JP2005104867A - シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規なシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル及びその製造方法に関するものである。シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは有機溶媒に可溶であって加工性、及び透明性に優れたポリイミドの製造用原料として有用な化合物である。
ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によりポリアミドを調製し、このポリアミド酸を脱水閉環することによって製造されている。全芳香族テトラカルボン酸二無水物および全芳香族ジアミンから得られる全芳香族ポリイミドは、有機溶媒に対する溶解性が悪いこと、および黄色に着色して透明性が不良であることなどの理由により、その用途が限定されていた。
このような欠点を改良したポリイミドの原料として、特開平7−215912号公報(特許文献1)などに各種の脂環式テトラカルボン酸二無水物、さらにその前駆体である脂環式テトラカルボン酸が開示されている。加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミド製造用テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族環状部分と脂肪族環状部分とを有する酸無水物があげられる。このような化合物として、特開平4−13646号公報(特許文献2)には、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物、およびその前駆体となるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸とその塩が開示されている。前記特許文献2では、芳香族テトラカルボン酸あるいは二無水物をアルカリ水溶液中で水素化してシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸を得る方法が開示されている。しかし、この方法は、高温、高圧で、長時間の反応を必要とすること、大量の含塩廃水が生成すること、及び得られたシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸中に無機塩が含有し、従って精製が難しいことなどの理由により、工業的に満足できる製造方法ではなかった。
本発明は、加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミドの製造原料などとして有用な、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル及びその製造方法を提供するという課題を解決しようとするものである。
本発明のシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは、加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミドの前駆体であるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物やシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸を、より簡便な分離操作で、かつ廃水など環境への負荷を少なく製造できる原料として有用な化合物である。また本発明方法はシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルを簡単な操作で効率よく製造することができる。
本発明のシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルを表す一般式(1)においてR1〜R4は、それぞれ互に独立に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。R1〜R4により表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基などを挙げることができる。また、本発明に係る一般式(1)の化合物は、理論上、8種の立体異性体が考えられ、これらの異性体のそれぞれの単体、並びにこれらの異性体の任意の2種以上の組合わせ及びそれぞれの任意の組成の混合物を包含する。
前記一般式(1)で表されるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは、本発明方法により前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルを、溶媒中において触媒の存在下に、水素化することにより製造することができる。
前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルとしては、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラメチル、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラエチル、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラブチルなどが例示される。
前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルとしては、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラメチル、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラエチル、1,1’−ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラブチルなどが例示される。
本発明方法に用いられる溶媒としては、前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルを溶解し、水素化条件で副反応を生ずることのない溶媒である限り溶剤の制限はない。例えばメタノール、エタノール、及び2−プロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、及びジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、並びに酢酸メチル、及び酢酸エチルなどのエステル類などを例示できる。溶媒の使用量は、前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルが十分溶解する量であればよく、格別の制限はないが、通常、原料化合物の質量の2〜100質量倍であることが好ましい。
本発明方法に用いられる触媒としては、ニッケル触媒および貴金属触媒が使用できる。貴金属触媒は、より低温かつ低圧で、一般式(2)の化合物の水素化を可能にするものであるから、本発明方法に好ましい触媒である。貴金属触媒としては、例えばパラジウム炭素、ルテニウム炭素、ロジウム炭素、パラジウムアルミナなどの貴金属触媒成分を担体に担持させた触媒が用いられる。前記貴金属触媒成分用担体としては、活性炭、アルミナ、シリカなどを用いることが好ましい。これらの中でもパラジウム炭素触媒は、ビシクロヘキシルテトラカルボン酸エステルなどの過水素化物の副生が少ないこと、及び担体の表面積が大きく水素化速度が大きいなどの利点を有し、本発明方法に好適に用いられる。
貴金属担持触媒に含まれる貴金属触媒成分の量は、担持触媒全質量に対して通常、0.1〜10質量%である。
貴金属担持触媒に含まれる貴金属触媒成分の量は、担持触媒全質量に対して通常、0.1〜10質量%である。
本発明方法において、反応系に含まれる貴金属触媒の触媒量は、前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルの質量に対して0.5〜20質量%であることが好ましい。触媒量が0.5質量%より少ないと水素化反応速度が極めて遅くなることがあり、またそれが20質量%を越えると、触媒効果が飽和し、特段の効果の向上が認められないことがある。
本発明方法に用いられるニッケル触媒としては、ニッケル珪藻土触媒などを例示できる。このニッケル珪藻土触媒中のニッケルの含有量は、通常、30〜60質量%である。
本発明方法の反応系に含まれるニッケル触媒の触媒量は、通常、前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルの質量に対して5〜40質量%である。
本発明方法の反応系に含まれるニッケル触媒の触媒量は、通常、前記一般式(2)で表されるビフェニルテトラカルボン酸エステルの質量に対して5〜40質量%である。
本発明方法の水素による水素化反応は、常圧でも反応は進行するが、反応速度を高くするために加圧下で水素化することが好ましく、水素圧は0.5〜10MPaであることが好ましく、さらに好ましくは、1.0〜5.0MPaである。水素圧が0.5MPa未満であると、水素化反応速度が極めて遅くなり、未反応のビフェニルテトラカルボン酸エステルの残存量が増大することがあり、また、それが10MPaより大きい場合は、副生成物としてビシクロヘキシルテトラカルボン酸エステルなどの過水素化生成物の生成量が増加することがある。
本発明方法において、水素化反応温度は、70〜170℃であることが好ましい。温度が70℃未満の場合は、反応速度が極めて遅くなり未反応のビフェニルテトラカルボン酸エステルの残存量が増大することがあり、また、それが、170℃より高い場合は、副生成物の生成量が増加することがある。
反応の進行状態は、反応系中の水素吸収量を、圧力計を用いて求めることにより判断することができる。過水素化物の生成量を少なくするためには、水素吸収量が理論量の100〜120%に達したら、反応系を冷却することが好ましい。水素吸収量が理論量の100%より少ない状態で反応を停止すると、未反応のビフェニルテトラカルボン酸エステルが残存し易く、この残存化合物を、目的化合物である前記一般式(1)で表されるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルから分離することが困難となることがある。水素吸収量が理論量の120%より多い場合は、過水素化物であるビシクロヘキシルテトラカルボン酸エステルの生成量が過大になることがある。
前記の好適反応条件により水素化反応が行われる場合、反応時間は0.5〜20時間で十分である。
前記の好適反応条件により水素化反応が行われる場合、反応時間は0.5〜20時間で十分である。
反応終了の後、反応系から触媒をろ別した後、反応液を減圧下に濃縮し、冷却することにより、簡便に、無機塩の含有量の少ない高純度のシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルを得ることができる。また、この場合、環境負荷が大きい含塩廃水も生成しない。
上記の本発明方法により得られる前記一般式(1)で表されるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは、それを加水分解してシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸とし、さらに脱水することにより、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物に変換することができる。また、前記一般式(1)で表されるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは、それを低沸点カルボン酸無水物の存在下に、生成する低沸点カルボン酸エステルを除去しながら加熱する方法によっても、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物に変換することができる。
シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸及びシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物は、加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミドの前駆体として有用である。
シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸及びシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物は、加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミドの前駆体として有用である。
実施例
本発明を下記実施例により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
下記実施例において、ビフェニルテトラカルボン酸エステル、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル、ビシクロヘキシルテトラカルボン酸エステルの含有量は、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルの同定は、1H−NMR、IR、MSなどにより行った。
またシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。
本発明を下記実施例により更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
下記実施例において、ビフェニルテトラカルボン酸エステル、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル、ビシクロヘキシルテトラカルボン酸エステルの含有量は、キャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルの同定は、1H−NMR、IR、MSなどにより行った。
またシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸、シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の含有量は、高速液体クロマトグラフィーにより分析した。
(1)キャピラリーガスクロマトグラフィー…HEWLETT PACKARD社製 HP6890
カラム:J&W社製DB−1(内径0.25mm×30m;膜厚0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム,28cm/秒
検出器:FID
インジェクション温度:250℃
カラム温度:200℃−5℃/分−300℃(10分保持)
検出器温度:300℃
スプリット比:100/1
(2)NMR…Bruker社製 1H/13C NMR(250/63MHz)、CDCl3
(3)IR…PERKIN ELMER社製 FT−IR、KBr錠剤法
(4)GC−MS…HEWLETT PACKARD社製 HP6890−HP5973
カラム:HP−5MS(内径0.25mm×30m;膜厚0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム, 28cm/秒
インジェクション温度:250℃
カラム温度:200℃−5℃/分−300℃(10分保持)
検出器温度:300℃
スプリット比:100/1
(5)高速液体クログラフィー
カラム:YMC−Pack ODS−A A−312(内径6.0mm×150mm;シリカ粒子径5μm,細孔径12nm)
温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/(0.1%リン酸+0.04%トリエチルアミン)水溶液=90/10(容量比)
流速:1.0ml/min
検出器:UV,273nm
〔実施例1〕
カラム:J&W社製DB−1(内径0.25mm×30m;膜厚0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム,28cm/秒
検出器:FID
インジェクション温度:250℃
カラム温度:200℃−5℃/分−300℃(10分保持)
検出器温度:300℃
スプリット比:100/1
(2)NMR…Bruker社製 1H/13C NMR(250/63MHz)、CDCl3
(3)IR…PERKIN ELMER社製 FT−IR、KBr錠剤法
(4)GC−MS…HEWLETT PACKARD社製 HP6890−HP5973
カラム:HP−5MS(内径0.25mm×30m;膜厚0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム, 28cm/秒
インジェクション温度:250℃
カラム温度:200℃−5℃/分−300℃(10分保持)
検出器温度:300℃
スプリット比:100/1
(5)高速液体クログラフィー
カラム:YMC−Pack ODS−A A−312(内径6.0mm×150mm;シリカ粒子径5μm,細孔径12nm)
温度:40℃
溶離液:アセトニトリル/(0.1%リン酸+0.04%トリエチルアミン)水溶液=90/10(容量比)
流速:1.0ml/min
検出器:UV,273nm
〔実施例1〕
3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸テトラメチル(CPTM)の製造
2リットル攪拌機付オートクレーブに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、BPTMと記載)200g(0.518mol)、5%パラジウム−炭素43.2g(含水率53.1%)、及び2−プロパノール865gを仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素圧0.3MPaで3回、続いて水素圧0.3MPaで3回置換した。オートクレーブ内の水素圧を3.5MPaに保ちつつ、加熱攪拌を開始し、105℃まで昇温し、さらに加熱攪拌を続けた。加熱開始から5時間後に水素吸収が理論量に達したので加熱を停止した。反応系を室温まで冷却後、オートクレーブ内の圧力を常圧に戻し、反応混合液から触媒をろ過除去した。得られた反応液をキャピラリーガスクロマトグラフィーで分析したところ、含有化合物の含有量は、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、CPTMと記す):90%、BPTM:0%、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、BCTM):9%であった。この反応液を減圧下に、もとの質量の58質量%まで濃縮し、20℃で攪拌し、晶析させた。析出した結晶をろ過して採取した後、これを減圧下に加熱乾燥して、CPTM:126gを得た。得られたCPTMをキャピラリーガスクロマトグラフィーで分析したところ、立体異性体に由来する3本のピークが観察され、各ピークの面積百分率は86%、8%、及び6%であった。前記キャビラリーガスクロマトグラフィーチャートを図1に示す。
(1)融点:78.5〜80
(2)IRスペクトル(KBr錠剤法):
1724cm-1(νC=O)
(3)1H−NMRスペクトル:
δ(ppm)1.3〜2.4(m、2H、シクロヘキサン環メチレン水素)、2.6(m、2H、カルボキシメチル基結合メチン水素)、3.3(m、1H、フェニル基結合メチン水素)、3.6(d、6H、シクロヘキサン側エステルメチル水素)、3.8(d、6H、芳香環側エステルメチル水素)、7.3〜7.7(m、3H、芳香環水素)
(4)GC−MS:
392(M+)
上記1H−NMRスペクトルチャートを図2に示す。
〔実施例2〕
2リットル攪拌機付オートクレーブに、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、BPTMと記載)200g(0.518mol)、5%パラジウム−炭素43.2g(含水率53.1%)、及び2−プロパノール865gを仕込み、オートクレーブ内の空気を窒素圧0.3MPaで3回、続いて水素圧0.3MPaで3回置換した。オートクレーブ内の水素圧を3.5MPaに保ちつつ、加熱攪拌を開始し、105℃まで昇温し、さらに加熱攪拌を続けた。加熱開始から5時間後に水素吸収が理論量に達したので加熱を停止した。反応系を室温まで冷却後、オートクレーブ内の圧力を常圧に戻し、反応混合液から触媒をろ過除去した。得られた反応液をキャピラリーガスクロマトグラフィーで分析したところ、含有化合物の含有量は、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、CPTMと記す):90%、BPTM:0%、3,3’,4,4’−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸テトラメチル(以下、BCTM):9%であった。この反応液を減圧下に、もとの質量の58質量%まで濃縮し、20℃で攪拌し、晶析させた。析出した結晶をろ過して採取した後、これを減圧下に加熱乾燥して、CPTM:126gを得た。得られたCPTMをキャピラリーガスクロマトグラフィーで分析したところ、立体異性体に由来する3本のピークが観察され、各ピークの面積百分率は86%、8%、及び6%であった。前記キャビラリーガスクロマトグラフィーチャートを図1に示す。
(1)融点:78.5〜80
(2)IRスペクトル(KBr錠剤法):
1724cm-1(νC=O)
(3)1H−NMRスペクトル:
δ(ppm)1.3〜2.4(m、2H、シクロヘキサン環メチレン水素)、2.6(m、2H、カルボキシメチル基結合メチン水素)、3.3(m、1H、フェニル基結合メチン水素)、3.6(d、6H、シクロヘキサン側エステルメチル水素)、3.8(d、6H、芳香環側エステルメチル水素)、7.3〜7.7(m、3H、芳香環水素)
(4)GC−MS:
392(M+)
上記1H−NMRスペクトルチャートを図2に示す。
〔実施例2〕
実施例1と同様にしてCPTMを製造した。但し、300ml攪拌機付オートクレーブ中において、BPTMの添加量を5.0gとし、触媒として5%ルテニウム−炭素0.48g(含水率48.1%)を用い、2−プロパノールの添加量を44gとし、水素圧を3.3MPaに、かつ反応温度を100℃に変更した。加熱開始から1.2時間後に、水素吸収が理論量の110%に達し、加熱を停止した。反応液をキャピラリーガスクログラフィーで分析したところ、含有化合物の含有量は、CPTM:33%、BPTM:49%、BCTM:18%であった。
〔実施例3〕
〔実施例3〕
実施例1と同様にして、CPTMを製造した。但し、300ml攪拌機付オートクレーブを用い、BPTMの添加量を7.0gとし、触媒として5%ロジウム−炭素0.72g(含水率48.5%)を用い、2−プロパノールの添加量を63gとし、水素圧を3.6MPaに、また反応温度を100℃に変更した。加熱開始から0.7時間後に水素吸収が理論量の110%に達し、加熱を停止した。反応液をキャピラリーガスクログラフィーで分析したところ、含有化合物の含有量は、CPTM:54%、BPTM:6%、BCTM:40%であった。
〔実施例4〕
〔実施例4〕
実施例1と同様にしてCPTMを製造した。但し、300ml攪拌機付オートクレーブを用い、BPTMの添加量を10gにし、触媒をニッケル−珪藻土3.0gを用い、2−プロパノールの添加量を90gにし、水素圧を3.5MPaに、また反応温度を165℃に変更した。加熱開始から6.5時間後に水素吸収が理論量の110%に達し、加熱を停止した。反応液をキャピラリーガスクログラフィーで分析したところ、含有化合物の含有量は、CPTM:85%、BPTM:0%、BCTM:15%であった。
〔参考例1〕
〔参考例1〕
3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸の合成
500mlの反応容器に、CPTM39.2g(0.10mol)、水酸化ナトリウム17.6g(0.44mol)、蒸留水350mlを仕込み、この反応系の温度を昇温し、2時間還流した。得られた反応液を冷却後、中性分を除去するために、これにトルエンを50g添加して3回洗浄した。混合液中の水層に3%硫酸水溶液900gを添加した後、これを酢酸エチル500mlで抽出し、蒸留水100mlで水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸29.5gを得た。その収率は88.0%であり、純度は98.6%であった。
〔参考例2〕
500mlの反応容器に、CPTM39.2g(0.10mol)、水酸化ナトリウム17.6g(0.44mol)、蒸留水350mlを仕込み、この反応系の温度を昇温し、2時間還流した。得られた反応液を冷却後、中性分を除去するために、これにトルエンを50g添加して3回洗浄した。混合液中の水層に3%硫酸水溶液900gを添加した後、これを酢酸エチル500mlで抽出し、蒸留水100mlで水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸29.5gを得た。その収率は88.0%であり、純度は98.6%であった。
〔参考例2〕
3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の合成1
100mlの反応容器中に、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸29.5g(0.09mol)と、無水酢酸45.4g(0.45mol)とを仕込み、この混合液を昇温し、2時間還流した。得られた反応液を濃縮、乾燥し、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物22.8gを得た。その収率は85.1%であり、純度は99.7%であった。
〔参考例3〕
100mlの反応容器中に、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸29.5g(0.09mol)と、無水酢酸45.4g(0.45mol)とを仕込み、この混合液を昇温し、2時間還流した。得られた反応液を濃縮、乾燥し、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物22.8gを得た。その収率は85.1%であり、純度は99.7%であった。
〔参考例3〕
3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の合成2
精留塔を取付けた200mlの反応器中に、CPTM39.2g(0.10mol)と、酢酸27.0g(0.45mol)と、パラトルエンスルホン酸13.3g(0.07mol)、キシレン100mlとを仕込み、この混合液を徐々に昇温した。すなわち、混合物から低い沸点を有する酢酸メチルを反応系外に除去しながら、それを140℃まで昇温し、この温度で8時間熟成した。生成物を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の生成率は91.4%であった。
精留塔を取付けた200mlの反応器中に、CPTM39.2g(0.10mol)と、酢酸27.0g(0.45mol)と、パラトルエンスルホン酸13.3g(0.07mol)、キシレン100mlとを仕込み、この混合液を徐々に昇温した。すなわち、混合物から低い沸点を有する酢酸メチルを反応系外に除去しながら、それを140℃まで昇温し、この温度で8時間熟成した。生成物を液体クロマトグラフィーで分析したところ、3,3’,4,4’−シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物の生成率は91.4%であった。
本発明の一般式(1)のシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルは、加工性や透明性が良好で、かつ耐熱性や機械的強度にも優れたポリイミドの前駆体として有用なシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物及びシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸を、簡便な分離操作で、かつ廃水など環境への負荷を少なくして製造できる原料として有用である。本発明のシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステルから得られるシクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸二無水物は無機塩などの不純物が微量であるため、電子材料として使用されるポリイミドの原料モノマーとして好適である。
Claims (2)
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JP2003337639A JP2005104867A (ja) | 2003-09-29 | 2003-09-29 | シクロヘキシルフェニルテトラカルボン酸エステル及びその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2007314435A (ja) * | 2006-05-23 | 2007-12-06 | Mitsubishi Chemicals Corp | テトラカルボン酸類またはこれらから誘導されるポリエステルイミド及びその製造方法 |
WO2010038633A1 (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-08 | 富士フイルム株式会社 | ジシクロヘキサン誘導体の製造方法 |
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2003
- 2003-09-29 JP JP2003337639A patent/JP2005104867A/ja active Pending
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