JP2005170981A - プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法 - Google Patents

プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005170981A
JP2005170981A JP2003408917A JP2003408917A JP2005170981A JP 2005170981 A JP2005170981 A JP 2005170981A JP 2003408917 A JP2003408917 A JP 2003408917A JP 2003408917 A JP2003408917 A JP 2003408917A JP 2005170981 A JP2005170981 A JP 2005170981A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
plastic molded
mass
parts
top coat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003408917A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruichi Yamamoto
晴一 山本
Toshiaki Okazaki
俊明 岡▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Kasei Co Ltd
Original Assignee
Fujikura Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Kasei Co Ltd filed Critical Fujikura Kasei Co Ltd
Priority to JP2003408917A priority Critical patent/JP2005170981A/ja
Publication of JP2005170981A publication Critical patent/JP2005170981A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】 特殊な設備を使用したり溶剤で希釈したりしなくてもプラスチック成形品表面にスプレー塗装が可能である上に、塗料回収性および外観に優れ、しかも付着性、リコート性、強靱性、耐傷付き性が高いトップコートを形成できるプラスチック成形品用トップコート塗料組成物を提供する。
【解決手段】 本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に塗装されるプラスチック成形品用トップコート塗料組成物であって、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマー1〜50質量部と、25℃における粘度が300mPa・s以下の2官能の(メタ)アクリレートモノマー50〜99質量部と、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマー1〜30質量部とを含有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に塗装されるトップコート塗料組成物であって、溶剤を含まず、紫外線などの活性エネルギー線によって硬化が可能なものに関する。さらには、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面にトップコートを形成する方法に関する。
自動車の内装部品または外装部品には数多くのプラスチック成形品が使用されており、そのプラスチック成形品の表面には、意匠性を高めるとともに、該プラスチック成形品の保護を目的としてトップコートが形成される。
そのトップコートを形成するための塗料としては、溶剤が蒸発除去されて塗膜を形成する1液系の塗料や、アクリルポリオールやポリエステルポリオールなどの主剤とイソシアネート化合物などの硬化剤とを含む2液混合系の塗料などが一般的に使用される(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、1液系塗料は耐溶剤性、耐熱性などの塗膜特性に劣るという問題を有し、2液混合系塗料はポットライフに制限があり、塗膜形成に長時間を要するので生産性が低いという問題を有していた。さらに1液系塗料及び2液混合系塗料共に耐傷付き性が低いという問題を有していた。
これら1液系塗料や2液混合系塗料の問題点を解決するために、紫外線硬化型塗料を用いてトップコートを形成する方法が提案されている。
従来、紫外線硬化型塗料は、モノマー、オリゴマーおよび光重合開始剤を含有して構成されていた(例えば、特許文献2参照)。ここで、モノマーは、反応性希釈剤として用いられる単官能モノマーや架橋成分として用いられる2官能以上の多官能モノマーである。オリゴマーは該塗料の最も主となる要素であり、付着性等の重要な物性を付与するものである。
この紫外線硬化型塗料は、架橋密度が高いことから硬度に優れている反面、リコート性が低かった。また、硬化時の収縮力が強いことから付着性が低い傾向にある上に、トップコートの強靱性が不足することがあった。そこで、付着性、リコート性、強靱性を改善するために、ポリマーを添加していた。
特開2000−7946号公報 特開2000−281935号公報
ところが、上記紫外線硬化型塗料にポリマーを添加した場合には、その塗料の粘度が高くなった。高粘度の塗料を、細かく霧化するスプレー塗装で塗装するのは難しいが、作業性の点からはスプレー塗装が望ましい。高粘度の塗料にスプレー塗装適性を持たせるためには、例えば、塗装工程全体を加温して塗料の粘度を低下させるホットスプレーのような塗工設備を用いる必要があるが、この方法は特殊な方法であった。しかも、ホットスプレー法等の塗装方法では、十分満足な外観を得ることが困難である上に、耐熱温度の低いプラスチック成形品には塗装できないという欠点があった。
このことから、高粘度の塗料にスプレー塗装適性を持たせるためには、溶剤を添加してスプレー塗装可能な程度の粘度に調整するのが一般的であった。しかし、溶剤を添加した場合には、紫外線を照射する前に溶剤除去のためのプレヒート工程が必要となり、トップコートを形成するのに時間を要する上に、大気中に排出される溶剤が環境面で問題になった。さらには、溶剤が成形品の外観を損なわせることがあった。
また、ポリマーやオリゴマーを含む塗料をスプレー塗装する場合には、プラスチック成形品に付着しなかった余分な塗料ミストを回収して再利用することが困難であり、塗装に要する塗料コストが高くなった。
本発明は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品に上塗りするトップコート塗料の上記問題点を解決するためになされたものであり、具体的には、特殊な設備を使用したり溶剤で希釈したりしなくてもプラスチック成形品表面にスプレー塗装が可能である上に、塗料回収性および外観に優れ、しかも付着性、リコート性、強靱性、耐傷付き性が高いトップコートを形成できるプラスチック成形品用トップコート塗料組成物を提供することを目的とする。また、プラスチック成形品表面に、付着性、リコート性、強靱性、耐傷付き性に優れたトップコートを簡便にかつ短時間に形成できるトップコート形成方法を提供することを目的とする。
本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に塗装されるプラスチック成形品用トップコート塗料組成物であって、
単官能の環式(メタ)アクリレートモノマー1〜50質量部と、25℃における粘度が300mPa・s以下の2官能の(メタ)アクリレートモノマー50〜99質量部と、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマー1〜30質量部とを含有することを特徴とする。
本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物は、光重合開始剤を1〜30質量部含有することができる。
本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物は、軟質成分を0.5〜20質量部含有することができる。
本願請求項4のトップコート形成方法は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に、上記プラスチック成形品用トップコート塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度20〜5000mJ/cmの紫外線を照射することを特徴とする。
本願請求項5のトップコート形成方法は、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面にバインダ層を形成し、
該バインダ層上に、上記プラスチック成形品用トップコート塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度20〜5000mJ/cmの紫外線を照射することを特徴とする。
本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物は粘度が低いので、特別な塗工設備を用いなくてもあるいは溶剤で希釈しなくてもスプレー塗装でき、しかも、その塗装によって形成されるトップコートの外観は優れている。また、プレヒート工程を省略でき、トップコート形成時間を短縮できる上に、溶剤の排出を抑制できる。また、プラスチック成形品表面に付着しなかった余分な塗料ミストを回収して再利用しやすいので、塗装に要する塗料コストが安価である。さらに、トップコートの付着性、リコート性、強靱性、耐傷付き性が高い。
本発明のトップコート形成方法によれば、自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品表面に、付着性、リコート性、強靱性、耐傷付き性に優れたトップコートを簡便にかつ短時間に形成できる。
本発明のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物(以下、塗料組成物と略す)は、プラスチック成形品の表面に塗装されるものであって、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(以下、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと略す)と、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマーとを含有するものである。なお、この塗料組成物が塗装されるプラスチック成形品は、自動車の内装部品あるいは外装部品になるものである。
ここで、自動車の内装部品としては、ドアトリム、センターパネル、メータークラスター、グローブボックス、ピラーなどが挙げられ、外装部品としては、バンパー、サイドモール、ホイールキャップなどが挙げられる。
塗料組成物を構成する単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーとしては特に限定されず、複素環構造、脂環構造、芳香族構造等を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、1,4ジオキソラン(メタ)アクリレート類等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
2官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
2官能の(メタ)アクリレートモノマーの25℃における粘度は、最終的な塗料組成物をスプレー塗装可能な粘度にできることから、300mPa・s以下である。2官能の(メタ)アクリレートモノマーの25℃における粘度が300mPa・sを超える場合には、塗料組成物をスプレー塗装するのが困難になる。
なお、25℃における粘度は、通常、B型粘度計などを用いて測定することができる。
3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし2種以上混合して用いてもよい。
3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、市販品であるユニディックV−4205(大日本インキ化学工業製)、ユニディックV−4260(大日本インキ化学工業製)、ユニディック15−829(大日本インキ化学工業製)が挙げられる。
塗料組成物における各構成成分の比率は、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーが1〜50質量部、2官能の(メタ)アクリレートモノマー50〜99質量部、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーまたはオリゴマーが1〜30質量部である。なお、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーと2官能の(メタ)アクリレートモノマーとの合計は100質量部である。
単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーが1質量部未満である(2官能の(メタ)アクリレートモノマーが99質量部を超える)とリコート性が低下し、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーが50質量部を超える(2官能の(メタ)アクリレートモノマーが50質量部未満である)と耐溶剤性が低下する。また、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよびオリゴマーが1質量部未満であるとトップコートの強靭性が低下し、30質量部を超えるとリコート性が低下する。
上記塗料組成物は、紫外線、電子線、ガンマ線等の活性エネルギー線の照射により重合し、硬化する。
塗料組成物を紫外線で硬化する場合には、塗料組成物に光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、一般に市販されているイルガキュア184(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア149(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア651(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア907(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア754(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア819(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア500(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア1000(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア1800(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、イルガキュア754(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)、ルシリンTPO(BASF製)、カヤキュアDETX−S(日本化薬製)、カヤキュアEPA(日本化薬製)、カヤキュアDMBI(日本化薬製)等が挙げられる。本発明においては、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
また、光重合開始剤を含有させる際には、光増感剤や光促進剤をさらに添加すれば硬化性がさらに高くなる。
塗料組成物中の光重合開始剤含有量が1質量部未満であると、紫外線照射によって十分な硬度のトップコートを得ることができず、30質量部を超えると硬化性の低下は見られないものの必要以上に用いているから経済的に不利になる。
なお、電子線、ガンマ線等で塗料組成物を硬化させる場合には、上記光重合開始剤や光増感剤または光促進剤等を含有させなくてもよい。
上述した塗料組成物は、トップコートの耐衝撃性を向上させる目的で軟質成分を0.5〜20質量部含有させることができる。ここで、軟質成分は、硬化したトップコートを軟らかくする成分であり、例えば、上記塗料組成物の各成分と共重合する成分であるウレタンアクリレートやエポキシアクリレートが挙げられる。また、共重合しないが軟化させる成分であるエポキシ化大豆油やジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤が挙げられる。これら軟質成分は単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
軟質成分の含有量は0.5質量部未満であると、軟質成分を含有することによる効果が十分に発揮されない傾向にあり、20質量部を超えると、塗料組成物から形成されるトップコートの物性を低下させるおそれがある。
塗料組成物は、レベリング性向上のために表面調整剤を含んでもよい。表面調整剤としては、例えば、フッ素系のメガファックF−177(大日本インキ化学工業製)、メガファックF−470(大日本インキ化学工業製)、シリコーン系のグラノール410(共栄社化学製)、グラノール440(共栄社化学製)、BYK−322(ビックケミー製)、BYK−331(ビックケミー製)、BYK−333(ビックケミー製)、KP−301(信越化学工業製)、KP−341(信越化学工業製)、アクリル系のポリフローNo.75(共栄社化学製)、ポリフローNo.90(共栄社化学製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上の組合せで用いてもよい。
さらに、塗料組成物には、必要に応じて、艶消し剤、防錆剤、帯電防止剤、抗菌剤など添加ができる。特に、プラスチック成形品や着色バインダ層に耐候性を付与させる目的で紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光吸収剤、酸化防止剤などの耐候剤を添加させてもよい。
この塗料組成物は、溶剤を含まずに優れた外観を有するトップコートを得ることができるが、塗工設備の都合上、粘度を更に低下させたり、トップコートの表面を更に良化させたりする目的で若干量の溶剤を添加してもよい。溶剤としては該塗料組成物と相溶性を有し、かつ短時間に除去可能なものが添加され、例えば、ケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、エステル系の酢酸エチル、酢酸ブチル、炭化水素系のヘキサン、トルエン、キシレンなどが添加される。
以上説明した塗料組成物は、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマーとを特定の比率で含有するので、粘度が低く、特別な塗工設備を用いなくてもあるいは溶剤で希釈しなくても、優れた外観になるようにプラスチック成形品表面にスプレー塗装できる。また、溶剤で希釈しなくてよいので、溶剤を除去するためのプレヒート工程を省略でき、トップコート形成時間を短縮できる上に、大気中への溶剤の排出を抑制できる。また、ポリマーを含まないから、プラスチック成形品表面に付着しなかった余分な塗料ミストを回収して再利用しやすく、塗装に要する塗料コストが安価である。さらに、ポリマーを含んでいないにもかかわらず、トップコートの付着性、リコート性、強靱性が高い。しかも、2官能の(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマーによって架橋するから、トップコートの耐傷付き性が高い。
上記塗料組成物は、プラスチック成形品に塗装されてトップコートを形成する。トップコートの形成方法としては、作業性の点から、スプレー塗装により塗装する方法を採用するのがよい。スプレー塗装によりトップコートを形成する場合には、プラスチック成形品表面に塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度が20〜5000mJ/cmの紫外線を照射してトップコートを形成する方法を採用する。
このようなトップコート形成方法であれば、プラスチック成形品表面に、優れた外観のトップコートを形成できる。なお、膜厚が5μm未満の場合には、トップコートの機能を十分に発揮せず、100μmを超える場合には、必要以上に塗装しているので経済的に不利である。また、静置時間が0.5分未満であると、トップコートの外観を悪くすることがあり、5分を超えるとトップコート形成時間短縮の効果が薄れる。また、紫外線の強度が20mJ/cm未満であると硬化性が不足し、5000mJ/cmを超えると、必要以上の強度の紫外線を照射するので成形品が変形したり、塗膜が劣化したりする。
プラスチック成形品の意匠性のバリエーションを広げる目的で、あるいはトップコートの性能をさらに高める目的で、プラスチック成形品に無色透明または着色されたバインダ層を形成する場合がある。バインダ層を形成した際には、バインダ層上に塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度が20〜5000mJ/cmの紫外線を照射してトップコートを形成する。バインダ層は、一般的な1液系塗料や2液混合系塗料を塗装することで形成できるが、工程時間の短縮を考慮した場合には1液系塗料を塗装することが好ましい。なお、上記トップコート形成方法では、塗料組成物を塗装した後の静置時間を10分以内としているので、1液系塗料を塗装してバインダ層を設けた場合でも耐溶剤性が低下しにくい。
なお、上記塗料組成物は、刷毛、ローラー、カーテンコート、フローコート、浸漬塗りなど公知の塗装方法で塗装することも可能である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(実施例1)
環式アクリレートモノマーとしてアクリロイルモルホリン(商品名ACMO、興人社製)25質量部、2官能アクリレートモノマーとしてネオペンチルグリコールジアクリレート(商品名カヤラッドNPGDA、日本化薬社製)40質量部、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート(商品名IRR−214、ダイセル・ユーシービー社製)35質量部、3官能以上のアクリレートモノマーとしてペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名アロニックスM−450、東亞合成社製)10質量部、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティ・ケミカルズ製)5質量部を混合後、撹拌して塗料組成物を得た。
次いで、ABS樹脂製成形品であるセンターパネル表面に、スプレーガン(アネスト岩田(株)製W−100)を用い、上記塗料組成物を塗工膜厚が15μmになるようにスプレー塗装した。そして、1分間静置し、高圧水銀灯により強度1000mJ/cmの紫外線を照射し、硬化させてトップコートを形成した。
(比較例1)
ネオペンチルグリコールジアクリレート50質量部、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート50質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10質量部、イルガキュア184 5質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、トップコートを形成した。
(比較例2)
環式アクリレートモノマーの代わりに環式構造を有しない2−ヒドロキシプロピルアクリレート(商品名ライトエステルHOP−A、共栄社化学社製)25質量部、ネオペンチルグリコールジアクリレート40質量部、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート35質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10質量部、イルガキュア184 5質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、トップコートを形成した。
(比較例3)
アクリロイルモルホリン25質量部、エピクロルヒドリン(ECH)変性1,6ヘキサンジオールジアクリレート(商品名カヤラッドR−167、日本化薬社製、粘度600mPa・s)40質量部、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート35質量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10質量部、イルガキュア184 5質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、トップコートを形成した。
(比較例4)
アクリロイルモルホリン25質量部、ネオペンチルグリコールジアクリレート40質量部、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート35質量部、イルガキュア184 5質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、トップコートを形成した。
(実施例2)
実施例1の塗料組成物にウレタンアクリレート(商品名ユニディックV−4263、大日本インキ化学工業社製)5質量部を混合したこと以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、トップコートを形成した。
(実施例3)
フロントパネル表面に、1液のアクリルラッカー(商品名レクラック72クリヤー、藤倉化成社製)150質量部及びシンナーA(商品名レクラック5973、藤倉化成社製)250質量部の混合物を塗装した。次いで、その混合物の塗装によって形成された塗膜を、赤外線乾燥機により80℃で2分間乾燥して無色透明のバインダ層を形成した。
次いで、そのフロントパネルのバインダ層上に、実施例2の塗料組成物を塗工膜厚が15μmになるようにスプレー塗装した後、1分間静置し、高圧水銀灯により強度1000mJ/cmの紫外線を照射して硬化させてトップコートを形成した。
(比較例5)
フロントパネル表面に、1液のアクリルラッカー(商品名レクラック72、藤倉化成社製)150質量部及びシンナーA(商品名レクラック5973、藤倉化成社製)250質量部の混合物をスプレー塗装した。次いで、その混合物の塗装によって形成された塗膜を赤外線乾燥機により80℃で2分間乾燥して、無色透明のバインダ層を形成した。その後、バインダ層上にはトップコートを形成しなかった。
(比較例6)
フロントパネル表面に、2液のウレタン系塗料主剤(商品名ET5406A、藤倉化成社製)100質量部、硬化剤(商品名ET5406B、藤倉化成社製)7質量部及びシンナーB(商品名EXP1362C−N、藤倉化成社製)40質量部の混合物をスプレー塗装した。次いで、その混合物の塗装によって形成された塗膜を赤外線乾燥機により80℃で30分間乾燥してトップコートを形成した。
実施例1〜3、比較例1〜6について以下のように評価した。その結果を表1(実施例)、表2(比較例1〜4)、表3(比較例5,6)に示す。ただし、トップコートの外観が良くなかったものは、硬化性、リコート性、耐折り曲げ性、耐衝撃性、耐傷付き性を評価しなかった。
(評価方法)
スプレー作業性:フロントパネル表面にスプレー塗装した際の霧化状態を目視評価した。
○:霧化状態良好。
×:霧化状態不良。
トップコート外観:硬化塗膜を目視評価した。
○:トップコート外観良好。
×:トップコート外観不良。
硬化性:硬化塗膜の指触乾燥性で評価した。
○:完全に硬化した。
△:ややタック有り。
×:未硬化。
−:未評価。
リコート性:塗料組成物を塗装し硬化させたトップコート表面に再度塗料組成物を塗装・硬化して塗膜間の付着性を評価した。
○:粘着テープを用いた碁盤目剥離試験にて剥離せず。
×:粘着テープを用いた碁盤目剥離試験にて剥離した。
−:未評価。
耐折り曲げ性:塗装された基材を90°折り曲げた時のトップコートの表面状態を目視評価した。
○:トップコート面にクラック発生せず。
×:トップコート面にクラック発生した。
−:未評価。
耐衝撃性:デュポン式衝撃試験機を用いてトップコートにおもりを衝突させ、そのトップコート面を目視評価した。
○:500g荷重を50cmの高さより落下させた際にトップコート割れず。
△:300g荷重を200cmの高さより落下させた際にはトップコート異常はないが、500g荷重を50cmの高さより落下させた際にはトップコート割れ発生した(用いる用途により支障のない範囲)。
−:未評価。
傷つき性:トップコート表面を000番のスチールウールを用いて1kg/9cmの圧力下で5往復擦った。そして、擦った箇所の傷つき性を目視にて判定した。
○:ほとんど傷が目立たない
△:若干傷付き跡が見られる
×:著しい傷付き跡あり
−:未評価
Figure 2005170981
Figure 2005170981
Figure 2005170981
実施例1〜3の塗料組成物は、本願請求項1に係る発明の範囲を満たしていたので、スプレー塗装の作業性が優れ、得られたトップコートの外観が良好であった。また、トップコートの硬化性、リコート性、折り曲げ性、衝撃性、耐傷付き性に優れていた。しかも、この塗料組成物は、溶剤を含まないから、トップコート形成時間が短く、溶剤排出量を少なくできた。
一方、比較例1の塗料組成物は、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーを含有していなかったので、リコート性が低かった。
比較例2の塗料組成物は、単官能の環式(メタ)アクリレートモノマーの代わりに環式でない(メタ)アクリレートモノマーを含んでいたので、外観が良くなかった。
比較例3の塗料組成物は、25℃における粘度が300mPa・sを超える2官能の(メタ)アクリレートモノマーを40質量部含み、25℃における粘度が300mPa・s以下の2官能の(メタ)アクリレートモノマーの含有量が50質量部未満であったので、粘度が高く、吐出が不足して満足にスプレー塗装できなかった。そして、得られたトップコートは不均質であった。
比較例4の塗料組成物は、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーまたは3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマーを含んでいなかったので、トップコートの耐折り曲げ性、強靱性、耐傷付き性が低かった。
比較例5の塗料組成物は1液型アクリル塗料であり、比較例6の塗料組成物は2液型ウレタン系塗料であったので、いずれもトップコートの傷付き性が低かった。
本発明の塗料組成物は、スプレー塗装によりプラスチック成形品表面にトップコートを形成するのに好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に塗装されるプラスチック成形品用トップコート塗料組成物であって、
    単官能の環式(メタ)アクリレートモノマー1〜50質量部と、25℃における粘度が300mPa・s以下の2官能の(メタ)アクリレートモノマー50〜99質量部と、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーおよび/または3官能以上の(メタ)アクリレートオリゴマー1〜30質量部とを含有することを特徴とするプラスチック成形品用トップコート塗料組成物。
  2. 光重合開始剤を1〜30質量部含有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物。
  3. 軟質成分を0.5〜20質量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物。
  4. 自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面に、請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度20〜5000mJ/cmの紫外線を照射することを特徴とするトップコート形成方法。
  5. 自動車の内装・外装部品となるプラスチック成形品の表面にバインダ層を形成し、
    該バインダ層上に、請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック成形品用トップコート塗料組成物をスプレー塗装して膜厚3〜100μmの未硬化塗膜を形成した後、0.5〜10分間静置し、強度20〜5000mJ/cmの紫外線を照射することを特徴とするトップコート形成方法。


JP2003408917A 2003-12-08 2003-12-08 プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法 Pending JP2005170981A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003408917A JP2005170981A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003408917A JP2005170981A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005170981A true JP2005170981A (ja) 2005-06-30

Family

ID=34730466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003408917A Pending JP2005170981A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005170981A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015218244A (ja) * 2014-05-16 2015-12-07 三菱レイヨン株式会社 床材被覆用活性エネルギー線硬化性組成物及び積層体
WO2018070488A1 (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 デンカ株式会社 組成物
CN115074018A (zh) * 2021-12-31 2022-09-20 荣耀终端有限公司 面漆组合物、复合材料、电子设备中框、电子设备壳体和电子设备

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015218244A (ja) * 2014-05-16 2015-12-07 三菱レイヨン株式会社 床材被覆用活性エネルギー線硬化性組成物及び積層体
WO2018070488A1 (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 デンカ株式会社 組成物
CN109689700A (zh) * 2016-10-14 2019-04-26 电化株式会社 组合物
KR20190069389A (ko) * 2016-10-14 2019-06-19 덴카 주식회사 조성물
JPWO2018070488A1 (ja) * 2016-10-14 2019-07-25 デンカ株式会社 組成物
JP2021008621A (ja) * 2016-10-14 2021-01-28 デンカ株式会社 組成物
CN109689700B (zh) * 2016-10-14 2022-04-05 电化株式会社 组合物
JP7057403B2 (ja) 2016-10-14 2022-04-19 デンカ株式会社 組成物
KR102475431B1 (ko) * 2016-10-14 2022-12-08 덴카 주식회사 조성물
CN115074018A (zh) * 2021-12-31 2022-09-20 荣耀终端有限公司 面漆组合物、复合材料、电子设备中框、电子设备壳体和电子设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5333443B2 (ja) プラスチック基材用塗料組成物、それより形成された塗膜、および形成体
TWI434902B (zh) 金屬薄膜用塗料組成物以及以此形成之亮光性複合塗膜
US9567676B2 (en) Hard coating composition for metal substrate
JP2006328364A (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、それを用いた物品及び成形体
JP4581376B2 (ja) ハードコートフィルムの作成方法
WO2006115085A1 (ja) 活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、それを用いた物品及び成形体
KR101497350B1 (ko) 베이스 코트 도료 조성물 및 복합 도막과 그 제조 방법
JP6565590B2 (ja) 硬化性組成物及び塗装物品
JP2012017404A (ja) 光硬化型樹脂組成物及びそれを用いた光硬化型コーティング剤
JP2009173755A (ja) プラスチック基材用塗料組成物、およびこれより形成された複合塗膜
US20050038204A1 (en) Increased pot-life urethane coatings
JP6075614B2 (ja) 被覆材組成物、及び積層物の製造方法
JP2005170979A (ja) 活性エネルギー線硬化型塗料組成物および生分解プラスチック成形品への塗膜形成方法
JP2005170981A (ja) プラスチック成形品用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法
JP4915042B2 (ja) 光硬化型樹脂組成物及びそれを用いた光硬化型コーティング剤、光硬化型フィルム
KR101540078B1 (ko) 크롬 도금 표면에 도포되는 이중 경화형 도료 조성물 및 이를 이용한 도장 방법
JP2005170980A (ja) 装飾層用トップコート塗料組成物およびトップコート形成方法
JP4569807B2 (ja) ハードコートフィルムの作成方法
JP3998004B2 (ja) 塗料組成物および塗膜形成方法
JP5556593B2 (ja) 一液型活性エネルギー線硬化性塗料組成物および複合塗膜
JP2008179693A (ja) 活性エネルギー線硬化型被覆材組成物及びこの組成物により被覆された成型物
KR20090072199A (ko) 금속용 광경화형 도료 조성물 및 이를 이용한 도막 형성방법
WO2001074586A1 (fr) Produit a couches, procede de liaison, et composition reticulable sous l'effet de rayons actiniques
KR20220098420A (ko) 자동차 보수용 엘이디 자외선 경화 상도도료
JP5963229B2 (ja) 活性エネルギー線硬化性コーティング用組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070109

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070717