JP2005209948A - ファイバーレーザの光ファイバー固着方法とそのレーザ媒体 - Google Patents
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Abstract
ファイバーレーザの光ファイバーの固着を容易にし、ファイバーレーザの高出力化を可能にするファイバーレーザの光ファイバー固着方法とレーザ媒体とを提供する。
【解決手段】
低融点ガラス部材50に、レーザ活性媒質としてネオジウムイオンがドープされた光ファイバー51を螺旋状に巻き付ける。次いで、低融点ガラス部材50を加熱することにより溶融し、その後硬化させて低融点ガラス部材50と光ファイバー51とを固着一体化する。次いで、表面を滑らかに研摩してファイバーレーザのレーザ媒体500を製造する。低融点ガラス部材50の軟化点は、樹脂よりも高く光ファイバーよりも低い。また、低融点ガラス部材50の屈折率は、光ファイバー51のクラッドの屈折率よりも小さい。
【選択図】図5
Description
以下に記述する「光ファイバー」は、特に断りがない限り希土類イオンがドープされた、レーザ発振が可能な光ファイバーを指す。
端面励起は、励起が容易であるという反面、端面の面積が小さいので、ファイバーレーザを高出力化するのに十分な励起光を入射することができない。また、端面より入射した励起光が光ファイバー内を伝搬する間に、クラッドとその外側との境界において全反射の条件を満たさない一部の励起光がクラッドの外側に漏れて損失となるなど、端面励起はファイバーレーザの高出力化には適していない。
請求項1に記載のファイバーレーザの光ファイバー固着方法は、レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返して、または螺旋状に巻回して光ファイバー層を形成し、当該光ファイバー層を固着物質により固着してレーザ媒体とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、
軟化点が前記光ファイバーと略同一または高い高融点ガラス部材の外周面に前記光ファイバー層を形成し、当該光ファイバー層の固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用して前記光ファイバー層を当該低融点ガラス部材により覆い、次いで当該低融点ガラス部材を加熱することにより溶融し、その後当該低融点ガラス部材を硬化させて前記光ファイバー層を固着することを特徴とする。
請求項2に記載されるファイバーレーザの光ファイバー固着方法は、レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返しまたは螺旋状に巻回して形成した光ファイバー層と固着物質とを固着一体化してレーザ媒体とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、当該固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用し、当該低融点ガラス部材を加熱することにより溶融し、その後当該低融点ガラス部材を硬化させて前記光ファイバー層と当該低融点ガラス部材とを固着一体化することを特徴とする。
当該低融点ガラス部材の軟化点は、樹脂よりも高いので励起光を高出力化しても、当該低融点ガラス部材が軟化することはない。
また、前記光ファイバーの軟化点は、当該低融点ガラス部材の軟化点よりも高いので、当該光ファイバーを軟化させることなく、前記光ファイバー層を当該低融点ガラス部材により固着一体化することが可能となる。
請求項3に記載されるファイバーレーザの光ファイバー固着方法は、請求項1又は2に記載のファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、
前記低融点ガラス部材の屈折率は前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とする。
請求項4に記載されるファイバーレーザの光ファイバー固着方法は、請求項1乃至3に記載のいずれかのファイバーレーザの光ファイバー固着方法であって、前記低融点ガラス部材は粉末状であることを特徴とする。
当該低融点ガラス部材は粉末状であるので、前記光ファイバー層の隙間に入り込み、より堅固に当該光ファイバー層を固着することが可能となる。また、自在な形状を有する光ファイバー層に対して、より容易に当該光ファイバー層を固着することが可能となる。
請求項5に記載されるファイバーレーザのレーザ媒体は、レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返して、または螺旋状に巻回して光ファイバー層を形成し、当該光ファイバー層を固着物質により固着してレーザ媒体とするファイバーレーザのレーザ媒体において、軟化点が当該光ファイバーと略同一または高い高融点ガラス部材の外周面に形成された前記光ファイバー層と、当該光ファイバー層の前記固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用し、当該低融点ガラス部材の屈折率が前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とする。
請求項6に記載されるファイバーレーザのレーザ媒体は、レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返しまたは螺旋状に巻回して形成した光ファイバー層と固着物質とを固着一体化してレーザ媒体とするファイバーレーザのレーザ媒体において、当該固着物質として低融点ガラス部材を使用し、当該低融点ガラス部材と当該光ファイバー層とが固着一体化したレーザ媒体であって、当該低融点ガラス部材の軟化点は樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低く、当該低融点ガラス部材の屈折率は前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とする。
請求項7に記載されるファイバーレーザのレーザ媒体は、請求項5または6に記載のファイバーレーザのレーザ媒体おいて、前記レーザ媒体の表面は研摩されていることを特徴とする。
さらに、当該低融点ガラス部材の屈折率は、前記クラッドの屈折率よりも小さいか同等なので、当該クラッドと当該低融点ガラス部材との境界において励起光が全反射がし易くなり、その結果励起光を高出力化しファイバーレーザをより高出力化することが可能となる。
●[第1の実施形態(図1、図2)]
図1は、本発明の第1の実施形態を示した説明図である。また、図2(a)は、本発明の第1の実施形態の図1(e)に示されるA−A断面とその各部材についての軟化点及び屈折率を示した説明図である。
この時、後に粉末状の低融点ガラス部材13にて固着する際に、低融点ガラス部材13がこの隙間に入り込み易いように光ファイバー11を少し隙間を開けて巻回する。これにより、光ファイバー層と低融点ガラス部材13とをより堅固に固着することができる。
管状ガラス部材12の軟化点は、低融点ガラス部材13を加熱した際に軟化しないように、コア11aおよびクラッド11bと同等である。また、管状ガラス部材12の屈折率は、クラッド11bよりも小さい。
平板状ガラス部材は、低融点ガラス部材13を加熱した際に軟化しないように高融点のガラス部材を使用する。
各部材の屈折率は、励起光が全反射するように光ファイバー11の中心から外側に向かって小さくなるようにする。つまり、光ファイバー11のコア11aの屈折率が最も大きく、次にクラッド11b、次に低融点ガラス部材13、次に高融点ガラス部材10または管状ガラス部材12とする。
以上により、図1(f)に示すように、ファイバーレーザのレーザ媒体100を製造する。
また、高融点ガラス部材10にあらかじめ螺旋状の溝を加工し、その溝に沿って光ファイバー11を巻回することにより、より固着を堅固ににしても良い。
図3は、本発明の第2の実施形態を示した概略図である。図4は、当該第2の実施形態の製造方法をB−B断面について示した説明図である。
図3は、平板状の高融点ガラス部材30の表面に形成した光ファイバー層を低融点ガラス部材32により固着したファイバーレーザのレーザ媒体である。図4は、図3に示されるレーザ媒体の光ファイバー固着方法の説明図である。
図4(a)に示すように、平板状の高融点ガラス部材30の上面に、1本の光ファイバー31を隙間を空けて複数回折り返し光ファイバー層を形成する。
高融点ガラス部材30の軟化点は、低融点ガラス部材32よりも高く、光ファイバー31と同等である。また、高融点ガラス部材30の屈折率は、クラッド31bよりも小さく、さらに低融点ガラス部材32よりも小さい。
低融点ガラス部材32の軟化点と屈折率は、それぞれ前記第1の実施形態と同じであるので、ここでは省略する。
つまり、低融点ガラス部材32の底面は、低融点ガラス部材32よりも屈折率の小さな高融点ガラス部材30と接触しており、残りの面は同様に屈折率の小さな空気で覆われているので、それぞれの境界において全反射が成立し、励起光を高融点ガラス部材30内に閉じ込むことができる。
図5は、本発明の第3の実施形態を示した説明図である。
図5は、光ファイバー51と低融点ガラス部材50とを固着一体化するファイバーレーザのレーザ固着方法の説明図である。
図5(a)に示すように、円柱状の低融点ガラス部材50に、光ファイバー51を螺旋状に巻き付け光ファイバー層を形成する。
低融点ガラス部材の軟化点は、樹脂よりも高く光ファイバー51よりも低いものとする。また、低融点ガラス部材の屈折率は、光ファイバー51のクラッドよりも小さいものとする。
図5(c)において形成されたレーザ媒体の表面は、加熱および溶融および硬化により凹凸形状を成している。
レーザ媒体500の表面は、滑らかな面に研磨されているので、励起光の乱反射がなく励起光の損失を低減できる。
斜面55の角度θは、励起源56より出射された励起光がレーザ媒体500内において全反射となるような角度φで入射する時、その角度φに垂直となるようにする。これにより、励起光が全反射となるように入射するので、レーザ媒体500における損失を低減できる。
本発明の第4の実施形態を説明する。
本発明の第4の実施形態は、第2の実施形態において、高融点ガラス部材30の代わりに、低融点ガラス部材を使用し、その上面に第2の実施形態と同様の光ファイバー層を形成し、第3の実施形態のように低融点ガラス部材と光ファイバー層とを固着一体化しレーザ媒体を製造するものである。
本発明の第5の実施形態は、単体の螺旋状の光ファイバー層と低融点ガラス部材とを固着一体化するものである。
まず、光ファイバーを螺旋状に巻き光ファイバー層を形成する。次いで、この光ファイバー層に粉末状の低融点ガラス部材をふりかけ、光ファイバー層と低融点ガラス部材とを接触させる。次いで、加熱し、溶融し、硬化させて、光ファイバー層と低融点ガラス部材とを固着一体化する。
また、低融点ガラス部材を固着物質として使用しているので、励起光による焼損がなく、ファイバーレーザを高出力がすることが可能となる。さらに、一本の光ファイバーから出力されるレーザ光であるので高ビーム品質である。
また、光ファイバー層の形状は、実施の形態の説明に限定されるものではない。
本実施の形態に用いた数値は一例であり、この数値に限定されるものではない。
10 円柱ガラス部材
11 光ファイバー
11a コア
11b クラッド
12 管状ガラス部材
13 低融点粉末ガラス
300 レーザ媒体
30 平板状ガラス部材
31 光ファイバー
31a コア
31b クラッド
32 低融点粉末ガラス
500 レーザ媒体
50 低融点ガラス部材
51 光ファイバー
55 斜面
56 励起光源
57 励起光
Claims (7)
- レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返して、または螺旋状に巻回して光ファイバー層を形成し、当該光ファイバー層を固着物質により固着してレーザ媒体とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、
軟化点が前記光ファイバーと略同一または高い高融点ガラス部材の外周面に前記光ファイバー層を形成し、
当該光ファイバー層の固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用して前記光ファイバー層を当該低融点ガラス部材により覆い、
次いで当該低融点ガラス部材を加熱することにより溶融し、
その後当該低融点ガラス部材を硬化させて前記光ファイバー層を固着することを特徴とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法。 - レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返しまたは螺旋状に巻回して形成した光ファイバー層と固着物質とを固着一体化してレーザ媒体とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、
当該固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用し、当該低融点ガラス部材を加熱することにより溶融し、
その後当該低融点ガラス部材を硬化させて前記光ファイバー層と当該低融点ガラス部材とを固着一体化することを特徴とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法。 - 請求項1又は2に記載のファイバーレーザの光ファイバー固着方法において、
前記低融点ガラス部材の屈折率は前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法。 - 請求項1乃至3に記載のいずれかのファイバーレーザの光ファイバー固着方法であって、前記低融点ガラス部材は粉末状であることを特徴とするファイバーレーザの光ファイバー固着方法。
- レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返して、または螺旋状に巻回して光ファイバー層を形成し、当該光ファイバー層を固着物質により固着してレーザ媒体とするファイバーレーザのレーザ媒体において、
軟化点が当該光ファイバーと略同一または高い高融点ガラス部材の外周面に形成された前記光ファイバー層と、
当該光ファイバー層の前記固着物質として軟化点が樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低い低融点ガラス部材を使用し、
当該低融点ガラス部材の屈折率が前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とするファイバーレーザのレーザ媒体。 - レーザ活性物質を含むコアとクラッドとを有する光ファイバーを繰り返し折り返しまたは螺旋状に巻回して形成した光ファイバー層と固着物質とを固着一体化してレーザ媒体とするファイバーレーザのレーザ媒体において、
当該固着物質として低融点ガラス部材を使用し、
当該低融点ガラス部材と当該光ファイバー層とが固着一体化したレーザ媒体であって、当該低融点ガラス部材の軟化点は樹脂よりも高くかつ前記光ファイバーよりも低く、
当該低融点ガラス部材の屈折率は前記光ファイバーのクラッドの屈折率よりも小さいか同等であることを特徴とするファイバーレーザのレーザ媒体。 - 請求項5または6に記載のファイバーレーザのレーザ媒体おいて、前記レーザ媒体の表面は研摩されていることを特徴とするファイバーレーザのレーザ媒体。
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