JP2005261056A - 自己託送システムの発電電力制御装置 - Google Patents

Abstract

【課題】出来るだけ手間とコストを省いた簡易な手法で、自己託送の計画を作成でき、経済的なメリットが得られる発電電力制御装置を提供する。
【解決手段】データベース３１の実績データに基づいて予測手段３２は、電力需要家２００の受電電力量の予測を行い、この予測に基づき、送電計画手段３３は、発電機の燃費特性、託送料金、送電損失率、電力会社からの電力購入料金を考慮して、予測手段３２による電力需要家の受電電力量の予測に基づいた電力量を送電する際にかかる発電機１の燃費と託送料金の合算値が電力会社からの電力購入料金よりも安価となる場合に送電するように、発電コントローラ４に対して送電電力指令を与える。
【選択図】 図１

Description

本発明は、電力需要家が、離れた場所に設置している自家用発電設備の発電電力を電力会社の電力系統を介して当該電力需要家側に託送し、託送した電力を受電する自己託送システムにおける発電電力制御装置に関する。

従来、電力託送の一つである自己託送は、電力会社が電力需要家に提供しているサービスの一つである。電力会社はそのサービスを利用する電力需要家に対して、自己託送の実施に先立ち、年間、月間、週間および翌日の自己託送計画を通知することを要求している。翌日計画については、毎日所定の時間に、翌日の３０分ごとの電力量の計画値の通知（これを通告値と言う）を要求している。また、このように事前に提出した計画に従い、自家用発電設備から電力系統に送電する電力量を３０分ごとに計画値に一致するように調整することも要求されている。これらの電力会社の要求事項に何らかの手段で対応しなければならない。

系統連系する自家用発電設備１００の基本的な構成は図４に示すように、発電機１、原動機２、調速機３、発電コントローラ４、自動電圧調整装置（ＡＶＲ）５からなり、遮断器６を介して構内系統に接続され構内負荷例えばＡ工場の電力負荷８に電力供給し、さらに遮断器９を介して電力系統３００と連系されている。

また、保護装置として発電機１の異常を保護する発電機保護装置１０、電力系統３００との連系保護のための系統連系保護装置１１が設置されている。この系統連系する自家用発電設備１００において発電機出力の制御は発電コントローラ４により行われる。電力計１２および電力計１３による電力計測値は、発電コントローラ４による発電機出力の制御に際してフィードバック信号として用いる。発電コントローラ４は、電力指令値に追従させるため調速機３を動作させ、発電機１の出力が制御される。

自家用発電設備１００から電力系統３００へ送電された電力は、電力系統３００を介して託送先である需要家２００例えばＢ工場に送られる。需要家２００は、遮断器２２を介して電力負荷２１が接続されており、託送された電力は電力負荷２１で消費される。電力量計２３は、需要家２００が電力系統３００から受電した電力量を計測している。

ここで、電力託送の一つである小売託送における発電電力制御においては、所定区間毎の同時同量を的確に行うものとして特許文献１に示す装置、発電計画をたて該計画を発電事業者に通知する手段を採用する特許文献２に示す装置が知られている。
特開２００２−２４７７６８号公報 特開２００２−２７１９８２号公報

上記のように、電力会社のサービスである自己託送を利用する上で要求される事項であるところの自己託送の計画の通知（計画を作成し通知する）、および送電する電力量の３０分ごとの調整が必要となる。

自己託送サービスを利用する電力需要家にとって、電力会社より安い電気代で済むことが自己託送サービスを利用するメリットであって、経済メリットの出る自家用発電設備からの送電計画を立案し、計画値に対しての３０分ごとの送電電力量の調整が良好であることが必要である。

３０分ごとの送電電力量を計画値に一致するように調整しても、需要家における消費電力が託送された電力に必ず一致するとは言えない。実際に託送されたと見なされる電力量の算定値よりも自家用発電設備から送電した電力量から送電損失分を差し引いた量が大きいと、余剰電力として購入してもらえるとはいえ３％相当までの購入に限定され３％を超える分は無償となる。

経済メリットの出る送電計画の立案と、実際に託送されたと見なされる電力量の算定値と自家用発電設備から送電した電力量から送電損失分を差し引いた量との間の差異を少なくするためには、需要家の消費電力の予測が重要である。

そこで、本発明の目的はできるだけ手間とコストを省いた簡易な手法で、自己託送の計画を作成し、経済的なメリットが得られる自己託送システムの発電電力制御装置を提供する。

本発明は前記目的を達成するために、請求項１に対応する発明は、電力需要家が、離れた場所に設置している自家用発電設備の発電電力を電力会社の電力系統を介して当該電力需要家側に託送し、託送した電力を受電する自己託送システムにおいて、前記電力需要家における過去の受電電力量の実績データを格納したデータベースと、前記データベースの実績データに基づいて前記電力需要家の受電電力量の予測を行う予測手段と、前記予測手段による需要の予測に基づいて前記自家用発電設備から前記電力系統への送電電力の計画をたてる送電計画手段と、前記送電計画手段により前記自家用発電設備から前記電力系統への送電電力を制御する発電コントローラと、前記電力需要家側に一日を３０分ごとに分割した４８断面における前記電力需要家の受電電力量の実績を一時記憶する記憶手段と、前記記憶手段にて記憶した前記電力需要家の受電電力量の実績を前記自家用発電設備側に伝送する伝送手段とを有し、前記伝送手段にて伝送された電力需要家の受電電力量の実績を前記データベースに蓄積することを特徴とする自己託送システムの発電電力制御装置である。

本発明によれば、自家用発電設備の電力を自己託送サービスにより託送するに際し、オペレータの作業を簡略化し、かつ自己託送によるトータルの電気代のコスト削減という経済性も満足できる簡易な自己託送システムの発電電力制御装置である。

以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。図１は本発明の第１の実施形態を説明するための概略構成図であり、図４と同一の構成要素は同一符号を付してその説明を省略する。図４の構成に、新たに記憶装置２４、通信端末２５、３４、データベース３１、予測手段３２、送電計画手段３３を新たに追加したものである。

データベース３１は、電力需要家２００における過去の受電電力量の実績データを格納する。予測手段３２は、データベース３１の実績データに基づいて電力需要家２００の受電電力量の予測を行うものであり、これの詳細については後述する。送電計画手段３３は、予測手段３２による需要の予測に基づいて自家用発電設備１００からの電力系統３００への送電電力の計画をたて、発電コントコーラ４に対して送電電力指令を出力する。送電計画手段３３は、発電機の燃費特性、託送料金、送電損失率、電力会社からの電力購入料金を考慮して、予測手段３２による電力需要家の受電電力量の予測に基づいた電力量を送電する際にかかる発電機１の燃費と託送料金の合算値が電力会社からの電力購入料金よりも安価となる場合に送電するように、発電コントローラ４に対して送電電力指令を与える。

予測手段３２は、図２に示すようにデータベース３１に蓄えられている過去の需要家における受電電力量の実績データ３１１を、平日のデータ３２１、休日のデータ３２２、特異日（半ドン）のデータ３２３のように分解する。そして各分解したデータ３２１、３２２、３２３の各々を、データ毎に平均値を算出する（３２４、３２５、３２６）。実績値データは、３０分ごとの一日４８断面のデータであるので、平均値の算出も３０分ごとの平均値を求める。この平均値算出を各月毎に行えば、各月の平日、休日、特異日の３０分ごとの予測値となり、予測データ３２７が構築できる。

送電計画手段３３は、予測手段３２にて構築された３０分ごとの予測データａに基づく需要家にて受電する電力量を供給するための送電計画を作成する。その際に、経済性を考慮した送電計画が作成できる。具体的には図３の処理フローに示すように送電する電力量であるが、予測データａに送電損失率Lossを考慮した送電損失分を上乗せした電力量が必要である。３０分ごとの予測データをａとする(Ｓ１)。送電損失分を上乗せした電力量をｂとすると、送電損失率Loss(％)なら、ｂ＝ａ／(１−Loss／100)となる。３０分で自家用発電設備からｂに相当する電力量を送電するには、２ｂの送電電力が必要になる(Ｓ２)。

次の処理として、２ｂの送電電力と、送電可能電力の最大値ｅとの比較を行う(Ｓ３)。Ｓ３において、２ｂ＜ｅの場合には、次の処理ステップに進む。自家用発電設備から２ｂの電力で３０分間送電する際の発電機１の燃費とａの電力量を託送する場合の託送料金の合計値ｃを算出し、ａの電力量を電力会社から購入する場合の購入料金ｄ(＝ａ×電力会社電力量料金)とを比較する(Ｓ４)。Ｓ４において、ｃ＜ｄの場合にその３０分は自家用発電設備から託送するとして送電電力指令２ｂを送電計画とする(Ｓ６)。Ｓ４において、ｃ≧ｄの場合には、送電電力指令０を送電計画とする(Ｓ５)。また、Ｓ３において自家用発電設備からの送電可能電力の最大値ｅが２ｂ以下の場合は、送電可能な量のみを送電し、不足分は電力会社からの購入となる。送電可能電力の最大値をｅとすると、送電電力指令はｅと計画とする(Ｓ７)。

記憶装置２４は、電力需要家２００側に一日を３０分ごとに分割した４８断面における電力需要家２００の受電電力量の実績を一時記憶する。通信端末２５は、記憶装置２４にて記憶した電力需要家の受電電力量の実績を自家用発電設備１００側に伝送する。通信端末３４は通信端末２５にて伝送された電力需要家２００の受電電力量の実績を、データベース３１に蓄積する。

以上述べた本発明の実施形態によれば、次のような作用効果が得られる。電力需要家２００における過去の受電電力量の実績データをデータベース３１に格納し、データベース３１の実績データに基づいて予測手段３２は、電力需要家２００の受電電力量の予測を行う。送電計画手段３３は、予測手段３２による需要の予測に基づいて自家用発電設備１００からの電力系統２００への送電電力の計画をたて、発電コントコーラ４に対して送電電力指令を出力する。送電計画手段３３は、発電機の燃費特性、託送料金、送電損失率、電力会社からの電力購入料金を考慮して、予測手段３２による電力需要家の受電電力量の予測に基づいた電力量を送電する際にかかる発電機１の燃費と託送料金の合算値が電力会社からの電力購入料金よりも安価となる場合に送電するように、発電コントローラ４に対して送電電力指令を与える。この結果、出来るだけ手間とコストを省いた簡易な手法で、自己託送の計画を作成し、経済的なメリットが得られる。

本発明による自己託送システムの発電電力制御装置の実施形態を説明するための概略構成図。 図１の予測手段を説明するための図。 図１の送電計画手段を説明するための処理フローを示す図。 従来の自己託送システムを説明するための概略構成図。

符号の説明

１…発電機、２…原動機、３…調速機、４…発電コントローラ、５…自動電圧調整装置、６、７…遮断器、８…電力負荷、９…遮断器、１０…発電機保護装置、１１…系統連系保護装置、１２、１３…電力計、２１…電力負荷、２２…遮断器、２３…電力量計、２４…記憶装置、２５…通信端末、３１…データベース、３２…予測手段、３３…送電計画手段、３４…伝送端末、１００…自家用発電設備、２００…電力需要家、３００…電力系統。

Claims (3)

1. 電力需要家が、離れた場所に設置している自家用発電設備の発電電力を電力会社の電力系統を介して当該電力需要家側に託送し、託送した電力を受電する自己託送システムにおいて、
   前記電力需要家における過去の受電電力量の実績データを格納したデータベースと、
   前記データベースの実績データに基づいて前記電力需要家の受電電力量の予測を行う予測手段と、
   前記予測手段による需要の予測に基づいて前記自家用発電設備から前記電力系統への送電電力の計画をたてる送電計画手段と、
   前記送電計画手段により前記自家用発電設備から前記電力系統への送電電力を制御する発電コントローラと、
   前記電力需要家側に一日を３０分ごとに分割した４８断面における前記電力需要家の受電電力量の実績を一時記憶する記憶手段と、
   前記記憶手段にて記憶した前記電力需要家の受電電力量の実績を前記自家用発電設備側に伝送する伝送手段とを有し、
   前記伝送手段にて伝送された電力需要家の受電電力量の実績を前記データベースに蓄積することを特徴とする自己託送システムの発電電力制御装置。
2. 前記予測手段は、前記データベースの実績データにおいて過去の該当月の電力需要のデータを平日、休日、半ドン、創立記念日などで分類し、分類したそれぞれで一日を３０分ごとに分割した４８断面における平均値を算出することで電力需要の予測値とすることを特徴とする請求項１記載の自己託送システムの発電電力制御装置。
3. 前記送電計画手段は、発電機の燃費特性、託送料金、送電損失率、電力会社からの電力購入料金を考慮して、前記予測手段による電力需要家の受電電力量の予測に基づいた電力量を送電する際にかかる発電機の燃費と託送料金の合算値が電力会社からの電力購入料金よりも安価となる場合に送電するように計画することを特徴とする請求項１記載の自己託送システムの発電電力制御装置。

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