JP2005041604A - シート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シートの補正精度を向上させることのできるシート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置を提供する。
【解決手段】傾き補正手段２を傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートＳを挟持した状態でシートＳの傾きを補正する方向に移動する。そして、傾き補正手段２を移動させてシートＳの傾きを補正する際、シートＳを傾き補正手段２まで案内するシート搬送路１１０の側壁面を構成するガイド手段１１１もシートＳの傾きを補正する方向に移動させることにより、傾き補正手段２の移動に伴って移動するシートＳの負荷を低減するようにする
【選択図】 図１
【解決手段】傾き補正手段２を傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートＳを挟持した状態でシートＳの傾きを補正する方向に移動する。そして、傾き補正手段２を移動させてシートＳの傾きを補正する際、シートＳを傾き補正手段２まで案内するシート搬送路１１０の側壁面を構成するガイド手段１１１もシートＳの傾きを補正する方向に移動させることにより、傾き補正手段２の移動に伴って移動するシートＳの負荷を低減するようにする
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置に関し、特に画像形成部又は画像読取部に搬送される記録紙や原稿等のシートの傾きを補正するための構成に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ等の画像形成装置や画像読取装置においては、画像形成部や画像読取部に記録紙や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置を備えている。そして、このシート搬送装置には、画像形成部や画像読取部に搬送する前にシートの姿勢及び位置を合わせるために、シートの斜行補正やシートの位置ずれ補正を行う補正手段を備えたものがある。
【０００３】
ここで、このような補正手段の補正方式としては、レジストローラ対を用いるものがあり、例えば画像形成装置の場合、停止しているレジストローラ対のニップにシート先端を突き当ててシートに撓みを作り、シートの弾性によってシート先端をローラニップに沿わせて斜行の補正を行い、その後所定のタイミングでレジストローラ対を回転させ、シートと画像の同期を合わせるという所謂ループレジストレーション方式が主流となっている。
【０００４】
しかしながら、このようなループレジストレーション方式では、ループを形成させるためのループ空間が必ず必要となり、装置を大型化させていた。また、ループ空間が十分に確保出来ない時は、特に剛性の弱い薄紙等のシートにおいて座屈によるジャム（紙詰まり）が発生したり、シートをレジストローラ対に当接させる際に音（所謂ループ音）が発生しするという問題がある。
【０００５】
さらに、シートの剛性の強さによって斜行補正能力が変わってしまうという問題がある。具体的には、剛性の弱い薄紙ではシート先端がレジストローラニップに当接する際の当接圧が不足し、シート先端がレジストローラ対に十分当接しきれない場合があり、この場合には完全に斜行補正を行うことができない。
【０００６】
また、剛性の強い厚紙等ではレジストローラのニップに当接させた衝撃でシートがレジストローラ対のニップを突き抜けてしまうという不具合があり、これを防止するため、例えばブレーキ部材によりレジストローラ対に負荷等を与えようとすると製品コストのアップを招く。
【０００７】
またさらに、シート先端にカールや折れがある場合等にはシート先端をレジストローラ対のニップ部に正確に沿わすことができず、この結果、精度よく斜行補正を行うことができず、印字精度が低下するという問題もある。
【０００８】
一方、近年、画像形成装置及び画像読取装置はデジタル化により、原稿を１度読取った後、その画像情報を電気的に符号化してメモリに貯えることができるようになっている。そして、画像形成時は、メモリ内の情報を読み出し、レーザ光、ＬＥＤアレイ等の露光装置によって感光体上に原稿の画像情報に対応する画像を形成するようにしていため、複数枚の複写においても光学装置などのメカニカルな動きが不要となる。
【０００９】
これにより、シートとシートの間隔である紙間を詰めることができ、短い時間の中で多くのシートを処理することが可能となった。この結果、例えば画像形成装置の場合、画像形成時、プロセス速度を上げることなく実質的な画像形成速度の向上を図ることができるようになってきている。
【００１０】
ところが、シート搬送装置として、既述したループレジストレーション方式を採用したものを用いた場合、ループを形成するためシートを一旦停止させるようにすることから、紙間が必然的に決定されてしまい、画像形成速度（生産性）の向上に大きな影響を及ぼすこととなる。
【００１１】
そこで、このような不具合を克服すべく、シートの斜行を自動的に矯正できるようにしたレジストレーション方式を採用したシート搬送装置が提案されている（特許文献１参照）。
【００１２】
ここで、このシート搬送装置は、シートを挟持して搬送する搬送ローラ対（レジストローラ）と、この搬送ローラの搬送方向下流側に設けられたシートの傾き量を検知するためのセンサと、搬送ローラをシートの搬送方向と直交する方向に傾けるように変位させる搬送ローラ傾き補正手段とを備えたものであり、シートの斜行を補正する場合は、傾き量検知センサの情報に基づき、搬送ローラをシートの傾きに合わせて変位させることによってシートの斜行を補正するようにしている。
【００１３】
【特許文献１】
特開平１０−０６７４４８号公報
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような搬送ローラを変位させてシートの斜行を補正する従来のシート搬送装置においては、シートの斜行補正を行うため、搬送ローラを変位させる際、シートの後端側に負荷がある場合、シート旋回時に搬送ローラ対で微少なスリップが発生し、斜行補正精度が悪化する。また、この後端側負荷が大きい場合には、シートにシワが発生したり、座屈、破れが発生する場合もある。
【００１５】
またさらに、近年、装置を小型化するために、搬送ローラの上流側のシート搬送路が湾曲形状をとることが多いが、このようにシート搬送路が湾曲している場合、特に剛性（こし）の強い厚紙等のシートを旋回させるとき、シートの後端部がシート搬送路にあると、シートとシート搬送路を構成するガイド部材との間の摩擦力が大きくなり、斜行補正精度がさらに悪化する。
【００１６】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みなされたものであり、シートの補正精度を向上させることのできるシート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置を提供することを目的とするものである。
【００１７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、前記シート搬送路の側壁面を構成し、シートを傾き補正手段まで案内するガイド手段と、を備え、前記傾き補正手段がシートの傾きを補正する方向に移動する際、前記ガイド手段をシートの傾きを補正する方向に移動させるようにしたことを特徴とするものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【００１９】
図１は、本発明の第１の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの断面図である。
【００２０】
同図において、１０００はプリンタであり、このプリンタ１０００は、プリンタ本体１００１と、プリンタ本体１００１の上面に配されたスキャナ２０００とを備えている。
【００２１】
ここで、原稿を読み取るスキャナ２０００は、走査光学系光源２０１、プラテンガラス２０２、開閉する原稿圧板２０３、レンズ２０４、受光素子（光電変換）２０５、画像処理部２０６、画像処理部２０６にて処理された画像処理信号を記憶しておくためのメモリ部２０８等を備えている。
【００２２】
そして、原稿を読み取る際には、プラテンガラス２０２の上に載置された不図示の原稿に走査光学系光源２０１によって光を照射することにより読み取るようにしている。そして、読み取った原稿像は画像処理部２０６により処理された後、電気的に符号化された電気信号２０７に変換されて作像手段たるレーザスキャナ１１１ａに伝送される。なお、画像処理部２０６にて処理され、符号化された画像情報を一旦メモリ部２０８に記憶させ、コントローラ１２０からの信号によって、必要に応じてレーザスキャナ１１１ａに伝送することもできる。
【００２３】
プリンタ本体１００１は、シートＳを給送するシート給送装置１００２と、シート給送装置１００２により給送されたシートＳを画像形成部１００３に搬送するシート搬送装置１００４と、プリンタ１０００を制御するための制御手段たるコントローラ１２０等を備えている。
【００２４】
ここで、シート給送装置１００２は、カセット１００と、ピックアップローラ１０１と、フィードローラ１０２及びリタードローラ１０３とから成る分離部を備えており、カセット１００内のシートＳは所定のタイミングで昇降／回転するピックアップローラ１０１と、分離部との作用によって１枚ずつ分離給送されるようになっている。
【００２５】
シート搬送装置１００４は、搬送ローラ対１０５と、レジスト前ローラ対１３０及びレジストローラ対２を有するレジストローラ部１とを備えており、シート給送装置１００２から給送されたシートＳは搬送ローラ対１０５により、ガイド１０６，１０７によって構成されるシート搬送路１０８を通過した後、ガイド手段であるガイド１０９，１１１で構成されるシート搬送路１１０へ受け渡され、この後、レジストローラ部１に導かれるようになっている。そして、このレジストローラ部１において、後述するように斜行及び位置ずれが補正された後にシートＳは画像形成部１００３に搬送される。
【００２６】
画像形成部１００３は、感光ドラム１１２、レーザスキャナ１１１ａ、現像器１１４、転写帯電器１１５、分離帯電器１１６等を備えており、画像形成の際には、レーザスキャナ１１１ａからのレーザ光がミラー１１３によって折り返されて時計方向に回転する感光ドラム上の露光位置１１２ａに照射されることにより、感光ドラム上に潜像が形成され、さらにこのようにして感光ドラム上に形成された潜像は、この後、現像器１１４によってトナー像として顕像化されるようになっている。
【００２７】
なお、この感光ドラム上のトナー像は、この後、転写部１１２ｂにおいて、転写帯電器１１５によりシートＳに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートＳは、分離帯電器１１６により感光ドラム１１２から静電分離された後、搬送ベルト１１７により定着装置１１８に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ１１９によって排出される。
【００２８】
なお、同図において、１３１はレジストローラ対２を通過したシートＳを検知する露光開始センサであり、この露光開始センサ１３１がレジストローラ対２を通過したシートＳを検知すると、レーザスキャナ１１１ａによるレーザ光の照射が開始される。
【００２９】
ここで、露光開始センサ１３１から転写部１１２ｂまでの距離ｌ１は感光ドラム１１２のレーザ光照射位置１１２ａから転写部１１２ｂまでの距離ｌ０と等しい位置に配置されており、これによりシートＳと感光ドラム１１２上の画像の先端位置の同期を取る事が可能となっている。
【００３０】
なお、本実施の形態においては、プリンタ本体１００１とスキャナ２０００とは別体であるが、プリンタ本体１００１とスキャナ２０００とが一体の場合もある。また、プリンタ本体１００１はスキャナ２０００と別体でも一体でも、レーザスキャナ１１１ａにスキャナ２０００の処理信号を入力すれば複写機として機能し、ＦＡＸの送信信号を入力すればＦＡＸとして機能する。さらに、パソコンの出力信号を入力すれば、プリンタとしても機能する。
【００３１】
逆に、スキャナ２０００の画像処理部２０６の処理信号を、他のＦＡＸに送信すれば、ＦＡＸとして機能する。また、スキャナ２０００において、圧板２０３に変わって２点鎖線で示すような原稿自動送り装置２５０を装着するようにすれば、原稿を自動的に読み取ることもできる。
【００３２】
図２は、レジストローラ部１の側面図、図３はその平面図である。
【００３３】
図２、図３に示すように、傾き補正手段であるレジストローラ対２は、２つのレジストローラ２ａ，２ｂより構成され、これら各レジストローラ２ａ，２ｂは、フレーム１０上に垂設された側板１０ａ，１０ｂに固定された軸受１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂにより、それぞれ回転自在に軸支されている。
【００３４】
なお、上部のレジストローラ２ａは不図示の加圧バネにより、下部のレジストローラ２ｂに加圧されている。また、レジストローラ２ａ，２ｂにはそれぞれ、その片側にギア１５，１６が取り付けられ、これらのギア１５，１６によりレジストローラ対２ａ，２ｂは、それぞれ同期して回転するように構成されている。
【００３５】
さらに、下部のレジストローラ２ｂの軸端には駆動入力ギア２７が固定され、この駆動入力ギア２７にはレジストモータ１７の出力軸に固定されたギア２８が噛合っており、これによりレジストモータ１７が駆動されると、レジストローラ対２が回転するようになっている。
【００３６】
また、レジストローラ２ａ，２ｂの軸にはシート搬送路１１０の側壁面を構成すると共に、シートＳをレジストローラ対２に案内するガイド１０９，１１１が回動自在に軸支されている。なお、このガイド１０９，１１１のシート搬送方向Ｐと直交する方向であるスラスト方向の移動は不図示の規制部材により規制されている。
【００３７】
さらにレジストローラ対２の一端側であるレジストモータ側では、レジストローラ２ａ，２ｂを連結すると共に、レジストローラ２ａ，２ｂの軸方向の移動を規制する連結部材１８が設けられている。そして、この連結部材１８は、それぞれのレジストローラ２ａ，２ｂを回転自在に軸支すると共に、底面にはラックギア部１８ｂが設けられており、このラックギア部１８ｂには横レジモータ２０の出力軸に固定されたピニオンギア１９が噛合っている。
【００３８】
これにより、例えばピニオンギア１９が時計方向に回転すると、連結部材１８は図２中右方向へ移動し、これに伴いレジストローラ対２はガイド１０９，１１１と一体となってスラスト方向に一体に移動するようになっている。つまり、横レジモータ２０を駆動させることにより、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１をスラスト方向に移動することができるようになっている。
【００３９】
なお、図２において、２１は第１ホームポジションセンサであり、この第１ホームポジションセンサ２１によって、レジストローラ対２のスラスト方向の第１のホームポジション位置が検出できるように構成されている。
【００４０】
一方、フレーム１０は、プリンタ本体１００１の前側板１００１ａと後側板１００２ｂとの間に固定されたステー１３に設けられた回動軸１４を中心にして回動可能に取り付けられている。なお、この回動軸１４は、後述するレジストローラ対２の傾き補正時における回動運動の中心になるとともに、レジストローラ対２の軸上の基準位置になるものである。
【００４１】
また、フレーム１０の前側板側にはギア２２が固定されており、このギア２２はステー１３に取り付けられた旋回モータ２４の出力軸に固定されたラックギア２３と噛合っている。
【００４２】
そして、この旋回モータ２４が回転し、例えば図３中でラックギア２３が時計方向に回転すると、フレーム１０及びフレーム１０上に設けられたレジストローラ対２、レジストモータ１７、ガイド１０９，１１１等も含めてフレーム１０上に取り付けられている部材全てが、回動軸１４を中心に反時計方向に回動するように構成されている。
【００４３】
つまり、旋回モータ２４の回転により、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１とを一体にスラスト方向に対して傾けるよう変位（旋回）できるようになっている。なお、図３において、２５はステー１３上に設けられた第２ホームポジションセンサであり、この第２ホームポジションセンサ２５によりレジストローラ対２の、そのニップ線が感光ドラム１１２の回転中心軸１１２ｃと平行になる旋回（回動）方向の第２のホームポジション位置が検知されるようになっている。
【００４４】
図３において、３ａ、３ｂは、シートＳの先端の傾きを検知するための傾き検知手段である斜行検知センサであり、この斜行検知センサ３ａ，３ｂは、レジストローラ対２の搬送方向下流側に、シート搬送方向と直交する方向に所定間隔Ｌをあけて配設されている。なお、斜行検知センサ３ａ、３ｂを結ぶ中心線３ｃは搬送方向下流側に設けられている感光ドラム１１２の軸線１１２ｃと平行となるように配置されている。
【００４５】
図４は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、既述した感光ドラム１１２、搬送ベルト１１７、定着器１１８、排紙ローラ１１９はメインモータＭと直結されており、それぞれメインモータＭと同期して回転する事が可能となっている。また、既述したピックアップローラ１０１、フィードローラ１０２、リタードローラ１０３、搬送ローラ１０５、レジスト前ローラ対１３０はメインモータＭによって駆動力をうけると共に、コントローラ１２０からの信号によって、それぞれの駆動回路１０２ａ、１０５ａ、１３０ａを介してＯＮ／ＯＦＦ制御されるクラッチ１０２ｂ、１０５ｂ、１３０ｂにより、駆動が制御されるように構成されている。
【００４６】
また、制御手段であるコントローラ１２０には給紙カセット１００に装填されているシートサイズ検知センサ１００ｂ，１００ｂからのシートサイズ検知信号、斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号、或は第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号がそれぞれ入力されるようになっている。そして、コントローラ１２０では、例えば斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号に基づいてシートＳの傾き量が演算回路１６０によって演算される。
【００４７】
さらに、コントローラ１２０は、検知結果に基づく必要な制御信号を駆動回路１７ａ，２０ａ，２４ａ，１１１ａに出力し、これら駆動回路１７ａ，２０ａ，２４ａ，１１１ａを介してレジモータ１７、横レジモータ２０、旋回モータ２４、レーザスキャナ１１１ａを所定量、或は所定時間駆動させるようにしている。
【００４８】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図５に示すフローチャート及び図６を用いて説明する。
【００４９】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０及び旋回モータ２４が駆動され、第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向の位置のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【００５０】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２が回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。ここで、この回転を開始したレジストローラ対２に図６の（ａ）に示すように、シート搬送方向Ｐに対して角度θだけ斜行したシートＳが搬送されると、このシートＳはやがてレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【００５１】
さらに、この後、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜したままの状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進することにより、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂにより検知される（Ｓｔｅｐ３）。
【００５２】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、この後、演算回路１６０によりシート先端の通過時点と、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（Ｓｔｅｐ４）。
【００５３】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、それに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４の駆動量を演算する（Ｓｔｅｐ６）。
【００５４】
ここで、例えば、斜行検知センサ３ａ，３ｂの検知タイミングの差が、図６の（ｃ）に示すようにΔｔある場合、シートＳの傾き量θは、シートＳの搬送速度をＶ１、斜行検知センサ３ａ，３ｂのピッチ（センサ間距離）をＬとすると、図６の（ｄ）から明らかなように下記の式で演算できる。
【００５５】
θ＝ｔａｎ−１（Δｔ×Ｖ１／Ｌ） ・・・（式１）
【００５６】
そして、上記式１において演算されたシートＳの傾き量θに応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。ここで、このようにシートＳの傾き量に応じて旋回モータ２４を所定時間駆動させることにより、図７の（ａ）に示すようにレジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が、転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまで、レジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動する。
【００５７】
なお、このようにレジストローラ対２を回動させた場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す斜め方向に搬送（以下、斜送という）されることになる。
【００５８】
そこで、本実施の形態においては、既述したようにレジストローラ対２とガイド１０９，１１１とをθ分だけ一体に旋回移動させた後、旋回モータ２４をＯＦＦし（Ｓｔｅｐ８）、この後、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１を、図７の（ｂ）に示す矢印Ｇ方向に移動させるよう横レジモータ２０を駆動する。
【００５９】
ここで、この場合、シートＳはレジストローラ対２により転写部１１２ｂに対してθ分傾いた状態で、かつ搬送速度Ｖ１で斜送されるので、この斜送されるシートＳを本来のシート搬送方向に搬送するためには、横レジモータ２０によるレジストローラ対２とガイド１０９，１１１とのスラスト方向の移動速度Ｖ２は図７の（ｃ）に示すように、
Ｖ２＝Ｖ１×ｔａｎθ ・・・（式２）
となる。
【００６０】
そして、この式２により、斜送補正のための横レジモータ２０の速度を決定した後（Ｓｔｅｐ９）、横レジモータ２０を駆動（ＯＮ）する（Ｓｔｅｐ１０）。これにより、シートＳの斜送を補正することができ、シートＳを本来のシート搬送方向に搬送することができる。
【００６１】
これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。なお、この後、シートＳの後端がレジストローラ対２を抜けたならば（Ｓｔｅｐ１１のＹ）、横レジモータを停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１２）。
【００６２】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、この後、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１のイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１３）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号に基づいて行われる。
【００６３】
以上述べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させることにより、また、この後、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２を横レジモータ２０によってスラスト方向に移動させる事により、シートＳを一旦停止させることなく、かつ非常にスムースで精度の良い斜行補正及び斜送補正を行うことができる。
【００６４】
また、本実施の形態のようにシートＳの斜行補正を行う際、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１とを一体に回動（移動）させることにより、シート旋回時にシート後端側に負荷がかかるのを防ぐことができる。これにより、シートＳの後端側負荷が原因の、レジストローラ対２におけるシートＳのスリップや、シワの発生及び座屈、破れ等の発生を防ぐことができ、より精度の良い斜行補正を行うことができる。
【００６５】
なお、本実施の形態においては、１つの横レジモータ２０でレジストローラ対２とガイド１０９，１１１をスラスト移動させると共に、１つの旋回モータ２４でレジストローラ対２とガイド１０９，１１１を旋回させるように構成したが、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１をそれぞれ専用のモータ等の駆動源で動作させても良い。そして、このように構成した場合、横レジモータ２０や、旋回モータ２４の駆動負荷が軽減される為、上記スラスト制御や、旋回制御を短時間で行うことが可能となる。
【００６６】
さらに、図８に示すように、レジストローラ対２の上流に設けられたシート搬送手段であるレジスト前ローラ対１３０をガイド１０９，１１１に回転自在に設け、レジスト前ローラ対１３０も、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１と一体で動作させるように構成するようにしても良い。そして、このように構成することにより、斜行及び斜送補正時におけるシート後端側の負荷をさらに低減することができ、より補正精度を向上させることができる。
【００６７】
次に、本発明の第２の実施の形態について説明をする。
【００６８】
図９は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の側面図、図１０はその平面図である。なお、図９及び図１０において、図２及び図３と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【００６９】
図９及び図１０において、１５０は下部ガイド１０９と共に湾曲したシート搬送路１１０の上面を形成するガイド手段である上部ガイドであり、この上部ガイド１５０は前後側板１００１ａ，１００１ｂに固定されているステー軸１００１ｃを支点として上下方向に回動自在に設けられている。そして、この上部ガイド１５０には、レジスト前ローラ対１３０を構成する２つのレジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂのうち上部のレジスト前ローラ１３０ｂが回転自在に保持されている。
【００７０】
なお、この上部ガイド１０９は不図示の付勢手段により、下部ガイド１０９の方向に付勢され、不図示のストッパにより図１１の実線で示す、下部ガイド１０９との間で所定のギャップが確保できると共に、上部のレジスト前ローラ１３０ｂが下部のレジスト前ローラ１３０ａに所定の圧力で圧接する位置に保持されるように構成されている。
【００７１】
また、３０は、上部ガイド１５０の位置を制御するガイド解除ソレノイドであり、このガイド解除ソレノイド３０をＯＮすると、上部ガイド１５０は破線で示すようにステー軸１００１ｃを支点として上方に回動し、これにより下部ガイド１０９との間のギャップが拡がると共にレジスト前ローラ対１３０のニップも解除されるようになっている。
【００７２】
なお、図１２は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、ガイド解除ソレノイド（ＳＬ）３０はコントローラ１２０からの信号が入力されるガイド解除ソレノイド駆動回路３０ａを介して、そのＯＮ／ＯＦＦ制御が可能な構成となっている。
【００７３】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図１３に示すフローチャート及び図１４、図１５を用いて説明する。
【００７４】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０及び旋回モータ２４が駆動され、第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向の位置のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【００７５】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２が回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。そして、この後、回転を開始したレジストローラ対２には、図１４の（ａ）に示すように、レジストローラ対２の上流に設けられたレジスト前ローラ対１３０からシートＳが搬送される。
【００７６】
ここで、シートＳが、図１４の（ｂ）に示すように搬送方向Ｐに対して角度θだけ斜行している場合、このシートＳは、斜行したままレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【００７７】
そして、この後、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜したままの状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進することにより、図１４（ｃ）に示すように、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂにより検知される（Ｓｔｅｐ３）。なお、このとき、シートの後端部は、図１５（ｄ）に示すように、湾曲したシート搬送路１１０内にあってレジスト前ローラ対１３０により挟持されている。
【００７８】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、この後、コントローラ１２０の演算回路１６０により、シート先端の通過時点と、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（Ｓｔｅｐ４）。
【００７９】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、既述した式１によりそれに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４の駆動量を演算する（Ｓｔｅｐ６）。
【００８０】
そして、この後、演算されたシートＳの傾き量θに応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。ここで、このようにシートＳの傾き量に応じて旋回モータ２４を所定時間駆動させることにより、図１５の（ａ）に示すようにレジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が、転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまで、レジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動する。
【００８１】
また、これと同時にガイド解除ソレノイド３０をＯＮし（Ｓｔｅｐ８）、上部ガイド１５０を上方回動させる。これにより、図１５の（ｂ）に示すように、それまで下部のレジスト前ローラ１３０ａと圧接してシートＳを挟持する状態にあったレジスト前ローラ対１３０の上部のレジスト前ローラ１３０ｂが上昇し、レジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除する（Ｓｔｅｐ７）。
【００８２】
そして、このようにレジストローラ対２を回動させる際、上部ガイド１５０を上方回動させると共にレジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除することにより、シート旋回時、シートＳの後端側にレジスト前ローラ対１３０による負荷がかかるのを防ぐことができると共に、シートＳの後端側が、シートＳの剛性により上部ガイド１５０と圧接するのを防ぐことができる。
【００８３】
一方、上記のようにレジストローラ対２が回動した場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も、図１５の（ａ）に示すように本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す方向に斜送されることになる。
【００８４】
そして、この状態でレジスト前ローラ対１３０をシート挟持状態に回復すると、レジスト前ローラ対１３０とレジストローラ対２の搬送方向がθだけ異なってしまうことから、ローラ間でのシートＳの引っ張り合いや、押し込みが発生する。このため、この時点では、図１５の（ｂ）に示すようにガイド解除ソレノイド３０はＯＮのままとしておく。
【００８５】
次に、このようにレジストローラ対２をθ分回動させた後、既述した式２により斜送補正のための横レジモータ２０の速度を決定し（Ｓｔｅｐ１０）、この後、横レジモータ２０を駆動（ＯＮ）し（Ｓｔｅｐ１１）、図１５の（ｃ）に示すようにレジストローラ対２を矢印Ｇ方向に移動する。そして、このようにレジストローラ対２を矢印Ｇ方向に移動することによって、シートＳの斜送を補正し、シートＳの搬送方向を本来の方向に戻す。これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。
【００８６】
次に、図１５の（ｄ）に示すようにシートＳの後端がレジスト前ローラ対１３０を抜けると（Ｓｔｅｐ１２のＹ）、ガイド解除ソレノイド３０をＯＦＦし（Ｓｔｅｐ１３）、上部ガイド１５０と共に上部のレジスト前ローラ１３０ｂを下方回動させ、元の状態に復帰させる。この後、さらにシートＳが搬送され、やがてシートＳの後端がレジストローラ対２を抜けると（Ｓｔｅｐ１４のＹ）、横レジモータ２０を停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１５）。
【００８７】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく、正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、その後、レジストローラ対２のイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１６）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号に基づいて行われる。
【００８８】
以上延べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させることによりシートＳの斜行補正を行うことができると共に、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２を横レジモータ２０によってスラスト方向に移動させる事により、斜送補正も行う事ができる。
【００８９】
さらに、本実施の形態のようにレジストローラ対２をシートＳの傾きを補正する方向に回動（移動）させる間、上部ガイド１５０を上方回動させると共に、レジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除することにより、レジストローラ対２の移動に伴うシート旋回時に、シート後端側に負荷がかかるのを防ぐことができ、精度よく斜行補正を行う事ができる。そして、これらの動作によって、シートＳを一旦停止させることなく、非常に精度の良い斜行補正及び斜送補正を行う事が可能となる。
【００９０】
なお、本実施の形態においては、シート後端がレジスト前ローラ対１３０を抜けた時点で上部ガイド１５０及び上部のレジスト前ローラ１３０ｂを元の状態に戻すようにしたが、横レジモータ２０によるスラスト移動が開始された時点では、レジストローラ２及びレジスト前ローラ対１３０による搬送方向が一致するので、このときに上部ガイド１５０及び上部のレジスト前ローラ１３０ｂを元の状態に戻すようにしても良い。
【００９１】
また、本実施の形態では、上部ガイド１５０と上部のレジスト前ローラ対１３０ｂを一つのソレノイドによって移動させる場合について説明したが、それぞれ独立にソレノイドを設けても良い。この場合、上部ガイド１５０の回動タイミングと、レジスト前ローラ対１３０の圧接／離間タイミングをそれぞれ独立して行うことができるので、小紙間等の制御が有利となる。さらに、シート搬送方向上流側に配置された搬送ローラ１０５等の圧接／離間制御を可能に構成すれば、長いシートＳにも対応することが可能となる。
【００９２】
また、本実施の形態では、上部ガイド１５０と上部のレジスト前ローラ対１３０ｂとを一体的に上方回動させるようにした場合について説明したが、上部ガイド１５０の上方回動のみ、またはレジスト前ローラ対１３０の解除のみであっても、シート斜行及び斜送補正時におけるシート旋回時の抵抗を低減する事ができ、斜行／斜送補正精度を向上させることができる。
【００９３】
次に、本発明の第３実施の形態について説明する。
【００９４】
図１６は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図である。なお、図１６において、図８と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【００９５】
同図において、１３０ｃはレジスト前ローラ対１３０を構成する上部のレジスト前ローラであり、少なくともこの上部のレジスト前ローラ１３０ｃは上部ガイド１１１に、回転自在に、かつスラスト方向に移動自在に軸支されている。なお、この上部のレジスト前ローラ１３０ｃは、通常、レジスト前ローラ１３０ｃをそれぞれ内側方向へ付勢する付勢バネ３１ａ，３１ｂの作用により、同図に示す所定の位置に保持されている。
【００９６】
そして、このように少なくともレジスト前ローラ対１３０を構成する上部のレジスト前ローラ１３０ｃをスラスト方向に移動可能に構成することにより、シートＳの斜行／斜送補正時、既述したようにシートＳが旋回動作すると、上部のレジスト前ローラ１３０ｃは、シートＳの動きと同期してスラスト方向に移動することが可能となる。
【００９７】
これにより、斜行／斜送補正時のシートＳの旋回時の負荷を低減することができ、この結果、シート旋回をスムースに行う事ができ、斜行及び斜送補正精度を向上させることができる。なお、シート後端がレジスト前ローラ１３０を抜けると、付勢バネ３１ａ，３１ｂの作用によって、上部のレジスト前ローラ１３０ｃは再び同図に示す所定の位置に戻ることができる。
【００９８】
次に本発明の第４実施の形態について説明する。
【００９９】
図１７は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図である。なお、図１７において、図１０と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【０１００】
図１７において、１３０Ａはレジスト前ローラ対であり、このレジスト前ローラ対１３０Ａはステー１３上に設けられた前後側板４５ａ，４５ｂに軸受４６ａ，４６ｂを介して回転自在に軸支されている。
【０１０１】
また、レジスト前ローラ対１３０Ａの軸端には駆動入力ギア４１が固定されており、この駆動入力ギア４１は、レジ前モータ４３の出力軸に固定されたギア４２と噛合っており、これによりレジ前モータ４３が駆動されるとレジスト前ローラ対１３０Ａが回転するようになっている。
【０１０２】
レジスト前ローラ対１３０Ａのレジ前モータ側では、レジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂを連結するための連結部材４４が設けられている。そして、この連結部材４４はそれぞれのレジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂを回転自在に軸支すると共に、底部には不図示のラックギア部が設けられており、このラックギア部はレジ前横レジモータ４０の出力軸に固定された不図示のピニオンギアと噛合っている。
【０１０３】
これにより、レジ前モータ４０が回転すると、レジスト前ローラ対１３０Ａはスラスト方向に移動し、このように連結部材４４が方向に移動すると、これに伴いレジスト前ローラ対１３０Ａがスラスト方向に移動するように構成されている。
【０１０４】
なお、同図において、４９は第３ホームポジションセンサであり、この第３ホームポジションセンサ４９によって、レジスト前ローラ対１３０Ａのスラスト方向のホームポジション位置を検出できるように構成されている。
【０１０５】
なお、図１８は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、第３ホームポジションセンサ４９はコントローラ１２０に接続されている。また、コントローラ１２０では、斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号に基づいてシートＳの傾き量が演算回路１６０によって演算される。
【０１０６】
さらに、本実施の形態において、コントローラ１２０は、駆動回路４３ａ，４０ａを介してレジ前モータ４３、レジ前横レジモータ４０にそれぞれ接続されており、演算結果に基づく必要な制御信号を出力することによりそれぞれのモータ４０，４３を所定量駆動させるようになっている。
【０１０７】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図１９に示すフローチャート及び図２０、図２１を用いて説明する。
【０１０８】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０、旋回モータ２４及びレジ前横レジモータ４３が動作し、第１〜第３ホームポジションセンサ２１，２５，４９によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向と、レジスト前ローラ１３０Ａのスラスト方向のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【０１０９】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７及びレジ前モータ４３が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２、レジスト前ローラ対１３０Ａが回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。そして、このように回転を開始したレジスト前ローラ対１３０Ａに対して、図２０の（ａ）に示すようにシート搬送方向Ｐに対しθだけ斜行したシートＳが送られ、そのシートＳは、この後、図２０の（ｂ）に示すようにレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【０１１０】
次に、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜した状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進し、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂによりシートＳの先端の通過時点が検知される（Ｓｔｅｐ３）。
【０１１１】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、斜行検知センサ３ａ，３ｂのそれぞれのシート検知時間の差からレジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（ＳｔｅｐＳ４）。
【０１１２】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、既述した式１によりそれに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４とレジ前横レジモータ４０の駆動量を演算する（ＳｔｅｐＳ６）。
【０１１３】
なお、レジ前横レジモータ４０によるレジスト前ローラ対１３０Ａの移動量は、レジストローラ対２の旋回中心点１４からレジスト前ローラ対１３０Ａまでの距離をＬ２とすると、図２１の（ａ）により明らかなように、下記の式３で演算できる。
【０１１４】
Ｌ２×Ｔａｎθ・・・・・・（式３）
【０１１５】
そして、この後、演算された補正量に応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させると共に、上記の式３で演算された補正量に応じてレジ前横レジモータ４０を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。
【０１１６】
ここで、シートＳの傾きに対して旋回モータ２４を駆動させることにより、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまでレジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動すると共に、Ｌ２×Ｔａｎθだけレジスト前ローラ対１３０Ａが移動する。そして、このようなレジスト前ローラ対１３０Ａの移動によって、シートＳの旋回動作は非常にスムーズに行われる。
【０１１７】
なお、このようにレジストローラ対２が回動した場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す斜め方向に斜送されることになる。
【０１１８】
そこで、本実施の形態においては、レジストローラ対２をθ分だけ旋回させて横レジモータ２０と、レジ前横レジモータ４０を停止（ＯＦＦ）した後（Ｓｔｅｐ８）、既述した式２により斜送補正のための横レジモータ２０及びレジ前横レジモータ４０の速度を決定し、この後、横レジモータ２０とレジ前横レジモータ４０を駆動（ＯＮ）する（Ｓｔｅｐ１０）。
【０１１９】
これにより、レジストローラ対２とレジスト前ローラ対１３０Ａは矢印Ｇ及びＧ’方向に移動する。そして、このようにレジストローラ対２とレジスト前ローラ対１３０Ａを移動することによって、シートＳの斜送を補正し、シートＳの搬送方向を本来の方向に戻す。これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。
【０１２０】
次に、シートＳの後端がレジスト前ローラ対１３０Ａを抜けると、レジ前横レジモータ４０を停止させ、またシートＳの後端がレジストローラ対２を抜けたら（Ｓｔｅｐ１１のＹ）、横レジモータ２０を停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１２）。
【０１２１】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく、正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、その後、レジストローラ対２及びレジスト前ローラ対１３０Ａのイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１３）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１〜第３ホームポジションセンサ２１，２５，４９からの信号に基づいて行われる。
【０１２２】
以上延べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させると共に、レジスト前ローラ対１３０ＡをシートＳの旋回量に合わせてスラスト方向に移動させる事により、シートＳの斜行補正を行うことができる。
【０１２３】
さらに、この後、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２及びレジスト前ローラ対１３０Ａをそれぞれ横レジモータ２０、レジ前横レジモータ４０によってスラスト方向に移動させる事により、斜送補正も行う事ができる。これらの動作によって、シートを一旦停止させることなく、非常に精度の良い、斜行補正及び斜送補正を行う事が可能となった。
【０１２４】
また、上述したように斜行補正及び斜送補正時には、レジスト前ローラ対１３０ＡもシートＳの移動に応じてスラスト移動制御を行う為、補正時の抵抗がないばかりか、シートの旋回及びスラスト移動を補助するので、斜行補正精度及び斜送補正精度は著しく向上する。
【０１２５】
ところで、これまでの説明においては、既述したように画像形成部１００３に対してシートＳを傾きや位置ずれがなく正確に送り出すことができるようシート搬送手段を画像形成装置に用いた場合について述べてきたが、本発明は、これに限らず、例えば、シートＳを後工程であるシート（原稿）を読み取る画像読取部に傾きや位置ずれがなく正確に送り出すことができるよう画像読取装置にも適用することができる。
【０１２６】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、傾いた状態のシートを挟持した状態で傾き補正手段を移動させてシートの傾きを補正する際、傾き補正手段の移動に伴って移動するシートの負荷を低減するようにすることにより、シートの補正精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの断面図。
【図２】上記シート搬送装置のレジストローラ部の側面図。
【図３】上記シート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図４】上記プリンタの制御ブロック図。
【図５】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図６】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図７】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【図８】上記シート搬送装置のレジストローラ部の他の構成を説明する平面図。
【図９】本発明の第２の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の側面図。
【図１０】上記シート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１１】上記シート搬送装置のレジストローラ部の構成を説明する図。
【図１２】上記シート搬送装置を備えたプリンタの制御ブロック図。
【図１３】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図１４】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図１５】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【図１６】本発明の第３の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１７】本発明の第４の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１８】上記シート搬送装置を備えたプリンタの制御ブロック図。
【図１９】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図２０】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図２１】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【符号の説明】
１ レジストローラ部
２ レジストローラ対
３ａ，３ｂ 斜行検知センサ
２０ 横レジモータ
２４ 旋回モータ
１０９，１１１ ガイド
１１０ シート搬送路
１２０ コントローラ
１３０ レジスト前ローラ対
１３０Ａ レジスト前ローラ対
１３０ｂ 上部のレジスト前ローラ
１３０ｃ 上部のレジスト前ローラ
１５０ 上部ガイド
１０００ プリンタ
１００１ プリンタ本体
１００３ 画像形成部
１００４ シート搬送装置
２０００ スキャナ
Ｓ シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置に関し、特に画像形成部又は画像読取部に搬送される記録紙や原稿等のシートの傾きを補正するための構成に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ等の画像形成装置や画像読取装置においては、画像形成部や画像読取部に記録紙や原稿等のシートを搬送するシート搬送装置を備えている。そして、このシート搬送装置には、画像形成部や画像読取部に搬送する前にシートの姿勢及び位置を合わせるために、シートの斜行補正やシートの位置ずれ補正を行う補正手段を備えたものがある。
【０００３】
ここで、このような補正手段の補正方式としては、レジストローラ対を用いるものがあり、例えば画像形成装置の場合、停止しているレジストローラ対のニップにシート先端を突き当ててシートに撓みを作り、シートの弾性によってシート先端をローラニップに沿わせて斜行の補正を行い、その後所定のタイミングでレジストローラ対を回転させ、シートと画像の同期を合わせるという所謂ループレジストレーション方式が主流となっている。
【０００４】
しかしながら、このようなループレジストレーション方式では、ループを形成させるためのループ空間が必ず必要となり、装置を大型化させていた。また、ループ空間が十分に確保出来ない時は、特に剛性の弱い薄紙等のシートにおいて座屈によるジャム（紙詰まり）が発生したり、シートをレジストローラ対に当接させる際に音（所謂ループ音）が発生しするという問題がある。
【０００５】
さらに、シートの剛性の強さによって斜行補正能力が変わってしまうという問題がある。具体的には、剛性の弱い薄紙ではシート先端がレジストローラニップに当接する際の当接圧が不足し、シート先端がレジストローラ対に十分当接しきれない場合があり、この場合には完全に斜行補正を行うことができない。
【０００６】
また、剛性の強い厚紙等ではレジストローラのニップに当接させた衝撃でシートがレジストローラ対のニップを突き抜けてしまうという不具合があり、これを防止するため、例えばブレーキ部材によりレジストローラ対に負荷等を与えようとすると製品コストのアップを招く。
【０００７】
またさらに、シート先端にカールや折れがある場合等にはシート先端をレジストローラ対のニップ部に正確に沿わすことができず、この結果、精度よく斜行補正を行うことができず、印字精度が低下するという問題もある。
【０００８】
一方、近年、画像形成装置及び画像読取装置はデジタル化により、原稿を１度読取った後、その画像情報を電気的に符号化してメモリに貯えることができるようになっている。そして、画像形成時は、メモリ内の情報を読み出し、レーザ光、ＬＥＤアレイ等の露光装置によって感光体上に原稿の画像情報に対応する画像を形成するようにしていため、複数枚の複写においても光学装置などのメカニカルな動きが不要となる。
【０００９】
これにより、シートとシートの間隔である紙間を詰めることができ、短い時間の中で多くのシートを処理することが可能となった。この結果、例えば画像形成装置の場合、画像形成時、プロセス速度を上げることなく実質的な画像形成速度の向上を図ることができるようになってきている。
【００１０】
ところが、シート搬送装置として、既述したループレジストレーション方式を採用したものを用いた場合、ループを形成するためシートを一旦停止させるようにすることから、紙間が必然的に決定されてしまい、画像形成速度（生産性）の向上に大きな影響を及ぼすこととなる。
【００１１】
そこで、このような不具合を克服すべく、シートの斜行を自動的に矯正できるようにしたレジストレーション方式を採用したシート搬送装置が提案されている（特許文献１参照）。
【００１２】
ここで、このシート搬送装置は、シートを挟持して搬送する搬送ローラ対（レジストローラ）と、この搬送ローラの搬送方向下流側に設けられたシートの傾き量を検知するためのセンサと、搬送ローラをシートの搬送方向と直交する方向に傾けるように変位させる搬送ローラ傾き補正手段とを備えたものであり、シートの斜行を補正する場合は、傾き量検知センサの情報に基づき、搬送ローラをシートの傾きに合わせて変位させることによってシートの斜行を補正するようにしている。
【００１３】
【特許文献１】
特開平１０−０６７４４８号公報
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような搬送ローラを変位させてシートの斜行を補正する従来のシート搬送装置においては、シートの斜行補正を行うため、搬送ローラを変位させる際、シートの後端側に負荷がある場合、シート旋回時に搬送ローラ対で微少なスリップが発生し、斜行補正精度が悪化する。また、この後端側負荷が大きい場合には、シートにシワが発生したり、座屈、破れが発生する場合もある。
【００１５】
またさらに、近年、装置を小型化するために、搬送ローラの上流側のシート搬送路が湾曲形状をとることが多いが、このようにシート搬送路が湾曲している場合、特に剛性（こし）の強い厚紙等のシートを旋回させるとき、シートの後端部がシート搬送路にあると、シートとシート搬送路を構成するガイド部材との間の摩擦力が大きくなり、斜行補正精度がさらに悪化する。
【００１６】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みなされたものであり、シートの補正精度を向上させることのできるシート搬送装置及び画像形成装置並びに画像読取装置を提供することを目的とするものである。
【００１７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、前記シート搬送路の側壁面を構成し、シートを傾き補正手段まで案内するガイド手段と、を備え、前記傾き補正手段がシートの傾きを補正する方向に移動する際、前記ガイド手段をシートの傾きを補正する方向に移動させるようにしたことを特徴とするものである。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【００１９】
図１は、本発明の第１の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの断面図である。
【００２０】
同図において、１０００はプリンタであり、このプリンタ１０００は、プリンタ本体１００１と、プリンタ本体１００１の上面に配されたスキャナ２０００とを備えている。
【００２１】
ここで、原稿を読み取るスキャナ２０００は、走査光学系光源２０１、プラテンガラス２０２、開閉する原稿圧板２０３、レンズ２０４、受光素子（光電変換）２０５、画像処理部２０６、画像処理部２０６にて処理された画像処理信号を記憶しておくためのメモリ部２０８等を備えている。
【００２２】
そして、原稿を読み取る際には、プラテンガラス２０２の上に載置された不図示の原稿に走査光学系光源２０１によって光を照射することにより読み取るようにしている。そして、読み取った原稿像は画像処理部２０６により処理された後、電気的に符号化された電気信号２０７に変換されて作像手段たるレーザスキャナ１１１ａに伝送される。なお、画像処理部２０６にて処理され、符号化された画像情報を一旦メモリ部２０８に記憶させ、コントローラ１２０からの信号によって、必要に応じてレーザスキャナ１１１ａに伝送することもできる。
【００２３】
プリンタ本体１００１は、シートＳを給送するシート給送装置１００２と、シート給送装置１００２により給送されたシートＳを画像形成部１００３に搬送するシート搬送装置１００４と、プリンタ１０００を制御するための制御手段たるコントローラ１２０等を備えている。
【００２４】
ここで、シート給送装置１００２は、カセット１００と、ピックアップローラ１０１と、フィードローラ１０２及びリタードローラ１０３とから成る分離部を備えており、カセット１００内のシートＳは所定のタイミングで昇降／回転するピックアップローラ１０１と、分離部との作用によって１枚ずつ分離給送されるようになっている。
【００２５】
シート搬送装置１００４は、搬送ローラ対１０５と、レジスト前ローラ対１３０及びレジストローラ対２を有するレジストローラ部１とを備えており、シート給送装置１００２から給送されたシートＳは搬送ローラ対１０５により、ガイド１０６，１０７によって構成されるシート搬送路１０８を通過した後、ガイド手段であるガイド１０９，１１１で構成されるシート搬送路１１０へ受け渡され、この後、レジストローラ部１に導かれるようになっている。そして、このレジストローラ部１において、後述するように斜行及び位置ずれが補正された後にシートＳは画像形成部１００３に搬送される。
【００２６】
画像形成部１００３は、感光ドラム１１２、レーザスキャナ１１１ａ、現像器１１４、転写帯電器１１５、分離帯電器１１６等を備えており、画像形成の際には、レーザスキャナ１１１ａからのレーザ光がミラー１１３によって折り返されて時計方向に回転する感光ドラム上の露光位置１１２ａに照射されることにより、感光ドラム上に潜像が形成され、さらにこのようにして感光ドラム上に形成された潜像は、この後、現像器１１４によってトナー像として顕像化されるようになっている。
【００２７】
なお、この感光ドラム上のトナー像は、この後、転写部１１２ｂにおいて、転写帯電器１１５によりシートＳに転写される。さらに、このようにトナー像が転写されたシートＳは、分離帯電器１１６により感光ドラム１１２から静電分離された後、搬送ベルト１１７により定着装置１１８に搬送されてトナー像の定着が行われ、この後、排出ローラ１１９によって排出される。
【００２８】
なお、同図において、１３１はレジストローラ対２を通過したシートＳを検知する露光開始センサであり、この露光開始センサ１３１がレジストローラ対２を通過したシートＳを検知すると、レーザスキャナ１１１ａによるレーザ光の照射が開始される。
【００２９】
ここで、露光開始センサ１３１から転写部１１２ｂまでの距離ｌ１は感光ドラム１１２のレーザ光照射位置１１２ａから転写部１１２ｂまでの距離ｌ０と等しい位置に配置されており、これによりシートＳと感光ドラム１１２上の画像の先端位置の同期を取る事が可能となっている。
【００３０】
なお、本実施の形態においては、プリンタ本体１００１とスキャナ２０００とは別体であるが、プリンタ本体１００１とスキャナ２０００とが一体の場合もある。また、プリンタ本体１００１はスキャナ２０００と別体でも一体でも、レーザスキャナ１１１ａにスキャナ２０００の処理信号を入力すれば複写機として機能し、ＦＡＸの送信信号を入力すればＦＡＸとして機能する。さらに、パソコンの出力信号を入力すれば、プリンタとしても機能する。
【００３１】
逆に、スキャナ２０００の画像処理部２０６の処理信号を、他のＦＡＸに送信すれば、ＦＡＸとして機能する。また、スキャナ２０００において、圧板２０３に変わって２点鎖線で示すような原稿自動送り装置２５０を装着するようにすれば、原稿を自動的に読み取ることもできる。
【００３２】
図２は、レジストローラ部１の側面図、図３はその平面図である。
【００３３】
図２、図３に示すように、傾き補正手段であるレジストローラ対２は、２つのレジストローラ２ａ，２ｂより構成され、これら各レジストローラ２ａ，２ｂは、フレーム１０上に垂設された側板１０ａ，１０ｂに固定された軸受１１ａ，１１ｂ，１２ａ，１２ｂにより、それぞれ回転自在に軸支されている。
【００３４】
なお、上部のレジストローラ２ａは不図示の加圧バネにより、下部のレジストローラ２ｂに加圧されている。また、レジストローラ２ａ，２ｂにはそれぞれ、その片側にギア１５，１６が取り付けられ、これらのギア１５，１６によりレジストローラ対２ａ，２ｂは、それぞれ同期して回転するように構成されている。
【００３５】
さらに、下部のレジストローラ２ｂの軸端には駆動入力ギア２７が固定され、この駆動入力ギア２７にはレジストモータ１７の出力軸に固定されたギア２８が噛合っており、これによりレジストモータ１７が駆動されると、レジストローラ対２が回転するようになっている。
【００３６】
また、レジストローラ２ａ，２ｂの軸にはシート搬送路１１０の側壁面を構成すると共に、シートＳをレジストローラ対２に案内するガイド１０９，１１１が回動自在に軸支されている。なお、このガイド１０９，１１１のシート搬送方向Ｐと直交する方向であるスラスト方向の移動は不図示の規制部材により規制されている。
【００３７】
さらにレジストローラ対２の一端側であるレジストモータ側では、レジストローラ２ａ，２ｂを連結すると共に、レジストローラ２ａ，２ｂの軸方向の移動を規制する連結部材１８が設けられている。そして、この連結部材１８は、それぞれのレジストローラ２ａ，２ｂを回転自在に軸支すると共に、底面にはラックギア部１８ｂが設けられており、このラックギア部１８ｂには横レジモータ２０の出力軸に固定されたピニオンギア１９が噛合っている。
【００３８】
これにより、例えばピニオンギア１９が時計方向に回転すると、連結部材１８は図２中右方向へ移動し、これに伴いレジストローラ対２はガイド１０９，１１１と一体となってスラスト方向に一体に移動するようになっている。つまり、横レジモータ２０を駆動させることにより、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１をスラスト方向に移動することができるようになっている。
【００３９】
なお、図２において、２１は第１ホームポジションセンサであり、この第１ホームポジションセンサ２１によって、レジストローラ対２のスラスト方向の第１のホームポジション位置が検出できるように構成されている。
【００４０】
一方、フレーム１０は、プリンタ本体１００１の前側板１００１ａと後側板１００２ｂとの間に固定されたステー１３に設けられた回動軸１４を中心にして回動可能に取り付けられている。なお、この回動軸１４は、後述するレジストローラ対２の傾き補正時における回動運動の中心になるとともに、レジストローラ対２の軸上の基準位置になるものである。
【００４１】
また、フレーム１０の前側板側にはギア２２が固定されており、このギア２２はステー１３に取り付けられた旋回モータ２４の出力軸に固定されたラックギア２３と噛合っている。
【００４２】
そして、この旋回モータ２４が回転し、例えば図３中でラックギア２３が時計方向に回転すると、フレーム１０及びフレーム１０上に設けられたレジストローラ対２、レジストモータ１７、ガイド１０９，１１１等も含めてフレーム１０上に取り付けられている部材全てが、回動軸１４を中心に反時計方向に回動するように構成されている。
【００４３】
つまり、旋回モータ２４の回転により、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１とを一体にスラスト方向に対して傾けるよう変位（旋回）できるようになっている。なお、図３において、２５はステー１３上に設けられた第２ホームポジションセンサであり、この第２ホームポジションセンサ２５によりレジストローラ対２の、そのニップ線が感光ドラム１１２の回転中心軸１１２ｃと平行になる旋回（回動）方向の第２のホームポジション位置が検知されるようになっている。
【００４４】
図３において、３ａ、３ｂは、シートＳの先端の傾きを検知するための傾き検知手段である斜行検知センサであり、この斜行検知センサ３ａ，３ｂは、レジストローラ対２の搬送方向下流側に、シート搬送方向と直交する方向に所定間隔Ｌをあけて配設されている。なお、斜行検知センサ３ａ、３ｂを結ぶ中心線３ｃは搬送方向下流側に設けられている感光ドラム１１２の軸線１１２ｃと平行となるように配置されている。
【００４５】
図４は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、既述した感光ドラム１１２、搬送ベルト１１７、定着器１１８、排紙ローラ１１９はメインモータＭと直結されており、それぞれメインモータＭと同期して回転する事が可能となっている。また、既述したピックアップローラ１０１、フィードローラ１０２、リタードローラ１０３、搬送ローラ１０５、レジスト前ローラ対１３０はメインモータＭによって駆動力をうけると共に、コントローラ１２０からの信号によって、それぞれの駆動回路１０２ａ、１０５ａ、１３０ａを介してＯＮ／ＯＦＦ制御されるクラッチ１０２ｂ、１０５ｂ、１３０ｂにより、駆動が制御されるように構成されている。
【００４６】
また、制御手段であるコントローラ１２０には給紙カセット１００に装填されているシートサイズ検知センサ１００ｂ，１００ｂからのシートサイズ検知信号、斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号、或は第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号がそれぞれ入力されるようになっている。そして、コントローラ１２０では、例えば斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号に基づいてシートＳの傾き量が演算回路１６０によって演算される。
【００４７】
さらに、コントローラ１２０は、検知結果に基づく必要な制御信号を駆動回路１７ａ，２０ａ，２４ａ，１１１ａに出力し、これら駆動回路１７ａ，２０ａ，２４ａ，１１１ａを介してレジモータ１７、横レジモータ２０、旋回モータ２４、レーザスキャナ１１１ａを所定量、或は所定時間駆動させるようにしている。
【００４８】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図５に示すフローチャート及び図６を用いて説明する。
【００４９】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０及び旋回モータ２４が駆動され、第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向の位置のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【００５０】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２が回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。ここで、この回転を開始したレジストローラ対２に図６の（ａ）に示すように、シート搬送方向Ｐに対して角度θだけ斜行したシートＳが搬送されると、このシートＳはやがてレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【００５１】
さらに、この後、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜したままの状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進することにより、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂにより検知される（Ｓｔｅｐ３）。
【００５２】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、この後、演算回路１６０によりシート先端の通過時点と、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（Ｓｔｅｐ４）。
【００５３】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、それに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４の駆動量を演算する（Ｓｔｅｐ６）。
【００５４】
ここで、例えば、斜行検知センサ３ａ，３ｂの検知タイミングの差が、図６の（ｃ）に示すようにΔｔある場合、シートＳの傾き量θは、シートＳの搬送速度をＶ１、斜行検知センサ３ａ，３ｂのピッチ（センサ間距離）をＬとすると、図６の（ｄ）から明らかなように下記の式で演算できる。
【００５５】
θ＝ｔａｎ−１（Δｔ×Ｖ１／Ｌ） ・・・（式１）
【００５６】
そして、上記式１において演算されたシートＳの傾き量θに応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。ここで、このようにシートＳの傾き量に応じて旋回モータ２４を所定時間駆動させることにより、図７の（ａ）に示すようにレジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が、転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまで、レジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動する。
【００５７】
なお、このようにレジストローラ対２を回動させた場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す斜め方向に搬送（以下、斜送という）されることになる。
【００５８】
そこで、本実施の形態においては、既述したようにレジストローラ対２とガイド１０９，１１１とをθ分だけ一体に旋回移動させた後、旋回モータ２４をＯＦＦし（Ｓｔｅｐ８）、この後、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１を、図７の（ｂ）に示す矢印Ｇ方向に移動させるよう横レジモータ２０を駆動する。
【００５９】
ここで、この場合、シートＳはレジストローラ対２により転写部１１２ｂに対してθ分傾いた状態で、かつ搬送速度Ｖ１で斜送されるので、この斜送されるシートＳを本来のシート搬送方向に搬送するためには、横レジモータ２０によるレジストローラ対２とガイド１０９，１１１とのスラスト方向の移動速度Ｖ２は図７の（ｃ）に示すように、
Ｖ２＝Ｖ１×ｔａｎθ ・・・（式２）
となる。
【００６０】
そして、この式２により、斜送補正のための横レジモータ２０の速度を決定した後（Ｓｔｅｐ９）、横レジモータ２０を駆動（ＯＮ）する（Ｓｔｅｐ１０）。これにより、シートＳの斜送を補正することができ、シートＳを本来のシート搬送方向に搬送することができる。
【００６１】
これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。なお、この後、シートＳの後端がレジストローラ対２を抜けたならば（Ｓｔｅｐ１１のＹ）、横レジモータを停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１２）。
【００６２】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、この後、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１のイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１３）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号に基づいて行われる。
【００６３】
以上述べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させることにより、また、この後、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２を横レジモータ２０によってスラスト方向に移動させる事により、シートＳを一旦停止させることなく、かつ非常にスムースで精度の良い斜行補正及び斜送補正を行うことができる。
【００６４】
また、本実施の形態のようにシートＳの斜行補正を行う際、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１とを一体に回動（移動）させることにより、シート旋回時にシート後端側に負荷がかかるのを防ぐことができる。これにより、シートＳの後端側負荷が原因の、レジストローラ対２におけるシートＳのスリップや、シワの発生及び座屈、破れ等の発生を防ぐことができ、より精度の良い斜行補正を行うことができる。
【００６５】
なお、本実施の形態においては、１つの横レジモータ２０でレジストローラ対２とガイド１０９，１１１をスラスト移動させると共に、１つの旋回モータ２４でレジストローラ対２とガイド１０９，１１１を旋回させるように構成したが、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１をそれぞれ専用のモータ等の駆動源で動作させても良い。そして、このように構成した場合、横レジモータ２０や、旋回モータ２４の駆動負荷が軽減される為、上記スラスト制御や、旋回制御を短時間で行うことが可能となる。
【００６６】
さらに、図８に示すように、レジストローラ対２の上流に設けられたシート搬送手段であるレジスト前ローラ対１３０をガイド１０９，１１１に回転自在に設け、レジスト前ローラ対１３０も、レジストローラ対２とガイド１０９，１１１と一体で動作させるように構成するようにしても良い。そして、このように構成することにより、斜行及び斜送補正時におけるシート後端側の負荷をさらに低減することができ、より補正精度を向上させることができる。
【００６７】
次に、本発明の第２の実施の形態について説明をする。
【００６８】
図９は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の側面図、図１０はその平面図である。なお、図９及び図１０において、図２及び図３と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【００６９】
図９及び図１０において、１５０は下部ガイド１０９と共に湾曲したシート搬送路１１０の上面を形成するガイド手段である上部ガイドであり、この上部ガイド１５０は前後側板１００１ａ，１００１ｂに固定されているステー軸１００１ｃを支点として上下方向に回動自在に設けられている。そして、この上部ガイド１５０には、レジスト前ローラ対１３０を構成する２つのレジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂのうち上部のレジスト前ローラ１３０ｂが回転自在に保持されている。
【００７０】
なお、この上部ガイド１０９は不図示の付勢手段により、下部ガイド１０９の方向に付勢され、不図示のストッパにより図１１の実線で示す、下部ガイド１０９との間で所定のギャップが確保できると共に、上部のレジスト前ローラ１３０ｂが下部のレジスト前ローラ１３０ａに所定の圧力で圧接する位置に保持されるように構成されている。
【００７１】
また、３０は、上部ガイド１５０の位置を制御するガイド解除ソレノイドであり、このガイド解除ソレノイド３０をＯＮすると、上部ガイド１５０は破線で示すようにステー軸１００１ｃを支点として上方に回動し、これにより下部ガイド１０９との間のギャップが拡がると共にレジスト前ローラ対１３０のニップも解除されるようになっている。
【００７２】
なお、図１２は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、ガイド解除ソレノイド（ＳＬ）３０はコントローラ１２０からの信号が入力されるガイド解除ソレノイド駆動回路３０ａを介して、そのＯＮ／ＯＦＦ制御が可能な構成となっている。
【００７３】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図１３に示すフローチャート及び図１４、図１５を用いて説明する。
【００７４】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０及び旋回モータ２４が駆動され、第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向の位置のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【００７５】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２が回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。そして、この後、回転を開始したレジストローラ対２には、図１４の（ａ）に示すように、レジストローラ対２の上流に設けられたレジスト前ローラ対１３０からシートＳが搬送される。
【００７６】
ここで、シートＳが、図１４の（ｂ）に示すように搬送方向Ｐに対して角度θだけ斜行している場合、このシートＳは、斜行したままレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【００７７】
そして、この後、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜したままの状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進することにより、図１４（ｃ）に示すように、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂにより検知される（Ｓｔｅｐ３）。なお、このとき、シートの後端部は、図１５（ｄ）に示すように、湾曲したシート搬送路１１０内にあってレジスト前ローラ対１３０により挟持されている。
【００７８】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、この後、コントローラ１２０の演算回路１６０により、シート先端の通過時点と、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（Ｓｔｅｐ４）。
【００７９】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、既述した式１によりそれに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４の駆動量を演算する（Ｓｔｅｐ６）。
【００８０】
そして、この後、演算されたシートＳの傾き量θに応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。ここで、このようにシートＳの傾き量に応じて旋回モータ２４を所定時間駆動させることにより、図１５の（ａ）に示すようにレジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が、転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまで、レジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動する。
【００８１】
また、これと同時にガイド解除ソレノイド３０をＯＮし（Ｓｔｅｐ８）、上部ガイド１５０を上方回動させる。これにより、図１５の（ｂ）に示すように、それまで下部のレジスト前ローラ１３０ａと圧接してシートＳを挟持する状態にあったレジスト前ローラ対１３０の上部のレジスト前ローラ１３０ｂが上昇し、レジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除する（Ｓｔｅｐ７）。
【００８２】
そして、このようにレジストローラ対２を回動させる際、上部ガイド１５０を上方回動させると共にレジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除することにより、シート旋回時、シートＳの後端側にレジスト前ローラ対１３０による負荷がかかるのを防ぐことができると共に、シートＳの後端側が、シートＳの剛性により上部ガイド１５０と圧接するのを防ぐことができる。
【００８３】
一方、上記のようにレジストローラ対２が回動した場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も、図１５の（ａ）に示すように本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す方向に斜送されることになる。
【００８４】
そして、この状態でレジスト前ローラ対１３０をシート挟持状態に回復すると、レジスト前ローラ対１３０とレジストローラ対２の搬送方向がθだけ異なってしまうことから、ローラ間でのシートＳの引っ張り合いや、押し込みが発生する。このため、この時点では、図１５の（ｂ）に示すようにガイド解除ソレノイド３０はＯＮのままとしておく。
【００８５】
次に、このようにレジストローラ対２をθ分回動させた後、既述した式２により斜送補正のための横レジモータ２０の速度を決定し（Ｓｔｅｐ１０）、この後、横レジモータ２０を駆動（ＯＮ）し（Ｓｔｅｐ１１）、図１５の（ｃ）に示すようにレジストローラ対２を矢印Ｇ方向に移動する。そして、このようにレジストローラ対２を矢印Ｇ方向に移動することによって、シートＳの斜送を補正し、シートＳの搬送方向を本来の方向に戻す。これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。
【００８６】
次に、図１５の（ｄ）に示すようにシートＳの後端がレジスト前ローラ対１３０を抜けると（Ｓｔｅｐ１２のＹ）、ガイド解除ソレノイド３０をＯＦＦし（Ｓｔｅｐ１３）、上部ガイド１５０と共に上部のレジスト前ローラ１３０ｂを下方回動させ、元の状態に復帰させる。この後、さらにシートＳが搬送され、やがてシートＳの後端がレジストローラ対２を抜けると（Ｓｔｅｐ１４のＹ）、横レジモータ２０を停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１５）。
【００８７】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく、正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、その後、レジストローラ対２のイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１６）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１及び第２ホームポジションセンサ２１，２５からの信号に基づいて行われる。
【００８８】
以上延べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させることによりシートＳの斜行補正を行うことができると共に、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２を横レジモータ２０によってスラスト方向に移動させる事により、斜送補正も行う事ができる。
【００８９】
さらに、本実施の形態のようにレジストローラ対２をシートＳの傾きを補正する方向に回動（移動）させる間、上部ガイド１５０を上方回動させると共に、レジスト前ローラ対１３０のシート挟持状態を解除することにより、レジストローラ対２の移動に伴うシート旋回時に、シート後端側に負荷がかかるのを防ぐことができ、精度よく斜行補正を行う事ができる。そして、これらの動作によって、シートＳを一旦停止させることなく、非常に精度の良い斜行補正及び斜送補正を行う事が可能となる。
【００９０】
なお、本実施の形態においては、シート後端がレジスト前ローラ対１３０を抜けた時点で上部ガイド１５０及び上部のレジスト前ローラ１３０ｂを元の状態に戻すようにしたが、横レジモータ２０によるスラスト移動が開始された時点では、レジストローラ２及びレジスト前ローラ対１３０による搬送方向が一致するので、このときに上部ガイド１５０及び上部のレジスト前ローラ１３０ｂを元の状態に戻すようにしても良い。
【００９１】
また、本実施の形態では、上部ガイド１５０と上部のレジスト前ローラ対１３０ｂを一つのソレノイドによって移動させる場合について説明したが、それぞれ独立にソレノイドを設けても良い。この場合、上部ガイド１５０の回動タイミングと、レジスト前ローラ対１３０の圧接／離間タイミングをそれぞれ独立して行うことができるので、小紙間等の制御が有利となる。さらに、シート搬送方向上流側に配置された搬送ローラ１０５等の圧接／離間制御を可能に構成すれば、長いシートＳにも対応することが可能となる。
【００９２】
また、本実施の形態では、上部ガイド１５０と上部のレジスト前ローラ対１３０ｂとを一体的に上方回動させるようにした場合について説明したが、上部ガイド１５０の上方回動のみ、またはレジスト前ローラ対１３０の解除のみであっても、シート斜行及び斜送補正時におけるシート旋回時の抵抗を低減する事ができ、斜行／斜送補正精度を向上させることができる。
【００９３】
次に、本発明の第３実施の形態について説明する。
【００９４】
図１６は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図である。なお、図１６において、図８と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【００９５】
同図において、１３０ｃはレジスト前ローラ対１３０を構成する上部のレジスト前ローラであり、少なくともこの上部のレジスト前ローラ１３０ｃは上部ガイド１１１に、回転自在に、かつスラスト方向に移動自在に軸支されている。なお、この上部のレジスト前ローラ１３０ｃは、通常、レジスト前ローラ１３０ｃをそれぞれ内側方向へ付勢する付勢バネ３１ａ，３１ｂの作用により、同図に示す所定の位置に保持されている。
【００９６】
そして、このように少なくともレジスト前ローラ対１３０を構成する上部のレジスト前ローラ１３０ｃをスラスト方向に移動可能に構成することにより、シートＳの斜行／斜送補正時、既述したようにシートＳが旋回動作すると、上部のレジスト前ローラ１３０ｃは、シートＳの動きと同期してスラスト方向に移動することが可能となる。
【００９７】
これにより、斜行／斜送補正時のシートＳの旋回時の負荷を低減することができ、この結果、シート旋回をスムースに行う事ができ、斜行及び斜送補正精度を向上させることができる。なお、シート後端がレジスト前ローラ１３０を抜けると、付勢バネ３１ａ，３１ｂの作用によって、上部のレジスト前ローラ１３０ｃは再び同図に示す所定の位置に戻ることができる。
【００９８】
次に本発明の第４実施の形態について説明する。
【００９９】
図１７は、本実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図である。なお、図１７において、図１０と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【０１００】
図１７において、１３０Ａはレジスト前ローラ対であり、このレジスト前ローラ対１３０Ａはステー１３上に設けられた前後側板４５ａ，４５ｂに軸受４６ａ，４６ｂを介して回転自在に軸支されている。
【０１０１】
また、レジスト前ローラ対１３０Ａの軸端には駆動入力ギア４１が固定されており、この駆動入力ギア４１は、レジ前モータ４３の出力軸に固定されたギア４２と噛合っており、これによりレジ前モータ４３が駆動されるとレジスト前ローラ対１３０Ａが回転するようになっている。
【０１０２】
レジスト前ローラ対１３０Ａのレジ前モータ側では、レジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂを連結するための連結部材４４が設けられている。そして、この連結部材４４はそれぞれのレジスト前ローラ１３０ａ，１３０ｂを回転自在に軸支すると共に、底部には不図示のラックギア部が設けられており、このラックギア部はレジ前横レジモータ４０の出力軸に固定された不図示のピニオンギアと噛合っている。
【０１０３】
これにより、レジ前モータ４０が回転すると、レジスト前ローラ対１３０Ａはスラスト方向に移動し、このように連結部材４４が方向に移動すると、これに伴いレジスト前ローラ対１３０Ａがスラスト方向に移動するように構成されている。
【０１０４】
なお、同図において、４９は第３ホームポジションセンサであり、この第３ホームポジションセンサ４９によって、レジスト前ローラ対１３０Ａのスラスト方向のホームポジション位置を検出できるように構成されている。
【０１０５】
なお、図１８は、このようなシート搬送装置１００４等を備えたプリンタ１０００の制御ブロック図であり、同図に示すように、第３ホームポジションセンサ４９はコントローラ１２０に接続されている。また、コントローラ１２０では、斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号に基づいてシートＳの傾き量が演算回路１６０によって演算される。
【０１０６】
さらに、本実施の形態において、コントローラ１２０は、駆動回路４３ａ，４０ａを介してレジ前モータ４３、レジ前横レジモータ４０にそれぞれ接続されており、演算結果に基づく必要な制御信号を出力することによりそれぞれのモータ４０，４３を所定量駆動させるようになっている。
【０１０７】
次に、このような構成のプリンタ１０００（シート搬送装置１００４）の斜行補正動作について図１９に示すフローチャート及び図２０、図２１を用いて説明する。
【０１０８】
まず、プリンタ１０００の不図示のスタートボタンが押されると、横レジモータ２０、旋回モータ２４及びレジ前横レジモータ４３が動作し、第１〜第３ホームポジションセンサ２１，２５，４９によって、レジストローラ対２の旋回方向及びスラスト方向と、レジスト前ローラ１３０Ａのスラスト方向のイニシャライズ動作を行う（Ｓｔｅｐ１）。
【０１０９】
そして、このイニシャライズ動作の後、レジモータ１７及びレジ前モータ４３が駆動（ＯＮ）されてレジストローラ対２、レジスト前ローラ対１３０Ａが回転を開始する（Ｓｔｅｐ２）。そして、このように回転を開始したレジスト前ローラ対１３０Ａに対して、図２０の（ａ）に示すようにシート搬送方向Ｐに対しθだけ斜行したシートＳが送られ、そのシートＳは、この後、図２０の（ｂ）に示すようにレジストローラ対２のニップ部に進入して挟持される。
【０１１０】
次に、レジストローラ対２により挟持されたシートＳは、傾斜した状態でシート搬送方向Ｐに沿って送られて前進し、レジストローラ対２の下流側に配置された斜行検知センサ３ａ，３ｂによりシートＳの先端の通過時点が検知される（Ｓｔｅｐ３）。
【０１１１】
ここで、この斜行検知センサ３ａ，３ｂからの検知信号は、コントローラ１２０に入力され、斜行検知センサ３ａ，３ｂのそれぞれのシート検知時間の差からレジストローラ対２に挟持されたシートＳの傾き量が演算される（ＳｔｅｐＳ４）。
【０１１２】
次に、コントローラ１２０は、この演算結果からシートＳの斜行の有無を判断し（Ｓｔｅｐ５）、シートＳの斜行が無い場合には（Ｓｔｅｐ５のＮ）、補正動作を行わないが、シートＳの斜行がある場合には（Ｓｔｅｐ５のＹ）、既述した式１によりそれに対する斜行補正量、即ち旋回モータ２４とレジ前横レジモータ４０の駆動量を演算する（ＳｔｅｐＳ６）。
【０１１３】
なお、レジ前横レジモータ４０によるレジスト前ローラ対１３０Ａの移動量は、レジストローラ対２の旋回中心点１４からレジスト前ローラ対１３０Ａまでの距離をＬ２とすると、図２１の（ａ）により明らかなように、下記の式３で演算できる。
【０１１４】
Ｌ２×Ｔａｎθ・・・・・・（式３）
【０１１５】
そして、この後、演算された補正量に応じて旋回モータ２４を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させると共に、上記の式３で演算された補正量に応じてレジ前横レジモータ４０を所定時間だけ駆動（ＯＮ）させる（Ｓｔｅｐ７）。
【０１１６】
ここで、シートＳの傾きに対して旋回モータ２４を駆動させることにより、レジストローラ対２に挟持されたシートＳの先端が転写部１１２ｂの軸方向（感光体ドラムの軸方向）と平行になるまでレジストローラ対２が回動軸１４を中心にして矢印Ｆ方向にθ分だけ回動すると共に、Ｌ２×Ｔａｎθだけレジスト前ローラ対１３０Ａが移動する。そして、このようなレジスト前ローラ対１３０Ａの移動によって、シートＳの旋回動作は非常にスムーズに行われる。
【０１１７】
なお、このようにレジストローラ対２が回動した場合、レジストローラ対２により搬送されるシートＳの搬送方向も本来の方向に比べて同じ角度θ分だけ傾く。この結果、シート全体は、その傾いた角度θで鎖線で示す斜め方向に斜送されることになる。
【０１１８】
そこで、本実施の形態においては、レジストローラ対２をθ分だけ旋回させて横レジモータ２０と、レジ前横レジモータ４０を停止（ＯＦＦ）した後（Ｓｔｅｐ８）、既述した式２により斜送補正のための横レジモータ２０及びレジ前横レジモータ４０の速度を決定し、この後、横レジモータ２０とレジ前横レジモータ４０を駆動（ＯＮ）する（Ｓｔｅｐ１０）。
【０１１９】
これにより、レジストローラ対２とレジスト前ローラ対１３０Ａは矢印Ｇ及びＧ’方向に移動する。そして、このようにレジストローラ対２とレジスト前ローラ対１３０Ａを移動することによって、シートＳの斜送を補正し、シートＳの搬送方向を本来の方向に戻す。これによって、シートＳの斜行補正及び斜送補正を行う事ができる。
【０１２０】
次に、シートＳの後端がレジスト前ローラ対１３０Ａを抜けると、レジ前横レジモータ４０を停止させ、またシートＳの後端がレジストローラ対２を抜けたら（Ｓｔｅｐ１１のＹ）、横レジモータ２０を停止（ＯＦＦ）させる（Ｓｔｅｐ１２）。
【０１２１】
以上のような補正動作が行われることにより、シートＳは転写部１１２ｂに対して傾きがなく、正確な搬送姿勢でもって送り出され、この後、トナー像が転写される。そして、その後、レジストローラ対２及びレジスト前ローラ対１３０Ａのイニシャライズ動作を行い（Ｓｔｅｐ１３）、次のシートＳの斜行及び斜送補正に備える。なお、このイニシャライズ動作は、先に述べたように第１〜第３ホームポジションセンサ２１，２５，４９からの信号に基づいて行われる。
【０１２２】
以上延べたように、シートＳの傾きを検知し、その傾き量に応じてレジストローラ対２を回動させると共に、レジスト前ローラ対１３０ＡをシートＳの旋回量に合わせてスラスト方向に移動させる事により、シートＳの斜行補正を行うことができる。
【０１２３】
さらに、この後、シートＳを搬送させながら、レジストローラ対２及びレジスト前ローラ対１３０Ａをそれぞれ横レジモータ２０、レジ前横レジモータ４０によってスラスト方向に移動させる事により、斜送補正も行う事ができる。これらの動作によって、シートを一旦停止させることなく、非常に精度の良い、斜行補正及び斜送補正を行う事が可能となった。
【０１２４】
また、上述したように斜行補正及び斜送補正時には、レジスト前ローラ対１３０ＡもシートＳの移動に応じてスラスト移動制御を行う為、補正時の抵抗がないばかりか、シートの旋回及びスラスト移動を補助するので、斜行補正精度及び斜送補正精度は著しく向上する。
【０１２５】
ところで、これまでの説明においては、既述したように画像形成部１００３に対してシートＳを傾きや位置ずれがなく正確に送り出すことができるようシート搬送手段を画像形成装置に用いた場合について述べてきたが、本発明は、これに限らず、例えば、シートＳを後工程であるシート（原稿）を読み取る画像読取部に傾きや位置ずれがなく正確に送り出すことができるよう画像読取装置にも適用することができる。
【０１２６】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のように、傾いた状態のシートを挟持した状態で傾き補正手段を移動させてシートの傾きを補正する際、傾き補正手段の移動に伴って移動するシートの負荷を低減するようにすることにより、シートの補正精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一例であるプリンタの断面図。
【図２】上記シート搬送装置のレジストローラ部の側面図。
【図３】上記シート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図４】上記プリンタの制御ブロック図。
【図５】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図６】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図７】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【図８】上記シート搬送装置のレジストローラ部の他の構成を説明する平面図。
【図９】本発明の第２の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の側面図。
【図１０】上記シート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１１】上記シート搬送装置のレジストローラ部の構成を説明する図。
【図１２】上記シート搬送装置を備えたプリンタの制御ブロック図。
【図１３】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図１４】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図１５】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【図１６】本発明の第３の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１７】本発明の第４の実施の形態に係るシート搬送装置のレジストローラ部の平面図。
【図１８】上記シート搬送装置を備えたプリンタの制御ブロック図。
【図１９】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明するフローチャート。
【図２０】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第１の図。
【図２１】上記シート搬送装置の斜行補正動作を説明する第２の図。
【符号の説明】
１ レジストローラ部
２ レジストローラ対
３ａ，３ｂ 斜行検知センサ
２０ 横レジモータ
２４ 旋回モータ
１０９，１１１ ガイド
１１０ シート搬送路
１２０ コントローラ
１３０ レジスト前ローラ対
１３０Ａ レジスト前ローラ対
１３０ｂ 上部のレジスト前ローラ
１３０ｃ 上部のレジスト前ローラ
１５０ 上部ガイド
１０００ プリンタ
１００１ プリンタ本体
１００３ 画像形成部
１００４ シート搬送装置
２０００ スキャナ
Ｓ シート
Claims (12)
- シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、
前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、
前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、
前記シート搬送路の側壁面を構成し、シートを傾き補正手段まで案内するガイド手段と、
を備え、
前記傾き補正手段がシートの傾きを補正する方向に移動する際、前記ガイド手段をシートの傾きを補正する方向に移動させるようにしたことを特徴とするシート搬送装置。 - 前記傾き補正手段が移動する際、前記ガイド手段が前記シートの傾きを補正する方向に移動するよう該ガイド手段を前記傾き補正手段に一体に設けたことを特徴とする請求項１記載のシート搬送装置。
- 前記傾き補正手段の上流のシート搬送手段を前記ガイド手段に設け、
前記傾き補正手段が移動する際、前記ガイド手段と前記シート搬送手段とを、該傾き補正手段と一体に前記シートの傾きを補正する方向に移動させることを特徴とする請求項２記載のシート搬送装置。 - シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、
前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、
前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、
シートを傾き補正手段まで案内する湾曲したシート搬送路の上面を形成し、かつ上方に移動可能なガイド手段と、
前記傾き補正手段の上流に設けられ、該傾き補正手段にシートを搬送する接離可能に設けられたシート搬送部材により構成されるシート搬送手段と、
を備え、
前記傾き補正手段がシートの傾きを補正する方向に移動する際、前記ガイド手段及び前記上流のシート搬送手段の少なくとも一方を、前記傾き補正手段の移動に伴って移動するシートの負荷を低減する状態とすることを特徴とするシート搬送装置。 - 前記傾き補正手段が移動する際、前記ガイド手段を上方移動させて前記移動するシートの負荷を低減する状態とすることを特徴とする請求項４記載のシート搬送装置。
- 前記傾き補正手段が移動する際、前記シート搬送手段のうちの上部のシート搬送部材を上方移動させ、前記シート搬送手段のシート挟持状態を解除することによって前記移動するシートの負荷を低減する状態とすることを特徴とする請求項４記載のシート搬送装置。
- 前記ガイド手段に前記シート搬送手段のうちの上部のシート搬送部材を設け、
前記傾き補正手段が移動する際、前記ガイド手段を上方移動させ、かつ該ガイド手段と共に前記上部のシート搬送部材を上方移動させて前記シート搬送手段のシート挟持状態を解除することにより、前記移動するシートの負荷を低減する状態とすることを特徴とする請求項４記載のシート搬送装置。 - 前記シートが前記シート搬送手段を通過した後、該シート搬送手段のシート挟持状態を回復することを特徴とする請求項６又は７記載のシート搬送装置。
- シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、
前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、
前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段の上流に設けられ、該傾き補正手段にシートを搬送するシート搬送手段と、
を備え、
前記シート搬送手段をシート搬送方向と直交する方向に移動可能とし、前記傾き補正手段がシートの傾きを補正する方向に移動する際、該シート搬送手段が前記傾き補正手段の移動に伴って移動するシートにより移動するようにしたことを特徴とするシート搬送装置。 - シート搬送路に沿って配されたシート搬送手段によりシートを搬送するシート搬送装置において、
前記シート搬送路に沿って搬送されるシートのシート搬送方向に対する傾きを検知する傾き検知手段と、
前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動する傾き補正手段と、
前記傾き補正手段の上流に設けられ、該傾き補正手段にシートを搬送し、かつ前記傾き検知手段からの検知信号に基づき、傾いた状態のシートを挟持した状態で該シートの傾きを補正する方向に移動するシート搬送手段と、
を備えたことを特徴とするシート搬送装置。 - 画像形成部と、前記画像形成部にシートを搬送する前記請求項１乃至１０のいずれか１項に記載のシート搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
- シートの画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部にシートを搬送する請求項１乃至１０のいずれか１項に記載のシート搬送装置とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
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