JP2005042576A - 蓄熱装置付きエンジンシステム - Google Patents

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泰広 久世
Takayuki Otsuka
孝之 大塚
Hiroki Ichinose
宏樹 一瀬
Yukio Kinugasa
幸夫 衣笠
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Abstract

【課題】蓄熱装置から内燃機関への熱供給を効率的に行うことのできる蓄熱装置付きエンジンシステムを提供する。
【解決手段】蓄熱タンク100を備えたエンジンシステム1では、電子制御装置90の作動中、蓄熱タンク100からの再度の熱水供給を禁止する。これにより、暖機処理に起因する内燃機関20の運転制御の緻密性低下の防止、電動ポンプEPの電力消費の低減、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の軽減を図ることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関を駆動源として備えたエンジンシステムに関し、特に、自身の蓄えた熱を内燃機関に供給する蓄熱装置を備えたエンジンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
駆動源としての内燃機関と、その内燃機関の運転中に暖められた冷却水を保温状態のまま蓄えておき、次回の機関始動時の暖機促進に役立てる蓄熱装置とを組み合わせたエンジンシステムが知られている。例えば特許文献1に記載されたエンジンシステムは、内燃機関の始動時、冷却水の温度が所定値を下回った場合に、蓄熱装置に蓄えられた冷却水(熱水)を内燃機関に供給する。このような熱水供給により、機関始動時のドライバビリティや排気特性が向上する。
【0003】
ところで、蓄熱装置から内燃機関への熱水供給は、電動式ウォータポンプ等の駆動力によって行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−185359号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このウォータポンプの振動や作動音が運転者に違和感を与える傾向がある。また、ウォータポンプの作動に伴いバッテリ等に蓄えられた電力が相当量消費される。とくに、駆動源として内燃機関及びモータの双方を備えたハイブリッドエンジンシステムを搭載した車両等では、状況に応じて機関の始動と停止が頻繁に繰り返される傾向があるため、熱水供給を行う条件が繰り返し成立しやすい。このため、ウォータポンプの作動に伴う振動及び作動音の発生や、電力消費量の増大が無視できない問題となっていた。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、蓄熱装置から内燃機関への熱供給を効率的に行うことのできる蓄熱装置付きエンジンシステムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、
(1)内燃機関と、熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、前記蓄熱装置の蓄えた熱を所定の熱媒体を通じて前記内燃機関に供給することにより前記機関の暖機処理を行うエンジンシステムであって、前記熱媒体を移動させる動力を発生する動力発生手段と、少なくとも動力発生手段を制御することにより前記内燃機関の暖機処理を実行する制御手段と、前記暖機処理の実行の履歴情報を記憶する記憶手段と、前記履歴情報が記憶されている場合、前記暖機処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えることを要旨とする。
【0008】
なお、上記構成において、制御手段は、動力発生手段の制御ばかりでなく、例えば熱媒体の移動用通路に設けられる弁の開閉等を制御するようにしてもよい。
【0009】
蓄熱装置の蓄えた熱を所定の熱媒体を通じて内燃機関に供給することにより前記機関の暖機処理を行えば、始動時における機関燃焼状態の安定性や、排気特性を向上させることができる。しかし、暖機処理の実行が繰り返されると、動力発生手段の振動や作動音がエンジンシステムの運転者に違和感を与える他、動力発生手段の作動に要されるエネルギー消費量(例えば電力消費量)が増大する。また、初回の暖機処理を行う場合に比べ、蓄熱装置から内燃機関に移動する熱媒体の動態や温度分布(例えば移動用通路内における熱媒体の動態や温度分布)の把握が難しくなる。この結果、内燃機関の運転制御の緻密性の確保が難しくなる可能性が高くなる。
【0010】
同構成によれば、蓄熱装置の機能を利用した暖機処理の再度の実行を禁止することにより、暖機処理に起因する内燃機関の運転制御の緻密性の低下が防止され、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の度合いを軽減することができる。
【0011】
(2)また、他の発明は、内燃機関と、熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、前記蓄熱装置の蓄えた熱を所定の熱媒体を通じて前記内燃機関に供給することにより前記機関の暖機処理を行うエンジンシステムであって、前記熱媒体を移動させる動力を発生する動力発生手段と、少なくとも動力発生手段を制御することにより前記内燃機関の暖機処理を実行する制御手段と、前記内燃機関の始動の履歴情報を記憶する記憶手段と、前記履歴情報が記憶されている場合、前記暖機処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えることを要旨とする。
【0012】
同構成によっても、蓄熱装置の機能を利用した暖機処理の再度の実行を禁止することにより、暖機処理に起因する内燃機関の運転制御の緻密性の低下が防止され、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の度合いを軽減することができる。
【0013】
(3)また、上記の各構成において、前記内燃機関の運転と前記内燃機関への熱媒体の供給とを含めたエンジンシステムの作動状態を制御する制御装置を備えて、且つ、前記記憶手段に記憶される履歴情報は前記制御装置の停止から再始動時までの間の何れかの時間において消去されるのが好ましい。
【0014】
同構成によれば、前記制御装置の作動中において前記内燃機関が始動及び停止を繰り返す場合に、非効率な暖機処理の実行が禁止される。
【0015】
(4)また、上記エンジンシステムは、モータをさらに備え、前記内燃機関と前記モータとが協働し、移動体の駆動源として機能するものであるのが好ましい。
【0016】
同構成によれば、内燃機関が高い頻度で始動及び停止を繰り返すことになるため、必然的に暖機処理を要する機会が多くなる。従って、非効率な暖機処理の実行を禁止することで達成される運転制御の緻密性低下の防止や、運転者の感じる違和感の度合いの軽減といった効果が一層増す。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を、車載用ハイブリッドエンジンシステムに適用した第1の実施の形態について説明する。
【0018】
〔エンジンシステムの基本構成〕
図1に示すように、ハイブリッドエンジンシステム(以下、エンジンシステムという)1は、内燃機関20、モータ(モータ・ジェネレータ)30、ジェネレータ(モータ・ジェネレータ)40、動力分割機構50、減速機60、インバータ70、バッテリ80、電子制御ユニット(ECU)90、蓄熱タンク等を主要な構成要素として含む。内燃機関20は、エンジンシステム1の搭載車両(移動体)の駆動輪9,10に回転力を付与する他、ジェネレータ40を駆動して電力を発生させる。ジェネレータ40は、内燃機関20に駆動されて電力を発生する場合の他、インバータ70から電力供給を受けて内燃機関20に回転力を付与する場合もある。モータ30は、バッテリ80或いはジェネレータ40から電力の供給を受けて駆動輪9,10に回転力を付与する場合と、逆に駆動輪9,10や内燃機関20から回転力を付与されることで発電を行いバッテリ80に充電用の電力を供給する場合とがある。モータ30の回転軸31は、減速機60を介して駆動輪9,10の回転軸9a,9aに連結される。
【0019】
また、内燃機関20のクランクシャフト24と、モータ30の回転軸31と、ジェネレータ40の回転軸41とは、周知の遊星歯車(図示略)を内蔵する動力分割機構50を介して相互に連結されている。遊星歯車は、相互にギア連結された3つの回転軸を有する。各回転軸は、クランクシャフト24、モータ30の回転軸31、ジェネレータ40の回転軸41の何れかに結合している。遊星歯車は、その構成要素である3つの回転軸のうち、2つの回転速度(回転数)及びトルクが決まると、残りの回転軸の回転数及びトルクが必然的に定まる特性を有する。エンジンシステム1では、このような動力分割機構50の特性を利用することにより、例えば内燃機関20の発生する動力(クランクシャフト24の回転力)をモータ30の回転軸31とジェネレータ40の回転軸41とに分割して伝達することができる。また、例えばモータ30の発生する動力と内燃機関20の発生する動力とを併せて利用し、駆動輪9,10の回転軸9a,9aを回転させつつ、残りの動力でジェネレータ40を駆動しバッテリ80の充電を行うこともできる。また例えば、車両が停止している場合には、モータ30が停止した状態でジェネレータ40に電力を供給し、これをモータ駆動することにより、非燃焼状態にある内燃機関20のクランクシャフト24を回転し、機関燃焼を開始することもできる。さらに、モータ30及びジェネレータ40の両者に電力を供給し、これをモータ駆動することにより、車両を走行させながら、非燃焼状態にある内燃機関20のクランクシャフト24を回転し、機関燃焼を開始することもできる。
【0020】
また、エンジンシステム1は、内燃機関、モータ、バッテリ等の作動状態に応じた信号を出力する各種センサ(図示略)を備える。これらセンサは、ECU90と電気的に接続されている。
【0021】
ECU90は、中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バックアップRAMおよびタイマーカウンタ等を備え、これら各部と、A/D変換器を含む外部入力回路と、外部出力回路とが双方向性バスにより接続されて構成される論理演算回路を備える。ECU90は、各種センサ(図示略)の出力する信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいて、内燃機関20、モータ30、バッテリ80等の作動状態を把握し、これら要素20,30,80等の作動状態に基づいてエンジンシステム1の運転状態を最適化するための各種制御を実施する。
【0022】
〔冷却系の概略構成〕
エンジンシステム1は、内燃機関20の運転に伴って発生する熱の一部(正確には熱せられた熱媒体としての冷却水の一部)を一時的に蓄え、必要に応じて内燃機関の暖機に利用する蓄熱システムを備える。蓄熱システムは、冷却水を循環させる通路の途中に設けられた蓄熱タンク(蓄熱装置)100の他、内燃機関20内に形成された冷却水の循環系と蓄熱タンク100との間で冷却水の交換を行うための各種通路部材および電動式ウォータポンプEP等を含んで構成される。
【0023】
図2は、蓄熱タンク100を含めた内燃機関20の冷却系を概略的に示す構成図である。内燃機関20と蓄熱タンク100との間で冷却水を循環させる循環通路A(A1,A2,A3,A4)、内燃機関20内において各燃焼室や吸排気ポートの外周を取り巻くように形成されている循環通路(ウォータジャケット)B、内燃機関20とラジエータ101との間で冷却水を循環させる循環通路C、内燃機関20と暖房用ヒータコア102との間で冷却水を循環させる循環通路D(D1,D2,D3)等によって構成されている。なお、共通通路A1(D3)は、循環通路Aの一部をなすとともに、循環通路Dの一部をなす。このように、冷却系は冷却水の循環通路を複数組み合わせて構築された複合システムであって、この冷却系内を循環する冷却水は、熱媒体として内燃機関20との間で熱交換を行うことにより内燃機関20各部の冷却又は昇温を行う。
【0024】
冷却系を構成する上記各循環通路A,B,C,Dには、冷却水の挙動や温度を制御又は検出する各種部材が設けられている。電動式ウォータポンプ(電動ポンプ)EPは、ECU90からの指令信号に基いて作動し、循環通路A内の冷却水を矢印αの方向に流動させる。循環通路Aの電動ポンプEP近傍には蓄熱タンク100が設けられている。蓄熱タンク100は、所定量の冷却水を外部から断熱した状態で貯留する機能を有する。すなわち、蓄熱タンク100は、ハウジング100aと、同ハウジング100a内に収納された冷却水収容部100bとを備えた二重構造を有する。ハウジング100a及び冷却水収容部100bの間隙はほぼ真空状態に保たれ、冷却水収容部100bの内部空間と外部とを断熱状態に保つ。蓄熱タンク100から通路A4に排出される冷却水(熱水)は、内燃機関20のシリンダヘッド20aに導入され、同シリンダヘッド20a内において各気筒の吸気ポート近傍に形成された経路を優先的に流れる。機械式ウォータポンプ(機械ポンプ)MPは、内燃機関20の出力軸から伝達される駆動力を用い、循環通路B内の冷却水を流動させる。循環通路Cに設けられたラジエータ101は、加熱された冷却水の熱を外部に逃がす(冷却水に放熱を促す)。循環通路Dに設けられた暖房用ヒータコア102は、内燃機関20内で加熱された冷却水の熱を利用し、必要に応じて車両室内(図示略)の暖房を行う。内燃機関20内部の循環通路Bに設けられた水温センサ104aは、同通路B内の冷却水の温度(冷却水温)THW1に応じた検出信号をECU90に出力する。また、循環通路Aの蓄熱タンク100近傍に設けられた水温センサ104bは、同通路A内の冷却水の温度(冷却水温)THW2に応じた検出信号をECU90に出力する。循環通路Aの一部をなす通路A2と、循環通路Dの一部をなす通路D2と、循環通路A及び循環通路Dの一部をなす共通通路A1(D3)とは、三方弁105によって連結されている。三方弁105は、ECU90の指令信号に基づいて電磁駆動される周知の制御弁である。
【0025】
〔冷却系内の流路切替え〕
ECU90は、エンジンシステム1の状態や外部の状況に応じ、冷却系内に形成される冷却水の流路を切り替える制御を行う。例えば、内燃機関20が通常の運転状態(燃焼状態)にある場合、循環通路B(内燃機関20)、循環通路C(ラジエータ101)及び循環通路D(暖房用ヒータコア102)を通じて冷却水を循環させ、内燃機関20の冷却及び運転室(図示略)の暖房等を行う。一方、内燃機関20の温度が所定値を下回っていることを含む所定の条件が成立した場合、蓄熱タンク100に蓄えられた熱水を、当該機関20が始動する前に、循環通路Aを通じ内燃機関20に供給する(内燃機関20の暖機処理をする)。
【0026】
図3は、内燃機関20の冷却系における冷却水の流路を例示する略図である。内燃機関20の運転状態、電動ポンプEPの作動状態及び三方弁105の状態に応じ、冷却系内の冷却水の流路は以下のように切り替わる。
【0027】
図3(a)に示す流路は、内燃機関20の運転中に形成される流路の一例である。この流路は、三方弁105の機能に基づき、A2通路の開口端が閉じ、且つ通路D2,D3(A1)間が連通する状態となり、機械ポンプMP(内燃機関20)が作動し、電動ポンプEPが停止している場合に形成される。この場合、循環通路B(内燃機関20)内を冷却水が循環する他、循環通路B内に設けられる周知のサーモスタット(図示略)の機能に基づき循環通路C(ラジエータ101)内を冷却水が循環する。また、循環通路D(暖房用ヒータコア102)内を冷却水が循環する。
【0028】
図3(b)に示す流路は、内燃機関20の運転中に形成される流路の他の例である。この流路は、三方弁105の機能に基づき、A2通路の開口端が閉じ、且つ通路D2,D3(A1)間が連通する状態となり、機械ポンプMP(内燃機関20)が作動し、電動ポンプEPが停止している場合に形成される。この場合、循環通路B(内燃機関20)内を冷却水が循環する他、循環通路B内に設けられる周知のサーモスタット(図示略)の機能に基づき循環通路C(ラジエータ101)内を冷却水が循環する。また、機械ポンプMPの駆動力に基づき、通路A4→蓄熱タンク100→通路A3→電動ポンプEP→三方弁105→通路A1(D3)の順に冷却水が移動する。この結果、内燃機関20が運転に伴って発する熱により暖められた冷却水(熱水)が蓄熱タンク100に回収される。
【0029】
図3(c)に示す流路は、内燃機関20の停止中、蓄熱タンク100に蓄えられた熱水を内燃機関20に供給するためのものである。この流路は、三方弁105の機能に基づき、通路D2の開口端が閉じ、且つ通路A1(D3),A2間が連通する状態となり、電動ポンプEPが作動し、機械ポンプMP(内燃機関20)が停止している場合に形成される。この場合、電動ポンプEPの駆動力に基づき、通路A1(D3)→三方弁105→電動ポンプEP→通路A3→蓄熱タンク100→通路A4の順に冷却水が移動する。この結果、蓄熱タンク100に蓄えられた熱水が内燃機関20に供給される。
【0030】
例えば機関始動の際、シリンダヘッド20a内の温度が所定値を下回っていると、機関燃焼に供される燃料が気化し難いため、燃焼状態の悪化や、排気特性の悪化を招来する。このような場合、ECU90は、内燃機関20の暖機処理として、三方弁105及び電動ポンプEPの操作を通じて図3(c)の流路を形成し、蓄熱タンク100から内燃機関20に熱水を供給して吸気ポートの内壁等を昇温する制御(以下、単に熱水供給という)を行う。熱水供給を行うことにより、内燃機関20の各気筒における燃焼状態や排気特性が改善する。
【0031】
〔熱水供給制御の具体的な手順〕
以下、熱水供給を実行するための具体的な制御手順について、フローチャートを参照して説明する。
【0032】
図4には、熱水供給(暖機処理)を行うための制御ルーチンを示す。本ルーチンは、エンジンシステム1の作動中、ECU90を通じて周期的に実行される。
【0033】
本ルーチンに処理が移行すると、ECU90は、先ずステップS100において、熱水供給を実行しているか否かを判断する。そして、その判断が否定である場合、ステップS101に移行し、その判断が肯定である場合にはステップS201に移行する。
【0034】
〈熱水供給の開始に関する処理〉
ステップS101での判断が否定である場合(熱水供給の実行中でない場合)、熱水供給の開始条件が成立しているか否かを判断する(S101)。具体的には、(1)エンジンシステム1の搭載車両の運転席側ドアが開いており、(2)バッテリ80の電圧(蓄電量)が所定値を上回っている場合に、熱水供給の開始条件が成立したものと判断する。熱水供給の開始条件が成立していなければ、ECU90は特段の処理を行うことなく本ルーチンを一旦抜ける。一方、熱水供給の開始条件が成立している場合、ECU90は、熱水供給の実行履歴があるか否か、言い換えるとECU90が起動してから現在に至るまでに熱水供給が行われたか否かを判断する(S102A)。熱水供給の実行履歴がある場合、ECU90は特段の処理を行うことなく本ルーチンを一旦抜ける。一方、熱水供給の実行履歴がない場合、ECU90は熱水供給を開始して(S103)、本ルーチンを一旦抜ける。
【0035】
〈熱水供給の終了に関する処理〉
ステップS100での判断が肯定であった場合(熱水供給の実行中である場合)、ECU90は、熱水供給の完了条件が成立しているか否かを判断する(S201)。具体的には、熱水供給が開始された後、所定時間が経過した場合に熱水供給の完了条件が成立したものと判断する。熱水供給の完了条件が成立している場合、ECU90は熱水供給を終了する(電動ポンプEPを停止する)とともに、熱水供給を行った旨(実行履歴)を記憶した上で(S202A)、本ルーチンを一旦抜ける。一方、熱水供給の完了条件が成立していない場合、ECU90は熱水供給の中断条件が成立しているか否かを判断する(S203)。具体的には、バッテリ80の電圧(蓄電量)が所定値以下である場合、又は内燃機関20が始動した場合に、熱水供給の中断条件が成立したと判断する。熱水供給の中断条件が成立している場合、ECU90は特段の処理を行うことなく本ルーチンを一旦を抜ける。一方、熱水供給の中断条件が成立していない場合、ECU90は熱水供給を中断(終了)するとともに、熱水供給を行った旨(実行履歴)を記憶した上で(S202A)、本ルーチンを一旦抜ける。
【0036】
なお、完了条件が成立して熱水供給を終了する場合(S201→S202A)と、中断条件が成立して熱水供給を終了する場合(S203→S202A)とで、ステップS202Aで同一の処理を行ってもよいが、異なる処理を行う方が好ましい。例えば、中断条件が成立して熱水供給を終了する場合(S203→S202A)、熱水供給の開始から中断に至るまで時間が所定時間より長い場合にのみ実行履歴を記憶し、所定時間未満であれば実行履歴を残さないこととしてもよい。
【0037】
なお、熱水供給の実行履歴は、例えばRAMに記憶される揮発性情報である。よって、エンジンシステム1が停止し、ECU90の電源がオフ(OFF)になると、ECU90の記憶した熱水供給の実行履歴は消去される。
【0038】
蓄熱タンク100に蓄えられた熱水を内燃機関20に供給することにより機関20の暖機処理を行えば、始動時における機関燃焼状態の安定性や、排気特性を向上させることができる。しかし、暖機処理の実行が繰り返されると、電動モータEPの振動や作動音がエンジンシステムの運転者に違和感を与える他、電動モータEPの作動に要されるエネルギー消費量(例えば電力消費量)が増大する。また、初回の暖機処理を行う場合に比べ、各循環通路(とくに循環通路Aやシリンダヘッド20a)内における冷却水の動態や温度分布(例えば移動用通路内における熱媒体の動態や温度分布)の把握が難しくなる。このため、蓄熱装置を備えた従来のエンジンシステムでは、蓄熱タンクからの熱水供給を繰り返し行うことにより、内燃機関の運転制御(例えば燃料噴射量に関する制御等)の緻密性を低下させる可能性があった。
【0039】
また一般に、一度熱水供給を行うと、蓄熱タンク100内の冷却水の温度が低下するため、再度の熱水供給による効果は低減する。かといって、蓄熱タンク100に十分高い温度の冷却水を回収できるようになったときには、内燃機関20の暖機が完了し、熱水供給を行う必要性が極めて低い。
【0040】
この点、本実施の形態のエンジンシステム1では、ECU90の作動中(多くの場合、概ね運転者がエンジンシステム1の搭載車両へ乗車してから降車するまでの期間中)、蓄熱タンク100の機能を利用した暖機処理の再度の実行を禁止することにより、暖機処理に起因する内燃機関20の運転制御の緻密性低下の防止、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の軽減、さらには電動ポンプEPの消費電力量の低減等を図ることができる。
【0041】
すなわち、蓄熱装置から内燃機関20への非効率な熱供給の実行頻度を低減することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態(車載用エンジンシステム)について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と略同一のハードウエア構成を有するため、第1、第2の実施の形態に共通するハードウエア構成及びその構成部材については同一の部材番号を用い、ここでの重複する記載を省略する。
【0043】
図5には、第2の実施の形態において、熱水供給を行うための制御ルーチンを示す。図5のルーチンも、図4のルーチン(第1の実施の形態)と同様、エンジンシステム1の作動中ECU90を通じて周期的に実行される。ただし、図4のルーチンは、熱水供給の開始条件が成立し(S101)、且つ熱水供給の実行履歴がない場合に(S102A)、熱水供給を開始する制御構造を採用する。これに対し、図5のルーチンは、熱水供給の開始条件が成立し(S101)、且つ内燃機関20の始動履歴がない場合に(S102B)、熱水供給を開始する制御構造を採用する。ここで、ECU90が起動してから現在に至るまで、内燃機関20が一度でも始動した場合、ECU90は、内燃機関20の始動履歴があると判断する。このため、図5のルーチンは、熱水供給の終了時に(図5のステップS202B)、熱水供給の実行履歴を記憶する処理内容(図4のステップS202A)を含まない。ECU90は、別途のルーチン等を通じて記憶する内燃機関20の始動履歴に関する情報を、ステップS102Bにおける判断時に利用する。
【0044】
なお、内燃機関200の始動履歴は例えばRAM等に記憶される揮発性情報である。つまり、エンジンシステム1が停止し、ECU90の電源がオフ(OFF)になると、ECU90が別途のルーチン等を通じて記憶した内燃機関20の始動履歴は消去される。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、エンジンシステム1(ECU90)の作動中、内燃機関20の始動に起因して各循環通路(とくに循環通路Aやシリンダヘッド20a)内の冷却水の動態や温度分布の把握が難しくなった後は、蓄熱タンク100の機能を利用した暖機処理の実行を禁止することになる。これにより、内燃機関20の運転制御の緻密性低下の防止、電動ポンプEPの消費電力量の低減、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の軽減等を図ることができる。
【0046】
すなわち、蓄熱装置から内燃機関20への非効率な熱供給の実行頻度を低減することができる。
【0047】
なお、エンジンシステム1の作動中、蓄熱タンク100の機能を利用した暖機処理を一旦実行した後と、内燃機関20が一旦始動した後の何れの場合にも、暖機処理の実行を禁止するように、上記第1、第2の実施の形態で採用した制御構造を組み合わせてもよい。
【0048】
また、上記第1、第2の実施の形態では、エンジンシステム1が停止し、ECU90の電源がオフ(OFF)になると、熱水供給の実行履歴や、内燃機関20の始動履歴を消去することにした。これに限らず、別のタイミングで熱水供給の実行履歴や、内燃機関20の始動履歴を消去するようにしてもよい。要は、ECU90の電源がオフ(OFF)になった時から次回のエンジンシステム1の再始動時までの間の何れかの時間において、このような履歴情報の消去を行うようにすることにより、上記第1、第2の実施の形態と同等又はこれに準ずる効果を奏することができる。
【0049】
また、上記第1、第2の実施の形態では、本発明を車載用ハイブリッドエンジンシステムに適用したが、これに限らず、内燃機関のみを駆動源として備えるエンジンシステムに適用することもできる。さらに、本発明を、車両以外の移動体を駆動するためのエンジンシステムに適用することもできる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンジンシステムによれば、暖機処理に起因する内燃機関の運転制御の緻密性の低下が防止され、エンジンシステムの運転者が感じる違和感の度合いを軽減することができる。さらには、暖機処理に要するエネルギー消費量の低減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるエンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】同実施の形態の内燃機関の冷却系を概略的に示す構成図。
【図3】同実施の形態の内燃機関の冷却系における冷却水の流路構成を例示する略図。
【図4】同実施の形態における熱水供給(暖機処理)を行うための制御手順を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施の形態における熱水供給(暖機処理)を行うための制御手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 ハイブリッドエンジン(エンジンシステム)
9,10 駆動輪
9a,10a 回転軸
20 内燃機関
20a シリンダヘッド
21 吸気通路
21a スロットル弁
22 排気通路
24 クランクシャフト
30,40 モータ・ジェネレータ(モータとして機能する要素)
31,41 回転軸
50 動力分割機構
60 減速機
70 インバータ
80 バッテリ
90 電子制御ユニット(ECU)
100 蓄熱タンク(蓄熱装置)
100a ハウジング
100b 冷却水収容部
104a,104b 水温センサ
105 三方弁
A 循環通路(熱媒体の移動用通路)
EP 機械式ウォータポンプ
MP 電動式ウォータポンプ(動力発生手段)

Claims (4)

  1. 内燃機関と、熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、前記蓄熱装置の蓄えた熱を所定の熱媒体を通じて前記内燃機関に供給することにより前記機関の暖機処理を行うエンジンシステムであって、
    前記熱媒体を移動させる動力を発生する動力発生手段と、
    少なくとも動力発生手段を制御することにより前記内燃機関の暖機処理を実行する制御手段と、
    前記暖機処理の実行の履歴情報を記憶する記憶手段と、
    前記履歴情報が記憶されている場合、前記暖機処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする蓄熱装置付きエンジンシステム。
  2. 内燃機関と、熱を蓄える蓄熱装置と、を備え、前記蓄熱装置の蓄えた熱を所定の熱媒体を通じて前記内燃機関に供給することにより前記機関の暖機処理を行うエンジンシステムであって、
    前記熱媒体を移動させる動力を発生する動力発生手段と、
    少なくとも動力発生手段を制御することにより前記内燃機関の暖機処理を実行する制御手段と、
    前記内燃機関の始動の履歴情報を記憶する記憶手段と、
    前記履歴情報が記憶されている場合、前記暖機処理の実行を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とする蓄熱装置付きエンジンシステム。
  3. 前記内燃機関の運転と前記内燃機関への熱媒体の供給とを含めたエンジンシステムの作動状態を制御する制御装置を備えて、且つ、
    前記記憶手段に記憶される履歴情報は前記制御装置の停止から再始動時までの間の何れかの時間において消去されることを特徴とする
    請求項1又は2記載の蓄熱装置付きエンジンシステム。
  4. モータをさらに備え、前記内燃機関と前記モータとが協働し、移動体の駆動源として機能することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の蓄熱装置付きエンジンシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018193001A (ja) * 2017-05-19 2018-12-06 いすゞ自動車株式会社 熱制御装置

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