JP2005071690A - ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法 - Google Patents

ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005071690A
JP2005071690A JP2003297218A JP2003297218A JP2005071690A JP 2005071690 A JP2005071690 A JP 2005071690A JP 2003297218 A JP2003297218 A JP 2003297218A JP 2003297218 A JP2003297218 A JP 2003297218A JP 2005071690 A JP2005071690 A JP 2005071690A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
anode container
polishing
sulfur battery
plasma
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003297218A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4361330B2 (ja
Inventor
Takashi Ando
孝志 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Insulators Ltd filed Critical NGK Insulators Ltd
Priority to JP2003297218A priority Critical patent/JP4361330B2/ja
Publication of JP2005071690A publication Critical patent/JP2005071690A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4361330B2 publication Critical patent/JP4361330B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】ナトリウム−硫黄電池を組み立て後、充放電の電池作動をさせた場合、充放電サイクルの初期において電池の内部抵抗が小さく、電気エネルギー効率を高めるナトリウム−硫黄電池用陽極容器を提供する。
【解決手段】内周面にCr−Fe合金からなる防食用溶射皮膜2を形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器1において、溶射皮膜2が、大気中でプラズマ溶射によって形成された後に研磨されて形成された研磨面を有する溶射皮膜であって、溶射皮膜2の面積に対する研磨面積率が10%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力負荷調整用などの2次電池として利用されるナトリウム−硫黄電池を構成する陽極容器およびその製造方法に関する。
電力の平準化やピークカットなどの機能を実現するための電力貯蔵システムにナトリウム−硫黄電池が使用されているが、そのナトリウム−硫黄電池の構造は、例えば、図14にその断面図を模式的に示した通りのものである。
製造時におけるその電池構造は、有底筒状のベータアルミナ固体電解質管12がその上端外周面でα−アルミナの絶縁リング13の内周面とガラス接合され、更に、絶縁リング13の上面に接合された陰極金具14及びその陰極金具14に溶接された陰極蓋15と絶縁リング13とベータアルミナ固体電解質管12とで区画された陰極室が、有底筒状の金属性安全管16とその安全管16内側にナトリウム及び少量のアジ化ナトリウムを収納したナトリウム収納容器17を配設しており、一方、陽極室は、絶縁リング13の下面に接合された陽極金具18と、その陽極金具18に溶接された陽極容器19と、更にはその陽極容器19に溶接された底蓋20と、絶縁リング13と、ベータアルミナ固体電解質管12とで区画され、硫黄を含浸したカーボンマットが配設され、その上部には窒素などの不活性ガスが充填された構造である。
各部材による単電池組み立て後、電池作動温度までの昇温過程で、ナトリウム収納容器17内のナトリウムは溶融し、ナトリウム収納容器17内の上部に内包されていたアジ化ナトリウムの分解で発生した窒素ガスの圧力によりナトリウム収納容器17の底部に設けられている小孔より溶融ナトリウムが陰極室内に流出して陰極室内を充填状態にする。
290℃〜385℃の温度で電池は作動し、ナトリウムはベータアルミナ固体電解質管12中をナトリウムイオンとしてイオン伝導し、陽極室の溶融硫黄と反応し、多硫化ナトリウムを生成して放電反応が進行する。充電の際は逆の反応が進み、陰極室に溶融ナトリウムが戻される。
上述の構成のナトリウム−硫黄電池において、アルミニウム合金製の陽極容器は、陽極活物質の多硫化ナトリウムに対する耐食性の問題から、その内周面に防食用の溶射皮膜を有するものが用いられている。
ナトリウム−硫黄電池を組み立て後、充放電の電池作動をさせた場合、充放電サイクルの初期において電池の内部抵抗が高く、所定の電流が流せず、電気エネルギーの効率が低いという問題がある。
充放電サイクルを10サイクル程度繰り返せば、漸次内部抵抗は低下していくが、出荷前のセル検査において充放電を繰り返すことは生産性が非常に悪く、費用コストも高くなるとの大きな問題を生ずる。
この問題を解決するために、本発明者らは、特許文献1に記載の通り、陽極容器における電気抵抗と被覆層における表面の酸素含有率との関係に着眼して、ナトリウム−硫黄電池の初期特性を向上させてきた。具体的には、円筒状の陽極容器の内周面にプラズマ溶射によって形成された高クロム−鉄系合金からなる被覆層を研磨し、形成された被覆層が、表面から少なくとも5μmの深さの間の酸素含有量が2.0重量%以下である陽極容器の製造方法である。
特開平8−180899号公報
しかしながら、この方法においては、被覆層における表面層部の酸素含有量の測定をEPMA分析法に基づき、皮膜のみを採取して分析するものであり、多大の労力と時間を要し、生産性が低く、又、コスト高である。
従って、本発明は、上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ナトリウム−硫黄電池を組み立て後、充放電の電池作動をさせた場合、充放電サイクルの初期において電池の内部抵抗が小さく、電気エネルギー効率を高めるナトリウム−硫黄電池用陽極容器を提供することにある。又、その陽極容器を簡便に、高生産性、かつ低コストで、高品質に製造する陽極容器の製造方法を提供することにある。
即ち、本発明によれば、内周面にCr−Fe合金からなる防食用溶射皮膜を形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器において、該溶射皮膜が、大気中でプラズマ溶射によって形成された後に研磨されて形成された研磨面を有する溶射皮膜であって、該溶射皮膜面積に対する研磨面積率が10%以上であることを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器が提供される。
本発明においては、前記研磨面積率が20%以上であることが好ましい。又、前記溶射皮膜の表面から少なくとも深さ5μmの間における酸素含有量が4.0%以下であることが好ましい。さらに、前記溶射皮膜の表面から少なくとも深さ5μmの間における酸素含有量が2.0%以下であることが好ましい。
又、本発明においては、前記溶射皮膜の面粗度(Ra)が6μm以下であって、かつ、前記溶射皮膜の厚みが40μm以上であることが好ましい。又、前記溶射皮膜のCr含有量が60重量%以上であることが好ましい。
又、本発明によれば、金属材料からなる円筒状の陽極容器基体の内周面にプラズマ溶射してCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成し、次いで得られたプラズマ溶射膜を研磨することにより研磨面を有する溶射皮膜を内周面に形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、該溶射皮膜に対する研磨面積率が10%以上となるまで該プラズマ溶射膜を研磨することを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法(第1の製造方法)が提供される。
又、本発明によれば、内周面に防食用溶射皮膜を有するナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、大気中でプラズマ溶射によって陽極容器基体内周面にCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成した後、該プラズマ溶射膜表面を研磨して、研磨面におけるクロム酸化物含有量が該プラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも10%以上小さくなるまで研磨することを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法(第2の製造方法)が提供される。
本発明に係る第2の製造方法においては、前記研磨面におけるクロム酸化物含有量がプラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも20%以上小さくなるまで研磨することが好ましい。
本発明に係る第1および第2の製造方法においては、前記プラズマ溶射膜を形成する方法が、円筒状の陽極容器基体を回転させながら、溶射ガンを上下に移動させて大気中でプラズマ溶射する際、溶射ガンのアルゴンガスを用いた1次ガスの流速が30〜40L/min、水素を用いた2次ガスの流速が4.0〜5.5L/min、プラズマ出力が12〜15KW、金属粉末粒度が5〜60μm、溶射距離が45〜55mmの範囲でプラズマ溶射してプラズマ溶射膜を形成する方法であることが好ましい。
又、本発明に係る第1および第2の製造方法においては、前記プラズマ溶射膜を研磨する方法が、該プラズマ溶射膜を有する陽極容器基体を固定して、研磨用ブラシを回転させながら上下に移動して研磨する方法であって、該研磨用ブラシのブラシ材質が金属製ねじりワイヤーブラシであり、該ワイヤーブラシ直径が該陽極容器基体内径の1.05〜1.15倍であって、該ワイヤーブラシの断面硬さ(Hv)が430以上であり、該ワイヤーブラシを構成するワイヤー一本の線直径が0.2mm〜0.8mm、該ワイヤーブラシの回転数が900rpm〜1400rpm、該ワイヤーブラシトラバース速度が60〜80mm/secの範囲で研磨することが好ましい。
更に、本発明の第1および第2の製造方法においては、前記ワイヤーブラシを構成するワイヤー一本の線直径が0.3mm〜0.4mmであることが更に好ましい。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器を用いて電池を組み立てれば、充放電サイクルの初期において電池の内部抵抗が低く、電気エネルギー効率の高いナトリウム−硫黄電池が得られる。又、本発明に係る第1および第2のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法によれば、労力が少なく、生産性が高く、コストを低減でき、更に、プラズマ溶射膜を過度に研磨する必要はなく、研磨の無駄を省き、研磨時間、研磨コストを大幅に低減するという格別の効果が得られる。
以下に、本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器について、その実施形態の1例を説明するが、本発明は、これらに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、各種変更が可能であり、又、種々の修正、改良を加え得るものである。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器は、内周面にCr−Fe合金からなる防食用溶射皮膜を形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器であって、その溶射皮膜が、大気中でプラズマ溶射によって形成された後に研磨されて形成された研磨面を有する溶射皮膜であって、溶射皮膜面積に対する研磨面積率が10%以上であることを特徴とする。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器を用いて、電池を組み立てた場合、電池の初期内部抵抗が著しく低い電池が得られるとの格別の効果が得られる。
溶射皮膜面積に対する研磨面積率の具体的な計測方法は、走査電子顕微鏡を用い、溶射皮膜面の計測領域の二次電子像を撮影後、皮膜研磨領域をトレースし、画像解析し、計測領域面積に対する各研磨面積の総和の百分率として求める。
図1に陽極容器基体5としてアルミニウム円筒体を用いた本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器1を示す。溶射皮膜面2を高さ方向に5分割し、各領域(P1〜P5)における研磨面積率を求め、その結果を表1に示した。図2に研磨面を有する溶射皮膜2の走査電子顕微鏡による二次電子像の写真を1例として示す。図3は図2に対応した溶射皮膜研磨領域のトレース図(画像解析結果)である。図3は、図1における領域P5の溶射皮膜研磨領域を示しており、研磨面3の個数は36個、研磨面の面積総和は67027μm2、計測領域面積は214076μm2であり、研磨面積率は31.31%と計算される。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器1の例においては、表1に示す通り、研磨面積率は30〜37%の範囲であり、溶射皮膜2は全域がほぼ均一に研磨されており、溶射皮膜面積に対する平均研磨面積率は約33%である。
研磨面積率の異なる各種ナトリウム−硫黄電池用陽極容器を作成し、夫々電池を組み立て、各電池について電池作動時における初期内部抵抗を測定し、その結果を図4に示した。図4に示す通り、研磨面積率が0、即ち、未研磨状態の陽極容器を用いた電池の場合、その初期内部抵抗は7mΩであるが、研磨面積率が上昇するにつれて電池の初期内部抵抗は減少する。
研磨面積率が10%以上の陽極容器を用いた場合は初期内部抵抗が著しく低下し、約3mΩ以下の低い初期内部抵抗を有する電池が得られる。研磨面積率が20%以上の陽極容器を用いた場合は約2.5mΩ以下の低い初期内部抵抗を有する電池が得られるから好ましい。又、耐腐食性の点から溶射皮膜のクロム含有量は60重量%以上であることが好ましい。又、電池の耐用年数の点から溶射皮膜の厚みは40μm以上が好ましい。
プラズマ溶射膜を研磨して、研磨面積率を高めるにつれて、研磨面を有する溶射皮膜の面粗度(Ra)は低下する。研磨面積率と面粗度(Ra)の関係を図5に示す。図5に示す通り、研磨面積率10%は面粗度(Ra)6μmに対応する。従って、溶射皮膜の面粗度(Ra)を6μm以下となるまで研磨することが好ましい。
研磨面積率のみならず、溶射皮膜の厚さ及び溶射皮膜の面粗度(Ra)の異なる各種陽極容器を夫々作成し、夫々電池を組み立て、各電池について電池作動時における初期内部抵抗を測定した。その結果を表2に示す。表2に記載の陽極容器はいずれも陽極容器基体としてアルミニウムの円筒体を用い、その内周面に73%Cr−Fe合金の溶射皮膜を形成したものである。溶射皮膜の面粗度(Ra)はJIS B0601の規定に基づく面粗度を示す。研磨面積率は溶射皮膜面を高さ方向に5分割し、各領域における研磨面積率を求め、5分割領域全体の平均研磨面積率を示す。観察倍率は200倍で行った。
表2に示す通り、本発明の陽極容器である実施例1〜実施例6は、研磨面積率がいずれも10%以上であり、溶射皮膜の面粗度(Ra)は6μm以下であって、皮膜厚みが49μm以上の実施例を示したものである。いずれも、各陽極容器を用いて組み立てた電池は、充放電時の電池の初期内部抵抗は3.1mΩ以下である。一方、研磨面積率がいずれも10%より低い比較例1〜比較例4においては、各陽極容器を用いて組み立てた電池は、充放電時の電池の初期内部抵抗は5.3mΩ以上の高い値を示した。
次に、溶射皮膜表面の酸素含有量と研磨面積率の関係を図6に示す。図6に示す通り、研磨面積率10%における溶射皮膜表面部の酸素含有量は4.0重量%である。即ち、溶射皮膜表面の酸素含有量が4.0重量%以下になるまで研磨した陽極容器を用いて電池を組み立てれば、初期内部抵抗の小さい電池が得られる。溶射皮膜表面の酸素含有量は表面部深さ5μmを採取して、分析した値である。
次に、本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法について説明する。本発明の第1のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法は、金属材料からなる円筒状の陽極容器基体の内周面にプラズマ溶射してCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成し、次いで得られたプラズマ溶射膜を研磨することにより研磨面を有する溶射皮膜を内周面に形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、該溶射皮膜に対する研磨面積率が10%以上となるまで該プラズマ溶射膜を研磨することを特徴とする。
具体的には、図7に示す通り、陽極容器の基体5としてアルミニウム合金製の円筒体を用い、この陽極容器基体5を回転治具6により所定の回転速度で回転させ、陽極基体5内に溶射ガン7を所定のトラバース速度で降下させながら、陽極容器基体5内周面に大気中でプラズマ溶射する。プラズマ溶射膜4の厚みに応じて溶射ガン7を陽極容器基体5内を上下往復移動させ溶射する。
用いる溶射用金属粉末はCr−Fe合金粉末であって、その粉末粒度は5〜60μmの範囲のものを用いる。溶射ガン7は1次ガスにアルゴンガス、2次ガスに水素を用い、1次ガス流速を30〜40L/min、2次ガス流速を4.0〜5.5L/minに設定し、水素燃焼によりプラズマ域8をつくり、そのプラズマ域8に供給パイプ9から金属粉末を吹き込む。又、溶射ガン出力を12〜15KWに設定し、更に、溶射ガン7と陽極容器基体5との距離、即ち、溶射距離(d)を45〜55mmに設定する。
陽極容器基体5の内周面に形成されたプラズマ溶射膜4の表面は図8に局部的に拡大した模式図として示す通り、表面にクロム酸化物およびヒュームが付着した状態にある。この様にして陽極容器基体5の内周面にプラズマ溶射膜4を形成した後、このプラズマ溶射膜4を溶射皮膜に対する研磨面積率が10%以上となるまで研磨する。
具体的な研磨方法は、図9に示す通り、プラズマ溶射膜4を内周面に有する陽極容器基体5を固定治具11により固定し、研磨用ブラシ10を回転させながら上下に移動して研磨する方法であって、研磨用ブラシ10のブラシ材質が金属製ねじりワイヤーブラシであって、そのワイヤーブラシの断面硬さ(Hv)が430以上であり、ワイヤーブラシを構成するワイヤー1本の線直径が0.2〜0.8mmのものを用い、ワイヤーブラシの回転数を900〜1400rpm、ワイヤーブラシトラバース速度を60〜80mm/secに設定して研磨する。
ここで、図10に示すワイヤーブラシの直径(D1)は陽極容器基体5の内径(D2)に対応して設定される。ワイヤーブラシの直径(D1)が陽極容器基体5の内径(D2)の1.05〜1.15倍のものを用いるのが好ましい。陽極容器基体5の内径が85.6mmのものを使用した場合は、直径90〜95mmのワイヤーブラシを用いることが好ましい。又、ワイヤーブラシを構成するワイヤー1本の線直径が0.3〜0.4mmのものを用いことが更に好ましい。ワイヤーブラシの断面硬さ(Hv)が460であるピアノ線製ワイヤーブラシが好ましい。研磨面の局部的に拡大した模式図を図11に示す。
本発明の第1のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法によれば、研磨面積率の測定は溶射皮膜のみを採取して分析する方法に較べ容易であり、労力が少なく、比較的短時間で測定でき、生産性が高く、コストを低減できるとの顕著な効果を奏する。
又、プラズマ溶射膜を過度に研磨する必要はなく、研磨面積率が10%以上になる程度に研磨すればよく、研磨の無駄を省き、研磨時間、研磨コストを大幅に低減するという格別の効果が得られる。
本発明者らは、研磨面積率と電池の初期内部抵抗の間の相関関係に着目し、本発明の第1のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法を完成させたが、研磨面積率を測定する際に、併せて、研磨するまえのプラズマ溶射膜表面におけるクロム酸化物含有量と研磨後の研磨面におけるクロム酸化物含有量を測定し、研磨前後における皮膜表面のクロム酸化物含有量の減少率と研磨面積率の間の相関関係に着目し、本発明の第2のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法を完成した。
本発明の第2のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法は、内周面に防食用溶射皮膜を有するナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、大気中でプラズマ溶射によって陽極容器基体内周面にCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成した後、プラズマ溶射膜表面を研磨して、研磨面におけるクロム酸化物含有量がプラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも10%以上小さくなるまで研磨することを特徴とする。
皮膜表面のクロム酸化物含有量の測定はX線回折により行い、研磨前後における皮膜表面のクロム酸化物含有量の減少率はX線回折によるピーク強度比より求めた。クロム酸化物はCr23,Cr34,FeCr24の3種類である。
研磨面積率(%)と研磨前後における皮膜表面のクロム酸化物含有量減少率(%)との関係を図12に示す。図12に示す通り、研磨面におけるクロム酸化物含有量がプラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも10%以上小さくなるまで研磨することは、本発明の第1のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法における研磨面積率が10%以上になるまで研磨することに相当する。
各種のクロム酸化物含有量の減少率で製造した陽極容器を用いて電池を組み立て、電池の初期内部抵抗を計測した結果を図13に示す。図12に示す通り、クロム酸化物含有量の減少率が10%以上の場合に電池の初期内部抵抗は著しく低下する。表2に示す実施例1〜実施例6はいずれもクロム酸化物含有量の減少率が10%以上であって、それらを用いて組み立てた電池の初期内部抵抗は3.1mΩ以下である。
以上の説明の通り、本発明の第2のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法によれば、プラズマ溶射膜および研磨後の溶射皮膜の夫々の表面におけるクロム酸化物含有量をX線回折により求め、クロム酸化物含有量減少率(%)をピーク強度比より求めればよく、溶射皮膜のみを採取して分析する方法に較べ容易であり、労力が少なく、比較的短時間で測定でき、生産性が高く、コストを低減できるとの顕著な効果を奏する。
又、プラズマ溶射膜を過度に研磨する必要はなく、研磨の無駄を省き、研磨時間、研磨コストを大幅に低減するとの格別の効果が得られる。
本発明の陽極容器は、ナトリウム−硫黄電池に好適に用いることができ、その場合、充放電サイクルの初期において電池の内部抵抗が低く、電気エネルギー効率の高いナトリウム−硫黄電池を得ることができる。
本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の断面図である。 研磨面を有する溶射皮膜の走査電子顕微鏡による2次電子像写真である。 図2に対応したトレース図である。 研磨面積率(%)と電池の初期内部抵抗の関係を示すグラフである 研磨面積率(%)と溶射皮膜の面粗度(Ra)の関係を示すグラフである 研磨面積率(%)と溶射皮膜表面における酸素含有量との関係を示すグラフである。 大気中で陽極容器基体の内周面にプラズマ溶射する方法の説明図である。 プラズマ溶射膜の局部拡大模式図である。 プラズマ溶射膜を有する陽極容器内周面を研磨する方法の説明図である。 研磨ブラシの局部拡大図である。 研磨面を有する溶射皮膜の局部拡大模式図である 研磨面積率と皮膜表面における研磨前後のクロム酸化物含有量減少率との関係を示すグラフである。 皮膜表面における研磨前後のクロム酸化物含有量減少率と電池の初期内部抵抗との関係を示すグラフである。 従来のナトリウム−硫黄電池の断面図である。
符号の説明
1…本発明のナトリウム−硫黄電池用陽極容器、2…溶射皮膜、3…研磨面、4…プラズマ溶射膜、5…陽極容器基体、6…回転治具、7…溶射ガン、8…プラズマ域、9…供給パイプ、10…研磨用ブラシ、11…固定治具、12…ベータアルミナ固体電解質、13…α−アルミナ絶縁リング、14…陰極金具、15…陰極蓋、16…安全管、17…ナトリウム収納容器、18…陽極金具、19…陽極容器、20…底蓋。

Claims (12)

  1. 内周面にCr−Fe合金からなる防食用溶射皮膜を形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器において、該溶射皮膜が、大気中でプラズマ溶射によって形成された後に研磨されて形成された研磨面を有する溶射皮膜であって、該溶射皮膜面積に対する研磨面積率が10%以上であることを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  2. 前記研磨面積率が20%以上であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  3. 前記溶射皮膜の表面から少なくとも深さ5μmの間における酸素含有量が4.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  4. 前記溶射皮膜の表面から少なくとも深さ5μmの間における酸素含有量が2.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  5. 前記溶射皮膜の面粗度(Ra)が6μm以下であって、かつ、前記溶射皮膜の厚みが40μm以上であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  6. 前記溶射皮膜のCr含有量が60重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器。
  7. 金属材料からなる円筒状の陽極容器基体の内周面にプラズマ溶射してCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成し、次いで得られたプラズマ溶射膜を研磨することにより研磨面を有する溶射皮膜を内周面に形成したナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、該溶射皮膜に対する研磨面積率が10%以上となるまで該プラズマ溶射膜を研磨することを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
  8. 内周面に防食用溶射皮膜を有するナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法において、大気中でプラズマ溶射によって陽極容器基体内周面にCr−Fe合金からなるプラズマ溶射膜を形成した後、該プラズマ溶射膜表面を研磨して、研磨面におけるクロム酸化物含有量が該プラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも10%以上小さくなるまで研磨することを特徴とするナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
  9. 前記研磨面におけるクロム酸化物含有量がプラズマ溶射膜の表面におけるクロム酸化物含有量よりも20%以上小さくなるまで研磨することを特徴とする請求項8に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
  10. 前記プラズマ溶射膜を形成する方法が、円筒状の陽極容器基体を回転させながら、溶射ガンを上下に移動させて大気中でプラズマ溶射する際、溶射ガンのアルゴンガスを用いた1次ガスの流速が30〜40L/min、水素を用いた2次ガスの流速が4.0〜5.5L/min、プラズマ出力が12〜15KW、金属粉末粒度が5〜60μm、溶射距離が45〜55mmの範囲でプラズマ溶射してプラズマ溶射膜を形成する方法であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
  11. 前記プラズマ溶射膜を研磨する方法が、該プラズマ溶射膜を有する陽極容器基体を固定して、研磨用ブラシを回転させながら上下に移動して研磨する方法であって、該研磨用ブラシのブラシ材質が金属製ねじりワイヤーブラシであり、該ワイヤーブラシ直径が該陽極容器基体内径の1.05〜1.15倍であって、該ワイヤーブラシの断面硬さ(Hv)が430以上であり、該ワイヤーブラシを構成するワイヤー一本の線直径が0.2〜0.8mm、該ワイヤーブラシの回転数が900〜1400rpm、該ワイヤーブラシトラバース速度が60〜80mm/secの範囲で研磨することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
  12. 前記ワイヤーブラシを構成するワイヤー一本の線直径が0.3〜0.4mmであることを特徴とする請求項11に記載のナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法。
JP2003297218A 2003-08-21 2003-08-21 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法 Expired - Lifetime JP4361330B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003297218A JP4361330B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003297218A JP4361330B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005071690A true JP2005071690A (ja) 2005-03-17
JP4361330B2 JP4361330B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=34403149

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003297218A Expired - Lifetime JP4361330B2 (ja) 2003-08-21 2003-08-21 ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4361330B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010008025A1 (ja) * 2008-07-16 2010-01-21 新日本製鐵株式会社 内面ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法
JP2013023762A (ja) * 2011-07-26 2013-02-04 Nissan Motor Co Ltd 溶射皮膜形成方法及び溶射皮膜形成装置
CN103094585A (zh) * 2011-11-02 2013-05-08 通用电气公司 电化学电池
JP2015520132A (ja) * 2012-04-24 2015-07-16 エレウス テクノロジーズ インコーポレイテッド 皮膜、被覆表面、及びその製造方法
US9159980B2 (en) 2012-12-27 2015-10-13 General Electric Company Electrochemical cell
JP2017168337A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 日本碍子株式会社 ナトリウム−硫黄電池用の正極集電体を生産する方法及びナトリウム−硫黄電池を生産する方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010008025A1 (ja) * 2008-07-16 2010-01-21 新日本製鐵株式会社 内面ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法
JP2010023142A (ja) * 2008-07-16 2010-02-04 Nippon Steel Corp 内面ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法
JP4691141B2 (ja) * 2008-07-16 2011-06-01 新日本製鐵株式会社 内面ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法
CN102089120A (zh) * 2008-07-16 2011-06-08 新日本制铁株式会社 内表面聚烯烃覆盖钢管的制造方法
KR101279334B1 (ko) * 2008-07-16 2013-06-26 신닛테츠스미킨 카부시키카이샤 내면 폴리올레핀 피복 강관의 제조 방법
JP2013023762A (ja) * 2011-07-26 2013-02-04 Nissan Motor Co Ltd 溶射皮膜形成方法及び溶射皮膜形成装置
CN103094585A (zh) * 2011-11-02 2013-05-08 通用电气公司 电化学电池
JP2015520132A (ja) * 2012-04-24 2015-07-16 エレウス テクノロジーズ インコーポレイテッド 皮膜、被覆表面、及びその製造方法
US9159980B2 (en) 2012-12-27 2015-10-13 General Electric Company Electrochemical cell
JP2017168337A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 日本碍子株式会社 ナトリウム−硫黄電池用の正極集電体を生産する方法及びナトリウム−硫黄電池を生産する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4361330B2 (ja) 2009-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1158716C (zh) 可充电电池电极, 其生产方法, 及具有这样电极的电池
JP4518791B2 (ja) 常温作動可能な再充電バッテリセル
EP2597710B1 (en) Polymer electrolyte fuel cell comprising titanium separator
CN1542997A (zh) 电极材料、具有该材料的构造体和具有该构造体的二次电池
JP6353655B2 (ja) リチウムイオン二次電池の負極材製造方法及びリチウムイオン二次電池用負極材
JP6535662B2 (ja) 集電体用金属箔の製造方法
JP4361330B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器およびその製造方法
CN108232131B (zh) 金属氟化物包覆三元材料及其制备方法
CN113675417A (zh) 燃料电池、燃料电池双极板及其制备方法
JP4133701B2 (ja) 非水電解液電池ケース用Niメッキ鋼板およびこの鋼板を用いた電池ケース
JP5091409B2 (ja) 電池用負極缶、およびこれを用いたマンガン乾電池
JPWO2005045959A1 (ja) 電池用負極活物質材料、電池用負極缶、電池用負極亜鉛板、マンガン乾電池、及びその製造方法
JPWO2005064711A1 (ja) 電池用負極缶の製造方法、およびこの電池用負極缶を用いたマンガン乾電池
JP4849856B2 (ja) 水素吸蔵合金電極およびその製造方法並びにアルカリ蓄電池
JP4234936B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器、及び陽極容器内周面に溶射皮膜を形成する方法、及び溶射皮膜の品質良否判定方法
JP2009032429A (ja) リチウム反応電極
CN109648249A (zh) 一种射线式铜箔检修补正设备
JP2854226B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器及びその製造方法
JP6165910B1 (ja) ナトリウム−硫黄電池用の正極集電体を生産する方法及びナトリウム−硫黄電池を生産する方法
JP3133926B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器の製造方法
JP3415106B2 (ja) ナトリウム−硫黄電池
JP3561210B2 (ja) ナトリウム−硫黄単電池用陽極容器及びそれを用いたナトリウム−硫黄単電池
JP2005071902A (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器内周面への溶射皮膜形成方法
JPH0722067A (ja) ナトリウム−硫黄電池用陽極容器及びその製造方法
JP2022035419A (ja) 燃料電池セパレータ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060223

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090324

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090519

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090811

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090812

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4361330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130821

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term