JP2005271337A - インク補充装置およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インクの消費量を予測する手段と、インクの蒸発量を予測する手段と、前記予測手段による予測結果に基づいて、各色のインク毎に高濃度インクおよびインク希釈液の補充量を演算する演算手段と、この演算結果に基づいて、高濃度インクおよびインク希釈液を補充する補充手段と、少なくとも1色のインクの濃度を検出する手段と、少なくとも1色のインクの量を検出する手段と、濃度およびインク量の検出結果に基づいて、前記予測手段を補正する補正手段とを有することにより、前記課題を解決する。
【選択図】図5
Description
静電式のインクジェット記録装置では、通常、所定濃度のインクをインクタンクに貯留しておいて、インクタンクからインクジェットヘッドにインクを供給し、吐出されなかったインクをインクタンクに戻す、所定の循環経路でインクを循環して、描画を行う。
また、適正な描画を行うためには、インク濃度が適正で有ることが重要である、そのため、通常は、高濃度インクと希釈液とを用い、両者の量比を調整してインクの補充を行って、インクを所定の濃度範囲に維持する。特に、色材を含有し、かつ帯電した粒子(以下、色材粒子とする)をキャリア液に分散してなるインクを用いる静電式のインクジェットでは、静電力等による泳動で吐出部(ノズル)に色材粒子を移動してインク液滴を吐出、すなわちインクに静電力を作用させてインクを濃縮した状態でインク液滴を吐出するので、安定して適正な描画を行うためには、インク濃度の管理は重要である。
また、特許文献2には、同様の循環経路を有する静電式のインクジェット記録装置において、吐出した液滴数をカウントすると共に、インクタンク内におけるインク量(インクレベル)を計測し、インクレベルの低下時に吐出液滴数のカウント結果からインク又は補充液の補充量を決定して、補充するインク濃度維持システムが開示される。
他方、吐出した液滴数をカウントして補充量を決定する方法では、インク液滴の量など吐出量がバラついた際には適正に対応することができず、正確なインク補充を行うことができない。また、この方法を前述のような色材粒子を用いる濃縮型の静電式インクジェットに利用すると、濃縮のバラツキが生じた際にも適正に対応することができず、この点でも正確なインク補充を行うことができない。
従って、本発明のインク補充装置を利用する本発明のインクジェット記録装置は、装置構成の簡易化およびコストダウンを図った上で、適正に濃度管理されたインクによって高画質なカラー画像を安定して描画することができる。また、インク補充後のインクレベルおよび濃度検出結果を参照することで、インクジェットヘッドの異常も検出することができる。
このインクジェット記録装置10は、色材を含む帯電した微粒子(以下、色材粒子とする)をキャリア液(分散媒)に分散してなるインクQを用い、このインクに静電力を作用させることによりインク液滴を吐出する,静電式のインクジェット記録装置であり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(黒)の4色のインクを用いて、記録媒体にフルカラー画像を描画する。
なお、このようなキャリア液の固有電気抵抗の上限値は1016Ωcm程度であるのが望ましく、比誘電率の下限値は1.9程度であるのが望ましい。キャリア液の電気抵抗が上記範囲であるのが望ましい理由は、電気抵抗が低くなると、低電界下でのインクの吐出が悪くなるからであり、比誘電率が上記範囲であるのが望ましい理由は、誘電率が高くなると溶媒の分極により電界が緩和され、これにより形成されたドットの色が薄くなったり、滲みを生じたりするからである。
色材として用いる顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用することができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公知の顔料を特に限定なく用いることができる。
色材として用いる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、アニリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ペンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染料が好ましく例示される。
これらのうち、粒子形成の容易さの観点から、重量平均分子量が2,000〜1000,000の範囲内であり、かつ多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が、1.0〜5.0の範囲内であるポリマーが好ましい。さらに、前記定着の容易さの観点から、軟化点、ガラス転移点または、融点のいずれか1つが40℃〜120℃の範囲内にあるポリマーが好ましい。
荷電制御剤は、一例として、電子写真液体現像剤に用いられている各種のものが利用可能である。また、「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁(1977年)等に記載の各種の荷電制御剤も利用可能である。
また、色材粒子の荷電量は、好ましくは5〜200μC/g、より好ましくは10〜150μC/g、さらに好ましくは15〜100μC/gの範囲である。
P=100×(σ1−σ2)/σ1
ここで、σ1は、インクQの電気伝導度、σ2は、インクQを遠心分離器にかけた上澄みの電気伝導度である。電気伝導度は、LCRメーター(安藤電気(株)社製AG−4311)および液体用電極(川口電機製作所(株)社製LP−05型)を使用し、印加電圧5V、周波数1kHzの条件で測定を行った値である。また遠心分離は、小型高速冷却遠心機(トミー精工(株)社製SRX−201)を使用し、回転速度14500rpm、温度23℃の条件で30分間行った。
以上のようなインクQを用いることによって、荷電粒子の泳動が起こりやすくなり、濃縮しやすくなる。
また、インクQの表面張力は、15〜50mN/mの範囲が好ましく、より好ましくは15.5〜45mN/mさらに好ましくは16〜40mN/mの範囲である。表面張力をこの範囲とすることによって、制御電極に印加する電圧が極端に高くならず、ヘッド周りにインクが漏れ広がり汚染することがない。
さらに、インクQの粘度は0.5〜5mPa・secが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0mPa・sec、さらに好ましくは0.7〜2.0mPa・secである。
(1)色材あるいはさらに分散樹脂粒子をあらかじめ混合(混練)した後、必要に応じて分散剤を用いてキャリア液に分散し、荷電調整剤を加える方法。
(2)色材、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、キャリア液に同時に添加して、分散し、荷電調整剤を加える方法。
(3)色材および荷電調整剤、あるいはさらに分散樹脂粒子および分散剤を、同時にキャリア液に添加して、分散する方法。
0は、記録媒体Pの取出部を前方にして、筐体26の内部に挿入されて、後端部(前記取出部と逆端側)を若干筐体から突出した状態で、所定の装填部に装填される。
また、フィードローラ32は、前記装填部に装填された給紙トレイ30の取出部に対応して配置される半月ローラである。
記録後の記録媒体Pは、搬送手段14により搬送されて排出部から排出され、排出トレイ34内に順次積層されて収容される。
フィードローラ32により給紙トレイ30から取り出された記録媒体Pは、次いで、搬送ローラ対36により挟持搬送され、搬送ベルト38表面の帯電装置44(スコロトロン帯電器44a)に対面する所定の位置に供給される。
この搬送ベルト38は、表面(記録媒体Pの静電吸着面)が絶縁性で、裏面(ローラ40との接触面)が導電性となっている。また、ローラ40のうちの少なくとも1つは、図示していない駆動源に接続されており、記録時には所定の速度で回転駆動され、これにより搬送ベルト38も記録媒体Pの搬送方向(図中矢印方向)に回転する。
搬送ベルト38内側の記録手段16(ヘッドユニット60)に対応する位置には、搬送ベルト38の内面に接触して、平板状の導電性プラテン42が配置されている。
この位置に搬送された記録媒体Pの表面は、スコロトロン帯電器44aにより所定の負の高電位(例えば、約−1.5kV)に均一に帯電される。搬送ベルト38の表面は絶縁性であり、この負の高電位の帯電により、記録媒体Pは、搬送ベルト38の表面に静電吸着され、搬送ベルト38の回転によって、同方向に搬送され、記録手段16に搬送され描画に供される。記録手段16については、後に詳述する。
また、記録媒体Pに帯電した負の高電位は、後述する静電式のインクジェットにおけるインク液滴吐出のバイアス電圧として作用し、さらに、搬送ベルト38による記録媒体Pの搬送は、インクジェット記録における記録媒体Pの走査搬送(主走査)となる。
除電装置46は、コロトロン除電器46aと、高圧電源46bとを備えている。コロトロン除電器46aは、搬送ベルト38の表面に対向する位置に配置されている。また、高圧電源46bの一端はコロトロン除電器46aに接続され、他端は接地されている。
記録後の記録媒体Pは、コロトロン除電器46aにより除電される。これにより、記録媒体Pを、搬送ベルト38から分離し易くなる。
定着ローラ対52は、少なくとも一方がヒートローラとなっている搬送ローラ対である。記録媒体Pは、定着ローラ対52により挟持搬送されつつ、静電式のインクジェットによって記録された画像が加熱定着される。
画像を定着された記録媒体Pは、定着ローラ対52によって排出部から排出され、排出トレイ34内に、順次、積層される。
記録手段16は、静電式のインクジェットによって、記録媒体Pに画像を記録するものであり、ヘッドユニット60と、ヘッドドライバ62と、記録媒体Pの位置検出装置64とを備えている。
従って、図示例の記録装置10においては、Y、M、CおよびKの各記録ヘッド70に、それぞれ対応して、後述するインク循環手段18およびインク補充手段24が備えられる。図示例において、各色の記録ヘッド70に対するこれらの部位は、例えば、図1紙面に垂直方向に配列して、配置される。
なお、本発明のインクジェット記録装置は、このようなラインヘッドを用いるものに限定はされず、記録媒体Pを断続的に搬送しつつ、この搬送に同期して、記録ヘッドを搬送方向と直交方向する方向に走査する、いわゆるシャトルタイプの記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置であってもよい。
記録装置10においては、前述のように、帯電手段44によって負の高電圧に帯電(バイアス電圧を帯電)されて搬送ベルト38に静電吸着された記録媒体Pを、搬送ベルト38によって搬送しつつ、ヘッドドライバ62による制御の下、記録画像すなわち供給された画像データに応じて記録ヘッド70の各吐出部を変調駆動して吐出をon/offすることにより、インク液滴Rをオンデマンドで吐出して、記録媒体Pに目的とするフルカラー画像を記録する。
ヘッド70において、ヘッド基板72と吐出基板74は、互いに対面して所定の間隔離間して配置され、その間に、各吐出口96にインクQを供給するためのインク流路78が形成される。インクQは、インク循環手段18によってインク流路78を含む所定の経路で循環され、記録時には、インク流路78内を所定方向に所定の速度(例えば、200mm/sのインク流)で、例えば、図中矢印a方向に流される。
浮遊導電板80には、画像の記録時に、後述する第1制御電極82および第2制御電極84に印加される駆動電圧に応じて誘起される誘導電圧が発生する。また、誘導電圧の電圧値は稼動チャンネル数に応じて自動的に変化する。この誘導電圧により、インク流路78内のインクQに含まれる色材粒子は付勢されて吐出基板74側に泳動し、すなわち、後述する吐出口96のインクQの濃縮が、より好適に行われる。
ヘッド70においては、互いに対応する第1制御電極82、第2制御電極84、吐出口96、およびインクガイド76等によって、1つのインクの吐出部が構成される。
なお、第1制御電極82および第2制御電極84はリング状の円形電極に限定されず、インクガイド76に臨むように配置される電極であれば、例えば略円形電極、分割円形電極、平行電極、略平行電極など、どのような形状であっても良い。
ヘッド70は、ラインヘッドであり、この行方向に記録媒体Pの幅方向に対応する吐出部の列(ノズル列)を有している。従って、4つのヘッド70は、行方向を図1紙面と垂直方向に一致した状態で、列方向に配列され、記録媒体Pは搬送ベルト38によって、列方向に(主走査)搬送される。
各行の吐出部は、列方向に対して所定の間隔離間して配置される。また、各行は、吐出部を行方向に互いに1/3ピッチずらして、自身の吐出部が他行の吐出部の間(行方向の間)に位置するように配置される。
また、図3(B)に示すように、同じ列に配置された吐出部の第1制御電極82は、相互に接続され、かつ、図3(C)に示すように、同じ行に配置された吐出部の第2制御電極84は、相互に接続されている。
さらに、図示は省略するが、第1制御電極82および第2制御電極84は、それぞれ、駆動電圧(パルス電圧)を印加して、各電極を変調駆動してインク液滴Rの吐出をon/offするための、パルス電源に接続されている。
また、記録媒体Pに記録される1行は、列方向に対して、第2制御電極84の行数に相当する3つのグループに分割され、A行、B行およびC行の各行によって、時分割で順次記録される。
例えば、図2に示す例の場合、第2制御電極84のA行目、B行目、C行目を所定のタイミングで順次onする。この駆動に対応して、第1制御電極82を画像データ(記録画像)に応じて変調駆動(on/off)することにより、時分割した3回の記録によって、記録媒体P上に1行分の描画が行われる。前述のように、記録媒体Pは、列方向に搬送されるので、行方向(副走査方向)に、各行の有する記録密度(吐出部密度)の3倍の記録密度の描画を行うことができる。
ガード電極88には所定の電圧が印加されており、隣接する吐出部のインクガイド76の間に生じる電界干渉を抑制する役割を果たす。
なお、ガード電極88は必須の構成要素ではない。また、吐出基板74には、第1制御電極82または第2制御電極84からのインク流路78方向への反発電界を遮蔽するために、第2制御電極84よりインク流路78側にシールド電極を設けても良い。
なお、先端部分96(最先端部)は、金属が蒸着されているのが好ましい。この先端部分96の金属蒸着は必須の要素ではないが、これにより、先端部分96の誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせ易くできるという効果がある。
そして、各々の吐出部から吐出されたインク液滴Rは、負のバイアス電圧を帯電された記録媒体Pに引き寄せられ、記録媒体Pの所定位置に付着して画像が形成される。
この場合、列方向は第1制御電極82の1列毎にonされ、列方向のそれぞれの吐出部を中心として、その両側の列の吐出部の第1制御電極82は常に接地レベルになるため、この両側の列の吐出部の第1制御電極26がガード電極88の役割を果す。このように、上層の第1制御電極82で各列を順次オンし、画像データに応じて下層の第2制御電極84を駆動する場合には、ガード電極88を設けなくても、隣接する吐出部の影響を排除し、記録品質を向上させることができる。
位置検出装置64による記録媒体Pの検出結果は、ヘッドドライバ62に供給される。
ヘッドドライバ62には、スキャナやコンピュータ等の外部装置から画像データが入力される。ヘッドドライバ62は、位置検出装置64による記録媒体Pの検出結果を参照して、記録媒体Pが所定位置に搬送された時点で、記録媒体Pの搬送タイミングおよび供給された画像データに応じた各制御電極の駆動信号を、ヘッドユニット60の各ヘッド70(そのパルス電源)に供給する。ヘッド70は、この駆動信号に応じて、前述のように、各行の第2制御電極84を順次駆動し、かつ、各列の第1制御電極82を画像データに応じて変調駆動する。これにより、各色のヘッド70から各色のインクが吐出され、記録媒体Pには、画像データに対応した画像が記録される。
なお、以下の例では、色材粒子は正荷電しており、従って、吐出onでは第1制御電極82および第2制御電極84には、正の駆動電圧が印加され、記録媒体Pには、負の高電圧(バイアス電圧)が帯電される。
また、前述のように、記録媒体Pは、帯電装置44によって負の高電圧に帯電されて、搬送ベルト38に静電吸着され、搬送ベルト38の回転によって搬送され、記録手段16のヘッドユニットに対面する位置に至る。
記録媒体Pに帯電する負の高電圧は、静電式のインクジェットにおけるバイアス電圧として作用し、また、記録媒体Pおよび搬送ベルト38は、ヘッド70の制御電極に対する対向電極として作用するのは、前述のとおりである。
また、このクーロン引力等によって、色材粒子は、いわゆる電気泳動でバイアス電圧が帯電された記録媒体Pに向かって移動する。すなわち、吐出口96のメニスカスにおいては、インクQが濃縮された状態となっている。
さらに有限な時間が経過すると曳糸が成長し、この曳糸の成長、レイリー/ウエーバー不安定性によって発生する振動、メニスカス内における色材粒子の分布不均一、メニスカスにかかる静電界の分布不均一等の相互作用によって曳糸が分断され、インク液滴Rとなって吐出/飛翔し、かつ、バイアス電圧にも引っ張られて、記録媒体Pに着弾する。
曳糸の成長および分断は、さらにはメニスカス(曳糸)への色材粒子の移動は、駆動電圧の印加中は連続して発生する。また、駆動電圧の印加を終了(第1制御電極82および第2制御電極84の少なくとも一方をoff)した時点で、バイアス電圧のみが印加された図2(B)のメニスカスの状態に戻る。
記録媒体P上におけるインクの1ドットは、通常、この1回(1パルス)の駆動電圧の印加によるものであり、従って、1ドットは、この1回の駆動電圧の印加によって曳糸から分断して吐出した複数のインク液滴Rによって形成される。
インク循環手段18は、インクタンク100、インク供給路102、およびインク回収路104を有し、インクタンク100〜インク供給路102〜ヘッド70(インク流路78)〜インク回収路104〜インクタンク100の経路で、インクタンク100内のインクQを循環する。
なお、このインクQの循環経路内には、この経路でインクQを循環するためのポンプが配置される。また、インクタンク100は、色材粒子の沈降/堆積を防止するための撹拌手段や、インク吐出の安定性を向上するための温度調節手段を有するのが好ましい。
インク補充手段24は、基本的に、希釈液補充部112、コンク液補充部114、濃度検出手段116、レベル検出手段118を有して構成される。なお、図示例においては、一例として、濃度検出手段116およびレベル検出手段118は、Yインクのインク補充手段24にのみ設けられている。また、全てのインク補充手段24は、制御部120によって制御される。
他方、コンクインク補充部134は、コンクインク(高濃度インク=色材粒子の量が多いインク)を充填するタンクと、コンクインクをインクタンク100に供給するポンプなどを有するものであり、制御部120からの指示に従って、コンクインクをインクタンク100に補充する。
なお、本発明においては、コンクインクの濃度には、特に限定はなく、また、補充用の所定濃度のインクとして前記インクQの目的濃度と同濃度のインクを用いてもよく、さらに、互いに濃度の異なる複数の所定濃度のインクをコンクインクおよび希釈液として用いて補充を行ってもよい。
具体的には、記録装置10において、Yインクのインク供給路102は、一部、ガラス等の光透過性部材で形成される透過部を有する。濃度検出手段116は、発光素子から出射した測定光を光透過部に入射し、光透過部を透過した透過光の光量を受光素子で測定する。濃度検出手段116は、実験やシミュレーション等で予め作成した、透過光の測定結果とYインクの濃度との関係を示すルックアップテーブル(LUT)を有しており、このLUTを用いて、透過光の測定結果からYインクの濃度を求める。あるいは、LUTに変えて、透過光の測定結果をパラメータとする演算式でYインクの濃度を求めてもよい。
本発明において、インクレベルの検出手段には、特に限定はなく、電極棒等を用いる電気的なレベル検出手段、フロートを用いるレベル検出手段、超音波式のレベル検出手段、静電容量式のレベル検出手段等、公知の各種の手段が利用可能である。また、インクレベルの検出ではなく、インクタンク内のインク重量の測定等によって、インクタンク100内におけるインク量を直接的に検出してもよい。
なお、本発明を用いる記録装置10において、インク補充のタイミングには、特に限定はない。例えば、所定期間毎や所定枚数の描画毎等に自動的に行ってもよく、インクタンク100内のインクQの量を検出して自動的に行ってもよく、描画した画像を観察したオペレータ等の判断による入力指示に応じて行ってもよく、複数のタイミング決定手段を有し、選択的に行ってもよい。
このような制御部120は、図1(B)に概念的に示すように、基本的に、画像データ取得手段122と、インク消費量予測手段124と、インク蒸発量予測手段126と、補充量決定手段128、判断手段130と、補正手段132とを有する。
インク消費量予測手段124は、画像データ取得手段122が取得した画像データに基づいて、インク補充を行う時点までのインク消費量(例えば、前回のインク補充時から現在までのインクの消費量)を各色毎に予測するものである。一例として、インク消費量予測手段124は、実験やシミュレーションによって予め作成された、画像データとインクの消費量との関係を示すLUTや、画像データからインク消費量を算出する演算式を有しており、これらを用いて、各色毎にインク消費量を予測する。なお、インク消費量を予測するLUTや演算式は、全ての色で共通でもよく、あるいは、必要に応じて各色毎に有してもよい。
例えば、各色毎の画像データや吐出駆動信号を受け取り、これを用いて記録した画素数(吐出回数(インク液滴によるドットの形成数))を検出して、予め作成した画素数とインク消費量との関係を示すLUTや演算式を用いて、各色毎のインク消費量を予測してもよい。
あるいは、各色毎にインクの吐出回数(吐出したインク液滴数)をカウントして、予め作成した吐出回数とインク消費量との関係を示すLUTや演算式を用いて、各色毎のインク消費量を予測してもよい。なお、吐出回数は、ヘッド70の駆動信号からカウントしてもよく、画像データを利用(例えばLUT等で画像データを吐出回数に変換)してカウントしてもよく、ヘッド70での吐出回数を直接的にカウントしてもよい。
一例として、インク蒸発量予測手段126は、経過時間の測定手段、および、実験やシミュレーションによって予め作成された、経過時間とインク蒸発量との関係を示すLUTや、経過時間からインク蒸発量を算出する演算式を有しており、これらを用いて、インクの蒸発量を予測する。
例えば、稼動時における時間経過とインク蒸発量との関係を示すLUT(演算式)と、非稼動時における時間経過とインク蒸発量との関係を示すLUTとを用いて、稼動時と非稼動時とにおけるインク蒸発量をそれぞれで予測して、両者を加算することで現在までのインク蒸発量を予測してもよい。
具体的には、インク消費量予測手段124が予測した各色のインク消費量と、インク蒸発量予測手段126が予測したインク蒸発量とを加算して、各色毎に、消費したインクの全消費量である消費予測インク量を算出する。
次いで、補充量算出手段128は、所定濃度のインクを消費予測インク量に見合うだけ補充するように、各色毎に、希釈液およびコンクインクの補充量を決定し、各色の希釈液補充部112およびコンクインク補充部114に指示を出す。なお、補充量の決定は、例えば、所定濃度のインクとなるように、補充量(消費予測インク量)に応じて希釈液量およびコンクインク量を算出してテーブル化したLUT等を用いて決定すればよい。あるいは、演算によって求めてもよい。
図示例においては、各SWは定常offであり、判断手段130では、Yインクが所定濃度よりも濃い場合にはSW1をonし、Yインクが所定濃度よりも薄い場合にはSW2をonし、Yインクの量が少ない(インクレベルが低い)場合にはSW3をonし、Yインクの量が多い(インクレベルが高い)場合にはSW4をonする。すなわち、Yインクの濃度および量が適正であれば、全SWはoffとなる。
なお、インク消費量を予測するLUTや演算式等を各色毎に有する場合には、補正は、個々の色毎に行う。
インク補充が開始されると、インク消費量予測手段124が画像データ取得手段122から画像データを読み出す。インク消費量予測手段124は、読み出した画像データを用いて、前述のように各色毎のインク消費量を予測する。他方、インク蒸発量予測手段126も、前述のようにインクの蒸発量を予測する。
なお、多数の画像の画像データを記憶するためには、容量の大きな記憶手段が必要となるので、画像記録の1枚毎に、画像データからインクの消費量を予測して、これを積算していくことにより、インク消費量を予測してもよい。
この指示に応じて、各色の希釈液補充部112およびコンクインク補充部114は、指示された量の希釈液およびコンクインクを、対応するインクタンク100に補充する。
例えば、制御部120による指示に応じて、濃度検出手段116が補充後のYインクの濃度を検出して判断手段130に送り、また、レベル検出手段118がYインクのインクタンク100におけるインクレベルを検出して、判断手段130に送る。なお、インクレベルの検出時には、インクを循環してもしなくてもよいが、濃度検出時には、インクを循環させる。
次いで、Yインクのインクレベルを判断して、Yインクが所定量よりも少ない場合にはSW3をonし、Yインクが所定量よりも多い場合にはSW4をonする。
従って、濃度が適正であればSW1およびSW2はoffであり、インクレベルが適正であれば、SW3およびSW4はoffである。
全てのSWがoffの場合には、消費予測インク量が適正であり、すなわち、インク消費量およびインク蒸発量が予測どおりで変動が無いと判定できるので、「異常無し」としてインク補充の処理を終了する。あるいはさらに、異常無しを示すアラームやディスプレイ表示を行ってもよい。
従って、SWが1つでもonになった場合には、補正手段132は、SWのon状態に応じて、インク消費量予測部124の補正やインク蒸発量予測部126の補正を行い、あるいはさらに、警告音の出力や状態を示すディスプレイ表示等の警告の発信を行う。
従って、この場合には、補正手段132は、インク蒸発量予測手段126におけるインク蒸発量の予測量が多くなるように、蒸発量の予測を行うためのLUTの書き換えや演算式の補正を行う。あるいはさらに、警告音の発信やディスプレイ表示によって、異常発生や蒸発量が多くなった旨の警告を発信してもよい。
従って、この場合には、先の例と逆に、補正手段132は、インク蒸発量予測手段126におけるインク蒸発量の予測量が少なくなるように、インクの蒸発量を予測するLUTの書き換えや演算式の補正を行い、あるいはさらに、異常発生や蒸発量が少なくなった旨の警告の発信等を行う。
従って、この場合には、補正手段132は、インク消費量予測手段124におけるインク消費量の予測量が少なくなるように、インク消費量の予測を行うためのLUTの書き換えや演算式の補正を行い、あるいはさらに、警告音の発信やディスプレイ表示によって、異常発生やインク消費量が少なくなった旨の警告を発信する。
従って、この場合には、先の例とは逆に、補正手段132は、インク消費量予測手段124におけるインク消費量の予測量が多くなるように、インク消費量の予測を行うためのLUTの書き換えや演算式の補正を行い、あるいはさらに、異常発生やインク消費量が多くなった旨の警告の発信等を行う。
この場合には、記録ヘッド40に不都合が生じた可能性等が考えられるので、警告音の発信やディスプレイ表示によって、異常発生や吐出インクの濃度が薄くなった旨の警告を発信する。あるいは、補充するインクQの濃度が濃くなるように、補充量算出手段128のLUTの書き換えや演算式の補正を行ってもよく、また、補正と警告の発信の両者を行ってもよい。
この場合にも、記録ヘッド40に不都合が生じた可能性等が考えられるので、同様に、警告音の発信やディスプレイ表示によって、異常発生や吐出インクの濃度が高くなった旨の警告を発信する。あるいは、補充するインクQの濃度が薄くなるように、補充量算出手段128のLUTの書き換えや演算式の補正を行ってもよく、また、補正と警告の発信の両者を行ってもよい。
この場合には、インク消費量およびインク蒸発量の両者が変動した等の変動要因の複合的な発生や、記録ヘッド70の不具合等が生じた可能性が高いので、警告音やディスプレイ表示によって、異常が発生した旨の警告を発信する。
また、上記インクQの補充や抜き取りで、濃度およびインクレベル共に適正になった場合には、それに応じて、インク消費量予測手段124およびインク蒸発量予測手段126における予測量が増加(SW3がonの場合)もしくは減少(SW4がonの場合)するように、LUTの書き換えや演算式の補正を行ってもよい。
従って、上記構成を有する本発明によれば、インクの補充後に、Yインク等の好適な濃度検出が可能な1色のインクにおいて、インク濃度およびインク量を測定することで、全てのインクの消費状態や蒸発状態の変動等を適正に把握することができ、これをフィードバックしてインク補充のためのインク消費量やインク蒸発量の予測手段の補正を行うことにより、正確なインク消費量やインク蒸発量の予測値から算出した正確な消費予測インク量を用いた適正なインクQの補充を行うことができ、光学的な濃度検出が不可能なKインクも適正な濃度管理を行って、インク濃度を安定して適正範囲に維持できる。すなわち、本発明によれば、従来は予測のみで行っており、ヘッドの精度や環境等により影響を受けて誤差を生じていたインクの補充に、Yインク等の好適な濃度検出が可能な1色のインクで補充結果を実測してフィードバックを行うことにより、光学的な濃度検出が不可能なKインク等であっても、正確かつ適正なインクの濃度管理が可能となる。
しかも、本発明によれば、Y、M、CおよびKの4色のインクを使用する記録装置10であっても、インクの濃度検出およびタンクでのインクレベル検出は、最低1色で行えばよいので、装置の簡易化およびコストダウンを図ることができる。
さらに、各SWの動作状態(すなわち、補充後のインクの状態)を知ることで、記録ヘッド70等に異常が生じた場合にも、速やかに検出して、対処することが可能である。
また、濃度検出手段110は例えばYインクのみに設けるものの、安全対策等のために、レベル検出手段118は、全てのインクに対応して設けてもよい。
例えば、インク濃度の濃い/適正/薄いの判断と、インクレベルの少ない/適正/多いの判断との組み合わせ(計9種類)と、各組み合わせに対する処理方法をテーブル化しておき、インク濃度とインクレベルとの判断結果から、このテーブルを参照して、インク消費量やインク蒸発量の予測手段の補正等を行うようにしてもよい。
あるいは、まずインク濃度の判断を行い、その各判断結果(濃い/適正/薄い)の下に、インクレベルの各判断結果(少ない/適正/多い)の階層を形成し、その下に処理手段の階層を形成したような、ツリー構造によって、インク消費量やインク蒸発量の予測手段の補正等を行うようにしてもよい。
あるいは、段階的な判断ではなく、具体的なインクの濃度値の誤差や、インクレベル値(インク量)の誤差を知見し、これ用いて、より細かな予測手段の補正を行ってもよい。
溶媒回収手段20は、ヘッド70から記録媒体P上に吐出されたインクから蒸発するキャリア液や、画像定着時にインクから蒸発するキャリア液等を回収するもので、排出ファン140と、活性炭フィルタ142とを備えている。活性炭フィルタ142は、筐体26の上面(図中上側)の裏面に取り付けられ、排出ファン140は、活性炭フィルタ142の上に取り付けられている。
筐体22内部のキャリア液成分を含む空気は、排出ファン140により、活性炭フィルタ142を介して筐体22の外部に排出される。その際、筐体22内部の空気中に含まれる分散溶媒成分は、活性炭フィルタ142によって吸着除去される。
例えば、以上の例は、本発明を色材粒子(色材を含む荷電した粒子)をキャリア液に分散してなるインクを用いる濃縮タイプの静電式インクジェット記録装置に利用したものであるが、本発明は、これに限定はされず、荷電粒子を含有するインクを用いない、非濃縮タイプの静電式インクジェット記録装置にも好適に利用可能である。
12 保持手段
14 搬送手段
16 記録手段
18 インク循環手段
20 溶媒回収手段
24濃度検出手段
26 インク補充手段
26 筐体
30 給紙トレイ
32 フィードローラ
34 排出トレイ
36 搬送ローラ対
38 搬送ベルト
40 ローラ
42 導電性プラテン
44帯電装置
46 除電装置
48 分離爪
50 ガイド
52 定着ローラ対
60 ヘッドユニット
62 ヘッドドライバ
64 位置検出手段
70 (記録)ヘッド
72 ヘッド基板
74 吐出口基板
76 インクガイド
78 インク流路
80 浮遊導電板
821制御電極
86 第2制御電極
86 絶縁性基板
88 ガード電極
90,92,94 絶縁層
96 吐出口
98 先端部分
100 インクタンク
102 インク供給路
104 インク回収路
112 希釈液補充手段
114 コンクインク補充手段
116 濃度測定手段
118 レベル検出手段
120 制御部
122 (吐出回数)カウント手段
124 インク消費量予測手段
126 インク蒸発量予測手段
128 補充量算出手段
130 判断手段
132 補正手段
Claims (2)
- 少なくとも色材を含有する粒子を分散媒に分散してなるインクに静電力を作用させて液滴を吐出する静電式のインクジェット記録装置にインクを補充するインク補充装置であって、
前記インクジェット記録装置における前記インクの消費量を予測するインク消費量予測手段と、
前記インクジェット記録装置における前記インクの蒸発量を予測するインク蒸発量予測手段と、
前記インク消費量予測手段およびインク蒸発量予測手段による予測結果に基づいて、各色のインク毎に高濃度インクおよびインク希釈液の少なくとも一方の補充量を演算する演算手段と、
前記演算手段による演算結果に基づいて、前記高濃度インクおよびインク希釈液の少なくとも一方を補充する補充手段と、
少なくとも1色のインクについて前記インクジェット記録装置における濃度を検出する濃度検出手段と、
少なくとも1色のインクについて前記インクジェット記録装置におけるインク量を検出するインク量検出手段と、
前記濃度検出手段およびインク量検出手段による検出結果に基づいて、前記インク消費量予測手段およびインク蒸発量予測手段の少なくとも一方における予測方法を補正する補正手段とを有することを特徴とするインク補充装置。 - 請求項1に記載のインク補充装置を備えたことを特徴とする静電式インクジェット記録装置。
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