JP2005264323A - 深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents

深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】伸びフランジ性と深絞り性に優れた高強度鋼板等を提供する。
【解決手段】本発明の高強度鋼板は、質量%で、C:0.010〜0.050%、Si:1.0%以下、Mn:1.0〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.5%、N:0.01%以下およびNb:0.01〜0.3%を含有し、かつ、所定の式を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車、電気機器などの使途に有用な、引張強度(TS)が440MPa以上の高強度で、かつ穴拡げ率λ≧80%、ランクフォード値(r値)≧1.2を有する、伸びフランジ性と深絞り性の双方に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提案しようとするものである。
自動車、電気機器、機械などの産業用分野においてプレス成形して使用される鋼板は、優れた強度と延性を兼ね備えていることが要求され、このような要求特性は近年、益々高まっている。
例えば自動車業界分野においては、近年、地球環境保全の観点から、COの排出量を規制するため、自動車の燃費改善が要求されている。加えて、衝突時に乗員の安全を確保するため、自動車車体の衝突特性を中心にした安全性向上も要求されている。このように、自動車車体の軽量化と強化の双方が積極的に進められている。
自動車車体の軽量化と強化を同時に満たすには、剛性が問題にならない範囲で部品素材を高強度化し、板厚を減ずることによる軽量化が効果的であると言われており、最近では高強度鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。軽量化効果は、使用する鋼板が高強度であるほど大きくなるため、自動車業界では、例えば内板および外板用のパネル用材料として引張強度(TS)440MPa以上の鋼板を使用する動向にある。
一方、鋼板を素材とする自動車部品の多くは、プレス加工によって成形されるため、自動車用鋼板は優れたプレス成形性を有していることが必要とされる。しかしながら、高強度鋼板は、通常の軟鋼板に比べて成形性が大きく劣化するため、自動車の軽量化を進める上での課題として、TS≧440MPa、より好ましくはTS≧500MPa、さらに好ましくはTS≧590MPaで、しかも年々複雑化する部品形状に対し、延性(El)のみならず、良好な伸びフランジ性や深絞り性を兼ね備える鋼板の要求が高まっている。
従来、強度(TS)と延性(El)の両立を図った鋼板として、フェライト相とマルテンサイト相の複合組織を有する複合組織鋼板(Dual Phase鋼板、DP鋼板)が知られている(例えば、特許文献1等)。上記鋼板は、延性が良好なだけでなく、降伏応力が低いので加工時の形状凍結特性が良好であり、上記組織を制御することにより、TSが高くElにも優れた鋼板が得られるが、伸びフランジ性(局部的な延性)や深絞り性に劣るものであった。
特開昭55−122820号公報
従って、複雑化するプレス成形部品に対応するため、DP鋼板の特徴である、低降伏比、良好なTS−Elバランスを維持しつつ、当該DP鋼板の欠点であった低伸びフランジ性や低深絞り性を克服した、いずれにも優れる高強度複合組織鋼板の提供が切望されている。
従来、冷延鋼板の高r値化には、熱延板段階で固溶C、Nを極力低減することが望ましいとされ、極低炭素鋼にTiやNbなどの炭窒化物形成元素を添加した、所謂IF(Interstitial atom free)化した鋼をベースとして、これにSi、Mn、Pなどの固溶強化元素を添加することで高強度化されてきた(例えば特許文献2)。
特開昭56−139654号公報
一方、複合組織鋼板の伸びフランジ性を改善する方法として、特許文献3では母相に焼戻マルテンサイト、焼戻ベイナイトを必須とし、占有率3〜30%のマルテンサイト相を第2相とする複合組織鋼板とすることで複合組織鋼板の伸びフランジ性を改善しているが、マルテンサイト相を得るために十分な固溶Cを存在させたまま焼鈍処理をしており、{111}再結晶集合組織を発達させてr値を高くするための技術思想がない。また焼戻処理工程が必須となることは工程、設備、コスト的にも負荷がかかるものである。
特開2003−247045号公報
また、特許文献4では、フェライト相とマルテンサイト相からなる複合組織鋼板で、マルテンサイトの面積率とその粒径を規定することで、良好な伸びフランジ性(λ≧50%)を得ている。しかしながら、C:0.06〜0.21質量%に対し、Nb、TiおよびVから選ばれる1種以上を炭窒化物形成元素として添加した場合が開示されているものの、その添加理由は鋼板の機械的強度、特に降伏点を高めるためのものであり、その添加量からも、IF化の概念はなく、{111}再結晶集合組織を発達させる技術思想がないため、高r値は得られない。
特開2003−213369号公報
このような複合組織鋼板のr値を改善する試みとして、例えば、特許文献5あるいは特許文献6の技術がある。
特公昭55−10650号公報 特開昭55−100934号公報
特許文献5には、冷間圧延後、再結晶温度〜Ac変態点の温度で箱焼鈍を行い、その後、複合組織とするため700〜800℃に加熱した後、焼入焼戻しを行う方法が開示されている。しかしながら、この方法では、連続焼鈍時に焼入焼戻しを行うため、製造コストが問題となる。また、箱焼鈍は、連続焼鈍に比べて処理時間や効率の面で劣る。
特許文献6の技術は、高r値を得るために冷間圧延後、まず箱焼鈍を行い、この時の温度をフェライト(α)相とオーステナイト(γ)相の2相域とし、その後、連続焼鈍を行うものである。この技術では、箱焼鈍の均熱時にα相からγ相にMnを濃化させる。このMn濃化相は、その後の連続焼鈍時に優先的にγ相となり、ガスジェット程度の冷却速度でも混合組織が得られるものである。しかしながら、この方法では、Mn濃化のため比較的高温で長時間の箱焼鈍が必要であり、そのため、鋼板間の密着の多発、テンパーカラーの発生および炉体インナーカバーの寿命低下など製造工程上多くの問題がある。
また、特許文献7には、C:0.003〜0.03%、Si:0.2〜1%、Mn:0.3〜1.5%、Ti:0.02〜0.2%(ただし、(有効Ti)/(C+N)の原子濃度比を0.4〜0.8)含有する鋼を、熱間圧延し、冷間圧延した後、所定温度に加熱後急冷する連続焼鈍を施すことを特徴とする深絞り性及び形状凍結性に優れた複合組織型高張力冷延鋼板の製造方法が開示されているが、100℃/sという高い冷却速度を得るには水焼入設備が必要となる他、水焼入した鋼板は表面処理性の問題が顕在化するため、製造設備上および材質上の問題がある。
特公平1−35900号公報
さらに、特許文献8には、C含有量との関係でV含有量の適正化を図ることで複合組織鋼板のr値を改善する技術が開示されている。これは、再結晶焼鈍前には鋼中のCをV系炭化物として析出させて固溶C量を極力低減させて高r値を図り、引き続きα−γの2相域で加熱することにより、V系炭化物を溶解させてγ中にCを濃化させて、その後の冷却過程でマルテンサイト相を生成させるものである。しかしながら、Vの添加は、高価であるためコストの上昇を招くこと、さらに熱延板中に析出したVCは、冷間圧延時の変形抵抗を高くするため、実施例における圧下率70%での冷間圧延は、ロールへの負荷が大きくなり、トラブル発生の危険性を増大させるとともに、生産性の低下が懸念されるなどの製造上の問題がある。
特開2002−226941号公報
また、深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法の技術として、特許文献9の技術がある。この技術は、所定のC量を含有し、平均r値が1.3以上かつ組織中にベイナイト相、マルテンサイト相およびオーステナイト相のうち1種類以上を合計で3%以上有する高強度鋼板を得るものであり、その製造方法は、冷間圧延の圧下率を30〜95%とし、次いでAlとNのクラスターや析出物を形成することによって集合組織を発達させてr値を高めるための焼鈍と、引き続き組織中にベイナイト相、マルテンサイト相およびオーステナイト相のうち1種類以上を合計で3%以上有するようにするための熱処理を行うことを特徴とするものである。この方法では、冷間圧延後、良好なr値を得るための焼鈍と、組織を作り込むための熱処理をそれぞれ必要としており、また、焼鈍工程では、その保持時間が1時間以上という長時間保持を必要としており、工程的(時間的)に生産性が悪いという問題がある。さらに、得られる組織の第2相分率が比較的高いため、優れた強度延性バランスを安定的に確保することは難しい。
特開2003−64444号公報
上記特許文献5〜9はいずれも深絞り性を改善することのみであり伸びフランジ性を改善する技術ではなく、深絞り性を改善するとともに伸びフランジ性も改善できる技術が求められていた。
深絞り性に優れる(軟)鋼板を高強度化するにあたり、従来検討されてきた固溶強化による高強度化の方法では、多量の或いは過剰な合金成分の添加が必要であり、これは、コスト的にも工程的にも、またr値の向上そのものにも課題を抱えるものであった。
また、複合組織鋼板の伸びフランジ性を改善するための従来検討されてきた方法は、{111}再結晶集合組織を発達させてr値を高める技術思想がなく、伸びフランジ性と深絞り性を両立させるものではなかった。
この発明は、このような従来技術の問題点を有利に解決した、伸びフランジ性と深絞り性に優れた高強度鋼板およびその製造方法を提案することを目的とする。
この発明は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、特別な或いは過剰な合金成分や設備を用いることなく、0.010〜0.050質量%というC含有量の範囲で、このC含有量との関係でNb含有量を規制することで、(a){111}再結晶集合組織を発達させて平均r値が1.2以上で深絞り性に優れ、かつ(b)フェライト相とマルテンサイト相を含む鋼組織をもちながら、(c)マルテンサイト相の面積分率およびマルテンサイト相を含む第2相のフェライト相に対する硬度を最適なものにすることで、伸びフランジ性にも優れる高強度鋼板を得ることに成功した。
まず、本発明者らが行った基礎的な実験結果について説明する。
質量%で0.025〜0.08%C−0.5%Si−2.0%Mn−0.035%P−0.005%S−0.03%Al−0.002%N−0〜0.5%Nbの範囲を基本成分とする種々の鋼素材について、1250℃に加熱しこの温度で均熱保持した後、仕上圧延終了温度が860℃になるように熱間圧延を行って、板厚を3mmとした。さらに仕上圧延終了後、コイル巻取相当処理として650℃で3hの保温処理を施した後、酸洗し、その後、圧下率60%の冷間圧延を施して板厚1.2mmとした。次いで、これらの冷延板に850℃を最高到達温度(焼鈍温度)とし、800℃から300℃までの温度域を15℃/sの平均冷却速度として冷却し、300℃で120秒間保持した後、室温まで冷却する連続焼鈍を施した。
得られた冷延焼鈍板について、微視組織、硬度測定、穴拡げ率(λ値)およびr値について調査した。
調査方法は下記の通りである。
(i)冷延焼鈍板の微視組織
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を観察した。
(ii)硬度測定
得られた各冷延焼鈍板から試験片を採取し、フェライト相の硬度と、第2相の硬度を測定した。なお、本発明鋼の第2相のサイズは微細であり、従来微小領域の硬さ測定に使用されていたマイクロビッカース硬度計での測定は不可能ではないものの、ばらつきが大きく、精度に問題があるため、サイズが1μm以下でも硬度測定が可能なナノ硬さ試験機で測定を行った。
ナノ硬さは、鋼板表面から板厚1/4位置まで研削し、電解研磨により研削ひずみを除去したのち、Hysitron社のTRIBOSCOPEを用いて、フェライト相および第2相の硬度を各々30箇所測定し、平均値を硬さ値とした。測定は圧痕サイズをほぼ同一にして行った。具体的には圧痕の大きさと比例関係にある圧痕深さ(=contact depth)が50±10nmになるように荷重を調整して、硬さを測定した。
(iii)λ値(伸びフランジ性)
得られた各冷延焼鈍板から100mm角の試験片を採取し、日本鉄鋼連盟規格JFST 1001の規定に準拠して穴拡げ試験を行った。すなわち、供試片に10mmφのポンチで打ち抜いたポンチ穴を開け、頂角60°の円錐ポンチを用い、バリが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴拡げを行った際のd:初期穴内径(mm)、d:割れ発生時の穴内径(mm)として、穴拡げ率λ(%)={(d−d)/d}×100として求めた。
(vi)r値(深絞り性)
得られた各冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)、圧延方向に対し90°方向(C方向)からJIS5号引張試験片を採取した。これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を測定し、これらの測定値を用い、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。
図1は、種々のC量を含有する鋼板において、Nbの含有量([Nb])とC含有量([C])との関係、すなわち、([Nb]/93)/([C]/12)が、硬度比、λ値および平均r値に影響を及ぼすことを示した図である。
図1から、Cが0.025%と比較的低いC含有量とし、([Nb]/93)/([C]/12)=0.2〜0.7となるようにする、すなわち、Nb含有量を、C含有量との原子比でNb/C=0.2〜0.7となるように制限することで、フェライト相と、このフェライト相に対し1.5〜3倍の硬度を持つマルテンサイト相を含む第2相とを有する鋼組織をもち、高いλ値と高いr値を有する複合組織冷延鋼板が製造可能となることが明らかになった。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討して完成されたものであり、その要旨は以下の通りである。
(I) 質量%で、
C:0.010〜0.050%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(3)式を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
Mn当量(%)=[Mn]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ただし、式中の[Nb]、[C]および[Mn]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(II) 質量%で、
C:0.010〜0.050%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、さらにMo、Cr、CuおよびNiのうち1種または2種以上を合計で0.5%以下を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(4)式を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
Mn当量(%)=[Mn]+3.3×[Mo]+1.3×[Cr]+0.5[Cu]+0.4[Ni]・・・(4)
ただし、式中の[Nb]、[C]、[Mn]、[Mo]、[Cr]、[Cu]および[Ni]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(III) 上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、下記(5)式を満足するとともに、下記(6)式で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、下記(7)式または下記(8)式を満足することを特徴とする上記(I)または(II)に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0 ・・・・・・・・・(5)
[Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)} ・・・・・・・・・(6)
[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7・(7)
[Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・(8)
ただし、式中の[Ti]、[S]、[N]、[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(IV) 表面にめっき層を有することを特徴とする上記(I)〜(III)のいずれか1項に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
(V) 質量%で、
C:0.010〜0.050%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(3)式を満たす組成になる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:400〜720℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に、圧下率40%以上で冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜950℃で焼鈍を行い、次いで800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度:5℃/s以上で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持後冷却する冷延板焼鈍工程とを順次施すことを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
Mn当量(%)=[Mn]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
ただし、式中の[Nb]、[C]および[Mn]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(VI) 質量%で、
C:0.010〜0.050%、
Si:1.0%以下、
Mn:1.0〜3.0%、
P:0.005〜0.1%、
S:0.01%以下、
Al:0.005〜0.5%、
N:0.01%以下および
Nb:0.01〜0.3%
を含有し、さらにMo、Cr、CuおよびNiのうち1種または2種以上を合計で0.5%以下を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(4)式を満たす組成になる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:400〜720℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に、圧下率40%以上で冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜950℃で焼鈍を行い、次いで800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度:5℃/s以上で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持後冷却する冷延板焼鈍工程とを順次施すことを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
Mn当量(%)=[Mn]+3.3×[Mo]+1.3×[Cr]+0.5[Cu]+0.4[Ni]・・・(4)
ただし、式中の[Nb]、[C]、[Mn]、[Mo]、[Cr]、[Cu]および[Ni]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(VII) 上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、下記(5)式を満足するとともに、下記(6)式で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、下記(7)式または下記(8)式を満足することを特徴とする上記(V)または(VI)に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0・・・・・・・・・・(5)
[Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)}・・・・・・・・・・・(6)
[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7 ・(7)
[Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・(8)
ただし、式中の[Ti]、[S]、[N]、[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%)である。
(VIII) 上記冷延板焼鈍工程の後の鋼板表面にめっき層を形成するめっき処理工程をさらに有することを特徴とする上記(V)〜(VII)のいずれか1項に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。
この発明は、C含有量が0.010〜0.050質量%の範囲において、従来の極低炭素IF鋼のように深絞り性に悪影響を及ぼす固溶Cの低減を徹底せずに、マルテンサイト形成に必要な程度の固溶Cを残存させた状態下にもかかわらず、{111}再結晶集合組織を発達させて平均r値≧1.2を確保して良好な深絞り性を有するとともに、鋼組織を主相であるフェライト相と、フェライト相との硬度比が1.5〜3.0である第2相とを有し、該第2相がマルテンサイト相を有する複合組織とすることで、穴拡げ率λ≧80%を有する、TS440MPa以上、より好ましくはTS500MPa以上、さらに好ましくはTS590MPa以上の高強度鋼板を達成したものである。
この理由については、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。
高r値化、すなわち{111}再結晶集合組織を発達させるためには、従来軟鋼板においては、冷間圧延および再結晶前の固溶Cを極力低減することや熱延板組織を微細化することなどが有効な手段とされてきた。一方、前述のようなDP鋼板では、マルテンサイト相の形成に必要な固溶Cを必要とするため、母相の再結晶集合組織が発達せずr値が低かった。
しかしながら、本発明では、{111}再結晶集合組織発達と、マルテンサイト相の形成の双方を可能にする絶妙の適正成分範囲が存在することを新たに見出すとともに、この成分範囲、および適切な製造条件によって得られるマルテンサイト相は、従来DP鋼のマルテンサイト相よりも少量かつ微細分散しており、さらにフェライト相に対する硬度比を小さくすることに寄与するため(マルテンサイト相の硬度はγ中に濃化する固溶C量に依存する)、高r値のみならず高λ値をも達成している。
すなわち、従来のDP鋼板(低炭素鋼レベル)よりもC量を低減しつつ、極低炭素鋼よりはC量が多いという、0.010〜0.050質量%のC含有量とし、加えて、このC含有量に合わせて適切なNb添加を行うことで、{111}再結晶集合組織発達と、高λ値が得られる最適なマルテンサイト相を含む第2相の形成の双方を同時に達成できることを新たに見出した。
従来から知られているように、Nbは再結晶遅延効果があるため、熱間圧延時の仕上温度を適切に制御することで熱延板組織を微細化することが可能であり、さらに鋼中においてNbは高い炭化物形成能を有している。
本発明では、特に、熱延仕上温度を変態点直上の適正な範囲にして熱延板組織を微細化する以外に、熱間圧延後のコイル巻取温度も適正に設定することで、熱延板中にNbCを析出させ、冷間圧延前および再結晶前の固溶Cの低減を図っている。
ここで、Nb含有量とC含有量が、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満たすように設定することで、敢えてNbCとして析出しないCを存在させる点で、本発明には独創性がある。
従来このようなCの存在が、{111}再結晶集合組織の発達を阻害するとされてきたが、本発明では、全C含有量をNbCとして析出固定せず、マルテンサイト相の形成に必要な固溶Cが存在しながらも高r値化を達成できる。
さらに、この適切な固溶C量と適切な製造方法により生成されるマルテンサイト相は、量と質の点から複合組織鋼の伸びフランジ性を改善することにも寄与し、高λ値をも達成できる。
この理由は定かではないが、まず、高r値化については、固溶Cの存在による{111}再結晶集合組織形成に対する負の要因よりも、熱延板組織の微細化に加え、マトリックス中に微細なNbCを析出させることで冷間圧延時に粒界近傍に歪を蓄積させ粒界からの{111}再結晶粒の発生を促進するという正の要因の方が大きいためと考えられる。特にマトリックス中にNbCを析出させることの効果は、従来の極低炭素鋼程度のC含有量では有効ではなく、本発明のC含有量の適正範囲(0.010〜0.050質量%)において、初めてその効果を発揮するものと推測され、このC含有量の適正範囲を見出したことが本発明の技術思想の基盤となっている。
そして、NbC以外のC、その存在形態はおそらくセメンタイト系炭化物或いは固溶Cの状態であると推測されるが、これらNbCとして固定されなかったCの存在により、焼鈍工程における冷却時にマルテンサイト相を形成可能とし高強度化に成功すると同時に、その際得られるマルテンサイト相が、従来のDP鋼に比べ、少量で第2相中に微細に分散するとともに、母相のフェライト相に対してこれを囲む第2相の硬度比が小さくなったため、穴拡げ性が改善されたと考えられる。
加えて、Mn当量(%)が、C含有量との関係で、3−100×[C]≦Mn当量(%)の関係を満足するように制限することにより、組織強化に有効な硬度をもつ第2相を得ることができ、かつ、Mn当量(%)≦7−100×[C] の関係を満足するように制限することにより、伸びフランジ性を劣化させる過剰に硬質なマルテンサイト相を得られにくくすることができ、この結果、穴拡げ性はさらに改善されたのである。
また、この発明の製造方法は、特に、焼鈍後、800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度:5℃/s以上で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持することで、詳細は明らかではないが、内部応力の小さいマルテンサイト相や、或いは低温ベイナイト相など所謂低温変態相形成が促進される結果、穴拡げ性が著しく改善されるのである。
この発明の製造方法によれば、従来技術に対し、高r値化するために、製鋼工程においては極低炭素鋼とするための脱ガス工程が不要であること、また組織強化を用いるため、固溶強化に頼った過剰な合金元素の添加も不要であり、既存の設備で十分対応可能であるとともにコスト的にも有利であり、強度延性バランスのみならず、伸びフランジ性および深絞り性という、従来複合組織鋼板の欠点とされてきた成形性を改善した、総合的に成形性に優れる鋼板を製造することが可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、鋼中の元素の含有量の単位はいずれも「質量%」であるが、以下、特に断らない限り、単に「%」で示す。
まず、本発明の高強度鋼板の成分組成を限定した理由について説明する。
C:0.010〜0.050%
Cは、後述のNbとともに本発明における重要な元素である。Cは、高強度化に有効であり、フェライト相を主相としマルテンサイト相を含む第2相を有する複合組織の形成を促進するので、本発明では複合組織形成の観点からCを0.010%以上含有する必要がある。好ましくは、0.015%以上とする。一方、0.050%を超えるCの含有は、高λ値および高r値が得られなくなることから、C含有量の上限を0.050%とする。
Si:1.0%以下
Siは、フェライト変態を促進させ、未変態オーステナイト中のC含有量を上昇させてフェライト相とマルテンサイト相の複合組織を形成させやすくする他、固溶強化の効果がある。上記効果を得るためには、Siは0.01%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.05%以上である。ただし、Siが1.0%を超えて含有すると、熱間圧延時に赤スケールと称される表面欠陥が発生するため、鋼板とした時の表面外観を悪くするため、Si含有量の上限は1.0%とする。
また、溶融亜鉛めっきを施す場合には、めっきの濡れ性を悪くしてめっきむらの発生を招き、めっき品質が劣化するので、Si含有量は低減することが好ましく、0.7%以下とすることが望ましい。
Mn:1.0〜3.0%
Mnは、高強度化に有効であるとともに、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を遅くする作用があり、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト相の形成を促すため、要求される強度レベルおよび焼鈍後の冷却速度に応じて含有するのが好ましく、また、Mnは、Sによる熱間割れを防止するのに有効な元素でもある。このような観点から、Mnは1.0%以上含有する必要があり、好ましくは1.2%以上とする。一方、3.0%を超える過度のMnを含有することは、r値および溶接性を劣化させるので、Mn含有量の上限は3.0%とする。
P:0.005〜0.1%
Pは、固溶強化の効果がある元素である。しかしながら、P含有量が0.005%未満では、その効果が現れないだけでなく、製鋼工程において脱りんコストの上昇を招く。したがって、Pは0.005%以上含有するものとし、好ましくは0.01%以上含有する。一方、0.1%を超える過剰なPの含有は、Pが粒界に偏析し、耐二次加工脆性および溶接性を劣化させる。また、溶融亜鉛めっき鋼板とする際には、溶融亜鉛めっき後の合金化処理時に、めっき層と鋼板の界面における鋼板からめっき層へのFeの拡散を抑制し、合金化処理性を劣化させる。そのため、高温での合金化処理が必要となり、得られるめっき層は、パウダリング、チッピング等のめっき剥離が生じやすいものとなる。従って、P含有量の上限は0.1%とした。
S:0.01%以下
Sは、不純物であり、熱間割れの原因になる他、鋼中で介在物として存在し鋼板の諸特性を劣化させるので、できるだけ低減する必要がある。具体的には、S含有量は、0.01%までは許容できるため、0.01%以下とする。
Al:0.005〜0.5%
Alは、鋼の脱酸元素として有用である他、不純物として存在する固溶Nを固定して耐常温時効性を向上させる作用がある。さらにAlは、フェライト生成元素としてα−γ2相域の温度調整成分としても有用である。かかる作用を発揮させるためには、Al含有量は0.005%以上とする必要がある。一方、0.5%を超えるAlの含有は、高合金コストを招き、さらには表面欠陥を誘発するので、Al含有量の上限を0.5%とする。より好ましくは0.1%以下である。
N:0.01%以下
Nは、不純物であり、耐常温時効性を劣化させる元素であり、できるだけ低減することが好ましい元素である。N含有量が多くなると、耐常温時効性が劣化し、固溶Nを固定するために多量のAlやTi添加が必要となるが、0.01%までは許容できるため、N含有量の上限を0.01%とする。
Nb:0.01〜0.3%、かつ0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足すること
Nbは、本発明において最も重要な元素であり、熱延板組織の微細化および熱延板中にNbCとしてCを析出固定させる作用を有し、高r値化に寄与する元素である。このような観点からNbは0.01%以上含有する必要がある。一方、本発明では、焼鈍後の冷却過程で適切な硬度をもつマルテンサイト相を形成させるための固溶Cを必要とするが、0.3%を超える過剰のNb含有は、この形成を妨げることになるので、Nb含有量の上限を0.3%とする。
また、Nb含有の効果を奏するには、特にNb含有量(質量%)とC含有量(質量%)が、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7(ただし、式中の[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%))の範囲を満足するように、NbとCを含有させることが必要である。なおここで([Nb]/93)/([C]/12)は、NbとCの原子濃度比を表している。([Nb]/93)/([C]/12)が0.2未満では、Nbによる熱延板微細化効果による高r値化の寄与が低くなると共に、特にC含有量が高い範囲では、固溶Cの存在量が多くなり、高r値化に有効な再結晶集合組織の形成を阻害するとともに、マルテンサイト相の硬度が高くなり、高λ値を得ることが難しくなる。また、([Nb]/93)/([C]/12)が0.7を超えると、マルテンサイト相を形成するのに必要なC量を鋼中に存在させることを妨げるので、最終的にマルテンサイト相を含む第2相を有する組織が得られない。
したがって、Nb含有量を0.010〜0.30%とし、さらにNb含有量とC含有量が、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足するようにNbとCを含有させることとする。なお、より好ましくは0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.5を満足するようにNbとCを含有させる。
3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]、Mn当量(%)=[Mn]
ただし、式中の[C]および[Mn]は各々の元素の含有量(質量%)
マルテンサイト相などの第2相の硬度はγ相中に濃化する固溶C量に依存し、またMnをはじめ、Cr、Moといった元素は鋼板の焼入れ性を向上させる。発明者らは、C含有量と、焼入れ性に寄与する元素(Mn等)の含有量のバランスについて、種々実験を行った給果を整理したところ、本発明鋼板では、焼入れ性に寄与する元素の含有量をMn当量として表し、3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]を満足することが必要であることを見出した。すなわち、3−100×[C]>Mn当量(%)では、組織強化に有効な硬度を持つ第2相が得られない。また、Mn当量(%)>7−100×[C]では、伸びフランジ性を劣化させる過剰に硬質なマルテンサイト相が得やすくなるとともに焼入れ性を向上させる合金元素の添加コストを上昇させる。なお、上記説明した本発明の基本組成においては、Mn当量=[Mn]である。
以上が本発明の高強度鋼板の基本組成である。
なお、本発明では、上記した組成に加えてさらに下記に示すMo、Cr、CuおよびNiのうち1種または2種以上を添加してもよい。
Mo、Cr、CuおよびNiのうち、1種または2種以上を合計で0.5%以下
Mo、Cr、CuおよびNiは、Mnと同様、マルテンサイト相が得られる臨界冷却速度を遅くする作用をもち、焼鈍後の冷却時にマルテンサイト相の形成を促す元素であり、強度レベル向上にも効果がある。このような効果を得る上では、Mo、Cr、CuおよびNiの合計を0.05%以上とすることが好ましい。しかしながら、これら1種または2種以上の元素を合計で0.5%を超えて添加しても、これらの効果が飽和するだけでなく、高価な成分によるコストの上昇を招くことから、これら1種または2種以上の元素の合計含有量の上限は0.5%とすることが好ましい。ここで、Mo、Cr、CuおよびNiは前述のMnと同様に鋼板の焼入れ性を向上させる元素であり、Mo、Cr、CuおよびNiを添加する場合は、Mn当量として、Mn当量=[Mn]+3.3×[Mo]+1.3×[Cr]+0.5×[Cu]+0.4×[Ni]で算出される値を用い、前述のように3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]とし、Mn当量(%)=[Mn]+3.3[Mo]+1.3×[Cr]+0.5×[Cu]+0.4×[Ni]とする必要がある。
なお、本発明では、上記した組成に加えてさらに下記に示す条件を満たす範囲でTiを添加してもよい。
Ti:0.1%以下を含有し、かつ、([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0を満足するとともに、[Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)}で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7、または、[Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足すること(ただし、式中の[Ti]、[S]、[N]、[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%))
Tiは、固溶Nを析出固定する効果がAlと同等あるいはそれよりも大きい元素であり、この効果を得るためには0.005%以上含有することが好ましい。また、TiはTiCを形成する他、TiSおよび/またはTi4C2S2の形成により、Sを固定し、加工性の向上に寄与するという効果を発揮する。しかしながら、高価なTi成分の0.1%を超える過剰の添加は、コストの上昇を招くばかりか、TiCの形成によりマルテンサイト相の形成に必要な固溶Cを鋼中に残すことを妨げるので、Ti含有量は、0.1%以下とすることが好ましい。
また、鋼中にTi:0.1%以下を含有する場合には、([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0を満足するとともに、[Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)}で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7、または、[Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足することが好ましい。すなわち、過剰なTiが固溶Cを鋼中に残すことを妨げないようにするため、鋼中でTiと優先的に結合するSおよびNの含有量との関係で、([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0を満足させた上で、上記(1)式の代わりに、[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7、または、[Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足するようにTiを添加することが好ましい。([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}の値が2.0よりも大きい場合には、過剰なTiが固溶Cと結合して、鋼中に固溶Cを残すことができなくなるおそれがあるからである。また、[Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7と限定した理由は、[Ti]>0で、{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)の値が0.2未満だと、特にC含有量が高い範囲で固溶Cの存在量が多くなり、高r値化に有効な{111}再結晶集合組織の形成を阻害するからであり、また、{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)の値が0.7よりも大きい場合には、マルテンサイト相を形成するのに必要な鋼中C量の存在を妨げるからである。なお、鋼中にTiを含有する場合であっても、[Ti]≦0である場合には、TiによるCの析出固定の影響が小さいため、この場合には、Ti含有量を考慮する必要はなく、上記(1)式と同様、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7を満足することが好ましい。
また、本発明では、上記した成分以外の残部は実質的に鉄(Fe)および不可避的不純物の組成とすることが好ましい。
なお、通常の鋼組成範囲内であれば、B、Ca、REM等を含有しても何ら問題はない。例えば、Bは、鋼の焼入性を向上する作用をもつ元素であり、必要に応じて含有できる。しかし、その含有量が0.003%を超えるとその効果が飽和するため、0.003%以下とすることが好ましい。
また、CaおよびREMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用をもち、これにより鋼板の諸特性の劣化を防止する。このような効果は、CaおよびREMのうちから選ばれた1種または2種の含有量が合計で0.01%を超えると飽和する傾向があるので、これ以下とすることが好ましい。
なお、その他の不可避的不純物としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01%以下、Sn:0.1%以下、Zn:0.01%以下、Co:0.1%以下の範囲である。
次に、本発明の高強度鋼板の鋼組織を限定した理由について説明する。
本発明の高強度鋼板は、上記鋼組成に限定した上で、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することが必要である。
本発明の高強度鋼板は、良好な深絞り性を有し、引張強度≧440MPaの鋼板とするため、主相であるフェライト相と第2相からなり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1%以上、より好ましくは3%以上であり、15%以下のマルテンサイト相を含む鋼組織を有する鋼板、いわゆる複合組織鋼板であることが必要である。特に、本発明では、50%以上の面積率を占めるフェライト相の{111}再結晶集合組織を発達させることによって、平均r値≧1.2を達成することができる。フェライト相が面積率で50%未満となると、良好な深絞り性を確保することが困難となる。なお、フェライト相は、面積率で70%以上とすることが好ましく、また、複合組織の利点を利用するため、フェライト相は面積率で97%以下とするのが好ましい。
一方、穴拡げ率λ値≧80%を得るには、マルテンサイト相の上限が面積率で15%以下、望ましくは12%以下、かつ、フェライト相と第2相の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲内にあることが必要である。ここで、第2相とは、主相であるフェライト相以外の相を意味し、マルテンサイト相等がある。なお、第2相中のマルテンサイト相以外の相としては、パーライト相、ベイナイト相、残留オーステナイト相などがある。
ここで、「フェライト相」とは、ポリゴナルフェライト相のほか、オーステナイト相から変態した転位密度の高いベイニチックフェライト相を含む。
また、本発明では、マルテンサイト相が存在することが必要であり、マルテンサイト相を面積率で1%以上含有する必要がある。マルテンサイト相が1%未満では、良好な強度延性バランスを得ることが難しい。なお、マルテンサイト相は、3%以上とすることが好ましい。一方、マルテンサイト相の面積率が15%を超えると、硬度比を調整してもフェライト相とマルテンサイト相間の界面でのボイド発生の確率が高まるため、穴拡げ性を劣化させる。このため、マルテンサイト相は、面積率で15%以下とする。また、良好な穴拡げ率を得るため、得られるマルテンサイト相は、フェライト相の硬度H(F)と第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)(平均硬度比ともいう)が1.5〜3.0である必要がある。平均硬度比が1.5未満だと、複合組織鋼板としての良好な強度−延性バランスが得られないからであり、平均硬度比が3.0を超えると、硬度比の大きい相間のその界面での局所的な塑性変形量が大きくなり、ボイドが発生し、穴拡げ性が劣化するからである。
なお、平均硬度比を1.5〜3.0の範囲に制御するための方法としては、例えば、比較的高温での焼鈍処理や200〜400℃の温度域での過時効処理による硬質相の軟質化、NbCなどの析出強化による母相(軟質相)の強化が挙げられる。
ここで、「平均硬度比」とは、硬度計を用いてフェライト相と第2相の押し込み硬さをそれぞれ測定した値の比である。本発明で得られる第2相は微細であるため、従来微小領域の硬さ測定に使用されていたマイクロビッカース硬度計では、測定が不可能ではないものの、ばらつきが大きく精度に問題があるため、サイズが1μm以下でも硬度測定が可能なナノ硬さ試験機を用いるのが適切である。マイクロビッカース硬度計でも同様の試験を試みたが、本発明鋼板では、硬さと、特に穴拡げ性との相関は認められなかった。
加えて、第2相は、前述のように、上記したマルテンサイト相(M)の他に、パーライト相(P)、ベイナイト相(B)あるいは残留オーステナイト相(γ´)などを含んだ組織としてもよい。なお、上記したフェライト相とマルテンサイト相の効果をより充分に発揮させるためには、その他の相は少ない方が好ましく、すなわちフェライト相とマルテンサイト相の面積率の合計が高い方が好ましく、面積率の合計は90%以上とすることが好ましい。
上記成分組成および鋼組織を満足する本発明の高強度鋼板は、平均r値が1.2以上、穴拡げ率λ値が80%以上を満足するものである。
ここで、「穴拡げ率λ値」とは、日本鉄鋼連盟規格JFST 1001の規定に準拠した穴拡げ試験を行なって得られる。すなわち、供試片に10mmφのポンチで打ち抜いたポンチ穴を開け、頂角60°の円錐ポンチを用い、バリが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴拡げを行なう。この時のd:初期穴内径(mm)、d:割れ発生時の穴内径(mm)として、穴拡げ率λ(%)={(d−d)/d}×100として求めた。
ここで、「平均r値」とは、JIS Z 2254で求められる平均塑性ひずみ比を意味し、以下の式から算出される値である。
平均r値=(r+2r45+r90)/4
なお、r、r45およびr90は、試験片を板面の圧延方向に対し、それぞれ0°、45°および90°方向に採取し測定した塑性ひずみ比である。
本発明の高強度鋼板は、冷延鋼板をはじめ、電気めっきあるいは溶融亜鉛めっきなどの表面処理を施してめっき層を有する鋼板、いわゆるめっき鋼板等をも含むものである。ここで、「めっき」とは、純亜鉛の他、亜鉛を主成分として合金元素を添加した亜鉛系合金めっき、あるいは純Alの他、Alを主成分として合金元素を添加したAl系合金めっきなど、従来鋼板表面に施されているめっき層も含む。
次に、本発明の高強度鋼板の好ましい製造方法について説明する。
本発明の製造方法に用いられる鋼スラブの組成は、上述した鋼板の組成と同様であるので、鋼スラブの限定理由の記載は省略する。
本発明の高強度鋼板は、上記した範囲内の組成を有する鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に再結晶と複合組織化を達成する冷延板焼鈍工程とを順次経ることにより製造できる。
本発明では、まず、鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:400〜720℃で巻取り、熱延板とする(熱間圧延工程)。
本発明の製造方法で使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造した後、いったん室温まで冷却し、その後、再度加熱する従来法に加え、冷却せず温片のままで加熱炉に装入し、熱間圧延する直送圧延、或いはわずかの保熱を行った後に直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
スラブ加熱温度は、析出物を粗大化させることにより、{111}再結晶集合組織を発達させて深絞り性を改善するため、低い方が望ましい。しかし、加熱温度が1000℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時におけるトラブル発生の危険性が増大するので、スラブ加熱温度は1000℃以上にすることが好ましい。なお、酸化重量の増加に伴うスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度の上限は1300℃とすることが好適である。
上記条件で加熱された鋼スラブに熱間粗圧延を施す。ここで、鋼スラブは熱間粗圧延によりシートバーとされる。なお、熱間粗圧延の条件は特に規定する必要はなく、常法に従って行えばよい。また、スラブ加熱温度を低くし、かつ熱間圧延時のトラブルを防止するといった観点からは、シートバーを加熱する、所謂シートバーヒーターを活用することが好ましい。
次いで、シートバーを仕上圧延して熱延板とする。このとき、仕上圧延出側温度(FT)は800℃以上とすることが好ましい。これは、冷間圧延および焼鈍後に優れた深絞り性が得られる微細な熱延板組織を得るためである。FTが800℃未満では、熱間圧延時の負荷が高くなると共に、熱延組織に加工回復(フェライト)組織が残留しやすくなり、これは、冷延焼鈍時の{111}集合組織の発達を妨げる。従って、FTは、800℃以上とすることが好ましい。なお、FTが980℃を超えると、組織が粗大化し、これもまた冷延焼鈍時の{111}再結晶集合組織の形成および発達を妨げる傾向があることから、高r値を得る観点から、FTの上限を980℃とすることが好ましい。
また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するため、仕上圧延の一部または全部のパス間で潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化や材質の均質化の観点から有効である。潤滑圧延の際の摩擦係数は、0.10〜0.25の範囲とするのが好ましい。さらに、相前後するシートバー同士を接合し、連続的に仕上圧延する連続圧延プロセスとすることも好ましい。連続圧延プロセスを適用することは、熱間圧延の操業安定性の観点からも望ましい。
コイル巻取温度(CT)は、400〜720℃の範囲とする。熱延板中にNbCを析出させるのに適正な温度範囲だからである。CTが720℃を超えると、結晶粒が粗大化し、強度低下を招くとともに、冷延焼鈍後の高r値化を妨げることになる。またCTが400℃未満になると、NbCの析出が起こりにくくなり、高r値化に不利となる。なお、CTは、好ましくは550〜680℃とする。
上記のように、成分組成および熱間圧延条件を調整することにより、1)熱延板段階でNb含有量全体の60%以上を析出させ、また、2)熱延板の組織を、小傾角粒界を含む平均結晶粒径が8μm以下とすることができ、これらは高λ化および高r値化に有利となる。
1)熱延板段階において、全体のNb含有量([Nb]total)に占めるNbCなどとして析出するNb量([Nb]prc)の割合([%Nb prc])が60%以上であること
析出Nb量([Nb]prc)は、熱延板を化学分析(抽出分析)して得られ、析出Nb量の割合[%Nb prc]は下記の式で算出される。
Figure 2005264323
冷間圧延および再結晶前の段階で固溶Cを低減することは、高r値化のために有効であり、本発明では、NbCとして析出固定を図っており、前述したように、そのNbCをマトリックス中に析出させることも高r値化に寄与していると考えられ、このような効果を得るためには、析出Nb量が全体のNb含有量の60%以上であることが好ましい。なお、NbCなどとして析出するNb量の上限は、前述したNbの適正範囲の上限([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7のNb含有量としていれば問題なく、高r値化と焼鈍後のマルテンサイト相の形成が両立され、また特にNbCとして析出固定されないCが従来のDP鋼とは異なる、穴拡げ性を損なわないマルテンサイト相を含む第2相の形成に寄与することになる。
2)熱延板の組織が小傾角粒界を含む平均結晶粒径で8μm以下であること
結晶粒径は一般に傾角が15°以上を、所謂、大傾角粒界、傾角15°未満を、所謂小傾角粒界と呼ぶことが多い。本発明の熱延板組織をナイタール液により腐食して観察したところ、Nb添加により、通常通り深く腐食される線(粒界)とともに、腐食が浅い線(粒界)が存在するようになることが認められ、上記腐食が浅い線をEBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)解析したところ、この腐食が浅い線は、傾角15°未満のいわゆる小傾角粒界であることがわかった。
従来軟鋼板においては、熱延板の結晶粒径を微細化するほど、r値を高める効果があることが知られている。本発明においては、ナイタール液により腐食して観察される粒界全てを粒界として粒径を測定し、すなわち特に小傾角粒界も含めて粒径を測定した場合、その平均結晶粒径が8μm以下で高r値化に効果が現れる。なお、結晶粒径の測定方法としては、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について光学顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、JIS G 0552に準じた切断法により公称粒径dとして求めればよく、この他EBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)等の装置を用いて求めてもよい。
次いで、該熱延板に、冷間圧延を施し冷延板とする(冷間圧延工程)。
なお、冷間圧延前に、通常通り行われているように熱延板のスケールを除去するために酸洗を行うことが好ましい。
なお、酸洗は、通常の条件にて行えばよい。冷間圧延条件は、所望の寸法形状の冷延板とすることができればよく、特に限定されないが、冷間圧延時の圧下率は少なくとも40%以上とする必要があり、より望ましくは50%以上とする。高r値化には高冷延圧下率が一般に有効であり、圧下率が40%未満では、{111}再結晶集合組織が充分に発達せず、優れた深絞り性を得ることが困難となる。一方、この発明では、冷間圧下率を90%までの範囲で高くするほどr値が上昇するが、90%を超えるとその効果が飽和するばかりでなく、冷間圧延時のロールヘの負荷も高まるため、上限を90%とすることが好ましい。
次に、上記冷延板に焼鈍温度:800〜950℃で焼鈍を行い、800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、5℃/s以上の平均冷却速度で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持後冷却する(冷延板焼鈍工程)。
上記焼鈍は、本発明で必要とする冷却速度を確保するため連続焼鈍ラインで行う連続焼鈍とすることが好ましく、800〜950℃の温度域で行う必要がある。本発明においては、焼鈍の際の最高到達温度である焼鈍温度を、概ね800℃以上とすることで、(α−γ)の2相域、すなわち、冷却後にフェライト相とマルテンサイト相を含む組織が得られる温度以上、かつ再結晶温度以上にすることができる。すなわち、800℃未満では、冷却後に十分なマルテンサイト相の形成がなされないか、或いは再結晶が完了せずフェライト相の集合組織を調整できず高r値化が図れない。一方、950℃を超える高温では、再結晶粒が著しく粗大化し、特性が著しく劣化するか、或いは発達した再結晶集合組織が変態によりランダム化してしまい、高いr値が得られないからである。
また、800〜950℃の温度域では、1〜300秒間保持することが好ましい。前記温度域での保持時間を1秒間以上とすることで、再結晶を十分進行させるとともに、(α−γ)の2相域に十分滞留させ、相分離と、固溶Cのγへの十分な濃化を促進できるからである。尚、前記温度域での保持時間は、より好ましくは10秒間以上とする。一方、前記保持時間が300秒間を超えると、結晶粒の粗大化をもたらし、強度や表面性状など諸特性が劣化する傾向にある。このため、前記保持時間の上限は300秒間とすることが好ましい。
上記焼鈍後の冷却速度は、マルテンサイト相の形成の観点から、800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度を5℃/s以上として冷却し、該温度(保持温度)で1秒以上保持する必要がある。上記平均冷却速度が5℃/s未満だと、マルテンサイト相が形成されにくく、フェライト単相組織となって組織強化が十分に得られないからである。
本発明では、マルテンサイト相を含む第2相の存在が必須であることから、800℃から保持温度までの平均冷却速度が、臨界冷却速度以上であることが必要であり、これを達成するためには概ね5℃/s以上とすることで満足される。ここで、冷却開始温度を800℃に限定した理由は、マルテンサイト相を得るため、α−γ2相域中から冷却を開始する必要があるためである。この温度以下では組織強化に有効な第2相が得られにくくなる。なお、その意味で800℃以上の焼鈍温度から、5℃/s以上の冷却速度で冷却しても何ら問題はない。
また、400〜200℃の保持温度まで平均冷却速度5℃/s以上の冷却速度で冷却した後、該温度で1秒間以上保持する場合でも、該保持温度が300℃以上の場合、保持後は、300℃までは平均冷却速度が5℃/s以上になるようにすることが好ましい。保持温度を400〜200℃の温度域の温度とする理由は、400℃を超えると組織強化として有効な硬質のマルテンサイト相が得られにくいからであり、また200℃未満では、上述の低温変態相が得られないか、あるいはフェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の平均硬度比H(S)/H(F)が3.0よりも大きくなるからである。さらに、該保持温度での保持時間を1秒間以上とするのは、内部応力の小さいマルテンサイト相や或いは低温ベイナイト相などの所謂低温変態相の形成を促進させるためである。尚、前記保持時間は、より好適には10秒間以上とする。また、前記保持時間の上限については特に限定はしないが、上記効果の飽和や、生成したマルテンサイト相の軟質化や製造コストの理由から、600秒間以下にすることが好ましい。
また、上記冷延焼鈍工程の後に、電気めっき処理、あるいは溶融めっき処理などの表面処理を施し、鋼板表面にめっき層を形成しても良い。
ここで、めっき層は、純亜鉛めっきや亜鉛系合金めっきに限らず、AlやAl系合金めっきなど、従来、鋼板表面に施されている各種めっき層とすることも勿論可能である。
また、上記のように製造した冷延鋼板(冷延焼鈍板ともいう)あるいはめっき鋼板には、形状矯正、表面粗度等の調整の目的で調質圧延またはレベラー加工を施してもよい。調質圧延或いはレべラー加工の伸び率は合計で0.2〜15%の範囲内であることが好ましい。0.2%未満では、形状矯正、粗度調整の所期の目的が達成できないおそれがあり、一方、15%を超えると、顕著な延性低下をもたらす傾向があるため好ましくない。なお、調質圧延とレベラー加工では、加工形式が相違するが、その効果は、両者で大きな差がないことを確認している。調質圧延、レべラー加工はめっき処理後に行なってもよい。
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。これら鋼スラブを1250℃に加熱し粗圧延してシートバーとし、次いで、表2および表3に示す条件の仕上圧延を施す熱間圧延工程により熱延板とした。これらの熱延板を酸洗後圧下率65%の冷間圧延を圧延工程により冷延板とした。引き続き、これら冷延板に連続焼鈍ラインにて、表2および表3に示す条件で連続焼鈍を行った。次いで、得られた冷延焼鈍板に伸び率0.5%の調質圧延を施し、各種特性を評価した。なお、No.2および12の鋼板は、焼鈍後、酸洗し、溶融亜鉛めっき設備において、露点:−40℃、7vol%Hを含有し残部がNである雰囲気中にて、750℃で40秒のめっき前処理を施した後、浴温470℃、Al含有率0.14mass%の溶融亜鉛めっき浴にめっき時間1秒の条件で浸漬して、溶融亜鉛めっきを施した。
得られた各冷延焼鈍板および溶融亜鉛めっき鋼板の、微視組織、硬度測定、引張特性、穴拡げ率λ値、およびr値について調査した結果を表2および表3に示す。また、熱間圧延工程後の熱延板について、NbCとして析出固定されるC量の割合と微視組織(結晶粒径)について、前述の方法で調べた。なお、結晶粒径の測定はJIS G 0552に準じた切断法で行った。
調査方法は下記の通りである。
(i)析出Nb量の割合[%Nb prc]の算出
熱延板を化学分析(抽出分析)して得られる析出Nb量([Nb]prc)、鋼中のNb量([Nb]total)とすると、析出Nb量の割合[%Nb prc]は下記の式で算出される。
Figure 2005264323

抽出分析の方法は、マレイン酸系電解液を用いて電解抽出した残渣をアルカリ融解し、融成物を酸溶解した後、ICP発光分光法で定量した。
(ii)熱延板の平均結晶粒径の測定
圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、JIS G 0552に準じた切断法により、結晶粒の平均切片長さl(μm)を求め、公称粒径d=1.13×lとして求めた。
(iii)冷延焼鈍板の微視組織
各冷延焼鈍板から試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面(L断面)について、光学顕微鏡或いは走査型電子顕微鏡を用いて400〜10000倍で微視組織を撮像し、相の種類を観察するとともに、1000〜3000倍の像から点計数法(点算法)を用いて第2相の分率を求めた。
(iv)硬度測定
得られた各冷延焼鈍板から試験片を採取し、表面から板厚1/4位置まで研削し、電解研磨により研削ひずみを除去した後、Hysitron社のTRIBOSCOPEを用いて、フェライト相と第2相の硬度を測定し、それぞれの平均値から平均硬度比を求めた。測定は、圧痕サイズをほぼ一定にして行った。具体的には圧痕の大きさと比例関係にある圧痕深さ(=contact depth)が50±10nmになるように荷重を調整して硬さを測定した。この時の圧痕の1辺は約350nmとなる。なお、微視組織の観察によりマルテンサイト相が認められない等、明らかに組織が不適の場合は測定しなかった。
(v)引張特性
得られた各冷延焼鈍板から圧延方向に対して90°方向(C方向)にJIS5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠してクロスヘッド速度10mm/minで引張試験を行い、降伏応力(YS)、引張強さ(TS)および伸び(El)を求めた。
(vi)λ値
得られた各冷延焼鈍板から100mm角の試験片を採取し、日本鉄鋼連盟規格JFST 1001の規定に準拠して穴拡げ試験を行った。すなわち、供試片に10mmφのポンチで打ち抜いたポンチ穴を開け、頂角60°の円錐ポンチを用い、バリが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴拡げを行った際のd:初期穴内径(mm)、d:割れ発生時の穴内径(mm)として、穴拡げ率λ(%)={(d−d)/d}×100として求めた。
(vii)r値
得られた各冷延焼鈍板の圧延方向(L方向)、圧延方向に対し45°方向(D方向)、圧延方向に対し90°方向(C方向)からJIS5号引張試験片を採取した。これらの試験片に10%の単軸引張歪を付与した時の各試験片の幅歪と板厚歪を測定し、これらの測定値を用い、JIS Z 2254の規定に準拠して平均r値(平均塑性歪比)を算出し、これをr値とした。
Figure 2005264323
Figure 2005264323
Figure 2005264323
表2および表3に示す調査結果より明らかなように、本発明例では、いずれもTSが440MPa以上、λ値が80%以上で、かつ平均r値が1.2以上と、伸びフランジ性と深絞り性の双方に優れている。これに対し、本発明の範囲を外れる条件で製造した比較例では、強度が不足しているか、λ値が80未満か、あるいはr値が1.2未満であり、伸びフランジ性と深絞り性の少なくとも一方が劣っている。
本発明によれば、引張強さTSが440MPa以上、或いはさらに強度が高いTS500MPa以上やTS590MPa以上であってもλ値が80%以上でかつ平均r値が1.2以上と、伸びフランジ性と深絞り性の双方に優れた、総合的な成形性に優れた高強度鋼板を安価にかつ安定して製造することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。例えば、本発明の高強度鋼板を自動車部品に適用した場合、これまでプレス成形が困難であった複雑な部位も高強度化が可能となり、自動車車体の衝突安全性や軽量化に十分寄与できるという効果がある。また、自動車部品に限らず、家電部品やパイプ用素材としても適用可能である。
種々のC量を含有する鋼板において、([Nb]/93)/([C]/12)と、平均硬度比、λ値および平均r値との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.010〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(3)式を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

    0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
    Mn当量(%)=[Mn]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
    ただし、式中の[Nb]、[C]および[Mn]は各々の元素の含有量(質量%)である。
  2. 質量%で、
    C:0.010〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、さらにMo、Cr、CuおよびNiのうち1種または2種以上を合計で0.5%以下を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(4)式を満たし、残部は実質的にFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有するとともに、主相であるフェライト相と第2相からなり、フェライト相の硬度H(F)に対する第2相の硬度H(S)の比H(S)/H(F)が1.5〜3.0の範囲であり、前記フェライト相の組織全体に対する面積率が50%以上であり、前記第2相中に、組織全体に対する面積率で1〜15%のマルテンサイト相を含む鋼組織を有することを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

    0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
    Mn当量(%)=[Mn]+3.3×[Mo]+1.3×[Cr]+0.5[Cu]+0.4[Ni]・・・(4)
    ただし、式中の[Nb]、[C]、[Mn]、[Mo]、[Cr]、[Cu]および[Ni]は各々の元素の含有量(質量%)である。
  3. 上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、下記(5)式を満足するとともに、下記(6)式で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、下記(7)式または下記(8)式を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。

    ([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0 ・・・・・・・・・(5)
    [Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)} ・・・・・・・・・(6)
    [Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7 ・(7)
    [Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・(8)
    ただし、式中の[Ti]、[S]、[N]、[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%)で
    ある。
  4. 表面にめっき層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  5. 質量%で、
    C:0.010〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(3)式を満たす組成になる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:400〜720℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に、圧下率40%以上で冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜950℃で焼鈍を行い、次いで800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度:5℃/s以上で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持後冷却する冷延板焼鈍工程とを順次施すことを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

    0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
    Mn当量(%)=[Mn]・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
    ただし、式中の[Nb]、[C]および[Mn]は各々の元素の含有量(質量%)である。
  6. 質量%で、
    C:0.010〜0.050%、
    Si:1.0%以下、
    Mn:1.0〜3.0%、
    P:0.005〜0.1%、
    S:0.01%以下、
    Al:0.005〜0.5%、
    N:0.01%以下および
    Nb:0.01〜0.3%
    を含有し、さらにMo、Cr、CuおよびNiのうち1種または2種以上を合計で0.5%以下を含有し、かつ、下記(1)、(2)および(4)式を満たす組成になる鋼スラブを熱間圧延にて仕上圧延出側温度:800℃以上とする仕上圧延を施し、巻取温度:400〜720℃で巻取り、熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に、圧下率40%以上で冷間圧延を施し、冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に焼鈍温度:800〜950℃で焼鈍を行い、次いで800℃から、400〜200℃の温度域の温度まで、平均冷却速度:5℃/s以上で冷却し、次いで該温度で1秒間以上保持後冷却する冷延板焼鈍工程とを順次施すことを特徴とする深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

    0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
    3−100×[C]≦Mn当量(%)≦7−100×[C]・・・・・・・・・・・(2)
    Mn当量(%)=[Mn]+3.3×[Mo]+1.3×[Cr]+0.5[Cu]+0.4[Ni]・・・(4)
    ただし、式中の[Nb]、[C]、[Mn]、[Mo]、[Cr]、[Cu]および[Ni]は各々の元素の含有量(質量%)である。
  7. 上記組成に加えて、さらにTi:0.1質量%以下を含有し、かつ、下記(5)式を満足するとともに、下記(6)式で表される有効Ti量[Ti]に基づき、上記(1)式の代わりに、下記(7)式または下記(8)式を満足することを特徴とする請求項5または6に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。

    ([Ti]/48)/{([S]/32)+([N]/14)}≦2.0 ・・・・・・・・・(5)
    [Ti]=[Ti]−48×{([N]/14)+([S]/32)} ・・・・・・・・・・(6)
    [Ti]>0で、0.2≦{([Nb]/93)+([Ti]/48)}/([C]/12)≦0.7 ・(7)
    [Ti]≦0で、0.2≦([Nb]/93)/([C]/12)≦0.7 ・・・・・・・・・・(8)
    ただし、式中の[Ti]、[S]、[N]、[Nb]および[C]は各々の元素の含有量(質量%)である。
  8. 上記冷延板焼鈍工程の後の鋼板表面にめっき層を形成するめっき処理工程をさらに有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の深絞り性と伸びフランジ性に優れた高強度鋼板の製造方法。
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