JP2005046681A - 抽出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の抽出装置は、原料を処理液で抽出する抽出室と、抽出室内にあるフィルタと、フィルタで分離した抽出液を受ける貯留室を備え、凝縮温度を設定できる凝縮器を直列に2段または3段以上設けてなることを特徴とする。凝縮器の凝縮温度が異なる態様が好ましく、本発明の抽出装置は、コーヒー、お茶ドリンクまたは調味液の製造に好適である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーヒー豆、茶葉またはカツオ節などの抽出装置に関し、好みの香り成分を効率よく回収することができる多機能抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コーヒーの抽出方法としては、ドリップ法、サイフォン法、エスプレッソ法、ウォータードリップ法などがあり、工業的に大量に抽出する場合においても、ほぼ同様の方法が用いられている。また、コーヒーを抽出するには、従来から熱水が広く用いられている。熱水の利用により、コーヒー豆の内部に存在する炭酸ガスを追い出して、コーヒー豆の内部にまで早く熱水が浸透し、短時間のうちに有効成分を抽出できるからである。
【0003】
しかしながら、工業的規模で熱水により抽出するときは、香り成分が飛散しやすく、熱と酸素との存在により酸化が生じやすいという問題がある。すなわち、コーヒーを工業的に大量に抽出する目的で、ドリップまたはサイフォン式を応用した大型抽出機を用いる場合、家庭などで小量を抽出する場合に比べ、熱水と豆(粉砕物)が接触する時間が長く、抽出された液が高温に保持されるため、味や香りが悪くなる傾向にある。
【0004】
これに対し、ダッチコーヒーの名で知られている、冷水抽出の技術が従来よりあり、冷水抽出では香り成分の変質はほとんど問題にならない。しかしながら、冷水が豆内部に浸透するのに時間がかかり、効率的な抽出ができないため、工業的な抽出法としては必ずしも望ましい方法ではない。このように消費者のニーズに応え、入れたてのコーヒーにより近づけるため、コーヒー豆の香り成分を飛散させずに抽出し、しかもそれを工業的に大量に生産する方法が切望されている。
【0005】
一方、ここ数年、ドリンク市場の拡大はめざましく、嗜好の多様化を反映して、コーヒーのみならず、緑茶、ウーロン茶、麦茶などのお茶ドリンクにおいても多彩な商品が登場している。紅茶の抽出方式としては、紅茶の豊かな風味をとらえるために、熱水によるドリップ式抽出などが行なわれており、また、緑茶、ウーロン茶、麦茶などの抽出方式としては、香ばしい香りと味を引き出すために、熱水による浸漬式抽出などが行なわれている。しかしながら、紅茶、緑茶、ウーロン茶、麦茶などの抽出においても、工業的規模で大量に製造する場合には、熱湯と原料粉砕物とが接触する時間が長く、また抽出された液が高温に保持されるため、味や香りにおいて改良すべき余地がある。
【0006】
また、コーヒー、緑茶、麦茶などのお茶ドリンクまたはダシ汁などの調味液中に混入している酸素は、コーヒーなどに含まれている成分を酸化させ、本来の色、味または香りなどを損なう原因となる。製品によっては、酸化防止剤を添加して酸化を防止することも可能であるが、近年、添加物の少ない食品を求めるニーズが高まっており、抽出工程において溶存酸素を取り除く態様が好ましい。溶存酸素の除去は、真空ポンプで容器内を負圧にして行なう真空脱気方式が一般的である。しかしながら、従来の真空脱気システムでは、溶存酸素の除去とともに、特に低温で蒸発する好ましい香り成分が除去されやすく、コーヒーなどの品質が低下するという問題がある。
【0007】
なお、以上本発明についての従来技術を、出願人の知得した一般的な技術情報に基いて説明したが、出願人の知得する範囲において、出願前までに先行技術文献情報として開示すべき情報を出願人は有していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、コーヒー豆などの原料に含まれる必要な香り成分を十分に回収し、味が良く、風味の良い高品質の抽出液を工業的に大量生産できる抽出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の抽出装置は、原料を処理液で抽出する抽出室と、抽出室内にあるフィルタと、フィルタで分離した抽出液を受ける貯留室を備え、凝縮温度を設定できる凝縮器を直列に2段または3段以上設けてなることを特徴とする。凝縮器の凝縮温度が異なる態様が好ましく、本発明の抽出装置は、コーヒー、お茶ドリンクまたは調味液の製造に好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】
(抽出装置)
本発明の抽出装置は、凝縮温度を設定できる凝縮器を直列に2段または3段以上設けてなることを特徴とする。好みの香り成分が、複数の成分からなる混合物であっても、それぞれの香り成分の沸点に合せて、複数の凝縮器の凝縮温度を任意に設定することにより、複数の香り成分を逃がすことなく分別回収することができ、不快な香り成分を除外し、必要な香り成分のみを選別回収することも可能である。特に、本発明によれば、低温領域で凝縮する好ましい香り成分の回収が容易となる。したがって、味が良く、風味の良い高品質の抽出液を工業的に大量生産することができる。このため、コーヒーのほか、紅茶、緑茶、ウーロン茶、麦茶などのお茶ドリンクまたは昆布、カツオ節などのダシ汁に代表される調味液などの製造において、本発明の抽出装置は有効に使用することができる。
【0011】
図1に、本発明の抽出装置の典型的な例を示す。この抽出装置は、原料を処理液で抽出する抽出室101と、抽出室101内にあるフィルタ106と、フィルタ106で分離した抽出液を受ける貯留室116を備える。抽出室101には、原料タンク117、処理液タンク107、第1次凝縮器151および第2次凝縮器161が接続されている。したがって、抽出室101内に処理液を注入して、フィルタ106上に載置された原料に処理液が注がれ、原料を処理液で抽出し、抽出液は、フィルタ106で粕と分離され、貯留室116に導かれる。
【0012】
抽出中に発生する香り成分は、真空ポンプ162により吸引されて、抽出室101の上部から第1次凝縮器151および第2次凝縮器161に導かれる。図1に示す例では,2個の凝縮器が直列に設けられている。それぞれの凝縮器にはジャケットが取付けられており、ジャケットには、一定の温度に調整された冷媒を注入することができ、凝縮温度を任意に設定できる構造になっている。冷媒としては、たとえば強冷水または弱冷水などを使用することができる。図1に示す例では、凝縮して液状化した香り成分は、貯留室116に導かれ、回収される。
【0013】
直列に連結する第1次凝縮器151および第2次凝縮器161の凝縮温度が異なる態様、たとえば、香り成分が最初に通過する第1次凝縮器151の凝縮温度を高目に調整し、その後に香り成分が通過する第2次凝縮器161の凝縮温度を低目に調整する態様は、第1次凝縮器151により高沸点の香り成分を回収し、第2次凝縮器161により低沸点の香り成分を回収することができる点で好ましい。このため、従来の1段構造の凝縮器に比べて、本発明によれば必要な香り成分を分別回収することができるようになり、また、必要な香り成分だけを選別回収することができるようになる。したがって、目的とする用途に合わせて、また回収しようとする香り成分の種類に応じて、さらにはユーザーの嗜好に合わせて、凝縮器の凝縮温度などを調整して、本発明の抽出装置を有効に利用することができる。
【0014】
直列に連結する凝縮器の段数は、2段以上であれば特に制限はないが、3段以上設けることにより、狭い沸点領域に分けて、好みの香り成分を分別回収することができる。一方、香り成分の回収効率を高めるとともに設備コストを低減するなどの点から、連結する凝縮器は8段以下が好ましく、6段以下がより好ましい。また、直列に連結する凝縮器のサイズは、必ずしも同一にする必要はなく、凝縮効率の小さい低温領域で凝縮する香り成分の回収効率を高めるため、かかる凝縮器のサイズを大きくしたり、目的とする成分の回収効率を高めるように、連結する凝縮器のサイズを変更し、調整することができる。
【0015】
抽出室101内には、複数の羽根からなる豆ならし羽根105を設けるのが好ましい。また、豆ならし羽根105の上方に、回転シャワーノズルを設け、豆ならし羽根105とともに回転軸に取りつけて、処理液を回転シャワーノズルから抽出室101内に注ぐ構造にすると、抽出効率が高まる点で好ましい。原料を抽出する処理液としては、たとえば、温水または熱水を用いるのが好ましい。このため、図1に示す例では、処理液タンク107には加熱用のジャケットを設け、スチームまたは熱水などをジャケットに循環することにより、処理液として温水または熱水を使用することができる構造になっている。抽出室101の高さは、1200〜1500mm程度に設計することが可能である。また、抽出室101の直径は1550〜2200mm程度に設計することが可能である。
【0016】
本発明の抽出装置に使用する直列型の多段凝縮器は、真空脱気装置にも有効に使用することができる。コーヒー、お茶ドリンクまたはダシ汁などの色、味または香りを劣化させる溶存酸素を除去するために真空脱気装置が使用されているが、真空脱気装置は、真空ポンプで容器内を負圧にすることにより、溶存酸素とともに、特に低温で蒸発する好ましい香り成分も取り除いてしまうという問題がある。本発明の抽出装置に使用する直列型の多段凝縮器を真空脱気装置に使用することにより、溶存酸素を除去するとともに、必要な香り成分を回収することができ、また、好みの香り成分は複数種類に分けて分別回収可能となる。さらに、本発明の抽出装置に使用する直列型の多段凝縮器は、使用に際して、容器内を真空排気することにより機能を発揮するから、真空脱気装置の機能を助長する効果も奏する。
【0017】
(抽出操作)
コーヒーを抽出する場合を例にとり、抽出操作を説明する。まず、原料タンク117から、粉砕されたコーヒー豆を抽出室101内に入れる。抽出室101内に入れられたコーヒー豆はフィルタ106上に山状に載置される。つぎに、投入したコーヒー豆の高さに応じて、豆ならし羽根105を下降させる。豆ならし羽根105が所定の高さまで下降した後、豆ならし羽根105をゆるやかに数回程度回転させて、フィルタ106上に山状に載置されたコーヒー豆の高さを一定にならす。
【0018】
つぎに、第1次凝縮器151のジャケットに、好ましくは20〜30℃の弱冷水を注入し、一方、第2次凝縮器161のジャケットには、好ましくは1〜10℃の強冷水を注入する。抽出前に第1次凝縮器151および第2次凝縮器161に連結している真空ポンプ162を始動し、香り成分の回収できるように準備する。回収した香り成分は貯留室161へ送液する。
【0019】
その後、処理液タンク107から温水を抽出室101に注入する。回転シャワーノズルを使用する場合には、回転シャワーノズルを所定高さにセットする。回転シャワーノズル104を所定高さにセットするのは、抽出の際に、回転シャワーノズルにて、フィルタ106上に載置されたコーヒー豆に偏ることなく温水を降りかけるためである。つぎに、回転シャワーノズルを回転させ、回転シャワーノズルに設けられた複数の孔部から温水を噴射する。コーヒー豆の抽出工程において、抽出室101内の抽出温度は60〜150℃に設定することが好ましく、たとえば125℃に設定することができる。
【0020】
抽出室101内の圧力を高くする態様もまた好ましい。抽出室101内の圧力を大気圧よりも高くすると、フィルタ106上に載置されたコーヒー豆への温水の浸透度を上昇させることができる。また、コーヒー豆への温水の浸透度を向上させることができるから、コーヒー豆の原料に含まれる成分を十分に抽出させることが可能となる。また、抽出室101内の圧力を大気圧よりも高くすることにより、フィルタ106上に載置されたコーヒー豆への温水の浸透を短時間で達成することができる。コーヒー豆への温水の浸透を短時間で行なうことができるから、抽出を比較的短時間で行なうことができ、えぐみなどの不要な成分まで抽出されることがなくなる。コーヒー豆の抽出工程においては、抽出室101内の圧力を0.2〜0.5MPaに設定するのが好ましく、たとえば、0.32MPaに設定する。凝縮器による香り成分の回収は減圧下で行なわれるため、抽出工程を加圧下で行なうときは、抽出後に、香り成分の回収を行なうのが望ましい。
【0021】
抽出室101には、温水をさらに注入し、フィルタ106上に載置されたコーヒー豆の上面にまで温水を満たす。フィルタ106上に載置されたコーヒー豆の上面にまで温水を満たすことにより、コーヒー豆から原料に含まれる成分を十分に抽出させることができる。コーヒー豆の上面の高さにまで温水が満たされると、温水の注入を止める。コーヒー豆の上面の高さまで温水が満たされた状態を所定の時間保持することも可能であるが、あまりに長時間保持すると、コーヒー豆からえぐみ成分などの好ましくない成分が抽出されやすくなる。したがって、コーヒー豆の上面の高さにまで温水が満たされると同時に、抽出を中止し、抽出液を抽出室101から貯留室116へ排出する態様が好ましい。
【0022】
つぎに、茶葉を原料とする場合を例にとり、抽出操作を説明する。茶葉には、種々のものがあるが、本実施の形態では日本茶を例に取り挙げる。まず、原料タンク117から、茶葉を抽出室101内に入れる。抽出室101内に入れられた茶葉はフィルタ106上に山状に載置される。つぎに、投入した茶葉の高さに応じて、豆ならし羽根105を下降させる。豆ならし羽根105が所定の高さまで下降した後、豆ならし羽根105をゆるやかに数回程度回転させることにより、フィルタ106上に載置された茶葉の高さを一定にならす。
【0023】
つぎに、第1次凝縮器151のジャケットに、好ましくは20〜30℃の弱冷水を注入し、一方、第2次凝縮器161のジャケットには、好ましくは1〜10℃の強冷水を注入する。抽出前に、第1次凝縮器151および第2次凝縮器161に連結している真空ポンプ162を始動し、香り成分を回収できるようにする。回収した香り成分は貯留室116へ送液する。
【0024】
その後、処理液タンク107から温水を抽出室101に注入する。回転シャワーノズルを使用する場合には、回転シャワーノズルを所定高さにセットする。回転シャワーノズルを所定高さにセットするのは、抽出の際に、回転シャワーノズルにより、フィルタ106上に載置された茶葉に偏ることなく温水を降りかけるためであり、温水をまんべんなく降りかけることにより、茶葉からうまみ成分を十分に抽出するためである。つぎに、回転シャワーノズルを回転させ、回転シャワーノズルに設けられた複数の孔部から温水を噴射する。茶葉の抽出工程において使用する温水の温度は、40〜80℃に設定するのが好ましく、たとえば60℃に設定する。
【0025】
抽出室101内の圧力を大気圧よりも高くにする態様も好ましい。加圧することにより、フィルタ106上に載置された茶葉への温水の浸透度を上昇させることができる。また、茶葉への温水の浸透度を向上させることができるから、茶葉の原料に含まれる成分を十分に抽出させることができる。また、抽出室101内の圧力を大気圧よりも高くすることにより、フィルタ106上に載置された茶葉への温水の浸透を短時間で達成させることができる。茶葉への温水の浸透を短時間で行なうことができるから、抽出も比較的短時間で行なうことができ、渋みなどの不要な成分まで抽出されることがなくなる。このため、抽出室101内の圧力を0.1〜0.5MPaに設定するのが好ましく、たとえば、0.24MPaに設定する。凝縮器による香り成分の回収は減圧下で行なわれるため、抽出を加圧下で行なうときは、抽出後に香り成分の回収を行なう態様が好ましい。
【0026】
抽出室101には、温水をさらに注入し、フィルタ106上に載置された茶葉の上面にまで温水を満たす。フィルタ106上に載置された茶葉の上面にまで温水を満たすことにより、茶葉からうまみ成分などを十分に抽出させることができる。茶葉の上面の高さにまで温水が満たされると、温水の注入を止める。茶葉の上面の高さまで温水が満たされた状態を所定の時間保持することも可能であるが、あまりに長時間保持すると、茶葉から渋み成分などの好ましくない成分が抽出されやすい。したがって、茶葉の上面の高さにまで温水が満たされると同時に、抽出を中止し、抽出液を抽出室101から貯留室116へ排出する態様が好ましい。
【0027】
【実施例】
実施例1
ロードセルにて、粉砕されたコーヒー豆の量を測定し、200kgのコーヒー豆を使用した。処理液タンク107から抽出室101内に注ぎ込まれる湯の温度は125℃に設定し、抽出工程において、抽出室101内の温度は125℃とした。また、第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量100L/mで流し、第2次凝縮器161のジャケットには、10℃の強冷水を、流量100L/mで流し、凝縮器内の真空度は、0.020MPaとした。
【0028】
抽出に使用する湯の量は1000kgとし、給湯時間は6分間に設定した。ここで給湯時間とは、処理液タンク107から湯が抽出室101に注入される時間をいうものとする。また、実施例1における抽出は、保持時間0分で行なった。ここで保持時間とは、フィルタ106に載置してあるコーヒー豆の上面の高さまで湯が満たされた状態を保持する時間をいい、このようなホールディングにより十分に抽出を行なうことができる。また、排出時間は7分30秒であった。ここで排出時間とは、処理液タンク107から注入された湯がコーヒー豆に接触し、ホールディング時間を経過した後から抽出に用いた湯の大半が抽出液として貯留室116に排出されるときまでの時間をいうものとする。
【0029】
抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は2kgであり、第2次凝縮器161で回収した香り成分は2kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は6.0ブリックス%であった。また、得られたコーヒー抽出液は720kgであった。したがって、固形分回収率は21.6%であった。抽出条件およびテスト結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
実施例2
抽出工程において、抽出室101内の温度を110℃とし、保持時間10分とした以外は、実施例1と同様にしてコーヒーを抽出した。抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は2kgであり、第2次凝縮器161で回収した香り成分は2kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は6.5ブリックス%であった。また、得られたコーヒー抽出液は750kgであった。したがって、固形分回収率は24.3%であった。抽出条件およびテスト結果を表1に示す。
【0032】
比較例1
第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量100L/mで流したが、第2次凝縮器161のジャケットには冷媒を流さなかった以外は、実施例1と同様にしてコーヒーを抽出した。抽出後、凝縮器で香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は2kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は5.9ブリックス%であった。また、得られたコーヒー抽出液は710kgであった。したがって、固形分回収率は20.9%であった。抽出条件およびテスト結果を表1に示す。
【0033】
上述した実施例1と、実施例2と、比較例1のそれぞれのコーヒーについて、訓練された官能テスター10人による、味覚および風味についての官能試験を行なった。官能試験の結果、実施例1および実施例2のコーヒーの方が、比較例1のコーヒー方よりもおいしいと感じたテスターは8名であった。その理由は、香りが豊かである、味がまろやかである、飲みやすくすっきりとした後味である、ほど良い苦みがある、こくがあるのにすっきりしている、であった。
【0034】
実施例3
ロードセルにて、緑茶の茶葉の量を測定し、60kgの茶葉を抽出した。処理液タンク107から抽出室101内に注ぎ込まれる湯の温度は60℃に設定し、抽出室101内の温度は60℃とした。抽出に使用する湯の量は1500kgとした。また、第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量100L/mで注入し、第2次凝縮器161のジャケットには10℃の冷水を、流量100L/mで注入し、凝縮器内の真空度は、0.020MPaとした。
【0035】
また、給湯時間は6分間、保持時間0分、排出時間は7分30秒であった。抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は2kgであり、第2次凝縮器161で回収した香り成分は2kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は1.4ブリックス%であった。また、得られた抽出液は1200kgであった。したがって、固形分回収率は28.0%であった。抽出条件およびテスト結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】
比較例2
第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量100L/mで注入したが、第2次凝縮器161のジャケットには冷媒を注入しなかった以外は、実施例3と同様にして茶葉を抽出した。抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は2kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は1.3ブリックス%であった。また、得られた抽出液は1180kgであった。したがって、固形分回収率は25.6%であった。抽出条件およびテスト結果を表2に示す。
【0038】
上述した実施例3と比較例2の緑茶抽出液のそれぞれについて、訓練された官能テスター10人により、味覚および風味の官能試験を行なった。官能試験の結果、実施例3の方がおいしいと感じたテスターは7名であった。その理由は、風味が豊かである、味がまろやかである、香りがいい、渋みが少なく、すっきりとした味である、であった。
【0039】
実施例4
粉砕されたカツオ節8kgを原料とし、処理液タンク107から抽出室101内に注ぎ込まれる湯の温度は100℃に設定し、抽出室101内の温度は96℃とした。また、第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量25L/mで注入し、第2次凝縮器161のジャケットには、10℃の強冷水を、流量25L/mで注入し、凝縮器内の真空度は、0.020MPaとした。
【0040】
抽出に使用する湯の量は56kgとし、給湯時間は6分間、保持時間10分間、また、排出時間は6分間に設定した。抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は0.5kgであり、第2次凝縮器161で回収した香り成分は0.5kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は2.3ブリックス%であった。また、得られた抽出液は52kgであった。したがって、固形分回収率は15.0%であった。抽出条件およびテスト結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
比較例3
第1次凝縮器151のジャケットには、25℃の冷水を、流量25L/mで注入したが、第2次凝縮器161のジャケットには冷媒を注入しなかった以外は、実施例4と同様にしてカツオ節を抽出した。抽出後、凝縮器で回収した香り成分を、貯留室116に導入した。第1次凝縮器151で回収した香り成分は0.5kgであった。また、抽出液をブリックス計で測定することにより濃度を求めた。濃度は2.2ブリックス%であった。また、得られた抽出液は51.5kgであった。したがって、固形分回収率は14.2%であった。抽出条件およびテスト結果を表3に示す。
【0043】
上述した実施例4と比較例3の抽出液のそれぞれについて、訓練された官能テスター10人により、味覚および風味の官能試験を行なった。官能試験の結果、実施例4の方がおいしいと感じたテスターは7名であった。その理由は、風味が豊かである、味がまろやかである、香りがいい、嫌味みがなく、すっきりとしたうまみ味がある、であった。
【0044】
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、コーヒー豆などの原料に含まれる必要な香り成分を十分に回収し、味が良く、風味の良い高品質の抽出液を工業的に大量生産できる抽出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抽出装置の典型的な例を示す図である。
【符号の説明】
101 抽出室、105 豆ならし羽根、106 フィルタ、107 処理液タンク、116 貯留室、117 原料タンク、151,161 凝縮器、162 真空ポンプ。
Claims (3)
- 原料を処理液で抽出する抽出室と、前記抽出室内にあるフィルタと、前記フィルタで分離した抽出液を受ける貯留室を備える抽出装置において、凝縮温度を設定できる凝縮器を直列に2段または3段以上設けてなることを特徴とする抽出装置。
- 前記凝縮器の凝縮温度が異なる請求項1に記載の抽出装置。
- 前記抽出液が、コーヒー、お茶ドリンクまたは調味液である請求項1に記載の抽出装置。
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2003
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