JP2005162552A - 水素発生用複合材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 穏和な条件下であっても、簡便な手段で効率的な水素ガスの発生を可能とする。
【解決手段】 アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの1種以上のアルミニウム金属とその界面に接する金属酸化物とを有する複合材であって水との接触時の水素ガス発生能を備えている水素発生用複合材を提供する。
【選択図】図3

Description

この出願の発明は、燃料電池の水素源等として有用な、新しい水素発生用複合材とその製造方法、並びにこれを用いた水素ガスの発生方法、水素発生用の部品と装置、さらには水循環型燃料電池に関するものである。
クリーンなエネルギー源として水素の発生・貯蔵・運搬・利用などの様々な解決策が提起されている。水素社会を実現するための一つの提案として、軽量かつハンドリングが容易なアルミニウム金属を水を用いて熱化学反応させて水素ガスを製造する方法が提案されている(特許文献1)。
アルミニウムは金属の中で軽量に加え、3価であり、電子密度が極めて高いものの、常温・常圧では水に接触し、腐食に強い数ナノメートルから数十ナノメートルぐらいの不動膜が容易に形成され、反応が進行しないことは古くから知られている事実であり、水素の発生量がごく僅かで効率が悪いという大きな問題点がある。そこで、絶えずアルミの新鮮面を作ることや前記の方法では、200℃以上の高温で熱化学反応を行わせている。しかし、このような高温での熱化学反応では、水素ガス発生を効率的に行わせることは難しく、また発生装置も大型化し高価となるので、実用的な水素ガス発生方法であるとは言い難い。一方、より穏和な条件で金属と水から水素を発生する方法として、アルミニウムに鉄、亜鉛などの金属を粉末状で混合したものと水とを反応させる方法(特許文献2)や、アルミにインジウム、ガリウムを合金化して水と反応させる(特許文献3−4)等の工夫がなされている。
だが、アルミニウムと鉄、亜鉛との混合金属粉末と水とを反応させる方法においては、加温するか、水溶液のpH7(純水)から酸またはアルカリ側にシフトした条件で行わないと充分な水素ガスの発生は起こらない。また、インジウム、ガリウムを合金化した材料と水とを反応させる方法では、毒性が問題となるインジウムおよびガリウムは取扱いが難しく、汎用的な水素ガス発生方法としては考え難い。
このように、従来提案されている上記のような金属もしくは合金を用いる方法においては、水素発生のための反応条件が過酷であったり、水素ガスの発生が少なく、取扱いが難しい等という問題が解決されておらず、しかも
1)材料重量比に対しての発生水素量が少く、発生が持続される時間が短い、
2)水素の発生速度と発生量の制御が容易ではない、
3)電源や改質装置、熱源等を必要としている
等の問題がある。
特開平8−115733号公報 特開2002−104801号公報 特開2002−161325号公報 特開2003−12301号公報
そこで、この出願の発明は、上記のような従来の問題点を解決し、過酷な条件下でなくとも、効率的な水素発生をより長時間持続させることができ、水素発生速度や発生量の制御も比較的容易であって、電源や熱源等の装置を必要とせず、取扱いも容易である等の優れた作用効果を実現することのできる新しい技術手段を提供し、これをもって燃料電池等
の発展に資することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの少くとも1種以上のアルミニウム金属とその界面に接する金属酸化物とを有する複合材であって、水との接触により水素ガスを発生させる水素発生能を備えていることを特徴とする水素発生用複合材を提供し、第2にはアルミニウム金属の粒子表面に金属酸化物が接触もしくは付着していることを特徴とする上記の水素発生用複合材を提供する。
また、この出願の発明は、第3には、アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの少くとも1種以上のアルミニウム金属とその界面に接する金属酸化物もしくは金属酸化物生成材とを非酸化性雰囲気下に熱処理することで、水との接触により水素ガスを発生させる水素発生能を備えている複合材を形成することを特徴とする水素発生用複合材の製造方法を提供し、第4には、焼結することを特徴とする上記の水素発生用複合材の製造方法を、第5には、真空排気または不活性ガスによる非酸化雰囲気下に熱処理することを特徴とする水素発生用複合材の製造方法を提供する。
第6には、上記の水素発生用複合材を水と接触させることを特徴とする水素ガスの発生方法を提供する。
そして、この出願の発明は、第7には、上記水素発生用複合材をその構成の少くとも一部としていることを特徴とする水素発生用の部品または装置を提供し、第8には、これらの部品または装置を用いていることを特徴とする水循環型燃料電池を提供する。
上記のとおりのこの出願の発明によれば、従来に比べてより緩和された条件下であっても、簡便に効率的な水素発生を可能とし、以下のような効果を奏することが可能となる。
(1)材料の重量および容量ベースで発生する全水素ガス量が多い。
(2)供給時に供給速度とガス発生量の制御が容易。
(3)電源・改質装置と熱源が不要。
(4)水素発生時に一酸化炭素、二酸化炭素の排出がない。
(5)水素貯蔵・供給システムがシンプル。
(6)貯蔵・運搬・輸送・取り扱いが簡単・安全。
(7)使用上の健康障害への影響はない。
(8)材料の取扱いが容易。
そして、この出願の発明の材料は、水素エネルギー源として発電・自動車・航空宇宙などの様々な産業分野に応用でき、特に最近注目されている自動車などの燃料電池の水素源として有望である。また、この出願の発明の材料、これを用いた部品や装置は、燃料電池の中で発生する水を循環利用することで水素を作ることができ、予備エネルギー源・予備電池の機能を有している。
この出願の発明は上記のような特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の水素発生用複合材は、基本的に
(A)アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの1種以上からなるアルミニウム金属粒子、
(B)金属酸化物
をその成分として構成されているのである。
アルミニウム金属粒子(A)のうちのアルミニウム合金については、アルミニウムの活性が発現されものであれば各種の元素との二元、もしくはさらに多元の合金であってよく、加工性、成形性、安定性等を考慮して、たとえば、チタン、ジルコニウム、鉄、スズ、ニオブ、タンタル、ケイ素、銅、鉄、モリブデン、亜鉛等の各種元素の1種以上との合金であってよい。また、合金でのアルミニウムの含有割合も、水素発生のためのアルミニウムの活性等を考慮して定めることができる。
一方、金属酸化物(B)についても各種元素の酸化物でよく、好適には、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、インジウム、マグネシウム、マンガン、スズ、亜鉛、鉛、ガリウム、銅、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、ビスエス、アンチセン、ホウ素、リン、鉄、ニッケル、コバルト等のうちの1種以上が考慮される。なかでも、アルミニウム、チタン、マグネシウムの酸化物が好適なものとして例示される。アルミナ、チタニア、マグネシア等である。
また金属酸化物(B)は、2種以上のものの混合物や複合酸化物であってもよい。たとえば、シリカ・アルミナ、チタニア・シリカ、天然あるいは合成のゼオライト、アルミナ・ボリア、アルミナ・酸化ニオブ等が例示される。
そして、この出願の発明の金属酸化物(B)は、酸水化物あるいは水酸化物を含むものである。
以上のような金属酸化物(B)については、その製造において、最終的に形成された複合体中の金属酸化物の形態が酸化物、酸水化物および水酸化物となるかぎりにおいて、これらの金属酸化物の出発原料として、酸化物、水酸化物以外の塩化物、臭化物などのハロゲン化物、修酸塩、酢酸塩などの有機酸塩などを使用することもできる。そして、これらの酸化物はある程度以上の表面積を有し、還元されにくい酸化物であることが好ましい。

この出願の発明の水素発生用複合材では、上記の成分(A)(B)の他に、賦形材、安定化材等としてのセラミックスや樹脂、金属、合金等を併用してもよい。
いずれの形態においても、この出願の発明の水素発生用複合材では、アルミニウムにごく少量の金属酸化物を加えることで水素ガス発生量はアルミニウム単独に比べて改善されるので、アルミニウムと金属酸化物の組成に大きな成約はない。しかし、アルミニウムの比率が低いと生成する水素ガスの発生量は少なくなり、一方、アルミニウムの比率があまり高過ぎると、未反応のアルミニウムが残存したり、水素ガスの発生速度が遅くなる。この出願のアルミニウム系複合材中の金属酸化物の含有量は1ないし99体積%において本発明の効果を確認することができる。実用的な観点から好ましい範囲は、製造条件あるいは応用分野にもよるが、5ないし95%、より好ましくは、10ないし90%、さらには
40ナイシ90%である。
アルミニウム金属粒子(A)と金属酸化物(B)の体積割合や、アルミニウム金属粒子(A)の粒径、そしてその種類を選択、調整することによって、水素発生の速度や発生量、その持続時間を制御することができる。
そして、より粒径の大きなアルミニウム金属粒子(A)の表面に、より粒径の小さな金属酸化物(B)が粒状、あるいは箔片状で接触ないし付着している構造のものが好適である。
すなわち、この出願の発明においては、アルミニウム金属の界面に金属酸化物を均一に分散させて、アルミニウム金属と金属酸化物の複合体を生成させ、これを水に接触させて水素ガスを発生させる。先に述べたように、通常アルミニウム金属は水・水蒸気の存在下で界面に容易に界面に不動膜を形成してアルミニウムと水との反応が進行しなくなるが、この出願の新しい材料を用いることによって、穏和な条件で効率的に水素ガスを連続的に製造することが可能となる。
具体的な一例としてアルミニウム金属とガンマーアルミナとの複合体を例示することができる。アルミニウムの微粉末と水酸化アルミニウムを一定の混合比で混ぜ合い、一定の圧力を加えて予備焼結体をつくり、これを約600℃の真空中に焼結したものがその一例である。この場合、焼結の過程で水酸化アルミニウムが微粒子のγ・Al23に変化し、多孔体で高表面積のγ・Al23がアルミニウム金属粒子の表面全体に存在するような複合体が生成する。この複合体はアルミナ粒子で覆われているので、空気中においてもアルミニウムはかなり安定で、アルミニウムの酸化は起こりにくくなっている。焼結温度が低く、水酸化アルミニウムが無水あるいはベーマイトの常態の複合体であってもよい。また、水素を発生させるアルミニウム系複合体は、上記の例に示したような成形体でもよいが、粉末状で用いてもよい。
この出願の発明の水素発生用複合材は、たとえば上記のように焼結体として製造することができる。すなわち、アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの少なくとも1種以上のアルミニウム金属粉と金属酸化物もしくは金属酸化物生成材とを混合し、非酸化性雰囲気下に焼結することで前記アルミニウム金属の粒子と金属酸化物とを主として構成され、水との接触により水素を発生させる水素発生用複合材を製造することである。
この方法においては、仮焼成体とした後に焼結することや、不活性ガス中、あるいは真空排気による非酸化性雰囲気下に焼結することが好ましい形態の一つとして考慮される。
また、この出願の発明の水素発生用複合材の製造方法としては、上記の方法以外にアルミニウム金属粉末と金属酸化物あるいはその前駆体を粉末状で機械的に充分混合したもの、塊状のアルミニウム金属と金属酸化物をボールミル中で粉砕したもの、さらには溶解したアルミニウムに金属酸化物部粉末を分散させておき、その複合体を粉砕処理したものなど金属酸化物がアルミニウム金属の表面にある程度以上緊密かつ均一に付着した複合体を形成できる方法であればよい。ある程度高い表面積を持つ粉末状のアルミニウム金属の表面に金属酸化物を均一かつ全体的に分散させことが、水素ガスの効率的な発生に望ましい方法と考えられる。また、いずれの方法においても、アルミニウム金属の表面酸化の進行は望ましくないので、製造方法の過程で極力酸化を防止する方法を採用することが好ましい。
この出願の発明によるアルミニウム系水素発生用複合材の最大の特徴は、純水と接触させることで室温のような穏和な条件においても、容易に水素ガスを発生することであり、
最適な条件でこの反応を行わせると、アルミニウム金属がほとんど消耗されるまで持続的に水素を放出することである。たとえば、ある程度の長い時間水素ガスの発生を行わせたのちに反応した試料をX線回折(XRD)で測定すると、図7に示したように、ガンマーアルミナとともにアルミ酸水化物Boebmite, AlO(OH)が検出される。また、電子顕微鏡で形態の観察を行うと、アルミニウム系複合材の形状は徐々に変化していき、図1、図7そして図8に示したように最終的には全く異なる形態の反応生成物が観測され。このような解析結果から、次式で示されるような反応が起きているものと考えられている。
Al+2H2O→AlO(OH)+3/2H2 (1)
2Al+3H2O→Al23+3H2 (2)
すなわち、アルミニウム金属は水の存在下において水素を発生しながら、一部結晶性を有するベーマイトに変化しているものと考えられる(なお、式(2)のアルミナの生成は金属酸化物としてアルミナを使用する場合にはその生成は確認できない。)理論的にはアルミニウム−原子に対して1.1モルという非常に大量の水素が発生することになるが、室温よりも高められた温度で水と反応することにより、実際に、ほぼ理論的な水素の発生量が確認されている。
このような水素ガスの発生は、この出願の発明のアルミニウム系複合材を適切な成形体および/あるいは粉体状と水あるいは水蒸気とを接触させるものであれば、どのような方式でも実施可能である。たとえば、水の入った槽型反応器に複合材の粉末あるいは成形体を懸濁させる方式、複合材の粉末あるいは成形体を充填した筒型反応器に水や水蒸気を通過・接触させる方式などを例示することができる。水素ガスの発生に水を用いる場合には、純水でも充分な水素ガスの発生を達成できるが、pH7から酸またはアルカリ側シフトした水溶液を使用することもできる。また、複合材と水を接触させる場合、常温近傍でも水素ガスの発生を行うことができるが、温度が高くすることによって水素ガスの生成速度を高めることができる。水素ガスの発生量は、複合材と水・水蒸気との接触する量、反応温度などを変化させることによって制御することができる。
そこで以下に実施例を説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
<実施例1>
市販の水酸化アルミニウムAl(OH)3とアルミニウムの粉末(粒径が約3ミクロン
)とをそれぞれ10:0,9:1,8:2,7:3,6:4,5:5,4:6,3:7,2:8,1:9,0:10の体積率比で混ぜ合い、約120Mpa圧力を加え、予備焼結体を作成した。この予備焼結体を約600℃の真空中に焼結したものをアルミの体積含有率に応じ、#0,#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7,#8,#9および#10試料と名付けた。試料#0は水酸化アルミニウム100%からのものであり、また、試料番号#10は、アルミニウム100%からのものである。試料番号#0,#1,#2,#3,#4,#5および#6までの試料の表面積はそれぞれ225,214,184,147,119,92,8.4(単位m2/g)であった。#7以降の試料の表面積は#6と
同様以下であった。図1は#4試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。図中のAマークのついている粒子はEDX分析(図2)でAl−richとわかり、Alの粒子となっていることがわかる。Alの粒子の周りにγ・Al23が一杯付着していることが確認できる。図3はその拡大写真である。
図4には、この材料のX線解析結果を示した。Al相(a)とγ・Al23相(b)のピークが存在することがわかる。γ・Al23は加熱途中に約400℃ぐらいで次のような反応で形成されたと思われる。
2Al(OH)3→γ・Al23+3H2
これらの試料を室温の純水を大量に入れたビーカー中に0.5g投入したところ、いずれの試料を使用した場合にもガスの発生が認められた。発生したガスには水素ガスであることがガスクロ分析で確認された。図5は、20時間前後までの水素発生量の推移を示したものである。この図5から、試料#1から#9までのものでは、水素ガスの発生量は経時的に増加すること、また、アルミニウム金属の組成が10・40体積%の範囲において水素ガスの発生量が多いことが確認される。なお、#0と#10の試料では0.5gあたりのガス発生量は、それぞれ71時間後および22時間後において4.0μモルおよび17.28μモルであった。以上の結果は、アルミニウム金属とアルミナの複合化によって水素ガスの発生が顕著に促進されることを明確に示している。
図6は、#2の試料と水の反応で水素ガスを約1日間発生させた後の、アルミニウム複合材の反応後のX線回折データを示したものである。図4と比較して、いくつか新しいピークを検出される。このピークの解析結果から、新たにアルミ酸水化物Boehmite,AlO(OH)に生成していることが確認された。図7および図8は、それぞれ水と37時間および20日間反応させた後の#4試料についての走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。特に、20日間反応後の複合材(図8)は、反応前(図1及び図3)の形態とは全く異なった羽毛状のものに変化しており、このことから、アルミニウム金属粒子と水との反応は粒子の内部にまで達していることが確認された。
<実施例2>
実施例1と同様にして、アルミニウム金属とアルミナの体積比が30:70の試料を作成した。この試料を常温・常圧において蒸留水と約10日間反応させた。水素ガス発生量の経時変化を図9に示した。最初の4日間は大量の水素の発生が認められたが、それ以降の水素発生量は飽和する傾向をみせた。その後、温度を高めると水素ガスの発生量は増加するが、最初の50時間の水素ガス発生量は約4300マイクロモルであり、仕込んだアルミニウムの約50%が水素ガス発生に使用されていることがわかった。
<実施例3>
出発原料として水酸化アルミニウムの代わりに酸化チタンの粒子を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム金属と酸化チタンの複合材を作成した。作成した試料のアルミニウム金属粉末と酸化チタン粉末の体積比率は30:70とした。この試料0.5gを純水を入れたビーカ中に投入したところ、アルミニウム−アルミナ複合材の場合と同様に、継続的なガス発生が認められた。ガスの発生量はアルミナ−アルミナ複合体の場合よりも若干少ないようにみえるが、発生したガスは水素ガスであることが確認された。
未反応の試料#4の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 EDXによる元素分析の結果(Al−richの粒子を特定)を示した図である。 未反応の試料#4のSEM高倍率写真である。 未反応の試料#4のX線解析結果を示した図である。 試料#1から試料#9までの水素放出量の経時的な挙動を示した図である。 試料#2の約1日間反応後のX線回折データを示した図である。 試料#4を37時間反応させたのちの試料の表面SEM写真である。 試料#4を約20日間反応させたのちの試料の表面SEM写真である。 試料#3サンプルを約10日間反応させた場合の水素ガス発生量の経時変化を示した図である。

Claims (8)

  1. アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの少くとも1種以上のアルミニウム金属とその界面に接する金属酸化物とを有する複合材であって、水との接触により水素ガスを発生させる水素発生能を備えていることを特徴とする水素発生用複合材。
  2. アルミニウム金属の粒子表面に金属酸化物が接触もしくは付着していることを特徴とする請求項1の水素発生用複合材。
  3. アルミニウムおよびアルミニウム合金のうちの少くとも1種以上のアルミニウム金属とその界面に接する金属酸化物もしくは金属酸化物生成材とを非酸化性雰囲気下に熱処理することで、水との接触により水素ガスを発生させる水素発生能を備えている複合材を形成することを特徴とする水素発生用複合材の製造方法。
  4. 焼結することを特徴とする請求項3の水素発生用複合材の製造方法。
  5. 真空排気または不活性ガスによる非酸化雰囲気下に熱処理することを特徴とする請求項3の水素発生用複合材の製造方法。
  6. 請求項1または2の水素発生用複合材を水と接触させることを特徴とする水素ガスの発生方法。
  7. 請求項1または2の水素発生用複合材をその構成の少くとも一部としていることを特徴とする水素発生用の部品または装置。
  8. 請求項7の部品または装置を用いていることを特徴とする水循環型燃料電池。
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