JP2005181986A - 液晶表示素子用シール剤組成物 - Google Patents

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Toshio Shiobara
利夫 塩原
Tatsuya Kanamaru
達也 金丸
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Abstract

【課題】 液晶に対する非汚染性に優れた液晶表示素子用シール剤組成物を提供する。
【解決手段】 主剤として、エポキシ基を1個以上有する化合物、熱硬化剤、光重合開始剤及びフッ素含有率1〜70質量%である含フッ素熱可塑性樹脂を必須成分とし、フッ素熱可塑性樹脂をシール材組成物全体の0.5%〜20質量%配合する液晶表示素子用シール剤組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶に対する非汚染性に優れた液晶表示素子用シール剤組成物に関する。
近年、携帯機器の小型化、薄型化及び軽量化に伴い、これらに使用される液晶表示装置の薄型化が急激に進められている。また、液晶表示画面の大型化及び低価格化という相反する要求も強くなってきている。
液晶表示素子は従来、次のようにして製造されている。まず、一方の基板にシール剤を塗布後、ビーズ状のスペーサー剤を散布した他の基板を重ね合わせてシール剤を加熱硬化させ、空パネルを製造する。次に、この空パネルを適宜切断後、減圧下で液晶を注入口より注入して液晶表示素子とする。ところで、この方法では、液晶の注入に時間がかかるという問題がある。特に、基板サイズの大型化や、液晶の応答速度短縮のためのパネルギャップ薄型化に伴い、この問題が顕著になっている。
このようなことから、ODF(One Drop Fill)方式が検討されている。この方法は、次のようにして行われる。まず、TFT等の駆動トランジスタを形成した側の基板にシール剤を塗布後、更にこの基板に液晶を塗布する。そして、この基板に、ビーズ状のスペーサー剤を散布した(又はホトスペーサーを形成した)カラーフィルター側基板を貼り合わせ、シール剤を硬化させて液晶表示素子とする。但し、この方法は液晶注入が不要であるが、基板上で液晶と未硬化液晶表示素子用シール剤組成物とが接触するため、エポキシ樹脂等のシール剤成分が液晶を汚染する問題がある。特に、カラーフィルターがブラックマトリックス等を備えている場合、シール剤硬化のための紫外線がこの部分で遮光され(以下、「陰影部」という)、未硬化のシール剤が残って液晶の汚染域(配向不良域)が増大する。
そこで、ODF方式に用いるシール剤の液晶汚染の防止策として、通常より分子量が高く、一分子中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを持つ、部分(メタ)アクリル化エポキシ樹脂が提案されている(例えば、特許文献1:特開2001−13379号公報参照)。
特開2001−13379号公報
しかしながら、この技術の場合、エポキシ樹脂を部分(メタ)アクリル化すると、(メタ)アクリル化されないエポキシ樹脂や、全て(メタ)アクリル化された(メタ)アクリル樹脂が樹脂組成物中に混在することになる。そして、これらの成分は、特に上記陰影部における液晶汚染を防止できないため、液晶汚染改善効果が十分でない。
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、液晶に対する非汚染性に優れた液晶表示素子用シール剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂が液晶の配向汚染に及ぼす影響が大きいことを確認し、液晶表示素子用シール剤組成物に含フッ素熱可塑性樹脂を配合することで、液晶に対する非汚染性を大きく改善できることを突き止め、本発明の完成に至った。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸を、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を、(メタ)アクリル化はアクリル化又はメタクリル化を示す。
即ち、本発明は
(A)主剤として、エポキシ基を1個以上有する化合物
(B)熱硬化剤
(C)光重合開始剤
を含有してなる液晶表示素子用シール剤組成物に、(D)フッ素含有率1〜70質量%である含フッ素熱可塑性樹脂を好ましくはシール剤組成物全体の0.5〜20質量%配合することで、陰影部の液晶汚染を防止することを特徴とする液晶表示素子用シール剤組成物を提供する。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、液晶に対する非汚染性、接着性、作業性、形状保持性、硬化性、及び耐湿性に優れ、特にODF(One Drop Fill)方式による液晶表示装置の製造に好適に使用可能である。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、(A)主剤、(B)熱硬化剤、(C)光重合開始剤、(D)フッ素含有率1〜70質量%である含フッ素熱可塑性樹脂を必須成分として含有している。
(A)主剤
本発明で使用する主剤は、エポキシ基を1個以上有する化合物が必須であり、熱硬化成分と光硬化成分とを含むもので、例えば一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることができ、あるいは一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と一分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを併用することもできる。これらの成分としては、従来のシール剤組成物の主剤に用いられている、以下のエポキシ樹脂(a)、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させることによって得られる、部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物を含む反応混合物(b)、(メタ)アクリル樹脂(c)を例示することができる。また、本出願人が先に提案した(特願2003−276434号)反応性のフッ素樹脂及びフッ素シリコーン樹脂を使用することもできる。
従って、上記(a)〜(c)成分についていえば、(b)成分単独で使用してもよく、また(a),(b)両成分、(a),(c)両成分又は(b),(c)両成分を併用するようにしてもよく、更には(a),(b),(c)三成分を混合使用するようにしてもよい。
(a)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、一分子当たり2個以上のエポキシ基を持ったものであればよく、従来から公知のものを全て使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等がエポキシ樹脂として挙げられる。また、これらのエポキシ樹脂の水素原子の一部又は全部をフッ素化したものなど、含フッ素エポキシ樹脂を使用することもできる。
特に、耐熱性や耐湿性に優れるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂として用いるのが好ましい。なお、エポキシ樹脂には、その合成過程で使用するエピクロルヒドリン由来の塩素が少量含まれるが、エポキシ樹脂における全塩素含有量は1,500ppm以下とすることが好ましく、特に1,000ppm以下とすることが好ましい。また、エポキシ樹脂に10倍質量のイオン交換水を加え、100℃、20時間の条件で抽出処理を行った後の水中塩素濃度が10ppm以下であることが好ましい。
以上述べたエポキシ樹脂は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(b)部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物含有反応混合物
この(b)成分は、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させることによって得られる反応混合物で、これは、一分子当たり2個以上のエポキシ基を持った液状エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを当量比でエポキシ基/(メタ)アクリロイル基=9/1〜1/9で反応させればよく、更に好ましくはエポキシ基/(メタ)アクリロイル基=6/4〜3/7で反応させたものが好ましい。
即ち、例えばエポキシ樹脂を
Figure 2005181986
と表した場合、これを(メタ)アクリル酸
CH2=CR−COOH(RはH又はCH3
と上記割合で反応させると、未反応のエポキシ樹脂(i)と、
Figure 2005181986
で示されるエポキシ樹脂の一部のエポキシ基が開環した部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物(ii)と、
Figure 2005181986
で示されるエポキシ樹脂の全部のエポキシ基が開環した(メタ)アクリレート変性化合物(iii)が得られる。
この場合、上記反応混合物中に存在する未反応のエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が変性された部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物と、エポキシ樹脂のエポキシ基の全てが変性された(メタ)アクリレート変性化合物の混合割合としては、未反応エポキシ樹脂が0〜80質量%、特に5〜45質量%、(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物が5〜60質量%、特に35〜55質量%、(メタ)アクリレート変性化合物が0〜90質量%、特に10〜55質量%で混合されていることが好ましい。
一分子当たり2個以上のエポキシ基を持った液状エポキシ樹脂としては、従来から公知のものを全て使用することができる。その具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂といったものが比較的低粘度であり、耐熱性や耐湿性に優れていることから好ましい。
上記反応は、通常、トルエン等の有機溶媒中で行われることが好ましい。また、上記反応はエポキシ基とカルボン酸との反応であるので、触媒として、トリフェニルホスフィン(TPP)、アミン類を共存させて行うことが好ましい。上記反応は、通常、遮光条件下に、80〜100℃で行えばよい。しかし、上記反応は発熱反応であることから、(メタ)アクリロイル基の重合反応を防止するため、重合禁止剤等(メチルハイドロキノン、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)等)を使用し、制御する必要がある。
上記反応により得られた(b)成分の部分(メタ)アクリレート変性エポキシ化合物含有反応混合物は、(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を含有するものであるので、光、例えば紫外線照射、及び加熱により重合させることができる。
(c)(メタ)アクリル樹脂
(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマ、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマ、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマ、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマ、シリコーン(メタ)アクリレートオリゴマ、これらの(メタ)アクリル樹脂をフッ素化したもの等を用いることができるが、光硬化性や基材との接着性の点で、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマ、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマを使用するのが好適である。上記した(メタ)アクリル樹脂は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
主剤の配合量は、液晶表示素子用シール剤組成物全体の5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%とする。また、主剤中のエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とのモル比(エポキシ基/(メタ)アクリロイル基)が、0.01〜1,000、特に0.1〜100であることが好ましい。
(B)熱硬化剤
本発明に使用する熱硬化剤は、主剤に含まれるエポキシ基の硬化剤として機能するものであり、熱潜在性のものが液晶表示素子用シール剤組成物の保存安定性を向上させる点で好ましい。例えば、常温で固体であって熱硬化時に液化し、上記エポキシ基と反応するものを用いることができる。
このような熱硬化剤としては、例えば、アミンアダクト系化合物、有機酸ヒドラジドや、これらの硬化剤について、その水素原子の一部あるいは全量をフッ素化したり、フルオロアルキル基やフルオロエーテル基等でフッ素変性したりしてフッ素系主剤との相溶性、反応性を高めたもの等を挙げることができる。
ここで、アミンアダクト系化合物としては、ジシアンジアミドや、味の素(株)製の商品名アミキュア(アミキュアPN−23、アミキュアPN−H、アミキュアPN−31、アミキュアPN−D、アミキュアMY−24、アミキュアMY−H、アミキュアMY−D)が挙げられる。有機酸ヒドラジドとしては、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、味の素(株)製の商品名アミキュア(アミキュアVDH、アミキュアUDH)、クエン酸トリヒドラジドが挙げられる。
熱硬化剤の配合量は、本組成物におけるエポキシ基を有する全樹脂中のエポキシ基の量(モル)に対し、(エポキシ基の量(モル))/(熱硬化剤(モル))で表されるエポキシ当量比に換算して0.7〜1.2とすることが好ましい。エポキシ当量比が1.2を超えると未反応の熱硬化剤が残り、耐湿性に影響を与えるおそれがあり、0.7未満であると未反応、未硬化のエポキシ樹脂が残り、液晶汚染の増大やシール剤硬化物の特性低下を引き起こすおそれがある。
また、熱硬化剤は室温で固形状であるため、使用に際しては、粉砕及び分級し、主剤(液状成分)中に三本ロール等で分散混練し、熱硬化剤の最大粒径を3μm未満とするのが好ましい。更に、潜在性の熱硬化剤の保存安定性を向上させるため、熱硬化剤をマイクロカプセル化するか、又はシランカップリング剤等で予め表面処理等を行うのがよい。
以上述べた熱硬化剤は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(C)光重合開始剤
本発明に用いる光重合開始剤としては、ラジカル系、カチオン系のものが例示できるが、カチオン系光重合開始剤はそれ自身がイオン性不純物となって、液晶を電気的に汚染する場合があるため、ラジカル系光重合開始剤を用いるのが好ましい。
ラジカル系光重合開始剤としては、従来から公知のものを全て用いることができ、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−{4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル}−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン(ESACURE KIP−150 LAMBERTI S.p.A社製)等のフェニルケトン類が挙げられる。
なお、主剤としてフッ素系反応性樹脂を使用する場合、主剤との相溶性、反応性を高める目的で、ラジカル系光重合開始剤として、上記フェニルケトン類を、例えば、米国特許第5274179号明細書、特許第3310679号公報、特許第3204976号公報、特開平7−89895号公報に記載の方法で、フッ素変性したものを用いることもできる。
ラジカル系光重合開始剤として、更に、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)(2,4,4−トリメチルペンチル)フォスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイド等のベンゾイルフォスフィンオキサイド類を用いることもできる。
上記ラジカル系光重合開始剤のうち、光硬化時にVOC(揮発性有機化合物)の発生が少ない点から、液晶表示素子用としては、特に、上記ESACURE KIP−150(LAMBERTI S.p.A社製)が好適である。
光重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリロイル基等の感光基を有する樹脂100質量部に対し、1〜10質量部、特に2〜6質量部の範囲とすることが好ましい。光重合開始剤の配合量が1質量部未満であると、光重合性、シール剤の硬化性が低下する場合があり、配合量が10質量部を超えると液晶表示素子用シール剤組成物の保存性が低下する場合がある。
以上述べた光重合開始剤は、1種単独又は2種類以上組み合わせて使用することができる。
(D)含フッ素熱可塑性樹脂
本発明で使用する含フッ素熱可塑性樹脂は、シール剤の液晶に対する非汚染性を劇的に改善する成分であり、そのフッ素含有量は1〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。フッ素含有量が1質量%未満であると、シール剤の液晶に対する非汚染性が悪くなり、フッ素含有量が70質量%を超えると、基材との接着性、主剤との相溶性が低下する。含フッ素基としては、例えば、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、1価又は2価のパーフルオロポリエーテル基が挙げられるが、耐液晶汚染性付与、シール剤硬化物への可撓性付与、基材への濡れ性・接着性などの諸特性のバランスから、パーフルオロポリエーテル基を使用するのが好ましい。ここで、フッ素含有率は、一分子中の全フッ素質量を分子量で除した値に100を乗じた値であり、また分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定したポリスチレン換算重量平均分子量である。
本発明で使用する含フッ素熱可塑性樹脂は、例えば、骨格が2価のパーフルオロポリエーテル基でその両末端がアルコール変性、カルボキシル変性、又はイソシアネート変性された反応性含フッ素化合物等と、これらの変性基と反応可能なイソシアネート末端化合物、酸無水物末端化合物、エポキシ樹脂、ポリオール等の化合物とを適宜組み合わせ反応して得られ、更には、これらの反応物の反応性末端と反応可能な末端封鎖用化合物を適宜組み合わせて反応することによっても合成される。
これらの中で、塗布性(基材との濡れ性、形状保持性)、接着性、シール剤硬化物の補強性の観点から、下記一般式(1)で表される含フッ素カルボン酸化合物とエポキシ樹脂とを反応して得られる含フッ素エポキシ変性樹脂(I)や下記一般式(2)で表される含フッ素ポリアミドイミド樹脂(II)が好ましく使用できるが、これらに限定されるものではない。
含フッ素エポキシ変性樹脂(I)
この含フッ素エポキシ変性樹脂は、(i)エポキシ樹脂と(ii)一般式(1)の含フッ素カルボン酸とを反応(共重合)させることにより得ることができる。
本発明の含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂の合成に使用する(i)エポキシ樹脂は、公知のエポキシ樹脂のいずれでもよく、特に制限はないが、一分子中にオキシラン環を二個以上有する多官能体であることが必要であり、一分子中にオキシラン環を二個有する二官能体であることがより好ましい。(i)成分は、特に下記式(4)又は(5)で示される一分子中にオキシラン環を二個有する二官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
Figure 2005181986
(式中、Ep
Figure 2005181986
又はエポキシシクロアルキル基であり、好ましくはエポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロペンチル基である。Yはエーテル構造(−O−)又はエステル構造(−OC(=O)−)又はシロキサン構造(−Si−O−Si−)を含んでもよい脂肪族二価炭化水素基(好ましくは炭素数1〜100、特に1〜50のもの)又は芳香族二価炭化水素基(好ましくは炭素数8〜50、特に14〜50のもの)である。)
二官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、及び、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂などが挙げられる。また、1,4−(2’,3’−エポキシプロピル)オクタフルオロ−n−ブタンや2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパンのようにフッ素を含有した二官能エポキシ樹脂でもよい。これらの分子量(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定したスチレン換算重量平均分子量、以下同様)は特に制限はないが、100〜3,000程度が好ましい。また、これらを複数混合して用いてもよい。
また、(ii)成分は、下記一般式(1)のカルボン酸である。
Figure 2005181986
(式中、Rf’は2価のパーフルオロポリエーテル基を示す。)
この場合、Rf’としては、下記の構造式のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 2005181986
(式中、
X:F又はCF3
p、q:p≧1、q≧1、2≦p+q≦200、特に2≦p+q≦110の整数
r:0≦r≦6の整数
s、t:s≧0、t≧0、0≦s+t≦200、特に2≦s+t≦110の整数
u、v:1≦u≦100、1≦v≦100の整数
w:1≦w≦100の整数
k:1≦k≦8の整数
j、l:0≦j≦3、0≦l≦3の整数
i、m:0又は1
を示す。)
上記一般式(1)の化合物としては、特に下記一般式(1a),(1b)又は(1c)で示されるものが好ましい。
Figure 2005181986
(式中、u及びvはそれぞれ1〜100、好ましくは1〜20の整数を表す。)
Figure 2005181986
(式中、j、k、lは、1≦k≦8、0≦j≦3、0≦l≦3の整数であり、i、mは0又は1である。)
Figure 2005181986
(式中、p、qは、p≧1、q≧1、2≦p+q≦200、特に2≦p+q≦110の整数であり、rは0≦r≦6の整数である。)
上述したように、本発明の含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂(i)と両末端にヒドロキシカルボニル基を有する含フッ素化合物(ii)を反応(共重合)させることにより得ることができ、この場合、反応には必ずしも溶剤は必要ではないが、溶剤を用いる場合、ヘキサフルオロメタキシレン(HFMX)のようなエポキシ樹脂(i)と含フッ素化合物(ii)の双方を溶解できる溶剤が好ましい。反応温度は、溶剤の有無、種類(沸点)によっても異なるが、室温から250℃の範囲が好ましく、反応時間は、数時間から2日間程度である。
また、反応には必ずしも触媒は必要でないが、トリフェニルホスフィン、p−トルエンスルホン酸、硫酸、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、2−フェニルイミダゾール、ピリジン、トリエチルアミンやこれらに類似した化合物を用いてもよい。添加量は、エポキシ樹脂(i)に対して、0.01〜5質量%の割合で加えるのが好ましい。
反応に用いるエポキシ樹脂(i)と含フッ素化合物(ii)の割合は、(ii)中に含まれるヒドロキシカルボニル(−C(=O)OH)の総数に対し、(i)中に含まれるオキシラン環の総数が、1.0〜10.0倍、好ましくは1.2〜5.0倍になるように調整するとよい。
上記反応により、エポキシ樹脂のエポキシ基と含フッ素化合物のヒドロキシカルボニル基が下記のように反応し、
Figure 2005181986
例えば下記式で表されるエポキシ樹脂と含フッ素化合物との反応生成物(含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂)が得られるものである。
Figure 2005181986
(式中、nは、0≦n≦110である。)
上記反応により得られる含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂は、その分子量が1,000〜150,000(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定したポリスチレン換算重量平均分子量)のものが好ましく、3,000〜50,000がより好ましい。分子量が低すぎると、精製段階での収率が低下する場合があり、分子量が大きすぎると、所望のエポキシ樹脂に対する相溶性が悪くなる場合がある。また、一分子中のフッ素含有率(一分子中の全フッ素質量を上記含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂の分子量で除したもの)は0.01〜0.70であり、好ましくは0.10〜0.60であり、0.01未満になると、シール剤の液晶に対する非汚染性が悪くなる場合があり、0.70を超えると、基材との接着性、主剤との相溶性が低下する場合がある。フッ素含有率は、一般的には、イオン電極法、吸光光度法、イオンクロマト法などで求めることができる。
含フッ素ポリアミドイミド樹脂(II)
含フッ素ポリアミドイミド樹脂(II)は、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
Figure 2005181986
(式中、a、b、cは0〜10の整数を示し、Plaは、下記式(3)
Figure 2005181986
を示し、複数個のRは、それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基を示し、zは1〜20の整数を示し、複数個のXはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基又はアリーレン基を示し、Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基を示し、Yは3価の有機基を示す。)
上記式中2価のパーフルオロポリエーテル基であるRfの具体例を下記構造式によって示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005181986
(式中、
X:F又はCF3
p、q:p≧1、q≧1、2≦p+q≦200、特に2≦p+q≦110の整数
r:0≦r≦6の整数
s、t:s≧0、t≧0、0≦s+t≦200、特に2≦s+t≦110の整数
u、v:1≦u≦100、1≦v≦100の整数
w:1≦w≦100の整数
k:1≦k≦8の整数
j、l:0≦j≦3、0≦l≦3の整数
i、m:0又は1
を示す。)
上記一般式(2)のフッ素含有ポリアミドイミド樹脂は、
〈W〉下記一般式(2a)で示されるフッ素含有ジカルボン酸、
Figure 2005181986
(上記式中、Rfは上記の通りであり、好ましくは
Figure 2005181986
(式中、u’、v’はそれぞれ1〜50の整数である。)
〈X〉ジイソシアネート化合物、及び
〈Y〉下記一般式(2b)で示されるジオール化合物
Figure 2005181986
(式中、Rf、zは上記の通り。)
を反応させることにより、下記一般式(2c)で示されるジイソシアネート化合物を合成し、
Figure 2005181986
(式中、a、b、cはそれぞれ0〜10の整数を示し、Plaは、下記式(3)
Figure 2005181986
(式中、R、zは上記の通り。)を示し、複数個のXはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基又はアリーレン基を示し、Rfは上記の通り。)
次いで、
〈Z〉酸無水物基を有する3価のカルボン酸又はその誘導体
を反応させることにより製造することができる。
ここで、〈X〉成分としては、ジイソシアネート化合物が用いられるが、ジイソシアネート化合物としては、下記一般式(2d)
OCN−R1−NCO (2d)
で示される芳香族ジイソシアネートが好ましく使用し得る。この場合、R1は炭素数6〜18のアリーレン基を示す。また、上記ジイソシアネート化合物の代わりに又はこれに加えて下記一般式(2e)
OCN−R2−NCO (2e)
(式中、R2は炭素数1〜18、特に1〜10の脂肪族又は脂環式の二価炭化水素基、例えば直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基等を示す。)
で示される脂肪族又は脂環式ジイソシアネートを併用することもできる。
〈X〉成分のジイソシアネート化合物として具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’−[2,2−ビス−(4−フェノキシフェニル)プロパン]ジイソシアネート、ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3’−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジエチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。必要に応じて、この一部をヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネート及び3官能以上のイソシアネートに置き換えて使用してもよい。
〈X〉成分としては、特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好適に使用される。
〈Y〉成分は、下記一般式(2b)
Figure 2005181986
(式中、複数個のRは、それぞれ独立に炭素数1〜18、特に1〜10のアルキレン基を示し、zは1〜20、特に8〜18の整数を示す。)
で表されるカーボネートジオール類である。
上記一般式(2b)で表されるカーボネートジオール類としては、例えば、PLACCEL CD−205、205PL、205HL、210、210PL、210HL、220、220PL、220HL(以上、商品名、ダイセル化学(株)製)といった市販されているものなどを使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。特にPLACCEL CD−220が好適に使用される。
ここで、〈W〉,〈X〉,〈Y〉成分の使用量は、〈W〉成分1モルに対して〈Y〉成分は0.1〜5.0モル、〈X〉成分は1.0〜10.0モルが良好である。特に〈W〉成分1モルに対して〈Y〉成分は、0.4〜3.0モル、〈X〉成分は2.0〜5.0モルであることが特に好ましい。
上記一般式(2d),(2e)のイソシアネート化合物は、それぞれ単独で使用しても併用してもよいが、併用する場合、上記一般式(2d)の化合物と上記一般式(2e)の化合物とを質量比として一般式(2d):一般式(2e)=90:10〜30:70の割合とすることが好ましい。
〈W〉,〈X〉,〈Y〉成分を無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることにより、下記一般式(2c)で示されるジイソシアネート化合物を得ることができる。
Figure 2005181986
(式中、a、b、cはそれぞれ0〜10の整数を示し、Plaは、下記式(3)
Figure 2005181986
(式中、R、zは上記の通り。)を示し、複数個のXはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基又はアリーレン基を示し、Rfは上記の通り。)
〈W〉,〈X〉,〈Y〉成分を無溶媒あるいは有機溶媒中で反応させることが可能であるが、有機溶媒中で反応させることが好ましい。合成方法として、〈W〉,〈X〉,〈Y〉成分を一度に反応させる方法、及び〈W〉,〈X〉成分を反応させた後、〈Y〉成分を反応させる方法があり、好ましい合成方法は、〈W〉,〈X〉成分を反応させた後、〈Y〉成分を反応させる方法である。上記一般式(2a)で表されるジカルボン酸基と一般式(2b)で表されるジオール基と〈X〉成分のジイソシアネート基の配合量は、配合比をいろいろと変更することによって種々の組成が可能であるが、常に両末端にイソシアネート基を有することが必要である。反応温度は、120〜180℃の範囲で、特に140〜150℃とすることが好ましい。
このカルボン酸基とイソシアネート基の反応は、溶媒の存在下で、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることが好ましい。
溶媒を用いる場合、溶媒としては、特に制限はなく、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、γ−ブチロラクトン、酢酸セロソルブ、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン等が例示される。これらは、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。高揮発性であって、かつ効率よく均一系で反応を行うためには、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。反応性が遅い場合、N−メチル−2−ピロリドンを併用することが好ましい。
得られた一般式(2c)の反応生成物に対して、〈Z〉成分である酸無水物基を有する3価のカルボン酸又はその誘導体を反応させることにより、上記一般式(2)で示されるフッ素含有ポリアミドイミド樹脂を得ることができる。
この場合、〈Z〉成分の酸無水物基を有する3価のカルボン酸又はその誘導体としては、例えば、下記一般式(2f)又は(2g)で示される化合物が好ましく用いられる。酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体であれば特に制限はないが、耐熱性、コスト面等を考慮すれば、トリメリット酸無水物が特に好ましい。
Figure 2005181986
(但し、式中、Aは−CH2−、−CO−、−SO2−又は−O−を示す。)
これらの他に、必要に応じて、ピロメリット酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物を使用することもできる。
〈Z〉成分の酸無水物基を有する3価のカルボン酸又はその誘導体の配合割合は、式(2c)の反応生成物中のイソシアネート基の総数に対する〈Z〉成分のカルボキシル基及び酸無水物基の総数の比が0.9〜1.1になるようにすることが好ましく、0.95〜1.05となるようにすることが特に好ましい。この比が0.9未満又は1.1を超えると、変性ポリアミドイミド樹脂の分子量を高くすることが困難となる場合がある。
上記ポリアミドイミド樹脂の反応も、遊離発生してくる炭酸ガスを反応系より除去しながら加熱縮合させることにより行うことができる。
このアミドイミド化の反応温度は、180〜220℃とすることが好ましく、190〜210℃とすることが特に好ましい。180℃未満では反応時間が長くなりすぎ、220℃を超えると反応中に三次元化反応が生じてゲル化が起こりやすい。また、必要に応じて、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等の触媒存在下に反応を行ってもよい。
このようにして得られる本発明のフッ素含有ポリアミドイミド樹脂は、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものである。
Figure 2005181986
(式中、a、b、c、Pla、X、Rfは上記の通りであり、Yは〈Z〉成分に由来する3価の有機基(酸残基)であり、特に
Figure 2005181986
(式中、Aは上記の通り)
であることが好ましい。)
上記ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィで測定されたポリスチレン換算数平均分子量として、4,000〜60,000であることが好ましく、6,000〜40,000であることが特に好ましい。60,000を超えると、溶媒に溶解しにくくなり、合成中に不溶化しやすい。また、作業性にも劣る傾向がある。
なお、本発明において、フッ素含有ポリアミドイミド樹脂は、予めエポキシ樹脂と加熱溶解混合することが好ましい。エポキシ樹脂としては、上述した(A)成分中の(a)エポキシ樹脂で例示したものと同様のものが例示でき、この場合の混合比率としては、フッ素含有ポリアミドイミド樹脂:エポキシ樹脂(質量比)=1/3:3〜3:1/3であることが好ましい。また、加熱溶解混合条件としては80〜120℃で30分〜30時間とすることが好ましい。
本発明の(D)成分の含フッ素熱可塑性樹脂の使用量は、シール剤組成物全体の0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。0.5質量%より少ない場合、液晶汚染を十分に抑制できないおそれがあり、20質量%より多い場合、高粘度による塗布性の低下や基材との接着強度の低下等の問題が発生しやすくなるおそれがある。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、上記各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、下記成分を配合することができる。
(E)硬化促進剤
上記熱硬化剤に加え、エポキシ基との反応性を促進する硬化促進剤を配合してもよい。特に、室温での保存安定性が良好で、100〜120℃に加熱した際にエポキシ基との反応性を促進する硬化促進剤を用いることが好ましい。
硬化促進剤としては、例えばイミダゾール誘導体である、2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールのトリメリット酸付加物、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールのトリメリット酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物が挙げられる。
硬化促進剤としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂100質量部、キュアダクトL−07N(商品名:キュアダクト、四国化成工業(株)製)11質量部及びキュアダクトP−0505(同上)20質量部でアダクトした化合物が挙げられる。
硬化促進剤としては、更に、例えば、脂肪族ポリアミンの誘導体である、富士化成工業(株)製の商品名フジキュア(フジキュアFXR−1020、フジキュアFXR−1030、フジキュアFXR−1080)や、イミダゾールをエポキシ樹脂でマイクロカプセル化した旭化成(株)製の商品名ノバキュア(ノバキュアLSA−H0116、ノバキュアLSA−H0112、ノバキュアLSA−H0202、ノバキュアLSA−0117、ノバキュアHXA−3792)が挙げられる。
硬化促進剤としては、以上の他に、上記各硬化促進剤をフッ素変性し、フッ素系主剤との相溶性、反応性を高めたもの等を挙げることができる。
硬化促進剤の配合量は、上記主剤100質量部に対し、0.1〜10質量部、特に0.5〜6質量部の範囲とすることが好ましい。配合量が0.1質量部未満であると硬化性が低下する場合があり、10質量部を超えると保存性が低下する場合がある。
また、上記硬化促進剤が室温で固形状の場合、使用に際しては、粉砕及び分級し、更に三本ロール等で分散混練し、その最大粒径を3μm未満とするのがよい。
以上述べた硬化促進剤は、1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(F)無機充填材、カップリング剤
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物には、膨張係数を小さくするために、従来から公知の各種無機充填材を添加することができる。無機充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、酸化チタン、シリカチタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、マイカ等を挙げることができ、これらは1種単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。特に、シリカ、アルミナ、タルクを1種単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
無機充填材としては、最大粒径3μm以上のものの含有率が1質量%以下で、かつ平均粒子径0.5〜2μmのものを用いるのがよい。最大粒径3μm以上のものが1質量%を超えると、ガラス基板のギャップ出し精度が悪くなり、貼り合わせが困難になる。また、平均粒子径が0.5μm未満であると、粘度が高くなってニードルからのシール剤塗布量が低下し、塗布スピードの低下により生産性が劣化する。なお、平均粒子径、最大粒径は、レーザ回析法により測定した値であり、平均粒子径は重量平均値として求めることができる。無機充填材の配合量は、液晶表示素子用シール剤組成物中全体に対し、10〜50質量%、特に20〜40質量%とするのが好ましい。配合量が10質量%未満であると、膨張係数が大となり、硬化後に歪みを生じさせる場合があり、配合量が50質量%を超えると、組成物の粘度が高くなり、後から添加するスペーサー剤の分散性やガラス基板のギャップ出し精度が悪くなる場合がある。
上記無機充填材は、予めシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等のカップリング剤で表面処理することが好ましい。上記各カップリング剤は1種単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。特に、耐湿信頼性に優れ、吸湿劣化後の接着強度の低下が少ない液晶表示素子用シール剤組成物を得られる点で、シラン系カップリング剤を使用することが好ましい。
上記シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを用いることができる。
上記カップリング剤の配合量は、上記無機充填材100質量部に対して0.5〜5質量部程度とするのが好ましい。
この場合、液晶表示素子用シール剤組成物として用いるエポキシ樹脂と、カップリング剤で表面処理した無機充填材とを予め減圧・混練処理するとより好ましい。これにより、無機充填材表面とエポキシ樹脂の界面の濡れが良好となり、耐湿信頼性が格段に向上する。また、上記界面の濡れが良好となることで、無機充填材の樹脂への分散性が向上し、破壊強度の高い樹脂が得られる。これにより、耐湿試験後もシール剤と基材(ガラス板等)との接着強度が低下することなく、シール剤の決壊により液晶パネルの形成不能を防止できる。なお、上記カップリング剤を、無機充填材の表面処理用途とは別個に、液晶表示素子用シール剤組成物に配合してもよい。このようにすると、シール剤の基材(ガラス基板等)への接着性が向上する。この場合のカップリング剤の配合量は、液晶表示素子用シール剤組成物全体の0.5〜2質量%であることが好ましい。
(G)その他
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物には、応力を低下させる目的で、シリコーンパウダー、シリコーンゴム、シリコーンオイル、又はフッ素を含有しない熱可塑性樹脂(液状のポリブタジエンゴム、アクリルコアシェル樹脂等)を配合してもよい。更に、液晶表示素子用シール剤組成物に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、イオントラップ剤、その他の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて配合することができる。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物は、上記各成分を、同時に又は別々に撹拌、混合及び分散させて製造することができる。撹拌、混合、分散に用いる装置は特に限定されないが、撹拌装置及び加熱装置を備えたライカイ機、三本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。これら装置を適宜組み合わせてもよい。
本発明の液晶表示素子用シール剤組成物の粘度は、塗布性、形状保持性の点から通常コーンプレート型回転粘度計法による測定値で100〜1,000Pa・s(25℃)とすることが好ましい。
本発明の組成物を液晶表示素子用のシール剤として使用する場合、その適用方法は特に限定されないが、例えば、下記方法により液晶パネルの作製に適用することができる。本発明の液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサーとしてシリカファイバー(直径5μmの短繊維)が1質量%になるように配合し、真空撹拌脱泡装置で分散、脱泡を行いシリンジに分取する。次に、ディスペンサー装置を使い、ガラス基板上に線幅が0.2mm、高さが0.05mmのパターンを描画した後、液晶(MLC−6628、メルク社製)をディスペンサー装置にて所定量、点塗布する。次に、このガラス基板を減圧下に置き(13.3Pa)、ガラス基板を重ね合わせる。その後、荷重が0.1kg/cm2になるように設定し、UV照射して(照度:100mW/cm2)、光量:2.5J/cm2)仮止め(仮硬化)を行った後、ガラス基板を大気圧に戻す。次いで、ホットプレスにて120℃×1時間の条件でシール剤の加熱硬化及び液晶の再配向を行うことで、液晶パネルが作製される。
得られた液晶パネルについて、偏光フィルム及びバックライトを取り付け、点燈表示し、シール剤周辺の配向ムラの有無の確認、信頼性評価を行って、問題がないか確認することができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に制限されるものではない。なお、以下の例において、部、%はそれぞれ質量部、質量%を意味する。また、重量平均分子量、数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィの測定によるポリスチレン換算重量(又は数)平均分子量である。
[主剤の合成例]
部分メタクリル変性エポキシ化合物含有反応混合物の合成
撹拌装置、冷却管及び温度計を備えた1L丸底フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(品名:RE−310S、日本化薬(株)製)184g、メタクリル酸51.7g、トリフェニルフォスフィン1g、BHT0.13g、トルエン100gを仕込み、撹拌しながら原料を溶解させた後、100℃の温度で6時間反応させた。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で未反応のメタクリル酸を中和、除去し、次いで、イオン交換水で洗浄を行い、精製を行った。洗浄後の水溶液のイオン伝導度(CM−30V、東亜ディーケーケー(株)製:電気伝導率計)を測定し、0.28mS/mであることを確認した。精製後の反応溶液を空気バブリングしながら、共沸脱水、及び減圧下、70℃で濃縮して、トルエンを完全除去精製することで、部分メタクリル変性エポキシ樹脂を得た。ここで得られた反応混合物をテトラヒドロフランを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)にて本樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ、13%が未反応のビスフェノールA型エポキシ樹脂、44%が部分メタクリル化ビスフェノールA型エポキシ化合物、40%が完全にメタクリル化変性化合物の混合物であった。
Figure 2005181986
[含フッ素熱可塑性樹脂の合成例1]
Figure 2005181986
(d+e≒14、重量平均分子量:約1,400)
撹拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製四つ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン100g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:RE−310S、日本化薬(株)製)15.8g、トリフェニルホスフィン0.12gを仕込み、120℃に保持し、撹拌しながら、上記式(6)で示される含フッ素カルボン酸(Fluorolink C10 ソルベイソレクス社製)50gを2時間かけて滴下した。滴下後、120℃で24時間反応させた。反応後、室温に戻してから、トルエン中に再沈殿させた。沈殿物をヘキサフルオロメタキシレンに溶解し、更にこの溶解物を抽出水伝導度が3.0μS/cm以下になるまで水洗を繰り返し行った。水洗終了後、有機層を共沸脱水して水を除き、その後減圧下で溶剤を除去し、フッ素含有率10.5%のゴム状の含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂を48g得た。この化合物を「含フッ素熱可塑性樹脂A」とする。
[含フッ素熱可塑性樹脂の合成例2]
Figure 2005181986
(p’+q’≒35、重量平均分子量:約5,900)
撹拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製四つ口セパラブルフラスコにヘキサフルオロメタキシレン150g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:RE−310S、日本化薬(株)製)7.5g、トリフェニルホスフィン0.11gを仕込み、120℃に保持し、撹拌しながら、上記式(7)で示される含フッ素カルボン酸(信越化学工業(株)製)100gを3時間かけて滴下した。滴下後、120℃で24時間反応させた。反応後、室温に戻してから、トルエン中に再沈澱させた。沈澱物をヘキサフルオロメタキシレンに溶解し、更にこの溶解物を抽出水伝導度が3.0μS/cm以下になるまで水洗を繰り返し行った。水洗終了後、有機層を共沸脱水して水を除き、その後減圧下で溶剤を除去し、フッ素含有率60.8%のゴム状の含フッ素熱可塑性エポキシ樹脂を75g得た。この化合物を「含フッ素熱可塑性樹脂B」とする。
[含フッ素熱可塑性樹脂の合成例3]
撹拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製四つ口セパラブルフラスコに上記式(6)で示される含フッ素カルボン酸(Fluorolink C10 ソルベイソレクス社製)70g、及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを25.0gとヘキサフルオロメタキシレン80gを仕込み、150℃まで昇温した。150℃で4時間反応させた後、PLACCEL CD−220(商品名、ジオール化合物、ダイセル化学(株)製)50g、γ−ブチロラクトン170gを入れて150℃で4時間反応させた。更に、この反応液に無水トリメリット酸4.8gを仕込み、200℃まで昇温した後、12時間反応させた。12時間の反応終了後、この反応液を2,000mlのメタノール中に再沈殿させ、沈殿物をメチルイソブチルケトン500gに溶解させた。更にこの溶解物を抽出水伝導度が3.0μS/cm以下になるまで水洗を繰り返し行った。水洗終了後、有機層を共沸脱水して水を除き、その後減圧下で溶剤を除去し、フッ素含有率26.3%、軟化点90〜100℃の含フッ素ポリアミドイミド樹脂を95g得た。この化合物を「含フッ素熱可塑性樹脂C」とする。
得られた含フッ素熱可塑性樹脂Cは、下記の通りの繰り返し単位を有するものであり、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィの測定によるポリスチレン換算数平均分子量は20,000であった。
Figure 2005181986
但し、z’は、13〜17、Rは、−(CH25−又は−(CH26−、Rfは、−CF2O−(CF2CF2O)d−(CF2O)e−CF2−(式中、d+e=14である。)を示す。
[比較合成例1]
撹拌装置及び還流コンデンサーを具えた500mlのガラス製四つ口セパラブルフラスコにトルエン100g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:RE−310S、日本化薬(株)製)50g、カルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体であるHYCAR CTBN1300×13(宇部興産(株)製)50g、トリフェニルホスフィン0.25gを仕込み、110℃で3時間反応させた。反応後、室温に戻してから、抽出水伝導度が3.0μS/cm以下になるまで水洗を繰り返し行った。水洗終了後、有機層を共沸脱水して水を除き、その後減圧下で溶剤を除去し、フッ素を含有しないゴム状のエポキシ変性熱可塑性樹脂を96g得た。この化合物を「熱可塑性樹脂D」とする。
[実施例1〜5]
主剤として前記部分メタクリル変性エポキシ樹脂、前記含フッ素熱可塑性樹脂、熱硬化剤としてアミンアダクト系化合物(商品名:アミキュアVDH−J(上記した「アミキュアVDH」と同一の化合物であるが、これを粉砕して微粒子とし反応性を高めたもの、味の素(株)製)、光重合開始剤としてラジカル系光重合開始剤(ESACURE KIP−150、LAMBERTI S.p.A社製)、無機充填材としてシリカを用い、これらを表1に示した組成で配合してプラネタリーミキサーで均一に混練し、次に三本ロールで固形原料の最大粒径が3μm未満になるまで十分に混合分散し、得られた混合物を真空脱泡処理して液晶表示素子用シール剤組成物を得た。なお、含フッ素熱可塑性樹脂Cは予めRE−310Sと質量比1:1、100℃×1時間の条件で加熱溶解混合したものを使用した。
[比較例1]
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂Dを配合したことの他は、他の成分は実施例1と全く同一のものを用い、これらを表1に示した組成で配合し、実施例1と全く同一の方法で液晶表示素子用シール剤組成物を得た。
[比較例2]
熱可塑性樹脂としてフッ素を含有しないエポキシ変性熱可塑性樹脂:アデカレジンEPR1415−1(旭電化工業(株)製)を配合したことの他は、他の成分は実施例1と全く同一のものを用い、これらを表1に示した組成で配合し、実施例1と全く同一の方法で液晶表示素子用シール剤組成物を得た。
各実施例及び比較例の液晶表示素子用シール剤組成物の組成を表1に示す。
Figure 2005181986
評価
各実施例の液晶表示素子用シール剤組成物について特性評価を行った。
(1)粘度
各液晶表示素子用シール剤組成物について、JIS Z−8803に準じ、測定温度25℃でE型粘度計を用い、粘度の値が安定した時点から2分経過後の粘度を測定した。
(2)ポットライフ
予め、各液晶表示素子用シール剤組成物を褐色ポリエチレン製容器に密封保存して冷凍保管庫(−20℃)に保管した。次にこの保管庫から各液晶表示素子用シール剤組成物を取出し、3時間かけて解凍して各液晶表示素子用シール剤組成物の温度を25℃とした。試料が25℃になった時点でのE型粘度計による初期粘度に対する、24時間放置後の粘度変化率に基づいて、ポットライフ(可使用時間)を次の通り評価した。
○:初期粘度に対する変化率が20%未満であり、ポットライフは良好かつ十分である。
△:初期粘度に対する変化率が20〜40%であり、ポットライフにやや問題がある。
×:初期粘度に対する変化率が40%を超えており、ポットライフが短く不十分である。
(3)硬化膜透湿度
各液晶表示素子用シール剤組成物を、まず紫外線照射により光重合硬化(UV照射光量:2.5J/cm2、UV照度:100mW/cm2)し、次に加熱硬化(120℃、1時間)した。得られた硬化フィルムを100mm角のサイズに切り出し、試験片とした。そして、JIS K−7129に準じて、この試験片の透湿度試験を行い、40℃、24時間の条件下で膜厚100μm当たり透湿した水蒸気量を求めた。
(4)接着強度
液晶表示素子用シール剤組成物100部に、スペーサーとしてシリカファイバー(直径5μmの短繊維)を1%配合し、真空撹拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、シリンジに分取した。次に、清浄なガラス基板(コーニング社製、1737、サイズ20mm角、厚さ0.7mm)の中心部に、前記スペーサー剤を分散させた液晶表示素子用シール剤組成物を塗布し、その基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせて、厚み5μm、直径3mmになるように荷重を掛けた。その後、UV照射し(照度100mW/cm2、光量2.5J/cm2)、次いで、120℃×1時間の条件で熱硬化させた。得られたガラス面に支持基材を張り付け、接着用試験片を作製した。得られた試験片を島津製作所(株)製オートグラフ装置を用いて、引張りスピード5mm/分にて単位面積当たりの垂直剥離強度を測定した。
(5)液晶の配向不良域の測定(耐液晶汚染性の評価)
各液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサー(直径5μmの短繊維シリカファイバー)1%を配合し、真空撹拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、この混合物をシリンジに充填した。次に、予め配向膜(日産化学工業(株)製、サンエバーSE−150)を形成し、ラビング処理を施したガラス基板を用意し、この基板上に、ディスペンサー装置を用いて線幅0.3mm、高さ0.1mmのパターンを描画した後、液晶(メルク社製、MLC−6628)を、ディスペンサー装置を用いて所定量だけ点塗布した。
次に、減圧下(13.3Pa)で、このガラス基板上に配向膜処理済みの別のガラス基板を重ね合わせた。なお、この別のガラス基板には遮光部形成用のマスクが一部施されている。その後、両ガラス板に9.8kPaの荷重をかけて紫外線(照度100mW/cm2、光量2.5J/cm2)を照射し、仮止め(仮硬化)を行った後、大気圧に戻した。次いでホットプレスを用い、120℃、1時間の条件でシール剤の加熱硬化及び液晶の再配向を行い、液晶パネルを作製した。得られた液晶パネルについて、偏光顕微鏡でシール剤周辺の液晶の配向不良域を観察し、シール剤と液晶の界面からの液晶の配向不良幅を測定した。
(6)形状保持性(シール性の評価)
各液晶表示素子用シール剤組成物に、スペーサー(直径5μmの短繊維シリカファイバー)1%を配合し、真空撹拌脱泡装置で分散、脱泡を行い、この混合物をシリンジに充填した。次に、ガラス基板上に、ディスペンサー装置を用いて線幅0.3mm、高さ0.1mmのパターンを縦横それぞれ2cmの長さで四角形状に描画した後、上記液晶をディスペンサー装置を用いて所定量だけ点塗布し、別のガラス基板を重ね合わせた。その後、両ガラス板に9.8kPaの荷重をかけて30分放置後、紫外線(照度100mW/cm2、光量2.5J/cm2)を照射し、仮止め(仮硬化)を行った後、大気圧に戻した。次いでホットプレスを用い、120℃、1時間の条件でシール剤の加熱硬化を行い、液晶パネルを作製した。
得られた液晶パネルについて、シール剤と液晶の界面を拡大鏡で観察し、シール剤の決壊及び液晶のシール剤への侵入の有無について観察し、次の通り評価した。
○:シール剤の決壊及びシール剤への液晶の侵入が無く、形状保持性は良好である。
×:シール剤の決壊は認められないが、シール剤への液晶の侵入があり、形状保持性に問
題がある。
得られた結果を表2に示す。
Figure 2005181986
表2から明らかなように、各実施例の液晶表示素子用シール剤組成物は、液晶に対する非汚染性、接着性、作業性、耐湿性に優れ、また、得られたシール剤のシール性も優れたものとなった。一方、フッ素を含有しない熱可塑性樹脂のみを用いた比較例1,2の場合、液晶表示素子用シール剤組成物の液晶に対する非汚染性、形状保持性、耐湿性が劣ったものとなった。

Claims (9)

  1. (A)主剤として、エポキシ基を1個以上有する化合物
    (B)熱硬化剤
    (C)光重合開始剤
    (D)フッ素含有率1〜70質量%である含フッ素熱可塑性樹脂
    を含有してなる液晶表示素子用シール剤組成物。
  2. (D)含フッ素熱可塑性樹脂がパーフルオロポリエーテル構造を持つことを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  3. パーフルオロポリエーテル構造を持つ含フッ素熱可塑性樹脂が、下記一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸とエポキシ樹脂とを反応して得られる含フッ素エポキシ変性樹脂である請求項2記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
    Figure 2005181986
    (式中、Rf’は2価のパーフルオロポリエーテル基を示す。)
  4. 一般式(1)の化合物において、Rf’が下記のいずれかの構造式であることを特徴とする請求項3記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
    Figure 2005181986
    (式中、
    X:F又はCF3
    p、q:p≧1、q≧1、2≦p+q≦200の整数
    r:0≦r≦6の整数
    s、t:s≧0、t≧0、0≦s+t≦200の整数
    u、v:1≦u≦100、1≦v≦100の整数
    w:1≦w≦100の整数
    k:1≦k≦8の整数
    j、l:0≦j≦3、0≦l≦3の整数
    i、m:0又は1
    を示す。)
  5. パーフルオロポリエーテル構造を持つ含フッ素熱可塑性樹脂が、含フッ素ポリアミドイミド樹脂である請求項2記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  6. パーフルオロポリエーテル構造を持つ含フッ素熱可塑性樹脂が、下記一般式(2)で示される含フッ素ポリアミドイミド樹脂である請求項5記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
    Figure 2005181986
    (式中、a、b、cは0〜10の整数、Xはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基又はアリーレン基を示し、Yは3価の有機基を示す。Rfは2価のパーフルオロポリエーテル基である。Plaは下記式(3)で示され、式中、複数個のRはそれぞれ独立に炭素数1〜18のアルキレン基を示し、zは1〜20の整数を示す。)
    Figure 2005181986
  7. 含フッ素熱可塑性樹脂の含有量が、シール剤組成物全体の0.5〜20質量%である請求項1乃至6のいずれか1項記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  8. (A)主剤が、一分子中に少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有するものである請求項1乃至7のいずれか1項記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
  9. (A)主剤が、一分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物と一分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを含有するものである請求項1乃至7のいずれか1項記載の液晶表示素子用シール剤組成物。
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