JP2005023074A - 抗ヒトプリオン抗体 - Google Patents

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【課題】 ヒトの異常型プリオン蛋白質に結合する抗体およびその調製方法を提供する。
【解決手段】 ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、特定の配列における所定のアミノ酸配列またはその一部の配列がエピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体、その調製方法、該抗体を使用する異常型プリオン蛋白質検出システム。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトプリオン蛋白質に特異的に結合する抗ヒトプリオン抗体に関する。更に詳細には、不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質を抗原として免疫されたマウスの脾臓細胞をマウスミエローマ細胞と細胞融合して得られるモノクローナル抗体産生細胞、該モノクローナル抗体産生細胞が生産する抗異常型ヒトプリオン抗体およびこれらの調製方法に関する。
クロイツフェルト・ヤコブ病(以下、「CJD」と称することもある)は、100万人に1人の割合で孤発性または家族性に生じ、脳組織の海綿(スポンジ)状変性を特徴とする疾患である。CJDは1920年代初頭、ドイツの神経病理学者クロイツフェルトとヤコブによって記述された。現在では成因からプリオン病、また病理から伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encephalopathy;「TSE」)として哺乳類の神経疾患群にひとくくりにされている。近年、プリオン病またはTSEの感染性がクローズアップされ、社会的に認知されている。
プリオンとは蛋白質性感染粒子(proteinaceous infectious particle)のことで、TSEの核酸を含まない感染性病原体をさす造語で、米国のプルシナー博士によって1982年に提唱された。プルシナー博士は10年の歳月をかけ、プリオン病の罹患脳から幅4nm、長さ数100nm程度の感染性の微細線維状物質を濃縮していき、プリオン説を唱えるに到った。この微細線維状物質は、現在、宿主プリオン蛋白質が異常構造体へ変換され、凝集することによって形成されていると考えられている。
プリオン病では、異常構造を有する異常プリオン蛋白質が中枢神経系に蓄積し、不可逆的な致死性神経障害を生じる。ヒトプリオン病の大半を占めるのは孤発性CJDである。プリオンには感染性があり、感染性プリオン病としてクールー(Kuru)、(新)変異型CJD((new) variant CJD;「vCJD」)、移植後CJDがある。1996年に英国で発表され、ヨーロッパおよび世界中をパニックに陥れたのはvCJDである。これは牛海綿状脳症(bovine spongiform encephalopathy;「BSE」)に起因していると考えられている。一方、プリオン遺伝子に変異を持ち、異常プリオン蓄積の原因となる疾患に遺伝性CJD、クールー斑状沈着を特徴とするゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(fatal familial insomnia;「FFI」)などがある。
動物のプリオン病には、18世紀にすでに知られていたヒツジのスクレイピー(scrapie)、シカ慢性消耗病(chronic wasting disease;「CWD」)、ミンク伝達性脳症(TME)、日本でも7頭見つかっているBSE、ネコ海綿状脳症(FSE)などがある。
プリオン病の病因は、神経細胞表面にある可溶性の正常プリオン蛋白質が異常構造体へ変換後、不溶性となった異常プリオン蛋白質の蓄積が生じ、神経細胞が変性した結果であるといわれている。プリオン蛋白質(prion protein)は、正常型(細胞型)プリオン蛋白質と異常型(感染型)プリオン蛋白質に分類されている。正常型プリオン蛋白質はC末端部で細胞膜へ連なり、正常型から異常型への変換は細胞膜上、または細胞質への再取り込み後に起こると考えられている。異常型プリオン蛋白質の形成は正常型プリオン蛋白質の構造的な変換によって生じるので、異常型プリオン蛋白質の集積には正常型プリオン蛋白質の存在が不可欠である。正常型プリオン蛋白質に多いらせん状構造(αヘリックス)が板状構造(βシート)へ変換した結果、異常型プリオン蛋白質になる。この構造変換によってプリオン蛋白質は伝達性を獲得すると考えられている。
異常構造の伝達は、種々の宿主因子が関与しながら、異常構造体を核として正常プリオン蛋白質が変換され凝集体が形成されていく数種のモデルによって説明されている。この構造変換に伴い、プリオン蛋白質は伝達性に加え蛋白質分解酵素耐性を獲得する。
プリオン蛋白質は253個のアミノ酸より構成されており、その全アミノ酸配列(配列番号42)もすでに知られており(例えば、非特許文献1参照)、ヒトのプリオン蛋白質遺伝子はヒト第20染色体の短腕上に存在し、単一エクソンからなる。
CJDの診断・治療の新しい展開は以下のとおりである。
(1)キナクリンの治験開始
異常プリオンの持続感染細胞を用いた研究でアクリジンの誘導体で抗マラリア薬のキナクリンがプリオンの増殖を抑制するとの報告がなされている(例えば、非特許文献2参照)。変異型CJDの患者1例にキナクリンを投与したところ臨床症状の改善がみられたとの非公式報告もなされている。現在、米国と英国において臨床治験が開始されている。
(2)抗プリオン抗体によるプリオン増殖の抑制
プリオン構成蛋白質の中、抗原性のあるフラグメントを合成し、これに対する抗体が作製されている。この抗体を異常プリオン持続感染細胞の培養液に添加したところ、プリオンの増殖が顕著に抑制されたとして、将来、CJD患者への応用が期待されている(例えば、非特許文献3参照)。
(3)protein-misfolding cyclic amplification(PMCA)による微量異常プリオン蛋白質の検出法
異常プリオン蛋白質を微量に含む組織と正常プリオン蛋白質とを混和し、ついで超音波処理して分解する。この混和、超音波処理を繰り返すことによって高感度に異常プリオン蛋白質を検出することができる(例えば、非特許文献4参照)。
(4)プリオン病における赤芽球分化関連因子(EDRF)のRNAの減少:早期診断への応用
異常プリオン感染動物では接種の早期から脾臓中のEDRF RNAの発現が特異的に減少することが報告されており、早期診断への応用が期待されている(例えば、非特許文献5参照)
輸血、血漿分画製剤、あるいは臓器移植において、クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体による汚染を防ぐことは医療上重要なことである。それには、抗原抗体反応を利用して、CJDに関与するとされる異常型ヒトプリオンを検出するスクリーニング試験が有用である。
ところで、正常型ヒトプリオンには様々な遺伝的多型が知られている。また異常型プリオン蛋白質には、異なるコンホメーションを取っているものが複数存在すると考えられている(例えば、非特許文献6参照)。従って、十数残基程度の短いアミノ酸配列を認識する抗体を1種類用いるのみでは、野外に存在する異常型ヒトプリオン蛋白質をもれなく検出することはできない。特異度の高いスクリーニング試験を実施するためには、プリオン蛋白質上の異なる領域を認識する抗体を複数用いることが必要である。それらの抗体が認識する部位は遺伝的多型がない領域であることが望ましい。また、同一のアミノ酸配列を認識する抗体であっても、異常型プリオンの株により反応性が相互に異なるものであれば、それらの抗体は併用する意味がある。
ヒトプリオン蛋白質に対するモノクローナル抗体「3B5」、「3F4」、「6H4」、および「12F10」が、それぞれヒトプリオン蛋白質の部分アミノ酸配列(配列番号42 におけるアミノ酸番号54〜69、109〜111、144〜152、および150〜165)に結合することを示唆する記載がある(例えば、非特許文献7〜10参照)。また、それぞれヒトのヒトプリオン蛋白質の部分アミノ酸配列(配列番号42 におけるアミノ酸番号86〜114、80〜98)に特異的に結合する抗体が開示されている(例えば、特許文献1および2参照)。
今日では、細胞、動物組織・体液等から遺伝子を抽出、クローニングし、目的の遺伝子を増幅し、得られた目的遺伝子を微生物に生産させる、などの基本的な遺伝子組換え技術(例えば、非特許文献11参照)に基づき、遺伝子クローニング・発現ベクターを始めとする種々の遺伝子研究試薬やキットが開発・市販されている。
また、モノクローナル抗体を作製するための細胞融合技術(例えば、非特許文献10参照)は、診断やスクリーニング試薬の研究・開発に広く利用されており、モノクローナル抗体をスクリーニングするためのELISA法、RIA法、ウェスタンブロット法など種々の検出方法およびこれらの技術に適用するための様々な標識試薬も多数開発されている。
特表平7−501798号公報 特開2000−60551号公報 クレツシュマール(Kretzschmar HA, et al.), "DNA", 1986, 5, p.315-324 "Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America", 2001, 98: p.9836-41 "Nature", 2001, 412: p.739 "Nature" 2001, 411: p.810 "Nature Medicine", 2001, 7: p.361 ファイファー(Pfeifer, A.)ら、"Science", 1996, 274: p.2079-2082 クレースマン(Krasemann, S.)ら、"Journal of Immunological Methods", 1996, 199: p.109-111 カザック(Kascsak, R. J.)ら、"Journal of Virology", 1987, 61: p.3688-3693 コース(Korth, C.)ら、"Nature", 1997, 390: p.74-77 クレースマン(Krasemann, S.)ら、"Molecular Medicine", 1996, 2: p.725-734 サムブルック(Sambrook et al.), "Molecular Cloning, A Labora-tory Manual", 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989 ミルシュタイン(Milstein),"Method in Enzymology", 1981, 73, p.3-46
上述したように、異常型プリオン蛋白質は、可溶性の正常型プリオン蛋白質が構造変化を起こし、凝集することによって形成されると考えられている。したがって、不溶性のプリオン蛋白質を免疫抗原として用いることにより、異常型プリオン蛋白質を認識する抗体を取得できることが期待される。
本発明の目的は、ヒトプリオン蛋白質、特にヒトの異常型プリオン蛋白質に結合する抗体およびその調製方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、疑陰性の少ない異常型プリオン蛋白質の検出システムを構築するための材料を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質(以下、「rhPrP」と称することもある)で免疫されたマウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを細胞融合してモノクローナル抗体産生細胞を得、該モノクローナル抗体産生細胞から生産されるモノクローナル抗体を用いて、ウェスタンブロット法および免疫組織染色法により、CJD発症脳組織との反応性を調べたところ、陽性であることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、CJD発症脳組織、すなわち、ヒトの異常型プリオンと結合するモノクローナル抗体を包含する。
また、本発明は、不溶性のrhPrPで免疫されたマウス脾臓細胞を用いたヒトの異常型プリオン蛋白質に結合するモノクローナル抗体の調製方法を包含する。
本発明はさらに、ヒトの異常型プリオンと結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、とりわけ不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質を免疫して得られる脾臓細胞とミエローマ細胞との間で細胞融合を行うことによって得られるハイブリドーマをも包含する。
また、本発明は、上記モノクローナル抗体を用いた免疫学的手法によるヒトの異常型プリオンの検出方法を包含する。
また、本発明は、好ましい態様として以下の抗体を包含する。
(1)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体(100A1);
(2)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体(125A);
(3)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体(63A1;66A1);
(4)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体(64A);
(5)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体(82A1);
(6)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第135〜174番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体(5A1);
(7)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第135〜224番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体(9A1);
(8)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第163〜224番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体(4A1);および
(9)ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第163〜197番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体(12A1)。
本発明による抗ヒトプリオン抗体は、ヒトプリオン蛋白質のアミノ酸配列上の新規なエピトープを認識し、ヒトの異常型プリオン蛋白質に対して安定した反応性を有する。このように新規なエピトープを認識する本発明抗体は、不溶性のプリオン蛋白質を免疫抗原として用いることによって得ることができた。
本発明の抗ヒトプリオン抗体はまた、ウエスタンブロット法および免疫組織染色法によりCJD発症脳組織との反応性を調べた結果、陽性を示し、異常型プリオン蛋白質の検出に利用できることが示された。
さらに、本発明の抗ヒトプリオン抗体を用いてサンドイッチELISAアッセイを行ったところ、組換えヒトプリオン蛋白質を高感度で検出することができた。
ヒトプリオン蛋白質には様々な遺伝的多型が知られており、また異常型プリオン蛋白質には異なるコンホメーションをとっているものが複数存在すると考えられている。このため、1種類の抗体を用いた検出系では異常型プリオン蛋白質を漏れなく検出することはできず、様々なエピトープを認識する新規な抗体が望まれていた。本発明は、このような様々なエピトープを認識する抗ヒトプリオン抗体を提供するものであり、これまでの既知の抗体とは異なるエピトープを認識し、その認識部位は既知抗体には少ないプリオンの構造変化に影響を与えるC末端側の領域である抗体も多い。
また、本発明による抗ヒトプリオン抗体には立体構造を認識するものも含まれており、立体構造の変化により正常型から異常型に変わるプリオンを検出するのに有効である。
以下、本発明について詳述する。
本発明の方法は、不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質で免疫されたマウスの脾臓細胞とマウスミエローマ細胞とを細胞融合し、ヒトプリオンと結合するモノクローナル抗体産生細胞をスクリーニングすることを特徴とするものである。この方法を実施することにより、異常型プリオン蛋白質に結合する抗体を取得することができる。
ヒトプリオン蛋白質をコードするcDNAは、常法に従って、以下のように調製される。まず、ヒト脳遺伝子ライブラリーから全RNAを抽出し、この中からmRNAを精製する。得られたmRNAをcDNAに変換した後、大腸菌に導入する。大腸菌コロニーの中からヒトプリオン蛋白質をコードするcDNAを含有するクローンを選択する。該クローンの選択は、標識したヒトプリオン蛋白質をコードする遺伝子断片または合成ヌクレオチドをプローブとしてハイブリダイゼーションにより行うことができる。上記の全RNAの抽出には、市販のTRIzol試薬(インビトロジェン社)、ISOGEN(ニッポンジーン社)、StrataPrep Total RNA Purification Kit(東洋紡)等の試薬、mRNAの精製には、mRNA Purification Kit(アマシャムバイオサイエンス社)、Poly(A) Quick mRNA Isolation Kit(東洋紡)、mRNA Separator Kit(クロンテック社)などのキット、cDNAへの変換には、SuperScript plasmid system for cDNA synthesis and plasmid cloning(インビトロジェン社)、cDNA Synthesis Kit(宝酒造)、SMART PCR cDNA Synthesis & Library Construction Kits(クロンテック社)、Directionary cDNA Library Construction Systems(ノバジェン社)などのcNDAライブラリー作製キットがそれぞれ使用される。
また、ヒトプリオン蛋白質をコードするcDNAの塩基配列は、DNAシークエンサー(例えば、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)377型)により決定することができる。配列表の配列番号41は、本発明で使用したcDNAの塩基配列から推測されるアミノ酸配列を示す。
このようにして得られたヒトプリオン蛋白質をコードするcDNAを、宿主に導入し、可溶性蛋白質との融合蛋白質として発現させる。
上記の宿主として、大腸菌、酵母、動物細胞、植物細胞、枯草菌および昆虫細胞などを挙げることができるが、好ましくは、大腸菌である。発現ベクターのプロモータ、マーカー遺伝子などは、使用する宿主によって適宜選択される。
可溶性の融合蛋白質としては、マルトース結合蛋白質、β−ガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、プロテインAおよびアルブミン等の蛋白質が挙げられるが、好ましくは、マルトース結合蛋白質である。大腸菌を宿主とする場合は、発現ベクターとして、例えば、マルトース結合蛋白質(以下、「MBP」と称することもある)発現ベクター(pMALc2x、New England Biolab社製)が挙げられる。配列番号41に記載のアミノ酸配列をコードするcDNAを挿入したMBP発現ベクターで大腸菌(JM109株、BL21株等)を形質転換し、ヒトプリオン蛋白質を生産する形質転換大腸菌を培養することにより、MBP−ヒトプリオン蛋白質(以下、「MBP−PrP」と称することもある)の融合蛋白質を生産する組換え型大腸菌を得ることができる。上記の一連の操作は、pMALc2xキットに添付の方法に従って行われる。得られたMBP−PrP産生大腸菌は、通常使用される組換え型大腸菌の培養条件下で培養した後、遠心分離することによって回収される。
MBP−PrPの精製は、蛋白質化学において通常使用される方法、例えば、塩析法、限外ろ過法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を適宜選択して行えば良い。より具体的には、MBP−PrP産生大腸菌を破砕し、遠心分離により上清を採取し、これをアミロースレジンに接触させてMBP−PrPを吸着させる。洗浄後、マルトース含有緩衝液でMBP−PrPを溶出させる。
得られた可溶性のMBP−PrPは、不溶性のヒトプリオン蛋白質とするために、活性化第X因子で処理される。この処理によって、切断されたPrPは不溶化して沈殿し、MBPは上清中に残る。不溶性のPrPは、適当な緩衝液を用いて懸濁と遠心分離を繰り返すことによって精製される。
ヒトプリオン蛋白質をコードするcDNAの5'側または3'側を適当な制限酵素またはエキソヌクレアーゼで除去したcDNAを用いれば、N末側またはC末側が欠失した切断型ヒトプリオン蛋白質を生産することができる。こうして得られる種々の長さの切断型ヒトプリオン蛋白質は、後述のエピトープマッピングに使用される。
マウスの免疫は、一般的な方法により、例えば、上記の不溶性のPrPを、通常のアジュバントと併用して、マウスに腹腔内投与、皮下投与、皮内投与あるいは静脈内投与することにより行われる。免疫に用いるマウスは、マウスプリオン蛋白質を発現している通常のマウスまたはマウスプリオン遺伝子が除去されたノックアウトマウスのいずれでもよい。
ノックアウトマウスは、マウスプリオン蛋白質遺伝子のエクソン3を含むEcoRIフラグメント(約2kbpで蛋白翻訳領域を含む)をpgk−neo遺伝子に置換したベクターを用いて、相同組換えを行うことにより作製することができる。
アジュバントとしては、フロイントの完全・不完全アジュバント、水酸化アルミゲルなどを使用できるが、好ましくは、フロイントの不完全アジュバントである。より具体的には、不溶性のPrPとフロイントの不完全アジュバントとを等量混合してエマルジョンにした後、これを免疫抗原として、7週令のBalb/c雌マウスに皮下に投与し、1週間後に同様に調製した抗原を皮下に2回追加投与する。免疫の程度は、最終投与後の各マウスの尾血管から採血し、この血液中の抗体価の上昇を確認することによって行われる。抗体価の測定は、通常使用されるELISA法、RIA法、ウェスタンブロット法などの方法に従って行えば良い。
マウスミエローマ細胞としては、NSI−Ag4/1、P3X63−Ag8.U1、X63−Ag8.653などが使用される。不溶性のPrPで免疫されたマウスの脾臓細胞とマウスミエローマとの融合反応は、ミルシュタインらの方法(ミルシュタイン、“Method in Enzymology”, 73, 1981, p.3-46)に準じて行うことができる。すなわち、融合反応は、リンパ細胞の培養に通常用いられる培地、例えば、RPMI1640培地中に、約10個のマウスミエローマ細胞、マウスミエローマ細胞に対して1〜10倍程度の脾臓細胞および融合促進剤として30〜50%(W/V)濃度のポリエチレングリコール(分子量1,000〜6,000)を含む懸濁液を37℃で加温することにより行われる。
ハイブリドーマは、未融合細胞が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間、HAT(ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン)培地中で培養することにより得られる。このようにして得られるハイブリドーマに対し、その培養上清を用いて、上述の抗体価測定方法に従い、目的とする抗体産生株の選択およびクローン化が行われる。より具体的には、MBP−PrPまたはPrP固相化プレートとMBP固相化プレートを用いたELISA法を行うことにより、rhPrPに特異的なモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマを取得できる。
異常型プリオン蛋白質に対する結合性は、CJD発症脳組織に対するウェスタンブロット分析またはCJD発症脳組織切片を用いた免疫学的染色を行うことにより確認される。CJD発症脳組織として、CJD患者または人工的にCJDを発症させたトランスジェニック動物の脳組織が使用される。トランスジェニック動物のCJD発症脳組織は、例えば、ヒトプリオン蛋白質を発現しているトランスジェニックマウスにCJD病原体を脳内接種し、発症後の脳組織を採取することにより得られる。
ウェスタンブロット分析には、採取した脳組織をホモジナイズし、遠心分離により核画分を除去し、プロテネースK処理したものが使用される。また、免疫学的染色には、採取したCJD発症脳組織をホルマリン固定し、パラフィン包埋したものが使用される。ウェスタンブロット分析および免疫学的染色は、常法に従って行われる。
かくして得られたヒトの異常型プリオン蛋白質に結合する抗体は、該抗体産生ハイブリドーマを大量培養した培養上清からまたは該抗体産生ハイブリドーマをマウス腹腔内に投与し、数日後に貯留した腹水から採取される。モノクローナル抗体の精製は、前述の蛋白質化学において通常使用される方法を適宜選択して行えば良い。
抗体のアイソタイピングは、市販のマウスイムノグロブリンアイソタイピングキット(アマシャムバイオサイエンス社)を用い、添付の方法に従って決定することができる。
得られた抗体の抗原認識部位は、N末端側若しくはC末端側を欠失させた種々の長さの切断型ヒトプリオン蛋白質または適当な長さの合成ペプチドを用いたELISA、RIA、ドットブロット、ウェスタンブロット等の方法でエピトープマッピングを実施することにより決定することができる。より具体的には、ビオチン標識したヒトプリオンアミノ酸配列を有する合成ペプチドを、ストレプトアビジン固相化プレートに加え、ビオチン化ペプチドでコーティングされたプレートを作製する。これに、適当濃度のモノクローナル抗体を添加し、抗原抗体反応をさせた後、パーオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgGを反応させ、発色基質を添加して発色させることにより行われる。前記の合成ペプチドの標識物質としては、ビオチン以外に、蛍光物質、例えばサイダイ(Cydye)、フルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンなどを使用できる。
以上の操作を実施することにより、ヒトプリオン蛋白質のアミノ酸配列の特定領域を認識し、且つ、ヒトの異常型プリオン蛋白質に結合するモノクローナル抗体を取得することができる。得られたモノクローナル抗体の種類とヒトプリオン蛋白質のアミノ酸配列上の認識部位を表5および実施例8に示した。なお、表5に記載されたモノクローナル抗体4A1、9A1、100A1、64A、5A1、12A1、63A1および66A1を産生するハイブリドーマは2003年5月13日に、82A1および125Aを産生するハイブリドーマは2003年5月21日に、それぞれ以下の受託番号にて独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に出願人により寄託されている。
4A1: FERM P−19342
9A1: FERM P−19344
100A1:FERM P−19349
64A: FERM P−19347
5A1: FERM P−19343
12A1: FERM P−19345
63A1: FERM P−19346
66A1: FERM P−19348
82A1: FERM P−19365
125A: FERM P−19366
このようにして得られたモノクローナル抗体は、上記の標識物質に加え、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β―ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼ、またはルーシフェラーゼなどの酵素で標識され、免疫組織染色、酵素免疫測定法またはウェスタンブロット法等の方法に基づく、ヒトの異常型プリオン検出システムを構築するための構成成分として使用される。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、これら実施例は本発明の一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
実施例1:不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質抗原の調製
東北大学大学院医学研究科病態神経学教授 北本哲之博士より分与された、配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトプリオン蛋白質をコードするポリヌクレオチド(以下、「cDNA」と称することもある)を、組換え型ヒトプリオン蛋白質の調製に使用した。
上記のcNDAを、マルトース結合蛋白質(MBP)発現ベクター(pMALc2x、New England Biolab社製)のEco RIサイトに挿入した。この発現ベクターで大腸菌(JM109株、BL21株等)を形質転換し、アンピシリン含有寒天培地に播種した。得られたコロニーをスクリーニングし、cDNAが順方向に挿入されているクローンを選択した。
選択されたクローンを一夜前培養し、300mlの培地に一夜培養液を1/100容添加して本培養を開始した。菌体が対数増殖期に入った時点でイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを添加し、さらに2−4時間培養した。集菌後、菌体を破砕し、遠心分離後上清を採取した。この上清をアミロースレジンカラムにアプライしてMBP−PrPを吸着させた。カラムを洗浄後、10mMマルトース含有緩衝液でMBP-PrPを溶出した。
MBP-PrP溶液に活性化第X因子を添加し、4℃で1−3日間反応させた。この間に、切り出されたヒトプリオン蛋白質部分は不溶化して沈殿し、MBP部分は可溶化状態を保持していた。反応溶液を遠心し、上清を除去後、リン酸緩衝液(以下、「PBS」という)で沈殿を懸濁し、再度遠心した。上清を除去後、PBSに懸濁したものを抗原とし、使用直前まで−80℃で保存した。
本抗原調製時に、Eco RIサイトを使用したため、配列番号1で示されたアミノ酸配列のN末にISEFの4残基が付加された。
実施例2:モノクローナル抗体の作製
(1)免疫
抗原とする蛋白質溶液を、PBSで5倍に希釈し、500μlづつ分注後凍結保存して随時免疫に供した。免疫は、抗原溶液500μlとフロイント不完全アジュバント500μlとを混合し、7週令のBalb/c 雌マウス10匹に100μlづつ皮下投与した。1週間後前回同様に抗原を投与し、3回目の免疫後各マウスの尾血管より採血して抗体測定に用いた。ノックアウトマウスに対しても同様に免疫した。
(2)抗体価測定
抗体価測定は、酵素免疫法(以下、「EIA」という)で行った。96穴のイムノプレート(Nunc社)に、MBP-PrPを150ng/wellづつ固相化し、対照用にMBPのみを100ng/wellづつ固相化した。各プレートは洗浄してウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という)でブロッキング後、乾燥して4℃で保存した。10匹のマウス血清を400倍から51,200倍まで2倍希釈系列を作成し、各希釈血清を各プレートに50μlづつ添加し、37℃で30分間インキュベートした。PBSで3回洗浄後、ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリンG抗体を全てのwellに50μlづつ添加し、37℃で30分間清置した。次いでPBSで3回洗浄後、o-フェニレンジアミンを添加し、室温で15分間インキュベートした。塩酸を添加して呈色反応を停止させ、490nmで吸光度を測定した。
(3)融合
抗体価の上昇が認められたマウス3匹に抗原を50μlづつ静脈注射した。静脈注射の4日後に各マウスを屠殺して脾臓を摘出した。脾臓細胞を採取し、マウスミエローマ細胞(X63-Ag8.653)とポリエチレングリコール法によって細胞融合させ、96穴プレートに播種した。
(4)1次スクリーニング
HAT培地を用いて融合細胞を選択した。ヒポキサンチン・チミジン培地に替え、融合2週間目に全wellの上清をMBP-PrP固相化プレート(以下、「ポジプレート」という)、およびMBP固相化プレート(以下、「対照プレート」という)に各々50μlづつ分注し、4℃で一夜インキュベートした。洗浄後、抗体価測定と同様の手順で、測定した。
(5)1次クローニング
ポジプレートで測定値が1.8以上で、かつ、対照プレートで測定値が0.09以下の細胞から、生育状況の良好なもの23クローンを選択した。各細胞を限界希釈法によりサブクローニングを行った。
(6)2次スクリーニング
培養上清を用いて、1次スクリーニングと同様の手順で測定した。
その結果、2A1、4A1、5A1、9A1、12A1、16A3、63A1、64A、66A1、76A、78A、80A、82A1、90A、99A、100A1、103A、119A、120A、125A、135A、142Aおよび174Aとして示されるモノクローナル抗体が得られた。
実施例3:モノクローナル抗体のアイソタイピング
マウスイムノグロブリンアイソタイピングキット(アマシャムバイオサイエンス社製)を用いて、抗体のサブタイプを決定した。その結果、各抗体のサブタイプは以下のとおりであった。
表1:各抗体のアイソタイプ
Figure 2005023074
実施例4:エピトープ重複確認試験
マルトース結合蛋白質−ヒトプリオン蛋白質融合蛋白質をマイクロプレートに固相化した。5μg/mlの各精製抗体を50μlづつ分注し、37℃で30分間、ブロッキングした。プレートを洗浄後、20μg/mlのビオチン標識した抗体を50μlづつ分注し、37℃で30分間インキュベートした。プレートを洗浄後、アビジン−ホースラディッシュパーオキシダーゼを添加し、室温で30分間反応させた。プレートを洗浄後、o-フェニレンジアミンで発色させ、490nmにおける吸光度を測定した。
ビオチン標識抗体単独使用時の吸光度をA、非標識抗体でブロッキング後、ビオチン標識抗体を反応させたときの吸光度をBとして、以下の式で結合抑制率を計算した:抑制率(%)=(A − B)/A × 100
各抗体の抑制率を表2に示した。
表2:各抗体の結合抑制率
Figure 2005023074
表2:各抗体の結合抑制率(続き)
Figure 2005023074
表2:各抗体の結合抑制率(続き)
Figure 2005023074
実施例5:ウエスタンブロッティング
(1)rhPrPに対するウエスタンブロッティング
抗原として用いた不溶性のrhPrPをポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、PVDF膜にブロッティングし、1%スキムミルク含有TBS緩衝液(25mM Tris-HCl (pH 7.5), 150mM NaCl)でブロッキングした。抗体産生ハイブリドーマ細胞をマウスに接種して得られた腹水を200倍希釈したものを一次抗体とし、抗マウスIgG抗体を2次抗体として用いて、インキュベートした。膜を洗浄後、ECLシステムで化学発光させた。各抗体は、rhPrPを認識した。その結果を図1に示す。
(2)CJD患者脳に対するウエスタンブロッティング
脳ホモジネートをブロッティング後、1000倍希釈した腹水を一次抗体、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgGを二次抗体として用い、ECLシステムで化学発光させた。その結果を図2に示す。図2から明らかなように、各抗体は、異常型プリオン蛋白質に特徴的な3本のバンド認識していた。
(3)CJD病原体接種後、発症したマウスの脳ホモジネートに対するウエスタンブロッティング
ヒトプリオン蛋白質を発現するトランスジェニックマウスに、CJD病原体を脳内接種した。発症後、脳を採取してホモジナイズし、核画分を除去後、プロテネースK処理した。電気泳動、メンブランへ転写後、各抗体でウエスタンブロッティングした。その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、2A1、5A1、9A1、および16A3の各抗体は、異常型プリオン蛋白質に特徴的な3本のバンドを、また、4A1、および12A1は、異常型プリオン蛋白質に特徴的な3本のバンドのうち最も分子量の大きい糖鎖が2本付加したバンドを除く2本を認識していた。さらに、12A1はフラグメンテッドプリオン蛋白質といわれる分子量の小さいバンドも認識していた。
実施例6:CJD患者脳組織切片に対する免疫組織染色
ホルマリン固定したパラフィン包埋組織から2.7μm厚の切片を切り出した後、パラフィンを除去した。組織中にもともと存在するパーオキシダーゼをブロックするため、0.3%過酸化水素含有メタノール中で30分間インキュベートした。ステンレス鋼の容器中で組織切片を、蒸留水で希釈した3 mmol/L塩酸に浸漬した状態で121℃、10分間オートクレーブし、常圧、および60℃以下になってから組織切片を取り出し、水道水と50 mmol/L Tris-HCl (pH 7.6)で洗浄した。5%スキムミルク含有のTTBS (25 mmol/L Tris-HCl (pH 7.6)、 0.05% Tween 20、0.5 mol/L NaCl)で希釈した抗プリオン抗体(0.5μg/ml)溶液中、4℃でインキュベートし、非標識抗体−ビオチン−ストレプトアビジン法(ICN Immunobiologicals, Costa Mesa, CA)を実施後、ジアミノベンジディンで発色させた。その結果を表3に示す。各抗体は、異常型プリオン蛋白質を特異的に染色していた。
表3
Figure 2005023074
実施例7:合成ペプチドによるエピトープマッピング
(1)ビオチン化ペプチドの合成(PepSet)
東洋紡に委託して、ペプセットによりクリーバブルタイプのビオチン化ペプチドを1μmoleづつ合成した。各ペプチドは、ビオチン−SGSG(スペーサ)−15アミノ酸−アミド(15アミノ酸部分は表4参照)、但し、第1番目のペプチドのみAmino−15アミノ酸−GSG−Biocytamideとの構造とした。ペプチド本数は合計40本で、streptavidin固定化プレート5枚を作製した。
表4:合成ペプチド(15アミノ酸部分)の配列
Figure 2005023074
(2)合成ペプチドのコーティング
別個のBIO-RAD racked Titertube Micro Tube内にある、40種類の各乾燥ペプチドに、0.4mLの50/50% acetonitrile/waterを添加した。各チューブを5分間繰り返し逆さにした後、Microrackに移して超音波槽内で超音波処理した。ペプチド溶液を約70倍に希釈するため、1.4mLづつ50/50% acetonitrile/waterをBeckman square well plate (Cat. No. 140504)に分注した。そこへ20μLのペプチド溶液を添加し、混合した。20μLの希釈したペプチド溶液を、duplicateで、あらかじめ各穴に80μLのPBS/0.1%v/v Tween 20/0.1%w/v sodium azideが入ったstreptavidin coated plateの相応する位置の穴に添加した。最終的なペプチド溶液の希釈倍数は、約350倍となった。(注:このペプチド量は、固定化されたstreptavidinのすべての結合サイトを飽和させるのに十分な量である。)プレートは、冷室で一夜インキュベート後、20℃で30分間振とうした。プレートを洗浄後、25℃で30分間乾燥した。プレートは使用するまで-20℃で保存した。
(3)全ての穴がビオチン化ペプチドでコーティングされていることの確認試験
多数のプレートをduplicateでペプチドコーティングした。各穴がビオチン化ペプチドでコーティングされていることを確認するため、各穴に100μLの50ng/mLビオチン化パーオキシダーゼ溶液を添加した。このとき、対照として、ビオチン化ペプチドでコートされていない穴(fully unblocked)と過剰のビオチンで処理した穴(fully blocked)を追加した。その結果を図4に示す。図4中、BLはfully blocked、UNはfully unblockedをそれぞれ意味する。
図4から明らかなように、ペプチドコートした穴は、fully blockedの穴より低いabsorbanceを示した。このことは、各穴がビオチン化ペプチドでコートされていることを示唆している。さらには、ビオチンよりもビオチン化ペプチドの方が、より効果的にビオチン化パーオキシダーゼの結合を阻害することを示唆している。
(4)エピトープマッピング
モノクローナル抗体を終濃度2μg/mLとなるようにPBS/0.1%v/v Tween 20/0.1%w/v sodium azideで希釈した。抗体溶液をペプチドコーティングしたプレートの各穴に100μLづつ分注した。プレートは、4℃で一夜インキュベート後、20℃で30分間振とうした。プレートを洗浄後、各穴に100μLづつ、2.5%カゼイン溶液で2000倍に希釈したパーオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG(H+L)(Kirkegaard & Perry, Cat. No. 074-1806)を添加した。プレートを20℃で1時間振とうした。各穴を水で洗浄後、残存する液体を除去するため紙タオル上に向け下方向にたたいた。100μLのABTS基質溶液(0.5mg/mL 2,2Azino-di-[3-ethyl-benzthiazolin-sulfonat], 0/01%w/v 過酸化水素水)を添加し、22℃の恒温室で10分まで浸透した。プレートをLabsystems Multiskan Multisoft plate readerを用い、495nmをreference波長とし405nmで測定した。その結果を図5〜図7に示す。
4A1および9A1は、いずれのペプチドにも結合しなかった(図5)。従って、この方法では、これらの抗体のエピトープを推定することはできなかった。64A、100A1および174Aは、ペプチド5および6と強く結合し、ペプチド7〜13とも弱く結合した。さらに、64Aはペプチド28とも結合した(図5)。ペプチド7〜13は、オクタペプチドのリピートが存在する領域である。これらの抗体は、オクタペプチドの一部をエピトープとしていることが示唆された。
2A1、5A1および16A3は、ペプチド24および25に強く結合した(図6)。12A1、125Aは、ペプチド28のみに強く結合した(図6)。63A1および66A1は、ペプチド28に強く結合し、ペプチド27および29に弱く結合した。また、これらは、ペプチド5、6および39にも弱く結合した(図6)。その他の抗体は、ペプチド28に強く結合し、ペプチド27、29および39にも弱く結合した(図7)。
以上の結果を表5にまとめて示す。
表5:エピトープマッピングの結果
Figure 2005023074
*:S,M,Wは、それぞれ強、中、弱の結合の程度を表す。
実施例8:欠失変異体によるエピトープマッピング
プロテネースK処理後のヒトプリオン蛋白質(アミノ酸番号95−230)のN末側、またはC末側からの一連の欠失変異体とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの融合蛋白質を大腸菌で発現させた。各変異体の構造を図8および図9に示す。これらの蛋白質に対して、各抗体でウエスタンブロッティングを実施した。
2A1によるウエスタンブロッティングでは、C末側が174番目まである変異体(Hu95−174)は認識したが、それ以上欠失させる(Hu95−146)と認識しなかった。また、N末側が135番目まである変異体(Hu135−230)は認識したが、それ以上欠失させる(Hu149−230等)と認識しなかった(図10)。これらのことから、2A1の認識するエピトープは135−174残基の間にあると推察された。
以下同様にして、4A1のエピトープは171−216(または163−224)残基の間に(図11)、5A1のエピトープは135−174残基の間に(図12)、9A1のエピトープは135−216残基の間に(図13)、12A1のエピトープは163−197残基の間に(図14)、16A3のエピトープは135−174残基の間に、それぞれあると推察された。
実施例9:ヒトプリオン蛋白質(hPrP)を検出するためのサンドイッチELISA
ヒトプリオン蛋白質(hPrP)を検出するため、数種類のモノクローナル抗hPrP抗体を用いたサンドイッチELISA法の確立を行った。
モノクローナル抗体80Aと119A(PBSで0.5mg/mLに希釈抗体各60μL)を混合し、炭酸緩衝液(pH9.4;1380μL)でそれぞれの最終濃度を20μg/mLとし、ELISAプレートの各ウエルに50μLを添加した。37℃で2時間吸着させた後、ELISAプレートを0.05%Tween-PBS(pH7.4;250μL/ウエルで2回)で洗浄後、4倍希釈したブロックエース(1.5mL)を各ウエルに50μLずつ添加して37℃で2時間培養した。実施例1で調製した組換えhPrP(200μL)を5%SDS(200μL)と等量混合した後、メタノール(1.6mL)で沈殿させ、10倍希釈したブロックエースで2段階希釈し、各ウエルに50μLずつ添加して4℃で終夜反応させた。各ウエルを0.05%Tween-PBSで洗浄後、Biotin化モノクローナル抗体100A1(最終濃度5μg)の50μLを添加し、37℃で3時間反応させた。Avidin標識酵素(1.5μL)を10倍希釈したブロックエースで1000倍に希釈し、各ウエルに50μLずつ添加して、37℃で1時間反応させた。各ウエルを0.05%Tween-PBSで洗浄後、o-フェニレンジアミンを添加し、室温で反応させた後、1mol/L塩酸で反応を停止した。各サンプルの測定をデュプリケートで実施した。その結果を図15に示す。
図15の結果から明らかなように、モノクローナル抗hPrP抗体を利用したサンドイッチELISA法の組換えhPrPに対する検出感度は、31pg/50μLであり、モノクローナル抗hPrP抗体を利用したサンドイッチELISA法が樹立された。
本発明によれば、ヒトプリオン蛋白質のアミノ酸配列上の新規なエピトープを認識し、ヒトの異常型プリオン蛋白質に対して安定した反応性を有する抗体が提供される。このように新規なエピトープを認識する本発明抗体は、不溶性のプリオン蛋白質を免疫抗原として用いることによって得ることができた。ウエスタンブロット法および免疫組織染色法により、CJD発症脳組織との反応性を調べた結果、本発明抗体は陽性を示し、異常型プリオン蛋白質の検出に利用できることが示された。
従来の技術の項においても詳述したように、ヒトプリオンには様々な遺伝的多型が知られており、また異常型プリオン蛋白質には、異なるコンホメーションをとっているものが複数存在すると考えられている。従って、1種類の抗体を用いた検出系では異常型プリオン蛋白質を漏れなく検出することはできないため、様々なエピトープを認識する新規な抗体が望まれていた。本発明抗ヒトプリオン抗体は、既知の抗体とは異なるエピトープを認識し、その認識部位は既知抗体には少ないプリオンの構造変化に影響を与えるC末端側の領域である抗体も多い。
また、本発明抗体には立体構造を認識する抗体も含まれており、立体構造の変化により正常型から異常型に変わるプリオンの検出において、立体的なエピトープを認識する本発明抗体は異常型プリオン検出系の開発、プリオン異常化に関する研究など様々な面で有用な抗体である。従って、本発明抗ヒトプリオン抗体は、輸血、血液製剤、および臓器移植における異常型プリオン蛋白質のスクリーニングやヒトプリオン蛋白質関連の研究用試薬や診断薬等への利用が期待できる。
組換えヒトプリオン蛋白質に対するウエスタンブロッティングを示す。抗原量の単位はng(バンド当たり)。矢印は、抗原(組換えヒトプリオン)の位置を示す。70kDa付近にみえるバンドはウシ血清アルブミンである。
CJD患者の脳に対するウエスタンブロッティングの結果を示す。
CJD病原体を接種後、発症したマウスの脳ホモジネートに対するウエスタンブロッティングの結果を示す。
ペプチドコーティングの確認試験の結果を示す。
ペプチドによるエピトープマッピングの結果を示す。ペプチド1〜40に対するモノクローナル抗体4A1、9A1、174A、100A1および64Aの結合を示す。
ペプチドによるエピトープマッピングの結果を示す。ペプチド1〜40に対するモノクローナル抗体2A1、5A1、16A3、12A1、125A、63A1、66A1および76Aの結合を示す。
ペプチドによるエピトープマッピングの結果を示す。ペプチド1〜40に対するモノクローナル抗体76A、78A、80A、82A1、90A、99A、103A、119A、120A、135Aおよび142Aの結合を示す。
大腸菌で発現させた、ヒトプリオン蛋白質またはそのC末端側欠失変異体とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの各融合蛋白質の構造を示す模式図。図中、GSTはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを示し、数値はアミノ酸番号を示す。糖鎖の付加部位をも示してあるが、実際の融合蛋白質は大腸菌発現のため糖鎖はない。
大腸菌で発現させた、ヒトプリオン蛋白質またはそのN末端側欠失変異体とグルタチオン−S−トランスフェラーゼとの各融合蛋白質の構造を示す模式図。図中、GSTはグルタチオン−S−トランスフェラーゼを示し、数値はアミノ酸番号を示す。糖鎖の付加部位をも示してあるが、実際の融合蛋白質は大腸菌発現のため糖鎖はない。
GTS−プリオン欠失変異体融合蛋白質に対するモノクローナル抗体2A1によるウエスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:Mo94−230;レーン2:Hu95−230;レーン3:Hu95−224;レーン4:Hu95−216;レーン5:Hu95−208;レーン6:Hu95−197;レーン7:Hu95−186;レーン8:Hu95−174;レーン9:Hu95−146;レーン10:GST;レーン11:Hu135−230;レーン12:Hu149−230;レーン13:Hu163−230;レーン14:Hu171−230;レーン15:Hu179−230;レーン16:Hu187−230;レーン17:Hu197−230
GTS−プリオン欠失変異体融合蛋白質に対するモノクローナル抗体4A1によるウエスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:Mo94−230;レーン2:Hu95−230;レーン3:Hu95−224;レーン4:Hu95−216;レーン5:Hu95−208;レーン6:Hu95−197;レーン7:Hu95−186;レーン8:Hu95−174;レーン9:Hu95−146;レーン10:GST;レーン11:Hu135−230;レーン12:Hu149−230;レーン13:Hu163−230;レーン14:Hu171−230;レーン15:Hu179−230;レーン16:Hu187−230;レーン17:Hu197−230
GTS−プリオン欠失変異体融合蛋白質に対するモノクローナル抗体5A1によるウエスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:Mo94−230;レーン2:Hu95−230;レーン3:Hu95−224;レーン4:Hu95−216;レーン5:Hu95−208;レーン6:Hu95−197;レーン7:Hu95−186;レーン8:Hu95−174;レーン9:Hu95−146;レーン10:GST;レーン11:Hu135−230;レーン12:Hu149−230;レーン13:Hu163−230;レーン14:Hu171−230;レーン15:Hu179−230;レーン16:Hu187−230;レーン17:Hu197−230
GTS−プリオン欠失変異体融合蛋白質に対するモノクローナル抗体9A1によるウエスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:Mo94−230;レーン2:Hu95−230;レーン3:Hu95−224;レーン4:Hu95−216;レーン5:Hu95−208;レーン6:Hu95−197;レーン7:Hu95−186;レーン8:Hu95−174;レーン9:Hu95−146;レーン10:GST;レーン11:Hu135−230;レーン12:Hu149−230;レーン13:Hu163−230;レーン14:Hu171−230;レーン15:Hu179−230;レーン16:Hu187−230;レーン17:Hu197−230
GTS−プリオン欠失変異体融合蛋白質に対するモノクローナル抗体12A1によるウエスタンブロッティングの結果を示す。レーン1:Mo94−230;レーン2:Hu95−230;レーン3:Hu95−224;レーン4:Hu95−216;レーン5:Hu95−208;レーン6:Hu95−197;レーン7:Hu95−186;レーン8:Hu95−174;レーン9:Hu95−146;レーン10:GST;レーン11:Hu135−230;レーン12:Hu149−230;レーン13:Hu163−230;レーン14:Hu171−230;レーン15:Hu179−230;レーン16:Hu187−230;レーン17:Hu197−230
本発明の抗ヒトプリオン抗体を用いたサンドイッチELISA法による組換えヒトプリオン蛋白質の検出を示す。

Claims (56)

  1. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体。
  2. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19349として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項1記載の抗体。
  3. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体。
  4. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19366として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項3記載の抗体。
  5. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体。
  6. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項5記載の抗体。
  7. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19346として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマまたは受託番号FERM P−19348として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項5または6記載の抗体。
  8. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体。
  9. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項8記載の抗体。
  10. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19347として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項8または9記載の抗体。
  11. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする前記抗体。
  12. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項11記載の抗体。
  13. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19365として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項11または12記載の抗体。
  14. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第135〜174番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体。
  15. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第143〜152番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする請求項14記載の抗体。
  16. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19343として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項14または15記載の抗体。
  17. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第135〜224番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体。
  18. 配列表の配列番号42における第135〜149番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第208〜216番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする請求項17記載の抗体。
  19. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項17または18記載の抗体。
  20. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19344として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項17ないし19のいずれかに記載の抗体。
  21. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第163〜224番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体。
  22. 配列表の配列番号42における第171〜216番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする請求項21記載の抗体。
  23. 配列表の配列番号42における第171〜179番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第208〜216番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする請求項21記載の抗体。
  24. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項21ないし23のいずれかに記載の抗体。
  25. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19342として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項21ないし24のいずれかに記載の抗体。
  26. ヒトプリオン蛋白質と結合する抗体であって、配列表の配列番号42における第163〜197番目のアミノ酸配列上のエピトープを認識することを特徴とする前記抗体。
  27. 配列表の配列番号42における第163〜171番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第186〜197番目のアミノ酸配列またはその一部の配列が、エピトープの構成部分として含まれることを特徴とする請求項26記載の抗体。
  28. エピトープが、立体配置的(コンフォメーショナル)エピトープであることを特徴とする請求項26または27記載の抗体。
  29. モノクローナル抗体であり、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19345として寄託されるモノクローナル抗体産生ハイブリドーマから調製される請求項26ないし28のいずれかに記載の抗体。
  30. ヒトプリオン蛋白質が、異常型であることを特徴とする請求項1ないし29のいずれかに記載の抗体。
  31. 標識物質で標識された請求項1ないし30のいずれかに記載の抗体。
  32. 標識物質がビオチン、サイダイ(Cydye)、フルオレセインイソチオシアネートまたはローダミンであることを特徴とする請求項31記載の抗体。
  33. 標識物質がペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β―ガラクトシダーゼ、グルコシダーゼまたはルーシフェラーゼであることを特徴とする請求項31記載の抗体。
  34. 不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質を免疫して得られる脾臓細胞とミエローマ細胞との間で細胞融合を行い、得られる融合細胞からモノクローナル抗体産生細胞をスクリーニングすることを特徴とする、抗ヒトプリオン抗体の調製方法。
  35. 不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質が、配列表の配列番号41記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドであることを特徴とする請求項34記載の調製方法。
  36. ヒトの異常型プリオン蛋白質と結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。
  37. 不溶性の組換え型ヒトプリオン蛋白質を免疫して得られる脾臓細胞とミエローマ細胞との間で細胞融合を行うことによって得られたものである、請求項36記載のハイブリドーマ。
  38. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列を含む、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  39. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19349として寄託されている、請求項38に記載のハイブリドーマ。
  40. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列を含む、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  41. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19366として寄託されている、請求項40に記載のハイブリドーマ。
  42. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列を含む、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  43. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19346としてまたは受託番号FERM P−19348として寄託されている、請求項42に記載のハイブリドーマ。
  44. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第43〜62番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列を含む、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  45. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19347として寄託されている、請求項44に記載のハイブリドーマ。
  46. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第153〜167番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第158〜172番目のアミノ酸配列またはその一部の配列、第163〜177番目のアミノ酸配列またはその一部の配列および第213〜227番目のアミノ酸配列またはその一部の配列を含む、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  47. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19365として寄託されている、請求項46に記載のハイブリドーマ。
  48. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第135〜174番目のアミノ酸配列中に含まれる、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  49. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19343として寄託されている、請求項48に記載のハイブリドーマ。
  50. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第135〜224番目のアミノ酸配列中に含まれる、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  51. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19344として寄託されている、請求項50に記載のハイブリドーマ。
  52. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第163〜224番目のアミノ酸配列中に含まれる、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  53. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19342として寄託されている、請求項52に記載のハイブリドーマ。
  54. 該モノクローナル抗体が認識・結合するエピトープが、配列表の配列番号42における第163〜197番目のアミノ酸配列中に含まれる、請求項36または37に記載のハイブリドーマ。
  55. 独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに受託番号FERM P−19345として寄託されている、請求項54に記載のハイブリドーマ。
  56. 請求項1ないし30のいずれかに記載の抗体若しくは請求項31ないし33のいずれかに記載の標識抗体、またはこれらの組み合わせからなる抗体を使用することを特徴とする異常型プリオン検出システム。
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