JP2005298814A - 寸法安定性の良好なポリイミドフィルムおよびその利用 - Google Patents

寸法安定性の良好なポリイミドフィルムおよびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリイミドフィルムに金属を積層する工程や、金属層をエッチングして配線を形成する工程を経た場合の寸法変化が少なく、全幅において寸法変化率を安定化させることが可能なポリイミドフィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】連続的に製造されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、100℃〜200℃の分子配向軸方向の線膨張係数aと分子配向軸に直交する方向の線膨張係数bとを測定したときにA=1+{(b−a)/(b+a)}×2で表わされる線膨張係数比が1.01〜3.00の範囲内となっているポリイミドフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フレキシブルプリント配線板、TAB用テープ、太陽電池用基板などの電気・電子機器基板用途や高密度記録媒体、磁気記録媒体に好適に用いられるポリイミドフィルムおよびその利用に関するものである。より具体的には、金属層を形成する工程、特に加熱しながら金属箔を積層する工程や、金属層をエッチングする工程を経ても、寸法変化率を小さくすることが可能であり、フィルムの全幅において物性値(寸法変化率)を安定化させることが可能なポリイミドフィルムに関するものである。
エレクトロニクスの技術分野においては、益々高密度実装の要求が高くなっている。それに伴い、例えばフレキシブルプリント配線板(以下、FPCという)を用いる技術分野においても、高密度実装に対応できるような物性などが要求されてきている。
ここで、上記FPCの製造工程は、(1)ベースフィルムに金属を積層する工程(以下金属積層工程と称する)、(2)金属表面に所望のパターンの配線を形成する工程(以下配線形成工程と称する)に大別することができる。特に、高密度実装を想定したFPCの製造工程においては、ベースフィルムの寸法変化率が小さいことが望まれている。
上記金属積層工程および配線形成工程のうち、特に、ベースフィルムの寸法変化率が大きくなる段階は、(1)金属積層工程では、ベースフィルムを加熱しながら金属を積層する段階の前後であり、(2)配線形成工程では、金属をパターニングする際のエッチングの前後である。それゆえ、高密度実装を想定したFPCを製造する場合には、これらの段階の前後において、ベースフィルムの寸法変化率が小さいことが望まれている。
ところで、FPCの製造においては、幅の広いベースフィルムをロールトゥロールで処理して金属層を積層している。それゆえ、当該ベースフィルムにおいては、その全幅(幅方向全体)においてその物性値が安定している、つまり、ベースフィルム全幅において寸法変化率が安定していることが望まれる。
上記ベースフィルムとしては、ポリイミド樹脂を主成分とするポリイミドフィルムが好適に用いられる。このように、ベースフィルムとして用いられるポリイミドフィルムにおいては、その寸法変化率を制御する目的で、さまざまな技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、モノマー原料を選定し、約50℃から300℃までの温度範囲での平均線膨張係数が約1〜25ppm/℃であって、ポリイミドフィルムのMD(machine direction)方向およびTD(transverse direction)方向の線膨張係数比(MD/TD)が約1/5〜4程度であるポリイミドフィルムが開示されている(同文献の第1頁特許請求の範囲第1項、第2頁左下4〜14行、第3頁右下1〜10行他参照)。特許文献1は、加熱時のフィルム自体の寸法安定性を向上させるものである。
また、ポリイミドフィルムを少なくとも一方向に延伸することで寸法変化率の制御を試みる技術として、特許文献2には、溶媒が残存するポリイミドの前駆体フィルムを膨潤剤で膨潤させた後に、少なくとも一軸方向に延伸する方法が提案されている(同文献の請求項1、段落番号〔0007〕、〔0028〕他参照)。また、特許文献3には、ポリイミドアミド酸エステルコポリマーゲルフィルムを溶剤で膨潤させてから延伸して加熱する方法が提案されている(同文献の段落番号〔0035〕〜〔0038〕他参照)。あるいは、特許文献4には、膨潤度を規定してゲル状フィルムを二軸延伸することにより、面内方向熱線膨張係数を10ppm/℃以下とする方法が提案されている(同文献の請求項3、段落番号〔0015〕・〔0023〕・〔0042〕・〔0045〕他参照)。
また、特許文献5には、TAB用テープのベースフィルム層として用いる樹脂フィルム(ポリイミドフィルム)において、ガラス転移温度を基準として一軸方向に所定範囲内の倍率で延伸させてからアニール処理を施す方法を提案している(同文献の請求項4・5、段落番号〔0017〕・〔0041〕他参照)。また、特許文献6には、ポリイミドフィルム製造時に、MD方向に1.0〜1.5倍に延伸し、TD方向に0.5〜0.99倍に延伸する方法が提案されている(同文献の段落番号〔0021〕・〔0044〕他参照)。あるいは、特許文献7には、ポリイミドフィルムを250℃以上の温度でゾーン延伸(原フィルムの分子鎖を引き揃えスダレ状に凝集させる延伸法)する方法が提案されている(同文献の第1頁特許請求の範囲第1項、第2頁左上15〜右上6行、同頁左下7〜第3頁右上4行他参照)。
さらに、テンター炉(フィルムの幅方向の両端を固定して加熱するタイプの炉)を利用し、乾燥時(イミド化時)の条件を規定することにより寸法変化率の制御を試みる技術(便宜上、テンター方式技術と称する)として、特許文献8には、テンター方式でポリイミドフィルムを製造する際に、フィルム固定端間距離を加熱炉前半では順次小さくし、後半では順次大きくする方法が提案されている(同文献の段落番号〔0005〕・〔0032〕他参照)。また、特許文献9には、自己支持性フィルムの両端を保持しテンター炉へ搬入する際に、乾燥に伴う収縮がほぼ完了する300℃までの工程において、フィルムの把持幅を把持部の0.95倍まで徐々に狭くすることで、50〜200℃における線膨張係数(TD)が17〜24ppm/℃で、かつ引張弾性率(TD)が700kgf/mm2 以上のポリイミドフィルムを製造する方法が提案されている(同文献の段落番号〔0020〕・〔0021〕他参照)。
、例えば非特許文献1〜2記載の分子配向の異方性(通常ボーイング現象と呼ばれる)と同様の現象がポリイミドフしかしながら、上記特許文献1〜9のいずれの文献にも、本発明で開示する、分子配向軸方向の線膨張係数と分子配向軸に直交する方向(これを便宜上垂直方向ということがある)の線膨張係数が特定の関係を満足するフィルムについて記載されておらず、例えば、フィルムに連続的に金属を積層する工程や、金属層をエッチングして配線を形成する工程を経た場合の寸法変化率の発生を抑制することが不充分となる場合がある。また、ポリイミドフィルム端部と中央部位での寸法変化率が異なり、その結果、フィルム全幅において寸法変化率を安定化させることが困難な場合があった。
ところで、一般にポリイミドフィルムはテンター炉方式と呼ばれるフィルム端部をクリップもしくはピンシートで把持してフィルムを高温炉内に搬送して焼成する製造方法が用いられている。しかし、テンター炉方式を用いてポリイミドフィルムを製造する場合にはィルムの製造過程においても発生し、フィルム端部(特に、フィルム把持装置から約50cm以内の部分)に分子配向の異方性が発生する。異方性が発現すると、例えば熱膨張係数の差異や寸法変化率の差異がフィルム幅方向において発生する。
本発明者らは、ポリイミドフィルムの分子配向軸方向の線膨張係数と分子配向軸に直交する方向の線膨張係数の比が特定の関係にある場合、フィルムに連続的に金属を積層する工程や、金属層をエッチングして配線を形成する工程を経た場合の寸法変化が少なく、あるいは、全幅において寸法変化率を安定化させることが可能であることを見出した。
特開昭61−264028(昭和61(1986)年11月21日公開) 特開2002−1804(平成14(2002)年1月8日公開) 特開2003−128811(平成15(2003)年5月8日公開) 特開2003−145561(平成15(2003)年5月20日公開) 特開平8−174695(平成8(1996)年7月9日公開) 特開平11−156936(平成11(1999)年6月15日公開) 特開昭63−197628(昭和63(1998)年8月16日公開) 特開2000−290401(平成12(2000)年10月17日公開) 特開2002−179821(平成14(2002)年6月26日公開) 坂本國輔著、高分子論文集,Vol.48,No.11,671〜678(1991年) 野々村千里他著、成形加工,第4巻,第5号,312〜317(1992年)
これまで知られているポリイミドフィルムでは、フィルムに金属を積層する工程や、金属層をエッチングして配線を形成する工程を経た場合の寸法変化率を小さくすること、あるいは、全幅において寸法変化率を安定化させることが困難な場合があった。また、ポリイミドフィルムをベースフィルムとしてFPCを製造する工程、例えば、ベースフィルムに金属を積層する工程、金属表面に所望のパターンの配線を形成する工程の前後において、寸法変化が小さく、特に、広幅のベースフィルムをロールトゥロールで処理して金属を積層して製造しても、フィルムの全幅において寸法変化率が安定しているポリイミドフィルムは得られていなかった。そこで、このような課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
本発明は、以下の新規なポリイミドフィルムおよびこれを用いた積層体によって上記課題を解決しうる。
1) 連続的に製造されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、100℃〜200℃の分子配向軸方向の線膨張係数aと分子配向軸に直交する方向の線膨張係数bとを測定したときに、次の式(1)に示す線膨張係数比A
A=1+{(b−a)/(b+a)}×2 ・・・(1)
が1.01〜3.00の範囲内となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
2)さらに、上記線膨張係数比Aの最大値AMAX と最小値AMIN との差分が0.30以下となっていることを特徴とする1)記載のポリイミドフィルム。
3)さらに、全幅において、ポリイミドの分子配向角の最大値と最小値との差分が40°以下となっていることを特徴とする1)たは2)記載のポリイミドフィルム。
4)さらに、上記分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする1)〜3)のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
5)さらに、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が、5.0〜25.0ppm/℃の範囲内となっていることを特徴とする1)〜4)の何れか1項に記載のポリイミドフィルム。
6)1)〜5)の何れか1項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
7)少なくとも金属層を含むことを特徴とする6)に記載の積層体。
8)1)〜5)の何れか1項に記載のポリイミドフィルムをベースフィルムとして用いてなるフレキシブルプリント配線板。
本発明のポリイミドフィルムは、連続的に生産されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、100℃〜200℃の分子配向軸方向の線膨張係数aと分子配向軸に直交する方向の線膨張係数bとを測定したときに、これらが特定の関係にあるポリイミドフィルムである。
このフィルムによって、例えば、ポリイミドフィルムをFPCのベースフィルムとして用いた場合に、金属層を積層し、エッチング処理をした前後において発生する寸法変化率を小さいものとし、全幅において寸法変化率を安定化させることができる。その結果、例えば、得られるFPCを、高密度実装が可能な高品質なものとすることができるという効果を奏する。
本実施の形態では、本発明にかかるポリイミドフィルムの概要、当該ポリイミドフィルムの製造方法の代表例、並びに、当該ポリイミドフィルムの利用の順で、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明にかかるポリイミドフィルム
本発明にかかるポリイミドフィルムは、FPCのベースフィルムとして好適に用いられるものであり、金属層を積層しエッチング処理をした前後における寸法変化率が小さいものとなっている。特に、その全幅において寸法変化率が安定化したポリイミドフィルムとなっている。
一般には、FPCを製造するときには、金属を積層した金属積層板(以下CCLと称する)のエッチング加工前後、加熱処理前後における寸法変化率を予め測定しておき、その値をもとに補正係数が設定される。
ここで、CCLの寸法変化率が全幅において安定していれば、CCLの全幅において同一の補正係数を用いて寸法変化量を予測することが可能となる。そのため、上述したようなFPC製造工程において、加熱工程を経たときの寸法変化量やエッチング後の寸法変化量を予め予測することができる。その結果、例えば、CCLの金属層に金属配線を形成する際に、パターン配線を形成しやすくなり、歩留まりが向上するほか、パターン配線の接続の信頼性を向上させることが可能になり、FPCの品質の向上、収率向上等に広く貢献することができる。
しかしながら、寸法変化率がフィルムの場所によりばらつく場合には、同一の補正係数を用いて寸法変化量を推定し、FPCを製造することが困難になる。そのため、CCLの寸法変化率の安定した部位だけを選別して使用する、もしくは、CCLの寸法変化率に特に影響を及ぼすポリイミドフィルムの物性値が安定した部位だけを選別して使用することが必要となり、この方法では廃棄部位が増えるため歩留まりが悪い。
上記のプロセスを経ても、寸法変化率が小さく、全幅における寸法変化率のばらつきを小さく制御するには、少なくとも、ポリイミドフィルムの全幅において、下記式(1)線膨張係数比A
A=1+{(b−a)/(b+a)}×2 ・・・(1)
を所定範囲内に規定するようになっている。好ましくは、当該線膨張係数比Aの最大値・最小値の差の上限を規定する、という条件を満たしており、さらに好ましくは、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角に関して規定する、という条件を満たすようになっている。
これにより得られるポリイミドフィルムにおいては、優れた寸法安定性を発揮することが可能となり(後述する実施例、特に寸法変化率を参照)、FPCのベースフィルム等として好適に用いることが可能となる。
さらに、本発明のポリイミドフィルムは、各種接着材料を介して連続的に金属箔を加熱・圧着することにより貼りあわせる熱ロールラミネート方式で張り合わせた場合の圧着前後での寸法変化率を小さく制御することもできる。熱ロールラミネート方式で、金属箔を張り合わせる場合は、材料は張力がかけられた状態で加熱環境下に置かれることが多く、これに起因して寸法変化率が問題となることがあると考えられるが、本発明の特定のポリイミドフィルムを用いれば、寸法変化率を小さく、かつ、全幅において寸法変化率を安定化させることができる。
以下、これら条件について具体的に説明する。
<線膨張係数比A・線膨張係数比差ADIF
本発明にかかるポリイミドフィルムは、連続的に生産されるものであるが、このとき、当該ポリイミドフィルムの全幅において、下記式(1)で表される線膨張係数比A
A=1+{(b−a)/(b+a)}×2 ・・・(1)
が1.01≦A≦3.00となっている。さらに、好ましくは線膨張係数比Aの最大値と最小値との差分(線膨張係数比差ADIF )がADIF ≦0.30以下となっていることが好ましい。
上記「全幅」とは、本発明にかかるポリイミドフィルムにおいて、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)に垂直な方向(幅方向、TD方向)の全体を指すものとする。全幅における物性値(線膨張係数他)の具体的な測定方法は特に限定されるものではないが、後述する実施例に示すように、TD方向に沿って、ポリイミドフィルムの両端部および中央部の計3箇所について物性値を測定し、これら測定値を比較したり利用したりすればよい。
通常、テンター炉方式を用いてフィルム(ポリイミドフィルム)を製造すると、フィルムの収縮に伴う応力がフィルムの端部に集中するために、端部の物性値が中央部の物性値と大きく異なることがある。そのため、両端部と中央部との物性値をそれぞれ測定することで、フィルムの全幅の物性値を表現していると考えることは妥当である。
本発明における連続的に生産されるポリイミドフィルムは、幅方向に200mm以上、長尺方向に20m以上の長さを有するポリイミドフィルムであるときに、発明の効果が顕著となる。尚、本発明における連続的に生産されたポリイミドフィルムとは、上記幅で製造後にフィルムの幅方向及び長さ方向にある一定の値でスリットされたフィルムも含まれる。
上記分子配向軸とは、ポリイミドフィルムのMD方向をY軸、フィルムのTD方向をX軸として、当該ポリイミドフィルムのXY平面上で見たときに、最も分子配向度が大きい方向を指す。分子配向軸の測定は、汎用の測定装置であればどのような装置を用いても良く、特に限定されるものではない。例えば、本発明では、実施例でも例示するように、王子計測機器株式会社製の分子配向計、商品名:MOA2012Aまたは商品名:MOA6015を用いて測定を行うことができる。
本発明における、ポリイミドフィルムの分子配向軸方向の線膨張係数aと分子配向軸に垂直方向の線膨張係数bを測定するには、まず、分子配向軸を上記装置にて決定する。分子配向軸の測定には、ポリイミドフィルムの幅方向の両端部および中央部位から測定用サンプル(40mm×40mm)を採取し、当該測定用サンプルについて分子配向軸の測定を行う。尚、フィルムの巾が狭い場合にはそれぞれのサンプルをMD方向にずらしながらサンプリングすることが好ましい。例えばフィルム巾が100mmの場合には図1のようにMD方向にずらしながらサンプリングすることが好ましい。
本発明では、ポリイミドフィルムの線膨張係数は、上記分子配向軸方向と、当該分子配向軸方向に直交する方向(便宜上、垂直方向と称する)との双方について測定する。この具体的な測定方法について説明すると、上記のようにして分子配向軸の角度を測定し、その分子配向軸を基準として測定サンプルを採取する。例えば、図2に示すように、ポリイミドフィルム2において、その分子配向軸(図中DAL)および垂直方向(DVE)に沿って短冊状の測定サンプル3・4を切り出す。測定サンプル3・4のサイズは特に限定されるものではなく、線膨張係数の測定に好ましいサイズとなっていればよい。
このように採取した測定サンプル3・4を公知の測定装置を用いて熱膨張率を測定する。例えば、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメント社製、商品名:TMA120C)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/分で一度、室温から400℃まで昇温を行い、徐々に室温まで冷却した後に、再度室温から400℃まで昇温を行い、その100〜200℃の温度領域において算出された熱膨張率を線膨張係数とする。
本発明では、このようにして測定された線膨張係数から、ポリイミドフィルム2の線膨張係数比Aを次の式(1)により算出する。なお、式(1)では、分子配向軸方向の線膨張係数をaとし、垂直方向の線膨張係数をbとする。
A=1+{(b−a)/(b+a)}×2 ・・・(1)
上記式(1)により算出された線膨張係数比Aは1.01〜3.00の範囲内(1.01≦A≦3.00)であることが好ましく、1.01〜2.00の範囲内(1.01≦A≦2.00)であることがより好ましい。ポリイミドフィルムの線膨張係数比がこの範囲内であれば、全幅の寸法変化率を小さくすることが可能となり、特にFPC製造時のエッチング段階の前後において、全幅の寸法安定性を良好なものとすることができる。
さらに、本発明では、上記線膨張係数比Aの全幅における最大値(AMAX )および最小値(AMIN )の差分(線膨張係数比差ADIF =AMAX −AMIN )が0.30以下(ADIF ≦0.30)であることが好ましく、0.25以下(ADIF ≦0.25)であることがより好ましく、0.20以下(ADIF ≦0.20)であることが特に好ましい。線膨張係数比差ADIF は小さいことが好ましいが、FPC製造時のエッチング段階の前後において良好な寸法安定性を実現するためには、線膨張係数比差ADIF の上限が0.30以下となる。このように線膨張係数比差ADIF を規定することによりポリイミドフィルムの全幅において寸法変化率を十分良好に安定化させることができる。
なお、本発明において、分子配向軸および線膨張係数は上述したように測定しているが、このときのサンプル採取の方法と、測定値との関係は次のようになっている。すなわち、ポリイミドフィルムの両端部および中央部から4×4cm角の測定用サンプルを採取し、分子配向軸を測定する。分子配向軸が決定するので、それに沿った方向、または、垂直となる方向に短冊状の測定用サンプルを採取し、線膨張係数を測定する。このようにして測定された線膨張係数により、上記線膨張係数比Aおよび線膨張係数比差ADIF が算出される。
<平均線膨張係数CLE
本発明にかかるポリイミドフィルムにおいては、上記線膨張係数比Aおよび線膨張係数比差ADIF を規定することに加えて、平均線膨張係数CLEについても規定することが好ましい。この平均線膨張係数CLEは、上記分子配向軸方向の線膨張係数aおよび垂直方向の線膨張係数bを全巾において測定し、次の式(2)により、平均線膨張係数CLEを算出した。なお、式(2)では、図2に示す様に一方の端部における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC1AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC1VE、中央における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC0AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC0VE、他方の端部における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC2AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC2VEとしている。
LE={(C1AL+C1VE)/2+(C0AL+C0VE)/2+(C2AL+C2VE)/2}/3 ・・・(2)
上記平均線膨張係数CLEは、特にFPCのベースフィルムとして用いる場合には、金属層(特に銅層)の100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数(16.3ppm/℃)に近い値以下であることが好ましい。この理由は、FPC製造時に行われる熱処理に伴って、ポリイミドフィルムが引き伸ばされることを鑑みた場合、ポリイミドフィルムの平均線膨張係数が銅層と同等の線膨張係数を持っていれば、当然ながら寸法安定性が向上するためである。
そこで、本発明にかかるポリイミドフィルムは、特に、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が、5.0〜25.0ppm/℃の範囲内であることが好ましく、5.5〜23.0ppm/℃の範囲内であることがより好ましく、6.0〜20.0ppm/℃の範囲内であることがさらに好ましい。ポリイミドフィルムの平均線膨張係数が上記の範囲内であれば、当該ポリイミドフィルムをベースフィルムとして用いてFPCを製造する場合でも、エッチング前後のベースフィルムの寸法変化率を小さくすることができる。
<分子配向角・分子配向角差>
本発明にかかるポリイミドフィルムは、上記線膨張係数比Aおよび線膨張係数比差ADIF 、平均線膨張係数CLEを規定することに加えて、さらに、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角に関して規定することが好ましい。分子配向角の規定としては、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角の最大値・最小値の差分の規定と、ポリイミドフィルムの全幅における分子配向角のバラツキが小さいことの少なくとも何れかが挙げられる。この分子配向角とは、前記<線膨張係数比A・線膨張係数比差ADIF>の項において説明した分子配向軸により形成される角度のことを指す。
まず、分子配向角の最大値と最小値との差分(便宜上、分子配向角差と称する)は、その上限が40°以下となっていればよく、30°以下がより好ましい。分子配向角差の上限が上記値であれば、金属層を設けてFPCを成形した場合の、エッチング前後での寸法変化率の、全幅におけるバラツキが小さくなるので好ましい。なお、このときの分子配向角の方向は特に限定されるものではなく、どのような方向でもよい。
本発明における分子配向角とは、上記分子配向軸を測定した場合の分子配向軸がMD方向からずれてくる角度を意味しており、ポリイミドフィルムの分子配向角が0°とは、分子配向軸がMD方向(図3の14と同じ方向)と並行な方向(図3の10と同じ方向)であることを意味している。正(プラス)の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の11)をいう。一方、負(マイナス)の分子配向角とはMD方向から時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の12)をいう。本発明における分子配向角差とは、上記分子配向角をフィルム巾方向に測定して、その測定方向が最も正に振れている正の分子配向角と負に振れている負の分子配向角から下記算出式(3)にて測定することができる。尚、巾方向に正の分子配向角のみが確認される場合には式(4)を用いる。巾方向に負の分子配向角のみが確認される場合には式(5)を用いる。分子配向角の最大値もしくは最小値が0°の場合には、0°が最大値の場合には最小値となる負の分子配向角を用いて(6)より分子配向角差が求められる。0°が最小値の場合には最大値となる正の分子配向角を用いて(7)より算出される。
分子配向角差=(正の分子配向角)−(負の分子配向角) ・・・(3)
分子配向角差=(正の分子配向角の最大値)−(正の分子配向角の最小値)・・・(4)
分子配向角差=(負の分子配向角最小値)−(負の分子配向角の最大値)・・・(5)
分子配向角差=0 −(負の分子配向角最小値)・・・(6)
分子配向角差=(正の分子配向角最大値) ・・・(7)
なお、本発明における分子配向角の最大値と最小値との差分とは、ポリイミドフィルムの両端部の分子配向角と中央部の分子配向角の中から上記算出式を用いて算出した値を意味する。
分子配向角の差分が40°以下であれば、分子配向角の方向はどのような方向でもよい。好ましくは分子配向角の差分が30°以下である。分子配向角の最大値と最小値の差分が40°以下となっている場合には、フィルムの全幅において寸法変化率のバラツキが小さくなるので好ましい。
本発明においては更に、分子配向角のバラツキを規定する。すなわち、ポリイミドフィルムの全幅において、分子配向角が0±20°以内となっていることで規定する。ポリイミドフィルムのフィルム搬送方向(MD方向)を基準(0°)とした場合(図3の10)に、該ポリイミドフィルムの分子配向角が全幅において、0±20°となっていることが好ましい。本発明における分子配向角が0±20°となっていることは、図3記載のフィルム搬送方向(図3の14)と分子配向角の関係を示した図により説明することができる。ポリイミドフィルムの分子配向角が0°とは、MD方向と並行方向(図3の10)を意味しており、20°の分子配向角とはMD方向から反時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の11が20°)をいう。一方、−20°の分子配向角とはMD方向から時計回りに角度が傾斜した場合のこと(図3の12が−20°)をいう。つまり、本発明に好ましい0±20°の分子配向角とは、MD方向に対して左右に20°以内となるように制御されていることを意味する。
ところで、ポリイミドフィルムをベースフィルムとして、金属積層板を製造する方法として、例えば、ポリイミドフィルムに接着剤を塗布した後に、金属箔との熱圧着処理を施す方法(熱ラミネート法)が挙げられる。この方法では、熱圧着時にポリイミドフィルムのMD方向には、熱圧着装置により延伸され、TD方向には収縮する。分子配向軸が0±20°以下に制御されていれば、フィルム全幅において均等にMD方向に引き延ばされることになり、例えば、250mm以上の幅を持ったフィルムの場合には、ポリイミドフィルムの全幅に対して均一なテンションがMD方向に沿ってかかる。これにより、加熱下で引っ張られた場合、フィルムの両端部の伸び率が異なることが原因で発生する、フィルムの片伸びや、フィルムのカールも抑制することができる。従って、このように分子配向角を制御することにより、特に熱ラミネート法を用いた場合の、寸法変化を小さくし、かつ全幅において寸法変化率を安定化させることが可能となる。
(II) 本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法
本発明にかかるポリイミドフィルムの製造方法は特に限定されるものではない。また、ポリイミド樹脂の種類も特に限定されるものではないが、フィルムの全幅において、式(1)に示す線膨張係数比Aが1.01〜3.00となっているポリイミドフィルムを得る手段の一つとして、フィルムの製造条件を変更する方法が挙げられる。目的とするポリイミドフィルムを得るためには、例えば、
(A)ポリアミド酸を重合する工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、
(C)該ゲルフィルムを引き剥がし、両端を固定する工程
(D)フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程、
を含む製造方法を採用することができ、これらの各条件を適宜選定する、あるいは、さらなる工程を追加することによって、製造すればよいのであるが、変更しうる製造条件および製造例について以下に例示する。
(A)工程
(A)工程は、ポリアミド酸を重合する工程である。ポリアミド酸としては、特に限定されないが、有機溶媒中にて芳香族テトラカルボン酸二無水物(以下酸二無水物と略す場合がある)と芳香族ジアミン(以下ジアミンと略す場合がある)とをおおよそ等モル反応させることで得られるポリアミド酸溶液であれば良い。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、特に好ましい重合方法として次のような方法が挙げられる。すなわち、
1)芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
2)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
3)芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここに芳香族ジアミン化合物を追加添加後、全工程において芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
4)芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解及び/または分散させた後、実質的に等モルとなるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
などのような方法である。
ポリアミド酸の重合に使用される有機溶媒としては、テトラメチル尿素、N,N−ジメチルエチルウレアのようなウレア類、ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホン、テトラメチルスルフォンのようなスルホキシドあるいはスルホン類、N,N−ジメチルアセトアミド(略称DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(略称DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(略称NMP)、γ―ブチルラクトン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類、またはホスホリルアミド類の非プロトン性溶媒、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化アルキル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、フェノール、クレゾールなどのフェノール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、p−クレゾールメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられることができ、通常これらの溶媒を単独で用いるが必要に応じて2種以上を適宜組合わせて用いて良い。これらのうちDMF、DMAc、NMPなどのアミド類が高分子溶解性が高いという点から溶剤として好ましく使用される。
ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸固形分の重量%は、有機溶媒中にポリアミド酸が5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%、更に好ましくは、13〜25wt%溶解されているのが取り扱い面から好ましい。尚、ポリアミド酸の平均分子量は、GPCのPEG(ポリエチレングリコール)換算で10000以上である方がフィルム物性上好ましい。
また、上記ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が50Pa・s以上1000Pa・s以下であることがフィルム成形体を作製する際に取扱いが容易である点から好ましく、さらに好ましくは100Pa・s以上500Pa・s以下、最も好ましくは200Pa・s以上350Pa・s以下である。
尚、上記ポリアミド酸溶液の粘度および濃度は、必要に応じて、上記ポリアミド酸の重合用溶媒のような有機溶媒を加えて調整することができる。
本発明に係るポリアミド酸溶液の製造において好適に用いることのできる酸二無水物としては、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−メチルフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、p−(2,3−ジメチルフェニレン)ビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4,4’−ビフェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、1,4−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,6−ナフタレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2−ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等のエステル酸無水物類、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1, 2, 3, 4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1, 2, 3, 4―ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2, 2’, 3, 3’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2, 2’, 3, 3’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(2, 3―無水ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3, 4―無水ジカルボキシフェニル)メタン、1, 1―ビス(2, 3―無水ジカルボキシフェニル)エタン、2, 2―ビス(3, 4―無水ジカルボキシフェニル)プロパン、2, 2―ビス(2, 3―無水ジカルボキシフェニル)プロパン、ビス(3, 4―無水ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2, 3―無水ジカルボキシフェニル)エーテル、ビス(2, 3―無水ジカルボキシフェニル)スルホン、2, 3, 6, 7―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1, 4, 5, 8―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2, 5, 6―ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2, 3, 6, 7―アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1, 2, 7, 8―フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、3, 4, 9, 10―ペリレンテトラカルボン酸二無水物、4, 4―(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4, 4 ―(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、2, 2―ビス[(2, 3―無水ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等の酸二無水物が挙げられ、これらは単独であるいは2種以上用いることができる。
これらの酸二無水物の中で、ピロメリット酸二無水物、1, 2, 3, 4―ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2, 2’, 3, 3’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2, 2’, 3, 3’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)の酸二無水物から選択される少なくとも1種以上を用いることがポリイミドフィルムに耐熱性を付与し、フィルムの弾性率を向上させてポリイミドフィルムの配向角等を制御しやすくするので好ましい。
更に、上記酸二無水物を用いることで平均線膨張係数値を望ましい範囲に制御できるので好ましい。
尚、一般にポリイミドフィルムの弾性率が向上するとフィルム中の残留揮発成分が揮発する際の体積収縮により、フィルム面内に収縮応力が発生し、該収縮応力により面内の分子配向が促進されることになる。その結果、ポリイミドフィルムの分子配向が進むのである。同時に、面内配向が進むことによりポリイミドフィルムの平均線膨張係数値が小さく制御でき、本発明で望ましい範囲に制御できるのである。
また、アミン化合物類としては、p-フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、
ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシジベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェニル)スルホン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェニル)スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エ−テル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、
1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−フルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、ジアミノポリシロキサンが挙げられ、これらを単独であるいは2種以上を用いることができる。
これらの中でも、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンから選択される少なくとも1種以上を用いることが用いることがポリイミドフィルムの耐熱性を向上しフィルムの剛性を付与できる点から好ましい。更に、p-フェニレンジアミン及び/もしくは、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テルを必須成分として併用することでポリイミドフィルムの弾性率を向上させてポリイミドフィルムの配向角を制御しやすくなるので好ましい。同時に、面内配向が進むことによりポリイミドフィルムの平均線膨張係数値が小さく制御でき、本発明で望ましい範囲に制御できるのである。
本発明においては、ポリイミドフィルムの弾性率が高い方が分子配向角を好ましい範囲に制御しやすくなるという点から好ましい。弾性率は、ポリイミドフィルムの中央部位(図1の5)の部位の、MD方向とTD方向の引張り弾性率を測定し、弾性率={MD方向の引張り弾性率+TD方向の引張り弾性率}/2 の算出式で算出した。弾性率は4.2GPa以上であることが配向角の制御から好ましく。取り扱う上でフレキシビリティーに欠ける点から上限は10.0GPa以下であることが好ましい。
特に好ましいポリイミドフィルムは、
1)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)の4つのモノマーで作製されるポリイミドフィルム、
2)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
3)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
4)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3, 3’, 4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
5)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3, 3’,4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
6)4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、3,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、ピロメリット酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
7)p-フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエ−テル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピロメリット酸二無水物、3, 3’, 4, 4’―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルム、
8)p-フェニレンジアミン、3, 3’,4, 4’―ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いて作製されるポリイミドフィルムがフィルムの配向を制御しやすく、しかも、低線膨張係数値に制御できる利点があり、好適に用いられる。
(B)工程
(B)ポリアミド酸及び有機溶媒を含む組成物(ポリアミド酸溶液ともいう)を支持体上に流延・塗布後、ゲルフィルムを形成する工程、である。(B)工程で用いる組成物は、ポリアミド酸と反応しうる反応剤など、その他の成分を添加した組成物を用いてもよい。
上記ポリアミド酸溶液の粘度は、23℃に保温された水浴中で1時間保温し、その時の粘度をB型粘度計で、ローターはNo.7を回転数は4rpmで測定を行いその粘度が50Pa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは100Pa・s以上500Pa・s以下、最も好ましくは200Pa・s以上350Pa・s以下であることがフィルム成形体を製造する際に、取扱いやすいという点から最も好ましい。
また、(B)工程で用いるポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の固形分濃度は、5〜40wt%、好ましくは10〜30wt%であることが好ましく、さらには13〜25wt%であることが好ましい。上記範囲内であれば、フィルム成形体を製造する際に、取扱いやすくなる傾向にある。
ポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法については従来公知の方法を用いることができる。この方法には熱イミド化法と化学イミド化法が挙げられる。熱イミド化法は、加熱によってのみイミド化を促進させる方法である。加熱条件は、ポリアミド酸の種類、フィルムの厚さ等により、変動し得る。さらに、適宜ポリアミド酸溶液中に剥離剤、熱イミド化触媒等を混合してイミド化することが望ましい。化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、イミド化触媒、脱水剤を作用させる方法である。脱水剤としては、例えば無水酢酸などの脂肪族酸無水物、無水安息香酸などの芳香族酸無水物などが挙げられる。イミド化触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリンなどの複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
用いるイミド化触媒の量は特に限定されないが、モル比で、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01が好ましい。更に好ましくは、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましい。
また脱水剤及びイミド化触媒を併用する際は、モル比で、脱水剤/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01が好ましく、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=10〜0.01であることが好ましい。更に好ましくは、脱水剤/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましく、イミド化触媒/ポリアミド酸中アミド基=5〜0.5が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトン等の反応遅延剤を併用しても良い。また、ポリアミド酸に対する脱水剤及びイミド化触媒の含有量は、0℃にてポリアミド酸と脱水剤・触媒混合物とが混合されてから粘度上昇が始まるまでの時間(ポットライフ)で規定しても良い。一般にはポットライフが0.1分〜120分、さらに好ましくは1分〜60分が好ましい。
また、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、有機滑剤(例えばワックス)などの添加物を添加して用いてもよい。また、表面の易滑性や耐磨耗性、耐スクラッチ性等を付与するために、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を添加してもよい。
上述のイミド化触媒、脱水剤、添加剤などを含むポリアミド酸溶液を得る場合は、これらを混合する前にフィルター等にて不溶解原料や混入異物を取り除く工程を設けることがフィルム中の異物・欠陥を減少させる上で好ましい。上記フィルターの目開きは、取得フィルム厚みの1/2、好ましくは1/5、更に好ましくは1/10が良い。
このようにして得られたポリアミド酸溶液を、支持体上に連続的に流延・塗布し、乾燥させることでゲルフィルムを得る。支持体としては、該溶液樹脂により溶解することが無く、該ポリイミド溶液の有機溶剤溶液を除去するために要する加熱にも耐えうる支持体であればどのような支持体でも用いることができる。特に好ましくは、金属板を繋ぎ合わせて作製した、エンドレスベルトもしくは金属ドラムが溶液状の塗布液を乾燥させる上で好ましい。尚、エンドレスベルトもしくはドラムの材質は、金属が好ましく用いられ中でも、SUS材が好ましく用いられる。表面には、クロム、チタン、ニッケル、コバルト等の金属にてメッキを施したものを用いることで表面上の溶剤の密着性が向上する、或いは、乾燥した有機絶縁性フィルムが剥離しやすくなるのでメッキ処理を施すことが好ましい。エンドレスベルト、金属ドラム上は平滑な表面を有することが好ましいが、エンドレスベルト上もしくは金属ドラム上には無数の凸凹を作製して用いることも可能である。エンドレスベルトもしくは金属ドラム上に加工される凸凹の直径は0.1μm〜100μmで深さが0.1〜100μmであることが好ましい。金属表面に凸凹を作製することで有機絶縁性フィルムの表面に微細な突起を作製することが可能となり、該突起によりフィルム同士の摩擦による傷の発生、もしくは、フィルム同士のすべり性を向上させることが可能となる。
本発明におけるゲルフィルムについて説明する。ゲルフィルムは、ポリアミド酸と有機溶剤を含有した有機溶剤溶液を加熱・乾燥させて一部の有機溶剤もしくは反応生成物(これらを残存成分と称する)がフィルム中に残存している状態を言う。ポリイミドフィルムの製造工程においては、ポリアミド酸溶液を溶解している有機溶剤、イミド化触媒、脱水剤、反応生成物(脱水剤の吸水成分、水)がゲルフィルム中の残存成分として残る。ゲルフィルム中に残存する残存成分割合は、該ゲルフィルム中に存在する完全乾燥ポリイミド重量a(g)に対して残存する残存成分重量b(g)を算出した際に、残留成分割合cは下記の算出式(10)で算出される値であり、該残存成分割合が500%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25%以上200%以下、特に好ましくは30%以上150%以下であることが好ましい。
c=b/a×100・・・(8)
500%以上の場合にはハンドリング性が悪く、しかも溶媒除去時のフィルムの縮みが大きく配向角、あるいは、フィルムの全幅において物性値(寸法変化率)を安定化させることが難しくなるので好ましくない。また、残留成分割合が、25%以上であることが、ポリイミドフィルムの配向角がMD方向(0°)に向き易く、幅方向のフィルムの物性値が安定しやすくなるため好ましい。
完全乾燥ポリイミド重量aと残存成分重量bの算出方法は、100mm×100mmのゲルフィルム重量dを測定した後に、該ゲルフィルムを300℃のオーブン中で20分乾燥した後、室温まで冷却後、重量を測定し完全乾燥ポリイミド重量aとする。残存成分重量bは、ゲルフィルム重量dと完全乾燥ポリイミド重量aからb=d−aの算出式より算出される。
ゲルフィルムを製造する工程において、支持体上で加熱・乾燥させる際の温度・風速・排気速度は残存成分割合が上記範囲内になるように決定することが好ましい。特に、ポリイミドフィルムの製造過程においては50〜200℃の範囲の温度で高分子と有機溶剤を含有した有機溶剤溶液を加熱・乾燥させることが好ましく、特に好ましくは50〜180℃で加熱・乾燥させることが好ましい。尚、乾燥時間は、1〜300分の範囲内で乾燥させ、多段式の温度管理で乾燥させることが好ましい。
(C)工程
(C)工程は、ゲルフィルムを支持体から引き剥がし連続的にゲルフィルムの両端を固定する工程である。本発明における、ゲルフィルムの端部を固定する工程とは、ピンシート、クリップ等の一般にフィルムの製造装置において用いられる把持装置を用いてゲルフィルムの端部を把持する工程である。なお、本発明でいう両端を固定する部位としては、例えば図4の31に記載している、フィルム搬送装置に取り付けられた端部把持装置(ピンシートもしくはクリップ)でフィルム端部を把持し始める部位図4の37を挙げることができる。
後述する(D)工程の少なくとも一部においてTD方向の張力が実質的に無張力となるように固定する方法として、この(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定してもよい。フィルムを固定する段階で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように行い、そのまま(D)工程へ送る方法である。具体的には、端部を固定する際に、フィルムを弛ませて固定するのである。
(D)工程
(D)工程は、フィルムの両端を固定しながら加熱炉内を搬送する工程である。本発明においては、この(D)工程の少なくとも一部においてフィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送すること((D−1)工程という)が、本発明の目的とするポリイミドフィルムが得られる点から重要である。
ここで、TD方向の張力が実質的に無張力であるとは、フィルムの自重による張力以外に、機械的なハンドリングによる引っ張り張力がTD方向にかからないことを意味している。実質的にはフィルムの両端部固定端の距離(図5の38)よりも両端部固定端間のフィルムの幅(図5の39)が広いことを意味しており、そのような状況下でのフィルムを実質的に無張力下のフィルムと言う。図5を用いて説明すると、フィルムは、把持装置によって固定され、このとき(図5の38)の長さが両端部固定装置端の距離である。通常は、フィルムの両端はピンと張力がかかった状態であり、このとき、両端部固定端距離38と両端部固定端間のフィルムの幅39は同じである。本発明においては、図5のように、両端部固定端距離38とこの間のフィルムの幅39は異なり、両端部固定端の距離が小さくなっている。具体的には、フィルムは弛ませて固定されているのである。特に、本発明に望ましい特性を発現しやすいという点から、両端部固定端の距離38をX、両端部固定端間のフィルムの幅39をYとしたとき、XとYが下記式を満足するように固定されていることが好ましい。
20.0≧(Y−X)/Y×100>0.00・・・・(9)
(Y−X)/Y×100(これを便宜上TD収縮率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの弛みを安定的に制御することが難しくなり、弛み量が進行方向に対して変化する場合がある。また場合によってはフィルムの弛みによる端部把持装置からの脱落が生じ、安定したフィルムの製造ができない場合がある。さらに好ましくは
15.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。特に好ましくは10.0≧(Y−X)/Y×100>0.00である。
本発明においては、(D)工程における加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されていることが、フィルム全幅において最も望ましい線膨張係数比に制御して、本発明に望ましい特性を発現するポリイミドフィルムを製造できる点から好ましい。加熱炉の入り口において、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するには、前述の(C)工程の、ゲルフィルムの端部を固定する際に、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定し、そのまま(D)工程に送る方法(第一の方法)の他に、(C)工程の後、一旦両端部固定端の距離を縮める操作(図4記載の方式)を行って、(D)工程に送る方法(第二の方法)が挙げられる。第一の方法は、ゲルフィルムの両端を固定する際に、(式9)を満たすように固定する方法が好ましく、第二の方法は、(式9)を満たすように固定端の距離を縮めることが好ましい。
第一の方法もしくは、第二の方法を行った後に、さらに、(D)工程の加熱炉に入った後、両端部固定端の距離を縮める操作を行ってもよい(第三の方法)。第三の方法では、両端部固定端の距離を縮める操作は300℃以下、さらには250℃以下、特には200℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。300℃より高い温度領域において第三の操作を行った場合には、フィルムの全幅において線膨張係数比Aの最大値AMAXと最小値AMINとの差分値を小さく制御することが困難になる場合がある。
以上本発明では、ゲルフィルムに温度がかかる直前にTD方向の張力が実質的に無張力である状態を経由することが重要である。
(D)工程では、フィルムが乾燥し、さらにイミド化反応が進むためフィルムはある程度収縮する。従って、加熱炉の入り口で、TD方向の張力が実質的に無張力となるように固定して搬送すると、その後、加熱によるフィルムの収縮によって、フィルム幅が小さくなるので、両端部固定端距離と両端部固定端間のフィルムの幅は同じとなり、しわのないフィルムが製造できるのである。
本発明においては、(D)工程において、(D−2)工程であるフィルムをTD方向に引き延ばす工程を含んでいてもよい。この(D−2)工程をさらに含むことで、フィルムの線膨張係数比を制御することが可能となる。
具体的には、全幅においてフィルムの線膨張係数比を安定化したものとし、かつ、線膨張係数比そのものの値が小さいポリイミドフィルムを得たい時には、(D−2)工程を含む製造方法とすればよい。
本発明における、(D−2)工程であるフィルムをTD方向に引き延ばす工程は、(D−1)工程を経た後、加熱炉の中で、フィルムをTD方向に引き延ばす工程である。(D−1)工程で、フィルム幅方向(TD方向)の張力が実質的に無張力となるように固定されて搬送するが、加熱炉内でフィルムが加熱されると、フィルムはある程度収縮する。収縮してフィルムの弛みがなくなった後、フィルムをTD方向に引き延ばすのである。引き延ばす量は、引き延ばす前のTD方向の両端部固定端の幅をZ(例えば図4の41)、フィルムが炉内でTD方向に引き伸ばされた際の両端部固定端の幅をW(例えば図4の42)としたとき、下記式を満たすことが好ましい。
40.0≧(W−Z)/Z×100>0.00・・・・(10)
(W−Z)/Z×100(これを便宜上TD膨張率という場合がある)を上記範囲以上に大きくすると、フィルムの線膨張係数比を小さく、しかも、全幅において均一に制御することが難しくなる場合がある。さらに好ましくは
30.0≧(W−Z)/Z×100>0.00である。特に好ましくは
20.0≧(W−Z)/Z×100>0.00である。
(D−2)工程は、フィルムの把持幅を徐々に広げながらTD方向にフィルムを引き延ばせばよい。さらに、必要に応じて(D−2)工程以降に再度収縮を行ってもよく、さらに、フィルム幅を広げることも可能であり、TD収縮率、TD膨張率に関しては適宜選定することが好ましい。
尚、フィルムの線膨張係数比を望ましい範囲に制御するには、TD収縮率とTD膨張率の関係が、下記式を満たすことが好ましい。
10.0≧ TD収縮率―TD膨張率 ≧ −10.0 ・・・・(11)
さらに好ましくは、8.0≧ TD収縮率―TD膨張率 ≧ −8.0である。特に好ましくは、5.0≧ TD収縮率―TD膨張率 ≧ −5.0である、
(D−2)工程を行う温度は、300℃以上500℃以下、特に好ましくは350℃以上480℃以下がポリイミドフィルムの弾性率が低下してフィルムを引き延ばしやすくなるので好ましい。尚、上記温度では、フィルムが軟化して伸びきってしまう場合がある。その場合には、上記範囲以外の温度を適宜設定することが好ましい。
さらに、(D−2)工程においては、TD膨張率を調整することによってフィルムの線膨張係数比を小さく制御することができる。つまり、(D−2)工程においてフィルムを引き延ばすことによりフィルムの線膨張係数比を自在に制御することができる。
本発明においては、(D−1)工程での収縮及び、(D−2)工程での引き延ばし、更には、搬送する際のMD方向のフィルム張力、ゲルフィルムの残存成分重量、加熱温度を適宜調節して、望ましい線膨張係数比のポリイミドフィルムを製造すればよい。また、化学イミド化を行うか、熱イミド化を行うかにより、フィルムの加熱温度、加熱時間が全く異なるが、熱イミド化の場合であっても、本発明の方法内での制御を行えば、目的とするフィルムを得ることができる。
本発明に好適に用いられる加熱炉は、フィルム上面もしくは下面、或いは、両面から60℃以上の熱風をフィルム全体に噴射して加熱する方式の熱風炉、もしくは、遠赤外線を照射してフィルムを焼成する遠赤外線発生装置を備えた遠赤外線炉が用いられる。加熱工程においては、段階的に温度を上げて焼成することが好ましく、その為に、熱風炉、もしくは、遠赤外線炉、もしくは、熱風炉と遠赤外線炉を混在させながら数台連結して焼成する段階式の加熱炉を用いることが好ましい。
上記焼成過程において本発明では、ポリイミドフィルムの製造工程においては、ゲルフィルムを把持し、炉内に搬送した際の最初に与えられる加熱温度は、300℃以下が好ましく、さらに60℃以上250℃以下であることが好ましく、特に好ましくは100℃以上200℃以下であることが、フィルムの全巾において線膨張係数比Aの最大値AMAXと最小値AMINとの差分値を小さく制御する上で好ましい。具体的には、2以上の複数の加熱炉内を搬送させ、第一の加熱炉(図4の32)の温度を300℃以下とすることが好ましい。また、他のポリイミドフィルムに適応させる場合には、ポリイミドフィルムの種類及び溶剤の揮発温度を考慮して決定することが好ましい。特に、ゲルフィルム中に含まれる溶剤の沸点を調査し、該溶剤の沸点よりも100℃高い温度以下の温度で管理することが望ましい。
ポリイミドフィルムの製造において、炉内に搬送した際の最初に与えられる加熱温度が300℃より高い場合には、ボーイング現象(フィルムの収縮の影響で中央部がフィルムの端部よりも早く加熱炉内部に搬送されるため、端部に強い分子配向状態が発生する現象)が発生しフィルムの端部の配向角が制御しにくくなり、更には、線膨張係数比Aの最大値AMAXと最小値AMINとの差分値を小さく制御することが困難となる場合がある。ポリイミドフィルムの焼成の際には、2番目の炉図4の33の温度は1番目の炉図4の32の温度プラス50℃以上、1番目の炉の温度プラス300℃以下に設定することが好ましい。特に好ましくは、1番目の炉の温度プラス60℃以上、1番目の炉の温度プラス250℃以下に設定することがポリイミドフィルムの分子配向角を制御する上で好ましい。それ以降の炉の温度は、通常のポリイミドフィルムの製造に用いられる温度にて、焼成することが好ましい。但し、1番目の炉(図4の32)の温度が60℃以下の場合には、次ぎの炉(図4の33)の温度を100℃以上、250℃以下の温度に設定することが好ましい。1番目の炉(図4の32)の温度が60℃以下の場合に2炉の温度を上記温度に設定することは、フィルムの全幅において線膨張係数比Aの最大値AMAXと最小値AMINとの差分値を小さく制御する上で好ましい。また、初期温度及び次炉の温度は上記のように設定することが好ましいが、それ以外の温度は通常のポリイミドフィルムの製造に用いられる焼成温度にて焼成することが好ましい。例えば、その一例として、ポリイミドフィルムの焼成には最高600℃までの温度に段階的に焼成し、室温まで徐々に冷却する方法等を用いることができる。最高焼成温度が低い場合には、イミド化率が完全でない場合があり充分に焼成することが必要となる。
炉内に搬送される際のゲルフィルムに与えるMD方向に与えられる張力はフィルム1mあたりにかけられる張力(荷重)を算出することで、1〜20kg/mであることが好ましく、更に好ましくは1〜15kg/m、特に好ましくは1〜10kg/mであることが好ましい。張力が1kg/m以下の場合にはフィルムを安定して搬送することが難しく、フィルムを把持して安定したフィルムが製造しにくくなる傾向にある。また、フィルムにかける張力が20kg/m以上の場合には、特に、フィルムの端部の配向角を制御しにくく、しかも、フィルム端部の線膨張係数比が中央部位よりも大きくなり、全幅均一な線膨張係数比に制御することが難しくなる傾向にある。炉内に搬送されるゲルフィルムに与える張力発生装置としては、ゲルフィルムに荷重をかける荷重ロール、ロールの回転速度を調整して荷重を変化させるロール、ゲルフィルムを2つのロールで挟み込み張力の制御を行うニップロールを用いる方式等の種々の方法を用いてゲルフィルへの張力を調整することができる。
尚、フィルムに与える張力はポリイミドフィルムの厚みにより上記範囲内で適宜調整することが好ましい。フィルム厚みとしては、1〜200μmの厚みが好ましく、特に好ましくは1〜100μmであることがポリイミドフィルムを成形する上で好ましい。フィルムの厚みが200μm以上の場合にはフィルムに発生する収縮応力が大きくなり、ポリイミドフィルムの線膨張係数比、更には、配向角を制御できない場合がある。
本発明の製造方法により得られるポリイミドフィルムは、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
(III)本発明の利用
上記製造方法により得られる、本発明にかかるポリイミドフィルムは、どのような用途にも用いることができるが、FPC用、TAB用テープ用、高密度記録媒体用ベースフィルム等の電気・電子機器基板用途、太陽電池基板用途、磁気記録媒体用途、電気絶縁用途等を挙げることができる。特に好ましい用途の一つとしては、FPCのベースフィルムを挙げることができる。(I)の項で述べたように、本発明にかかるポリイミドフィルムは、FPCの製造過程におけるエッチング処理前後において、特に全幅における寸法変化率を小さいものとし、全幅における寸法安定性を良好なものとすることができる。その結果、高密度実装を可能とするFPCのベースフィルムとして好適に用いることができる。
ここで、本発明にかかるポリイミドフィルムは、当該ポリイミドフィルムのみからなる単層フィルムであればよいが、他の層を積層した積層体となっていてもよい。具体的には、例えば、ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、他の高分子層を塗布したり積層したりしてもよい。このとき積層される他の樹脂層としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性ポリイミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、アクリル系高分子、フッ素系高分子等を挙げることができる。これら高分子層は直接積層してもよいし、接着剤層を介して積層してもよい。
例えば、上記積層体の製造方法としては、ゲルフィルムを成形した後に、(1)当該ゲルフィルムを、他の樹脂を溶解した溶液(他の樹脂溶液と称する)に浸漬した後、テンター炉内で加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法、(2)当該ゲルフィルム表面に、コーターを用いて他の樹脂溶液を塗布して加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法、(3)当該ゲルフィルムに対して、噴霧装置にて他の樹脂溶液を噴霧塗布して加熱乾燥させて積層フィルムを製造する方法等が好適に用いられる。さらには、成形されたポリイミドフィルムの表面に、他の樹脂溶液を再度塗布して加熱乾燥させて積層フィルムを製造してもよい。この場合、塗布方式としては、上記(1)〜(3)の積層方式を用いることが好ましい。なお。本発明でいう積層体(または積層フィルム)とは、上記他の樹脂が1層以上積層されているものであればよい。
さらに、当該ポリイミドフィルムを用いて金属を積層した金属積層板(積層体)を製造する方法としては、(1)ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に接着剤層を積層し、当該接着剤層に対して金属を熱圧着(例えば、プレス法、ダブルベルト法、熱ロール法等が好適に用いられる)する方法、(2)当該ポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、金属を直接真空装置内部で積層する(真空積層する)方法、(3)上記(2)の真空積層により製造した金属積層板に対して、金属めっきや無電解めっきにより金属層を厚く積層する方法、(4)無電解めっき法で金属を薄く積層する方法、(5)上記(4)の無電解めっきにより薄く積層した金属層に対して、金属めっきや無電解めっきにより金属層を厚く積層する方法等が好適に用いられる。
このようにして製造された金属積層板は、金属層の配線形成処理(例えばエッチングマスクを表面に形成した後に金属層をエッチング処理する方法)を行うことで、金属配線を少なくともポリイミドフィルムを含むベースフィルム上に形成することが可能となる。
なお、本発明に好適に用いることができる上記(1)〜(5)の製造方法のうち、(1)の製造方法で用いる接着剤としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性ポリイミド樹脂系接着剤(少なくともポリイミド樹脂を含む接着剤を指す)、アクリル系接着剤(少なくともアクリル樹脂を含む接着剤を指す)、エポキシ系接着剤(少なくともエポキシ樹脂を含む接着剤を指す)が好適に用いられる。また、上記(1)の製造方法における金属とは、少なくとも0.1μm以上の厚みを持つ銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、クロムまたはこれらの合金からなっている金属箔が用いられる。さらに、上記(1)の製造方法で製造された接着剤層を積層した積層体の場合には接着剤層を保護するための保護材料を積層してもよい。
また、上記(2)の製造方法における真空装置内部での積層方法としては、金属を加熱炉中で加熱蒸発させて積層する加熱蒸着法、電子ビームにより金属を加熱し蒸発させて積層する電子ビーム法、プラズマにより金属を蒸散させて積層するスパッタリング法等が好適に用いられる。このとき用いられる金属は特に限定されるものではないが、例えば、銅、金、銀、マンガン、ニッケル、クロム、チタン、錫、コバルト、インジウム、モリブデン等が好適に用いられる。これら金属は単独で用いてもよいが、複数種類を同時に蒸発させながらポリイミドフィルム表面で金属合金を製造する方法を用いてもよい。例えば、ニッケルおよびクロムを同時に積層してニッケル/クロム合金を形成する方法、インジウムおよび錫を酸素存在下で同時に蒸着してITO(Indium Tin Oxide)膜を形成する方法等を挙げることができる。
さらに、上記(4)の製造方法における無電解めっき法とは、無電解めっき用の触媒金属をポリイミドフィルム表面に積層した後に、無電解めっき用の金属浴中に浸漬して金属を積層させる方法を挙げることができる。もちろん、無電解めっき法は上記方法に限定されるものではなく、公知公用の無電解めっき技術により金属を積層する方法を好適に用いることができる。
また、上記(3)・(5)の製造方法で用いられる電解めっき法とは、例えば、上記(2)または(4)の製造方法で得られる金属積層ポリイミドフィルムを、めっきを施したい金属が溶解している溶液中に浸漬し、電気めっきを施したい金属を対極として電気を通電し、めっきする方法を用いることができる。もちろん、電解めっき法は上記方法に限定されるものではなく、公知公用の電解めっき技術により金属を積層する方法を好適に用いることができる。
さらに、無電解めっき法にて金属をさらに厚く積層する方法とは、例えば、目的とする金属を溶解した無電解めっき浴中に、上記(2)・(4)の製造方法で得られる金属積層ポリイミドフィルム表面に無電解めっき用触媒を塗布したフィルムを浸漬して、金属を積層する方法を挙げることができる。もちろん、無電解めっき法は上記方法に限定されるものではなく、公知公用の無電解めっき技術により金属を積層する方法を好適に用いることができる。
なお、上記(1)〜(5)の製造方法により得られる金属積層ポリイミドフィルムには、金属層を保護するための保護材料を積層してもよい。
このように、本発明にかかる積層体は、本発明にかかるポリイミドフィルムを含む構成であれば特に限定されるものではない。さらに、上記では、金属積層体の製造方法について代表的な方法を詳細に記載したが、もちろん本発明はこれに限定されるものではない。したがって、上記ポリイミドフィルムをベースフィルムとして製造される金属積層体(例えば、FPC、TAB、高密度記録媒体、磁気記録媒体、電気・電子機器用金属積層板等)の製造方法や上記フレキシブル金属積層板も含まれる。このとき、FPCやフレキシブル金属積層板の製造方法は、上述した方法だけでなく、公知公用で当業者であれば採用し得る種々の方法で金属層を積層してもよい。
本発明について、実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。なお、本発明にかかるポリイミドフィルムにおける線膨張係数比、分子配向角、フレキシブル金属積層板の寸法変化率、および、弾性率は、以下のように測定し評価した。
〔線膨張係数比〕
図2に示すように、ポリイミドフィルム2において、その分子配向軸(図中DAL)および垂直方向(DVE)に沿って短冊状の測定サンプル3・4を切り出した。分子配向軸に沿って切り出した測定サンプル3から分子配向軸方向の線膨張係数aを測定するとともに、垂直方向に沿って切り出した測定サンプル4から垂直方向の線膨張係数bを測定した。このときの測定装置としては、熱機械的分析装置(セイコーインスツルメント社製、商品名:TMA120C)を用い、窒素気流下、昇温速度10℃/分にて、10℃から400℃までの温度範囲の条件で測定し、100〜200℃の範囲内における測定値の平均値を求めた。
上記各方向の線膨張係数aおよびbから、前記式(1)により上記ポリイミドフィルム2の線膨張係数比Aを算出した。また、算出された線膨張係数比Aから、その最大値AMAX と最小値AMIN との差(線膨張係数比差ADIF =AMAX −AMIN )を算出した。
〔分子配向角〕
上記ポリイミドフィルムの両端および中央部位の分子配向角を、分子配向計(王子計測機器株式会社製、商品名:MOA2012)にて測定した。具体的には、図3に示すように、MD方向(図3の14、ポリイミドフィルムの搬送方向 )とMD方向に垂直な方向(図3の15、TD方向 )とを設定したときに、分子配向角が、図3の10で示すMD方向を基準(0°)として、±20°以内に入っているかを確認した。また、算出された分子配向角の最大値と最小値との差分から分子配向角差を算出した。
〔寸法変化率〕
図6に示すように、巻き取った状態にあるフレキシブル金属積層板50について、当該フレキシブル金属積層板50を引き出し、幅方向に沿って、その両端部および中央部からそれぞれ必要な大きさの測定サンプル51・52・53を採取した。これら測定サンプル51〜53について、図7に示すように、(1)図中両端矢印DMDで示す、MD方向(図中矢印D1 )に沿った測定方向、(2)図中両端矢印DTDで示す、TD方向(MD方向と垂直な方向)に沿った方向、(3)図中両端矢印DR で示す、MD方向から右に45°傾斜した方向(R方向)、並びに(4)図中両端矢印DL で示す、MD方向から左に45°(右側傾斜を+とすると−45°)傾斜した方向(L方向)における寸法変化率を測定した。
寸法変化率の測定方法は、JIS C6481にしたがった。具体的には、まず、測定サンプル51〜53の4隅それぞれに測定用の穴60(図7参照)を形成し、各穴30間の距離、すなわち上記DMD、DTD、DR 、DL の各方向の寸法を測定した。次に、エッチングを実施して測定サンプル51〜53から金属箔を除去した後に、20℃、60%R.H.の恒温室に24時間放置した。
その後、エッチング前と同様に、上記各穴60間の距離を測定した。金属箔除去前における各穴60間の距離の測定値をM1 とし、金属箔除去後における各穴60間の距離の測定値をM2 として、次に示す式(14)によりエッチング前後の寸法変化率を求めた。
寸法変化率(%)={(M2 −M1 )/M1 }×100 ・・・(14)
〔弾性率の測定〕
図1の5の部位をMD方向及びTD方向に試験片(15mm×200mm)の切り出しを行った。このサンプルを島津製作所製引張り試験機(オートグラフ S−100−C)を使用し、ASTM−D882に準じで測定した。
〔実施例1〕
<ポリイミドフィルムの製造>
重合用の有機溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)に対して、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)50モル%、パラフェニレンジアミン(p−PDA)50モル%、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(TMHQ)50モル%、およびピロメリット酸二無水物(PMDA)50モル%をこれら比率で添加して攪拌、重合することによりポリアミド酸溶液を合成した。このとき、得られるポリアミド酸溶液の固形分濃度は15重量%となるように合成を行った。
このポリアミド酸溶液に、アミド酸当量に対して2.0倍当量の無水酢酸と1.0倍当量のイソキノリンを添加し、20μmの厚さとなるように、1100mm幅でエンドレスベルト上にキャストした。その後、100〜150℃の範囲内で2分間熱風乾燥し、自己指示性を有するゲルフィルム(ポリイミド前駆体フィルム)を得た。当該ゲルフィルムの残存成分割合は54重量%であった。このゲルフィルムを、エンドレスベルト上から引き剥がし、連続的にフィルムを搬送するピンシートに幅方向両端をピン幅1000mmでたるみ無く固定した。
このゲルフィルムを、第一の加熱炉(177℃)、第二の加熱炉(300℃)、第三の加熱炉(450℃)、第四の加熱炉(515℃)と段階的に焼成してイミド化を進め、ポリイミドフィルムを得た。このとき、テンター炉までおよびテンター炉内でのゲルフィルムの搬送時には、TD収縮率を4.40、TD膨張率を2.20となるように当該ゲルフィルムをTD方向に収縮・膨張させた。TD方向に実質的に無張力となるように固定されるように両端固定端距離を縮める工程は、炉内にフィルムが挿入される前に終了させ、両端固定端距離を拡張する工程は第三加熱炉にて行った。
なお、ポリイミドフィルム製造時の各条件を表1に示す。
得られたポリイミドフィルムについて、分子配向角、分子配向角差、平均線膨張係数、線膨張係数比A、線膨張係数比差ADIFを測定した。その結果を表2に示す。なお、表2では、実施例(または比較例)ごとに、測定サンプル51・52・53の結果を示す段として、端部・中央・端部の段を設けている。表2の結果から明らかなように、フィルム全幅において線膨張係数比Aが1.01〜3.00の範囲内で、線膨張係数比差ADIF が0.30以下、分子配向軸の角度が0±20°に制御されたポリイミドフィルムが得られた。さらに、次の式(2)により、平均線膨張係数CLEを算出した。なお、式(2)では、図2に示すように、一方の端部における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC1AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC1VE、中央における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC0AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC0VE、他方の端部における分子配向軸(図中DAL)方向の線膨張係数をC2AL、および垂直方向(DVE)方向の線膨張係数をC2VEとしている。
LE={(C1AL+C1VE)/2+(C0AL+C0VE)/2+(C2AL+C2VE)/2}/3 ・・・(2)
上記式(2)から算出した平均線膨張係数CLEは、12.8ppm/℃であった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.1GPaであった。
<接着層として用いる熱可塑性ポリイミド前駆体の合成>
重合用の有機溶媒であるDMFに対して、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)100モル%、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)90モル%、3,3’,4,4’−エチレングリコールベンゾエートテトラカルボン酸二無水物(TMEG)10モル%をこれらの比率で添加して攪拌重合することにより、熱可塑性ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸溶液を合成した。このとき、得られるポリアミド酸溶液の固形分濃度は20重量%となるように合成を行った。
<フレキシブル金属積層板の製造>
得られたポリイミドフィルムの前処理としてポリイミドフィルム表面に、Ar:He:N2=8:2:0.2(体積比率)の割合で混合したガス気流中で出力280W/m2の割合でプラズマ放電を行い表面プラズマの処理を行った。上記熱可塑性ポリイミド前駆体を固形分濃度10重量%になるまでDMFで希釈した後、上記ポリイミドフィルムの両面に全幅に渡って最終片面厚みが4μmとなるように塗布し、140℃で1分間加熱した。続いて、雰囲気温度390℃の遠赤外線ヒーター炉の中を20秒間通して加熱することによりイミド化を行い、熱可塑性ポリイミド前駆体からなる接着層を形成した。これによりポリイミドフィルムの両面に接着層を積層した3層積層体を得た。
得られた3層積層体の両側に18μm圧延銅箔(ジャパンエナジー社製、商品名:BHY−22B−T)を重ね、さらに銅箔の両側に保護材料(株式会社カネカ製、商品名:アピカル125NPI)を配して熱ラミネート処理を行った。このときの条件は、ポリイミドフィルムの張力0.4N/cm、ラミネート温度380℃、ラミネート圧力196N/cm(20kgf/cm)、ラミネート速度1.5m/分とした。また、熱ラミネート処理は連続的に行い、フレキシブル金属積層板を製造した。
なお、積層後、保護材料を得られたフレキシブル金属積層板から剥離した。フレキシブル金属積層板から上記寸法変化率の測定用サンプルを採取し、当該測定用サンプルのエッチング前後での寸法変化率を上記方法にて測定した。なお、エッチングは、播磨化学工業(株)製塩化第2鉄の塩酸溶液(濃度30%以上)の溶液を30℃となるようにヒーターで加熱し、当該加熱溶液を上下から噴霧してフィルム表面に曝露させる装置を用いて行った。塩化鉄溶液と金属積層板とが接触している時間は10分以内に設定し、エッチング速度との兼ね合いで時間を変更してエッチング処理を行った。エッチング後のフィルムは水洗後液滴を吹き飛ばして風乾し、銅層を除去したフィルムを作製した。
エッチング処理前後におけるポリイミドフィルムの寸法変化率を測定した。その結果を表3に示す。なお、表3では、表2と同じく、実施例(または比較例)ごとに、測定サンプル51・52・53の結果を示す段として、端部・中央・端部の段を設けている。
この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムは、寸法変化率が小さくベースフィルムとして好適なポリイミドフィルムであった。
〔実施例2〕
表1に示すようにTD収縮率を4.40、TD膨張率を4.40とした以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2〜表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は5.9GPaであった。
〔実施例3〕
表1に示すように、TD収縮率を3.90、TD膨張率を0.00とするとともに、テンター炉内の初期温度を130℃として、その後250℃、350℃、450℃、515℃と段階的に焼成してイミド化を進めた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2および表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.1GPaであった。
〔実施例4〕
表1に示すように、TD収縮率を2.00、TD膨張率を0.00とするとともに、テンター炉内の初期温度を130℃として、その後250℃、350℃、450℃、515℃と段階的に焼成してイミド化を進めた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2および表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は5.8GPaであった。
〔実施例5〕
表1に示すように、TD収縮率を4.00、TD膨張率を0.00とするとともに、テンター炉内の初期温度を160℃として、その後300℃、450℃、515℃と段階的に焼成してイミド化を進めた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2〜表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.0GPaであった。
〔実施例6〕
表1に示すように、TD収縮率を3.00、TD膨張率を0.00とするとともに、テンター炉内の初期温度を170℃として、その後300℃、450℃、515℃と段階的に焼成してイミド化を進めた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2および表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.0GPaであった。
〔実施例7〕
表1に示すように、TD収縮率を5.00、TD膨張率を0.00とするとともに、テンター炉内の初期温度を165℃として、その後300℃、450℃、515℃と段階的に焼成してイミド化を進めた以外は、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを得た。また、得られたポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にしてフレキシブル金属積層板を製造した。
これらポリイミドフィルムおよびフレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2〜表3に示す。この結果から明らかなように、本発明にかかるポリイミドフィルムを用いると、エッチング処理後の寸法変化率が小さくなり、寸法変化率も全幅にわたって安定したものであった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.1GPaであった。
〔比較例1〕
表1に示すように、TD収縮率を0.00、TD膨張率を0.00とした以外は、実施例1と同様にして比較ポリイミドフィルムを得た。また、得られた比較ポリイミドフィルムを用いて、実施例1と同様にして比較フレキシブル金属積層板を製造した。
これら比較ポリイミドフィルムおよび比較フレキシブル金属積層板について、実施例1と同様の方法で物性値評価を行った。その結果を表2〜表3に示す。この結果から明らかなように、比較ポリイミドフィルムを用いると、エッチング後の寸法変化率が大きく、特にDR およびDL 方向における寸法変化率が大きくなり、全幅にわたって寸法変化率の安定したフレキシブル金属積層板が得られないことが明らかになった。
上記ポリイミドフィルムの弾性率は6.1GPaであった。
Figure 2005298814
Figure 2005298814
Figure 2005298814
分子配向角、分子配向軸のサンプルのサンプリング方法 線膨張係数測定の際のフィルムサンプリング方法 フィルムの分子配向軸および分子配向角の説明図 フィルムの製造方式及び搬送方式の模式図 フィルムの把持状態の模式図 FPCからのサンプル採取部位の模式図 寸法変化率の測定用サンプルの寸法変化測定部位を説明する為の模式図
符号の説明
1 40mm
2 ポリイミドフィルム
3 測定サンプル(分子配向軸方向)
4 測定サンプル(垂直方向)
5 弾性率測定用サンプル取得部位
10 MD方向(フィルムの機械送り方向)
11 正(プラス)の分子配向角
12 負(マイナス)の分子配向角
13 TD方向(フィルムの機械送り方向に垂直な方向)
14 MD方向
15 TD方向
31 フィルム搬送装置
32 第一の加熱炉
33 第二の加熱炉
34 第三の加熱炉
35 第四の加熱炉
36 第五の加熱炉焼成炉
37 フィルム把持開始部位
38 フィルムの把持装置間の幅、X
39 把持装置間に把持したゲルフィルムのTD方向のフィルム幅、Y
40 フィルム搬送方向
41 引き延ばす前のTD方向の両端部固定端の幅、Z
42 フィルムが炉内でTD方向に引き延ばされた際の両端部固定端の幅、W
43 有機溶剤溶液を流延・塗布する装置(ダイス)
44 有機溶剤溶液の塗布用基材
45 ゲルフィルムに張力をかける装置
46 ゲルフィルムの剥離部位
47 巻き取り装置に巻き取る工程(ポリイミドフィルムの巻き取り装置)
50 フレキシブル金属積層板
51 測定サンプル(一方の端部)
52 測定サンプル(中央部)
53 測定サンプル(他方の端部)
60 測定用の穴

Claims (8)

  1. 連続的に製造されるポリイミドフィルムであって、その全幅において、100℃〜200℃の分子配向軸方向の線膨張係数aと分子配向軸に直交する方向の線膨張係数bとを測定したときに、次の式(1)に示す線膨張係数比A
    A=1+{(b−a)/(b+a)}×2 ・・・(1)
    が1.01〜3.00の範囲内となっていることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. さらに、上記線膨張係数比Aの最大値AMAX と最小値AMIN との差分が0.30以下となっていることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
  3. さらに、全幅において、ポリイミドフィルムの分子配向角の最大値と最小値との差分が40°以下となっていることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。
  4. さらに、上記分子配向角が、連続的に製造されるときの搬送方向(MD方向)を0°としたときに、0±20°以内となっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドフィルム。
  5. さらに、100〜200℃の範囲内における平均線膨張係数が、5.0〜25.0ppm/℃の範囲内となっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のポリイミドフィルムを含む積層体。
  7. さらに、少なくとも金属層を含むことを特徴とする請求項6に記載の積層体。
  8. 請求項1〜5の何れか1項に記載のポリイミドフィルムをベースフィルムとして用いてなるフレキシブルプリント配線板。
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