JP2005147803A - 走査型x線顕微鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】試料に与えるダメージが小さく、高い分解能を有する走査型X線顕微鏡を提供する。
【解決手段】本発明の走査型X線顕微鏡は、試料を設置する試料室と、この試料室を真空にする排気手段と、エネルギが0.1〜5keVで所定の電流、所定のビーム径を有する電子ビームを間歇的に該試料に照射し、且つ該試料の所定範囲を走査する電子ビーム照射手段と、前記試料から放射されたX線を検出するX線検出手段とを備えることを特徴とする。X線検出手段は飛行時間型分析装置を用いることが望ましい。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の走査型X線顕微鏡は、試料を設置する試料室と、この試料室を真空にする排気手段と、エネルギが0.1〜5keVで所定の電流、所定のビーム径を有する電子ビームを間歇的に該試料に照射し、且つ該試料の所定範囲を走査する電子ビーム照射手段と、前記試料から放射されたX線を検出するX線検出手段とを備えることを特徴とする。X線検出手段は飛行時間型分析装置を用いることが望ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、X線を検出して試料表面を観察する走査型X線顕微鏡に係わり、特に低エネルギ電子励起X線を高感度、高分解能で検出できる走査型X線顕微鏡に関するものである。
X線顕微鏡には2種類のタイプが知られている。すなわち、試料表面に一次ビームとしてX線を照射し、試料表面で反射されたX線あるいは試料を透過したX線を検出してスクリーン上に試料の像を形成するものと、また、一次ビームとして電子線あるいはレーザビームを試料表面に照射して、試料表面から放射されるX線を検出することにより試料表面のX線像を形成するものとである。前者ではレンズを使用することが出来ないので、X線ビームを細く絞ることが困難であるために分解能には限界がある。しかし、後者においては電子ビームを細く絞ることができるので高分解能を得ることができる。
表面観察手段としては走査型電子顕微鏡(SEM)が幅広い分野で用いられている。走査型電子顕微鏡は細く絞った電子線を試料上に照射し、試料から発生する2次電子や反射電子を検出して像を形成する装置である。さらに近年においては、試料を低真空中に保持した状態で食品や生物などの水分を含む試料や絶縁試料などの観察に応用されている。しかし、これらの電子顕微鏡においては電子ビームの加速電圧が10〜30kVと高いために、場合によっては試料表面を破壊してしまうおそれがあった。このため、高輝度放射光を利用した工夫(非特許文献1)や、試料を走査して分解能を向上させる工夫(非特許文献2)がなされている。
しかし、高輝度放射光を利用した前者においては、ビームを絞れないため高分解能が得られないなどの問題があり、また、後者ではX線像を得るのに長時間を要するという問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
Y.Kagoshima,T.Ibuki,K.Takai,Y.Yokoyama;N.Miyamoto,Y.Tsusaka and J.Matsui. Jpn.J.Appl.Phys.39(2000)L433. Y.Kagoshima,etal.Nucl.Instrum & Methods A467-468(2001)872.
Y.Kagoshima,T.Ibuki,K.Takai,Y.Yokoyama;N.Miyamoto,Y.Tsusaka and J.Matsui. Jpn.J.Appl.Phys.39(2000)L433. Y.Kagoshima,etal.Nucl.Instrum & Methods A467-468(2001)872.
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、試料に与えるダメージが小さく、高い分解能を有する走査型X線顕微鏡を提供しようとするものである。
本発明者らが開発した特開平10−269983号公報に示す走査型プロトン顕微鏡は、電子励起イオン脱離法(ESD:electron stimulated desorption)を用いて、最も軽い元素である水素であっても、微小領域に存在するものを感度よく高い分解能で分析でき、その分布を2次元画像化することを可能としたものである。
その手段の特徴は、10-8〜10-9Pa程度の超高真空を達成してスペクトルのバックグラウンドのプロトンレベルを小さくした上で、電子ビーム照射系として、300〜800eV程度の低エネルギで数nAの大きな電流がとれ、しかもビーム径は大きくても700nm程度にできるような構成とし、さらに、イオン質量分析手段として、飛行時間(TOF:time of flight)型質量分析を採用したことにある。
図4は、鉄表面における飛行時間スペクトルを示す。横軸は電子ビームを照射してからの時間つまりイオンの飛行時間を示し、前後軸は電子ビームの入射エネルギ、縦軸はイオン強度をそれぞれ示す。飛行時間ゼロのところのピークがX線によるピークPであり、飛行時間2.5μsec付近にはプロトンH+のピークが見られる。Pピークは、照射された電子線の衝撃で励起される価電子や内殻からのX線(制動輻射を含む)が光子Pとして検出されるものである。
従来、このようにして得られる低エネルギ電子励起X線をX線信号として利用することは、散乱電子や脱離イオンとの分離が困難なため、また、その強度が微弱であるために長時間を要し実現することができなかった。
本発明者は、測定に関するソフトウエアとインターフェイスとを根本的に改良することによりこの問題を解決して、低エネルギ電子励起X線をX線信号とする走査型X線顕微鏡の開発に成功したものである。
本発明の走査型X線顕微鏡は、試料を設置する試料室と、試料室内を真空にする排気手段と、エネルギが0.1〜5keVで、所定の電流、所定のビーム径を有する電子ビームを間歇的に該試料に照射し、且つ該試料の所定範囲を走査する電子ビーム照射手段と、前記試料から放射されたX線を検出するX線検出手段とを備えることを特徴とする。
ここで、X線検出手段は飛行時間型分析装置を用いることが望ましい。また、電子ビームのエネルギは0.3〜2keVであることが好ましい。
排気手段は、試料室内の圧力を10-3Pa以下とすることが望ましく、また、排気手段は、試料室内と電子ビームを射出する電子銃の電子光学鏡筒内とを差動排気する機能を有することができる。
本発明の走査型X線顕微鏡は、試料を設置する試料室と、該試料室内を真空にする排気手段と、エネルギが0.1〜5keVで所定の電流、所定のビーム径を有する電子ビームを間歇的に該試料に照射し、且つ該試料の所定範囲を走査する電子ビーム照射手段と、前記試料から放射されたX線を検出するX線検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明のX線顕微鏡において、電子ビームのエネルギは、0.1〜5keVが適当である。電子ビームのエネルギが0.1keV未満では、ビーム径を充分細く絞り込むことが出来ないので高い分解能を得ることができない。また、5keV以上では散乱電子を分離することが困難であるので適当ではない。より好ましくは0.3〜2keVである。
図5に電子ビームの照射エネルギによるX線信号Pの強度変化を示す。図5は、
図4のスペクトルの積分強度をプロットして得られたものであり、図中にはプロトンH+の変化を併記した。図5から、X線は数十eVから検出されエネルギとともに増大していることが分かる。
図4のスペクトルの積分強度をプロットして得られたものであり、図中にはプロトンH+の変化を併記した。図5から、X線は数十eVから検出されエネルギとともに増大していることが分かる。
以下、図面を参照しつつ実施の形態について説明する。図1は本発明に係わる走査型X線顕微鏡の第1の実施態様を示す図であり、図中、1は試料室、2は排気系、3は試料、4はグリッドメッシュ、5はマイクロチャンネルプレート(以下、MCPと称す)、6は蛍光スクリーン、7は電子銃、8はパルスアンプ、9はマルチチャンネルアナライザ(以下、MCAと称す)、10は電子銃電源、11は走査用電源、12は表示部、13はパルス発生装置、14はパターン観察窓、15は排気系制御装置を示す。
試料室1には、試料3,グリッドメッシュ4,MCP5,スクリーン6が収納されている。試料3,グリッドメッシュ4,MCP5,スクリーン6にはそれぞれ所定の電圧が印加されている。
グリッドメッシュ4は3枚又は4枚の同心球形のグリッドメッシュで構成されている。MCP5はX線またはイオンを電子パルスに変換して倍増するものであり、2枚の平板型とMCPで構成される。スクリーン6は電子のコレクタであり、イオンがMCP5に到達するとそれに応じた電流を出力するものである。そして、スクリーン6の電流出力はパルスアンプ8で増幅され、MCA9に入力されて分析が行われることになる。
グリッドメッシュ4,MCP5,スクリーン6は飛行時間質量分析器(以下、TOF−MSと称す)を構成しているものである。ここで、試料3の表面とグリッドメッシュ4との間の距離は略100mm程度の飛行距離を持たせるようにするのがよい。このようにすることによって、試料3の電子回折、オージェ電子分光および放出イオンの角度分布がその場観察できる。
試料室1の内部は排気系2により所定の真空度となされている。真空度が10-8〜10-9Pa程度の超高真空の場合には、試料室1内の残留ガスの水素、水などが試料3の表面に吸着してプロトン検出時のバックグラウンドへの影響を極力減少させることができる。このような排気系2は、イオンポンプあるいはターボ分子ポンプなどで構成することができる。
電子銃7は、300〜2000eV程度の低エネルギで1nA程度の大電流が得られ、且つ300nm程度の小さいビーム径の電子ビームを照射できるように構成されている。
ところで、放射X線を高感度で検出するためには検出立体角を大きく取ることが重要であり、そのためには検出器を試料に近づけるようにすればよい。TOF−MSの場合には、グリッドメッシュ4は試料3の表面を中心とする円周上に位置するように配置されており、グリッドメッシュ4の面積とMCPによって試料3から発生したX線の検出立体角が決まるため、大きな径のメッシュとMCPを用いるのが感度に対して有利であることが知られている。
ところが、グリッドのメッシュを大きくすると、相対的に電子銃7のサイズは小さな構造でないと組み込むことはできない。そこで、電子銃7としては、本出願人らが開発した電界放射型の超小型低加速電子銃を用いるのが望ましい。その構造の例を図2を参照して説明する。
図2において、取付フランジ28にサポート27を取り付け、これに全長142mmに設計した電子銃本体が保持されている、取付フランジ28には電源接続フランジ29が接続されて電子銃本体への電力供給がなされるようになっている。このような超小型の構成にして試料室1に組み込まれている。
電界放射型電子銃ユニット(以下、FEGユニットと称す)20は、図3に示すように、フィラメント23,サプレサー電極24,引き出し電極25,陽極26全てを碍子22上に組み立て、これら各電極を貫通する孔Hを設けてFEGユニットの電子銃室を外部雰囲気と連通させる構成となっている。なお、低加速FEGでは、磁界による影響を除くため磁気シールドが必要となるが、走査X線顕微鏡では、分析室1の内部又は外部に磁気シールドが施されているため、FEGユニット専用の磁気シールドは必要ないものである。また、低加速電圧であるためFEGの電極構造は絶縁が容易となり、碍子22上に4つの電極を組み立ててユニット化しても放電などの問題は生じないことが確認されている。
このように低加速電圧であるため、碍子22上に4つの電極を組み立ててユニット化できること、専用の磁気シールドが不要となることなどから、FEGユニットを小型化でき、又4つの電極を組み込んだ状態で組み立て精度のチェックができるため、動作時の光軸を正確に得ることができる。
また、図3に示すように、FEGユニットに電子銃室を貫通する孔Hを設け、試料室を10-8Pa程度の超高真空に排気する排気系2により、孔Hを通して電子銃室を真空引きする。このため、全長が短い超小型のFEGユニットを超高真空に排気することができる。
この電子銃の内部には、電子銃アライメント(光軸調整用)30,コンデンサレンズ40、コンデンサレンズアライメント(光軸調整用)50,アパーチャ60,偏向器70,71,非点補正器80,81,対物レンズ90が組み込まれている。
上述したように、低加速電圧であるためコイルなどは小さくても動作し、磁界レンズを小型化することができるが、試料室1が超高真空である場合には、磁界レンズのコイル材料からの放出ガスが問題となる。従来用いられているポリイミド被覆の線材では放出ガスが多く、超高真空まで排気することができない。そこで、コンデンサレンズ40,対物レンズ90の磁界型レンズのコイルとして、アルミナ(Al2O3)またはシリカなどを被覆した線材(銅線)を用いる。このような被覆線材を用いることにより放出ガスを減少させて10-8Pa程度の超高真空まで排気することが可能となっている。
また、偏向器70,71としては静電型の偏向器を用いる。静電型の偏向器とすることにより、コイルは不要となり、超高真空下でも問題がなく、磁界タイプの偏向器よりもほぼ半分のリード線で済ませることができるので偏向器70,71を小型化することができる。
なお、図2に示す構成ではコンデンサレンズ40を組み込むようにしているが、コンデンサレンズ40を省略して対物レンズ90のみにしてもよいものである。
ところで、以上のような構成の超小型低加速電子銃を用いたとしても、電子ビームに収差があるとビーム径が大きくなってしまうので、分解能が悪いものとなってしまう。そこで、必要な電流がとれ、しかも収差係数を小さくするために、電子銃7の対物レンズを小さくし、且つ試料3に可能な限り近づけてワークキングディスタンスを小さくする必要がある。この時、電子銃7はグリッド4の検出立体角の範囲外に位置することは当然である。
実際、図2に示す構成の電子銃において、対物レンズ90の直径を25mm、先端の頂角が50゜で、収差係数として球面収差係数100mm,色収差係数14mmの特性をもつ超小型の対物レンズを得ることができた。この収差特性は通常の走査電子顕微鏡に用いられる電子銃と同程度である。
このような超小型電子銃を用いると、TOF−MSと組み合わせて試料3の近傍に配置することができる。そして、この場合、検出立体角として0.32sr(ステラジアン)程度にすることができるため、TOF−MSの感度に影響しないで、微小ビーム径を得ることができる。
このような電子銃7を用いることによって、300eV、ビーム電流1nAにて300nm程度のビーム径が得られることが確認されている。また、電子銃7の使用電圧は最大2kV程度であるため、電子銃7の内部のコイルも小型にでき、しかも発熱も少ないため、コイルを冷却する特別の装置も必要なく、超小型にても安定して動作することが確認されている。
さて、電子銃電源10は、電子銃7の内部の各部に必要な電圧あるいは電流を供給する。また、電子銃7は、パルス発生装置13から走査用電源11を介して与えられる制御信号によって、電子ビームを間歇的に、すなわち、パルス状に放射する、いわゆるビームチョッピングを行う。電子ビームを放射する時間は50〜240nsec程度とするのがよい。走査用電源11は、偏向電圧を生成して電子銃7の偏向器に印加するものである。
以上、構成の各部について説明したが、次に動作について説明する。パルス発生装置13は、電子銃7に電子ビームの1パルスの照射を指示すると同時に、MCA9に対して放射されたX線信号の分析動作の開始を指示する。
このようにして、電子ビームの1パルスで1スペクトルが測定できるため非常に高速での測定が可能である。なお、得られたスペクトルのX線信号強度は極めて弱いので、多数のパルスによるスペクトルの積算を行えば感度を向上させることができる。ここでは、5000〜10000パルス程度の積算が望ましく、10000パルスの積算を行ったとしても測定時間は高々300msec程度であり、短時間での測定が可能であることが確認されている。
試料3のある位置での測定が終了すると、走査用電源11から電子銃7に、電子ビームの照射位置を変更する制御信号が送られ、その後、パルス発振装置13から走査用電源11を介して電子銃7に電子ビームの照射を指示する制御信号が与えられる。このことによって、試料3上の各位置においてX線の飛行時間スペクトルを測定することができる。
そして、表示部12は、飛行時間スペクトル中の飛行時間ゼロに対応するX線信号Pの強度をMCA9から取り込み、走査用電源11から与えられた電子ビームの照射位置を変更する制御信号に基づいて、電子ビームの走査に同期させて内部の画像メモリ(図示せず)中に記憶することによって二次元画像化し、X線信号Pの強度に応じて輝度あるいは色を変えて表示する。これによって、試料3の表面形状を二次元画像として観察することが可能となる。例えば、試料3上に128×128の画素位置を設定し、それらの各画素位置でのX線信号Pの強度を10000回積算するとして、一つの二次元画像を得るための測定時間は90分程度と非常に高速に行うことができることが確認されている。
次に、本発明の第2の実施態様について説明する。
本発明の第2の実施態様は、試料が入れられる試料室の真空度を低くして低真空走査型X線顕微鏡とするものである。試料室と電子銃の電子光学鏡筒内とを差動排気するように構成したものである。
図6に第2の態様の走査型X線顕微鏡の全体構成を示す。また、図7にはその電子銃の構造を示す。差動排気以外は基本的に第1の実施態様と同一であるので同一部位には同一の番号を付し説明を省略する。
図7に示す電子銃の基本的な構造は、図2の電子銃7と同一仕様であるが電子光学鏡筒100内の電子銃室102とコンデンサレンズ40との間に電子ビーム通過用の微小開口を有したアパーチャ101が設けられている。このアパーチャ101により電子銃室102と、試料室1内とは差動排気される。すなわち、電子銃室102の空間は排気管103を介してイオンポンプなどにより高真空に排気される。
図6に示す試料室1には、3つの開閉バルブ31、32、33が設けられており、開閉バルブ31は排気管103との接続のために設けられている。走査型X線顕微鏡を低真空にする場合にはこのバルブは閉じられ、走査型X線顕微鏡を高真空で使用する際にはこのバルブは開けられる。バルブ32はターボ分子ポンプとロータリポンプ(排気系2内)に接続され、バルブ33は切換バルブ34に接続されている。切換バルブ34は、大気に通じた管35と窒素ガス源36とアルゴンガス源37とを切り換えてバルブ33に接続する。3つの開閉バルブ31,32,33,切換バルブ34は、排気系制御装置38によってバルブの開閉や切換の制御が行われる。排気系制御装置15には、試料室1内の圧力を測定する圧力計39の測定データが供給される。
このような排気系の構成によれば、排気系制御装置15は開閉バルブ32と開閉バルブ33を開け、ロータリポンプによって試料室1内を排気する。この際、切換バルブ34によってアルゴンガス源37がバルブ33に接続されていれば、試料室1内にアルゴンガスが入れられる。このとき真空系39によって試料室1内の圧力が監視され、所定の圧力になった段階で、排気系制御装置15は開閉バルブ32と33を閉じる。
このような制御を行うことにより、試料室1内は所定の低真空度のアルゴン雰囲気に維持される。なお、切換バルブ34によって窒素ガス源36を選択すれば、試料室1内は窒素ガス雰囲気に維持され、切換バルブ34によって大気を選択すれば、試料室内は大気雰囲気に維持される。
なお、差動排気により電子銃の電子光学鏡筒100内の圧力を10-7Pa以下に保持することができる。
第2の実施態様は上記の差動排気の構成を付加し、試料室内の雰囲気ガスの切換を可能とした以外には第1の実施形態と異なることがないので、その動作などは第1の実施態様と同一である。従って、説明は省略する。
このような低真空X線顕微鏡においては、試料室内の圧力を10-3Pa程度にすることができるので、生物系の試料をも損傷することなく、また、高分解能で観察することができる。
以上のように、本発明の走査型X線顕微鏡によれば、試料から放射されるX線をX線信号として高感度に、しかも高分解能で検出することができ、又、それによって試料の観察領域を二次元画像として観察することができるので、従来では不可能であった冷却された生物試料や植物などについてもX線観察の対象とすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、入射エネルギを変えて、2から5種の異なるX線の励起をして二次元画像化し、それぞれを引き算して画像化すれば元素の違いもある程度は識別することができる。
また、この走査型X線顕微鏡は低加速の電子ビームを試料上で走査可能であるため、類似のオージェ電子顕微鏡(SAM)とも複合化できるものである。このようにすれば、軽元素を含む元素をオージェ分析にて補完したり、あるいは結合状態などの総合的な分析に利用することもできる。
上記の走査型X線顕微鏡を用いて行った微細構造の試料を観察した結果を実施例として以下に示す。
(実施例1)
試料台上に空間を設けて設置した間隔が25.5μm(1000メッシュ)の網を観察試料とし、その表面を走査面とした。
観察における走査型X線顕微鏡の諸条件は、以下のようにした。電子ビームのエネルギは1000eV、ビーム電流:2nA、ビーム径:0.3μm、パルス幅は約240nsecとして、一測定点あたり104パルスのビーム照射を行った。試料の表面の電子ビーム照射位置から、検出部のグリッドまでの距離を110mmとし、バイアス電圧を+20Vとした。2次元分布画像としての画素数、つまり照射位置は128×128とした。ちなみに、試料1つを分析するのに要した時間は90分であった。
試料台上に空間を設けて設置した間隔が25.5μm(1000メッシュ)の網を観察試料とし、その表面を走査面とした。
観察における走査型X線顕微鏡の諸条件は、以下のようにした。電子ビームのエネルギは1000eV、ビーム電流:2nA、ビーム径:0.3μm、パルス幅は約240nsecとして、一測定点あたり104パルスのビーム照射を行った。試料の表面の電子ビーム照射位置から、検出部のグリッドまでの距離を110mmとし、バイアス電圧を+20Vとした。2次元分布画像としての画素数、つまり照射位置は128×128とした。ちなみに、試料1つを分析するのに要した時間は90分であった。
結果を図8に示す。電子ビームを試料表面に対して45゜の角度をもって照射しているためにメッシュは平行四辺形状で得られているが、鮮明な画像を得ることができた。分解能は電子ビームの径と雑音信号の強度比で決まるが、この場合の空間分解能は1μm程度であった。
(実施例2)
マイクロチャンネルプレート(MCP)の一部を観察試料とし、その端面を走査面とした。観察における走査型X線顕微鏡の諸条件は、以下のようであった。電子ビームのエネルギは1000eV、ビーム電流:2nA、ビーム径:0.05μm、パルス幅は約240nsecとして、一測定点あたり104パルスのビーム照射を行った。試料の表面の電子ビーム照射位置から、検出部のグリッドまでの距離を110mmとし、バイアス電圧を+20Vとした。2次元分布画像としての画素数、つまり照射位置は128×128とした。ちなみに、試料1つを分析するのに要した時間は90分であった。
マイクロチャンネルプレート(MCP)の一部を観察試料とし、その端面を走査面とした。観察における走査型X線顕微鏡の諸条件は、以下のようであった。電子ビームのエネルギは1000eV、ビーム電流:2nA、ビーム径:0.05μm、パルス幅は約240nsecとして、一測定点あたり104パルスのビーム照射を行った。試料の表面の電子ビーム照射位置から、検出部のグリッドまでの距離を110mmとし、バイアス電圧を+20Vとした。2次元分布画像としての画素数、つまり照射位置は128×128とした。ちなみに、試料1つを分析するのに要した時間は90分であった。
結果を図9に示す。電子ビームを試料表面に対して45゜の角度をもって照射しているためにマイクロチャンネルは楕円形状に得られているが、孔の径は12μmである。この場合の空間分解能は50nm程度であった。
本発明の走査型X線顕微鏡は、装置が小型で電子ビームが使用できる10-3Pa程度の真空度でも使用可能であり、また、100電子ボルトから2k電子ボルト程度の極めて低いエネルギをもつ電子ビームを使用することが出来るので、生物系の顕微鏡としても有用である。
1:分析室 2:排気系 3:試料 4:グリッドメッシュ 5:マイクロチャンネルプレート(MCP) 6:蛍光スクリーン 7:電子銃 8:パルスアンプ 9:マルチチャンネルアナライザ(MCA) 10:電子銃電源 11:走査用電源 12:表示部 13:パルス発振装置 14:パターン観察窓 15:排気系制御装置
Claims (5)
- 試料を設置する試料室と、
該試料室内を真空にする排気手段と、
エネルギが0.1〜5keVで所定の電流、所定のビーム径を有する電子ビームを間歇的に該試料に照射し、且つ該試料の所定範囲を走査する電子ビーム照射手段と、
前記試料から放射されたX線を検出するX線検出手段と、
を備えることを特徴とする走査型X線顕微鏡。 - 前記X線検出手段は飛行時間型分析装置である請求項1に記載の走査型X線顕微鏡。
- 前記エネルギは0.3〜2keVである請求項1または2に記載する走査型X線顕微鏡。
- 前記排気手段は前記試料室内の圧力を10-3Pa以下とする請求項1〜3のいずれかに記載の走査型X線顕微鏡。
- 前記排気手段は前記試料を載置する試料室内と前記電子ビームを射出する電子銃の電子光学鏡筒内とを差動排気する請求項1〜4のいずれかに記載の走査型X線顕微鏡。
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