JP2005265953A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高コントラスト比、広視野角といったIPS方式の特徴を保ちつつ、透過型表示と反射型表示の機能を持つ半透過表示が可能な液晶表示素子を提供することを目的とする。
【解決手段】 透明電極を備えた上方基板と、反射板機能を持つ第1のインプレーン電極と第2のインプレーン電極からなるインプレーン電極を備えた下方基板との間に液晶材料が充填された液晶層が挟持され、透過型表示と反射型表示が可能な素子であって、透過型表示を行う際はインプレーン電極間で、反射型表示を行う際は透明電極とインプレーン電極間でスイッチングを行うことを特徴とする液晶表示素子。
【選択図】 なし
【解決手段】 透明電極を備えた上方基板と、反射板機能を持つ第1のインプレーン電極と第2のインプレーン電極からなるインプレーン電極を備えた下方基板との間に液晶材料が充填された液晶層が挟持され、透過型表示と反射型表示が可能な素子であって、透過型表示を行う際はインプレーン電極間で、反射型表示を行う際は透明電極とインプレーン電極間でスイッチングを行うことを特徴とする液晶表示素子。
【選択図】 なし
Description
本発明は、新規な液晶表示素子の構造に関する。詳しくは、透過型表示と反射型表示の機能を合わせ持つ半透過表示が可能なインプレーン(以後、IPと略記する)/対向複合電極を用いた液晶表示素子に関するものである。
高コントラスト比、広視野角を特徴とするインプレーン・スイッチング(以後、IPSと略記する)方式が実用化されている(非特許文献1)。しかし、透過型表示と反射型表示の機能を合わせ持つ半透過表示が可能なIP/対向複合電極を用いた液晶表示素子はこれまでに知られてなかった。
M. Ohe and K. Kondo, Appl. Phys. Lett., 67 (1995), 3895
本発明の目的は、高コントラスト比、広視野角といったIPS方式の特徴を保ちつつ、透過型表示と反射型表示の機能を合わせ持つ半透過表示が可能な液晶表示素子を提供することである。詳しくは、透明電極を備えた基板と、反射板機能を持つIP電極を備えた基板を活用することで、透過時はIP電極間で、反射時は透明電極とIP電極間でスイッチングを可能とする。これにより、従来の液晶表示素子に比べ飛躍的な表示品位の向上を実現することを目的とする。
上記目的を達成するための手段は次の各項のとおりである。
(1)透明電極を備えた上方基板(第1の基板)と、反射板機能を持つ第1のIP電極と第2のIP電極からなるIP電極を備えた下方基板(第2の基板)との間に液晶材料が充填された液晶層が挟持され、透明電極、IP電極及び第2の基板上の液晶層側に配向膜が装着され、透過型表示と反射型表示が可能な素子であって、透過型表示を行う際はIP電極間で、反射型表示を行う際は透明電極とIP電極間でスイッチングを行うことを特徴とする液晶表示素子。
(2)第1のIP電極と第2のIP電極の間隔が0.5〜10μmであることを特徴とする項1に記載の液晶表示素子。
(3)IP電極の幅が0.5〜10μmであることを特徴とする項1に記載の液晶表示素子。
(4)透明電極上の上部配向膜と、IP電極上または第2の基板上の下部配向膜のラビング方向のなす角度が(90n−80)o〜(90n−10)o(ここで、nは1、2または3である)であることを特徴とする項1に記載の液晶表示素子。
(5)液晶材料がネマチック液晶であることを特徴とする項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(6)誘電率異方性が正の液晶分子が基板に対して水平となるように配向していることを特徴とする項5に記載の液晶表示素子。
(7)誘電率異方性が負の液晶分子が、透明電極とIP電極に挟持される領域では電圧無印加時にホメオトロピック配向であり、IP電極間の領域と透明電極に挟持される領域では電圧無印加時にホモジニアス配向であることを特徴とする項5に記載の液晶表示素子。
(8)液晶表示素子の外側の両側に偏光板が配置されることを特徴とする項1〜7の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(9)透明電極を備えた上方基板側に光学異方性層を備えることを特徴とする項1〜8の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(10)光学異方性層が、負の屈折率異方性を有するディスコチック液晶分子より形成され、かつ該光軸が傾斜していることを特徴とする項9に記載の液晶表示素子。
(11)光学異方性層が、正の屈折率異方性を有する棒状ネマチック液晶分子より形成され、かつ該光軸が傾斜していることを特徴とする項9に記載の液晶表示素子。
(12)光学異方性層が、ネガティブc−プレートであることを特徴とする項9に記載の液晶表示素子。
本発明は、高コントラスト比、広視野角といったIPS方式の特徴を持ちつつ、透過型表示と反射型表示の機能を合わせ持つ半透過表示が可能な液晶表示素子を提供する。透明電極を備えた基板と、反射板機能を持つIP電極を備えた基板を活用することで、透過時はIP電極間で、反射時は透明電極とIP電極間でスイッチングを可能とすることで、従来液晶表示素子に比べ飛躍的な表示品位の向上を実現した。
図1に、液晶表示素子の全構造の断面図を、図2に液晶表示素子を上から見た図を示す。図番11および12は偏光板、21、22は基板、31は透明電極、32は反射板機能があるIP電極、4は液晶層、51は信号ライン、52は信号ライン、53は第1のIP電極、54は第2のIP電極、55はコンタクトホールを示す。図では省略されているが、偏光板11の外側に光学異方性層を配置しても良い。
偏光板11と12は、液晶分子の配向状態およびラビングの方向によって最も好ましい角度に設定される。両基板のラビング方向は、反射形表示を考えると原理的には45°である設定が基本であるが、10〜80o、100〜170o、190〜260oと周期的に良好なコントラストを示す範囲が出てくる。そのため、偏光板の偏光軸方向、液晶分子の配向状態、リターデーションによっては最も好ましい角度に設定される。基板21と22は、透明かつ絶縁性とする。材料としてはガラス、ポリシリコンカーボネート、シクロオレフィン系樹脂など、透明であることに加え、低吸湿性、高耐熱性、低複屈折性、高寸法安定性などの性質が望まれるが、これら性質を有すれば特に材料に限定されない。
図では省略されているが、配向膜は上方基板では透明電極31の上(図1および図3では透明電極31の下)に、下方基板ではIP電極がある領域ではIP電極32の上に、IP電極がない領域ではガラス基板22の上に設置される。またこれも図では省略されているが、偏光板11の外側(図1および図3では偏光板11の上方)に光学異方性層を配置しても良い。光学異方性層としては、ディスコチック液晶分子の配向状態を固定化した視野角改善フィルム(例えば富士写真フィルム社製のWVフィルム)や、棒状ネマチック液晶分子の傾斜した配向状態を固定化した視野角改善フィルム(例えば新日本石油社製のNHフィルム)、らせんピッチが極端に短いコレステリック液晶の配向状態を固定化したネガティブc−プレート、などがある。
IP電極については図1および図2に代表的な形状である長方形のクシ形電極を示したが、形状は長方形には限定されず、ジグザグ形、同心環形、同心多角形等であっても、第1および第2のIP電極が交互に配置された状態を取れればよい。IP電極の幅は0.5から10μmが好ましいが、単に電極としてではなく反射形表示時の反射率との兼ね合いを考える必要がある。
また、各IP電極間の間隔は、0.5から10μmが好ましいが、スイッチング時間の観点からは間隔が狭い方が良く、より好ましくは1から3μmである。透過率の観点からは、透過形、反射形表示時の光量割合を設計で考える必要がある。また、表示の色つきの観点では、逆に間隔が広い方が好ましい。これはIP電極付近ではどうしても電圧印加時に電気力線がゆがむ(基板に対して平行とならない)ため、その部分では液晶分子が完全にホモジニアス配向(誘電率異方性が正の液晶の場合)あるいはホメオトロピック配向(誘電率異方性が負の液晶の場合)にならないことから、表示に色つきが生じることによる。
電極の間隔が広ければ、表示部全体に占める電極付近の領域(色つき発生部分)の面積の割合が小さくなるので、より良好な表示が得られる。電極については、より反射特性を良好とするために電極を透明とし、電極下部に凹凸を持つ反射板を設けても良い。
セル厚を一定とする様にスペーサーを設けても良い。実際は、画素中央及び画素周辺部など、実際の液晶挙動に影響がない部分に設けるのが望ましい。図1は概念図として、各部の配置を示したが、応用上は各々1画素に対し一つのアクティブ素子を備えたアクティブマトリクス駆動を想定する。
使用する液晶材料としては、素子製造のやり易さを考えれば、注入のし易いネマチック液晶が特に好ましい。
誘電率異方性が正の液晶分子を用いる場合には、第1基板(上方基板)及び第2基板(下方基板)の配向膜は、液晶分子の水平配向(ホモジニアス配向)を誘起する配向膜とする。ただし、0oのプレチルト角でなければならない必要はない。適当なプレチルト角を持たせてもよい。その場合の好ましいプレチルト角は0o〜数10o傾けた範囲である。
誘電率異方性が正の液晶を用いた場合について示す。透過形表示では、IP電極がない部分で、液晶分子のIP電極間に生じる電界によりスイッチングする。即ち、初期状態では液晶はその長軸を基板に平行かつ一方の基板から他方の基板に向けてねじれた状態で配向している。電界印加時には、IP電極間に生じる電界に沿って液晶分子の長軸が揃い、光が透過する。一方、反射形表示では、IP電極と透明電極に挟持された部分にある液晶分子が、初期状態では、その長軸を基板に平行かつ一方の基板から他方の基板に向けてねじれた状態で配向している。電界印加時には、IP電極と透明電極との間に生じた電界に沿って液晶分子が配向する。即ち、液晶分子は垂直に配向し、その為、入射光が反射しない状態が得られる。図1に誘電率異方性が正の液晶で駆動した場合の模式図を示した。
誘電率異方性が負の液晶を用いることも可能である。ただし、その場合、液晶分子の配向状態と電界との関係が正の液晶を用いる場合とは異なる。
誘電率異方性が負の液晶分子を用いる場合には、第1基板(上方基板)及び第2基板(下方基板)の配向膜は、透明電極とIP電極に挟持される領域では基板に対して垂直配向(ホメオトロピック配向)を誘起するような配向膜とし、IP電極間の領域と透明電極に挟持される領域では水平配向(ホモジニアス配向)を誘起するような配向膜とする。ただし、水平配向(ホモジニアス配向)を誘起する配向膜とは、0oのプレチルト角でなければならない必要はない。適当なプレチルト角を持たせてもよい。その場合の好ましいプレチルト角は00〜数10o傾けた範囲である。また、垂直配向を誘起する配向膜とは、基板に対して90oでなければならない必要はない。90oから適当な傾き角を持たせてもよい。その場合の好ましい傾き角は00〜数10oの範囲である。また必要に応じて、上方基板の垂直配向を誘起する配向膜と水平配向を誘起する配向膜の境界線上には、異なる配向状態の液晶層が接する部分に生じるディスクリネーション・ラインから発生する光漏れをふせぐためのブラック・マスクを形成しても良い。
誘電率異方性が負の液晶を用いた場合、IP電極と透明電極に挟持された部分にある液晶分子は、初期状態では、その長軸を基板に垂直な状態で配向している。電界印加時には、IP電極と透明電極との間に生じた電界に沿って液晶分子が配向する。即ち、液晶分子は水平に配向し、その為、入射光が反射する。一方、IP電極がない領域では、液晶分子は、初期状態では、その長軸を基板に平行な状態で配向している。電界印加時には、IP電極間に生じる電界に沿って液晶分子が配向する。即ち、液晶分子は基板に対して垂直に配向し、その為、光が透過する。図3に誘電率異方性が負の液晶で駆動した場合の模式図を示した。
以下、実際の実施例について述べる。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1および図2に示したような電極パターン構造を持つ液晶表示素子を作製した。一方の基板に電極間隔および電極幅が2μmである非透過かつ反射特性を持つIP電極構造を、他方の基板の全面にITO電極を配置した。セル厚は4.5μmとした。誘電率異方性が正のネマチック液晶LIXON5048-000XX (商品名、チッソ(株)製、Δn=0.1、Δε=5.1)を使用した。ホモジニアス配向を誘起する配向剤としてPIA-3744-TD1(商品名、チッソ(株)製)を用い、IP電極基板、ITO基板を各々IP電極に対し5o、50oの方向にラビングしてセルを作製した。視野角特性改善のため、ITO基板側に、偏光板の代わりに、WVフィルム(商品名、富士写真フィルム(株)製)と偏光板の一体化品LPT-VHL56-12SU(商品名、サンリッツ(株)製)を配置した。
電圧−透過率特性を図4に示す。透過率は光強度の検出に用いた光電子増倍管の出力を任意単位でプロットした。電圧−透過率特性は、偏光顕微鏡下、電圧無印加で暗状態として、周波数が32Hzである矩形波を印加して、測定した。ここで、透過光強度が最大の値を透過率100%とし、透過光強度が最少の値を透過率0%とみなした。透過率しきい値電圧は、印加電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が10%になったときの電圧の値を測定した。コントラスト比は、光の透過率が100%のときの光強度と透過率が0%のときの光強度の比を求めた。透過率しきい値電圧が4.5V、コントラスト比は36:1あった。
電圧‐反射率特性を同様に図5に示す。透過率は光強度の検出に用いた光電子増倍管の出力を任意単位でプロットした。電圧‐反射率特性は、レーザ光入射による低角度反射光の検出により測定した。40%の最大反射率が確認された。視野角特性も評価した。偏光板のみの状態では階調反転したが、WVフィルムの採用で階調反転の無い対称な特性が得られた。
透過型と反射型スイッチングでの電圧5V印加時の応答時間を測定した。ここでも、透過光強度が最大の値を透過率100%とし、透過光強度が最少の値を透過率0%とみなした。透過型では、立ち上り時間は電圧を印加してから、透過率が90%になるまでに要した時間とし、立ち下り時間は電圧を無印加にしてから、透過率が10%になるまでに要した時間とした。透過型での応答時間は立ち上り時間が15m秒、立ち下り時間が8m秒であった。反射型では、立ち上り時間は電圧を印加してから、透過率が10%になるまでに要した時間とし、立ち下り時間は電圧を無印加にしてから、透過率が90%になるまでに要した時間とした。反射型での応答時間は立ち上がりが18m秒、立ち下がり時間が16m秒であった。
11、12 偏光板
21、22 ガラス基板
31 透明電極
32 IP電極(反射板)
4 液晶層
51 信号ライン
52 走査ライン
53 第1のIP電極
54 第2のIP電極
55 コンタクトホール
21、22 ガラス基板
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Claims (12)
- 透明電極を備えた上方基板(第1の基板)と、反射板機能を持つ第1のインプレーン電極と第2のインプレーン電極からなるインプレーン電極を備えた下方基板(第2の基板)との間に液晶材料が充填された液晶層が挟持され、透明電極、インプレーン電極及び第2の基板上の液晶層側に配向膜が装着され、透過型表示と反射型表示が可能な素子であって、透過型表示を行う際はインプレーン電極間で、反射型表示を行う際は透明電極とインプレーン電極間でスイッチングを行うことを特徴とする液晶表示素子。
- 第1のインプレーン電極と第2のインプレーン電極の間隔が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- インプレーン電極の幅が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 透明電極上の上部配向膜と、インプレーン電極上または第2の基板上の下部配向膜のラビング方向のなす角度が(90n−80)o〜(90n−10)o(ここで、nは1、2または3である)であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 液晶材料がネマチック液晶であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 誘電率異方性が正の液晶分子が基板に対して水平となるように配向していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
- 誘電率異方性が負の液晶分子が、透明電極とインプレーン電極に挟持される領域では電圧無印加時にホメオトロピック配向であり、インプレーン電極間の領域と透明電極に挟持される領域では電圧無印加時にホモジニアス配向であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
- 液晶表示素子の外側の両側に偏光板が配置されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 透明電極を備えた上方基板側に光学異方性層を備えることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 光学異方性層が、負の屈折率異方性を有するディスコチック液晶分子より形成され、かつ該光軸が傾斜していることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示素子。
- 光学異方性層が、正の屈折率異方性を有する棒状ネマチック液晶分子より形成され、かつ該光軸が傾斜していることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示素子。
- 光学異方性層が、ネガティブc−プレートであることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示素子。
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