JP2005247695A - 脂肪細胞分化抑制剤 - Google Patents

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敬三 関谷
Shuichi Kusano
崇一 草野
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敦子 大谷
Atsunori Okada
篤典 岡田
Yoichi Nogata
洋一 野方
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Abstract

【課題】 脂肪細胞の分化を抑制する作用を有しながらも、日々安全な食品として摂取することのできる脂肪細胞分化抑制剤を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 イネ科植物(稲(米)、小麦、大麦、粟、稗等)の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする、前駆脂肪細胞からの脂肪細胞分化抑制剤;小型正常脂肪細胞からの肥大化脂肪細胞抑制剤;内臓脂肪増加抑制剤;脂肪細胞由来生活習慣病の予防、改善剤をそれぞれ提供するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は脂肪細胞分化抑制剤に関し、詳しくはイネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とし、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化抑制作用により、小型脂肪細胞から肥大化脂肪細胞への進展を抑制し、肥満を抑制する性質を有する脂肪細胞分化抑制剤に関する。特に生活習慣病と関連するサイトカイン類の過剰分泌を引き起こす内臓脂肪の肥大化を抑えることにより、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化、ガン等の生活習慣病を幅広く予防、改善するための健康食品素材、医薬に関するものである。
我が国では食生活が豊かになり、現在では飽食の時代とも呼ばれ、カロリー摂取過剰、運動不足も原因となり、肥満或いは糖尿病が急激に増加している。現在、30歳代の男性は3人に1人が過体重か肥満であり、40〜50歳代では4割近くが肥満である。肥満は合併症として高脂血症や動脈硬化症、糖尿病をもたらすことが知られている。
肥満とは、脂肪細胞に異常に脂肪が蓄積して細胞が肥大した状態である。これまで脂肪細胞は、余剰のエネルギーを貯めるための組織であると考えられてきた。
しかしながら、最近、脂肪細胞はレプチン、アディポネクチン、TNF-α、レジスチン、遊離脂肪酸をはじめとして10以上のホルモン、サイトカインを分泌し、活発な内分泌臓器であることが分かってきた。特に、内臓脂肪において分泌が盛んであることが知られており、肥大脂肪細胞ではインスリン抵抗性惹起分子といわれるTNF-α、レジスチン、遊離脂肪酸などを過剰分泌するようになる。このことがインスリン抵抗性の原因となり、糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化等の生活習慣病につながると考えられている。即ち、内臓脂肪の蓄積が生活習慣病と密接に関係している。
従って、生活習慣病を予防するためには肥大した脂肪細胞を小型の脂肪細胞にすることが重要と考えられる。脂肪細胞の分化は、核内受容体型転写因子とよばれるPPARγによって主に制御がなされている。小型の脂肪細胞を増やすためには以下の2つの方法がある。
一つは、PPARγの作用を強めて前駆脂肪細胞から脂肪細胞の分化を促すことである。糖尿病治療薬に用いられているチアゾリジン系薬剤は強力なPPARγアゴニスト(作用薬)であり、小型脂肪細胞への分化と共に肥満した脂肪細胞をアポトーシスにより減らす作用もあるといわれる。実際に臨床においてインスリン感受性が高まり、血糖降下作用のあることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
もう一つは、中程度にPPARγの作用を弱めることである。最近、PPARγアンタゴニスト(拮抗剤)が糖尿病マウスに対して血糖降下作用をもつ共に、高脂肪食下での脂肪細胞増大をほぼ完全に抑制することが示された。
日本人の糖尿病患者数はここ50年で急激に増大しているが、摂取カロリー自体はほとんど変化がなく、食事中から摂取する脂肪の割合が増えたことがその一因と考えられている。脂肪細胞分化は、思春期以降生理的にはほとんど起こっていないと考えられているが、成人のPPARγは成熟した脂肪細胞においても強く発現しており、PPARγヘテロ欠損マウスを用いた実験から、PPARγが高脂肪食での脂肪細胞肥大化やインスリン抵抗性出現を媒介していることが明らかとなってきた。
従って、現代の日本人の脂肪摂取の割合の高い食事においてはPPARγの発現を弱めることが小型脂肪細胞の維持、肥満脂肪細胞の改善に非常に重要と考えられる。
生活習慣病の元凶は正常の小型脂肪細胞が、大型脂肪細胞へと肥大し、これに伴って、インスリン抵抗性或いは病態惹起物質が過剰分泌されるためである。
それ故、種々の生活習慣病を予防、改善するためには小型脂肪細胞から肥大脂肪細胞への進展を止めること、あるいは肥大脂肪細胞を減らすことが必要である。特に現代人の脂肪摂取の割合の多い食事ではPPARγの発現が増大していることが知られ、肥大化脂肪細胞へと進展しやすい状態にある。
従って、肥大化脂肪細胞への進展をくい止めるには、この発現量を弱めるための素材を、日々安全な食品として摂取することが重要と考えられる。
しかしながら、食品素材としてそのような観点から研究された例はなく、このような機能性をもつ素材は知られていない。
特許第3176694号
本発明は、このような従来の問題点を解消し、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化抑制作用を有しながらも、日々安全な食品として摂取することのできる脂肪細胞分化抑制剤を提供することを目的とするものである。
そこで、本発明者らは、肥大化脂肪細胞を減らし、小型脂肪細胞を増加させることを目的としてPPARγアンタゴニスト(拮抗剤)様作用をもつ植物を脂肪細胞の分化抑制を指標にスクリーニングを行ってきた。その結果、長年食されてきたイネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分が前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制することを見出し、糖尿病マウスに対しても血糖降下作用があることが示された。このような知見に基づき、本発明を完成するに至った。
請求項1に係る本発明は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする前駆脂肪細胞からの脂肪細胞分化抑制剤を提供するものである。
請求項2に係る本発明は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする小型正常脂肪細胞からの肥大化脂肪細胞抑制剤を提供するものである。
請求項3に係る本発明は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする内臓脂肪増加抑制剤を提供するものである。
請求項4に係る本発明は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする脂肪細胞由来生活習慣病の予防、改善剤を提供するものである。
本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、前駆脂肪細胞である3T3−L1細胞において低濃度で脂肪細胞への分化を抑制し、動物試験の結果においても、脂肪添加食を与えた遺伝的糖尿病Yellow KKマウスに対して血糖降下作用のあることが示された。
以上のことは、脂肪食摂取で促進されたKKマウスでの脂肪細胞の肥大化が抑制され、インスリン抵抗性が軽減された結果であると考えられる。
従って、本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、肥大化脂肪細胞の増加に伴い引き起こされる糖尿病、高脂血症、高血圧、肥満、ガン等の生活習慣病に対して予防及び治療効果を示すものと考えられる。
本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、長年食されてきた素材に由来するものであるため、安全であり、日々摂取して利用するために非常に優れている。また、低濃度で強い活性を有しているので、様々な食品や加工食品や医薬品等に添加して利用可能であり、上記のような生活習慣病の予防、改善のための食品として有効に利用することができる。
請求項1に係る本発明は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする前駆脂肪細胞からの脂肪細胞分化抑制剤である。請求項1に係る本発明によれば、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への細胞分化を抑制することができる。
請求項1に係る本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分としており、イネ科植物の種子又は地上部茎葉から、或いは種子と地上部茎葉の両方から抽出される成分を有効成分としている。
ここでイネ科植物の地上部茎葉とは、種子以外の地上部分を指しており、穎、穂、軸、茎、葉などが含まれる。イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉ということで、根の部分を除いて、全ての部分が対象となる。種子の部分としては、とう精する前後いずれのものであってもよい。米で言えば、玄米であると精白米であるとを問わない。また、籾殻のついたものであってもよい。さらには、とう精した後に得られる糠であってもよい。
これらの中でも、特にとう精した後に得られる糠が食品素材としては優れている。
イネ科の植物としては稲(米)、小麦、大麦(裸麦も含まれる)、粟、稗、トウモロコシ、笹等が含まれ、特に稲(米)、小麦、大麦(裸麦も含まれる)、粟、稗が好ましい。
抽出は、ヘキサン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ブタノール等の有機溶媒を用いて行うことができる。特にヘキサン可溶成分除去後のエタノール抽出物を用いて行うことが好ましい。
請求項1に係る本発明の脂肪細胞分化抑制剤は、抽出液(抽出エキス)をそのまま、或いはこれを濃縮乾固して用いることができ、さらに機能性食品製剤、医薬品などとして、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの各種形態とし、経口摂取したり、静脈注射などの方法によって生体内に取り入れることができる。その他、栄養補助剤を本製剤に添加して用いることもできる。
請求項1に係る本発明の脂肪細胞分化抑制剤の使用量については、基本的には脂肪細胞への分化を抑制するために有効な量であり、特に制限されることはないが、通常は抽出エキス量として、0.001〜10g、好ましくは0.05〜1g程度が摂取されるように、1日1回ないし数回に分けて用いると良い。特にヘキサン可溶成分除去後のエタノール抽出物を用いる場合、ヘキサン可溶成分除去後のエタノールエキス量として、0.001〜10g、好ましくは0.05〜1g程度が摂取されるように、1日1回ないし数回に分けて用いると良い。
請求項2に係る本発明は、請求項1に係る本発明と同じくイネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とするものであるが、請求項1に係る本発明の如き前駆脂肪細胞から脂肪細胞への細胞分化抑制剤ではなく、小型正常脂肪細胞から肥大化脂肪細胞への細胞分化抑制剤である点で異なっている。
請求項2に係る本発明によれば、小型正常脂肪細胞から肥大化脂肪細胞への細胞分化抑制作用により、肥大化脂肪細胞を抑制することができる。
次に、請求項3に係る本発明は、請求項1に係る本発明と同じくイネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とするものであるが、請求項1に係る本発明の如き前駆脂肪細胞から脂肪細胞への細胞分化抑制剤ではなく、内臓脂肪増加抑制剤である点で異なっている。
請求項3に係る本発明によれば、内蔵脂肪の増加、肥大化を防止することができる。
また、請求項4に係る本発明は、請求項1に係る本発明と同じくイネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とするものであるが、請求項1に係る本発明の如き前駆脂肪細胞から脂肪細胞への細胞分化抑制剤ではなく、脂肪細胞由来生活習慣病の予防、改善剤である。
請求項4に係る本発明によれば、特に生活習慣病と関連するサイトカイン類の過剰分泌を引き起こす内臓脂肪の肥大化を抑えることにより、脂肪細胞に由来する糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化、ガン等の生活習慣病を幅広く予防、改善することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
製造例1
とう精後の大麦(裸麦)糠1kgにヘキサンを5000ml加え、室温で放置し、(3日間×3回)、ヘキサン可溶物を取り除いた。次に、酢酸エチルを加えて同様に常温放置(3日間×3回)した後、酢酸エチル抽出物10gを得た。
製造例2
とう精後の大麦(裸麦)糠1kgにヘキサンを5000ml加え、3日間室温放置した後、ヘキサン可溶物を除き、エタノール5000mlを加えて再度3日間放置した。エタノールを回収して乾固し、エタノール抽出エキス35gを得た。
製造例3
大麦(裸麦)種子1kgにメタノール3000ml加え、3時間還流後、濃縮乾固し、抽出物を水、ブタノール液液配分を行った。ブタノール分画はさらにエーテル可溶物と不溶物とに分けた。それぞれ、エーテル不溶物0.5g、エーテル可溶物28g、水溶性画分(水層画分)19gを得た。
製造例4
種子部分を除いた大麦(裸麦)地上部(茎・穂)1kgにメタノール3000ml加え、3時間還流し、乾燥し、メタノール抽出エキスを水、ブタノール液液配分により分画した。ブタノール分画はさらにエーテル可溶物と不溶物とに分けた。それぞれ、エーテル不溶物5.3g、エーテル可溶物6.7g、水溶性画分(水層画分)16gを得た。
製造例5
稲(コシヒカリ)、小麦(ダイチノミノリ)、粟、稗の種子にそれぞれメタノールを加え、還流後、乾燥し、メタノール抽出エキスを水、ブタノール液液配分により分画した。ブタノール画分はさらにエーテル可溶物と不溶物とに分けた。
実施例1
製造例1〜5で得られたイネ科植物抽出エキスを用いて、3T3−L1前駆脂肪細胞の脂肪細胞分化に対する作用を検討した。
即ち、マウス胎児由来の前駆脂肪細胞である3T3−L1細胞を、10%牛胎児血清(FBS,GIBCO社製)を用いて、5%CO2存在下、37℃で培養した。100mmの培養皿で増殖させた後、6穴プレートに植え替え3〜4日間培養し、コンフルエントに達し休止期に入った細胞をスクリーニングに供した。
次に、既知の分化促進剤である3種混合試薬DMI(2.5μMデキサメサゾン、0.5μM3-イソブチル-1-メチルキサンチン及び1.7μMインスリン)或いはトログリタゾン10μMを添加した。その後、2日毎に1μMインスリンを添加し、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を誘導した。被検物(製造例1〜5で得られたイネ科植物抽出エキス)は、DMI或いはトログリタゾン添加時に、終濃度が0.1〜300μg/mlになるように添加した。11日後に細胞内のトリグリセライド(TG)量とグリセロール-3-リン酸脱水素酵素(GPDH)活性を測定した。
TG量は細胞層を剥離し、超音波装置により細胞を破壊した後、トリグリセライドGテストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。
GPDH活性の測定は、細胞溶液を遠心分離し、得られた細胞溶液上清に補酵素としてニコチンアミドアデニンジヌクレオシド(NADH)、基質としてジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)を加え、分光光度計により340nmでの吸光度の減少を1分間毎に5分間測定した。1分間当たりの吸光度の平均変化量を求め、これを蛋白含量で補正した値をGPDH活性とし、被検物無添加の対照(コントロール)を100%としたときの相対値で算出した。
結果を図1〜13に示した。
製造例1で得られた酢酸エチル抽出物について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用を調べた結果を図1に示した。その結果、培養液中0.1〜300μg/mlの添加物濃度で分化の指標となるGPDH活性が抑制された。また、細胞内のTG含量も対照と比べて低い値を示した。
製造例2で得られたエタノール抽出物について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用を調べた結果を図2に示した。添加物濃度0.1〜300μg/mlの範囲のいずれにおいてもGPDH活性は低い値を示し、TG含量もそれぞれの濃度で全般的に低い値を示した。
製造例3で得られた水層画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用を調べた結果を図3に示した。添加物濃度0.1〜300μg/mlの範囲で濃度依存的にDPDH活性、TG含量が抑制された。
製造例4で得られた水層画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用を調べた結果を図4に示す。添加物濃度0.1〜300μg/mlの範囲でGPDH活性、TG含量共に抑制作用が示された。エーテル不溶画分についてもGPDH活性が抑制された。TG含量についても同様に抑制された。
なお、図1〜4は、それぞれ製造例1〜4で得られた抽出物について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。
製造例5で得られた稲(米)、小麦、粟、稗のエーテル不溶画分について、脂肪細胞分化に対する影響を調べた結果を、それぞれ図5、6、7、8に示す。いずれの抽出物においてもGPDH活性、TG含量共に抑制作用が示された。また、水層画分にも分化抑制作用が認められた。
以上の結果、大麦(裸麦)種子、茎、穂を含む地上部いずれについてもその抽出物にGPDH活性とTG含量いずれも抑制作用が認められ、大麦抽出物に前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を抑制する作用のあることが示された。また、稲、小麦、粟、稗についても同様な結果が得られたことにより、イネ科植物に共通の作用と考えられる。
実施例2
製造例1で得られた大麦(裸麦)抽出エキスを用いて、自然発症糖尿病Yellow KKマウスに対する影響を検討した。
即ち、5週齢のYellow KK雌性マウスを日本クレア株式会社より購入し、室温23±2℃、湿度60±3%、明暗サイクル12時間の部屋で飼育した。餌(実験動物固形飼料CE-2、日本クレア株式会社)及び飲用水は自由摂取とし、1週間の予備飼育後実験に用いた。
餌は高脂肪食となるよう、粉末飼料CE-2に粉末牛脂を20%配合し、被検物[製造例1で得られた大麦(裸麦)抽出エキス]は1%添加した。マウスは対照群と被検物添加群の2群(n=6)に分け、各々餌、飲用水は自由摂取とした。試験開始時から1週間ごとに尾静脈より採血を行い、血糖値、血中脂質(コレステロール、トリグリセライド、遊離脂肪酸)を測定した。
血糖値の測定はグルコースBテストワコー、コレステロール量の測定はコレステロールEテストワコー、トリグリセライド量の測定はトリグリセライドGテストワコー、遊離脂肪酸値の測定はNEFA-Cテストワコー(全て和光純薬工業株式会社製)の測定キットを使用した。
各測定値は平均値(means)±標準誤差(SD)で示した。有意差検定にはstudent's t-testを用いて行い、対照(コントロール=Control)群に対しp<0.05を有意と判定した。
体重変化を図9に示した。やや大麦(裸麦)抽出エキス添加食群で低い値を示したが、有意な差は認められなかった。
次に、血糖値の変化を図10に示した。血糖値については、試験開始9日後より試験終了28日後まで、対照群に比べ、大麦(裸麦)抽出エキス添加食群において、有意な低下が示された。
さらに、血中脂質の変化については、総コレステロール値の変化を図11に、トリグリセライド値の変化を図12に、遊離脂肪酸値の変化を図13にそれぞれ示した。
図11〜13から明らかなように、血中脂質については、総コレステロール値、トリグリセライド値、遊離脂肪酸値、いずれにおいても、大麦(裸麦)抽出エキス添加による影響はほとんどみられなかった。
実験終了時、解剖し、内臓脂肪組織(副睾丸周辺脂肪組織)を採取して、重量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005247695
表1によれば、対照(コントロール)群に比べて、大麦(裸麦)抽出エキス添加食群において低い値が示された。
製造例1で得られた酢酸エチル抽出物について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例2で得られたエタノール抽出物について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例3で得られた水層画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例4で得られた水層画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例5で得られた稲(米)のエーテル不溶画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例5で得られた小麦のエーテル不溶画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例5で得られた粟のエーテル不溶画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 製造例5で得られた稗のエーテル不溶画分について、3T3−L1細胞の脂肪細胞への細胞分化抑制作用(GPDH活性、TG含量)を調べた結果(コントロールを100としたときの相対値)を示すグラフである。 実施例2における自然発症糖尿病Yellow KKマウスの体重変化を示したグラフである。 実施例2における自然発症糖尿病Yellow KKマウスの血糖値の変化を示したグラフである。 実施例2における自然発症糖尿病Yellow KKマウスの総コレステロール値の変化を示したグラフである。 実施例2における自然発症糖尿病Yellow KKマウスのトリグリセリド値の変化を示したグラフである。 実施例2における自然発症糖尿病Yellow KKマウスの遊離脂肪酸値の変化を示したグラフである。

Claims (4)

  1. イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする前駆脂肪細胞からの脂肪細胞分化抑制剤。
  2. イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする小型正常脂肪細胞からの肥大化脂肪細胞抑制剤。
  3. イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする内臓脂肪増加抑制剤。
  4. イネ科植物の種子及び/又は地上部茎葉から抽出される成分を有効成分とする脂肪細胞由来生活習慣病の予防、改善剤。
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