JP2005056601A - リチウム二次電池用の正極活物質およびその評価方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれも優れたリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末及びその評価方法を提供する。
【解決手段】一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物粉末からなるリチウム二次電池用の正極活物質について、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000±1000cm−1と2000±300cm−1のそれぞれのスペクトル吸収強度を検知し、そのスペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にあるか否かにより評価する。特に、スペクトル吸収強度比(I4000cm−1/2000cm−1)を1.03以下にすることにより優れた特性のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。
【選択図】なし
【解決手段】一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物粉末からなるリチウム二次電池用の正極活物質について、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000±1000cm−1と2000±300cm−1のそれぞれのスペクトル吸収強度を検知し、そのスペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にあるか否かにより評価する。特に、スペクトル吸収強度比(I4000cm−1/2000cm−1)を1.03以下にすることにより優れた特性のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)に優れた、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末、及びその特性の評価方法に関する。
【従来技術】
【0002】
近年、機器のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池などの非水電解液二次電池に対する需要がますます高まっている。かかる非水電解液二次電池用の正極活物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiMn2O4、LiMnO2などのリチウムと遷移金属の複合酸化物が知られている。
【0003】
なかでも、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極活物質として用い、リチウム合金、グラファイト、カーボンファイバーなどのカーボンを負極として用いたリチウム二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として広く使用されている。
【0004】
しかしながら、LiCoO2を正極活物質として用いた非水系二次電池の場合、正極電極層の単位体積当たりの容量密度及び安全性の更なる向上が望まれるとともに、充放電サイクルを繰り返し行うことにより、その電池放電容量が徐々に減少するというサイクル特性(容量維持率)の低下、重量容量密度の問題、あるいは低温での放電容量低下が大きいという問題などがあった。
【0005】
また、電池特性に関する課題を解決するために、特許文献1には、Co原子の5〜35%をW、Mn、Ta、Ti又はNbで置換することによりサイクル特性が改善されることが報告されている。また、特許文献2には、格子定数のc軸長が14.051Å以下であり、結晶子の(110)方向の結晶子径が45〜100nmである、六方晶系のLiCoO2を正極活物質とすることによりサイクル特性を向上させることが提案されている。
【0006】
しかしながら、容量密度、安全性、及び充放電サイクル耐久性(容量維持率)などのいずれも充分に満足するリチウム−コバルト複合酸化物系正極材料は得られていない。
【0007】
一方、これらのリチウムコバルト複合酸化物のリチウム二次電池正極材料としての特性評価は、実際に正極を調製し、該正極を組み込んだリチウム電池を製造し、その特性の評価を実施することにより行われているが、これは極めて労力と時間と費用を費やすものであり、これに替わる迅速な評価法が望まれている。このような評価法があれば、正極材料の製造ラインでの工程分析に使用することにより工程管理ができ、製品の歩留まりが向上するとともに、正極材料の商品としての出荷に際しての電池材料のスクリーニングが容易にできるなどの大きな利点が期待できる。
【0008】
【従来技術】
【特許文献1】特開平3−201368号公報
【特許文献2】特開平10−312805号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末、及びリチウム二次電池の正極用材料としてのその特性の評価方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計は、透過型フーリエ変換赤外線分光計に比較し、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての極めて小さい粒径の存在量の検出感度が極めて高いこと、そして、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての透過型フーリエ変換赤外線分光計おける特定の2点の波数のそれぞれの吸収強度を検知し、該吸収強度比が特定範囲にあるか否かを判断することによりリチウム二次電池の正極材料としての特性が高い精度で評価できることを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、上記の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000cm−1と2000cm−1の吸収強度比を1.03以下に制御することにより、従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末の開発に成功したものである。
【0012】
かくして、本発明は、下記の特徴を有する。
(1)一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物の微粒子が多数凝集して形成された、平均粒子径D50が5〜20μmの粉末であり、かつ該粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるそれぞれ4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)が1.03以下であることを特徴とするリチウムリチウム二次電池用の正極活物質粉末。
(2)粉末の比表面積が0.3〜0.7m2/gであり、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が0.07〜0.14°であり、かつプレス密度が3.0g/cm3以上である上記(1)に記載のリチウム二次電池用正極活物質粉末。
(3)前記一般式において、MがTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記(1)又は(2)に記載の正極活物質。
(4)一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物粉末からなるリチウム二次電池用の正極活物質の特性の評価方法であって、上記リチウムコバルト複合酸化物粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000±1000cm−1と2000±300cm−1のそれぞれのスペクトル吸収強度を検知し、該スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にあるか否かにより評価することを特徴とするリチウム二次電池用の正極活物質の評価方法。
(5)スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)の所定範囲が1.03以下である上記(4)に記載の正極活物質の評価方法。
(6)スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にない場合、リチウムコバルト複合酸化物を製造における、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源の、平均粒子径、混合均一性、及び/又は混合比率を制御して、スペクトル吸収強度比を所定範囲になるようにする上記(4)又は(5)に記載の正極活物質の評価方法。
【0013】
本発明によれば、リチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極材料としての評価が、実際にリチウム電池を製造することなしに容易に高い精度で行うことができ、また、これにより従来にない優れた特性を有するリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られるが、そのメカニズムについては必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように推察される。
【0014】
すなわち、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての4000cm−1及び2000cm−1の各波数でのスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は、リチウムコバルト複合酸化物粉末の微粒子(1次粒子)の大きさを反映したものであり、それが所定値以下ということは2.5μmを越える大きさの微粒子が該所定値に応じて相対的に少ないことを意味する。換言すれば、2.5μm以下の微粒子が相対的に所定値以上を占めることを意味する。なお、本発明で、フーリエ変換赤外線分光計は、拡散反射型であることを必要とするもので、透過型のフーリエ変換赤外線分光計は精度が悪く、本発明では使用できない。
【0015】
本発明では、上記のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)が、所定値以下、好ましくは1.03以下と小さくせしめることに特徴があるが、この場合、上記のように、リチウムコバルト複合酸化物粉末は相対的に2.5μmより大きな1次粒子の存在量が少ないことを意味する。一方で、2.5μmを越えるようなリチウムコバルト複合酸化物粉末の大きな微粒子、すなわち、結晶子径が大きい微粒子の存在量が多い場合には、充放電に伴なうリチウム原子の結晶内部への挿入脱離が困難となるが、本発明では、このような2.5μmを越えるような大きな微粒子の存在量が相対的に小さいために高い充放電サイクル耐久性、容量維持率が得られるものと思われる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末は、一般式式LipCoxMyOzFaで表される。本発明は、電池性能を向上させるために、コバルトの一部を他の元素で置換した正極材料や、酸素の一部をフッ素で置換した正極材料が好ましい。かかる一般式における、M、p、x、y、z及びaは上記に定義される。なかでも、p、x、y、z及びaは下記が好ましい。0.97≦p≦1.03、0.990≦x≦1.0、0.0005≦y≦0.01、1.95≦z≦2.05、x+y=1、0.0001≦a≦0.01。ここで、aが0より大きいときには、酸素原子の一部がフッ素原子が置換された複合酸化物になるが、この場合には、得られた正極活物質の安全性が向上する。
【0017】
また、Mは、Coを除く遷移金属元素又はアルカリ土類金属であり、該遷移金属元素は周期表の4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族及び11族の遷移金属を表す。なかでも、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素が選択される。なかでも、容量発現性、安全性、サイクル耐久性などの見地より、Ti、Zr、Hf、Cr、W、Ni、Mg又はAlが好ましい。
【0018】
本発明において、上記M元素および/またはFを含有せしめる場合は、M元素及びFは、いずれもコバルト酸リチウム粒子の表面に存在していることが好ましい。粒子の内部に存在していると、電池特性の改良効果が小さいのみならず、電池特性が低下する場合があるので好ましくない。表面に存在することにより、少量の添加で電池性能の低下を招来することなく、安全性、充放電サイクル特性等の重要な電池特性を改良できる。M及びFが表面に存在するか否かは正極粒子について、分光分析例えば、XPS分析を行うことにより判断できる。
【0019】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、上記一般式で表わされる、一次粒子である微粒子が多数凝集して形成された二次粒子である粒状粉末からなる。上記微粒子は、その平均粒子径D50は0.5〜7μmが好ましい。そして、該微粒子が多数凝集して形成された粒状粉末の平均粒子径D50は5〜20μmが好ましく、さらに10〜15μmが好ましい。粒状粉末の平均粒子径が5μmよりも小さいと緻密な電極層を形成しにくくなり、逆に20μmよりも大きいと大電流放電特性が低下し好ましくない。
【0020】
さらに、本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、比表面積が好ましくは0.3〜0.7m2/g、特に好ましくは0.4〜0.6m2/gであり、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が好ましくは0.07〜0.14°特に好ましくは0.08〜0.12°であり、かつプレス密度が好ましくは3.0g/cm3以上であるのが好適である。リチウムコバルト複合酸化物がかかる物性を満たすことにより、特に、高容量、高サイクル耐久性、高安全性などの効果が達成される。なお、本発明におけるプレス密度は、特に断りのない限り、粒子粉末を0.3t/cm2の圧力でプレス圧縮したときの見かけの密度をいう。
【0021】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、コバルト源、リチウム源及び必要に応じて使用されるM元素源及びフッ素源の混合物を酸素含有雰囲気下において700〜1050℃で焼成して製造される。コバルト源としては、好ましくは、オキシ水酸化コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルトが用いられる。特に少なくともオキシ水酸化コバルトあるいは水酸化コバルトのいずれかを用いることが、電池性能が良好であるので好ましい。リチウム源としては、好ましくは、炭酸リチウム、水酸化リチウムが用いられる。特に炭酸リチウムが安価でありこのましい。焼成温度が、700℃より小さい場合にはリチウム化が不完全となり、逆に1050℃を超える場合には充放電サイクル耐久性や初期容量が低下してしまう。特に、焼成温度は900〜1000℃が好適である。焼成は多段で行うことが好ましい。好ましい例として、700℃で数時間焼成し、900〜1000℃で数時間焼成される。
【0022】
本発明で、上記のコバルト源を使用してリチウムコバルト複合酸化物を製造する場合、リチウム源としては、炭酸リチウムが使用されることが好ましい。リチウム源として炭酸リチウムした場合には、例えば水酸化リチウムを使用した場合に比べて、低コストになり本発明の所望とする安価で高性能のリチウムコバルト複合酸化物が容易に得られるので好ましい。一方、必要に応じて使用される元素Mの原料としては好ましくは、水酸化物、酸化物、炭酸塩、フッ化物が選択される。フッ素源としては、金属フッ化物、LiF、MgF2 などが選択される。
【0023】
コバルト源、リチウム源、元素Mの原料及びフッ素源の混合粉体を上記のように700〜1050℃で酸素含有雰囲気で5〜20時間焼成処理し、得られた焼成物を冷却後、粉砕、分級することにより、好ましくは0.5〜7μmのリチウムコバルト複合酸化物の微粒子が凝縮した凝集粒状複合酸化物粉末が形成される。この場合、コバルト源の性状、リチウム化の焼成温度、焼成時間などの条件を選択することにより、形成される凝集粒状複合酸化物粉末の平均粒子径や圧縮強度を制御することができる。
【0024】
上記のようにして得られる本発明のリチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極活物質としての評価は、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるそれぞれ4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)を求めることによって行われる。上記のように、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比が所定値以下であることは、リチウムコバルト複合酸化物中に2.5μmを越す粒子の存在量が小さいことを表わすが、スペクトル吸収強度比の波長である、4000cm−1と2000cm−1は必ずしもそれぞれのピッタリの波数に限定されるものでないことが見出された。
【0025】
即ち、本発明者の研究によると、4000cm−1のスペクトル吸収強度の波数は4000±1000cm−まで許容され、また、2000cm−1のスペクトル吸収強度の波数は12000±300cm−1まで許容されることが見出された。従って、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、それぞれ、4000±1000cm−1内の適宜の1点の低波数、及び2000±300cm−1内の適宜の1点の高波数を選択し、それぞれのスペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)を求めることによって実質上同様の評価を行うことができる。上記低波数と高波数との組合せにとしては、4000cm−1/2000cm−1、4500cm−1/1800cm−1、3800cm−1/2200cm−1などが例示される。
【0026】
そして、本発明によれば、上記スペクトル吸収強度比は所定値以下であることにより、リチウム二次電池の正極活物質の重要な特性、特に優れた充放電サイクル特性、即ち、高い容量維持率を示すことが見出された。上記スペクトル吸収強度比の所定値は小さい方がそれだけ特性が良好になるので好ましいが、所望とする特性によって適宜決められる。かくして、リチウムコバルト複合酸化物粉末ついての上記スペクトル吸収強度比を求めた結果、所定値以下にない場合には、製品としての出荷を取り止めたり、また、上記したリチウムコバルト複合酸化物粉末の製造条件にフィードバックし、製造条件を変えることにより上記スペクトル吸収強度比を制御して所定値以下にせしめることができる。
【0027】
上記スペクトル吸収強度比に影響を与えるリチウムコバルト複合酸化物粉末の製造条件としては、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源の、平均粒子径、混合割合及び/又は混合均一性などがあり、これを適宜かえることにより上記スペクトル吸収強度比を変えることができる。なかでも、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源についての、平均粒子径、混合均一性、及び/又は混合割合は、容易にかつ効果的にスペクトル吸収強度比を制御できるので好ましい。
【0028】
このようにして、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるスペクトル吸収強度比を所定値以以下にあるか否かを判断することにより、リチウム二次電池の正極材料としての特性を評価できる。
【0029】
本発明では、特に、リチウムコバルト複合酸化物粉末について拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度が1.03以下とした場合には極めて高い充放電サイクル耐久性、即ち容量維持率が達成されることが判明した。さらに、スペクトル吸収強度比の所定値を好ましくは 1.01以下、特に好ましくは 1.00以下とすることにより一層優れた充放電サイクル耐久性の正極材料となるリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。この場合には、本発明のリチウムコバルト複合酸化物粉末が容量密度が大きく、安全性が高いことと相俟って、従来では達成が困難であった、いずれの特性も満足するリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末を得ることができる。
【0030】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物からリチウム二次電池用の正極を製造する場合には、かかる複合酸化物の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチエンブラックなどのカーボン系導電材と結合材を混合することにより形成される。
上記結合材には、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。
【0031】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物の粉末、導電材及び結合材を溶媒又は分散媒を使用し、スラリー又は混練物とし、これをアルミニウム箔、ステンレス箔などの正極集電体に塗布などにより担持せしめてリチウム二次電池用の正極が製造される。
【0032】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池において、セパレータとしては、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンのフィルムなどが使用される。また、電池の電解質溶液の溶媒としては、種々の溶媒が使用できるが、なかでも炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)などが例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが例示される。
【0033】
本発明では、上記炭酸エステルを単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、他の溶媒と混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合がある。
【0034】
また、本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池においては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばアトケム社製:商品名カイナー)あるいはフッ化ビニリデン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体を含むゲルポリマー電解質としても良い。上記の電解質溶媒又はポリマー電解質に添加される溶質としては、ClO4−、CF3SO3−、BF4−、PF6−、AsF6−、SbF6−、CF3CO2−、(CF3SO2)2N−などをアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上が好ましく使用される。上記リチウム塩からなる電解質溶媒又はポリマー電解質対して、0.2〜2.0mol/l(リットル)の濃度で添加するのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下し、電解質の電気伝導度が低下する。なかでも、0.5〜1.5mol/lが特に好ましい。
【0035】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム電池において、負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料が用いられる。
この負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、または15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物などが挙げられる。炭素材料としては、種々の熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛などを使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔などが用いられる。かかる負極は、上記活物質を有機溶媒と混練してスラリーとし、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることにより好ましくは製造される。
【0036】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム電池の形状には特に制約はない。シート状、フイルム状、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形などが用途に応じて選択される。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。なお、下記において、例1〜5及び例8は本発明の実施例であり、例6及び例7は比較例である。
【0038】
[例1]
市販のオキシ水酸化コバルトと市販の水酸化コバルトをコバルト原子比で1:1で混合し、比表面積が1.2m2/gの炭酸リチウム粉末とを充分に混合した。
これら3種の粉末を乾式混合した後、空気中、950℃で12時間焼成した。焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が13.9μm、D10が6.6μm、D90が22.4μmであり、BET法により求めた比表面積が0.42m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。
【0039】
得られたLiCoO2粉末について、拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計(サーモニコレ社製,形式AVATAR 307型)を用い、全分解能8cm−1、積算回数128回、検出器にTDSを用い、1600cm−1〜5000cm−1の範囲で赤外線吸収スペクトルを得た。得られたスペクトルを図1に示す。この図において、2000cm−1における吸収強度は0.968であり、4000cm−1における吸収強度は0.964であり、従って、4000cm−と12000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.996であった。
【0040】
上記LiCoO2粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.114°であった。LiCoO2粉末のプレス密度は3.18g/cm3であった。
【0041】
上記のLiCoO2粉末と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン粉末とを90/5/5の質量比で混合し、N−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製し、厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面塗工した。乾燥し、ロールプレスによりリチウム電池用の正極体シートを作製した。
【0042】
そして、上記正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF6/EC+DEC(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの質量比(1:1)の混合溶液を意味する。後記する溶媒もこれに準じる。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
【0043】
上記1個の電池については、25℃にて正極活物質1gにつき75mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき75mAの負荷電流にて2.5Vまで放電して初期放電容量を求めた。また、この電池について、引き続き充放電サイクル試験を6回行なった。その結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.8%であった。
【0044】
また、残りの電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミカプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0045】
[例2]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様に測定した結果、平均粒径D50が14.1μm、D10が6.7μm、D90が22.7μmであり、BET法により求めた比表面積が0.40m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.00であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様に求めた(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.1%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0046】
[例3]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.0μm、D10が6.7μm、D90が22.5μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.01であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.18g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は98.3%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は163℃であった。
【0047】
[例4]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法と原料コバルトと料リチウムの調合原子比を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.0μm、D10が6.8μm、D90が22.9μmであり、BET法により求めた比表面積が0.44m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.982であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.8%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は163℃であった。
【0048】
[例5]
例1において、水酸化コバルトと炭酸リチウムを混合するにあたり、更に酸化チタン粉末とフッ化リチウム粉末を添加した他は例1と同様にして正極活物質を合成した。元素分析の結果、LiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002であった。その焼成物を解砕し得られた、一次粒子が凝集してなる二次粒子からなる粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が13.1μm、D10が5.3μm、D90が17.3μmであり、BET法により求めた比表面積が0.50m2/gのLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末を得た。この粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.983であった。
このLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.113°であった。得らLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末のプレス密度は3.13g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.9%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は167℃であった。
【0049】
[例6]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法とコバルト原料とリチウム原料の調合原子比を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が14.1μm、D10が6.7μm、D90が22.7μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gのLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た。得られたスペクトルを図−2に示す。この結果から、2000cm−1における吸収強度は1.172であり、4000cm−1における吸収強度は1.230であった。その結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は1.05であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.109°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.16g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は92.0%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0050】
[例7]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.3μm、D10が6.5μm、D90が22.8μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gのLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は1.04であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして求めた(110)面の回折ピーク半値幅は0.099°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、158mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は95.1%であった。
【0051】
[例8]
例6において、LiCoO2粉末の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.05であった原料調合粉に更にオキシ水酸化コバルトをコバルト原子比で0.01に相当する量を添加し、再度混合した後、例1と同様にして実施することによりLiCoO2粉末を得た。
この粉末の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.01であり、この粉末について、例1と同様にして求めた6回充放電サイクル後の容量維持率は98.5%であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における吸収強度比が所定範囲か否かを検知することにより、リチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極材料としての評価が、実際にリチウム電池を製造することなしに容易にかつ迅速に行うことができる。これにより、正極材料の製造ラインでの工程分析に応用し、迅速に工程管理ができ、製品の歩留まりが向上するとともに、正極材料の商品としての出荷に際しての電池材料のスクリーニングが容易にできる。
【0053】
また、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、4000cm−1及び2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)を1.03以下と大きくせしめることにより、従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】[例1]のLiCoO2粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計の1600cm−1〜5000cm−1の波数でのスペクトル。
【図2】[例6]のLiCoO2粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計の1600cm−1〜5000cm−1の波数でのスペクトル。
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)に優れた、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末、及びその特性の評価方法に関する。
【従来技術】
【0002】
近年、機器のポータブル化、コードレス化が進むにつれ、小型、軽量でかつ高エネルギー密度を有するリチウム二次電池などの非水電解液二次電池に対する需要がますます高まっている。かかる非水電解液二次電池用の正極活物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiMn2O4、LiMnO2などのリチウムと遷移金属の複合酸化物が知られている。
【0003】
なかでも、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を正極活物質として用い、リチウム合金、グラファイト、カーボンファイバーなどのカーボンを負極として用いたリチウム二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を有する電池として広く使用されている。
【0004】
しかしながら、LiCoO2を正極活物質として用いた非水系二次電池の場合、正極電極層の単位体積当たりの容量密度及び安全性の更なる向上が望まれるとともに、充放電サイクルを繰り返し行うことにより、その電池放電容量が徐々に減少するというサイクル特性(容量維持率)の低下、重量容量密度の問題、あるいは低温での放電容量低下が大きいという問題などがあった。
【0005】
また、電池特性に関する課題を解決するために、特許文献1には、Co原子の5〜35%をW、Mn、Ta、Ti又はNbで置換することによりサイクル特性が改善されることが報告されている。また、特許文献2には、格子定数のc軸長が14.051Å以下であり、結晶子の(110)方向の結晶子径が45〜100nmである、六方晶系のLiCoO2を正極活物質とすることによりサイクル特性を向上させることが提案されている。
【0006】
しかしながら、容量密度、安全性、及び充放電サイクル耐久性(容量維持率)などのいずれも充分に満足するリチウム−コバルト複合酸化物系正極材料は得られていない。
【0007】
一方、これらのリチウムコバルト複合酸化物のリチウム二次電池正極材料としての特性評価は、実際に正極を調製し、該正極を組み込んだリチウム電池を製造し、その特性の評価を実施することにより行われているが、これは極めて労力と時間と費用を費やすものであり、これに替わる迅速な評価法が望まれている。このような評価法があれば、正極材料の製造ラインでの工程分析に使用することにより工程管理ができ、製品の歩留まりが向上するとともに、正極材料の商品としての出荷に際しての電池材料のスクリーニングが容易にできるなどの大きな利点が期待できる。
【0008】
【従来技術】
【特許文献1】特開平3−201368号公報
【特許文献2】特開平10−312805号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末、及びリチウム二次電池の正極用材料としてのその特性の評価方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計は、透過型フーリエ変換赤外線分光計に比較し、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての極めて小さい粒径の存在量の検出感度が極めて高いこと、そして、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての透過型フーリエ変換赤外線分光計おける特定の2点の波数のそれぞれの吸収強度を検知し、該吸収強度比が特定範囲にあるか否かを判断することによりリチウム二次電池の正極材料としての特性が高い精度で評価できることを見出した。
【0011】
さらに、本発明者らは、上記の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000cm−1と2000cm−1の吸収強度比を1.03以下に制御することにより、従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末の開発に成功したものである。
【0012】
かくして、本発明は、下記の特徴を有する。
(1)一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物の微粒子が多数凝集して形成された、平均粒子径D50が5〜20μmの粉末であり、かつ該粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるそれぞれ4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)が1.03以下であることを特徴とするリチウムリチウム二次電池用の正極活物質粉末。
(2)粉末の比表面積が0.3〜0.7m2/gであり、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が0.07〜0.14°であり、かつプレス密度が3.0g/cm3以上である上記(1)に記載のリチウム二次電池用正極活物質粉末。
(3)前記一般式において、MがTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記(1)又は(2)に記載の正極活物質。
(4)一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物粉末からなるリチウム二次電池用の正極活物質の特性の評価方法であって、上記リチウムコバルト複合酸化物粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における4000±1000cm−1と2000±300cm−1のそれぞれのスペクトル吸収強度を検知し、該スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にあるか否かにより評価することを特徴とするリチウム二次電池用の正極活物質の評価方法。
(5)スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)の所定範囲が1.03以下である上記(4)に記載の正極活物質の評価方法。
(6)スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にない場合、リチウムコバルト複合酸化物を製造における、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源の、平均粒子径、混合均一性、及び/又は混合比率を制御して、スペクトル吸収強度比を所定範囲になるようにする上記(4)又は(5)に記載の正極活物質の評価方法。
【0013】
本発明によれば、リチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極材料としての評価が、実際にリチウム電池を製造することなしに容易に高い精度で行うことができ、また、これにより従来にない優れた特性を有するリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られるが、そのメカニズムについては必ずしも明らかではないが、ほぼ次のように推察される。
【0014】
すなわち、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての4000cm−1及び2000cm−1の各波数でのスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は、リチウムコバルト複合酸化物粉末の微粒子(1次粒子)の大きさを反映したものであり、それが所定値以下ということは2.5μmを越える大きさの微粒子が該所定値に応じて相対的に少ないことを意味する。換言すれば、2.5μm以下の微粒子が相対的に所定値以上を占めることを意味する。なお、本発明で、フーリエ変換赤外線分光計は、拡散反射型であることを必要とするもので、透過型のフーリエ変換赤外線分光計は精度が悪く、本発明では使用できない。
【0015】
本発明では、上記のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)が、所定値以下、好ましくは1.03以下と小さくせしめることに特徴があるが、この場合、上記のように、リチウムコバルト複合酸化物粉末は相対的に2.5μmより大きな1次粒子の存在量が少ないことを意味する。一方で、2.5μmを越えるようなリチウムコバルト複合酸化物粉末の大きな微粒子、すなわち、結晶子径が大きい微粒子の存在量が多い場合には、充放電に伴なうリチウム原子の結晶内部への挿入脱離が困難となるが、本発明では、このような2.5μmを越えるような大きな微粒子の存在量が相対的に小さいために高い充放電サイクル耐久性、容量維持率が得られるものと思われる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末は、一般式式LipCoxMyOzFaで表される。本発明は、電池性能を向上させるために、コバルトの一部を他の元素で置換した正極材料や、酸素の一部をフッ素で置換した正極材料が好ましい。かかる一般式における、M、p、x、y、z及びaは上記に定義される。なかでも、p、x、y、z及びaは下記が好ましい。0.97≦p≦1.03、0.990≦x≦1.0、0.0005≦y≦0.01、1.95≦z≦2.05、x+y=1、0.0001≦a≦0.01。ここで、aが0より大きいときには、酸素原子の一部がフッ素原子が置換された複合酸化物になるが、この場合には、得られた正極活物質の安全性が向上する。
【0017】
また、Mは、Coを除く遷移金属元素又はアルカリ土類金属であり、該遷移金属元素は周期表の4族、5族、6族、7族、8族、9族、10族及び11族の遷移金属を表す。なかでも、Mは、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素が選択される。なかでも、容量発現性、安全性、サイクル耐久性などの見地より、Ti、Zr、Hf、Cr、W、Ni、Mg又はAlが好ましい。
【0018】
本発明において、上記M元素および/またはFを含有せしめる場合は、M元素及びFは、いずれもコバルト酸リチウム粒子の表面に存在していることが好ましい。粒子の内部に存在していると、電池特性の改良効果が小さいのみならず、電池特性が低下する場合があるので好ましくない。表面に存在することにより、少量の添加で電池性能の低下を招来することなく、安全性、充放電サイクル特性等の重要な電池特性を改良できる。M及びFが表面に存在するか否かは正極粒子について、分光分析例えば、XPS分析を行うことにより判断できる。
【0019】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、上記一般式で表わされる、一次粒子である微粒子が多数凝集して形成された二次粒子である粒状粉末からなる。上記微粒子は、その平均粒子径D50は0.5〜7μmが好ましい。そして、該微粒子が多数凝集して形成された粒状粉末の平均粒子径D50は5〜20μmが好ましく、さらに10〜15μmが好ましい。粒状粉末の平均粒子径が5μmよりも小さいと緻密な電極層を形成しにくくなり、逆に20μmよりも大きいと大電流放電特性が低下し好ましくない。
【0020】
さらに、本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、比表面積が好ましくは0.3〜0.7m2/g、特に好ましくは0.4〜0.6m2/gであり、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が好ましくは0.07〜0.14°特に好ましくは0.08〜0.12°であり、かつプレス密度が好ましくは3.0g/cm3以上であるのが好適である。リチウムコバルト複合酸化物がかかる物性を満たすことにより、特に、高容量、高サイクル耐久性、高安全性などの効果が達成される。なお、本発明におけるプレス密度は、特に断りのない限り、粒子粉末を0.3t/cm2の圧力でプレス圧縮したときの見かけの密度をいう。
【0021】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物は、コバルト源、リチウム源及び必要に応じて使用されるM元素源及びフッ素源の混合物を酸素含有雰囲気下において700〜1050℃で焼成して製造される。コバルト源としては、好ましくは、オキシ水酸化コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルトが用いられる。特に少なくともオキシ水酸化コバルトあるいは水酸化コバルトのいずれかを用いることが、電池性能が良好であるので好ましい。リチウム源としては、好ましくは、炭酸リチウム、水酸化リチウムが用いられる。特に炭酸リチウムが安価でありこのましい。焼成温度が、700℃より小さい場合にはリチウム化が不完全となり、逆に1050℃を超える場合には充放電サイクル耐久性や初期容量が低下してしまう。特に、焼成温度は900〜1000℃が好適である。焼成は多段で行うことが好ましい。好ましい例として、700℃で数時間焼成し、900〜1000℃で数時間焼成される。
【0022】
本発明で、上記のコバルト源を使用してリチウムコバルト複合酸化物を製造する場合、リチウム源としては、炭酸リチウムが使用されることが好ましい。リチウム源として炭酸リチウムした場合には、例えば水酸化リチウムを使用した場合に比べて、低コストになり本発明の所望とする安価で高性能のリチウムコバルト複合酸化物が容易に得られるので好ましい。一方、必要に応じて使用される元素Mの原料としては好ましくは、水酸化物、酸化物、炭酸塩、フッ化物が選択される。フッ素源としては、金属フッ化物、LiF、MgF2 などが選択される。
【0023】
コバルト源、リチウム源、元素Mの原料及びフッ素源の混合粉体を上記のように700〜1050℃で酸素含有雰囲気で5〜20時間焼成処理し、得られた焼成物を冷却後、粉砕、分級することにより、好ましくは0.5〜7μmのリチウムコバルト複合酸化物の微粒子が凝縮した凝集粒状複合酸化物粉末が形成される。この場合、コバルト源の性状、リチウム化の焼成温度、焼成時間などの条件を選択することにより、形成される凝集粒状複合酸化物粉末の平均粒子径や圧縮強度を制御することができる。
【0024】
上記のようにして得られる本発明のリチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極活物質としての評価は、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるそれぞれ4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)を求めることによって行われる。上記のように、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比が所定値以下であることは、リチウムコバルト複合酸化物中に2.5μmを越す粒子の存在量が小さいことを表わすが、スペクトル吸収強度比の波長である、4000cm−1と2000cm−1は必ずしもそれぞれのピッタリの波数に限定されるものでないことが見出された。
【0025】
即ち、本発明者の研究によると、4000cm−1のスペクトル吸収強度の波数は4000±1000cm−まで許容され、また、2000cm−1のスペクトル吸収強度の波数は12000±300cm−1まで許容されることが見出された。従って、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、それぞれ、4000±1000cm−1内の適宜の1点の低波数、及び2000±300cm−1内の適宜の1点の高波数を選択し、それぞれのスペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)を求めることによって実質上同様の評価を行うことができる。上記低波数と高波数との組合せにとしては、4000cm−1/2000cm−1、4500cm−1/1800cm−1、3800cm−1/2200cm−1などが例示される。
【0026】
そして、本発明によれば、上記スペクトル吸収強度比は所定値以下であることにより、リチウム二次電池の正極活物質の重要な特性、特に優れた充放電サイクル特性、即ち、高い容量維持率を示すことが見出された。上記スペクトル吸収強度比の所定値は小さい方がそれだけ特性が良好になるので好ましいが、所望とする特性によって適宜決められる。かくして、リチウムコバルト複合酸化物粉末ついての上記スペクトル吸収強度比を求めた結果、所定値以下にない場合には、製品としての出荷を取り止めたり、また、上記したリチウムコバルト複合酸化物粉末の製造条件にフィードバックし、製造条件を変えることにより上記スペクトル吸収強度比を制御して所定値以下にせしめることができる。
【0027】
上記スペクトル吸収強度比に影響を与えるリチウムコバルト複合酸化物粉末の製造条件としては、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源の、平均粒子径、混合割合及び/又は混合均一性などがあり、これを適宜かえることにより上記スペクトル吸収強度比を変えることができる。なかでも、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源についての、平均粒子径、混合均一性、及び/又は混合割合は、容易にかつ効果的にスペクトル吸収強度比を制御できるので好ましい。
【0028】
このようにして、リチウムコバルト複合酸化物粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計におけるスペクトル吸収強度比を所定値以以下にあるか否かを判断することにより、リチウム二次電池の正極材料としての特性を評価できる。
【0029】
本発明では、特に、リチウムコバルト複合酸化物粉末について拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度が1.03以下とした場合には極めて高い充放電サイクル耐久性、即ち容量維持率が達成されることが判明した。さらに、スペクトル吸収強度比の所定値を好ましくは 1.01以下、特に好ましくは 1.00以下とすることにより一層優れた充放電サイクル耐久性の正極材料となるリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。この場合には、本発明のリチウムコバルト複合酸化物粉末が容量密度が大きく、安全性が高いことと相俟って、従来では達成が困難であった、いずれの特性も満足するリチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末を得ることができる。
【0030】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物からリチウム二次電池用の正極を製造する場合には、かかる複合酸化物の粉末に、アセチレンブラック、黒鉛、ケッチエンブラックなどのカーボン系導電材と結合材を混合することにより形成される。
上記結合材には、好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が用いられる。
【0031】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物の粉末、導電材及び結合材を溶媒又は分散媒を使用し、スラリー又は混練物とし、これをアルミニウム箔、ステンレス箔などの正極集電体に塗布などにより担持せしめてリチウム二次電池用の正極が製造される。
【0032】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池において、セパレータとしては、多孔質ポリエチレン、多孔質ポリプロピレンのフィルムなどが使用される。また、電池の電解質溶液の溶媒としては、種々の溶媒が使用できるが、なかでも炭酸エステルが好ましい。炭酸エステルは環状、鎖状いずれも使用できる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート(EC)などが例示される。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネートなどが例示される。
【0033】
本発明では、上記炭酸エステルを単独で又は2種以上を混合して使用できる。
また、他の溶媒と混合して使用してもよい。また、負極活物質の材料によっては、鎖状炭酸エステルと環状炭酸エステルを併用すると、放電特性、サイクル耐久性、充放電効率が改良できる場合がある。
【0034】
また、本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム二次電池においては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(例えばアトケム社製:商品名カイナー)あるいはフッ化ビニリデン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体を含むゲルポリマー電解質としても良い。上記の電解質溶媒又はポリマー電解質に添加される溶質としては、ClO4−、CF3SO3−、BF4−、PF6−、AsF6−、SbF6−、CF3CO2−、(CF3SO2)2N−などをアニオンとするリチウム塩のいずれか1種以上が好ましく使用される。上記リチウム塩からなる電解質溶媒又はポリマー電解質対して、0.2〜2.0mol/l(リットル)の濃度で添加するのが好ましい。この範囲を逸脱すると、イオン伝導度が低下し、電解質の電気伝導度が低下する。なかでも、0.5〜1.5mol/lが特に好ましい。
【0035】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム電池において、負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料が用いられる。
この負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、例えばリチウム金属、リチウム合金、炭素材料、周期表14、または15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物などが挙げられる。炭素材料としては、種々の熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛などを使用できる。また、酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔などが用いられる。かかる負極は、上記活物質を有機溶媒と混練してスラリーとし、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥、プレスして得ることにより好ましくは製造される。
【0036】
本発明のリチウムコバルト複合酸化物を正極活物質に用いるリチウム電池の形状には特に制約はない。シート状、フイルム状、折り畳み状、巻回型有底円筒形、ボタン形などが用途に応じて選択される。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。なお、下記において、例1〜5及び例8は本発明の実施例であり、例6及び例7は比較例である。
【0038】
[例1]
市販のオキシ水酸化コバルトと市販の水酸化コバルトをコバルト原子比で1:1で混合し、比表面積が1.2m2/gの炭酸リチウム粉末とを充分に混合した。
これら3種の粉末を乾式混合した後、空気中、950℃で12時間焼成した。焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が13.9μm、D10が6.6μm、D90が22.4μmであり、BET法により求めた比表面積が0.42m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。
【0039】
得られたLiCoO2粉末について、拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計(サーモニコレ社製,形式AVATAR 307型)を用い、全分解能8cm−1、積算回数128回、検出器にTDSを用い、1600cm−1〜5000cm−1の範囲で赤外線吸収スペクトルを得た。得られたスペクトルを図1に示す。この図において、2000cm−1における吸収強度は0.968であり、4000cm−1における吸収強度は0.964であり、従って、4000cm−と12000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.996であった。
【0040】
上記LiCoO2粉末について、X線回折装置(理学電機社製RINT 2100型)を用いてX線回折スペクトルを得た。CuKα線を使用した粉末X線回折において、2θ=66.5±1°の(110)面の回折ピーク半値幅は0.114°であった。LiCoO2粉末のプレス密度は3.18g/cm3であった。
【0041】
上記のLiCoO2粉末と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン粉末とを90/5/5の質量比で混合し、N−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製し、厚さ20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面塗工した。乾燥し、ロールプレスによりリチウム電池用の正極体シートを作製した。
【0042】
そして、上記正極体シートを打ち抜いたものを正極に用い、厚さ500μmの金属リチウム箔を負極に用い、負極集電体にニッケル箔20μmを使用し、セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用い、さらに電解液には、濃度1MのLiPF6/EC+DEC(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの質量比(1:1)の混合溶液を意味する。後記する溶媒もこれに準じる。)を用いてステンレス製簡易密閉セル型リチウム電池をアルゴングローブボックス内で2個組み立てた。
【0043】
上記1個の電池については、25℃にて正極活物質1gにつき75mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき75mAの負荷電流にて2.5Vまで放電して初期放電容量を求めた。また、この電池について、引き続き充放電サイクル試験を6回行なった。その結果、25℃、2.5〜4.3Vにおける初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.8%であった。
【0044】
また、残りの電池については、それぞれ4.3Vで10時間充電し、アルゴングローブボックス内で解体し、充電後の正極体シートを取り出し、その正極体シートを洗滌後、径3mmに打ち抜き、ECとともにアルミカプセルに密閉し、走査型差動熱量計にて5℃/分の速度で昇温して発熱開始温度を測定した。その結果、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0045】
[例2]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様に測定した結果、平均粒径D50が14.1μm、D10が6.7μm、D90が22.7μmであり、BET法により求めた比表面積が0.40m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.00であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様に求めた(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.1%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0046】
[例3]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.0μm、D10が6.7μm、D90が22.5μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.01であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.18g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は98.3%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は163℃であった。
【0047】
[例4]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法と原料コバルトと料リチウムの調合原子比を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.0μm、D10が6.8μm、D90が22.9μmであり、BET法により求めた比表面積が0.44m2/gの略球状のLiCoO2粉末を得た。例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.982であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.110°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.8%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は163℃であった。
【0048】
[例5]
例1において、水酸化コバルトと炭酸リチウムを混合するにあたり、更に酸化チタン粉末とフッ化リチウム粉末を添加した他は例1と同様にして正極活物質を合成した。元素分析の結果、LiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002であった。その焼成物を解砕し得られた、一次粒子が凝集してなる二次粒子からなる粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が13.1μm、D10が5.3μm、D90が17.3μmであり、BET法により求めた比表面積が0.50m2/gのLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末を得た。この粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は0.983であった。
このLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.113°であった。得らLiCo0.997Ti0.003O1.998F0.002粉末のプレス密度は3.13g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は99.9%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は167℃であった。
【0049】
[例6]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法とコバルト原料とリチウム原料の調合原子比を変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布をレーザー散乱式粒度分布測定装置を用いて水を分散媒として測定した結果、平均粒径D50が14.1μm、D10が6.7μm、D90が22.7μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gのLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た。得られたスペクトルを図−2に示す。この結果から、2000cm−1における吸収強度は1.172であり、4000cm−1における吸収強度は1.230であった。その結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は1.05であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして測定した(110)面の回折ピーク半値幅は0.109°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.16g/cm3であった。初期重量容量密度は、160mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は92.0%であった。また、4.3V充電品の発熱開始温度は164℃であった。
【0050】
[例7]
例1において同じ原料を用いたが、3種の原料の混合方法変えたほかは例1と同様にして、焼成物を解砕することにより粒子径0.3〜5μmの微粒子が数十ないし百数十個凝集してなるLiCoO2粉末を得た。この粉末の粒度分布を例1と同様にして測定した結果、平均粒径D50が14.3μm、D10が6.5μm、D90が22.8μmであり、BET法により求めた比表面積が0.41m2/gのLiCoO2粉末を得た。得られたLiCoO2粉末について、例1と同様にして赤外吸収スペクトルを得た結果、4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)は1.04であった。
このLiCoO2粉末について、例1と同様にして求めた(110)面の回折ピーク半値幅は0.099°であった。得られたLiCoO2粉末のプレス密度は3.17g/cm3であった。初期重量容量密度は、158mAh/g−LiCoO2であり、6回充放電サイクル後の容量維持率は95.1%であった。
【0051】
[例8]
例6において、LiCoO2粉末の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.05であった原料調合粉に更にオキシ水酸化コバルトをコバルト原子比で0.01に相当する量を添加し、再度混合した後、例1と同様にして実施することによりLiCoO2粉末を得た。
この粉末の4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1 /I2000cm−1)は1.01であり、この粉末について、例1と同様にして求めた6回充放電サイクル後の容量維持率は98.5%であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における吸収強度比が所定範囲か否かを検知することにより、リチウムコバルト複合酸化物粉末のリチウム二次電池の正極材料としての評価が、実際にリチウム電池を製造することなしに容易にかつ迅速に行うことができる。これにより、正極材料の製造ラインでの工程分析に応用し、迅速に工程管理ができ、製品の歩留まりが向上するとともに、正極材料の商品としての出荷に際しての電池材料のスクリーニングが容易にできる。
【0053】
また、拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、4000cm−1及び2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)を1.03以下と大きくせしめることにより、従来では達成が困難であった、容量密度が大きく、安全性が高く、かつ充放電サイクル耐久性(容量維持率)のいずれをも満足する優れた特性を有する、リチウム二次電池正極用のリチウムコバルト複合酸化物粉末が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】[例1]のLiCoO2粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計の1600cm−1〜5000cm−1の波数でのスペクトル。
【図2】[例6]のLiCoO2粉末についての拡散反射型フーリエ変換赤外分光光度計の1600cm−1〜5000cm−1の波数でのスペクトル。
Claims (6)
- 一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.98≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物の微粒子が多数凝集して形成された、平均粒子径D50が5〜20μmの粉末であり、かつ該粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、それぞれ4000cm−1と2000cm−1のスペクトル吸収強度比(I4000cm−1/I2000cm−1)が1.03以下であることを特徴とするリチウム二次電池用の正極活物質。
- 粉末の比表面積が0.3〜0.7m2/gであり、CuKαを線源とするX線回折によって測定される2θ=66.5±1°の(110)面回折ピーク半値幅が0.07〜0.14°であり、かつプレス密度が3g/cm3以上である請求項1に記載の正極活物質粉末。
- 前記一般式において、MがTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Ni、Mg、Ca、Sr、Ba、及びAlからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1又は2に記載の正極活物質。
- 一般式 LipCoxMyOzFa(但し、MはCo以外の遷移金属元素またはアルカリ土類金属元素である。0.9≦p≦1.1、0.980≦x≦1.000、0≦y≦0.02、1.9≦z≦2.1、x+y=1、0≦a≦0.02)で表されるリチウムコバルト複合酸化物粉末からなるリチウム二次電池用の正極活物質の特性の評価方法であって、上記リチウムコバルト複合酸化物粉末の拡散反射型フーリエ変換赤外線分光計における、それぞれ4000±1000cm−1と2000±300cm−1のスペクトル吸収強度を検知し、該スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)が所定範囲にあるか否かにより評価することを特徴とするリチウム二次電池用の正極活物質の評価方法。
- スペクトル吸収強度比(I4000±1000cm−1/I2000±300cm−1)の所定範囲が1.03以下である請求項4に記載の正極活物質の評価方法。
- スペクトル吸収強度比(I2000±300cm−1/I4000±1000cm−1)が所定範囲にない場合、リチウムコバルト複合酸化物を製造における、コバルト源、リチウム源、必要に応じて使用されるM元素源、及び/又はフッ素源の、平均粒子径、混合均一性、及び混合比率を制御してスペクトル吸収強度比を所定範囲になるようにする請求項4又は5に記載の正極活物質の評価方法。
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JP2015144108A (ja) * | 2013-12-27 | 2015-08-06 | 旭硝子株式会社 | リチウムイオン二次電池正極用の表面修飾リチウム含有複合酸化物 |
-
2003
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