JP2005023822A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二次空気供給時の機関吸気流量を正確に算出する。
【解決手段】可変動弁装置60を有する内燃機関1の排気通路3にNOX吸蔵還元触媒40を配置する。触媒40の硫黄被毒解消のための昇温を行う際に、機関1をリッチ空燃比で運転するとともに過給機35下流側の吸気通路2から二次空気通路51、流量制御弁53を介して触媒40に二次空気を供給する。電子制御ユニット(ECU)30は、二次空気供給時以外の運転では吸気通路入口に配置したエアフローメータ10出力に基づいて機関吸気流量を算出し、二次空気供給時には、可変動弁装置60による気筒弁の開弁特性変更を禁止して各弁の開弁特性を気筒ポンプロスが最大になる状態に固定するとともに、エアフローメータ10に代えて吸気圧センサ15出力に基づいて機関吸気流量を算出する。これにより、二次空気供給時にも正確に機関吸気流量を算出することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】可変動弁装置60を有する内燃機関1の排気通路3にNOX吸蔵還元触媒40を配置する。触媒40の硫黄被毒解消のための昇温を行う際に、機関1をリッチ空燃比で運転するとともに過給機35下流側の吸気通路2から二次空気通路51、流量制御弁53を介して触媒40に二次空気を供給する。電子制御ユニット(ECU)30は、二次空気供給時以外の運転では吸気通路入口に配置したエアフローメータ10出力に基づいて機関吸気流量を算出し、二次空気供給時には、可変動弁装置60による気筒弁の開弁特性変更を禁止して各弁の開弁特性を気筒ポンプロスが最大になる状態に固定するとともに、エアフローメータ10に代えて吸気圧センサ15出力に基づいて機関吸気流量を算出する。これにより、二次空気供給時にも正確に機関吸気流量を算出することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には排気通路に配置した排気浄化用触媒に蓄積された、触媒の排気浄化能力を低下させる被毒物質を触媒温度を上昇させて触媒から放出させる被毒解消操作を行う内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関排気通路に、排気浄化触媒を配置して排気中の有害物質を浄化する技術が知られている。このような排気浄化触媒には、使用とともに排気中の特定の成分(被毒物質)を吸収、吸着等により吸蔵し、被毒物質の吸蔵量増大とともに排気浄化能力が低下するものがある。
【0003】
例えば、排気浄化触媒として、流入する排気空燃比がリーンのときに排気中の窒素酸化物(NOX)を吸収、吸着またはその両方により吸蔵し、流入する排気空燃比がリッチになったときに吸蔵したNOXを還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が知られているが、NOX吸蔵還元触媒は排気中に硫黄酸化物(SOX)が含まれると、NOXと同様にSOXを吸蔵する。
【0004】
しかも、SOXはNOX吸蔵還元触媒内で安定した硫酸塩を形成するため、NOXのように単に排気空燃比をリッチにしただけでは触媒から放出されず、徐々にNOX吸蔵還元触媒中に吸蔵された硫黄成分の量が増大するにつれてその分だけNOXの吸蔵能力が低下する。すなわち、NOX吸蔵還元触媒は排気中の被毒物質としての硫黄を吸蔵し、硫黄による被毒を生じる。
【0005】
NOX吸蔵還元触媒の硫黄被毒を解消するためには、排気空燃比をリッチにしただけでは足りず、排気空燃比をリッチにするとともに触媒温度を通常運転時より高い所定の温度まで上昇させる被毒解消操作が必要となる。
被毒解消操作時に触媒温度を通常運転時より高い所定温度まで上昇させるためには、触媒に未燃燃料などの炭化水素(HC)やCO成分を比較的多量に供給するとともに、充分な酸素を供給してHCやCO成分を触媒上で燃焼させることが有効である。
【0006】
このため、被毒解消操作時に機関をリッチ空燃比で運転することにより、排気中のHCやCO成分量を増大させるとともに、触媒に二次空気を供給することにより燃焼に必要な酸素を触媒に供給して効率的に触媒を昇温することが提案されている(特許文献2参照)。
通常、触媒の昇温は機関冷間始動時に短時間で触媒温度を活性化温度に到達させるためにも必要となる。このため、通常は始動時にも昇温操作を行うために専用のエアポンプを設けて触媒に二次空気を供給することが行われる。
【0007】
ところで、リーン空燃比運転を行ういわゆるリーンバーンエンジンでは、リーン空燃比運転を行う負荷領域を拡大するためにターボチャージャ(過給機)を設ける場合がある。この場合、排気エネルギーが比較的小さくなる低負荷リーン空燃比運転領域でも過給機の回転を高く維持することができるように、電動機で補助的に過給機のコンプレッサを駆動する、モーターアシストターボチャージャー(MAT)が用いられる場合がある。
【0008】
一般に、排気系に過給機を設けると排気系の熱容量の増大や過給機による排気温度の低下などのために触媒の温度が上昇しにくくなるため、機関始動時や被毒解消操作時には上述した二次空気を用いる昇温操作の必要性が大きくなる。しかし、MATを使用する場合には、機関始動時にもモーターでコンプレッサを駆動して充分な量の空気を機関に供給することができる。
【0009】
従ってMATを使用する場合には、過給機下流側の吸気通路から触媒に二次空気を供給するようにすれば二次空気供給用のエアポンプを別途設けることなく触媒の暖機や被毒解消操作時に常に充分な量を二次空気を供給することができ、二次空気供給系の構成を簡易なものにすることができる。
ところが、このように過給機下流側の吸気通路から二次空気を供給すると機関の吸入空気量を検出する上で問題が生じる場合がある。
【0010】
通常、機関の吸入空気量は過給機上流側の吸気通路に設けた流量計(エアフローメータ)により検出する。しかし、二次空気は過給機の下流側吸気通路から取り出す必要があるため、二次空気の供給が行われるとエアフローメータで検出した吸気流量より実際に機関に吸入される吸気流量が二次空気の分だけ少なくなってしまい、エアフローメータでは吸気流量を正確に検出することができない問題が生じるのである。
【0011】
この問題は、過給機の下流側の吸気通路にエアフローメータを配置して二次空気分岐後の吸気流量を検出すれば解決するが、過給機を通過した吸気には微量ながら過給機の潤滑油が混入しているため、過給機下流側にエアフローメータを配置すると検出部への潤滑油付着などによりエアフローメータの検出値の信頼性が低下する問題があり、過給機下流側にエアフローメータを配置することはできない。
【0012】
このため、例えば特許文献1ではエアフローメータに加えて二次空気通路にも流量計測手段を設け、二次空気供給時には機関吸気流量をエアフローメータで検出した吸気流量から二次空気流量を差し引いた値として算出するようにして、機関吸気流量に誤差が生じることを防止している。
【0013】
【特許文献1】
特公平7−42873号公報
【特許文献2】
特開平11−280456号公報
【特許文献3】
特開平10−82333号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1のように二次空気流量を計測する場合にも過給機のコンプレッサを通過した空気を流量計測手段で計測することとなるため、計測値の信頼性が低下する問題がある。上記特許文献1では、流量計測手段として過給機通過空気に含まれる潤滑油の影響が生じにくいオリフィスを二次空気供給通路に配置し、オリフィスの上流側と下流側の差圧を検出して流量に換算するようにしている。
【0015】
しかし、特許文献1のようにオリフィスを用いて二次空気流量を正確に検出する場合には、オリフィス開口部を絞って上流側と下流側との差圧を充分に大きくする必要があるが、差圧を大きく設定すると二次空気通路の圧損が増大してしまうためオリフィス差圧を充分に大きく設定できず、流量検出精度を充分に高くできない場合が生じる。
【0016】
前述したように、触媒の被毒解消操作中は機関排気空燃比をリッチ空燃比にして、二次空気を触媒に供給するが、この場合には機関排気空燃比を適切な値に正確に制御する必要がある。例えば、排気空燃比のリッチ度合いが大きすぎると排気中のHCやCOが増大し、触媒で燃焼せずに下流側に流出するHCやCOの量が増大するため、被毒解消操作中機関空燃比は理論空燃比よりややリッチ側の値に正確に制御してHCやCOの発生量を低減することが好ましい。
【0017】
この場合、特許文献1の装置では正確に機関吸気量を算出できない場合が生じ、機関の空燃比を正確に制御できなくなる問題が生じる。
一方、混入した潤滑油の影響を受けにくく、しかも精度の高い機関吸気流量計測方法としては、従来より吸気圧力に基づく方法が知られている。機関に実際に吸入される空気量は、回転数が一定であれば吸気圧力に応じて変化する。従って、各回転数における吸気圧力と吸気流量との関係を予め実験などにより求めて数値マップの形で予め記憶装置に保持しておき、サージタンクに設けた吸気圧センサで検出した吸気圧力と機関回転数とを用いて上記マップから機関吸気流量を求めるようにすることにより、過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも機関吸気流量を正確に求めることが可能となる。
【0018】
ところが、上記のように吸気圧力に基づいて機関吸気流量を検出する方法を、例えば機関の吸気弁または排気弁のバルブタイミングやリフト量、開弁期間等の開弁特性を運転中に変化させる可変動弁装置を有する機関に適用すると問題が生じる。
前述したように、機関吸気流量は回転数と吸気圧力とに応じて定まるが、開弁特性を変化させると同一の回転数、吸気圧力の条件であっても機関吸気流量が変化してしまう。
【0019】
このため、可変動弁装置を有する機関で、エアフローメータに代えて吸気圧センサのみで吸気流量を検出しようとすると、前述した回転数と吸気圧力との数値マップを各開弁特性値(バルブタイミング、リフト、開弁期間など)毎に準備する必要があるが、この場合必要とされるマップの数が莫大になり、マップの準備作業、記憶装置の記憶容量、制御装置の計算負荷などを考慮すると事実上全てのマップを備えることは不可能である。
【0020】
このため、従来可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合には、正確に吸気流量を算出することは困難な問題があった。
本発明は上記問題に鑑み、可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも正確に機関吸気流量を検出することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁と排気弁との少なくとも一方の弁の開弁特性を機関運転中に変更する開弁特性変更手段と、機関吸気通路を流れる吸気流量を検出する流量検出手段と、検出された吸気流量に基づいて内燃機関の運転制御を行う制御手段と、備えた内燃機関の制御装置であって、更に、機関吸気圧力を検出する吸気圧検出手段を備え、前記制御手段は、機関の予め定めた運転条件が成立した場合には、前記弁の開弁特性を予め定めた状態に固定して前記開弁特性変更手段による開弁特性の変更を禁止するとともに、前記流量検出手段により検出された吸気流量に代えて前記吸気圧検出手段により検出された機関吸気圧力に基づいて内燃機関の前記運転制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置が提供される。
【0022】
すなわち、請求項1の発明では、例えばエアフローメータ等のような吸気流量を直接検出する流量検出手段と、機関吸気圧力を検出する吸気圧検出手段とが備えられている。制御手段は、通常は流量検出手段で検出した機関吸気流量を用いて機関の運転制御を行うが、機関の特定の運転条件が成立したとき(例えば二次空気供給が行われているとき等)には、吸気圧検出手段で検出した吸気圧力に基づいて機関の運転制御を行う。例えば吸気圧力に基づいて機関吸気流量を算出し、この吸気流量を用いて機関の運転制御を行うようにすることも可能である。
【0023】
ところがこの場合、可変動弁装置等のような開弁特性変更手段を備えた機関では各開弁特性状態について正確に吸気流量を算出するためには、機関回転数と吸気圧とで表したマップが必要になるが、本発明では吸気圧力に基づいて機関の運転制御を行う場合には弁の開弁特性を予め定めた状態に固定する。このため、吸気圧に基づいて機関制御を行う場合には、特定の開弁特性におけるマップを準備するだけで機関吸気流量を求めることが可能となり、可変動弁装置を備えた機関においても簡易に吸気圧力に基づく機関運転制御を行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、前記内燃機関は、前記吸気通路を流れる吸気の一部を機関排気通路に二次空気として供給する二次空気供給手段を備え、前記流量検出手段は、吸気通路から前記二次空気が分岐される分岐点より上流側の吸気通路の吸気流量を検出し、前記吸気圧検出手段は前記二次空気の分岐点より下流側での吸気圧力を検出し、前記予め定めた運転条件は二次空気供給手段により吸気の一部が二次空気として排気通路に供給されている状態である請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項2の発明では、二次空気を供給中には流量検出手段が検出した吸気流量は二次空気流量を含んだ流量となり、実際の機関吸気流量とは異なる値となる。一方、吸気圧検出手段は二次空気分岐点より下流側の吸気圧力を検出しているため、二次空気供給中であっても吸気圧力に基づいて機関吸気流量を算出することにより二次空気流量を含まない正味の機関吸気流量を算出することができる。従って、二次空気供給が行われているときには吸気圧検出手段の検出した吸気圧力に基づいて機関の運転を制御することにより、二次空気供給が行われている場合にも正確な吸気流量に基づく運転制御を行うことが可能となる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、前記内燃機関は、排気中の有害物質を浄化するとともに排気中の特定成分を吸蔵して排気浄化能力が低下する排気浄化用触媒を備え、前記制御手段は必要に応じて、前記内燃機関をリッチ空燃比で運転しつつ二次空気供給手段により前記排気浄化用触媒に二次空気を供給することにより前記排気浄化用触媒の温度を上昇させて触媒から吸蔵した前記特定成分を放出させる被毒解消操作を行う、請求項2に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項3の発明では排気通路に配置した触媒の被毒解消操作時の昇温のために二次空気の供給を行う。これにより、本発明では二次空気供給時にも正確な機関吸気流量に基づく機関運転制御を行うことが可能となり、排気性状の悪化が防止されるとともに、効率的に触媒の温度を上昇させて触媒の被毒解消操作を行うことが可能となる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、前記制御手段は、前記開弁特性変更手段による開弁特性変更禁止時に、前記予め定めた状態として前記触媒に二次空気を供給していない場合に比較して気筒のポンプロスが増大する状態に前記弁の開弁特性を固定する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0029】
すなわち、請求項4の発明では、二次空気供給時(すなわち触媒昇温時)に弁の開弁特性が気筒のポンプロスが増大する状態に固定される。ポンプロスが増大した状態で機関が運転されると、機関出力が同一であっても必要とされる燃料量が増大し排気温度も上昇する。このため、本発明では触媒昇温時ポンプロスを増大することにより、短時間で触媒温度を所望の温度まで昇温することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の制御装置を自動車用ガソリン機関に適用した場合の概略構成を示す図である。
【0031】
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機関1は4気筒ガソリン機関とされる。また、機関1は、運転領域の大部分の領域でリーン空燃比運転が可能な、いわゆるリーンバーンエンジンとされている。
図1において、2は吸気通路、21は吸気通路2に接続されたサージタンクを示す。サージタンク21は吸気枝管を介して各気筒の吸気ポートに接続されている。31は各気筒の排気ポートを排気通路3に接続する排気マニホルドである。
【0032】
本実施形態では、機関1の過給を行なう過給機35が設けられており、排気通路3は過給機35の排気入口に、吸気通路2は過給機35の吸気吐出口に、それぞれ接続されている。
本実施形態では、過給機35は排気通路3に配置されたタービン35aと吸気通路2に配置されたコンプレッサ35bとを連結するシャフトを駆動するモータ35cを備えており、タービン35aに加えて補助的にモータ35cを用いてコンプレッサ35bを駆動することが可能なモーターアシストターボチャージャ(MAT)の形式とされる。
【0033】
通常、機関1がリーン空燃比で運転されている場合には機関排気温度は理論空燃比運転時に較べて低くなり、排気の持つエネルギが低いため過給機35のタービン35aの回転数があまり上昇せず過給圧も低くなる。このため、リーン空燃比運転中は通常であれば良好な過給効果が得られず、リーン空燃比を維持したまま出力を増大することが困難な場合がある。
【0034】
これに対して、MAT35を用いた場合には、排気タービン35aに加えて電動モータ35cによりコンプレッサ35bを駆動することができるため、リーン空燃比運転時にも過給機の回転数を上昇させ高い過給圧を得ることが可能となる。これにより、本実施形態では機関への燃料供給量の増大に応じて機関への充填吸気量を増大させ、リーン空燃比を維持しながら高出力を得ることが可能となるため、リーン空燃比運転領域を高出力側に拡大することが可能となっている。
【0035】
吸気通路2にはMAT35のコンプレッサ35bから供給される吸気の冷却を行なうインタークーラ25及びスロットル弁27が設けられている。
本実施形態のスロットル弁27は、いわゆる電子制御スロットルとされ、後述するECU30からの信号に応じて作動するステッパモータ、負圧アクチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータ27aを備えている。すなわち、スロットル弁27は、機関のアクセルペダル(図示せず)とは機械的には接続されておらず、ECU30からの信号に応じて、運転者のアクセルペダル踏み込み量とは直接対応しない開度を取ることができる。
【0036】
また、MAT35に流入する吸気が流れる吸気入口通路23には、MAT35に流入する吸気流量を検出するエアフローメータ10が設けられている。本実施形態では、エアフローメータ10としてはベーン式、超音波式、熱線式などの公知の形式のエアフローメータのいずれかが使用される。
また、本実施形態ではサージタンク21にはサージタンク内の吸気圧力を検出する吸気圧センサ15が設けられている。後述するように吸気圧センサ15で検出した吸気圧力は二次空気供給時の機関吸気流量を算出するために用いられる。
【0037】
MAT35のタービン35a下流側の排気通路3には、三元触媒からなるスタートキャタリスト(SC)37と、その下流側にNOX吸蔵還元触媒40がそれぞれ配置されている。
スタートキャタリスト37は、機関始動後短時間で活性化温度まで昇温するように比較的小容量のものとされ、機関始動直後の排気浄化を行う。
【0038】
NOX吸蔵還元触媒40は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中の窒素酸化物(NOX)を吸着、吸収またはその両方で吸蔵し、流入する排気の空燃比がリッチになったときに吸蔵したNOXを還元浄化する触媒である。
本実施形態では、機関1は大部分の運転領域でリーン空燃比運転が可能な機関であり、機関1がリーン空燃比運転される状態では、排気中のNOXはNOX吸蔵触媒40に吸蔵される。
【0039】
なお、NOX吸蔵触媒40に吸蔵したNOXは、リーン空燃比運転中に短時間機関1をリッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行い、NOX吸蔵触媒40にリッチ空燃比の排気を供給することにより還元浄化される。
しかし、NOX吸蔵触媒40には排気中に含まれる微量の硫黄酸化物(SOX)もNOXと同様に吸蔵されるが、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXは安定した硫酸塩を形成するためNOXのように単にリッチスパイク操作を行っただけではNOX吸蔵還元触媒から放出させることはできない。このため、運転中徐々にNOX吸蔵還元触媒40のSOX吸蔵量が増大し、吸蔵されたSOXの分だけ吸蔵可能なNOX量が低下する、いわゆる硫黄被毒が生じる。
【0040】
硫黄被毒を解消するためには、前述したように排気空燃比をリッチにするとともに触媒40に二次空気を供給し、未燃HC、CO等の可燃成分を触媒40上で酸化する昇温操作が必要となる。
本実施形態では、MAT35を使用しているため触媒40の昇温操作のための二次空気の供給はMAT35により行う。すなわち、図1に示すように本実施形態ではMAT35とインタークーラ25との間の吸気通路2と、排気通路3のNOX吸蔵還元触媒40入口部分とを接続する二次空気通路51が設けられており、MAT35の吐出空気を二次空気としてNOX吸蔵還元触媒40に供給可能となっている。図1に53で示すのは二次空気通路51に配置された、触媒40への二次空気供給量を制御する流量制御弁である。
【0041】
本実施形態では、機関1には可変動弁装置60が設けられている。
可変動弁装置60は、機関1の気筒吸気弁または排気弁若しくはその両方の作動特性を変化させ、バルブタイミング、リフト量、開弁期間などの機関性能に影響を与えるバルブの開弁特性を機関運転中に変化させるものである。
可変動弁装置60としては、例えば弁を駆動するカム軸のカムプロファイルをカム軸軸線方向に変化させ、カム軸を軸線方向に移動することにより、異なるプロファイルを有するカム断面で弁を駆動する形式のものが使用される。なお、本発明では、可変動弁装置60としては、バルブタイミング、リフト量、開弁期間のいずれか一つまたはそれ以上を変更可能なものであれば、いずれの公知の形式のものも使用可能であるため、ここでは可変動弁装置60の詳細な説明は省略する。
【0042】
次に、図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の燃料噴射制御、添加時期制御等の基本制御を行なう他、機関運転状態に応じて可変動弁装置60を駆動し各弁の開弁特性値を運転状態に応じた最適な値に制御する開弁特性制御を行う。
【0043】
また、ECU30は後述するように必要に応じて機関をリッチ空燃比運転するとともに、二次空気をNOX吸蔵還元触媒40に供給し、触媒40の温度を上昇させる昇温操作を行う。
これらの制御を行なうため、ECU30の入力ポートには、機関吸気通路に設けられたエアフローメータ10から機関吸気量に対応した信号が、またサージタンク21の吸気圧センサ15から機関吸気圧力に対応した信号が、それぞれ入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ55から機関クランク軸一定回転角毎にパルス信号が、またカム軸、或いは吸排気弁近傍に配置された開弁特性値センサ56からは、可変動弁装置60の制御対象となる開弁特性値(例えば、バルブタイミング、リフト量、開弁期間等のうち1つまたはそれ以上)に対応する信号が入力されている。
【0044】
更に、本実施形態では、ECU30の入力ポートには機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ57から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)を表す信号が入力されるとともに、SC37入口に配置した空燃比センサ41から機関排気空燃比に対応する信号が、またNOX吸蔵還元触媒40の入口(二次空気通路51の排気通路3合流部より下流側部分)と出口とにそれぞれ設けられた空燃比センサ43、45から触媒40の入口と出口とにおける排気の空燃比に対応する信号が、それぞれ入力されている。
【0045】
また、ECU30の出力ポートは、図示しない燃料噴射弁と点火回路、及び可変動弁装置60に接続され、各気筒の燃料噴射量及び燃料噴射時期と点火時期、及び各弁の開弁特性値を機関運転状態に応じて制御している。又、ECU30の出力ポートは、電子制御スロットル弁27のアクチュエータ27aに接続されてスロットル弁開度を制御している他、MAT35の補助駆動モータ35cの制御回路に接続されモータ35cの回転数を制御している。更に、ECU30の出力ポートは二次空気流量制御弁53に接続され、二次空気通路51を通って触媒40に供給される二次空気流量を制御している。
【0046】
次に、本実施形態の触媒昇温操作について説明する。
本実施形態では、触媒40の昇温が必要な場合には機関1をリッチ空燃比で運転するとともに、MAT3の回転数が予め定めた過給圧が得られる回転数になるように補助モータ35cの出力を制御する。そして、二次空気用流量制御弁53を開弁して触媒40上流側の排気通路にMAT35下流側の吸気通路2から二次空気を供給する。そして、触媒40入口の空燃比センサ43出力が所定の空燃比になるように流量制御弁53開度を制御して触媒40に供給される二次空気流量をフィードバック制御する。
【0047】
この場合、例えば機関冷間始動時に触媒40を早期に活性化温度まで到達させるための触媒昇温操作(触媒暖機操作)では、ECU30は機関1をリッチ空燃比で運転するとともに、空燃比センサ43で検出した触媒40入口の排気空燃比が理論空燃比よりわずかにリーンな空燃比になるように二次空気量をフィードバック制御する。これにより、機関冷間始動時のリッチ空燃比運転により発生する比較的多量のHC、CO等の可燃成分は触媒40上で燃焼するため、リッチ空燃比運転により排気性状が大幅に悪化することが防止されるとともに、触媒温度が短時間で活性化温度に到達するようになる。
【0048】
又、硫黄被毒解消のための触媒40の昇温操作では、ECU30は触媒暖機時と同様機関をリッチ空燃比で運転するとともに、流量制御弁53を制御して、空燃比センサ43で検出した触媒40入口の排気空燃比が理論空燃比よりわずかにリッチな空燃比になるように二次空気量をフィードバック制御する。これにより、触媒40上では排気中のHC、COの燃焼が生じ触媒40温度が上昇するため、触媒40は高温かつリッチ空燃比の雰囲気となり触媒に吸蔵されたSOXが触媒から脱離する。
【0049】
触媒40の昇温操作のための機関1のリッチ空燃比運転では、ECU30は機関吸気量を検出し、この吸気量と機関回転数NEとから機関1回転当たりの吸気量Q/NEを算出し、各気筒の燃料噴射量FIJを、FIJ=(Q/NE)×BAFとして算出する。ここで、BAFは機関1回転当たりに単位量(例えば1リットル/回転)の吸気が吸入された場合に機関の燃焼空燃比を目標のリッチ空燃比にするために必要とされる燃料量である。
【0050】
これにより、本来であれば機関の燃焼室では目標リッチ空燃比の燃焼が行われ、機関排気空燃比が目標空燃比になるはずであるが、実際には各燃料噴射弁の噴射量のばらつきや特性の変化のため、上記の目標空燃比に対応する噴射指令を燃料噴射弁に供給しても、実際の燃料噴射量は上記の目標噴射量に一致しない場合があり、機関の燃焼空燃比や排気空燃比は目標空燃比に一致しない場合がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、SC37上流側の機関排気通路に設けた空燃比センサ41出力に基づいて、機関排気空燃比が予め定めた空燃比になるように燃料噴射量をフィードバック制御する。すなわち、本実施形態ではリッチ空燃比運転時の燃料噴射量FIJRは、FIJR=(Q/NE)×BAF×αとして定められる。ここでαは空燃比センサ41出力に基づいて算出されるフィードバック補正係数である。
【0052】
このように、実際のリッチ空燃比運転時の燃料噴射量は機関吸気流量に基づいて定まる基本噴射量を空燃比センサ41出力に基づいてフィードバック補正しているため、機関吸気流量と排気空燃比とが正確に検出されれば機関燃焼空燃比は正確に目標空燃比となる。
ところが、機関吸気流量をエアフローメータ10を用いて検出していると、触媒昇温操作時などのように二次空気を触媒40に供給する場合には、エアフローメータ10出力と実際の機関吸気流量とが一致しなくなるため機関燃焼空燃比が正確に目標空燃比に一致しない場合が生じるのである。
【0053】
この場合、実際には空燃比センサ41出力によるフィードバック補正が行われるため、機関吸気流量の検出値が実際の値と多少相違するような場合でもフィードバック補正係数αが実際の空燃比に応じて増減し、最終的には機関燃焼空燃比は目標空燃比に一致するようになる。しかし、実際には空燃比制御を安定させる目的で、通常フィードバック補正のゲインは比較的小さくなるように設定されるため、吸気流量が急激に変化したような場合(例えば触媒への二次空気供給開始時など)には、一旦目標空燃比から外れた空燃比が目標空燃比に復帰するまで長時間を要するようになり、機関排気空燃比が目標空燃比から外れた状態で運転される時間が長くなる問題がある。
【0054】
前述したように、触媒昇温時には機関は所定の目標リッチ空燃比で運転されるが、機関の実際の空燃比が変動すると機関出力トルクが大きく変動するのみならず、例えば機関で発生するHC、CO等の量が大幅に増大して二次空気を供給しても触媒40で完全に燃焼させることができなくなり、排気性状が悪化したり、或いは排気空燃比がリーンになってしまい、触媒40を高温かつリッチ空燃比の雰囲気に維持することができなくなる問題が生じる。
【0055】
従って、本実施形態のように触媒昇温操作時に二次空気を過給機下流側の吸気通路から供給する場合にエアフローメータを用いて機関吸気流量を検出していると問題が生じるのである。
本実施形態では、通常時(すなわち二次空気供給を行わない場合)にはエアフローメータ10を用いて機関吸気流量を検出するが、触媒昇温時などのように二次空気の供給を行う場合には、サージタンク21に設けた吸気圧センサ15出力に基づいて機関吸気流量を算出することにより、上記問題を解決している。
【0056】
良く知られているように、機関に実際に吸入される空気の量(吸気流量)は、機関のバルブタイミングなどの開弁特性が一定であれば機関回転数NEと吸気圧力PMとの関数として与えられる。従って、予め機関回転数と吸気圧力とを変えて機関を運転し、各回転数と吸気圧との組合わせにおける吸気流量を測定し、吸気流量を機関回転数と吸気圧とをパラメータとして用いた数値マップとして表しておけば、機関運転中に検出した機関回転数と吸気圧とを用いてこの数値マップから機関吸気流量を求めることができる。
【0057】
ところが、機関吸気量は回転数と吸気圧が同一であっても弁の開弁特性値に応じて変化する。このため、本実施形態のように可変動弁装置60を備え運転状態に応じて弁の開弁特性を変化させる機関では、全ての運転条件において機関回転数と吸気圧とに基づいて機関吸気流量を算出するためには、それぞれの開弁特性の種類毎(例えばバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間など)について、開弁特性のそれぞれの値毎に上述の機関回転数と吸気圧とを用いた数値マップを準備することが必要となり、莫大な数のマップを予め準備し、それをECU30のROMに格納しておく必要が生じてしまう。このため、可変動弁装置を有する機関では全ての運転状態において機関回転数と吸気圧とに基づいて精度良く機関吸気流量を算出することは事実上不可能である。
【0058】
そこで、本実施形態ではMAT35下流側の吸気通路から触媒40に二次空気を供給する場合には、可変動弁装置60による開弁特性の変更を禁止して開弁特性を予め定めた状態に固定、すなわちバルブタイミング、バルブリフト、開弁期間などのうち可変動弁装置60により変更可能なものの値を予め定めた値に固定するようにしている。
【0059】
開弁特性を所定の状態に固定することにより、機関吸気流量は機関回転数と吸気圧とのみに基づいて表すことが可能となる。従って、予め弁の開弁特性を上記の所定の状態に固定して機関を運転し、機関回転数と吸気圧と機関吸気流量との関係を求めて数値マップの形でECU30のROMに格納しておくことにより、二次空気供給中にも機関回転数と吸気圧とに基づいて正確に機関吸気流量を算出することが可能となる。
【0060】
図2は上述した吸気流量算出操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図2の操作において、まずステップ201では現在MAT35下流側の吸気通路2から二次空気を触媒40に供給中であるか否か、すなわち二次空気通路51の流量制御弁53が開弁しているか否かが判定される。
【0061】
前述したように、本実施形態では、例えば機関冷間始動時に触媒40を短時間で昇温させる場合(触媒暖機)、または触媒40に吸蔵された硫黄等の被毒物質を放出させるために触媒を短時間で昇温させる場合(被毒解消操作)に機関1をリッチ空燃比で運転するとともに触媒40に二次空気を供給するが、その他にも、例えばリーン空燃比運転中に触媒40温度が過度に上昇してしまい、NOX吸蔵還元触媒の最適温度範囲(温度ウィンドー)から外れるおそれがあるときにリーン空燃比運転を継続したまま二次空気を供給して触媒40温度を低下させる場合(触媒冷却)などにも二次空気を使用することが可能である。
【0062】
ステップ201で現在二次空気供給中でない場合(二次空気流量制御弁53が全閉の場合)には、エアフローメータ10を通過した吸気は全量が機関に吸入されている。従って、この場合にはステップ203に進み、エアフローメータ10出力から機関吸気流量Qを求める。
なお、この場合には各気筒弁の開弁特性は可変動弁装置60により機関運転状態に応じた値に設定され、運転状態の変化に応じて変更される。
【0063】
一方、ステップ201で現在二次空気供給中(二次空気流量制御弁53が開弁中)であった場合には、次にステップ205に進み各気筒弁の開弁特性値を所定の値に固定し可変動弁装置60の開弁特性変更操作を禁止する。これにより、機関吸気流量は機関回転数NEと吸気圧力PMとの関数となる。なお、上記開弁特性値の所定の値については後述する。
【0064】
次いで、ステップ207では回転数センサ55から入力した回転パルス信号から算出した機関回転数NEと吸気圧センサ15で検出した吸気圧力(サージタンク圧力)PMとが読み込まれ、ステップ209では読み込んだPMとNEとの値に基づいて、予め上記所定の開弁特性値における機関吸気流量とPM、NEとの実際の計測値に基づいて作成しECU30のROMに格納した数値マップから機関吸気流量Qを算出する。
【0065】
これにより、触媒40に二次空気を供給中にも吸気圧力PMと機関回転数NEとに基づいて正確に機関吸気流量Qが算出され、機関吸気流量に基づいて算出される燃料噴射量が正確に目標空燃比に対応したものとなる。
次に、図2ステップ205で二次空気供給時に固定される開弁特性値について説明する。
【0066】
前述したように、二次空気が触媒に供給されるのは主に触媒暖機や触媒の被毒解消操作のように触媒40の温度を短時間で上昇させる場合である。
このため、この場合には排気中に触媒40上で燃焼するHC、CO成分などの可燃物が多く含まれることはもちろんであるが、それに加えて触媒昇温のためには排気温度が高ければ高いほど好ましい。
【0067】
排気温度を上昇させるためには、例えば気筒点火時期を遅角させることが考えられる。ところが、点火時期を遅角させると機関の燃焼状態が悪化したり、トルクが低下する場合があり自動車用機関等では運転者に違和感を生じさせる問題がある。
一方、機関の開弁特性を変化させて気筒のポンプロスを増大させたり機関の燃焼効率を低下させることによれば、燃焼状態の悪化やトルク変動を比較的小さく抑制しながら排気温度を上昇させることが可能となる。
【0068】
そこで、本実施形態では二次空気供給時には、点火時期の遅角に代えて、または点火時期の遅角に加えて、気筒弁の開弁特性を、ポンプロスが最大になる状態または燃焼効率が低下する状態に固定することにより、燃焼状態の悪化や機関出力トルク変動を最小に抑えつつ排気温度を上昇させるようにしている。
次に本実施形態における二次空気供給時の開弁特性値について具体的に説明する。
【0069】
まず、ポンプロスについて説明する。気筒吸入行程においては、ピストンの下降により気筒内に発生する負圧が大きいほど吸入行程における機関の出力損失が大きくなり、ポンプロスが増大する。ポンプロスは機関出力となって現れない仕事であるため、ポンプロスが増大するほど同一出力を得るために気筒内で燃焼させる燃料量が増大し、排気温度が上昇するようになる。
【0070】
ポンプロスは吸入行程中の気筒内圧力が低いほど(負圧が大きいほど)大きくなる。吸入行程中の気筒内圧力は常に吸気圧力より低いため、ポンプロスは機関の吸気圧力(サージタンク内圧力)が低いほど大きくなる。
一方、同一の機関吸気流量の場合、吸気圧力はスロットル弁開度が小さいほど低くなる。このため、同一の吸気流量であれば吸気ポートから気筒内への吸気抵抗はできるだけ小さくして気筒内に空気が流入しやすくし、その代わりにスロットル弁での絞りを大きくするほど吸気圧力が低くなりポンプロスが大きくなる。
【0071】
このため、可変動弁装置を有する機関では、気筒内に吸入される空気量が同一の状態では、気筒に流入する空気量が最大になるように気筒弁の開弁特性が調整された状態において最も吸気圧力が低くなりポンプロスが大きくなる。
従って、可変動弁装置を有する機関では、ポンプロスが最大になる開弁特性値とは、気筒に吸入される空気量が最大になる開弁特性値を意味することになる。
【0072】
このように、ポンプロスが最大になる開弁特性の状態、すなわち、気筒に吸入される空気量が最大になる開弁特性値としては、例えば、以下のような場合がある。
【0073】
(1)開弁特性として吸気弁と排気弁とのバルブ開閉タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸排気弁のバルブオーバラップがゼロとなるバルブタイミング。
(2)開弁特性として吸気弁の閉弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸気弁が吸気行程下死点付近で閉弁する閉弁タイミング。
(3)開弁特性として吸気弁のリフト量を変更可能とした可変動弁特性装置においては、吸気弁のリフト量が最大になる状態。
すなわち、上記(1)では、吸排気弁のオーバラップがゼロになると吸気弁開弁時に一旦吸気弁から吸気ポートに逆流し、吸気行程中に気筒内に再吸入される既燃ガスの量(内部EGR量)が最小となるため、気筒内に吸入される新気の量、すなわち機関吸気流量が最大になりポンプロスが最大となる。
【0074】
又、上記(2)では、吸気弁の閉弁タイミングを吸気行程下死点にすると吸気行程通過後にピストンの上昇により気筒内から吸気ポートに押し出される空気量が最小となるため、特に機関低速開店時には気筒内に吸入される空気量が最大になりポンプロスが最大となる。
更に、上記(3)では、吸気弁リフト量が最大になる状態では吸気弁の吸気抵抗が最小となるため、気筒内に吸入される空気量が最大になりポンプロスが最大となる。
【0075】
また、上記(1)から(3)以外に、
(4)開弁特性として吸気弁の開弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸気弁が吸気行程上死点より後に開弁するようにすると、上死点後吸気弁が開弁するまでの間は空気が吸入されないため、この期間のピストン下降により無駄仕事が発生しポンプロスが増大する。このため、吸気弁の開弁タイミングを適宜な時期まで遅延させることによってもポンプロスを最大にすることが可能である。
【0076】
(5)又、開弁特性として吸気弁の閉弁時期を変更可能とした可変動弁装置においては、排気弁を排気行程上死点より前に閉弁するようにすると、排気弁閉弁後上死点到達までの間ピストンによる圧縮仕事が発生しポンプロスが増大する。このため、排気弁の閉弁タイミングを適宜な時期まで進めることによってもポンプロスを最大にすることが可能である。
【0077】
なお、ポンプロスを増大させる以外に燃焼効率を低下させること、すなわち燃焼エネルギーのうち有効に機関外部出力に変換されない部分を増大させることによっても同一出力を得るために気筒内で燃焼される燃料量が増大するため、排気温度を上昇させることができる。
(6)例えば、開弁特性として排気弁の開弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、排気弁の開弁タイミングを爆発行程下死点より前にすることにより、燃焼ガスが充分に膨張して機関出力に変換される前に排気通路に排出されるようになり、高温の排気ガスが排出されるとともに、同一機関出力を得るためには多くの燃料を燃焼させる必要が生じるために更に排気ガス温度が上昇するようになる。
【0078】
本実施形態では、図2ステップ205において可変動弁装置60のタイプ(制御対象とする開弁特性の種類)に応じて気筒弁の開弁特性を上記(1)から(6)のいずれか1つ(または2つ以上の組み合わせ)の状態に固定して吸気圧力に基づいて機関吸気流量を検出するようにしている。これにより、二次空気供給中に排気温度を上昇させた運転を行いながら正確に吸気流量を検出可能となり、二次空気供給中の機関排気性状の悪化や出力トルクの変動を防止しつつ短時間で触媒40を昇温させることが可能となる。
【0079】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも正確に機関吸気流量を検出することが可能となる共通の効果を奏する。
【0080】
更に、請求項4に記載の発明によれば、上記共通の効果に加えて、触媒に二次空気を供給して昇温させる場合に、排気温度を上昇させ触媒の昇温を更に促進することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ガソリン機関に適用した場合の概略構成を示す図である。
【図2】図1の実施形態における機関吸気流量算出操作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
2…吸気通路
3…排気通路
10…エアフローメータ
15…吸気圧センサ
27…電子制御スロットル弁
30…電子制御ユニット(ECU)
35…モーターアシストターボチャージャ(MAT)
40…NOX吸蔵還元触媒
51…二次空気通路
53…流量制御弁
60…可変動弁装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳細には排気通路に配置した排気浄化用触媒に蓄積された、触媒の排気浄化能力を低下させる被毒物質を触媒温度を上昇させて触媒から放出させる被毒解消操作を行う内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関排気通路に、排気浄化触媒を配置して排気中の有害物質を浄化する技術が知られている。このような排気浄化触媒には、使用とともに排気中の特定の成分(被毒物質)を吸収、吸着等により吸蔵し、被毒物質の吸蔵量増大とともに排気浄化能力が低下するものがある。
【0003】
例えば、排気浄化触媒として、流入する排気空燃比がリーンのときに排気中の窒素酸化物(NOX)を吸収、吸着またはその両方により吸蔵し、流入する排気空燃比がリッチになったときに吸蔵したNOXを還元浄化するNOX吸蔵還元触媒が知られているが、NOX吸蔵還元触媒は排気中に硫黄酸化物(SOX)が含まれると、NOXと同様にSOXを吸蔵する。
【0004】
しかも、SOXはNOX吸蔵還元触媒内で安定した硫酸塩を形成するため、NOXのように単に排気空燃比をリッチにしただけでは触媒から放出されず、徐々にNOX吸蔵還元触媒中に吸蔵された硫黄成分の量が増大するにつれてその分だけNOXの吸蔵能力が低下する。すなわち、NOX吸蔵還元触媒は排気中の被毒物質としての硫黄を吸蔵し、硫黄による被毒を生じる。
【0005】
NOX吸蔵還元触媒の硫黄被毒を解消するためには、排気空燃比をリッチにしただけでは足りず、排気空燃比をリッチにするとともに触媒温度を通常運転時より高い所定の温度まで上昇させる被毒解消操作が必要となる。
被毒解消操作時に触媒温度を通常運転時より高い所定温度まで上昇させるためには、触媒に未燃燃料などの炭化水素(HC)やCO成分を比較的多量に供給するとともに、充分な酸素を供給してHCやCO成分を触媒上で燃焼させることが有効である。
【0006】
このため、被毒解消操作時に機関をリッチ空燃比で運転することにより、排気中のHCやCO成分量を増大させるとともに、触媒に二次空気を供給することにより燃焼に必要な酸素を触媒に供給して効率的に触媒を昇温することが提案されている(特許文献2参照)。
通常、触媒の昇温は機関冷間始動時に短時間で触媒温度を活性化温度に到達させるためにも必要となる。このため、通常は始動時にも昇温操作を行うために専用のエアポンプを設けて触媒に二次空気を供給することが行われる。
【0007】
ところで、リーン空燃比運転を行ういわゆるリーンバーンエンジンでは、リーン空燃比運転を行う負荷領域を拡大するためにターボチャージャ(過給機)を設ける場合がある。この場合、排気エネルギーが比較的小さくなる低負荷リーン空燃比運転領域でも過給機の回転を高く維持することができるように、電動機で補助的に過給機のコンプレッサを駆動する、モーターアシストターボチャージャー(MAT)が用いられる場合がある。
【0008】
一般に、排気系に過給機を設けると排気系の熱容量の増大や過給機による排気温度の低下などのために触媒の温度が上昇しにくくなるため、機関始動時や被毒解消操作時には上述した二次空気を用いる昇温操作の必要性が大きくなる。しかし、MATを使用する場合には、機関始動時にもモーターでコンプレッサを駆動して充分な量の空気を機関に供給することができる。
【0009】
従ってMATを使用する場合には、過給機下流側の吸気通路から触媒に二次空気を供給するようにすれば二次空気供給用のエアポンプを別途設けることなく触媒の暖機や被毒解消操作時に常に充分な量を二次空気を供給することができ、二次空気供給系の構成を簡易なものにすることができる。
ところが、このように過給機下流側の吸気通路から二次空気を供給すると機関の吸入空気量を検出する上で問題が生じる場合がある。
【0010】
通常、機関の吸入空気量は過給機上流側の吸気通路に設けた流量計(エアフローメータ)により検出する。しかし、二次空気は過給機の下流側吸気通路から取り出す必要があるため、二次空気の供給が行われるとエアフローメータで検出した吸気流量より実際に機関に吸入される吸気流量が二次空気の分だけ少なくなってしまい、エアフローメータでは吸気流量を正確に検出することができない問題が生じるのである。
【0011】
この問題は、過給機の下流側の吸気通路にエアフローメータを配置して二次空気分岐後の吸気流量を検出すれば解決するが、過給機を通過した吸気には微量ながら過給機の潤滑油が混入しているため、過給機下流側にエアフローメータを配置すると検出部への潤滑油付着などによりエアフローメータの検出値の信頼性が低下する問題があり、過給機下流側にエアフローメータを配置することはできない。
【0012】
このため、例えば特許文献1ではエアフローメータに加えて二次空気通路にも流量計測手段を設け、二次空気供給時には機関吸気流量をエアフローメータで検出した吸気流量から二次空気流量を差し引いた値として算出するようにして、機関吸気流量に誤差が生じることを防止している。
【0013】
【特許文献1】
特公平7−42873号公報
【特許文献2】
特開平11−280456号公報
【特許文献3】
特開平10−82333号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1のように二次空気流量を計測する場合にも過給機のコンプレッサを通過した空気を流量計測手段で計測することとなるため、計測値の信頼性が低下する問題がある。上記特許文献1では、流量計測手段として過給機通過空気に含まれる潤滑油の影響が生じにくいオリフィスを二次空気供給通路に配置し、オリフィスの上流側と下流側の差圧を検出して流量に換算するようにしている。
【0015】
しかし、特許文献1のようにオリフィスを用いて二次空気流量を正確に検出する場合には、オリフィス開口部を絞って上流側と下流側との差圧を充分に大きくする必要があるが、差圧を大きく設定すると二次空気通路の圧損が増大してしまうためオリフィス差圧を充分に大きく設定できず、流量検出精度を充分に高くできない場合が生じる。
【0016】
前述したように、触媒の被毒解消操作中は機関排気空燃比をリッチ空燃比にして、二次空気を触媒に供給するが、この場合には機関排気空燃比を適切な値に正確に制御する必要がある。例えば、排気空燃比のリッチ度合いが大きすぎると排気中のHCやCOが増大し、触媒で燃焼せずに下流側に流出するHCやCOの量が増大するため、被毒解消操作中機関空燃比は理論空燃比よりややリッチ側の値に正確に制御してHCやCOの発生量を低減することが好ましい。
【0017】
この場合、特許文献1の装置では正確に機関吸気量を算出できない場合が生じ、機関の空燃比を正確に制御できなくなる問題が生じる。
一方、混入した潤滑油の影響を受けにくく、しかも精度の高い機関吸気流量計測方法としては、従来より吸気圧力に基づく方法が知られている。機関に実際に吸入される空気量は、回転数が一定であれば吸気圧力に応じて変化する。従って、各回転数における吸気圧力と吸気流量との関係を予め実験などにより求めて数値マップの形で予め記憶装置に保持しておき、サージタンクに設けた吸気圧センサで検出した吸気圧力と機関回転数とを用いて上記マップから機関吸気流量を求めるようにすることにより、過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも機関吸気流量を正確に求めることが可能となる。
【0018】
ところが、上記のように吸気圧力に基づいて機関吸気流量を検出する方法を、例えば機関の吸気弁または排気弁のバルブタイミングやリフト量、開弁期間等の開弁特性を運転中に変化させる可変動弁装置を有する機関に適用すると問題が生じる。
前述したように、機関吸気流量は回転数と吸気圧力とに応じて定まるが、開弁特性を変化させると同一の回転数、吸気圧力の条件であっても機関吸気流量が変化してしまう。
【0019】
このため、可変動弁装置を有する機関で、エアフローメータに代えて吸気圧センサのみで吸気流量を検出しようとすると、前述した回転数と吸気圧力との数値マップを各開弁特性値(バルブタイミング、リフト、開弁期間など)毎に準備する必要があるが、この場合必要とされるマップの数が莫大になり、マップの準備作業、記憶装置の記憶容量、制御装置の計算負荷などを考慮すると事実上全てのマップを備えることは不可能である。
【0020】
このため、従来可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合には、正確に吸気流量を算出することは困難な問題があった。
本発明は上記問題に鑑み、可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも正確に機関吸気流量を検出することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば、内燃機関の気筒吸気弁と排気弁との少なくとも一方の弁の開弁特性を機関運転中に変更する開弁特性変更手段と、機関吸気通路を流れる吸気流量を検出する流量検出手段と、検出された吸気流量に基づいて内燃機関の運転制御を行う制御手段と、備えた内燃機関の制御装置であって、更に、機関吸気圧力を検出する吸気圧検出手段を備え、前記制御手段は、機関の予め定めた運転条件が成立した場合には、前記弁の開弁特性を予め定めた状態に固定して前記開弁特性変更手段による開弁特性の変更を禁止するとともに、前記流量検出手段により検出された吸気流量に代えて前記吸気圧検出手段により検出された機関吸気圧力に基づいて内燃機関の前記運転制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置が提供される。
【0022】
すなわち、請求項1の発明では、例えばエアフローメータ等のような吸気流量を直接検出する流量検出手段と、機関吸気圧力を検出する吸気圧検出手段とが備えられている。制御手段は、通常は流量検出手段で検出した機関吸気流量を用いて機関の運転制御を行うが、機関の特定の運転条件が成立したとき(例えば二次空気供給が行われているとき等)には、吸気圧検出手段で検出した吸気圧力に基づいて機関の運転制御を行う。例えば吸気圧力に基づいて機関吸気流量を算出し、この吸気流量を用いて機関の運転制御を行うようにすることも可能である。
【0023】
ところがこの場合、可変動弁装置等のような開弁特性変更手段を備えた機関では各開弁特性状態について正確に吸気流量を算出するためには、機関回転数と吸気圧とで表したマップが必要になるが、本発明では吸気圧力に基づいて機関の運転制御を行う場合には弁の開弁特性を予め定めた状態に固定する。このため、吸気圧に基づいて機関制御を行う場合には、特定の開弁特性におけるマップを準備するだけで機関吸気流量を求めることが可能となり、可変動弁装置を備えた機関においても簡易に吸気圧力に基づく機関運転制御を行うことが可能となる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、前記内燃機関は、前記吸気通路を流れる吸気の一部を機関排気通路に二次空気として供給する二次空気供給手段を備え、前記流量検出手段は、吸気通路から前記二次空気が分岐される分岐点より上流側の吸気通路の吸気流量を検出し、前記吸気圧検出手段は前記二次空気の分岐点より下流側での吸気圧力を検出し、前記予め定めた運転条件は二次空気供給手段により吸気の一部が二次空気として排気通路に供給されている状態である請求項1に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0025】
すなわち、請求項2の発明では、二次空気を供給中には流量検出手段が検出した吸気流量は二次空気流量を含んだ流量となり、実際の機関吸気流量とは異なる値となる。一方、吸気圧検出手段は二次空気分岐点より下流側の吸気圧力を検出しているため、二次空気供給中であっても吸気圧力に基づいて機関吸気流量を算出することにより二次空気流量を含まない正味の機関吸気流量を算出することができる。従って、二次空気供給が行われているときには吸気圧検出手段の検出した吸気圧力に基づいて機関の運転を制御することにより、二次空気供給が行われている場合にも正確な吸気流量に基づく運転制御を行うことが可能となる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、前記内燃機関は、排気中の有害物質を浄化するとともに排気中の特定成分を吸蔵して排気浄化能力が低下する排気浄化用触媒を備え、前記制御手段は必要に応じて、前記内燃機関をリッチ空燃比で運転しつつ二次空気供給手段により前記排気浄化用触媒に二次空気を供給することにより前記排気浄化用触媒の温度を上昇させて触媒から吸蔵した前記特定成分を放出させる被毒解消操作を行う、請求項2に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0027】
すなわち、請求項3の発明では排気通路に配置した触媒の被毒解消操作時の昇温のために二次空気の供給を行う。これにより、本発明では二次空気供給時にも正確な機関吸気流量に基づく機関運転制御を行うことが可能となり、排気性状の悪化が防止されるとともに、効率的に触媒の温度を上昇させて触媒の被毒解消操作を行うことが可能となる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、前記制御手段は、前記開弁特性変更手段による開弁特性変更禁止時に、前記予め定めた状態として前記触媒に二次空気を供給していない場合に比較して気筒のポンプロスが増大する状態に前記弁の開弁特性を固定する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置が提供される。
【0029】
すなわち、請求項4の発明では、二次空気供給時(すなわち触媒昇温時)に弁の開弁特性が気筒のポンプロスが増大する状態に固定される。ポンプロスが増大した状態で機関が運転されると、機関出力が同一であっても必要とされる燃料量が増大し排気温度も上昇する。このため、本発明では触媒昇温時ポンプロスを増大することにより、短時間で触媒温度を所望の温度まで昇温することが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の制御装置を自動車用ガソリン機関に適用した場合の概略構成を示す図である。
【0031】
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機関1は4気筒ガソリン機関とされる。また、機関1は、運転領域の大部分の領域でリーン空燃比運転が可能な、いわゆるリーンバーンエンジンとされている。
図1において、2は吸気通路、21は吸気通路2に接続されたサージタンクを示す。サージタンク21は吸気枝管を介して各気筒の吸気ポートに接続されている。31は各気筒の排気ポートを排気通路3に接続する排気マニホルドである。
【0032】
本実施形態では、機関1の過給を行なう過給機35が設けられており、排気通路3は過給機35の排気入口に、吸気通路2は過給機35の吸気吐出口に、それぞれ接続されている。
本実施形態では、過給機35は排気通路3に配置されたタービン35aと吸気通路2に配置されたコンプレッサ35bとを連結するシャフトを駆動するモータ35cを備えており、タービン35aに加えて補助的にモータ35cを用いてコンプレッサ35bを駆動することが可能なモーターアシストターボチャージャ(MAT)の形式とされる。
【0033】
通常、機関1がリーン空燃比で運転されている場合には機関排気温度は理論空燃比運転時に較べて低くなり、排気の持つエネルギが低いため過給機35のタービン35aの回転数があまり上昇せず過給圧も低くなる。このため、リーン空燃比運転中は通常であれば良好な過給効果が得られず、リーン空燃比を維持したまま出力を増大することが困難な場合がある。
【0034】
これに対して、MAT35を用いた場合には、排気タービン35aに加えて電動モータ35cによりコンプレッサ35bを駆動することができるため、リーン空燃比運転時にも過給機の回転数を上昇させ高い過給圧を得ることが可能となる。これにより、本実施形態では機関への燃料供給量の増大に応じて機関への充填吸気量を増大させ、リーン空燃比を維持しながら高出力を得ることが可能となるため、リーン空燃比運転領域を高出力側に拡大することが可能となっている。
【0035】
吸気通路2にはMAT35のコンプレッサ35bから供給される吸気の冷却を行なうインタークーラ25及びスロットル弁27が設けられている。
本実施形態のスロットル弁27は、いわゆる電子制御スロットルとされ、後述するECU30からの信号に応じて作動するステッパモータ、負圧アクチュエータ等の適宜な形式のアクチュエータ27aを備えている。すなわち、スロットル弁27は、機関のアクセルペダル(図示せず)とは機械的には接続されておらず、ECU30からの信号に応じて、運転者のアクセルペダル踏み込み量とは直接対応しない開度を取ることができる。
【0036】
また、MAT35に流入する吸気が流れる吸気入口通路23には、MAT35に流入する吸気流量を検出するエアフローメータ10が設けられている。本実施形態では、エアフローメータ10としてはベーン式、超音波式、熱線式などの公知の形式のエアフローメータのいずれかが使用される。
また、本実施形態ではサージタンク21にはサージタンク内の吸気圧力を検出する吸気圧センサ15が設けられている。後述するように吸気圧センサ15で検出した吸気圧力は二次空気供給時の機関吸気流量を算出するために用いられる。
【0037】
MAT35のタービン35a下流側の排気通路3には、三元触媒からなるスタートキャタリスト(SC)37と、その下流側にNOX吸蔵還元触媒40がそれぞれ配置されている。
スタートキャタリスト37は、機関始動後短時間で活性化温度まで昇温するように比較的小容量のものとされ、機関始動直後の排気浄化を行う。
【0038】
NOX吸蔵還元触媒40は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中の窒素酸化物(NOX)を吸着、吸収またはその両方で吸蔵し、流入する排気の空燃比がリッチになったときに吸蔵したNOXを還元浄化する触媒である。
本実施形態では、機関1は大部分の運転領域でリーン空燃比運転が可能な機関であり、機関1がリーン空燃比運転される状態では、排気中のNOXはNOX吸蔵触媒40に吸蔵される。
【0039】
なお、NOX吸蔵触媒40に吸蔵したNOXは、リーン空燃比運転中に短時間機関1をリッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行い、NOX吸蔵触媒40にリッチ空燃比の排気を供給することにより還元浄化される。
しかし、NOX吸蔵触媒40には排気中に含まれる微量の硫黄酸化物(SOX)もNOXと同様に吸蔵されるが、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXは安定した硫酸塩を形成するためNOXのように単にリッチスパイク操作を行っただけではNOX吸蔵還元触媒から放出させることはできない。このため、運転中徐々にNOX吸蔵還元触媒40のSOX吸蔵量が増大し、吸蔵されたSOXの分だけ吸蔵可能なNOX量が低下する、いわゆる硫黄被毒が生じる。
【0040】
硫黄被毒を解消するためには、前述したように排気空燃比をリッチにするとともに触媒40に二次空気を供給し、未燃HC、CO等の可燃成分を触媒40上で酸化する昇温操作が必要となる。
本実施形態では、MAT35を使用しているため触媒40の昇温操作のための二次空気の供給はMAT35により行う。すなわち、図1に示すように本実施形態ではMAT35とインタークーラ25との間の吸気通路2と、排気通路3のNOX吸蔵還元触媒40入口部分とを接続する二次空気通路51が設けられており、MAT35の吐出空気を二次空気としてNOX吸蔵還元触媒40に供給可能となっている。図1に53で示すのは二次空気通路51に配置された、触媒40への二次空気供給量を制御する流量制御弁である。
【0041】
本実施形態では、機関1には可変動弁装置60が設けられている。
可変動弁装置60は、機関1の気筒吸気弁または排気弁若しくはその両方の作動特性を変化させ、バルブタイミング、リフト量、開弁期間などの機関性能に影響を与えるバルブの開弁特性を機関運転中に変化させるものである。
可変動弁装置60としては、例えば弁を駆動するカム軸のカムプロファイルをカム軸軸線方向に変化させ、カム軸を軸線方向に移動することにより、異なるプロファイルを有するカム断面で弁を駆動する形式のものが使用される。なお、本発明では、可変動弁装置60としては、バルブタイミング、リフト量、開弁期間のいずれか一つまたはそれ以上を変更可能なものであれば、いずれの公知の形式のものも使用可能であるため、ここでは可変動弁装置60の詳細な説明は省略する。
【0042】
次に、図1に30で示すのは機関1の電子制御ユニット(ECU)である。ECU30は、本実施形態ではRAM、ROM、CPUを備えた公知の構成のマイクロコンピュータとされ、機関1の燃料噴射制御、添加時期制御等の基本制御を行なう他、機関運転状態に応じて可変動弁装置60を駆動し各弁の開弁特性値を運転状態に応じた最適な値に制御する開弁特性制御を行う。
【0043】
また、ECU30は後述するように必要に応じて機関をリッチ空燃比運転するとともに、二次空気をNOX吸蔵還元触媒40に供給し、触媒40の温度を上昇させる昇温操作を行う。
これらの制御を行なうため、ECU30の入力ポートには、機関吸気通路に設けられたエアフローメータ10から機関吸気量に対応した信号が、またサージタンク21の吸気圧センサ15から機関吸気圧力に対応した信号が、それぞれ入力されている他、機関クランク軸(図示せず)近傍に配置された回転数センサ55から機関クランク軸一定回転角毎にパルス信号が、またカム軸、或いは吸排気弁近傍に配置された開弁特性値センサ56からは、可変動弁装置60の制御対象となる開弁特性値(例えば、バルブタイミング、リフト量、開弁期間等のうち1つまたはそれ以上)に対応する信号が入力されている。
【0044】
更に、本実施形態では、ECU30の入力ポートには機関1のアクセルペダル(図示せず)近傍に配置したアクセル開度センサ57から運転者のアクセルペダル踏込み量(アクセル開度)を表す信号が入力されるとともに、SC37入口に配置した空燃比センサ41から機関排気空燃比に対応する信号が、またNOX吸蔵還元触媒40の入口(二次空気通路51の排気通路3合流部より下流側部分)と出口とにそれぞれ設けられた空燃比センサ43、45から触媒40の入口と出口とにおける排気の空燃比に対応する信号が、それぞれ入力されている。
【0045】
また、ECU30の出力ポートは、図示しない燃料噴射弁と点火回路、及び可変動弁装置60に接続され、各気筒の燃料噴射量及び燃料噴射時期と点火時期、及び各弁の開弁特性値を機関運転状態に応じて制御している。又、ECU30の出力ポートは、電子制御スロットル弁27のアクチュエータ27aに接続されてスロットル弁開度を制御している他、MAT35の補助駆動モータ35cの制御回路に接続されモータ35cの回転数を制御している。更に、ECU30の出力ポートは二次空気流量制御弁53に接続され、二次空気通路51を通って触媒40に供給される二次空気流量を制御している。
【0046】
次に、本実施形態の触媒昇温操作について説明する。
本実施形態では、触媒40の昇温が必要な場合には機関1をリッチ空燃比で運転するとともに、MAT3の回転数が予め定めた過給圧が得られる回転数になるように補助モータ35cの出力を制御する。そして、二次空気用流量制御弁53を開弁して触媒40上流側の排気通路にMAT35下流側の吸気通路2から二次空気を供給する。そして、触媒40入口の空燃比センサ43出力が所定の空燃比になるように流量制御弁53開度を制御して触媒40に供給される二次空気流量をフィードバック制御する。
【0047】
この場合、例えば機関冷間始動時に触媒40を早期に活性化温度まで到達させるための触媒昇温操作(触媒暖機操作)では、ECU30は機関1をリッチ空燃比で運転するとともに、空燃比センサ43で検出した触媒40入口の排気空燃比が理論空燃比よりわずかにリーンな空燃比になるように二次空気量をフィードバック制御する。これにより、機関冷間始動時のリッチ空燃比運転により発生する比較的多量のHC、CO等の可燃成分は触媒40上で燃焼するため、リッチ空燃比運転により排気性状が大幅に悪化することが防止されるとともに、触媒温度が短時間で活性化温度に到達するようになる。
【0048】
又、硫黄被毒解消のための触媒40の昇温操作では、ECU30は触媒暖機時と同様機関をリッチ空燃比で運転するとともに、流量制御弁53を制御して、空燃比センサ43で検出した触媒40入口の排気空燃比が理論空燃比よりわずかにリッチな空燃比になるように二次空気量をフィードバック制御する。これにより、触媒40上では排気中のHC、COの燃焼が生じ触媒40温度が上昇するため、触媒40は高温かつリッチ空燃比の雰囲気となり触媒に吸蔵されたSOXが触媒から脱離する。
【0049】
触媒40の昇温操作のための機関1のリッチ空燃比運転では、ECU30は機関吸気量を検出し、この吸気量と機関回転数NEとから機関1回転当たりの吸気量Q/NEを算出し、各気筒の燃料噴射量FIJを、FIJ=(Q/NE)×BAFとして算出する。ここで、BAFは機関1回転当たりに単位量(例えば1リットル/回転)の吸気が吸入された場合に機関の燃焼空燃比を目標のリッチ空燃比にするために必要とされる燃料量である。
【0050】
これにより、本来であれば機関の燃焼室では目標リッチ空燃比の燃焼が行われ、機関排気空燃比が目標空燃比になるはずであるが、実際には各燃料噴射弁の噴射量のばらつきや特性の変化のため、上記の目標空燃比に対応する噴射指令を燃料噴射弁に供給しても、実際の燃料噴射量は上記の目標噴射量に一致しない場合があり、機関の燃焼空燃比や排気空燃比は目標空燃比に一致しない場合がある。
【0051】
そこで、本実施形態では、SC37上流側の機関排気通路に設けた空燃比センサ41出力に基づいて、機関排気空燃比が予め定めた空燃比になるように燃料噴射量をフィードバック制御する。すなわち、本実施形態ではリッチ空燃比運転時の燃料噴射量FIJRは、FIJR=(Q/NE)×BAF×αとして定められる。ここでαは空燃比センサ41出力に基づいて算出されるフィードバック補正係数である。
【0052】
このように、実際のリッチ空燃比運転時の燃料噴射量は機関吸気流量に基づいて定まる基本噴射量を空燃比センサ41出力に基づいてフィードバック補正しているため、機関吸気流量と排気空燃比とが正確に検出されれば機関燃焼空燃比は正確に目標空燃比となる。
ところが、機関吸気流量をエアフローメータ10を用いて検出していると、触媒昇温操作時などのように二次空気を触媒40に供給する場合には、エアフローメータ10出力と実際の機関吸気流量とが一致しなくなるため機関燃焼空燃比が正確に目標空燃比に一致しない場合が生じるのである。
【0053】
この場合、実際には空燃比センサ41出力によるフィードバック補正が行われるため、機関吸気流量の検出値が実際の値と多少相違するような場合でもフィードバック補正係数αが実際の空燃比に応じて増減し、最終的には機関燃焼空燃比は目標空燃比に一致するようになる。しかし、実際には空燃比制御を安定させる目的で、通常フィードバック補正のゲインは比較的小さくなるように設定されるため、吸気流量が急激に変化したような場合(例えば触媒への二次空気供給開始時など)には、一旦目標空燃比から外れた空燃比が目標空燃比に復帰するまで長時間を要するようになり、機関排気空燃比が目標空燃比から外れた状態で運転される時間が長くなる問題がある。
【0054】
前述したように、触媒昇温時には機関は所定の目標リッチ空燃比で運転されるが、機関の実際の空燃比が変動すると機関出力トルクが大きく変動するのみならず、例えば機関で発生するHC、CO等の量が大幅に増大して二次空気を供給しても触媒40で完全に燃焼させることができなくなり、排気性状が悪化したり、或いは排気空燃比がリーンになってしまい、触媒40を高温かつリッチ空燃比の雰囲気に維持することができなくなる問題が生じる。
【0055】
従って、本実施形態のように触媒昇温操作時に二次空気を過給機下流側の吸気通路から供給する場合にエアフローメータを用いて機関吸気流量を検出していると問題が生じるのである。
本実施形態では、通常時(すなわち二次空気供給を行わない場合)にはエアフローメータ10を用いて機関吸気流量を検出するが、触媒昇温時などのように二次空気の供給を行う場合には、サージタンク21に設けた吸気圧センサ15出力に基づいて機関吸気流量を算出することにより、上記問題を解決している。
【0056】
良く知られているように、機関に実際に吸入される空気の量(吸気流量)は、機関のバルブタイミングなどの開弁特性が一定であれば機関回転数NEと吸気圧力PMとの関数として与えられる。従って、予め機関回転数と吸気圧力とを変えて機関を運転し、各回転数と吸気圧との組合わせにおける吸気流量を測定し、吸気流量を機関回転数と吸気圧とをパラメータとして用いた数値マップとして表しておけば、機関運転中に検出した機関回転数と吸気圧とを用いてこの数値マップから機関吸気流量を求めることができる。
【0057】
ところが、機関吸気量は回転数と吸気圧が同一であっても弁の開弁特性値に応じて変化する。このため、本実施形態のように可変動弁装置60を備え運転状態に応じて弁の開弁特性を変化させる機関では、全ての運転条件において機関回転数と吸気圧とに基づいて機関吸気流量を算出するためには、それぞれの開弁特性の種類毎(例えばバルブタイミング、バルブリフト量、開弁期間など)について、開弁特性のそれぞれの値毎に上述の機関回転数と吸気圧とを用いた数値マップを準備することが必要となり、莫大な数のマップを予め準備し、それをECU30のROMに格納しておく必要が生じてしまう。このため、可変動弁装置を有する機関では全ての運転状態において機関回転数と吸気圧とに基づいて精度良く機関吸気流量を算出することは事実上不可能である。
【0058】
そこで、本実施形態ではMAT35下流側の吸気通路から触媒40に二次空気を供給する場合には、可変動弁装置60による開弁特性の変更を禁止して開弁特性を予め定めた状態に固定、すなわちバルブタイミング、バルブリフト、開弁期間などのうち可変動弁装置60により変更可能なものの値を予め定めた値に固定するようにしている。
【0059】
開弁特性を所定の状態に固定することにより、機関吸気流量は機関回転数と吸気圧とのみに基づいて表すことが可能となる。従って、予め弁の開弁特性を上記の所定の状態に固定して機関を運転し、機関回転数と吸気圧と機関吸気流量との関係を求めて数値マップの形でECU30のROMに格納しておくことにより、二次空気供給中にも機関回転数と吸気圧とに基づいて正確に機関吸気流量を算出することが可能となる。
【0060】
図2は上述した吸気流量算出操作を説明するフローチャートである。本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンにより行われる。
図2の操作において、まずステップ201では現在MAT35下流側の吸気通路2から二次空気を触媒40に供給中であるか否か、すなわち二次空気通路51の流量制御弁53が開弁しているか否かが判定される。
【0061】
前述したように、本実施形態では、例えば機関冷間始動時に触媒40を短時間で昇温させる場合(触媒暖機)、または触媒40に吸蔵された硫黄等の被毒物質を放出させるために触媒を短時間で昇温させる場合(被毒解消操作)に機関1をリッチ空燃比で運転するとともに触媒40に二次空気を供給するが、その他にも、例えばリーン空燃比運転中に触媒40温度が過度に上昇してしまい、NOX吸蔵還元触媒の最適温度範囲(温度ウィンドー)から外れるおそれがあるときにリーン空燃比運転を継続したまま二次空気を供給して触媒40温度を低下させる場合(触媒冷却)などにも二次空気を使用することが可能である。
【0062】
ステップ201で現在二次空気供給中でない場合(二次空気流量制御弁53が全閉の場合)には、エアフローメータ10を通過した吸気は全量が機関に吸入されている。従って、この場合にはステップ203に進み、エアフローメータ10出力から機関吸気流量Qを求める。
なお、この場合には各気筒弁の開弁特性は可変動弁装置60により機関運転状態に応じた値に設定され、運転状態の変化に応じて変更される。
【0063】
一方、ステップ201で現在二次空気供給中(二次空気流量制御弁53が開弁中)であった場合には、次にステップ205に進み各気筒弁の開弁特性値を所定の値に固定し可変動弁装置60の開弁特性変更操作を禁止する。これにより、機関吸気流量は機関回転数NEと吸気圧力PMとの関数となる。なお、上記開弁特性値の所定の値については後述する。
【0064】
次いで、ステップ207では回転数センサ55から入力した回転パルス信号から算出した機関回転数NEと吸気圧センサ15で検出した吸気圧力(サージタンク圧力)PMとが読み込まれ、ステップ209では読み込んだPMとNEとの値に基づいて、予め上記所定の開弁特性値における機関吸気流量とPM、NEとの実際の計測値に基づいて作成しECU30のROMに格納した数値マップから機関吸気流量Qを算出する。
【0065】
これにより、触媒40に二次空気を供給中にも吸気圧力PMと機関回転数NEとに基づいて正確に機関吸気流量Qが算出され、機関吸気流量に基づいて算出される燃料噴射量が正確に目標空燃比に対応したものとなる。
次に、図2ステップ205で二次空気供給時に固定される開弁特性値について説明する。
【0066】
前述したように、二次空気が触媒に供給されるのは主に触媒暖機や触媒の被毒解消操作のように触媒40の温度を短時間で上昇させる場合である。
このため、この場合には排気中に触媒40上で燃焼するHC、CO成分などの可燃物が多く含まれることはもちろんであるが、それに加えて触媒昇温のためには排気温度が高ければ高いほど好ましい。
【0067】
排気温度を上昇させるためには、例えば気筒点火時期を遅角させることが考えられる。ところが、点火時期を遅角させると機関の燃焼状態が悪化したり、トルクが低下する場合があり自動車用機関等では運転者に違和感を生じさせる問題がある。
一方、機関の開弁特性を変化させて気筒のポンプロスを増大させたり機関の燃焼効率を低下させることによれば、燃焼状態の悪化やトルク変動を比較的小さく抑制しながら排気温度を上昇させることが可能となる。
【0068】
そこで、本実施形態では二次空気供給時には、点火時期の遅角に代えて、または点火時期の遅角に加えて、気筒弁の開弁特性を、ポンプロスが最大になる状態または燃焼効率が低下する状態に固定することにより、燃焼状態の悪化や機関出力トルク変動を最小に抑えつつ排気温度を上昇させるようにしている。
次に本実施形態における二次空気供給時の開弁特性値について具体的に説明する。
【0069】
まず、ポンプロスについて説明する。気筒吸入行程においては、ピストンの下降により気筒内に発生する負圧が大きいほど吸入行程における機関の出力損失が大きくなり、ポンプロスが増大する。ポンプロスは機関出力となって現れない仕事であるため、ポンプロスが増大するほど同一出力を得るために気筒内で燃焼させる燃料量が増大し、排気温度が上昇するようになる。
【0070】
ポンプロスは吸入行程中の気筒内圧力が低いほど(負圧が大きいほど)大きくなる。吸入行程中の気筒内圧力は常に吸気圧力より低いため、ポンプロスは機関の吸気圧力(サージタンク内圧力)が低いほど大きくなる。
一方、同一の機関吸気流量の場合、吸気圧力はスロットル弁開度が小さいほど低くなる。このため、同一の吸気流量であれば吸気ポートから気筒内への吸気抵抗はできるだけ小さくして気筒内に空気が流入しやすくし、その代わりにスロットル弁での絞りを大きくするほど吸気圧力が低くなりポンプロスが大きくなる。
【0071】
このため、可変動弁装置を有する機関では、気筒内に吸入される空気量が同一の状態では、気筒に流入する空気量が最大になるように気筒弁の開弁特性が調整された状態において最も吸気圧力が低くなりポンプロスが大きくなる。
従って、可変動弁装置を有する機関では、ポンプロスが最大になる開弁特性値とは、気筒に吸入される空気量が最大になる開弁特性値を意味することになる。
【0072】
このように、ポンプロスが最大になる開弁特性の状態、すなわち、気筒に吸入される空気量が最大になる開弁特性値としては、例えば、以下のような場合がある。
【0073】
(1)開弁特性として吸気弁と排気弁とのバルブ開閉タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸排気弁のバルブオーバラップがゼロとなるバルブタイミング。
(2)開弁特性として吸気弁の閉弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸気弁が吸気行程下死点付近で閉弁する閉弁タイミング。
(3)開弁特性として吸気弁のリフト量を変更可能とした可変動弁特性装置においては、吸気弁のリフト量が最大になる状態。
すなわち、上記(1)では、吸排気弁のオーバラップがゼロになると吸気弁開弁時に一旦吸気弁から吸気ポートに逆流し、吸気行程中に気筒内に再吸入される既燃ガスの量(内部EGR量)が最小となるため、気筒内に吸入される新気の量、すなわち機関吸気流量が最大になりポンプロスが最大となる。
【0074】
又、上記(2)では、吸気弁の閉弁タイミングを吸気行程下死点にすると吸気行程通過後にピストンの上昇により気筒内から吸気ポートに押し出される空気量が最小となるため、特に機関低速開店時には気筒内に吸入される空気量が最大になりポンプロスが最大となる。
更に、上記(3)では、吸気弁リフト量が最大になる状態では吸気弁の吸気抵抗が最小となるため、気筒内に吸入される空気量が最大になりポンプロスが最大となる。
【0075】
また、上記(1)から(3)以外に、
(4)開弁特性として吸気弁の開弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、吸気弁が吸気行程上死点より後に開弁するようにすると、上死点後吸気弁が開弁するまでの間は空気が吸入されないため、この期間のピストン下降により無駄仕事が発生しポンプロスが増大する。このため、吸気弁の開弁タイミングを適宜な時期まで遅延させることによってもポンプロスを最大にすることが可能である。
【0076】
(5)又、開弁特性として吸気弁の閉弁時期を変更可能とした可変動弁装置においては、排気弁を排気行程上死点より前に閉弁するようにすると、排気弁閉弁後上死点到達までの間ピストンによる圧縮仕事が発生しポンプロスが増大する。このため、排気弁の閉弁タイミングを適宜な時期まで進めることによってもポンプロスを最大にすることが可能である。
【0077】
なお、ポンプロスを増大させる以外に燃焼効率を低下させること、すなわち燃焼エネルギーのうち有効に機関外部出力に変換されない部分を増大させることによっても同一出力を得るために気筒内で燃焼される燃料量が増大するため、排気温度を上昇させることができる。
(6)例えば、開弁特性として排気弁の開弁タイミングを変更可能とした可変動弁装置においては、排気弁の開弁タイミングを爆発行程下死点より前にすることにより、燃焼ガスが充分に膨張して機関出力に変換される前に排気通路に排出されるようになり、高温の排気ガスが排出されるとともに、同一機関出力を得るためには多くの燃料を燃焼させる必要が生じるために更に排気ガス温度が上昇するようになる。
【0078】
本実施形態では、図2ステップ205において可変動弁装置60のタイプ(制御対象とする開弁特性の種類)に応じて気筒弁の開弁特性を上記(1)から(6)のいずれか1つ(または2つ以上の組み合わせ)の状態に固定して吸気圧力に基づいて機関吸気流量を検出するようにしている。これにより、二次空気供給中に排気温度を上昇させた運転を行いながら正確に吸気流量を検出可能となり、二次空気供給中の機関排気性状の悪化や出力トルクの変動を防止しつつ短時間で触媒40を昇温させることが可能となる。
【0079】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明によれば、可変動弁装置を有する機関において過給機下流側の吸気通路から二次空気を分岐させる場合にも正確に機関吸気流量を検出することが可能となる共通の効果を奏する。
【0080】
更に、請求項4に記載の発明によれば、上記共通の効果に加えて、触媒に二次空気を供給して昇温させる場合に、排気温度を上昇させ触媒の昇温を更に促進することが可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を自動車用ガソリン機関に適用した場合の概略構成を示す図である。
【図2】図1の実施形態における機関吸気流量算出操作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…内燃機関本体
2…吸気通路
3…排気通路
10…エアフローメータ
15…吸気圧センサ
27…電子制御スロットル弁
30…電子制御ユニット(ECU)
35…モーターアシストターボチャージャ(MAT)
40…NOX吸蔵還元触媒
51…二次空気通路
53…流量制御弁
60…可変動弁装置
Claims (4)
- 内燃機関の気筒吸気弁と排気弁との少なくとも一方の弁の開弁特性を機関運転中に変更する開弁特性変更手段と、機関吸気通路を流れる吸気流量を検出する流量検出手段と、検出された吸気流量に基づいて内燃機関の運転制御を行う制御手段と、備えた内燃機関の制御装置であって、
更に、機関吸気圧力を検出する吸気圧検出手段を備え、
前記制御手段は、機関の予め定めた運転条件が成立した場合には、前記弁の開弁特性を予め定めた状態に固定して前記開弁特性変更手段による開弁特性の変更を禁止するとともに、前記流量検出手段により検出された吸気流量に代えて前記吸気圧検出手段により検出された機関吸気圧力に基づいて内燃機関の前記運転制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、前記吸気通路を流れる吸気の一部を機関排気通路に二次空気として供給する二次空気供給手段を備え、前記流量検出手段は、吸気通路から前記二次空気が分岐される分岐点より上流側の吸気通路の吸気流量を検出し、前記吸気圧検出手段は前記二次空気の分岐点より下流側での吸気圧力を検出し、前記予め定めた運転条件は二次空気供給手段により吸気の一部が二次空気として排気通路に供給されている状態である請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記内燃機関は、排気中の有害物質を浄化するとともに排気中の特定成分を吸蔵して排気浄化能力が低下する排気浄化用触媒を備え、前記制御手段は必要に応じて、前記内燃機関をリッチ空燃比で運転しつつ二次空気供給手段により前記排気浄化用触媒に二次空気を供給することにより前記排気浄化用触媒の温度を上昇させて触媒から吸蔵した前記特定成分を放出させる被毒解消操作を行う、請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記制御手段は、前記開弁特性変更手段による開弁特性変更禁止時に、前記予め定めた状態として前記触媒に二次空気を供給していない場合に比較して気筒のポンプロスが増大する状態に前記弁の開弁特性を固定する、請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
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