JP2005035368A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】各々アクチュエータ装置であるモータAおよびBにそれぞれ対応する複数個のコネクタ59,59を車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線からの左右方向距離の方が、左右の車輪10,10からの左右方向距離より短くなるレイアウトで配置する。各コネクタ59を車輪10から遠ざけて配置することにより、車輪10による小石の弾き飛ばし、車輪10による物体の巻き込み、オフセット衝突等の事象に起因して各コネクタ59が損傷せずに済む。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的に作動するアクチュエータ装置を用いて車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置に関し、特に、そのアクチュエータ装置のコネクタを配置する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的に作動するアクチュエータ装置を用いて車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置が既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種の車両用操舵装置は、一般に、(a)車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、(b)その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられるアクチュエータ装置であって、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと、(c)そのアクチュエータ装置を制御する制御装置とを含むように構成される。
【0004】
ここに、運動系の一例は、1個の回転部材または1個の直線変位部材であり、別の例は、複数個の回転部材の連結体、複数個の直線変位部材の連結体、または少なくとも1個の回転部材と少なくとも1個の直線変位部材との連結体である。
【0005】
また、アクチュエータ装置の一例は、回転式のアクチュエータ装置の一例であるモータ装置である。アクチュエータ装置の別の例は、直線式である。
【0006】
また、アクチュエータ装置は、同じ運動系に関して1個設けられる場合もあれば、複数個設けられる場合もある。
【0007】
そして、特許文献1には、運動系が1個の回転部材(駆動軸)と1個の直線変位部材(ステアリング軸)との連結体によって構成される場合に、その回転部材に2個のアクチュエータ装置(2個のサーボモータ)を冗長的に設け、それにより、それらアクチュエータ装置が一緒に故障しない限り、回転部材の回転が確保されるようにする技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−80530号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した車両用操舵装置におけるアクチュエータ装置においては、コネクタが、そのアクチュータ装置のハウジングから露出するように配置される傾向が強い。コネクタは、アクチュエータ装置に電力を供給する要素(例えば、そのコネクタと対を成す別のコネクタ)に電気的に接続されるものであって、そのような外部電力供給要素に対して着脱可能であることが必要であることが多いからである。
【0010】
そのため、この車両用操舵装置を設計する場合には、コネクタが予定外の外力によって損傷しないようにすることが大切である。
【0011】
このような事情を背景として、本発明は、電気的に作動するアクチュエータ装置を用いて車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置において、そのアクチュエータ装置のコネクタが予定外の外力によって損傷しないようにそのコネクタを配置することを課題としてなされたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項には番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組み合わせのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組み合わせが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。さらに、各項を他の項の番号を引用する形式で記載することが必ずしも、各項に記載の技術的特徴を他の項に記載の技術的特徴から分離させて独立させることを妨げることを意味するわけではなく、各項に記載の技術的特徴をその性質に応じて適宜独立させることが可能であると解釈されるべきである。
(1) 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる少なくとも1個のアクチュエータ装置であって、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、その少なくとも1個のアクチュエータ装置に対応する少なくとも1個のコネクタが前記車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線からの左右方向距離の方が、前記左右の車輪のうち近いものからの左右方向距離より短くなるレイアウトで配置されている車両用操舵装置。
【0013】
車両走行中には、路面上に落ちている小さい物体(例えば、小石)を車輪が弾き飛ばす場合や、路面上に落ちている大きい物体(例えば、板状またはフィルム状の物体)を車輪が巻き込んだりする場合がある。いずれの場合にも、アクチェエータ装置のコネクタが、車両のうち、路面に対面する位置に配置されている状況にあっては、コネクタに物体が接触して予定外の外力を受け、それによって損傷してしまう可能性がある。
【0014】
ただし、その可能性は、車両上のすべての位置において等しいわけではなく、例えば、車輪の近傍において高く、それ以外の位置においては低い。
【0015】
コネクタに予定外の外力が作用する状況の別の例として、車両が前方の対象物(例えば、前方に位置する別の車両)と衝突する状況がある。この車両衝突の状況においては、過去の統計を解析すれば、車両がその正面において前方の対象物と衝突する正面衝突よりむしろ、車両の中心から右側または左側にオフセットした位置において前方の対象物と衝突するオフセット衝突の方が頻度が高い。
【0016】
したがって、車両衝突時には、車両のうち、それの左右方向における中心に位置する部分の方が、その中心から右側または左側に隔たった部分より、変形する可能性が小さいという事実が誘導される。
【0017】
以上説明したいくつかの事実に着目することにより、本項に係る装置においては、少なくとも1個のアクチュエータ装置に対応する少なくとも1個のコネクタが車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線からの左右方向距離の方が、左右の車輪のうち近いものからの左右方向距離より短くなるレイアウトで配置されている。
【0018】
したがって、この装置によれば、少なくとも1個のコネクタが車両に、車輪からの左右方向距離の方が車両中心線からの左右方向距離より短くなるレイアウトで配置される場合より、少なくとも1個のコネクタが予定外の外力によって損傷する可能性を低減させることが容易となる。
【0019】
さらに、この装置によれば、上述の、車輪による物体の弾き飛ばしまたは巻き込みやオフセット衝突が発生した場合に、それにもかかわらず、少なくとも1個のコネクタが一緒に正常に維持される可能性を向上させることが容易となる。
【0020】
本項および下記の各項における「運動系」の一例は、1個の回転部材または1個の直線変位部材であり、別の例は、複数個の回転部材の連結体、複数個の直線変位部材の連結体、または少なくとも1個の回転部材と少なくとも1個の直線変位部材との連結体である。
【0021】
また、本項および下記の各項において「アクチュエータ装置」の一例は、回転式であり、別の例は、直線式である。
【0022】
また、本項において「アクチュエータ装置」は、同じ運動系に関して1個設けたり、複数個設けることが可能である。
(2) 前記少なくとも1個のコネクタが前記車両に、前記車両中心線の近傍に配置されている(1)項に記載の車両用操舵装置。
【0023】
本項に係る装置は、前記(1)項における「少なくとも1個のアクチュエータ装置」が複数個のアクチュエータ装置を含む態様で実施することが可能である。この態様においては、アクチュエータ装置の数が複数であるに関連してコネクタの数も複数になるが、この場合に、本項における「車両中心線の近傍に配置される」態様として、それら複数個のコネクタが、車両中心線上の同じ位置に集中的に配置される態様と、車両中心線上の異なる2つの位置にそれぞれ配置される態様とが存在し得る。
(3) 前記少なくとも1個のアクチュエータ装置が、同じ運動系に関して冗長的に設けられた複数個のアクチュエータ装置を含み、前記少なくとも1個のコネクタが、それら複数個のアクチュエータ装置に対応する複数個のコネクタを含む(1)または(2)項に記載の車両用操舵装置。
(4) 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる複数個のアクチュエータ装置であって、各アクチュエータ装置が、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、それら複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタが前記車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線によってその車両が仕切られる右側領域と左側領域とにそれぞれ配置されている車両用操舵装置。
【0024】
複数個のコネクタが車両において同じ側に、すなわち、右側領域と左側領域とのいずれか一方に共通に配置される場合には、前述の、車輪による物体の弾き飛ばしまたは巻き込み、オフセット衝突等の事象が原因で、それら複数個のコネクタが一緒に損傷してしまう可能性がある。同じ事象が及ぼす影響が車両において局所的に発生する傾向があるからである。
【0025】
これに対し、本項に係る装置においては、複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタが車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線によってその車両が仕切られる右側領域と左側領域とにそれぞれ配置されている。
【0026】
したがって、この装置によれば、それら2群のコネクタが、車両の右側領域と左側領域とのいずれか一方に配置される場合より、それら2群のコネクタが一緒に故障してしまう可能性を低減させることが容易となる。
【0027】
本項および下記の各項において「各群のアクチュエータ装置」は、少なくとも1個のアクチュエータ装置を含むように構成され、同様に、「各群のコネクタ」も、少なくとも1個のコネクタを含むように構成される。
(5) 前記2群のコネクタが前記車両に、各コネクタの、前記車両の前後方向における位置が、前記右側領域に配置されたコネクタと前記左側領域に配置されたコネクタとで互いに異なるように配置されている(4)項に記載の車両用操舵装置。
(6) 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる複数個のアクチュエータ装置であって、各アクチュエータ装置が、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、それら複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置が前記車両の左右方向に並んで配置されるとともに、それら2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタの各々が、対応する群のアクチュエータ装置のうち、他方の群のコネクタに対応するアクチュエータ装置から可及的に離れた位置に配置されている車両用操舵装置。
【0028】
前述の、車輪による物体の弾き飛ばしまたは巻き込みが発生する場合には、特に、車両のうち、同じ物体との接触によって変形が発生する領域の面積が狭い。すなわち、車両と物体との接触は局所的に行われるのである。したがって、複数個のコネクタを一箇所に集中して配置するのではなく、分散して配置すれば、同じ物体によって複数個のコネクタが一緒に故障せずに済む。
【0029】
このような知見に基づき、本項に係る装置においては、複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置が車両の左右方向に並んで配置されるとともに、それら2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタの各々が、対応する群のアクチュエータ装置のうち、他方の群のコネクタに対応するアクチュエータ装置から可及的に離れた位置に配置されている。
【0030】
したがって、この装置によれば、例えば、車輪による物体の弾き飛ばしまたは巻き込みが発生する場合に、複数個のアクチュエータ装置が一緒に故障してしまう可能性を低減させることが容易となる。
【0031】
本項において、「アクチュエータ装置から可及的に離れた位置」とは、例えば、理論的に最も離れた位置またはそれと実質的に等価である位置、実用的に最も離れた位置またはそれと実質的に等価である位置等を意味する。
(7) 前記2群のアクチュエータ装置がそれぞれ、前記左右方向において空間を隔てて互いに対向する2群の設定位置に配置されている(6)項に記載の車両用操舵装置。
【0032】
この装置によれば、それら2群の設定位置間に、左右方向に延びる空間が存在する。この空間は、各設定位置に配置されるアクチュエータ装置を収容することが可能であり、この空間が広いほど、各設定位置に配置可能なアクチュエータ装置の、左右方向における最大寸法が増加する。
【0033】
したがって、この装置によれば、各設定位置に配置可能なアクチュエータ装置の、左右方向における寸法の自由度を向上させることが容易となる。
(8) 前記2群のアクチュエータ装置の少なくとも一方が、アクチュエータ装置を1個のみ含むように構成されている(4)ないし(7)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
(9) 前記2群のアクチュエータ装置の少なくとも一方が、アクチュエータ装置を2個以上含むように構成されている(4)ないし(7)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
(10) 前記運動系が、
前記車両においてそれの左右方向に延びるとともに、前記左右の車輪を転舵するために直線変位させられる直線変位部材と、
その直線変位部材を直線変位させるために回転させられる第1および第2の回転部材と
の連結体を含み、
前記2群のアクチュエータ装置がそれぞれ、前記第1および第2の回転部材を回転させるために設けられ、それにより、それら2群のアクチュエータ装置が前記直線変位部材を直線変位させるために冗長的に設けられている(4)ないし(9)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0034】
この装置によれば、前述の、車輪による物体の弾き飛ばしまたは巻き込みやオフセット衝突が発生した場合に、2群のアクチュエータ装置のうち、第1の回転部材のためのアクチュエータ装置のコネクタと、第2の回転部材のためのアクチュエータ装置のコネクタとが一緒に故障してしまう可能性を低減させることが容易となる。
(11) 前記2群のアクチュエータ装置の少なくとも一方の各々が、アクチュエータ装置を2個有するとともに、それら2個のアクチュエータ装置が、前記第1および第2の回転部材のうち対応するものに関して冗長的に設けられている(10)項に記載の車両用操舵装置。
(12) 前記複数個のアクチュエータ装置のうちの少なくとも1個に対応する少なくとも1個のコネクタが、対応するアクチュエータ装置に、それのハウジングから露出する状態で装着されている(1)ないし(11)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
(13) 前記少なくとも1個のコネクタが、前記車両に、それが走行する路面に対面する位置に配置されている(12)項に記載の車両用操舵装置。
(14) 前記複数個のアクチュエータ装置が、それらが一緒に故障しない限り、少なくとも1個のアクチュエータ装置による前記運動系の運動が確保されるように、同じ運動系に関して冗長的に設けられている(4)ないし(13)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0035】
この装置によれば、運動系を作動させるアクチュエータ装置に冗長性が与えられることにより、複数個のアクチュエータ装置が一緒に故障しない限り、運動系の運動が確保される。その結果、当該装置のフォールト・トレランスが向上し、ひいては信頼性が向上する。
(15) 前記運動系が、1個の運動部材によって構成される(1)ないし(14)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0036】
この装置においては、1個の運動部材に複数個のアクチュエータ装置が設けられる。
(16) 前記運動系が、複数個の運動部材が互いに連結されて構成される(1)ないし(14)項のいずれかに記載の車両用操舵装置。
【0037】
この装置においては、複数個のアクチュエータ装置が、例えば、互いに連結された複数個の運動部材のうちの1個の運動部材に共通に設けられ、あるいは、互いに異なる複数個の運動部材に個々に設けられる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1には、本発明の第1実施形態に従う車両用操舵装置が断面図で系統的に表されている。この操舵装置は、左右の前輪10,10と左右の後輪(図示しない)とを備えた車両において、転舵車輪である左右の前輪10,10をステア・バイ・ワイヤ方式によって電気的に転舵する。
【0040】
図1に示すように、この車両は、左右の前輪10,10を転舵するために運転者によって回転操作されるステアリングホイール14を備えている。一方、操舵装置は、操作制御部20と、転舵制御部22とを含むように構成されている。
【0041】
操作制御部20は、ステアリングホイール14に同軸に接続されたステアリング軸30を有している。一方、転舵制御部22は、車両において左右方向に延びてそれの長さ方向に移動させられるラックバー32(これが前記直線変位部材の一例である。)を有しており、このラックバー32によって左右の前輪10,10が転舵される。
【0042】
この操舵装置においては、それが正常である限り、ステアリングホイール14と転舵制御部22とが互いに機械的に絶縁される。そのため、従来からのマニュアル方式の操舵装置と同等の操作フィーリングを再現すべく、操作制御部20が、ステアリングホイール14に操作反力を擬似的に付与する。
【0043】
具体的には、操作制御部20においては、図1に示すように、ステアリング軸モータ40が設けられている。このステアリング軸モータ40は、図示しないが、ロータとステータとを含むように構成される。この構成は、下記の他のモータについても共通する。
【0044】
これに対し、転舵制御部22においては、図1に示すように、ハウジング50内において、ラックバー32に形成されたラック52にピニオン54がかみ合わされている。すなわち、この操舵装置は、ラック・アンド・ピニオン方式を採用しているのである。ピニオン54から延びるピニオン軸56はラックバー32に対して交差している。
【0045】
ラックバー32に直線運動を付与するために、転舵制御部22は、第1および第2のラック軸モータ(以下、単に「モータAおよびB」という。)と、それらの回転運動をラックバー32の直線運動に変換する運動変換機構としてのボールねじ60とを備えている。
【0046】
各モータA,Bは、図示しないロータとステータとを収容したハウジング58と、そのハウジング58から露出させられたコネクタ59とを備えている。各モータA,Bは、対応するコネクタ59において、図示しない電力供給要素としての相手コネクタと電気的に接続される。
【0047】
本実施形態においては、それらモータA,Bにそれぞれ対応する2個のコネクタ59,59がいずれも、左右の車輪10のうち近いものからの左右方向距離より、車両の左右方向における中心点を通過して車両の前後方向に延びる車両中心線(図1においては「車両中心」で表す。)からの左右方向距離の方が短くなるレイアウトで車両に配置されている。ただし、図1においては、図示による説明の都合上、図示された左右の車輪10,10間の中心と「車両中心」の表示位置とが互いに一致させられていない。
【0048】
具体的には、本実施形態においては、2個のコネクタ59,59がいずれも、車両中心線の近傍に配置されている。さらに、それらコネクタ59,59は、その車両中心線の方向に関して同じ位置に配置されている。すなわち、一方のコネクタ59が車両において、他方のコネクタ59より前方に位置したり後方に位置する関係が成立しないように配置されているのである。
【0049】
さらに、図1に示すように、本実施形態においては、モータAのコネクタ59は車両の左側領域(図において左側)に、モータBのコネクタ59は車両の右側領域(図において右側)にそれぞれ配置されており、それら2個のコネクタ59,59が車両の左側領域と右側領域とのいずれか一方に共通に配置されているわけではない。ここに、車両において左側領域と右側領域とは車両中心線によって互いに仕切られる。
【0050】
さらに、本実施形態においては、2個のモータA,Bが車両の左右方向に並んで配置されるとともに、モータAのコネクタ59が、そのモータAのうち、モータBから実用的に最も離れた位置(実用上支障がない範囲のうち最も離れた位置)に配置されている。同様にして、モータBのコネクタ59が、そのモータBのうち、モータAから実用的に最も離れた位置に配置されている。
【0051】
前述のボールねじ60は、めねじ62とおねじ64とが螺合されて構成されている。
【0052】
めねじ62は、回転可能かつ軸方向移動不能に支持される。このめねじ62は、図示しない複数個のベアリングを介してハウジング50に支持されている。このめねじ62は、モータAおよびBに共通のロータ62として機能し、その結果、このめねじ62はそれらモータAおよびBによって回転させられる。
【0053】
これに対し、おねじ64は、回転不能かつ軸方向移動可能に支持される。このおねじ64は、めねじ62の回転に伴って直線変位させられ、これにより、ラックバー32をそれの長さ方向に変位させる。このおねじ64をラック軸とも称する。
【0054】
なお付言すれば、同じラックバー32に関してラック軸モータが2個設けられているのは、このラックバー32の電気的駆動系についての冗長性を高めてフォールト・トレランスを向上させるためである。
【0055】
転舵制御部22においては、さらに、図1に示すように、ピニオン軸56にピニオン軸モータ(以下、単に「モータC」という。)の回転力が付与されるようになっている。本実施形態においては、モータCの回転力が、減速機能を有する伝達機構70を介してピニオン軸56に伝達されるようになっている。伝達機構70は、本実施形態においては、ピニオン軸56と共に回転するフェースギヤ72にピニオン74がかみ合わされた食い違い歯車対として構成されている。そのピニオン74は、モータCの出力軸76に同軸に連結されている。
【0056】
モータCは、図示しないロータとステータとを収容したハウジング80と、そのハウジング80から露出させられたコネクタ82とを備えている。モータCは、コネクタ82において、図示しない電力供給要素としての相手コネクタと電気的に接続される。
【0057】
モータCは、ラックバー32を作動させるために使用される点で、モータAおよびBと共通している。したがって、本実施形態においては、ラックバー32の駆動のためにモータAないしCが冗長的に設けられているのである。
【0058】
さらに、この操舵装置は、転舵制御部22の電気系統が万一故障した場合には、運転者がステアリングホイール14を操作することによって左右の前輪10,10を機械的に転舵することを可能にするために、バックアップ制御部140を備えている。
【0059】
バックアップ制御部140は、図1に示すように、ステアリング軸30に係合したプーリ142と、ピニオン軸56に係合したプーリ144とを備えている。本実施形態においては、いずれのプーリ142,144も、ステアリング軸30とピニオン軸56とのうち対応するものに同軸に固定されている。それら2個のプーリ142,144にはワイヤ146が巻き掛けられている。
【0060】
ただし、ステアリング軸30とピニオン軸56との間、具体的には、ワイヤ146の途中にクラッチ150が設けられている。このクラッチ150により、常には、それら2者が機械的に互いに絶縁されているが、操舵装置の異常時には、それら2者が機械的に互いに連携させられる。
【0061】
図1に示すように、操作制御部20は、さらに、ステアリングホイール14に関連し、それの回転角である操舵角を絶対角として検出する絶対角センサ154を備えている。
【0062】
図1に示すように、転舵制御部22においては、モータAおよびBにそれぞれ、それらに共通のロータ62の回転角すなわちめねじ62の回転角を相対角として検出する相対角センサ(以下、単に「センサAおよびB」という。)が設けられている。各センサA,Bは、それのハウジングから露出したコネクタ160を備えている。このコネクタ160も、前記コネクタ59と同様なレイアウトで車両に配置されている。
【0063】
さらに、モータCには、それのロータ(図示しない)の回転角、すなわち、ピニオン74の回転角を相対角として検出する相対角センサ(以下、単に「センサC」という。)が設けられている。センサCは、それのハウジングから露出したコネクタ164を備えている。
【0064】
さらに、転舵制御部22においては、ピニオン軸56に関連し、それの回転角を絶対角として検出する絶対角センサ(以下、単に「センサD」という。)が設けられている。このセンサDは、ピニオン軸56の絶対回転角を利用して最終的に車輪の転舵量を検出するために利用される。センサDは、それのハウジングから露出したコネクタ166を備えている。
【0065】
以上説明した相対角センサA,BおよびCはいずれも、図示しないが、対応するモータにおけるロータと共に回転する回転体(例えば、レゾルバ・ロータ)と固定体(例えば、レゾルバ・ステータ)とを含むように構成される。
【0066】
さらに、転舵制御部22においては、ハウジング50の各端部がブーツ170で覆われている。ハウジング50の各端部からは、ラックバー32(またはそれと一緒に運動する可動部材)が延び出しており、ブーツ170は、それらハウジング50の各端部とラックバー32との隙間に異物や水分が進入することを防止するために設けられている。
【0067】
ブーツ170は、筒状を成し、ハウジング50およびラックバー32と同軸に延びるとともに、それらハウジング50とラックバー32とにそれぞれ気密に固定されている。それにもかかわらず、それらハウジング50とラックバー32との間における軸方向相対変位を許容するため、ブーツ170は柔軟性を有している。具体的には、ブーツ170は、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されるとともに、軸方向中間部においてベロー状を成している。
【0068】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ロータ62が前記(1)項における「運動系」の一例を構成し、モータAおよびBが、同項における「少なくとも1個のアクチュエータ装置」の一例を構成するとともに、前記(3)項における「複数個のアクチュエータ装置」の一例を構成しているのである。
【0069】
さらに、本実施形態においては、ロータ62が前記(4)または(5)項における「運動系」の一例を構成し、モータAおよびBが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一例を構成し、2個のコネクタ59が同項における「2群のコネクタ」の一例を構成しているのである。
【0070】
さらに、本実施形態においては、ロータ62とピニオン軸56との連結体が前記(4)項における「運動系」の一例を構成し、モータAが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一方である第1群のアクチュエーア装置の一例を構成し、モータBおよびCが同項における「2群のアクチュエータ装置」の他方である第2群のアクチュエータ装置の一例を構成しているのである。さらに、モータAのコネクタ59が同項における「2群のコネクタ」の一方である第1群のコネクタの一例を構成し、モータBのコネクタ59およびモータCのコネクタ82が同項における「2群のコネクタ」の他方である第2群のコネクタの一例を構成しているのである。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0072】
第1実施形態においては、ピニオン軸56を経て最終的にラックバー32に力を付与するために、モータCがピニオン軸56に伝達機構70を介して係合させられているが、本実施形態においては、図2に示すように、ロータ62を経て最終的にラックバー32に力を付与するために、モータCがロータ62に伝達機構200を介して係合させられている。
【0073】
その伝達機構200は、ロータ62の回転軸線と交差するクロス軸202を備えており、このクロス軸202にモータCが連結されている。そのクロス軸202は、本実施形態においては、ロータ62と斜めに交差させられている。また、伝達機構200は、本実施形態においては、食い違い歯車対の一例である傘歯車対により構成されている。傘歯車対は、ロータ62と一体的に回転する第1傘歯車206と、クロス軸202と一体的に回転する第2傘歯車208とがかみ合って構成されている。
【0074】
本実施形態においては、モータCのコネクタ82も、モータAおよびBのコネクタ59と同様に、車両中心からの左右方向距離の方が、左右の車輪10のうち近いもの(図においては右側の車輪10)からの左右方向距離より短くなるレイアウトで車両に配置されている。
【0075】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ロータ62が前記(1)項における「運動系」の一例を構成し、この例においては、モータAおよびBが同項における「少なくとも1個のアクチュエータ装置」の一例を構成しているのである。
【0076】
さらに、本実施形態においては、ロータ62とクロス軸202との連結体が前記(1)項における「運動系」の一例を構成し、この例においては、モータAないしCが同項における「少なくとも1個のアクチュエータ装置」の一例を構成しているのである。
【0077】
さらに、本実施形態においては、ロータ62が前記(4)または(5)項における「運動系」の一例を構成し、モータAおよびBが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一例を構成し、2個のコネクタ59,59が同項における「2群のコネクタ」の一例を構成しているのである。
【0078】
さらに、本実施形態においては、ロータ62とクロス軸202との連結体が前記(4)項における「運動系」の一例を構成し、モータAが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一方である第1群のアクチュエーア装置の一例を構成し、モータBおよびCが同項における「2群のアクチュエータ装置」の他方である第2群のアクチュエータ装置の一例を構成しているのである。
【0079】
さらに、本実施形態においては、モータAのコネクタ59が前記(4)項における「2群のコネクタ」の一方である第1群のコネクタの一例を構成し、モータBのコネクタ59およびモータCのコネクタ82が同項における「2群のコネクタ」の他方である第2群のコネクタの一例を構成しているのである。
【0080】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0081】
第1実施形態においては、ピニオン軸56に回転力を付与するために、そのピニオン軸56と同軸ではない回転軸線を有するようにモータCが配置されるとともに、それらモータCとピニオン軸56との間に伝達機構70が設けられている。
【0082】
これに対し、本実施形態においては、図3に示すように、モータCがピニオン軸56に同軸に、かつ、それと半径方向においてオーバラップするように配置されている。具体的には、モータCのロータが中空とされてそれにピニオン軸56が同軸に貫通させられて固定されている。本実施形態においては、伝達機構70に相当する部品は使用されない。
【0083】
さらに、本実施形態においては、センサCも、ピニオン軸56と同軸に配置されている。
【0084】
したがって、本実施形態によれば、転舵制御部のうち特に、ピニオン軸56を駆動する機構に関し、構造の単純化およびダウンサイズが容易となる。
【0085】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第3実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0086】
第3実施形態においては、ピニオン軸56の回転角を検出するために、相対角として検出するセンサCと、絶対角として検出するセンサDとがピニオン軸56に同軸に配置されている。
【0087】
これに対し、本実施形態においては、センサCが、ピニオン軸56の回転角を絶対角として検出する形式に変更され、それにより、センサDが省略されている。
【0088】
したがって、本実施形態によれば、転舵制御部のうち特に、ピニオン軸56を駆動する機構およびそれの回転角を検出する機構に関し、構造の単純化およびダウンサイズが容易となる。
【0089】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0090】
第1実施形態においては、最終的にラックバー32を直線変位させるために、モータAおよびBの他にモータCが設けられている。
【0091】
これに対し、本実施形態においては、図5に示すように、モータCがセンサCおよび伝達機構70と共に省略されている。
【0092】
したがって、本実施形態によれば、転舵制御部のうち特に、ピニオン軸56を駆動する機構およびそれの回転角を検出する機構に関し、構造の単純化およびダウンサイズが容易となる。
【0093】
次に、本発明の第6実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0094】
第1実施形態においては、モータAのコネクタ59は車両の左側領域に、モータBのコネクタ59およびモータCのコネクタ82は車両の右側領域にそれぞれ配置されている。
【0095】
これに対し、本実施形態においては、図6に示すように、モータAのコネクタ59およびモータBのコネクタ59は車両の左側領域に、モータCのコネクタ82は車両の右側領域にそれぞれ配置されている。
【0096】
本実施形態においては、モータAおよびBが、車両中心との相対的な関係については第1実施形態と異なるが、モータAおよびB同士の相対的な関係については第1実施形態と共通する。
【0097】
さらに、本実施形態においては、第1実施形態と同様に、モータAおよびBのうちモータBは、左右の車輪10,10のうち近い方である左輪10からの左右方向距離より、車両中心からの左右方向距離の方が短くなるレイアウトで車両に配置されている。
【0098】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、ロータ62が前記(1)項における「運動系」の一例を構成し、モータBが同項における「少なくとも1個のアクチュエータ装置」の一例を構成しているのである。
【0099】
さらに、本実施形態においては、ロータ62が前記(4)または(5)項における「運動系」の一例を構成し、モータAおよびBが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一例を構成し、2個のコネクタ59が同項における「2群のコネクタ」の一例を構成しているのである。
【0100】
さらに、本実施形態においては、ロータ62とピニオン軸56との連結体が前記(4)または(7)項における「運動系」の一例を構成し、モータAおよびBが同項における「2群のアクチュエータ装置」の一方である第1群のアクチュエーア装置の一例を構成し、モータCが同項における「2群のアクチュエータ装置」の他方である第2群のアクチュエータ装置の一例を構成しているのである。さらに、モータAおよびBのコネクタ59,59が同項における「2群のコネクタ」の一方である第1群のコネクタの一例を構成し、モータCのコネクタ82が同項における「2群のコネクタ」の他方である第2群のコネクタの一例を構成しているのである。
【0101】
次に、本発明の第7実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0102】
第1実施形態においては、ハウジング50の各端部がブーツ170によって覆われている。これに対し、本実施形態においては、図7にハウジング50の一端部のみを代表的に示すように、ブーツ170の内側に別のブーツ200が二重に配置されている。
【0103】
本実施形態においては、ハウジング50の各端部の中央から筒状の延出部202がラックバー32と同軸に延び出している。この延出部202は、それの基端部側(ハウジング50と接続される側)に位置する小径部204と、自由端部側に位置する大径部206とが互いに直列に並んだ段付き状を成している。この延出部202は、小径部204においてラックバー32に気密に嵌合されている。
【0104】
そして、ブーツ200は、ブーツ170と同様に筒状を成し、ハウジング50およびラックバー32と同軸に延びるとともに、大径部206とラックバー32のうちその大径部206から突出した部分とにそれぞれ気密に固定されている。それにもかかわらず、それら大径部206とラックバー32との間における軸方向相対変位を許容するため、ブーツ200は柔軟性を有している。具体的には、ブーツ200は、ブーツ170と同様に、例えば、ゴム等の弾性材料によって形成されるとともに、軸方向中間部においてベロー状を成している。
【0105】
次に、本発明の第8実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第7実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0106】
第7実施形態においては、ブーツ170と、ラックバー32のうちそのブーツ170から突出した部分とがいずれも露出させられている。
【0107】
これに対し、本実施形態においては、図8に示すように、それらブーツ170とラックバー32とがプロテクタ230によって覆われている。プロテクタ230は、概してテーパ状を成す筒体232によって形成されている。底板236の中央にはそれと同軸に貫通穴238が形成されている。図9には、このプロテクタ230のみが斜視図で示されている。
【0108】
図8に示すように、このプロテクタ230は、ハウジング50の各端部にそれと同軸に装着されている。このプロテクタ230は、それの小径部においてハウジング50に固定されている。一方、ラックバー32の各端部にはリンク240がジョイント242によって揺動可能に連結されている。そのジョイント242は、ラックバー32のうちハウジング50から突出した部分と共にプロテクタ230内に収容されている。
【0109】
図8には、ラックバー32がニュートラル位置にある状態で示されており、その位置から左方に移動すれば、ジョイント242とラックバー32の一部とがプロテクタ230から露出することとなる。
【0110】
本実施形態においては、プロテクタ230が剛体であるため、車輪によって路面上から弾き飛ばされた小石による破損からブーツ170,200を保護することが可能となる。
【0111】
次に、本発明の第9実施形態を説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と転舵制御部が異なるのみで、他の点については共通するため、共通する要素については同一の名称または符号を使用して引用することによって詳細な説明を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0112】
第1実施形態においては、ロータ62の外周面に、図示しないマグネットが露出状態で装着されている。これに対し、本実施形態においては、図10に示すように、ロータ62の外周面に幅広の環状溝260が同軸に形成され、その環状溝260にマグネット262が収容されて固着されている。
【0113】
環状溝260には、軸方向における両端部において、軸方向中央部より深い底部を有するシール溝264,264が形成されている。それら2個のシール溝264,264にそれぞれ、シール部材としてのOリング266,266が装着されている。
【0114】
そして、ロータ62の外周面に筒状の被覆部材268が同軸に嵌合され、それにより、マグネット262が外側から覆われる。さらに、それら被覆部材268の内周面とロータ62の外周面との間においてマグネット262を収容する空間が、それを軸方向において挟む一対のOリング266,266によって封止される。被覆部材268は、例えばかしめにより、ロータ62から軸方向に離脱不能に取り付けられる。被覆部材268は、例えば、それ自体防錆効果を有する材料(例えば、ステンレス)や、防錆処理が施された材料によって構成される。
【0115】
したがって、本実施形態によれば、マグネット262への水分の付着が防止され、それにより、マグネット262の腐食が防止される。
【0116】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前記[課題を解決するための手段]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に従う車両用操舵装置を系統的に示す正面断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部を示す正面断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部を示す正面断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部を示す正面断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部を示す正面断面図である。
【図6】本発明の第6実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部を示す正面断面図である。
【図7】本発明の第7実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部をそれの軸方向における一端部に関して部分的に示す正面断面図である。
【図8】本発明の第8実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部をそれの軸方向における一端部に関して部分的に示す正面断面図である。
【図9】図8におけるプロテクタ230を拡大して示す斜視図である。
【図10】本発明の第9実施形態に従う車両用操舵装置のうちの転舵制御部をそれのロータに関して部分的に示す正面断面図である。
【符号の説明】
10 前輪
14 ステアリングホイール
20 操作制御部
22 転舵制御部
30 ステアリング軸
32 ラックバー
56 ピニオン軸
58,80 ハウジング
59,82 コネクタ
62 ロータ
A,B,C,E,F モータ
Claims (7)
- 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる少なくとも1個のアクチュエータ装置であって、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、その少なくとも1個のアクチュエータ装置に対応する少なくとも1個のコネクタが前記車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線からの左右方向距離の方が、前記左右の車輪のうち近いものからの左右方向距離より短くなるレイアウトで配置されている車両用操舵装置。 - 前記少なくとも1個のコネクタが前記車両に、前記車両中心線の近傍に配置されている請求項1に記載の車両用操舵装置。
- 前記少なくとも1個のアクチュエータ装置が、同じ運動系に関して冗長的に設けられた複数個のアクチュエータ装置を含み、前記少なくとも1個のコネクタが、それら複数個のアクチュエータ装置に対応する複数個のコネクタを含む請求項1または2に記載の車両用操舵装置。
- 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる複数個のアクチュエータ装置であって、各アクチュエータ装置が、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、それら複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタが前記車両に、その車両の左右方向における中心点を通過してその車両の前後方向に延びる車両中心線によってその車両が仕切られる右側領域と左側領域とにそれぞれ配置されている車両用操舵装置。 - 車両を電気的に操舵するための車両用操舵装置であって、
前記車両においてそれの右側と左側とにそれぞれ配置された左右の車輪を転舵するために運動させられる運動系と、
その運動系に作動力を付与するために電気的に作動させられる複数個のアクチュエータ装置であって、各アクチュエータ装置が、それに電力を供給する要素に電気的に接続されるためのコネクタを有するものと
を含み、かつ、それら複数個のアクチュエータ装置が分類された2群のアクチュエータ装置が前記車両の左右方向に並んで配置されるとともに、それら2群のアクチュエータ装置にそれぞれ対応する2群のコネクタの各々が、対応する群のアクチュエータ装置のうち、他方の群のコネクタに対応するアクチュエータ装置から可及的に離れた位置に配置されている車両用操舵装置。 - 前記2群のアクチュエータ装置がそれぞれ、前記左右方向において空間を隔てて互いに対向する2群の設定位置に配置されている請求項5に記載の車両用操舵装置。
- 前記運動系が、
前記車両においてそれの左右方向に延びるとともに、前記左右の車輪を転舵するために直線変位させられる直線変位部材と、
その直線変位部材を直線変位させるために回転させられる第1および第2の回転部材と
の連結体を含み、
前記2群のアクチュエータ装置がそれぞれ、前記第1および第2の回転部材を回転させるために設けられ、それにより、それら2群のアクチュエータ装置が前記直線変位部材を直線変位させるために冗長的に設けられている請求項4ないし6のいずれかに記載の車両用操舵装置。
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