JP2005240044A - アクリルシロップ樹脂組成物、それを用いるuv硬化アクリルシート及びその製造方法。 - Google Patents

アクリルシロップ樹脂組成物、それを用いるuv硬化アクリルシート及びその製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 UV照射下等の硬化物が、無色透明で、可撓性で、強靱性である硬化物となるアクリルシロップ樹脂組成物及びそのシロップ樹脂組成物をUV照射等下に流延法等で形成させる無色透明で、可撓性で、強靱性のUV硬化アクリルシート及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】 UV照射等下に硬化するアクリルシロップ組成物が、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと、他のビニルモノマーとの共重合物からなる初期重合物(A)と、この初期重合物(A)を分散させる(メタ)アクリル系モノマー(B)とを含有し、この初期重合物(A)のガラス転移点(Tg1)が−5℃以上の範囲にあり、また、(メタ)アクリル系モノマー(B)のポリマーに係わるガラス転移点(Tg2)が−10℃以下の範囲で、しかも、(Tg1)>(Tg2)の関係を満足している。
【選択図】 なし

Description

本発明は、UV及び/又は電子線硬化型アクリルシロップ樹脂組成物に関し、より詳細には、アクリルシロップ樹脂組成物をUV照射等下に得られるシート状硬化物が、無色透明の可撓性で、柔軟性の硬化物で、しかも、そのシート化の生産性に優れるアクリルシロップ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、このようなアクリルシロップ樹脂組成物を用いて、無色透明の可撓性で、柔軟性で、強靱なUV硬化アクリルシートを製造する方法及びそれによって得られるUV硬化アクリルシートに関する。
従来からアクリル系樹脂組成物は、重合開始剤を介して比較的低温度下で、または、UV照射下等で硬化形成される硬化物は、透明性に優れ、また、その硬化物が、各種の基材面に対して優れた粘着性を発揮させること等から、各種の粘着シート、各種の保護コート膜、各種の粘着剤等として各方面に多用されているポリマー材である。また、このようなポリマー材の使用形態は、地球環境保全や、その取扱いの作業労働環境等の観点から、特にその硬化前の形態は無溶剤型か、非溶剤型のポリマー材として用いられている。
例えば、(特許文献1)には、UV硬化性樹脂組成物として、基材に対する密着性を改善させるために、例えば、オリゴエステルアクリレート等の反応性ベースポリマーに、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレートを従来の反応性希釈剤に代替させて用いてなる無溶剤型で、その硬化物が密着性を有するUV硬化性樹脂組成物が記載されている。このような無溶剤型のUV硬化性の樹脂組成物を用いてなる各種の基材面の保護コート剤として用いられる樹脂組成物であり、また、そのような樹脂組成物として、プレポリマーの反応性ベースレジンに、イソボルニルオキシメチル(メタ)アクリレートを含有するものが開示されている。また、このイソボルニルオキシメチル(メタ)アクリレートが、UV硬化下にアクリル樹脂系の硬化速度の低下を防止し、且つ基材面への密着性を付与させる作用目的で用いられると記載されている。
また、(特許文献2)には、UV硬化性ベースレジン組成物を重合させて得られる密着性、耐擦傷性に優れる保護コート剤としてイソボルニル(メタ)アクリレートを含有する無溶剤型のUV硬化性樹脂組成物が提案されている。このようなイソボルニル(メタ)アクリレートは、このようなコート剤における粘度調整及び疎水性構造を導入させるために用いることが記載されている。また、特開平1−308418号公報には、アクリル化ウレタンオリゴマーに、イソボルニール(メタ)アクリレート等の脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマー、その他のモノマーを含有するUV硬化性樹脂組成物が記載されている。
更には、(特許文献3)には、実質的に溶媒を含有されず、ラジカル重合性アクリル系ビニルモノマーを含有するシロップ状組成物を、塗布後60℃以上に加熱させてなる無溶剤型アクリル系接着性シートの製造方法が提案されている。すなわち、その無溶剤型塗工重合用シロップ状組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの部分重合物を含有するシロップ状組成物又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有モノマー、他のビニルモノマー等の部分重合物を含有するシロップ状組成物であることが記載されている。また、これらの組成物を構成するラジカル重合性アクリル系ビニルモノマーとして、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が記載されている。
以上のような状況下にあって、上述する公報例にも記載されているように、従来から、アクリル系重合体の特性である透明性に優れ、特に粘着性を有するポリマー素材に係わって、その利用形態としてのアクリル系シロップ状樹脂組成物を介する各種の粘着性シートや、保護コート膜材等として広く用いられている。しかも、上述した公報例に開示されているように、そのシロップ状樹脂組成物を構成するラジカル重合性アクリル系ビニルモノマーとして、それぞれに係わる作用目的が異なるものの、その樹脂組成物を構成するモノマー種として、特に脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーであるイソボルニル(メタ)アクリレートが多用されている。
また、(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献4)には、特にその係わりが、塗布樹脂組成物の基材に対する密着性や、その樹脂組成物の粘度調整として、更には、その硬化物の被粘着剤面に対する表面粘着性等に係わって組成物を構成のモノマーとしてイソボルニル(メタ)アクリレートを含有させた無溶剤型の保護コート剤用UV硬化性樹脂組成物が提案されている。
また、このようなアクリル系の粘着剤、コート剤、シート等を調製させるに際しては、従来からの知見として、これらのポリマーを構成させるアクリル系モノマーを、そのホモポリマーに係わるガラス転移温度(Tg℃)によって、通常、粘着性モノマーと非粘着性モノマーとして対処させているのが一般的である。従って、加熱硬化及び/又はUV照射硬化下にアクリル系のシート(又はフィルム)に重合形成(又は塗工成形)させるに当たっては、従来からその硬化前の出発原料であるシロップ状の樹脂組成物を調製させるには、そのモノマー種の重合物が、粘着性を呈するモノマーであるのか、その重合物が非粘着性を呈するモノマーであるのかを周知の上で調製させることが極めて重要である。
従って、出発原料の形態としてハンドリング性及び生産性等に優れるシロップ状のアクリル系樹脂組成物を用いて、工業的な実規模でシート状に塗工成形させるに際しては、シート化の実工程が、上述する如くのアクリル系重合体の優れた特性である透明性を損ねてはならない。また、[原料供給−重合硬化−シート化]への実工程が連続した工程であって、この連続工程中にアクリル系重合体が発揮しがちの粘着性に係わって、生産性を損ねてはならない。更には、従来から、塗工成形されるアクリルシートのシート特性が、透明で、可撓性で、柔軟(延伸性)で強靭性(引張り強度)等に係わっては、未だ充分に実用に供せられるシート特性に必ずしも至っていないのが実状である。
特開昭62−45606号公報 特開平5−202316号公報 特開2000−34453号公報 特開平1−308418号公報
そこで、本発明の目的は、出発原料のシロップ状のアクリル樹脂組成物が、UV照射下に基材面に流延させながら、シート状に塗工成形(重合硬化)させる実工程において、透明で、可撓性で、柔軟性で強靭なシート特性を有するアクリルシートを、その生産性を損ねず可能にさせるアクリルシロップ樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の他の目的は、このようなアクリルシロップ樹脂組成物を用いて、UV照射下に、重合速度と流延方向への流延速度や、また、この流延速度と重合速度との係わりで形成されるシートに及ぼす撓みや、くすみ等の発生を防止しながら工業的にUV硬化型アクリルシートの生産を可能にさせる製造方法及びこの製造方法で得られるUV硬化型アクリルシートを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討し、流延させたシロップ状樹脂組成物をUV照射下にシート状に硬化形成させるに、特に粘着性モノマーと非粘着性モノマーとのガラス転移温度(Tg℃)に着目してシロップ状樹脂組成物を調製させた。しかも、その組成物中におけるモノマーの重合速度の速さと、シート化の塗工速度(生産性)とに着目してシロップ状樹脂組成物を調製させたところ、透明で可撓性で、柔軟性で強靱なシート特性を有するシートを、実生産を可能にさせる塗工・シート化速度下に調製することができるシロップ状樹脂組成物を見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、UV照射及び/又は電子線照射下に、重合硬化体を形成することができるシロップ状樹脂組成物が、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと、他のビニルモノマーとの共重合物からなる初期重合物(A)と、この初期重合物(A)を分散させる(メタ)アクリル系モノマー(B)とを含有させてなることを特徴とするアクリルシロップ樹脂組成物を提供する。
この本発明によるアクリルシロップ樹脂組成物を構成する初期重合物(A)のガラス転移点が(Tg1)である。また、(メタ)アクリル系モノマー(B)のポリマーに係わるガラス転移点が(Tg2)である。これらのガラス転移温度(Tg1、Tg2)℃に係わって、本発明によるアクリルシロップ樹脂組成物を形成する初期重合物(A)と(メタ)アクリル系モノマー(B)との両者には、常に、(Tg1)>(Tg2)で表される関係を満足するように組合わせ含有されていることを特徴とするアクリルシロップ樹脂組成物である。
また、本発明によるアクリルシロップ樹脂組成物を用いてシート化させるに際しては、そのコストパホーマンスに係わって、構成するモノマーを部分重合物化させてなる一段工程で調製されることを特徴とするシロップ状樹脂組成物である。しかも、このようなアクリルシロップ樹脂組成物を、UV照射及び/又は電子線照射下に重合形成させてなるシートが、無色透明で、可撓性で、且つ強靭性であるシート特性を有することを特徴とするUV硬化アクリルシートの製造方法を提供する。
すなわち、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと、他のビニルモノマーとを共重合させて、重量基準で表して、ガラス転移点が(Tg1)である初期重合物(A)を、30〜50%の範囲になるように調製する。次いで、このように調製させた初期重合物(A)が、そのポリマーとしてのガラス転移点が(Tg2)である(メタ)アクリル系モノマー(B)が50〜70%の範囲になるようにモノマー中に分散させてシロップ状樹脂組成物が調製される。このように調製されるシロップ状樹脂組成物中に含有させる初期重合物(A)と(メタ)アクリル系モノマー(B)との両者を、(Tg1)>(Tg2)で表す関係を満足するように組合わせて調製する。
次いで、前記アクリルシロップ樹脂組成物の100重量部中に、光重合開始剤を0.01〜2.0重量部の範囲で添加させた後、混合・脱泡させて光重合性のアクリルシロップ樹脂組成物(C)を調製させる。次いで、この光重合性アクリルシロップ樹脂組成物(C)を剥離処理された所定の基材上に流延させながら、所定のUV照射及び/又は電子線照射させてシート状に重合硬化されてUV硬化のアクリルシートが製造される。
以上から、本発明によるシロップ状のアクリル樹脂組成物は、その組成的な特徴として、特定なモノマーである[脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマー]と他のビニルモノマーとを共重合物させた、ガラス転移点が(Tg1)である初期重合物(A)が、後重合でポリマー化させた時のガラス転移点が(Tg2 )である特定する(メタ)アクリル系モノマー(B)に分散させてシロップ状樹脂組成物として調製されている。また、このような組成的な特徴を有する本発明によるシロップ状樹脂組成物は、UV照射下にシート化させる実工程において、その初期重合物(A)が非粘着性成分として、また、このシート化工程で後重合される(メタ)アクリル系モノマー(B)が粘着性成分として相互に作用する物性的な特徴を有するシロップ状樹脂組成物である。しかも、本発明においては、このような組成的又は物性的な特徴を有するシロップ状樹脂組成物を原料としてシート化させる実工程は、[原料を供給させ(所定の基材上に流延させる)⇒UV照射下に⇒シート状に硬化させる]なる原料流延・UV重合硬化・シート化なる連続する一連の工程である。この一連の工程において、本発明によるシロップ状樹脂組成物が、初期重合物(A)と(メタ)アクリル系モノマー(B)との組合わせを、両者のガラス転移点[Tg1、Tg2]℃に係わって、適宜に、容易に(Tg1)>(Tg2)の関係を満足させることができ、モノマーの重合速度の速さと、シート化の塗工速度(生産性)を適宜に調整させながらシート化の実工程を適宜に実施させることができるのである。
以下に、本発明によるアクリルシロップ樹脂組成物、それを用いたUV硬化型アクリルシート及びその製造方法についての実施の形態について、以下に説明する。
既に上述する如く、本発明によるUV硬化型のシロップ状であるアクリル樹脂組成物の構成は、特定なモノマーである[脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマー]と他のビニルモノマーとの共重合物であって、そのガラス転移点が(Tg1)であって、好ましくは−5℃以上、特に好ましくは−5〜+40℃なる特定な範囲にあるモノマーを部分的に重合させた初期重合物(A)である。また、この初期重合物(A)を分散させてシロップ状樹脂組成物を形成させている(メタ)アクリル系モノマー(B)は、後重合させてポリマー化させた時のガラス転移点が(Tg2)であつて、好ましくは−10℃以下、特に好ましくは−10〜−40℃なる特定な範囲にある特定するモノマーである。また、このシロップ状樹脂組成物を原料に、UV照射下にシート化させるに際しては、この初期重合物(A)が非粘着性成分として含有されている。また、本発明においては、シート化工程で後重合される(メタ)アクリル系モノマー(B)が粘着性成分として含有されている。このようなシロップ状樹脂組成物を用いてシート化させる実工程は、原料流延・UV重合硬化・シート化を一連の連続工程として実施される。既に上述した如く、シロップ状樹脂組成物を構成する初期重合物(A)と(メタ)アクリル系モノマー(B)との組合わせを、これらのガラス転移点[(Tg1)、(Tg2)]℃に係わって、常に(Tg1)>(Tg2)の関係を満足させることで、本発明におけるこの一連の工程はモノマーの重合速度の速さと、シート化の塗工速度(又は生産性)とを適宜に調整できることを特徴とするUV硬化型のアクリルシロップ樹脂組成物である。
これによって、本発明によるUV硬化型アクリルシロップ樹脂組成物を用いてシート化されるアクリルシートは、無色透明で、可撓性で、且つ強靭性において、十分に実用に供せるシート特性を発揮するものであることが、後述する実施例の事実とよく符合していることからも容易に理解される。
そこで、本発明においては、上述する初期重合物(A)を形成させる特定モノマーとして、例えば、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーが挙げられ、その中でも本発明において、好ましくは、イソボルニルアクリレートを適宜好適に使用することができる。
そこで、本発明において、既に上述した理由から、この初期重合物(A)は、好ましくは、この脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと他のビニルモノマーとを共重合物させたものである。その共重合物のガラス転移点(Tg1)が−5℃以上の範囲になるように他のモノマー種を選んで調製すれば、特に限定することなく共重合させるモノマー種を用いることができる。本発明において、このようなモノマー種として、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸アニールエステル類、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル類、多価アクリル酸エステル類、脂環式アルコールのメタクリル酸エステル類、エポキシ基含有ビニル単量体、不飽和カルボン酸又はその部分エステル化合物及びその無水物、アミド基含有ビニル単量体、有機ケイ素基含有ビニル化合物単量体等が挙げられる。更には、本発明においては、原料として比較的に低廉で、しかも、モノマー種が多く、強度等の特性を所望する値にコントロールし易い等の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の単独又は(メタ)アクリル酸アルキルエステル類を主成分にして、他のアクリル系モノマー類の少なくとも1種を適宜好適に組合わせて使用することができる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類に他のモノマー類を組合わせて使用する場合、その組合わせる割合は、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類の100重量部に対して、他のアクリル系モノマー類の少なくとも1種を10〜100重量部の範囲で適宜用いることができる。また、上述するような(Tg1)を有する初期重合物(A)は、常に(Tg1)>(Tg2)の関係を満足する(メタ)アクリル系モノマー(B)との組合わせであることを特徴とする初期重合物(A)は、好ましくは、重量平均分子量(Mw)が1万〜50万の範囲にあることが好適である。この(Mw)が下限値未満であると特に強靱性が損なわれ、シートとして実使用にほど遠く、一方、この(Mw)が上限値を超えると高粘度となるため流延塗工性が損なわれ、シート化のハンドリングを低下させて好ましくない。
これらのアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル,(メタ)アクリル酸エチル,(メタ)アクリル酸プロピル,(メタ)アクリル酸イソプロピル,(メタ)アクリル酸ブチル,(メタ)アクリル酸イソブチル,(メタ)アクリル酸ペンチル,(メタ)アクリル酸ヘキシル,(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル,(メタ)アクリル酸オクチル,(メタ)アクリル酸ラウリル,(メタ)アクリル酸ノニル,(メタ)アクリル酸デシル,(メタ)アクリル酸ドデシル,(メタ)アクリル酸フェニル,(メタ)アクリル酸メトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシエチル,(メタ)アクリル酸プロポキシエチル,(メタ)アクリル酸ブトキシエチル,(メタ)アクリル酸エトキシプロピル等のアクリル酸アルキルエステル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド,N−メチロール(メタ)アクリルアミド及びジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の脂環式アルコールのアクリル酸エステル、エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジエチルグリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル,トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル等の(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル類等を挙げることができる。
また、フッ素置換アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル,(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロメチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル−2−パ−フルオロブチルエチル,(メタ)アクリル酸−2−パ−フルオロエチル,(メタ)アクリル酸パ−フルオロメチル,(メタ)アクリル酸ジパ−フルオロメチルメチル等のフッ素置換(メタ)アクリル酸系モノマー等を挙げることができる。
また、スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン,メチルスチレン,ジメチルスチレン,トリメチルスチレン,エチルスチレン,ジエチルスチレン,トリエチルスチレン,プロピルスチレン,ブチルスチレン,ヘキシルスチレン,ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン、フロロスチレン,クロルスチレン,ブロモスチレン,ジブロモスチレン,クロルメチルスチレン等のハロゲン化スチレン、ニトロスチレン,アセチルスチレン,メトキシスチレン、α−メチルスチレン,ビニルトルエン等を挙げることができる。
また、その他の重合性モノマーとして、例えば、パーフロオロエチレン,パーフロオロプロピレン,フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,n−酪酸ビニル,イソ酪酸ビニル,ピバリン酸ビニル,カプロン酸ビニル,パーサティック酸ビニル,ラウリル酸ビニル,ステアリン酸ビニル,安息香酸ビニル,p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル等のビニルエステル類、塩化ビニリデン、クロロヘキサンカルボン酸ビニル、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸−2−クロロエチル等が挙げられる。このような他のモノマーを併用させて有機ポリマーを製造する場合に、アクリル系モノマー100重量部当りに対して、これらその他のモノマーを、アクリル系重合体の特性を損なわない限りにおいて、通常、100重量部以下で、好ましくは、0.1〜50重量部の範囲で適宜使用することができる。
また、必要に応じて、官能基を有するモノマーとして、例えば、アクリル酸,メタアクリル酸,テトラヒドロフタル酸,イタコン酸,シトラコン酸,クロトン酸,イソクロトン酸,ノルボルネンジカルボン酸,ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸が挙げられ、また、これらの誘導体として、無水マレイン酸,無水イタコン酸,無水シトラコン酸,テトラヒドロ無水フタル酸,ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、また、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル,(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル,(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル,(メタ)アクリル酸アミノプロピル,(メタ)アクリル酸フェニルアミノエチル,(メタ)アクリル酸シクロヘキシルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、N−ビニルジエチルアミン,N−アセチルビニルアミン等のビニルアミン系誘導体類、アリルアミン,メタクリルアミン,N−メチルアクリルアミン等のアリルアミン系誘導体、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド等のアクリルアミド系誘導体、p−アミノスチレン等のアミノスチレン類、6−アミノヘキシルコハク酸イミド,2−アミノエチルコハク酸イミド等のアミノ基含有エチレン性不飽和結合を有するモノマーが適宜好適に使用することができる。
また、本発明において、必ずしも架橋構造を形成させる必要はないが、必要に応じて架橋構造を導入させて形成させることができる。このような架橋構造を形成させるに、2官能性以上の多官能性モノマーを適宜好適に使用することができる。その多官能性モノマーとして、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート,トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート,ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート,トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリアクリレート,1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリレート,N−メチロールアクリルアマイド等を挙げることができる。また、このような多官能性モノマーは、既に上述した重合性モノマー100重量部に対して、通常、0.5〜50重量部、好ましくは、1〜15重量部で適宜好適に使用することができる。また、必要に応じて、例えば、スチレン,α−メチルスチレン,クロロスチレン,メチルスチレン,ビニルトルエン,ジビニルベンゼン,ビニルトルエン,メタクリル酸メチル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,酢酸ビニル,フタル酸ジアクリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組合わせて用いてもよい。
また、本発明に用いられる(メタ)アクリル系モノマー(B)としては、既に上述した理由から、そのポリマーとしてのガラス転移点(Tg2)が、−10℃以下、好ましくは−10〜−40℃の範囲にあって、しかも、この(Tg2)が、常に(Tg1)>(Tg2)の関係を満足する特定のモノマー種を、上述した(メタ)アクリル系モノマーから適宜に選んで組合わせ使用することができる。
そこで、このような初期重合化合物(A)と(メタ)アクリル系モノマー(B)とを構成成分とする本発明によるUV硬化型のアクリルシロップ樹脂組成物は、既に上述した組成的及び物性的な特徴を有するこの初期重合物(A)は、重量基準で表して、好ましくは、特に、シート化において所望する強靱性、非粘着性の発現及び流延塗工時のハンドリング性等の観点から、この初期重合物(A)が30〜60%の範囲で含有するように適宜に調製することができる。この含有量が下限値の30%以下では、特に、モノマー(B)に係わる粘着性の調整を困難にさせて、いわゆる(Tg1)>(Tg2)の関係を困難にさせて好ましくなく、一方、上限値の60%を超えると高重合度となって流延塗工性及びハンドリング性を著しく損ねること等で好ましくない。
また、この初期重合物(A)を分散させてシロップ状の樹脂組成物を形成させる(メタ)アクリル系モノマー(B)が、このシロップ状の樹脂組成物中に、重量基準で表して、好ましくは、特に、シート化において所望する強靱性、非粘着性の発現及び流延塗工時のハンドリング性等の観点から、好ましくは、40〜70%の範囲で含有するように適宜に好適に調製することができる。この含有量が下限値の40%未満では、高粘度化、流延塗工性の低下を来すこと等から好ましくなく、一方、上限値の70%を超えると粘着性を発現して、本発明の目的とする非粘着性のシートからはほど遠いこと等から好ましくない。
以上のように調製される本発明によるアクリルシロップ樹脂組成物を、UV照射下にシート状に重合形成させることで、無色透明の可撓性で、柔軟性で、且つ強靱性を発揮するUV硬化アクリルシートの製造方法を以下に説明する。
すなわち、重量基準で表して、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーを必須モノマーと他のモノマーとの一部を共重合させて、ガラス転移点(Tg1)が−5℃以上の範囲にある初期重合物(A)を調製する。この初期重合物(A)の分散濃度が30〜50%の範囲になるシロップにするために、後重合されるホモポリマーとしてのガラス転移点(Tg2 )が−10℃以下の範囲にある(メタ)アクリル系モノマー(B)が50〜70%の範囲になるシロップに調製する。既に上述した如く、このように調製されるシロップにあっては、(Tg1)>(Tg2)の関係を満足していることが重要である。
このように調製されるシロップ状樹脂組成物中に含有させる両者を、(Tg1)>(Tg2)で表す関係を満足するように組合わせて調製する。
次いで、このアクリルシロップ組成物100重量部中に、光重合開始剤を0.01〜2.0重量部の範囲で、好ましくは、0.05〜0.10重量部の範囲で添加させた後、通常の公知の方法で混合・脱泡させて光重合性のアクリルシロップ樹脂組成物(C)に調製する。次いで、このアクリルシロップ樹脂組成物(C)を剥離処理された所定の基材上に流延させながら、UV照射下に重合硬化させてシート状のアクリル硬化体を形成させることができる。これによって、UVの照射強度及び照射量にもよるが、シート厚が10μm〜10mmなるシートを適宜好適に調製することができ、特に、これまでの溶剤型では得られない1mm以上の肉厚のシートを適宜好適に調製することができる。
この光重合開始剤としては、従来から公知であるアセトフェノン類:例えば、アセトフェノン,2,2−ジエトキシアセトフェノン,p−ジメチルアミノアセトフェノン,メトキシアセトフェノン,2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン、またケトン類:例えば、ベンゾフェノン,2−クロロベンゾフェノン,p,p’−ジクロロベンゾフェノン,p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,N,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン),4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、またベンゾインエーテル類:例えば、ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等を挙げることができ、必要に応じてUV増感剤として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の添加することができる。
また、上述したモノマーを部分的に重合させて初期重合物(A)を調製するには、熱分解型の重合開始剤を使用することができ、必要に応じて光重合開始剤を用いることができる。そこで、熱分解型の重合開始剤としては、有機パーオキサイド類、有機ハイドロパーオキサイド類、有機パーオキシケタール類及びアゾ化合物類等が挙げられる。有機パーオキサイド類:例えば、ジクミルパーオキサイド,ジ−tert−ブチルパーオキサイド,tert−ブチルクミルパーオキサイド,ジラウロイルパーオキサイド,ジベンゾイルパーオキサイド,ジアセチルパーオキサイド,ジデカノイルパーオキサイド,ジイソノナイルパーオキサイド,2−メチルペンタノイルパーオキサイド、また有機ハイドロパーオキサイド類:例えば、tert−ブチルハイドロパ−オキサイド、クミルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジハイドロパーオキシヘキサン、p−メタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド、また有機パ−オキシケタ−ル類:例えば、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン,1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン,1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、またアゾ化合物類:例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル,2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル,2,2’−アゾビスシクロヘキシルニトリル,1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル,ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。これらの重合開始剤は単独でも使用されるが、通常、成形品の諸特性向上させることから、二種以上を組合わせて使用することができる。本発明においては、脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと共重合させる他のモノマーとの重合性単量体混合合量100重量部当たり、0.1〜4重量部の範囲で用いることができる。
また、本発明においては、既に上述したモノマー種の他に、シート材としての実使用上でのシート特性を向上させる観点等から、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から一般に公知の各種の添加剤を添加させることができる。例えば、重合開始剤、重合禁止剤、硬化促進剤、低収縮剤、増粘剤、内部離型剤、分散剤、可塑剤、滑剤、被膜形成助剤、剥離剤、消泡剤、耐熱性付与剤、難燃性付与材剤、帯電防止剤、界面活性剤、導電性付与剤、紫外線増感剤、防曇剤、抗菌・防カビ剤、光触媒、充填剤、染料、顔料、繊維強化材等を必要に応じて適宜に使用することができる。本発明においては、これらの添加剤をそれぞれ個々に配合してもよく、また、配合するハンドリング性から、2種以上を組合わせて適宜配合してもよく、また、その添加時としては、初期重合物(A)を調製するモノマーに、又は、この初期重合物(A)を分散させる(メタ)アクリル系モノマー(B)に予め適宜混合分散させることができる。
上述した添加剤の内で、例えば、シート材の引張り強度の改善・補強や、撓み防止や、シート表面のAB(アンチブロッキング)性等の特性改善等に係わって、各種の微粉状、鱗片状、繊維状(又はウイスカー状)の無機・有機のフィラーを適宜添加させることができる。このようなフィラーとして、例えば、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,硫酸バリウム,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,アルミナ粉末、シリカ、合成スメクタイト、合成ゼオライト、チタン酸マグネシウム、合成塩基性炭酸リチウム・アルミニウム塩、合成塩基性炭酸リチウム・マグネシウム塩、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、オラストナイト、ネフェリンサイト、タルク、ケイソウ土、マイカー、ガラス粉、各種有機ポリマー微粒子等が挙げられる。これらの単独又は二種以上を組合わせて使用することができる。また、特に、シートの透明性を低下させない等からその粒度や、屈折率を検討の上で適宜選択して用いられる。また、繊維補強材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、有機系繊維、チタン酸カリ繊維等が挙げられ、これらの繊維長は1〜20mm、好ましくは3〜10mmのものが使用される。また、これらの微粉状、繊維状フィラーは、本発明のシロップ樹脂組成物との相容性、分散性の観点から、例えば、予めシラン系やチタネート系のカップリング剤等で表面処理をするか、また、適宜好適な分散剤を併用させて使用することができる。
以上から、本発明によれば、シロップ状樹脂組成物を形成するモノマー中に分散する初期重合物が、iBoA等の脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーが係わる特定の(Tg1)が−5℃以上の範囲である共重合物であって、これを分散させてアクリルシロップを形成させる分散モノマーが、シート化時に後重合されるポリマーとしてのガラス転移点(Tg2)が−10℃以下の範囲にあって、しかも、このアクリルシロップ樹脂組成物としての構成が、非粘着性成分と粘着性成分のバランスとして常に(Tg1)>(Tg2)なる関係を満足することを特徴とするUV硬化型のアクリルシロップ樹脂組成物である。
このようなアクリルシロップ樹脂組成物を用いて、例えば、UV照射下にシート状に重合形成させることで、無色透明で、可撓性で、柔軟性で、且つ強靱性を発揮するUV硬化アクリルシートを高生産性で、また、これまでの溶剤型では得られない1mm以上の肉厚のシートを提供することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<分子量> :GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求めた重量平均分子量(Mw)である。GPCには、カラムに東ソー(株)製のGMH−HT、GMH−HTLを用い、溶媒にはオルソジクロロベンゼンを用いた。
<光透過率>:光透過率の測定は、島津製作所(製)の分光光度計UV−1600を用いた。
<非粘着性>:プローブタックテスターによる23℃/65%RH(JIS Z0237法に記載する標準状態)ローブタック値が、10g/5mmφ以下を示す。
<強靭性>:JIS K7127のプラスチックフィルム及びシートに係る引張り試験法による引張り強度が、100〜200Kg/cm2の範囲を有する。
<柔軟性>:JIS K7127法による延伸率が100〜400%の範囲を示す。
<可撓性>:500g程度の重りを落下させた時の割れ、亀裂等の発生の度合いや、180°急速折り曲げ時の割れ、破損の発生度合いで評価する。
(実施例1)
<本発明によるアクリルシロップ組成物の調製>
コンデンサー、窒素ガス導入管、温度計、撹拌装置を備えた容量2lの丸底フラスコに、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、2EHAと記す)の450g、アクリル酸イソボニル(以下、iBoAと記す)の450g、アクリル酸(以下、AAと記す)の100g、n−ドデシルメルカプタン(以下、nDMPと記す)の1.5gを加え、窒素パージ後、60℃に加温した。
次いで、重合開始剤として和光純薬(株)製の2,2−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル(以下、V−70と記す)の0.025gを攪拌下に添加させて、重合反応の進捗と共に反応系は約125℃に昇温させた。次いで、温度が120℃に低下した後、2EHAの112.5g、iBoAの112.5g、AAの25g、nDMPの0.75gを添加させ、急冷させて反応系を60℃に冷却させた後、窒素パージ下に温度60℃×0.5hr攪拌した。
次いで、V−70の0.05gを攪拌下に添加させ、反応系温度が120℃に昇温後、約115℃に低下したところで、2EHAの112.5g、iBoAの112.5g、AAの25gを添加させ急冷させて、本発明によるアクリルシロップ組成物(A)を調製した。
得られたシロップ組成物(A)は、初期重合物(A)を分散する(メタ)アクリル系モノマー(B)であるモノマー濃度が50%で、初期重合物(A)であるポリマー濃度が50%で、その初期重合物(A)のポリマー分のMwが10万であった。
<本発明のアクリルシロップ組成物によるアクリルシートの調製>
得られたシロップ組成物(A)の100重量部に対して、2EHAの25重量部、共栄社化学(株)製のトリメチロールプロパントリアクリレート(以下、TMP−Aと記す)の0.5重量部、光重合開始剤の日本チバガイギー(株)製の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(以下、I−1173と記す)の1.0重量部を添加し、混合・脱泡処理して光重合性シロップ樹脂組成物(A−1)を調製した。
次いで、このシロップ組成物(A−1)を両面剥離処理された100μm厚のPETセパレータに0.5mm厚に塗布し、その塗布層両面に剥離処理された100μm厚のPETセパレータを貼着させた。次いで、ブラックライトにより5.0mWの光を10分間照射させて無色透明のシートを調製した。
得られたシートからPETセパレータを剥離させたアクリルシートA−1は、本発明によるUV硬化アクリルシートで、そのTg1=−3℃、Tg2=−29℃で、プローブタック値が6であるシートで、可視光の透過率が92%の透明性のシ−トで、引張り強度が195Kg/cmで強靭性のシートで、延伸率が350%の柔軟性に優れるシートで、可撓性を有するシートであった。
(実施例2)
実施例1におけるシート作成において、シロップ樹脂組成物(A)の100重量部に対して、2EHAの25重量部を2EHAの16.6重量部と、MAの8.4重量部との25重量部にすると、Tg2=−20℃となり、同じく(Tg1)>(Tg2)を満足して、得られるUV硬化アクリルシートは、無色透明で、可撓性良好なシートであった。
(比較例1〜3)
比較例1では、実施例2における2EHAの25重量部をMAの25重量部にするTg2=+1.0℃となって、Tg1<Tg2となり、また、比較例2では、実施例2における2EHAの25重量部を2EHAの11.25重量部と、iBoAの11.25重量と、AAの0.25重量部にするTg2=−3℃となって、Tg1=Tg2となり、また、比較例3では、実施例2における2EHAの25重量部をiBoAの25重量部にするTg2=+22.9℃となって、Tg1<Tg2となって、得られるシートは何れも屈曲させるとクラックを発生する可撓性の著しく低下したものである。
(比較例4)
実施例1において、アクリルシロップ組成物の調製時におけるiBoAの全量を、2EHAに替えると、Tg1=−60℃の粘着剤組成物として調製され、Tg2との関係で、(Tg1)>(Tg2)を満足させる組成物にすることが著しく困難になって本願が目的とするシートを調製することが困難であった。
(比較例5及び6)
比較例5では、実施例1におけるアクリルシロップ組成物の調製時の初期重合物(A)をiBoAの単独で、後重合物(B)を2EHAの単独としてシート化した。また、比較例6では、初期重合物(A)を2EHAの単独で、後重合物(B)をiBoAの単独としてシート化した。その結果、比較例5では(Tg1)>(Tg2)を満足する組成物ではあるが、初期重合物(A)と分散モノマーとの相溶性が低下してシート化するとクスミが発生してシートの透明性が低下する。また、比較例6では、Tg1<Tg2なる組成物であって、本発明の目的とするシートからはほど遠いシートであった。
以上から、本発明においては、シロップを形成する初期重合物が、iBoAと分散モノマーとの共重合体で、しかも、初期重合物に係るTg1と、分散モノマーに係わるTg2との関係において(Tg1)>(Tg2)を満足するアクリルシロップ組成物であることが極めて重要であることがよく理解される。
本発明のアクリルシロップ樹脂組成物を用いて、UV照射下に、重合速度と流延方向への流延速度や、また、この流延速度と重合速度との係わりで形成されるシートに及ぼす撓みや、くすみ等の発生を防止しながら工業的にUV硬化型アクリルシートの生産を可能にさせる製造方法及びこの製造方法で得られるUV硬化型アクリルシートを提供できる。

Claims (5)

  1. UV照射及び/又は電子線照射下に、重合硬化体を形成するアクリルシロップ樹脂組成物において、
    脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと他のビニルモノマーとの共重合物からなる初期重合物(A)30〜50重量%と、前記初期重合物(A)を分散させる(メタ)アクリル系モノマー(B)50〜70重量%とを含有し、
    前記アクリルシロップ樹脂組成物中で、ガラス転移点が(Tg1)である前記初期重合物(A)と、ポリマーに係わるガラス転移点が(Tg2)である前記(メタ)アクリル系モノマー(B)との組合わせが、(Tg1)>(Tg2)で表される関係を満足するように組合わされていることを特徴とするアクリルシロップ樹脂組成物。
  2. 前記脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーが、イソボルニルアクリレートであることを特徴とする請求項1に記載のアクリルシロップ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載するアクリルシロップ樹脂組成物を用いて、UV照射下にシート状に重合形成させてなる無色透明の可撓性で、柔軟性で、且つ強靱性であることを特徴とするUV硬化型アクリルシート。
  4. モノマーを部分重合物化させてなるアクリルシロップ樹脂組成物をUV照射下にシート状に重合形成させてなる無色透明の可撓性で、柔軟性で且つ強靭性であるUV硬化型アクリルシートの製造方法において、
    脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーと他のビニルモノマーとの共重合物からなるガラス転移点が(Tg1)である初期重合物(A)を調製させ、
    重量基準で表して、前記初期重合物(A)が30〜50%の範囲で、ポリマーに係わるガラス転移点が(Tg2)である(メタ)アクリル系モノマー(B)が50〜70%の範囲で含有させ、且つ前記初期重合物(A)と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)との組合わせが、(Tg1)>(Tg2)で表す関係を満足するようにして前記アクリルシロップ樹脂組成物を調製させ、
    次いで、前記アクリルシロップ樹脂組成物の100重量部中に、光重合開始剤を0.01〜2.0重量部の範囲で添加させた後、混合・脱泡させて光重合性のアクリルシロップ樹脂組成物(C)を調製させ、
    次いで、前記アクリルシロップ樹脂組成物(C)を剥離処理された所定の基材上に流延させながら、UV照射下に重合硬化させ、
    てシート状のアクリル硬化体を形成させることを特徴とするUV硬化型アクリルシートの製造方法。
  5. 前記脂肪族の二環式一官能性アクリレートモノマーが、イソボルニルアクリレートであることを特徴とする請求項4に記載のUV硬化アクリルシートの製造方法。
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