次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインの全体左側面図、図2は同じく全体平面図、図3は同じく全体右側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図、図5はエンジンから排出オーガまでの動力伝達経路を示す模式図、図6はグレンタンク底部の正面図、図7は同じく平面図、図8は同じく一部斜視図、図9は別形態のグレンタンクの正面図、図10は図9における一部拡大図、図11はグレンタンクの右側面断面図、図12は篩分装置の配置例を示した脱穀装置の後部側面図、図13は篩分装置の配置例を示した脱穀装置の後部側面図、図14は同じく平面図、図15は篩分装置の構造を示す側面図、図16は同じく斜視図、図17は揺動選別装置の右側面模式図、図18は同じく斜視図、図19は揺動選別装置の脱着時における篩分装置の状態示す左側面図、図20は選別部の後部左側面図、図21はシール部材の展開図、図22は同じく斜視図、図23は吸引ファンの左側面断面図、図24は同じく後面図、図25は吸入ガイド体の斜視図、図26は下案内板の斜視図、図27は穀稈搬送装置の側面図、図28は挟扼杆を示す側面図、図29は同じく後部拡大図、図30はフィードチェーンフレームの構成を示す側面図、図31はフィードチェーンフレームのロック機構を示す平面図、図32はフィードチェーンフレーム後部の構成を示す側面図、図33は開時ロック装置を示す平面一部断面図、図34は図33におけるA−A矢視断面図、図35はプレガイドを示す側面図、図36は同じく正面図、図37は受け継ぎガイドを示す側面図、図38は図37における矢印Bの方向から見た受け継ぎガイドを示す図、図39は図37における矢印Cの方向から見た受け継ぎガイドを示す図、図40は扱胴供給始端部の構成を示す斜視図、図41は扱胴を取り外した状態の扱室内部の構成を示す斜視図、図42はリード板の構成を示す拡大斜視図、図43は扱室を示す正面図、図44は受網を示す展開図、図45は扱胴下方を示す正面図、図46は受網の位置調整部を示す正面図、図47は手前網押えを示す正面一部断面図、図48はコンバイン左後部を示す平面図、図49は排藁搬送装置を示す側面図、図50は排藁搬送装置の前工程側を示す斜視図、図51は同じく平面図、図52は図49における矢印Eの方向から見たリンク機構を示す平面図、図53は図49における矢印Dの方向から見たリンク機構を示す側面図、図54は排藁搬送チェーン後端部を示す側面図、図55は排藁搬送チェーン後端部を示す平面図、図56はチェーンガイドを示す横断面図、図57は排藁安全シャッタを示すコンバイン後部の左側面図、図58は排藁安全シャッタを示す平面図である。
まず、本発明に係るコンバインの全体構成について、図1から図5を用いて説明する。
クローラ式走行装置1上には機体フレーム2が載置され、該機体フレーム2前端に引起し・刈取部3が昇降可能に配設されている。該引起し・刈取部3は前端に分草板4を突出して穀稈を分草し、その後部に引起しケース5を立設して該引起しケース5より突出したタイン6の回転により穀稈を引き起こし、前記分草板4後部に配設した刈刃7にて株元を刈り取るようにしている。
刈り取られた穀稈は、上部搬送装置、下部搬送装置、縦搬送装置8にて後部へ搬送され、該縦搬送装置8の上端から株元側が穀稈搬送装置170のフィードチェーン9に受け継がれ、扱胴供給始端部280を介して脱穀部20および選別部30からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、該フィードチェーン9後端には排藁搬送チェーン10を備える排藁搬送装置320が配設され、該排藁搬送チェーン10後部下方には排藁カッター装置321、拡散コンベア等からなる排藁処理部11が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
また、前記脱穀部20側部には選別後の精粒を貯留するグレンタンク13が配設され、該グレンタンク13前部には操縦部を覆う運転室14が配設されている。つまり、運転室14は進行方向機体右前方に配置されている。一方、グレンタンク13後部には排出オーガ15の縦オーガ15aが立設され、該縦オーガ15aを中心にして排出オーガ15及びグレンタンク13が側方へ回動可能とし、グレンタンク13を側方へ回動することにより本機内部側に配置した駆動系や油圧系のメンテナンスを容易にしている。
そして、該グレンタンク13の底部には排出コンベア16が前後方向に配設され、該排出コンベア16の後部が縦オーガ15aの下部に連通されるとともに、該排出コンベア16後部から前記排出オーガ15に動力が伝達されて、排出オーガ15先端よりトラック等へグレンタンク13内の穀粒を排出できるようにしている。更に、脱穀部20下方には、選別部30が配設され、脱穀部20から流下する穀粒や藁屑等(以下「処理物」とする)から穀粒を選別し、精粒を前記グレンタンク13に搬送したり、藁屑等を機外に排出したり前記グレンタンク13に搬送するようにしている。
ここで、エンジン60からグレンタンク13および排出オーガ15への駆動力伝達経路について、図5を用いて説明する。
エンジン60の前方出力軸60aは、クローラ式走行装置1を駆動するための走行用ミッションケース61の入力軸と連結され、クローラ式走行装置1へ駆動力を伝達する。一方、後方出力軸60bには、脱穀部20や選別部30へ駆動力を伝達するためのプーリ62と、グレンタンク13および排出オーガ15へ駆動力を伝達するためのプーリ63とが嵌設されている。該プーリ62は、カウンターケース108から突出する入力軸108aに固設された入力プーリ109にVベルト110を介して連結され、該カウンターケース108の入力軸108aにエンジン60の駆動力の一部が伝達されるようにしている。こうして、エンジン60からの動力をカウンターケース108を介して各処理系に伝達し、扱胴22や唐箕32、一番コンベア41、フィードチェーン9、引起し・刈取部3の搬送装置や刈刃7等を駆動可能としている。カウンターケース108は各処理系へ適正速度を分配可能とするものであり、図2に示すように、エンジン60の左側方、且つ脱穀部20の前方に配設されている。
また、グレンタンク13の底部前面はエンジン60の略後方に位置し、該グレンタンク13の底部前壁面13aには駆動部となる駆動ケース64が配設されている。そして、駆動ケース入力軸65が駆動ケース64から機体前方へ突出し、駆動ケース入力軸65の前端にはプーリ66が嵌設される。
前記後方出力軸60b後端に嵌設されたプーリ63と、駆動ケース入力軸65前端に嵌設されたプーリ66とにVベルト67が巻回され、エンジン60の駆動力の一部が駆動ケース64の入力軸65に伝達される。
また、プーリ63とプーリ66の間には、Vベルト67のテンションプーリを兼ねるオーガクラッチ68が設けられ、駆動力を駆動ケース64より下流側へ伝達・遮断可能に構成される。
駆動ケース64内には互いに噛合する平歯車69a・69bが収納されており、平歯車69aは駆動ケース64に軸支された前記入力軸65の後端に外嵌固定され、平歯車69bは排出コンベア16の前端に嵌設された回転軸であるコンベア駆動軸70に外嵌固定される。
排出コンベア16の後端にはベベルギア71が嵌設され、縦オーガ15a内のスクリュー式の縦送りコンベア72下端に嵌設されたベベルギア73と噛合している。一方、縦送りコンベア72上端にはベベルギア74が嵌設され、該ベベルギア74と噛合するベベルギア75、チェーンやスプロケットを内設する中間ケース76、続いてベベルギア77・78を経て穀粒排出オーガ15内のスクリュー式の横送りコンベア79を回転駆動する。
このように構成することにより、グレンタンク13に貯溜された穀物は排出コンベア16により後方に搬送され、グレンタンク13後方に位置する縦オーガ15aを経て、穀粒排出オーガ15先端から強制的に排出される。
続いて、グレンタンク13底部の振動機構について、図6から図8を用いて説明する。なお、図7は便宜上排出コンベア16、および後述するコンベアカバー92を省略している。
グレンタンク13の前下部には駆動ケース64が配置され、駆動ケース64の内部には、前述した平歯車69a・69bの他に、従動板81および該従動板81の回動中心軸である駆動支軸82等が設けられている。従動板81は、その一端が前記駆動支軸82に固設され、他端側には楕円形状のカム孔81aが穿設されている。一方、前記排出コンベア16の回転軸であるコンベア駆動軸(偏心軸)70の前端には平歯車69bと円盤形状の偏心カム83とが互いの盤面が略平行に外嵌固定されている。このとき、該偏心カム83の盤面の中心軸とコンベア駆動軸70の回転軸とは一致しない(すなわち、コンベア駆動軸70の回転軸に対して偏心カム83が偏心して取り付けられている)ように配置されるとともに、偏心カム83が前記従動板81に穿設されたカム孔81aに内挿されている。
一方、駆動パイプ84はグレンタンク13の前後方向に横架され、その前端は前記駆動支軸82に嵌設固定されるとともに、後端はグレンタンク13の底部後壁面13bに固設された支持ボックス85に回転自在に軸支された枢支軸85aに嵌設される。該駆動パイプ84の前端および後端にはそれぞれ揺動アーム86a・86bの一端が固設される。該揺動アーム86a・86bは図5に示す如く側面視「へ」字状に形成され、その他端間に貫通軸87が架設される。但し、駆動パイプ84と駆動支軸82と枢支軸85aは一体的に構成することができる。
そして、前記貫通軸87には可動板88が枢支される。可動板88は複数、本実施例においては前後方向に4分割された4枚の流穀板89・89・89・89からなり、各流穀板89は弾性を有する合成樹脂部材により形成されて、落下時の衝撃や滑り落ちる時の摩擦等による穀粒の損傷を防止している。各流穀板89の下側端部にはボス部89aが形成されており、該ボス部89aに貫通軸87が貫通されて、流穀板89が貫通軸87を回動中心として回転自在に支持される。このように貫通軸87に支承された状態で流穀板89・89・89・89が揺動アーム86a・86b間に間隙のないように並設されて、前後に長い略長方形の可動板88が構成されている。なお、揺動アーム86a・86bを貫通する貫通軸87は前後両端に設けられた孔にピン90を挿入することにより抜け止めされている。
このようにして揺動アーム86a・86bに連結された可動板88は、グレンタンク13の正面視略谷型の底部を形成する底面13c・13d・13eのうち、傾斜角度が小さく、面積が最も大きい底面13e上に載置される。該底面13eの下部は階段状に形成されており、その下部における下方に凹んだ段部13fにおける排出コンベア16側方の上部空間に前記流穀板89のボス部89aを配置し、穀粒が可動板88上から排出コンベア16に向かって流下する際にボス部89aが邪魔にならないようにし、流穀板89を揺動させるときの邪魔にもならないようにしている。
また、前記ボス部89aが形成されている端部の反対側となる上側の各流穀板89の上面端部と当接するように押さえ板91がグレンタンク13の左壁面13gに取り付けられている。該押さえ板91は後面視板体を「へ」字状に折り曲げて、一方を壁面13gに固定し、他方を流穀板89の面に合わせて端部上に載置し、該流穀板89の揺動幅よりも長く構成している。こうして該押さえ板91は、可動板88が揺動する際に可動板88が浮き上がらないように、可動板88を下方に押え付けると共に、可動板88の上縁部と、グレンタンク13の左壁面13gとの間の隙間が確実に閉塞されるようにしている。これにより、グレンタンク13内を流下する穀粒を、押さえ板91上から、可動板88の流穀板89・89上を排出コンベア16に向かって流下させ、流穀板89と底面13eの間に穀粒が挟まらないようにしている。
また、図5に示すように、排出コンベア16の略上方には、正面視傘型のコンベアカバー92が配置され、その長手方向の両端をグレンタンク13の底部前壁面13aおよび底部後壁面13bに固定される。グレンタンク13が排出コンベア16を作動させて穀粒を排出するときは、該グレンタンク13内を流下する穀粒の流れがコンベアカバー92により正面視で左右に分けられ、排出コンベア16に穀粒の荷重が真上からかからないので、排出コンベア16の負荷および穀粒の損傷を軽減することが可能である。
以上のように構成することにより、駆動ケース64に駆動力が伝達されると、コンベア駆動軸70が回転して排出コンベア16が回転駆動するとともに、偏心カム83も回転する。このとき、偏心カム83の端面と、従動板81に穿設された楕円形状のカム孔81aの端面とが当接し、従動板81は駆動ケース64に軸支された駆動支軸82を中心として左右に揺動する。そして、駆動支軸82に嵌設された駆動パイプ84の前後両端より略下方に突設された揺動アーム86a・86bも駆動支軸82を中心として左右に揺動することになり、該揺動アーム86a・86bに貫通軸87を介して連結された可動板88もまた、排出コンベア16に向かって緩い傾斜を持つ底面13eに沿って、傾斜方向に揺動する。
したがって、穀粒が湿材の場合であっても、穀粒は可動板88の揺動によってグレンタンク13下方へ流下し、排出コンベア16に流れ込むので、穀粒の高速搬出が可能となり、且つグレンタンク13の底面の傾斜を緩くして容積を確保しながら、グレンタンク13の全高を抑えることが可能となる。
そして、このような構成において、上述の如く可動板88(流穀板89)の端部にボス部89aを形成し、該ボス部89aに揺動アーム86a・86b間に架設される貫通軸87を貫通して、可動板88と揺動アーム86a・86bを連結する構成としているので、従来の如く可動板と揺動アームとを連結するために蝶番等の連結部材を必要とすることがなく、部品点数の削減と重量の軽減を図ることができる。また、ボルト等による締結部もなくなるので、揺動アームから可動板が外れる心配もなく、信頼性の向上を図ることができる。
また、グレンタンクの容積を大きくする手段として、グレンタンクが有する傾斜面の傾斜を緩くすることが考えられる。しかし、傾斜面の傾斜を緩くすると、穀粒が湿材の場合には、滑り落ち難くなりグレンタンクの内壁面に穀粒が付着して残粒が増加するという問題があることから、従来傾斜面は急傾斜のままとなっている。そこで、傾斜面の傾斜を緩くする代わりにグレンタンクの上部を側方または前方または後方に膨出させて容積を大きくすることが可能であり、例えば、脱穀装置上方に膨出させて容積を大きくして増量タンクを構成することができる。ここでは、図9に示すように、膨出部分(増量タンク)の底部の傾斜面13h上に上側可動板93を配置して揺動させることにより、傾斜面13hの傾斜を緩くしても、穀粒が付着せずに排出コンベア16内に流下することが可能となるため、グレンタンク13の容積を更に大きくすることができる。
この場合、図9および図10に示すように、グレンタンク13の底部に上述の如く下側可動板88を配設した構成において、上側の揺動アーム94a(94b)と下側の揺動アーム86a(86b)とをリンク機構を介して連動連結している。つまり、前記揺動アーム86a(86b)の中途部にリンク95の一端が枢支され、該リンク95の他端が左上方に延出され、上方の膨出部下部の両側に配置した揺動アーム94a(94b)の中途部に枢支されて、上側の揺動アーム94a(94b)と下側の揺動アーム86a(86b)とが連動連結されている。
また、傾斜面13hの下方側に支軸96がグレンタンク13の前後方向に横架され、該支軸96の前端および後端に揺動アーム94a・94bの一端が固設されている。該揺動アーム94a・94bは、支軸96を回動中心として回動可能に支持される。
前記揺動アーム94a・94bの他端側には、貫通軸97を介して可動板93の下部が枢結される。該上側可動板93は、弾性を有する合成樹脂部材からなる複数の流穀板98・98・・・から構成され、各流穀板98に形成されたボス部98aが貫通軸97に枢支されて、前後に長い略長方形に形成される。
そして、前記上側可動板93が前記増量タンクの底部の傾斜面13h上に戴置され、前記ボス部98aが形成されている端部と反対側の流穀板98の上面端部が押さえ板99に当接される。こうして、可動板93が揺動する際に流穀板98が浮き上がらないように、押さえ板99により押え付けることで、可動板93と傾斜面13hとの隙間に穀粒が侵入して、可動板93の揺動を阻害したり、穀粒が損傷したりすることがないようにしている。
このように構成することにより、駆動ケース64に駆動力が伝達されて、揺動アーム86a・86bが駆動支軸82を中心として左右に揺動すると、リンク95により揺動アーム94a・94bおよび該揺動アーム94a・94bの間に架設された貫通軸97も支軸96を中心として左右に揺動する。これにより、貫通連97に枢支された流穀板98もまた、グレンタンク13の下方に向かって傾斜している傾斜面13hに沿って、傾斜方向に揺動する。
したがって、グレンタンク13の底面13e以外の傾斜面13hでも、上側可動板93の揺動により穀粒が流動し易くなるので、穀粒が湿材の場合であっても、内壁面への穀粒の付着を防止して、残粒を減少させることができる。そのため、傾斜面13hを急斜面にする必要なく緩斜面にでき、その分だけ、さらにグレンタンク13の容積を大きくできる。
ところで、上述のごとくグレンタンクの容積を大きくするのではなく、その容積を変えずにグレンタンクおよび該グレンタンクに穀粒を投入する揚穀コンベアの全高を抑え、かつ、穀粒を満量にしたときの充填率(%)を極力大きくしようとするためには、グレンタンクの側壁面から穀粒を投入し、かつグレンタンク内において穀粒投入口から遠い位置から先に穀粒を堆積させていき、グレンタンク内に貯溜された穀粒が満量になったときのグレンタンクの上部空間(穀粒がない部分)が穀粒投入口近傍のみとなることが望ましい。このことから、グレンタンクはその後内壁面の左上部に穀粒投入口を穿設し、揚穀コンベアから投入される穀粒を、グレンタンクの前部および右側部から先に堆積していくように構成されている。ここで、充填率とは、空のグレンタンク内の空間体積を100%としたときに、グレンタンク内の収穫物が占める嵩体積の割合を示すものである。
そのため、穀粒投入口から投入され、グレンタンク内各所に分散して流下された穀粒の堆積面(グレンタンク上部空間と穀粒の最上部との境界を成す面)は、基準水平面(重力の作用する方向に垂直な面)に対して平行にならず、所定の堆積角度(堆積面と基準水平面との成す角度)を有して形成されていくことになる。
よって、グレンタンク内には収穫物検知手段として、例えば近傍における穀粒の有無を検知する静電容積センサからなるグレンセンサが複数配設されるが、すべてのグレンセンサを従来の如くグレンタンクの後内壁面に上下方向に所定間隔を空けて設けると、グレンセンサにより検出した時の穀粒の貯溜量と実際の穀粒の貯溜量とに誤差が発生してしまう。
そこで、図11に示すように、グレンタンク13の後内壁面13jの左上部に穀粒投入口100を穿設して、グレンタンク13と揚穀コンベア44とを連通した構成において、グレンタンク13の穀粒投入側となる穀粒投入口100の下方で後内壁面に第一グレンセンサ101、第四グレンセンサ104、第五グレンセンサ105を上下方向に所定間隔を空けて設け、穀粒投入口100の下部に満量グレンセンサ106を配置している。一方、第二グレンセンサ102及び第三グレンセンサ103をグレンタンク13の左側面(機体内側)に配設された整備用の開口を閉じるハッチ107の内側側面に上下および前後方向に所定間隔を空けて設けている。該ハッチ107の前側に第二グレンセンサ102を配置し、後側に第三グレンセンサ103を配置している。なお、本実施例では収穫物検知手段として、計五個の静電容積センサを用いているが、収穫物検知手段として用いるセンサの種類、個数、取付位置等はこれに限定されるものではない。
このような構成において、グレンタンク13内各所に分散して流下された穀粒の増加に伴い堆積面が、図11における堆積面111aとなると、第一グレンセンサ101により穀粒を検知する。さらにグレンタンク13内の穀粒が増加し、堆積面が順に堆積面112a、堆積面113a、堆積面114a、堆積面115aに変化するに応じて、それぞれ第二グレンセンサ102、第三グレンセンサ103、第四グレンセンサ104、第五グレンセンサ105により穀粒が検知される。
したがって、グレンセンサ101・102・103・104・105の位置が、対応する堆積面に応じた正確な位置となるため、各グレンセンサ101・102・103・104・105により検知された時のグレンタンク13内の穀粒の貯溜量と実際の貯溜量とが略一致して穀粒の充填率を更に正確に検知することが可能となり、充填率を高めてグレンタンク13の容積を十分に利用することができる。また、第二グレンセンサ102及び第三グレンセンサ103はハッチ107の内側側面に配置されているため、メンテナンスが容易なものとなる。
次に、脱穀部20について図4を用いて説明する。
脱穀部20に形成された扱室21には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴22が設けられ、該扱胴22の外周面には扱歯22a・22a・・・が植設されている。そして、該扱胴22の下部周辺を覆うように半円形状の受網23が着脱可能に周設されている。一方、フィードチェーン9により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴22の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴22の回転により脱粒が行われ、受網23から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
前記扱室21を被覆する扱室カバー21aの内周面には送塵弁24が左右幅方向に適宜間隔を開けて設けられ、上下方向の回動支点を中心に回動自在に枢支されている。そして、該送塵弁24を回動操作することにより、穀稈が扱室21内を移動する時間を穀稈の品種や穀稈の状態に合わせて調整することを可能としている。
そして、前記扱胴22の後部の側方(グレンタンク13側、本実施例では機体進行方向右側)から後方には、処理室25が形成され、該処理室25内には略円柱形状に構成した送塵口処理胴26が扱胴22と平行となるように、扱胴22の後部の側方で前後方向に横架・軸支されている。また、扱胴22を覆って扱室21を形成する扱胴ケースの後部(右)側面、及び、送塵口処理胴26を覆って処理室25を形成する処理胴ケースの前部(左)側面には送塵口27が開口され、扱室21と処理室25が連通されている。そして、該送塵口処理胴26の下部周辺を覆うように半円形状の処理胴網28が周設されている。こうして、扱胴22で処理できなかった枝梗付着粒等の未処理物は、送塵口27より処理室25内に搬送されて処理され、前記処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して処理物のみが漏下するようにしている。
また、送塵口処理胴26の後端部の外周面には前後に長い板体より成る羽体26aが固設されている。該羽体26aは、該送塵口処理胴26と一体的に回転し、送塵口処理胴26により処理室25後方まで搬送されてきた藁屑は該羽体26aの回転によって跳ね飛ばされ、送塵口処理胴26の下方に排出され、図示せぬガイド板によって機体外部に案内される。
前記処理胴網28の下方には、送塵搬送コンベア29が前後方向に軸架されている。送塵搬送コンベア29はスクリュー式のコンベアであり、該送塵搬送コンベア29によって、処理胴網28に設けられた孔(網目)を通過して下方に落下してきた処理物は、機体前方(すなわち、送塵口処理胴26の搬送方向とは逆の方向)に向かって搬送されて、送塵搬送コンベア29前端に設けられた排塵口29aより選別部30に再投入される。
そして、前記扱胴22の後方には出口仕切板52が配設され、該出口仕切板52の下部であって扱胴受網23の延長線上後方には篩分装置120が配設されて、稈切れの防止が図られている。
図12に示すように、出口仕切板52には排稈口52aが形成されており、該出口仕切板52は排稈口52aを囲む形状に形成されて、該排稈口52aの下方にも出口仕切板52が存在している。そして、出口仕切板52の排稈口52aの下方に位置する部分に前記篩分装置120が取り付けられている。
前記篩分装置120は側面視において扱胴22と吸引ファン40の間であって、送塵口処理胴26の側方、且つチャフシーブ38を備えた揺動選別装置31の上方に配設されている。そして、篩分装置120は扱胴22の下後端の直ぐ後方に配置されて、扱胴22下方の風路を抜けた選別風が、それよりも広い風路に出るところに位置している。
また、図13に示すように、扱胴22後端に設けられた出口仕切板52が排稈口52aの上方のみに存在する形状の場合には、受網23を固定しているフレーム23aに篩分装置120が取り付けられる。しかし、この場合には篩分装置120が扱胴22後端の直ぐ下方に位置することになるため、扱胴22と篩分装置120との間で詰りが発生してしまうことがある。そこで、篩分装置120を回動自在に支持するフレーム23aにガイド部材121を設け、該ガイド部材121により、処理物を詰まらせることなく篩分装置120に案内することを可能としている。
前記ガイド部材121は、篩板122と略同一の左右幅を有するものであり、後下がりに傾斜した状態で支持部材123の上部に固設され、扱胴22の後端の直ぐ後方付近まで延出されて、該ガイド部材121と篩板122とが略一直線上に位置するように構成されている。
そして、前記篩分装置120は、図14、図15、図16に示すように、機体側に取り付けられて揺動される揺動体と、揺動選別装置31に取り付けられて該揺動体を揺動する揺動駆動部材とからなり、該揺動体はフレーム23a(図4に示す場合では出口仕切板52)に固設された平面視コ字形状の支持部材123に左右水平方向に設けた支軸123aにより揺動(回動)可能に枢支された基部124と、該基部124の上面に取り付けられた櫛状の篩板122と、基部124より後方に延設されたアーム125とで構成されている。
前記アーム125は基部124の左端部に固設され、篩板122と所定間隔を空けて平行に配置されている。こうして、アーム125の上端部125aが篩線の役割を兼ねように構成している。
また、アーム125の左側側面には上下に相対して後述するローラ126aの直径分、離れて配置されるガイド部材125b・125cが側方に突設されている。該ガイド部材125b・125cは側面視「へ」字状に折り曲げて形成され、後側が上下方向に開くように構成されている。そして、該ガイド部材125b・125cの下方にガイド部材125dが固設されている。該ガイド部材125dは下方に突出するように湾曲してソリ状に形成され、最下位置がアーム125より下方に位置するように配置されている。
一方、揺動駆動部材は、揺動選別装置31の左側板31Lに下部を固定された側面視略三角形状のステー126と、該ステー126の上部側面の内側に枢支されたローラ126aから構成されており、該ローラ126aが前記アーム125のガイド部材125b・125cの間に摺動可能に嵌合されている。
このような構成において、揺動選別装置31が揺動することにより該揺動選別装置31に取り付けられたローラ126aが略上下に揺動し、該ローラ126aの揺動を受けてアーム125を介して篩分装置120の基部124が揺動し、即ち篩分装置120が揺動することとなる。そのため、篩分装置120の揺動により処理物から分離された稈切れや抜かれ稈等の藁屑は篩板122から後方へ放出され、チャフシーブ38上に落下することなく吸引ファン40により吸引されることとなる。
そして、篩分装置120をフレーム23aに取り付けた場合には、前記ガイド部材121により処理物を詰まらせることなく篩分装置120まで案内することができる。つまり、出口仕切板52の形状に応じて篩分装置120の取り付け位置を変更しても、ガイド部材121を受網23と篩分装置120との間に設けることにより、受網23と篩分装置120との間に稈切れや藁屑等が詰まることがなく、篩板122の揺動を邪魔することなく、篩分装置120を有効に活用することが可能となる。したがって、一度に多量の穀粒がチャフシーブ38へ搬送される場合や、穀粒が湿材である場合でも、十分に選別処理を行うことができる。
続いて、選別部30について、図4を用いて説明する。
選別部30においては、揺動選別装置31による揺動選別と唐箕32による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
揺動選別装置31は機枠33内に収納される。揺動選別装置31の前端部は扱胴22の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置31の後端部は送塵口処理胴26後端部の下方まで延出されるように揺動選別装置31の前後長さが定められている。そして、揺動選別装置31前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には揺動駆動機構34が設けられ、揺動駆動機構34によって揺動選別装置31が機枠33に対して揺動するように構成されている。なお、該揺動駆動機構34の後下方には燃料タンク59(図20参照)が配置されている。
揺動選別装置31の前部には前流穀板35が設けられるとともに、該前流穀板35の後下方に後流穀板36が設けられる。該前後の流穀板35・36は板状の部材を波形に成形したものであり、受網23を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は前後の流穀板35・36上に落下し、揺動選別装置31の揺動により機体後方に搬送される。そして、前記後流穀板36後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ37が連設されるとともに、該グレンシーブ37と前記後流穀板36の上方、かつ前流穀板35の後方には、第一選別部であるチャフシーブ38が被装されている。チャフシーブ38の後方には、ストローラック39が配設される。
前記チャフシーブ38は複数のチャフフィン38a・38a・・・から構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィン38a・38a・・・の開度を調節することが可能としている。すなわち、図17に示すように、チャフフィン38a・38a・・・の上下一側端部が揺動選別装置31に枢支されて、チャフシーブ38左右両側に設けられた揺動板131に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ38左右両側に設けられた摺動板132に枢結されている。揺動板131は揺動選別装置31と一体的に揺動され、また、摺動板132には調節レバー133が枢結されており、該調節レバー133に連結されたワイヤ134の弛緩又は牽引により該摺動板132が前後に摺動される。調節レバー133は、ワイヤ134と反対側に設けられたバネ135によって各チャフフィン38a・38a・・・の傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
そして、前記摺動板132の摺動によりチャフフィン38a・38a・・・の角度が変更され、チャフフィン38a・38a・・・の傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ38の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィン38a・38a・・・の傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ38の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
こうして、穀粒および細かい藁屑はチャフシーブ38を通過して下方に落下し、チャフシーブ38の開口よりも大きい藁屑等は後方に搬送される。このとき、チャフシーブ38とグレンシーブ37との間には唐箕32により選別部30の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
ここで、図14および図17に示すように、前記調節レバー133、ワイヤ134、バネ135は揺動選別装置31の内側に設けられている。そして、該バネ135とその長さを調節可能とするアジャスタ136およびアウタ受け137が揺動選別装置31内側の左後部に配置され、上方及び側方は排塵がかからないようにゴム板等の弾性部材からなるカバ138ーで覆われている。これにより、バネ135の長さを機体後方から調節することを可能として、メンテナンス性の向上を図っている。また、従来では揺動選別装置と機枠との間にチャフシーブの調節レバーを付勢するバネが配置されていたため、揺動選別装置と機枠との間に一定の間隔を確保しなければならず、選別幅を有効に利用することができなかったが、本実施例ではバネ135を揺動選別装置31の内側に配置しているので、該揺動選別装置31の左右幅を機枠33に対してできるだけ大きくすることができる。よって、選別幅を有効に活用して選別性能の向上を図ることができる。
ところで、以上のように構成される前記揺動選別装置31は、後部カバーを上方に回動させ、排藁処理部11の左右一側を中心に後側方へ回動させて脱穀部20および選別部30の後部を開放し、選別部後カバー140を取り外して揺動選別装置31を後方に引き抜いて脱着できるように構成されて、簡易にメンテナンスが行える仕組みとなっている。
図18に示すように、揺動選別装置31を支持する機枠33には、左右にガイドレール141が設けられており、揺動選別装置31が揺動駆動機構34により前後方向に往復摺動される際には、揺動選別装置31下部に設けられた前後の揺動用ローラ142・143がガイドレール141上を摺動するようにして、滑らかに揺動選別装置31が前後揺動するようにしている。
さらに、揺動選別装置31には前記揺動用ローラ142・143に加えて脱着用ローラ144・145が揺動選別装置31の前端部と前後の揺動用ローラ142・143の間に設けられて、揺動選別装置31の脱着時には、揺動用ローラ142・143と脱着用ローラ144・145と用いることができるようにしている。例えば、脱着用ローラ144・145をガイドレール141上を摺動させるようにして揺動選別装置31を機枠33に差し入れると、揺動選別装置31が前方に移動されるに伴って揺動用ローラ142・143がガイドレール141上を摺動するようになり、揺動選別装置31の脱着作業が簡易となる。
このような構成において、揺動選別装置31の脱着作業を行う際、揺動選別装置31の上方に前記篩分装置120が配置されていると、該篩分装置120が邪魔となって、メンテナンス性が悪くなることが考えられるが、上述の如く篩分装置120のアーム125にガイド部材125dを設けているので、該不具合は解消される。つまり、図15に示すように、篩分装置120のアーム125から下方に湾曲した前記ガイド部材125dを下方に突出して配置しているので、揺動選別装置31を機枠33から抜き出す際に、図19に示すように、ガイド部材125dが当接してチャフシーブ38上を摺動することになる。これにより、篩分装置120が上方に回動されて邪魔にならなくなり、メンテナンス性が改善される。
また、このように機枠33に差し込まれる揺動選別装置31と機枠33の間には、図20に示すように、シール部材151・152が配設されている。シール部材151は揺動選別装置31の側板31L(31R)の前後幅と略同一の幅を有するゴム板等の弾性部材から形成されており、下端部が側板31L(31R)の上縁部に締結され、上端部が機枠33に当接されて、揺動選別装置31と機枠33との間隙をシールしている。
一方、シール部材152は二番回収部47近傍で、揺動選別装置31の側板31L(31R)に後上がりに傾斜して取り付けられている。該シール部材152は、図21に示すように、ゴム板等からなる弾性部材から逆T字状に形成され、長手方向の左右両側に締結部材を挿通するための複数の孔を設けて取付部152a・152bを構成している。
そして、シール部材152は、図22に示すように、短手方向中央で折り曲げられて二重に重ねられ、この状態で更に取付部152aL・152aRおよび取付部152bL・152bRが揺動選別装置31の取り付け部に合わせて折り曲げられて、取付部76aL・76aRが揺動選別装置31の側板31L(31R)に締結され、取付部152bL・152bRのうち取付部152bL(152bR)が機枠33に締結され、取付部152bR(152bL)が揺動選別装置31の後面に取り付けられたシール部材153に締結される。こうして、シール部材152の折り曲げられて形成された頂点部152cを機枠33に当接させることで、揺動選別装置31と機枠33との間隙をシールして、その下方の揺動駆動機構34等へ塵埃等が漏れることを防止している。
このように、揺動選別装置31と機枠33との間にシール部材152を配置する構成としたので、空いているスペースを有効に利用することができるとともに、揺動選別装置31と機枠33との干渉を防止することができる。さらに、シール部材152を重ねた状態として用いるので、シール性及び耐久性の向上を図ることが可能となる。そして、シール部材152の頂点部152cが機枠33と摺接してすり切れたとしても、そのシールした状態を保つことができ、交換するまで漏れを防止できる。
また、前記揺動選別装置31の前流穀板35後部下方かつ後流穀板36前部下方に唐箕32が配置され、チャフシーブ38やグレンシーブ37に選別風を送風するようにしている。さらに、一番コンベア41と二番コンベア42との間にも副圧送ファンであるセカンドファン43が設けられて選別風を送風し、唐箕32による選別風の風力が弱まる選別部30後部においても風選別による選別性能が低下しないようにしている。
そして、揺動選別装置31の後端部近傍には吸引ファン40が全幅に横設され、前記唐箕32、セカンドファン43から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃等を、該吸引ファン40により吸引して機外へと排出するようにしている。
ここで、前記吸引ファン40を覆うファンケーシング161および下案内板166について、図23から図26を用いて説明する
吸引ファン40は横断流ファンにより構成されており、かご型の羽根車40aが、上側のファンケーシング161と下側の下案内板166により覆われて、該吸引ファン40によって吸引された塵埃等を機外へと誘導して排出するように構成されている。該吸引ファン40は図23において、側面視時計回りに回転して前側から後方に塵を吐き出すようにしている。
また、ファンケーシング161の上面の任意位置、本実施例では後部位置には、吸入孔163が略全幅に渡って開口してあり、該吸入孔163を覆うようにガイド体164が固設されている。該ガイド体164は板体を側面視三角形状に折り曲げて、前方と下方が開放されるようにし、下方の開放部が前記吸入孔163と略一致するようにし、前方の開放部を吸入口164aとして、該吸入口164aの面積を下方の開放面積よりも小さく構成している。
前記ガイド体164は、図24および図25に示すように、吸入口164a以外の周囲に縁部を形成して、該縁部にボルト孔164b・164b・・・を開口し、該ボルト孔164bにてボルト等を挿通してファンケーシング161に取り付けて固定する構成となっている。
こうして、吸引ファン40を回転駆動すると、前側から後方に向けて気流が流れ、前記吸入孔163付近のファンケーシング161内の圧力が低くなり、つまり、ガイド体164内部が負圧となって、ファンケーシング161外の空気が吸入口164aから吸入孔163を通過してファンケーシング161内に吸い込まれる。このとき、ファンケーシング161上面近傍に堆積した塵埃や漂う塵埃等も吸入口164aからガイド体164に案内されてファンケーシング161内に吸い込まれ、機外に排出されるようになる。
このように、ファンケーシング161の上面に吸入孔163を設け、吸入孔163の周囲に上方を開放したガイド体164を設けたので、吸引ファン40のファンケーシング161の外部近傍に堆積する塵埃等を吸引して除去することができる。吸引ファン40によって、チャフシーブ38後方まで搬送されてきた大きい藁屑のみでなく、処理室25で生じた細かい塵等も排出することができる。この結果、新たな動力を要せずに、ファンケーシング51の上面のメンテナンスの回数を減らすことが可能となる。
また、揺動選別装置31上には、脱穀部20や選別部30等より送られてくる排藁が溜まったり、詰まったり、固着したりする場合があるので、排藁などの塵を除去したり、調整したりする等、メンテナンスを行う必要がある。
メンテナンス時には、通常揺動選別装置を機枠外に取り出し、機体の外部でメンテナンスを行うが、この揺動選別装置を取り出すためには、機体後部の排藁処理部を後方へ回動して後面を開放し、揺動選別装置を後方へ引き出していた。そこで、図23に示すように、この時に下案内板166が邪魔にならないように、該下案内板166を上方へ回動できるようにしている。
つまり、図23および図26に示すように、下案内板166を前案内板167と後案内板68より構成し、該前案内板167を羽根車40aの下方を覆って後上方へ延設し、更に該前案内板167の後部を側面視「く」字状に屈曲して後端を下方へ延設し、該前案内板167後端部に少なくとも一つ以上の蝶番169を介して後案内板168を取り付けている。そして、蝶番169を後案内板168の前部に固定して、該後案内板168の前端を前案内板167の後部下面に当接させ、後案内板168を蝶番169を中心として前案内板167に対して下方へは回動できないが、上方には回動可能に構成し、該後案内板168を前案内板167の後部延長上で斜め下方へ延設している。なお、後案内板168の面積は前案内板167の後部の折れ曲がり部より後方の部分の面積よりも大きく構成して、後案内板168を上方へ回動した状態では先端が前案内板167の折れ曲がり部よりも突出ようにしている。
そして、揺動選別装置31を取り外すときには、後案内板168を持ち上げて回動し、前案内板167の後部上に重ねたままとして、揺動選別装置31を引き出す。そして、メンテナンスが終了して揺動選別装置31を元の位置に組み込み、後案内板168を元の位置に下げて戻すことを忘れた場合であっても、吸引ファン40によって生じる風圧が後案内板168の突出した部分に当たり、蝶番169を軸に下方に回動し、元の位置に自動で戻る構成となっている。
このように、ファンケーシング161の下案内板166を、前案内板167と後案内板168と、該前案内板167と後案内板168を連結する蝶番169より構成し、後案内板168を斜め後下方へ延設し、該後案内板168を、蝶番169を支点として前上方に回動可能にしたので、揺動選別装置31を取り外すときに、下案内板166が邪魔にならならず、揺動選別装置31の機体本体からの脱着を容易なものとし、揺動選別装置31のメンテナンス性を向上できる。また、後案内板168を下げ忘れても、吸引ファン40の風圧で自動的に元の位置に戻るので、排藁や塵の排出の妨げにならない。
また、図4に示すように、前記揺動選別装置31下方の前後途中位置には、左右方向に一番コンベア41と二番コンベア42とが横設される。一番コンベア41と二番コンベア42との位置関係は、一番コンベア41が唐箕32に近い側(機枠33の前部)、二番コンベア42が唐箕32から遠い側(機枠33の後部)となる。
一番コンベア41の右端部にはその長手方向(搬送方向)が略上下方向となるように設けられた揚穀コンベア44が連結され、該揚穀コンベア44の上端はグレンタンク13内と連通している。
選別部30内に投入され、前流穀板35上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、チャフシーブ38上に漏下される過程で唐箕32により発生する選別部30の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。チャフシーブ38上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑等の混合物は、揺動選別装置31の揺動により、後方に搬送される、このとき、穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等はチャフシーブ38の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ38後方まで搬送され、ストローラック39を経て機外に排出される。
チャフシーブ38の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等は後流穀板36およびグレンシーブ37上に漏下される。このときにも唐箕32からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
グレンシーブ37上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑等のうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑等はグレンシーブ37を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部46(流穀板45の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、一番コンベア41が収容されている)に回収され、一番コンベア41から揚穀コンベア44を経て、グレンタンク13に搬送される。
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒等が混じった未処理粒は、唐箕32からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部47(一番回収部46の後方に設けられた選別部30底面の窪みであり、二番コンベア42が収容されている)に回収され、二番コンベア42から二番還元コンベア48を経て、枝梗処理胴49に搬送され、該枝梗処理胴49により枝梗が除去された後、前流穀板35上(またはチャフシーブ38上)に再投入される。
次に、穀稈搬送装置170について図27から図29を用いて説明する。
穀稈搬送装置170は、上述の脱穀部20において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、引起し・刈取部3で刈り取った穀稈を排藁搬送装置320の排藁搬送チェーン10まで搬送するフィードチェーン9と、該フィードチェーン9上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆171と、該挟扼杆171を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体172・172・・・等とから構成されている。
この穀稈搬送装置170においては、対向配置される挟扼杆171とフィードチェーン9とによって、引起し・刈取部3で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室21内の扱胴22によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆171とフィードチェーン9とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部20にて脱粒された後の排藁は、フィードチェーン9の後端部(下流側端部)において、排藁搬送装置320の排藁搬送チェーン10へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン10によって排藁処理部11へと搬送される。
挟扼杆171は、扱室カバー21aの機体進行方向左側端部においてステー173・173等によって固設される支持杆174と、該支持杆174に複数の弾性支持体172・172・・・を介して弾性支持されて設けられている。この挟扼杆171は、フィードチェーン9に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、該フィードチェーン9による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
支持杆174は、中空の柱状部材であり、扱室カバー21a内左側において前後方向に長く、挟扼杆171と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆174の側面には一定間隔ごとに弾性支持体172・172・・・がその上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体172・172・・・の下部に挟扼杆171が弾性支持されている。この弾性支持体172の下部は、挟扼杆171に連結ピン175で枢支されており、該弾性支持体172の上部は支持杆174よりも上方に延出されている。
前記弾性支持体172は、図29に示すように、筒部176と、該筒部176内に挿嵌される筒状の軸受パイプ177と、該軸受パイプ177内を上下方向に摺動する摺動棒178等から構成され、該摺動棒178の下端部には正面視門型の枢支体179が固設されている。この枢支体179によって、左右平行に板状部材が配された形状を有する挟扼杆171を連結する連結ピン175が枢支されている。さらに、筒部176にはバネ受け180が外嵌されている。このバネ受け180は、支持杆174の下部に位置しており、このバネ受け180と枢支体179との間の摺動棒178の外周面にバネ等の弾性体181が巻回され、挟扼杆171を下方(フィードチェーン9側)に付勢している。つまり、軸受パイプ177内に上下方向に摺動可能に配設されている摺動棒178によって上下方向に移動可能となっている挟扼杆171の移動を、摺動棒178に外嵌される弾性体181によって弾性的なものとし、挟扼杆171がフィードチェーン9側へ常に付勢され、搬送される穀稈を挟扼できる構成としているのである。そして、これらの弾性支持体172・172・・・は、搬送方向に対して等間隔に、かつ略鉛直方向に向けて付勢するように平行に配置されている。
このように弾性支持体172によって下方に付勢されている挟扼杆171は、上述のように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、左右それぞれの板状部材は、複数の挟扼杆ユニット182・182・・・が直列的に前記連結ピン175・175・・・によって連結された構成となっている。つまり、穀稈搬送方向に直列的に連結される挟扼杆ユニット182・182・・・は、それぞれの前端部及び後端部が上流側及び下流側に位置する挟扼杆ユニット182・182・・・と側面視において重なるように配置され、この重なっている部分が連結ピン175・175・・・によって枢支されているのである。すなわち、これらの挟扼杆ユニット182・182・・・の前端部及び後端部には、前後方向に長い長孔形状の取付孔182aが形成され、また、前記弾性支持体172の下端部に固設されている枢支体179には連結ピン175が嵌挿される取付孔が左右方向に形成されており、これら取付孔に連結ピン175が挿通されることで、弾性支持体172が挟扼杆171に固定されているのである。
このような構造により、挟扼杆ユニット182・182・・・・・・の各連結部において弾性支持体172が配置しており、各連結部が弾性支持体172の摺動棒178の摺動方向に対して弾性的に移動することができるようになっており、挟扼杆171は、搬送される穀稈の厚み等に追従しながら穀稈を挟扼する構造となっているのである。
ところで、図28及び図29に示すように、挟扼杆171を構成する挟扼杆ユニット182・182・・・の後端、即ち搬送方向終端であって排藁搬送チェーン10への受継ぎ部に位置する挟扼杆ユニット183は、この受継ぎ部において穀稈を挟扼するために他の挟扼杆ユニット182・182・・・に比して搬送方向下流に向けて延設されている。
この挟扼杆ユニット183は、その前端部は他の挟扼杆ユニット182・182・・・・・・と同様に弾性支持体172の後端部において支持されており、また、その前後中途部においては、他の弾性支持体172・172・・・とは付勢方向の異なる弾性支持体172´によって弾性支持されている。つまり、挟扼杆ユニット183の中途部においても、該挟扼杆ユニット183に形成された長孔形状の取付孔183aにピン184が嵌挿されて、弾性支持体172´の下端部に固設されている枢支体179を支持しているのである。
この穀稈の搬送方向後端部、即ちフィードチェーン9から排藁搬送チェーン10への受継ぎ部に配置される弾性支持体172´は、他の弾性支持体172・172・・・による略鉛直方向の付勢方向に対して角度θ1だけ前傾させており、この弾性支持体172´による付勢力が穀稈の搬送方向に対して略垂直となるように配置しているのである。
このように、後端部に位置し、挟扼杆ユニット183の中途部を支持する弾性支持体172´を前傾させ、排藁搬送チェーン10への受継ぎ部側の挟扼杆ユニット183を穀稈搬送方向に対して略垂直に付勢することで、フィードチェーン9により後斜め上方に搬送される穀稈に対して鉛直方向に付勢する他の弾性支持体172と比較して、この弾性支持体172´の摺動棒178の摺動方向が挟扼杆ユニット183の移動方向により即した方向となり、弾性体181による付勢力がより有効に挟扼杆ユニット183に対して作用する。これにより、フィードチェーン9から排藁搬送チェーン10への受継ぎ部における挟扼杆ユニット183の弾性的な移動が円滑なものとなり、この挟扼杆ユニット183による挟扼が、搬送されてくる穀稈の厚み等に対する追従性を増したものとなるので、この受継ぎ部における穀稈の乱れや稈こぼれが防止でき、フィードチェーン9から排藁搬送チェーン10への受継ぎがよりスムーズなものとなるのである。すなわち、脱穀部20から排藁処理部11への排藁の搬送がよりスムーズなものとなるのである。
また、このように弾性支持体172´を、フィードチェーン9による搬送方向に対して略垂直方向に付勢するように配置することで、他の弾性支持体172・172・・・と比較して、該弾性支持体172´の伸縮ストローク長を長く構成している。つまり、軸受パイプ177内に摺動可能に配設されている摺動棒178の、弾性体181による弾性的な摺動の伸縮ストローク長が他の弾性支持体172と比較して長くしている。これにより、挟扼杆ユニット183の移動範囲が大きくなる。
すなわち、挟扼杆ユニット183には、後側に挟扼杆ユニットが連結されないため、搬送される穀稈の量が多くなると挟扼杆ユニット183への作用力も大きくなるが、後端に位置する弾性支持体172´の伸縮ストロークが長いため、これを十分に受け止めて円滑に穀稈を排藁搬送チェーン10へ搬送することができる。
なお、本実施例においては、最後端に位置する弾性支持体172´を他の弾性支持体172に対して前傾させ、搬送方向に対して略垂直に付勢するように配置しているが、これに限定されず、複数の弾性支持体を対象としてもよい。さらに、本実施例ではフィードチェーン9に対向配置される挟扼杆171について説明したが、排藁搬送チェーン10等のコンバインにおけるその他の搬送装置にも適用可能である。
続いて、前記フィードチェーン9及びこれを支持するフィードチェーンフレーム190の構成について図30、図32、図33を用いて説明する。
図30及び図32に示すように、フィードチェーン9は、フィードチェーンフレーム190に備えられる複数のスプロケット191a・191b・191cに巻回されて構成されている。そして、該フィードチェーン9は、その後端部(機体後方)に機体上下方向の回動中心P(図33参照)を有し、前端部(機体前方)及び後端部には前ロック装置192及び後ロック装置193がそれぞれ設けられており、前記回動中心Pを回動軸として機体左側方に向けてフィードチェーンフレーム190とともに開閉可能とされ、前ロック装置192及び後ロック装置193によって該フィードチェーンフレーム190を機体側に固定する構造となっている。但し、前ロック装置192と後ロック装置193は連動することが可能であり、後ロック装置193は省くことも可能である。
フィードチェーンフレーム190は、機体前後方向に水平な横フレーム190aと、この横フレーム190aの前端で交わり後方に向かって延設して上り勾配を形成するフィードチェーン9の内上側のガイドとしての斜フレーム190bと、横フレーム190aの後端部に固設された側面視コ字状にパイプを折り曲げて構成した回動支点フレーム190cと、補強フレーム190dとによって側面視略三角形状に構成されている。
そして、前記横フレーム190aと斜フレーム190bの前端側面には前補強板194が溶接等によって固設されている。また、斜フレーム190bの後端部及び補強フレーム190dの前上部は、後補強板195にそれぞれ溶接によって固定されている。つまり、横フレーム190a及び斜フレーム190bのそれぞれの前端部が前補強板194を介して溶接によって連結固定され、また、斜フレーム190bの後端部と補強フレーム190dの前上部とが後補強板195を介して溶接によって固定されているのである。
このように、フィードチェーンフレーム190を構成する横フレーム190aと斜フレーム190b、及び斜フレーム190bと補強フレーム190dを、前後の補強板194・195を介して溶接により固定して補強することで、ボルト締結等の場合と比較してフィードチェーンフレーム190の強度を増すことができる。これにより、ボルト締結の場合等のように、強度不足を解消するために各フレームのサイズを大きくする必要もなくなり、フィードチェーンフレーム190の重量増加を防ぐことができる。
さらに、横フレーム190aと斜フレーム190bとの間には、上下方向に複数(本実施例では3本)のパイプ等から構成した補強部材196a・196b・196cが前後平行に架設されている。これら補強部材196a・196b・196cは、それぞれの下端部が横フレーム190aの上面に、上端部が斜フレーム190bの下面にそれぞれ溶接等によって固定され、横フレーム190aと斜フレーム190bとを連結して強度アップを図っている。
以上のように、補強板や補強部材を用い、溶接によって各フレーム間を連結固定することで、フィードチェーンフレーム190全体の強度の向上を図ることができる。よって、後述する受網23の手前網291を押える手前網押え310と、扱胴22の扱歯22aとの隙間を一定に保持でき、脱穀部20における扱ぎ残し等の不具合等が解消される。
また、前記回動支点フレーム190cは、機体側に固設された背面視略逆コ字状にパイプを折り曲げて構成した支持フレーム197に設けられた上下二箇所の支持部200・200によって支持され、前記フィードチェーンフレーム190が機体に対して側方外側に回動可能な構成となっている。なお、支持フレーム197と機体側の後部側壁198との間には補強板199・199が架設されて補強している。
図32及び図33に示すように、前記支持部200・200は、回動支点フレーム190cに左側方に向けて一体的に固設して形成されたステー190e・190eと、支持フレーム197に前方に向けて一体的に固設して形成された支持ステー197a・197aと、枢支ピン201・201とからそれぞれ構成されている。そして、支持ステー197a・197aの前端部とステー190e・190eの左端側とが平面視において重なるように配置され、この重なる位置にそれぞれ枢支ピン201・201を挿入することによってフィードチェーンフレーム190を支持フレーム197に対して、即ち機体に対して回動可能に枢着されている。
そして、図30に示すように、斜フレーム190bの前端及び上後端には従動スプロケット191a・191bが回転自在に備えられ、従動スプロケット191bは、斜フレーム190b等にボルト等によって固設されたガード202により側方が覆われている。
また、前記横フレーム190aの前寄りの中途部から下方に向けてステー203を垂設し、該ステー203に支持アーム204がボルト等によって固定されて下方へ延設され、該支持アーム204の下端に軸受等を介してパイプ状の回転軸205が軸支され、該回転軸205上に駆動スプロケット191cが固定されている。該回転軸205の軸心部には、機体側から突出した駆動軸がフィードチェーンフレーム190を閉じる側に回動した時に挿入され、該駆動軸と回転軸205は爪ボス嵌合またはキーにより相対回転不能に嵌合されて、動力を伝達できるようにしている。
また、前記支持アーム204の前下部に回動アーム206の一端が枢支され、該回動アーム206の他端にテンションスプロケット191dが回転自在に枢支されており、このテンションスプロケット191dは駆動スプロケット191cと従動スプロケット191aとの間に配置されている。テンションスプロケット191dの回転軸には、ステー等の係止部を介してバネ207の一端が係止されており、該バネ207の他端はアジャスタ208の一端に係止されている。該アジャスタ208の他端は前記横フレーム190aの中途部に立設されたステー209に長さ調節可能に取り付けられている。
以上のように、従動スプロケット191a・191bと駆動スプロケット191cにフィードチェーン9を巻回し、テンションスプロケット191dによってフィードチェーン9の張力を調整可能にして、駆動スプロケット191cの回転により該フィードチェーン9が回転される構成となっている。そして、各スプロケット191a・191b・191c・191dと、フィードチェーン9とをフィードチェーンフレーム190に支持する構成とし、該フィードチェーンフレーム190を機体本体側の支持フレーム197に対して回動することによって、フィードチェーンフレーム190とフィードチェーン9とが一体となって回動開閉されるようになっている。
続いて、フィードチェーンフレーム190の開閉及びロック機構について図30、図31、図32を用いて説明する。
上述のように、フィードチェーンフレーム190は、その後端部に位置する支持部200・200を回動支点として機体に対して側方に開閉可能となっている。そして、フィードチェーンフレーム190の前端部には前ロック装置192が、後端部には後ロック装置193がそれぞれ設けられており、これらロック装置192・193によってフィードチェーンフレーム190を機体側へ固定して閉状態を保持する構造としている。
前ロック装置192と後ロック装置193とは連結ロッド210によって連結され、前ロック装置192のロック及び解除に連動して後ロック装置193もロック及び解除される構造となっている。
前ロック装置192は、図31に示すように、フィードチェーンフレーム190の横フレーム190aの前部に立設された回動支点軸211と、この回動支点軸211に回動可能に支承されたレバー212と、前記機体フレーム2にピン等を立設して構成した係合部213とからなる。レバー212の中途部は回動支点軸211に回動自在に枢支され、このレバー212の左側(機体外側)を把持部212aとし、同じく右側(機体内側)の前側には凹部を形成してフック部212bとしており、このフック部212bが係合部213と係合することによってロックされるように構成されている。
また、レバー212の中途部(回動支点軸211よりも機体外側)には孔部212cが形成されており、この孔部212cにはバネ214の一端が掛合され、該バネ214の他端はフィードチェーンフレーム190から左側方に向けて突設した掛止部215に掛止されている。つまり、レバー212はバネ214によって孔部212cから後方に引っ張られるように付勢され、孔部212cの、回動支点軸211に対して反対側に位置するフック部212bが前方の係合部213と係合しようとする方向、即ち前ロック装置192がロックされる方向に付勢されている。
一方、後ロック装置193は、回動支点軸216と該回動支点軸216に挿通固定されたフック217と機体側のフレームの一端に固設された係合部218とからなり、この係合部218に前記フック217が係合することによってロックするように構成されている。
回動支点軸216はパイプ状に構成されており、その下端部はフィードチェーンフレーム190の横フレーム190a後部上に、上端部は補強フレーム190dにそれぞれフレーム側に固設された支持プレート等を介して、これら上下の支持プレート間に立設される支持軸に回動可能に外嵌されている。そして、回動支点軸216の上端にはフック217が固設されており、該フック217は機体内側方向に延設され、この延設部の前側には係合凹部が形成され、係合部218と係合できるようになっている。
そして、これら前ロック装置192及び後ロック装置193は、フィードチェーンフレーム190の横フレーム190aと略平行に機体前後方向に設けられている連結ロッド210によって連結され連動する機構となっている。つまり、連結ロッド210の前端部は前ロック装置192のレバー212にピン等によって枢支されており、同じく連結ロッド210の後端部は後ロック装置193の回動支点軸216の下端に固設される回動プレートにピン等によって枢支されており、前ロック装置192のレバー212を回動支点軸211を中心にロックを解除する方向に回動することによって、連結ロッド210を介して後ロック装置193のロックも解除する構造となっているのである。
また、上述のように機体に対して開閉可能となっているフィードチェーンフレーム190をその開状態においてもロックできるようになっており、その最大開状態を保持するための開時ロック装置220が設けられている。
この開時ロック装置220について、図32から図34を用いて説明する。
開時ロック装置220は、フィードチェーンフレーム190の後端部に位置しており、該フィードチェーンフレーム190側に設けられるピン221と、機体側に回動支点を有するロックガイド222等からなり、フィードチェーンフレーム190の開閉にともなってピン221がロックガイド222に形成されているスライド孔228に沿って移動する構造となっている。
ピン221は、フィードチェーンフレーム190の回動支点フレーム190cの下水平部の上面に溶接等によって固設されたステー223から、上方に向けて突設している。
ロックガイド222は、平面視で略長方形の板状部材であり、その右側端部(機体側端部)が、前記機枠33(図8参照)の左側の上部側壁219と下部側壁229との接合部においてそれぞれに左側(機体外側)に向けて突出して形成されている縁部219a及び229aの接合部に、ピン224によって支承され、このピン224を回動支点としている。つまり、ロックガイド222の一端部は正面視コ字状となるように二股に形成された支承部222aが形成されており、この支承部222aによって前記縁部219a及び229aの接合部を上下から挟んだ状態でピン224を上下方向に貫通させて、ピン224を支承部222a側または縁部219a及び229aの接合部側のどちらか一側に溶接やボルト締結等によって固定し、ピン224を回動中心としてロックガイド222を支承しているのである。一方、ロックガイド222の左側端部には、この開時ロック装置220を操作するための把手部226が設けられている。
また、ロックガイド222の回動中心には、ロックガイド222を付勢するためのねじりバネ225が、ロックガイド222の支承部222aの上水平部とピン224の頭部224aとの間においてピン224に挿嵌され設けられている。
ねじりバネ225の両端部はそれぞれ水平方向に延設され、それぞれの先端部が下方に向けて略直角に折り曲げられ支持部225a及び225bが形成されている。そして、機体側の支持部225aは縁部219a及び229aの接合部に挿入して固定されており、反機体側の支持部225bはロックガイド222の後側(機体後側)に当接した状態となっている。つまり、ロックガイド222は、ピン224を回動中心として、ねじりバネ225によって把手部226が機体前方に向かう方向(図33におけるF方向、平面視左回り)に付勢されているのである。なお、ロックガイド222の付勢方法は本実施例に限定されるものではなく、ねじりバネ225以外のバネやその他弾性部材を用いた構成としてもよい。
そして、ロックガイド222に形成されるスライド孔228は平面視略L字状に形成され、ピン221の直径と略同一の幅を有する長孔であり、フィードチェーンフレーム190の閉状態においてピン221が右側端部に位置し、また、フィードチェーンフレーム190の最大開状態においてはピン221が左側端部、即ちこのスライド孔228に形成されたに切欠き部228aに位置するように穿設されている。そして、ピン221のスライド孔228から上方に突出した部分には、ピン221がスライド孔228から外れるのを防止して、ピン221のスライド孔228に対する摺動を円滑にするためのストッパ227が挿嵌されている。
このような構成のロック装置220において、フィードチェーンフレーム190を閉じた状態から回動中心Pを中心として開いて行くに従い、フィードチェーンフレーム190側に設けられているピン221がスライド孔228に沿って摺動し、このピン221の摺動にともなってロックガイド222も付勢されている方向(図33におけるF方向)に回動する。そして、フィードチェーンフレーム190が最大開状態に近付き、ピン221が平面視L字状のスライド孔228の角部に達すると、ロックガイド222のねじりバネ225による付勢によってピン221がスライド孔228の切欠き部228aへと自動的に嵌まり込み、フィードチェーンフレーム190が閉じる側へ回動しないように開状態が保持される構造となっている。
そして、フィードチェーンフレーム190をこのロックされた開状態から閉じる場合は、把手部226を把持してロックガイド222を付勢されている向きとは反対方向(図33におけるR方向)に回動させることで開時ロック装置220によるロックを解除することができ、フィードチェーンフレーム190を閉じる側へ回動することが可能となる。
このように、開時ロック装置220を設けてフィードチェーンフレーム190の最大開状態を保持する構造とすることによって、ロックガイド222を解除方向に回動しない限りフィードチェーンフレーム190が閉じるようなことがなく、従来の当て板等を用いた場合と比較して、フィードチェーンフレーム190の開状態の保持がより確実なものとなる。これにより、フィードチェーンフレーム190を開けてメンテナンスや修理を行う際にこのフィードチェーンフレーム190が不用意に閉じることもなく、安全性の向上を図ることができる。また、把手部226は外側方に突出して設けているため、外側に回り込まないと操作ができず、開時ロック装置220を解除して不意にフィードチェーン9と機体の間に身体が挟まれることもない。
なお、ロックガイド222の付勢方向は本実施例とは逆方向でもよく、また、ロックガイド222に形成されるスライド孔228の形状も本実施例に限定されず、鉤型にしたり、切欠き部228aを複数設けることによってフィードチェーンフレーム190の開度を段階的に保持する構成としたりすることも可能である。
ところで、図32に示すように、上述の吸引ファン40、一番コンベア41、二番コンベア42及びセカンドファン43を、それぞれを連動させて駆動するために、機枠33の左側の上部側壁219及び下部側壁229の外側、即ち機枠33の機体左側において、プーリ40a・41a・42a・43aがそれぞれの回転軸上に配置され、これらプーリ40a・41a・42a・43aにベルト231が巻回され、プーリ43aが該ベルト231の外側(背面)から当接するように配置されている。そして、このベルト231の張力を保ったり、ベルト231の軌道を規制したりするためのテンションプーリ232・232が、同じく機枠33の機体左側のプーリ42aの上方において二箇所設けられ、ベルト231の外側から当接するように配置されている。
セカンドファン43のプーリ43aの回転軸上には、側面視「へ」字状のテンションアーム233がこの回転軸を中心としてプーリ43aの回転の影響を受けないように揺動可能に軸支され、このテンションアーム233の一端部(前側端部)にはテンションプーリ234が回動自在に支承されており、このテンションプーリ234がベルト231の内側から当接するように配置されている。一方、テンションアーム233の他端部(後側端部)には、該テンションアーム233をテンションプーリ234がベルト231を内側から押圧する向きに付勢するためのバネ235の一端が掛止されている。そして、該バネ235の他端は、前記テンションプーリ232・232の間に架設されたステー232aに設けられているアジャスタ236の一端に係止され、テンションプーリ234によるベルト231の緊張度を調整することが可能となっている。
また、二番コンベア42のプーリ42aの回転軸上には、プーリ42bが固設されており、その後方には揺動駆動機構34を駆動するためのプーリ34aが配設され、これらプーリ34a・42bにはベルト237が巻回されている。そして、機体側の下部側壁229に設けられたテンションアーム238の一端に回動可能に軸支されたテンションプーリ239が、ベルト237の下方外側から当接するように配置されている。このテンションアーム238の中途部には、バネ241の一端が係止され、該バネ241の他端は、下部側壁229から突設されているステー242に設けられているアジャスタ243の一端に係止され、テンションプーリ239によるベルト237の緊張度を調整することが可能となっている。
このような構成において、吸引ファン40のプーリ40aは機体側に設けられているので、上述のようにフィードチェーンフレーム190を開くときに、ベルト231を取り外す必要がなくメンテナンス時の作業性が向上する。また、本実施例のように大型のコンバイン等に設けられるセカンドファン43を増設することによって、ベルト237による駆動箇所が増えても、複数のテンションプーリを設けること等により単一な駆動系を得ることが可能となる。さらに、揺動駆動機構34を駆動するためのプーリ42bを、二番コンベア42のプーリ42aと同軸上に設けることで、揺動駆動機構34を駆動するためのプーリを別途設ける必要もなく、また、プーリ42aはベルト231に内側から当接するように配置されているので、ベルト231の外側(背面)から当接するように配置する場合と比較して、プーリ42aとベルト231との接触部分が増加し、駆動力の向上と安定したベルト回転を得ることができる。
次に、前記フィードチェーン9の搬送上流側の上方に設けられるプレガイド(穀稈押さえ補助ガイド)250について、図35及び図36を用いて説明する。
プレガイド250は、穀稈押さえ棒251、支持フレーム252、連結棒253・254、バネ255等からなる。走行作業位置(後述)では、フィードチェーン9の搬送上流側と穀稈押さえ棒251とが側面視で重複して配設されている。つまり、穀稈押さえ棒251は、フィードチェーン9の搬送上流側に沿うように配置されている。
穀稈押さえ棒251は、側面視ソリ状に構成されて、その前端部が上方に屈曲されて屈曲部が形成されており、この屈曲部により穀稈を案内して、穀稈押さえ棒251とフィードチェーン9との間に穀稈を供給するようにしている。穀稈押さえ棒251は、その上方に配設される支持フレーム252と、連結棒253・254を介して支持されている。
支持フレーム252は、前記挟扼杆171を支持する支持杆174の先端部のブラケットに回転可能に支持されている。即ち、該支持フレーム252はその後部と支持杆174前部に回動支軸256が設けられて、該回動支軸256を中心に回動可能となっている。支持フレーム252は、断面略「コ」字状に形成され、この「コ」字状の開放された部分を下方に向けて配設されている。
また、支持フレーム252の上面(「コ」字状の開放されていない部分)に連結棒254の挿通孔が穿設され、該挿通孔に連結棒254の上端部が挿通されて、該連結棒254の上端部が支持フレーム252の上面から突出している。この連結棒254は、支持フレーム252に対して、長手方向に移動可能となっている。また、連結棒254の上部には、バネ255が外嵌されており、該バネ255の下端側は連結棒254の中途部に固定されている。そして、連結棒254が上方に移動して、支持フレーム252の上面からの突出部分が長くなると、バネ255の付勢力がこの突出部分を短くするように作用する。バネ255、および連結棒254のバネ255が外嵌されている部分は、支持フレーム252に覆われている。
さらに、連結棒253が支持フレーム252の側面に回動可能に取り付けられている。このため、プレガイド250において、穀稈押さえ棒251は支持フレーム252に対して揺動可能となっている。このとき、バネ255が伸縮して、連結棒254の支持フレーム252上面からの突出長さが変化する。穀稈押さえ棒251は、プレガイド250とフィードチェーン9との穀稈の量、つまり、フィードチェーン9の搬送上流側に供給される穀稈の量に応じて揺動する。
このように構成されるプレガイド250は、フィードチェーン9の搬送上流側において、前記回動支軸256を中心に回動可能となっており、図35の実線で示す走行作業位置(作用位置)(イ)と、2点鎖線で示す手扱ぎ作業位置(解除位置)(ロ)とに手動操作により切り換えることができる。プレガイド250は、回動支軸256を中心に反時計方向(図35)に回動すると走行作業位置(イ)に切り換わり、一方、時計方向(図35)に回動すると手扱ぎ作業位置(ロ)に切り換わる。
支持フレーム252に挿通されるピン258と、挟扼杆171を支持する支持杆174の先端部のブラケットに取り付けられるピン259との間にバネ257が介装されている。つまり、バネ257の一端側はピン258を介して支持フレーム252に連結され、他端側はピン259を介して支持杆174に連結されている。そして、バネ257は、プレガイド250の回動とともに、ピン259を中心に回動する。
このとき、ピン259と前記回動支軸256とを結ぶ直線の延長線(図35では、X−X線)上を境界として、バネ257の付勢方向が切り換わる。ピン258がX−X線よりも下方にある場合には、プレガイド250には、該プレガイド250を走行作業位置(イ)に保持しようとする付勢力が作用する。一方、ピン258がX−X線よりも上方にある場合には、プレガイド250には、該プレガイド250を手扱ぎ作業位置(ロ)に保持しようとする付勢力が作用する。
このように、プレガイド250の回動にともないバネ257の付勢方向が2段階に切り換わっている。所謂、支点越えの構成となっている。これにより、バネ257の付勢力により、一方では、プレガイド250は、走行作業位置(イ)に確実に保持され、他方では、手扱ぎ作業位置(ロ)に確実に保持される。プレガイド250が走行作業位置(イ)に保持されると、フィードチェーン9搬送上流側の上方がプレガイド250により覆われて、穀稈押さえ棒251がフィードチェーン9の搬送上流側に沿った状態となる。走行作業位置(イ)は、走行しながら刈取部で刈り取った穀稈をフィードチェーン9に供給して脱穀を行う。
他方、プレガイド250を上方に回動して手扱ぎ作業位置(ロ)に保持されると、プレガイド250がフィードチェーン9の上方に収納されて、該フィードチェーン9搬送上流側の上方が開放される。手扱ぎ作業位置(ロ)は、予め刈り取った穀稈を手作業でフィードチェーン9に供給して脱穀を行う際に切り換えられる。
プレガイド250の走行作業位置(イ)と、手扱ぎ作業位置(ロ)との切り換えは、コンバインのフィードチェーン9側(本実施例では機体右側)に位置する作業者によって行われる。また、本実施例では、プレガイド250の切り換えを、運転室14内(操縦部)の運転者によっても行うことができるようにしている。この場合、運転者は、運転室14(操縦部)の近傍に設ける操作レバー261(操作具)を操作することによりプレガイド250を切り換える。
ここで、前記操作レバー261によるプレガイド250の切換操作(回動操作)について説明する。
操作レバー261は、運転室14の近傍、本実施例では、運転室14の後方であって、運転者の手の届く範囲内に配設されている。具体的には、運転室14の左後方であって扱室カバー21aの右前方、さらに言えば、機体左右略中央に配置されている。また、操作レバー261の上端部が扱室カバー21aから突出している(図1参照)。なお、操作レバー261の配置位置は、運転室14内でもよく、また、運転者14の手の届く範囲であれば、前述の位置に限定されない。
操作レバー261下端が連結ロッド262の一端と連結固定され、該連結ロッド262の他端が操作ロッド263の一端とピンにより回動可能に連結され、さらに、操作ロッド263の他端がプレガイド250の支持フレーム252とピン264により回動可能に連結されている。
連結ロッド262は、扱室カバー21aに回動可能に支持され、該連結ロッド262の両端部が扱室カバー21a上部側方から突出している。つまり、連結ロッド262が扱室カバー21aの上部を左右方向に貫通している。そして、プレガイド250側に突出した部分が下方に折り曲げられて形成されている。
このように、プレガイド250は、リンク機構を介して、具体的には、連結ロッド262および操作ロッド263を介して操作レバー261と連結されている。これにより、運転室14からプレガイド250に手が届かない場合であっても、プレガイド250の切換操作を、運転者による操作レバー261の操作によって行うことを可能とし、前記バネ257によりその位置を保持している。なお、操作レバー261またはリンク機構をモータやシリンダ等のアクチュエータと連結して、該アクチュエータをスイッチ等の操作部材と接続して、ボタン操作等で切り換えるように構成することもできる。
プレガイド250は、図35の実線に示す直立位置に操作レバー261があれば、走行作業位置(イ)に切り換えられており、一方、図35の2点鎖線に示す傾倒位置に操作レバー261があれば、手扱ぎ作業位置(ロ)に切り換えられている。
運転室14の運転者により、操作レバー261が直立位置から前方に向けて傾倒操作されると、連結ロッド262が反時計方向(図35)に回動し、操作ロッド263が後方に向けて移動する。これにより、プレガイド250が回動支軸256を中心に時計方向(図35参照)に回動し、走行作業位置(イ)から手扱ぎ作業位置(ロ)に切り換わる。
一方、操作レバー261が傾倒位置から後方に向けて操作されると、連結ロッド262が時計方向(図35参照)に回動し、操作ロッド263が前方に向けて移動する。これにより、プレガイド250が回動支軸256を中心に反時計方向(図35参照)に回動し、手扱ぎ作業位置(ロ)から走行作業位置(イ)に切り換わる。
このように、運転室14の近傍に操作レバー261を設けて、該操作レバー261の操作によって、プレガイド250の回動操作を行って、走行作業位置(イ)と、手扱ぎ作業位置(ロ)との切り換えを行っている。これにより、運転室14内の運転者によっても容易にプレガイド250の回動操作を行うことができる。例えば、フィードチェーン9側に位置する副作業者が、刈り取った穀稈を両手に抱えている等の理由で両手が自由に動かせない場合であっても、運転者によってプレガイド250を手扱ぎ作業位置(ロ)に切り換えて、手扱ぎ作業を行うことができる。また、手扱き作業終了後、副作業者がプレガイド250を元に戻す操作を忘れても、運転者が操作レバー261を操作して元に戻すことができる。この結果、コンバイン1において、操作性および作業性の向上を図ることができる。なお、プレガイド250は副作業者が直接回動して走行作業位置(イ)と、手扱ぎ作業位置(ロ)に切り換えることもできる。また、本実施例では操作レバー261とプレガイド250をリンク機構により連動連結しているが、ワイヤとバネ等によっても連動連結することが可能である。
続いて、フィードチェーン9の搬送上流側の上方に設けられる受け継ぎガイド271について、図37、図38、図39を用いて説明する。
受け継ぎガイド271は、前述したプレガイド250の穀稈押さえ棒251と側面視で重複して配置され、該穀稈押さえ棒251よりも機体内側に位置している。また、フィードチェーン9と側面視および平面視で重複している。つまり、受け継ぎガイド271はフィードチェーン9の搬送上流側に沿った状態で配置され、補助搬送装置または刈取部の刈取フレームに取り付けられている。
そして、受け継ぎガイド271の前端部が支持フレーム272に支持され、該支持フレーム272が、機体前部の引起し・刈取部3を支持するサイドフレーム273の後端部に取り付けられている。
受け継ぎガイド271の前端部は、略直角に折り曲げられ、この折り曲げられた部分が左方へ延出されて延出部271aが形成されている。該延出部271aが支持フレーム272に設けた挿通孔に挿通されており、受け継ぎガイド271が支持フレーム272に回動可能に支持されている。同時に、受け継ぎガイド271は支持フレーム272に対して左右方向に移動可能となっている。延出部271aの先端部(左端部)には、支持フレーム272の挿通孔からの抜けを防止するための抜け防止用のピン274が挿通されている。該ピン274により受け継ぎガイド271の左右方向の移動が距離L1に規制される。
また、受け継ぎガイド271の前部には、延出部271aと平行に突出部271bが突設されている。突出部の先端(左端)には、座金(ワッシャやリング等)275が取り付けられている。
受け継ぎガイド271は、板バネ276により下方に向けて付勢されている。板バネ276は側面断面視略「つ」字状に形成されており、該「つ」字状の両端のうち、短く延びる一端276aが支持フレーム272の上面にボルトにより固定されている。一方、「つ」字状の長く延びる下側の一端276bが受け継ぎガイド271の突出部271bと当接しており、該突出部271bを介して板バネ276の付勢力が受け継ぎガイド271に作用するようにしている。このように、受け継ぎガイド271が下方に押し付けられることにより、該受け継ぎガイド271とフィードチェーン9との間に穀稈を挟持して搬送するようにしている。
また、突出部271b先端の座金275が板バネ276の左端面に当接して、受け継ぎガイド271の左右方向の移動が規制されている。
さらに、受け継ぎガイド271の上下方向の回動および左右方向の移動を規制し、案内保持するための機構となるガイド部材277が支持フレーム272に固定されている。ガイド部材277には、正面視略L字状のガイド溝が形成されており、該ガイド溝の幅が受け継ぎガイド271の径よりも若干大きく形成されている。L字状のガイド溝は、上下方向の溝277aと左右方向の溝277bとからなり、上下方向の溝277aは下方に開放されて形成されている。
そして、板バネ276により受け継ぎガイド271が下方に押し付けられている状態では、受け継ぎガイド271が上下方向の溝277aに嵌まるようにしている。
通常時においては、受け継ぎガイド271は、板バネ276の付勢力によって下方に押し付けられて、フィードチェーン9と側面視で重複して配置されている。
ところが、メンテナンス時等には、フィードチェーン9を回動させて、機体左側方を開放する場合がある。この場合には、受け継ぎガイド271を通常時の状態に放置しておくと、フィードチェーン9と干渉し、該フィードチェーン9の回動の妨げとなる。このため、板バネ276の付勢力に抗して受け継ぎガイド271を上方に持ち上げて、フィードチェーン9と干渉しないようにする必要がある。
メンテナンス時等に、フィードチェーン9を回動する際の受け継ぎガイド271について説明する。
まず、板バネ276の一端276bを上方に持ち上げて、受け継ぎガイド271に板バネ276の付勢力が作用しないようにする。こうして、受け継ぎガイド271が上下方向に回動可能となる。そして、受け継ぎガイド271を持ち上げて、上方に回動させる。このとき、受け継ぎガイド271は、ガイド部材277の上下方向の溝277aに案内され、該溝277aの上端と当接するまで回動する。これにより、受け継ぎガイド271は、フィードチェーン9と側面視で重複しなくなり、フィードチェーン9を回動させることが可能となる。
次に、受け継ぎガイド271を右方に距離L1だけ移動させる。このとき、受け継ぎガイド271の突出部271b先端の座金275が板バネ276の一端276bと干渉しない位置まで、板バネ276を持ち上げた状態としておく。また、このとき、受け継ぎガイド271は、ガイド部材277の左右方向の溝277bに案内されて移動する。この結果、受け継ぎガイド271は、フィードチェーン9と平面視で重複しなくなる。
このとき、受け継ぎガイド271は溝277bに嵌まっているため、該溝277bにより受け継ぎガイド271の上下方向の回動が規制されている。そして、板バネ276の持ち上げを解除すると、板バネ276の付勢力により受け継ぎガイド271が下方に押え付けられて、受け継ぎガイド271の位置が保持される状態となる。つまり、受け継ぎガイド271が、フィードチェーン9と平面視で重複しない状態で保持される。
従来のコンバインの構成においては、フィードチェーンを回動させる場合には、受け継ぎガイドをチェーン等を用いて上方で固定するようにしていた。この場合、受け継ぎガイドを上方へ反転させる必要があり、また、重心を跨いで反転させる必要があった。このため、スペース的に制約が多く、また、不安定な状態で固定するため元の位置に戻ることがあった。
これに対し、本実施例では、受け継ぎガイド271をフィードチェーン9の搬送上流側の上方であって、側面視でフィードチェーン9と重複しない位置に保持する機構を設けている。この保持機構は、受け継ぎガイド271の前端部に、支持フレーム272、座金275、板バネ276、ガイド部材277等を設けるという簡単な構成となっている。これにより、スペース的に制約を受けることがなくなる。また、安定して側面視でフィードチェーン9と重複しない位置に保持することができる。
次に、脱穀部20の前記扱胴供給始端部280について説明する。
図4及び図40に示すように、扱胴供給始端部280は扱室21の入口側で、揺動選別装置31の前上方に形成されている。該扱胴供給始端部280には、側面視において扱胴22下部に周設される受網23の前端から前方へ延設される供給案内板281や下面及び前面で穀稈を案内する上部案内板282が備えられるとともに、扱胴22の回転軸に動力を伝達するプーリ等が収納されている。
供給案内板281は、機枠33に固定保持されている。該供給案内板281は鉄板や弾性体等で構成されており、扱胴22の外周形状に合わせて左右方向に緩やかに湾曲されて、正面視樋状に形成されている。そして、側面断面視において、供給案内板281は前部が後下がりの傾斜部として穀粒等が後方の扱室21(脱穀部20)に流れやすくし、後部は受網23前部と連結するために扱胴22の外周面と略平行(同心円)に構成して、下端においては水平となるようにしている。
前記上部案内板282は、フィードチェーン9により搬送される穀稈を扱胴22の下部へ導くようにして、穀稈が扱胴22の回転軸等に絡まることを防止している。また、上部案内板282は扱室21のフレームに固定されて、不安定にならないようにしている。
このように供給案内板281と上部案内板282とで形成される扱胴供給始端部18の穀稈案内構造は、正面視において略「コ」字形状にフィードチェーン9側の側方を開口して形成され、フィードチェーン9等からなる前記穀稈搬送装置170によって機体後部へ搬送される穀稈を供給案内板281と上部案内板282の間に案内して滞りなく脱穀部20へ搬送できるようにしている。
図41に示すように、扱胴供給始端部280であって、フィードチェーン9と左右逆側(進行方向右側)の扱室21内側面には、飛散防止用ガイドとして送りガイド283とリード板284とが設けられている。より詳しくは、扱胴供給始端部280の正面視「コ」字状開口の奥側(閉側)の扱室21内の前部には、板状部材で構成した送り込み用リード板284と、該リード板284の側方位置で凸上に構成した送りガイド283が設けられ、該送りガイド283とリード板284は供給案内板281の後部上方であって、上部案内板282の外枠と受網23の外枠との間に形成される樋状の連結部285上に設けられている。
送りガイド283は略三角錐状で上部案内板282と連結部285の隅部に跨がり扱胴22側に膨出して設けられ、穀稈の穂先を扱胴22側に案内し、扱胴供給始端部280側へ逆流しないように案内している。そして更に、該送りガイド283の扱室21内面上方に連続してリード板284が設けられ、受網23の上前方に配設されている。該リード板284は、扱室21上部の内周面に配置された送塵弁24の傾斜に略合わせるように設けられており、リード板284の板面の延長方向が送塵弁24の板面に向けられている。こうして、扱胴22によって脱穀されるように穂先を扱室21内でフィードチェーン9と略直角方向になるようにリード板284により揃えるとともに、脱穀時に発生する藁屑等や脱粒された籾等を送塵弁24と平行に流れるよう案内している。そして、従来扱胴供給始端部280側へ飛散していた藁屑等を扱室21内へ戻すことで、ロスの減少を図るようにしている。
前記リード板284は、鉄板等の板状部材で構成されており、扱室21内の圧力によって変形しないように強度及び、耐磨耗性等を考慮して構成されている。そして、該リード板284は、図42に示すように、L字状に屈曲されて、扱室21の内周面に対して垂直に立設されている。リード板284の底面の固定部284aはボルト286・286等で扱室21の内側面に締結されて、着脱可能に構成されている。このため、万一、リード板284が破損した場合等、容易に取り替え作業を行うことができ、メンテナンス性を向上できる。
このように、脱穀部20の扱胴供給始端部280であって、フィードチェーン9と反対側の扱室21内側面にリード板284を配置することで、扱室21内の藁屑等が扱胴供給始端部280へ飛散することを防止して、送塵弁24側へ案内して扱室21の終端部側へ案内することができるのである。そして、従来扱胴供給始端部280へ飛散していた穀粒等を回収することができ、ロスを減少することができるのである。
なお、前記送りガイド283とリード板284とからなる飛散防止用ガイドは脱穀部20の扱胴供給始端部280のフィードチェーン9と反対側の上部案内板282の裏面側に配置してもよく、この場合にも上記同様の効果を得られるものである。
続いて、脱穀部20の受網23の構成について、図43から図45を用いて説明する。
受網23は、グレンタンク13側(進行方向右側)を奥網290、フィードチェーン9側(進行方向右側)を手前網291として二分割されており、送塵口27始端の前後方向のラインY(図44参照)において、奥網290と手前網291とが連結部295にて連結されている。
前記奥網290と手前網291の周囲は断面視L字状の枠により支持されており、前記連結部295において、奥網290及び手前網291の当接部には、扱胴22の径方向外側に向けて略直角に折り曲げて網枠290a及び291aがそれぞれ形成されており、この連結部295において、奥網290及び手前網291のいずれか一方の網枠よりピン292a・292a・292aが機体前後方向に略等間隔を隔てた位置において接線方向に突設され、また他方の網枠には前記ピン292aが突設される位置に対応して挿入孔が形成され、手前網291を押し込むことによりピン292aが挿入孔に嵌合して奥網290と手前網291とを連結する構成としている。なお、前記ピン292aを設ける位置や数は限定されるものではなく、また、この連結構成も限定されるものでなく、凹凸を嵌合させる構造等であってもよい。
また、前記奥網290のグレンタンク13側にも前記網枠290aと同様にして網枠290bが形成されており、この網枠290bからはピン292b・292b・292bが機体前後方向の位置を前記ピン292aと略同じにして接線方向に突設され、これらピン292bを本機側に備えられる固定部材となるステー296に嵌合することで奥網290が本機に固定されるとともに、受網23が扱胴22下方において固定されるのである。
図44に示すように、受網23は奥網290と手前網291とにより平面視略L字状に形成され、手前網291が前後方向に長くやや突出した構成としている。また、受網23は網枠293上に薄い金属製の板体294を固設して構成されており、この板体294には全面ほぼ均一に方形状の抜孔294aが穿設されて網目状に形成されている。そして、これらの抜孔294aを通じて、扱歯22a・22a・・・により受網23上に扱ぎ落された籾や藁屑等を漏下するようにしている。なお、本実施例においては、抜孔294aの形状を方形状としたが、丸や多角形等にしてもよい。
上述したように平面視略L字状の受網23における突出部291cは、フィードチェーン9による穀稈搬送経路9aの後半部であり、扱胴22の後半部の下部に位置する。この突出部291cの上面には、金属製の板体等で形成される所定高さの仕切297が、扱胴22の回転による扱歯22aの移動方向と平行に、これら扱歯22aの間に位置するように機体前後方向に等間隔を隔てて複数突設されている。この仕切297が複数突設された突出部291cにおいて、フィードチェーン9によって搬送される穀稈は、仕切297によって上方へ浮き上がらされるとともに扱歯22a・22a・・・により下方に押え付けられるようになっており、穀稈に扱歯22a・22a・・・を当接させることができるようになっている。
また、受網23は機体側方から着脱できるように構成されている。つまり、上述したように機体側方に対して開閉可能に構成されたフィードチェーンフレーム190を開放し、機体側方より機体側に設けられているフレーム298に設けたレールに沿って円弧状に引き出したり挿入したりして着脱可能としているのである。そのため、奥網290の前後の網枠293の連結部295側にはそれぞれストッパ299・299が設けられている。このストッパ299・299においては、網枠293に板状の部材の一部を山型に折り曲げて形成された板バネ299aをボルト等によって締結固定し、この板バネ299aを機体側のフレーム298に止め具299b等を用いて係止できるようにしており、メンテナンス等で手前網291を引き抜く際に奥網290がすべり落ちないようにしている。
図45及び図46に示すように、このような構成の受網23において、扱ぎ残しが発生し易い機体左側に位置する手前網291と、扱胴22外周に植設した扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの隙間(間隔)を調整することが可能となっており、そのための位置調整部300が設けられている。つまり、手前網291の左側(フィードチェーン9側)端部にはコ字状の折り曲げ部291dを形成し、該折り曲げ部291dの内側にL字状の網枠291bが固定されており、該網枠291bと折り曲げ部291dを嵌合部として、その間にクランク状に折り曲げた固定部材となる固定プレート306の上端側を挿入できるようにしている。
前記位置調整部300は、機体本体側に固設されたブラケット305と、該ブラケット305の上端部に配置される位置調整のための板状部材である固定プレート306と、該固定プレート306をブラケット305に固定するための固定具307と、間隔を調整するためのシム309から構成される。
ブラケット305は、その下端部が手前網291の左下方において、扱室21のフレームの一端にボルト304によって締結固定されており、上端部が手前網291の左側端部の網枠291bに向けて延設されている。そして、このブラケット305の上端部には固定プレート306が、その一端が手前網291の網枠291bに当接するように突設して、基部側がピン307a及びナット307bからなる固定具307によって固定されている。つまり、ピン307aの頭部307cに固定プレート306とシム309挿入した状態でブラケット305に挿入し、ナット307bにより締付け固定するのである。
このような構造において、手前網291を奥網290側へ押し込んで、前記ピン292aが奥網290との連結部295に挿嵌され、同時に、網枠291bと折り曲げ部291dとの間に固定プレート306が挿入され、後述する手前網押え310によって押え付けられて固定される。このとき、扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの隙間において、その間隔を狭めたい場合は、シム309の枚数を増加することにより、固定プレート306が網枠291bを押圧して扱胴22側に近づける。また、この間隔を広めたい場合は、シム309の枚数を減らすことにより、網枠291bを外側にさせることができる。つまり、手前網291が奥網290との連結部295を中心として回動し、前記隙間を調整することができるのである。なお、厚さの異なるシムを予め複数用意し、これらのシムを取り替えることによっても、同様にして前記隙間を調整することができる。但し、受網は手前網291と奥網290とにより構成しているが、一枚の網で構成することも三枚以上に分割して構成することもできる。
このように、手前網291とブラケット305との間に介在する固定プレート306を固定する部分に位置調整部300を形成し、該位置調整部300に配置するシム309の数を増減させたり、その厚さを調整したりすることによって、手前網291と扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの隙間(間隔)を調整することができるのである。こうして、手前網291と扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの間隔を調整可能とすることで、収穫する作物の種類に応じた規定の間隔を確保することができる。これにより、前記隙間が所望の間隔よりも狭い場合に発生する穀稈の穂切れを防止しつつ穂先部分のみを効率的に脱粒することが可能となると共に、逆にこの間隔が広い場合に発生する扱ぎ残しを防止することが可能となり、脱穀精度の向上が図れる。
また、位置調整部300は、ブラケット305に取り付ける固定プレート306を固定するピン307aにシム309を介在させ、このシム309の数を増減させたり、または、異なる厚さのシム309に替えたりするという簡単な構成となっているので、容易に手前網291と扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの間隔を調整することができる。
さらに、このような構造の位置調整部300は、機体前後方向、即ち扱胴22の前後方向に複数設けることも可能である。この場合、前記ブラケット305を手前網291の前後方向の長さの範囲内で任意の間隔に複数設け、それぞれの位置において位置調整部300を構成するのである。
このように位置調整部300を機体前後方向に複数設けることにより、それぞれの位置において別々に手前網291の位置調整を行うことが可能となり、それぞれの位置において手前網291と扱歯22aの回転軌道Tとの間隔を調整することが可能となり、収穫する作物の種類や穀稈の脱穀状態に応じて該間隔の微調整を行うことができるので、穂切れや扱ぎ残しが防止でき、より脱穀精度の向上を図ることができる。
続いて、手前網押え130の構成について説明する。
図47に示すように、受網23の側方、フィードチェーン9側には、手前網押え310が配設されている。手前網押え310は、受網23と略同じ曲率半径に形成され、受網23を形成する手前網291の延長上に配置されている。また、この手前網押え310は、フィードチェーン9を開閉可能に支持するフィードチェーンフレーム190に固設されて一体的に設けられており、フィードチェーンフレーム190とともに開閉される構造となっている。このような構成において、フィードチェーン9が巻回されたフィードチェーンフレーム190を機体側にロックするとともに、手前網291のフィードチェーン9側の側端が反り返らないように押え付けるのである。
さらに、この手前網押え310の内側(扱胴22側)の側面には、上述の手前網291の突出部291cに設けられる仕切297と同方向(延長上)に複数の棒材等が突設されており、前記仕切297と同様に、この棒材によって穀稈を上方へ浮き上がらせるとともにとともに扱歯22a・22a・・・により下方に押え付けられるようになっており、穀稈に扱歯22a・22a・・・を当接させることができるようになっている。
このような手前網押え310は、扱胴22に対して位置調整可能な構造となっている。つまり、手前網押え310の扱胴22側の面である内側面310aと、扱胴22の扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの隙間(間隔)Sを調整可能に構成されているのである。以下、この隙間調整の構造について、図30及び図47を用いて説明する。
フィードチェーンフレーム190と一体的に設けられている手前網押え130の側方、フィードチェーン9側の側面には、機体前後方向にかけて略等間隔に複数箇所(本実施例では3箇所)に、該手前網押え310をフィードチェーンフレーム190に位置調節可能に固定するための調節プレート311a・311b・311cが突設されている。
これら調節プレート311a・311b・311cは、それぞれ上下平行に配置した上部ステー312と下部ステー313に固定されており、該上部ステー312と下部ステー313は、フィードチェーンフレーム190を構成する横フレーム190aと斜フレーム190bとの間に架設されている前記補強部材196a・196b・196cにそれぞれ上下二箇所固定されている。つまり、前記各補強部材196には、それぞれ側面視コ字状の上部ステー312及び下部ステー313が溶接等によって固設されており、これら上部ステー312及び下部ステー313に手前網押え310の各調節プレート311がボルト314及び315によってそれぞれ位置調整可能に固設されているのである。
そして、各調節プレート311において上固定部に介在する上部ステー312には通常の円形のボルト孔が穿設され、この上部ステー312を介してボルト314により調節プレート311の上部は位置決めされており、一方、各調節プレート311において下固定部に介在する下部ステー313には、手前網押え310の扱胴22に対する方向に長い長孔316が穿設され、この下部ステー313を介してボルト315により位置調整可能に固定できる構造となっている。つまり、下部ステー313に穿設される長孔316は、上固定部のボルト314を中心として手前網押え310を機体側方に回動した際のボルト315の軌道に沿うような形状を有しており、手前網押え310が回動可能な程度に上固定部のボルト314を締結した状態で、該ボルト314を中心として手前網押え310を回動することで、上述した隙間Sを調整することが可能な構造となっているのである。
このような構造によって、手前網押え310の調節プレート311a・311b・311cそれぞれの位置において、前記隙間S、即ち手前網押え310の内側面310aと、扱胴22の扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの間隔が調整可能となっている。なお、手前網押え310に設けられる調節プレートの数や形状は本実施例に限定されるものではない。また、手前網押え310の上固定部の上部ステー312側のボルト孔を長孔とし、下固定部側を回動中心としたり、上部ステー312及び下部ステー313の両方に長孔を穿設し、上下の固定部において手前網押え310を位置調整可能な構造したりすることもできる。
このように、手前網押え310をフィードチェーンフレーム190に対して位置調整可能に固定できる構造とすることで、手前網押え310の内側面310aと、扱胴22の扱歯22aの先端部の回転軌道Tとの隙間Sを調整することができ、収穫する作物の種類に応じた規定の間隔を確保することができる。これにより、前記隙間Sが所望の間隔よりも狭い場合に発生する穀稈の穂切れを防止しつつ穂先部分のみを効率的に脱粒することが可能となると共に、逆に広い場合に発生する扱ぎ残しを防止することが可能となり、脱穀精度の向上が図れる。
また、このような手前網押え310の位置調整箇所を、機体前後方向、即ち扱胴22の前後方向に複数設けることにより、それぞれの位置において隙間Sの間隔を調整することが可能となり、収穫する作物の種類や穀稈の脱穀状態に応じて穀稈搬送経路における隙間Sの微調整を行うことができるので、穂切れや扱ぎ残しが防止でき、より脱穀精度の向上を図ることができる。
続いて、前記排藁搬送装置320について、図48及び図49を用いて説明する。
排藁搬送装置320は、前記穀稈搬送装置170のフィードチェーン9から搬送される排藁を排藁搬送チェーン10により機体後方に搬送し、その際に排藁が排藁搬送チェーン10から離れて落下する位置を変えることで、排藁カッター装置321で細断して圃場に排出するか、または、切断せずにそのまま放出、或いは、結束装置で結束して圃場に投下するかを変更するものである。
前記排藁搬送装置320は、主に排藁搬送チェーン10、排藁挟扼ガイド330、前部支持棒331、バネ332、レール体333、摺動ローラ334・335、後部支持棒336、バネ337、リンク機構338等から構成されている。
排藁搬送チェーン10は、フィードチェーン9の後端側より、右後方へ向けて延設されている。該排藁チェーン10には補助排藁搬送チェーン325が平行に設けられ、排藁の株元側を排藁搬送チェーン10により保持し、かつ排藁の先端側を補助排藁搬送チェーン325で保持して、排藁を後方へ搬送するようにしている。そして、該排藁搬送チェーン10の下方に排藁挟扼ガイド330が配置されている。
排藁挟扼ガイド330は、主ガイド340と摺動ガイド341とから構成されており、主ガイド340が左右斜め水平方向に横設されている。該主ガイド340は、その一端(入口側、左側)が略「く」の字型に下方へ屈曲された屈曲部340aを有する丸棒状(円筒状)の部材であり、その屈曲部340aがフィードチェーン9の終端側に向けて配置されて、排藁搬送チェーン10と主ガイド340との間に穀稈を挟持しながら搬送を容易としている。
また、主ガイド340の屈曲部340aの根元部には前部支持棒331の一端(上端)が回動可能に枢着され、他端が脱穀機枠345に固設された側面視コ字状の取付部材343の上下面に穿設された孔に貫装されて、該取付部材343内の前部支持棒331に外嵌したバネ332により主ガイド340が排藁搬送チェーン10に近接する方向(上方)に付勢されている。
レール体333は断面視略逆U字型の部材であり、主ガイド340の胴体部下面に長手方向を略平行にして固設され、下方から摺動ガイド341を摺動可能に収容する。
摺動ガイド341は一端(入口側、左側)が屈曲された略L字型の丸棒状(円筒状)部材である。摺動ガイド341の屈曲部341aは、始端側が下方に延設され、水平部分はレール体333に収容されて、該レール体333の下部に適宜間隔をあけて設けた摺動ローラ334・335上に載置され、該摺動ローラ334・335によりレール体333から脱落せず、かつ長手方向に摺動可能に支持されている。
後部支持棒336は一端(上端)がレール体333の後部(主ガイド340の屈曲部340aから遠い方)に回動可能に枢着され、他端がコンバインの機体に固設されたコ字状の取付部材344の上下面に穿設された孔に貫装されて、該取付部材344内の後部支持棒336に外嵌したバネ337によりレール体333(主ガイド340)が排藁搬送チェーン10に近接する方向(上方)に付勢されている。
以上のように構成することにより、排藁が排藁搬送チェーン10により搬送されていないときには、主ガイド340の胴体部と排藁搬送チェーン10の長手方向(搬送方向)とが所定の間隔を空けて略平行となるようにバネ332・337により支持されている。
一方、排藁搬送チェーン10により搬送される排藁量が多くなると、バネ332・337の付勢力に抗して主ガイド340は下方に押し下げられる。このとき、前部支持棒331と後部支持棒336はそれぞれ主ガイド主ガイド340とレール体333に対して回動可能に枢着されていることから、排藁量の変動に応じて主ガイド主ガイド340の胴体部が排藁搬送チェーン10の長手方向に対して平行でない角度を取ることが可能であり、排藁を確実に後方に搬送することが可能である。
ところで、図50、図51に示すように、前記主ガイド340の前工程側を支持し支点となる前部支持棒331は脱穀機枠345の外側に配置されているが、従来においては前部支持棒は脱穀機枠の内側に配置されていたので、選別部における選別性能の向上を図るために脱穀機枠内に配設されている吸引ファンの径を大きくしたり、配置位置を変更したりすると、吸引ファンを覆うファンケーシングと前部支持棒とが干渉するおそれがあり、吸引ファンの径を必要な大きさに変更できなかった。また、吸引ファンケーシングとの干渉を回避するように前部支持棒を配置しても、前部支持棒の配置位置が限られるため、摺動ガイドの必要なストロークを確保することができないという問題があった。
そこで本実施例では、脱穀機枠345の内側に配置される吸引ファン40に対して前部支持棒331を脱穀機枠345の外側に配置しているのである。つまり、前記取付部材343を脱穀機枠345の外側側面に締結部材により締結して、上述の如く取付部材343に設けた孔に前部支持棒331を貫装しているのである。
したがって、吸引ファン40の径の大きさや配置位置に関らず吸引ファンケーシング161と前部支持棒331との干渉を避けることができるため、吸引ファン40の径を必要な大きさとすることができる。また、摺動ガイド341に必要なストロークを確保することが可能となる。
続いて、摺動ガイド341の摺動方法について説明する。該摺動ガイド341はレール体333の下方に設けられたリンク機構338等を介して、操縦部に設けた操作レバーの操作で摺動できるようにしている。
リンク機構338は、図51、図52に示すように、主に作動アーム350、取付部材351、ピン352、回動アーム353、回動ボス354、取付部材355、回動アーム356等から構成されている。
作動アーム350は細長い板状の部材からなり、その両側の連結部に長孔が形成されて許容部が構成されている。つまり、作動アーム350の一端(後側)に係止孔350aが穿設され、他端(前側)には長孔350bが穿設されている。該係止孔350aはやや長いオーバル型の形状をしており、前記摺動ガイド341の屈曲部341aの先端部を挿入して連結している(図49参照)。このように摺動ガイド341を作動アーム350の係止孔350aに上下摺動自在に挿入することで、該摺動ガイド341に連動して主ガイド340も上下動するように構成している。これにより、排藁が搬送されて、主ガイド340及び摺動ガイド341と、排藁搬送チェーン10との間隔が広がったり狭くなったりしても、屈曲部341aが大きな抵抗を受けることなく上下に摺動でき、切り替えレバーを操作した後においても、容易に摺動できる。また、排藁の姿勢姿勢も乱れることなく、排藁を後方に円滑に搬送することができる。
また、作動アーム350の他端(前側)に穿設された長孔350bはピンを介して機体側と連結している。つまり、該長孔350bにピン352が貫通されて、該ピン352はコンバインの機体に固設された取付部材351に固設されている。こうして、切り替え操作時には、作動アーム350はピン352に沿って摺動回動可能であるが、取付部材351から脱落しないようにしている。
作動アーム350の中途部には回動アーム353の先端部(前部)が回動可能に枢着されている。該回動アーム353の基部(後部)は回動ボス354に固設され、回動ボス354はコンバインの機体に固設された取付部材355の回動軸355aに回動可能に枢着されている。また、回動ボス354には回動アーム356の基部が固設され、回動アーム356の先端部には操作ワイヤ357の一端が取り付けられている。操作ワイヤ357の他端は運転室14内に設けられた操作レバー(図示せず)に連結されている。また、回動アーム353の中途部とコンバインの機体との間にはバネ358が介装されている。バネ358は、平面視(図52参照)で回動アーム353および回動アーム356が回動軸355aを中心にして時計回りに(排藁放出側に)回動するように付勢している。
前記運転室14内に設けられた図示せぬ操作レバーを「切断」側に操作すると、バネ358に抗して操作ワイヤ357が運転室14側に引っ張られ、回動アーム356および回動アーム353は回動軸355aを中心に平面視(図52参照)で反時計回りに回動される。このとき、作動アーム350はピン352を略中心として平面視(図52参照)で時計回りに回動され、摺動ガイド341を図49に示す「排藁カッター(切断)位置」に摺動させるのである。このとき、摺動ガイド341が直線運動するのに対して作動アーム350の後部は回動運動となるが、作動アーム350とピン352とは長孔350bを介して枢着されているため、回動時の作動アーム350両端部(係止孔350aと長孔350bが穿設されている端部)の軌跡は平面視で略長手方向の直線となって許容する。
したがって、係止孔350aに屈曲部341aが嵌合された摺動ガイド341は、レール体333に沿ってレール体333後方から突出した位置(穀稈を結束後圃場に投下または直接投下するときの位置)から、レール体333内に収納された位置(穀稈を排藁カッター装置321で細断するときの位置)に滑らかに摺動する。また、操作レバーを逆方向に回動して「放出位置」に回動すると、バネ358の付勢力により回動アーム353・356は平面視(図52参照)で時計回りに回動して、作動アーム350を反時計回りに回動して、摺動ガイド341を突出した位置(右側)へ摺動して、排藁を排藁カッター装置321へ導かないようにするのである。
以上の如く構成することにより、モータ等のアクチュエータを用いることなく、手動操作で摺動ガイド341を排藁を結束後圃場に投下または直接投下するときの位置と、排藁を排藁カッター装置321で細断するときの位置とに水平(略左右)方向に摺動することができるようになり、この左右動と屈曲部341aの上下摺動が略同時行うことが可能となって、滑らかに摺動させることができ、切替操作時にコジ等が発生しにくくなり、装置の信頼性が向上する。また、運転室14側の操作を伝達するのは一本の操作ワイヤ357だけであり、作動量の調整が容易となる。
次に、前記排藁搬送チェーン10について、図48、図54乃至図56を用いて説明する。
排藁搬送チェーン10は複数のリンクプレート361から構成されており、各リンクプレート361は外側に突出する凸形状に形成されて、リンクプレート361・361間に排藁の株元側が保持される。また、補助排藁搬送チェーン325を構成するリンクプレートには、タイン325aが間欠的に設けられており、該タイン325a・325a間に、排藁の先端側が保持される。こうして、排藁搬送チェーン10により搬送される排藁が、補助排藁搬送チェーン325によって一層確実に保持されながら、後方へと搬送されるようにしている。
排藁搬送チェーン10は、前側の駆動スプロケット362と、後側の従動ローラ363とに巻回されている。また、駆動スプロケット362および従動ローラ363は、その軸方向が水平方向である。したがって、排藁搬送チェーン10は、鉛直面内で長円状の無限軌道を走行する。排藁搬送チェーン10と平行である補助排藁搬送チェーン325に関しても、同様である。
この排藁搬送チェーン10の走行する鉛直面を、排藁搬送チェーン10の走行面とし、以下、該走行面を基準として、排藁搬送チェーン10に関る方向を定義する。
排藁搬送チェーン10の駆動スプロケット362には、脱穀部20の扱胴22を駆動する扱胴駆動軸322より、ベルト伝動機構323と、駆動伝達機構が内装される伝動ケース324を介して、動力が伝達される。また、補助排藁搬送チェーン325にも、扱胴駆動軸322からの動力が、伝動ケース324を介して伝達され、排藁搬送チェーン10と補助排藁搬送チェーン325とが同期して駆動される。
図54、図55に示すように、従動ローラ363は、ローラガイド364により回動自在に支持されている。該ローラガイド364は、排藁搬送チェーン10の走行面の左右に配置される一対のガイド板365・365を備えている。ガイド板365・365間には、従動ローラ363の回動支軸366が設けられるとともに、ガイド板365・365を連結して固定する橋架部材379・379・・・が設けられている。
一方、駆動スプロケット362は、排藁搬送チェーン10をガイドするチェーンガイド367に、回動自在に支持されている。
図56に示すように、チェーンガイド367は、横断面視でコ字形状に形成されており、その全体形状は、上下の平行部367a・367bと、該平行部367a・367bを連結する連結部367cとから構成されている。
排藁搬送チェーン10は、チェーンガイド367の上下両端部に排藁搬送チェーン10のリンクプレート361・361・・・の内面が接近するように設けられ、左右のリンクプレート361・361を連結するローラピンをガイドしている。そして、排藁搬送チェーン10がチェーンガイド367に案内されて、蛇行することなく走行(駆動)する。
図54、図55を用いて、排藁搬送チェーン10のテンション装置370について説明する
ローラガイド364は、チェーンガイド367にテンションバネ368を介して支持されており、ローラガイド364に支持される従動ローラ363が、排藁搬送チェーン10のテンションローラとして機能するように構成されている。ここで、チェーンガイド367に対してローラガイド364を支持するとともに、ローラガイド364にテンションを付与する装置が、テンション装置370である。
テンション装置370は、ローラガイド364をチェーン張り方向で進退自在に支持するガイド手段371と、ローラガイド364をチェーン張り側に付勢するテンション手段372とを備えている。ガイド手段371およびテンション手段372は、排藁搬送チェーン10の走行面の左右にそれぞれ設けられている。
なお、ここで、前記のチェーン張り方向とは、本実施の形態では、駆動スプロケット362と従動ローラ363とを結ぶ方向で、従動ローラ363側のことを意味する。排藁搬送チェーン10は、駆動スプロケット362と従動ローラ363とのみに巻回されており、従動ローラ363を駆動スプロケット362に対して離間する方向に移動させた場合にのみ、排藁搬送チェーン10のテンションが高められるためである。同様に、前記のチェーン張り側とは、チェーン張り方向において、排藁搬送チェーン10の外側のことを意味する。
まず、ガイド手段371について説明する。
前記ガイド板365には、チェーン張り方向に延出するガイド棒369の先端が固設されている。また、チェーンガイド367には、ガイド棒369を挿通して摺動自在に支持するパイプ状のガイド棒支持部材373が、チェーン張り方向と平行に水平方向に支持フレーム374に固設されている。該ガイド棒支持部材373は回動支軸366と略同じ高さに配置することで排藁搬送チェーン10の略上下中央を支持することができて捩れ等を防止できる。
そして、ローラガイド364に固設されるガイド棒369の他端が、チェーンガイド367に固設されるガイド棒支持部材373に挿入され、該ガイド棒369とガイド棒支持部材373により、ガイド手段371が構成されている。該ガイド手段371により、ローラガイド364はチェーンガイド367に対して、チェーン張り方向で、進退自在に支持され、左右一対設けられている。
次に、テンション手段372について説明する。
ガイド板365には、チェーン張り方向に延出するテンション棒375の先端が固設されている。テンション棒375は、チェーンガイド367に固設される支持フレーム374にチェーン張り方向と平行に水平方向に摺動自在に支持される。
図55に示すように、支持フレーム374は、一対の前後平行部374a・374bと、両平行部374a・374bを連結する連結部374cとからなるコ字形状の部材である。一対の平行部374a・374bのうち、駆動スプロケット362側に位置する平行部374aには、テンション棒375の外径と略同径の挿通孔が形成されており、該平行部374aにテンション棒375が挿通自在に支持される。
また、テンション棒375の軸上には、螺子部375aが形成されており、該螺子部375aに螺合するナット376・377が設けられている。ナット376・377はダブルナットであり、ナット377はナット376をテンション棒375上で固定するための締結手段である。所謂、ロックナットとしている。また、ナット376と平行部374aとの間には、ワッシャ378を介して、前記テンションバネ368が介設されている。
テンション手段372は、以上で説明したテンション棒375、テンション棒375を挿通自在に支持する平行部374a、ナット376、テンションバネ368により構成され、左右一対配置されている。そして、テンションバネ368により、ナット376と一体のローラガイド364がチェーン張り側に付勢され、排藁搬送チェーン10にテンションが付与される。そして、更に付勢力を大きくするときにはナット376を回動して、ナット377によりロックするのである。
以上で説明したように、排藁搬送チェーン10のテンション装置370には、排藁搬送チェーン10の走行面の左右に、チェーンガイド367に対してローラガイド364をチェーン張り方向で進退自在に支持するガイド手段371が、それぞれ設けられている。テンション装置370においては、従動ローラ363を回動自在に支持するローラガイド364が、駆動スプロケット362を回動自在に支持するチェーンガイド367に、テンションバネ368を介して支持される構成である。
このため、ローラガイド364が移動方向が、ガイド手段371によりチェーン張り方向に規制されており、前記テンションバネ368の付勢力の影響で、ローラガイド364および従動ローラ363が、チェーン張り方向に対して、傾いてしまうことがない。特に、本実施の形態のように、前記走行面の左右にテンションバネ368を設ける構成において、ローラガイド364に加えられる付勢力が左右で異なる場合であっても、ローラガイド364がチェーン張り方向に対して傾くことがない。
したがって、ローラガイド364に支持される従動ローラ363が前記左右方向に傾いて、チェーンガイド367に排藁搬送チェーン10のリンクプレート361・361・・・が常時当接して摩耗する等の不具合の発生が防止される。
特に、前記走行面の左右にテンションバネ368を設ける構成の場合は、左右のテンションバネ368の付勢力を均等にしなくても、排藁搬送チェーン10とチェーンガイド367との常時当接が防止されるため、テンション調整が容易である。
また、前記ガイド手段371は、ローラガイド364に固設されるガイド棒369と、該ガイド棒369を摺動自在に支持し、チェーンガイド377に固設されるガイド棒支持部材373とからなっている。
このため、ローラガイド364がチェーンガイド367に、チェーン張り方向で摺動自在に支持される。したがって、テンションローラとしての従動ローラ363を、以上のように簡易な構造でチェーン張り方向で摺動とすることができ、前記テンション装置370は耐久性に優れると共に、その製造においてコストアップを招くこともない。
また、排藁搬送チェーン10の走行面の左右にはそれぞれ、テンション手段372が設けられている。該テンション手段372は、次のものから構成される。
まず、ローラガイド364に固設されるテンション棒375と、テンション棒375を摺動自在に支持し、チェーンガイド367に固設されるテンション棒支持部材(前記平行部374a)とである。
次に、該テンション棒375の軸上に形成される螺子部375aに螺合するナット376・377と、該ナット376とチェーンガイド367との間に介設されるテンションバネ368とである。
このため、排藁搬送チェーン10の走行面の左右で、ローラガイド364がチェーンガイド367に、チェーン張り側へ付勢される。また、ナット376・377を工具等により回転させることにより、左右のテンションバネ368による付勢力を調整可能である。したがって、従動ローラ363により排藁搬送チェーン10に加えるテンションを、微調整することが可能である。
次に、排藁安全シャッタ390について、図1、図2、図48、図57、図58を用いて説明する。
図1、図2、図48に示すように、コンバインの後上部には、排藁処理部11の上部を開閉可能に覆う処理部カバー380が設けられている。該処理部カバー380は、図47に示すように、コンバインの機体フレーム2上に立設される支持フレーム381に、前後方向の回動支軸382・382回りで上下に回動可能に設けられている。
そして、処理部カバー380には、排藁搬送チェーン10の始端部(前端部)の側方位置に、排藁搬送チェーン10の始端部側の開口部を開閉可能とする排藁安全シャッタ390が設けられている。該排藁安全シャッタ390は、フィードチェーン9の後端部上方に配置され、左右方向の回動支軸391を介して、処理部カバー380の左側面に枢設されており、フィードチェーン9により搬送される排藁を排藁搬送チェーン10に受け継ぐ時に、排藁の株元側が該排藁安全シャッタ390を上方に押し上げて回動するようにし、非搬送ときには閉じる構成としている。
ここで、排藁安全シャッタ390には、排藁搬送チェーン10によって搬送される排藁を処理部カバー380内に引き込むときに、その抵抗により排藁安全シャッタ390を左右方向に移動させようとする力が加えられる。具体的には次のような理由による。
まず、排藁安全シャッタ390は前上部が1点で枢支されているため、後部は左右方向に大きな力が加えられると変形し易い。一方、排藁はフィードチェーン9により左右方向の姿勢で後方へ搬送されるが、排藁搬送チェーン10に受け継がれると、排藁は機体内部へ斜め方向に搬送される。この時、排藁の株元がフィードチェーン9に挟持されて、側方に突出しているため、突出した株元が排藁搬送チェーン10により処理部カバー380内に引き込まれ、排藁安全シャッタ390を上方に押し上げ回動すると同時に、排藁安全シャッタ390も内側に引き込もうとする。
つまり、排藁安全シャッタ390には、排藁搬送チェーン10に搬送される排藁により、該排藁安全シャッタ390を内側へ引き込むような力が加えられるので、従来では、排藁安全シャッタ390は株元に引っ掛かって変形したり、破損したりすることがあった。
そこで、本実施の形態のコンバインには、排藁安全シャッタ390の外側への移動(捩れ)を規制する手段が設けられている。該規制手段は、処理部カバー380のロックレバー383を利用している。
図57、図58に示すように、処理部カバー380の左側面から突出する処理部カバー380のロックレバー383が設けられている。該ロックレバー383は、メンテナンス等のために処理部カバー380を開ける時に解除するロックするレバーであり、該ロックレバー383を持ち上げるとロックが解除される。
ロックレバー383はレバー杆383bの先端を前方に曲げてグリップ383aを形成し、該グリップ383aの前端は更に内側へ曲げて排藁安全シャッタ390に接近するように形成されている。該グリップ383aは左側面視において、排藁安全シャッタ390の後部と重複すると共に、処理部カバー380の左側に開口した入口380aとも重複するように配設している。
以上のように構成することにより、排藁安全シャッタ390は、排藁搬送チェーン10により排藁が搬送されるときに引き込まれるが、処理部カバー380の外面に沿って上方へ回動するときに、前記グリップ383aに当接して変形が防止されるのである。
このため、排藁搬送チェーン10に搬送される排藁が排藁安全シャッタ390に引っ掛かって、排藁安全シャッタ390に左右方向の力が加わっても、排藁安全シャッタ390の左右動が規制され、排藁安全シャッタ390の変形や破損が防止される。