JP2005103389A - ヒドラジン類分解触媒及びヒドラジン含有ガスの分解処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒドラジン含有ガス、特にヒドラジン含有水蒸気中のヒドラジンを処理する触媒およびヒドラジン含有ガスの分解処理方法を提供する。
【解決手段】ヒドラジン含有ガス中のヒドラジンを処理する触媒としてA成分:Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物、B成分:V,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物、C成分:Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物を含有することを特徴とするヒドラジン類分解触媒及びヒドラジン含有ガスの分解処理方法。
【選択図】なし
【解決手段】ヒドラジン含有ガス中のヒドラジンを処理する触媒としてA成分:Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物、B成分:V,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物、C成分:Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物を含有することを特徴とするヒドラジン類分解触媒及びヒドラジン含有ガスの分解処理方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、各種ガス中に含まれるヒドラジン類を無害な窒素と水に分解する触媒及びその触媒を用いたヒドラジン類の分解処理方法に関する。具体的には、水蒸気中に含有されるヒドラジン類の分解処理方法及びそれに利用する触媒に関する。
ヒドラジン類はヒドラジン製造工程、合成樹脂やゴム薬品、医薬品等の製造工程の排ガス中に含有されており、さらに水蒸気中に含まれている。水蒸気中にヒドラジンが存在するのは以下の理由による。ヒドラジンはボイラーで水蒸気を発生させる際に、水中の溶存酸素が配管等の腐食の原因となるため、配管等の腐食を抑制するために、水に脱酸素剤としてヒドラジン等が添加されている。この添加されたヒドラジンの一部がボイラーで発生した水蒸気ととも排出されるのである。ヒドラジンは厚生労働省から「変異原性が認められた化学物質」に指定されており、またACGIHよりA2(ヒトに対する発ガン性が疑われる物質)に指定されているように人体に対して有害な物質である。従って上記の様にあらゆる工程から排出されたヒドラジンは処理する必要があるが、特に水蒸気中のヒドラジンは処理する必要がある。このヒドラジンを含む水蒸気は各種食品や医療用の滅菌ガスに使用されており、また工業的に多く使用されている。以上の理由から水蒸気中に含まれるヒドラジンを除去する技術が求められている。
例えば、特開平10−180042号公報明細書にはヒドラジン含有水蒸気の処理に使用する触媒として、銅、鉄、亜鉛、コバルト、モリブテン、イリジウム、ニッケル、マンガン、クロム、パラジウム、銀、白金及びこれらの化合物、ゼオライト、アルミナ、ヘリパック、ラヒシリング、ディクソンパッキンの少なくとも一種類以上を含む触媒が記載されている(特許文献1参照)。
本発明の目的は各種ガス中に含まれる有害なヒドラジン類を長期に安定して効率的に分解処理する方法及びそれに利用する高性能のヒドラジン分解触媒を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、水蒸気等のガス中のヒドラジン類を特定の触媒と接触させることにより、環境や人体に悪影響を与えないレベルまで長期に安定してヒドラジン類を除去できることを見いだし、本発明の完成に至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)下記A成分と、B成分及び/又はC成分とを含有することを特徴とするヒドラジン分解触媒。
A成分:Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物、
B成分:V,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物、
C成分:Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物。
(2)A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である上記1記載のヒドラジン類分解触媒。
(3)A成分と、B成分及びC成分とを含有する上記1記載のヒドラジン類分解触媒。
(4)A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0.01〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である上記3記載のヒドラジン類分解触媒。
(5)上記1〜4記載のヒドラジン類分解触媒にヒドラジン類含有ガスを接触させることを特徴とするヒドラジン類の分解処理方法。
(6)ヒドラジン類含有ガス中の酸素濃度がヒドラジン類濃度の2倍以上に調整する上記5記載のヒドラジン類の分解処理方法。
(7)酸素濃度の調整方法がヒドラジン類含有ガス中に酸素又は空気を導入する上記6記載のヒドラジン類の分解処理方法。
(1)下記A成分と、B成分及び/又はC成分とを含有することを特徴とするヒドラジン分解触媒。
A成分:Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物、
B成分:V,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物、
C成分:Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物。
(2)A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である上記1記載のヒドラジン類分解触媒。
(3)A成分と、B成分及びC成分とを含有する上記1記載のヒドラジン類分解触媒。
(4)A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0.01〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である上記3記載のヒドラジン類分解触媒。
(5)上記1〜4記載のヒドラジン類分解触媒にヒドラジン類含有ガスを接触させることを特徴とするヒドラジン類の分解処理方法。
(6)ヒドラジン類含有ガス中の酸素濃度がヒドラジン類濃度の2倍以上に調整する上記5記載のヒドラジン類の分解処理方法。
(7)酸素濃度の調整方法がヒドラジン類含有ガス中に酸素又は空気を導入する上記6記載のヒドラジン類の分解処理方法。
本発明のヒドラジン類分解触媒及びヒドラジン含有ガスの分解処理方法を用いることにより、環境や人体に悪影響なヒドラジン類含有ガス中(水蒸気中)のヒドラジン類を処理することが可能となり、無害なガス(水蒸気)を得ることができる。また、空気又は酸素を添加することにより、より効果的にガス(水蒸気)中からヒドラジンを除去できる。本発明によりガス(水蒸気)中からヒドラジンを除去できるので、環境破壊や人体へ健康被害等の問題を解決することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用する触媒は、触媒A成分として、Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物及び触媒B成分としてV,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物を含有する触媒である。好ましくは、A成分及びB成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0.01〜19.99質量%の範囲の量(ただし、A成分及びB成分の合計質量は100質量%である) 含有する触媒である。
本発明で使用する別の触媒は、前記触媒A成分及び触媒C成分として、Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物を含有する触媒である。好ましくは、A成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分及びC成分の合計質量は100質量%である) 含有する触媒である。
本発明で使用する別の触媒は、前記A成分、前記B成分及び前記C成分を含有する触媒である。好ましくは、A成分、B成分およびC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分およびC成分の合計質量は100質量%である) 含有する触媒である。
本発明での各元素の出発原料は酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などどのような形態をしていてもよい。また触媒の形状は球状、円筒状、円柱状、ペレット状、ハニカム状等のものを使用できる。また、A,B,C成分はコージェライトやムライトなどの担体に担持して使用してもよい。
本発明が対象とするヒドラジン類とはヒドラジン、ジメチルヒドラジンなどをあげることができる。特にヒドラジンにおいて有効である。またヒドラジン類以外にも一酸化炭素や炭化水素、含窒素化合物を同時に含むものであってもよい。
本発明はヒドラジン濃度がppbという極低濃度から数%(5%)という高濃度まで処理可能である。高濃度の場合、通常の汎用触媒(例:特開平10−180042)では窒素酸化物を多量に発生するが、本発明の触媒(A+B+C成分)を用いることによりほとんど窒素酸化物を生成せずに窒素へ分解することができる。もちろん低濃度の場合は上記3タイプのどの触媒を用いても処理できる。
本発明ではヒドラジン含有ガスを触媒と接触させ、ガス中のヒドラジンを除去する際の条件としては空間速度(以下、SVと記す)が1000 〜100000 hr−1 が好ましい。SVが1000 hr−1 未満では、ガス中のヒドラジンを十分除去できるものの、使用する触媒量が多量になりコスト高になり好ましくない。また、SVが100000 hr−1 を超えると、ヒドラジンの分解効率が充分ではないため好ましくない。
触媒を長時間、安定して高効率を維持するためには、ヒドラジン含有ガス中の酸素濃度をヒドラジン類濃度の2倍以上に調整することが好ましい。酸素の調整方法は空気又は酸素を導入することが好ましい。
ガス中の酸素濃度が2倍未満であるとヒドラジンとの接触効率が低く、ヒドラジンの分解反応が進行しにくいため処理効率が低くなるため好ましくない。また、原ガス中に酸素が充分含まれている場合は空気などを添加する必要はないが、水蒸気中のヒドラジンを処理する場合は酸素がほとんど含まれていないので空気などを添加することが好ましい。その際の酸素濃度はヒドラジン類濃度の2倍以上3000倍未満が好ましい。3000倍を超えると高効率に除去できるものの、ガス量が増加し、触媒量が増加するためコスト的に好ましくない。
ヒドラジン含有水蒸気中に空気又は酸素を添加すると、配管等の腐食の原因となるので、空気又は酸素を触媒のできるだけ近い上流側に添加するのが好ましい。
また、空気又は酸素の添加付近を特殊な材質(インコネル、ハステロイやチタンなど)を用いることもできる。
また、空気又は酸素の添加付近を特殊な材質(インコネル、ハステロイやチタンなど)を用いることもできる。
水蒸気中に空気又は酸素を添加する方法としては、水蒸気の流れに対して並流でも向流のどちらでも良い。空気又は酸素が存在することにより、ヒドラジンが容易に分解されることになる。また、処理温度は50〜200℃が好ましく、圧力は特に制限するものではない。
本発明で用いる反応器としては固定層が挙げられるがこれに限定するものではない。反応器は水蒸気配管の途中に取り付け、水蒸気中のヒドラジンの処理を行う方法が挙げられる。この様にすることによりどのような場所にも容易に取りつけることが可能となるため好ましい。反応器の加熱は水蒸気の温度が充分にある場合は不要であるが、分解に不充分な場合は加熱すればよい。
本発明の方法はヒドラジンを含むガス、特にヒドラジン含有水蒸気中の有害なヒドラジンを無害化するのに好適に利用できる。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。なお、本発明の水蒸気中のヒドラジンの含有量は、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド吸光光度法で水蒸気の凝集水中ヒドラジンを定量する方法で測定した。
実施例1
N2H4 20ppmを溶解したイオン交換水227mL/hを昇温ガス化させ(ガス換算 282.5NL/h)、Air 31.4NL/hを混合したをガスを100℃に昇温した市販のPt触媒(商品名:日本触媒製 AP−CH702 使用量31.4mL SV=10000h−1)を流通させたところ、触媒出口でN2H4は検出されなかった。
実施例2
N2H4 20ppmを溶解したイオン交換水252mL/hを昇温ガス化させ(ガス換算 314NL/h)、Air 15.6NL/hを混合したをガスを150℃に昇温した市販のPt触媒(商品名:日本触媒製 AP−CH702 使用量31.4mL SV=10500h−1)を流通させたところ、触媒出口でN2H4は検出されなかった。
実施例1
N2H4 20ppmを溶解したイオン交換水227mL/hを昇温ガス化させ(ガス換算 282.5NL/h)、Air 31.4NL/hを混合したをガスを100℃に昇温した市販のPt触媒(商品名:日本触媒製 AP−CH702 使用量31.4mL SV=10000h−1)を流通させたところ、触媒出口でN2H4は検出されなかった。
実施例2
N2H4 20ppmを溶解したイオン交換水252mL/hを昇温ガス化させ(ガス換算 314NL/h)、Air 15.6NL/hを混合したをガスを150℃に昇温した市販のPt触媒(商品名:日本触媒製 AP−CH702 使用量31.4mL SV=10500h−1)を流通させたところ、触媒出口でN2H4は検出されなかった。
Claims (7)
- 下記A成分と、B成分及び/又はC成分とを含有することを特徴とするヒドラジン分解触媒。
A成分:Al,Ti,Si,Zrからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属酸化物、
B成分:V,W,Mo,Ce,Mn,Cu,Fe,Cr からなる群より選ばれた少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物、
C成分:Pt,Pd,Rh,Irからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属及び/又はその金属酸化物。 - A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である請求項1記載のヒドラジン類分解触媒。
- A成分と、B成分及びC成分とを含有する請求項1記載のヒドラジン類分解触媒。
- A成分、B成分及びC成分の合計質量において、A成分が酸化物として80〜99.99質量%の範囲、B成分が酸化物として0.01〜19.99質量%の範囲、C成分が金属として0.01〜2質量%の範囲の量(ただし、A成分、B成分及びC成分の合計質量は100質量%である)である請求項3記載のヒドラジン類分解触媒。
- 請求項1〜4記載のヒドラジン類分解触媒にヒドラジン類含有ガスを接触させることを特徴とするヒドラジン類の分解処理方法。
- ヒドラジン類含有ガス中の酸素濃度がヒドラジン類濃度の2倍以上に調整する請求項5記載のヒドラジン類の分解処理方法。
- 酸素濃度の調整方法がヒドラジン類含有ガス中に酸素又は空気を導入する請求項6記載のヒドラジン類の分解処理方法。
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---|---|---|---|---|
JP2007269529A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Toyota Tsusho Corp | 水素製造装置 |
JP2007269514A (ja) * | 2006-03-30 | 2007-10-18 | Toyota Tsusho Corp | 水素製造方法および水素製造装置 |
WO2012109846A1 (zh) * | 2011-02-14 | 2012-08-23 | 东南大学 | 一种用于肼降解催化剂的制备和应用方法 |
CN107649124A (zh) * | 2016-07-25 | 2018-02-02 | 中国科学院大连化学物理研究所 | 一种单原子分散贵金属催化剂及其应用 |
-
2003
- 2003-09-29 JP JP2003338073A patent/JP2005103389A/ja active Pending
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