本発明は、像振れを補正することができる光学装置、特に、デレビカメラ用の撮影装置に関するものである。
近年、テレビカメラ用ズームレンズは、高倍率化・長焦点化が進んでおり、カメラおよびレンズを設置する足場(以後、イントレ)の振動および風によるレンズの振動等によって望遠側での撮影において、被写体像の振れが問題となっている。そこで、ズームレンズを構成しているレンズ群の一部(防振レンズ群)を駆動して、振動にともなう被写体像の振れを補正する像振れ補正機能を搭載したテレビカメラ用ズームレンズが開発されている。
テレビカメラ用ズームレンズに加わる振動の周波数は、主に1Hz〜15Hz程度であるため、テレビカメラ用ズームレンズに搭載された像振れ補正機能は、この抑振周波数帯域を1Hz〜15Hzに設定して開発されている。
ズームレンズの振動を検出するために用いられる振動センサの出力信号には、この特性上、振動に応じて出力される信号成分の他に低い周波数帯域のノイズ成分が含まれる。このため、ハイパスフィルタを設けることで、振動センサの出力信号からノイズ成分を除去している(たとえば、特許文献1参照)。
特開平6−230447号公報(段落番号0145、0148、第4図)
フィルムカメラ用ズームレンズやビデオカメラ用ズームレンズでは、ハイパスフィルタを用いることで、振動センサの出力信号に含まれる低周波ノイズの影響を十分に打ち消すことができる。
しかしながら、フィルムカメラ用レンズに比べて望遠端での焦点距離が10倍以上長いテレビカメラ用ズームレンズでは、十分な防振効果を得るために、非常に小さな振動(角度又は角速度)を振動センサにより検出しなければならないため、振動センサの出力信号のS/N比が悪化してしまう。
このため、ズームレンズに加わる振動の状態によっては、ハイパスフィルタによる低周波ノイズの除去が十分にできない場合が生じ、ハイパスフィルタを通過した低周波ノイズ成分等により防振レンズ群が駆動されることで、ズームレンズに加わる振動に対応した像振れ補正が行われないことがある。特に、ズームレンズに加わる振動がほとんどないような場合に、低周波ノイズ成分等による防振レンズ群の駆動が行われると、撮影画像に違和感を生じさせることになる。
一方、ハイパスフィルタの時定数を小さくして、振動センサの低周波ノイズ成分を、ズームレンズに加わる振動に応じた像振れ補正が行われるように十分に除去すると、抑振周波数帯域の下限付近の振動に応じて振動センサから出力された信号成分を、ノイズ成分とともにハイパスフィルタにより除去されてしまうことになる。この場合には、振動に応じて像振れ補正が行われずに、良好な像振れ補正効果を得ることができなくなってしまう。
そこで、本発明の目的は、装置に加わった振動に応じて像振れ補正を行うとともに、装置に振動が加わっていない場合において、低周波ノイズ成分等に基づく像振れ補正が行われるのを防止することができる光学装置を提供することにある。
本願第1の発明である光学装置は、画角が可変である撮影光学系と、振動に伴う像振れを補正する像振れ補正手段と、振動を検出する振動検出手段と、振動検出手段からの出力に基づいて振れ信号を生成する信号生成手段と、振れ信号に基づいて像振れ補正手段を制御する制御手段とを有し、制御手段は、撮影光学系の画角および振れ信号の値に応じて信号生成手段の特性を変更することを特徴とする。
本願第2の発明である光学装置は、画角が可変である撮影光学系と、振動に伴う像振れを補正する像振れ補正手段と、振動を検出する振動検出手段と、振動検出手段からの出力に基づいて振れ信号を生成する信号生成手段と、振れ信号に基づいて像振れ補正手段を制御する制御手段とを有し、制御手段は、信号生成手段による振れ信号の周波数および振れ信号の値に応じて信号生成手段の特性を変更することを特徴とする。
ここで、撮影光学系に含まれる光学素子を駆動したり、撮影光学系により形成された像を光電変換する撮像素子を用いて得られた映像信号を処理したりすることにより、像振れを補正することができる。
本願第1の発明によれば、撮影光学系の画角および振れ信号の値に応じて信号生成手段の特性を変更することで、撮影光学系の画角および振れ信号の値に応じた像振れ補正を行うことができる。そして、振動検出手段の出力に含まれるノイズ成分に基づいて像振れ補正手段の駆動制御が行われ、振動に対応しない像振れ補正が行われるのを防止することもできる。
撮影光学系の画角が所定画角より望遠側であり、かつ振れ信号の値が所定時間以上、継続して所定範囲内である第1の場合と、第1の場合以外の第2の場合とで信号生成手段の特性を変更することにより、信号生成手段の特性を撮影状況(撮影光学系の画角や振動)に応じた特性とすることができ、上述した課題で説明したような像振れ補正の性能劣化が生じるのを防止することができる。
本願第2の発明によれば、振れ信号の周波数および振れ信号の値に応じて信号生成手段の特性を変更することで、振動の状態に応じた像振れ補正を行うことができる。
ここで、振れ信号の周波数が所定周波数より低く、かつ振れ信号の値が所定時間以上、継続して所定範囲内である第1の場合と、第1の場合以外の第2の場合とで信号生成手段の特性を変更することにより、信号生成手段の特性を振動に応じた特性とすることができ、例えば、低周波ノイズ成分に基づく像振れ補正が行われるのを防止することができる。
所定周波数を可変設定するための周波数設定手段を設けることにより、光学装置の使用環境等に応じて所定周波数を適宜変更することができる。
信号生成手段がハイパスフィルタを含み、第1の場合において、第2の場合よりもハイパスフィルタのカットオフ周波数を高くすることにより、第1の場合における低周波ノイズ成分をカットでき、この低周波ノイズ成分に基づいて振れ補正手段の駆動が行われてしまうのを防止することができる。
所定画角を可変設定するための画角設定手段を設ければ、適宜所定画角を変更することで、上記第1の場合と第2の場合とを適宜変更することができる。これにより、信号生成手段の特性を変更する条件を変えることができ、像振れ補正をカメラの使用環境等に対応させることができる。
また、第1の場合のカットオフ周波数を可変設定するためのカットオフ設定手段を設ければ、カメラの使用環境等に応じてカットオフ周波数を適宜変更することができ、像振れ補正を上記使用環境に対応させることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施例1であるカメラ(光学装置)について、図1〜図5を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施例のカメラの構成図を示し、1はカメラに加わる振動(具体的には、角速度等)を検出する振動センサ(振動検出手段)、2は振動センサ1の出力信号に含まれる直流成分を除去するためのハイパスフィルタ、3はハイパスフィルタ2の出力を増幅する増幅器である。
4はCPU12に入力される信号帯域を決定するハイパスフィルタ(信号生成手段の一部)、5は角速度に相当する振動センサ1の出力信号を角度相当の信号に変換する積分回路、6は積分回路5の出力信号(アナログ信号)をCPU12に取り込むためのデジタル信号に変換するAD変換器である。
7は、撮影光学系内のズームレンズ18の位置を検出するズーム位置検出回路16の出力信号(アナログ信号)をCPU12に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、8は、撮影光学系内のフォーカスレンズ19の位置を検出するフォーカス位置検出回路17の出力信号(アナログ信号)をCPU12に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
9は、撮影光学系内に配置され、光軸に直交する面内を移動することによってズームレンズの光軸を偏心させるための防振用レンズ群(光学素子)である。なお、頂角可変プリズムにおけるプリズム頂角を変更することによって、撮影光軸のズレを補正する構成(いわゆる、バイアングルプリズム)とすることもできる。
10は防振用レンズ群9を駆動するアクチュエータ(像振れ補正手段の一部)、11は防振用レンズ群9の位置(光軸直交面内における位置であって、ピッチ方向およびヨー方向の位置)を検出する位置検出器である。12は、A/D変換器6、7、8の各出力に基づいて防振用レンズ群9の駆動制御信号を生成するCPU(制御手段)である。
13は、CPU12で生成された防振用レンズ群9の駆動制御信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換するためのD/A変換器、14はアクチエータ10を駆動するための駆動回路(像振れ補正手段の一部)である。駆動回路14は、位置検出器11の出力を見ながらCPU12から入力された駆動量に応じた分だけ防振用レンズ群9を駆動することになる。15は、ズームレンズおよびフォーカスレンズの位置データや画角データを記憶するための不揮発性メモリである。
20はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影光学系によって形成された光学像を受光し、光電変換によって電気信号に変換するとともに、蓄積した電荷を出力する。この撮像素子20の出力信号は、信号処理回路21において所定の信号処理(色処理等)が施された後、カメラに設けられた表示部に撮影画像として表示されたり、記録媒体に記録されたりする。
図2は、上述したハイパスフィルタ4の構成を示し、41はコンデンサ、42は第1の抵抗、43は第2の抵抗、44は第2の抵抗43の接続を切り換えるためのアナログスイッチである。
図3および図4は、本実施例のカメラにおけるCPU12の一連の動作を示すフローチャートである。
CPU12は電源投入直後にステップ1に進み、CPU12内部における各種設定を初期化する。
ステップ2において、CPU12は、ハイパスフィルタ4を構成するアナログスイッチ44のON/OFF状態を制御するための制御入力端子に、周期Ts、デューティー比A%(予め設定した値であって、変更不可)の矩形波を出力し、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数をfAHz相当に設定する。
このときの抑振率を図5の実線で示す。ここで示した抑振率は、下記の式(1)で定義される。
抑振率(%)=(防振OFF−防振ON)÷防振OFF×100・・・(1)
ここで、防振OFF:像振れ補正を行わないときの被写体像の動き(振れ)
防振ON :像振れ補正を行ったときの被写体像の動き(振れ)
抑振率は、この値が大きいほど抑振効果が大きいことを示している。本実施例のカメラにおいて、抑振効果を得ることができる周波数帯域を図5に示すようにf1Hz〜f2Hzとすると、カットオフ周波数がfAHzに相当する特性(図5の実線で示す特性)を有するハイパスフィルタ4を構成した場合には、抑振周波数帯域f1Hz〜f2Hzの全域にわたり、抑振率N%(Nは任意の値)を達成でき、抑振周波数帯域全域おいて十分な抑振効果を得ることができる(以下、この状態を通常モードとする)。
ステップ3では、PWM_DUTY_FLAGをクリアにしてから初期値を設定し、ステップ4に進む。ここで、初期値を設定したPWM_DUTY_FLAGは、現サンプリング時にCPU12からハイパスフィルタ4に出力されている矩形波信号のデューティー比に対応したフラグである。
すなわち、CPU12からハイパスフィルタ4に出力されている矩形波信号のデューティー比がA%の場合には、PWM_DUTY_FLAGがクリアされ、矩形波信号のデューティー比がB%(予め設定した値であって、変更不可)の場合には、PWM_DUTY_FLAGがセットされる。このPWM_DUTY_FLAGの設定は、以後のステップで行なっている。
ステップ4では、DUTY切換用カウンタのcount値をクリアにする。このDUTY切換用カウンタのcount値は、カメラ(レンズ)に加わっている振動の有無を判断するにあたって、設定された時間が経過しているか否かを判断するために用いられる。
ステップ5では、振動センサ1の出力を角度に相当する電圧に変換する積分回路5の出力をAD変換し、この変換結果(data)をバッファメモリに設定する。
ステップ6では、ステップ5において設定されたdataに対する判断を行う。すなわち、dataが下記式(2)の範囲内にある場合、つまり積分回路5の出力が所定の基準値(下記式(2)の範囲に含まれる値)の近傍にあり、変化が少なく、カメラ(ズームレンズ)に加わっている振動が概ね無いと判断できる場合には、ステップ7に進み、現在の矩形波信号のデューティー比に対応したPWM_DUTY_FLAGを判別する。
Low_limit_data ≦ data ≦ High_limit_data
・・・(2)
ここで、Low_limit_data、High_limit_dataは任意の値である。
ステップ7において、PWM_DUTY_FLAGがクリアされている場合、すなわち上述した通常モードの場合には、ステップ8でDUTY切換用カウンタのcount値をインクリメントし、ステップ9に進む。また、ステップ7でPWM_DUTY_FLAGがセットされている場合は、ステップ15に進む。
ステップ9では、DUTY切換用カウンタのcount値を判断し、count値が設定値Ta以上の場合、すなわちズームレンズに一定時間、振動が加わってないと判断できる場合には、ステップ10に進み、ドリフト低減フラグをセットする。そして、ステップ11で、count値をクリアにしてからステップ15に進む。
ここで、上記のドリフト低減フラグは、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数を切り換えるためのフラグである。ズームレンズに振動が加わっていないと判断した場合には、ドリフト低減フラグがセットされ、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数を高周波側にシフトさせるようになっている。また、ズームレンズに振動が加わっていると判断した場合には、ドリフト低減フラグがクリアされ、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数を低周波側にシフトさせるようになっている。
一方、ステップ9においてDUTY切換用カウンタのcount値が設定値Ta以下の場合には、ステップ12に進み、ドリフト低減フラグをクリアにし、ステップ15に進む。
また、ステップ6において、積分回路5の出力(data)が上記の式(2)の範囲内にないと判断したときには、ズームレンズに振動が加わっている状態と判断し、ステップ13に進み、PWM_DUTY_FLAGの状態を判断する。
ステップ13において、PWM_DUTY_FLAGがセットされていると判断した場合には、ステップ14でドリフト低減フラグをクリアにして、ステップ15に進む。また、ステップ13でPWM_DUTY_FLAGがクリアされていると判断した場合には、すでに上記の通常モードに設定されているため、ステップ15に進む。
図4のステップ15では、A/D変換器7においてズーム位置検出回路の出力(ズーム位置信号)をAD変換して、この変換結果をバッファメモリ(zoom_position)に設定する。ステップ16では、A/D変換器8においてフォーカス位置検出回路の出力(フォーカス位置信号)をAD変換して、この変換結果をバッファメモリ(focus_poistion)に設定する。
ステップ17では、zoom_positionおよびfocus_positionに設定されたズーム位置およびフォーカス位置に対応する画角データωを、不揮発性メモリ15から読み出して、ステップ18に進む。
ステップ18では、ドリフト低減フラグの設定状態を判断する。ここで、ドリフト低減フラグがセットされている場合、つまりレンズに振動が概ね加わっていないと判断した場合には、ステップ19で画角データωを判断する。ここで、画角データωが所定の画角データω0(予め設定した任意の値であって、変更できない値。例えば、1.57度)よりも小さい場合、すなわち任意の位置よりも望遠側にズームレンズが位置している場合には、ステップ20に進む。
ステップ20では、ハイパスフィルタ4を構成しているアナログスイッチ44の制御入力端子に出力する矩形波信号のデューティー比をB%に設定し、ステップ21でPWM_DUTY_FLAGをセットして、ステップ24に進む。
レンズに加わっている振動が小さく、かつズームレンズを望遠側に設定して画角を小さくした場合には、上述したように振動センサ1の出力信号のS/N比が悪化するため、低周波数の振動に対しても良好な抑振効果の得ることができる通常モードでは、周波数の低いノイズ成分に基づいて防振レンズ群9が駆動されるおそれがある。すなわち、レンズに加わる振動に応じた像振れの補正が行われなくなり、撮影画像において広角側では認識できなかった撮影者の意図しない被写体像の動き(振れ)が認識されることになる。
そこで、本実施例では、上記の場合には、ハイパスフィルタ4に出力している矩形波信号のデューティー比をB%(ドリフト低減モード)に変更し、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数をfBHz相当とすることにより(この時の抑振率を図5の破線で示す)、抑振周波数帯域(f1からf2の範囲)における低周波側のノイズ成分を大幅に低減することができ、上述したような撮影者が意図していない被写体像の動きをなくすことができる。
ここで、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数がfBHzに相当する場合、抑振周波数帯域(f1Hz〜f2Hz)において抑振率N%を達成しているのは、図5の破線で示すようにfBHz〜f2Hzの範囲内だけであり、f1Hz〜fBHzの範囲では抑振率がN%を下回っており、この周波数帯域においては十分な像振れ補正効果を得ることができない。
しかし、ドリフト低減モードに移行するのはレンズに加わっている振動が概ね無いと判断した場合のみである。したがって、レンズに加わっている振動が概ね無ければ、像振れが発生することもなく、像振れが発生してない状態では、高い抑振効果は必要ない。
このため、抑振効果の低いドリフト低減モードに移行しても、撮影者はこの抑振効果の低下を認識することはなく、かつノイズ成分に基づく防振レンズ群9の駆動によって撮影者の意図しない被写体像の動き(振れ)が発生するのを防止することができる。
一方、ステップ18でドリフト低減フラグがクリアされていると判断した場合および、ステップ19で画角データωが所定の画角データω0よりも大きいと判断した場合(ズームレンズが所定位置よりも広角側に位置している場合)には、レンズに振動が加わっている状態と判断する。したがって、レンズに加えられた振動により発生する像振れを補正するために、ステップ22に進んでハイパスフィルタ4の特性を変更する。
ステップ22では、ハイパスフィルタ4におけるアナログスイッチ44の入力端子に出力する矩形波信号のデューティー比をA%に設定して、上記の通常モードに切り換える。ステップ23では、PWM_DUTY_FLAGをクリアにして、ステップ24に進む。
このようにズームレンズに振動が加わっていると判断した場合には、すぐに矩形波信号のデューティー比をB%からA%に変更し、ハイパスフィルタ4のカットオフ周波数をfBHzから低周波側のfAHzに戻すことで、レンズに加わる振動によって生じる像振れを直ちに補正し、良好な像振れ補正効果を得ることができる。
ステップ24では、ステップ5で入力された振動センサ1の出力データ(積分回路5の出力信号)および、ステップ17で得られた画角データに基づいて、防振レンズ群9を駆動制御するための制御信号を演算する。
そして、ステップ25において、ステップS24での演算結果をDA変換器13に出力し、駆動回路14を介して防振レンズ群9の駆動を制御する。ここで、カメラの電源がオフ状態となるまでは、ステップ5からステップ25までの動作が繰り返し実行される。
本実施例では、通常モードおよびドリフト低減モードの2つのモードを切り換える場合について説明したが、カットオフ周波数がそれぞれ異なる3つ以上のモードを設定した場合にも本実施例と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例2であるカメラ(光学装置)について、図6〜図8を用いて詳細に説明する。
図6は、本実施例のカメラにおける一部の構成を示す図である。同図において、101は、撮影光学系内のズームレンズ(カメラ)の振動を検出する振動センサ(振動検出手段)、102は、振動センサ1の出力信号に含まれる直流成分を除去するためのハイパスフィルタ、103は、ハイパスフィルタ102の出力を増幅する増幅器である。
104は、増幅器103の出力信号(アナログ信号)をCPU110に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、105は、ズームレンズ116の位置を検出するズーム位置検出回路114の出力信号(アナログ信号)をCPU110に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、106は、撮影光学系内のフォーカスレンズ117の位置を検出するフォーカス位置検出回路115の出力信号(アナログ信号)をCPU110に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
107は、撮影光学系内に配置され、光軸に直交する面内を移動することによりズームレンズ116の光軸を偏心させる防振用レンズ群(光学素子)、108は防振用レンズ群107を駆動するアクチュエータ(像振れ補正手段の一部)、109は防振用レンズ群107の位置(ピッチ方向およびヨー方向の位置)を検出する位置検出器である。
110は、A/D変換器104およびA/D変換器105、106の出力に基づいて、防振用レンズ群107の駆動を制御する信号を生成するCPU(制御手段)である。なお、CPU110は、上述した動作の他にカメラ全体の動作を制御する。
111は、CPU110の演算結果をアナログ信号に変換するためのD/A変換器、112はアクチュエータ108を駆動する駆動回路(像振れ補正手段の一部)である。この駆動回路111は、位置検出器109の出力を見ながら、CPU110から入力された駆動量に応じた分だけ防振用レンズ群107を駆動する。113はズームレンズおよびフォーカスレンズの位置データおよび画角データを記憶する不揮発性メモリである。
118はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影光学系によって形成された光学像を受光し、光電変換によって電気信号に変換するとともに、蓄積した電荷を出力する。この撮像素子118の出力信号は、信号処理回路119において所定の信号処理(色処理等)が施された後、カメラに設けられた表示部に撮影画像として表示されたり、記録媒体に記録されたりする。
次に、図7および図8に示すフローチャートを用いて本実施例のカメラにおける像振れ補正動作について説明する。
CPU110はカメラの電源投入直後に、ステップ101に進み、CPU110での設定を初期化する。ステップ102では、ハイパスフィルタ演算用の係数をKAに設定する。係数をKAに設定した場合には、カットオフ周波数fAHzの周波数特性をもつハイパスフィルタを構成することができ、上述した通常モードの防振特性(図5の実線で示す特性)を有することになる。
ステップ103では、PWM_DUTY_FLAGをクリアにし、ステップ104でDUTY切換用カウンタのcount値をクリアにする。
ステップ105では、A/D変換器104において、増幅器103の出力(振動センサ101の出力)をAD変換して、この変換データをCPU110に出力する。ステップ106では、ステップ105でのAD変換結果に対してハイパスフィルタ演算を行い、振動センサ101の出力から振動により生じた信号成分のみを抽出する。
ステップ107では、ハイパスフィルタ演算の結果を用いて積分演算を実行して、角度相当のデータに変換し、この変換結果をバッファメモリに設定する。ここで、本実施例では、実施例1のハイパスフィルタ4および積分回路5における動作に相当する動作を、CPU110で実行するようになっている。
ステップ108では、積分演算結果であるdataに対する判別を行う。ここで、dataが上記式(2)の範囲内にある場合、すなわち、ズームレンズに加わっている振動が概ね無いと判断した場合には、ステップ109に進む。ステップ109では、PWM_DUTY_FLAGの設定状態を判断し、PWM_DUTY_FLAGがクリアされている場合には、ステップ110でcount値をインクリメントする。
ステップ111において、count値が所定値Ta以上の場合、すなわちズームレンズに加わっている振動が一定時間以上ないと判断できる場合には、ステップ112でドリフト低減フラグをセットし、ステップ113でcount値をクリアにし、ステップ117に進む。
一方、ステップ111でcount値が所定値Ta未満の場合には、ステップ114でドリフト低減フラグをクリアし、ステップ117に進む。また、ステップ109でPWM_DUTY_FLAGがセットされていると判断した場合にもステップ117に進む。
一方、ステップ108で積分演算結果(data)が上記式(2)の範囲内でない場合には、ズームレンズに振動が加わっている状態と判断してステップ115に進む。ステップ115では、PWM_DUTY_FLAGの設定状態を判別し、PWM_DUTY_FLAGがセットされている場合には、ステップ116でドリフト低減フラグをクリアにしてステップ117に進む。また、ステップ115においてPWM_DUTY_FLAGがクリアされている場合には、ステップ117に進む。
ステップ117からステップ119においては、ズームレンズおよびフォーカスレンズの位置情報に基づいて、これらの位置に対応した画角データを揮発性メモリ113から取得する。なお、ステップ117からステップ119での動作はそれぞれ、実施例1で説明した図4のステップ15からステップ17と同じであるため、詳しい説明は省略する。
ステップ120では、ドリフト低減フラグの設定状態を判別し、フラグがセットされている場合には、ステップ121においてステップ119で取得した画角データωに対する判別を行う。
ここで、画角データωが所定の画角データω0よりも小さい場合、すなわち所定の位置よりも望遠側にズームレンズが位置している場合には、ステップ122でハイパスフィルタ係数をKBに設定して、ドリフト低減モードに切り換える。そして、ステップ123でPWM_DUTY_FLAGをセットしてからステップ126に進む。
ハイパスフィルタ係数をKBに設定した場合には、カットオフ周波数fBHzの周波数特性をもつハイパスフィルタが構成され、防振特性がドリフト低減モードになるため、実施例1で説明したように抑振周波数帯域における低周波側のノイズ成分を大幅に低減することができ、撮影者が意図していない被写体像の動き(振れ)を無くすことができる。
一方、ステップ121で画角データωが所定画角データω0よりも大きい場合、すなわち、ズームレンズが所定位置よりも広角側に位置している場合には、ステップ124に進む。また、ステップ120において、ドリフト低減フラグがクリアされている場合にも、ステップ124に進む。
ステップ124では、ハイパスフィルタ係数をKAに設定して、通常モードに切り換える。そして、ステップ125でPWM_DUTY_FLAGをクリアにしてからステップ126に進む。これにより、ズームレンズ(カメラ)に加えられた振動に応じた像振れを補正でき、像振れのない画像を得ることができる。
ステップ126以降において、CPU110は、ステップ105で取得した振動センサ101の出力およびステップ119で取得した画角データに基づいて、防振レンズ群107の駆動量を演算し、アクチュエータ108を介して防振レンズ群107を駆動させることになる。なお、ステップ126以降の動作は、実施例1で説明した図4のステップ24およびステップ25の処理と同様であるため、詳しい説明は省略する。また、カメラの電源がオフ状態となるまでは、ステップ105からステップ127までの動作が繰り返し実行される。
本発明の実施例3であるカメラ(光学装置)について、図9〜図11を用いて詳細に説明する。
図9は、本実施例のカメラにおける一部の構成を示す図である。同図において、201はカメラに加わる振動(例えば、角速度)を検出する振動センサ(振動検出手段)、202は振動センサ201の出力信号に含まれる直流成分を除去するためのハイパスフィルタ、203はハイパスフィルタ202の出力を増幅する増幅器である。
204はCPU212に入力する信号帯域を決定するハイパスフィルタ、205は角速度に相当する振動センサ201の出力信号を角度相当の信号に変換する積分回路、206は積分回路205の出力信号(アナログ信号)をCPU212に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、207は撮影光学系内のズームレンズ219の位置を検出するズーム位置検出回路217の出力信号(アナログ信号)を、CPU212に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、208は撮影光学系内のフォーカスレンズ220の位置を検出するフォーカス位置検出回路218の出力信号(アナログ信号)を、CPU212に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
209は、撮影光学系内に配置され、光軸に直交する面内を移動することによってズームレンズの光軸を偏心させる防振用レンズ群(光学素子)である。210は防振用レンズ群209を駆動するアクチュエータ(像振れ補正手段の一部)、211は防振用レンズ群209の位置(ピッチ方向およびヨー方向における位置)を検出する位置検出器である。212はA/D変換器206およびA/D変換器207、208の出力に基づいて、防振用レンズ群209の駆動量(ピッチ方向およびヨー方向の駆動量)を演算するCPU(制御手段)である。なお、このCPU208は、カメラ全体における動作も制御する。
213は、CPU212の演算結果(防振用レンズ群209の駆動情報)をアナログ信号に変換するためのD/A変換器、214はアクチエータ210を駆動するための駆動回路(像振れ補正手段の一部)である。駆動回路214は、位置検出器211の出力を見ながら、CPU208から入力された駆動量に応じた分だけ防振用レンズ群209を駆動する。215はズームレンズ219およびフォーカスレンズ220の位置データおよび画角データを記憶する不揮発性メモリである。
216は、後述するように基準画角の値を使用者操作によって設定するための基準画角設定部(画角設定手段)である。本実施例では、不揮発性メモリ215内に、基準画角設定部216で設定される基準画角の値も記憶されている。
221はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影光学系によって形成された光学像を受光し、光電変換によって電気信号に変換するとともに、蓄積した電荷を出力する。この撮像素子221の出力信号は、信号処理回路222において所定の信号処理(色処理等)が施された後、カメラに設けられた表示部に撮影画像として表示されたり、記録媒体に記録されたりする。
次に、図10および図11に示すフローチャートを用いて、本実施例のカメラにおける像振れ補正動作について説明する。
CPU212はカメラの電源投入直後に、ステップ201に進み、CPU212内での設定を初期化する。
ステップ202において、CPU212は、ハイパスフィルタ204を構成するアナログスイッチのオン/オフ状態を制御するための制御入力端子(図2参照)に、周期Ts、デューティー比A%(予め設定した値であって変更できない値。B%も変更不可)の矩形波信号を出力し、ハイパスフィルタ204のカットオフ周波数をfAHzに相当する値に設定する。
次にステップ203で、PWM_DUTY_FLAGをクリアにして、初期値を設定し、ステップ204に進む。ステップ204では、DUTY切換用カウンタのcount値をクリアにする。ステップ205では、基準画角設定部216での設定状態を読み込み、この設定状態に応じた基準画角の値を不揮発性メモリ215から読み出して、基準画角ω0として設定する。
ステップ206からステップ226までの各動作は、実施例1で説明した図3および図4におけるステップ5からステップ25までの各動作と同じであるため、詳しい説明は省略する。ステップ226の動作が終了した後は、カメラの電源がオフ状態となるまでステップ205からステップ226までの動作が繰り返し実行される。
ここで、実施例1では、画角データの望遠側および広角側の判断基準(図4のステップ19)として一定の値を用いていたが、本実施例では、画角データの判断基準を変更することが可能となっており、変更された基準画角データに基づいてカメラの画角データが望遠側にあるか、広角側にあるかを判断している。
本実施例のように、ドリフト低減モードへの移行を判断する際における基準画角ω0を変更可能とすることにより、カメラの使用環境に応じた最適な抑振性能(ドリフト低減モードおよび通常モードのうち一方)を選択することができるとともに、被写体像の振れ量(ドリフト量)を適宜変更することができる。
本発明の実施例4であるカメラ(光学装置)について、図12〜図14を用いて詳細に説明する。
図12は、本実施例のカメラにおける一部の構成を示す図である。同図において、301はズームレンズ(カメラ)の振動を検出する振動センサ(振動検出手段)、302は振動センサ301の出力信号に含まれる直流成分を除去するためのハイパスフィルタ、303はハイパスフィルタ302の出力を増幅する増幅器である。
304はCPU312に入力する信号帯域を決定するハイパスフィルタ、305は角速度に相当する振動センサ301の信号を角度相当の信号に変換する積分回路、306は積分回路305の出力信号をCPU312に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
307は撮影光学系内のズームレンズ319の位置を検出するズーム位置検出回路317の出力信号をCPU312に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、308は撮影光学系内のフォーカスレンズ320の位置を検出するフォーカス位置検出回路の出力信号をCPU312に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
309は、撮影光学系内に配置され、光軸に直交する面内を移動することによってズームレンズの光軸を偏心させる防振用レンズ群(光学素子)である。310は防振用レンズ群309を駆動するアクチュエータ(像振れ補正手段の一部)、311は防振用レンズ群309の位置(ピッチ方向およびヨー方向の位置)を検出する位置検出器である。
312は、A/D変換器306およびA/D変換器307、308の出力に基づいて防振用レンズ群309の駆動量を演算するCPU(制御手段)である。なお、CPU312はカメラ全体の動作を制御する。
313はCPU312の演算結果(防振用レンズ群309の駆動量に関する信号)をアナログ信号に変換するためのD/A変換器、314はアクチエータ310を駆動するための駆動回路(像振れ補正手段の一部)である。駆動回路314は、位置検出器311の出力を見ながらCPU312から入力された駆動量に応じた分だけ防振レンズ群309を駆動する。
315はズームレンズ319およびフォーカスレンズ320の位置データや画角データを記憶する不揮発性メモリである。316は、後述するドリフト低減モードにおいて、ハイパスフィルタ304に出力する矩形波信号のデューティー比を設定するためのディーティー比設定部(カットオフ設定手段)である。不揮発性メモリ315内には、デューティー比設定部316で設定されるデューティー比の値が記憶されている。
321はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影光学系によって形成された光学像を受光し、光電変換によって電気信号に変換するとともに、蓄積した電荷を出力する。この撮像素子321の出力信号は、信号処理回路322において所定の信号処理(色処理等)が施された後、カメラに設けられた表示部に撮影画像として表示されたり、記録媒体に記録されたりする。
次に、図13および図14に示すフローチャートを用いて、本実施例のカメラにおける像振れ補正動作について説明する。
CPU312は、カメラの電源投入直後に、ステップ301に進み、CPU312内の設定を初期化する。ステップ302において、CPU312は、ハイパスフィルタ304を構成するアナログスイッチのオン/オフ状態を制御するための制御入力端子(図2参照)に、周期Ts、デューティー比A%(予め設定された値であって、変更できない値)の矩形波信号を出力し、ハイパスフィルタ304のカットオフ周波数をfAHzに相当する値に設定する。
次にステップ303でPWM_DUTY_FLAGをクリアにして、初期値を設定し、ステップ304に進む。ステップ304では、DUTY切換用カウンタのcount値をクリアにする。ステップ305では、デューティー比設定部316での設定状態を読み込み、この設定状態に応じたデューティー比を不揮発性メモリ315から読み出す。本実施例では、不揮発性メモリ315から読み出されたデューティー比をB%とする。そして、デューティー比がB%に設定されることで、ドリフト低減モードに移行する。
ステップ306からステップ326までの各動作は、実施例1で説明した図3および図4のステップ5からステップ25までの各動作と同じであるため、詳細な説明を省略する。なお、本実施例では、カメラにおける画角データが望遠側か広角側かを判断する際の基準となる画角を、予め設定した値であって、変更できない値である基準画角ω0としている。また、ステップ326での動作が終了した後は、カメラの電源がオフ状態となるまでステップ305からステップ326までの動作が繰り返し実行される。
本実施例では、デューティー比設定部316の操作によって、ドリフト低減モードにおけるハイパスフィルタ304のカットオフ周波数を変更することができるため、カメラの使用環境に応じた最適な抑振性能(通常モードおよびカットオフ周波数の異なる複数のドリフト低減モードのうち1つ)を選択することができるとともに、被写体像の振れ量を適宜変更することが可能となる。
なお、デューティー比設定部316の代わりに、振動センサ301のノイズレベルを測定する測定回路を設け、無加振時(カメラに加わる振動が概ね無いとき)の振動センサ301のノイズレベルに応じて各モードにおけるハイパスフィルタ304のカットオフ周波数を設定することも可能である。また、実施例3で説明した基準画角設定部を設ければ、ドリフト低減モードに移行させる際の判断基準となる基準画角の値も任意に変更することができる。
本発明の実施例5であるカメラ(光学装置)について、図15〜図17を用いて詳細に説明する。
図15は、本実施例のカメラにおける一部の構成を示す図である。同図において、401はズームレンズ(カメラ)の振動を検出する振動センサ(振動検出手段)、402は振動センサ401の出力信号に含まれる直流成分を除去するためのハイパスフィルタ、403はハイパスフィルタ402の出力を増幅する増幅器である。
404はCPU412に入力する信号帯域を決定するハイパスフィルタ、405は角速度に相当する振動センサ401の信号を角度相当の信号に変換する積分回路、406は積分回路405の出力信号をCPU412に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。
407はズームレンズ419の位置を検出するズーム位置検出回路417の出力信号をCPU412に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器、408はフォーカスレンズ420の位置を検出するフォーカス位置検出回路418の出力信号をCPU412に取り込むためのデジタル信号に変換するA/D変換器である。409は、撮影光学系内に配置され、光軸に直交する面内を移動することによってズームレンズ419の光軸を偏心させるための防振用レンズ群(光学素子)である。410は防振用レンズ群409を駆動するアクチュエータ(像振れ補正手段の一部)、411は防振用レンズ群409の位置を検出する位置検出器である。
412は、A/D変換器406およびA/D変換器407、408の出力に基づいて、防振用レンズ群409の駆動量を演算するCPU(制御手段)である。このCPU412は、カメラ全体の制御を行う。413は、CPU412の演算結果(防振用レンズ群409の駆動量に関する信号)をアナログ信号に変換するためのD/A変換器、414はアクチエータ410を駆動するための駆動回路(像振れ補正手段の一部)である。この駆動回路414は、位置検出器411の出力を見ながら、CPU412から入力された駆動量に応じた分だけ防振用レンズ群409を駆動させる。
415はズームレンズ419およびフォーカスレンズ420の位置データおよび、画角データを記憶するための不揮発性メモリである。416は積分回路405の出力信号における周波数を検出する周波数検出部であり、この検出結果をCPU412に出力する。
421はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影光学系によって形成された光学像を受光し、光電変換によって電気信号に変換するとともに、蓄積した電荷を出力する。この撮像素子421の出力信号は、信号処理回路422において所定の信号処理(色処理等)が施された後、カメラに設けられた表示部に撮影画像として表示されたり、記録媒体に記録されたりする。
次に、図16および図17に示すフローチャートを用いて、本実施例のカメラにおける像振れ補正動作について説明する。ここで、ステップ401からステップ405までの各動作は、実施例1で説明した図3のステップ1からステップ5までの各動作と同じであるため、説明を省略する。
ステップ406では、周波数検出部416からの入力を受けて、積分回路405の出力信号(振動センサ401の出力信号)における周波数を取得する。
ステップ407では、ステップ405において取得したデータに対する判別を行う。具体的には、このデータが上記式(2)の範囲内にある場合には、ステップ408に進んで、積分回路405の出力信号における周波数に対する判別を行う。具体的には、積分回路405の出力信号周波数が、基準周波数(予め設定した周波数であって、変更できないもの)よりも低周波の場合には、振動センサ401のノイズ成分が含まれていると判断して、ステップ409に進む。
以下、ステップ409からステップ414までの各動作は、実施例1で説明した図3のステップ7からステップ12までの各動作と同じであるため、説明を省略する。
一方、ステップ407において、上記dataが式(2)の範囲外であると判断した場合や、ステップ408で積分回路405の出力信号周波数が基準周波数よりも高周波の場合には、ステップ415に進む。ここで、ステップ408において、積分回路405の出力信号周波数が基準周波数よりも高周波の場合には、この信号がズームレンズに加わった振動による信号成分と判断している。
以下、ステップ415からステップ427までの各動作は、実施例1で説明した図3および図4のステップ13からステップ25までの各動作と同じであるため説明を省略する。
本実施例では、基準周波数を固定したものであるが、基準周波数を設定するための設定部(周波数設定手段)を、この設定部での操作によって基準周波数の値を変更するようにしてもよい。これにより、カメラの使用環境に応じて基準周波数を適宜変更可能となる。
なお、上述した実施例1〜5におけるカメラでは、防振用レンズ群を光軸に直交する面内で移動させることによって像振れを補正する構成としていたが、防振用レンズ群を用いずに撮像素子から出力された信号に対して所定の処理を行うことで、像振れを補正するようにしてもよい。
また、上述した各実施例では、カメラについて説明したものであるが、カメラ本体に着脱可能に装着されるレンズ装置(光学装置)についても本発明を適用することができる。
本発明の実施例1であるカメラの一部の構成を示す図である。
実施例1におけるハイパスフィルタの構成図である。
実施例1における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
実施例1における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
ハイパスフィルタの周波数特性を示す図である。
本発明の実施例2であるカメラの一部の構成を示す図である。
実施例2における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
実施例2における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例3であるカメラの一部の構成を示す図である。
実施例3における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
実施例3における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例4であるカメラの一部の構成を示す図である。
実施得例4における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
実施例4における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施例5であるカメラの一部の構成を示す図である。
実施例5における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
実施例5における像振れ補正の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1、101、201、301、401:振動センサ
2、102、202、302、402:ハイパスフィルタ
3、103、203、303、403:増幅器
4、204、304、404:ハイパスフィルタ
5、205、305、405:積分回路
6〜8:A/D変換器
9、107、209、309、409:防振レンズ群
10、108、210、310、410:アクチュエータ
11、109、211、311、411:位置検出器
12、110、212、312、412:CPU
13、111、213、313、413:D/A変換器
14、112、214、314、414:駆動回路
15、113、215、315、415:不揮発性メモリ
41:コンデンサ
42:抵抗
43:抵抗
44:アナログスイッチ
104〜106:A/D変換器
206〜208:A/D変換器
216:基準画角設定部
306〜308:A/D変換器
316:デューティー比設定部
406〜408:A/D変換器
416:周波数検出部