JP2005209261A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録することができる光記録媒体を提供することを目的とする。
【解決手段】 基板11上に、中間層12を介して、積層された複数の情報層を備え、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、第四の誘電体膜31と、反射膜32と、第三の誘電体膜33と、記録膜34と、第二の誘電体膜35と、第一の誘電体膜36と、放熱膜37を備え、第四の誘電体膜31および第三の誘電体膜33が、窒化アルミニウムを主成分として含むことを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図4

Description

本発明は、光記録媒体に関するものであり、さらに詳細には、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録することができる光記録媒体を提供することにある。
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、記録可能なCDや記録可能なDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。
これらの光記録媒体は、CD−RやDVD−Rのように、データの追記はできるが、データの書き換えができない追記型の光記録媒体と、CD−RWやDVD−RWのように、データの書き換えが可能な書き換え型の光記録媒体とに大別することができる。
これらの光記録媒体のうち、書き換え型光記録媒体においては、記録膜の材料として相変化材料が用いられ、相変化材料が結晶状態にある場合の反射率と、非晶質状態にある場合の反射率の差を利用して、データが記録される。
たとえば、データが記録されていない状態においては、記録膜の全面が結晶状態にあり、データが記録されると、記録膜が、局所的に、非晶質状態に変化させられ、記録マークが形成される。
光記録媒体の記録膜に、記録マークを形成して、データを記録するにあたっては、形成すべき記録マークにしたがって、そのパワーが変調されたレーザビームが、記録膜に照射される。
具体的には、一例として、光記録媒体の記録膜に、データを記録するときには、記録パワーPwと基底パワーPbの間で、パワーが変調されたレーザビームを記録膜の所定の領域に照射することによって、記録膜の所定の領域が、融点以上に加熱された後に、急冷され、非晶質の領域が形成されて、記録マークが形成される。
一方、光記録媒体の記録膜に、記録されたデータを消去するときには、消去パワーPeに設定されたレーザビームを、記録膜の記録マークが形成された領域に照射することによって、レーザビームが照射された記録膜の領域が、結晶化温度以上の温度に加熱され、徐冷されることによって、非晶質の領域が、結晶化されることにより、記録マークが消去される。
近年においては、より大容量で、かつ、高いデータ転送レートを有する次世代型の光記録媒体の開発が盛んに行われており、書き換え型の光記録媒体においても、同様に、記憶容量の増大が図られている。
こうした光記録媒体においては、レーザビームの波長λを小さくするとともに、対物レンズの開口数NAを大きくして、レーザビームのビームスポット径を小さく絞ることにより、データの記録密度を高め、光記録媒体の記録容量を増大させるようにしている。
また、その一方で、情報層の数を増やす、すなわち記録領域の面積を増やすことによって、記録容量の増大を図る開発も進められており、たとえば、特開2003−242676号公報に、二層の情報層が積層された構造を有する書き換え型の光記録媒体が提案されている。
同特許公報に記載された光記録媒体においては、反射膜、誘電体膜、記録膜、および誘電体膜が、この順で、積層された積層体を含む情報層が、中間層を介して、二層設けられ、二つの情報層に、それぞれ、データが記録されるように構成されている。
特開2003−242676号公報
二層の情報層が形成された書き換え型光記録媒体においては、レーザビームをいずれか一方の情報層にフォーカスさせて、その情報層にデータを記録し、その情報層に記録されたデータが再生されるように構成されているため、光入射面から遠い側の情報層に、データを記録し、記録されたデータを再生するときに、光入射面から近い側の情報層を介して、光入射面から遠い側の情報層に、レーザビームが照射されることになる。
したがって、所望のように、光入射面から遠い側の情報層にデータを記録し、光入射面から遠い側の情報層に記録されたデータを再生するためには、光入射面から近い側の情報層が、レーザビームに対して、ある程度、高い光透過率を有していることが必要である。光入射面から近い側の情報層の厚さを薄くすることによって、光入射面から近い側の情報層のレーザビームに対する光透過率を高くすることが考えられ、情報層のなかに含まれる各種の膜のうちでも、金属材料を主成分として含み、光透過率が低い反射膜の厚さを薄くすることが、とくに有効である。
しかしながら、反射膜の厚さを薄くすると、反射膜の放熱性が低下して、記録膜に生じた熱を有効に放熱することが困難となる。この結果、記録膜に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することができず、再生信号のジッタが悪化するという問題があった。すなわち、反射膜の放熱性が低下すると、記録膜にデータを記録するに際して、レーザビームのパワーが、記録パワーPwから基底パワーPbに切り換えられても、記録膜を急冷し難くなる。したがって、記録パワーPwのレーザビームが照射されて、溶融した記録膜の領域は、ゆっくりと冷却されることになり、この結果、溶融した記録膜の領域の一部が、再び結晶化して、本来、形成されるはずの記録マークの大きさと、実際に、形成された記録マークの大きさとが、一致しないという事態を招いていた。
したがって、本発明の目的は、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録することができる光記録媒体を提供することにある。
本発明のかかる目的は、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、反射膜を有し、前記反射膜を挟んで、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本明細書において、元素を主成分として含むとは、ある膜に含まれる元素のうち、その元素の含有率が最も大きいことを意味する。
本発明者の研究によれば、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、反射膜を有し、反射膜を挟んで、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されている場合には、反射膜を薄く形成しても、その情報層に含まれる記録膜に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することができるのが見出されている。
かかる場合に、記録膜に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することができる理由は、必ずしも明らかではないが、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜を形成したことにより、誘電体膜の熱伝導率が高くなり、その結果として、反射膜を薄く形成しても、情報層全体としての放熱性を高めることができたためではないかと推測される。
また、本発明においては、上述のように、情報層に含まれる反射膜を薄く形成することができるから、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層のレーザビームに対する光透過率を高めることが可能となる。したがって、レーザビームが、光入射面から最も遠い情報層以外の情報層を透過する際に、レーザビームの光量が減少することを最小限に抑制することができるから、光入射面から最も遠い情報層に含まれる記録膜にも、所望のように、記録マークを形成し、データを記録することが可能となる。
本発明においては、前記反射膜の前記レーザビームの入射側に形成された誘電体膜が、3nmないし20nmの厚さを有し、前記反射膜の前記レーザビームの入射側と反対側に形成された誘電体膜が、3nmないし40nmの厚さを有していることが好ましい。
反射膜のレーザビームの入射側に形成された誘電体膜の厚さが、3nm未満の場合には、誘電体膜を連続膜として形成することが困難となり、20nmを越える場合には、放熱効果が低下するおそれがあり、一方、反射膜のレーザビームの入射側と反対側に形成された誘電体膜の厚さが、3nm未満の場合には、放熱効果が低下するおそれがあり、40nmを越える場合には、誘電体膜を成膜するときに生じる内部応力が大きくなり、誘電体膜にクラックが入りやすくなる。
本発明においては、前記反射膜が、金属を主成分として含んでいることが好ましい。
反射膜は、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、形成することができ、これらのうちでも、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金などのこれらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射膜を形成するために、好ましく用いられる。とくに、反射膜が、Agを含んでいる場合には、その表面が優れた平坦性を有するように、反射膜を形成することができ、情報層に記録されたデータを再生するときの再生信号のノイズレベルを最小限に抑制することが可能となる。
しかしながら、その一方で、Agは、硫黄と高い反応性を有しているため、反射膜の近傍に、硫黄を含む膜が形成されると、反射膜に含まれるAgと、反射膜の近傍に形成された膜に含まれる硫黄が反応して、反射膜の表面が腐食されるという新たな問題が生じるが、本発明においては、反射膜の近傍に形成される誘電体膜が、窒化アルミニウムを主成分として含み、実質的に硫黄を含まないから、反射膜の表面が腐食されるのを回避することができ、高い保存信頼性を確保することが可能となる。
本発明においては、前記反射膜が、3nmないし20nmの厚さを有していることが好ましい。
レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層中の反射膜は、レーザビームの入射面から最も遠い情報層にデータが記録され、記録されたデータが再生される場合に、レーザビームが透過するため、レーザビームに対して、高い光透過率を有している必要がある。その一方で、情報層に記録されたデータが再生される場合に、レーザビームを反射する役割を担うため、レーザビームに対して、ある程度の反射率を有している必要もある。これらを考慮すると、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層中の反射膜は、3nmないし20nmの厚さを有していることが好ましく、3nmないし15nmの厚さを有していることがさらに好ましい。
本発明においては、前記情報層が、相変化型の記録膜を有することが好ましい。記録膜を形成するための相変化材料は、とくに限定されるものではないが、記録膜は、Sb、Te、Ge、TbおよびMnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む相変化材料を含んで形成されるのが好ましい。
本発明の好ましい実施態様においては、前記記録膜の前記レーザビームの入射側に、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されている。
本発明の好ましい実施態様によれば、情報層の放熱性を、より一層、高めることができ、記録膜に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することが可能となる。
本発明の前記目的はまた、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、反射膜を有し、前記反射膜の前記レーザビームの入射側とは反対側に、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されていることを特徴とする光記録媒体によって達成される。
本発明において、前記誘電体膜が、3nmないし40nmの厚さを有していることが好ましい。
本発明によれば、基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、いずれの情報層にも、所望のように、データを記録することができる光記録媒体を提供することができる。
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略斜視図であり、図2は、図1のAで示される部分の略拡大断面図である。
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体1は、円板状をなし、図2において、矢印で示される方向から、350nmないし450nmの波長λを有するレーザビームが、λ/NA≦640を満たす開口数NAを有する対物レンズを介して、光記録媒体1に照射されるように構成されている。
図2に示されるように、本実施形態にかかる光記録媒体1は、支持基板11と、支持基板11の表面上に形成された第一の情報層20と、第一の情報層20の表面上に形成された中間層12と、中間層12の表面上に形成された第二の情報層30と、第二の情報層30の表面上に形成された光透過層13を備えている。
支持基板11は、光記録媒体1の機械的な支持体として、機能するものである。
支持基板11を形成するための材料は、光記録媒体1の支持体として機能することができれば、とくに限定されるものではなく、たとえば、ガラス、セラミック、樹脂などによって、形成することができる。これらのうち、成形の容易性の観点から、樹脂が好ましく使用される。このような樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、加工性、光学特性などの点から、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂がとくに好ましく、本実施形態においては、支持基板11は、ポリカーボネート樹脂によって形成される。
本実施形態においては、支持基板11は、約1.1mmの厚さを有している。
本実施形態においては、レーザビームは、支持基板11とは反対側に位置する光透過層13を介して、照射されるから、支持基板11が、高い光透過性を有していることは必ずしも必要ではない。
支持基板11の表面には、交互に、グルーブ11aおよびランド11bが形成されている。支持基板11の表面に形成されたグルーブ11aおよび/またはランド11bは、第一の情報層20にデータを記録する場合、および第一の情報層20からデータを再生する場合において、レーザビームのガイドトラックとして機能する。グルーブ11aの深さは、λ/(18n)ないしλ/(4n)(λは、レーザビームの波長であり、nは、光透過層13の屈折率である。)に設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチは、0.2μmないし0.4μmに設定することが好ましい。
図2に示されるように、支持基板11の表面上には、第一の情報層20が形成されている。
図3は、第一の情報層20の構成を示す略断面図である。
図3に示されるように、第一の情報層20は、支持基板11の表面上に形成された反射膜21と、反射膜21の表面上に形成された第二の誘電体膜22と、第二の誘電膜22の表面上に形成された記録膜23と、記録膜23の表面上に形成された第一の誘電体膜24と、第一の誘電体膜24の表面上に形成された放熱膜25を備えている。
反射膜21は、光透過層13を介して、記録膜23に照射されるレーザビームを反射し、再び、光透過層13から出射させる役割を果たすとともに、レーザビームの照射によって、記録膜23に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
反射膜21は、金属を主成分として含んでいる。本明細書において、元素を主成分として含むとは、ある膜に含まれる元素のうち、その元素の含有率が最も大きいことを意味する。
反射膜21は、Mg、Al、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Ag、Pt、Auなどによって、形成することができ、これらのうちでも、高い反射率を有しているAl、Au、Ag、Cu、または、AgとCuとの合金などのこれらの金属の少なくとも1つを含む合金などの金属材料が、反射膜21を形成するために、好ましく用いられる。とくに、反射膜21が、Agを含んでいる場合には、その表面が優れた平坦性を有するように、反射膜21を形成することができ、第一の情報層20に記録されたデータを再生するときの再生信号のノイズレベルを低減することが可能となる。
反射膜21の厚さは、とくに限定されるものではないが、10nmないし300nmであることが好ましく、20nmないし200nmであることが、とくに好ましい。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、記録膜23を物理的、化学的に保護するとともに、記録膜23から反射膜21および放熱膜25への熱の拡散を制御し、さらに、記録膜23に記録されたデータを再生するときの光学特性を調整する機能を有している。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24を形成するための材料は、レーザビームの波長領域において、透明な誘電体材料であれば、とくに限定されるものではないが、第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、Si、Zn、Al、Ta、Ti、Co、Zr、Pb、Ag、Sn、Ca、Ce、V、Cu、Fe、Mgよりなる群から選ばれる少なくとも一種の金属を含む酸化物、窒化物、硫化物、フッ化物、あるいは、これらの複合物から形成されることが好ましい。
第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24は、たとえば、第二の誘電体膜22および第一の誘電体膜24の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
記録膜23は、データを記録する記録膜であり、単一の記録膜によって構成されている。記録膜23は、相変化材料を含んで形成されており、相変化材料が結晶状態にある場合の反射率と、非晶質状態にある場合の反射率の差を利用して、記録膜23にデータが記録され、記録膜23からデータが再生される。
記録膜23を形成するための相変化材料は、とくに限定されるものではないが、記録膜23は、Sb、Te、Ge、TbおよびMnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む相変化材料を含んで形成されるのが好ましい。
放熱膜25は、第一の誘電体膜24を介して、記録膜23から伝達された熱を放熱する役割を果たす。
放熱膜25を形成するための材料は、レーザビームに対して高い光透過率を有し、かつ、記録膜23に生じた熱を放熱することができれば、とくに限定されるものではないが、第一の誘電体膜24の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有する材料が好ましく、具体的には、AlN、Al、SiN、ZnS、ZnO、SiOなどが好ましい。
放熱膜25は、たとえば、放熱膜25の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
放熱膜25は、10nmないし120nmの厚さを有するように形成されるのが好ましい。放熱膜15の厚さが、10nm未満の場合には、十分な放熱効果を得られないおそれがあり、一方、120nmを越える場合には、放熱膜25の成膜に長い時間を要するため、生産性が低下するおそれがある。
図2に示されるように、第一の情報層20の表面上には、中間層12が形成されている。
中間層12は、第一の情報層20と第二の情報層30とを物理的および光学的に十分な距離をもって離間させる機能を有している。
中間層12の表面には、交互に、グルーブ12aおよびランド12bが形成されており、中間層12の表面に形成されたグルーブ12aおよび/またはランド12bは、第二の情報層30にデータを記録する場合、および第二の情報層30からデータを再生する場合において、レーザビームのガイドトラックとして、機能する。中間層12の表面に形成されたグルーブ12aの深さおよびピッチは、支持基板11の表面に設けられたグルーブ11aの深さおよびピッチと同程度に設定することができる。
中間層12は、レーザビームが通過するため、高い光透過率を有していることが必要であるが、必ずしも透明である必要はなく、第一の情報層20にデータを記録し、記録されたデータを再生するために必要な光量を透過させるのに十分な光透過率を有していればよい。
中間層12を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。
図2に示されるように、中間層12の表面上には、第二の情報層30が形成されている。
図4は、第二の情報層30の構成を示す略断面図である。
図4に示されるように、第二の情報層30は、中間層12の表面上に形成された第四の誘電体膜31と、第四の誘電体膜31の表面上に形成された反射膜32と、反射膜32の表面上に形成された第三の誘電体膜33と、第三の誘電体膜33の表面上に形成された記録膜34と、記録膜34の表面上に形成された第二の誘電体膜35と、第二の誘電体膜35の表面上に形成された第一の誘電体膜36と、第一の誘電体膜36の表面上に形成された放熱膜37を備えている。
第四の誘電体膜31は、後述する反射膜32とともに、レーザビームの照射によって、記録膜34に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
本実施態様においては、第四の誘電体膜31は、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されている。
第四の誘電体膜31は、たとえば、第四の誘電体膜31の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
第四の誘電体膜31の厚さは、3nmないし40nmであることが好ましい。第四の誘電体膜31の厚さが、3nm未満の場合には、放熱効果が低下し、40nmを越える場合には、第四の誘電体膜31を成膜するときに生じる内部応力が大きくなり、第四の誘電体膜31にクラックが入りやすくなるため、これらを考慮すると、第四の誘電体膜31の厚さは、3nmないし40nmであることが好ましい。
反射膜32は、光透過層13を介して、記録膜34に照射されるレーザビームを反射し、再び、光透過層13から出射させる役割を果たすとともに、レーザビームの照射によって、記録膜34に生じた熱を効果的に放熱させる役割を果たす。
反射膜32は、第一の情報層20中の反射膜21と同様に、金属を主成分として含んでおり、Ag、またはAgを含む合金を主成分として含むことが好ましい。
反射膜32は、第一の情報層20にデータが記録され、第一の情報層20に記録されたデータが再生される場合に、レーザビームが透過するため、レーザビームに対して、高い光透過率を有している必要がある。その一方で、反射膜21は、第二の情報層30に記録されたデータが再生される場合に、レーザビームを反射する役割を担うため、レーザビームに対して、ある程度の反射率を有している必要もある。これらを考慮すると、反射膜32は、3nmないし20nmの厚さを有していることが好ましく、3nmないし15nmの厚さを有していることが好ましい。
第三の誘電体膜33は、第二の誘電体膜35とともに、記録膜34を物理的、化学的に保護する役割を果たすとともに、レーザビームの照射によって、記録膜34に生じた熱を、反射膜32側に逃がす機能を有している。
本実施態様において、第三の誘電体膜33は、第四の誘電体膜31と同様に、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されている。
第三の誘電体膜33は、たとえば、第三の誘電体膜33の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
第三の誘電体膜33の厚さは、3nmないし20nmであることが好ましい。第三の誘電体膜33の厚さが、3nm未満の場合には、第三の誘電体膜33を連続膜として形成することが困難となり、20nmを越える場合には、放熱効果が低下するおそれがあるため、これらを考慮すると、第三の誘電体膜33の厚さは、3nmないし20nmであることが好ましい。
記録膜34は、データを記録する記録膜であり、単一の記録膜によって構成されている。記録膜34は、第一の情報層20の記録膜23と同様に、相変化材料を含んで形成されており、相変化材料が結晶状態にある場合の反射率と、非晶質状態にある場合の反射率の差を利用して、記録膜34にデータが記録され、記録膜34からデータが再生される。
記録膜34を形成するための相変化材料は、とくに限定されるものではないが、記録膜34は、Sb、Te、Ge、TbおよびMnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む相変化材料を含んで形成されるのが好ましい。
記録膜34が、Sb、Te、GeおよびTbを含む相変化材料を含んでいるときには、Sbの含有量が65原子%ないし90原子%であり、Teの含有量が0原子%ないし20原子%であり、Geの含有量が2原子%ないし20原子%であり、Tbの含有量が2ないし15原子%であることが好ましく、記録膜34が、Sb、Te、GeおよびMnを含む相変化材料を含んでいるときには、Mnの含有量が2原子%ないし15原子%である点を除いて、記録膜34が、Sb、Te、GeおよびTbを含む相変化材料を含んでいるときと同様に、形成されることが好ましい。
記録膜34は、第一の情報層20にデータが記録され、第一の情報層20に記録されたデータが再生される場合に、レーザビームが透過するため、レーザビームに対して、高い光透過率を有している必要がある。その一方で、記録膜34は、データを記録する膜としても機能するため、データを記録し、記録されたデータを再生するのに十分な記録特性、再生特性を有している必要もある。これらを考慮すると、記録膜34は、3nmないし10nmの厚さを有するように形成されることが好ましく、5nmないし8nmの厚さを有していることが、さらに好ましい。
第二の誘電体膜35は、記録膜34を物理的、化学的に保護する役割を果たすとともに、レーザビームの照射によって、記録膜34に生じた熱を、後述する放熱膜37側に逃がす機能を有している。
本実施態様において、第二の誘電体膜35は、第四の誘電体膜31および第三の誘電体膜33と同様に、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されている。
第二の誘電体膜35は、たとえば、第二の誘電体膜35の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
第二の誘電体膜35の厚さは、5nmないし15nmであることが好ましい。
第一の誘電体膜36は、第二の誘電体膜35と放熱膜37との密着性を高める緩衝膜としての役割を果たす。
第一の誘電体膜36を形成するための材料は、レーザビームに対して高い光透過率を有し、かつ、第二の誘電膜35との密着性、および放熱膜37との密着性が、いずれも、高い材料であれば、とくに限定されるものではなく、本実施態様においては、第一の誘電体膜36は、ZnSとSiOの混合物を主成分として含んでいる。
第一の誘電体膜36が、ZnSとSiOの混合物を主成分として含む場合には、ZnSとSiOのモル比は、80:20であることが好ましい。ZnSのモル比が、80%未満の場合には、第一の誘電体膜36の屈折率が低下して、記録マークが形成された領域と、記録マークが形成されていない領域との反射率の差が低下するおそれがある。
第一の誘電体膜36は、5nmないし20nmの厚さを有することが好ましい。第一の誘電体膜36の厚さが、5nm未満の場合には、放熱膜37にクラックが入りやすくなり、20nmを越える場合には、放熱効果が低下するおそれがある。
第一の誘電体膜36は、たとえば、第一の誘電体膜36の構成元素を含む化学種を用いた気相成長法によって、形成することができる。気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などが挙げられる。
放熱膜37は、第一の情報層20中の放熱膜25と同様に、第一の誘電体膜36を介して、記録膜34から伝達された熱を放熱する役割を果たす。
放熱膜37は、第一の情報層20中の放熱膜25と同様の材料によって、形成することができ、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法などの気相成長法によって、形成することができる。
放熱膜37は、成膜時間などの生産性や放熱性を考慮すると、20nmないし70nmの厚さを有するように形成されるのが好ましい。
図2に示されるように、第二の情報層30の表面上には、光透過層13が形成されている。
光透過層13は、レーザビームを透過させる層であり、その一方の表面によって、光入射面13aが構成されている。
光透過層13を形成するための材料は、とくに限定されるものではないが、中間層12と同様に、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。光透過層13は、スピンコーティング法や、光透過率樹脂によって形成されたシートを、接着剤を用いて、接着することによって、形成することができる。
光透過層13は、30μmないし200μmの厚さを有するように形成されることが好ましい。
以上のような構成を有する光記録媒体1には、次のようにして、データが記録される。
本実施態様において、光記録媒体1にデータを記録するにあたっては、光透過層13の光入射面13aを介して、380nmないし450nmの波長λを有するレーザビームが照射され、第一の情報層20および第二の情報層30のいずれかに、レーザビームがフォーカスされる。
第二の情報層30に、データを記録する場合には、記録パワーPwと基底パワーPbの間で、パワーが変調されたレーザビームが、第二の情報層30中の記録膜34にフォーカスされ、光透過層13を介して、記録膜34に照射される。
レーザビームが、記録膜34に照射されると、レーザビームが照射された記録膜34の所定の領域が、融点以上に加熱され、その後、急冷されることにより、非晶質の領域が形成されて、記録マークが形成される。
本実施態様においては、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31が、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されており、本発明者の研究によれば、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31が、かかる組成を有する場合には、記録膜34に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することができるのが見出されている。
このような場合に、記録膜34に、所望のように、記録マークを形成して、データを記録することができる理由は、必ずしも明らかではないが、窒化アルミニウムを主成分として含むように、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31を形成したことにより、第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31の熱伝導率が高くなり、その結果として、20nn以下の厚さを有するように、反射膜31を薄く形成しても、第二の情報層30全体としての放熱性を高めることができたためではないかと推測される。
このように、第二の情報層30が、優れた放熱性を有するから、レーザビームのパワーが記録パワーPwから基底パワーPbに切り替えられるのに応じて、記録膜34を、速やかに、冷却することでき、その結果として、記録膜34に、所望のように、記録マークを形成し、データを記録することが可能となる。
一方、第二の情報層30中の記録膜34に記録されたデータは、次のようにして、再生される。
第二の情報層30中の記録膜34に記録されたデータを再生する場合には、再生パワーPrに設定されたレーザビームが、第二の情報層30にフォーカスされ、光透過層13を介して、第二の情報層30に照射される。
第二の情報層30に照射されたレーザビームは、記録膜34および反射膜31によって反射され、反射されたレーザビームの光量が検出されることによって、第二の情報層30に記録されたデータが再生される。
本実施態様においては、反射膜32が、Agを含んでおり、その表面が優れた平坦性を有するように、反射膜32を形成することができるから、第二の情報層30に記録されたデータを再生するときの再生信号のノイズレベルを低減することが可能となる。
しかしながら、その一方で、Agは、硫黄と高い反応性を有しているため、反射膜32の近傍に、硫黄を含む膜が形成されると、反射膜32に含まれるAgと、反射膜32の近傍に形成された膜に含まれる硫黄が反応して、反射膜32の表面が腐食されるという新たな問題が生じるが、本実施態様においては、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31が、窒化アルミニウムを主成分として含み、実質的に硫黄を含まないから、反射膜32の表面が腐食されるのを回避することができ、高い保存信頼性を確保することが可能となる。
また、第一の情報層20に、データを記録する場合には、記録パワーPwと基底パワーPbの間で、パワーが変調されたレーザビームが、第一の情報層20中の記録膜23にフォーカスされ、光透過層13および第二の情報層30を介して、記録膜23に照射される。
本実施態様においては、第二の情報層30の放熱性が高められ、第二の情報層30中の反射膜32を薄く形成することができるから、第二の情報層30のレーザビームに対する光透過率を高くすることが可能となる。したがって、レーザビームが、第二の情報層30を透過する際に、レーザビームの光量が減少するのを最小限に抑制することができ、第一の情報層20中の記録膜23に、所望のように、データを記録することが可能となる。
一方、第一の情報層20中の記録膜23に記録されたデータは、次のようにして、再生される。
第一の情報層20中の記録膜23に記録されたデータを再生する場合には、再生パワーPrに設定されたレーザビームが、第一の情報層20にフォーカスされ、光透過層13を介して、第一の情報層20に照射される。
第一の情報層20に照射されたレーザビームは、記録膜23および反射膜21によって反射され、反射されたレーザビームの光量が検出されることによって、第一の情報層20に記録されたデータが再生される。
本実施態様においては、第二の情報層30のレーザビームに対する光透過率を高くすることができるから、レーザビームが、第二の情報層30を透過するときと、記録膜23および反射膜21によって反射されたレーザビームが、第二の情報層30を透過するときとで、ともに、レーザビームの光量が減少するのを最小限に抑制することができ、第一の情報層20中の記録膜23に記録されたデータを、所望のように、再生することが可能となる。
以下、本発明の効果をより明瞭なものとするため、実施例を掲げる。
まず、射出成型法により、厚さが1.1mm、直径が120mmで、表面に、グルーブおよびランドが、0.32μmのグルーブピッチで形成されたポリカーボネート基板を作製した。
次いで、ポリカーボネート基板をスパッタリング装置にセットし、グルーブおよびランドが形成された表面上に、Ag、PdおよびCuの合金を主成分として含み、100nmの厚さを有する反射膜、モル比が50:50のZnSとSiOの混合物を主成分として含み、10nmの厚さを有する第二の誘電体膜、Sb77.1Te18.7Ge4.2の原子組成を有する相変化材料を主成分として含み、12nmの厚さを有する記録膜、モル比が80:20のZnSとSiOの混合物を主成分として含み、20nmの厚さを有する第一の誘電体膜と、窒化アルミニウムを主成分として含み、30nmの厚さを有する放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、第一の情報層を形成した。
次いで、第一の情報層が形成されたポリカーボネート基板をスピンコート装置にセットし、ポリカーボネート基板を回転させながら、第一の情報層上に紫外線硬化性アクリル樹脂を、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、25μmの厚さを有する中間層を形成した。中間層を形成するに際しては、第一の情報層の表面上に、塗布された紫外線硬化性アクリル樹脂の表面に、グルーブおよびランドが形成された透明スタンパを載置し、この透明スタンパを介して、塗膜に、紫外線を照射することにより、その表面に、グルーブピッチが0.32μmとなるように、グルーブとランドを形成した。
次いで、第一の情報層および中間層が形成されたポリかボネート基板を、スパッタリング装置にセットし、中間層の表面上に、窒化アルミニウムを主成分として含み、5nmの厚さを有する第四の誘電体膜、Ag、PdおよびCuの合金を主成分として含み、10nmの厚さを有する反射膜、窒化アルミニウムを主成分として含み、4nmの厚さを有する第三の誘電体膜、In0.9Sb69.7Te16.1Ge5.4Mn7.9の原子組成を有する相変化材料を主成分として含み、7nmの厚さを有する記録膜、窒化アルミニウムを主成分として含み、5nmの厚さを有する第二の誘電体膜、モル比が80:20のZnSとSiOの混合物を主成分として含み、10nmの厚さを有する第一の誘電体膜、窒化アルミニウムを主成分として含み、50nmの厚さを有する放熱膜を、順次、スパッタリング法により形成し、第二の情報層を形成した。
第二の誘電体膜、第三の誘電体膜および第四の誘電体膜は、アルゴンガスと窒素ガスの混合気中で、Alターゲットを用いて、反応性スパッタリング法により、形成した。
最後に、第二の情報層の表面上に、紫外線硬化性アクリル樹脂を、スピンコーティング法によって、塗布して、塗膜を形成し、塗膜に、紫外線を照射して、紫外線硬化性アクリル樹脂を硬化させ、75μmの厚さを有する光透過層を形成した。
こうして、サンプル#1を作成した。
次いで、モル比が80:20のZnSとSiOの混合物を主成分として含むように、第二の情報層中の第三の誘電体膜および第四の誘電体膜を形成した点を除き、サンプル#1と同様にして、比較サンプル#1を作成した。
次いで、酸化イットリウムを主成分として含むように、第二の情報層中の第三の誘電体膜および第四の誘電体膜を形成した点を除き、サンプル#1と同様にして、比較サンプル#2を作成した。第二の情報層中の第三の誘電体膜および第四の誘電体膜は、アルゴンガス雰囲気中で、Yターゲットを用いたスパッタリング法により、形成した。
次いで、ITO(Indium-Tin Oxide)を主成分として含むように、第二の情報層中の第三の誘電体膜および第四の誘電体膜を形成した点を除き、サンプル#1と同様にして、比較サンプル#3を作成した。第二の情報層中の第三の誘電体膜および第四の誘電体膜は、アルゴンガス雰囲気中で、ITOターゲットを用いたスパッタリング法により、形成した。
次いで、サンプル#1、ならびに比較サンプル#1ないし#3を、パルステック工業株式会社製の光記録媒体評価装置「DDU1000」(商品名)に、順次、セットし、第二の情報層の記録膜に、レーザビームを照射して、以下の条件で、2Tないし8Tの長さを有する記録マークを、ランダムに組み合わせて形成して、データを記録した。レーザビームの基底パワーPbは0.1mWに固定し、記録パワーPwは、それぞれ、9.5mW、9.0mW、8.8mWおよび9.5mWに設定した。
記録線速度:10.5m/s
記録信号:1、7RLL変調信号
記録領域:オングルーブ記録
クロック周期(1T):15.1nsec
さらに、レーザビームの記録パワーPwを固定しつつ、レーザビームの基底パワーPbだけを、0.1mWから1.3mWまで、少しづつ、増大させて、サンプル#1、ならびに比較サンプル#1ないし#3の第二の情報層の記録膜に、2Tないし8Tの長さを有する記録マークを、ランダムに組み合わせて形成して、データを記録した。こうして、少しずつ、冷却の効率を低下させていきながら、各サンプルの第二の情報層の記録膜に、データを記録していった。
次いで、同じ光記録媒体評価装置を用いて、サンプル#1、ならびに比較サンプル#1ないし#3の第二の情報層に記録されたデータを再生し、再生信号のジッタを測定した。データを再生するにあたっては、レーザビームの再生パワーを0.7mWに設定した。
さらに、ジッタの変化率ΔJを、ΔJ=J2/J1によって算出した。ここに、J1は、レーザビームの基底パワーPbを0.1mWに設定して記録されたデータを再生したときに得られたジッタを示し、J2は、0.1mWから1.3mWの範囲で、レーザビームの基底パワーPbを変化させて記録したデータを、再生したときに得られたジッタを示している。
サンプル#1、ならびに比較サンプル#1ないし#3の第二の情報層に記録されたデータを再生したときの再生信号のジッタの変化率ΔJが、それぞれ、図5の曲線A、B、C、Dに示されている。
図5の曲線BないしDに示されるように、比較サンプル#1ないし#3においては、レーザビームの基底パワーPbを高くして、第二の情報層にデータを記録すると、第二の情報層に記録されたデータを再生したときの再生信号のジッタが大きく増大し、いずれの比較サンプルにおいても、レーザビームの基底パワーPbを高くするのにともなって、第二の情報層に記録されたデータを再生したときの再生信号のジッタが悪化していくことが認められた。これに対して、図5の曲線Aに示されるように、サンプル#1においては、レーザビームの基底パワーPbを高くして、第二の情報層にデータを記録しても、再生信号のジッタが、ほとんど変化することがなく、優れた記録特性を有することが認められた。
本発明は、以上の実施態様および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
たとえば、図1ないし図4に示される実施態様においては、光記録媒体1の第二の情報層30に含まれる第二の誘電体膜35、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜31が、いずれも、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、少なくとも、第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜35、または第四の誘電体膜35が、窒化アルミニウムを主成分として含むように形成されていればよい。
また、図1ないし図4に示された実施態様においては、第二の情報層30に含まれる第三の誘電体膜33および第四の誘電体膜35が、いずれも、反射膜32に隣接して形成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、第二の情報層30の放熱性を、著しく低下させない範囲で、第三の誘電体膜33と反射膜32との間、および第四の誘電体膜35と反射膜32との間の両方、またはいずれか一方に、他の膜が介在していてもよい。
また、図1ないし図4に示された実施態様においては、光記録媒体1は、支持基板11と、第一の情報層20と、中間層12と、第二の情報層30と、光透過層13を備え、二層の情報層が設けられているが、本発明は、二層の情報層を有する光記録媒体に限定されるものではなく、広く、二層以上の情報層を有する光記録媒体に適用することができる。この場合には、第一の情報層以外の情報層が、いずれも、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜を有している必要はなく、第一の情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜を有していればよい。
また、図1ないし図4に示された実施態様においては、第一の情報層20が、相変化材料を含む記録膜を有し、書き換え型の情報層によって構成されているが、本発明は、これに限定されるものではなく、第一の情報層20が、再生専用の情報層や追記型の情報層によって、構成されても構わない。たとえば、第一の情報層20が、再生専用の情報層として構成される場合には、第一の情報層としての情報層はとくに設けられず、支持基板11、あるいは、中間層12が、第一の情報層として機能し、支持基板11、あるいは、中間層12の表面上に、ピットが形成され、かかるピットによって、データが記録される。すなわち、本発明においては、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜を有する情報層以外の情報層中の記録膜の組成やタイプは、とくに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、適宜、変更が可能である。
さらに、図1ないし図4に示される実施態様においては、光記録媒体1は、光透過層13を備えているが、光透過層13に代えて、または、光透過層13の表面上に、ハードコート組成物を主成分として含むハードコート層を設けてもよいし、さらに、潤滑性や防汚性の機能を付与するために、ハードコート層に潤滑剤を含ませてもよいし、ハードコート層の表面上に、潤滑剤を主成分として含む潤滑層を、別途、設けるようにしてもよい。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体の略断面図である。 図2は、図1のAで示された部分の略拡大断面図である。 図3は、第一の情報層の構成を示す略拡大図である。 図4は、第二の情報層の構成を示す略断面図である。 図5は、サンプル#1、ならびに比較サンプル#1ないし#3の第二の情報層に記録したデータを再生したときの再生信号のジッタを示すグラフである。
符号の説明
1 光記録媒体
11 支持基板
12 中間層
13 光透過層
20 第一の情報層
21 反射膜
22 第二の誘電体膜
23 記録膜
24 第一の誘電体膜
25 放熱膜
30 第二の情報層
31 第四の誘電体膜
32 反射膜
33 第三の誘電体膜
34 記録膜
35 第二の誘電体膜
36 第一の誘電体膜
37 放熱膜

Claims (8)

  1. 基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、反射膜を有し、前記反射膜を挟んで、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記反射膜の前記レーザビームの入射側に形成された誘電体膜が、3nmないし20nmの厚さを有し、前記反射膜の前記レーザビームの入射側と反対側に形成された誘電体膜が、3nmないし40nmの厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 基板上に、少なくとも中間層を介して、積層された複数の情報層を備え、レーザビームの入射面から最も遠い情報層以外の情報層のうちの少なくとも一つの情報層が、反射膜を有し、前記反射膜の前記レーザビームの入射側とは反対側に、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されていることを特徴とする光記録媒体。
  4. 前記誘電体膜が、3nmないし40nmの厚さを有していることを特徴とする請求項3に記載の光記録媒体。
  5. 前記反射膜が、金属を主成分として含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  6. 前記反射膜が、3nmないし20nmの厚さを有していることを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。
  7. 前記情報層が、相変化型の記録膜を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 前記記録膜の前記レーザビームの入射側に、窒化アルミニウムを主成分として含む誘電体膜が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光記録媒体。
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