JP2005281680A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
空孔率が高く、可塑剤吸収性に優れ、フィッシュアイが非常に少なく、嵩比重の高い塩化ビニル系重合体を高生産性で製造する方法を提供する。
【解決手段】
塩化ビニルまたはそれを含む単量体混合物を水性懸濁重合させる際に、分散安定剤として、(A)メトキシ置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ケン化度75〜85モル%、平均重合度1000〜3000の部分ケン化ポリビニルアルコール、および(C)ケン化度20〜57モル%、平均重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアルコールを使用する。懸濁重合を、特定比率の(A)、(B)および(C)の存在下で開始し、重合転化率15〜50%において重合反応系に更に前記(C)を添加する。
【選択図】 なし
Description
一般的に、可塑剤吸収性を向上させると、それに伴って嵩比重が低下する傾向がみられる。しかし、嵩比重が顕著に低下してしまうことは好ましくない。
即ち、本発明は、
塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合性単量体との単量体混合物を、分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合させることを含む塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
前記分散安定剤が、(A)メトキシ基置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ケン化度75〜85モル%、平均重合度1000〜3000の部分ケン化ポリビニルアルコール、および(C)ケン化度20〜57モル%、平均重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアルコールを含み、
前記の懸濁重合を、(A)、(B)および(C)の存在下で開始し、このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
(A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
で規定される条件を満たすこと、および
重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に、更に前記(C)を添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法を提供するものである。
[分散剤安定剤]
本発明の方法では、上述のとおり、上記(A)、(B)および(C)を必須成分とする分散安定剤を使用する。
<(A)成分>
(A)成分は、メトキシ基置換度26〜30質量%、好ましくは27〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、好ましくは4〜12質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・s、好ましくは13〜1800mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
(B)成分は、ケン化度75〜85モル%、好ましくは77〜82%、平均重合度1000〜3000、好ましくは1200〜2500の部分ケン化ポリビニルアルコールである。
(C)成分は、ケン化度20〜57モル%、好ましくは30〜57%、平均重合度150〜600、好ましくは150〜400の部分ケン化ポリビニルアルコールである。
本発明の方法では、懸濁重合を、上記(A)、(B)および(C)の存在下で開始する。
このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
(A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
で規定される条件を満たすことが必須の要件である。
[重合反応系への(C)成分の添加]
本発明の方法では、重合反応が開始された後、重合添加率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に上記(C)成分の部分ケン化ポリビニルアルコールを添加することが必須の要件である。特に、重合添加率が25〜50%の範囲内にある間に、(C)成分を添加することが好ましい。
本発明における重合転化率は、5L重合器での重合を行い、重合時間と重合転化率の関係を求めた結果を基準にして算出した。
この重合時間と重合転化率の関係は、所要の重合開始剤の種類および添加量、並びに重合温度ごとに作成した。なお、重合時間と重合転化率との関係は使用する分散剤にはほとんど依存しないので、上記の重合では一般的な組成の分散剤を使用した。
本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、前述のように特定の分散安定剤を使用し、その割合・添加段階を限定すること以外は、通常行われている塩化ビニル系重合体の製造方法と同様の条件で行うことができる。
本発明で用いられる単量体原料は、塩化ビニルまたは塩化ビニルを主成分とする単量体混合物である。塩化ビニルを主成分とする単量体混合物は、少なくとも50質量%以上の塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能な他の単量体とからなる混合物である。前記共重合可能な他の単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル、またはメタクリル酸エステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;無水マレイン酸;アクリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明方法で使用される重合開始剤も特に限定されず、従来の塩化ビニル系重合体の製造に用いられているものでよい。例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート等のパーオキシエステル化合物;ジイソブチリルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、2,4,4-トリメチルペンチル-2-パーオキシフェノキシアセテート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化物;アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。その使用量は、仕込み単量体100質量部に対し、通常、0.01〜1質量部の範囲である。
本発明に用いられる酸化防止剤は特に制限はなく、塩化ビニル系重合体の製造において一般に用いられるものでよい。例えば、2,2-ジ(4'-ヒドロキシフェニル)プロパン、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルヒドロキシアニソール、n-オクタデシル・3-(4-ヒドロキシ3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、4.4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2'-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール・ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-t-ブチル-4-sec-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、t-ブチルカテコール、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸等のフェノール化合物;セミカルバジド、1-アセチルセミカルバジド、1-クロルアセチルセミカルバジド、1-ジクロルアセチルセミカルバジド、1-ベンゾイルセミカルバジド、セミカルバゾン等のセミカルバジド誘導体;カルボヒドラジド、チオセミカルバジド、チオセミカルバゾン等のチオカルバジドの誘導体;フェニルナフチルアミン、N,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ビス(ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のアミン化合物;ニトロアニソール、N-ニトロソジフェニルアミン、ニトロアニリン、N-ニトロソフェニルヒドロキシリルアミンアルミニウム塩等のニトロまたはニトロソ化合物;トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4'-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、ジオクタデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト等のリン化合物;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ドデシルメルカプタン、1,3-ジフェニル-2-チオ尿素等の硫黄化合物等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの酸化防止剤は、仕込み単量体100質量部に対し、0.0001〜0.1質量部を使用すると好適である。
重合における他の条件、例えば、重合器への水性媒体、塩化ビニルまたは塩化ビニルを含む単量体混合物、分散助剤、重合開始剤等の仕込み方法、仕込み割合、あるいは重合温度なども従来と同様でよい。また、必要に応じて塩化ビニル系重合体の製造に一般的に使用されている重合度調整剤、連鎖移動剤、耐電防止剤などを適宜使用することもできる。
[実施例1]
内容量2m3のステンレス製重合器に脱イオン水 980kg、(A)メトキシ基置換度28.5質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度8.9質量%、そして2質量%水溶液の20℃における粘度が49mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース 166.4g、(B)ケン化度80.5モル%、平均重合度2500の部分ケン化ポリビニルアルコール 41.6g、および(C-1)ケン化度48モル%、重合度230の部分ケン化ポリビニルアルコール 162.5gを仕込んだ。重合器内を内圧が絶対圧8kPa.absとなるまで脱気した後、塩化ビニル単量体 650kgを仕込んだ。撹拌しながら、重合開始剤としてt-ブチルパーオキシネオデカノエート 780gを仕込み、同時にジャケットに温水を通して昇温を開始し、重合器内が51.0℃に達した段階で、その温度を保ち重合を続けた。
<嵩比重>
JIS K6720-2に準拠して測定した。
JIS Z8801規定の試験用ふるいのうち、呼び寸法が300μm、250μm、180μm、150μm、106μmおよび75μmのふるいをロータップ型ふるい分け装置に取り付け、最上段に試料重合体 100gを静かに入れて、10分間しんとう後、各ふるい上に残った試料の質量を測定し、下記に示す総質量(100g)に対する百分率(A〜F)を求めた。求めた各ふるいの篩上率および篩下率を下記式に代入して平均粒径を求めた。
B:呼び寸法180μmのふるいでの篩上率(%)
C:呼び寸法150μmのふるいでの篩上率(%)
D:呼び寸法106μmのふるいでの篩上率(%)
E:呼び寸法75μmのふるいでの篩上率(%)
F:呼び寸法75μmのふるいでの篩下率(%)
平均粒径(μm)={(A×300)+(B×215)+(C×165)+(D×128)+(E×90)+(F×60)}×1/100
内径25mm、深さ85mmのアルミニウム合金製容器の底にグラスファイバーを詰め、試料重合体 10gを採取して投入する。これにジオクチルフタレート(DOP)15mLを加え、30分放置してDOPを重合体に充分浸透させる。しかるのちに、1500Gの加速度で過剰のDOPを遠心分離して除去する。重合体に吸収されたDOPの量を、未吸収の重合体に対する質量%として算出して求めた。
試料重合体 400gを、ジャケット温度を80℃に調節した撹拌機付きのブラベンダープラストグラフに投入して、4分間撹拌し、重合体温度を80℃とした後、DOP200gを添加し、前記添加時点からドライアップする(回転トルクが下降する)までの時間を測定した。
試料重合体 100質量部、三塩基性硫酸鉛1質量部、ステアリン酸鉛 1.5質量部、二酸化チタン 0.2質量部、カーボンブラック 0.1質量部およびDOP 50質量部を混合したコンパウンド 25gを145℃のロールで5分間混練して0.2mm厚のシートとして分取し、このシート100cm2中の透明粒子の個数を測定した。
実施例1に記載の(C-2)成分を、重合転化率が20%となった時点で添加することに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1に記載の(C-2)成分の量 195gを 325gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1に記載の(A)成分の量 166.4gを 41.6gに、(B)成分の量 41.6gを 166.4gに、および(C-2)成分の量 195gを 325gに、それぞれ変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1に記載の(C-1)成分の量 162.5gを 357.5gに変更したこと、および(C-2)成分を添加しなかったこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得た。得られた重合体は、ブロック状の塊および粒径1〜2mmの粗大粒子を多く含む、いわゆる粗粒化の状態であった。
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得た。結果を表1に示す。
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと、および(C-2)成分の量 195gを 357.5gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1に記載の(C-1)成分を使用しなかったこと、および(C-2)成分の量 195gを 520gに変更したこと以外は、実施例1と同じにして塩化ビニル重合体を得て、実施例1と同じに測定を行った。結果を表1に示す。
Claims (3)
- 塩化ビニルまたは塩化ビニルと共重合性単量体との単量体混合物を、分散安定剤の存在下に水性媒体中で懸濁重合させることを含む塩化ビニル系重合体の製造方法であって、
前記分散安定剤が、(A)メトキシ基置換度26〜30質量%、ヒドロキシプロポキシ基置換度4〜15質量%、かつ、その2質量%水溶液の20℃における粘度が5〜4000mPa・sのヒドロキシプロピルメチルセルロース、(B)ケン化度75〜85モル%、平均重合度1000〜3000の部分ケン化ポリビニルアルコール、および(C)ケン化度20〜57モル%、平均重合度150〜600の部分ケン化ポリビニルアルコールを含み、
前記の懸濁重合を、(A)、(B)および(C)の存在下で開始し、このとき(A)、(B)および(C)の量が下記式(1)および式(2):
(A)の質量/(B)の質量 =2以上 (1)
0.2≦ (C)の質量/{(A)の質量+(B)の質量} ≦1 (2)
で規定される条件を満たすこと、および
重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に、重合反応系に、更に前記(C)を添加することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 前記の仕込んだ塩化ビニルまたは単量体混合物100質量部に対し、前記重合を開始するときの(C)の量が0.01〜0.05質量部であり、かつ、前記重合転化率が15〜50%の範囲内にある間に添加する(C)の量が0.01〜0.07質量部である請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
- 仕込んだ塩化ビニルまたは単量体混合物100質量部に対し、重合開始時に、(A)の量が0.02〜0.2質量部であり、(B)の量が0.001〜0.1質量部であることを特徴とするクレーム1または2に記載の方法。
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