JP2005272706A - 水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに記録物 - Google Patents

水性インク組成物及びそれを用いたインクジェット記録方法、並びに記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】専用紙に対する印字記録時の高光沢と普通紙に対する印字記録時の高発色を両立した水性インク組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の水性インクは、着色剤を分散樹脂により分散した色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記色材分散体が着色剤を水溶性樹脂により分散したものであり、前記弱アルカリ化剤と保湿剤が相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせでインクを作成することにより、インク吐出の安定性とインクの保存安定性を確保し、更に普通紙に対する印字記録時の高発色と、専用紙に対する印字記録時の高光沢を両立した水性インク組成物を提供することが可能となった。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水性インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物に関する。
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行なう印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速で印刷可能であるという特徴を有する。
インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色剤及び目詰まり防止等の目的でグリセリン等の保湿剤を含有したものが一般的である。インクジェット記録用インク組成物に用いられる着色剤としては、色剤の彩度の高さ、利用できる色剤の種類の豊富さ、水への溶解性等の理由から水溶性染料が数多く使用されている。
しかし、染料は耐光性及び耐水性等の諸特性に劣ることがあり、よって染料系のインク組成物により印刷された印刷物は、耐光性及び耐水性に劣ることになる。耐水性については、インク吸収層を有するインクジェット専用記録媒体によって改善されているが、普通紙については未だ充分とは言い難い。
それに対して、顔料は染料に比べて耐光性及び耐水性に優れており、近年、耐光性及び耐水性を改善する目的でインクジェット記録用インク組成物の着色剤としての利用が検討されている。
しかしながら、顔料を着色剤として使用した水系インク組成物の場合、光沢を得るために表面の滑らかな吸収層を有する専用記録媒体へ印字した場合には、印字面の光沢が染料を使用したインクより確保し難いという問題もある。また、顔料は一般に水には不溶であるため、顔料を水系インクに利用する場合には、顔料を水溶性樹脂等の分散剤と共に混合し、水に安定分散させた後にインク組成物として調製する必要がある。
顔料が水系に安定的に分散するためには、顔料の種類、粒径、用いる分散剤の種類、及び分散手段等を検討する必要があり、これまで多くの分散方法及びインクジェット記録用インクが提案されている。例えば、カーボンブラックを界面活性剤や高分子分散剤で分散した水性顔料インクが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、水、スチレン−マレイン酸共重合体、ε−カプロラクタム、及び顔料からなるインク組成物が提案されている(特許文献3参照)。
また、水性媒体、スチレン−マレイン酸共重合体、及び銅フタロシアニン顔料を含有するインク組成物が提案されている(特許文献4参照)。
また、分散樹脂の酸基の60モル%以上がアルカリ性の中和剤で中和された樹脂を用いた水性インクが提案されている(特許文献5、特許文献6参照)。
さらに、インクにpH緩衝剤や尿素誘導体を添加してインクのpHを一定範囲に維持する工夫がなされたインク組成物が提案されている(特許文献7、特許文献8参照)。
特開昭64−6074号公報 特開昭64−31881号公報 特開平3−252467号公報 特開平3−79680号公報 特開平8−183920号公報 特開平9−40895号公報 特開平6−25575号公報 特開2002−173621号公報
上述の様に顔料をインクジェット記録用インク組成物に用いるためには、水中に安定的に分散させて長期間それを保持することが重要であるが、上記の従来技術(特許文献1〜特許文献4)は満足いくものではなかった。
また、インクジェット記録方法に用いるインクには、着色剤以外にインクジェット記録方法における種々の特性を最適化するために各種の添加剤、特には水溶性有機溶剤が添加される。その水溶性有機溶剤としては、乾燥を防止する保湿剤、インク組成物の表面張力を下げて記録媒体への浸透性を制御する浸透溶剤や界面活性剤等がある。これらの溶剤の中には分散している着色剤に影響してその分散性を阻害し、インク組成物の保存安定性を阻害する場合がある。特に、疎水性表面を有する顔料表面や分散樹脂中の疎水性部分に対して親和性の強い溶剤でこれらの影響が出やすいという問題があった。また、このような影響が出た場合、顔料表面から分散剤である分散樹脂が遊離してインク中に溶解してしまい、これをインクジェット記録用インクとして用いた場合にプリンタヘッドからのインク吐出が不安定となってしまうという問題、これらの点があった。
上記の従来技術(特許文献5、特許文献6)に記載された、分散樹脂の酸基の60モル%以上がアルカリ性の中和剤で中和された樹脂を用いた水性インクでは、使用する水溶性有機溶剤の種類によっては、分散樹脂と水溶性有機溶剤とが影響し合うことによって、保存安定性や吐出安定性、及び普通紙上での発色性が低下するという問題があった。
一方、上記の従来技術(特許文献7、8)では、インクの保存安定性の確保にはある程度の効果を有しているが、専用紙上の印字記録における高光沢を改善できるものではなかった。
従って、本発明は上述の問題点を解決するものであり、顔料インクにおいて、専用紙への印字記録時の高光沢と普通紙への記録時の高発色を両立するものであり、しかも、インク吐出の安定性とインクの保存安定性を確保したインク組成物を提供することを目的としている。
本発明の水性インク組成物は、着色剤を分散樹脂により分散してなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記色材分散体が着色剤を水溶性樹脂により分散したものであり、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤と、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が、相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、着色剤を分散樹脂により分散してなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、浸透性有機溶剤、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記色材分散体が着色剤を水溶性樹脂により分散したものであり、前記弱アルカリ化剤、保湿剤、浸透性有機溶剤と、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が、相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記弱アルカリ化剤が、有機アミン、有機酸塩及び有機緩衝剤から選ばれる少なくともいずれかの化合物を含んでなることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記浸透性有機溶剤が、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体からなる群から選ばれることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記色材分散体が、水溶性樹脂により分散されたカーボンブラックであることを特徴とする。
本発明の水性インク組成物は、前記色材分散体が、水溶性樹脂により分散された有機顔料であることを特徴とする。
本発明のインクジェット記録方法は、上述に記載の水性インク組成物の液滴を吐出して、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行なうことを特徴とする。
本発明の記録物は、上述に記載の水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷したことを特徴とする。
以下に本発明の水性インク組成物の構成要素を説明する。
[色材分散体]
本発明に水性インク組成物に用いる色材分散体は、水溶性の分散樹脂により分散された顔料であることが好ましい。
本発明で用いることができる好ましい顔料の具体例としては、カーボンブラックとしてまた、顔料としては、カーボンブラック、有機顔料、等を挙げることができる。
本発明で好ましいカーボンブラックの具体例としては、三菱化学株式会社製のカーボンブラックとして、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No2200B等が挙げられる。デグサ社製のカーボンブラックとして、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250等が挙げられる。コロンビアカーボン社製のカーボンブラックとして、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700等が挙げられる。キャボット社製のカーボンブラックとして、キャボット社製のリガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12等が挙げられる。なお、これらは本発明に好適なカーボンブラックの一例の記載であり、これらによって本発明が限定されるものではない。これらのカーボンブラックは一種又は二種以上の混合物として用いてよい。また、これらの顔料は水性インク組成物全量に対して0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%の添加が好ましい。
本発明で好ましい有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料又はアゾ系顔料等が挙げられる。
本発明による水性インク組成物に用いられる有機顔料の具体例としては下記のものが挙げられる。
シアンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60等;C.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくは、C.I.ピグメントブルー15:3、15:4、及び60からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はシアンインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%で含有してなる。
マゼンタインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントレッド122、202、及び209、C.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はマゼンタインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
イエローインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14C、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、119、110、114、128、129、138、150、151、154、155、180、185、等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、及び138からなる群から選択される一種又は二種以上の混合物である。また、これらの顔料はイエローインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
オレンジインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ36もしくは43又はこれらの混合物である。また、これらの顔料はオレンジインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。
グリーンインク組成物に使用される顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7、36もしくは47又はこれらの混合物である。また、これらの顔料はグリーンインク組成物に対して0.5重量%〜15重量%程度、好ましくは1重量%〜10重量%程度含有してなる。これらの顔料は、分散剤によって水性媒体中に分散させた顔料分散液として用いられる。
上記顔料を分散する分散剤としては、専用紙上での光沢性を向上する為に、水溶性の樹脂分散剤を使用することが好ましい。このような樹脂分散剤としては、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体樹脂、具体的には、アクリル酸系分散剤、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、又はスチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、マレイン酸系分散剤、例えば、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、又はスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、スルホン酸系分散剤、例えば、アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、又はアクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体、あるいはこれらの塩を挙げることができる。好ましい分散剤は、樹脂分散剤、特には、スチレンアクリル酸共重合体分散剤であり、重量平均分子量(以後単に分子量と称す)が1600〜25000で、酸価が100KOHmg/g〜250KOHmg/gの共重合体分散剤を使用するのが特に好ましい。
前記のスチレンアクリル酸共重合体分散剤は市販されており、具体的には、ジョンソンポリマ−株式会社製の分散剤、例えば、ジョンクリル68(分子量=10000;酸価=195KOHmg/g)、ジョンクリル678(分子量=8500;酸価=215KOHmg/g)ジョンクリル679(分子量=7000;酸価=200KOHmg/g)、ジョンクリル680(分子量=3900;酸価=215KOHmg/g)、ジョンクリル682(分子量=1600;酸価=235KOHmg/g)、ジョンクリル550(分子量=7500;酸価=200KOHmg/g)、ジョンクリル555(分子量=5000;酸価=200KOHmg/g)、ジョンクリル586(分子量=3100;酸価=105KOHmg/g)、ジョンクリル683(分子量=7300;酸価=150KOHmg/g)、又はB−36(分子量=6800;酸価=250KOHmg/g)、ジョンクリル61J(ジョンクリル68の30.5重量%水溶液)、ジョンクリル62(ジョンクリル679の34.0重量%水溶液)等を用いることができる。
樹脂分散剤の含有量は、使用するカーボンブラック及び有機顔料の種類及び含有量によって異なり、特に限定されるものではないが、重量比(顔料全体:樹脂分散剤)が20:1〜5:2の範囲であるのが好ましい。
樹脂分散剤の含有量が前記の比率より低くなると、インク組成物を放置した場合の経時的な顔料の分散安定性(凝集発生、粘度特性劣化)が悪化することがあり、この比率より高くなるとインク組成物が乾燥した場合に必要となる再分散性を得ることができないことがある。
前記の樹脂分散剤内のアクリル酸部分で塩を形成させることにより、その樹脂分散剤を溶解させるのが好ましい。この目的で使用するアルカリ中和剤としては、アクリル酸部分のカウンターイオンを提供することのできる化合物、例えば、アミノメチルプロパノール、2−アミノイソプロパノール、トリエタノールアミン、モルホリン、及び/又はアンモニア水等を挙げることができる。アルカリ中和剤の含有量は、カウンターイオンとして前記樹脂分散剤を中和することのできる量(中和当量)又はそれ以上であることができ、中和当量のほぼ1.3倍の量で含有すると、印字後の定着性の点から好ましい。更に、プロピレングリコ−ル、及び/又はイソプロパノールなどを樹脂分散剤の溶解肋剤として用いることもできる。
また、これら色材分散体は、インクの保存安定性やノズルの目詰まり防止等の観点から、その平均粒子径が50〜250nmの範囲であることが好ましい。
さらに、これらの色材分散体は、2〜15重量%の範囲で本発明のインク中に含有されることが好ましい。含有量が2重量%未満では印字濃度(発色性)が不充分である場合があり、また15重量%よりも大きいとノズルの目詰まりや、吐出の不安定を起こす等の信頼性に不具合が生じる場合がある。
[弱アルカリ化剤]
本発明のインク組成物において、専用紙への印字における光沢性を確保する目的で、インク組成物がアルカリ性に調整されていることが望ましい。但し、普通紙上での発色を確保する観点から、インクのpHは10.5以下であることが好ましく、より好ましくは9.5以下である。また、インクジェット記録装置において、インク組成物の流路に金属が用いられている場合は、インク組成物が酸性であると金属の腐食が生じることがあるので、本発明の水性インク組成物は中性又はアルカリ性(pHが7.0以上)に調整されていることが望ましい。
上記観点から本発明のインクのpHは7.5〜9.5の範囲であることが好ましく、より好ましくは8.0〜9.0の範囲である。
本発明のインク組成物を上記pHの範囲に調整するためには、水性インク組成物は弱アルカリ化剤によりpHを調整されていることが好ましい。インクをはアルカリ性に調整するために水酸化ナトリウム等の強アルカリ性化合物を用いると、未中和基が酸基(カルボン酸基、スルホン酸基等)である場合、酸基の中和が進んでしまう恐れがある。本発明では弱アルカリ化剤を用いることで、前記分散樹脂の中和率を大きく変えずに水性インク組成物を中性又はアルカリ性に保つことができ、より信頼性の高い水性インク組成物を提供することができる。
前記弱アルカリ化剤としては、有機酸塩、有機アミン、及び有機緩衝剤から選ばれる化合物が挙げられる。有機酸塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩等のアルキルカルボン酸の塩類、乳酸塩、グリコール酸塩、グリセリン酸塩、もしくは、アルキルカルボン酸類のアルカリ金属塩であり、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等を挙げることができる。有機アミンとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−エチル−2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−(2−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができる。有機緩衝剤としては、トリス緩衝液やグッド緩衝液が使用でき、具体的には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス−塩酸塩、トリス−マレイン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン、「ACES」:N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、「BES」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、「Bicine」:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、「CAPS」:N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、「CAPSO」:N−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸、「CHES」:N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸、「DIPSO」:3−[N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、「EPPS」:3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸、「HEPES」:2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸、「HEPPSO」:2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・一水和物、「MES」:ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)・二水和物、「TAPS」:N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TAPSO」:2−ヒドロキシ−N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、「TES」:N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノエタンスルホン酸、「Tricine」:N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン等を挙げることができる。
弱アルカリ化剤の添加量は、所望のインクpHに合わせて適宜設定することができ、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
[アセチレングリコール系界面活性剤]
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体からなる界面活性剤を含んでいる。アセチレングリコール系界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるために用いている。また、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤は、起泡性が少ない、あるいは無い特性を持ち、本発明の水性インク組成物をインクジェット記録方法により用いる際に特に有用である。本発明において好ましいアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤の具体例としては、Air Products and Chemicals. Inc.社製のサーフィノール61、82、104、440、465、485、又はTG、日信化学工業株式会社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等、川崎ファインケミカル株式会社製のアセチレノールE00、アセチレノールE00P、アセチレノールE40、アセチレノールE100等が挙げられる。
アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤の添加量は所望のインク乾燥時間で適宜決定されてよいが、水性インク組成物全量に対して0.01重量%〜10重量%が好ましい。
[保湿剤]
本発明による水性インク組成物は保湿剤を含んでおり、保湿剤は水性インク組成物の乾燥を抑制するため、プリンタヘッドノズル先端の乾燥による水分蒸発を抑制して、水性インク組成物の凝集・固化を防止するために添加される。
保湿剤は、水溶性で吸湿性の高い材料から選ばれ、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクラム類、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類を用いることができる。
さらに、上述の保湿性有機溶剤の能力を補助する目的で、水溶性の固体保湿剤を併用、添加することも可能である。詳しくは、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等の尿素誘導体、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の単糖類、二糖類、オリゴ糖類及び多糖類及びこれらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖、酸化糖、アミノ酸、チオ糖等が挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビット等が挙げられる。
これらの保湿剤の添加量は、単独あるいは複数混合して、水性インク組成物全量に対して1重量%〜40重量%が好ましく、より好ましくは1重量%〜30重量%である。これらの保湿剤は、他のインク添加剤と合わせてインク粘度が25℃で25cPs以下になる添加量で加えることができる。
なお、保湿剤及び上述の弱アルカリ化剤と、上述のアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体からなるアセチレングリコール系界面活性剤は相互に溶解する少なくとも一種の組み合わせで用いることが好ましい。このような組み合わせにすることで、特に専用紙への印字記録時に粒状間のない高光沢の印字記録物を得ることができる。
[浸透性有機溶剤]
本発明による水性インク組成物は、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が相互溶解する浸透性有機溶剤を含んでいる。さらに、浸透性有機溶剤として、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体から選ばれることがより好ましい。
多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体としては、特にアルキルの炭素数は3以上の多価アルコールの誘導体が好ましい。具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられる。多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体の添加量は、水性インク組成物全量に対して0.5重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
1,2−アルキルジオール類としては、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール等の炭素数が4〜8の1,2−アルキルジオールが好ましい。炭素数6〜8の1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオールは、記録媒体への浸透性が強く、特に好ましい。これら1,2−アルキルジオールの添加量は、水性インク組成物全量に対して0.25重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体としては、2−(2,2−ジエトキシエチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス[2−エチル−1,3−プロパンジオール]等が特に好ましい。これら1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体の添加量は、水性インク組成物全量に対して0.25重量%〜15重量%の範囲で添加することが好ましい。
[添加樹脂]
本発明の水性インク組成物は、分散樹脂とは別に樹脂を添加することができる。本発明で用いる着色剤はその表面が疎水的なために、水中で安定的に分散するために界面活性剤や水性樹脂等の分散剤が必須であるが、本発明の着色剤は別途分散樹脂を用いて分散しているために、後から加える添加樹脂には分散能は不要である。従って、上述の分散樹脂を樹脂単体の樹脂エマルジョンとして添加することも、あるいは分散能がない水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂を用いることができる。
水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂としては、上述の分散樹脂及び分散樹脂原料のモノマーを含む水性樹脂、及びポリビニルアルコール、ポリアリルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン4級塩、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリ乳酸、セラック、変性ロジン、フェノール樹脂・アルカリ塩等、及びこれらの共重合体が挙げられる。
さらに、分子中に水溶性基を有さない油性樹脂を、酸化、スルホン酸付加等により親水化した樹脂を用いることもできる。
添加樹脂のインクへの添加量は、水性インク組成物全量に対して0.5重量%〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。
[1価アルコール化合物]
本発明による水性インク組成物は、1価アルコール化合物を添加することが可能である。ここで1価アルコールとは、水に対する溶解度が20℃で0.5wt%以上で、C1〜C5のアルコール化合物を指す。1価アルコールは、記録媒体へのインク浸透性を速めるために用いている。
本発明に好ましい1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、n−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、tert−ペンタノールなどがあげられ、インク組成物に対して0.5重量%〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。また1価アルコール化合物は、後述の保湿剤と組み合わせで添加して、上述のアセチレングリコール又はそのエーテル誘導体を溶解する少なくとも一種の組み合わせで用いることが好ましい。
[水]
水は、本発明の水性インク組成物の中心となる媒体であり、好ましい水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
また、紫外線照射、又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、水性インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
[その他の成分]
本発明の水性インク組成物は、さらに必要に応じてインクジェット記録用インクに通常用いられる添加物を加えることもできる。
必要に応じて加える添加物としては、界面活性剤、ヒドロトロピー剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、防腐剤・防かび剤等が挙げられる。
界面活性剤は、記録媒体へのインク浸透性を速めるための添加剤である。
好適な材料として、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、シリコン系界面活性剤、燐系界面活性剤、硼素系界面活性剤等を用いることができる。
シリコン系界面活性剤として、BYK−307、BYK−331、BYK−333、BYK−348(商品名、以上いずれもビックケミー株式会社製)等を挙げることができる
ヒドロトロピー剤は、インクの保存安定性や耐目詰まり性を改良するために加えるもので、尿素、チオ尿素、アルキル尿素等を用いることができる。
酸化防止剤・紫外線吸収剤としては、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレット等のビウレット類等、L−アスコルビン酸及びその塩等、チバガイギー社製のTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024等、あるいはランタニドの酸化物等が用いられる。
防腐剤・防かび剤としては、例えば安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等の中から選ぶことができる。
[着色剤の分散方法]
本発明で、着色剤を分散樹脂により分散させる好適な方法は、アニオン性基を含有するポリマーを有機アミンやアルカリ金属塩化合物等のアルカリ性化合物を含有するアルカリ水に溶解、あるいは分散させ、この液と着色剤を混合して、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の分散機を用いて分散することができる。より好ましくは、着色剤と文案ポリマーをより強固に接着して分散安定するために、特開平9−151342号、特開平10−140065号、特開平11−209672号、特開平11−172180号、特開平10−25440号、特開平11−43636号の各公報に開示されている方法によって製造することもできる。
さらに、特開平11−209672号公報及び特開平11−172180号公報には、着色剤の製造方法が開示されている。この製法の概要は、基本的には次の製造工程からなる。
(1)アニオン性基を有するポリマー又はそれを有機溶剤に溶解した溶液と塩基性化合物とを混合して中和することと、(2)この混合液に顔料を混合して懸濁液とした後に、分散機等で顔料を分散して顔料分散液を得ることと、(3)必要に応じて、溶剤を蒸留して除くことと、(4)酸性化合物を加えてアニオン性基を有するポリマーを析出させることによって、顔料をアニオン性基を有するポリマーで被覆することと、(5)必要に応じて、濾過及び水洗を行なうことと、(6)塩基性化合物を加えてアニオン性基を有するポリマーのアニオン性基を中和して水性媒体中に分散させて水性色材分散体を得ること、とを含んでなるものである。
以上のようにして得られる着色剤の水性分散液に、前記した2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び水、さらに必要に応じて前記した水溶性有機溶剤、弱アルカリ剤、その他の成分を添加することによって、水性インク組成物を好適に製造できる。
[インクジェット記録方法及び記録物]
本発明のインクジェット記録方法は、上述の水性インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方式であればいかなる方法も使用することができる。その幾つかを説明すると、先ず静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印可し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式がある。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上の様な種々のインクジェット記録方式の内、特に10m/s以下の比較的低速のインク吐出速度での印刷方法と本発明の水性インク組成物を組み合わせることで、吐出ノズルへのインク付着を防止して安定にインクジェット記録を行なうことができ、好ましい。
また、本発明の記録物は、上記した水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷して得られる。
以下の実施例により本発明の内容を明確に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。また、本発明の水性インク組成物に用いられる分散液を以下に示す方法で調製した。
<分散液の作製>
(1)分散液K1
カーボンブラックとしてMA100(商品名、三菱化学株式会社製) 80g、アニオン性基としてカルボン酸基を有するスチレン−アクリル酸系分散樹脂水溶液としてジョンクリル61J(商品名、ジョンソンポリマー株式会社、平均分子量10,000、酸価195KOHmg/g) 30g、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水 250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度15重量%まで希釈して分散樹脂で分散した分散液K1を調製した。
(2)分散液C1
分散液K1に対して、カーボンブラックを有機顔料のC.I.Pigment Blue 15:3 50gに、分散樹脂の添加量を50gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液C1とする。
(3)分散液M1
分散液K1に対して、カーボンブラックを有機顔料のC.I.Pigment Red 122 100g、分散樹脂の添加量を60gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液M1とする。
(4)分散液Y1
分散液K1に対して、カーボンブラックを有機顔料のC.I.Pigment Yellow 74 90gとし、分散樹脂の添加量を50gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液Y1とする。
(5)分散液C2
有機顔料のC.I.Pigment Blue 15:4 60g、アニオン性基としてカルボン酸基を有するスチレン−アクリル酸系分散樹脂としてジョンクリル62(商品名、ジョンソンポリマー株式会社、平均分子量7,000、酸価200KOHmg/g) 35g、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水 250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度15重量%まで希釈して分散樹脂で分散した分散液C2を調製した。
(6)分散液V1
分散液C2に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Violet 19 80gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液V1とする。
(7)分散液G1
分散液C2に対して、顔料を有機顔料のC.I.Pigment Green 7 50gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液G1とする。
(8)分散液K2
カーボンブラックとしてMA100(商品名、三菱化学株式会社製) 80g、アニオン性基としてカルボン酸基を有するスチレン−アクリル酸系水溶性樹脂としてジョンクリル678(商品名、ジョンソンポリマー株式会社、平均分子量8,500、酸価215KOHmg/g) 30g、水酸化ナトリウム 1.5g、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水 250gを混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行った。得られた分散原液を孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)で濾過して粗大粒子を除き、超純水で顔料濃度15重量%まで希釈して水溶性樹脂で分散した分散液K3を調製した。
(9)分散液C3
分散液K3に対して、カーボンブラックを有機顔料のC.I.Pigment Blue 15:4 50gに代える以外は同様な方法で分散液を作製した。これを分散液C3とする。
<水性インクの調製>
(実施例1)
上述の材料・方法で得た分散液K1を45g、アセチレングリコールとしてサーフィノール104を0.2g及びサーフィノール465(以上2種共に商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)を1g、弱アルカリ化剤としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを2g、保湿剤としてトリエチレングリコールを20g、2−ピロリドンを4g、さらに超純水を加えて全量を100gとして2時間攪拌、孔径約8μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して水性インク組成物を調製した。
(実施例2〜13)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例1)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
(比較例2)
実施例1に対して、表1の組成に変更する以外は同様な方法でインクを作製した。
実施例1〜13及び比較例1〜2の組成を表1にまとめて示す。
Figure 2005272706
<評価方法>
(保存安定性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物を60℃で2週間放置と1ヶ月放置、及び凍結で1週間放置して、インク調製直後の粘度と放置後の値を比較した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:変動幅が±6%未満
B:変動幅が±6%以上、±10%未満
C:変動幅が±10%以上
(吐出安定性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で文字・塗りつぶしが混在する画像を連続的に印刷して、印刷中の画像に飛行曲がりや抜け等の不具合の有無を目視にて測定した。判定基準は以下の通りである。
判定AA:200枚まで連続印刷しても、飛行曲がり・抜けが発生しない
A:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生しない
B:100枚までの連続印刷で、飛行曲がり・抜けが発生したが10箇所未満であ

上記実施例及び比較例の評価結果を表2にまとめて示す。
(専用紙印字の光沢性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「写真用紙<光沢>」(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に写真画像パターンを印字して、その非印字領域と印字領域の光沢性の差を目視により評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:非印字領域と印字領域で光沢性にほとんど差がなく全く問題ないレベルである
B:非印字領域と印字領域に若干差がある。その差は実用上問題ないレベルである
C:非印字領域と印字領域で光沢性の差があり、印字領域の光沢性が劣っているの
が確認できる
(普通紙印字の発色性)
実施例1〜13及び比較例1〜4の水性インク組成物をインクジェットプリンタであるPX−V700(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に搭載した。25℃/40%RHの環境下で「Xerox4024」(商品名:Xerox Co.(米国))にベタパターンを印字して、その発色性を評価した。判定基準は以下の通りである。
判定 A:印字領域において紙繊維が目立つことなく、よく発色しており、全く問題無い
レベルである
B:印字領域において若干紙繊維の浮きが見受けられる。但し、発色は良く、実用
上問題ないレベルである
C:印字領域において紙繊維が目立ち、発色性が悪い
上記実施例及び比較例の評価結果を表2にまとめて示す。
Figure 2005272706
表2に示した様に、本発明の実施例1から13のインクは、比較例1〜2のインクに対していずれも専用紙の光沢性と普通紙の発色性を両立しており、かつインクの保存安定性と吐出安定性も良好なインク組成物を供給することが可能になった。
さらに、浸透性有機溶剤として、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体を併用した実施例3、4、5、7、11、12、13は、特に優れた吐出安定性が得られた。
なお、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本発明の水性インク組成物は、専用紙の光沢性と普通紙の発色性を両立しており、しかも保存安定性・吐出安定性を確保している為、特にインクジェット記録用インクとして用いるのに適している。

Claims (8)

  1. 着色剤を分散樹脂により分散してなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記色材分散体が着色剤を水溶性樹脂により分散したものであり、前記弱アルカリ化剤及び保湿剤と、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が、相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする水性インク組成物。
  2. 着色剤を分散樹脂により分散してなる色材分散体、弱アルカリ化剤、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体、保湿剤、浸透性有機溶剤、及び水を含んでなるアルカリ性の水性インク組成物であって、前記色材分散体が着色剤を水溶性樹脂により分散したものであり、前記弱アルカリ化剤、保湿剤、浸透性有機溶剤と、アセチレングリコール又はそのエーテル誘導体が、相互溶解する少なくとも一種類の組み合わせを含んでいることを特徴とする水性インク組成物。
  3. 前記弱アルカリ化剤が、有機アミン、有機酸塩及び有機緩衝剤から選ばれる少なくともいずれかの化合物を含んでなることを特徴とする請求項1又は2に記載の水性インク組成物。
  4. 前記浸透性有機溶剤が、多価アルコールのグリコールモノエーテル誘導体、1,2−アルキルジオール類、1,3−プロパンジオール骨格を有する誘導体からなる群から選ばれることを特徴とする請求項2又は3に記載の水性インク組成物。
  5. 前記色材分散体が、水溶性樹脂により分散されたカーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  6. 前記色材分散体が、水溶性樹脂により分散された有機顔料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性インク組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性インク組成物の液滴を吐出して、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行なうインクジェット記録方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性インク組成物をインクジェット記録方法にて印刷した記録物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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