JP2005330613A - 多層構造織物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 複数枚の織物層とこれら各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる多層構造織物であって、上記織物層の少なくとも最上層と最下層とは互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、上記サンドイッチ層の少なくとも一層が、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸が組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成されてなることを特徴とする多層構造織物。
【効果】 本発明によれば、膨らみとボリューム感があって保温性が高く、しかも柔らかく、吸湿性・吸水性にも優れた多層構造織物を提供でき、また、効率よく簡単に得ることができる。
【選択図】 なし
【効果】 本発明によれば、膨らみとボリューム感があって保温性が高く、しかも柔らかく、吸湿性・吸水性にも優れた多層構造織物を提供でき、また、効率よく簡単に得ることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、少なくとも一層の嵩高い繊維束のサンドイッチ層を有する多層構造織物及びその製造方法に関する。
従来、幼児用肌着やタオル、ハンカチ等として密度の粗い平織のガーゼ織物が普及している。これらの織物には、一般的に、細番手の綿糸が使われていることが多く、製織・加工時の生産性等を考慮して必要な撚りがかけられているため、柔軟性を欠き、吸水性を阻害する要因ともなっていた。
吸水性の良いハンカチとして、タオル状になっているハンカチも提案されているが、タオルを織る特殊な織機でしか製織することができないという不都合があった。また、複数のガーゼを重ね合わせた形状の多重ガーゼ織物も提案されているが、作り方が複雑で、目荒れも発生しやすくなるという問題があった。
一方、無撚糸を用いた多重織物も提案されている(特許文献1:特開2003−301347号公報)が、無撚状の繊維束が織物表面に出ているため、使い込んでいるうちに無撚糸が滑脱するという欠点があった。
吸水性の良いハンカチとして、タオル状になっているハンカチも提案されているが、タオルを織る特殊な織機でしか製織することができないという不都合があった。また、複数のガーゼを重ね合わせた形状の多重ガーゼ織物も提案されているが、作り方が複雑で、目荒れも発生しやすくなるという問題があった。
一方、無撚糸を用いた多重織物も提案されている(特許文献1:特開2003−301347号公報)が、無撚状の繊維束が織物表面に出ているため、使い込んでいるうちに無撚糸が滑脱するという欠点があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、厚みがありボリューム感があって保温性が高く、柔軟性や吸水性・吸湿性にも優れた多層構造織物、及び該多層構造織物を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、経糸を複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、一定個所で接結させて少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、このプレ多層構造織物に対して溶解除去処理を行い、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維の糸を溶解除去することで、非溶解性繊維からなるサンドイッチ層が形成され、複数枚の織物層とこれらの各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる三層や五層等の多層構造織物を得ることができ、このとき、複合糸を構成していた非溶解性繊維の糸は解撚糸となり、上記サンドイッチ層は、繊維が平行に並んだだけの繊維束を含むため、嵩高性が増し、膨らみと柔らかさに富み、柔軟性、保温性に優れ、高い吸湿性・吸水性を有する多層構造織物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は以下の多層構造織物及びその製造方法を提供する。
(1)複数枚の織物層とこれら各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる多層構造織物であって、上記織物層の少なくとも最上層と最下層とは互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、上記サンドイッチ層の少なくとも一層が、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸が組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成されてなることを特徴とする多層構造織物。
(2)上側織物層と下側織物層の経糸及び/又は緯糸が接結することによりこれら上下の織物層が結合していると共に、上記上下の織物層間に経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、これら経糸と緯糸とが組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成された上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層が上記上下の織物層を形成する経糸及び緯糸と接結することなく介在されてなる三層構造であることを特徴とする(1)記載の多層構造織物。
(3)前記溶解性繊維が水溶性繊維、又はアルカリ易溶性繊維である(1)又は(2)記載の多層構造織物。
(4)経糸を複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列の少なくとも一列において、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、一定個所で接結させて少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、多層構造とすることを特徴とする多層構造織物の製造方法。
(5)経糸を三列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、上記織物層の経糸と緯糸とは、それぞれ偶数列経糸及び緯糸と接結させることなく一定個所で接結させて上側織物層と下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、三層構造とすることを特徴とする(4)記載の多層構造織物の製造方法。
(1)複数枚の織物層とこれら各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる多層構造織物であって、上記織物層の少なくとも最上層と最下層とは互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、上記サンドイッチ層の少なくとも一層が、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸が組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成されてなることを特徴とする多層構造織物。
(2)上側織物層と下側織物層の経糸及び/又は緯糸が接結することによりこれら上下の織物層が結合していると共に、上記上下の織物層間に経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、これら経糸と緯糸とが組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成された上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層が上記上下の織物層を形成する経糸及び緯糸と接結することなく介在されてなる三層構造であることを特徴とする(1)記載の多層構造織物。
(3)前記溶解性繊維が水溶性繊維、又はアルカリ易溶性繊維である(1)又は(2)記載の多層構造織物。
(4)経糸を複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列の少なくとも一列において、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、一定個所で接結させて少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、多層構造とすることを特徴とする多層構造織物の製造方法。
(5)経糸を三列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、上記織物層の経糸と緯糸とは、それぞれ偶数列経糸及び緯糸と接結させることなく一定個所で接結させて上側織物層と下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、三層構造とすることを特徴とする(4)記載の多層構造織物の製造方法。
本発明によれば、膨らみとボリューム感があって保温性が高く、しかも柔らかく、吸湿性・吸水性にも優れた多層構造織物を提供でき、また、効率よく簡単に得ることができる。
本発明の織物は、複数枚の織物層とこれら各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる多層構造織物であって、上記織物層の少なくとも最上層と最下層とは互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、上記サンドイッチ層の少なくとも一層が、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸が組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成され、好ましくはサンドイッチ層が上記織物層を形成する経糸及び緯糸と接結することなく介在されてなる、奇数層の多層構造織物である。
ここで、本発明のプレサンドイッチ層の形成に用いられる複合糸を構成する溶解性繊維の糸としては、水、アルカリ水溶液等の溶媒に浸漬したときに完全に(100%)溶解し、除去できるものであれば特に制限されず、例えば、水溶性繊維、アルカリ易溶性繊維等からなる糸を使用することができる。
具体的には、水溶性繊維としてはミントバール、クラロンK−II((株)クラレ製)、ソルブロン((株)ニチビ製)等のビニロン繊維やポリビニルアルコール繊維等を挙げることができ、アルカリ易溶性繊維としてはレギュラー又はカチオン可染ポリエステル繊維、具体的には、MELTOP−II(帝人(株)製)等のポリエステル繊維等を挙げることができる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることもできる。これらの中でも本発明においては、溶解性、経済性の点からミントバール((株)クラレ製)を好適に使用することができる。なお、具体的な溶解除去処理の条件については後述する。
一方、上記溶解性繊維の糸と共に用いられ、複合糸を構成するもう一方の糸である非溶解性繊維の糸としては、上記溶解性繊維を溶解するときの溶媒に非溶解性である限り特に制限されないが、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、高強度再生セルロース繊維(例えば、商品名:テンセル)等の再生繊維、アセテート等の半再生繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル等の合成繊維等の紡績糸や長繊維等を含む糸を使用することができる。これらは1種単独で又は2種以上を混用して使用することができる。本発明においては、吸湿性、吸水性、嵩高性の点から、これらの中でも綿等の短繊維からなる糸を好適に使用することができる。
上記溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸とは、質量比で、溶解性繊維/非溶解性繊維=10/90〜20/80の割合で使用するのが好ましい。溶解性繊維が多すぎると、溶解後に非溶解性繊維が表面に飛び出る場合があり、溶解性繊維が少なすぎると、ボリューム感や保温性が悪くなる場合がある。
上記溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸の形態は特に制限されず、例えば、合撚糸、交撚糸等を挙げることができる。本発明においては、溶解した後の繊維束の状態の点から、これらの中でも合撚糸を好適に使用することができる。なお、これらの糸は染色又はプリントされていても構わない。
また、本発明で用いられる複合糸は、後述する溶解除去処理によって溶解性繊維の糸を除去した後、非溶解性繊維の糸が繊維束状(粗糸状態)となるものである。
例えば、複合糸として合撚糸を用いる場合、溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸とが、非溶解性繊維の糸の撚りが戻る程度まで合撚されたものが好ましく、この場合の撚数は、溶解性繊維を除去した後に非溶解性繊維の糸が解撚糸となる条件であれば特に制限されるものではない。
より具体的には、非溶解性繊維の糸として綿糸等のセルロース系繊維からなる糸を用いる場合、該糸の撚係数は3.5〜4が良い。なお、セルロース系繊維からなる糸には、必要に応じて、毛焼、精練、漂白、シルケット加工等の前処理を施してもよい。上記セルロース系繊維からなる糸は、該糸の逆撚り(上記撚り方向と逆方向に撚る)で溶解性繊維の糸と合撚することが好ましい。逆撚りの撚数は、溶解性繊維の溶解除去後にセルロース系繊維からなる糸が解撚糸となる条件で適宜選定することができるが、小さすぎると溶解処理後に非溶解性繊維に撚りが残る場合があり、一方、大きすぎると溶解性繊維が製織時等に切れ易くなる等取り扱いが困難になる場合がある。
本発明においては、複数の織物層の少なくとも最上層と最下層とが互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、それぞれの織物層間に介在され、経糸と緯糸とを組織点を形成せずに配置されてなるプレサンドイッチ層の少なくとも一層において、その経糸及び緯糸の少なくとも一部に上記複合糸を用い、上記最上織物層と最下織物層の経糸及び緯糸は、好ましくはプレサンドイッチ層の経糸及び緯糸と接結させることなく一定個所で接結させてプレ多層構造織物を形成するものである。即ち、プレサンドイッチ層が複数層存在する場合、全てのプレサンドイッチ層を経糸及び緯糸の少なくとも一部に上記複合糸を用いて形成してもよく、或いは、プレサンドイッチ層の少なくとも一層を除く他の層を上記複合糸以外の糸、つまり通常の非溶解性繊維の糸を用いて形成してもよいが、上記複合糸以外の糸をプレサンドイッチ層に用いる場合、非溶解性繊維の糸として挙げたものと同様の繊維を含む糸を用いることができる。
また、織物層に使用される糸としては、非溶解性繊維の糸として例示した繊維と同様の繊維を含む糸を挙げることができ、これらの繊維の1種又は2種以上を用いた糸を使用することができる。本発明では、これらの中でも綿繊維からなる糸を吸湿性・吸水性の点から好適に使用することができる。
織物層の織組織としては特に制限されず、平織り、綾織り、朱子織り等を挙げることができる。また、織物層はそれぞれ同一又は異なる織組織としてもよく、経糸及び緯糸に用いられる糸もそれぞれ同一又は異種の糸を用いることができる。更に、糸や織物には染色やプリントがされていても構わないし、柄、模様等が織出されたものであってもよい。
本発明の多層構造織物は、上記複数の織物層とこれら各織物層間に介在するプレサンドイッチ層とを有するプレ多層構造織物に対して、上記プレサンドイッチ層に含まれる溶解性繊維の糸を溶解除去することによって得られる非溶解性繊維からなるサンドイッチ層とこのサンドイッチ層を挟む織物層とからなる多層構造織物である。この場合、例えば全体で三層構造であれば、上側織物層と下側織物層とこれら織物層間に介在するサンドイッチ層とからなり、全体で五層構造であれば、上側織物層と中間織物層と下側織物層とこれら各織物層間に介在するサンドイッチ層とからなるものである。
次に、本発明の多層構造織物の製造方法は、経糸を複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列の少なくとも一列における経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、好ましくはそれぞれ偶数列経糸及び緯糸と接結させることなく、一定個所で接結させて少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して非溶解性繊維からなる糸の解撚糸(繊維束)を含むサンドイッチ層を形成するものである。
ここで、本発明においては、多層構造織物の最上層及び最下層と、最上層及び最下層から奇数番目にあたる層(即ち、織物層)に用いられる経糸及び緯糸を奇数列経糸及び緯糸と呼ぶ。同様に、最上層及び最下層から偶数番目にあたる層(即ち、(プレ)サンドイッチ層)に用いられる経糸及び緯糸を偶数列経糸及び緯糸と呼ぶ。
織物層の経糸及び緯糸に用いられる糸としては上述した非溶解性繊維の糸と同様のものを用い、プレサンドイッチ層に用いられる溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸としては、上述した複合糸を用いる。経糸は、例えば三列や五列等の複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入して同時に複数枚の層を形成するが、このとき偶数列の少なくとも一列において、経糸及び緯糸の少なくとも一部として上記複合糸を使用する。
次に、奇数列経糸は、開口して緯糸を挿入して織物層を製織し、偶数列経糸は、開口せずに緯糸を挿入し、経糸と緯糸とを交錯させず、組織点を形成しないように配列させてプレサンドイッチ層を形成する。この場合、織物層の製織方法は常法に従って行うことができ、織密度は使用用途に応じて適宜決定されるが、織物層の織密度は、糸の太さにより異なるが、例えば糸の太さが40番手のとき、経糸密度は110〜120本/吋程度が好ましく、緯糸は120〜140本/吋程度が好ましい。
本発明の多層構造織物においては、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、それぞれ好ましくは偶数列経糸及び緯糸と接結させることなく、一定個所で接結させて、少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させる。接結方法は、複数の層が分離せず、プレサンドイッチ層に含まれる溶解性繊維の糸を溶解除去処理した後、得られる非溶解性繊維からなる解撚糸を含むサンドイッチ層を維持できる程度であれば特に制限されず、点接結や線接結等いずれの方法でも構わない。この場合、最上側織物層の経糸を最下側織物層の緯糸に接結してもよく、最上側織物層の緯糸を最下側織物層の経糸に接結してもよく、或いは、最上側織物層と最下側織物層の経糸どうし又は緯糸どうしを接結してもよい。また、最上側織物層の経糸及び緯糸が共に、最下側織物層の経糸及び緯糸に接結されていてもよく、この際、接結する最上側及び最下側織物層の経糸と緯糸の組み合わせは任意である。中間織物層の経糸及び緯糸は、最上側織物層及び最下側織物層の経糸及び緯糸のいずれにも接結させなくても差し支えないが、中間織物層の経糸又は緯糸が、最上側織物層及び最下側織物層のいずれか一方、或いは両方の経糸又は緯糸と接結されていてもよいし、中間織物層の経糸及び緯糸が、最上側織物層及び最下側織物層のいずれか一方、或いは両方の経糸及び緯糸と接結されていてもよい。この際の接結する最上側、中間及び最下側織物層の経糸と緯糸の組み合わせは任意である。
接結は、上記のように組織を結合する機能のほかに、サンドイッチ層の繊維束を移動しないようにするという機能がある。接結点で繊維束が移動しないようにしているが、接結点が少なすぎると接結点の間で繊維束が片寄る場合があり、また、接結点が多すぎるとボリューム感がでない場合がある。但し、接結点についても、糸の太さにより適宜設計する必要がある。
このようにして複数の織物層とそれぞれの織物層間に介在するプレサンドイッチ層とからなるプレ多層構造織物を得た後、プレサンドイッチ層に含まれる溶解性繊維の糸を溶解して完全に除去し、非溶解性繊維の解撚糸を含むサンドイッチ層とこれを挟む織物層とからなる多層構造織物を製造する。この溶解除去処理は、溶解性繊維を溶解可能な溶媒或いは溶液中に織物を浸漬することにより行う。溶解条件は、使用する溶解性繊維により異なり一概には規定できないが、例えば、水溶性繊維のミントバールを用いる場合、温水中に浸漬し、浸漬温度は80〜100℃が好ましく、より好ましくは常圧沸水処理が望ましい。処理時間は10分以上が好ましい。浸漬温度が低すぎると溶解性繊維が残る場合がある。
なお、水溶性繊維の溶解除去処理は、製織後の精練・漂白等の加工工程にて行ってもよく、この場合の処理条件も上記した範囲内で行うのが好ましい。
なお、水溶性繊維の溶解除去処理は、製織後の精練・漂白等の加工工程にて行ってもよく、この場合の処理条件も上記した範囲内で行うのが好ましい。
また、MELTOP−II(アルカリ易溶性繊維)を用いる場合、アルカリ浴に用いられるアルカリ剤としては、水酸化リチウム、苛性ソーダ、苛性カリ等の強アルカリ剤を用いることができるが、作業性、コストの面から苛性ソーダが好適である。また、必要に応じて他のアルカリ性の薬品や溶解促進用の界面活性剤等を用いても差し支えない。
アルカリ浴の濃度は1〜30質量%が好ましい。また、浸漬温度は90〜140℃が好ましく、処理時間は10〜180分が好ましい。処理条件が下回るとアルカリ易溶性繊維が完全に溶解しない場合があり、上回ると生産性が悪くなる場合がある。
上記アルカリ易溶性繊維の溶解除去処理を行なった後の織物に対して、中和処理、水洗を行なう。中和処理は、硫酸、塩酸等の無機酸、又は酢酸、蟻酸等の有機酸を使用して行なうことができる。
溶解性繊維の溶解除去処理を行った織物は、その後乾燥し、必要に応じて精練、漂白、染色、起毛、柔軟仕上げ加工等を行なうことができる。
このようにして、プレサンドイッチ層を形成する複合糸中の溶解性繊維の糸を溶解して完全に(100%)除去することにより、溶解性繊維の糸により束ねられていた複合糸中の非溶解性繊維が解放されて、嵩高性が発現した非溶解性繊維の繊維束を含むサンドイッチ層を有する多層構造織物を得ることができる。
本発明の多層構造織物は、無撚状態の繊維束を含むサンドイッチ層を有する織物であり、織物層間に嵩高い繊維束を有することで、織物全体として、膨らみがあってボリューム感があり、しかも柔らかく、吸湿性・吸水性にも優れるものであることから、タオル、ハンカチはもちろん幼児用肌着等の用途に好適なものである。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中、%は質量%を示す。
[実施例1]
図1に示した組織図に従い、下記の溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を含むプレサンドイッチ層及び綿糸からなる上下織物層によって構成される三層構造織物を製織した。図1中、黒く塗りつぶしたところは経糸が上になっているところであり、ハッチング部は接結点を示している。また、○印は複合糸を示している。この組織図が繰り返されて製織されている。図2は、この織物の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図、(c)C−C断面図を示し、1〜3はそれぞれ上側織物層、サンドイッチ層、下側織物層の緯糸を、4〜6はそれぞれ上側織物層、サンドイッチ層、下側織物層の経糸を示す。
織物層:経糸、緯糸の種類 綿糸 40番手 撚係数 k=4
プレサンドイッチ層:複合糸に用いられる溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸の種類と
それぞれの糸の複合割合
ミントバール 11% 撚係数 k=3 Z撚り
綿 89% 撚係数 k=4 S撚り
上撚り 撚係数 k=4 Z撚り
図1に示した組織図に従い、下記の溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を含むプレサンドイッチ層及び綿糸からなる上下織物層によって構成される三層構造織物を製織した。図1中、黒く塗りつぶしたところは経糸が上になっているところであり、ハッチング部は接結点を示している。また、○印は複合糸を示している。この組織図が繰り返されて製織されている。図2は、この織物の(a)A−A断面図、(b)B−B断面図、(c)C−C断面図を示し、1〜3はそれぞれ上側織物層、サンドイッチ層、下側織物層の緯糸を、4〜6はそれぞれ上側織物層、サンドイッチ層、下側織物層の経糸を示す。
織物層:経糸、緯糸の種類 綿糸 40番手 撚係数 k=4
プレサンドイッチ層:複合糸に用いられる溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸の種類と
それぞれの糸の複合割合
ミントバール 11% 撚係数 k=3 Z撚り
綿 89% 撚係数 k=4 S撚り
上撚り 撚係数 k=4 Z撚り
得られたプレ多層構造織物に対して、下記条件下でプレサンドイッチ層に含まれる溶解性繊維の溶解除去処理を行い、次いで乾燥し、嵩高いサンドイッチ層を有する多層構造織物を得た。
溶解除去処理方法 大気圧 水温 95℃ 時間20分
得られた多層構造織物は、ボリューム感があり、保温性、吸湿性・吸水性に優れるものであった。
溶解除去処理方法 大気圧 水温 95℃ 時間20分
得られた多層構造織物は、ボリューム感があり、保温性、吸湿性・吸水性に優れるものであった。
1 上側織物層緯糸
2 サンドイッチ層緯糸(複合糸)
3 下側織物層緯糸
4 上側織物層経糸
5 サンドイッチ層経糸(複合糸)
6 下側織物層経糸
2 サンドイッチ層緯糸(複合糸)
3 下側織物層緯糸
4 上側織物層経糸
5 サンドイッチ層経糸(複合糸)
6 下側織物層経糸
Claims (5)
- 複数枚の織物層とこれら各織物層間に介在されたサンドイッチ層とからなる多層構造織物であって、上記織物層の少なくとも最上層と最下層とは互いにその経糸及び/又は緯糸が接結することにより結合していると共に、上記サンドイッチ層の少なくとも一層が、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸が組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成されてなることを特徴とする多層構造織物。
- 上側織物層と下側織物層の経糸及び/又は緯糸が接結することによりこれら上下の織物層が結合していると共に、上記上下の織物層間に経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、これら経糸と緯糸とが組織点を形成せずに配列されたプレサンドイッチ層より上記溶解性繊維を除去することによって形成された上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層が上記上下の織物層を形成する経糸及び緯糸と接結することなく介在されてなる三層構造であることを特徴とする請求項1記載の多層構造織物。
- 前記溶解性繊維が水溶性繊維、又はアルカリ易溶性繊維である請求項1又は2記載の多層構造織物。
- 経糸を複数列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列の少なくとも一列において、経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、少なくとも最上層と最下層の経糸と緯糸とは、一定個所で接結させて少なくとも最上側織物層と最下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、多層構造とすることを特徴とする多層構造織物の製造方法。
- 経糸を三列に亘って供給し、それぞれの列に緯糸を挿入するに当たり、偶数列経糸及び緯糸の少なくとも一部に溶解性繊維の糸と非溶解性繊維の糸との複合糸を用い、奇数列経糸は開口して緯糸を挿入して製織することにより織物層を形成し、偶数列経糸は開口せずに緯糸を挿入し、偶数列経糸と緯糸とを組織点を形成させずに配列させてプレサンドイッチ層を形成し、この際、上記織物層の経糸と緯糸とは、それぞれ偶数列経糸及び緯糸と接結させることなく一定個所で接結させて上側織物層と下側織物層とを結合させてプレ多層構造織物を形成した後、上記プレサンドイッチ層の溶解性繊維を溶解除去して上記非溶解性繊維からなるサンドイッチ層を形成し、三層構造とすることを特徴とする請求項4記載の多層構造織物の製造方法。
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