JP2005020450A - 平面アンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】受信帯域が広い平面アンテナを提供すること。
【解決手段】給電導体31の両側にそれぞれ誘電体34を介して無給電導体41,42を配置するようにしている。このとき、無給電導体41を複数の導体領域41a〜41cに分割して形成し、スイッチSw1,Sw2により、無給電導体41を形成している導体領域41a〜41cを非接地とする、或いは所定の導体領域だけを接地することで、給電導体31の共振周波数を可変できるようにすることで、受信帯域の広い平面アンテナを形成するようにした。
【選択図】 図10
【解決手段】給電導体31の両側にそれぞれ誘電体34を介して無給電導体41,42を配置するようにしている。このとき、無給電導体41を複数の導体領域41a〜41cに分割して形成し、スイッチSw1,Sw2により、無給電導体41を形成している導体領域41a〜41cを非接地とする、或いは所定の導体領域だけを接地することで、給電導体31の共振周波数を可変できるようにすることで、受信帯域の広い平面アンテナを形成するようにした。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばテレビジョン放送を受信するのに好適な平面アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、携帯可能な大きさでテレビジョン放送波を受信することができるTV放送受信装置としては、図12に示すようなものが知られている。
この図12に示す従来のTV放送受信端末装置100においては、テレビジョン放送の受信用アンテナとして棒状アンテナ101が取り付けられている。
【0003】
ところで、地上波などのテレビジョン放送は、VHF(Ultra High Frequency)帯、及びUHF(Ultra High Freqency)帯の電波を利用している。例えばUHF帯の電波を利用したテレビジョン放送であれば、UHF帯の周波数帯域(300MHz〜3000MHz)のうち、470MHz〜770MHzの周波数範囲の電波を利用して行うようにしている。
このため、UHF帯のテレビジョン放送波を受信するTV放送受信端末装置100では、棒状アンテナ101の形状が長大になり、携帯性を損なうという欠点があった。また美観的にも好ましいものではなかった。
また棒状アンテナ101は、その長さによって共振するため、特定の周波数において使用する場合は長さ調整などを行う必要もあった。
【0004】
そこで、移動体向けのTV放送受信装置のアンテナとしては、例えばセラミックなどの高誘電体材料に三次元金属パターンを形成して小型化した平面アンテナなどが提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−252516号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている平面アンテナは、例えば高誘電体材料からなるプリント基板を利用して複雑な三次元の金属パターンを形成する必要があるため、回路部品が搭載されるプリント配線基板に対して、平面アンテナを直接形成することができず、アンテナの製造コストが高くなる。
また、別途作製した平面アンテナをプリント配線基板に実装する実装コストなども発生する。
このため、上記特許文献1に記載されているような平面アンテナをTV放送受信装置に適用する場合は、非常にコストがかかるという欠点があった。
【0007】
また、例えばプリント配線基板に金属パターンを形成して、いわゆるパッチアンテナのようにして平面アンテナを形成することも考えられるが、この場合は利用する周波数帯域が低くなるにしたがって、アンテナサイズが大きくなるという欠点があった。
【0008】
特に、VHF帯やUHF帯の電波を利用したテレビジョン放送波を平面アンテナで受信しようとするとアンテナサイズが非常に大きくなる。このため、上記した平面アンテナは、例えば携帯サイズでテレビジョン放送を受信可能な放送受信装置には不向きであった。
【0009】
また、平面アンテナは、所望のアンテナ特性が得られる周波数範囲が狭く、またアンテナ特性が得られる周波数範囲も固定であるため、この点からも周波数範囲が広いテレビジョン放送には不向きであった。
【0010】
このように、従来の平面アンテナは、コスト面や、サイズ面、特性面から、比較的低い周波数帯域の電波を利用しているテレビジョン放送波の受信アンテナとして使用することは困難であり、また例えばVHF帯とUHF帯のテレビジョン放送波を受信できるような広い受信帯域を有するアンテナを構成することはできなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、本発明の平面アンテナは、給電導体と、複数の導体領域に分割され、給電導体の片側に配置される無給電導体と、給電導体の共振周波数を可変するために、複数の導体領域の電気的特性を切り替える切替手段とを備えることとした。
【0012】
本発明によれば、給電導体の片側に配置される無給電導体を複数の導体領域に分割して形成する。そして、切替手段により、これらの導体領域に分割されている無給電導体の電気的特性を切り替えることで給電導体の共振周波数を可変することで、平面アンテナの受信帯域を拡大することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の平面アンテナを用いて構成される携帯端末装置の外観構造を示した図である。
この図1に示す携帯端末装置1は、例えばテレビジョン放送を受信して表示画面1aにテレビジョン画像が表示される。また、その選局操作は操作部1bによって行うことができる。
【0014】
また、このような携帯端末装置1では、例えば、その上端部にアンテナユニット2が取り付けられており、上記図12に示したような、従来の棒状アンテナを備えた放送受信装置に比べてアンテナ部分が小さく、携帯性に優れたものとなっている。
【0015】
なお、アンテナユニット2は、携帯端末装置1から着脱可能なように、その上部からアンテナユニット2の一部が露出したような構造になっているが、アンテナユニット2は、携帯端末装置1の内部に配置することも可能である。
その場合、アンテナユニット2はユーザから見えないので、アンテナユニット2により携帯端末装置1の外観が損なわれることがないという利点がある。
【0016】
また、携帯端末装置1にアンテナユニット2を取り付ける場合、例えば、携帯端末装置1にカード型メモリを着脱する着脱部が設けられているときは、アンテナユニット2をカード型メモリと同一の形状サイズにすれば、メモリ着脱部を利用して着脱を行うことも可能である。もちろん、カード型メモリ以外でも、携帯端末装置1に着脱部が設けられていれば、例えばPCカードなどの着脱部が設けられていれば、PCカードの着脱部を利用して着脱を行うことも可能である。
なお、この場合は、アンテナユニット2が着脱部を介して携帯端末装置1の所要の回路ブロックに対して電気的に接続されることは言うまでもない。
【0017】
上記したようなアンテナユニット2の構造は、図2のように示される。
この図2に示すアンテナユニット2は、プリント配線基板3上に、給電導体31と無給電導体33からなる平面アンテナ11、及びコンデンサや抵抗、コイル、IC(Integrated Circuit)などの各種電子部品4が設けられている。
【0018】
また、上記した平面アンテナの構造は、図3のように示される。
この図3に示す平面アンテナ11は、例えばプリント配線基板3に内層される金属パターンを利用して給電導体31が形成されている。
給電導体31の一端側には、給電部32が設けられており、この給電部32により給電電流を励振させることで、電波を放射又は受信するためのアンテナ素子を形成するようにしている。
【0019】
この場合の給電導体31は、所定長の金属パターンを曲折させた、いわゆるミアンダ形状に形成されている。これにより、より小さい平面サイズで、しかもより低い共振周波数が得られるようにしている。
なお、給電導体31の形状は、必ずしもミアンダ形状である必要はなく、より小さい平面サイズで、より低い共振周波数が得られれば他の形状、例えば螺旋状などであっても良い。
【0020】
また、プリント配線基板3の表面両側に設けられている金属パターンを利用して、基板両側に無給電導体33,33を形成するようにしている。この場合の無給電導体33,33は平板状とされ、給電導体31の両側を覆うように配置される。
【0021】
なお、このような無給電導体33は、プリント配線基板3の上面又は下面の何れか一方だけに形成するようにしても良い。
また、無給電導体33,33はプリント配線基板3の両側表面に設けられている金属パターンを利用して形成する必要はなく、例えばプリント配線基板3の両側に金属板を配置するようにして形成することも可能である。
【0022】
また、給電導体31と無給電導体33,33との間には、プリント配線基板3の基板材料が誘電体34,34として設けられることになる。
この場合、例えばプリント配線基板3の基板材料がガラスエポキシ樹脂であれば、その誘電率は4.7とされる。
このように平面アンテナ11を形成した場合には、無給電導体33,33が給電導体31と電磁的に結合して電波の放射を促進させることができるようになる。
【0023】
また、このような平面アンテナ11では、給電導体31と無給電導体33,33との間に設けた誘電体34,34の内部では電波の伝搬速度が遅くなる。
このため、図3に示す平面アンテナ11においては、給電導体31の両側に無給電導体33,33を配置すると共に、その間に誘電体34,34を設け、これら誘電体34,34により給電導体31の電気長を、実際の物理長より長くして平面アンテナ11の共振周波数を低くすることができる。
【0024】
この結果、平面アンテナ11においては、単に給電導体31を用いて平面アンテナを形成する場合に比べて、より小さい平面サイズで、より共振周波数の低いアンテナを形成することができるようになる。なお、給電導体31と誘電体34だけでは、上記したような効果は殆ど得られないものとされる。
【0025】
また、このように平面アンテナ11を構成した場合は、給電導体31を無給電導体33,33により囲まれた構造となるので、例えば給電導体31が露出するような構造の二次元平面アンテナより外的要因の影響を受けにくいという利点もある。
【0026】
なお、図3に示した平面アンテナ11においては、給電導体31の両側に無給電導体33,33を配置するようにしているが、給電導体31の何れか一方の面との間で、誘電体34を挟んで無給電導体33を配置するだけでも、給電導体31と無給電導体33との電磁結合によってアンテナからの電波の放射を促進することができる。
【0027】
また、その場合も給電導体31と無給電導体33との間に設けられている誘電体34によって単に給電導体31を用いて平面アンテナを形成する場合より、小さい平面サイズで共振周波数の低い平面アンテナを形成することができる。
【0028】
以下、上記図3に示した平面アンテナの特性を図4〜図9に示す特性図を用いて説明する。
図4は、平面アンテナ11の給電導体の長さによる共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図4(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31の長さ(Length)を長くすれば、それだけ共振周波数を低くできることがわかる。なお、このときの給電導体31の長さ(Length)は利用周波数のほぼ半波長になっている。
なお、図4(a)に示す平面アンテナの給電導体31の長さ(Length)は、同図(b)に示すように、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さをa、長辺の長さをbとしたときに、a×(ミアンダライン繰り返し回数)+bにより求められるものとされる。なお、平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0029】
図5は、平面アンテナ11の給電導体の導体幅による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図5(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31のミアンダラインの導体幅(Width)を広くすると、それだけ平面アンテナの共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図5(a)に示す平面アンテナの給電導体31の導体幅(Width)は、同図(b)に示すようにミアンダラインのライン幅とされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0030】
図6は、平面アンテナ11の無給電導体のオフセット幅による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図6(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31と無給電導体33との間のオフセット幅(Edge)である給電導体31と無給電導体33との間の幅を、給電導体31より無給電導体33のほうが大きくなるように形成すれば、それだけ平面アンテナの共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図6(a)に示す無給電導体33のオフセット幅(Edge)とは、同図(b)に示されているように、給電導体31の上端部と、無給電導体33の上端部との間の距離とされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0031】
図7は、平面アンテナ11の無給電導体による共振周波数特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図7(a)に示すように、「無給電導体無し」、「片面無給電導体あり」、「両面無給電導体あり」の場合における平面アンテナの共振周波数は、「無給電導体なし」と「片面無給電導体あり」の場合を比較すると、片面に無給電導体33を配置した場合のほうが、無給電導体33を配置しない場合より、共振周波数を約40%低くすることができる。
また、「無給電導体なし」と「両面無給電導体あり」の場合を比較すると、給電導体31の両面に無給電導体33,33を配置したほうが、無給電導体を配置しない場合より、共振周波数を約50%低くすることができる。
このことから、給電導体31に対して無給電導体33を配置することで共振周波数を低くすることができる。
【0032】
なお、図7(a)に示す平面アンテナの形状は、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さが8.51mm、長辺の長さが11.0mmとされる。また、無給電導体33の形状は15.1mm×12.5mmとされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0033】
図8は、平面アンテナ11の誘電体厚による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図8(a)から、平面アンテナ11は、誘電体34を厚くすることによっても、共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図8(a)に示す平面アンテナの形状も、上記図7と同様、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さが8.51mm、長辺の長さが11.0mmとされ、無給電導体33の形状が15.1mm×12.5mmとされる。また、給電導体31であるミアンダラインの導体幅が0.2mm、給電導体31と無給電導体33との間のオフセット幅(Edge)が2.0mm、誘電率が4.7とされる。
【0034】
図9は、平面アンテナ11の指向特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図9(a)に示すように、平面アンテナ11は、給電部32の反対方向に電波を放射するような指向特性となっている。
なお、図9(a)に示す平面アンテナ11の指向特性は、図9(b)にも示されているように、プリント基板の基板厚が0.8mm、誘電率が4.7、給電導体31の全長が355.6mm、給電導体31の導体幅が0.2mm、オフセット幅が1.0mm、「両面無給電導体あり」という条件のもとで形成した平面アンテナを用いて測定したものとされる。
【0035】
このように、上記図3に示したような構造の平面アンテナ11は、ミアンダ状に形成した給電導体31の片側又は両側に無給電導体33を配置すると共に、給電導体31と無給電導体33との間に誘電体34を設けることで、小さい平面サイズで、より共振周波数の低いアンテナを形成するようにしている。
また、このときは給電導体31をミアンダ状に形成することで平面アンテナのさらなる小型化を図ることができる。
【0036】
したがって、このような平面アンテナ11を用いてテレビジョン放送に利用可能な平面アンテナを形成する場合には、受信したいテレビジョン放送波の受信帯域に応じて、給電導体31のミアンダラインのライン長や、ライン幅、或いは無給電導体41のオフセット幅を決定することで、テレビジョン放送に利用可能な小型サイズの平面アンテナを実現することができる。
【0037】
また、この場合は、プリント配線基板3に対して直接、平面アンテナ11を形成することができるので、テレビジョン放送波を受信可能な小型サイズの平面アンテナ11を安価に製造することが可能になる。また、平面アンテナ11をプリント基板に実装する実装コストも不要になるという利点もある。
【0038】
ところで、上記したような平面アンテナ11は、所望のアンテナ特性を満足する周波数範囲が狭く、またそのアンテナ特性を満足する周波数も固定とされる。
このため、上記したような平面アンテナ11を用いてテレビジョン放送用の受信アンテナを構成した場合には、例えばVHF帯からUHF帯にかけての広い周波数範囲のテレビジョン放送波を受信することはできないとされる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、上記のような平面アンテナ11より広い周波数範囲の電波を受信することができるような平面アンテナを形成するようにした点に特徴がある。
【0040】
図10は、そのような平面アンテナの一例を示した図である。なお、上記図3に示した平面アンテナ11と同一部位には同一番号を付しておく。
この図10に示す平面アンテナ40は、上記図3に示した平面アンテナ11と同様、プリント基板に内層される金属パターンを利用して給電導体31を形成するようにしている。そして、プリント基板の表面両側に設けられる金属パターンを利用して、給電導体31を覆うようにプリント基板の両側に無給電導体41と無給電導体42をそれぞれ形成するようにしている。
また、この場合、無給電導体41と同一面上に地板(グランド)43を形成するようにしている。
【0041】
また給電導体31と無給電導体41,42との間には、プリント基板の材料であるガラスエポキシ樹脂などの誘電体34が設けられ、給電導体31の導体パターンは、できるだけ小さい平面サイズにおいて、できるだけ低い共振周波数が得られるようにミアンダ状に形成されている。
【0042】
給電導体31の一端側には、上記図3と同様、給電部32が設けられており、この給電部32により給電電流を励振させることで、電波を放射又は受信するためのアンテナ素子を形成するようにしている。
【0043】
なお、この場合も給電導体31の導体パターンは、必ずしもミアンダ状である必要はなく、限られた平面サイズで、所望の共振周波数が得られれば他の形状、例えば螺旋状などであっても良い。
【0044】
そして、このような本実施の形態の平面アンテナ40では、図示するように、無給電導体41を複数個の導体領域41a,41b,41cに分割して形成するようにしている。
そして、導体領域41bと地板43との間に、切替手段であるスイッチSw1を設けると共に、導体領域41cと地板43との間に、同じく切替手段であるスイッチSw2を設け、これらのスイッチSw1,Sw2を開閉することで無給電導体41の電気的特性を切り替えるようにしている。
例えばスイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態(Close)又は開状態(OPEN)にして、導体領域41b,41cを接地又は非接地にする、或いはスイッチSw1を開状態、スイッチSw2を閉状態にして導体領域41bを非接地、導体領域41cを接地することで、無給電導体41の導体領域41b,41cを電気的特性を切り替えるようにしている。
【0045】
このように構成すると、例えば無給電導体41の導体領域41a〜41cのうち、導体領域41b,41cを接地した場合は、この導体領域41b,41cに覆われる部分の給電導体31が高インピーダンスのマイクロストリップ線路となり、この部分の給電導体31からは電波の放射が抑制されることになる。
同様に、無給電導体41の導体領域41cだけを接地した場合は、この導体領域41cに覆われる部分の給電導体31が高インピーダンスのマイクロストリップ線路となり、この部分の給電導体31からは電波の放射が抑制されることになる。
【0046】
図11は、上記図10に示したような平面アンテナ40の無給電導体の電気的変化による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
【0047】
なお、図11(a)に示す特性図は、同図(b)に示すように、給電導体31により形成されるミアンダライン部の短辺の長さを8.51mm、長辺の長さを11.0mm、導体幅を0.2mmとしている。また、プリント基板の基板厚を0.8mm、誘電率を4.7、無給電導体41の給電導体31に対する、はみ出し幅であるオフセット幅(Edge)を2.1mmとする。
【0048】
図11(a)から図10に示した平面アンテナ40においては、スイッチSw1とスイッチSw2が共に開状態(Open)にあるときの共振周波数と、スイッチSw2だけを閉状態(Close)したときの共振周波数を比較すると、スイッチSw2を閉状態にして無給電導体41の導体領域41cを接地したときのほうが、平面アンテナの共振周波数が低くなっていることが分かる。
【0049】
また、スイッチSw2だけを閉状態にしたときの共振周波数と、スイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態にしたときの共振周波数を比較すると、スイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態にして、無給電導体41の導体領域41bと導体領域41cを接地したときのほうが、平面アンテナの共振周波数が低くなっていることが分かる。
つまり、本実施の形態の平面アンテナ40においては、無給電導体41の接地面積を広くするほど波長短縮効果が得られることが分かる。
【0050】
したがって、このように平面アンテナ40を構成すれば、スイッチSw1,スイッチSw2の開閉制御を行い、給電導体31の共振周波数を可変することで、上記図3に示した平面アンテナ11より受信帯域の広い平面アンテナを形成することができるようになる。つまり、小型でしかもVHF帯からUHF帯にかけての広い周波数範囲のテレビジョン放送波を受信できる平面アンテナを実現することができるようになる。
また、この場合は、電気長を切り替える切替手段としては、スイッチを設けるだけで良いため安価で実現できるという利点もある。
【0051】
なお、本実施の形態において説明した平面アンテナの構造は、あくまでも一例であり、本発明の平面アンテナとしては、少なくとも給電導体31の片側に配置する無給電導体41を複数個の導体領域に分割したものであれば、他はどのような構造ものでも良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の平面アンテナは、給電導体の片側に配置される無給電導体を複数の導体領域に分割して形成する。そして、切替手段により、これらの導体領域に分割されている無給電導体の電気的特性を切り替えることで給電導体の共振周波数を可変することで、平面アンテナの受信帯域を拡大することが可能になる。これにより、小型で、しかも広い周波数帯域において使用可能な平面アンテナを実現することができるようになる。
従って、例えば本発明の平面アンテナを用いてテレビジョン放送用の携帯端末装置を構成すれば、携帯性にも美観的に優れた装置を提供することができるようになる。
また、本発明のように平面アンテナを構成すれば、従来の平面アンテナに比べて、平面アンテナの製造コストを大幅に削減することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態されるテレビジョン放送を受信可能な携帯端末装置の外観構造を示した図である。
【図2】図1に示した携帯端末装置に適用されるアンテナユニットの外観構造を示した図である。
【図3】平面アンテナの基本的な構造を示した図である。
【図4】図3に示した平面アンテナの給電導体の長さによる共振周波数の変化特性を示した図である。
【図5】図3に示した平面アンテナの給電導体の導体幅による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図6】図3に示した平面アンテナの無給電導体のオフセット幅による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図7】図3に示した平面アンテナの無給電導体による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図8】図3に示した平面アンテナの誘電体厚による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図9】図3に示した平面アンテナの指向特性を示した図である。
【図10】本実施の形態としての平面アンテナの構造を示した図である。
【図11】本実施の形態としての平面アンテナの無給電導体の電気的変化による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図12】従来の放送受信装置の外観図である。
【符号の説明】
1a 表示画面、1b 操作部、1 携帯端末装置、2 アンテナユニット、3 プリント配線基板、4 電子部品、11 40 平面アンテナ、31 給電導体、32 47 給電部、33 41 42 無給電導体、34 誘電体、41a 41b 41c 導体領域、43 地板(グランド)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばテレビジョン放送を受信するのに好適な平面アンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、携帯可能な大きさでテレビジョン放送波を受信することができるTV放送受信装置としては、図12に示すようなものが知られている。
この図12に示す従来のTV放送受信端末装置100においては、テレビジョン放送の受信用アンテナとして棒状アンテナ101が取り付けられている。
【0003】
ところで、地上波などのテレビジョン放送は、VHF(Ultra High Frequency)帯、及びUHF(Ultra High Freqency)帯の電波を利用している。例えばUHF帯の電波を利用したテレビジョン放送であれば、UHF帯の周波数帯域(300MHz〜3000MHz)のうち、470MHz〜770MHzの周波数範囲の電波を利用して行うようにしている。
このため、UHF帯のテレビジョン放送波を受信するTV放送受信端末装置100では、棒状アンテナ101の形状が長大になり、携帯性を損なうという欠点があった。また美観的にも好ましいものではなかった。
また棒状アンテナ101は、その長さによって共振するため、特定の周波数において使用する場合は長さ調整などを行う必要もあった。
【0004】
そこで、移動体向けのTV放送受信装置のアンテナとしては、例えばセラミックなどの高誘電体材料に三次元金属パターンを形成して小型化した平面アンテナなどが提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−252516号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている平面アンテナは、例えば高誘電体材料からなるプリント基板を利用して複雑な三次元の金属パターンを形成する必要があるため、回路部品が搭載されるプリント配線基板に対して、平面アンテナを直接形成することができず、アンテナの製造コストが高くなる。
また、別途作製した平面アンテナをプリント配線基板に実装する実装コストなども発生する。
このため、上記特許文献1に記載されているような平面アンテナをTV放送受信装置に適用する場合は、非常にコストがかかるという欠点があった。
【0007】
また、例えばプリント配線基板に金属パターンを形成して、いわゆるパッチアンテナのようにして平面アンテナを形成することも考えられるが、この場合は利用する周波数帯域が低くなるにしたがって、アンテナサイズが大きくなるという欠点があった。
【0008】
特に、VHF帯やUHF帯の電波を利用したテレビジョン放送波を平面アンテナで受信しようとするとアンテナサイズが非常に大きくなる。このため、上記した平面アンテナは、例えば携帯サイズでテレビジョン放送を受信可能な放送受信装置には不向きであった。
【0009】
また、平面アンテナは、所望のアンテナ特性が得られる周波数範囲が狭く、またアンテナ特性が得られる周波数範囲も固定であるため、この点からも周波数範囲が広いテレビジョン放送には不向きであった。
【0010】
このように、従来の平面アンテナは、コスト面や、サイズ面、特性面から、比較的低い周波数帯域の電波を利用しているテレビジョン放送波の受信アンテナとして使用することは困難であり、また例えばVHF帯とUHF帯のテレビジョン放送波を受信できるような広い受信帯域を有するアンテナを構成することはできなかった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記したような点を鑑みてなされたものであり、本発明の平面アンテナは、給電導体と、複数の導体領域に分割され、給電導体の片側に配置される無給電導体と、給電導体の共振周波数を可変するために、複数の導体領域の電気的特性を切り替える切替手段とを備えることとした。
【0012】
本発明によれば、給電導体の片側に配置される無給電導体を複数の導体領域に分割して形成する。そして、切替手段により、これらの導体領域に分割されている無給電導体の電気的特性を切り替えることで給電導体の共振周波数を可変することで、平面アンテナの受信帯域を拡大することが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態の平面アンテナを用いて構成される携帯端末装置の外観構造を示した図である。
この図1に示す携帯端末装置1は、例えばテレビジョン放送を受信して表示画面1aにテレビジョン画像が表示される。また、その選局操作は操作部1bによって行うことができる。
【0014】
また、このような携帯端末装置1では、例えば、その上端部にアンテナユニット2が取り付けられており、上記図12に示したような、従来の棒状アンテナを備えた放送受信装置に比べてアンテナ部分が小さく、携帯性に優れたものとなっている。
【0015】
なお、アンテナユニット2は、携帯端末装置1から着脱可能なように、その上部からアンテナユニット2の一部が露出したような構造になっているが、アンテナユニット2は、携帯端末装置1の内部に配置することも可能である。
その場合、アンテナユニット2はユーザから見えないので、アンテナユニット2により携帯端末装置1の外観が損なわれることがないという利点がある。
【0016】
また、携帯端末装置1にアンテナユニット2を取り付ける場合、例えば、携帯端末装置1にカード型メモリを着脱する着脱部が設けられているときは、アンテナユニット2をカード型メモリと同一の形状サイズにすれば、メモリ着脱部を利用して着脱を行うことも可能である。もちろん、カード型メモリ以外でも、携帯端末装置1に着脱部が設けられていれば、例えばPCカードなどの着脱部が設けられていれば、PCカードの着脱部を利用して着脱を行うことも可能である。
なお、この場合は、アンテナユニット2が着脱部を介して携帯端末装置1の所要の回路ブロックに対して電気的に接続されることは言うまでもない。
【0017】
上記したようなアンテナユニット2の構造は、図2のように示される。
この図2に示すアンテナユニット2は、プリント配線基板3上に、給電導体31と無給電導体33からなる平面アンテナ11、及びコンデンサや抵抗、コイル、IC(Integrated Circuit)などの各種電子部品4が設けられている。
【0018】
また、上記した平面アンテナの構造は、図3のように示される。
この図3に示す平面アンテナ11は、例えばプリント配線基板3に内層される金属パターンを利用して給電導体31が形成されている。
給電導体31の一端側には、給電部32が設けられており、この給電部32により給電電流を励振させることで、電波を放射又は受信するためのアンテナ素子を形成するようにしている。
【0019】
この場合の給電導体31は、所定長の金属パターンを曲折させた、いわゆるミアンダ形状に形成されている。これにより、より小さい平面サイズで、しかもより低い共振周波数が得られるようにしている。
なお、給電導体31の形状は、必ずしもミアンダ形状である必要はなく、より小さい平面サイズで、より低い共振周波数が得られれば他の形状、例えば螺旋状などであっても良い。
【0020】
また、プリント配線基板3の表面両側に設けられている金属パターンを利用して、基板両側に無給電導体33,33を形成するようにしている。この場合の無給電導体33,33は平板状とされ、給電導体31の両側を覆うように配置される。
【0021】
なお、このような無給電導体33は、プリント配線基板3の上面又は下面の何れか一方だけに形成するようにしても良い。
また、無給電導体33,33はプリント配線基板3の両側表面に設けられている金属パターンを利用して形成する必要はなく、例えばプリント配線基板3の両側に金属板を配置するようにして形成することも可能である。
【0022】
また、給電導体31と無給電導体33,33との間には、プリント配線基板3の基板材料が誘電体34,34として設けられることになる。
この場合、例えばプリント配線基板3の基板材料がガラスエポキシ樹脂であれば、その誘電率は4.7とされる。
このように平面アンテナ11を形成した場合には、無給電導体33,33が給電導体31と電磁的に結合して電波の放射を促進させることができるようになる。
【0023】
また、このような平面アンテナ11では、給電導体31と無給電導体33,33との間に設けた誘電体34,34の内部では電波の伝搬速度が遅くなる。
このため、図3に示す平面アンテナ11においては、給電導体31の両側に無給電導体33,33を配置すると共に、その間に誘電体34,34を設け、これら誘電体34,34により給電導体31の電気長を、実際の物理長より長くして平面アンテナ11の共振周波数を低くすることができる。
【0024】
この結果、平面アンテナ11においては、単に給電導体31を用いて平面アンテナを形成する場合に比べて、より小さい平面サイズで、より共振周波数の低いアンテナを形成することができるようになる。なお、給電導体31と誘電体34だけでは、上記したような効果は殆ど得られないものとされる。
【0025】
また、このように平面アンテナ11を構成した場合は、給電導体31を無給電導体33,33により囲まれた構造となるので、例えば給電導体31が露出するような構造の二次元平面アンテナより外的要因の影響を受けにくいという利点もある。
【0026】
なお、図3に示した平面アンテナ11においては、給電導体31の両側に無給電導体33,33を配置するようにしているが、給電導体31の何れか一方の面との間で、誘電体34を挟んで無給電導体33を配置するだけでも、給電導体31と無給電導体33との電磁結合によってアンテナからの電波の放射を促進することができる。
【0027】
また、その場合も給電導体31と無給電導体33との間に設けられている誘電体34によって単に給電導体31を用いて平面アンテナを形成する場合より、小さい平面サイズで共振周波数の低い平面アンテナを形成することができる。
【0028】
以下、上記図3に示した平面アンテナの特性を図4〜図9に示す特性図を用いて説明する。
図4は、平面アンテナ11の給電導体の長さによる共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図4(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31の長さ(Length)を長くすれば、それだけ共振周波数を低くできることがわかる。なお、このときの給電導体31の長さ(Length)は利用周波数のほぼ半波長になっている。
なお、図4(a)に示す平面アンテナの給電導体31の長さ(Length)は、同図(b)に示すように、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さをa、長辺の長さをbとしたときに、a×(ミアンダライン繰り返し回数)+bにより求められるものとされる。なお、平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0029】
図5は、平面アンテナ11の給電導体の導体幅による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図5(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31のミアンダラインの導体幅(Width)を広くすると、それだけ平面アンテナの共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図5(a)に示す平面アンテナの給電導体31の導体幅(Width)は、同図(b)に示すようにミアンダラインのライン幅とされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0030】
図6は、平面アンテナ11の無給電導体のオフセット幅による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図6(a)から平面アンテナ11においては、給電導体31と無給電導体33との間のオフセット幅(Edge)である給電導体31と無給電導体33との間の幅を、給電導体31より無給電導体33のほうが大きくなるように形成すれば、それだけ平面アンテナの共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図6(a)に示す無給電導体33のオフセット幅(Edge)とは、同図(b)に示されているように、給電導体31の上端部と、無給電導体33の上端部との間の距離とされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0031】
図7は、平面アンテナ11の無給電導体による共振周波数特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図7(a)に示すように、「無給電導体無し」、「片面無給電導体あり」、「両面無給電導体あり」の場合における平面アンテナの共振周波数は、「無給電導体なし」と「片面無給電導体あり」の場合を比較すると、片面に無給電導体33を配置した場合のほうが、無給電導体33を配置しない場合より、共振周波数を約40%低くすることができる。
また、「無給電導体なし」と「両面無給電導体あり」の場合を比較すると、給電導体31の両面に無給電導体33,33を配置したほうが、無給電導体を配置しない場合より、共振周波数を約50%低くすることができる。
このことから、給電導体31に対して無給電導体33を配置することで共振周波数を低くすることができる。
【0032】
なお、図7(a)に示す平面アンテナの形状は、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さが8.51mm、長辺の長さが11.0mmとされる。また、無給電導体33の形状は15.1mm×12.5mmとされる。なお、この場合も平面アンテナを形成するプリント基板の基板厚を0.8mm、その誘電率を4.7とする。
【0033】
図8は、平面アンテナ11の誘電体厚による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図8(a)から、平面アンテナ11は、誘電体34を厚くすることによっても、共振周波数を低くできることがわかる。
なお、図8(a)に示す平面アンテナの形状も、上記図7と同様、ミアンダ状に形成した給電導体31の短辺の長さが8.51mm、長辺の長さが11.0mmとされ、無給電導体33の形状が15.1mm×12.5mmとされる。また、給電導体31であるミアンダラインの導体幅が0.2mm、給電導体31と無給電導体33との間のオフセット幅(Edge)が2.0mm、誘電率が4.7とされる。
【0034】
図9は、平面アンテナ11の指向特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
この図9(a)に示すように、平面アンテナ11は、給電部32の反対方向に電波を放射するような指向特性となっている。
なお、図9(a)に示す平面アンテナ11の指向特性は、図9(b)にも示されているように、プリント基板の基板厚が0.8mm、誘電率が4.7、給電導体31の全長が355.6mm、給電導体31の導体幅が0.2mm、オフセット幅が1.0mm、「両面無給電導体あり」という条件のもとで形成した平面アンテナを用いて測定したものとされる。
【0035】
このように、上記図3に示したような構造の平面アンテナ11は、ミアンダ状に形成した給電導体31の片側又は両側に無給電導体33を配置すると共に、給電導体31と無給電導体33との間に誘電体34を設けることで、小さい平面サイズで、より共振周波数の低いアンテナを形成するようにしている。
また、このときは給電導体31をミアンダ状に形成することで平面アンテナのさらなる小型化を図ることができる。
【0036】
したがって、このような平面アンテナ11を用いてテレビジョン放送に利用可能な平面アンテナを形成する場合には、受信したいテレビジョン放送波の受信帯域に応じて、給電導体31のミアンダラインのライン長や、ライン幅、或いは無給電導体41のオフセット幅を決定することで、テレビジョン放送に利用可能な小型サイズの平面アンテナを実現することができる。
【0037】
また、この場合は、プリント配線基板3に対して直接、平面アンテナ11を形成することができるので、テレビジョン放送波を受信可能な小型サイズの平面アンテナ11を安価に製造することが可能になる。また、平面アンテナ11をプリント基板に実装する実装コストも不要になるという利点もある。
【0038】
ところで、上記したような平面アンテナ11は、所望のアンテナ特性を満足する周波数範囲が狭く、またそのアンテナ特性を満足する周波数も固定とされる。
このため、上記したような平面アンテナ11を用いてテレビジョン放送用の受信アンテナを構成した場合には、例えばVHF帯からUHF帯にかけての広い周波数範囲のテレビジョン放送波を受信することはできないとされる。
【0039】
そこで、本実施の形態では、上記のような平面アンテナ11より広い周波数範囲の電波を受信することができるような平面アンテナを形成するようにした点に特徴がある。
【0040】
図10は、そのような平面アンテナの一例を示した図である。なお、上記図3に示した平面アンテナ11と同一部位には同一番号を付しておく。
この図10に示す平面アンテナ40は、上記図3に示した平面アンテナ11と同様、プリント基板に内層される金属パターンを利用して給電導体31を形成するようにしている。そして、プリント基板の表面両側に設けられる金属パターンを利用して、給電導体31を覆うようにプリント基板の両側に無給電導体41と無給電導体42をそれぞれ形成するようにしている。
また、この場合、無給電導体41と同一面上に地板(グランド)43を形成するようにしている。
【0041】
また給電導体31と無給電導体41,42との間には、プリント基板の材料であるガラスエポキシ樹脂などの誘電体34が設けられ、給電導体31の導体パターンは、できるだけ小さい平面サイズにおいて、できるだけ低い共振周波数が得られるようにミアンダ状に形成されている。
【0042】
給電導体31の一端側には、上記図3と同様、給電部32が設けられており、この給電部32により給電電流を励振させることで、電波を放射又は受信するためのアンテナ素子を形成するようにしている。
【0043】
なお、この場合も給電導体31の導体パターンは、必ずしもミアンダ状である必要はなく、限られた平面サイズで、所望の共振周波数が得られれば他の形状、例えば螺旋状などであっても良い。
【0044】
そして、このような本実施の形態の平面アンテナ40では、図示するように、無給電導体41を複数個の導体領域41a,41b,41cに分割して形成するようにしている。
そして、導体領域41bと地板43との間に、切替手段であるスイッチSw1を設けると共に、導体領域41cと地板43との間に、同じく切替手段であるスイッチSw2を設け、これらのスイッチSw1,Sw2を開閉することで無給電導体41の電気的特性を切り替えるようにしている。
例えばスイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態(Close)又は開状態(OPEN)にして、導体領域41b,41cを接地又は非接地にする、或いはスイッチSw1を開状態、スイッチSw2を閉状態にして導体領域41bを非接地、導体領域41cを接地することで、無給電導体41の導体領域41b,41cを電気的特性を切り替えるようにしている。
【0045】
このように構成すると、例えば無給電導体41の導体領域41a〜41cのうち、導体領域41b,41cを接地した場合は、この導体領域41b,41cに覆われる部分の給電導体31が高インピーダンスのマイクロストリップ線路となり、この部分の給電導体31からは電波の放射が抑制されることになる。
同様に、無給電導体41の導体領域41cだけを接地した場合は、この導体領域41cに覆われる部分の給電導体31が高インピーダンスのマイクロストリップ線路となり、この部分の給電導体31からは電波の放射が抑制されることになる。
【0046】
図11は、上記図10に示したような平面アンテナ40の無給電導体の電気的変化による共振周波数の変化特性を示した図であり、同図(a)には特性図、同図(b)には測定条件が示されている。
【0047】
なお、図11(a)に示す特性図は、同図(b)に示すように、給電導体31により形成されるミアンダライン部の短辺の長さを8.51mm、長辺の長さを11.0mm、導体幅を0.2mmとしている。また、プリント基板の基板厚を0.8mm、誘電率を4.7、無給電導体41の給電導体31に対する、はみ出し幅であるオフセット幅(Edge)を2.1mmとする。
【0048】
図11(a)から図10に示した平面アンテナ40においては、スイッチSw1とスイッチSw2が共に開状態(Open)にあるときの共振周波数と、スイッチSw2だけを閉状態(Close)したときの共振周波数を比較すると、スイッチSw2を閉状態にして無給電導体41の導体領域41cを接地したときのほうが、平面アンテナの共振周波数が低くなっていることが分かる。
【0049】
また、スイッチSw2だけを閉状態にしたときの共振周波数と、スイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態にしたときの共振周波数を比較すると、スイッチSw1とスイッチSw2を共に閉状態にして、無給電導体41の導体領域41bと導体領域41cを接地したときのほうが、平面アンテナの共振周波数が低くなっていることが分かる。
つまり、本実施の形態の平面アンテナ40においては、無給電導体41の接地面積を広くするほど波長短縮効果が得られることが分かる。
【0050】
したがって、このように平面アンテナ40を構成すれば、スイッチSw1,スイッチSw2の開閉制御を行い、給電導体31の共振周波数を可変することで、上記図3に示した平面アンテナ11より受信帯域の広い平面アンテナを形成することができるようになる。つまり、小型でしかもVHF帯からUHF帯にかけての広い周波数範囲のテレビジョン放送波を受信できる平面アンテナを実現することができるようになる。
また、この場合は、電気長を切り替える切替手段としては、スイッチを設けるだけで良いため安価で実現できるという利点もある。
【0051】
なお、本実施の形態において説明した平面アンテナの構造は、あくまでも一例であり、本発明の平面アンテナとしては、少なくとも給電導体31の片側に配置する無給電導体41を複数個の導体領域に分割したものであれば、他はどのような構造ものでも良い。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の平面アンテナは、給電導体の片側に配置される無給電導体を複数の導体領域に分割して形成する。そして、切替手段により、これらの導体領域に分割されている無給電導体の電気的特性を切り替えることで給電導体の共振周波数を可変することで、平面アンテナの受信帯域を拡大することが可能になる。これにより、小型で、しかも広い周波数帯域において使用可能な平面アンテナを実現することができるようになる。
従って、例えば本発明の平面アンテナを用いてテレビジョン放送用の携帯端末装置を構成すれば、携帯性にも美観的に優れた装置を提供することができるようになる。
また、本発明のように平面アンテナを構成すれば、従来の平面アンテナに比べて、平面アンテナの製造コストを大幅に削減することができるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態されるテレビジョン放送を受信可能な携帯端末装置の外観構造を示した図である。
【図2】図1に示した携帯端末装置に適用されるアンテナユニットの外観構造を示した図である。
【図3】平面アンテナの基本的な構造を示した図である。
【図4】図3に示した平面アンテナの給電導体の長さによる共振周波数の変化特性を示した図である。
【図5】図3に示した平面アンテナの給電導体の導体幅による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図6】図3に示した平面アンテナの無給電導体のオフセット幅による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図7】図3に示した平面アンテナの無給電導体による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図8】図3に示した平面アンテナの誘電体厚による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図9】図3に示した平面アンテナの指向特性を示した図である。
【図10】本実施の形態としての平面アンテナの構造を示した図である。
【図11】本実施の形態としての平面アンテナの無給電導体の電気的変化による共振周波数の変化特性を示した図である。
【図12】従来の放送受信装置の外観図である。
【符号の説明】
1a 表示画面、1b 操作部、1 携帯端末装置、2 アンテナユニット、3 プリント配線基板、4 電子部品、11 40 平面アンテナ、31 給電導体、32 47 給電部、33 41 42 無給電導体、34 誘電体、41a 41b 41c 導体領域、43 地板(グランド)
Claims (6)
- 給電導体と、
複数の導体領域に分割され、前記給電導体の片側に配置される無給電導体と、
前記給電導体の共振周波数を可変するために、前記複数の導体領域の電気的特性を切り替える切替手段と、
を備えていることを特徴とする平面アンテナ。 - 前記切替手段は、
前記複数の導体領域を接地または非接地に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。 - 前記給電導体は、
必要とされる受信帯域に応じた全長を有するミアンダ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。 - 前記ミアンダ状に形成されている給電導体は、
必要とされる受信帯域に応じた幅に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の平面アンテナ。 - 前記無給電導体は、
必要とされる受信帯域に応じたオフセット幅が得られるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。 - 前記給電導体と前記無給電導体との間には、誘電体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の平面アンテナ。
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US7564424B2 (en) | 2005-05-10 | 2009-07-21 | Sharp Kabushiki Kaisha | Antenna having multiple radiating elements |
-
2003
- 2003-06-26 JP JP2003183316A patent/JP2005020450A/ja active Pending
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