JP2005331465A - カルボン酸の測定方法およびその測定キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 有害な試薬を使用しない新規なカルボン酸の測定方法であって、操作性に優れ簡便であり且つ高精度なカルボン酸の測定方法と、該方法の実施に有用な測定キットを提供すること。
【解決手段】 一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体を含む溶液に酸化剤及びフェノールレッドを添加し、生成するブロモフェノールブルー又は残存するフェノールレッドを検知・定量することを特徴とするフェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法を用いて、カルボン酸を検知・定量する。
【化1】
Figure 2005331465

式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カルボン酸の測定方法に関わり、より詳細には、油脂に含まれるカルボン酸(遊離脂肪酸)や果汁、果実飲料等の飲料などに含まれるカルボン酸(有機酸)を、フェナシルブロミド誘導体を用いて測定する方法及びその測定キットに関するものである。
臨床化学や食品化学の属する分野およびその他の分野において、選択性に優れたカルボン酸の測定方法が要求されており、種々の測定方法が考案されている。
中でも食品に含まれるカルボン酸量は、食品の品質に大きな影響を与えるため、品質管理上の指標となっている場合があり、高精度なカルボン酸測定技術の開発に対する要求が強い。例えば、果汁や果実飲料、アルコール飲料、コーヒーなどの飲料に含まれる有機酸の量は、品質管理上酸度と呼ばれ、嗜好に大きな影響を及ぼしている。また、食用油などの油脂のフライ加熱や長期保存によって生成する遊離脂肪酸は、品質管理上酸価と呼ばれ、油脂の酸化劣化度の指標となっている。これら食品中のカルボン酸の一般的な測定方法としては、中和滴定法などが利用されている。この中和滴定法に関しては、基準油脂分析法、日本農林規格、JIS、衛生試験法などで基準が定められており、フェノールフタレイン指示薬を用いて滴定するか、あるいはpHメーターでpH8程度まで滴定する方法が一般的である。
他に一般的なカルボン酸の測定方法としては、オルト−ニトロフェニルヒドラジン法や4−ニトロフェナシルブロミド法が知られている。オルト−ニトロフェニルヒドラジン法は、カルボン酸にオルト−ニトロフェニルヒドラジン塩酸塩およびジシクロヘキシルカルボジイミドをピリジン存在下で反応させ、生成した酸ヒドラジドをアルカリ性にして生じる紫色の生成物を比色定量する方法である。また、4−ニトロフェナシルブロミド法は、カルボン酸に4−ニトロフェナシルブロミドのアセトン溶液を加えてカルボン酸エステルを生成させ、さらにジメチルスルホキシドおよびジメチルアミンを作用させて生成する赤紫色の生成物を比色定量する方法である(例えば、非特許文献1参照。)。
更に、食料品中の有機酸(炭素数の比較的小さい有機酸)の測定方法としては、中和滴定法以外にも、例えば非特許文献2に示される電気伝導度測定法、特許文献1及び非特許文献3に示される高速液体クロマトグラフィー法、非特許文献4に示されるガスクロマトグラフィー法、キャピラリー電気泳動法などが知られている。
また、食品や血液中の遊離脂肪酸の測定方法としては、例えば非特許文献5に示される高速液体クロマトグラフィー法などの他に、非特許文献6に示される比色法や、特許文献2及び非特許文献7に示される酵素法などが知られている。
特開昭55−76949号公報 特開平6−86693号公報 分析化学便覧、改訂4版、1997年発行、p.361 日本食品工業学会誌、1976年、第23巻、p.262 ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(Journal of Chromatography)、1982年、第234巻、p.225 分析化学、1973年、第22巻、p.1334 アナリティカル・ケミストリー(Analytical Chemistry)、1975年、第47巻、p.2437 ジャーナル・オブ・リピィド・リサーチ(Journal of Lipid Research)、1977年、第18巻、p.663 バイオケミカル・バイオフィジクス・リサーチ・コミュニケーション(Biochemical Biophysics Research Communication)、1979年、第91巻、p.108
上述した従来技術のうち、中和滴定法は、指示薬の色変化の判断が難しく、かつ滴定操作が手作業であることから、測定者により測定値にバラツキが生じやすい。また、中和滴定法では、試料に無機酸が混入している場合には無機酸も同時に定量されるため、更に測定値の信頼性が低くなるという問題点を有していた。
また、従来の比色法は、用いられる試薬の毒性が高く、食品製造業などの現場で利用するには困難である。例えば、上述した従来の4−ニトロフェナシルブロミド法で使用されるジメチルアミンは、特有の刺激臭を有する毒性に非常に高い試薬であり、またオルト−ニトロフェニルヒドラジン法で使用されるピリジンや、遊離脂肪酸の比色法で使用されるクロロホルムなども有害な物質である。更にこれら比色法は、反応終了後、数分で呈色が変わり安定性に不安を有することから操作性の観点からも問題があった。
また、酵素法は、用いる試薬が変化しやすく、冷蔵や冷凍での保存が必要となるなど手間がかかり、その他上述したクロマトグラフィーを用いた方法や電気伝導度測定法、キャピラリー電気泳動法は、高価な装置を必要とし、かつ操作に熟練を要するという問題点を有していた。
本発明は、かかる問題点に鑑み開発されたものであり、その主たる目的は、有害な試薬を使用しない新規なカルボン酸の測定方法であって、操作性に優れ簡便であり且つ高精度なカルボン酸の測定方法と、該方法の実施に有用な測定キットを提供することにある。
本発明者等は、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、4−ニトロフェナシルブロミドとカルボン酸との反応生成物であるカルボン酸エステルに、ジメチルアミン等の毒性の高い試薬を作用させ生成する赤紫色の生成物を比色定量する上記従来の4−ニトロフェナシルブロミド法に対し、カルボン酸エステル生成工程で反応することなく残存した4−ニトロフェナシルブロミドを本発明者等が開発した新規な方法で検知・定量することにより、毒性のある試薬を使用することなく食品中に含まれる有機酸を定量することができることを見出し、本発明のカルボン酸の検知・定量方法を完成するに至った。
すなわち、本発明により、フェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法であって、一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体を含む溶液に酸化剤及びフェノールレッドを添加し、生成するブロモフェノールブルー又は残存するフェノールレッドを検知・定量することを特徴とする、フェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法が提供される。
Figure 2005331465
式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
本発明の一態様において、前記フェナシルブロミド誘導体は4−ニトロフェナシルブロミドであり得る。
また、本発明の他の態様において、前記酸化剤はクロラミンTであり得る。
本発明において、前記ブロモフェノールブルーの検知・定量は、分光光度計を用い波長範囲550〜650nmにおける吸光度を測定することにより行うことができ、あるいは、生成するブロモフェノールブルーの呈色と、ブロモフェノールブルーの標準的な呈色の色見本との比較により行うこともできる。
また、前記フェノールレッドの検知・定量は、分光光度計を用い波長範囲380〜450nmにおける吸光度を測定することにより行うことができ、あるいは、残存するフェノールレッドの呈色と、フェノールレッドの標準的な呈色の色見本との比較により行うこともできる。
更に、本発明により、カルボン酸の検知・定量方法であって、カルボン酸を含む溶液に、一般式(I)で表される所定量のフェナシルブロミド誘導体を添加し、カルボン酸エステルを生成させる工程と、該カルボン酸エステル生成工程で残存するフェナシルブロミド誘導体を前記本発明のフェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法で検知・定量する工程とを有する、カルボン酸の検知・定量方法が提供される。
Figure 2005331465
式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
本発明において、前記カルボン酸は食品中に含まれる有機酸であり得る。
また、本発明により、前記カルボン酸の検知・定量において有用なカルボン酸の測定キットが提供され、該測定キットは、一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体、酸化剤およびフェノールレッドを、各々単独で含有する試薬として、またはこれらの混合試薬として含む。
Figure 2005331465
式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
本発明の一態様において、前記カルボン酸の測定キットは、更にブロモフェノールブルーの標準的な呈色の色見本、又はフェノールレッドの標準的な呈色の色見本を含み得る。
また、本発明の他の態様において、前記カルボン酸の測定キットは、更に無機塩類を、単独で含有する試薬として、または前記試薬の1種又は2種との混合試薬として含み得る。
また、本発明の他の態様において、前記無機塩類はリン酸二水素カリウムであり得る。
また、本発明の他の態様において、前記フェナシルブロミド誘導体は4−ニトロフェナシルブロミドであり得る。
本発明により、有害な試薬を使用することなく安全であり、高精度且つ操作性に優れる食品中のカルボン酸の測定方法が提供された。
本発明に係るカルボン酸の検知・定量方法は、特に、食用油などの油脂に含まれるカルボン酸(遊離脂肪酸)、果物の果汁や果実飲料、その他の飲料に含まれるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などのカルボン酸(有機酸)の測定に有用であり、本発明者等により見出されたフェナシルブロミド誘導体の新規な検知・定量方法を利用したものである。測定対象であるカルボン酸に所定量のフェナシルブロミド誘導体を作用させてカルボン酸エステルを生成させ、残存する未反応のフェナシルブロミド誘導体を検知・定量することによりカルボン酸の定量を可能とするものであり、フェナシルブロミド誘導体の検知・定量においては、カルボン酸エステル生成工程で残存するフェナシルブロミド誘導体に酸化剤及びフェノールレッドを作用させ、生成するブロモフェノールブルー又は残存するフェノールレッドを検知・定量することにより行う。
すなわち、本発明に係るカルボン酸の測定方法においては、以下に示す4つの反応工程を利用してカルボン酸が定量される。
(1)カルボン酸にフェナシルブロミド誘導体が作用し、カルボン酸エステルが生成するカルボン酸エステル生成工程。
(2)前記カルボン酸エステル生成工程で残存する未反応のフェナシルブロミド誘導体に酸化剤が作用し、臭素イオン(Br)が生成する臭素イオン生成工程。
(3)前記臭素イオン生成工程で生成したBrが前記酸化剤により更に酸化されBrOを生成する反応工程。
(4)フェノールレッドがBrOと定量的に反応し、ブロモフェノールブルーが生成する反応工程。
本発明に係る測定方法は、カルボン酸がほぼ定量的にフェナシルブロミド誘導体と反応すること、酸化剤の存在下、残存する未反応のフェナシルブロミド誘導体から生成したBrがほぼ定量的にフェノールレッドと反応してブロモフェノールブルーに変換されることを利用したものであり、測定精度に極めて優れている。
本測定方法の一態様において、測定対象であるカルボン酸は適当な溶媒に溶解した溶液として提供され、ここにpH調整試薬(例えば、リン酸二水素カリウム)と、所定量のフェナシルブロミド誘導体を溶媒と共に添加し、カルボン酸エステルを生成させる。次いで、未反応のフェナシルブロミド誘導体を定量するために、フェノールレッド及び酸化剤を溶媒と共に添加してブロモフェノールブルーを生成させ、生成したブロモフェノール又は残存するフェノールレッドを検知・定量する。生成したブロモフェノール又は残存するフェノールレッドの定量方法としては、紫外可視分光光度計を用い所定波長領域(ブロモフェノール:550〜650nm、フェノールレッド:380〜450nm)における吸光度測定することにより行い、フェナシルブロミド誘導体を定量することができる。あるいは、このような高度な光学機器を用いた精密定量の他に、簡易的な判定として、肉眼によるブロモフェノール又はフェノールレッドの標準的な呈色の色見本との濃淡比較、もしくは写真やCCDカメラ等による呈色の濃淡によってブロモフェノール又はフェノールレッドのおおよその濃度を知ることにより、フェナシルブロミド誘導体を定量することも可能である。
本発明において用い得るフェナシルブロミド誘導体としては、一般式(I)で表される化合物が挙げられ、中でも4−ニトロフェナシルブロミドが好適に用いられ得る。
Figure 2005331465
式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
酸化剤としては、クロラミンT、次亜塩素酸塩など適宜選択することができ、中でもクロラミンTが好適に用いられ得る。また、溶媒についても水、アセトンなど適宜選択することができ、例えばカルボン酸が脂肪酸などの水に溶け難い試料である場合には、ヘキサンなどの極性の低い溶媒を用いることができ、また、反応温度を調整する(例えば、30〜50℃程度)などして各種溶媒を使用し得る。
例えば、フェナシルブロミド誘導体として4−ニトロフェナシルブロミド、酸化剤としてクロラミンTを用いて測定する場合において、通常、測定対象であるカルボン酸を含む試料1mlに、1〜50mMの4−ニトロフェナシルブロミド/アセトン2mlおよび10〜100mMのKHPO水溶液3mlを加え、室温で反応させた後、0.1〜0.5mg/mlのフェノールレッド/水 200μl、0.5〜2.5mg/mlのクロラミンT/水 200μlを加え、更に室温で5〜20分間反応させた後、550〜650nm又は380〜450nmの波長領域における吸光度を測定することにより比色定量することができる。従来の4−ニトロフェナシルブロミド法では、反応終了後数分で呈色が変わり安定性に問題を有するのに対し、本発明では反応終了後少なくとも30分は呈色が安定であり、操作性に優れ、測定精度の信頼性も高い。また、定量範囲も広く、例えば、0〜6μmolの濃度範囲にあるカルボン酸を定量することが可能である。なお、本発明において各試薬の添加順序は適宜変更し得、いずれを先に加えてもよく、また2種以上の混合試薬として添加してもよい。
本発明に係るカルボン酸の測定方法は、ばらばらの供給源から得られる必要な試薬及び材料を用いて実施することができるが、それらが測定キットの一部として供給されることが有利である。このようなキットの構成部材の具体例としては、一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体、酸化剤およびフェノールレッドを含む測定キットが挙げられ、更に適宜、リン酸二水素カリウム等の無機塩類、ブロモフェノールブルー又はフェノールレッドの標準的な呈色の色見本などを含む。かかるキットの構成部材において、各試薬は所定の方法に適するいずれかの濃度で提供され、2種以上の混合試薬として提供されてもよく、更に予め蓋付き容器に分注されていることが望ましい。また、各構成部材は、安全性及び取扱の簡便さの観点から適宜包装(乾式又は湿式)されていてもよく、あるいは必要な試薬類を濾紙などの試薬支持体上に固定した形態で提供されることもでき、その場合はその試薬支持体上で上記反応が行われる。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、実施例は例示のために提示するものであって、どのようにも本発明を限定することを意図するものではない。
[実施例1] 4−ニトロフェナシルブロミドの測定
(1)試料として4−ニトロフェナシルブロミドのアセトン溶液(0mM及び25mM)を用意した。その2mlをとり、50mMのKHPO水溶液 3ml、0.01g/50mlのフェノールレッド水溶液 200μl、0.05g/50mlのクロラミンT水溶液 200μlを加え、室温(約25℃)で10分間反応させた後、分光光度計を用いて生成物の吸光度を測定した。結果を図1に示す。
図1において、4−ニトロフェナシルブロミドが含まれない試料(0mM)の吸収極大は462nm、含まれる試料(25mM)の吸収極大は598nmであった。このことから、598nmの吸光度を測定することにより4−ニトロフェナシルブロミドを定量できることがわかる。この結果は、フェナシルブロミド誘導体として4−ニトロフェナシルブロミドに替えてフェナシルブロミド、2−ブロモフェナシルブロミドを用いた場合でも同様であった。
(2)4−ニトロフェナシルブロミド溶液(0mM及び25mM)の前記反応で得られた生成物について、598nmにおける吸光度を経時的に測定した。結果を図2に示す。図2により、反応後5分〜30分の間に吸光度を測定することで、安定的に4−ニトロフェナシルブロミドを定量できることがわかる。この結果は、フェナシルブロミド誘導体として4−ニトロフェナシルブロミドに替えてフェナシルブロミド、2−ブロモフェナシルブロミドを用いた場合でも同様であった。
(3)各種濃度の4−ニトロフェナシルブロミド溶液を、前記反応条件に対し反応時間を5分とした以外は同様の条件で反応させた後、分光光度計を用いて生成物の吸光度を測定した。得られた検量線を図3に示す。図3において、吸光度は4−ニトロフェナシルブロミドの量に比例して上昇し、定量範囲は1mM〜25mMであった。この結果は、フェナシルブロミド誘導体として4−ニトロフェナシルブロミドに替えてフェナシルブロミド、2−ブロモフェナシルブロミドを用いた場合でも同様であった。これより、本発明によりフェナシルブロミド誘導体を精度よく定量できることがわかる。
[実施例2] 有機酸の定量
クエン酸ナトリウム又はリンゴ酸ナトリウムを各種濃度において含む試料(水溶液)1mlに、7.5mMの4−ニトロフェナシルブロミド/アセトン 2ml、50mMのKHPO水溶液 3mlを加え、室温で反応させた後、0.01g/50mlのフェノールレッド水溶液 200μl、0.05g/50mlのクロラミンT水溶液 200μlを加え、更に室温で10分間反応させた後、598nmにおける生成物の吸光度を測定した。吸光度はブランクの吸光度から試料の吸光度を引いて求めた。得られた検量線を図4に示す。図4において、吸光度は有機酸(カルボキシル基)の量に比例して上昇し、定量範囲は0.1〜6μmolであった。この結果は、有機酸として他に酢酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、乳酸リチウムを用いた場合でも同様であった。これより、本発明により各種有機酸を精度よく定量できることがわかる。
[実施例3] 酸度の測定
レモンジュース及び食酢について酸度の測定を行った。実施例2で用いた有機酸の定量方法と同様の方法で測定した結果を本発明例1、一方滴定法で測定した結果を比較例1として表1に示す。滴定法としては、試料を適宜蒸留水で希釈し、0.1N 水酸化ナトリウムを用いて、pHメーターでpH8になるまで滴定する方法を用い、試料は無機酸が混入していないことを既に確認したものを用いた。
表1において、双方の測定値はよく一致していることから、本発明の方法により食品中に存在する有機酸を精度よく定量できることがわかった。
Figure 2005331465
[実施例4] 脂肪酸の定量
(1)オレイン酸を含む試料(アセトン溶液)1mlに、ヘキサン2ml、7.5mMの4−ニトロフェナシルブロミド/アセトン 2ml、50mMのKHPO水溶液 3mlを加え、室温で反応させた後、0.01g/50mlのフェノールレッド水溶液 200μl、0.05g/50mlのクロラミンT水溶液 200μlを加え、更に所定温度(20〜50℃)で所定時間(10〜60分間)反応させた後、598nmにおける生成物の吸光度を測定した。反応温度及び反応時間を変化させて得られた各生成物について、経時的に測定した598nmにおける吸光度の測定結果を図5に示す。図5より、50℃で30分以上反応させることにより、オレイン酸を定量できることがわかる。この結果は、オレイン酸以外の他の脂肪酸を用いた場合でも同様であった。
(2)各種濃度のオレイン酸溶液を上記方法(反応温度50℃、反応時間30分)において反応させた後、分光光度計を用いて生成物の598nmにおける吸光度を測定した。得られた検量線を図6に示す。図6において、吸光度はオレイン酸(カルボキシル基)の量に比例して上昇し、定量範囲はおよそ5μmol〜75μmolであった。この結果は、オレイン酸以外の他の脂肪酸を用いた場合でも同様であった。これより、本発明により各種有機酸を精度よく測定できることがわかる。
[実施例5] 酸価の測定
チキンナゲットを大豆油でフライした後の劣化油について、酸度の測定を行った。実施例4で用いた脂肪酸の定量方法と同様の方法で測定した結果を本発明例2、一方滴定法で測定した結果を比較例2として表2に示す。滴定法としては、試料5〜10gをエタノール/ジエチルエーテル(1:1)100mlに溶かし、これにフェノールフタレインを指示薬として0.1mol/l KOH/エタノール溶液で的呈する方法を用い、試料は無機酸が混入していないことを既に確認したものを用いた。
表2において、双方の測定値はよく一致していることから、本発明の方法により油脂の酸価を精度よく定量できることがわかった。
Figure 2005331465
4−ニトロフェナシルブロミドの測定方法における、反応生成物の吸収スペクトルを示すグラフ。 4−ニトロフェナシルブロミドの測定方法における、反応生成物の吸光度を経時的に測定した結果を示すグラフ。 4−ニトロフェナシルブロミドの測定方法における、4−ニトロフェナシルブロミド濃度と生成物の吸光度との関係を示すグラフ。 カルボン酸(有機酸)の測定方法における、有機酸濃度と生成物の吸光度との関係を示すグラフ。 カルボン酸(脂肪酸)の測定用法における、各種反応温度による反応生成物の吸光度を経時的に測定した結果を示すグラフ。 カルボン酸(脂肪酸)の測定用法における、脂肪酸濃度と生成物の吸光度との関係を示すグラフ。

Claims (16)

  1. フェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法であって、一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体を含む溶液に酸化剤及びフェノールレッドを添加し、生成するブロモフェノールブルー又は残存するフェノールレッドを検知・定量することを特徴とする、フェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法。
    Figure 2005331465
    式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
  2. 前記フェナシルブロミド誘導体が4−ニトロフェナシルブロミドである、請求項1に記載のフェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法。
  3. 前記酸化剤がクロラミンTである、請求項1又は2に記載のフェナシルブロミド誘導体の検知・定量方法。
  4. 前記ブロモフェノールブルーの検知・定量が、分光光度計を用い波長範囲550〜650nmにおける吸光度を測定することにより行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記ブロモフェノールブルーの検知・定量が、生成するブロモフェノールブルーの呈色と、ブロモフェノールブルーの標準的な呈色の色見本との比較により行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記フェノールレッドの検知・定量が、分光光度計を用い波長範囲380〜450nmにおける吸光度を測定することにより行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記フェノールレッドの検知・定量が、残存するフェノールレッドの呈色と、フェノールレッドの標準的な呈色の色見本との比較により行われる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  8. カルボン酸の検知・定量方法であって、カルボン酸を含む溶液に、一般式(I)で表される所定量のフェナシルブロミド誘導体を添加し、カルボン酸エステルを生成させる工程と、該カルボン酸エステル生成工程で残存するフェナシルブロミド誘導体を請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法で検知・定量する工程とを有する、カルボン酸の検知・定量方法。
    Figure 2005331465
    式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
  9. 前記カルボン酸が食品中に含まれる有機酸である、請求項8に記載のカルボン酸の検知・定量方法。
  10. 一般式(I)で表されるフェナシルブロミド誘導体、酸化剤およびフェノールレッドを、各々単独で含有する試薬として、またはこれらの混合試薬として含むカルボン酸の測定キット。
    Figure 2005331465
    式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、ヒドロキシ基、フェニル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、およびアジド基からなる群から選択される。
  11. 更にブロモフェノールブルーの標準的な呈色の色見本を含む、請求項10又に記載のカルボン酸の測定キット。
  12. 更にフェノールレッドの標準的な呈色の色見本を含む、請求項10に記載のカルボン酸の測定キット。
  13. 更に無機塩類を、単独で含有する試薬として、または前記試薬の1種又は2種との混合試薬として含む、請求項10乃至12のいずれか1項に記載のカルボン酸の測定キット。
  14. 前記無機塩類がリン酸二水素カリウムである、請求項13に記載のカルボン酸の測定キット。
  15. 前記フェナシルブロミド誘導体が4−ニトロフェナシルブロミドである、請求項10乃至14のいずれか1項に記載のカルボン酸の測定キット。
  16. 請求項8又は9に記載のカルボン酸の検知・定量方法において使用される、請求項10乃至15のいずれか1項に記載のカルボン酸の測定キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105699580A (zh) * 2016-04-28 2016-06-22 河南大学 基于柱前衍生的lc-ms测定有机酸含量的方法
WO2022034528A1 (en) * 2020-08-12 2022-02-17 Dh Technologies Development Pte. Ltd. Phenacylbromide-based mass tags for carboxyl and phenolic functional group containing analytes

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