JP2005212202A - 樹脂積層金属板 - Google Patents

樹脂積層金属板 Download PDF

Info

Publication number
JP2005212202A
JP2005212202A JP2004019944A JP2004019944A JP2005212202A JP 2005212202 A JP2005212202 A JP 2005212202A JP 2004019944 A JP2004019944 A JP 2004019944A JP 2004019944 A JP2004019944 A JP 2004019944A JP 2005212202 A JP2005212202 A JP 2005212202A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal plate
resin
layer
laminated metal
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004019944A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4351080B2 (ja
Inventor
Takeshi Watase
岳史 渡瀬
Yasuo Hirano
康雄 平野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2004019944A priority Critical patent/JP4351080B2/ja
Publication of JP2005212202A publication Critical patent/JP2005212202A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4351080B2 publication Critical patent/JP4351080B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【課題】 (曲げ)加工性、及び、制振性に優れる樹脂積層金属板を提供することを第一の目的とし、さらに、制振性に優れる構造を利用して樹脂積層金属板に断熱性を付与することを第二の目的とする。
【解決手段】 本発明の樹脂積層金属板は、金属板と、金属板上に設けられた粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、前記粘着性樹脂層の厚みをX(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記XおよびYが、特定の関係式を満足することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、制振性・断熱性材料に関するものであり、より詳細には、制振性・断熱性に優れた樹脂積層金属板に関するものである。
オイルパン、各種パネルなどの自動車用途、屋根、体育館の床材、階段などの建材用途、洗濯機、エアコン、オーディオなどの家電用途、その他の事務機器の用途などにおいて、制振性金属板が使用されている。従来使用されている制振性金属板は、樹脂−金属板の二層構造の非拘束型金属板と、2枚の金属板を粘弾性樹脂で貼り合わせたサンドイッチ構造の拘束型金属板がある。拘束型金属板は、曲げ振動によって樹脂が変形する際に、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、振動を減衰する作用を奏する。
拘束型金属板の制振性を向上させる技術としては、例えば、特許文献1には、中間層として設けられている粘弾性樹脂の制振性を改良することが提案され、特許文献2には、拘束層の制振性を改良することなどが提案されている。また、特許文献3には、表面に凹凸を有する金属板形状に追随することのできる車両用制振構造体が開示されている。さらに、粘弾性樹脂層に発泡材などを含有させることによって、制振性を向上させることが知られている。
特開2002−294208号公報 特開2000−238193号公報 特開平7−24946号公報
2枚の金属板を粘弾性樹脂で貼り合わせたサンドイッチ構造の制振性拘束型金属板は、通常、金属板と粘弾性樹脂層とが固着されており、これを曲げ加工すると、拘束層である金属板の変形量と粘弾性樹脂層の変形量とが異なるために、金属板と粘弾性樹脂層との界面での剥離が生じやすいという問題があった。そのため、例えば、特許文献3に開示されているように、すでに加工されている金属板に粘弾性樹脂や拘束層などを貼り合わせる手法が採用されてきた。しかし、このように加工後の金属板に粘弾性樹脂や拘束層などを貼り合わせる手法は、作業効率を著しく低下させるという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、(曲げ)加工性、及び、制振性に優れる樹脂積層金属板を提供することを第一の目的とし、さらに、制振性に優れる構造を利用して樹脂積層金属板に断熱性を付与することを第二の目的とする。
上記課題を解決することのできた本発明の第一の態様は、金属板と、金属板上に設けられた粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、前記粘着性樹脂層の厚みをX(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記XおよびYが、下記式(1)〜式(3)を満足することを特徴とする樹脂積層金属板である。
Z=Y+60−140000/(X+800)≧0・・・式(1)
25≦X≦200・・・式(2)
38≦Y≦300・・・式(3)
本発明の樹脂積層金属板は、その拘束層と粘着性樹脂層とが、完全に固着されておらず、粘着されている。そのため、曲げ加工をしても粘着性樹脂層が拘束層の変形に追随することができ、拘束層と粘着性樹脂層との界面剥離を抑制できる。さらに本発明者らは、前記粘着性樹脂層と拘束層の厚みを任意に設計しても十分な制振性が得られず、上記式(1)〜式(3)を満足するように粘着性樹脂層と拘束層との厚みを相互に関連させて最適化すれば、制振性を向上できることを見出した。
本発明の第二の態様は、金属板と、金属板上に設けられた熱膨張性マイクロカプセルを含有する粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の粘着性樹脂層の厚みをX1(μm)、加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させたときの粘着性樹脂層の厚みをX2(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記X1、X2、およびYが、下記式(3)〜式(5)を満足することを特徴とする樹脂積層金属板である。
Z=Y+60−140000/(X2+800)≧0・・・式(4)
25≦X1≦200・・・式(5)
38≦Y≦300・・・式(3)
本態様においては、曲げ加工後に樹脂積層金属板を加熱処理して、該マイクロカプセルを膨張させれば、樹脂積層金属板に優れた制振性および断熱性を付与することができる。また、熱膨張性マイクロカプセルを使用しているので、カプセル中の気体成分が保持されるので、気泡がつぶれることがなく、制振性や断熱性の効果を長期に亘って維持することができる。上記式(3)〜(5)を満足するものであれば、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の樹脂積層金属板、或いは、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた後の樹脂積層金属板のいずれの態様も本発明に含まれる。熱膨張後の樹脂積層金属板はもちろんのこと、熱膨張前の樹脂積層金属板であっても、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることによって、優れた制振性と断熱性を発揮できるからである。
さらに本態様において、前記X1およびYが、下記式(6)を満足することも好ましい。
Z=Y+60−140000/(X1+800)≧0・・・式(6)
すなわち、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の上記式(6)を満足する樹脂積層金属板は、本発明の第一の態様と同等の制振性を奏することができ、さらに、熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理によって膨張させることによって、制振性および断熱性を一層向上できるからである。
本発明において、前記合成樹脂フィルムとして好ましいのは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするものを挙げることができる。また、前記粘着性樹脂層における熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、3〜40質量%であることが好ましい。前記拘束層として、合成樹脂フィルムと金属フィルムとを有する少なくとも2層以上の積層フィルムを使用することも好ましい態様である。かかる態様にすることにより、金属フィルムによる熱反射作用(赤外線反射作用)を利用して、樹脂積層金属板の断熱性を一層高めることができる。
本発明によれば、制振性及び(曲げ)加工性、さらには断熱性に優れる樹脂積層金属板が得られる。
本発明の第一の態様は、金属板と、金属板上に設けられた粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、前記粘着性樹脂層の厚みをX(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記XおよびYが、下記式(1)〜(3)を満足する樹脂積層金属板である。
Z=Y+60−140000/(X+800)≧0・・・式(1)
25≦X≦200・・・式(2)
38≦Y≦300・・・式(3)
上述の如く、上記(1)〜(3)式を満足するように粘着性樹脂層と拘束層との厚みを相互に関連させて最適化すれば、制振性に優れたものが得られるからである。上記(1)式を満足しない場合とは、例えば、粘着性樹脂層の特定の厚み(X)に対して、合成樹脂層の厚み(Y)が小さすぎる場合である。
まず、本発明で使用する粘着性樹脂層について説明する。本発明の粘着性樹脂層は、その粘着性によって、拘束層が剥離しない程度に接着するとともに、曲げ加工などの変形に対しても、粘着性樹脂層が拘束層の変形に追随して粘着する作用を奏する。このような作用によって、曲げ加工によっても拘束層が剥離しない樹脂積層金属板が得られる。
前記粘着性樹脂層は、粘着性樹脂を主成分とするものであれば特に限定されず、前記粘着性樹脂としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることができる。前記ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソプレンゴムなどを挙げることができ、前記アクリル系粘着剤としては、例えば、表1に示すようなモノマーからなるホモポリマー、及び、コポリマーを挙げることができる。また、表1に示したモノマー以外のコポリマーの共重合成分としては、例えば、グリシジルメタクリレート、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、エチレングリコールジメタクリレートなどのモノマーを挙げることができる。これらの中でも、表1に示すように、(そのホモポリマーの)ガラス転移温度(Tg)が0℃以下、好ましくは−20℃以下のモノマーを主成分とするアクリル系粘着剤が好ましく、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレートなどを主成分とするアクリル系粘着剤がより好ましい。
Figure 2005212202
(日刊工業新聞社発行、粘着技術ハンドブック)
前記シリコーン系粘着剤としては、ビニルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フェニルビニルゴムなどのシリコーンゴムを溶剤に溶解させたものを挙げることができる。また、前記粘着性樹脂は、上記粘着剤成分に加えて、さらにロジン系、テルペン系、合成石油樹脂系、フェノール樹脂系、キシレン樹脂系などの粘着性付与剤;オイル、溶剤、可塑剤などの軟化剤;老化防止剤;架橋剤などを含有することもできる。
前記粘着性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−20℃以下、さらに好ましくは−40℃以下である。ガラス転移温度は、粘着性樹脂の粘着性を指標するものの一つであり、ガラス転移温度(Tg)を0℃以下にすることによって、粘着性を高めることができるからである。上記粘着性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)法により求めることができる。また、前記粘着性樹脂の粘着性は、特に限定されるものではないが、JIS Z0237(引張速度300mm/分、基材PET、粘着剤の塗布厚20〜25μm)に準じて測定する接着力が、600〜1500g/25mm程度であり、JIS Z0237(温度40℃、接着面積25×25mm2、基材PET、粘着剤の塗布厚20〜25μm)に準じて測定する保持力が200〜1000分程度を有するものを使用することが好ましい態様である。
前記粘着性樹脂の形態は、特に限定されるものではないが、該樹脂が溶剤に溶解した溶剤系粘着剤、該樹脂が水に分散、或いは溶解した水系粘着剤などを挙げることができ、好ましくは、水系粘着剤を使用する。水系粘着剤を使用すれば、環境汚染、火災などの問題を低減することができるからである。
前記粘着性樹脂層の厚みX(μm)は、25μm以上、より好ましくは、50μm以上であって、200μm以下、より好ましくは、150μm以下である。厚みXが大きすぎると、粘着性樹脂がはみ出して、外観不良や曲げ加工の作業性の低下の原因となる。また、厚みXが小さすぎると、粘着性樹脂層が、加工による拘束層の変形量に追随できず、拘束層が剥離してしまうからである。
本発明の樹脂積層金属板には、該粘着性樹脂層上に合成樹脂フィルムを有する拘束層が設けられている。合成樹脂フィルムを有する拘束層を設けることによって、所謂、非拘束型の制振構造よりも、制振性を高めることができる。また、拘束層の基材として、合成樹脂フィルムを使用するのは、曲げ加工を施す際に粘着性樹脂層の粘着力を上回って剥離するような高い曲げ反発弾性力を有していないからである。また、合成樹脂フィルムを使用することによって、耐擦過傷性に優れる樹脂積層金属板が得られる。
前記合成樹脂フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、フッ素樹脂フィルム、セルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどを挙げることができる。これらの中でも好適に使用できるのは、ポリエステルフィルムであり、さらに好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム若しくは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするフィルムである。PETフィルム等は、寸法安定性、強度、耐薬品性、耐熱性などに優れ汎用性が高いからである。前記拘束層は、上記合成樹脂フィルムを1層、或いは、複層有することができる。
また本発明では、前記拘束層を合成樹脂フィルムと金属フィルムとを有する少なくとも2層以上の積層フィルムとすることも好ましい態様である。合成樹脂フィルム上に金属フィルムを設けて、熱を反射する作用を付与することによって、樹脂積層金属板の断熱性が向上するからである。前記金属フィルムは、合成樹脂フィルム上に、例えば、接着剤などにより固着して設けることもでき、或いは、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法で金属薄膜を直接合成樹脂フィルム上に形成してもよい。前記金属フィルムとしては、例えば、アルミニウム箔、銅箔などを挙げることができる。
特に、本発明では、前記拘束層として、PETフィルムにアルミニウムを蒸着して形成したアルミニウム蒸着PETフィルムを使用することが好適である。また、前記拘束層として、上記合成樹脂フィルム自体を発泡させてなる発泡合成樹脂フィルムを使用して、制振性および断熱性を一層高めることも本発明の好ましい態様であり、例えば、発泡PETフィルムを使用することができる。
本発明で使用する拘束層の厚みY(μm)は、38μm以上、より好ましくは70μm以上であって、300μm以下、より好ましくは250μm以下であることが望ましい。
拘束層が薄すぎると制振性が不十分であり、拘束層が厚すぎると、曲げ加工時に拘束層が、加工による変形に追随できずに剥離しやすくなるからである。
また、上述した粘着性樹脂層に熱膨張性マイクロカプセルを含有させることも本発明の好ましい態様である。すなわち、本発明は、以下のような態様に変形することができる。本発明の第二の態様は、金属板と、金属板上に設けられた熱膨張性マイクロカプセルを含有する粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の粘着性樹脂層の厚みをX1(μm)、加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた後の粘着性樹脂層の厚みをX2(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記X1、X2およびYが、下記式(3)〜式(5)を満足することを特徴とする樹脂積層板である。
Z=Y+60−140000/(X2+800)≧0・・・式(4)
25≦X1≦200・・・式(5)
38≦Y≦300・・・式(3)
本態様における粘着性樹脂層の粘着性樹脂、並びに、拘束層は、上述した第一の態様に使用できるものと同一である。また本態様においては、熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理によって膨張させたときの樹脂積層金属板が制振性と断熱性とを奏することができるようにするため、加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた後の粘着性樹脂層の厚みX2(μm)と前記拘束層の厚みY(μm)とを、上記式(3)及び式(4)の如く相互に関連させて最適化させる。
本態様の樹脂積層金属板を加熱処理して、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させたときの粘着性樹脂層の厚みX2(μm)は、特に限定されるものではないが、300μm以上、より好ましくは、500μm以上であることが望ましい。厚みX2(μm)が小さすぎると、制振性が十分に発揮されないからである。尚、厚みX2(μm)の上限は、特に限定されない。前記厚みX2(μm)は、後述するように、熱膨張性マイクロカプセルの含有率や加熱処理温度などによって制御することができる。また本態様では、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させることによって、粘着性樹脂層の厚みXが変化するので、加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の厚みをX1(μm)としたときに、前記X1が下記式(5)を満足させるようにする。尚、前記X1(μm)を下記範囲とするのは、第一の態様で説明したのと同様の理由である。
25≦X1≦200・・・式(5)
上記態様においては、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の樹脂積層金属板は、上記(4)式を必ずしも満足する必要はない。熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた状態で、上記(4)式を満足すれば、優れた制振性および断熱性を発揮できるからである。そして、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の樹脂積層金属板にも優れた制振性を付与する場合には、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の粘着性樹脂層の厚みX1 (μm)と拘束層の厚みY(μm)とを、下記式(6)を満足させるようにすることが好ましい。
Z=Y+60−140000/(X1+800)≧0・・・式(6)
熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の上記式(6)を満足する樹脂積層金属板は、本発明の第一の態様と同等の制振性を奏することができ、熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理して膨張させることによって、その制振性および断熱性を一層向上させることができるという点で、本発明の極めて好ましい態様である。
次に、本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルについて説明する。本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルは、加熱により膨張するものであれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂からなる殻によって、炭化水素が内包されているものを挙げることができる。前記熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、約100〜200℃以下の温度で加熱処理することにより、膨張倍率約1超〜約10倍程度まで膨張するものを適宜使用することが好ましい態様である。本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、3μm以上、より好ましくは10μm以上であって、50μm以下、より好ましくは40μm以下であることが好ましい。前記熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えば、松本油脂製薬株式会社より市販されている「マツモトマイクロスフェアーF」を使用することが好適である。
前記熱膨張性マイクロカプセルの粘着性樹脂層中の含有率は、特に限定されるものではないが、3質量%以上、より好ましくは10質量%以上であることが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルの含有率が低すぎると、膨張倍率が低下して、制振性・断熱性の向上効果が低下する傾向があるからである。また、熱膨張性マイクロカプセルの含有率の上限は、特に限定されるものではないが、40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であることが望ましい。前記マイクロカプセルの含有率が高すぎると、粘着性樹脂層の粘着性が低下して、拘束層を曲げ加工時に保持できなく虞があるからである。
本発明で使用する金属板は、特に限定されないが、鋼板、銅板、Al板、チタン板、各種合金板などを挙げることができる。また、亜鉛めっきやクロメート処理やリン酸処理などの化成処理などの公知の防食用表面処理を施された金属板であってもよい。これらの中でも、防食性に優れることから、前記金属板として溶融亜鉛めっき鋼板を使用することが好ましい。前記金属板の厚みは、本発明の樹脂積層金属板が使用される用途に要求される強度に応じて適宜設定すればよいが、通常、0.3〜3mm程度である。
本発明の樹脂積層金属板は、例えば、以下の方法により作製することができる。熱膨張性マイクロカプセルを、上述した水系粘着剤組成物、或いは、溶剤系粘着剤組成物に混合し、得られた混合物を金属板上に塗布して、乾燥し、合成樹脂フィルムを有する拘束層を積層することにより得られる。また、粘着剤組成物を塗布した後に、拘束層を積層してから乾燥してもよい。この際、乾燥後の粘着性樹脂層の厚みが、拘束層の厚みYに応じて所望の厚み(X或いはX1μm)となるように塗布量を調整すればよい。
尚、熱膨張性マイクロカプセルを含有する粘着剤組成物を乾燥する際に、該マイクロカプセルが膨張するのを防止するために、粘着剤組成物の乾燥温度は、膨張させるための加熱処理温度より30℃以上低い温度であることが好ましい。
[評価方法]
(1)厚み
使用する金属板、拘束層、及び、得られた樹脂積層金属板の厚みをマイクロメータを用いて測定した。粘着性樹脂層の厚みは、積層後の樹脂積層金属板の厚みから、金属板および拘束層の厚みを差し引いて算出した。
(2)曲げ加工性
曲げ試験機(シージーケー株式会社製BG−20HS)を用いて、得られた樹脂積層金属板(幅50mm×長さ100mm)を図1に示すように拘束層が外側になるように『コ』の字状に曲げ、拘束層の浮き、及び、粘着性樹脂のはみ出しの有無を目視観察した。
評価基準:
◎:異常なし
○:わずかに拘束層の浮きあり
△:拘束層の浮きあり
×:拘束層の全面に浮きあり、若しくは、粘着性樹脂のはみ出しあり
(3)制振性
ブリュエル・ケアー(B&K)社製複素弾性係数測定装置を用いて、損失係数を測定した。
測定方法:片持ちはり法、測定温度:25℃
評価基準:損失係数が大きいほど、制振性に優れることを意味し、以下の4段階で評価した。
◎:0.03(3.0×10-2)以上
○:0.02〜0.03未満(2.0×10-2〜3.0×10-2未満)
△:0.01〜0.02未満(1.0×10-2〜2.0×10-2未満)
×:0.01(1.0×10-2)未満
(4)断熱性
制振処理を施さない金属板、及び、該金属板と同一の金属板に制振処理を施した樹脂積層金属板を85℃のホットプレートに接するように置き、5分後、制振処理を施さない金属板の温度(T0)と樹脂積積層金属板の温度(T1)とを接触温度計にて測定し、その差ΔT=T0−T1により断熱性を評価した。尚、樹脂積層金属板は、金属板側をホットプレートに接するように置き、拘束層側の温度を接触温度計にて測定した。
[樹脂積層金属板の作製]
熱膨張性マイクロカプセル(松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフェアーF−82)をエチルアクリレート系アクリル系粘着剤(アクリル系エマルジョン:固形分:50〜60%、B型粘度計による粘度:2000〜12000mPa・s/25℃、pH7〜8.5)に混合して、粘着性樹脂組成物を調製した。この組成物を、粘着性樹脂層の厚みが表2に示す所定の厚みになるように塗布量を変えて塗布し、乾燥した後、合成樹脂フィルムを有する拘束層を積層し、約80℃で貼り合わせて樹脂積層金属板(No.1〜No.31)を作製した。得られた樹脂積層金属板の構成、並びに、制振性及び断熱性について評価した結果を表2に示した。また、該樹脂積層金属板を160℃で2分間加熱処理して、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた後の樹脂積層金属板の構成、並びに、制振性及び断熱性について評価した結果を併せて表2に示した。尚、熱膨張マイクロカプセルの添加量が50質量%を超える場合には、塗装むらが発生したために、評価を行わなかった。
Figure 2005212202
No.1〜No.4の樹脂積層金属板は、金属板と(熱膨張性マイクロカプセルを含有しない)粘着性樹脂層と拘束層とからなり、前記粘着性樹脂層の厚みをX(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記XおよびYが、上述した式(1)〜(3)を満足する場合である。制振性に優れた樹脂積層金属板が得られていることが分かる。
No.5〜No.13の樹脂積層金属板は、粘着性樹脂層が熱膨張性マイクロカプセルを含有し、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の粘着性樹脂層の厚みをX1(μm)、加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させたときの粘着性樹脂層の厚みをX2(μm)、拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記X1、X2およびYが、上述した式(3)〜式(5)を満足する本発明の樹脂積層金属板である。熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理する前の樹脂積層金属板の制振性は不十分であるが、加熱処理を施すことによって、粘着性樹脂層が膨張してZ≧0となり、制振性および断熱性が向上した。
No.14〜No.22の樹脂積層金属板は、粘着性樹脂層が熱膨張性マイクロカプセルを含有し、熱処理前の樹脂積層金属板について、前記X1及びYが上述した式(6)を満足する場合である。熱処理前の樹脂積層金属板においても、制振性および断熱性を有し、さらに、熱膨張性マイクロカプセルを熱処理して膨張させることによって、制振性及び断熱性を一層向上できることが分かる。
No.23〜No.28の樹脂積層金属板は、粘着性樹脂層が熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合であるが、熱膨張性マイクロカプセルを加熱処理して熱膨張させる前後のいずれの場合もZ<0であるため、制振性が不十分であった。
No.29の樹脂積層金属板は、粘着性樹脂層の厚みが10μmと薄すぎる場合であり、曲げ加工による拘束層の変形量に追随できずに、拘束層の全面に浮きが認められた。No.30の樹脂積層金属板は、粘着性樹脂層の厚みが300μmと厚すぎる場合であり、粘着性樹脂のはみ出しがあり、曲げ加工性が低下した。また、No.31の樹脂積層金属板は、拘束層の厚みが500μmと厚すぎる場合であり、曲げ加工時の反発弾性力が大きすぎて、拘束層の全面に浮きが認められた。
表2中の各樹脂積層金属板について、粘着性樹脂層の厚みX(μm)を横軸とし、拘束層の厚みY(μm)を縦軸として、図2の如く樹脂積層金属板の散布図を作成した。図2中、『○』で示した点が、制振性が良好であった樹脂積層板を意味し、『△』で表した点が、制振性が不良であった樹脂積層板を意味している。この結果より、Y=140000/(X+800)−60で表される曲線の上部の領域に位置する樹脂積層金属板は、制振性および断熱性に優れていることが分かる。本発明では、これらの結果に基づいて、上記式を満足するように粘着性樹脂層の厚み(μm)と拘束層の厚みYとを相互に関連させて最適化すれば、制振性および断熱性に優れる樹脂積層金属板が得られることを見出した。
本発明の樹脂積層金属板は、自動車、家電製品、建材分野などの制振および断熱材料として好適である。
曲げ加工試験のサンプルを例示する断面図 樹脂積層金属板の散布図
符号の説明
1:金属板、2:粘着性樹脂層、3:拘束層

Claims (7)

  1. 金属板と、金属板上に設けられた粘着性樹脂層と、該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、
    前記粘着性樹脂層の厚みをX(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記XおよびYが、下記式(1)〜(3)を満足することを特徴とする樹脂積層金属板。
    Z=Y+60−140000/(X+800)≧0・・・式(1)
    25≦X≦200・・・式(2)
    38≦Y≦300・・・式(3)
  2. 金属板と、金属板上に設けられた熱膨張性マイクロカプセルを含有する粘着性樹脂層と、
    該粘着性樹脂層上に設けられた合成樹脂フィルムを含有する拘束層とを有する樹脂積層金属板であって、
    熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前の粘着性樹脂層の厚みをX1(μm)、
    加熱処理によって熱膨張性マイクロカプセルを膨張させたときの粘着性樹脂層の厚みをX2(μm)、前記拘束層の厚みをY(μm)としたときに、前記X1、X2およびYが、下記式(3)〜式(5)を満足することを特徴とする樹脂積層金属板。
    Z=Y+60−140000/(X2+800)≧0・・・式(4)
    25≦X1≦200・・・式(5)
    38≦Y≦300・・・式(3)
  3. 前記熱膨張性マイクロカプセルを膨張させる前、或いは、熱膨張性マイクロカプセルを膨張させた後の請求項2に記載の樹脂積層金属板。
  4. 前記X1およびYが、下記式(6)を満足する請求項2又は3に記載の樹脂積層金属板。
    Z=Y+60−140000/(X1+800)≧0・・・式(6)
  5. 前記合成樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂積層金属板。
  6. 前記粘着性樹脂層における熱膨張性マイクロカプセルの含有量は、3〜40質量%である請求項2〜5のいずれかに記載の樹脂積層金属板。
  7. 前記拘束層は、合成樹脂フィルムと金属フィルムとを有する少なくとも2層以上の積層フィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂積層金属板。
JP2004019944A 2004-01-28 2004-01-28 樹脂積層金属板 Expired - Fee Related JP4351080B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004019944A JP4351080B2 (ja) 2004-01-28 2004-01-28 樹脂積層金属板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004019944A JP4351080B2 (ja) 2004-01-28 2004-01-28 樹脂積層金属板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005212202A true JP2005212202A (ja) 2005-08-11
JP4351080B2 JP4351080B2 (ja) 2009-10-28

Family

ID=34904017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004019944A Expired - Fee Related JP4351080B2 (ja) 2004-01-28 2004-01-28 樹脂積層金属板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4351080B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012210722A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Kobe Steel Ltd 発泡樹脂塗膜積層金属板、およびその製造方法
JP2013086391A (ja) * 2011-10-19 2013-05-13 Kobe Steel Ltd 制振性に優れたプレコート金属板及びその製造方法
WO2013176176A1 (ja) 2012-05-22 2013-11-28 三井化学株式会社 発泡成形用不織布積層体、該不織布積層体を用いたウレタン発泡成形体複合物、ならびに発泡成形用不織布積層体の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012210722A (ja) * 2011-03-30 2012-11-01 Kobe Steel Ltd 発泡樹脂塗膜積層金属板、およびその製造方法
JP2013086391A (ja) * 2011-10-19 2013-05-13 Kobe Steel Ltd 制振性に優れたプレコート金属板及びその製造方法
WO2013176176A1 (ja) 2012-05-22 2013-11-28 三井化学株式会社 発泡成形用不織布積層体、該不織布積層体を用いたウレタン発泡成形体複合物、ならびに発泡成形用不織布積層体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4351080B2 (ja) 2009-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI667319B (zh) Adhesive sheet
JP5271770B2 (ja) 不燃性化粧シート
JP7036715B2 (ja) 両面粘着テープ
KR101602515B1 (ko) 저 표면 에너지 접착제
WO2010122943A1 (ja) 加熱膨張型再剥離性アクリル系粘着テープ又はシート
US20060188714A1 (en) Adhesive sheet
EP2639276B1 (en) Oil-resistant, heat-resistant adhesive sheet, adhesion method, and oil-resistant, heat-resistant adhesive structure
JP4351080B2 (ja) 樹脂積層金属板
JP4244286B2 (ja) 積層体
TWI824417B (zh) 熱剝離型黏貼帶
TW201908382A (zh) 樹脂發泡體、樹脂發泡體片、黏著帶、車輛用構件及建築構件
JP5118355B2 (ja) 金属化粧板用積層粘着シート
JP5038605B2 (ja) ウィンドウ用フィルムおよびその貼着方法、並びに飛散防止用フィルムおよび防犯用フィルム
JP6339386B2 (ja) 緩衝テープ
JP5410684B2 (ja) 金属化粧板用積層粘着シート
JP2001248987A (ja) 蓄熱構造体
JP2021080352A (ja) 発熱体用粘着剤組成物及びその用途
JP7454416B2 (ja) 粘着テープ及びその使用方法
JP2016155232A (ja) 防犯用フィルム
JP2005179412A (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品および感圧性接着テープ
JP7358272B2 (ja) 粘着テープ及びその使用方法
JP6225377B2 (ja) 粘着テープ及び積層粘着テープ
TW201908383A (zh) 樹脂發泡體、樹脂發泡體片、黏著帶、車輛用構件及建築構件
JP2019101437A (ja) グラフィックシート、グラフィックシートの製造方法及び建築構造物
JP7374027B2 (ja) 構造物劣化抑制システム及びその使用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081021

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090317

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090417

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090721

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090723

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120731

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4351080

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130731

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees