以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する装置には同一符号を付し、重複した説明は省略する。なお、図1中、破線は制御信号を表す。
図1は、本発明の第1の実施の形態である燃料電池発電システム100を説明するブロック図である。燃料電池発電システム100は、図2で詳細に構成を説明する燃料処理装置120と、燃料処理装置120によって生成される一酸化炭素低減ガスgと酸化剤ガスtとの電気化学的反応により発電する燃料電池130と、制御装置30とを備える。制御装置30は、原料燃料m及び改質剤sの改質部4への導入、外気導入流路18に設けられた閉止バルブ28の開閉、アノードオフガス導出流路19に設けられた開閉バルブ29の開閉、電気ヒータ35の電気の入切等を制御する。
燃料処理装置120は原料燃料mと改質剤sとを導入して原料燃料mを改質し、水素に富む改質ガスrを生成する改質部4と、改質部4を加熱する燃焼部5と、改質ガスr中の一酸化炭素を低減して一酸化炭素低減ガスgを水素に富む燃料ガスとして生成する一酸化炭素低減部6とを備えている。燃料処理装置120は、さらに、プロセスガス系内に外気a1を導入可能に取り付けられる外気導入流路18と、プロセスガス系内の圧力を検出可能なように取り付けられる圧力検出器31と、一酸化炭素低減部6に取り付けられ、一酸化炭素低減部6の温度を検知する一酸化炭素低減部温度検知手段としての温度測定器32と、一酸化炭素低減部6に取り付けられ、温度測定器32によって検知される温度に応じて電気を入切する電気ヒータ35とを備える。
改質部4へは、原料燃料m及び改質剤sがそれぞれ原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2により導入される。原料燃料供給装置1は、都市ガス・LPG・消化ガス・メタノール・GTL・灯油等の原料燃料mを改質部4へ供給するように構成されており、原料燃料mを貯蔵するタンクを備えていてもよい。原料燃料供給装置1には原料燃料停止手段としての原料燃料停止バルブが内蔵されている。原料燃料停止バルブは原料燃料供給装置1と改質部4とを連通する原料燃料導入流路13に設けられていてもよい。改質剤供給装置2は、改質用水または空気である改質剤sを改質部4へ供給するように構成されている。改質剤供給装置2には改質剤停止バルブが内蔵されている。改質剤停止手段としての改質剤停止バルブは改質剤供給装置2と改質部4とを連通する改質剤導入流路12に設けられていてもよい。なお、本実施の形態では原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2は燃料電池発電システムの外部にあるが、両方又はいずれか一方を燃料電池発電システム内に備えていてもよい。
改質部4は、原料燃料mと改質剤sとを導入し、改質反応により水素に富む改質ガスrを生成するように構成されている。改質反応は、高温下において改質触媒(不図示)により原料燃料m中の炭化水素と水分とから、水素と二酸化炭素、一酸化炭素を生成する反応である。改質反応は吸熱反応であり、改質反応のためには外部から熱が供給される必要がある。改質部4は、改質触媒を収容した略円筒形状とするのが、強度的にも製造上も好適である。ただし、高温に保つために、その内部に後述する燃焼部5が配置されているとよい。
燃焼部5は、灯油、都市ガス、LPGなどの原料燃料m、あるいは燃料電池130のアノードオフガスpと多種の燃料に対応できるバーナーノズルを有している。あるいはそれぞれ異なるバーナーノズルを有していてもよい。燃焼部5は、定常運転時には、燃料電池130のアノードのオフガスであるアノードオフガスpを燃料として燃焼空気供給部から供給される燃焼空気a2と共に燃焼させて、改質部4を加熱するように構成されている。原料燃料mが灯油などの液体であるときに備え、好適には気化器を有している。燃焼部5は、改質部4を加熱する装置であるので、改質部4と一体で形成されることが好ましく、改質部4の中央に配置され、燃焼部5で燃焼することにより周囲の改質部4を加熱する構成としてもよいし、燃焼部5で燃焼した高温ガスが改質部4の周囲に流れ改質部4を加熱する構成としてもよく、改質部4を加熱することができればどのような構成であってもよい。なお、典型的には、燃焼部5は、原料燃料mを燃料として、または一酸化炭素が充分に減じられずに一酸化炭素低減部6から送出される燃焼用ガス(不図示)を燃料として、燃焼空気a2と共に燃焼させて改質部4を加熱するように構成されている。
一酸化炭素低減部6は、図2で後述するように、改質ガスr中の一酸化炭素を変成する変成触媒を充填した変成触媒充填層72、74(図2参照)を有する変成部7と、改質ガスr中の一酸化炭素を除去する選択酸化触媒を充填した選択酸化触媒充填層82(図2参照)を有する選択酸化部8とを含んで構成されている。変成部7は、一酸化炭素低減部6の前段部として、改質ガスr中の一酸化炭素を改質ガスr中の水分との変成反応により二酸化炭素と水素を生成するように構成されている。ここで、変成部7により改質ガスr中の一酸化炭素を低減したガスを、特に断りのない限り変成ガスという。変成触媒充填層74(図2参照)には、導入される外気中の酸素と反応して酸化銅が生成されるように、銅を含有する変成触媒であるCu−Zn系変成触媒が用いられている。選択酸化部8は、一酸化炭素低減部6の後段部として、変成ガス中の一酸化炭素を外部から供給される空気中の酸素との一酸化炭素選択酸化反応により、さらに低減・除去するように構成されている。ここで、変成部7により改質ガスr中の一酸化炭素を低減した変成ガス及び選択酸化部8により変成ガス中の一酸化炭素をさらに低減・除去した選択酸化ガスを、特に断りのない限り広義に一酸化炭素低減ガスgといい、本実施の形態では、燃料電池130等の燃料ガスとして用いていることとしている。
燃料電池130として、例えば固体高分子形燃料電池を用いると、燃料ガス中の一酸化炭素により、燃料極131のプラチナPt触媒が被毒し、発電効率の低下が起こるという問題がある。そこで、一酸化炭素に対する選択酸化性が高い選択酸化触媒を用いて、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化するのである。なお、本実施の形態では、燃料処理装置120は変成部7と選択酸化部8とを備え、一酸化炭素を除去または一酸化炭素濃度を低減しているが、いずれか一つだけを備える構成としても、一酸化炭素を除去または一酸化炭素濃度を低減することができればよい。ただし、変成部7と選択酸化部8とを備えることにより、変成部7で一酸化炭素濃度が低減すると共に燃料としての水素濃度が高められ、さらに選択酸化部8で一酸化炭素濃度が充分に低下させられるので、好適である。
外気導入流路18は、改質部4と一酸化炭素低減部6との連通部に接続され、プロセスガス系内に外気a1が導入されるように又はプロセスガス系内のガスを排出することが可能なように構成されている。外気導入流路18には外気a1の流入・閉止が切替え可能な外気導入流路閉止手段である閉止バルブ28が設けられている。閉止バルブ28と制御装置30との間には信号ケーブルが配線されている。閉止バルブ28は、制御装置30からの指示信号i4を受信することにより、制御装置30からの命令に応じた開閉動作が可能なように構成されている。なお、外気導入流路18による外気a1の導入箇所は、プロセスガス系内であれば改質部4と一酸化炭素低減部6との連通部以外でもよいが、燃料電池130の燃料極131及び/又は空気極132の電極材料の酸化による劣化を防止する観点から、燃料極131から離れた位置が好ましい。すなわち、外気a1を燃料極131から離れた箇所に導入することにより、燃料極131の電極材料の劣化を防ぎ、燃料極131と外部電気回路で接続された空気極132の電極材料の劣化も防ぐのが好ましい。具体的には、外気a1の導入箇所は、一酸化炭素低減部6または一酸化炭素低減部6より上流側が好ましく、一酸化炭素低減部6内の変成部7または変成部7より上流側がより好ましい。
圧力検出器31は、プロセスガス系内の圧力を検出可能なように外気導入流路18に設けられている。圧力検出器31と制御装置30との間には、圧力検出器31で検出した圧力を圧力信号i3として制御装置30に伝達する信号ケーブルが配線されている。圧力検出器31は圧力信号i3を信号ケーブルを介して制御装置30に送信するように構成されている。なお、圧力検出器31の設置位置は、プロセスガス系内の圧力を検出することができる原料燃料停止バルブの下流側または改質剤停止バルブの下流側であってアノードオフガス導出流路開閉バルブ29の上流側であればよく、外気導入流路18以外の一酸化炭素低減ガス導出流路等に設けてもよい。
温度測定器32は、熱電対、サーミスタ、赤外式温度計等を用い、典型的には選択酸化触媒充填層82(図2参照)の温度を検知するように取り付けられている。温度測定器32と制御装置30との間には、温度測定器32で検知した温度を温度信号i6として制御装置30に伝達する信号ケーブルが配線されている。温度測定器32は温度信号i6を信号ケーブルを介して制御装置30に送信するように構成されている。
電気ヒータ35は、例えば、抵抗率が大きく、融点が高く、酸化しにくい抵抗線に電流を通し、電気エネルギーを熱エネルギーに変えてその発熱を利用し、典型的には変成触媒充填層72、74(図2参照)を加熱するように取り付けられている。電気ヒータ35には、温度信号i6に基づいて制御装置30から送信される電気ヒータ通電信号i5を伝達する信号ケーブルが配線され、電気ヒータ35は、当該電気ヒータ通電信号i5を受信し、電気を入切するように構成されている。
燃料電池130は、水素に富む燃料ガスである一酸化炭素低減ガスgが導入される燃料極(アノード)131と酸化剤ガスtが導入される空気極(カソード)132と水素イオンが通過する電解質膜(不図示)とを備えている。燃料極131は、水素を電子と水素イオンに分解する燃料極触媒を有している。空気極132は、水素イオンと酸素と電子とを結合して水を生成する空気極触媒を有している。燃料極131と空気極132との間には、電子が通過し電流が流れる外部電気回路が設けられている。電解質膜は、燃料電池130が固体高分子型燃料電池の場合には固体高分子膜が用いられる。固体高分子膜は典型的には水素イオンが通過可能なイオン交換膜であるが、燃料極131の一酸化炭素低減ガスgの圧力よりも空気極132の酸化剤ガスtの圧力が高い場合は、空気極132の酸化剤ガスtが固体高分子膜を通過して燃料極131に達することがある。なお、固体高分子膜の機械的強度は、典型的には、約0.1MPaの差圧に耐え得る程度である。
アノードオフガス導出流路19は、燃料電池130の燃料極131に接続されている。アノードオフガス導出流路19は、燃料電池130の発電作用に消費されなかった水素を含むアノードオフガスpを燃焼部5を経てプロセスガス系外へ導出するように構成されている。また、アノードオフガス導出流路19は、アノードオフガスpの導出・閉止を切替え可能なアノードオフガス導出流路の閉止手段としての開閉バルブ29が設けられている。開閉バルブ29と制御装置30との間には信号ケーブルが配線されている。開閉バルブ29は、制御装置30からの指示信号i8を受信することにより、制御装置30からの命令に応じた開閉動作が可能なように構成されている。
制御装置30は、制御信号i1により原料燃料供給装置1の発停を行い、制御信号i2により改質剤供給装置2の発停を行うように構成されている。また、圧力信号i3に基づき外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ開閉信号i4を、温度信号i6に基づき電気ヒータ35に電気ヒータ通電信号i5を、原料燃料m及び改質剤sの導入停止の際にアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29にバルブ開閉信号i8をそれぞれ送信するように構成されている。さらに、制御信号i9により燃料電池発電システム100を構成する各部分の制御も行うように構成されている。なお、制御装置30はタイマー33を有しており、原料燃料m及び改質剤sの導入を停止した後の所定時間経過後に外気導入流路18の閉止バルブ28に開信号i4を送り、閉止バルブ28を開とするように構成されている。
図2は本発明の第1の実施の形態である燃料電池発電システム100を構成する燃料処理装置120の縦断面図であり、特に改質部4、燃焼部5、一酸化炭素低減部6の構成を示す部分縦断面図である。
改質部4は、略円筒形状に形成された改質部内側円筒体41と、改質部内側円筒体41の外側に間隔をあけて改質部内側円筒体41と同軸に配置された改質部外側円筒体42と、改質部内側円筒体41と改質部外側円筒体42とによって画成された改質触媒充填層43とを含んで構成されている。改質触媒充填層43は、当該画成された空間に、略円環体状に改質触媒が充填されている。改質触媒充填層43に充填される改質触媒は、改質反応を促進するものであれば何でもよく、例えば触媒の種類としてNi系改質触媒やRu系改質触媒などが用いられる。また、改質触媒の形状は、効率的に反応を行うために粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状とするとよい。
燃焼部5は、改質部内側円筒体41と同軸に配置され、供給される燃料を燃焼させるバーナー51と、バーナー51と同軸に配置された燃焼円筒体52と、燃焼円筒体52によって周壁が形成される燃焼室53と、燃焼円筒体52と改質部内側円筒体41とによって画成される燃焼ガス流路54とを含んで構成されている。
一酸化炭素低減部6は、上述したように変成部7と選択酸化部8とを含んで構成されている。本実施の形態では、変成部7は、略円柱状に形成された第1変成触媒充填層72を収容した第1変成部円筒体71と、第2変成触媒充填層74を収容した第2変成部円筒体73とを含んで構成されている。第1変成部円筒体71、第1変成触媒充填層72、第2変成部円筒体73及び第2変成触媒充填層74は、共に改質部内側円筒体41等と略同軸に配置されている。
また、一酸化炭素低減部6は、第1変成触媒充填層72が配置されている側、すなわち第1変成部円筒体上面75側で連結流通管16を介して改質部4に接続されている。第1変成部円筒体上面75と第1変成触媒充填層72の間隙には、ガス分散板202が配設されている。ガス分散板202は、連結流通管16から流れてくる改質ガスが均一に第1変成触媒充填層72に流れるように多孔板が用いられる。第2変成部円筒体73の第1変成部円筒体上面75と反対側の面には、第2変成部円筒体底面76が配設されている。
さらに、第2変成部円筒体73、第2変成触媒充填層74の円形部の半径は、第2変成部円筒体73の外周に沿って次に説明する選択酸化部8が配置されているため、第1変成部円筒体71、第1変成触媒充填層72に比べてやや短くなっている。
第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74にはそれぞれ第1変成触媒、第2変成触媒が充填されている。第1変成触媒充填層72に用いる第1変成触媒としては、例えばFe−Cr系の高温変成触媒やPt系の中高温変成触媒などがある。第2変成触媒充填層74に用いる第2変成触媒としては、例えばCu−Zn系低温変成触媒やPt系低温変成触媒などがあるが、燃料極131及び/又は空気極132(図1参照)保護の観点から、導入される外気a1中の酸素と反応して酸化銅が生成されるようにCu−Zn系低温変成触媒を用いるのが好ましい。第1変成触媒充填層72と第2変成触媒充填層74に用いられる触媒の形状としては、粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状などが挙げられる。
選択酸化部8は、第2変成部円筒体73の外周に沿って同軸円筒状に位置し、略円筒形状に形成された選択酸化部円筒体81と、選択酸化部円筒体81に収容され、略円環状に形成された選択酸化触媒充填層82とを含んで構成されている。選択酸化部円筒体81は、典型的には第1変成部円筒体71と連続的に形成されており、第1変成部円筒体上面75と反対側の面には、選択酸化部円筒体底面83が配設されている。選択酸化部円筒体底面83は、中央部から若干ずれた位置に、上述した一酸化炭素低減ガス導出流路17に通じる開口部を有している。また、選択酸化部円筒体81の選択酸化部円筒体底面83と対向する面は、円環状バッフル板203によって蓋をされたように構成されている。なお、選択酸化触媒充填層82は、典型的には選択酸化部円筒体81とさらに内側に形成される壁とによって画成され、本実施の形態では選択酸化部円筒体81と第2変成部円筒体73とによって画成されている。また、選択酸化触媒充填層82には選択酸化触媒が充填されており、選択酸化触媒充填層82に用いる選択酸化触媒としては、COに対する選択酸化性が高いものであれば何でもよく、例えばPt系選択酸化触媒、Ru系選択酸化触媒やPt−Ru系選択酸化触媒などがある。選択酸化触媒充填層82に用いられる触媒の形状として粒状、円柱状、ハニカム状やモノリス状などが挙げられる。なお、選択酸化触媒充填層82は、第2変成部円筒体73の外周以外に、第2変成触媒充填層74の下流側に直列的に形成してもよく、この場合、装置をより簡明な構成とすることができる。
第2変成部円筒体73の内側には、略円筒形状に形成され、第2変成部円筒体73と軸方向を同じくする内円筒体205が配設されている。内円筒体205は、軸方向と直交する方向では、選択酸化部円筒体底面83の一酸化炭素低減ガス導出流路17に通じる開口部とほぼ等しい位置に配設されている。内円筒体205は、第2変成触媒充填層74を貫通し、第2変成部円筒体73内の第2変成部円筒体底面76側と選択酸化部円筒体81内の円環状バッフル板203側とを、内円筒体205に対して直交するように形成された管路206を介して接続するように構成されている。内円筒体205、管路206によって形成された空間である変成ガス流路207は、第2変成触媒充填層74を通過した変成ガスを選択酸化触媒充填層82に導入する流路として機能する。
また、選択酸化部8は、選択酸化部円筒体81の内周面、第2変成部円筒体73の外周面、第2変成部円筒体底面76、選択酸化部円筒体底面83、並びに一酸化炭素低減ガス導出流路17の内周面によって形成される選択酸化ガス導出流路84を備えている。選択酸化ガス導出流路84は、選択酸化触媒充填層82を通過した選択酸化されたガスを一酸化炭素低減ガスとして一酸化炭素低減ガス導出流路17に導く構成となっている。一酸化炭素低減ガス導出流路17は、燃料電池130(図1参照)の燃料極131(図1参照)に接続され、選択酸化触媒充填層82を通過した一酸化炭素低減ガスを燃料ガスとして燃料極131(図1参照)に導入するように構成されている。
選択酸化用の空気を導入するための選択酸化用空気導入管208は、選択酸化部円筒体底面83に一酸化炭素低減ガス導出流路17と共に二重管状に設けられている。選択酸化用空気導入管208の端面であって第2変成部円筒体73の内側に位置する端面である導入口209は、内円筒体205の端面であって選択酸化部円筒体底面83側に位置する端面である開口部210の近傍に配置されている。導入口209は、好ましくは、開口部210の内側に若干挿入された態様で配置されているとよい。選択酸化用の空気の導入口209が、開口部210の近傍に設置されているので、変成部7にて変成された変成ガスと選択酸化用の空気とが適切に混合されて、選択酸化部8での選択酸化反応が効果的に進行する。このように第2変成触媒充填層74と選択酸化触媒充填層82を同心円状に構成すると、ガスの流れる量が多くなりがちな中心部に第2変成触媒充填層74が位置しているので、第2変成触媒充填層74の外周縁部に位置する選択酸化触媒充填層82に対して改質ガスが均一に流れ、選択酸化反応が均一に進行する。そこで、選択酸化触媒充填層82に充填される選択酸化触媒の量が最適化されると共に、温度分布も最適化される。
さらに、燃料処理装置120は、連結流通管16によって連結される改質部4と一酸化炭素低減部6を一体に収容する容器212とを備えている。容器212は、略円筒形状に形成され、底面には改質剤としての改質用水を燃料処理装置120内に導入するための第1改質用水注入口213と一酸化炭素低減ガス導出流路17とを接続するノズルが形成されている。容器212は、典型的には、略円筒状の改質部内側円筒体41、第1変成部円筒体71等に対して同軸に配設されている。容器212の外周及び改質部4、燃焼部5の上面には断熱層214が配設されており、断熱層214には、例えば真空断熱層が好適である。
改質部外側円筒体42の外周、第1変成部円筒体71の外周及び選択酸化部円筒体81の外周(上述したように第1変成部円筒体71と選択酸化部円筒体81とは連続、一体に形成されている)と、容器212の内周との間隙には、第1改質用水流路215が形成されている。第1改質用水注入口213には、改質剤導入流路12(図1参照)が接続されている。改質剤導入流路12は、流量調整弁216と第1改質用水注入口213を経由して、第1改質用水流路215に改質用水を供給する配管である。ドレン電磁弁217は、起動時に開放されて第1改質用水流路215を改質用水又は水蒸気が逆流することを可能とし、定常運転時には閉止されて、第1改質用水流路215に供給された改質用水が外部に洩れないようにする。
第1改質用水流路215の第1改質用水注入口213と反対側の端部には混合室218が形成されている。混合室218は、略円環状に形成され、略円筒状の改質部内側円筒体41、第1変成部円筒体71等に対して同軸に配設されている。さらに、混合室218は、第1改質用水流路215、第2改質用水流路219、改質原料流路220並びに改質部入口ガス流路221が連通しており、定常運転時には改質用水と改質原料が供給されて、改質用水と改質原料の混合されたガスを改質部4に送出するように構成されている。
第2改質用水流路219は、混合室218と連通されるように設けられているもので、例えば円環状をしている。第2改質用水流路219には、分散板222と注入口223が設けられ、第2改質用水注入流路224に設けられた流量調整弁225を介して改質用水が供給される。第2改質用水注入流路224は、典型的には、改質剤導入流路12(図1参照)と共通のものとするとよい。改質原料流路220は、混合室218に連通されるように設けられている円環状の流路であり、分散板226と注入口227が設けられる管路であり、注入口227には上述した原料燃料導入流路13(図1参照)が接続されている。
外気導入流路18は、第1改質用水流路215を貫通し、外気導入流路18の先端が改質ガス流路44内の改質触媒充填層43の下流側に位置するように取り付けられている。外気導入流路18は、燃料電池発電システム100(図1参照)の定常運転時には閉止バルブ28が閉となってプロセスガス系内に外気a1が導入されない。運転停止後に制御装置30から閉止バルブ28を開とする指示信号i4(図1参照)を受信すると閉止バルブ28が開となって、プロセスガス系内の圧力が外気の圧力より低い場合はプロセスガス系内に外気a1が導入されるように構成され、プロセスガス系内の圧力が外気の圧力より高い場合はプロセスガス系内のガスを排出することが可能なように構成されている。なお、外気導入流路18は、前述の選択酸化用空気導入管208と兼用にしてもよい。この場合、燃料電池発電システムの運転中には選択酸化用の空気が導入され、停止中にはプロセスガス系内の真空化防止用の外気a1が導入されることとなる。ただし、燃料極131及び/又は空気極132(図1参照)の電極材料が酸化され劣化することを防止する観点から、図2に示すように別途外気導入流路18を設けることが好ましい。
温度測定器32は、容器212の底面、第1改質用水流路215、選択酸化ガス導出流路84を順に貫通し、温度測定器32の先端が選択酸化触媒充填層82内に位置するように取り付けられている。温度測定器32は、選択酸化触媒充填層82の温度を測定し、上述のように温度信号i6を制御装置30に送信する。選択酸化部8は、一酸化炭素低減部6の中でも比較的低温側、典型的には、変成部7よりも相対的に低温側に配設されている。ここで、低温側とは、容器212内のバーナー51から離れた側で、容器212の外周部付近、外気に近い側のことをいう。すなわち、選択酸化部8は、変成部7と比較して容器212内のバーナー51から離れた位置で、容器212の外周部付近、外気に近い位置に配置される。つまり、温度測定器32は、一酸化炭素低減部6の中でも、比較的低温となりやすい選択酸化部8の選択酸化触媒充填層82の温度を検知するように取り付けられるのである。なお、温度測定器32は、変成触媒充填層72、74の温度を検知するように設置してもよいし、複数箇所に設けてもよい。
電気ヒータ35は、容器212の底面、第1改質用水流路215、選択酸化ガス導出流路84、第2変成触媒充填層74を順に貫通し、電気ヒータ35の先端が第1変成触媒充填層72内のガス分散板202付近に位置するように取り付けられている。さらに、電気ヒータ35は、略円柱状に形成されており、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74と同軸に配置されている。すなわち、電気ヒータ35は、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74の略重心付近を加熱するように構成される。ここで、略重心付近とは、第1変成触媒充填層72・第2変成触媒充填層74の任意の水平断面における重心及びその周辺をいう。したがって、本実施の形態では、電気ヒータ35は、略重心付近を連ねる略軸芯を加熱するように構成される。電気ヒータ35は、前述のように制御装置30から電気ヒータ通電信号i5を受信し、電気を入切するように構成されている。電気ヒータ35によって第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74の略軸芯が加熱されるように構成されていることで、燃料処理装置120の運転が停止され電気ヒータ35が通電される際に、熱が触媒等を伝わって一酸化炭素低減部6内を満遍なく温めることができ、温度分布が最適化される。なお、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74が略円筒形状ではなく、軸を有さない形状であったとしても、一酸化炭素低減部6内を満遍なく温めるように略重心付近を加熱するとよい。
上記のように構成された燃料処理装置120は以下のように運転され、生成された一酸化炭素低減ガスを燃料電池130に供給する。
図2を引き続き参照して、燃料処理装置120の定常運転時の状態を説明する。第1改質用水注入口213より注入される第1改質用水は、一酸化炭素低減部6の内部を流れるガスと対向流で第1改質用水流路215を流れる。第1改質用水流路215を流れる第1改質用水は、選択酸化部8、変成部7を冷却すると受けた熱によって蒸発し、熱交換部229にて改質部4を出た高温の改質ガスによって過熱され、混合室218に導かれる。燃料注入口227から注入される原料燃料は、灯油など液体燃料の場合には混合室218にて第1改質用水の過熱蒸気によって気化され、都市ガスなど気体燃料の場合には予熱される。
一方、第2改質用水注入口223より注入される第2改質用水は、第2改質用水流路219を流過しながら燃焼ガスによって加熱されて蒸発し、混合室218にて第2改質用水及び改質原料の混合ガスと合流し、改質部入口ガス流路221を経て改質触媒充填層43に導かれる。改質触媒充填層43において主に燃料の水蒸気改質反応が行なわれる。例えば改質原料がメタンの場合、次式による水蒸気改質反応が行なわれる。
CH4+H2O→CO+3H2 ・・・(1)
なお、改質触媒充填層43への改質反応熱の供給は、燃焼室53でのバーナー燃料の燃焼熱を熱源として、燃焼円筒体52からの熱輻射と、燃焼ガス流路54を流過する燃焼ガスからの熱伝達とによって行なわれる。
改質部4を出た改質ガスが熱交換部229にて減温された後、変成部7の第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74に導かれ、下式の変成反応が行なわれる。
CO+H2O→CO2+H2 ・・・(2)
この変成反応は発熱反応なので、反応温度を低くすれば、有利な点として変成後の改質ガスのCO濃度が低くなる点があり、不利な点として反応速度が遅くなる点がある。そこで、本実施形態では比較的反応温度の高い第1変成触媒充填層72と、反応温度の低い第2変成触媒充填層74とを設け、第1変成触媒充填層72にて反応速度を早くし、第2変成触媒充填層74にてガスのCO濃度を低くすることで、総合的な変成反応の効率を高めている。
第2変成触媒充填層74を出た変成ガスは、変成ガス流路207等を介して選択酸化触媒充填層82に導かれ、選択酸化用空気導入管208の導入口209から導入された選択酸化用の空気との間で下式のCO選択酸化反応が行なわれる。
CO+(1/2)O2→CO2 ・・・(3)
選択酸化用空気中の酸素は、反応式(3)により変成ガス中のCOを酸化して除去する他に、改質ガス中の水素をも酸化し消費するので、燃料処理装置の水素製造効率、すなわち熱効率を高くする上で酸素と水素との酸化反応を抑制することが重要である。
選択酸化触媒充填層82を通過した一酸化炭素低減ガスは、一酸化炭素低減ガス導出流路17を介してを燃料ガスとして燃料電池130(図1参照)の燃料極131(図1参照)に導入され、発電に用いられる。一般に、炭化水素の改質ガスを燃料とする燃料電池発電の場合、改質ガス中の水素の70〜80%が消費され、残りの水素がアノードオフガスp(図1参照)として排出される。本実施の形態では、燃料電池130のアノードオフガスpをバーナー燃料として用いることができる。なお、定常運転時は外気導入流路18の閉止バルブ28は閉となっており、アノードオフガス導出流路19の開閉バルブ29(図1参照)は開となっている。
次に、図3〜図11を参照して、燃料電池発電システム100の運転停止時における主要な機器の動作を説明する。なお、構成の符号に関しては適宜図1又は図2を参照するものとする。
図3は、本発明の第2の実施の形態である燃料電池発電システムの制御装置による外気導入流路の閉止バルブの開閉動作についてのフローチャートである。定常運転時の燃料電池発電システム100は、プロセスガス系内の圧力が大気圧P0を超える圧力Ppの状態で運転している。本明細書において「大気圧P0」とは、対象としている燃料電池発電システムを取り囲む外気の圧力をいうものとする。燃料電池発電システム100の運転を停止すると、原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2がそれぞれ制御装置30からの制御信号i1、i2を受けて改質部4への原料燃料m及び改質剤sの供給を停止する(S311)。原料燃料m及び改質剤sの供給の停止は、それぞれの装置に内蔵されているバルブまたはそれぞれの装置と改質部4とを連通する流路上に設けられたバルブの閉止を伴う。また、選択酸化用の空気の供給停止も実行される。アノードオフガス導出流路の開閉バルブ29は、制御装置30からの指示信号i8を受けて、閉となる(S312)。バルブ29の閉動作は、原料燃料m及び改質剤sの供給の停止と略同時に行なわれる。これらのバルブの閉動作により、プロセスガス系内は略密閉状態となる。「略密閉状態」とは、燃料電池130の燃料極131の圧力が空気極132の圧力よりも高い場合に電解質膜を通過してプロセスガス系内の気体が空気極に流れる場合があり、このような場合は完全な密閉状態とはいえないがこれも含む意味である。
略密閉状態となったプロセスガス系内は、燃料電池発電システムの運転停止からの時間経過に伴い、次第に温度が低下する。ここで、燃料処理装置120と燃料極131とが連通しておりプロセスガス系内の容積が燃料極131単独の場合の容積と比べて大きいので、燃料極131内の水蒸気が凝縮しても燃料極131の真空化が起きにくい(燃料電池発電システムの運転中は、典型的には、燃料極131は略水蒸気飽和の状態であるのに対し、燃料処理装置120は水蒸気不飽和の状態である。)。さらに温度が低下するとプロセスガス系内のガスが収縮し、プロセスガス系内の圧力Pxが低下する。プロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0より下がると外気がプロセスガス系内に入り込もうとする。このとき、プロセスガス系内では密閉性の劣る燃料電池の燃料極131から外気が入り込もうとするが、燃料極131及び/又は空気極132の電極材料の酸化による劣化防止の観点から、外気に燃料極131をさらすことを避ける必要がある。そこで、プロセスガス系内の燃料極131から離れた位置に設けられた外気導入流路18から積極的に外気a1を導入して、燃料極131が直接的に外気にさらされることを防止し、燃料電池の電極材料を酸化による劣化から保護している。すなわち、外気導入流路18は燃料極131から離れているので外気a1は燃料極131にほとんど到達しない。プロセスガス系内に外気a1を導入するタイミングは種種考えられるが、ここで説明する第2の実施の形態以外の他の実施の形態については後述する。
原料燃料m及び改質剤sの改質器4への導入が停止されると制御装置30からタイマー33へ制御信号i10が送信され、時間の計測が開始される。制御装置30はタイマー33からの制御信号i10を受信して、所定時間が経過したか否かを判定する(S333)。所定時間を経過していない場合は再び制御信号i10を受信して判定を繰り返し、所定時間が経過したと判定されたら次段に移行する。ここで所定時間とは、典型的には、運転している燃料電池発電システムを停止した後からプロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0より低い圧力になり燃料電池の燃料極131に外気が入りこもうとし始めるまでに要する時間である。この所定時間は、典型的には事前の試験運転によって把握される。なお、所定時間をプロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0より低くなる前の時間に設定してもよいが、その場合はプロセスガス系内に残留する一酸化炭素低減ガスが系外へ排出されることとなり、燃料ガスの損失になるので、プロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0よりも低くなってから閉止バルブ28が開となるように設定するのが好ましい。また、所定時間は、燃料電池発電システム100が設置される場所の使用状況に応じて任意に設定してもよい。
所定時間が経過すると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ開信号i4を送信し、閉止バルブ28は開となる(S334)。これにより、プロセスガス系内の真空が破壊されてプロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0と略同じになり、燃料極131から外気が入り込むことを防ぐことができ、燃料電池130が保護される。
図4は、本発明の第3の実施の形態である燃料電池発電システムの制御装置による外気導入流路の閉止バルブの開閉動作についてのフローチャートである。燃料電池発電システム100の運転が停止すると、第2の実施の形態(図3参照)における外気導入流路の閉止バルブの開閉動作についてのフローの前段部と同様に、原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2がそれぞれ制御装置30からの制御信号i1、i2を受けて改質部4への原料燃料m及び改質剤sの供給を停止し(S311)、これと略同時にアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29が制御装置30からの指示信号i8を受けて閉となり(S312)、プロセスガス系内が略密閉状態になる。
略密閉状態となったプロセスガス系内は、時間の経過により温度が下がることに伴い圧力が下がる。制御装置30は、圧力検出器31より送られてくる圧力信号i3から把握するプロセスガス系内の圧力Pxとあらかじめ設定される第1の所定の圧力P1とを比較し、プロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がっているか否かを判定する(S343)。第1の所定の圧力P1まで下がっていない場合は再び圧力信号i3を受信して判定を繰り返し、第1の所定の圧力P1まで下がったと判定されたら次段に移行する。ここで、第1の所定の圧力P1は、大気圧P0より低い圧力であって、比較的密閉度が低い燃料電池の燃料極131から外気が入り込み始める圧力よりも高い圧力であり、好ましくは大気圧P0より0kPa〜15kPa低い圧力、より好ましくは大気圧P0より0kPa〜5kPa低い圧力である。ただし、より確実に燃料極131からの外気の侵入を防ぐ観点から、第1の所定の圧力P1を大気圧P0よりも高い圧力に設定してもよいが、この場合はプロセスガス系内に残留する燃料ガスである一酸化炭素低減ガスを排出することとなり燃料ガスの損失になると共に、再度閉止バルブ28を閉めてプロセスガス系内が略密閉状態になったときにプロセスガス系内の真空化を早めてしまうことになるため、第1の所定の圧力P1は大気圧P0よりも低い圧力に設定するのが好ましい。
プロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ開信号i4を送信し、閉止バルブ28を開にする(S344)。閉止バルブ28が開くとプロセスガス系内に外気a1が導入され、プロセスガス系内の真空が破壊される。これにより比較的密閉度が低い燃料電池の燃料極131から外気が入り込むのを抑制し、電極材料の酸化による劣化を防ぐことができ、燃料電池130が保護される。
図5〜図7は、本発明の第4の実施の形態およびその変形例である燃料電池発電システムの制御装置による外気導入流路の閉止バルブの開閉動作についてのフローチャートである。燃料電池発電システム100の運転が停止すると、第2の実施の形態及び第3の実施の形態(図3、図4参照)におけるアノードオフガス導出流路の開閉バルブの開閉動作についてのフローの前段部と同様に、原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2がそれぞれ制御装置30からの制御信号i1、i2を受けて改質部4への原料燃料m及び改質剤sの供給を停止し(S311)、これと略同時にアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29が制御装置30からの指示信号i8を受けて閉となり(S312)、プロセスガス系内が略密閉状態になる。
略密閉状態となったプロセスガス系内は、時間の経過により温度が下がることに伴い圧力が下がる。制御装置30は、図5に示す本発明の第4の実施の形態の場合は、第2の実施の形態におけるステップS333と同様の原料燃料m及び改質剤sの改質器4への導入が停止されてから所定時間が経過したか否かの判定(S353A)をし、所定時間が経過していなければ判定を繰り返し、所定時間が経過していれば次段に移行する。また、図6に示す本発明の第4の実施の形態の変形例の場合は、第3の実施の形態におけるステップS343と同様のプロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がっているか否かの判定(S353B)をし、プロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がっていなければ判定を繰り返し、下がっていれば次段に移行する。また、図7に示す本発明の第4の実施の形態の別の変形例の場合は、ある一定時間経過後にプロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がっているか否かの判定(S353B)をし、プロセスガス系内の圧力Pxが第1の所定の圧力P1まで下がっていなければ判定を繰り返し、下がっていれば次段に移行する。
次段に移行すると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ開信号i4を送信し、閉止バルブ28を開にする(S354)。
引き続きプロセスガス系内の圧力Pxは圧力検出器31により検出され、圧力信号i3として制御装置30に送信される。制御装置30は、圧力検出器31より送られてくる圧力信号i3から把握するプロセスガス系内の圧力Pxとあらかじめ設定される第2の所定の圧力P2とを比較し、プロセスガス系内の圧力Pxが第2の所定の圧力P2に達しているか否かを判定する(S355)。第2の所定の圧力P2に達していない場合は再び圧力信号i3を受信して判定を繰り返し、第2の所定の圧力P2に達したと判定されたら次段に移行する。ここで、第2の所定の圧力P2は、第1の所定の圧力P1よりも高い圧力であり、好ましくは第1の所定の圧力P1より1kPa〜9kPa高い圧力の大気圧P0以下の範囲にある圧力である。ただし、閉止バルブ28の開閉動作の回数を低減するという観点からは第1の所定の圧力P1との差圧は大きいことが望ましい。プロセスガス系内への外気a1の導入を抑制するという観点からは第1の所定の圧力P1との差圧は小さいことが望ましい。
プロセスガス系内の圧力Pxが第2の所定の圧力P2に達すると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ閉信号i4を送信し、閉止バルブ28は再び閉の状態に戻る(S356)。これにより、プロセスガス系内が再び略密閉状態に保たれる。閉止バルブ28が第1の所定の圧力との比較に基いて開閉される図6または図7に示す場合の第4の実施の形態の変形例においては、以下、プロセスガス系内の圧力Pxが下降した場合は、S353BからS356までが繰り返し実行される。
図8は、本発明の第5の実施の形態である燃料電池発電システムの制御装置によるアノードオフガス導出流路の開閉バルブの開閉動作についてのフローチャートである。燃料電池発電システム100の運転が停止すると、第2〜第4の実施の形態(図3〜図7参照)におけるアノードオフガス導出流路の開閉バルブの開閉動作についてのフローの前段部と同様に、原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2がそれぞれ制御装置30からの制御信号i1、i2を受けて改質部4への原料燃料m及び改質剤sの供給を停止し(S311)、これと略同時にアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29が制御装置30からの指示信号i8を受けて閉となり(S312)、プロセスガス系内が略密閉状態になる。
略密閉状態となったプロセスガス系内は、バーナー51の燃焼の残熱により温度が上昇することに伴い圧力が上昇する。制御装置30は、圧力検出器31より送られてくる圧力信号i3から把握するプロセスガス系内の圧力Pxとあらかじめ設定される第3の所定の圧力P3とを比較し、プロセスガス系内の圧力Pxが第3の所定の圧力P3に達しているか否かを判定する(S363)。第3の所定の圧力P3に達していない場合は再び圧力信号i3を受信して判定を繰り返し、第3の所定の圧力P3に達したと判定されたら次段に移行する。ここで、第3の所定の圧力P3は、プロセスガス系内に含まれる燃料極131と空気極132との差圧により電解質膜が破損するに至る圧力よりも低い圧力であり、好ましくは大気圧P0より10kPa〜50kPa高い圧力、より好ましくは大気圧P0より20kPa〜40kPa高い圧力である。ただし、プロセスガス系内に残留する燃料ガスである一酸化炭素低減ガスを極力排出しないという観点から、燃料電池を保護できる範囲で可能な限り高い圧力とするのが好ましい。すなわち、第3の所定の圧力P3は、一酸化炭素低減ガスを排出しないという観点から大気圧P0より10kPa以上高い圧力、より好ましくは20kPa以上高い圧力とする。ただし、燃料電池保護の観点から大気圧P0との差は50kPaを上限とし、さらに好ましくは40kPaを上限とする。
プロセスガス系内の圧力Pxが第3の所定の圧力P3に達すると、制御装置30はアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29にバルブ開信号i8を送信し、開閉バルブ29を開にする(S364)。開閉バルブ29が開くとプロセスガス系内のガスが排出され、プロセスガス系内の圧力が下がる。これにより電解質膜間の差圧上昇を防ぐことができ、燃料電池130が保護される。このとき、プロセスガス系内の急激な圧力低下を防ぐ観点から、開閉バルブ29の開度は小さいことが望ましい。
引き続きプロセスガス系内の圧力は圧力検出器31により検出され、圧力信号i3として制御装置30に送信される。制御装置30は、圧力検出器31より送られてくる圧力信号i3から把握するプロセスガス系内の圧力Pxとあらかじめ設定される第4の所定の圧力P4とを比較し、プロセスガス系内の圧力Pxが第4の所定の圧力P4まで下がっているか否かを判定する(S365)。第4の所定の圧力P4まで下がっていない場合は再び圧力信号i3を受信して判定を繰り返し、第4の所定の圧力P4まで下がったと判定されたら次段に移行する。ここで、第4の所定の圧力P4は、第3の所定の圧力P3よりも低い圧力であり、好ましくは第3の所定の圧力P3より2kPa〜10kPa低い圧力である。ただし、プロセスガス系内に残留する燃料ガスである一酸化炭素低減ガスを極力排出せず、またプロセスガス系内の温度低下による真空化を遅らせるという観点から、第3の所定の圧力P3との差圧は小さいことが望ましい。開閉バルブ29の開閉動作の回数を低減するという観点からは第3の所定の圧力P3との差圧は大きいことが望ましい。
プロセスガス系内の圧力Pxが第4の所定の圧力P4に達すると、制御装置30はアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29にバルブ閉信号i8を送信し、開閉バルブ29は再び閉の状態に戻る(S366)。これにより、プロセスガス系内が再び略密閉状態に保たれる。以下、プロセスガス系内の圧力Pxが上昇した場合は、S363からS366までが繰り返し実行される。
なお、S364・S366においては、アノードオフガス導出流路の開閉バルブ29に代えて外気導入流路の閉止バルブ28を開閉することも可能である。この場合は、プロセスガス系内の圧力Pxが第3の所定の圧力P3に達すると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ開信号i8を送信して閉止バルブ28を開にし(S364)、プロセスガス系内の圧力Pxが第4の所定の圧力P4に達すると、制御装置30は外気導入流路の閉止バルブ28にバルブ閉信号i8を送信して閉止バルブ28を閉にする(S366)。
図9は、本発明に係る燃料電池発電システムの停止時におけるプロセスガス系内の圧力の経時変化の一例を示すグラフである。本図では、縦軸をプロセスガス系内の圧力、横軸を経過時間としている。原料燃料m、改質剤sの供給停止及びアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29の閉止(S311、S312)がなされると、定常運転時の圧力Ppにあったプロセスガス系内の圧力Pxは、バーナー等の残熱により温度が上昇することに伴い、上昇していく。プロセスガス系内の圧力Pxが第3の所定の圧力P3まで上昇するとアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29は、第4の所定の圧力P4に降下するまで開き続ける(S364)。開いた開閉バルブ29は、プロセスガス系内の圧力Pxが第4の所定の圧力P4まで下がると閉となる(S366)。プロセスガス系内の圧力Pxが第3の所定の圧力P3に達しなければバルブ29が開くことはない。
時間の経過と共にプロセスガス系内のガスは冷えるようになり、これに伴いプロセスガス系内の圧力Pxは下降していく。プロセスガス系内の圧力Pxが大気圧P0より低い第1の所定の圧力P1まで下降すると外気導入流路の閉止バルブ28が開となり(S344、S354)、プロセスガス系内に外気a1が導入され、真空度が低減される。プロセスガス系内の圧力Pxが第2の所定の圧力P2まで上昇すると閉止バルブ28が閉となり(S356)、再びプロセスガス系内が略密閉状態に保たれる。閉止バルブ28の開閉は、燃料電池発電システム100が再起動されるまで繰り返される。燃料電池発電システム100が再起動されるとプロセスガス系内の圧力Pxは上昇し、定常運転時の圧力Ppで運転が継続される。
プロセスガス系内に導入された外気a1は、外気導入流路18が改質部4またはその近傍に設けられている場合、改質触媒の作用により改質ガス中の水素との間で下式の反応が行なわれる。
O2+2H2→2H2O ・・・(4)
外気中の酸素は、反応式(4)により改質ガス中の水素と反応して水蒸気が生成される。
さらに一酸化炭素低減部6に銅を含有する触媒(例えばCu−Zn系変成触媒)を充填した場合は、プロセスガス系内の燃料処理装置120に導入された外気a1は、一酸化炭素低減部6に設けられた銅を含有する一酸化炭素低減触媒との間で下式の酸化反応が行なわれる。
O2+2Cu→2CuO ・・・(5)
外気中の酸素は、反応式(5)により一酸化炭素低減触媒の銅と反応して酸化銅が生成される。この反応により酸素が消費された外気a1の残りの成分は主に窒素となる。そして、プロセスガス系内は窒素ガスを封入したような状態となる。その結果、燃料電池発電システムの停止中にプロセスガス系内に外気a1を導入しても、燃料処理装置120内の触媒が空気中の酸素によって酸化され徐々に劣化するという不都合を防ぐことができる。さらに導入した外気a1中の酸素が燃料電池の燃料極131に到達することを防ぐこともできる。
なお、プロセスガス系内に導入する外気a1を抑制すれば、反応式(5)によって酸化される銅は触媒全体のごく一部に過ぎないため、触媒性能に与える影響を少なくすることができる。また、反応式(5)によって生成された酸化銅は、燃料電池システムの次の運転時に改質ガス中の水素との間で下式の還元反応が行なわれる。
CuO+H2→Cu+H2O ・・・(6)
反応式(6)によって酸化銅は再び金属の銅に還元され、次の燃料電池システムの運転停止後の外気a1の導入に備えることができる。
図10は、本発明の第6の実施の形態である燃料電池発電システムの制御装置による電気ヒータの入切動作についてのフローチャートである。燃料電池発電システム100の運転が停止すると、第2〜第5の実施の形態(図3〜図8参照)におけるアノードオフガス導出流路の開閉バルブの開閉動作についてのフローの前段部と同様に、原料燃料供給装置1及び改質剤供給装置2がそれぞれ制御装置30からの制御信号i1、i2を受けて改質部4への原料燃料m及び改質剤sの供給を停止し(S311)、これと略同時にアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29が制御装置30からの指示信号i8を受けて閉となり(S312)、プロセスガス系内が略密閉状態になる。燃料処理装置120の内部には、外部に導出されなかった水素リッチなガスが閉じ込められ、これにより燃料処理装置120の内部が非酸化性あるいは還元性雰囲気に維持される。その結果、改質触媒、変成触媒、選択酸化触媒の劣化を防ぎ、また、運転中酸化した各触媒が、燃料処理装置120内部に残留する水素リッチな改質ガスによって還元され、効率的に触媒活性を回復することができる。
次に、制御装置30は、温度測定器32から送信される温度信号i6を受信して、選択酸化触媒充填層82の温度が第1の温度としての電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したか否かを判定する(S383)。電気ヒータ通電開始温度T1まで低下していなければ、再び温度信号i6を受信して判定を繰り返し、電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したと判定されたら次段に移行する。ここで、電気ヒータ通電開始温度T1は、燃料処理装置120内部に残留するガスが、冷却されその水蒸気分圧が飽和水蒸気圧になる温度すなわち該ガスの露点温度よりもやや高い温度であり、これ以下の温度以下になると、水蒸気が凝縮し水滴(結露)ができる。電気ヒータ通電開始温度T1は、好ましくは70℃から180℃、さらに好ましくは90℃から120℃、最も好ましくは約90℃程度である。
制御装置30は、選択酸化触媒充填層82の温度が電気ヒータ通電開始温度T1まで低下したと判定すると、通電を開始する旨の電気ヒータ通電信号i5を電気ヒータ35に送信し、電気ヒータ35が入状態となるよう通電を開始する(S384)。電気ヒータ35は、第1変成触媒充填層72、第2変成触媒充填層74を中心として、熱が触媒等を伝熱して一酸化炭素低減部6内を満遍なく加熱し、燃料処理装置120内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持する。これにより燃料処理装置120内に残留する水蒸気が結露することを防止することができ、例えば、停止時に液体の水分が触媒の内部又は表面凹凸部に含浸され、燃料処理装置120の再起動時の温度上昇による前記水分の蒸発膨張により触媒を崩壊し、触媒が粉化することがなくなる。
次に、制御装置30は、再び温度測定器32から送信される温度信号i6を受信して、選択酸化触媒充填層82の温度が第2の温度としての電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したか否かを判定する(S385)。電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇していなければ、再び温度信号i6を受信して判定を繰り返し、電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したと判定されたら次段に移行する。ここで、電気ヒータ通電停止温度T2は、電気ヒータ通電開始温度T1よりも高い温度であり、電気ヒータ35の性能等を考慮して、適度に電気ヒータの入切が行なわれる程度に設定すればよい。電気ヒータ通電開始温度T1よりも、好ましくは10℃から50℃、さらに好ましくは20℃から40℃、最も好ましくは約30℃程度高い温度である。
制御装置30は、選択酸化触媒充填層82の温度が電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇したと判定すると、通電を停止する旨の電気ヒータ通電信号i5を電気ヒータ35に送信し、電気ヒータ35が切状態となるよう通電を停止する(S386)。その後再びS383に戻り、以降燃料電池発電システム100が再起動されるまでS383からS386までを繰り返し実行する。これにより、燃料処理装置120内の温度を水蒸気の露点温度以上に維持しつつも、余計な電力を消費することがなく、燃料処理装置120内を過度に加熱してしまうこともなく、経済的にも効果的である。
図11は、本発明に係る燃料電池発電システムの制御装置による電気ヒータの入切動作における選択酸化触媒充填層82の温度の経時変化の一例を示すグラフである。図11では、縦軸を選択酸化触媒充填層82の温度、横軸を経過時間としている。原料燃料m、改質剤sの供給停止及びアノードオフガス導出流路の開閉バルブ29の閉止(S311、S312)がなされると、定常運転時の温度T5にあった選択酸化触媒充填層82の温度は徐々に下降していく。電気ヒータ通電開始温度T1まで低下すると、電気ヒータ35への通電を開始し、一酸化炭素低減部6が加熱され、温度が上向きに転じる(S383、S384)。電気ヒータ通電停止温度T2まで上昇すると、電気ヒータ35への通電を停止し、選択酸化触媒充填層82の温度は、再び下向きに転じる(S385、S386)。電気ヒータ35の入切は、燃料電池発電システム100が再起動されるまで繰り返される。図11中では、グラフが波線状を示している部分がこれに該当し、谷状部が電気ヒータ35の通電開始、山状部が停止を示している。なお、図中、T3は停止時の燃料処理装置120内部ガスの露点温度、T4は停止時の環境温度を示しており、電気ヒータ通電開始温度T1は、停止時の燃料処理装置120内部ガスの露点温度T3よりも若干高い温度となっている。
以上で説明した本発明に係る燃料電池発電システム100によれば、パージをする必要がないため、パージガスの管理や補充をする煩わしさがなく、装置も小型化することができるので、いわゆる分散発電設備として広くオフィスビル、店舗や家庭に分散設置する場合にも適しており、また、設置作業も容易に行うことができる。