しかしながら、上述した図29,図30の管体90の外周面のフレ測定と肉厚測定器等を用いた肉厚の測定による管体の形状測定方法によると、以下の問題がある。
(1)すなわち、外周面のフレの測定と肉厚の測定をそれぞれ別個の測定器によって行うため、測定器の機器バラツキ、それを使用する測定者の測定器の使い方に起因する誤差、さらに測定者間のバラツキ等が累積されてしまい、高い測定精度を得にくい。
(2)また、外周面のフレと肉厚の分布は互いに幾何学的に相殺される場合があるにもかかわらず、これらを別個に測定しているために、このような場合を考慮することができず、結果として過剰品質を要求することになっている可能性もある。
また、上述した種々の公開特許には、そのいずれにも簡便かつ高精度に管体の外周面のフレを測定する技術についての開示がない。
また、従来の真円度計測器を用いた管体の形状測定方法も考えられるが、この場合、管体が置かれる測定テーブルの回転軸と測定対象である管体の中心軸位置を合わせる芯出し、および測定テーブルの回転軸と管体の中心軸とを平行に合わせる水平出しを、各管体ごとに繰り返し行うことが必要であり、非常に時間と手間がかかるという問題がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、簡素にかつ高い精度で管体の形状を測定できる管体の形状測定方法および同装置等を提供することを目的とする。
本発明は、下記の手段を提供する。すなわち、
[1]略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に当接する一対の基準部と、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置され、前記管体の外周下面に当接して前記管体を支持する支持ローラと、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材と、
前記昇降部材および前記昇降部材とともに昇降する部材の重量を負担して前記昇降部材を支持する重量支持手段と、
前記昇降部材を上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付ける押圧力付与手段と、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対して前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する変位検出器と、
を備えたことを特徴とする管体の形状測定装置。
[2]前記重量支持手段は、
一端側に前記昇降部材が取り付けられ、所定の支点まわりに回動自在に設けられた回動部材と、
前記回動部材の他端側に設けられた重りとから構成されたことを特徴とする前項1に記載の管体の形状測定装置。
[3]前記重量支持手段は、弾性部材によって構成されたことを特徴とする前項1または2に記載の管体の形状測定装置。
[4]前記押圧力付与手段は、エアシリンダによって構成されたことを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[5]前記押圧力付与手段は、前記昇降部材を前記測定位置から前記離間位置に移動させることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[6]略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に当接する一対の基準部と、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置され、前記管体の外周下面に当接して前記管体を支持する支持ローラと、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材と、
前記昇降部材を上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付ける押圧手段と、
前記押圧手段の付勢力に抗して前記昇降部材を前記測定位置から前記離間位置に移動させる下降駆動手段と、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対して前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する変位検出器と、
を備えたことを特徴とする管体の形状測定装置。
[7]前記押圧手段による付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたことを特徴とする前項6に記載の管体の形状測定装置。
[8]前記押圧手段は、
一端側に前記昇降部材が取り付けられ、所定の支点まわりに回動自在に設けられた回動部材と、
前記回動部材の他端側に設けられた重りとから構成されたことを特徴とする前項6または7に記載の管体の形状測定装置。
[9]前記押圧手段は、弾性部材から構成されたことを特徴とする前項6〜8のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[10]前記下降駆動手段は、エアシリンダから構成されたことを特徴とする前項6〜9のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[11]略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に当接する一対の基準部と、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置され、前記管体の外周下面に当接して前記管体を支持する支持ローラと、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材と、
前記昇降部材に取り付けられた弾性部材と、
前記弾性部材を介して前記昇降部材を前記測定位置と前記離間位置との間で昇降させ、前記昇降部材を前記測定位置に上昇させたときには前記弾性部材の付勢力によって前記昇降部材を上方に付勢させることにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付ける昇降駆動手段と、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対して前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する変位検出器と、
を備えたことを特徴とする管体の形状測定装置。
[12]前記昇降駆動手段の昇降動作の上限を制限するストッパーを備えたことを特徴とする前項11に記載の管体の形状測定装置。
[13]前記ストッパーによる前記昇降駆動手段の昇降動作の上限を調整する上限高さ調整手段を備えたことを特徴とする前項12に記載の管体の形状測定装置。
[14]前記ストッパーによって前記昇降駆動手段の昇降動作が上限にある状態における前記弾性部材による付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたことを特徴とする前項12または13に記載の管体の形状測定装置。
[15]前記昇降部材の昇降方向を上下方向に規制する昇降動作方向規制手段を備えたことを特徴とする前項1〜14のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[16]前記支持ローラのうち少なくとも1つを回転駆動する回転駆動手段を備えたことを特徴とする前項1〜15のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[17]前記管体の少なくとも一方側の端部に配置された2つの前記支持ローラに接触してこれらと連動回転する連動ローラを備え、
前記回転駆動手段は、前記連動ローラを回転駆動することにより前記支持ローラを回転駆動することを特徴とする前項16に記載の管体の形状測定装置。
[18]前記回転駆動手段は、前記昇降部材とともに昇降動作しない回転駆動源を備えていることを特徴とする前項16または17のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[19]前記一対の基準部は、前記管体の使用時における支持予定位置に当接するように配置されたことを特徴とする前項1〜18のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[20]前記支持ローラは、前記一対の基準部と前記管体との当接位置と前記管体の軸方向位置が異なる位置において前記管体と接触するように配置されたことを特徴とする前項1〜19のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[21]前記支持ローラは、前記一対の基準部と前記管体との当接位置よりも前記管体の軸方向位置について両外側に外れた位置において前記管体と接触するように配置されたことを特徴とする前項20に記載の管体の形状測定装置。
[22]前記支持ローラは、前記管体の両側の端部に当接することを特徴とする前項21に記載の管体の形状測定装置。
[23]前記支持ローラは、前記管体の外周下面に当接する小径部と、前記小径部の外側に大径部を形成するべく形成され、前記管体の両側端面に当接して前記管体の軸方向位置を規定する立ち上がり面と、をそれぞれ有することを特徴とする前項22に記載の管体の形状測定装置。
[24]前記支持ローラは、仮置き台をなすことを特徴とする前項1〜23のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[25]前記管体は感光ドラム用の基体であることを特徴とする前項1〜24のいずれかに記載の管体の形状測定装置。
[26]前項1〜25のいずれかに記載の管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたことを特徴とする管体の検査装置。
[27]管体を製管する製管装置と、
前項26記載の管体の検査装置と、
前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、
を備えたことを特徴とする管体の製造システム。
[28]前記検査装置による検査結果を前記製管装置にフィードバックするフィードバック手段を備えたことを特徴とする前項27に記載の管体の製造システム。
[29] 略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材と、この昇降部材とともに昇降する部材の重量を重量支持手段に負担させて前記昇降部材を支持しておき、
押圧力付与手段によって、前記昇降部材を上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、
こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
[30]略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材を押圧手段によって上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、
こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する一方、
検出後には、下降駆動手段により前記押圧手段の付勢力に抗して前記昇降部材を前記測定位置から前記離間位置に移動させることを特徴とする管体の形状測定方法。
[31]略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、
前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、
前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材を、昇降駆動手段により弾性部材を介して前記測定位置と前記離間位置との間で昇降させ、
前記昇降部材を前記測定位置に上昇させたときには前記弾性部材の付勢力によって前記昇降部材を上方に付勢させることにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、
こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出することを特徴とする管体の形状測定方法。
[32]前項29〜31のいずれかに記載の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査することを特徴とする管体の検査方法。
[33]管体を製管し、前項32に記載の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定することを特徴とする管体の製造方法。
[34]前記検査結果を前記管体の製管における製管条件の設定にフィードバックすることを特徴とする前項33に記載の管体の製造方法。
[35]前項33または34に記載の管体の製造方法によって製造されたことを特徴とする管体。
[36]前項33または34に記載の管体の製造方法によって製造されたことを特徴とする感光ドラム用基体。
[37]前項33または34に記載の管体の製造方法によって製造され、両端部以外の外周面には周方向に延びる接触の痕跡がないことを特徴とする感光ドラム用基体。
[38]管体を製造し、
前項33または34に記載の管体の形状測定方法により、管体の形状を測定し、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量の測定結果が、予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査し、
この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定することを特徴とする管体の製造方法。
[39]前項38に記載の管体の製造方法によって製造され、
前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量が20μm以下であることを特徴とする管体。
[40]複数本の管体の集合であって、
前項39に記載の管体の製造方法によって製造され、
当該集合に含まれるすべての管体は、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量が20μm以下であることを特徴とする管体の集合。
上記発明[1]によると、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、重量支持手段が、昇降部材とともに昇降する部材の重量を負担し、押圧力付与手段は、支持ローラを介して管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力のみを負担すればよいため、管体と一対の基準部との接触圧を正確に設定し、また制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[2]によると、前記重量支持手段が、一端側に前記昇降部材が取り付けられ、所定の支点まわりに回動自在に設けられた回動部材と、前記回動部材の他端側に設けられた重りとから構成されたため、たとえば昇降部材および昇降部材とともに昇降する部材の重量と重りとの前記支点まわりのモーメントをおよそ釣り合わせるだけの簡易な構成で昇降部材とともに昇降する部材の重量を支持することができる。
上記発明[3]によると、前記重量支持手段が弾性部材によって構成されたため、簡易な構成で昇降部材とともに昇降する部材の重量を支持することができる。
上記発明[4]によると、前記押圧力付与手段がエアシリンダによって構成されたため、支持ローラを介して管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を正確に付与して、高い精度で管体の形状を測定することができる。
上記発明[5]によると、前記押圧力付与手段が前記昇降部材を前記測定位置から前記離間位置に移動させるため、押圧力付与手段によって、管体を基準部に押し付ける押圧力を付与するとともに、昇降部材を測定位置と離間位置との間で移動させる手段として兼用することができる。
上記発明[6]によると、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、管体を一対の基準部に押し付ける押圧力は、下降駆動手段のような能動的に駆動される手段ではなく、自動的に付勢力を発揮する押圧手段によって担当されるため、管体と一対の基準部との接触圧を予め正確に設定することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[7]によると、前記押圧手段による付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたため、管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を適正に調整することができる。
上記発明[8]によると、前記押圧手段が、一端側に前記昇降部材が取り付けられ、所定の支点まわりに回動自在に設けられた回動部材と、前記回動部材の他端側に設けられた重りとから構成されたため、簡易な構成で管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を与えることができる。
上記発明[9]によると、前記押圧手段が弾性部材から構成されたため、簡易な構成で管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を与えることができる。
上記発明[10]によると、前記下降駆動手段がエアシリンダから構成されたため、昇降部材を測定位置から離間位置に敏速に移動させることができる。
上記発明[11]によると、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、管体を一対の基準部に押し付ける押圧力は、昇降駆動手段のような能動的に駆動される手段ではなく、自動的に付勢力を発揮する弾性部材によって担当されるため、管体と一対の基準部との接触圧を正確に設定し、また制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[12]によると、前記昇降駆動手段の昇降動作の上限を制限するストッパーを備えたため、弾性部材が管体を一対の基準部に所定の押圧力で押し付けるための付勢力を発揮する位置を、昇降駆動手段の昇降動作の上限としてストッパーを設けることで、管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を容易に得ることができる。
上記発明[13]によると、前記ストッパーによる前記昇降駆動手段の昇降動作の上限を調整する上限高さ調整手段を備えたため、管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を適正に調整することができる。
上記発明[14]によると、前記ストッパーによって前記昇降駆動手段の昇降動作が上限にある状態における前記弾性部材による付勢力を調整する付勢力調整手段を備えたため、管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力を適正に調整することができる。
上記発明[15]によると、前記昇降部材の昇降方向を上下方向に規制する昇降動作方向規制手段を備えたため、2つの支持ローラを適正な昇降動作方向に動作させることができ、これにより、形状測定時の管体の軸位置および姿勢を安定させて、一対の基準部と適正に当接させ、高い形状測定精度を得ることができる。
上記発明[16]によると、前記支持ローラのうち少なくとも1つを回転駆動する回転駆動手段を備えたため、支持ローラが管体を回転させる機能を果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[17]によると、前記管体の少なくとも一方側の端部に配置された2つの前記支持ローラに接触してこれらと連動回転する連動ローラを備え、前記回転駆動手段は、前記連動ローラを回転駆動することにより前記支持ローラを回転駆動するようにしたため、管体の一方の端部に接触する2つの支持ローラの回転が連動することで等速化することができ、これにより、管体の回転を安定させ、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
上記発明[18]によると、前記回転駆動手段が、前記昇降部材とともに昇降動作しない回転駆動源を備えているようにししたため、小さな力で昇降部材およびそれとともに昇降動作する支持ローラ等を正確に昇降させることができる。
上記発明[19]によると、前記一対の基準部が、前記管体の使用時における支持予定位置に当接するように配置したため、管体の実際の使用時に回転動作等の基準となる部分を基準として形状測定することができ、より実際に即した測定を行うことができる。
上記発明[20]によると、前記支持ローラは、前記一対の基準部と前記管体との当接位置と前記管体の軸方向位置が異なる位置において前記管体と接触するように配置したため、一対の基準部に対向する位置に支持ローラが位置せず、この一対の基準部に対向する断面の変位量を検出することができ、これにより、この断面の肉厚を得ることができる。
上記発明[21]によると、前記支持ローラが、前記一対の基準部と前記管体との当接位置よりも前記管体の軸方向位置について両外側に外れた位置において前記管体と接触するように配置したため、一対の基準部に対向する位置を開けて、この一対の基準部に対向する断面の変位量を検出することができるとともに、支持ローラが管体の両側端部のより外側を支持することで形状測定時の管体の姿勢を安定させることができる。また、管体の中央部の大部分に対して支持ローラを当接させないで済むため、支持ローラが当接することによって管体の外周面が損傷する可能性も低減することができ、感光ドラム素管等の管体の形状測定にも好適である。
上記発明[22]によると、前記支持ローラが、前記管体の両側の端部に当接するようにししたため、管体が押出加工や引抜き加工等によって成形された長尺管をを所定長さで切断することで製造されたために管体の端面にバリ等が残っている場合であっても、このバリによって管体が支持ローラから浮き上がってしまうことを防止し、管体が支持ローラに接触した状態を確実に保つことができ、これにより、高い精度で管体の形状を測定することができる。
上記発明[23]によると、前記支持ローラが、前記管体の外周下面に当接する小径部と、前記小径部の外側に大径部を形成するべく形成され、前記管体の両側端面に当接して前記管体の軸方向位置を規定する立ち上がり面と、をそれぞれ有するようにしたため、支持ローラが管体の軸方向の位置決めを行う機能を果たし、管体に接触する部材を少なく抑え、これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[24]によると、前記支持ローラが仮置き台をなすようにしたため、管体を一時的に支持するための別途の部材等を要さず、管体が他の部材等を接触する機会を減らして、管体の外周面が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[25]によると、感光ドラム用の基体として好適に適用できる形状精度を有しているか否かを測定することができる。
上記発明[26]によると、上記いずれかの管体の形状測定装置と、前記変位検出器によって検出された前記変位量に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査する比較手段とを備えたため、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
上記発明[27]によると、管体を製管する製管装置と、上記の管体の検査装置と、前記検査装置による検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定する合否判定手段と、を備えたため、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
上記発明[28]によると、前記検査装置による検査結果を前記製管装置にフィードバックするフィードバック手段を備えたため、より確実に必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
上記発明[29]によると、略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材と、この昇降部材とともに昇降する部材の重量を重量支持手段に負担させて前記昇降部材を支持しておき、押圧力付与手段によって、前記昇降部材を上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するため、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、重量支持手段が、昇降部材とともに昇降する部材の重量を負担し、押圧力付与手段は、支持ローラを介して管体を一対の基準部に押し付ける所定の押圧力のみを負担すればよいため、管体と一対の基準部との接触圧を正確に設定し、また制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[30]によると、略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材を押圧手段によって上方に付勢することにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出する一方、検出後には、下降駆動手段により前記押圧手段の付勢力に抗して前記昇降部材を前記測定位置から前記離間位置に移動させるため、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、管体を一対の基準部に押し付ける押圧力は、下降駆動手段のような能動的に駆動される手段ではなく、自動的に付勢力を発揮する押圧手段によって担当されるため、管体と一対の基準部との接触圧を予め正確に設定することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[31]によると、略水平姿勢の管体に対し、その両側端部近傍の内周下面に一対の基準部を当接させ、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された支持ローラを前記管体の外周下面に当接させて前記管体を支持し、前記管体の両側端部のそれぞれに配置され、前記管体の両側端部にそれぞれ2つずつ配置された前記支持ローラが回転可能に取り付けられ、前記支持ローラ上に支持された前記管体の内周下面が前記一対の基準部に当接する測定位置とその内周下面が前記一対の基準部から離間する離間位置との間で昇降可能な昇降部材を、昇降駆動手段により弾性部材を介して前記測定位置と前記離間位置との間で昇降させ、前記昇降部材を前記測定位置に上昇させたときには前記弾性部材の付勢力によって前記昇降部材を上方に付勢させることにより、前記支持ローラを介して前記管体を前記一対の基準部に所定の押圧力で押し付け、こうして前記管体が前記一対の基準部に押し付けられた状態で、前記管体と前記一対の基準部との当接部分が前記管体の内周面上で周方向にずれていくように前記管体を回転させ、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る仮想的な直線に対し、前記管体の外側から対峙する位置において、前記管体が前記一対の基準部に当接した状態で回転したときに、この回転に伴う前記管体の外周面の半径方向の変位量を検出するため、管体の内周面を基準とした外周面のフレ、すなわち、管体の偏肉の影響が加味された外周面のフレを測定することができる。したがって、内周面を回転支持される用途に供される管体に対して、その使用状態に近似した測定を行うことができる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、管体の肉厚を別途測定する場合のような測定機器バラツキの累積や過剰品質の要求を防止できる。また、測定される外周面のフレには偏肉の影響が加味されているから、測定の短時間化を図ることができる。また、管体の内周面側に基準を当接させて管体の外周面側を計測するだけの簡素な構成であるから、測定誤差の累積を可及的に低減して、形状測定の高い精度を得ることができる。また、内周面側には基準部を当接させることができればよいので、内径の小さい管体の形状測定にも好適に採用することができる。
また、管体を一対の基準部に押し付ける押圧力は、昇降駆動手段のような能動的に駆動される手段ではなく、自動的に付勢力を発揮する弾性部材によって担当されるため、管体と一対の基準部との接触圧を正確に設定し、また制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。また、支持ローラは管体の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体の軸の位置および管体の姿勢を安定させることができ、これにより管体の回転動作を安定させ、高い測定精度を得ることができる。また、支持ローラが管体の重量を支持する機能とともに、管体の軸を位置決めする機能をも果たすため、管体に接触する部材を少なく抑えることができる。これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、形状測定について高い信頼性を得ることができるとともに、管体が損傷する可能性を低減することができる。
上記発明[32]によると、上記の管体の形状測定方法により管体の形状を測定し、この測定結果に基づいて、前記管体の形状が予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査するため、管体の形状が許容範囲内にあるか否かを判別することができる。
上記発明[33]によると、管体を製管し、上記の管体の検査方法により前記管体の形状を検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定するため、過剰品質に陥ることなく、必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
上記発明[34]によると、前記検査結果を前記管体の製管における製管条件の設定にフィードバックするようにしたため、より確実に必要十分な形状精度を持った管体を提供することができる。
上記発明[35]にかかる管体によると、上記の管体の製造方法によって製造されるため、その形状が許容範囲内に収まり、各種用途に好適に使用することができる。
上記発明[36]にかかる感光ドラム用基体によると、上記の管体の製造方法によって製造されるため、その形状が許容範囲内に収まり、電子写真システムにおける優れた画像形成に貢献することができる。
上記発明[37]によると、前述の管体の製造方法によって製造され、両端部以外の外周面には周方向に延びる接触の痕跡がないため、電子写真システムにおける優れた画像形成に貢献することができる。
上記発明[38]によると、管体を製造し、上述した管体の形状測定方法により、管体の形状を測定し、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量の測定結果が、予め設定された所定の許容範囲内にあるか否かを検査し、この検査結果において前記管体の形状が前記所定の許容範囲内にある場合には、その管体を完成品と判定するため、確実にその形状が所定の許容範囲内にある管体を得ることができる。
上記発明[39]にかかる管体によると、前述の管体の製造方法によって製造され、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量が20μm以下であるため、感光ドラム用の基体等の用途に好適に使用することができる。
上記発明[40]にかかる管体の集合よると、前述の管体の製造方法によって製造され、当該集合に含まれるすべての管体は、前記管体の内周面と前記一対の基準部とが当接する2つの当接部分を通る直線に対して前記管体の外側から対峙する位置であって、前記一対の基準部には対峙しない位置における前記管体の外周面の半径方向の変位量が20μm以下であるため、その全てを感光ドラム用の基体等の用途に好適に使用することができる。
(測定原理)
以下、本発明にかかる管体の形状測定方法および装置について実施形態に基づいて説明するが、まず、その測定原理について模式的な説明図を参照しながら説明する。
図1は本発明にかかる管体の形状測定方法の原理を示す正面断面図、図2は同じく側面断面図、図3は同じく斜視図、図4は形状測定対象である管体(ワーク)の使用状態を示す説明斜視図、図5は本発明にかかる管体の形状測定方法における変位量の検出位置の説明図である。
<管体>
本発明における形状測定対象としての管体は、内周面および外周面とも各断面において円をなす円筒形状のものを想定している。さらに、この実施形態において例示する管体(ワーク)10は、図4に示すように、その両端の内側に挿入されるフランジ80,80によって内側から支持され、適宜回転させて使用されるものである。このフランジ80,80が管体10に接触して、管体10を回転支持する位置は、たとえば管体10の両端から幅dだけ内側に至る領域S(図4中にハッチングを施した領域)となっている。
このような管体(ワーク)10の素材は、たとえばアルミニウム合金等を挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、各種金属や合成樹脂等であってもよい。
また、その製造方法としては、後述するように、押出成形および引き抜き成形の組み合わせを挙げることができる。ただし、これに限定されるものではなく、押出成形、引き抜き成形、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工、またはこれらの組み合わせなど、管体を製管できる方法であればよい。
このような管体10としては、具体的には、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体を挙げることができる。なお、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜きか口頭が行われた後の管体であって、感光層の形成前の管体をいう。また、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の管体も、本発明の形状測定等を行う対象たる管体とできる。
<全体概略>
図1〜図3に示すように、本発明にかかる管体の形状測定方法は、このような管体(ワーク)10に対して、その両側端部近傍の内周面11に一対の基準部20,20を当接させ、この状態で管体10を回転させたときに、管体10の外側に配置された変位検出器30…によって管体10の外周面12の半径方向の変位量を検出するものである。
なお、管体10の回転は、測定作業者が手で管体10をつかんで回転させても、図示しない駆動ローラ等を管体10に接触させて回転させても、あるいは他の任意の方法で回転させてもよい。また、管体10の回転の中心は、およそ管体10の管形状の軸心に相当する位置である。
<基準部>
一対の基準部20,20は、少なくとも管体10を回転させるときには、その位置が固定され、管体10との当接部分は、管体10の内周面11上で周方向にずれていくことになる。管体10は、この一対の基準部20,20によって、少なくとも回転するときは位置決めされ、形状測定の基準が定められる。
ここでは、この一対の基準部20,20は、管体10の実際の使用時における支持予定位置(図4でハッチングを施した領域S内)で、管体10と当接している。これにより管体10が実際に使用されるときに回転動作の基準となる部分を、形状測定における基準とすることができ、より実際に即した測定を実現することができる。
また、この一対の基準部20,20は球体状に形成され、管体10の内周面11にそれぞれ略点接触状態で当接している。これにより、形状測定の基準位置を明確に特定することができる。
<変位検出器>
変位検出器30…は、管体10の外側に配置されており、少なくとも管体10を回転させるときには、管体10の周方向についての位置(変位量の検出位置31…,32…)が固定されるようになっている。すなわち、管体10を回転させるとき、変位検出器30…による変位量の検出位置31…,32…は、管体10の外周面12上を周方向にずれていくことになる。
この変位検出器30…によって検出される管体10の外周面12の半径方向の変位量とは、いわゆるフレ(外径フレ)である。本発明においては、上述した管体10の内周面11に当接する一対の基準部20,20により、管体10の内周面11を基準とした外周面12のフレが検出(測定)されることに一つの特徴がある。
ここでは、管体10の軸方向位置が異なる5箇所を変位量(フレ)の検出位置31…,32…とできるように、5個の変位検出器30…を配置した場合を例示している。
そして特に外側の2つの変位検出器30,30は、管体10の両端近傍で上述した一対の基準部20,20に対峙する位置31,31を変位量の検出位置とするように配置されている。これらの位置31,31では、基準部20,20と変位検出器30,30で挟み込まれた管体10の肉厚を計測することができる。
一方、他の3つの変位検出器30…は、前記一対の基準部20,20に対峙する位置31,31以外の位置32…を変位量の検出位置とするように配置されている。これらの位置32…では、各位置における管体10の外周面のフレを検出することができる。
また、5個の変位検出器30…の周方向についての位置は、図3に示すように、管体10の内周面11と一対の基準部20,20とが当接する2つの当接点P1,P2を通る仮想的な直線Qに対し、管体10の外側から管体10の肉厚(図3中にハッチングを施した領域R)を介して対峙する位置31…,32…となっている。
図5は、管体10の周方向について、各変位量の検出位置の特徴を説明する説明図である。
本発明にかかる管体の形状測定方法では、基準部20は形状測定の基準であるからその位置は安定して固定させるが、この基準部20に当接する管体10は、基準部20に当接している部分を除いて、その位置(管体10の姿勢)が不安定である可能性がある。たとえば、図5に示すように、測定中(回転中)の管体10は、実線で示す中心が位置Oにある状態から、破線で示す中心が位置O’にある状態にずれる可能性がある。
このとき、基準部20との当接点P1,P2を通仮想的な直線Qに対峙する位置Aは、他の位置B,C,Dに比較して、管体10の外周面12の管体10の半径方向(図5で各位置A,B,C,Dに示した矢印方向)の変位量に、上記管体のずれ(O→O’)の影響が最も小さい位置となっている。すなわち、仮想的な直線Qに対峙する位置を変位量の検出位置とすれば、仮に形状測定中に管体10にずれが生じたとしてもその影響をほとんど受けることなく、安定した形状測定を行うことができる。
なお、後述する具体的な形状測定装置においては、管体10の位置を安定させる工夫を加え、上記形状測定中の管体10のずれという問題を軽減している。
このように管体10の内周面11に一対の基準部20,20を当接させた状態で管体10を回転させたとき、管体10が完全な円筒形であれば管体の外周面12は半径方向に全く変位しない。逆に、管体10が完全な円筒形からの逸脱があれば、変位検出器30…に外周面の変位量として検出されることになる。
(不良管の例)
次に、図6〜図8を参照しながら、管体10の代表的な不良の例について説明する。
<曲がり管>
図6(a)は、管体の不良例である曲がり管101の斜視図である。曲がり管101とは、管体の軸が屈曲したものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、その全長にわたって各断面では内周面がなす円(内周円)および外周面がなす円(外周円)がともに真円であり、内周円と外周円の中心が一致(同心)し、したがって管体の肉厚は均一である場合を想定している。
このような曲がり管101が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側に挿入したフランジによって回転させると、図6(a)に示すように、曲がり管101は両端近傍の内周円の中心を通る直線T1を軸として回転し、曲がり管101の軸方向の中央部にフレ(振れ)が生じる。なお、図6(a)の二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態を示している。
図6(b)は、この曲がり管101の軸方向中央部の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。この図に示すように、管体101は、実線の状態では上方に持ち上がっているが、180度回転したところで二点鎖線に示すように下方に押し下げられ、さらに180度回転したところで実線の状態に戻る。すなわち360度周期のフレが生じている。
このようなフランジによる回転では、フランジによって支持される管体の一方の端部近傍の内周円の中心と他方の端部近傍の内周円の中心とを通る直線が回転軸T1となるが、曲がり管101の軸方向の中央部では、外周円の中心とこの回転軸T1とがずれてしまう。曲がり管101の軸方向の中央部のフレは、管体101の両端近傍の内周円によって決定される回転軸T1と、着目する断面における外周円の中心とのずれに起因する。
<偏肉管>
図7(a)は、管体の不良例である偏肉がある管(以下、偏肉管と呼ぶ。)102の斜視図である。偏肉管102とは、管体の断面において、周方向に肉厚が変化するものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、管体の軸は直線であり、その断面は全長にわたって内周面がなす円(内周円)および外周面がなす円(外周円)がともに真円であるが、内周円と外周円の中心がずれている(偏心している)ために偏肉が生じている場合を想定している。また、管体の軸方向についてその断面形状は一定であり、かつ、ねじれていない場合を想定している。
このような偏肉管102が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側に挿入したフランジによって回転されると、図7(a)に示すように、偏肉管102は両端近傍の内周円の中心を通る直線T2を軸として回転し、偏肉管102はその軸方向の全長にわたって振れ(フレ)が生じる。なお、図7(a)の二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態を示している。
図7(b)は、この偏肉管102の任意の断面の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から180度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。この図に示すように、偏肉管102は、実線の状態では上部に厚肉部が位置しているため、その外周面は全体的に上方に持ち上がっているが、180度回転したところでは二点鎖線に示すように厚肉部が下部に移動し、上部には薄肉部が位置するため、全体的に下方に押し下げられ、さらに180度回転したところで実線の状態に戻る。すなわち360度周期のフレが生じている。
このようなフランジによる回転では、フランジによって支持される管体の一方の端部近傍の内周円の中心と他方の端部近傍の内周円の中心とを通る直線が回転軸T2となるのは、上述した曲がり管と同様である。偏肉管102では、その全長にわたって内周円と外周円の中心がずれているために、その全長にわたって内周円を基準に決定される回転軸T2と外周円の中心とがずれてしまう。偏肉管102の全長にわたるフレは、管体102の両端近傍の内周円によって決定される回転軸T2と、着目する断面における外周円の中心とのずれに起因する。
<扁平管>
図8(a)は、管体の不良例として断面が真円ではない管であって、特に断面が扁平な管(以下、扁平管と呼ぶ。)103の斜視図である。扁平管103とは、管体の断面が真円でなく、上下あるいは左右からはさみ付けて押しつぶしたような楕円状の断面をもつものである。ここでは、他の不良要因を排除するように、管体の軸は直線であり、その断面は内周円と外周円とがほぼ相似形で肉厚が一定であり、断面形状が全長にわたって一定であって、かつ、ねじれていない場合を想定している。
このような扁平管103が実際に使用されるとき、図4において説明したように、管体両端の内側にフランジを挿入すると、管体(扁平管)に対してどのようにフランジがセットされるか、言い換えればフランジの中心という回転軸に対して管体(扁平管)103の位置や姿勢がどうなるかは、管体の扁平度や強度、フランジの大きさや強度等の関係によって決まるため、一意に決められない。ここでは、管体103の両端ともフランジの中心が扁平管の断面の内周円の中心に相当する位置にセットされた場合を想定する。この状態でこの管体(扁平管)103を回転させると、図8(a)に示すように、内周円の中心に相当する位置を通る直線T3を軸にして回転し、扁平管103はその軸方向の全長にわたって振れ(フレ)が生じる。なお、図8(a)の二点鎖線は、実線の状態から90度回転させた状態を示している。
図8(b)は、この扁平管103の任意の断面の断面図であり、二点鎖線は、実線の状態から90度回転させた状態における外周面(外周円)を示している。
この図に示すように、管体103は、実線の状態で縦長姿勢となっているが、90度回転したところでは二点鎖線に示すように横長姿勢となり、さらに90度回転したところで実線の状態に戻る。よって外周面では外側に膨らんだり内側にへこんだりを繰り返し、180度周期のフレが生じている。
この扁平管103の回転の回転軸Tは、上述したように、管体(扁平管)103の両端の断面において内周円の中心を通ることを想定している。さらに、全長にわたって一定断面であることを想定しているこの例では、任意の断面においてもその外周円(真円ではない)の中心を通る。したがって、扁平管103の全長にわたるフレは、管体103の各断面における外周円が真円からずれていることに起因する。図8(c)については後述する。
(測定例)
次に、上記のような不良管を測定対象として、その形状測定を行った場合について、図9を参照しながら説明する。図9は、形状測定対象である管体(ワーク)10を回転させながら外周面の変位量を検出した結果の例を示すグラフである。図9において、横軸は管体(ワーク)の回転角度を示し、縦軸は変位検出器30…によって検出される管体10の外周面の半径方向の変位量の検出値を示している。
<完全管の測定>
まず、曲がり、偏肉、断面の変形のいずれもない完全な円筒型の管体10に対し、図1〜図3に示した測定原理に基づいて管体の形状を測定すると、上述したように、管体10の外周面は全く変位しないため、5つの変位測定器30…によって検出される変位量は、いずれも図9(a)に示すように変化がないものとなる。
<曲がり管の測定>
図6に示した曲がり管101では、その内周面が真円であることを想定しているため、一対の基準部20,20を曲がり管の内周面に当接したまま管体101を回転させても、この一対の基準部20,20と当接する管体の内周面は動かない。したがって、この曲がり管101に対する測定では、管体の両側にフランジを挿入して回転させた状態を示した図6(a)と同様に回転することになる。なお、ここでは図5で想定した回転中心位置のずれは無視している。
このとき、一対の基準部20に対向する管体101の両端近傍の検出位置31,31では、図6(a)から明らかなように、検出される変位量は図9(a)に示すような変化のないものとなる。これは、基準部20,20に対向する検出位置31,31は、この位置31,31における管体101の肉厚が検出されるものであること、そして、上述したように図6の曲がり管101では肉厚が一定である管体を想定したことから明らかである。
これに対し、基準部20,20に対峙する位置31,31以外の位置32…では、図6(b)に管体101の上側の矢印に示すように、管体101の外周面は半径方向に変位し、その周期は360度であるから、図9(b)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この管体101の形状測定法法によれば、管体101の曲がりに起因する外周面のフレを検出することができる。
また、管体101の中央の3つの変位量検出位置32…のうち、真ん中の検出位置において、最も大きい変位(フレ)が検出される。このような各検出位置32…でのフレ量の程度比較により、管体101の不良が曲がりによるものであること、また、その曲がりの程度を推測することも可能である。
なお、図6のような曲がり管101のフレは、上述した従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図29、図30)でも検出することができるものではある。
<偏肉管の測定>
図7に示した偏肉管102では、その内周面が真円であることを想定しているため、一対の基準部20,20を曲がり管の内周面に当接したまま管体102を回転させても、この一対の基準部20,20と当接する管体102の内周面は動かない。したがって、この偏肉管102に対する測定では、管体の両側にフランジを挿入して回転させた状態を示した図7(a)と同様に回転することになる。なお、ここでは図5で想定した回転中心位置のずれは無視している。
このとき、一対の基準部20に対向する管体102の両端近傍の検出位置31,31、およびそれ以外の検出位置32…の全てにおいて、図7(b)に管体102の上側の矢印に示すように、管体102の外周面は半径方向に変位し、その周期は360度であるから、図9(b)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この管体の形状測定方法によれば、管体102の偏肉に起因する外周面のフレを検出することができる。
とくに、基準部20,20に対向する検出位置31,31では管体102の肉厚が直接的に検出されるものであるため、この位置31,31で検出されたフレから、管体102の周方向にわたる肉厚分布を得ることも可能である。
また、一般に管体は曲がりや偏肉といった不良要因が複合的に備わっているものであるが、この管体の形状測定方法によれば、これらの影響を重ね合わせた結果を1回の形状測定で得ることができる。
また、偏肉が管体の全長にわたってほぼ同じであると仮定するならば、管体10の基準部に対峙する検出位置31,31で検出される変位量から判明する管体10の周方向についての肉厚分布が、管体10の全長にわたって同じであると推定することができる。この場合、基準部20に対峙する検出位置31,31以外の検出位置32…において検出される変位量には、偏肉に起因する変位量が含まれているが、これから検出位置31、31で検出される変位量を引き算することによって消去して偏肉以外の原因に起因する不良の影響のみを取り出すことも可能である。このようにすれば、たとえば曲がりと偏肉の不要要因を複合的に有する管体に対して、これらの影響を重ね合わせた結果を得られると共に、これら不良による影響を分離して、それぞれの不良の程度を検討することも可能である。
このような偏肉が管体の全長にわたってほぼ同じであるとする仮定は、管体の製造方法の特性等に基づいて行える場合が多い。たとえば、押出によって連続的に製管され、これを所定長さに切断して製造された管体であれば、各管体の全長程度はその断面形状がほぼ同じと仮定できる場合が多い。
なお、図7のような偏肉管102のフレは、上述したとおり、従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図29、図30)では検出できないものである。
<扁平管の測定>
図8に示した扁平管103の測定では、一対の基準部20,20を管体(扁平管)103の内周面に当接したまま管体103を回転させると、図8(c)のように、管体(扁平管)103は外観的には上下動することとなる。
このとき、図1〜図3に示した測定方法では、一対の基準部20,20が管体に当接する2点を通る仮想的な直線Qに対峙する位置、すなわち図8(c)における管体103の上側を変位量の検出位置としているので、この図8(c)の管体103の上側に示す矢印から明らかなように変位量の変化がないことが図9(a)のように検出される。これは、管体103に曲がりがなく、肉厚も一定であるためである。結局、図1〜図3に示した測定方法では、このような管体の断面が真円でないという扁平等の非円形断面に起因する不良は検出できない。
なお、図8のような扁平管のフレは、上述した従来の外周面を基準とした外周面のフレ検出方法(図29、図30)でも検出することはできない。
(さらに高度な形状測定方法の原理)
そこで、次に、この扁平管103のような断面が非円形であることに起因する不良をも検出することができる本発明にかかるさらに高度な管体の形状測定方法について、その原理を模式的な説明図を参照しながら説明する。
図10は、本発明にかかる前記形状測定方法の原理を示す正面断面図、図11は同じく側面断面図である。
上述した図1〜図3に示した本発明にかかる管体の形状測定方法(以下、基本の方法と呼ぶ。)では、5つの変位検出器30…は、基準部20,20と当接する2つの当接部分P1,P2を通仮想的な直線Qに対し、管体10の外側から対峙する位置31…,32…に配置していた。特にそのうちの2つの位置31,31は、一対の基準部20,20に対峙する位置としていた。
本発明にかかるさらに高度な形状測定方法は、図10および図11に示すように、上述した基本の方法における5つの変位検出器30…に加え、新たに5つの変位検出器30…を配置したものである。
これら新たに配置した5つの検出器30…は、基本の方法の変位量の検出位置31…,32…に対して、管体10の軸方向位置が一致し、周方向位置が半周分異なる位置33…,34…を変位量の検出位置とするように配置されている。すなわち、基本の方法における検出位置31…,32…に対して、管体10の周方向について逆位相位置(180度位相がずれた位置)33…,34…を検出位置とするように新たな変位検出器30…が配置されている。
このように、管体10の各軸方向位置で管体10を挟んで両側から外周面の半径方向の変位量を検出すれば、各軸方向位置における管体10の外周面(外周円)の直径を得ることができる。具体的には、管体10を回転させながら、周方向について各回転角度において、管体10を挟む2つの検出位置で検出される変位量の差を求めることによって、各周方向位置における管体10の直径の変化量を得ることができる。
これによって、このような検出位置を設定した管体10の軸方向についての各断面において、管体10の外周面形状(外形状)をほぼ把握することが可能となる。
特に一対の基準部20,20に対峙する検出位置31,31で検出される変位量は、上述したように管体10の肉厚を表しているため、この検出位置31,31とこれに対向する逆位相の検出位置33,33によれば、この断面における管体10の肉厚および直径が周方向についてどのように変化するのかを得ることができる。したがって、この断面では、内周面(内周円)を含めて、その断面形状をほぼ把握することが可能となる。
また、これらの検出位置33…,34…は、図5に示した位置Cに相当する。この位置Cは、管体10の形状測定中(回転中)に、管体10の内周面11が基準部20,20に当接しながら管体10の中心位置がずれたとき、このずれに対する検出量の影響が検出位置Aに次いで小さい部位である。このため、仮に形状測定中に管体10にずれが生じたとしても、検出位置33…,34…における変位量の検出値は、その影響をほとんど受けることなく、安定した形状測定を行うことができる。
<扁平管の測定>
このような高度な形状測定方法によって、図8に示した扁平管を対象として形状測定を行う場合を考えると、上述したように、基準部20,20に対峙する検出位置31,31およびそれと周方向位置が同じ検出位置32…(図8(c)の管体103の上側の検出位置)においては、図9(a)のように変位量に変化のないことが検出されるのみである。
これに対し、検出位置31…,32…と逆位相の検出位置33…,34…では、図8(c)に管体103の下側の矢印に示すように、管体103の外周面は半径方向に変位する。この変位の周期は180度であるから、これら検出位置33…,34…では、図9(c)に示すような外周面12のフレが検出される。すなわち、この第2の管体の形状測定方法によれば、管体の断面が非円形であることに起因する不良をも検出することができる。
また、この検出される変位の変化の状態(図9(c)のグラフの形状)等から、測定対象の管体103の断面形状を推測することも可能である。
また、この高度な方法は、上述した第1の方法と同様にして管体の曲がりや偏肉等の不良をも検出することができるが、前記の管体断面が非円形であることに伴う不良をも併せて、これらの不良の影響を重ね合わせた結果を得ることができる。
また逆に、これらの各不良の典型的な検出パターンを考慮することにより、各不良毎の程度や大きさ、内容(非円形断面の場合の断面形状)等を分別することもできる。これにより、各不良の解消対策にも寄与できる。
なお、上述した図1〜図3に示した基本の方法および図10および図11に示した高度な方法とも、図29および図30に示した従来の外周面を基準とした外周面のフレ量に相当するフレ量を得ることは可能である。すなわち、基準部20,20に対峙する2つの検出位置31,31と、管体10の軸方向について中央に配置された他の検出位置32…との距離の比率から、これら2つの検出位置31,31で検出された変位量が他の検出位置32…に与える変位量を求め、こうして求められた変位量を、他の検出位置32…において実際に検出された変位量から引き算すればよい。こうして算出される他の検出位置32…の変位量は、2つの検出位置31,31を基準として測定した変位量となる。
(第1の実施形態)
次に、以上のような原理に基づいて管体の形状測定を行う管体の形状測定装置について具体的な機械構成を挙げて説明する。
図12は、本発明の第1の実施形態にかかる形状測定装置5の全体斜視概略図である。図13は、同装置5における管体10の支持構造の拡大斜視図である。図14は、同装置5の要部の正面断面説明図である。図15は、同装置5の要部の側面断面図である。図16は、基準ローラの支持形態を示す正面断面図である。図17は、支持ローラの支持形態を示す側面図である。
この形状測定装置5は、管体10の内周面11に当接して形状測定の基準となる一対の基準ローラ(基準部)52,52と、管体10の軸方向に直交する方向から管体10を挟み込むように配置された光透過型の変位検出器53…と、管体10をその両端部で下側から支持するとともに、管体10を回転駆動する支持ローラ54…と、これら各部品が取り付けられる本体ベース50と、を備えている。
<一対の基準部>
一対の基準ローラ52,52は、図15等に示すように、管体10の両端近傍の内周面11であって、その下方位置(内周下面)に当接し、形状測定の基準となるものである。
この一対の基準ローラ52,52は、外周部の断面が円弧状に構成された部材からなる。この一対の基準ローラ52,52は、それぞれベアリング523,523を介して基準支持軸521,521に対して回転自在に取り付けられている。このように一対の基準ローラ52,52は回転自在に取り付けられることで、管体10の内周面11に当接して管体10の回転に対して連れ回りし、管体10の回転を妨げることなく、滑らかにその当接位置をずらしていくことができる。また、一対の基準ローラ52,52は外周部の断面が円弧状に構成されることで管体10の内周面11と点接触し、これにより基準ローラ52,52の回転軸から管体10との接触点までの距離を確実に一定に保つことができる。
ベアリング523は、耐アキシアル荷重性を有する軸受けとして構成されている。具体的には、図16に示すように、2列のアンギュラ玉軸受けから構成され、軸方向外向きおよび内向きの両方向の荷重(アキシアル荷重)に対しても耐性を有している。これにより、管体10が曲がっているなどの原因により、基準ローラ52,52にアキシアル荷重が作用する場合でも、基準ローラ52,52の滑らかな回転を確保し、これによって管体10を滑らかに回転させて、安定した形状測定が可能となるようになっている。
一対の基準ローラ52,52を支持する基準支持軸521,521は、十分に高い剛性を有する金属軸体から構成され、本体ベース50上に管体10を軸方向から挟むように立設された機器ボックス511,511を貫通して取り付けられている。このような構造により、基準支持軸521,521は、その位置が管体10の軸方向に直交するいずれの方向(図12の上下方向および奥行き方向)にずれることも防止され、ひいては、一対の基準ローラ52,52の位置(測定の基準位置)が管体10の軸方向に直交するいずれの方向(図12の上下方向および奥行き方向)にもずれないようになっている。これにより、管体10の円滑な回転動作が妨げられないようになっている。
また、この基準支持軸521,521は、機器ボックス511,511内に設けられた出没駆動部522,522によって、管体10の軸方向について出没駆動動作可能となっている。これにより、管体10をセットするときに一対の基準ローラ52,52を軸方向外側に退避させ、管体10を軸方向に移動動作させることなく、この形状測定装置にセットできるようになっている。すなわち、この出没駆動部522,522は、出没駆動手段として機能する。なお、この一対の基準ローラ52,52の出没動作は、管体10の軸方向へのスライド動作に限定されており、出没動作によっても軸位置自体は動かないようになっている。これにより、一対の基準ローラ52,52の形状測定の基準としての精度を確保して、形状測定について高い信頼性を保つことができるようになっている。
また、この一対の基準ローラ52,52は、図4で示したように、管体10が使用時に挿入されるフランジ等によって回転支持される部位(支持予定位置)で管体10の内周面と当接するようになっている。これにより、実際の使用時と同様の条件で形状測定を行いうるようになっている。
<変位検出器>
変位検出器53…は、管体10の外周面12の半径方向の変位量を検出するものであり、ここでは、管体10の軸方向位置の異なる5箇所にそれぞれ非接触型のものが設けられている。これら5箇所の変位検出器53…のうち両側の2つはそれぞれ一対の基準ローラ52,52と対峙する位置を含む断面の変位量を検出するように配置されている。
各変位検出器53…は、管体10の軸方向に直交する方向から管体10を挟み込むように配置された光透過型の変位検出器である。このため、管体10を挟み込むように配置された光照射部と受光部とが一組となってそれぞれの変位検出器53をなしており、光照射部から照射された光(たとえばレーザ光)のうち管体によって遮られず透過した光を受光部によって検出し、これによって管体10の外周面12の表面位置を検出するようになっている。
各変位検出器53…の検出域531…、532…は、図14等に示すように、管体10の直径を超える高さ方向の幅を有しており、各変位検出器53は、管体10の外周面の一箇所の変位量だけではなく、それに対向する位置(管体10の周方向について半周分異なる位置、180度回転した位置、あるいは逆位相位置)の変位量も同時に検出できるようになっている。これにより、互いに対向する位置において検出される変位量を組み合わせることにより、これら2つの位置を通る管体10の直径を求めることができ、より具体的に管体10の形状を把握することができる。
すなわち、この変位検出器53…では、図10および図11の構成の形状測定方法と同様の形状測定が可能となっている。
<支持ローラ>
支持ローラ54…は、管体10をその両端部で下側から支持するとともに、管体10を所定の押圧力で一対の基準ローラ52,52に押し付けるものである。また、この支持ローラ54…は、管体10を回転駆動する機能、管体10の軸方向位置を位置決めする機能、管体10を上下に移動動作させる機能、管体10を下側から支持し、その高さ位置を安定させる機能、矯正および形状測定前に、管体10を一時的に支持する仮置き台としての機能も同時に実現するようになっている。
この支持ローラ54…は、管体10の両端部の下側に、それぞれ2つずつ同一高さで配置されており、管体10の両端側を合わせて4つの支持ローラ54…が設けられている。管体10の一方の端部に配置された2つの支持ローラ54,54は、図15等に示すように、回転軸方向が平行な一対のローラ対として構成されている。このように支持ローラ54…は管体10の両側にそれぞれ2つ配置されているため、管体10の軸の位置および管体10の姿勢を安定させることができる。
各支持ローラ54は、管体10の外周面12と当接して管体10を下側から支持する小径部541と、その外側に設けられた同心の大径部542とからなる。
支持ローラ54…の小径部541…は、図14等に示すように、管体10の内周面11側で一対の基準ローラ52,52が当接している軸方向位置よりも外側の管体10の両端部でのみ管体10と接触するようになっている。これにより、変位検出器53…が、一対の基準ローラ52,52が当接している断面の変位量を検出することを妨げることなく、この断面についての変位量を検出できるようになっている。また、管体10の両側端部を支持することで形状測定時の管体10の姿勢をより安定させることができる。また、管体10の中央部の大部分に対して支持ローラを当接させずにすむため、支持ローラ54…が当接することにより管体10の外周面12が損傷する可能性も低減することができる。この点から、とくに感光ドラム素管等の形状測定に好適である。
各支持ローラ54…の大径部542…は、管体10の軸方向端面に当接して、この装置5にセットされる管体10の軸方向の位置決めが行われるようになっている。このため、管体10の軸方向両側の各支持ローラ54…は、その間隔が管体10の長さサイズに適応するように設定されている。このように、管体10を支持する支持ローラ54…によって管体10の軸方向の位置決めを行うことで、管体10に接触する部材を少なく抑られている。これにより誤差要因ができるだけ排除されている。また、形状測定に高い信頼性が得られる。また、管体10が損傷を受ける可能性も低減されている。
この支持ローラ54…は、管体10の両側のそれぞれにおいて、支持ローラ支持体543,543に、回転自在に取り付けられている。これら支持ローラ支持体543,543は、それぞれ上述した機器ボックス511,511に対してスライド動作可能に取り付けられており、支持ローラ54…上に支持された管体10の内周下面が一対の基準ローラ52,52に当接する測定位置と、その内周下面が一対の基準ローラ52,52から離間した離間位置との間で行き来できるようになっている。すなわち、支持ローラ支持体543,543は、昇降部材として機能する。このように支持ローラ54…を支持ローラ支持体543,543に取り付けたことにより、管体10の両側それぞれの2つの支持ローラ54,54は相対位置関係を適正に維持し、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
また、この支持ローラ支持体543,543は、動作方向規制レール547,547によってそのスライド動作方向が上下方向のみに規制されている。すなわち、動作方向規制レール547,547は、動作方向規制手段として機能する。このように、支持ローラ支持体543,543のスライド動作方向を規制しているため、支持ローラ54…の昇降動作方向を安定させ、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
この支持ローラ54…の下側には、この支持ローラ54…の大径部の外周面に当接する連動ローラ544,544が、前記支持ローラ支持体543,543に対して回転可能に取り付けられている。このように、管体10の両側それぞれで2つの支持ローラ54…が連動ローラ544,544によって連動することにより、2つの支持ローラ54…の回転を等速化することできる。これにより、管体10の回転を安定させ、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
また、この連動ローラ544,544の一方は、機器ボックス511内に収容された駆動モータ545によって回転駆動され、当接する2つの支持ローラ54,54に等速の回転を伝達し、ひいては管体10を回転駆動するようになっている。すなわち、駆動モータ545は、支持ローラ45を回転駆動する回転駆動手段として機能する。このように、管体10を支持する支持ローラ54…によって管体10に回転駆動力を伝達するため、管体10に接触する部材を少なく抑え、これにより誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができる。また、管体10の回転を1つの回転駆動源によって行うため、複数の回転駆動源を用いた場合のような回転ムラの発生を抑制することができる。また、回転の制御を簡素化することができる。
この駆動モータ(回転駆動手段)545の駆動軸545aと連動ローラ544との間には駆動ベルト546が掛け渡されており、駆動モータ545は、この駆動ベルト546を介して連動ローラ544を回転駆動するようになっている。このような駆動力伝達機構によって、駆動モータ545は、機器ボックス511内に固定的に設置され、支持ローラ54…や支持ローラ支持体543とともに昇降動作しないようになっている。これにより、支持ローラ54…や支持ローラ支持体543は小さな力で昇降動作させることができる。
この第1実施形態では、支持ローラ支持体543,543は、それぞれ回動部材551、551によって支持されている。この回動部材551は、その長手方向の中間位置で支持軸(支点)552に回動自在に支持されている。この回動部材551の一端側には長孔552が形成され、ここに支持ローラ支持体543が回動自在に取り付けられている。この取付形態により、支持ローラ支持体543は上下スライド動作が許容されている。
この回動部材551の他端側には、重り554が取り付けられている。この重り554は、支持軸(支点)552まわりのモーメントが、支持ローラ支持体543およびこれとともに上下スライド動作(昇降動作)する支持ローラ54…等の部材とほぼ釣り合うものとなっている。すなわち、これら回動部材551および重り554は、支持ローラ支持体543,543およびこれとともに昇降する部材の重量を負担して支持ローラ支持体543,543を支持する重量支持手段として機能する。
また、この重り554は、ネジ部555によって回動部材551の他端側にねじ込まれて取り付けられ、このねじ込み量により回動部材551の支持軸(支点)552と重り554との距離を調整することができるようになっている。すなわちこのネジ部555は、重り位置調整手段として機能する。このような取付形態により、この重り554が支持ローラ支持体543等とつり合うように適宜調整することができる。このため、形状測定対象である管体10や支持ローラ54…等のサイズ等を変更した場合であってもこれに対応できる。
また、回動部材551,551の他端側には、この回動部材551,551を回動駆動するエアシリンダ556,556が取り付けられている。このエアシリンダ556は、回動部材551を回動駆動することにより、測定位置にある支持ローラ支持体543に所定の上向きの力を付与し、支持ローラ54を介して管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付けるようになっている。すなわち、このエアシリンダ556は、押圧力付与手段として機能する。また、このエアシリンダ556は、回動部材551を左右両回転方向に回転駆動することができるようになっており、これにより、支持ローラ支持体543を測定位置と離間位置との間で移動させる手段としても機能するようになっている。
このように回動部材551および重り554は、支持ローラ支持体543,543およびこれとともに昇降する部材の重量を負担しておき、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける力のみをエアシリンダ556,556に負担させる構成を採用したことにより、エアシリンダ556,556が負担する力は小さくなる。このため、エアシリンダ556,556の発揮する力を正確に設定し、また制御することが可能となり、管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を正確に設定して形状測定について高い信頼性を得ることができる。
なお、管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧、あるいは管体10と支持ローラ54…との接触圧は、管体10の端部に対して実質的な変形を伴わない圧力を設定することができる。あるいはまた、管体10の端部に積極的に多少の変形を生じさせる圧力を設定して、管体10の断面形状を矯正しながら形状測定を行うようにすることもできる。
また、エアシリンダ556を駆動させず、重り554と支持ローラ支持体543等とが釣り合った状態において、支持ローラ支持体543は前記測定位置に位置しても、前記離間位置に位置してもよい。このとき、離間位置に位置するように重り554が調整されているならば、エアシリンダ556,556は支持ローラ支持体543を持ち上げる向きについての駆動力を有するだけで、支持ローラ支持体543を昇降させることができるという利点がある。
以上のような形状測定装置5では、一対の基準ローラ52,52を出没動作させる出没駆動部522、支持ローラ54…を回転駆動する駆動モータ545、支持ローラ54…を上下動作させるエアシリンダ556、および管体10の形状測定を行う変位検出器53…等の各動作部の動作を制御する図示しないコントローラを備えており、形状測定手順の各タイミングにおいて、各動作部の動作を制御するようになっている。このコントローラ(制御手段)は、形状測定装置5の各部の動作を統括的に制御するものであり、たとえばCPUやメモリ等を備えたコンピュータからなるシーケンサ等で構成されている。
<作用効果>
このように構成された形状測定装置5では、上述した図10および図11の構成の形状測定方法と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、この自動型の形状測定装置5では、回動部材551および重り554によって支持ローラ支持体543,543およびこれとともに昇降する部材の重量を負担し、エアシリンダ556,556は支持ローラ54…を介して管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける力のみを負担すればよいため、エアシリンダ556,556による管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を正確に設定、制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。
また、管体10を支持する支持ローラ54…は、管体10への回転駆動力の伝達、管体10の軸方向の位置決め、管体10の上下移動動作、管体10を下側から支持して基準ローラ52,52との当接状態の維持という各機能を同時に果たすため、管体10の形状測定位置へのセッティングや形状測定のための動作部を集約して動作部の数が少ない構造を実現している。また、多数の部品が測定対象である管体10に接触する部品の数も少ない。これにより、誤差要因を排除して正確な形状測定に寄与することができ、また、形状測定について高い信頼性を得ることができる。
また、支持ローラ54…は、管体10をその両端部で支持するため、変位測定器53…によって、一対の基準ローラ52,52が当接する断面をも変位測定対象とすることができる。これにより、上述したように、管体10の肉厚分布等を得ることができ、管体10の形状をより詳細に特定することができる。
また、支持ローラ54…を管体10の両側の端部に当接させながら、この管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付けるため、管体10の端面にバリ等が残っている場合であってもこれを除去することができる。このため、管体10が支持ローラ54…に接触した状態を確実に保つことができ、これにより形状測定の高い精度を確保することができる。また、この形状測定装置5をバリ取り加工装置として機能させることができる。
また、非接触型の変位検出器53…が用いられているため、管体10の外表面に損傷を与えることがない。
また、この非接触型の変位検出器53…は、光透過型の変位検出器であるため、光を遮る管体10の外周面12近傍では光が回折して受光部に到達し、必要以上に微細な外周面12の形状凹凸を捨象した検出結果が得られる。このため、必要以上に微細な表面欠陥による外周面12の変位量を除いた適切な検出結果を容易に得ることできる。
また、支持ローラ54…は、管体の両側の外周端部に当接するため、管体の外周面には、この両端部を除き、周方向に延びる接触の痕跡すら残らず、優れた表面状態を備えた管体を得ることができる。
また、一対の基準ローラ52,52は、管体10を形状測定装置5にセットするにあたり、管体10の軸方向に直交する方向について移動しないため、基準部として固定されるべき方向についてその位置が安定し、正確な形状測定に寄与することができる。
具体的に、この自動型の形状測定装置5において、種々の変位量を有する複数の管体に対してそれぞれ10回の形状測定を行ったところ、図18に示すように、各回の測定結果のバラツキ(測定誤差)は、最大で3μmであり、高い信頼性を備えていることが確認できる。この測定誤差は、量産に対応できる管体の形状測定装置としては極めて優れた値であり、測定誤差を吸収する余裕を小さくして、良品が不良品と誤判定されてしまう事態を減らすことができる。
管体の内周面を基準とした外周面のフレ量の許容範囲が、たとえば管体10の不良要因である曲がりや偏肉のそれぞれの加工限界精度レベルの合計である20μm以下であった場合には、測定誤差の最大値3μmを考慮して、フレ量の測定結果が17μm以下であるものを良品として管体を選別する検査を行えばよい。このようにすると、不良品と誤判定される数を抑えながら、検査で良品とされた全数が確実に許容範囲である20μm以下に収まっている管体の集合を得ることができる。
さらに、計測誤差を考慮してしきい値を設定し、管体を選別することにより、フレ量が15μm以下に収まっている好適な管体の集合を得ることができる。また、従来の管体の製法では極めて加工が困難なレベルであるフレ量が10μm以下に収まっている特に好適な管体の集合や、さらにフレ量が5μm以下に収まっている極めて好適な管体の集合を得ることができる。究極には、フレ量が測定誤差の最大値である3μm以下に収まっている管体の集合も得ることができる。
また、この管体の形状測定装置5では、順次、管体10を自動的に搬入し、セットし、形状測定し、搬出する一連の工程を、管体1本につき、60秒以下程度で行うことができる。さらに、高速運転すれば、管体1本につき30秒以下、10秒以下、5秒以下で一連の工程を行うことも可能である。
このように、この形状測定装置5は、高速で各管体の形状測定を行うことができるため、製造されるすべての管体の形状測定および合否判定を容易に行うことができ、ひいては、公知の加工精度の限界レベルにおいて出荷する管体の全数についてフレ量等が所定範囲にあることを保証できる。
たとえば、感光ドラム用基体は、一般に複数本を一単位として、ケース等に収容されて搬送され、取引され、通常は、一単位は10本以上であり、たとえば、80本や140本である。この形状測定装置5によれば、この全数についてフレ量がたとえば20μm以下であることを保証できる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した第1の実施形態では回動部材551および重り554によって構成した重量支持手段を、弾性部材561によって構成したものである。以下においては、主に第1の実施形態との差異について説明し、同様の構成部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
図19は、この第2の実施形態にかかる形状測定装置における支持ローラの支持形態を示す側面図である。
図19に示すように、この第2の実施形態においても、管体10を支持する支持ローラ54…は支持ローラ支持体543に取り付けられ、この支持ローラ支持体543のスライド動作方向は、動作方向規制レール547,547によって上下方向のみに規制されている。
この支持ローラ支持体543は、たとえばバネからなる弾性部材561によって上向きに付勢され、支持ローラ支持体543およびこれとともに昇降動作する支持ローラ54…等の重量が支持されている。すなわち、弾性部材561は、支持ローラ支持体543およびこれとともに昇降動作する部材等の重量を支持する重量支持手段として機能する。
この弾性部材561によって支持された状態において、支持ローラ支持体543は、支持ローラ54…に支持された管体10の内周面11が一対の基準ローラ52,52から離間した離間位置に位置するようになっている。
この弾性部材561は、その上端部が支持ローラ支持体543に接触し、その下端部が本体ベース50上のバネ支持軸562にねじ込まれた係合部材563に止められている。この係合部材563は、バネ支持軸562に対するねじ込み量によって高さ位置を調整できるようになっており、これにより弾性部材561の下端高さ位置を、ひいては支持ローラ54…の高さ位置を調整することができるようになっている。すなわち、この係合部材563は、支持ローラ支持体543の高さ位置調整手段として機能する。このような形態により、形状測定対象である管体10や支持ローラ54…等のサイズ等を変更した場合であっても、支持ローラ支持体543の高さ位置を対応させることができる。
支持ローラ支持体543の下方には、支持ローラ54…上の管体10が一対の基準ローラ52,52に接触する測定位置まで支持ローラ支持体543を押し上げ、さらに、管体10を基準ローラ52,52に所定の押圧力で押し付けるエアシリンダ564が配置されている。すなわち、エアシリンダ564は、押圧力付与手段として機能する。
このような第2の実施形態にかかる形状測定装置によると、上述した第1の実施形態と同様に、弾性部材561によって支持ローラ支持体543,543およびこれとともに昇降する部材の重量を負担し、エアシリンダ564は支持ローラ54…を介して管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける力のみを負担すればよいため、エアシリンダ556,556による管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を正確に設定、制御することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、上述した第1の実施形態と同じ機械構成を備えながら、支持ローラ54…上の管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける押圧力を、エアシリンダ556ではなく、重り554によって得られるようにしたものである。以下においては、主に第1の実施形態との差異について説明し、同様の構成部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
この第3実施形態では、図17に示す構成において、重り554の重量および位置は、エアシリンダ556を駆動しない状態で、重り554による支持軸552まわりのモーメントが支持ローラ支持体543等によるモーメントより大きくなるように設定されている。これにより、エアシリンダ556を駆動しない状態で、支持ローラ54…上の管体10は、所定の押圧力で一対の基準ローラ52,52に押し付けられる。すなわち、第3実施形態では、回動部材551および重り554は、支持ローラ支持体543等を上方に付勢し、支持ローラ54…を介して管体10を一対の基準ローラ52,52に所定の押圧力で押し付ける押圧手段として機能する。
一方、エアシリンダ556は、支持ローラ54…上に管体10をセットするとき、および形状測定後に管体10を取り出すときに、支持ローラ支持体543を下方に押し下げて離間位置に移動させるようになっている。すなわち、第3実施形態では、このエアシリンダ556は、重り554による支持ローラ支持体543を上方に付勢する付勢力に抗して支持ローラ支持体543を移動させる下降駆動手段として機能する。
また、この第3実施形態では、重り554の位置を調整するネジ部555は、支持ローラ支持体543を上方に付勢する付勢力を調整する付勢力調整手段として機能する。これにより、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける所定の押圧力を適正に調整することができる。
このような構成によると、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける押圧力を、エアシリンダ556のような能動的に駆動される手段ではなく、回動部材551と重り554からなる自動的に付勢力を発揮する押圧手段によって担当させるため、管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を予め正確に設定することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、上述した第2の実施形態と同じ機械構成を備えながら、支持ローラ54…上の管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける押圧力を、エアシリンダ564ではなく、弾性部材561によって得られるようにしたものである。以下においては、主に第2の実施形態との差異について説明し、同様の構成部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
この第4実施形態では、図19に示す構成において、弾性部材561は、エアシリンダ564を駆動しない状態で、支持ローラ54…上の管体10を所定の押圧力で一対の基準ローラ52,52に押し付けるだけの付勢力を発揮するように設定されている。すなわち、第4実施形態では、弾性部材561は、支持ローラ支持体543等を上方に付勢し、支持ローラ54…を介して管体10を一対の基準ローラ52,52に所定の押圧力で押し付ける押圧手段として機能する。
一方、エアシリンダ564は、支持ローラ54…上に管体10をセットするとき、および形状測定後に管体10を取り出すときに、支持ローラ支持体543を下方に押し下げて離間位置に移動させるようになっている。すなわち、第4実施形態では、このエアシリンダ564は、弾性部材561による支持ローラ支持体543を上方に付勢する付勢力に抗して支持ローラ支持体543を移動させる下降駆動手段として機能する。
また、この第4実施形態では、弾性部材561の下端位置を調整する係合部材563は、支持ローラ支持体543を上方に付勢する付勢力を調整する付勢力調整手段として機能する。これにより、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける所定の押圧力を適正に調整することができる。
このような構成によると、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける押圧力を、エアシリンダ564のような能動的に駆動する手段ではなく、弾性部材561からなる自動的に付勢力を発揮する押圧手段によって担当させるため、管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を予め正確に設定することができ、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、上述した第2の実施形態(図19)では弾性部材561とエアシリンダ564とを並列的に配置していたのに対し、弾性部材571とエアシリンダ574とを直列的に配置したものである。以下においては、主に第1の実施形態との差異について説明し、同様の構成部分については同一符号を付して重複説明を省略する。
図20は、この第5の実施形態にかかる形状測定装置における支持ローラの支持形態を示す側面図である。
図20に示すように、この第5の実施形態においても、管体10を支持する支持ローラ54…は支持ローラ支持体543に取り付けられ、この支持ローラ支持体543のスライド動作方向は、動作方向規制レール547,547によって上下方向のみに規制されている。
この支持ローラ支持体543は、たとえばバネからなる弾性部材571を介して、本体ベース50上に設置されたエアシリンダ574に支持されている。
このエアシリンダ574は、その動作端部575にバネ支持軸572が取付られ、このバネ支持軸572に形成されたネジ山に係合部材573がねじ込まれている。弾性部材571の下端は、この係合部材573に止められている。
この係合部材573は、バネ支持軸572に対するねじ込み量によって高さ位置を調整できるようになっており、これにより前記エアシリンダ574の動作端部575に対する弾性部材571の下端高さ位置を調整することができるようになっている。
エアシリンダ574は、支持ローラ54…上の管体10が基準ローラ52,52に接触する測定位置と、基準ローラ52,52から離間した離間位置との間で支持ローラ支持体543を前記弾性部材571を介して昇降駆動する。また、エアシリンダ574は、支持ローラ支持体543が測定位置に至った状態で、さらにその動作端部575を押し上げ、弾性部材571による所定の押圧力で管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付けるようになっている。すなわち、エアシリンダ574は、昇降駆動手段として機能する。
また、エアシリンダ574の動作端部575は所定の高さ位置に設けられたストッパー576、576に接触して所定の上限高さ位置を越えないようになっている。そして、動作端部575に対する弾性部材571の下端高さ位置を調整する係合部材573は、動作端部575がストッパー576、576に接触しているときに、弾性部材571の付勢力が、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける所定の押圧力を発揮するように調整されている。すなわち、この係合部材573は、弾性部材571による付勢力調整手段として機能する。
このような第5の実施形態にかかる形状測定装置によると、管体10を一対の基準ローラ52,52に押し付ける押圧力は、エアシリンダ574のような能動的に駆動する手段ではなく、自動的に付勢力を発揮する弾性部材571によって担当される。そして、この弾性部材571による付勢力は、係合部材573によって予め適正に設定しておくことができるため、管体10と一対の基準ローラ52,52との接触圧を正確に設定して、これにより形状測定について高い信頼性を得ることができる。
なお、この第5実施形態では、係合部材573の高さ位置を調整することで弾性部材571の付勢力を調整したが、エアシリンダ(昇降駆動手段)574の昇降動作の上限を設定するストッパー576、576の高さ位置を調整可能としてもよい。
(検査装置)
次に、本発明にかかる管体の検査装置について説明する。
図21は、この検査装置6の構成を示す機能ブロック図である。
この検査装置6は、上述した自動型の形状測定装置5と、形状測定装置5によって検出された管体10の外周面の変位量データから外周面のフレ量を算出するフレ量算出部61と、管体10の外周面12のフレ量の許容範囲が設定され、記憶される許容範囲記憶部62と、フレ量算出部61において算出された管体10のフレ量が許容範囲内にあるか否かを検査する比較部63と、この検査結果を出力する出力部64とを備えている。
フレ量算出部61、許容範囲記憶部62、比較部63、および出力部64は、具体的には、コンピュータ上でそれぞれの機能を果たすソフトウェアおよびハードウェアから構成される。
これらフレ量算出部61、許容範囲記憶部62および比較部63において取り扱われるフレ量は、は、たとえば形状測定装置5により管体10の軸方向について5箇所(5断面)における外周面12の変位量を検出する場合であれば、5箇所すべてのフレ量としても、あるいは、そのうちの一部としてもよい。
また、複数箇所(例えば5箇所)のフレ量を用いる場合であっても、最終検査結果で合格とする条件としては、全てのフレ量がそれぞれが所定の許容範囲内にあることとしても、複数箇所のフレ量を組み合わせた結果が所定の許容範囲内にあることとしてもよい。フレ量の組み合わせとは、たとえば、複数箇所のフレ量のいずれもが所定の範囲内にあり、かつこれらフレ量の合計が所定の範囲内にあること等を挙げることができる。
なお、ここでは、形状測定装置5で検出された管体10の外周面の変位量の生データを加工して、外周面のフレ量等の管体10の形状を表現する指標値等を算出する算出手段を、形状測定装置5の外側に表現したが、形状測定装置5自身がこのような算出手段を有していてもよいことはいうまでもない。また、その算出結果を出力する出力手段を有していてもよい。
このような検査装置6によれば、所定の形状精度を有する管体、および管体の集合を容易、かつ確実に選別することができる。
(製造システム)
次に、本発明にかかる管体の製造システムについて説明する。
図22は、この製造システム7の構成を示す機能ブロック図である。
この製造システム7は、管体10を製管する製管装置71と、上述した検査装置6と、検査装置6の検査結果に基づいて管体10を完成品とするか否かを判定する合否判定部72と、検査装置6の検査結果を製管装置71にフィードバックするフィードバック部73とを備えている。
製管装置71は、たとえば、アルミニウム合金の引抜き加工によって感光ドラム基体を製管する場合であれば、原料を溶解させて押出加工材料を製造する工程、押出工程、引抜工程、曲がり矯正工程、所定長さへの切断工程、粗洗浄工程、仕上げ洗浄工程等を実行する各機械装置の集合として構成されている。
押出工程は、たとえばアルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得る工程である。
図23は、この押出工程を行う押出機の概略平面図である。押出機本体73から押し出されたアルミニウム押出素管74は、複数対配置された支持ローラ75…によって押出方向前方に搬送され、切断機76により所定長さRに切断される。
図24は、押出機本体が備える押出ダイスの一例における断面図である。この押出ダイス77は、ポートホールダイスであり、771はダイス雌型、772はダイス雄型である。ダイス雌型771には中央部に貫通上の押出孔773が形成されるとともに、押出孔773の入口側の周面が円形のベアリング部774となされている。なお、775はレリーフ部である。一方、ダイス雄型772は、その中央部に断面円形の成型凸部776を有するとともに、成形凸部776の先端周面に円形のベアリング部777が形成されている。なお778は、アルミニウムビレットを通過させる通過孔である。そして、前記ダイス雌型771と前記ダイス雄型772とが組み合わされ、雄型772の成形凸部776先端が雌型771の押出孔773に望んで雌雄両型ののベアリング部774,777が管状の成形間隙779を介して対向状の配置されている。
なお、押出方式は特に限定されることはなく、ポートホールダイスを用いたものでもマンドレル押出でもよい。
引抜き工程は、押出加工によって得られた所定長さのアルミニウム押出素管を引抜き加工してアルミニウム引抜管を得る工程である。
図25は、この引抜き工程を行う引抜き機の一例を示す断面である。この引抜き機78は、たとえば、アルミニウム押出素管781を引抜きダイス782と引抜きプラグ783との間に通し、押出素管781先端に形成された口付け部784をキャリッジ部のチャック部785で掴んで該キャリッジ部を前方に移動させることにより、アルミニウム引抜き管786を得るようになっている。引抜きプラグ783は、ロッド787によって支持されている。このロッド787には1個または複数個の中子788がその略全長に亘って装着されており、この中子788は、押出素管781の内周面に当接して自重により押出素管781がたわむことを防止して、引抜きの初めから終わりまで押出素管781の軸線をダイス782の軸線に一致した状態に保持できるようになっている。また、引抜き加工中には、引抜きダイス782と押出素管781との間に潤滑油が供給されるようになっている。
なお、この引抜き工程は、プラグを固定しない浮きプラグ引き方式によって引抜きを行うようにしてもよい。また、引抜きは、1回だけ行ってアルミニウム引抜き管を得るようにしてもよいが、引抜きを複数回繰り返し行って順次的に縮径し、もってアルミニウム引抜き管を得るようにするのが好ましい。とくに、引抜きを2回行ってアルミニウム引抜き管を得るのが好ましい。
曲がり矯正工程は、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管の曲がりを矯正する工程である。具体的には、引抜き加工によって得られたアルミニウム引抜き管は、まず、その口付け部がプレス切断法により除去され、その後、ロール矯正機に投入され、内部の矯正ロールの作用で真っ直ぐに矯正される。
図26は、口付け部切除工程を行う切断機の一例を示す断面図である。この切断機79は、アルミニウム引抜き管791の口付け部792側の端部を金型793,793の内方に挿入し、切断刃794を下降させることにより、該口付け部792を切断除去する。この切断は突切り刃によって行われるから切粉の発生はなく、切粉等がロール矯正機内に持ち込まれ、アルミニウム引抜き管791にキズがつくことがないようになっている。
図27は、曲がり矯正工程を行うロール矯正機の一例を示す概念図である。このロール矯正機81は、その内部の矯正ローラ812の作用によって、口付け部が切除されたアルミニウム引抜き管811を真っ直ぐに矯正するようになっている。
粗洗浄工程は、上記引抜き工程等においてアルミニウム引抜き管に付着した潤滑油等を除去する工程である。この粗洗浄工程は、たとえば脱脂力を有する溶剤を用いて行われる。具体的手法としては、特に限定されないが、たとえば浸漬法、シャワー法等が挙げられる。
仕上げ洗浄工程は、好適には、たとえば超音波洗浄によって行われる。
図28は、超音波洗浄機の一例を示す概念図である。この超音波洗浄機83は、洗浄増831に貯められた洗浄液832に被洗浄物である複数個のアルミニウム引抜き管833を浸漬しておき、振動子834によって洗浄液832中に超音波を送ることにより、被洗浄物であるアルミニウム引抜き管833を洗浄するものである。
超音波の照射方式は特に限定されることはなく、図28に示す投げ込み型のほか、接着型、振動伝達子型その他各種の洗浄機を用いることができる。また、洗浄液としては、一般には白灯油、軽油、アルカリ、界面活性剤あるいはトリクロロエチレンなどが用いられるが、これらに限定されることはなく、水系、炭化水素系、塩素系有機溶媒などを適宜用いればよい。
上記のような押出工程、切断工程、引抜き工程、曲がり矯正工程、洗浄工程、仕上げ洗浄工程を経て得られた管体(アルミニウム引抜き管)10は、表面品質に優れ、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置の感光ドラム用基体として好適である。
こうして製管された管体(アルミニウム引抜き管)10は、上述した検査装置6において形状が所定の許容範囲内にあるか否かが検査され、合否判定部72は、この検査結果に基づいて所定の許容範囲内にあるのであれば、その管体10を完成品と判定する。
また、検査装置6が備える管体の形状測定装置5において、管体10に発生している不良の種類や特徴等が判別された場合には、この検査結果をフィードバック部(フィードバック手段)73が製管装置71にフィードバックし、これにより不良管の発生を未然に防止するようになっている。
こうして検査結果がフィードバックされた製管装置71においては、検査結果の内容に応じて、製管条件の設定に供される。具体的には、押出ダイスの取付状態や押出速度等の押出条件の設定、素管の選別、引抜きダイスの取付状態の確認や引抜き速度等の引抜き条件の設定、ロール矯正機におけるロール高さ調整や搬送速度等のロール矯正機条件が制御される。これにより、より確実に必要十分な形状精度を持った管体を得ることができるとともに、仮に不良管が発生した場合でも、速やかにこれに対応し、不良管の発生数を抑えることができる。
この製造システム7においては、製管装置71から検査装置6の形状測定装置5に管体10を自動搬送する自動搬送装置を備えていることが望ましい。とくに、合否判定部72において合格とされた完成品と、不合格と判定された不良被疑品とを異なる場所に選別して搬送する搬送装置を備えることが望ましい。
このような製造システム7によれば、所定の形状精度を有する管体、および管体の集合を確実に得ることができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記に限定されず、以下のように構成してもよい。
(1)上記実施形態では、一対の基準部を管体の使用時における支持予定位置に当接させたが、管体の内周面であれば他の位置であってもよい。ただし、支持予定位置の近傍であることが望ましい。支持予定位置と断面形状が近似している可能性が高いためである。
(2)上記実施形態においては、一対の基準部と管体との当接部分を通る仮想的な直線に対峙する位置、およびそれと対向する位置を変位量の検出位置としたが、周方向について他の位置を検出位置としてもよい。
(3)上記実施形態においては、変位量の検出位置を複数設けたが、少なくとも1つあればよい。
(4)上記実施形態においては、形状測定対象である管体10として感光ドラム素管を挙げたが、これに限らず、複写機等に用いられる搬送ローラ、現像ローラ、転写ローラでも好適に適用できる。その他、管体であれば本発明の測定対象となりうる。
(5)上記実施形態においては、変位検出器として、管体10の外周面に接触しない光透過型の検出器(透過式の光学式センサ)を例示したが、変位検出器としては、管体10の外周面12の半径方向の変位量が得られればこれらに限定するものではない。変位検出器としては、たとえば、管体10の外周面に接触する接触子を有し、この接触子の動きから変位を検出する接触型変位センサ、非接触で検出できる反射型の光学式センサ、非接触で検出でき、材料を選ばず汎用的な画像処理用のCCDカメラやラインカメラ、非接触で検出でき、高精度、高速、環境に強く、かつ安価なうず電流式の変位センサ、非接触で検出でき、高精度な静電容量式の変位センサ、非接触で検出できるエアー(差圧)式の変位センサ、あるいは、非接触で検出でき、長距離計測が可能な超音波式変位センサ等、種々の測定原理に基づく検出器を採用することができる。
(6)上記各実施形態においては、弾性部材としてバネを例示したが、板バネやゴム等、弾性力を発揮しうるものであれば、適宜採用することができる。
(7)上記各実施形態においては、押圧力付与手段、下降駆動手段および昇降駆動手段をエアシリンダによって構成したが、これらは各種のアクチュエータ等から構成することができる。たとえば、油圧力を用いる油圧シリンダや、電力を用いる電動モータ等から構成してもよい。