JP2005505451A - 装飾要素および装飾要素を備えるプラスチック部品 - Google Patents

Abstract

本発明は、プラスチック材料で射出オーバモールド成形することができる予め成形された装飾要素に関する。前記装飾要素は、装飾物がその上に印刷された透明なプラスチック箔を含む。箔は、少なくとも部分的に両側に全表面は覆わない装飾物を備えており、それによって、前記箔の内側となる前記装飾物は全表面を覆う彩色コーティング層が印刷される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、予め成形された装飾要素に関する。この予め成形された装飾要素は、プラスチック材料で射出オーバモールド成形ができ、印刷された透明または半透明のプラスチック箔を具備する。本発明はさらに、装飾要素を備え射出オーバモールド成形によって製造されるプラスチック部品に関する。
【背景技術】
【０００２】
プラスチック部品の装飾のために、例えば自動車の室内装置部品の装飾のためにも、装飾される表面に付けられまたその外側または内側に装飾物が印刷された箔を備える装飾要素を使用することが知られている。装飾要素を全表面にわたって接着によって付けることができ、その場合、このようにして得られた外観はしばしばあまり満足なものではない。特に表面の湾曲やでこぼこが厳しいように設計されている場合には、装飾要素を付けることが難しい。したがって、この理由で、それらの装飾要素を使用することで、それらの様々な物体またはその部品をより魅力的にすることはあまり試みられなかった。
【０００３】
プラスチック構成部品の製造の間に射出オーバモールド成形によって組み入れられた装飾要素は、慎重に製造されれば確かによりよい外観をもつが、部品の製造は技術的にはより複雑となる。そのような様式で関係する部品と連結された装飾要素の装飾効果は、接着された装飾要素の装飾効果と同じである。今、視覚的により魅力的であるように設計しまたは設計でき、利用可能な装飾要素が頻繁に求められているので、射出オーバモールド成形工程による製造の複雑さにも相当の価値はある。さらに、例えば動作要素などがプラスチック部品中に収納されている領域を強調するために装飾要素の美的効果を機能的効果に結びつける要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
したがって、本発明は既知の装飾要素と比べて視覚的に相当に魅力的なように設計でき、上述の必要および要求を満足する装飾要素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明の目的は、両側で全表面は覆わない装飾物を備える箔により達成され、その箔の内側となる装飾物には表面を覆う彩色コーティング層が追加的に印刷される。
したがって、本発明に従って、装飾物が視覚的に非常に魅力的な奥行効果を観察者に対して作り出すように装飾要素を様々な方法で設計でき、特に装飾物は、印刷されたプラスチック箔の実際の奥行の深さをはるかに上回る３次元効果をもつことができる。本発明に従って設計された装飾要素を、周囲の光または照明に応じて不利な光の条件下でも、依然として装飾要素を容易に見ることができる効果をもつ反射および陰影効果を起こすように構成することができる。本発明に従って設計された装飾要素を容易に射出オーバモールド成形によるプラスチック部品に連結し、従って広範囲の応用例をもたらすことができる。
【０００６】
本発明の好ましい実施形態に従って、彩色コーティング層が装飾物と異なる少なくとも１つの色または色相を内側に含むように装飾要素を設計する。これによって特に効果的な対比効果をもたらすことが可能になる。
外側の装飾物が少なくとも実質的に内側の装飾物と一致する場合、特に顕著な３次元効果を得ることができる。
【０００７】
本発明に従って、内側の装飾物に対してわずかにずらした外側の装飾物によって３次元効果をさらに強くすることができる。
具体的には、両側の装飾物が少なくとも実質的に幾何学的な特に相似形の構造から構成される変形形態で、明確な光／陰影効果および反射効果も得ることができる。動作要素などを持つ一定の領域を強調しようとする応用例の場合で有利なのはまさにそのような実施形態である。
【０００８】
この場合、ｎが３以上のｎ個の角をもった円、楕円、線などから構成されるパターンは、観察者に特に視覚的に魅力的で心地がよい。代わりとしてまたは追加で、装飾要素の箔の内側および外側に付けられた装飾物を、文字および／または図から構成することもできる。したがって、装飾要素をラベル構成部品および動作要素などのために使用することもできる。
【０００９】
装飾要素内にあり両側が印刷された箔は、具体的にはポリカーボネートまたはポリメタクリル酸メチルから構成される。これらの材料は、特に耐久性があり耐光性があり透明であり、したがって装飾要素に使用するのに特に適している。
両側に印刷された箔の厚さは、得られる奥行効果にいくらかの影響を及ぼし、また選択された装飾によって調整される。０．２から２ミリメートルの厚さの箔が特に適している。
【００１０】
ある範囲の応用例では、装飾要素が特に耐磨耗性があり湿気の影響を受けない場合もさらに有利なことがある。したがって、装飾要素の外側が、装飾要素の箔にラミネート加工できる透明なプラスチック箔の保護層を備えている場合、好都合な場合がある。特に保護層に適している材料は、５０から５００マイクロメートルの箔の厚さをもつポリメタクリル酸メチルである。
【００１１】
次に本発明のさらにそれ以上の特徴、利点、詳細を、本発明の説明的な実施形態を概略的に示す図面に関してさらに詳しく説明する。この場合、図１は、本発明に従って設計された装飾要素を備えるプラスチック部品の詳細の斜視図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
図１は、特に同一平面になるように部品１の上側を終端とするここでは小片の形状をした装飾要素２を備えるプラスチック部品１の小さな詳細だけを示す。装飾要素２は、シルク・スクリーン印刷による装飾物４、５を両側に備え、透明なしかし少なくとも半透明なプラスチック箔３を含む。装飾物４、５は、選ばれた構造を囲みまたはそれをたどって印刷される色で全表面は覆わないパターンによって形成される。したがって、箔３の外側および内側の小さな部分だけがパターンで覆われる。箔３の内側に付けられた装飾物５は、追加的に彩色された材料のコーティング層６によって完全に覆われる。コーティング層６が、装飾物５のために使用される色または色のうちの１つ、または内側の装飾物５とは異なる色または色相から作られる。
【００１３】
図１に示す変形形態の場合、装飾物４の外側は四角の格子である。内側に付けられる装飾物５は、具体的には外側の格子に対してずらして対応して設計された格子である。例えば、このずれを対角線方向にとることができる。箔３の外側に付けられた装飾物４は、接着剤、例えば熱溶融型接着剤の助けによって、ラミネート加工された透明な保護層７で覆われる。部品１に対する要求、例えば耐磨耗性に関する要求によっては、保護層７を省くこともできる。
【００１４】
そのように設計された装飾要素２は、心地よくまた非常に魅力的な奥行効果を観察者にあたえ、具体的にはその効果は、箔３の内側および外側に対応する装飾物４および５と、内側に位置する装飾物５上またはそれに付けられたコーティング層６上の、外側に位置する装飾物４の陰影効果の作り出す物とに起因すると考えられる。装飾物４の装飾物５からの相互のずれが、この効果を強める。内側の装飾物４、外側の装飾物５、およびコーティング層６に選ばれる色も得られる効果に影響をあたえることができる。したがって、例えば、外側の装飾物４に使用する色が、内側の装飾物５に使用する色より幾分暗い色相の場合に有利である。例えば、装飾物５の色相より相当により明るい場合、コーティング層６の色相もこの効果を強めるように作用することができる。
【００１５】
図１に示す構造のような幾何構造が、様々な光の状況、すなわち太陽または人工照明の場合、光および陰影効果をもたらし、したがって装飾要素２が特に容易に見えるようにすることを可能にするのを助ける。この場合、その効果は、容易に見ることができる非常に明るい環境、日中および日光の中で、装飾要素２から起こり、および／または、より不利な光の状況、例えば夜または乏しい照明でも、装飾要素２の効果を依然として容易に見ることができる。
【００１６】
具体的には、装飾要素２を製造するために、０．２から２ミリメートルの厚さをもつポリカーボネートまたはポリメタクリル酸メチルの箔３が使用される。指定された装飾物が、シルク・スクリ−ン印刷によって箔の両側に付けられる。両側に印刷された箔３を乾燥し脱水する。それから、必要ならば、透明な保護層７が、箔３の外側にラミネート加工される。具体的には、保護層７は、ＰＭＭＡ（ポリメタクリル酸メチル）から構成され、５０から５００マイクロメートルの間にあることができる一定の厚さをもつ。次に、そのように加工された箔３を、部品１に適合させるように熱的に変形させる。変形は、真空下の深絞りによる既知の方法で行なうことができる。このようにして製造された成形部品は完成品、すなわち装飾要素２の輪郭に一致するように打ち抜かれる。
【００１７】
今完成した装飾要素２は、射出成形用金型中に置く時に損傷しないようにその寸法を射出成形用金型に合致させる。関係するプラスチック部品を製造するために、装飾要素２は、開いた射出成形用金型中に置かれ、金型が閉じられ、装飾要素２が射出されたプラスチック材料によって射出オーバモールド成形される。射出形状が、射出オーバモールド成形工程の間で、損傷を避けるために装飾要素２は導入されたプラスチック材料と穏やかに接触することを保証する。完成したプラスチック部品１は、射出成形用金型から取り出され、指定されたようにさらに加工されまたは最終製品と結合される。
【００１８】
本発明は、心地よく視覚的に非常に魅力的な奥行効果をもたらす装飾要素をもつ多数のプラスチック部品を可能にする。本発明に従う構成の結果、これらの部品は、非常に魅了的な効果をもつだけでなく、一定の領域、構成部品、動作要素などを視覚的に強調する機能をもつこともできる。具体的には、これは例えば、フリップ・スイッチなどそこに固定された動作要素をより目立つように配置するためのフェーシングまたはカバーの場合であり得る。これは不利な光の状況でも使用者がより簡単に動作要素を見つけることを可能にする。随時設計の装飾要素を、ある部品用に設けられた射出成形用金型中に配置することができる。これによって、選択できる多数の様々な装飾物を顧客に提供する可能性が開ける。
【００１９】
もちろん、装飾要素２の製造は、一定の形状、色または装飾構造に限定されない。装飾要素２を多数の金型、例えば凹部または開口によってでも製造することができる。実際上、使用する色、可能なパターンに関して制限もない。具体的には、三角、四角、円、線等を基本要素として用いる幾何パターンによって優れた奥行効果を得ることができる。しかし、署名、文字、図なども簡単に適合する。
【００２０】
本発明に従って製造できる部品には、自動車の室内または室外装置部品またはそれら装置部品の構成要素、例えば、車両のドアの領域で使用できるトリム・ストリップ、トリム・パネルまたはフェーシング、および計器盤、中央コンソールなど、さらにプリンタ、視野スクリーンあるいは家庭の領域で使用できる様々な電気器具のハウジングまたはハウジング部品などすべてを列挙することはできない、物体および製品およびその構成部品が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】

Claims (15)

1. プラスチック材料で射出オーバモールド成形でき、装飾物がその上に印刷される透明または半透明のプラスチックの箔を具備する予め成形された装飾要素であって、
   該箔は両側において少なくとも部分的に全表面が覆われていない装飾物を備え、
   内側の装飾物は表面を覆う彩色コーティング層を印刷したものであることを特徴とする装飾要素。
2. 請求項１に記載の装飾要素であって、前記彩色コーティング層は、該内側の装飾物とは異なる１つの色または色相を含むことを特徴とする装飾要素。
3. 請求項１または２に記載の装飾要素であって、外側の装飾物は、少なくとも該内側の装飾物とほぼ同一であることを特徴とする装飾要素。
4. 請求項１乃至３のいずれか１項に記載の装飾要素であって、該外側の装飾物は、該内側の前記装飾物に対してわずかにずれていることを特徴とする装飾要素。
5. 請求項１乃至４のいずれか１項に記載の装飾要素であって、前記装飾物は、少なくとも実質的に幾何学的な特に相似形の構造から構成されるパターンをもつことを特徴とする装飾要素。
6. 請求項５のいずれか１項に記載の装飾要素であって、該パターンは、ｎが３以上のｎ個の角をもった円、楕円、線などから構成されることを特徴とする装飾要素。
7. 請求項１乃至４のいずれか１項に記載の装飾要素であって、前記装飾物は、文字および／または図をもつことを特徴とする装飾要素。
8. 請求項１乃至７のいずれか１項に記載の装飾要素であって、両側が印刷されている該箔は、具体的にはポリカーボネートまたはポリメタクリル酸メチルから構成されることを特徴とする装飾要素。
9. 請求項１乃至８のいずれか１項に記載の装飾要素であって、両側が印刷されている前記箔は、０．２から２ミリメートルの厚さをもつことを特徴とする装飾要素。
10. 請求項１乃至９のいずれか１項に記載の装飾要素であって、前記箔の前記外側が透明または半透明のプラスチック箔の保護層で覆われていることを特徴とする装飾要素。
11. 請求項１０に記載の装飾要素であって、該保護層は、ラミネート加工されていることを特徴とする装飾要素。
12. 請求項１０または１１に記載の装飾要素であって、前記保護層は、ポリメタクリル酸メチルの箔であることを特徴とする装飾要素。
13. 請求項１０乃至１２のいずれか１項に記載の装飾要素であって、該保護層の箔は、５０から５００マイクロメートルの厚さをもつことを特徴とする装飾要素。
14. 請求項１乃至１３のいずれか１項に記載の装飾要素であって、該装飾要素は真空下の深絞りによって形成されることを特徴とする装飾要素。
15. 射出オーバモールド成形による装飾要素を備え、請求項１乃至１４の少なくとも１項に従って設計されたことを特徴とするプラスチック部品。

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