向する中心スイッチボード(switchboard)の重要な要素である。MAPK分子における特定のリン酸化および酵素の活性化は、カスケードにシグナルを伝達し、細胞(他のプロテインキナーゼ、転写因子、細胞骨格タンパク質および他の酵素を含む)を通して実質的な調節機能を有する多くのタンパク質のリン酸化を生じる(Cobbら、Promega Note Magazine(1996)59:37以下参照)。
【0152】
研究のための別のクラスのアッセイは、光増感剤試薬と細胞との会合、例えば、翻訳後修飾、低分子に結合するタンパク質の機能および/または発現を変更および/または制御する低分子、公知の低分子を使用する新規のタンパク質の同定、特徴付けられた標的(例えば、キナーゼ、ペプチドなど)のスクリーニング、新規の標的(例えば、キナーゼ、ホスファターゼ、DNA結合タンパク質もしくはRNA結合タンパク質、ペプチド、プロテアーゼなど)を同定するためのタンパク質の機能クラスのスクリーニングなど、を含む。例えば、目的の標的に結合すると考えられる低分子は、光増感剤分子に結合され得、低分子−増感剤複合体を形成する。目的の種々の標的に結合し得る抗体分子は、異なるe−タグ部分で標識され。e−タグ−抗体複合体を形成する。次いで、特定の標的の存在または非存在が調査され得、そしてe−タグ−抗体::標的::低分子−増感剤複合体を形成することによって定量化される。抗体および低分子と標的との会合は、近位にe−タグ部分および光増感剤をもたらし、e−タグレセプターの放出を可能にする。この光増感剤は、低分子、ペプチド、インヒビター、脂質、炭水化物、抗体分子、オリゴヌクレオチドなどに結合され得る。この光増感剤はまた、上記の構造のいずれかを保有する微生物または細胞の表面に結合され得、2つの分離した細胞の細胞表面分子間の相互作用のモニタリングを可能にする。細胞表面の研究のために、この光増感剤試薬は、特定の細胞表面部分への結合によって、または光増感剤が膜内で自由に拡散する様式での細胞膜への非特異的な導入によって細胞と会合し得る。
【0153】
キナーゼ相互作用のための特定のアッセイは、開発され得る多くのタイプのアッセイの実例である。特定のキナーゼ相互作用は、サンドイッチアッセイ形式を使用して研究され得る。例えば、第1の抗キナーゼ抗体は、e−タグ部分で標識され、そして第2の抗体は、リン酸化分子に結合し、光増感剤で標識される。免疫複合体の形成後、e−タグ部分は、適切な波長の光で照射されることによって放出され、次いで、キャピラリー電気泳動によって分離される。別の形式において、変化する特異性を有するキナーゼが、調査され得る。抗キナーゼ抗体は、同一の光増感剤(例えば、光増感剤1−抗キナーゼ1、光増感剤1−抗キナーゼ2、光増感剤1−抗キナーゼ3など)で標識され、一方で特定のキナーゼ基質またはインヒビターは、特定のe−タグ部分(例えば、基質1−e−タグ1、基質2−e−タグ2、基質3−e−タグ3など)で標識される。結合複合体は、安定的であるかまたは一過的であるかのいずれかで形成される。照射および電気泳動分離の後、特定のパターンが、サンプル中で選択されたキナーゼ標的の種々のレベルを示し、同時に決定されるように作製される。一旦シグナルパターンが確立されると、種々の薬物、処置、または遺伝的変更の効果は、このパターンに対する変更として評価され得る。
【0154】
プロテオミクスについての本発明の使用の例は、図7に与えられる。この実施形態において、アッセイは、細胞サンプルを最初に溶解することによって実施される。細胞溶解物中の全てのタンパク質は、切断誘導部分で標識される。この標識は、タンパク質1つあたり少なくとも1つの切断誘導部分を得るために実施される。図7に示されるように、タンパク質は、抗タンパク質リガンド(APL)で問い合わせされ、このリガンドは、レセプターまたは抗体であり得る。このAPLは、切断可能な結合を介して特異的eタグレポーター分子で標識され;各リガンドは、リガンドに関連する特有のeタグレポーターを有する。結合後、この切断誘導部分は、活性化され、異なるレポーター(Y)を放出する。この切断誘導部分および切断可能な結合は、放出されるべきe−タグレポーターのごく近位にあるべきである。次いで、レポーターは、キャピラリー電気泳動によって分離され、そして定量化される。この技術は、同等のアッセイ形式で、タンパク質、低分子、酵素基質および細胞表面レセプターの性質の多重化を可能にする。
【0155】
タンパク質の細胞機能の決定は、一般的には機能を変更する手段を必要とする。1つのアプローチは、タンパク質をコードする遺伝子中の変異の不活性化または活性化の使用を含む遺伝的手段である。不活性化は、欠失またはノックアウトアプローチを含み、そして活性化または過剰発現は、発癌性アプローチを含む。別のアプローチは、低分子が結合するタンパク質の機能を変更する低分子の使用を含む。存在するリガンドは、タンパク質機能を不活性化し得るかまたは活性化し得るリガンドが存在し得る。いくつかの天然の産物について、特異性は、ノックアウト遺伝子(Schreiber,Bioorganic and Medicinal Chemistry,6(1998)1127−1152;Stockwellら,Chemistry and Biology,6(1999)71−83)の特異性に接近し得る。低分子の天然産物は、例えば、細胞サイクルが、細胞の集合の同期化を可能にする特定の点での阻止のように、いくつかの方法における細胞サイクル事象の複合体ウェブをほどくことを助ける。一旦特異的結合相互作用が確立されると、細胞浸透性天然産物は、生存細胞中のそのタンパク質標的の機能を理解するために使用され得る。いくつかの天然産物は、静止状態からG1遷移状態への移行を必要とするシグナル変換経路を阻害する。低分子は、タンパク質のグリコシル化、メチル化、脂質化(lipidation)、イソプレニル化、ユビキチン化、リン酸化およびアセチル化に影響を及ぼし得る。
【0156】
細胞サイクルへの侵入および細胞サイクルからの退出は、細胞が、活性増殖と静止状態もしくはG0状態との間を通過するように起こり、その中で、細胞の基礎代謝は減少され、転写およびタンパク質合成のような通常活性な機能の多くを含む。増殖因子の欠乏は、細胞が静止状態に入らせ、それにもかかわらず増殖因子での刺激は、細胞が活性サイクルに再び入ることを示し得る。細胞はまた、細胞サイクルに入り得、分化またはプログラムされた細胞死(アポトーシス)の工程を引き起こす。1つの層から次の層への細胞サイクルの駆動に応答するエレメントは、プロテインキナーゼおよび互いに活性および非活性であるホスファターゼのシリーズである。サイクリン依存性キナーゼは、細胞サイクル進行に重要であるために種々の基質のリン酸化に応答し得る。このレベルのサイクリン依存性キナーゼは、細胞サイクルを通して不変であるが、これらの活性は、サイクリンと呼ばれるタンパク質の別のセットとの相互作用によって修飾され、これらのレベルは、上下する。さらに、細胞の原形質膜上のレセプターの多くは、チロシンキナーゼであり、これは、活性化に基づいて、その究極の目的が細胞分化である細胞内シグナル変換経路を開始する。
【0157】
本発明の方法および試薬は、上述の分析について非常に適切である。広範な種々の低分子は、それらの同族標的(キナーゼ、ホスファターゼ、膜レセプター、プロテアーゼ、イソプレニルトランスフェラーゼおよびポリメラーゼ)の機能の欠失を引き起こす。本発明の結果として、タンパク質機能は、その細胞内環境中で研究され得る。目的のタンパク質が定量化され得る。下流のタンパク質(例えば、サイクリン)のレベルにおける影響は、本発明の試薬を使用して研究され得る。活性および不活性のサイクリン依存性キナーゼ(Cdk’s)は、サイクリンの発現に沿って測定され得る。このCdk−サイクリン複合体はまた、定量化され得る。シグナル変換経路は、本発明の試薬を使用して研究され得る。
【0158】
このG1期は、細胞が、別の分化の全工程に入るべきか否かを評価する重要な点である。G1進行中にタンパク質は、頻繁に、ヒト癌中で変異され、そして治療剤のための標的を誘引する。治療剤であり得る化合物を確認するために、初期のG1期または後期のG1期においてのみ調べることが所望される。現在、このアプローチは、化合物の評価において、細胞増殖または細胞死において調べることである。含まれる種々の期間は、図8に示される。
【0159】
1つの例示的な実施形態において、細胞は、ウェルのような適切な容器の底で増殖され得る。細胞が固定された後、この細胞は、本発明に従うスクリーニング方法によって特定の抗原についてプローブされ得る。細胞膜中に導入され得る光増感剤試薬、あるいは、抗原に、または細胞の表面上のタンパク質のクラスに対する抗体に結合する光増感剤を含む光増感剤試薬が使用され得る。e−タグ試薬が使用され得、ここで抗原についての抗体は、e−タグ部分への切断可能な連結によって連結される。この光増感剤試薬は、存在する場合、細胞膜への導入または抗原への結合のための条件下で適切な培地中で細胞を固定するために添加される。次いで、e−タグプローブが加えられ、そしてその培地は、存在する場合、抗原に対する抗原についての抗体の結合のための条件下で処理される。次に、その光増感剤は、光での照射などによって活性化され、例えば、一重項酸素を作製し、この一重項酸素は、抗原が、細胞上に存在する場合にのみ、e−タグプローブ中の切断可能な連結を切断し、細胞膜中の光増感剤に対して近位に切断可能な連結をもたらす。次いで、この培地は、放出されたe−タグレポーターについて試験され、そしてその存在は、抗原の存在を示す。複数の抗原は、複数のe−タグプローブ、他の抗原の可能な存在によって作製される他のe−タグレポーター由来のe−タグレポーターを分化させる、移動度調節部分を含むe−タグレポーターへの切断可能な連結によって連結される特定の抗原に対して抗体特異性を有する各々を使用することによって同時にスクリーニングされる。上記の工程後、この培地は、分離工程に供され、その分離工程において、e−タグレポーターは、それらのそれぞれの移動度の差異に基づいて分離される。この方法において、本発明者は、細胞によるタンパク質発現を研究し得る。
【0160】
上で議論されるような様式で行なわれるアッセイの仮定の結果は、図9A、9Bおよび9Cに例示される。これらは、Cdk’s(オロマウシン(Olomoucine)標識された放出誘導試薬(例えば、光増感剤)を使用するキナーゼ活性化)およびサイクリンA〜Eのレベルの同時のモニタリングのための概念的な細胞ベースアッセイである。この電気泳動プローブ試薬は、1つの発現されたタンパク質に特異的な抗体を使用し、その中で1つ以上の独特なe−タグが、各抗体に放出可能に連結される。図9Aを参照すると、コントロール細胞について(すなわち試験される化合物が存在しない)、Cdk2、Cdk6、Cdk4、Cdc2およびサイクリンA、サイクリンD、サイクリンEおよびサイクリンBを示す8つのピークが得られ得る。化合物が試験され、初期G1静止が生じる場合(図9B)、Cdk6、Cdk4およびサイクリンDと呼ばれる3つのピークが観察され得た。化合物が試験され、後期G1静止が生じる場合(図9C)、Cdk2、Cdk6、Cdk4、サイクリンDおよびサイクリンEと呼ばれる5つのピークが観察され得た。両方の化合物処理において、化合物は、患者の処置のために有効な薬物であり得る。
【0161】
別のアッセイは、タンパク質の可逆的な共有結合性修飾の調節のために低分子のライブラリーを使用する、タンパク質の翻訳後調節の研究を含む。1セットのe−タグプローブが調製され、ここで各e−タグプローブは、修飾されているかまたは非修飾の状態であるタンパク質に対する抗体を含み、そのプローブセット内で特有であるe−タグ部分に切断可能に連結される。光増感剤試薬は、細胞、膜、細胞質ゾルまたは他の適切な位置のいずれかに導入される。次いで、このプローブは、適切な反応容器中で細胞と合わせられる。ライブラリーの低分子の各々は、それぞれの容器に加えられる。次いで、培地は、上記のように照射される。各容器からの培地は、処理され、e−タグレポーターを分離および同定する。1つ以上のe−タグレポーターの存在は、タンパク質の共有結合性修飾を調節するそれぞれの低分子の能力に関連する。
【0162】
タンパク質の翻訳後修飾の研究のための別のアプローチにおいて、1セットのe−タグプローブが調製され、その中の低分子ライブラリーの1つは、各e−タグプローブについてのe−タグ部分に切断可能に連結される。適切な容器中の細胞は、光増感剤試薬で処理され、適切な細胞位置に光増感剤を組み込む。e−タグプローブセット全体、またはその一部が、低分子が目的のタンパク質修飾をもたらすのを可能にする条件下で容器に加えられる。目的の修飾に含まれるこれらの低分子のみが、光増感剤の近位に切断可能な連結をもたらす。容器からの培地を処理して、e−タグレポーターを分離および同定する。1つ以上のe−タグレポーターの存在は、タンパク質の共有結合修飾を調節するためのそれぞれの低分子の能力に関連する。
【0163】
上記の様式において、タンパク質経路は、インヒビター、アクチベーター、潜在的薬物、ホルモン、酵素補因子、または他の型の調節因子として作用する低分子によって変更される細胞事象のカスケードの理由において研究され得る。遺伝子発現およびタンパク質融合における低分子の影響は、研究され得、それによって低分子は、新規のタンパク質を同定するために使用され得る。低分子の使用は、遺伝子ノックアウトに特異的であり得る。本発明は、機能を迅速に変化させる低分子の発見に使用され得、このことは古典的な遺伝学においては、不可能である。低分子は、タンパク質の機能を制御するため、およびキナーゼスクリーニング、ペプチドスクリーニング、キナーゼ、ペプチド、プロテアーゼ、GPCRなどについてのようなランダムスクリーニングにおいて使用され得る。細胞サイクル阻止薬剤の低分子抑制剤のためのスクリーニングアッセイは、本発明の試薬を使用して実施され得る。
【0164】
本発明に従う電気泳動プローブの別の使用法は、図11に示される。細胞膜は、その表面にレセプターRを含む多重レセプターを有することが示される。レセプターRに特異的に結合する抗原が加えられ、レセプターRが存在する場合、その抗原は、レセプターRおよび補因子Coに結合する。上記の複合体に結合する酵素Eaは、次いで、Eaを活性化し、P1をそのリン酸化カウンターパートP1aに転換する。キナーゼP2は、活性複合体を形成するためにP1aに結合する。この系は、活性化複合体のインヒビター(例えば、低分子または薬物)についてスクリーニングするために使用され得る。従って、このアッセイについての試薬は、インヒビターとしてスクリーニングされる各分子を含み、ここで各分子は、放出誘導試薬に結合される。電気泳動プローブは、複合体(例えば、P1aの複合体)に対する抗体であり、ここで、この抗体は、複数の電気泳動部分に放出可能に連結される。スクリーニングされる分子のうちの1つが複合体に結合し、そして複合体の活性を阻害する場合、放出誘導試薬は、電気泳動プローブの近位に運ばれ、そしてe−タグ部分は放出され、検出されおよび/または定量化される。
【0165】
上記のアプローチは、特定のレセプターに対する結合能力についてタンパク質をスクリーニングするためにまた、使用され得る。図11のスキームと一致するこのアプローチにおいて、十分に規定された標的を有する薬物が使用され得る。このような試薬のうちの1つ以上が、レセプターRに結合するタンパク質の長所によって存在する場合に限り、e−タグレセプターは、検出される。見られるように、本発明の方法は汎用性であり、その実体は公知でありそして未知でもある。
【0166】
図11のスキームのバリエーションは、図12に示される。この実施形態において、放出誘導試薬は、抗体Ab1であり、これは、P2aおよびP1aの活性複合体に特異的に結合する。電気泳動プローブは、複数のe−タグ部分が放出可能に連結される抗体Ab2である。リガンドLは、細胞表面上のレセプターRに結合するためのそれらの能力について研究され得る。Lが、Rに結合される場合、P2aおよびP1aの活性複合体が形成される。抗体Ab1およびAb2は、活性複合体に結合し、放出誘導試薬のごく近位に放出可能な連結をもたらす。このe−タグレポーターは、放出され、検出されそして定量化される。
【0167】
図13Aは、複数のリン酸化事象を含むタンパク質−タンパク質相互作用経路の仮定的例を示し、これに対して本発明の方法および組成物が適用され得る。この例示において、タンパク質−タンパク質結合は、低分子によって促進される。FRAPは、栄養素と細胞表面上のレセプターを有するマイトジェンの相互作用を生じる。図13Aに見られるように、FKBPタンパク質は、ラパマイシンの存在下でFRAP(結合事象1)に結合して4E−BP1を生じ、mRNA翻訳開始PP2Aの制御に関与する。PP2Aは、FRAP(結合事象2)によって活性化されるキナーゼであり、カリクリン(calyculine)−Aの存在下でp70S6Kを生じ、S6タンパク質結合(結合事象5)を導く。後者のタンパク質はまた、mRNA翻訳開始の制御に関与する。細胞表面上の別のレセプターRTKは、キナーゼPI3Kを産生するための増殖因子に作用される。ワートマニンの存在下で、PI3Kは、PDK1に転換され(結合事象6)、S6タンパク質を導くp70S6Kを生じる。PDK1はまた、PKB(結合事象3)を生じ、次いでFRAP(結合事象4)を生じる。図13Bのグラフは、薬物が存在しないかまたはワートマニン、ラパマイシンまたはカリクリンのいずれかが存在するアッセイの結果を示し、放出関連試薬と結合する各々および電気泳動プローブが使用され、電気泳動部分に放出可能に連結される結合事象に関与するタンパク質のうちの1つに対する抗体を含む。上記の経路は、種々の結合事象の観察を助け得、その事象には、これらの結合事象のうちの1つ以上のインヒビター、これらの結合事象のうちの1つ以上におけるコンペティター、キナーゼ活性のモジュレーターなどが関与する。上記の1つ以上の本発明の方法および試薬によって、複数の電気泳動プローブを使用する単一アッセイを同時にモニタリングし得る。
【0168】
(反応生成物の分析)
電気泳動の方法は、周知であり、例えば、Krylovら、Anal.Chem.,72:111R−128R(2000);P.D.GrossmanおよびJ.C.Colburn,Capillary Electrophoresis:Theory and Practice,Academic Press,Inc.,NY(1992);米国特許第5,374,527号;同第5,624,800号;同第5,552,028号;ABI PRISM 377 DNA Sequencer User’s Manual,Rev.A,1995年1月、第2章(Applied Biosystems,Foster City,CA);などに記載される。種々の適切な電気泳動媒体は、Applied Biosystemsおよび他の業者から市販されており、この媒体は、例えば、Applied Biosysterns「3700」装置および「3100」装置のような自動化された装置を用いる使用のための非架橋性媒体を含む。特定の分離に使用される最適な電気泳動条件(例えば、ポリマーの濃度、pH、温度、電圧、変性剤の濃度)は、分離される化合物の大きさの範囲、これらの組成などを含む多くの因子に依存する。従って、本発明の適用は、特定の分離のための条件を最適化するために標準的な予備試験を必要とし得る。
【0169】
電気泳動分離の間またはその後、電気泳動タグを、分離された化合物の蛍光シグナルおよび移動時間(または移動距離)を記録することによって、あるいは電気泳動タグの相対的な蛍光の移動および移動の順番のチャート(例えば、電気泳動図)を構築することによって検出または同定する。そのような検出を実施するために、電気泳動タグを、標準的な手段(例えば、高輝度水銀灯、レーザーなど)によって照射し得る。代表的には、電気泳動タグを、He−Neガスレーザーまたは半導体レーザーによって発生されたレーザー光によって照射する。次いで、蛍光シグナルを、光検出器(例えば、光電子増倍管、電荷結合素子など)によって検出し得る。例示的な電気泳動検出システムは、他の文献(例えば、米国特許第5,543,026号;同第5,274,240号;同第4,879,012号;同第5,091,652号;同第6,142,162号;など)に記載される。
【0170】
反応の終了後(この反応は、例えば、シグナル(例えば、上記に記載されるような蛍光)の変化をモニタリングすること、またはアリコートを採取し、全遊離e−タグレポーターについてアッセイをすることによって、モニターされ得る)、混合物をこの段階で分析し得る。装置に依存して、1〜4の異なる蛍光剤が、同一の光源によって活性化され、異なる検出可能な標識における発光を、使用し得る。改良された5以上の異なる蛍光剤が、入手可能であり得、ここで、さらなる光源が必要とされ得る。電気化学的検出は、米国特許第6,045,676号に記載される。
【0171】
1つの実施形態において、切断された各e−タグレポーターの存在を、e−タグ部分に含まれる蛍光標識によって決定する。標識されたe−タグレポーターの混合物の分離を、代表的には、電気的分離によって実施し、この電気的分離は、電界の印加、好ましくはエレクトロキネシス(electrokinesis)(界面動電流)または電気泳動流あるいは電気浸透流中の電気泳動流の組合せによる、液体中の構成成分の分離を含み、e−タグレポーター混合物を、個々の画分またはバンドに分離する。電気的分離は、移動度の差異に基づいた電場中での分子の移動および分離を含む。種々の形態の電気的分離としては、例として、遊離ゾーン電気泳動、ゲル電気泳動、等電点電気泳動、等速電気泳動、キャピラリー通電クロマトグラフィー、ミセル界面動電クロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない。キャピラリー電気泳動は、好ましくは、界面動電流(電気泳動流、誘電泳動流、および/または電気浸透流を含む)による、約1〜約200μmのチューブまたはチャネル、通常には、約10〜約100μmの断面寸法のチューブまたはチャネル中を伝導する電気的分離を含む。キャピラリーは、長い独立したキャピラリーチューブあるいは水またはシリコン、石英、ガラスもしくはプラスチックからなるフィルム中のチャネルであり得る。
【0172】
キャピラリーの電気的分離において、e−タグレポーターを含む反応混合物のアリコートを、増幅および他の反応を実施するキャピラリーデバイスの一部であり得るかまたはこのデバイスに連結され得る電気的分離チャネルへの、アリコートの導入によって、電気的分離に供する。次いで、電位は、チャネル内に含まれる電気伝導媒体へと印加され、組合せ中の構成成分の移動を引き起こす。一般的に、印加される電位は、当該分野で周知の慣例に従って、所望の構成成分の電気的分離を達成するのに十分である。当業者は、本発明で使用される試薬の所定のセットに適した電位および/または切断された標識の性質、反応媒体の性質などを決定することが可能である。媒体および電圧に関するパラメーターを含む電気的分離に関するパラメーターは、通常、最適化され、所望の構成成分の最大の分離を達成する。このことは、経験的に達成され得、当業者の範囲の中に十分ある。
【0173】
同質のアッセイのために、サンプル、第1のプローブおよび電気泳動プローブ、ならびに補助試薬を、結合領域の切断を支持する反応混合液中で合わせる。この混合液は、プロセスされ、混合物の他の構成成分からe−タグレポーターを分離し得る。次いで、e−タグレポーター濃縮を受けたかまたは受けない混合物を、電気泳動デバイス(通常には、微小流体電気泳動デバイスまたはキャピラリー電気泳動デバイス)へと移し、この媒体を、電気泳動的分離に要求されるように改変し得る。インタクトなe−タグレポーター分子を分離チャネルから除去することを所望する場合、リガンドは、e−タグレポーターが放出される場合には、放出されないe−タグレポーターへと結合する。あるいは、e−タグレポーターの反対の電荷を有する逆結合メンバーの添加によって、結果として、全電荷は、e−タグレポーターの電荷と反対になり、これらの分子は、放出されたe−タグレポーター分子から反対の電極の方へ移動する。例えば、ビオチンおよびストレプトアビジンを使用し得、ここでストレプトアビジンは、正電荷を有する。ペプチド分析物の場合、1つの実施形態は、リガンドがペプチド分析物と共に残る部位に切断を有する。例えば、メチオニンのメチル基をe−タグ部分に置換させ得る。改変されたメチオニンのピラゾロンを使用して、利用可能なリジンに結合し得る。ピラゾロンのアミノ基は、ビオチンで置換される。次いで、切断がブロモシアンを用いて達成され、e−タグレポーターを放出するが、ビオチンは、結合メンバーから放出されなかったペプチドおよび任意のe−タグ部分と共に残る。次いで、アビジンを用いて、極性を変えるか、または分析物に対する標的結合部分もしくは標的結合部分へと結合体化されたe−タグ部分を隔離する。
【0174】
キャピラリー電気泳動について、1つ以上の検出帯を使用して、分離され切断された標識を検出し得る。もちろん、反応の性質、移動度調節部分などに依存するいくつかの検出帯を利用することは、本発明の範囲内である。単一チャネルまたは複数チャネルに関係する、任意の数の検出帯が存在し得る。検出帯における使用のための適切な検出器としては、例として、光電子増倍管、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、アバランシェフォトダイオード、直線およびアレイ電荷結合素子(CCD)チップ、CCDカメラモジュール、蛍光光度計などが挙げられる。励起源としては、例えば、フィルターランプ、LED、レーザーダイオード、気体レーザー、液体レーザーおよび半導体レーザーなどが挙げられる。検出は、レーザースキャン励起、CCDカメラ検出、同軸光ファイバー、単一配置またはアレイ配置での共焦点逆蛍光検出または共焦点順蛍光検出などであり得る。
【0175】
検出は、米国特許第5,560,811号(第11欄、19行目〜30行目)、同第4,675,300号、同第4,274,240号および同第5,324,401号(関連する開示は、本明細書中で参考として援用される)に示される方法を含むキャピラリー電気泳動カラムの分析に関連する、任意の公知の方法によってであり得る。電気泳動の分野の当業者は、広い範囲の電位または電界の強さを使用し得ることを認識し、例えば、10〜1000V/cmの電界を使用し、より代表的には、約200〜600V/cmを使用する。市販のシステムの電圧の上限は、約40cm〜約60cmのキャピラリー長で、約30kVであり、約600V/cmの最大電界を与える。DNAについては、代表的には、キャピラリーを、電気浸透流を減少するためにコーティングし、キャピラリーの注入末端を、負電位に維持する。
【0176】
簡単な検出のために、全器具を、光学的に透明なプラスチック材料から作製し得、このプラスチック材料は、一般的には、約180〜約1500nmの範囲、通常は約220〜約800nmの範囲、より通常は約450〜約700nmの範囲にわたる波長の光の低い透過損失を可能にする。適切な材料としては、石英ガラス、プラスチック、石英、ガラスなどが挙げられる。
【0177】
(e−タグ試薬の使用のためのキット)
便宜上、本発明で使用される所定量の試薬を、パックされた組合せのキットとして提供し得る。ポリペプチド分析のための1つの例示的なキットは、パックされた組合せ中に、切断誘導部分を包含する第1の試薬および翻訳後修飾を受けたポリペプチド上の結合部位に結合させるための結合因子を包含し得る。キットは、e−タグレポーターに切断可能に結合された特定のポリペプチドに対する特定の結合因子を包含する、1つ以上の電気泳動プローブをさらに包含し得る。例えば、各e−タグプローブは、e−タグ部分に切断可能に結合された抗体のようなポリペプチド結合部分を包含し得る。各e−タグプローブの移動度調節部分は、1つのe−タグレポーターを別のe−タグレポーターから区別することが可能であり、そして目的の特定のタンパク質に独特である移動度を有する。キットは、少なくとも1個の異なるプローブ、通常は少なくとも約10個の異なるプローブ、より通常は少なくとも約20個の異なるプローブ、およびしばしば、少なくとも約50個以上の異なるプローブを包含し、これらは移動度によって分離され得るe−タグレポーターを生成し得る。他方、ポリペプチド自体が、特異的に切断されて、e−タグ部分を提供する場合、キットは、各試薬が特定の切断されたe−タグ部分に結合するための部分に連結された検出部分を包含する試薬を包含し得る。
【0178】
キットは、キャピラリー電気泳動を実施するためのデバイス、および切断誘導試薬の切断誘導部分を活性化するために必要であり得る試薬をさらに包含する。キットは、種々の緩衝化された媒体をさらに包含し得、これら媒体のうちいくつかは、1つ以上の上記試薬をさらに包含し得る。
【0179】
キットの種々の試薬の相対量は、本発明の目的を達成するために必要な試薬の濃度を提供するために広く変化し得る。適切な状況下で、キットの1つ以上の試薬は、乾燥粉末、通常は凍結乾燥された乾燥粉末として、提供され得、この乾燥粉末は、賦形剤を包含し、これは溶解の際に、本発明の方法に従う方法またはアッセイを実施するために適切な濃度を有する試薬溶液を提供する。各試薬は、別々の容器にパックされ得るかまたはいくつかの試薬は、交差反応および保存を可能にする1つの容器中に合わせられ得る。キットは、上記に記載されるような本発明に従う方法の説明書もまた包含し得る。
【実施例】
【0180】
(実施例)
本発明は、以下の合成および具体的実施例によってさらに示される。部および百分率は、示されない限り重量あたりである。温度は、示されない限り摂氏(℃)による。以下の調製物および実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を制限することを意図しない。他に示されない限り、以下の実施例に使用されるペプチドは、自動合成機を使用する合成によって調製され、ゲル電気泳動またはHPLCによって精製された。
【0181】
以下の略語は、以下に示される意味を有する:
TrisHCl−Bio Whittaker,Walkersville,MD製のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−HCl(10×溶液)
HPLC−高性能液体クロマトグラフィー
TCL−薄相クロマトグラフィー
BSA−ウシ血清アルブミン(例えば、Sigma Chemical Company(St.Louis,MO)または類似の試薬供給業者から入手可能)
EDTA−Sigma Chemical Company製のエチレンジアミン四酢酸g−グラム
mM−ミリモル濃度
FAM−カルボキシフルオレセイン
EMCS−N−ε−マレイミドカプロイルオキシ−スクシンイミドエステル
EDC−1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
NHS−N−ヒドロキシスクシンイミド
DCC−1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF−ジメチルホルムアミド
Fmoc−N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−
(実施例1)
(光増感剤分子のアッセイ試薬への結合体化)
光増感剤分子を、種々の従来の方法および構成によって、金属親和性因子、ボロン酸含有薬剤、ハブ分子などと結合体化される。例えば、活性化された(NHSエステル、アルデヒド、スルホニルクロリドなど)光増感剤(Rose Bengal、フタロシアニンなど)を、反応性アミノ基含有部分(アミノデキストラン、アミノ基含有薬剤(金属結合部位の適切な保護を用いる)、他の低分子および巨大分子)と反応し得る。形成された結合体を、種々のアッセイ(例えば、抗体−光増感剤結合体、ビオチン−LC−光増感剤など)に直接使用し得る。また、形成された結合体は、抗体(例えば、20〜200の光増感剤および200〜500のアミノ基を含有するアミノデキストラン−光増感剤結合体を、過ヨウ素酸塩酸化抗体分子と結合し得、抗体−デキストラン−光増感剤結合体を生成する)とまたは抗体および粒子とさらに結合し得る。例えば、20〜200の光増感剤および200〜500のアミノ基を含有するアミノデキストラン−光増感剤結合体を、EDC結合化学によってカルボキシル化ポリスチレンビーズへとカップリングし、光増感剤−アミノデキストラン−粒子結合体を形成し得る。光増感剤の粒子への組込みのための方法は、米国特許第5,340,716号に示される。次いで、過ヨウ素酸ナトリウム酸化抗体分子を、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で、アミノデキストラン分子のアミノ基と反応し、抗体−デキストラン−光増感剤−粒子結合体(本明細書中で「光増感剤ビーズ」という)を生成し得る。抗体分子の代わりに、アビジンまたは他の分子もまた使用され得ることは留意されるべきである。
【0182】
(実施例2)
(e−タグ部分の結合体化およびe−タグレポーターの放出)
図14は、e−タグ部分を抗体または遊離アミノ基を有する他の結合部分へと結合体化する方法論、および遊離されたe−タグレポーターとしてスルフィン酸部分を生成する一重項酸素と得られた結合体との反応を要約する。図15A〜Jは、いくつかのe−タグ試薬を示し、これらのほとんどは、出発物質として5−カルボキシフルオレセインまたは6−カルボキシフルオレセイン(FAM)を使用する。
【0183】
(実施例3)
(Pro2、Pro4、およびPro6〜Pro13の調製)
図16Aに概略を述べられるスキームは、カルボキシフルオレセイン誘導性e−タグ部分(すなわち、Pro2、Pro4、Pro6、Pro7、Pro8、Pro9、Pro10、Pro11、Pro12、およびPro13)の調製についての5段階の手順を示す。第1の工程は、対応するエステルを生じる5−FAMまたは6−FAMとDMF中のN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)との反応を包含し、次いで、この対応するエステルを、種々のジアミンを用いて処理し、所望のアミド(化合物1)を得た。N−スクシンイミジルヨード酢酸での化合物1の処理は、予想されるヨードアセトアミド誘導体を提供し、このヨードアセトアミド誘導体を単離せずに、さらにトリエチルアミンの存在下で3−メルカプトプロピオン酸でさらに反応させた。最後に、得られたβ−チオ酸(thioacid)(化合物2)を、上記に記載されるようにこのNHSエステルに転換した。種々のe−タグ部分を、5−FAMまたは6−FAMおよび種々のジアミンの1つから出発して合成した。ジアミン(H2N∧X∧NH2)は、図16Aの第1の反応中に示される。FAMのレジオ異性体およびジアミン中の化学実態の「X」を、各合成されたe−タグ部分について、以下の表に示す。明らかに、ジアミン(X)は、上記の移動性改変部分の考察において記載されるように、広い範囲のさらなる形態を有し得る。
【0184】
【表3】
(化合物1の合成)
N−ヒドロキシスクシンイミド(1.1当量)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.1当量)を、乾燥DMF(5mL)中の5−カルボキシフルオレセインまたは6−カルボキシフルオレセイン(0.5mmol)の溶液に攪拌しながら添加した。約10分後、白色固体(ジシクロヘキシルウレア)を形成し始めた。反応混合物を、窒素下で、室温で一晩攪拌した。TLC(9:1 CH2Cl2−MeOH)は、出発物質の完全な消失を示した。
【0185】
上記混合物からの上清を、DMF(10ml)中のジアミン溶液(2〜5当量)に攪拌しながら滴下した。TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)から明らかなように、反応は、即座に完了した。溶媒を、減圧下で除去した。Iatrobeadシリカに対する得られた残渣フラッシュクロマトグラフィーにより、58〜89%の収率で所望のアミン(化合物1)を得た。化合物1の1H NMR(300MHz、DMSO−d6)は、帰属された構造と一致した。
【0186】
(化合物2の合成)
乾燥DMF(10mL)およびN−スクシンイミジルヨード酢酸(1.1当量)を、アミン(化合物1)(0.3mmol)へと連続的に添加した。得られた混合物を、透明な溶液が得られるまで、室温で攪拌した。TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)は、反応の完了を示した。
【0187】
次いで、上記反応溶液を、トリエチルアミン(1.2当量)および3−メルカプトプロピオン酸(3.2当量)を用いて処理した。この混合物を、室温で一晩攪拌した。減圧下での溶媒の除去後、フラッシュクロマトグラフィーによって、62〜91%の収率でβチオ酸(化合物2)を得た。化合物2の構造を、1H NMR(300MHz、DMSO−d6)に基づいて、帰属した。
【0188】
(Pro2、Pro4、およびPro6〜Pro13の合成)
N−ヒドロキシスクシンイミド(1.5当量)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(1.5当量)を、乾燥DMF(2mL)中のβ−チオ酸(化合物2)(0.05mmol)の溶液に、攪拌しながら添加した。この混合液を、窒素下で、室温で24〜48時間(出発物質の全てが反応するまで)攪拌した。反応混合物を、減圧下で濃縮し、次いで、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、41〜92%の収率で標的の分子を得た。
【0189】
(Pro1の調製)
この反応の化合物を、図16Bに示す。トリエチルアミン(8μL、0.057mmol)および3−メルカプトプロピオン酸(5μL、0.057mmol)を、乾燥DMF(2mL)中の5−ヨードアセトアミドフルオレセイン(化合物4)(24mg、0.047mmol)の溶液に、攪拌しながら添加した。得られた溶液を、室温で1.5時間攪拌した。TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)は、反応の完了を示した。続いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(9mg、0.078mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(18mg、0.087mmol)を添加した。この混合物を、窒素下で、室温で19時間攪拌し、この時間で、TLCは、出発物質の完全な消失を示した。減圧下での溶媒の除去、続いての25:1および15:1のCH2Cl2−MeOHを溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、Pro1(23mg、83%)を得た。
【0190】
(Pro3の調製)
この反応の化合物を、図16Cに示す。トリエチルアミン(8μL、0.057mmol)および3−メルカプトプロピオン酸(5μL、0.057mmol)を、乾燥DMF(2mL)中の6−ヨードアセトアミドフルオレセイン(化合物5)(26mg、0.050mmol)の溶液に、攪拌しながら添加した。得られた溶液を、室温で1.5時間攪拌した。TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)は、反応の完了を示した。続いて、N−ヒドロキシスクシンイミド(11mg、0.096mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(18mg、0.087mmol)を添加した。この混合物を、窒素下で、室温で19時間攪拌し、この時間で、TLCは、出発物質の完全な消失を示した。減圧下での溶媒の除去、続いての30:1および20:1のCH2Cl2−MeOHを溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、Pro3(18mg、61%)を得た。
【0191】
(Pro5の調製)
この反応の化合物を、図16Dに示す。
【0192】
(化合物7の合成)
トリエチルアミン(15μL、0.108mmol)および3−メルカプトプロピオン酸(10μL、0.115mmol)を、乾燥DMF(5mL)中の5−(ブロモメチル)フルオレセイン(化合物6)(40mg、0.095mmol)の溶液に、攪拌しながら添加した。得られた溶液を、室温で2日攪拌した。TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)は、反応の完了を示した。反応溶液を減圧下でエバポレートした。最後に、30:1および25:1のCH2Cl2−MeOHを溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、β−チオ酸(化合物7)(28mg、66%)を得た。
【0193】
(Pro5の合成)
N−ヒドロキシスクシンイミド(11mg、0.096mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(20mg、0.097mmol)を、乾燥DMF(2mL)中の酸(化合物7)(27mg、0.060mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を、窒素下で、室温で2日間攪拌し、この時間で、TLC(9:1 CH2Cl2−MeOH)は、出発物質の完全な消失を示した。減圧下での溶媒の除去、続いての30:1のCH2Cl2−MeOHを用いるフラッシュクロマトグラフィーにより、Pro5(24mg、73%)を得た。
【0194】
(Pro14の調製)
この化合物の反応を図16Eに示す。
【0195】
(化合物9の合成)
乾燥DMF(4mL)およびスクシンイミジルヨード酢酸(52mg、0.184)を、5−アミノアセトアミドフルオレセイン(化合物8)(49mg、0.121mmol)へと連続して添加した。透明な溶液を得、TLC(40:9:1 CH2Cl2−MeOH−H2O)は、出発物質の完全な消失を示した。
【0196】
次いで、上記反応溶液を、トリエチルアミン(30μL、0.215mmol)および3−メルカプトプロピオン酸(30μL、0.344mmol)を用いて処理した。得られた混合液を、2時間攪拌した。減圧下での溶媒の除去、続いての20:1および15:1のCH2Cl2−MeOHを溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーは、β−チオ酸(化合物9)(41mg、62%)を得た。構造帰属を、1H NMR(300MHz、DMSO−d6)に基づいて行った。
【0197】
(Pro14の合成)
N−ヒドロキシスクシンイミド(9mg、0.078mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(16mg、0.078mmol)を、乾燥DMF(2mL)中の化合物9(22mg、0.04mmol)の溶液に添加した。この反応混合物を、窒素下で、室温で24時間攪拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を、30:1および20:1のCH2Cl2−MeOHを溶出液として用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、Pro14(18mg、70%)を得た。
【0198】
(Pro15、Pro20、Pro22、およびPro28の合成)
電気泳動タグ(Pro15、Pro20、Pro22、およびPro28)のNHSエステルを生成する合成スキームを、それぞれ図16F〜Iに示す。全ての試薬および反応混合物は、当該分野で慣習的であり、かつ上記に記載される反応に類似して進行させる。
【0199】
(実施例4)
(タンパク質分析のためのe−タグレポーターアッセイ)
(A.e−タグ部分およびビオチンを用いたアミノデキストラン(MW約500,000)の標識)
アミノデキストランを、高分子量の分子(これはまた、タンパク質のモデルとして役立つ)に対するe−タグレポーター放出を実証するためのモデルとして使用した。10mgのアミノデキストランについてのアミノ基の数は、2×10−8と計算された。1:4のビオチン 対 e−タグ部分の比率について、使用したビオチンNHSエステルのモル数は、1.85×10−6であり、そして、マレイミドNHSエステルのモル数は、7.4×10−6であった。10.9mgのアミノデキストランを、6mLの0.1% PBS緩衝液中に溶解した。撹拌し、かつ光を避けながら、10mgのビオチン−x−xNHSエステルおよび23.7mgのEMCSを、1mLのDMF中に一緒に溶解して、そして、30分の間隔で、アミノデキストラン溶液に50μL分を添加した。DMF溶液の最後の添加の後、この混合物を一晩保存した(撹拌し、かつ光を避けながら)。次いで、この混合物を、10,000ダルトンの分子量カットオフを有する膜を使用して透析した。この膜を、撹拌しながら、2Lの水を含むビーカー中に浸した。この水を、2時間の間隔で4回交換した。この膜を、一晩水の中に保存した(撹拌し、かつ光を避けながら)。次いで、この溶液を凍結乾燥して、この凍結乾燥した粉末を、e−タグ部分の標識のために使用した。
【0200】
(B.ビオチンおよびマレイミド標識化アミノデキストランと部分(SAMSA)との反応)
SAMSA[5−(((2−(および−3)−S−アセチルメルカプト)スクシノイル)アミノ)フルオロセイン]を、e−タグ部分として使用して、アミノデキストラン分子中でマレイミドと反応させた。この目的のために、アミノデキストランで標識した0.3mg(約5.3×10−9モル)のビオチンおよびEMCSを、10μlの水に溶解した。1.1mgのSAMSA(約1.2×10−6モル)を120μLの0.1M NaOH中に溶解して、室温で15分間インキュベートした(チオール基の活性化のため)。次いで、過剰のNaOHを2μLの6M HClを添加することで中和して、この溶液のpHを30μLのリン酸緩衝液(200mM(pH7.0))を添加することで7.0に調整した。この活性化SAMSA溶液を、10μLの標識化アミノデキストラン溶液に添加して、1時間インキュベートした。e−タグ部分−標識化アミノデキストランを、Sephadex G−25(Amersham)を用いるゲル濾過で精製して、精製したサンプルを回収した。
【0201】
(C.標識化アミノデキストランからのe−タグレポーターの放出)
2μLのストレプトアビジン−標識化光増感剤ビーズ(100μg/mL)を、暗中で、5μLの精製した標識化アミノデキストランに注意深く添加して、そして、15分間暗中でインキュベートした。次いで、この溶液を、680nmで1分間照射した。e−タグレポーターの放出を、CE2LabCardTMデバイス(ACLARA BioSciences,Mountain View,CA)を使用して、CEを試験した。図17Aに示すように、CE2LabCard 1は、2つの部分からなる:エバポレーション制御および注入/分離。このエバポレーション制御は、エバポレーション制御チャネルの中央に、2つの補充緩衝液レザバ3(2mmの直径)およびエバポレーション制御化サンプルウェル4(1mm直径)を備えるエバポレーション制御チャネル2(450μmの幅および50μmの深さ)を取り込む。この補充緩衝液レザバの容積は、4.7μLであるが、サンプルウェルの容積は、たった1.2μLしかなく、そして、中央サンプルウェルの下のチャネル2の容積は、約40nLである。CE2デバイスの第2の部分(これを、注入および分離のために使用する)は、注入マイクロチャネル5および分離マイクロチャネル6からなり、これは、接合7で交差して、そして、120μmの幅および50μmの深さの寸法を有する。この分離チャネルの両端および注入チャネルの一端は、緩衝液レザバ8に接続するが、注入チャネルの第2の末端は、エバポレーション制御化サンプルウェル4に直接接続する。このチャネルを、フィルム(MT40)をLabCardTMに積層することで囲んだ。検出器9を、接合から10mmに位置させる。CE2LabCardデバイスを分離緩衝液(20mM HEPES(pH7.4)および0.5% PEO)で充填した後、300nLのアッセイ混合物をサンプルウェル4に添加した。このサンプルをマイクロチャネル接合7に、図17Bで示すように緩衝液レザバに電圧を印加することで注入した。次いで、このサンプルを図17Cに示すように分離した。
【0202】
図18は、光増感剤ビーズの有無に関わらず、精製した標識化アミノデキストランの電気泳動図を示す。光増感剤ビーズの添加により、680nmでの照射の際に光増感剤によって生成された一重項酸素を使用して、アミノデキストランからe−タグレポーターの放出が導く。実験条件:分離緩衝液 20mM HEPES(pH7.4)および0.5% PEO;図17に記載するような電圧配置;アッセイ混合物は、29μg/mlのストレプトアビジン標識化光増感剤ビーズを有し、そして、680±10nmのフィルターおよび150Wのランプを使用して、680nmで1分間照射した。示すように、光増感剤ビーズの添加により、680nmでの照射の際に光増感剤によって生成された一重項酸素を使用して、アミノデキストランからe−タグレポーターの放出を導く。照射時間を最適化するために、光増感剤ビーズを含む反応混合物を、1〜10分の範囲の異なる時間で照射した。1分よりも長い照射時間について、e−タグレポーター放出の有意な増加はない。
【0203】
図19は、e−タグレポーター放出に対する、光増感剤ビーズ濃度の効果を示す。この図は、異なる濃度の光増感剤ビーズを使用した、精製した標識化アミノデキストランの分離を示す。より高濃度の光増感剤ビーズは、標識化アミノデキストランからのe−タグレポーターのより高い放出を導く。実験条件:分離緩衝液 20.0mM HEPES(pH7.4)および0.5% PEO;図17に記載するような電圧配置;アッセイ混合物を、680±10nmのフィルターおよび150Wのランプを使用して、680nmで1分間照射した。
【0204】
図20は、光増感剤ビーズ濃度の関数としての、e−タグレポーターの放出についての直線の検量線を示す。結果を、CE2LabCardを使用して得た。実験条件:分離緩衝液 20.0mM HEPES(pH7.4)および0.5% PEO;図17に記載するような電圧配置;アッセイ混合物を、680±10nmのフィルターおよび150Wのランプを使用して、680nmで1分間照射した。
【0205】
さらに、e−タグレポーター放出に対する標識化アミノデキストランの濃度の効果もまた、試験し、結果を図21に示す。この図において実証するように、所定の濃度の光増感剤ビーズに対して低濃度の標識化アミノデキストランは、より効率的なe−タグレポーターの放出(または、標識化アミノデキストランの量に対して放出されたe−タグレポーターのより高い比率)を導く。結果を、CE2LabCardを使用して得た。実験条件:分離緩衝液 20.0mM HEPES(pH7.4)および0.5% PEO;図17に記載するような電圧配置;アッセイ混合物は、29μg/mlの光増感剤ビーズを有し、そして、680±10nmのフィルターおよび150Wのランプを使用して、680nmで1分間照射した。
【0206】
(実施例5)
(タンパク質分析のためのe−タグレポーターアッセイ)
(A.e−タグ部分の抗体への結合体化)
結合体化のために2つの異なるアプローチを使用した。最初のアプローチは、e−タグ部分の抗体への直接付着に関して、そして、第2のアプローチは、次いで抗体に付着されるデキストランへのe−タグ部分の付着に関する。
【0207】
((A1)e−タグ部分への抗体の直接的結合体化)
e−タグ部分を、抗体の1級アミンと反応して安定なアミド結合を形成するNHSエステル末端を用いて合成した。これは、抗体の表面にわたるe−タグ部分の無作為な付着を生じた。1抗体分子あたり、6〜12までのNHSエステル含有分子を用いる改変でさえ、代表的に、抗原結合活性の減少を招かない。抗体に対するNHSエステルのより高い比率は、ほんのわずかな活性の損失を伴う可能性がある。
【0208】
(プロトコル)
1.精製したヒトIgG(Sigma−Aldrichから購入)を、1×PBS(0.1M リン酸ナトリウム、0.15M NaCl(pH7.2))中で、2mg/mlまで希釈した。
【0209】
2.e−タグ部分を含むNHSエステルを、最終濃度が10〜20nmol/μl DMFとなるように、DMF(ジメチルホルムアミド)中に溶解した。
【0210】
3.500μLの希釈したヒトIgG(6.5nmol)を、1μL、5μL、25μLまたは50μLのe−タグ部分(各々、14nmol、68nmol、340nmolおよび680nmol)のいずれかと混合した。
【0211】
4.この溶液を、暗中で、氷上にて2時間反応させた。
【0212】
5.e−タグ部分−結合体化抗体を、4℃にて20時間の0.1×PBS(10mM リン酸ナトリウム、15mM NaCl(pH7.2))に対する透析により精製した。
【0213】
((A2) e−タグ部分−デキストランの抗体への結合体化)
この2番目の例において、e−タグ部分を、最初に、上記のように本質的にアミド結合を介して、アミン含有デキストランに付着させた。ポリクローナル抗体およびいくつかのモノクローナル抗体は、その抗体のFc部分に炭水化物を含む。これらの多糖は、反応性アルデヒド残基を形成するために、過ヨウ素酸化され得る。次いで、アミノ−デキストラン含有e−タグ部分を、Schiff塩基の形成を介して、酸化型抗体のアルデヒド残基に結合体化する。この結合をさらに、シアノホウ化水素ナトリウム(sodium cyanoborohydride)を用いて2級アミン結合を還元することで安定化する。
【0214】
e−タグ部分への結合体化のために利用可能な50〜500のアミノ基を含む、非常に大きいサイズのアミノ−デキストラン(500,000の分子量)は、1抗体あたりのe−タグ部分の数の有意な増加を可能にして、シグナルの増幅を生じる。このデキストランは、抗体のFc部分上の炭水化物を介してカップリングされるので、これは、活性を含むことなく抗原−結合部位から十分に除去される。
【0215】
(e−タグ部分のアミノ−デキストランへの結合体化のためのプロトコル)
1.アミノ−デキストラン(500アミン/モルデキストランを有する500,000mw)を、2mg/ml(2nmol アミン/μM)の最終濃度となるように、90% DMF中に溶解した。
【0216】
2.NHSエステル含有e−タグ部分を、10〜20nmol/μl DMFの間の最終濃度となるように、DMF(ジメチルホルムアミド)中に溶解した。
【0217】
3.500μlのアミノ−デキストラン(1000nmolのアミン)を、500nmol、1000nmolまたは2000nmolのe−タグ部分のいずれかと混合した。
【0218】
4.この溶液を、暗中で、氷上にて2時間反応させた。
【0219】
5.e−タグ部分−結合体化アミノ−デキストランを、4℃にて20時間、0.1×PBS(10mM リン酸ナトリウム、15mM NaCl(pH7.2))に対する透析により精製した。
【0220】
6.沈澱を、5分間の14,000×gでの遠心分離によって除去した。
【0221】
(過ヨウ素酸ナトリウムを用いた抗体の酸化のためのプロトコル)
1.500μl(2.8nmol)の精製した抗ヒトIL−4ポリクローナル抗体(Pierceから購入)を、10mMの過ヨウ素酸ナトリウム(Aldrich)の存在下で酸化した。
【0222】
2.この溶液を、暗中で室温にて、30分間反応させた。
【0223】
3.エチレングリコールを、最終濃度が100mMとなるように添加して、室温にて10分間インキュベートさせる。
【0224】
4.酸化型抗体を、4℃にて2時間、0.1×PBS(10mM リン酸ナトリウム、15mM NaCl(pH7.2))に対する透析により精製した。
【0225】
(過ヨウ素酸酸化型抗体のアミノ−デキストランを含むe−タグ部分への結合体化のプロトコル)
1.54μl(300pmol)の酸化型抗ヒトIL−4ポリクローナル抗体を、200mM 炭酸ナトリウムの存在下(pH 9.5)で、300pmolのe−タグ部分−結合体化アミノ−デキストランと混合する。
【0226】
2.この溶液を、暗中で室温にて、2時間反応させた。
【0227】
3.シアノホウ化水素ナトリウム(1N NaOH中で新たに作製)を、最終濃度が50mMとなるように添加して、そして、室温にて30分間反応させる。
【0228】
4.未反応アルデヒドを50mMのエタノールアミン(pH 9.6)の添加によりブロックして、そして、室温にて30分間反応させる。
【0229】
5.この結合体を、4℃にて20時間、0.1×PBS(10mM リン酸ナトリウム、15mM NaCl(pH7.2))に対する透析により精製した。
【0230】
(B.標識化アミノデキストランからのe−タグレポーターの放出)
使用する手順およびデバイスは、実質的に、SAMSA e−タグ部分について上述したとおりであった。合計8のe−タグレポーターを、ABI310を使用して分離した。この分離条件は、以下のとおりであった:50ミクロンのキャピラリー、47cm長および端から検出まで36cm;分離緩衝液、POP−6(PE Biosystems);3.0kVにて60秒の注入;分離電圧、9.4kV。この結果を、図22の電気泳動図に示す。
【0231】
(C.e−タグ部分に結合体化された抗体を用いたイムノアッセイ)
上述した結合体化e−タグ部分から作製した2つの型のイムノアッセイ(直接的および非直接的またはサンドイッチ)を、実施した。
【0232】
((C1) サイトカインについてのサンドイッチイムノアッセイ)
サンドイッチ型のイムノアッセイを、実施した(図23)。このアッセイは、既知のサイトカイン抗原の定性および定量を可能にする。このアッセイにおいて、抗体の適合した対は、サイトカイン抗原の周辺でサンドイッチを形成して、このサンドイッチが二つの抗体を近接させる。これらの抗体の1つを、e−タグ部分と結合体化させて、e−タグプローブを得る。このe−タグプローブは、一重項酸素の不安定な結合を有して、これは、一重項酸素との反応の後、e−タグレポーターの放出を可能にする。第2の抗体を、680nmで照射した場合に一重項酸素を生成する光増感剤色素と結合体化させる。一重項酸素の比較的短い半減期に起因して、2つの抗体がサンドイッチを形成する場合にのみ、一重項酸素は、e−タグプローブの切断可能な結合を切断する。
【0233】
(サイトカインについてのサンドイッチイムノアッセイのためのプロトコル)
1.10μlのアッセイ緩衝液(0.1×PBS、40mg/ml BSA)を、1μl(100nM)のビオチン標識化抗ヒトIL−4モノクローナル抗体(Pierceから購入、カタログ番号M−450−B)、および0〜500nMの濃度の範囲にわたる1μlのサイトカインIL−4(Pierce、カタログ番号R−IL−4−5)と混合する。
【0234】
2.この反応を、室温にて30分間進行させた。
【0235】
3.5μlの100μg/mlのストレプトアビジン−標識化光増感剤ビーズを添加して、この混合物を、暗中で室温にて、15分間インキュベートした。
【0236】
4.e−タグプローブとストレプトアビジンとの非特異的相互作用を除去するために、2μlの5μM ビオチン−DNPを添加して、暗中にて室温で10分間インキュベートした。
【0237】
5.1μlの400nM アミノ−デキストランe−タグ部分に結合体化した抗ヒトIL−4ポリクローナル抗体を添加して、そして、暗中にて室温で30分間インキュベートした。
【0238】
6.次いで、この反応混合物を、680DF±20nmの光学フィルターを有する150ワットの光源を使用して、30秒間インキュベートした。
【0239】
7.次いで、1:20の1μlのROX T8標準(PE Biosystems製)を添加して、放出されたe−タグを、ABI310またはACLARAのプラスチックLabCard(ACLARA BioSciences,Inc.Mountain View,CA)のいずれか上で、キャピラリー電気泳動によって分離した。
【0240】
8.ABI310上の放出されたe−タグレポーターの分離条件は、以下のとおりであった:50μmのキャピラリー;47cm長および端から検出まで36cm;分離緩衝液、POP−6;3.0kVにて60秒間の注入;分離電圧、9.4kV。e−タグレポーターPro1を用いたIL−4についての結果を、図24に示す。
【0241】
上記の手順を、種々のサイトカインおよびいくつかのe−タグ部分について、以下のように繰り返した:IL−6を、e−タグ部分Pro10を使用して研究して、そして、この結果を、図25に示す。IFNγを、e−タグ部分Pro8を使用して研究して、そして、この結果を図26に示す。TNFαを、e−タグPro7を用いて研究して、そして、この結果を図27に示す。IL−10をe−タグ部分Pro4を使用して研究して、そして、この結果を図28に示す。IL−8をe−タグ部分Pro2を用いて研究して、そして、この結果を図29に示す。
【0242】
IL−4を、以下のように、他のサイトカインとの二重反応として研究した:IL−4およびIL−6、IL−4およびIL−8、IL−4およびTNFα、ならびにIL−4およびIFNγ。これらの結果を図30に示す。5つのサイトカイン(IL−4、IL−6、IL−8、TNFαおよびIFNγ)についての多重のアッセイを実施して、そして、この結果を図31に示す。6つのサイトカイン(IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、TNFαおよびIFNγ)についての多重のアッセイを実施して、そして、これらの結果を図32に示す。
【0243】
((C2) IgGについての直接的イムノアッセイ)
直接的イムノアッセイにおいて、IgG抗原を、e−タグ部分と結合体化させて、e−タグプローブを形成した。このe−タグプローブは、一重項酸素の不安定な結合を有しており、そして、一重項酸素との反応後にe−タグプロモーターの放出を可能にする。抗体を、680nmで照射した場合に一重項酸素を生成する光増感剤色素と結合体化させる。この一重項酸素の比較的短い半減期に起因して、2つの抗体が結合する場合にのみ、この一重項酸素がe−タグレポーターを放出するために切断可能な結合を切断する(図33)。
【0244】
(ヒトIgGについての直接的イムノアッセイのためのプロトコル)
1.10μlのアッセイ緩衝液(0.1×PBS、40mg/ml BSA)を、1μl(100nM)のビオチン標識化抗ヒトIgG抗体および0〜500nMの濃度の範囲にわたるe−タグ部分で標識された1μlのヒトIgG(Sigma製)と混合する。
【0245】
2.この反応を、室温にて30分間反応させた。
【0246】
3.5μlの100μg/ml ストレプトアビジン標識化光増感剤ビーズを添加して、そしてこの混合物を、暗中にて室温で15分間インキュベートした。
【0247】
4.次いで、この反応混合物を、680DF±20nmの光学フィルターを有する150ワットの光源を使用して、30秒間インキュベートした。
【0248】
5.次いで、1μlのROX T8標準を添加して、放出されたe−タグレポーターを、ABI310またはACLARAのプラスチックLabCardのいずれか上で、キャピラリー電気泳動によって分離する。
【0249】
種々の濃度のヒトIgGの結果を図34に示す。検量線を図35に示す。
【0250】
対象となる本発明が、多重化決定における使用のための組成物を調製する強力な手段、およびこのような組成物を使用する多重化決定を実施するための方法を提供することが本明細書中の結果から明らかである。この方法は、他のクラスの化合物の例と同様に、タンパク質と同質のプロトコルおよび異質のプロトコルを提供し得る。
【0251】
対象となる本発明が、正確、効率的、かつ間脳性のプロセスおよびそのプロセスにおける使用のための組成物を提供し、多重化決定反応を実施することが、上記の結果からさらに明らかである。これらのプロトコルは、決定が実行され、そしてハプテン、抗原、核酸、細胞などを含む広範な状況に適用され得る様式において、高度な順応性を提供し、ここで、単一のサンプルまたは複数のサンプルに対して多数の決定を同時に実行し得、そして、複数の事象についてサンプルを調査し(interrogate)得る。この決定の結果は、電気泳動または質量分析を使用する簡単な様式で、容易に読まれる。サンプルおよび試薬の添加後、プロセス全体が、自動的に記録される結果を伴うデータ処理装置の制御下で実施され得るシステムが提供される。
【0252】
この明細書中で引用された全ての出版物および特許出願は、あたかも、各個々の出版物または特許出願が、参考として援用されるために詳細にかつ個々に示されるように、本明細書中で参考として援用される。
【0253】
前記の発明は、明瞭な理解の目的のために、図解および実施例の手段でいくらか詳細に記載されているが、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の意図または範囲から逸脱することなく本明細書中でなされ得るということが、本発明の教示を考慮して、当業者に容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0254】
【図1】図1は、フェノールのヒドロキシル基が、無水物を用いて保護される、市販の6−カルボキシフルオレセインで開始する1つの例示的合成アプローチを図示する。標準的な抽出物ワークアップの際、95%の収率の産物が得られる。この材料は、ホスホロアミダイトモノマーを生産するためにリン酸化される。
【図2】図2は、2級アミンを有する(これにより、複数のカルボン酸誘導体とカップリングする)アミノアルコールとしての、対称的なビスアミノアルコールリンカーの使用を図示する。
【図3】図3は、移動度調節因子として役立ち得るいくつかの安息香酸誘導体の構造を示す。
【図4】図4は、出発物質として5−アミノフルオレセインおよびそれをその保護されたホスホロアミダイトモノマーに変換する同様の一連の工程を使用する代替のストラテジーの使用を示す。
【図5】図5は、eタグのホスホロアミダイトモノマーへのアミノ色素の変換のために使用され得るいくつかの移動度調節因子を図示する。
【図6】図6A〜Bは、本発明の電気泳動タグの構築に使用され得るフルオレセイン誘導体を図示する。
【図7】図7は、プロテオミクス研究のための本発明の使用を図示する。
【図8】図8は、細胞周期および活性分子の主要な期および各々の期におけるプロセスを図示する図である。
【図9】図9A〜Cは、eタグ試薬および天然産物を用いる細胞ベースのアッセイを用いての標的の発見および確認を図示する図の電気泳動図(electropherogram)である。図9Aは、非同調化細胞集団からの仮説的結果を示す。図9Bは、初期G1において阻止された細胞からの結果を示す。図9Cは、後期G1において阻止された細胞からの結果を示す。
【図10A】図10Aは、酸化不安定(oxidation−labile)連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図10B】図10Bは、酸化不安定連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図10C】図10Cは、酸化不安定連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図10D】図10Dは、酸化不安定連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図10E】図10Eは、酸化不安定連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図10F】図10Fは、酸化不安定連結および一重項酸素によって媒介されたこれらのそれぞれの切断反応を図示する。
【図11】図11は、リガンド−細胞表面レセプター相互作用の影響を検出するための本発明の試薬の使用を示す図である。
【図12】図12は、リガンド−細胞表面レセプター相互作用の影響を検出するための本発明の試薬の使用のさらなる描写での図である。
【図13】図13Aは、細胞経路中のタンパク質−タンパク質相互作用の分析を示す図である。図13Bは、6つの示されたタンパク質相互作用に対する薬物処理の影響の仮説的結果である。
【図14A】図14Aは、eタグプローブを形成するための抗体へのeタグ部分の結合体化のための一般的な方法論、および放出されたeタグレポーターとしてスルフィン酸を生産するために一重項酸素を用いて得られたプローブの反応を図示する。
【図14B】図14Bは、eタグプローブを形成するための抗体へのeタグ部分の結合体化のための一般的な方法論、および放出されたeタグレポーターとしてスルフィン酸を生産するために一重項酸素を用いて得られたプローブの反応を図示する。
【図15A】図15Aは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15B】図15Bは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15C】図15Cは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15D】図15Dは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15E】図15Eは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15F】図15Fは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15G】図15Gは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15H】図15Hは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15I】図15Iは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図15J】図15Jは、設計されそして合成されたeタグ部分の構造を示す。(Pro1は、Molecular Probes,Inc.から市販される)。
【図16A】図16Aは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16B】図16Bは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16C】図16Cは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16D】図16Dは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16E】図16Eは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16F】図16Fは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16G】図16Gは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16H】図16Hは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図16I】図16Iは、図15に図示されたeタグ部分の合成の化学を図示する。
【図17】図17A〜Cは、本発明の方法に利用されるCE2 LabCardTMデバイスの概要的図示である。図17Aは、このデバイスを図示する。図17Bおよび図17Cは、それぞれ、注入および分離のためにデバイスにおいて利用される例示的な高電圧構成を示す。
【図18】図18は、CE2 LabCardを使用する、eタグレポーター分析を実証する2つの電気泳動図を示す。
【図19】図19は、CE2 LabCardを使用する、eタグレポーター分析を実証する複数の電気泳動図を示す。
【図20】図20は、光増感剤ビーズ濃度の関数としての、eタグレポーターの放出についての直線の検量線を示す。
【図21】図21は、eタグレポーター放出に対する標識アミノデキストランの濃度の影響のデータ曲線を示す。
【図22】図22は、ABI310での8つのeタグレポーターの電気泳動的分離を示す。
【図23】図23は、サイトカインIL−4およびIL−5の定量のためのサンドイッチアッセイを描写する図である。
【図24】図24は、IL−4滴定研究におけるeタグレポーター(Pro1)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図25】図25は、IL−6滴定研究におけるeタグレポーター(Pro10)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図26】図26は、IFNγ滴定研究におけるeタグレポーター(Pro8)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図27】図27は、IFNα滴定研究におけるeタグレポーター(Pro7)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図28】図28は、IL−10滴定研究におけるeタグレポーター(Pro4)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図29】図29は、IL−8滴定研究におけるeタグレポーター(Pro2)分析を実証する一連の電気泳動図を示す。
【図30】図30は、一重および二重のサイトカイン研究におけるeタグレポーター分析を実証する電気泳動図を示す。
【図31】図31は、5つのサイトカインの多重研究におけるeタグレポーター分析を実証する電気泳動図を示す。
【図32】図32は、多重サイトカイン研究におけるeタグレポーター分析を実証する電気泳動図を示す。
【図33】図33は、ヒトIgGの直接的定量のための均質アッセイを実証する図である。
【図34】図34は、ヒトIgG滴定研究におけるeタグレポーター分析を実証する電気泳動図を示す。
【図35】図35は、図34の結果を定量する検量線を示す。
Claims (61)
- 標的ポリペプチドを含むと考えられるサンプル中の1つ以上の標的ポリペプチドの存在または非存在を決定するための方法であって、以下の工程:
クラス特異的試薬および1つ以上の電気泳動プローブを提供する工程であって、該クラス特異的試薬は、切断誘導部分および第1の結合因子を有し、該切断誘導部分が、有効な近接を有し、該第1の結合因子が、該1つ以上の標的ポリペプチドにおける翻訳後修飾について特異的であり、そして該1つ以上の電気泳動プローブは、各々、結合部分および1つ以上の電気泳動タグを有し、該結合部分が、標的ポリペプチドに対して特異的であり、該1つ以上の電気泳動タグが、各々、切断可能な結合によって該電気泳動プローブに結合される、工程;
該サンプル、該クラス特異的試薬、および該1つ以上の電気泳動プローブを混合する工程であって、その結果、該クラス特異的試薬および該1つ以上の電気泳動プローブが、該1つ以上の標的ポリペプチドに結合し、そして該1つ以上の電気泳動プローブの少なくとも1つの切断可能な結合が、該1つ以上の電気泳動タグが放出されるように切断誘導部分の有効な近接の範囲内である、工程;
該放出された電気泳動タグを電気泳動的に分離する、工程;ならびに
該放出された電気泳動タグの存在または非存在に基づいて、該1つ以上の標的ポリペプチドの存在または非存在を決定する、工程;
を包含する方法。 - 前記1つ以上の標的ポリペプチドが、複数の標的ポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
- 前記切断誘導部分が、活性種を生成する増感剤である、請求項2に記載の方法。
- 請求項3に記載の方法であって、前記増感剤が、光増感剤であり、前記切断可能な結合が、酸化に不安定な結合であり、そして前記活性種が、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル、スーパーオキシドアニオン、フェノキシラジカル、および一重項酸素からなる群より選択される、方法。
- 前記活性種が、一重項酸素である、請求項4に記載の方法。
- 請求項5に記載の方法であって、前記クラス特異的試薬の結合因子が、抗体、タンパク質レセプター、タンパク質レセプターのリガンド、レクチン、ビオチン含有部分、ボロン酸含有部分、アプタマー、酵素基質、酵素補因子、および酵素サブユニットからなる群より選択され、そして前記電気泳動プローブの前記結合部分が、抗体または抗体結合成分である、方法。
- 請求項5に記載の方法であって、前記翻訳後修飾が、リン酸化、グリコシル化、リボシル化、アセチル化、アシル化、メチル化、リピド化、イソプレニル化およびユビキチン化からなる群より選択される、方法。
- 前記複数の標的ポリペプチドが、2〜100の範囲内である、請求項5に記載の方法。
- 前記複数の標的ポリペプチドが、5〜50の範囲内である、請求項8に記載の方法。
- 前記光増感剤が、ポルフィリン、フタロシアニン、フルオレセイン色素のハロゲン化誘導体、ローダミン色素のハロゲン化誘導体、およびナフタロシアニンからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
- 前記切断可能な結合が、オレフィン、チオエーテル、セレノエーテル、チアゾール、オキサゾール、またはイミダゾールを含む、請求項5に記載の方法。
- 請求項5に記載の方法であって、前記電気泳動プローブが、以下の式:
T−(L−E)k
によって定義される方法であって、ここで:Tが、標的ポリペプチドに対して特異的な結合部分であり、Lが、酸化に不安定な結合であり、Eが、電気泳動タグであり、そしてkが、1以上の整数である、方法。 - Lが、オレフィン、チオエーテル、セレノエーテル、チアゾール、オキサゾール、およびイミダゾールからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
- Eが、蛍光性の水溶性有機化合物であり、該化合物が、約150〜2500ダルトンの範囲内の分子量を有する、請求項13に記載の方法。
- 請求項13に記載の方法であって、Eが、形態(M,D)を有し、ここで、Dが、蛍光性色素であり、そしてMが、移動度調節部分であり、該移動度調節部分は、結合、または炭素、酸素、窒素、リン、ホウ素、および硫黄からなる群より選択される、水素以外に100原子までを有する有機分子である、方法。
- 請求項12に記載の方法であって、前記電気泳動タグEが、以下の式:
A−M−D
によって定義される方法であって、ここで:
Aが、−C(=O)Rであり、ここで、Rが、1〜8個の炭素原子、ならびにO、SおよびNからなる群より選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式;−CH2−C(=O)−NH−CHO;−SO2H;−CH2−C(=O)O−CHO;−C(=O)NH−(CH2)n−NH−C(=O)C(=O)−(C6H5)であり、nが、2〜12の範囲内であり;
Dが、蛍光性色素であり;そして
Mが、結合、または炭素、酸素、窒素、リン、ホウ素、および硫黄からなる群より選択される、水素以外に100原子までを有する有機分子であり、ただし、Eの全分子量が、約150〜約5000ダルトンの範囲内である、方法。 - Dが、フルオレセイン色素である、請求項16に記載の方法。
- サンプル中の複数の標的ポリペプチドの存在または非存在を検出するためのキットであって、以下:
クラス特異的試薬であって、切断誘導部分および第1の結合因子を有し、該第1の結合因子が、該1つ以上の標的ポリペプチドに対する翻訳後修飾について特異的である、クラス特異的試薬;および
1つ以上の電気泳動プローブであって、各々、結合部分および1つ以上の電気泳動タグを有し、該結合部分が、標的ポリペプチドに対して特異的であり、該電気泳動タグが、切断可能な結合によって結合される、1つ以上の電気泳動プローブ、
を含む、キット。 - 前記切断誘導部分が、光増感剤であり、そして前記切断可能な結合が、酸化に不安定な結合である、請求項18に記載のキット。
- 請求項19に記載のキットであって、前記第1の結合因子が、抗体結合成分、タンパク質レセプター、タンパク質レセプターのリガンド、レクチン、ビオチン含有部分、ボロン酸含有部分、アプタマー、酵素基質、酵素補因子、および酵素サブユニットからなる群より選択される、キット。
- 前記1つ以上の電気泳動プローブの前記結合部分が、抗体結合成分である、請求項20に記載のキット。
- 前記1つ以上の電気泳動プローブが、2〜50の範囲内で複数である、請求項21に記載のキット。
- 各々異なる電気泳動プローブが、異なる標的ポリペプチドに対して特異的である、請求項22に記載のキット。
- 請求項23に記載のキットであって、前記1つ以上の電気泳動プローブの各々が、以下の式:
T−(L−E)k
によって定義されるキットであって、ここで:Tが、標的ポリペプチドに対して特異的な前記結合部分であり、Lが、前記酸化に不安定な結合であり、Eが、電気泳動タグであり、そしてkが、1以上の整数である、キット。 - 1つ以上の標的ポリペプチドを検出するための組成物であって、該組成物が、以下の式:
T−(L−E)k
によって定義される複数の電気泳動プローブを含み、
ここで:複数の各々異なるTが、異なるEに結合されるように、そして複数の各々のEが、複数の他の全てのEのものと異なる光学特性および/または電気泳動移動度を有するように、Tが、標的ポリペプチドに対して特異的な結合部分であり、Lが、切断可能な結合であり、Eが、電気泳動タグであり、そしてkが、1以上の整数である、組成物。 - Lが、酸化に不安定な結合であり、前記複数が、2〜500の範囲内であり、そしてEが、150〜10,000ダルトンの範囲内の分子量を有する、請求項25に記載の組成物。
- 請求項26に記載の組成物であって、前記電気泳動プローブが、以下の式:
T−(L−(M,D))k
によって定義され、ここで、T、L、およびkが、上記のように定義され;Dが、検出部分であり;そしてMが、結合、または炭素、酸素、窒素、リン、ホウ素、および硫黄からなる群より選択される、水素を含めずに1〜100原子からなる水溶性有機化合物である、組成物。 - Dが、蛍光性標識、発色性標識、または電気化学的標識である、請求項27に記載の組成物。
- Mが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリペプチド、オリゴサッカリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリスルホキシド、ポリホスホネート、およびこれらのブロックコポリマーのいずれか1つから選択されるポリマーである、請求項28に記載の組成物。
- Dが、フルオレセインである、請求項29に記載の組成物。
- 請求項30に記載の組成物であり、ここで前記フルオレセインが、5−カルボキシフルオレセインおよび6−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインならびに2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインからなる群より選択される、組成物。
- Lが、オレフィン、チオエーテル、セレノエーテル、チアゾール、オキサゾール、およびイミダゾールからなる群より選択される、請求項27に記載の組成物。
- 請求項27に記載の組成物であって、ここで、Dが、D1−g−D2であり、D1およびD2の一方が、エネルギー移動アクセプター分子であり、そしてD1およびD2の他方が、エネルギー移動ドナー分子であり、そしてgは、エネルギー移動がD1とD2との間で生じるように選択される長さを有する剛直なリンカーである、組成物。
- D1およびD2が、ローダミン、フルオレセイン、およびこれらのハロゲン化誘導体からなる群より選択される、請求項33に記載の組成物。
- Tが、抗体結合成分である、請求項27に記載の組成物。
- Tが、抗体である、請求項35に記載の組成物。
- 請求項27に記載の組成物であって、ここで、Mが、ジメトキシトリチル保護ヘキサエチレングリコールホスホロアミダイト、6−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ヘキシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、12−(4−モノメトキシトリチルアミノ)ドデシル−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、2−[2−(4−モノメトキシトリチル)アミノエトキシ]エチル−(2−シアノエチル),N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、(S−トリチル−6−メルカプトヘキシル)−(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)−ホスホロアミダイト、9−O−ジメトキシトリチル−トリエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、3(4,4’ジメトキシトリチルオキシ)プロピル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、5’−O−ジメトキシトリチル−1’,2’−ジデオキシリボース−3’−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、18−Oジメトキシトリチルヘキサエチレングリコール、1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、12−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ドデシル−1−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、1−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]−3−[5−フルオレノメトキシカルボニルオキシペンチルアミド]−プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホロアミダイト、スクシンイミジルtrans−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、スクシンイミジルアセチルチオアセテート、スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート;N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル;p−ニトロフェニルヨードアセテート;および4−(4−N−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジドからなる群より選択される化合物の2〜10の複数のカップリングによって製造される、組成物。
- 前記電気泳動プローブの前記複数が、5〜100の範囲内である、請求項27に記載の組成物。
- 前記電気泳動プローブの前記複数が、10〜30の範囲内である、請求項38に記載の組成物。
- サンプル中の標的分子の存在または非存在を決定するための組成物であって、該組成物が、以下の式:
A−M−D
によって定義される複数の電気泳動タグを含み、ここで:
Aが、−C(=O)Rであり、Rが、1〜8個の炭素原子、およびO、SおよびNからなる群より選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、脂肪族、芳香族、脂環式または複素環式;−CH2−C(=O)−NH−CHO;−SO2H;−CH2−C(=O)O−CHO;−C(=O)NH−(CH2)n−NH−C(=O)C(=O)−(C6H5)であり、nが、2〜12の範囲内であり;
Dが、検出部分であり;そして
Mが、結合または炭素、酸素、窒素、リン、ホウ素、および硫黄からなる群より選択される、水素以外の100原子までを有する有機分子であり、ただし、A−M−Dの全分子量が、約150〜約5000ダルトンの範囲内である、組成物。 - Dが、蛍光性標識、発色性標識、または電気化学的標識である、請求項40に記載の組成物。
- Dが、蛍光性標識である、請求項41に記載の組成物。
- Dが、フルオレセインである、請求項42に記載の組成物。
- 請求項42に記載の組成物であって、ここで、Dが、D1−g−D2であり、D1およびD2の一方が、エネルギー移動アクセプター分子であり、そしてD1およびD2の他方が、エネルギー移動ドナー分子であり、そしてgは、エネルギー移動がD1とD2との間で生じるように選択される長さを有する剛直なリンカーである、組成物。
- D1およびD2が、ローダミン、フルオレセイン、およびこれらのハロゲン化誘導体からなる群より選択される、請求項44に記載の組成物。
- Dが、蛍光性標識であり、ここで、前記複数の前記電気泳動タグが、5〜100の範囲内である、請求項40に記載の組成物。
- 請求項47に記載の組成物であり、前記複数の各々の電気泳動タグは、各々の電気泳動タグが電気泳動的分離の際に検出可能なピークを形成するように、異なる電荷−質量比または異なる光学特性を有する、請求項47に記載の組成物。
- 請求項48に記載の組成物であって、Dが、前記複数の各々の電気泳動タグについて同一であり、そして該複数の各々の電気泳動タグは、各々の電気泳動タグが電気泳動的分離の際に異なるピークを形成するように、異なる電荷−質量比を有する、組成物。
- 請求項40に記載の組成物であって、Mが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリペプチド、オリゴサッカリド、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホンアミド、ポリスルホキシド、ポリホスホネート、およびこれらのブロックコポリマーのいずれかから選択されるポリマーである、組成物。
- Dが、フルオレセインである、請求項50に記載の組成物。
- 請求項51に記載の組成物であって、前記フルオレセインが、5−カルボキシフルオレセインおよび6−カルボキシフルオレセイン、5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび1’,2’,7’,8’−ジベンゾ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセイン、2’,7’−ジクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,7’−ジクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインならびに2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−5−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインおよび2’,4’,5’,7’−テトラクロロ−6−カルボキシ−4,7−ジクロロフルオレセインからなる群より選択される、組成物。
- 電気泳動タグを、チオエーテルの切断可能な結合によって、結合部分に結合するための組成物であって、該組成物が、以下の式:
HOOC−R1−S−CH(R4)−C(=O)−NH−R2−NH−R3
によって定義され、ここで、R1が、C1〜C10アルキルジイルであり;R2が、C3〜C10アルキルジイルであり;R3が、アミノ保護基であり;そしてR4が、フェニルまたは電気供与性に置換されたフェニルである、組成物。 - 前記アミノ保護基が、Fmocであり、R4が、フェニルである、請求項53に記載の組成物。
- 組成物であって、該組成物が:
(a)各々が、一重項酸素と反応し得る切断可能な結合によって結合される電気泳動タグを含む、複数の電気泳動プローブ;および
(b)光増感剤を含むクラス特異的試薬であって、該光増感剤が、その励起状態において、酸素の一重項状態へと酸素を活性化し得る、試薬、
を含む、組成物。 - 前記クラス特異的試薬が、1つ以上の光増感剤ビーズを含む、請求項55に記載の組成物。
- 前記1つ以上の光増感剤ビーズが、各々、結合した第1の結合因子を有する、請求項56に記載の組成物。
- 前記切断可能な結合が、オレフィン基および該オレフィン基と共役した1つ以上の電子供与性置換基を含む、請求項55に記載の組成物。
- 請求項55に記載の組成物であって、前記複数の電気泳動プローブが、以下の式:
T−(L−E)k
によって定義され、ここで:該複数の各々異なるTが、異なるEに結合されるように、そして複数の各々のEが、該複数の他の全てのEのものと異なる光学特性および/または電気泳動移動度を有するように、Tが、標的分子に対して特異的な結合部分であり、Lが、切断可能な結合であり、Eが、電気泳動タグであり、そしてkが、1以上の整数である、組成物。 - 前記クラス特異的試薬が、リン酸化したポリペプチドと特異的に結合する、請求項55に記載の組成物。
- 組成物であって、以下:
(a)標的ポリペプチド;
(b)該標的ポリペプチドに対して特異的に結合する、電気泳動プローブ;および
(c)有効な近接を有する切断誘導部分を含む、クラス特異的試薬であって、該電気泳動プローブが該有効な近接の範囲内であるように、該標的ポリペプチドに特異的に結合される、クラス特異的試薬
を含有する、組成物。 - 前記標的ポリペプチドが、ホスホリル基を有し、そして前記クラス特異的試薬が、該ホスホリル基に対して特異的に結合される、請求項61に記載の組成物。
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