JP2005330151A - 空洞層を有する炭素材料及びその製造方法 - Google Patents

空洞層を有する炭素材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素吸蔵材料として機能しうる新たな繊維状炭素材料及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 チューブ状炭素繊維表面の炭素層上に金属層を形成する工程と、該金属層を触媒とする化学的気相成長法によって該金属層上に炭素層を形成する工程と、を繰り返すことにより金属層と炭素層とが年輪状に積層された複合繊維を形成し、しかる後に該複合繊維を構成する金属層を除去することによって、複数のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層され、各繊維の間に繊維軸に沿った空洞層を有する炭素材料を製造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は炭素系ガス吸着材料、特に水素エネルギー基盤を構成する水素貯蔵装置に用いられる炭素系水素吸蔵材料に関するものである。
近年、電力不足事情と大気汚染事情を同時に解決する手段として、燃料電池を実用化し普及させようという試みが活発になってきた。燃料電池は水素ガスと酸素ガスを燃料として電気化学反応によって電力を取り出し、排出ガスは水蒸気のみという優れた発電方法である。
燃料電池は水素ガスを燃料として用いるが、水素は大気中にはほとんど存在せず、また気体であるがゆえに希薄で低密度であり、さらに分子サイズが小さいので漏洩しやすく爆発の危険を伴う。したがって燃料電池を各種機器やオンサイト発電装置や自動車に搭載して普及させられるかどうかは、燃料である水素ガスをいかにして高密度かつ安全に供給できるかにかかっている。
水素ガスの貯蔵運搬方法としては、水素ガスボンベおよび液化水素ボンベが実用化されており、また水素吸蔵合金が長年にわたり研究されている。
水素吸蔵合金はランタン(La)-ニッケル(Ni)系、バナジウム(V)系、マグネシウム(Mg)系など種々の合金系について古くから研究が行われており、50mol H2/dm3(273K)程度の高い容積水素密度を得ることができる。しかしながら水素吸蔵合金は金属であるがゆえに比重が高く、単位重量あたりの水素吸蔵量である重量水素密度は、圧力12MPaにおいて3〜5重量%(0〜100℃)に止まる。可搬型燃料電池システムは小型であると同時に軽量であることが要求されるが、これまでに開発された水素吸蔵合金は重量水素密度が低く、また水素放出の際に最高500K程度の加熱を必要とすることもあって、パーソナルコンピュータや携帯電話等への搭載は困難なのが現状である。
水素吸蔵材料としては、上述の水素吸蔵合金のほか炭素系材料の存在も知られている。従来から悪臭などのガス吸着剤として利用されてきた活性炭は、構造欠陥が多く吸着サイトの密度が高いため、大量の気体分子を吸着することができる。しかしながら水素吸着に関しては、その重量水素密度は1重量%以下と低いことが知られている。
一方、最近になって、ナノ炭素繊維の一種であるカーボンナノチューブが水素吸蔵合金を遥かにしのぐ5〜10重量%もの水素を吸蔵するという報告がなされた(非特許文献1参照)。
カーボンナノチューブは黒鉛シート(グラフェンシートともいう)が円筒状に丸まった構造を有するものであって、円筒を構成する炭素層が一層であるものを単層カーボンナノチューブ(シングルウォールカーボンナノチューブ(SWNT)ともいう)、二層以上であるものを多層カーボンナノチューブ(マルチウォールカーボンナノチューブ(MWNT)ともいう)と呼ぶ。また多層カーボンナノチューブのうち、炭素層が二層であるものを特に二層カーボンナノチューブ(ダブルウォールカーボンナノチューブ(DWNT)ともいう)と呼ぶことがある。黒鉛シートの巻き方や、構成単位である六員環炭素の配列、チューブの直径などによって各種物性が異なることが知られている。上記のいずれのカーボンナノチューブも、黒鉛と同様にsp2混成軌道の炭素原子のネットワークからなる完全な結晶質炭素である。
単層カーボンナノチューブ及び二層カーボンナノチューブの直径は、それぞれおよそ2nm未満および3nm未満で、チューブの内部には通常何も入っていないが、人工的にフラーレンや金属内包フラーレンを挿入して電子物性を変化させる試みがなされている。一方、多層カーボンナノチューブには、中心に中空部分を有するものと、中心まで結晶質炭素が詰まっており中空部分のないものとがある。
カーボンナノチューブは、黒鉛電極を用いたアーク放電法、金属触媒を用いたCVD(化学的気相成長法)法、レーザーアブレーション法等によって製造される。アーク放電法やレーザーアブレーション法では生成物中に種々の黒鉛粒子や非晶質炭素粒子が大量に存在し、またCVD法では触媒金属の混入が避けられないため、純粋なカーボンナノチューブを得るには、これらの不純物を分離・精製してカーボンナノチューブのみを取り出す工程が必要となる。カーボンナノチューブの分離・精製には、溶媒中に分散してろ過・遠心分離したり(特許文献1参照)、酸化剤と共に600℃以上に加熱する方法(特許文献2参照)が知られている。
カーボンナノチューブの水素吸蔵能については非特許文献1のように極めて大きな値の報告がある一方、非特許文献2のように否定的な報告もなされており、その評価は未だ確立されているとは言い難く、更なる材料の探索が続けられている。
特許第2522469号公報 特許第2616699号公報 A.C.Dillon et al., "Storage of hydrogen in single-walled carbon nanotubes", Nature, 1997年3月, 386巻, p.377-379 丸山茂夫, 「カーボンナノチューブによる水素吸蔵」, 応用物理, (社)応用物理学会, 2002年, 71巻, 第3号, p.323-326
本発明は水素吸蔵材料として機能しうる新たな繊維状炭素材料を提供することを目的とする。
炭素系材料の水素吸蔵メカニズムは、材料表面への物理吸着が支配的と考えられている。したがって水素吸蔵量を向上させる手法としては、材料表面の水素吸着に対する自由エネルギーを大きくする化学的アプローチと、水素が吸着する表面積を増大させる物理的アプローチが考えられる。本発明は後者のアプローチに属し、比表面積の大きな新規な炭素系水素吸蔵材料と、その製造方法を提供するものである。
本発明の請求項1に記載の炭素材料は、複数のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層された炭素材料であって、前記チューブ状炭素繊維のうち外側に位置するチューブ状炭素繊維と、そのすぐ内側に位置するチューブ状炭素繊維との間に、繊維軸に沿った空洞層を有することを特徴とする。
請求項2に記載の炭素材料は、請求項1に記載の特徴に加え、前記チューブ状炭素繊維と前記空洞層とが同軸状に配置されたことを特徴とする。
請求項3に記載の炭素材料は、請求項1または請求項2に記載の特徴に加え、前記空洞層の繊維軸に直角な方向の厚さが1nm以上10nm以下であることを特徴とする。
請求項4に記載の炭素材料は、請求項1または請求項3のいずれか一項に記載の特徴に
加え、前記チューブ状炭素繊維の繊維軸に直角な方向の厚さが2nm以上50nm以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の炭素材料は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の特徴に加え、前記チューブ状炭素繊維が繊維軸に直角な方向に同軸状に積層されたグラフェンシートからなることを特徴とする。
請求項6に記載の炭素材料は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の特徴に加え、前記空洞層を隔てて接する外側のチューブ状炭素繊維と内側のチューブ状炭素繊維とが、炭素からなるピラー構造によって結合されていることを特徴とする。
請求項7に記載の炭素材料は、請求項6に記載の特徴に加え、前記ピラー構造の直径が2nm以上20nm以下であることを特徴とする。
本発明は、以上の構造を有する炭素材料の製造方法として、以下の発明を提供する。
請求項8に記載の製造方法は、チューブ状炭素繊維表面の炭素層上に金属層を形成する工程と、該金属層を触媒とする化学的気相成長法によって該金属層上に炭素層を形成する工程と、を繰り返すことにより金属層と炭素層とが年輪状に積層された複合繊維を形成し、しかる後に該複合繊維を構成する金属層を除去することを特徴とする。
請求項9に記載の製造方法は、請求項8に記載の特徴に加え、前記金属層を構成する金属が、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅から選ばれた少なくとも一種類の金属であることを特徴とする。
本発明に係る炭素材料は繊維軸に沿って空洞層を有するチューブ状炭素繊維の積層物からなるので、ガス吸着に寄与する空間を多数有し、優れたガス吸蔵能が期待される。したがって水素貯蔵装置の水素吸蔵材として用いれば、水素エネルギーシステムの基盤をなす、水素貯蔵密度の高い水素貯蔵装置を実現することができる。また本発明に係る炭素材料の製造方法は、上記空洞層を有する炭素材料を容易かつ大量に製造することのできるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る炭素材料の模式図である。ここでは3層のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層された炭素材料を例に説明するが、積層されたチューブ状炭素繊維の層数に特に上限はない。
本発明に係る炭素材料51は複数のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層されたものである。最も内側のチューブ状炭素繊維54の外側には繊維軸に沿った空洞層56を隔てて次のチューブ状炭素繊維53が位置する。同様にチューブ状炭素繊維53の外側には繊維軸に沿った空洞層55を隔てて次のチューブ状炭素繊維52が位置する。
入れ子構造を構成するチューブ状炭素繊維のそれぞれの厚さ、すなわち繊維軸に直角な方向の厚さAは、2nm以上50nm以下であることが好ましい。厚さAが2nm以下であるとチューブ状の構造を維持することができず、また50nm以上であるとガス吸蔵に寄与しない部分の体積分率が大きくなるため、比表面積が減少し、体積当たりのガス吸蔵量が低下するという問題がある。複数のチューブ状炭素繊維の厚さは互いに等しい必要は無く、それぞれ
の厚さが上記範囲内にあれば良い。
入れ子構造を構成するチューブ状炭素繊維のそれぞれの間には、繊維軸に沿った空洞層が存在する。この空洞層の厚さは1nm以上10nm以下に構成されているので、内部にガスが容易に進入して吸蔵される。特に水素ガスはチューブ状炭素繊維の外面および内面に吸着するので、空洞層の厚さが大きすぎると吸着に寄与しない空間の体積分率が増えて体積当たりの吸蔵量が低下する。一方空洞層の厚さが小さすぎるとガスの進入が困難となり、ガス吸着材料としての機能が発揮されなくなるため、空洞層の厚さは上記範囲が好適である。
空洞層が複数ある場合には、各空洞層の厚さは互いに等しい必要は無く、それぞれの厚さが上記範囲内にあれば良い。
個々の空洞層について、その厚さが空洞層全体において一定である場合には、チューブ状炭素繊維と空洞層とが同軸状に配置された炭素材料が構成される。かかる炭素材料は後述の方法によって容易に製造することができ、構造が等方的であるため安定した性能が得られる。
図1に示した炭素材料は、その端部が外部に開放された(open end)構造を有するものである。本発明に係る炭素材料はガス吸着材料としての機能が期待されるものであるから、ガス吸着部位である空洞層に吸着ガスを取り込むため端部が外部に開放されていることが望ましく、両端が開放されていることが最も好ましい。
これらのチューブ状炭素繊維を構成する炭素原子の配列は、同軸状に積層されたグラフェンシートからなることが好ましい。かかるチューブ状炭素繊維(いわゆるカーボンナノチューブ)は結晶性であるため構造が強固であり、安定したガス吸蔵能を維持することができるからである。
次に本発明に係る炭素材料の製造方法を工程順に説明する。図3は各工程における炭素材料の断面図を模式的に示したものである。
始めに中心となるチューブ状炭素繊維31を用意する(a)。このチューブ状炭素繊維31としてはSWNTやMWNTなど各種カーボンナノチューブを利用することができるが、予め酸化性雰囲気下で焼成する等の前処理を施してカーボンナノ粒子や無定形炭素等の不純物を除去しておけば、最終的な収率が向上する。
次に、用意したチューブ状炭素繊維31の表面に金属層32を形成する(b)。
ここで形成する金属層32は、次工程で炭素層33を形成する際に触媒として機能することが必要である。具体的にはクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅から選ばれた少なくとも一種類の金属であれば触媒として機能し炭素層を形成することができる。
これらの金属層32をチューブ状炭素繊維31の表面に形成する方法としては、無電解メッキ法が好適である。無電解メッキによれば被メッキ材に通電する必要がなく、また均一な厚さのメッキ膜を形成することができるので、本発明の対象である炭素繊維表面に金属層を形成する手段として適している。
一般にプラスチック等の基材に無電解メッキを行う際は、前処理工程として脱脂、溶剤処理、エッチング等が施され、メッキ膜の付着力や均一性の向上が図られる。本発明においては、メッキ基材となるチューブ状炭素繊維を酸化性雰囲気下で焼成することによって
も、同等の効果を得ることができる。
金属層を無電解メッキで形成するためのメッキ浴としては公知の浴組成を特に制限無く用いることができるが、金属層32の厚さは目的とする炭素材料の空洞層の厚さ(図1B)に相当するので、所望の厚さが得られるように、メッキ浴の組成、メッキ温度、メッキ時間の関係を調整する。
チューブ状炭素繊維31の表面に所望の厚さの金属層32を形成したら、次に金属層32を触媒として炭素層33を成長させる(c)。
炭素層33の成長は化学的気相成長(CVD)法によることが望ましい。一般的な真空蒸着法やスパッタリング法などの物理的気相成長(PVD)法では繊維状材料の表面に均一な層を形成することが困難であるのに対し、CVD法では触媒として作用する金属表面に選択的に炭素層が成長するため、原料ガスが十分に金属表面に拡散する条件を設定すれば粉末状材料表面にも均一に炭素層を形成可能だからである。
図4は炭素層の成長に用いるCVD装置の一例である。
CVD装置20は構成元素として炭素を含む原料ガスを反応させて炭素層を成長させるための反応炉10を有し、反応炉10内には金属層を表面に形成したチューブ状炭素繊維22を収容するための金属メッシュ12と、金属メッシュ12を所定の温度に加熱するための加熱ヒータ11とを備えている。
反応炉10には原料ガスを反応炉10内に導入するための炭素系ガスの導入配管1、不活性ガスの導入配管2が取り付けられ、炭素系ガスの流量制御部5、不活性ガス流量制御部6及び各バルブ9によって炭素成長に必要なガス流量調整が可能な構成になっている。
炭素層は炭素系ガスの流量制御部5及び不活性ガス流量制御部6を制御することによって成長させる。炭素層を成長後の未反応ガス等残留ガスは排気口13より排気される。
金属メッシュ12の温度は、反応炉10から電気的に遮断させるための碍子16を通して熱電対15によって計測されるようになっている。また、圧力計14で反応炉10内の圧力がモニターされる。
図4のCVD装置を用いて炭素層を成長させるには、金属層を表面に形成したチューブ状炭素繊維22を金属メッシュ12上に収容し、加熱ヒータ11により所定の温度に加熱して、炭素層の原料となる炭素系ガスを導入する。炭素系ガスとしてはCH4、C2H6、などの飽和炭化水素、C2H4、C2H2、C6H6(ベンゼン)などの不飽和炭化水素、CH3OH、C2H5OHなどのアルコール類を用いることができる。また炭素系ガスに加えてアルゴン(Ar)などの不活性ガスを導入し、反応炉10内の炭素系ガス濃度を調整することも可能である。
炭素層成長時のガス組成や流量、圧力、反応温度を適度に調整すれば、金属層上にグラフェンシートからなるグラファイト類似構造の炭素層を成長させることができる。
以上の工程によりチューブ状炭素繊維31を中心として、その外側に金属層32が、更にその外側に炭素層33が形成された炭素/金属複合材料が製造される。これらの工程を順次繰り返すことにより、所望の層数の金属層32と炭素層33が交互に積層した年輪状構造を得ることができる(d)。この構造から金属層のみを除去すれば、目的とする炭素材料が得られる(e)。
金属層の除去方法としては、酸性溶液中に浸漬することが最も簡単であるが、金属の種類によってはアルカリ性溶液中に浸漬しても良い。また溶液に浸漬する湿式法に限らず、ドライエッチングによって金属層を除去することも可能である。この場合は処理対象の炭素材料を処理雰囲気中に一様に分散させることが重要となる。
以上の工程によって、チューブ状炭素繊維と空洞層とが同軸に配置された炭素材料が製造される。
なお、金属層32の形成工程において、メッキ条件等を調整することにより金属層に積極的にピンホールを導入することも可能である。金属層に適切な径のピンホールを形成すれば、次工程の炭素層の形成工程においてピンホール内にも炭素質が成長し、内側の炭素層と外側の炭素層とが柱状炭素質からなるピラー構造により相互に連結した炭素材料を製造することができる。
かかる炭素材料は内側の炭素層と外側の炭素層とがピラー構造によって強固に結合しているため、両者の間隔すなわち空洞層の厚さが一定に保たれ、安定したガス吸蔵能が維持されるという利点がある。ピラー構造の直径は2nm以上であれば強固な結合を得ることができるが、20nmを超えると空洞層の体積を侵食し、かえってガス吸着に寄与しうる空間体積が減少してしまうため、ピラー構造の直径は2nm以上20nm以下が好適である。
図2はピラー構造を有する炭素材料の模式図である(説明上、チューブ状炭素繊維の一部を切断した図面を示す)。入れ子状に積層された複数のチューブ状炭素繊維41がピラー構造42によって互いに結合し、ガス吸着部位として機能する空洞層43の厚さが一定に保たれる。
本実施例では5層のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層した炭素材料を製造した。
始めに、中心となるチューブ状炭素繊維として、SES Research社製のMWNT(純度95%以上)を用意した。これを酸素雰囲気化400℃で2時間焼成し、不完全な結晶構造の炭素分等の不純物を酸化除去した。
次に、上記工程により不純物を除去したカーボンナノチューブ表面に、次に示すメッキ浴を用いた無電解メッキ法によりニッケル層を形成した。ニッケルはCVD法で炭素層を成長させる際に触媒として機能する金属である。
[メッキ浴]
硫酸ニッケル 20g/L
酒石酸カリウムナトリウム 40g/L
水素化ホウ素ナトリウム 2.3g/L
水酸化ナトリウムでpH=12.5に調整
メッキ温度は50℃とし、予めグラファイト板を基材として求めたメッキ時間−メッキ厚曲線に基づいてメッキ時間を制御して厚さ3nmのニッケル層を形成した。メッキ浴から取り出した炭素繊維は、表面のニッケル層を活性化するため、水素雰囲気下で一定時間加熱した。
次に、CVD法によりニッケル層上に炭素層を形成した。炭素層の形成には図4に示すCVD装置を用いた。
上記の工程により表面にニッケル層を形成したチューブ状炭素繊維22をCVD装置の
金属メッシュ12上に均等に分散させ、不活性ガスとして流量制御したアルゴン(Ar)ガスを反応炉10内へ導入しながら、加熱ヒータ11を用いて、反応炉10内の金属メッシュ12の温度を1000℃に加熱した。このとき、チューブ状炭素繊維22を乗せている金属メッシュ12の温度は、熱電対15を用いて計測した。
金属メッシュ12の温度が所定温度にて一定となった後にC2H5OHを反応炉10へ導入した。このCVD反応期間中、反応炉10内のガス圧力は、圧力計14の表示に基づいて10kPaに維持した。所定時間経過後、原料ガスのバルブ9を閉めてCVD反応を停止し、加熱ヒータ11の通電を止めて、反応炉10内にArガスを流通しながら冷却し、金属メッシュ12の温度を室温まで冷却した。CVD反応時間は炭素層の厚さが6nmとなるように設定した。
以上の工程により得られたチューブ状炭素繊維/ニッケル層/炭素層からなる複合材料に対し、無電解メッキ法によるニッケル層の形成と、CVD法による炭素層の形成とを繰り返し行い、合計10層の炭素層と9層のニッケル層が年輪状に積層された複合材料を製造した。
この複合材料を最後に硝酸水溶液に浸漬することにより、年輪状の構造から9層のニッケル層のみを溶解除去し、チューブ状炭素繊維が入れ子状に10層積層し、各チューブ状炭素繊維間に同軸状の空洞層を有する炭素材料が製造された。このとき入れ子状に積層された各チューブ状炭素繊維の厚さは6nm、空洞層の厚さは3nmであった。
本発明に係る炭素材料の模式図である。 本発明に係るピラー構造を有する炭素材料の模式図である。 本発明に係る炭素材料の製造方法の製造工程を表す図である。 CVD装置の一例である。
符号の説明
1…導入配管、2…導入配管、5…流量制御部、6…流量制御部、9…バルブ、10…反応炉、11…加熱ヒータ、12…金属メッシュ、13…排気口、14…圧力計、15…熱電対、22…チューブ状炭素繊維、31…チューブ状炭素繊維、32…金属層、33…炭素層、41…チューブ状炭素繊維、42…ピラー構造、43…空洞層、51…炭素材料、52〜54…チューブ状炭素繊維、55〜56…空洞層、

Claims (9)

  1. 複数のチューブ状炭素繊維が入れ子状に積層された炭素材料であって、前記チューブ状炭素繊維のうち外側に位置するチューブ状炭素繊維と、そのすぐ内側に位置するチューブ状炭素繊維との間に、繊維軸に沿った空洞層を有する炭素材料。
  2. 前記チューブ状炭素繊維と前記空洞層とが同軸状に配置された請求項1に記載の炭素材料。
  3. 前記空洞層の、繊維軸に直角な方向の厚さが、1nm以上10nm以下である請求項1または請求項2に記載の炭素材料。
  4. 前記チューブ状炭素繊維の繊維軸に直角な方向の厚さが2nm以上50nm以下である請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の炭素材料。
  5. 前記チューブ状炭素繊維が繊維軸に直角な方向に同軸状に積層されたグラフェンシートからなる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の炭素材料。
  6. 前記空洞層を隔てて接する外側のチューブ状炭素繊維と内側のチューブ状炭素繊維とが、炭素からなるピラー構造によって結合されている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の炭素材料。
  7. 前記ピラー構造の直径が2nm以上20nm以下である請求項6に記載の炭素材料。
  8. チューブ状炭素繊維表面の炭素層上に金属層を形成する工程と、該金属層を触媒とする化学的気相成長法によって該金属層上に炭素層を形成する工程と、を繰り返すことにより金属層と炭素層とが年輪状に積層された複合繊維を形成し、しかる後に該複合繊維を構成する金属層を除去することを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の炭素材料を製造する方法。
  9. 前記金属層を構成する金属が、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅から選ばれた少なくとも一種類の金属である請求項8に記載の炭素材料の製造方法。
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