JP2005239459A - ゼオライトの製造方法 - Google Patents

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Naoyuki Narishima
尚之 成島
Yasutaka Iguchi
泰孝 井口
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千秋 大内
Tsunetoshi Kinami
常利 木浪
Yoshiyuki Sugano
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Abstract

【課題】ボールミル型反応容器を用いたアルカリ水熱処理による高炉スラグからのA型ゼオライト合成に関する。
【解決手段】SiO2-Al2O3-CaO系三元系合成スラグによる予備実験の結果A型ゼオライトを合成するためには、Si/Alモル比をA型ゼオライト同様1としてCaO量を減少させることが有効であり、Si/Al=1、CaO=15質量%、373K、NaOH濃度=0.5-1M、Msol/Mslag=15 (ml/g)においてA型ゼオライトが合成された。CaO=20質量%でもA型ゼオライトの形成は確認されたが、CaO=40質量%における生成物はトバーモライト+ハイドロガーネットのみであった。スラグを原料とした場合にも、シリカ粉末およびアルミナ粉末またはアルミン酸ナトリウム粉末を用いてSi/Alモル比とCaO量を調整することで、A型ゼオライトを形成することができた。
【選択図】 図1

Description

ゼオライトは、その多孔質結晶構造に起因してイオン交換、ガス吸着、分子ふるい性、触媒などの機能を有している。多くのゼオライトはMx[AlxSi1-xO2]・nH2Oで示されるアルミノケイ酸塩である。Mは一価のアルカリ金属であるが、二価のアルカリ土類金属なども置換しうる。ゼオライト中のSiとAl比はゼオライトの化学的特性に大きな影響を及ぼし、アルミニウム含有量が増加するに伴い疎水性から親水性に表面特性が変化することが知られている1)。A型ゼオライトは立方晶系の合成ゼオライトであり、交換カチオンとしてNa+を有するNa-A型の単位胞は{Na12[Al12Si12O48]・27H2O}8と表され、NaはKやアルカリ土類金属で置換されることが知られている。A型ゼオライトは最も大きなアルミニウム含有量を示すゼオライトの一つで、室温における水蒸気吸着量は最大、全質量の30%程度にも達すると報告されている2)。水蒸気がゼオライト表面へ吸着する反応は発熱反応であり、昼夜間の消費電力の平滑化や低温廃熱の有効利用などへの応用を念頭に、水蒸気吸着熱を利用した親水性A型ゼオライトの蓄熱材料としての応用が注目されている。ゼオライトの水蒸気吸着は、シリカゲルなどと比較して低水蒸気分圧下での吸着特性に優れる、脱吸着くり返しに伴う吸着特性劣化が少ない、などの特徴を有している。Mizotaは、Mgで置換A型ゼオライトを用いて、約1MJ/kgの水蒸気吸着に伴う蓄熱エネルギーを報告している3)
Y.Ono and T.Yashima: Science and Engineering of Zeolite, Kodansha,Tokyo, (2000), 6. D.W.Breck, W.G.Eversole, R.M.Milton, T.B.Reed and T.L.Thomas:J.Am.Chem.Soc., 78 (1956), 5963. T.Mizota: J.Jpn. Inst. Energy, 80 (2001), 916. X.Querol, A.Alastuey, A.Lopez-Soler and F.Plana:Environ.Sci.Technol., 31 (1997), 2527. X.Querol, F.Plana A.Alastuey and A.Lopez-Soler: Fuel, 76 (1997), 793. X.Querol, J.C.Umana, F.Plana, A.Alastuey, A.Lopez-Soler,A.Medinaceli, A.Valero, M.J.Domingo and E.garcia-Rojo: Fuel, 80(2001), 857. W.Ma, P.W.Brown and S.Komarneni: J.Mat.Res., 13 (1998), 3. H.Tanaka, Y.Sakai and R.Hino: Mat.Res.Bull., 37 (2002), 1873. G.G.Hollman, G.Steenbruggen and M.Janssen-Jurkovicova: Fuel, 78(1999), 1225. N.Murayama, H.Yamamoto and J.Shibata: Int.J.Miner.Process., 64(2002), 1. X.Querol, N.Moreno, J.C.Umana, A.Alastuey, E.Hernendez, A.Lopez-Solerand F.Plana: Int.J.Coal Geology, 50 (2002), 413. G.Qian, D.D.Sun, J.H.Tay, Z.Lai and G.Xu: Cement and Concrete Res.,32 (2002), 1377. G.Qian, G.Xu, H.Li and A.Li: Cement and Concrete Res., 28 (1998), 1. R.Siauciunas amd A.Baltusnikas: Cement and Concrete Res., 33 (2003),1789 N.J.Coleman and D.S.Brassington: Mat.Res.Bull., 38 (2003), 485. D.S.Klimesch and A.Ray: Cement and Concrete Res., 28 (1998), 1309. G.G.Hollman, G.Steenbruggen and M.Janssen-Jurkovicova: Fuel, 78(1999), 1225. N.Muruyama, H.Yamamoto and J.Shibata: Int.J.Miner.Process., 64(2002), 1. Y.Marui, R.Irie, H.Takiyama, H.Uchida and M.Matsuoka: J.CrystalGrowth, 237-239 (2002), 2148. H.C.Hu and T.Y.Lee: Ind.Eng.Chem.Res., 29 (1990), 749.
スラグは鉄鋼生産に伴い年間約3500万トン排出されている。これらの多くはセメント原料、路盤材、コンクリート骨材などへ資源化されているが、その資源化の多様性確保は鉄鋼業の重要な課題であると考えられる。高炉スラグは鉄鋼スラグの年間排出量の半分以上の約2000万トンを占め、現在は70%がセメント原料として再利用されている。高炉スラグはSiO2,CaO,Al2O3,MgOなどから構成されており、NaがCaやMgで置換可能であることを考えれば、A型ゼオライト合成のための有力な原料の候補の一つである。これまで、石炭飛灰を原料としたアルカリ水熱合成によるゼオライト類の合成に関する報告は多くなされており4)-9)、Querolらにより解説もなされている11)。石炭飛灰はシリカ(SiO2)含有量が多く(>50質量%)、石炭飛灰から直接Si/Al=1のA型ゼオライトを合成した報告は見あたらない。Tanakaら8)やHollmanら9)は2段階のプロセスによる石炭飛灰からのA型ゼオライトの生成を報告している。まず石炭飛灰をNaOH溶液で処理した後、そのろ液にAlを添加しSi/Alを0.8-28)または1-29)の範囲に調整し、再度アルカリ水熱合成を373K以下の低温で行うことでA型ゼオライトを得ている。鉄鋼スラグを原料とした親水性のゼオライト類のアルカリ水熱合成はこれまで報告されていない。Qianらは電気炉スラグ12)や高炉スラグ13)のセメントへの応用を念頭にオートクレーブ中での生成物および膨張性などを調べ、それぞれトバーモライト+ハイドロガーネットおよびトバーモライトの形成を報告しているが、アルカリ溶液中での研究はなされていない。
本研究では高炉スラグからのNaOH溶液を使用したアルカリ水熱処理によるA型ゼオライト合成のための条件を明らかにすることを目的とした。アルカリ水熱合成よる生成相はアルカリ濃度、溶液/スラグ比、合成温度や原料組成などに依存する10)。これまでに報告された石炭飛灰のアルカリ水熱合成に関する研究からA型ゼオライト合成のためには原料組成の調整が必要であることが示唆されるので、高炉スラグからのアルカリ水熱合成実験に先立ち、SiO2-Al2O3-CaO系合成スラグによる予備実験も合わせて行った。さらに前述の二段階プロセスによるA型ゼオライト合成8),9)では、172.8ks(2日)以上の合成時間を要している。反応時間の短縮を目的に、アルカリ水熱反応時に加熱と共に回転も行うボールミル型反応容器を使用した。
アルカリ水熱合成に用いたスラグ組成を表1に示す。合成スラグはSiO2-Al2O3-CaO三元系である。SiO2,Al2O3およびCaO粉末をSi/Alがモル比で1、CaOが40(スラグA),20(スラグB),15(スラグC)質量%となるように調整した。CaOはCaCO3を大気中1273Kで3.6ks仮焼して作成した。混合粉末を電気抵抗炉中、アルゴン雰囲気においてプラチナるつぼを用いて1973Kで7.2ks(2時間)融解した後、水中急冷しガラス状試料を得た。高炉スラグは実プロセスで得られた水砕スラグで、Si/Al=1.95である(表1参照)。本研究の目的はA型ゼオライトを合成することであるから、高炉スラグにSi源およびAl源を加えることでSi/Alモル比を1とすると共にCaO含有量を調整した。Si源には非晶質シリカ粉末を、Al源にはα-アルミナまたはアルミン酸ナトリウム(NaAlO2,和光,一級)粉末を使用した。これらの粉末をめのう乳ばちで粉砕した後、混合した。この混合粉末をプラチナるつぼ中、1943K、アルゴン雰囲気で再溶解し、急冷後粉砕したものまたは混合粉末を直接アルカリ水熱合成に供した。
Figure 2005239459
本研究で使用したアルカリ水熱合成装置はボールミル型反応容器で、加熱と共に回転できるように設計されている。以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1にその概略を示す。反応容器は外側のステンレス鋼製容器の内側にテフロン(R)製容器(内径40mm、容積60ml)を入れている。テフロン(R)製容器中へ試料粉末、NaOH溶液(>96%,Wako)、30個の炭化ケイ素(SiC)ボール(直径10mm、SiC11,ニッカトー)を投入する。NaOH溶液量は6-35ml、NaOH濃度は0.5-10M(1リットル中でのNaOHモル数)と変化させた。添加試料質量は成分調整用試薬も含め0.4-2gの範囲とした。合成温度は328K〜473Kとした。オートクレーブの回転速度は75rpm(1分あたり75回転)とした。所定時間経過後、濾過、合成温度と同様の温度で乾燥して得た生成物をX線回折(NiフィルターをかけたCuKα線,X’pert,Philips)により同定した。また、スラグからの合成物質の水蒸気離脱に伴う熱量変化を示差走査型熱量分析装置により評価した。
図2にスラグA、スラグBおよびスラグCを1MNaOH中373Kで86.4ks(1日)水熱処理した後の生成物のX線回折パターンを示す。NaOH溶液量と投入スラグ質量比、Msol/Mslag、は15ml/1gとした。スラグA(CaO=40質量%)からはトバーモライト+ハイドロガーネットの形成が観察された。トバーモライト+ハイドロガーネットの理想組成はそれぞれ、3CaO・Al2O3・(3-x)SiO2・2xH2O(x=0-3)14)およびCa5Si6O18H2・4H2O15)で表される。石炭飛灰のアルカリ水熱処理においてもトバーモライト+ハイドロガーネットが形成されており、処理時間の経過に伴い生成物はハイドロガーネットからトバーモライトへ変化するとされている14),16)。Coleman and Brassingtonは、新聞用紙リサイクル残渣を原料としてアルカリ水熱合成によりAl置換型トバーモライトを合成し、トバーモライト中のSiは最大17モル%までAlで置換されることを明らかにすると共に、水溶液中からのCd2+,Pb2+およびZn2+の除去に効果的であることを示した15)。トバーモライトは、ゼオライトに近い結晶構造を有するものの、組成に関してSi/Alモル比は1よりもはるかに大きく水蒸気吸着剤としての機能はA型ゼオライトよりも劣ると予想される。初期試料中CaO含有量が20質量%以下ではトバーモライト+ハイドロガーネットに加えてヒドロキシカンクリナイト(3(Na2O・Al2O3・2SiO2)・0.5Na2SiO3・3H2O)およびA型ゼオライトの生成が確認できる。スラグ中CaO含有量の減少に伴いA型ゼオライトが優勢になっていることがわかる。このことはCaO含有量の低下がA型ゼオライト合成に必要であることを示唆する。そこで、A型ゼオライト合成最適アルカリ水熱合成実験条件の検討には、CaO含有量が15質量%のスラグCを使用することとした。Msol/Mslag、は15ml/1gと固定した条件で86.4ks水熱処理後の生成相に及ぼす合成温度とNaOH濃度の影響を図3に示す。生成物の割合は得られたX線回折パターンに含まれる各物質の特定ピーク(図3参照)強度比より算出した。473Kのアルカリ熱合成においてはいずれのNaOH濃度においてもソーダライトが主生成物であり、トバーモライト、ネフェリンハイドレートおよびヒドロキシカンクリナイトなども形成されるが、A型ゼオライトの形成は確認されなかった。一方、393K以下ではA型ゼオライトの形成が確認され、温度低下に伴い343KまでA型ゼオライトの割合が増加した。373KではNaOH濃度の低下に伴いその割合は増加している。石炭飛灰からのゼオライト類のアルカリ水熱合成においては、Msol/Mslagが生成相に影響を及ぼすことが報告されている10)。そこで373KでのスラグCからの生成相に及ぼすMsol/Mslagの影響を図4に示す。Msol/Mslag=35ml/0.4gではNaOH濃度に関係なくソーダライトとトバーモライトのみが形成されたが、Msol/Mslag=15ml/0.4g-15ml/2.0gでA型ゼオライトの生成が確認され、Msol/Mslag=1.5ml/1g付近でA型ゼオライトの割合が最大となっている。図5にMsol/Mslag=15(ml/g)と固定した状態で(Msol+Mslag)を変化させた際の373K,1MNaOHでの水熱処理後の生成物相の割合の変化を示す。(Msol+Mslag)の減少に伴い、A型ゼオライトの割合は若干ではあるが増加するものの、いずれの(Msol+Mslag)においてもA型ゼオライトは形成されている。石炭飛灰からのNaP1型ゼオライト(Na6Al6Si10O32・12H2O)のアルカリ水熱合成プロセスにおいて溶液中のSiおよびAlイオン濃度の経時変化が報告されている17),18)。Alイオン濃度はピークを示すとされており、ピーク付近からNaP1型ゼオライトの形成が始まっている。A型ゼオライトのNaOH溶液中のAl溶解度は1MNaOH溶液では約300質量ppm(ppmは10-6、1質量ppm=10-4質量%)とされており19)、A型ゼオライト合成に際しても溶液中のイオン濃度がある一定レベルに達する必要があると示唆される。そのため、本研究においてもA型ゼオライト合成に必要なイオン濃度を達成するためにある一定以下のMsol/MslagでA型ゼオライト形成が起こったものと考えられる。
図3および図4の結果より、SiO2-Al2O3-CaO三元系スラグにおいては328〜393K、NaOH濃度=0.5-3M、Msol/Mslag=15(ml/g)でA型ゼオライトが形成されている。次節の高炉スラグを原料としたアルカリ水熱合成実験においては、この実験条件を使用することとする。図6に373Kで合成されたA型ゼオライトの1073Kまでの熱処理に伴う相変化を示す。熱処理は大気中で行い、7.2ks経過後空冷した。A型ゼオライトは873Kまで安定であることが明らかになった。ヒドロキシカンクリナイトは973Kまで安定であるが、1073K以上では生成物全体がネフェリン(NaAlSiO4)となった。
まず、表1に示した高炉スラグにシリカ(SiO2)およびα-アルミナを添加して再溶解することでSi/Alモル比を1、(CaO+MgO)=15質量%と成分調整した試料を373K、NaOH溶液濃度1M、Msol/Mslag=15ml/1gの条件下で水熱処理した後の生成相のX線回折パターンの時間変化を図7に示す。合成時間と共に、生成相が非晶質相から結晶質相へ変化しているのがわかる。14.4ksではA型ゼオライトが形成され始め、28.8ks(8時間)後には、わずかにトバーモライト+ハイドロガーネットの形成が確認されるが、ヒドロキシカンクリナイトは確認されず大部分の生成物はA型ゼオライトであることがわかる。図2に示した合成スラグスラグCからの生成物よりもA型ゼオライトの割合は増加している。高炉スラグスラグにはMgOが含有されており、本実験ではCaO+MgOを15質量%と調整しており、MgOはCaOよりもA型ゼオライト合成に有利なのかもしれない。しかしながら、高炉スラグを直接、成分調整なしに水熱処理した場合には図8に示す通り、A型ゼオライトは形成されない。
次にSi/Alモル比を1、(CaO+MgO)=15質量%となるように高炉スラグにシリカ(SiO2)およびα-アルミナ粉末を添加した混合粉末の直接アルカリ水熱合成を試みた。図9にこの混合粉末を373K,1MNaOH,Msol/Mslag=15ml/1gの条件下で86.4ks(1日)水熱処理した後の生成相のX線回折パターンを示す。NaP1型ゼオライト(Na6Al6Si10O32・12H2O)の形成および原料のα-アルミナの残留が確認できる。NaP1ゼオライトのSi/Alモル比は5/3であり、α-アルミナが残留していることから1MNaOH中でαアルミナが十分な反応性を有していないためにSi/Alの大きなゼオライトが形成されたと考えられる。そこでAl源としてα-アルミナよりもNaOHに溶解しやすいアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を使用することとした。図10はシリカ(SiO2)粉末およびアルミン酸ナトリウムを用いてSi/Alモル比を1、(CaO+MgO)=15質量%と調整した高炉スラグの373K、1MNaOH,Msol/Mslag=15ml/1gの条件下での生成物のX線回折パターンを示す。アルミン酸ナトリウム中のNa2Oは全てNaOHとして溶液中に溶解するとして溶液のアルカリ濃度を計算した。得られるX線回折パターンは、図7の再溶解試料とほぼ同じで、Al源としてアルミン酸ナトリウムを使用した場合には直接アルカリ水熱合成処理によりA型ゼオライトが形成された。高炉スラグの有効利用との観点からは、なるべく高炉スラグの投入割合を増加させる、すなわちシリカおよびアルミン酸ナトリウム添加量を減少させることが望ましい。そこでSi/Alをモル比で1に保ったまま、高炉スラグ質量と全試料質量比(Mslag/Mtotal)を0.3から0.8まで変化させた場合のX線回折パターンおよび生成物の割合の変化を図11および図12にそれぞれ示す。合成条件は図10と同様であり、試料中に含有されるCaO+MgO量を15から40質量%と変化させている。Mslag/Mtotalの増加に伴い、生成物中のトバーモライト+ハイドロガーネットの割合が増加することがわかる。図2に示したスラグAと同様のアルカリ土類金属酸化物含有量のMslag/Mtotal=0.8ではA型ゼオライトは形成されなかった。図13にSiO2-Al2O3-CaO三元系内に、合成スラグ、高炉スラグ組成を主要な生成物であるA型ゼオライト、トバーモライト、ハイドロガーネットの組成範囲と共に示す。高炉スラグ中MgOはCaOと見なして計算した。A型ゼオライト中へのアルカリ土類金属の最大置換量はNaのモル数の1/2と仮定し、H2Oを除いた分率を表示した。図13からも、CaO含有量が多い場合にはトバーモライト+ハイドロガーネットが形成されやすいことが予想され、A型ゼオライト合成のためには、図11および図12の結果も併せて考えれば、初期CaO含有量を30質量%以下にすべきと思われる。
図14にSi/Alをモル比で1、CaO+MgO=15質量%に調整した高炉スラグのアルカリ水熱合成時間に伴う生成物X線回折の変化を示す。28.8ks(8時間)経過後には、再溶解試料と同様に(図7参照)、既にA型ゼオライトが形成されていることがわかる。また28.8ks(8時間)後、172.8ks(2日)までは生成物中に占めるA型ゼオライトの割合に変化はない(図15)。石炭飛灰からのA型ゼオライト合成8),9)と比較して、合成時間が大幅に短縮されておりボールミル型反応容器を使用した効果が見て取れる。14.4ks(4時間)までは非晶質を示すハローのみが観察されている。ゼオライト合成時には、ある誘導期間が存在することが報告されている17),20)。本系においても3.6-28.8ks(1-8時間)程度の誘導期間があり、NaOH溶液中のイオン濃度が増加しているものと推察される。
高炉スラグから合成した生成物に298Kで水蒸気を吸着させ、その試料の昇温過程における吸熱を示差走査型熱量計により評価した結果を図16に示す。図16中の縦軸は見かけの比熱で、水蒸気脱離に伴い発生する吸熱量が含まれている。CaO+MgO=15質量%と成分調整した高炉スラグからの合成相(ほとんどA型ゼオライト)では、ほぼ市販のA型ゼオライト合成と同様350〜550K付近における吸熱が確認され、蓄熱材として活用できることが示唆される。一方、CaO+MgO=40質量%と成分調整した高炉スラグからの合成相(トバーモライト+ハイドロガーネット)は、蓄熱特性を有するものの市販のA型ゼオライトと比較して350〜550Kの吸熱量が小さいことがわかる。
鉄鋼スラグからのA型ゼオライト合成を目的にSiO2-Al2O3-CaO三元系合成スラグおよび実プロセスで得られた高炉スラグを328-473K、NaOH溶液中でアルカリ水熱合成を行った。得られた結果を以下に示す。
(1)15質量%CaOを含有したSiO2-Al2O3-CaO三元系合成スラグを用いた合成実験により、328〜393K、NaOH濃度=0.5-3M、Msol/Mslag=15ml/2g〜15ml/0.4gにおいて、A型ゼオライトが合成されることがわかった。
(2)合成されたA型ゼオライトは873Kまで安定であった。
(3)高炉スラグから水熱合成によりA型ゼオライトを合成するためには成分調整が必要であった。含有されるCaO+MgO含有量を減少させるほどアルカリ水熱処理後の生成物中A型ゼオライトの割合が増加することがわかった。A型ゼオライトを合成するためにはCaO+MgO<30質量%にすることが必要と示唆された。
(4)ボールミル型反応容器を使用することで、14.4ksと短時間でA型ゼオライトが形成されることを確認した。
(5)成分調整した高炉スラグからの生成物では、昇温に伴い水蒸気脱離に伴う吸熱が確認され、蓄熱材料としての有用性が示唆された。
水熱合成用ボールミル型反応容器の概略図 1MNaOH溶液中、373Kにおいて86.4ks(1日)水熱処理した合成スラグからの生成相のX線回折パターン Msol/Mslag=15ml/1.0gにおける86.4ks(1日)の水熱合成に伴うスラグCからの生成相に及ぼす温度およびNaOH濃度の影響 373Kにおける86.4ks(1日)の水熱合成に伴うスラグCからの生成相に及ぼすMsol/Mslagの影響 Msol/Mslag=15(ml/g)の条件下における水熱合成に伴うスラグCからの生成相に及ぼすMsol+Mslag影響 スラグCからの生成物の大気中高温安定性 再溶解により組成を調整した高炉スラグからの水熱処理での生成相のX線回折パターン 86.4ks(1日)の水熱処理に伴う高炉スラグからの生成相に及ぼす成分調整のための再溶解の影響 シリカおよびα-アルミナ粉末を添加した場合の高炉スラグからの水熱処理に伴う生成相のX線回折パターン シリカおよびアルミン酸ナトリウムを添加した場合の高炉スラグからの水熱処理に伴う生成相のX線回折パターン シリカおよびアルミン酸ナトリウムを添加した場合の高炉スラグからの水熱処理に伴う生成相のX線回折パターンに及ぼす初期スラグ量の影響 直接水熱合成法における生成物相に及ぼす初期高炉スラグ量の影響 SiO2-Al2O3-CaO系における高炉スラグ、A型ゼオライト、ハイドロガーネットおよびトバーモライト組成 シリカおよびアルミン酸ナトリウム粉末を加えてSi/Al=1およびCaO+MgO=15質量%と成分調整した高炉スラグからの373K、直接水熱合成による生成相のX線回折パターンの水熱処理時間依存性 373Kにおける水熱合成に伴うSi/Al=1およびCaO+MgO=15mass%と調整した高炉スラグからの生成相に及ぼす水熱処理時間の影響 高炉スラグから水熱合成された生成物と市販ゼオライトの見かけの比熱(Cp)

Claims (3)

  1. CaO+MgOの含有量が30質量%以下となるように成分調整または配合された鉄鋼スラグを原料とし、該原料をアルカリ溶液中で加熱することを特徴とするゼオライトの製造方法。
  2. 前記原料中のCaO+MgOの含有量が15質量%となるように成分調整または配合された請求項1に記載のゼオライトの製造方法。
  3. 前記原料と前記アルカリ溶液を、ボールミル型反応容器内に投入して混合攪拌させながら前記加熱を行うことで1つの工程で処理できる請求項1または2に記載のゼオライトの製造方法。
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