JP2005228611A - 色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発電特性に優れた色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に透明導電膜を形成し、この上に凹凸を有したレプリカ層11を形成する。その後、レプリカ層上に酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布し、加熱することにより、半導体膜3Aとして酸化チタンを成膜する。この際、ペルオキソチタン酸水溶液中に分散された酸化チタン粒子はレプリカ層の上に吸着する。また、ペルオキソチタン酸水溶液中の水分が蒸発すると共にペルオキソチタン酸が酸素と水を発して酸化チタンとなり、レプリカ層の表面のうち上記酸化チタン粒子の吸着されていない間隙に形成する。アルカリ処理によりレプリカ層の除去を行う。
【選択図】図1
【解決手段】基板1上に透明導電膜を形成し、この上に凹凸を有したレプリカ層11を形成する。その後、レプリカ層上に酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布し、加熱することにより、半導体膜3Aとして酸化チタンを成膜する。この際、ペルオキソチタン酸水溶液中に分散された酸化チタン粒子はレプリカ層の上に吸着する。また、ペルオキソチタン酸水溶液中の水分が蒸発すると共にペルオキソチタン酸が酸素と水を発して酸化チタンとなり、レプリカ層の表面のうち上記酸化チタン粒子の吸着されていない間隙に形成する。アルカリ処理によりレプリカ層の除去を行う。
【選択図】図1
Description
本発明は色素増感型太陽電池の製造方法に係り、特にその半導体膜を形成する工程が改善された色素増感型太陽電池の製造方法に関する。
増感色素を吸着させた酸化物半導体を電極に用いて太陽電池を構成することは既に知られている。図5は、このような色素増感型太陽電池の一般的な構造を示す断面図である。図5に示す如く、ガラス基板等の基板1上にFTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電膜2が設けられ、この透明導電膜2上に分光増感色素を吸着させた金属酸化物半導体膜3が形成されることにより色素増感型半導体電極が形成される。この半導体膜3と対向して間隔をあけて対向電極4が配置されており、封止材5により色素増感型半導体電極と対向電極4との間に電解質6が封入されている。
色素吸着半導体膜3は、通常、色素を吸着させた酸化チタン薄膜よりなり、この酸化チタン膜はゾルゲル法により成膜される。この酸化チタン薄膜に吸着されている色素が可視光によって励起され、発生した電子を酸化チタン微粒子に渡すことによって発電が行われる。対向電極4は、ガラス又はプラスチック等の基板上にITOやFTO等の透明導電膜が形成され、この透明導電膜上に、透明導電膜と増感色素との間の電子の授受を促進させるための触媒としての白金膜又は炭素膜が、透過率を低下させない程度の膜厚に形成されたものである。また、電解質6としては、酸化還元性物質、例えば、LiI、NaI、KI、CaI2などの金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせ、LiBr、NaBr、KBr、CaBr2などの金属臭化物と臭素の組み合わせ、好ましくは、金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせよりなる酸化還元性物質をプロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、アセトニトリルなどのニトリル化合物等の溶媒に溶解してなる電解液が用いられている。
なお、本発明は、後述の通り好ましくは交互吸着法によりレプリカ層を形成する工程を有するが、この交互吸着法自体は公知である。即ち、交互吸着法は、複合有機薄膜を作成する方法として、1992年にG.デッカーらによって発表された(Decher.G,Hong.J.D. and J.Schmit:Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992))方法であり、その作成プロセスにおいて、交互吸着(Layer-by-Layer Electrostatic Self-Assembly)の手法が利用される。G.デッカーらによって発表された基本的な方法によれば、まず、正の電解質ポリマー(カチオン性ポリマー)の水溶液と、負の電解質ポリマー(アニオン性ポリマー)の水溶液とが別々の容器に用意される。そして、これらの容器に、初期表面電荷を与えた基板(被成膜材料)を交互に浸すことにより、基板上に多層構造を有する複合有機超薄膜(交互吸着膜)が得られる。たとえば、被成膜材料としてガラス基板を用いた場合、このガラス基板の表面を親水処理して表面にOH−基を導入して、初期表面電荷として負の電荷を与える。そして、この表面が負に帯電した基板を、正の電解質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により、少なくとも表面電荷が中和されるまで正の電解質ポリマーが表面に吸着し、1層の超薄膜が形成される。こうして形成された超薄膜の表面部分は、正に帯電していることになる。そこで、今度はこの基板を負の電解質ポリマー水溶液に浸せば、クーロン力により負の電解質ポリマーが吸着し、1層の超薄膜が形成されることになる。このようにして、基板を2つの容器に交互に浸すことにより、正の電解質ポリマーからなる超薄膜層と負の電解質ポリマーからなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった複合有機薄膜を形成することができる。
Decher.G,Hong.J.D. and J.Schmit:Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992)
Decher.G,Hong.J.D. and J.Schmit:Thin Solid Films, 210/211, p.831(1992)
従来、酸化チタンよりなる半導体膜は、ゾルゲル法により透明基板上に成膜するため、高温処理が必要であり、透明基板としてはガラスのような耐熱性の高いものしか用いることができず、熱に弱いフィルム等への応用は期待できない。また、半導体膜は、発電効率を高くし、且つ特性を安定させるために、構造が制御され、また色素を十分に吸着できるような高比表面積・多孔質であることが要求される。
本発明は、比表面積が大きく、また、比較的低温でも成膜することができる半導体膜を有した色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の色素増感型太陽電池の製造方法は、基板上の透明導電膜の上に半導体膜を形成する工程を有する色素増感型太陽電池の製造方法において、該透明導電膜上に凹凸を有したレプリカ層を形成するレプリカ層形成工程と、このレプリカ層の上に半導体膜を形成する半導体膜成膜工程と、次いで該レプリカ層を除去する除去工程とにより該半導体膜を形成する色素増感型太陽電池の製造方法であって、該半導体膜を形成するに際し、該レプリカ層上に酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布し、加熱することを特徴とするものである。
請求項2の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項1において、交互吸着法により前記透明導電膜上に交互吸着膜を形成し、次いで該交互吸着膜を凹凸化処理することにより前記レプリカ層を形成することを特徴とするものである。
請求項3の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項2において、該交互吸着法により、カチオン性ポリマー膜とアニオン性ポリマー膜とを交互に成膜することにより交互吸着膜を形成することを特徴とするものである。
請求項4の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項3において、該交互吸着膜を酸処理することにより凹凸化処理することを特徴とするものである。
請求項5の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項3又は4において、前記除去工程においてアルカリ処理又は焼成処理により前記レプリカ層を除去することを特徴とするものである。
請求項6の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記レプリカ層形成工程、半導体膜成膜工程及び除去工程を複数回繰り返すことにより、積層構造の半導体膜よりなる半導体を形成することを特徴とするものである。
請求項7の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、該透明導電膜上に平坦な半導体膜を形成し、その後、前記レプリカ層形成工程、半導体膜成膜工程及び除去工程を行うことを特徴とするものである。
請求項8の色素増感型太陽電池の製造方法は、請求項1ないし7のいずれか1項において、透明導電膜が酸化スズをドープした酸化インジウム又はフッ素をドープした酸化スズであることを特徴とするものである。
本発明(請求項1)の色素増感型太陽電池の製造方法によると、凹凸状のレプリカ層の上に半導体膜を形成した後、レプリカ層を除去するので、凹凸状の高比表面積の半導体膜が成膜される。
この方法では、酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液の加熱によって半導体薄膜を成膜することから、比較的低温で成膜することができる。このため、基板として合成樹脂等のガラスよりも耐熱性の低い素材を用いることができる。
請求項2の色素増感型太陽電池の製造方法では、レプリカ層を交互吸着法により形成し、次いで酸処理等の凹凸化処理を施すことにより、凹凸に富んだ多孔質のレプリカ層が形成され、半導体膜の比表面積が大きなものとなる。
請求項3の色素増感型太陽電池の製造方法では、正の電解質ポリマーからなる超薄膜層と負の電解質ポリマーからなる超薄膜層とを交互に成膜することができ、多層構造をもった複合有機薄膜を形成することができる。
請求項4の色素増感型太陽電池の製造方法では、交互吸着膜を酸処理することにより、簡易かつ適切に凹凸化処理することができる。
請求項5の色素増感型太陽電池の製造方法では、アルカリ処理又は焼成処理により前記レプリカ層を簡易且つ確実に除去することができる。
請求項6の色素増感型太陽電池の製造方法では、半導体膜の成膜及びレプリカ層の除去を1セットとし、このセットを複数回繰り返すことにより、複数層の積層体よりなる半導体膜が成膜され、この多層半導体膜は著しく大きな比表面積を有するものとなり、発電効率が向上する。
請求項7の色素増感型太陽電池の製造方法では、レプリカ層形成工程、半導体膜成膜工程及び除去工程を行うことにより半導体膜を形成することに加えて、透明導電膜上に平坦な半導体膜を形成することにより、半導体膜の比表面積が一層大きなものとなる。
本発明において、透明導電膜は酸化スズをドープした酸化インジウム又はフッ素をドープした酸化スズであることが好ましい(請求項8)。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。本発明の方法によって製造される色素増感型太陽電池の全体構成は図3の通りである。本発明は、半導体膜3の形成方法に特徴があるので、次に半導体膜3の形成方法について図1を参照して詳細に説明する。
この方法では、基板1上に透明導電膜2(図1では、構成を明瞭とするため、図示略)を形成しており、この透明導電膜2上にまず凹凸を有したレプリカ層を形成する。この場合、まず平坦なプリレプリカ層を形成し、このプリレプリカ層を凹凸化処理して凹凸レプリカ層を形成する。好ましくは、プリレプリカ層は交互吸着法により形成される。
図1では、(a)図の通りこの交互吸着法により形成された平坦な交互吸着膜11によりプリレプリカ層を形成し、これを酸を用いて凹凸化処理して図1(b)の通り凹凸状のレプリカ層を形成している。
この場合、正の電解質ポリマーとしてはポリアクリルアミン塩酸塩が好適であるが、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン(+)、ポリパラフェニレンビニレン、ポリエチルイミンなどを用いることもできる。負の電解質ポリマーとしては、ポリアクリル酸が好適であるが、ポリパラフェニレン(−)、ポリスチレンスルホン酸、ポリチオフェン−3−アセティックアシド、ポリアミック酸、ポリメタクリル酸などを用いることもできる。
これらの正のポリマー及び負のポリマーは適度な粘性の水溶液となるように別々に溶解され、別々の槽に収容される。透明導電膜2付きの基板1を交互にこの槽内のポリマー水溶液に浸漬することにより交互吸着膜11が形成される。1層の膜の厚さは0.1〜0.4μm程度が好適であり、層の数は5〜30特に10〜15程度が好ましい。
なお、1層を形成する場合、槽中に浸漬した後、引き上げ、純水でリンスし、これを複数回、例えば2〜10回程度繰り返すことにより所定膜厚の層を形成するようにしてもよい。
形成された交互吸着膜11よりなるプリレプリカ層を凹凸化処理するための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸など、好ましくは塩酸を用いることができるが、これに限定されない。酸の濃度はpH2.0〜2.8程度の酸が好適である。常温の場合、この酸に0.5〜10分程度浸漬することが好ましい。
この酸処理により形成されたレプリカ層は、必要に応じ、好ましくは50〜90℃にて真空乾燥等により乾燥された後、図1(c)の通り、その上に半導体膜3Aが成膜される。この半導体膜3Aの膜厚は1〜20μm特に5〜15μm程度が好適である。
この半導体膜3Aを成膜するに際し、前記レプリカ層上に酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布し、加熱する。この際、ペルオキソチタン酸水溶液中に分散された酸化チタン粒子はレプリカ層の上に吸着する。また、ペルオキソチタン酸水溶液中の水分が蒸発すると共にペルオキソチタン酸が酸素と水を発して酸化チタンとなり、この加熱により生じた酸化チタンがレプリカ層の表面のうち上記酸化チタン粒子の吸着されていない間隙に形成する。このように酸化チタン粒子同士がペルオキソチタン酸より生じた酸化チタンによって電気的に接続されるため、酸化チタン粒子間の電子の流れが間隙によって阻害されることがなくなり、発電効率が向上する。
この酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液における酸化チタン粒子の粒径は20nm〜1000nm特に30nm〜600nm程度が好適である。20nm以下であるとTiO2層が緻密になりすぎてTiO2電極の表面積の低下につながり、色素吸着量が減ることによる、素子性能低下が生じる。また1000nm以上であると分散液中でTiO2粒子の沈降が生じるだけでなく、TiO2電極の隙間に効率よく入り込むことができず、素子性能向上の効果が発現しにくくなる。
この酸化チタン粒子は、酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液の不揮発分濃度として1〜10%、特に1.5〜5%が配合されることが好適である。1%以下であると、形成された半導体膜内における酸化チタン粒子同士の間隔が広くなり過ぎ、その結果、酸化チタン粒子間で電子の授受ができなくなり、発電効率が低下する。一方、10%以上であると酸化チタン電極の表面積を低下させてしまうことになり発電効率が低下する。
このペルオキソチタン酸水溶液の濃度は不揮発分濃度で0.5〜2%、特に0.8〜1.5%であることが好適である。0.5%以下では、酸化チタン粒子間をペルオキソチタン酸水溶液から生じた酸化チタンで接続することができなくなり、発電効率が低下する。一方、2%以上では、加熱後のTiO2粒子濃度が高くなりすぎTiO2電極の表面積を下げる原因となる。
この酸化チタンよりなる半導体膜を成膜した後、レプリカ層が残っている場合には、図1(d)の如くレプリカ層の除去を行う。
このレプリカ層の除去は、上記ポリマーをアルカリ処理によって溶解除去するのが好適である。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。例えば、pH10〜12のアルカリ溶液に6〜12時間浸漬することにより、交互吸着膜が除去される。
このようにして、凹凸に富み、比表面積が大きい半導体膜3Aを基板1の透明導電膜2上に形成することができる。この方法によれば、表面粗さRMSが10〜100nm程度の高表面積の半導体膜3Aを成膜することができる。
図1では、透明導電膜2の上に凹凸を有した1層の半導体膜3Aを形成しているが、図2のように、透明導電膜2の上に平坦な半導体膜3Bを形成してから上記のプロセスを実行して凹凸半導体膜3Aを形成してもよい。この半導体膜3Bは、上記の酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布、加熱する方法の他、化学溶液析出法などの湿式法や反応性スパッタ法などの乾式法のような、比較的低温で成膜可能な方法によって成膜するのが好ましい。
また、「交互吸着膜の形成→凹凸化処理→半導体膜の成膜→レプリカ層の除去」を1セットとし、これを複数回繰り返すことにより、図3の通り多層の半導体膜3Aを形成してもよい。
さらに、図4の通り、予め透明導電膜2の上に平坦な半導体膜3Bを形成した後、複数層の半導体膜3Aを図3の如くして形成してもよい。
本発明方法によって製造される色素増感型太陽電池は、半導体膜としてこのような本発明方法により成膜されたものであり、その他の構成は、図5に示すような従来の色素増感型太陽電池と同様の構成とされる。
色素増感型太陽電池の基板1は、通常ガラス板であり、通常珪酸塩ガラスであるが、本発明では半導体膜3A,3Bを比較的低温で成膜することが可能なため、可視光線の透過性を確保できる限り、種々のプラスチック基板等を使用することができる。基板の厚さは、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。ガラス板は、化学的に或いは熱的に強化させたものが好ましい。
透明導電膜2としては、In2O3やSnO2の導電性金属酸化物薄膜を形成したものや金属等の導電性材料からなる基板が用いられる。導電性金属酸化物の好ましい例としては、In2O3:Sn(ITO)、SnO2:Sb、SnO2:F、ZnO:Al、ZnO:F、CdSnO4を挙げることができる。
分光増感色素を吸着させた半導体膜の酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの各種の酸化チタン或いは水酸化チタン、含水酸化チタンが含まれるが、特に本発明ではアナターゼ型酸化チタンが好ましい。また半導体膜は微細な結晶構造を有することが好ましい。
半導体膜に吸着させる有機色素(分光増感色素)は、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つものであり、種々の金属錯体や有機色素の1種又は2種以上を用いることができる。分光増感色素の分子中にカルボキシル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシル基、スルホン基、カルボキシアルキル基の官能基を有するものが半導体への吸着が速いため、好ましい。また、分光増感の効果や耐久性に優れているため、金属錯体が好ましい。金属錯体としては、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン、クロロフィル、ヘミン、特開平1−220380号公報、特表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体を用いることができる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン色素を用いることができる。シアニン系色素としては、具体的には、NK1194、NK3422(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。メロシアニン系色素としては、具体的には、NK2426、NK2501(いずれも日本感光色素研究所(株)製)が挙げられる。キサンテン系色素としては、具体的には、ウラニン、エオシン、ローズベンガル、ローダミンB、ジブロムフルオレセインが挙げられる。トリフェニルメタン色素としては、具体的には、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレットが挙げられる。
有機色素(分光増感色素)を半導体膜に吸着させるためには、有機色素を有機溶媒に溶解させて調製した有機色素溶液中に、常温又は加熱下に半導体膜を基板ととも浸漬すれば良い。前記の溶液の溶媒としては、使用する分光増感色素を溶解するものであれば良く、具体的には、水、アルコール、トルエン、ジメチルホルムアミドを用いることができる。
また、対向電極4としては、導電性を有するものであれば良く、任意の導電性材料が用いられるが、電解質のI3 −イオン等の酸化型のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン、コバルト、ニッケル、クロム等が挙げられる。
色素増感型半導体電極は、基板1上に、透明導電膜(透明電極)2をコートし、その上に上記のようにして半導体膜3を形成し、上述のように色素を吸着して形成される。
この色素を吸着させた半導体膜を有する半導体電極に対向電極4として別の透明導電膜をコートしたガラス板などの基板を対面させ、これらの電極間に電解質6を封止材5により封入することにより色素増感型太陽電池が得られる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1
正の電解質ポリマーとして、ポリアクリルアミン塩酸塩(poly-allylaminehydrochloriede:略称PAH:分子量Mw=70000)を用い、負の電解質ポリマーとして、ポリアクリル酸(poly-acrylic acid:略称PAA:分子量Mw=90000)を用いた。
正の電解質ポリマーとして、ポリアクリルアミン塩酸塩(poly-allylaminehydrochloriede:略称PAH:分子量Mw=70000)を用い、負の電解質ポリマーとして、ポリアクリル酸(poly-acrylic acid:略称PAA:分子量Mw=90000)を用いた。
PAA及びPAHを比抵抗18.2MΩの超純水に溶解し、濃度10−2Mの水溶液とし、PAA溶液はpH3.5、PAH溶液はpH7.5にHCl又はNaOHを用いて調製した。
ガラス基板(厚さ:2mm)上に、厚さ9000ÅのFTO(フッ素ドープ酸化スズ)膜を形成した。この膜上にTiO2膜を形成した。
FTOガラス上へのTiO2の形成は以下に示す化学溶液析出法を用いた。
純水50mlにTiF4:0.248gを加え、1時間攪拌し、その後アンモニア水を用いてpH1.8〜2.1に調製した。この溶液にFTOガラスを浸漬し、60℃で6時間静置した。その後基板を純水で10分間超音波洗浄し室温で乾燥させて、TiO2膜を得た。
この基板を上記PAH水溶液に900sec浸漬した後、引き上げて上記超純水で60secリンスし、これを3回繰り返して厚さ0.008μmの1層のPAH層を形成した。次に、このPAH付き基板を上記PAA水溶液に900sec浸漬した後、引き上げて60sec超純水でリンスし、これを3回繰り返すことにより厚さ0.007μmの1層のPAA層を形成した。このPAH層形成及びPAA層形成を10サイクル繰り返し、合計10層のPAH層と10層のPAA層とが交互に積層されてなる積層膜を形成し、次いで70℃×1Hr真空乾燥して交互吸着膜とした。真空乾燥後の膜厚は0.1μmである。
その後、pH2.5希塩酸に2min、次いで純水に20sec浸漬し、再び70℃で1Hr真空中で乾燥させてレプリカ層を形成した。
表面・断面構造を原子間力顕微鏡及び電界放射型透過電子顕微鏡を用いてこの酸処理の前及び後の膜を観察した。
その結果、酸処理前の交互吸着膜は織物(texture)構造であり、膜の表面粗さRMS値は10nmであった。酸処理後の表面は直径50〜400nmのマクロ孔を有したナノポーラス構造になり、このときの膜表面粗さRMS値は100nmであった。
断面TEM観察から、膜に形成された孔は基板まで貫通している部分が存在することが確認された。
次に、TiO2薄膜を作製した。
TiO2膜の形成に際しては、酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液の不揮発分濃度で2%のものを使用した。そしてこの溶液をレプリカ層上に塗布し、150℃で1時間加熱することでTiO2膜を形成した。
作製したTiO2薄膜を電界放射型走査電子顕微鏡、薄膜X線回折を用いて構造解析した。
次に、pH11.8の水酸化ナトリウム水溶液(常温)に12時間浸漬してレプリカ層を除去し、純水で洗浄した。乾燥後、150℃×5Hrの水熱処理を施した。
薄膜X線回折の測定結果、作製したTiO2膜はアナターゼ型であり、ピーク比から基板に対して垂直な(004)面に配向していることが確認された。
次に、アセトニトリル:3−メチル−2−オキサゾリジノン=50:50(重量比)の混合溶媒に、ヨウ化リチウムを0.3モル/L、ヨウ素を0.03モル/L配合して液状電解質を調製した。
また、分光増感色素として、シス−ジ(チオシアナト)−N,N’−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレートルテニウム(II)ジハイドレートをエタノール液に3×10−4モル/Lで溶解した液に上記酸化チタン膜を形成した基板を入れ、室温で18時間浸漬して、色素増感型半導体電極を得た。分光増感色素の吸着量は、酸化チタン膜の比表面積1cm2あたり10μgであった。
この色素増感型半導体電極上に、液流れ防止テープを取り付けて堰を設け、上記液状電解質を塗布した。この電解質膜面に、対向電極として、白金を担持した透明導電性ガラス板を積層し、側面を樹脂で封止した後、リード線を取り付けて、色素増感型太陽電池を作製した。
得られた色素増感型太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100mWの強度の光を照射したところ(セル面積1cm2)、Isc電流及びEff変換効率は表1に示す通りであった。
表1より、本発明方法により製造された太陽電池は、従来の太陽電池よりも著しく優れた電池性能を示すことが明らかである。
1 基板
2 透明導電膜
3,3A,3B 半導体膜
4 対向電極
6 電解質
11 交互吸着膜
2 透明導電膜
3,3A,3B 半導体膜
4 対向電極
6 電解質
11 交互吸着膜
Claims (8)
- 基板上の透明導電膜の上に半導体膜を形成する工程を有する色素増感型太陽電池の製造方法において、
該透明導電膜上に凹凸を有したレプリカ層を形成するレプリカ層形成工程と、
このレプリカ層の上に半導体膜を形成する半導体膜成膜工程と、
次いで該レプリカ層を除去する除去工程と
により該半導体膜を形成する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
該半導体膜を形成するに際し、該レプリカ層上に酸化チタン粒子分散ペルオキソチタン酸水溶液を塗布し、加熱することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。 - 請求項1において、交互吸着法により前記透明導電膜上に交互吸着膜を形成し、次いで該交互吸着膜を凹凸化処理することにより前記レプリカ層を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項2において、該交互吸着法により、カチオン性ポリマー膜とアニオン性ポリマー膜とを交互に成膜することにより交互吸着膜を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項3において、該交互吸着膜を酸処理することにより凹凸化処理することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項3又は4において、前記除去工程においてアルカリ処理又は焼成処理により前記レプリカ層を除去することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記レプリカ層形成工程、半導体膜成膜工程及び除去工程を複数回繰り返すことにより、積層構造の半導体膜よりなる半導体を形成することを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該透明導電膜上に平坦な半導体膜を形成し、その後、前記レプリカ層形成工程、半導体膜成膜工程及び除去工程を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、透明導電膜が酸化スズをドープした酸化インジウム又はフッ素をドープした酸化スズであることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
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WO2012101939A1 (ja) * | 2011-01-24 | 2012-08-02 | ソニー株式会社 | 色素増感太陽電池およびその製造方法 |
JP2013127923A (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | Dainippon Printing Co Ltd | 色素増感型太陽電池素子、色素増感型太陽電池モジュール、色素増感型太陽電池素子の製造方法および酸化物半導体電極基板 |
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2004
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WO2013094653A1 (ja) * | 2011-12-19 | 2013-06-27 | 大日本印刷株式会社 | 色素増感型太陽電池素子、色素増感型太陽電池モジュール、色素増感型太陽電池素子の製造方法および酸化物半導体電極基板 |
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