JP2005278465A - 環状一本鎖dnaの製造方法、および環状一本鎖dnaの製造に使用するポリヌクレオチド配列の決定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 直鎖状ssDNAの両端を優れた効率でライゲーションする、環状ssDNAの製造方法を提供する。
【解決手段】 直鎖状ss DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')およびポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')の少なくとも一方を変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合により環化するライゲーション効率と、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、前記検量線から所望のライゲーション効率を有する-ΔΔG°25'を設定し、これを満たすポリヌクレオチドを設計する。そして、直鎖状ss DNAの両端にわたってポリヌクレオチドを結合させ、直鎖状ssDNAの両端を結合することによって環状化ssDNAを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】 直鎖状ss DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')およびポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')の少なくとも一方を変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合により環化するライゲーション効率と、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、前記検量線から所望のライゲーション効率を有する-ΔΔG°25'を設定し、これを満たすポリヌクレオチドを設計する。そして、直鎖状ss DNAの両端にわたってポリヌクレオチドを結合させ、直鎖状ssDNAの両端を結合することによって環状化ssDNAを製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、環状一本鎖DNAの製造方法、および環状一本鎖DNAの製造に使用するポリヌクレオチド配列の決定方法に関する。
遺伝子工学の進歩により、目的タンパク質を大量に合成する方法として、形質転換体を用いた方法が一般的になっていたが、近年、試験管内でタンパク質を合成する、いわゆる無細胞タンパク質合成系(生体外タンパク質合成系とも呼ばれる)が新たに実用化されるに至っている(特許文献1参照)。この方法は、目的タンパク質をコードする鋳型DNA、RNAポリメラーゼ、ATP(アデノシン3リン酸)等を加えて、生体のタンパク質合成系つまりセントラルドグマを試験管内で再現しようとするものであり、簡便であり、生細胞では生産できないタンパク質を合成できる等の利点がある。
このような無細胞タンパク質合成系では、生細胞を用いたタンパク質合成に比べてタンパク質の合成収率が低いため、一般に、mRNAからタンパク質合成を行う翻訳工程を効率良く行うための改良がなされている。しかしながら、近年においては、全く別の観点、すなわち、前記翻訳工程ではなく、DNAからmRNAの転写工程に着目し、mRNAの転写効率を向上させることによってRNAの発現量を増加させ、これによりタンパク質の発現量を増加させる方法が、本発明者らによって新たに開示されている(特開2003-325174号公報)。
この新たな方法は、目的タンパク質のコード配列と相補的配列である一本鎖DNA(ssDNA)を環状化した環状ssDNAを用いて、RNAポリメラーゼにより、1つのmRNAに前記ssDNAの相補的配列を複数転写させる方法である。つまり、通常のプラスミド等の転写によって得られるmRNAは、鋳型DNAを一回転写すると一旦転写が終了するため、得られる複数のRNAは、それぞれ、DNAに対する相補的配列を1つだけ有するものとなる。しかし、これに対して、前述のmRNAは、図10に示すように、例えば、環状ssDNAを鋳型(同図において(−)鎖)として、転写が連続して行われて合成されるため、前記DNAに対する相補的配列(+)を複数有するmRNA(同図においてポリ(+)鎖)となる。そして、このようにmRNAが前記DNAに対する相補的配列を複数有するため、これに起因して、必然的にタンパク質の合成量も増加するのである。したがって、このようなmRNAを無細胞タンパク質合成系に用いれば、短時間でタンパク質合成の効率を向上することが可能になる。さらに、前述のような翻訳工程の効率向上に着目した従来の方法と組み合わせることによって、より一層タンパク質合成効率の向上を図る事も可能となる。なお、前述の図10に示すように、DNAの相補的配列が連続したRNAを転写する方法を、ローリング・シンクロナイゼーション法という。
前記記環状化ssDNAの製造方法の一例を図11に基づいて説明する。同図(a)に示すように、直鎖状ssDNAを、その両端の塩基配列に相補的な配列を併せ持つadapter DNAの存在下で反応させる。なお、このadapter DNAとは、前記直鎖状ssDNAの連結領域、すなわち、直鎖状ssDNAの3’末端領域と5’末端領域とにわたって、二重鎖を形成できる相補的な配列を有するDNAをいう。すると、同図(b)に示すように、前記直鎖状ssDNAの両端と前記adapter DNAとが塩基対を形成し、この塩基対によって直鎖状ssDNAの環状化状態が保持される。つまり、前記adapter DNAが、直鎖状ssDNAの環状化のアダプターとしての役割を果たす。そして、同図(c)に示すように、前記adapter DNAによって環状化が保持された状態で、DNAリガーゼにより前記直鎖状ssDNAの両末端がライゲーションされる。このようにしてssDNAが環状化されるのである。なお、環状化ssDNAは、部分的に二本鎖構造(塩基対構造)となるが、例えば、変性アクリルアミドゲル電気泳動等に供することによって、前記adapter DNA が除去された環状化ssDNAを得ることができる。
マディン,ケー、サワサキ,ティー、オガサワラ,ティー、エンドー,ワイ Proc Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、2000年、97号、第559頁〜第564頁(Endo, Y. Proc Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2000, 97, 559-564.)
特開2003-325174号公報
しかしながら、合成目的のタンパク質は、その種類によってコードする塩基の数や塩基配列が異なっているため、例えば、adapter DNAを一定の長さに設定する等、同様の条件で環状化処理を行っても、その環状化効率が一律になるとは限らない。
そこで、本発明の目的は、直鎖状一本鎖DNAを効率良く簡便に環化させる、環状一本鎖DNAの製造方法、ならびに、それに用いるポリヌクレオチドの配列決定方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明は、環状ssDNAを製造する方法であって、
直鎖状ssDNAと、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチド(以下、「アダプター(adapter)」とも言う)とを準備する工程、一つの直鎖状ssDNAに対して一つのポリヌクレオチドを結合させ、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に、前記ポリヌクレオチドの結合による部分的な二本鎖(塩基対)を形成することによって、前記直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とを隣接させる工程、および、前記直鎖状ssDNAの隣接した5'末端と3'末端とを結合させて、前記直鎖状ssDNAを環化させる工程を含み、
前記ポリヌクレオチドを準備する工程において、
予め、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')およびポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')の少なくとも一方を変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合により環化するライゲーション効率と、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、これらの値を下記式(1)に代入して、下記式(2)で表される、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけ自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする。
直鎖状ssDNAと、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチド(以下、「アダプター(adapter)」とも言う)とを準備する工程、一つの直鎖状ssDNAに対して一つのポリヌクレオチドを結合させ、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に、前記ポリヌクレオチドの結合による部分的な二本鎖(塩基対)を形成することによって、前記直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とを隣接させる工程、および、前記直鎖状ssDNAの隣接した5'末端と3'末端とを結合させて、前記直鎖状ssDNAを環化させる工程を含み、
前記ポリヌクレオチドを準備する工程において、
予め、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')およびポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')の少なくとも一方を変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合により環化するライゲーション効率と、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、これらの値を下記式(1)に代入して、下記式(2)で表される、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけ自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする。
-ΔΔG°25 =-{ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) - ΔG°25(ssDNA)}
・・・(1)
ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) ・・・(2)
前記式(1)および式(2)において、ΔΔG°25は、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギーであり、ΔG°25(duplex)は、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖(塩基対)を形成した状態のみかけの自由エネルギーであり、ΔG°25(adapter)は、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギーであり、ΔG°25(ssDNA)は、環化させる直鎖状ssDNAの自由エネルギーである。なお、本発明において、各自由エネルギーの単位は、「kcal・mol-1」である(以下同様)。
・・・(1)
ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) ・・・(2)
前記式(1)および式(2)において、ΔΔG°25は、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギーであり、ΔG°25(duplex)は、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖(塩基対)を形成した状態のみかけの自由エネルギーであり、ΔG°25(adapter)は、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギーであり、ΔG°25(ssDNA)は、環化させる直鎖状ssDNAの自由エネルギーである。なお、本発明において、各自由エネルギーの単位は、「kcal・mol-1」である(以下同様)。
また、本発明は、前記本発明の環状ssDNAの製造方法に使用する、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチドの配列を決定する方法であって、
予め、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')とポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')とを変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合して環化するライゲーション効率と、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、これらの値を前記式(1)に代入して、前記式(2)で表される、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖(塩基対)を形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする。なお、前述の本発明の製造方法は、本発明の配列決定方法を使用する製造方法である。
予め、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')とポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')とを変化させて、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが結合して環化するライゲーション効率と、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、これらの値を前記式(1)に代入して、前記式(2)で表される、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖(塩基対)を形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする。なお、前述の本発明の製造方法は、本発明の配列決定方法を使用する製造方法である。
本発明者は、直鎖状ssDNAを効率よくライゲーションするための要素として、自由エネルギーに着目した。そして、鋭意研究を行った結果、最終的に得られる環状ssDNAのライゲーション効率は、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)と密接に関係することを見出し、本発明の製造方法ならびに決定方法に到達したのである。このようにライゲーションの効率を、自由エネルギーにより調節できることは本発明者が初めて見出したことである。
具体的に、本発明者は、前記式(1)に示すように、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の見かけの自由エネルギーから、直鎖状ssDNAおよびポリヌクレオチドの自由エネルギーを差し引くことによって、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギーを算出するという一般式を設定した。なお、前記各種自由エネルギーは、例えば、以下のように定義できる。すなわち、「ΔG°25(ssDNA)」および「ΔG°25(adapter)」は、それぞれの分子内で形成される構造(例えば、ループ構造等)が解けて一本鎖状態になるための反応エネルギー、「ΔG°25(duplex)」は、直鎖状ssDNAとポリヌクレオチドが結合して部分的に二本鎖を形成するためのみかけのエネルギー、「ΔΔG°25」は、直鎖状ssDNAとポリヌクレオチドが結合して部分的に二本鎖を形成するための真のエネルギーといえる。
そして、まず、直鎖状ssDNAの配列・塩基数、アダプターとなるポリヌクレオチドの配列・塩基数を、それぞれ変化させ、前記直鎖状ssDNAと前記ポリヌクレオチドを用いた部分的な二重鎖の形成、ならびに、前記直鎖状ssDNAの両末端の結合を行うことにより環状ssDNAを製造し、そのライゲーション効率を調べた。他方、直鎖状ssDNAやポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)、ΔG°25(adapter))を、その塩基配列の配列情報に基づいて、従来公知のソフトウェアやデータベース等から算出した。また、前記直鎖状ssDNAの両末端に前記ポリヌクレオチドが結合して二重鎖を形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))も、前記直鎖状ssDNAとポリヌクレオチドの配列から、同様にしてに算出した。そして、前記式(1)に基づいて、環状ssDNAの自由エネルギーのマイナス値(-ΔΔG°25)を算出し、これらとライゲーション効率とを照らし合わせた結果、-ΔΔG°25が大きくなるにしたがって、ライゲーション効率が向上することを見出したのである。すると、直鎖状ssDNAの塩基配列を決定して、その自由エネルギーを算出し、且つ、前記検量線から十分なライゲーション効率を示す-ΔΔG°25を設定すれば、前記式(1)から前記式(2)を算出できる。そして、さらに、この算出値(算出値X)を満たすポリヌクレオチドの配列は、例えば、仮に設計したポリヌクレオチド配列の配列情報を前記ソフトウェアやデータベースで処理し、式(2)で表される値(算出値Y)を求め、前記算出値Yと同様の値を示すものを、本発明におけるポリヌクレオチドの配列として決定することができるのである。したがって、このような本発明の決定方法によってポリペプチドの配列を決定し、これを用いて本発明の製造方法により直鎖状ssDNAの環化を行えば、優れたライゲーション効率で環状ssDNA製造できるのである。これらの方法によれば、例えば、前述のように無細胞タンパク質合成系に使用する鋳型環状ssDNAや、環状ssDNAベクター等を、直鎖状ssDNAから効率良く製造することができるため、極めて有用な方法であると言える。
本発明において、前記式(1)における自由エネルギー(ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)は、前述のように、使用する直鎖状ssDNAの自由エネルギーすなわち塩基配列に応じて、前述のような検量線から設定することができる。
また、発明者は、前述のような検量線を作成した結果、直鎖状ssDNAの塩基配列やポリヌクレオチドの塩基配列の種類に関わらず、「-ΔΔG°25」を少なくとも20kcal・mol-1以上に設定した場合に、優れたライゲーション効率が得られることを見出した。この結果から、前記「-ΔΔG°25」は、例えば、20kcal・mol-1以上に設定することが好ましく、より好ましくは20〜30Kcal・mol-1である。さらに、本発明者は、「-ΔΔG°25」の値を増加させると、その増加に伴ってライゲーション効率はシグモイド型に増加し、ある「-ΔΔG°25」の値を超えると、ライゲーション効率がほぼ一定の値を示すことを見出した。この結果から、例えば、前記「-ΔΔG°25」の上限を必要以上に高く設定することなく、20〜30kcal・mol-1の範囲に設定してもよい。なお、これらの値には制限されず、前述のように、使用する直鎖状ssDNAに応じて前記検量線を作成し、「-ΔΔG°25」を設定することができる。
本発明においては、「自由エネルギー」の算出が必要であるが、例えば、文献(SantaLucia, J., Jr.; Allawi, H. T.; Seneviratne, P. A. Biochemistry 1996, 35, 3555-3562. Sugimoto, N.; Nakano, S.; Yoneyama, M.; Honda, K. Nucleic Acids Res. 1996, 24, 4501-4505.)の記載に基づいて算出することができる。また、従来公知のプログラム、ソフトウェアまたはデータベースを用いて算出することができる。前記プログラムとしては、例えば、web site "http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/old/dna/form1.cgi" からダウンロードできるmfold」等が使用でき、その使用方法に基づいて、DNAやポリヌクレオチド等の塩基配列の情報から自由エネルギーを算出できる。具体的には、例えば、直鎖状ssDNAの塩基配列からΔG°25(ssDNA)を、前記ポリヌクレオチドの塩基配列からΔG°25(adapter)を、前記直鎖状ssDNAの塩基配列と前記ポリヌクレオチドの塩基配列とからみかけ上のΔG°25(duplex)を、それぞれ算出することができる。なお、式(1)において、「25」とは温度を示し、25℃での自由エネルギーであることを示す。
さらに、本発明においては、前述のように、設定した「-ΔΔG°25」と、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))とから、前記式(2)で表される、前記直鎖状ssDNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差(ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) :算出値X)を求め、この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定される。このポリヌクレオチドの配列も、例えば、以下に示すようなソフトウェアやデータベース等を用いて決定することができる。具体例としては、まず、前記直鎖状ssDNAの配列を基に、その5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチドの配列を1種類または2種類以上設計する。なお、この配列の設計は、例えば、ペプチド配列の情報から設計できる。そして、設計したポリヌクレオチドの自由エネルギー、ならびに、前記直鎖状ssDNAが前記ポリヌクレオチドと二重結合を形成した状態のみかけの自由エネルギーを前述のようなデータベース、プログラム等を用いて算出する。その結果、先に求めた前記式(2)の算出値Xを満たすこととなった配列を、ポリヌクレオチドの配列として選択することができるのである。なお、前記直鎖状ssDNAが前記ポリヌクレオチドとどのように二重結合を形成するかは、それぞれの塩基配列から容易に設定でき、例えば、前述のようなデータベースを用いた従来公知の方法によって容易にシュミレーションできる。
前記直鎖状ssDNAの塩基数は、特に制限されないが、例えば、50〜300merの範囲である。
一方、前記ポリヌクレオチドの塩基数は、前述のように直鎖状ssDNAの条件(塩基数や配列)に応じて自由エネルギーから決定できるが、例えば、10〜50merの範囲である。
前記ポリヌクレオチドは、前述のように直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域の両方に結合する配列を有しており、このポリヌクレオチドが直鎖状ssDNAの両端領域に結合することによって、アダプターとして、直鎖状ssDNAの環状化状態を保持する。このため、前記ポリヌクレオチドは、直鎖状ssDNAの5'末端領域に対する相補的配列の3'末端に、直鎖状ssDNAの5'末端領域に対する相補的配列が結合した配列(以下、「塩基対形成配列」ともいう)を有することが好ましい。また、前記ポリヌクレオチドは、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列のみを有してもよいし、前述のような二本鎖(塩基対)の形成が阻害されない範囲において、非相補的な配列をさらに含んでもよい。非相補的な配列は、例えば、前述の塩基対形成配列の一端または両端に結合されていてもよい。前記ポリヌクレオチドが、さらに非相補的な配列を含む場合、非相補的な塩基の割合が、塩基対形成配列全体に対して、例えば、10〜70%である。
なお、本発明において、前記ポリヌクレオチドは、前記直鎖状ssDNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有しているが、直鎖状ssDNAとの二本鎖(塩基対)形成が阻害されない範囲において、この相補的な配列は、例えば、少なくとも1つの塩基が置換、付加、挿入もしくは欠失した塩基配列であってもよい。このように置換、付加、挿入されている塩基数としては、例えば、1〜〜2個程度である。また、前記相補的配列の全塩基数に対する置換、付加、挿入されている塩基数の割合は、例えば、5%以下である。
本発明の製造方法における前記直鎖状ssDNAを準備する工程、または、本発明のポリヌクレオチド配列の決定方法において、目的である環状ssDNAの環状塩基配列から、前記環状ssDNAをいずれか一箇所で切断した際に得られる直鎖状ssDNAの立体構造を予測し、前記立体構造が、前記直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とが隣接するループ構造をとるように、前記直鎖状ssDNAの塩基配列を設定することが好ましい。直鎖状ssDNAは、一般的に、その塩基配列に応じたループ構造を形成するが、本発明においては、直鎖状ssDNAの5'末端と3'末端とを結合させる必要があるため、直鎖状ssDNAのループ構造は、前記両末端が隣接するような構造であることが好ましい。このような構造をとる直鎖状ssDNAであれば、より一層が5'末端と3'末端とを結合させ易いからである。本発明は、環状ssDNAの製造を目的とするため、最終的に環化するならば、環状ssDNAのいずれの部分が直鎖状ssDNAの両末端になってよいことに加え、最終的に環化した際には同じ塩基配列であっても、環状ssDNAのいずれの部分を直鎖状ssDNAの末端とするかによって、直鎖状での塩基配列は異なるため、その配列によって、形成されるループ構造も変化するのである。したがって、前述のように5'末端と3'末端とが隣接するループ構造をとるように直鎖状ssDNAの塩基配列を設計することが好ましい。なお、直鎖状ssDNAがどのようなループ構造をとるかは、その塩基配列情報に基づいて、例えば、前述のような文献や「mfold」等のプログラム、データベースにより処理すれば、容易に想定することができる。
本発明において、前記検量線は、環状ssDNAの自由エネルギー(ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)をX軸、ライゲーション効率をY軸として表した場合、前記検量線がシグモイド型を示すことが好ましい。
本発明において、前記ライゲーション効率とは、例えば、下記式で表され、下記式において、Aは得られた環化ssDNAの量、Bは環化されなかった直鎖状ssDNAの量である。AおよびBの量とは、例えば、モル量、変性アクリルアミドゲル電気泳動における検出バンドの強度、蛍光ラベルの強度等を設定することができる。
ライゲーション効率(%)=100×[A/(A+B)]
本発明において、ライゲーション効率は、特に制限されないが、例えば、10%以上以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。また、その上限はなんら限定されないが、例えば、実質的には80%程度であれば極めて好ましく、もちろん80%を超える効率であればより一層望ましい。
ライゲーション効率(%)=100×[A/(A+B)]
本発明において、ライゲーション効率は、特に制限されないが、例えば、10%以上以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、特に好ましくは50%以上である。また、その上限はなんら限定されないが、例えば、実質的には80%程度であれば極めて好ましく、もちろん80%を超える効率であればより一層望ましい。
本発明は、環状ssDNAの製造ならびに前記製造に使用するポリヌクレオチドの配列決定の方法であるが、目的とする環状ssDNAの用途や種類等は何ら制限されない。例えば、前述のように目的タンパク質やペプチドを発現するための鋳型の構築を目的とする場合には、直鎖状ssDNAが、目的タンパク質または目的ぺプチドのコード配列と相補的配列を有していることが好ましく、また、環状ベクターの構築を目的とする場合には、直鎖状ssDNAが、前記環状ベクターをいずれか一箇所で切断した際の塩基配列からなることが好ましい。直鎖状ssDNAが、目的タンパク質または目的ぺプチドのコード配列と相補的配列を有している場合、その塩基数は、例えば、30〜1000merの範囲であることが好ましい。
本発明の環状ssDNAの製造方法において、前記直鎖状ssDNAの両端は、例えば、DNAリガーゼにより結合することができる。前記DNAリガーゼとしては、特に制限されないが、例えば、T4 DNAリガーゼ、E.coli DNAリガーゼ、Pfu DNAリガーゼ等があげられ、これらの中でもT4 DNAリガーゼが好ましい。
前記DNAリガーゼによるライゲーション反応の条件は、例えば、使用するDNAリガーゼの種類や直鎖状ssDNAの濃度等に応じて適宜決定できるが、例えば、0.1〜10μM 直鎖状ssDNA、0.3〜30μM ポリヌクレオチド、20mM NaCl、1〜15mM MgCl2、10mM ジチオトレイトール(DTT)、10μM ATP、0.33U/μL DNA リガーゼおよび2.5mM Tris-HCl(pH7.5)を含む反応溶液において、通常、温度25℃で1〜12時間で反応させればよい。また、前記反応溶液は、市販の製品を使用してもよい。なお、ポリヌクレオチドの濃度は、直鎖状ssDNA濃度よりも高濃度であることが好ましい。
このように、ポリヌクレオチドを用いて環状ssDNAを作成した場合、前記環状ssDNAは部分的に二本鎖を含むこととなるが、例えば、これを変性アクリルアミドゲル電気泳動に供して精製することによって、前記ポリヌクレオチドを除去した環状ssDNAを得ることができる。
このような本発明の製造方法や、ポリヌクレオチドの配列決定方法を使用することによって、優れたライゲーション効率で、本発明の環状ssDNAを得ることができる。
本発明の環状ssDNAの中でも、目的タンパク質または目的ぺプチドのコード配列と相補的配列を有するものは、無細胞タンパク質合成系において、転写・翻訳の鋳型として使用することができる。
つぎに、本発明の環状ssDNAを使用する、本発明のタンパク質またはペプチドの製造方法について説明する。本発明のタンパク質またはペプチドの製造方法は、無細胞抽出液を含む無細胞タンパク質合成系において、DNAから1以上のmRNAを転写し、前記mRNAから、翻訳して目的タンパク質若しくは目的ペプチドを合成する製造方法であって、前記DNAが、本発明の環状ssDNAであり、且つ、目的タンパク質または目的ぺプチドのコード配列と相補的配列を有しており、RNAポリメラーゼ反応により、1つのmRNAに前記環状ssDNAの相補的配列を複数転写することを特徴とする。なお、本発明において、前記環状ssDNAから1つ以上のmRNAが転写されてもよく、各々のmRNAが前記DNAの相補的配列を複数転写していればよい。
通常であれば、鋳型DNAからmRNAを転写すると、得られるmRNAは、鋳型DNAに対する相補的配列を一つしか有さない。しかしながら、このような本発明の環状ssDNAを用いた製造方法によれば、環状ssDNAを鋳型として連続して転写が行われるため、例えば、一つのmRNAが、その配列中に環状ssDNAに対する相補鎖を複数有することとなる。このため、必然的にタンパク質やぺプチドの合成量が増加し、合成効率を向上することができるのである。
前記一つのmRNAには、前述のように前記環状ssDNAの相補配列が複数転写されるが、得られるmRNAは、前記DNAに対して相補的な配列を少なくとも2つ以上有していればよい。また、前記mRNAにおける前記相補的配列の数の上限は、特に制限されず、例えば、mRNA合成における反応時間や環状ssDNAの配列等に応じて変化すると考えられる。
鋳型となる環状ssDNAは、例えば、少なくとも発現させる目的タンパク質または目的ペプチド(以下、「目的タンパク質等」という)のコード領域の塩基配列(開始コドンおよび終結コドンを含む)に相補的な配列を有していればよい。
前記コード領域に相補的な配列は、例えば、従来公知のクローニング方法等によって自然界より単離してもよいし、既に公知となっているアミノ酸配列や塩基配列の情報を基に化学的に合成してもよい。前記配列情報に関しては、各種文献だけでなく、例えば、米国国立衛生研究所(NIH)により管理されている「ジェンバンク」等の各種データベースを利用することもできる。
前記直鎖状ssDNAの配列は、さらに、前記コード領域に相補的な配列の他に、ssDNAの環状化をより一層容易にする配列を含むことが好ましい。なお、直鎖状ssDNAの環状化とは、直鎖状ssDNAの両端を結合することによる環化(ライゲーション)ではなく、直鎖状ssDNAの配列に応じて、前記両端が隣接するように環状化した構造をとることを意味する。このような配列としては、例えば、ポリ(A)配列、ポリ(C)配列およびポリ(T)配列のように、同じ塩基から構成されたポリマー配列等があげられる。なお、これらの配列の存在によって、ssDNAが環状化し易くなることのメカニズムは不明である。
これらの配列の中でも、より好ましくは前記同じ塩基から構成されたポリマーであり、特に好ましくはポリ(T)配列である。例えば、ポリ(T)配列のように同じ塩基から構成されていれば、ssDNAを容易に環状化できるだけでなく、環状ssDNAに相補的なmRNAの連続転写に影響を与えることもない。つまり、前記環状ssDNAの転写により合成された、前記ポリ(T)配列に相補的なmRNA中のポリ(A)配列は、mRNAの二次構造に対する影響が非常に少なく、例えば、ステムループ構造を形成し難いため、ステムループ構造による転写終結の問題等が起こらない。そのため、前記環状ssDNAの転写が一回ごとに終結せず、連続的に行われ、前記環状ssDNA配列に相補的な配列を複数有する長鎖のmRNAを形成できるのである。この長鎖mRNAは、転写の回数(n)だけ、前記ポリヌクレオチド配列(X)が連なった構造[(X)n]となる。前記ポリ(T)等の配列の長さは、特に制限されないが、例えば、5〜50merの範囲が適当である。
さらに、前記環状ssDNAは、例えば、目的のタンパク質の種類や、後述する無細胞タンパク質合成系の種類等に応じて、プロモーター配列やエンハンサー等の転写効率に関与する配列や、Shine-Dalgano(SD)配列に相補的な配列等を有してもよい。
無細胞タンパク質合成系として、例えば、大腸菌等の細菌由来の系を使用する場合、前記細菌由来のリボゾームがmRNAの開始を認識してタンパク質合成を確実に行うために、SD配列に相補的な配列を有することが好ましい。直鎖状ssDNAが、例えば、タンパク質のコード領域に相補的な配列の3’側下流に、前記SD配列に相補的な配列を有することが好ましい。これは、大腸菌等の細菌において翻訳が始まる際、リボソームが、mRNAの開始コドン(AUG)の5’側上流にあるSD配列と塩基対相互作用することによって、前記開始コドン(AUG)を認識する必要があるためである。このSD配列に相補的な配列は、特に制限されず、従来公知のSD配列をもとに設定できる。
前記プロモーターとしては、例えば、T7プロモーター、tacプロモーター、lac UV5プロモーター、taqプロモーター等があげられ、これらの中でも特にT7プロモーターが好ましい。一方、一方、転写反応のRNAポリメラーゼとして、例えば、T7ポリメラーゼや、E.coli RNAポリメラーゼを使用する場合には、プロモーターがなくても転写を開始できることから、プロモーター配列を含まなくともよく、特にこのような環状ssDNAの場合は、プロモーター配列を有していない方が、転写効率に優れ好ましい。
このような直鎖状ssDNAは、例えば、従来公知の化学合成法等によって合成し、その5’末端をリン酸化して調製することができる。また、例えば、末端をビオチン化したプライマーと、リン酸化したプライマーとを用いてPCRを行い、ビオチン−アビジン相互作用を用いて二本鎖を一本鎖にすることによって、直鎖状ssDNAを調製することもできる。
本発明の製造方法において、前記mRNAは、予め別に調製してもよいが、例えば、前記mRNAの転写と、目的タンパク質合成または目的ペプチド合成とを、同じ反応系で行うことが好ましい。このようにしてmRNAを合成すれば、そのままタンパク質等の合成を行うことができるため、迅速かつ簡便に目的タンパク質等の製造を行うことができる。
本発明の目的タンパク質等の製造方法は、本発明の環状ssDNAを使用する以外は特に制限されず、従来公知の無細胞タンパク質合成系を使用し、従来公知の方法によって行うことができる。前記無細胞タンパク質合成系においては、一般に、無細胞抽出液を含む反応溶液が使用できる。前記無細胞抽出液としては、特に制限されないが、例えば、大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網状赤血球等の抽出液が使用でき、これらの抽出液は、例えば、材料に応じ従来公知の方法によって調製できる。具体的に、大腸菌の無細胞抽出液は、例えば、Ellmanらの方法(Methods Enzymol.202:301-336(1991))の方法によって調製できる。
前記反応溶液は、前記無細胞抽出液および鋳型となる環状ssDNAの他に、例えば、RNAポリメラーゼ、タンパク質を構成する各種アミノ酸、各種緩衝剤、ATP、GTP、CTPおよびUTP等のエネルギー源、クレアチンリン酸、ホスホエノールピルビン酸、クレアチンキナーゼおよびピルビン酸キナーゼ等のATP再生系、ジチオスレイトール(DTT)、スペルミンおよびスペルミジン等の安定化剤、RNase阻害剤等を添加することが好ましい。また、これらの添加量は、使用する鋳型の環状ssDNAの量等に応じて適宜決定できる。
前記RNAポリメラーゼの種類は特に制限されず、例えば、鋳型ssDNAにおけるプロモーターの種類に応じて適宜決定してもよい。具体的には、例えば、T7RNAポリメラーゼ、T3RNAポリメラーゼ、SP6RNAポリメラーゼ、E.coli RNAポリメラーゼ等が使用できる。
また、このような無細胞タンパク質合成には、市販の無細胞タンパク質合成キットを使用することもできる。具体的には、例えば、商品名E.coli S30 Extract system(フ゜ロメカ゛社製)、E.coli T7 S30 Extract(フ゜ロメカ゛社製)、PROTEIN script-Pro(Ambion社製)等が使用できる。これらのキットは、それらの使用方法に準じた条件で使用できる。
タンパク質合成の反応条件は、特に制限されず、使用する無細胞抽出液や目的のタンパク質の種類等に応じて適宜決定できる。
このような方法によれば、前記環状ssDNAを鋳型とするmRNA合成と、前記mRNAを鋳型とするタンパク質合成とが、並行して同じ無細胞タンパク質合成系において進行する。
そして、合成された目的のタンパク質等は、例えば、アフィニティーカラムクロマトグラフィー等の従来公知の方法によって精製すればよい。
また、前述のように、前記mRNA合成工程(転写工程)およびペプチド合成工程(翻訳工程)を同じ無細胞タンパク質合成系において同時に行うのではなく、予め調製したmRNAを鋳型として、無細胞タンパク質合成系において目的タンパク質を合成してもよい。
この場合は、mRNA合成は、前記環状ssDNAを鋳型として、前述のようなRNAポリメラーゼによる転写反応によって行うことができる。
前記反応には、RNAポリメラーゼ以外に、通常、各種NTP(ATP、GTP、CTP、UTP)、RNaseインヒビター、各種緩衝剤等を必要とする。また、反応条件は、使用するRNAポリメラーゼの種類等に応じて適宜決定できるが、例えば、pH7.0〜8.5の範囲、温度37℃、時間1〜12時間の範囲が好ましい。
得られたmRNAを含む反応物は、例えば、そのまま次の翻訳工程に供してもよいし、各種カラムで精製してから使用してもよい。
そして、得られた前記mRNAを鋳型として、前述の無細胞タンパク質合成を行う。なお、使用する無細胞抽出物や条件等は同様である。
以下に、本発明の実施例について説明するが、これらには制限されない。また、実施例において、ポリヌクレオチドの設計はその配列情報を元に行い。自由エネルギーの算出は、前述のプログラム「mfold」を使用し、また、その使用方法は従来公知の方法に従った。
塩基数を変えたポリヌクレオチド(以下、「adapter」という)を用いて、ペプチド(His)6のコード配列と相補的な配列を有するssDNAの環化を行い、そのライゲーション効率とΔΔG°25との関係を確認した。
(1)直鎖状ssDNAの作製
環状化させる直鎖状ssDNAとして、(His)6のコード配列と相補的な配列を有する、配列番号1に示す配列(5'-CTGTTTCCT(T)20CTA(ATG)6CATAG-3')(55nt)を設計し、これをDNA自動合成機(商品名DNAシンセサイザーModel391:アブライドバイオシステムズ社製)を用いたホスホロアミダイト法によって固相合成し、その5’末端(C)をリン酸化用ホスホロアミダイト試薬(商品名化学リン酸化試薬:Glen Reseach社製)によってリン酸化した。なお、配列番号1において、5’末端の5'-CTGTTTCCTおよび3’末端のAG-3'が、SD配列の相補配列であり、CTA(ATG)6CATが、終始コドンおよび開始コドンを含むコード配列の相補配列である。
環状化させる直鎖状ssDNAとして、(His)6のコード配列と相補的な配列を有する、配列番号1に示す配列(5'-CTGTTTCCT(T)20CTA(ATG)6CATAG-3')(55nt)を設計し、これをDNA自動合成機(商品名DNAシンセサイザーModel391:アブライドバイオシステムズ社製)を用いたホスホロアミダイト法によって固相合成し、その5’末端(C)をリン酸化用ホスホロアミダイト試薬(商品名化学リン酸化試薬:Glen Reseach社製)によってリン酸化した。なお、配列番号1において、5’末端の5'-CTGTTTCCTおよび3’末端のAG-3'が、SD配列の相補配列であり、CTA(ATG)6CATが、終始コドンおよび開始コドンを含むコード配列の相補配列である。
(2)adapter
adapterとしては、以下7種類のオリゴヌクレオチドを使用した。なお、配列番号2〜4のadapterは、前述のssDNAの両端配列に完全に相同な配列であり(full match)、配列番号5〜7は、それぞれ下線部分の塩基がGからをTに一塩基変異されたミスマッチ配列である。
adapterとしては、以下7種類のオリゴヌクレオチドを使用した。なお、配列番号2〜4のadapterは、前述のssDNAの両端配列に完全に相同な配列であり(full match)、配列番号5〜7は、それぞれ下線部分の塩基がGからをTに一塩基変異されたミスマッチ配列である。
配列番号2(5'-GGAAACAGCTATGCAT-3') 塩基数16mer
配列番号3(5'-GAAACAGCTATGCA-3') 塩基数14mer
配列番号4(5'-AAACAGCTATGC-3') 塩基数12mer
配列番号5(5'-AGGAAACATCTATGCATC-3') 塩基数18mer
配列番号6(5'-GGAAACATCTATGCAT-3') 塩基数16mer
配列番号7(5'-GAAACATCTATGCA-3') 塩基数14mer
(3)直鎖状ssDNAの環状化
まず、5×ligation buffer (75mM MgCl2、100mM NaCl、125mM Tris-HC1(pH77.5))に、1μMの前記環状化させるssDNAおよび3μMのsplint DNAをそれぞれ添加し、反応溶液を調製した。そして、これらの反応溶液を90℃で10分間インキュベートした後、2時間かけて前記反応溶液の温度を室温まで戻した。つぎに、前記反応溶液に、最終濃度が10mM DTTおよび100μM ATPとなるように、1M DTTおよび100mM ATPを添加し、さらに、最終濃度がO.33units/μLとなるようにT4 DNA リガーゼ(400U/μL:New England Biolabs社製)を添加して、25℃で12時間、ライゲーション反応を行った。なお、各反応溶液における各試薬の終濃度は、25mM Tris-HC1、20mM NaCl、15mM MgCl2、1mM DTT、100μM ATPである。adapterおよびDNAリガーゼを用いた環状ssDNAの生成反応の一例として、配列番号2のadapterを使用した場合の反応を図1に示す。
配列番号3(5'-GAAACAGCTATGCA-3') 塩基数14mer
配列番号4(5'-AAACAGCTATGC-3') 塩基数12mer
配列番号5(5'-AGGAAACATCTATGCATC-3') 塩基数18mer
配列番号6(5'-GGAAACATCTATGCAT-3') 塩基数16mer
配列番号7(5'-GAAACATCTATGCA-3') 塩基数14mer
(3)直鎖状ssDNAの環状化
まず、5×ligation buffer (75mM MgCl2、100mM NaCl、125mM Tris-HC1(pH77.5))に、1μMの前記環状化させるssDNAおよび3μMのsplint DNAをそれぞれ添加し、反応溶液を調製した。そして、これらの反応溶液を90℃で10分間インキュベートした後、2時間かけて前記反応溶液の温度を室温まで戻した。つぎに、前記反応溶液に、最終濃度が10mM DTTおよび100μM ATPとなるように、1M DTTおよび100mM ATPを添加し、さらに、最終濃度がO.33units/μLとなるようにT4 DNA リガーゼ(400U/μL:New England Biolabs社製)を添加して、25℃で12時間、ライゲーション反応を行った。なお、各反応溶液における各試薬の終濃度は、25mM Tris-HC1、20mM NaCl、15mM MgCl2、1mM DTT、100μM ATPである。adapterおよびDNAリガーゼを用いた環状ssDNAの生成反応の一例として、配列番号2のadapterを使用した場合の反応を図1に示す。
(4)環状ssDNAの精製
前記各反応溶液を、透析チューブ(MWCO 1000:商品名Spectra-Por、Spectrum社製)を用いて透析し、透析後の溶液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品を7M尿素水溶液に懸濁し、15% 変性ポリアクリルアミドゲルにアプライし、環状ssDNAと、直鎖状ssDNAと、dapter DNA とを電気泳動により分離した。目的の環状ssDNA画分のゲルを切り出し、これを細かく砕き、さらに0.2N NaCl 5〜10mLを添加して、25℃で12時間シェイクし、環状ssDNAを抽出した。その後、フィルターを用いて前記ゲル断片を除去し、得られた溶液を再度前記透析チューブを用いて12時間透析した後、透析溶液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品を7M尿素水溶液に懸濁し、7M尿素を含む15%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、配列番号2に記載のadapterを使用した場合、図2の電気泳動図に示すように、直鎖状ssDNA(レーン1)が環状化されたことによって、環状ssDNA(レーン2)が生成されていた。他のadapterを使用した場合にも、図2と同様の結果が得られた。
前記各反応溶液を、透析チューブ(MWCO 1000:商品名Spectra-Por、Spectrum社製)を用いて透析し、透析後の溶液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品を7M尿素水溶液に懸濁し、15% 変性ポリアクリルアミドゲルにアプライし、環状ssDNAと、直鎖状ssDNAと、dapter DNA とを電気泳動により分離した。目的の環状ssDNA画分のゲルを切り出し、これを細かく砕き、さらに0.2N NaCl 5〜10mLを添加して、25℃で12時間シェイクし、環状ssDNAを抽出した。その後、フィルターを用いて前記ゲル断片を除去し、得られた溶液を再度前記透析チューブを用いて12時間透析した後、透析溶液を凍結乾燥した。この凍結乾燥品を7M尿素水溶液に懸濁し、7M尿素を含む15%変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。その結果、配列番号2に記載のadapterを使用した場合、図2の電気泳動図に示すように、直鎖状ssDNA(レーン1)が環状化されたことによって、環状ssDNA(レーン2)が生成されていた。他のadapterを使用した場合にも、図2と同様の結果が得られた。
(5)環状化効率の算出
以下のようにしてライゲーション効率を算出した。
以下のようにしてライゲーション効率を算出した。
前記ライゲーション効率は、前記電気泳動における検出バンドの強度を、従来公知の方法で測定し、下記式に代入することによって算出した。下記式において、Aは得られた環化ssDNAの量、Bは環化されなかった直鎖状ssDNAの量である。ライゲーション効率(%)=100×[A/(A+B)]
(6)-ΔΔG°25の算出
直鎖状ssDNAにadapterDNAが結合して二本鎖(duplex)が形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))、およびadapterの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))から、下記式より、真の自由エネルギーΔΔG°25を算出し、「-ΔΔG°25」を得た。各自由エネルギーは、その塩基配列から、プログラム「mfold」を用いた解析によって求めることができる。
(6)-ΔΔG°25の算出
直鎖状ssDNAにadapterDNAが結合して二本鎖(duplex)が形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))、直鎖状ssDNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))、およびadapterの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))から、下記式より、真の自由エネルギーΔΔG°25を算出し、「-ΔΔG°25」を得た。各自由エネルギーは、その塩基配列から、プログラム「mfold」を用いた解析によって求めることができる。
-ΔΔG°25 =-{ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) - ΔG°25(ssDNA)}
・・・(1)
前記式の具体例として、配列番号2のadapter(18mer)を用いた場合の関係を図3に示す。
・・・(1)
前記式の具体例として、配列番号2のadapter(18mer)を用いた場合の関係を図3に示す。
ライゲーション効率および「-ΔΔG°25」の関係を下記表1ならびに図4に示す。図4において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、□はfull matchのadapter、■はmismatchのadapterを使用した際の結果である。なお、各プロットの横の数字は、adapterの塩基数(mer)である。
(表1)
adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
full match 配列番号2(16mer) 75.3 16.3
full match 配列番号3(14mer) 63.6 12.6
full match 配列番号4(12mer) 10.9 9.7
mismatch 配列番号5(18mer) 68.1 18.6
mismatch 配列番号6(16mer) 38.6 15.6
mismatch 配列番号7(14mer) 0.0 11.9
adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
full match 配列番号2(16mer) 75.3 16.3
full match 配列番号3(14mer) 63.6 12.6
full match 配列番号4(12mer) 10.9 9.7
mismatch 配列番号5(18mer) 68.1 18.6
mismatch 配列番号6(16mer) 38.6 15.6
mismatch 配列番号7(14mer) 0.0 11.9
前記表1および図4に示すように、-ΔΔG°25の向上に伴ってライゲーション効率が高くなっていることから、両者の間に相関関係があることがわかる。そして、本実施例においては、直鎖状ssDNAは同じものを使用しており、その自由エネルギー「ΔG°25(ssDNA)」が一定であるため、adapterの塩基配列情報(塩基数と配列)に応じて、ライゲーション効率と密接に関連する「-ΔΔG°25」が変化していると言える。つまり、前記表1および図4の結果に基づけば、例えば、配列番号1に示すssDNAを60%以上のライゲーション効率で環状化させる場合には、「-ΔΔG°25」が12.6程度もしくはそれ以上となるように、adapterの配列を設定すればよいことがわかる。
一種類のadapterを用いて、H-ras遺伝子のコード配列と相補的な配列を有する数種類のssDNAの環状化を行い、そのライゲーション効率とΔΔG°25との関係を確認した。
(1)直鎖状ssDNAの作製
環状化させる直鎖状ssDNAとして、H-ras遺伝子と相補的な配列を有するssDNAを調製した。まず、SD配列とペプチドコード領域を含むH-ras遺伝子の配列に対して相補的な配列(56mer)を配列番号8に示す。配列番号8において、5’末端側から塩基数1〜3が終始コドン、塩基数4〜39がペプチドコード配列、40〜42が開始コドン、43〜56がSD配列にそれぞれ相補的な配列である。なお、配列番号8の下に、併せてH-ras遺伝子の配列を示す(かっこ内)。
配列番号8(56mer)
5'- CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCGACGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA-3'
(3'- ATTCCTCCATTTTTTACACCGCGGCAGCCACACCTGTAGTAGTAGTAGTAGTAATC-5')
このH-ras遺伝子の相補鎖配列について、終始コドンの5'末端(C)とSD配列の3’末端(A)とをポリT配列(20mer)でつなぎ、且つ、ペプチドコード配列の間で切断した配列(配列番号9)を、直鎖状ssDNAとして設計した(76mer)。さらに、配列番号9における5'末端(連結部分)に相補的な部分の塩基配列と、ペプチドコード配列を変異させた2種類の直鎖状ssDNAを設計した(配列番号10、配列番号11)。下記配列番号10および11において、下線部が変異させた部位である。これらの直鎖状ssDNAは、前記実施例1と同様にDNA自動合成機を用いて調製し、その5’末端(A)をリン酸化した。
配列番号9(76mer)
5'- ACGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA(T)20CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
配列番号10(76mer)
5'- CCGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA(T)20CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
配列番号11(76mer)
5'- CCGGCGCCACCATTTTTTACCTCCTTA(T)19CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
(2)adapter
adapterとしては、以下2種類のオリゴヌクレオチド(配列番号12、13:42mer)を使用した。なお、配列番号12のadapterは、前述の直鎖状ssDNA(配列番号9)の両端配列に完全に相同な配列(full match)とし、配列番号13のadapterは、前述の直鎖状ssDNA(配列番号10、11)の両端配列に完全に相同な配列(full match)とした。
環状化させる直鎖状ssDNAとして、H-ras遺伝子と相補的な配列を有するssDNAを調製した。まず、SD配列とペプチドコード領域を含むH-ras遺伝子の配列に対して相補的な配列(56mer)を配列番号8に示す。配列番号8において、5’末端側から塩基数1〜3が終始コドン、塩基数4〜39がペプチドコード配列、40〜42が開始コドン、43〜56がSD配列にそれぞれ相補的な配列である。なお、配列番号8の下に、併せてH-ras遺伝子の配列を示す(かっこ内)。
配列番号8(56mer)
5'- CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCGACGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA-3'
(3'- ATTCCTCCATTTTTTACACCGCGGCAGCCACACCTGTAGTAGTAGTAGTAGTAATC-5')
このH-ras遺伝子の相補鎖配列について、終始コドンの5'末端(C)とSD配列の3’末端(A)とをポリT配列(20mer)でつなぎ、且つ、ペプチドコード配列の間で切断した配列(配列番号9)を、直鎖状ssDNAとして設計した(76mer)。さらに、配列番号9における5'末端(連結部分)に相補的な部分の塩基配列と、ペプチドコード配列を変異させた2種類の直鎖状ssDNAを設計した(配列番号10、配列番号11)。下記配列番号10および11において、下線部が変異させた部位である。これらの直鎖状ssDNAは、前記実施例1と同様にDNA自動合成機を用いて調製し、その5’末端(A)をリン酸化した。
配列番号9(76mer)
5'- ACGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA(T)20CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
配列番号10(76mer)
5'- CCGGCGCCACATTTTTTACCTCCTTA(T)20CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
配列番号11(76mer)
5'- CCGGCGCCACCATTTTTTACCTCCTTA(T)19CTAATGATGATGATGATGATGTCCACACCG -3'
(2)adapter
adapterとしては、以下2種類のオリゴヌクレオチド(配列番号12、13:42mer)を使用した。なお、配列番号12のadapterは、前述の直鎖状ssDNA(配列番号9)の両端配列に完全に相同な配列(full match)とし、配列番号13のadapterは、前述の直鎖状ssDNA(配列番号10、11)の両端配列に完全に相同な配列(full match)とした。
配列番号12 5'-GCTGGTGGTGGTGGGCGCCGTCGGTGTGGGCAAGAGTGCGCT-3'
配列番号13 5'-GCTGGTGGTGGTGGGCGCCGGCGGTGTGGGCAAGAGTGCGCT-3'
(3)直鎖状ssDNAの環状化
前記実施例1と同様にして、前記各直鎖状ssDNAとadapterを反応させ、T4 DNA リガーゼによるライゲーション反応を行った。一例として、配列番号9の直鎖状ssDNAにadapterが結合し、部分的に二本鎖を形成した状態を図5に示す。そして、得られた環状ssDNAについて、前記実施例1と同様に、ライゲーション効率、-ΔΔG°25の算出を行った。この結果を下記表2および図6に示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットの横の数字は、直鎖状ssDNAの配列番号(9、10、11)である。
配列番号13 5'-GCTGGTGGTGGTGGGCGCCGGCGGTGTGGGCAAGAGTGCGCT-3'
(3)直鎖状ssDNAの環状化
前記実施例1と同様にして、前記各直鎖状ssDNAとadapterを反応させ、T4 DNA リガーゼによるライゲーション反応を行った。一例として、配列番号9の直鎖状ssDNAにadapterが結合し、部分的に二本鎖を形成した状態を図5に示す。そして、得られた環状ssDNAについて、前記実施例1と同様に、ライゲーション効率、-ΔΔG°25の算出を行った。この結果を下記表2および図6に示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットの横の数字は、直鎖状ssDNAの配列番号(9、10、11)である。
(表2)
直鎖状ssDNA adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
配列番号9 42mer 11.7 15.2
配列番号10 42mer 15.3 15.1
配列番号11 42mer 51.2 17.6
直鎖状ssDNA adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
配列番号9 42mer 11.7 15.2
配列番号10 42mer 15.3 15.1
配列番号11 42mer 51.2 17.6
前記表2および図6に示すように、-ΔΔG°25の向上に伴ってライゲーション効率が高くなっていることから、前記実施例1と同様に、両者の間に相関関係があることがわかる。本実施例においては、adapterは同じものを使用しており、その自由エネルギー「ΔG°25(adapter)」は一定であるため、配列を部分的に変異させたssDNAの自由エネルギー「ΔG°25(ssDNA)」によって、ライゲーション効率と密接に関連する「-ΔΔG°25」が変化していると言える。このことから、単にssDNAとadapterの長さの組合せが重要なのではなく、「-ΔG°25(ssDNA)」が大きくなるように、自由エネルギーの点から対応するadapterを設定することが重要となることがわかる。つまり、本実施例においては、例えば、直鎖状ssDNAの自由エネルギーが部分的な変異によって変わっているため、それに応じて「-ΔG°25(ssDNA)」が大きくなるように、adapterを自由エネルギーから設定すれば、ライゲーション効率を向上できる。
つぎに、ssDNAについて、adapterと二重鎖を形成する部分の長さを変化させて、そのライゲーション効率とΔΔG°25との関係を確認した。
(1)直鎖状ssDNAの作製
環状化させる直鎖状ssDNAとして、前記配列番号9の5'末端(A)をCに変異させた配列を想定し、その5'末端配列を有するプローブと3'末端配列を有するプローブとを5種類準備した。
12merのプローブの組合せ 配列番号14 3'- CCACCCGCGGCC-5'
配列番号15 3'- GCCACACCCGTT-5'
9merのプローブの組合せ 配列番号16 3'- CCCGCGGCC-5'
配列番号17 3'- GCCACACCC-5'
8merのプローブの組合せ 配列番号18 3'- CCGCGGCC-5'
配列番号19 3'- GCCACACC-5'
7merのプローブの組合せ 配列番号20 3'- CGCGGCC-5'
配列番号21 3'- GCCACAC-5'
6merのプローブの組合せ 配列番号22 3'- GCGGCC-5'
配列番号23 3'- GCCACA-5'、
(2)adapter
adapterとしては、前記配列番号13のadapterを使用した。
環状化させる直鎖状ssDNAとして、前記配列番号9の5'末端(A)をCに変異させた配列を想定し、その5'末端配列を有するプローブと3'末端配列を有するプローブとを5種類準備した。
12merのプローブの組合せ 配列番号14 3'- CCACCCGCGGCC-5'
配列番号15 3'- GCCACACCCGTT-5'
9merのプローブの組合せ 配列番号16 3'- CCCGCGGCC-5'
配列番号17 3'- GCCACACCC-5'
8merのプローブの組合せ 配列番号18 3'- CCGCGGCC-5'
配列番号19 3'- GCCACACC-5'
7merのプローブの組合せ 配列番号20 3'- CGCGGCC-5'
配列番号21 3'- GCCACAC-5'
6merのプローブの組合せ 配列番号22 3'- GCGGCC-5'
配列番号23 3'- GCCACA-5'、
(2)adapter
adapterとしては、前記配列番号13のadapterを使用した。
(3)直鎖状ssDNAの環状化
前記実施例1と同様にして、プローブの組合せとadapterを反応させ、T4 DNA リガーゼによるライゲーション反応を行った。なお、二つのプローブにadapterが結合し、二本鎖を形成した状態の一例として、12merのプローブの組合せを用いた場合の結合状態を図7(a)に示し、同図(b)に、各プローブの組合せを列挙した。そして、得られた二本鎖について、前記実施例1と同様に、ライゲーション効率、-ΔΔG°25の算出を行った。この結果を下記表3および図8に示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットの横の数字は、プローブの塩基数(mer)である。
前記実施例1と同様にして、プローブの組合せとadapterを反応させ、T4 DNA リガーゼによるライゲーション反応を行った。なお、二つのプローブにadapterが結合し、二本鎖を形成した状態の一例として、12merのプローブの組合せを用いた場合の結合状態を図7(a)に示し、同図(b)に、各プローブの組合せを列挙した。そして、得られた二本鎖について、前記実施例1と同様に、ライゲーション効率、-ΔΔG°25の算出を行った。この結果を下記表3および図8に示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットの横の数字は、プローブの塩基数(mer)である。
(表3)
adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
12merのプローブの組合せ 50.9 34.1
9merのプローブの組合せ 48.3 23.1
8merのプローブの組合せ 47.8 19.0
7merのプローブの組合せ 4.6 14.9
6merのプローブの組合せ 0 10.6
adapter(長さ) ライゲーション効率 -ΔΔG°25
(%) (kcal/mol -1 )
12merのプローブの組合せ 50.9 34.1
9merのプローブの組合せ 48.3 23.1
8merのプローブの組合せ 47.8 19.0
7merのプローブの組合せ 4.6 14.9
6merのプローブの組合せ 0 10.6
前記表3ならびに図8に示すように、-ΔΔG°25の向上に伴ってライゲーション効率が高くなっていることから、前記実施例1と同様に、両者の間に相関関係があることがわかる。具体的には、-ΔΔG°25の向上に伴ってライゲーション効率がシグモイド型に向上しており、-ΔΔG°25がほぼ20となった時点で、ライゲーション効率は安定化している。したがって、例えば、直鎖状ssDNAとadapterとが二重鎖結合を形成する長さを、-ΔΔG°25に応じて決定すれば、高いライゲーション効率で環状化を行うことができる。
(実施例4)
実施例1〜実施例3において得られたライゲーション効率と「-ΔΔG°25」の結果(図4、6、8)を、図9のグラフに合わせて示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットは、図4、6、8と同様である。
実施例1〜実施例3において得られたライゲーション効率と「-ΔΔG°25」の結果(図4、6、8)を、図9のグラフに合わせて示す。同図において、X軸はライゲーション効率(%)、Y軸は-ΔΔG°25をそれぞれ示し、各プロットは、図4、6、8と同様である。
図示のように、実施例1〜3は、ssDNAおよびadapterの配列や長さが異なるが、真の自由エネルギー「ΔΔG°25」のマイナス値「-ΔΔG°25」が約10〜20kcal・mol-1 の範囲で、ライゲーション効率の著しい上昇が見られる。これらの結果から、自由エネルギーによってライゲーション効率の向上を実現できる点、すなわち、目的タンパク質の発現のために設計した直鎖状ssDNAの自由エネルギーと、所望の自由エネルギー(ΔΔG°25)とを算出し、そのデータに基づいて最終的にadapterの配列を決定することによって、高い効率のライゲーションを達成できる点がわかる。また、ssDNA、adapterの自由エネルギーや、見かけの自由エネルギーは、前述のように既存のソフトやデータベース等によって算出できる。
具体的には、例えば、まず、安定且つ高い効率でライゲーションが行わるために必要な「-ΔΔG°25」を設定しておき(例えば、20kcal・mol-1)、環化させる直鎖状ssDNAの配列データから、それ自身の自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))を算出する。そして、「-ΔΔG°25」、算出した「ΔG°25(ssDNA)」、および前記式(1)から、前記式(2)で示される「ΔG°25(duplex)-ΔG°25(adapter)」を算出する(算出値X)。そして、adapterを設計し、その配列情報をデータベースで処理し、前記算出値Xを満たすadapterを選択すれば、どのような直鎖状ssDNAを環化させる場合にも、高いライゲーション効率を実現できるのである。
このように、本発明の製造方法によれば、自由エネルギーに基づいてポリヌクレオチドを設計することによって、優れたライゲーション効率で環状ssDNAを製造することができる。
Claims (12)
- 環状一本鎖DNAを製造する方法であって、
直鎖状一本鎖DNAと、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチドとを準備する工程、
一つの直鎖状一本鎖DNAに対して一つのポリヌクレオチドを結合させ、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端領域および3'末端領域に、前記ポリヌクレオチドの結合による部分的な二本鎖を形成することによって、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端と3'末端とを隣接させる工程、および、
前記直鎖状一本鎖DNAの隣接した5'末端と3'末端とを結合させて、前記直鎖状一本鎖DNAを環化させる工程を含み、
前記ポリヌクレオチドを準備する工程において、
予め、直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')およびポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')の少なくとも一方を変化させて、直鎖状一本鎖DNAの5'末端と3'末端とが結合により環化するライゲーション効率と、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、
これらの値を下記式(1)に代入して、下記式(2)で表される、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけの自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、
この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする。
-ΔΔG°25 =-{ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) - ΔG°25(ssDNA)}
・・・(1)
ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) ・・・(2)
前記式(1)および式(2)において、ΔΔG°25は、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー、ΔG°25(duplex)は、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけの自由エネルギーであり、ΔG°25(adapter)は、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギーであり、ΔG°25(ssDNA)は、環化させる直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギーである。 - 前記式(1)における自由エネルギー(ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)が、20kcal・mol-1以上である請求項1記載の製造方法。
- 前記直鎖状一本鎖DNAの塩基数が、50〜300merの範囲である請求項1または2記載の製造方法。
- 前記ポリヌクレオチドの塩基数が、10〜50merの範囲である請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記ポリヌクレオチドの配列における、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列の割合が、10〜80%の範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記直鎖状一本鎖DNAを準備する工程において、製造の目的である環状一本鎖DNAの環状塩基配列から、前記環状一本鎖DNAをいずれか一箇所で切断した際に得られる直鎖状一本鎖DNAの立体構造を予測し、前記立体構造が、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端と3'末端とが隣接するループ構造をとるように、前記直鎖状一本鎖DNAの塩基配列を設定する請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 直鎖状一本鎖DNAの塩基配列からΔG°25(ssDNA)を、前記ポリヌクレオチドの塩基配列からΔG°25(adapter)を、前記直鎖状一本鎖DNAの塩基配列と前記ポリヌクレオチドの塩基配列とからΔG°25(duplex)を、それぞれ算出する請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記自由エネルギー(ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)をX軸、ライゲーション効率をY軸として表した場合、前記検量線がシグモイド型を示す請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 所望のライゲーション効率を10〜80%に設定する請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 直鎖状一本鎖DNAが、目的タンパク質または目的ぺプチドのコード配列と相補的配列を有している請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 直鎖状一本鎖DNAの塩基配列が、目的の環状ベクターをいずれか一箇所で切断した際の塩基配列である請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1に記載の環状一本鎖DNAの製造方法に使用する、前記直鎖状一本鎖DNAの5'末端領域および3'末端領域に相補的な配列を有するポリヌクレオチドの配列を決定する方法であって、
予め、直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA)')とポリヌクレオチドの自由エネルギー(-ΔG°25(adapter)')とを変化させて、直鎖状一本鎖DNAの5'末端と3'末端とが結合して環化するライゲーション効率と、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギー(ΔΔG°25')のマイナス値(-ΔΔG°25')との関係を示す検量線を準備し、
前記検量線から、環化させる目的の直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギー(ΔG°25(ssDNA))に応じて、所望のライゲーション効率を示す前記自由エネルギー(-ΔΔG°25)のマイナス値(-ΔΔG°25)を設定し、
これらの値を下記式(1)に代入して、下記式(2)で表される前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけも自由エネルギー(ΔG°25(duplex))と、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギー(ΔG°25(adapter))との差を求め、
この自由エネルギーの差の値から、これを満たす前記ポリヌクレオチドの配列を決定することを特徴とする配列の決定方法。
-ΔΔG°25 =-{ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) - ΔG°25(ssDNA)}
・・・(1)
ΔG°25(duplex) − ΔG°25(adapter) ・・・(2)
前記式(1)および式(2)において、ΔΔG°25は、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態の真の自由エネルギーであり、ΔG°25(duplex)は、前記直鎖状一本鎖DNAに前記ポリヌクレオチドが結合して部分的な二本鎖を形成した状態のみかけの自由エネルギーであり、ΔG°25(adapter)は、前記ポリヌクレオチドの自由エネルギーであり、ΔG°25(ssDNA)は、環化させる直鎖状一本鎖DNAの自由エネルギーである。
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---|---|---|---|
JP2004095807A JP2005278465A (ja) | 2004-03-29 | 2004-03-29 | 環状一本鎖dnaの製造方法、および環状一本鎖dnaの製造に使用するポリヌクレオチド配列の決定方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008054589A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 環状1本鎖dnaの製造方法 |
US7939299B2 (en) | 2006-08-31 | 2011-05-10 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Nucleic acid amplification method |
-
2004
- 2004-03-29 JP JP2004095807A patent/JP2005278465A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008054589A (ja) * | 2006-08-31 | 2008-03-13 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | 環状1本鎖dnaの製造方法 |
US7939299B2 (en) | 2006-08-31 | 2011-05-10 | Toyo Seikan Kaisha, Ltd. | Nucleic acid amplification method |
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