JP2005016988A - 放射線検出器及びそれを用いた分光器の校正方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】X線分光器の高精度な校正を可能にするX線検出器及びそれを用いたX線分光器の校正方法を提供する。
【解決手段】放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足及び増幅して信号を生成するX線検出器において、前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、前記放射線が前記収集電極に沿って入射し、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とするX線検出器を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足及び増幅して信号を生成するX線検出器において、前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、前記放射線が前記収集電極に沿って入射し、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とするX線検出器を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光器に係り、特に、放射線検出器及びそれを用いた分光器の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線分光器は、回折格子や結晶等を回転することによってX線の入射角θを変更して特定のエネルギーのX線をスリットを通して試料に照射するものである。入射角θと得られるX線のエネルギーは互いに対応している。しかし、X線の入射角を正確に求めることは困難であり、回折格子の特定の角度と選択されたX線のエネルギーの絶対校正を行い、それを基にその他の角度によって得られるX線のエネルギーの校正を行っている。そして、従来から多くの方法で絶対校正が行われてきた。
【0003】
分光光学素子を用いたX線分光器の校正として、分光素子の角度を測定するものが、従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、2結晶分光器の波長校正を行う方法で、2結晶間の角度にレーザー光を通して、レーザー光の透過位置から光学素子間の角度を測定する方法である。しかし、この方法は、角度から波長の絶対値を求めるため絶対精度を出すのが難しいという問題を有する。
【0004】
また、入射光特有の輝線と分光器を透過してきた光量のピークによって、波長を校正するものがある(例えば、特許文献2及び3参照)。しかし、この方法は、予め入射スペクトルが分かっていることが必要であるという問題を有する。
【0005】
その他のよく知られた絶対校正の方法として、物質の吸収端を用いて校正する方法がある。これは、回折格子によって回折されたX線と検出器の間に、ガスや薄膜を挿入し、回折格子を回転させ、ガスや薄膜の透過率が変化するエネルギーによって校正するものである。校正したいエネルギー領域に吸収端をもつ物質を選べば、吸収端の前後で、物質のX線透過率が急激に変化するので、選択したX線のエネルギーが求められることになる。
【0006】
例えば、図8に示すように、容器521にガスを封入して、X線検出器522でガスを透過したX線強度を測定することでガスのX線強度を測定する。ここで、図8は、従来のガスを用いた校正方法の構成図である。その後、容器521を真空にして、測定したX線強度との比をとれば、ガスのX線透過率が求められる。X線検出器523は、X線の入射強度の時間変化を測定するものであり、それでX線検出器522のX線強度を割ればX線の入射強度が変化しても誤差にならない。回折格子524を回転させて、入射エネルギーに対するガスのX線透過率を測定する。80〜100eVで波長を校正したい場合、90eV付近に吸収端をもつKrガスを選択するとよい。圧力1.33x103Pa、距離2.5cmのKrガスのX線透過率は、図4に破線で示すように、90eV付近で急激に透過率が変化する。ここで、図4は、クリプトンガスの透過率を表す信号とエネルギーとの関係を示すグラフである。
【0007】
なお、分光器の校正ではないが、X線のエネルギー分布を求める方法が従来で用いられている(例えば、特許文献4参照)。これは、電離箱の後方に固体X線検出素子(シンチレーター+フォトダイオード)を設置し、電離箱で低エネルギーのX線強度を、固体検出器で高エネルギーのX線強度を測定する。両者の信号差分をとることで、X線のエネルギー分布を求めるものである。しかし、この方法は、X線のエネルギー分布を大まかに求めるもので、分光器の校正には使用できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平06−82309号公報
【特許文献2】
特開平07−159240号公報
【特許文献3】
特開平08−145793号公報
【特許文献4】
特開平08−122443号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示す従来の物質の吸収端を使用して校正する方法においては、校正の精度はエネルギーの変化に対する信号の変化に比例する。信号は、吸収端より高エネルギーで透過率が0、低エネルギーで透過率が1というのが理想であるため、それ以上の信号の変化はありえず、エネルギーに対する信号の変化が小さかった。このため、従来の物質の吸収端を使用して校正する方法は、高精度な校正を行うことができなかった。また、ガスを透過させるためにX線の入射側と透過側の2枚の窓が必要で、検出器に入射するX線強度が小さくなる欠点があった。外部に設けた検出器で測定されたX線強度は統計誤差を含み、かかる検出器から求められる透過率も統計誤差がのり、校正の分解能を下げていた。更に、図8には図示していないが、ガスに入射する前にはX線強度モニタを設ける必要があり、装置の大型化とコストアップを招いていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、分光器を高精度に校正可能な放射線検出器及びそれを用いた分光器の校正方法を提供することを例示的な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのX線検出器は、放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足及び増幅して信号を生成するX線検出器において、前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、前記放射線が前記収集電極に沿って入射し、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の目的と更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施の形態において明らかになるであろう。
【0013】
【本発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、気体の電離による放射線計測である電離箱と比例計数管について簡単に説明する。
【0014】
電離箱500は、図6に示すように、2枚の平行に置かれた電極間(収集電極502と設置電極504)にガスを封入し、電極間に数100Vの電圧を印加した構造をしている。ここで、図6は、電子箱500の原理を示す概略断面図である。X線501が電極502及び504間に入射し、ガスがX線501を吸収すると、電子イオン506対が作られる。作られた電子は正電極502に引かれ、電流計508でその電流量が測定される。従って、測定された電流とガスで吸収されたX線501量は比例する。
【0015】
比例計数管600は、収集電極602に高電圧を印加し、X線601の吸収で作られた電子を加速して他の分子に衝突させて、さらに電子を複数生成させて増幅するものである。一般には、小さい電圧で大きな電場を得るために、図7に示すように、円筒形の容器の中心にワイヤ602を貼った構造をしており、円筒形内部にガスが満たされている。ここで、図7は、比例計数管600を示す概略断面図である。円筒形の容器は接地され、ワイヤには正の電圧+HVが印加され、電子を収集する正電極となっている。ガスがX線601を吸収すると、電離箱500同様、電子イオン対606が生成され、電子は中心のワイヤ602に向かう。ワイヤ602の近傍で電界強度が増加し、ワイヤ602近傍に近づいた電子606は、他のガス分子に衝突し電子イオン対を生成し、いわゆる電子イオンなだれがおきる。増幅された電子がワイヤ602に収集され、その電流量が電圧に変換され電圧計608で測定される。この増幅作用のある領域はワイヤ602のごく近傍だけであり、その領域でX線601が吸収さる確率は低く無視できるため、比例計数管600も電離箱500同様、測定された電流とガスで吸収されたX線601量は比例する。
【0016】
以下、図1を参照して本実施形態のX線検出器100の原理について説明する。ここで、図1は、X線検出器100の原理を説明するための概略断面図である。X線検出器100は、収集電極106及び107と設置電極105との間に(本実施形態ではクリプトン)ガスを封入した構成を有し、図8の容器521及びX線検出器522に置換されるものである。
【0017】
図1に示すように、収集電極が2つの電極106及び107に分割され、入射側の電極106の長さをLa、後ろ側の電極の長さ107をLtとすると、La<Ltである。入射側の電極106に入射したX線強度をI0とすると、電極106の位置に対応したガスで吸収されたX線量Iaは、uをX線101に対するガスの線吸収係数とすると、以下の数式1で与えられる。
【0018】
【数1】
【0019】
次に、電極107の位置に対応したガスで吸収されたX線量Itは、電極106を透過してきたX線量が、電極107の位置に吸収される量Itであるから、以下の数式2で与えられる。
【0020】
【数2】
【0021】
従って、両者の差分は、以下の数式3で与えられる。
【0022】
【数3】
【0023】
ガスの線吸収係数uは、波長とガスの種類、圧力によって変化する。ガスの種類と圧力が一定の場合、線吸収係数uは入射するX線101の波長のみに依存するので、信号Rは波長のみに依存することになる。
【0024】
Kr等の貴ガスは校正にしばしば使用されるが、これらのガスは、吸収端に近傍に、共鳴吸収の鋭い吸収線が表れることがある。しかし、この共鳴吸収線は、高分解能の分光器でないと観察できず、低分解能の分光器では、なだらかな吸収端が観察されるだけである。これら2つの、高分解能と低分解能の分光器に、本発明を応用する場合について説明する。
【0025】
まず低分解能の校正について説明する。電極106及び107のそれぞれの長さが、La=2.5cm、Lt=10cmで、Krガス1.33x103Paを封入した電離箱に、80〜100eVのX線101を入射させた場合、信号Rは図4の実線のようになる。これは、破線で示された従来の信号より本発明の信号の方が、エネルギーに対する信号の変化が大きく、校正の分解能が高いことを示している。更に、吸収端の前後で、信号の正負が変わる条件を選べば、エネルギー校正がしやすくなる。吸収端の前後で信号の正負を変化させる条件は、吸収端より高エネルギーでIa>It、低エネルギーでIa<It、となればよい。従って、高エネルギーと低エネルギー側のガスの線吸収係数をそれぞれ、uhとulとすれば、以下の数式4及び数式5が満足されるように電極106の長さLa、電極107の長さLt、線吸収係数を選択すればよい。
【0026】
【数4】
【0027】
【数5】
【0028】
なお、線吸収係数ulは、ガスの質量吸収係数をu、分子量をMと、ガスの圧力をp(Pa)すれば、以下の数式6で表すことができるので、ガスの圧力を調整することで、LaとLtを適切な値にすることができる。
【0029】
【数6】
【0030】
また、100eVの低エネルギーX線の空気や窓のX線透過率は極めて低い。空気(1気圧)の100eVのX線透過率は極めて低く、1mmで0.3%である。1umの有機膜を用いても、その透過率は20%程度である。窓は1um程度の有機膜で、その透過率は、0.7%程度である。そのため、本実施形態ではX線101の光路はすべて真空としている。
【0031】
次に高分解能の分光器の校正について説明する。La=2.5cm、Lt=30cmで、Krガス1.33x103Paを封入した電離箱で、観察される信号を図5に示す。破線が従来の吸収のみの信号で、実線が式3で示される本発明の信号Rである。破線をみると分かるように、従来の図4には見られない吸収線が、図5には観察される。従来の吸収ピークに比べ、本発明のピークの形状は非常に鋭く、高精度にピーク位置が求められることが分かる。
【0032】
さらに、従来は、ピーク位置を求めるのに、信号Sを適当な関数でフィッテングしてピークエネルギーEpを求めるのであるが、本発明の信号Rは0となるエネルギーE1とE2を透過するので、Ep=(E1+E2)/2で、ピーク位置を求めることができる。この点からも校正の精度が向上する。
【0033】
【実施例】
【実施例1】
図2に本発明の第1の実施例のX線検出器100Aを示す。図2において、101はX線、102は窓、103はガスを封入した容器、104はKrガス、105は負電極、106は前方の収集電極、107は後方の収集電極、108は弁、109は連通管、110はガス導入口であり、チャンバー113は、容器103を設置し、X線101が減衰しないように真空に引ける構造となっている。
【0034】
容器103内の前方の空間111でX線101の吸収によって作られた電子は収集電極106に、後方の空間112でX線の吸収によって作られた電子は収集電極107に集められる。更に、収集電極106と107で収集された電子は、不図示の回路によって、電流として測定できる様になっている。収集電極106と107で収集された電流は、IaとItとする。
【0035】
まず、ガス導入口110側の弁108を閉め、チャンバー側の連通管109を開ける。これによって、ガスを封入する容器103内部の圧力とチャンバー113の圧力が等しくなる。X線101の光路であるチャンバー113を真空に引く。このとき、弁108と連通管109を通して、容器103内も真空に引かれるので、窓102に差圧が掛からない。チャンバー113と容器103内が真空に引かれたら、弁108の連通管109側を閉めガス導入口110側を開けて、必要な圧力になるまで、徐々にKrガスを導入される。
【0036】
チャンバー113の外側に配置される図示しない回折格子が所定の角度に設定され、X線101が窓102を通して、Krガス104が満たされた容器103内に入射する。その時の回折格子の角度をθ1とする。入射したX線の一部は、容器103の前方部分の空間111でKrガスに吸収されると、電子イオン対を作り、電子が、電位が高い方へ引かれ、収集電極106で収集され信号Iaとして得られる。
【0037】
容器103の前方部分で吸収されなかったX線の多くは、容器103の後方部分で吸収され、収集電極である収集電極収集され信号Itとして得られ、両者の差分から次式から求められる。
【0038】
【数7】
【0039】
次に、回折格子(不図示)がθ2になるように回転し、X線が容器103内に入射し、前述のようにR(θ2)が求められる。このようにして、各エネルギーのX線に対してR(θ)が求められる。R=0となる角度θ0は、図4の実線のグラフから、90.5eVであり、角度θ0が90.5eVと校正される。
【0040】
本実施例は、1枚の窓102のみを使用するので、十分高いX線強度が得られる。かかるX線検出器によれば、収集電極を分割することで、エネルギーに対する信号の変化を大きくし、校正の分解能を高くすることができる。また、吸収端の前後で、信号の正負が変わる条件を選べば、エネルギー校正が容易となる。それにより、吸収端の位置を正確に求められ、X線のエネルギーの変化に対する信号を大きくとることが可能となる。その結果、X線検出器の校正精度を向上させることが実現できる。
【0041】
【実施例2】
図3は、本発明の第2の実施例のX線検出器100Bを示している。101はX線、102aは窓、103aはガスを封入した容器で接地されている。104はKrガス、106aは前方の収集電極であるワイヤ、107aは後方の収集電極であるワイヤである。ワイヤ106aと107aの間は、絶縁物114によって絶縁されている。更に、106aと107aは各々高圧電源に接続されている。110aはガス導入口である。
【0042】
容器103a内の前方の空間111aでX線101の吸収によって作られた電子はワイヤ106aに、後方の空間112aでX線101の吸収によって作られた電子はワイヤ107aに集められる。更に、ワイヤ106aと107aで収集された電子は、図6と同様に、不図示の回路によって、ワイヤ106aと107aで収集された電子量、即ち、電流を測定できる様になっている。ワイヤ106aと107aで収集された電流は、IaとItとする。
【0043】
以上の構成において、容器103内部が、ガス導入口110aを通して一度真空に引かれたのち、再びガス導入口110aを通して、容器内の圧力が1.33x103Paになるまで、Krガスが導入される。
【0044】
回折格子(不図示)が所定の角度に設定され、X線101が窓102aを通して、Krガス104が満たされた容器103内に入射する。その時の回折格子の角度をθ1とする。入射したX線の一部は、容器103の前方部分の空間111aでKrガスに吸収されると電子イオン対を作り、電子が円筒の中心部分に引かれ、中心付近で、電子が増幅されて、収集電極であるワイヤ106aに収集され、信号Iaとして得られる。
【0045】
容器103の前方部分で吸収されなかったX線の多くは、容器103の後方部分で吸収され、収集電極であるワイヤ107a収集され信号Itとして得られ、両者の差分Rが数式7によって与えられる。
【0046】
次に、回折格子(不図示)がθ2になるように回転し、X線が容器3内に入射し、前述のようにR(θ2)が求められる。このようにして、各エネルギーのX線に対してR(θ)が求められる。R=0となる角度θ0は、図4の実線のグラフから、90.5eVであり、角度θ0が90.5eVと校正される。
【0047】
比例計数管の増幅率は、ガス圧力と印加する電圧、容器とワイヤの大きさで決まる。しかし、増幅率が上げるためにガス圧力を上げようとすると、X線の吸収が大きくなり、前方のワイヤ106aの長さが短くなりすぎ、設計が困難となることがある。その場合、Krガスより、吸収率が小さく、校正すべきエネルギー領域に吸収端をもたないHeガスやHガスをKrに混ぜても良い。その場合、主にKrガスがX線を吸収し、他のガスが電子を増幅する役を果たすことになる。
【0048】
上述の実施例によれば、信号の正負が変化するので、吸収端の位置を正確に求められ、X線のエネルギーの変化に対する信号変化を大きくとることができる。また、X線を透過する窓を一枚のみ使用するので、2枚使用する従来の構成よりもガスを透過したX線強度が高くなり、ガスに入射する前のX線強度モニタが不用になる。これにより、X線強度が小さい場合、外部に設けた検出器によるX線強度で割り付ける必要がなく、統計誤差が小さくできる。これらより、高精度で校正することが可能なX線検出器を提供することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施形態及び実施例ではX線及びクリプトンを例に説明したが、本発明は他の放射線及び他の種類のガスを適用することもできる。
【0050】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のX線検出器の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例のX線検出器の概略断面図である。
【図3】本発明のX線検出器の原理を説明するための概略断面図である。
【図4】従来及び本実施例のX線検出器の信号強度とX線のエネルギーとの関係を示すグラフである。
【図5】従来及び本実施例のX線検出器の信号強度とX線のエネルギーとの関係を示すグラフである。
【図6】従来の電子箱の原理を示す概略断面図である。
【図7】従来の比例計数管を示す概略断面図である。
【図8】従来のX線分光器の概略断面図である。
【符号の説明】
101 X線
102 窓
103 容器
104 クリプトンガス
106、106a 入射側の収集電極
107、107a 後ろ側の収集電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、分光器に係り、特に、放射線検出器及びそれを用いた分光器の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線分光器は、回折格子や結晶等を回転することによってX線の入射角θを変更して特定のエネルギーのX線をスリットを通して試料に照射するものである。入射角θと得られるX線のエネルギーは互いに対応している。しかし、X線の入射角を正確に求めることは困難であり、回折格子の特定の角度と選択されたX線のエネルギーの絶対校正を行い、それを基にその他の角度によって得られるX線のエネルギーの校正を行っている。そして、従来から多くの方法で絶対校正が行われてきた。
【0003】
分光光学素子を用いたX線分光器の校正として、分光素子の角度を測定するものが、従来から提案されている(例えば、特許文献1参照)。これは、2結晶分光器の波長校正を行う方法で、2結晶間の角度にレーザー光を通して、レーザー光の透過位置から光学素子間の角度を測定する方法である。しかし、この方法は、角度から波長の絶対値を求めるため絶対精度を出すのが難しいという問題を有する。
【0004】
また、入射光特有の輝線と分光器を透過してきた光量のピークによって、波長を校正するものがある(例えば、特許文献2及び3参照)。しかし、この方法は、予め入射スペクトルが分かっていることが必要であるという問題を有する。
【0005】
その他のよく知られた絶対校正の方法として、物質の吸収端を用いて校正する方法がある。これは、回折格子によって回折されたX線と検出器の間に、ガスや薄膜を挿入し、回折格子を回転させ、ガスや薄膜の透過率が変化するエネルギーによって校正するものである。校正したいエネルギー領域に吸収端をもつ物質を選べば、吸収端の前後で、物質のX線透過率が急激に変化するので、選択したX線のエネルギーが求められることになる。
【0006】
例えば、図8に示すように、容器521にガスを封入して、X線検出器522でガスを透過したX線強度を測定することでガスのX線強度を測定する。ここで、図8は、従来のガスを用いた校正方法の構成図である。その後、容器521を真空にして、測定したX線強度との比をとれば、ガスのX線透過率が求められる。X線検出器523は、X線の入射強度の時間変化を測定するものであり、それでX線検出器522のX線強度を割ればX線の入射強度が変化しても誤差にならない。回折格子524を回転させて、入射エネルギーに対するガスのX線透過率を測定する。80〜100eVで波長を校正したい場合、90eV付近に吸収端をもつKrガスを選択するとよい。圧力1.33x103Pa、距離2.5cmのKrガスのX線透過率は、図4に破線で示すように、90eV付近で急激に透過率が変化する。ここで、図4は、クリプトンガスの透過率を表す信号とエネルギーとの関係を示すグラフである。
【0007】
なお、分光器の校正ではないが、X線のエネルギー分布を求める方法が従来で用いられている(例えば、特許文献4参照)。これは、電離箱の後方に固体X線検出素子(シンチレーター+フォトダイオード)を設置し、電離箱で低エネルギーのX線強度を、固体検出器で高エネルギーのX線強度を測定する。両者の信号差分をとることで、X線のエネルギー分布を求めるものである。しかし、この方法は、X線のエネルギー分布を大まかに求めるもので、分光器の校正には使用できない。
【0008】
【特許文献1】
特開平06−82309号公報
【特許文献2】
特開平07−159240号公報
【特許文献3】
特開平08−145793号公報
【特許文献4】
特開平08−122443号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示す従来の物質の吸収端を使用して校正する方法においては、校正の精度はエネルギーの変化に対する信号の変化に比例する。信号は、吸収端より高エネルギーで透過率が0、低エネルギーで透過率が1というのが理想であるため、それ以上の信号の変化はありえず、エネルギーに対する信号の変化が小さかった。このため、従来の物質の吸収端を使用して校正する方法は、高精度な校正を行うことができなかった。また、ガスを透過させるためにX線の入射側と透過側の2枚の窓が必要で、検出器に入射するX線強度が小さくなる欠点があった。外部に設けた検出器で測定されたX線強度は統計誤差を含み、かかる検出器から求められる透過率も統計誤差がのり、校正の分解能を下げていた。更に、図8には図示していないが、ガスに入射する前にはX線強度モニタを設ける必要があり、装置の大型化とコストアップを招いていた。
【0010】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、分光器を高精度に校正可能な放射線検出器及びそれを用いた分光器の校正方法を提供することを例示的な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのX線検出器は、放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足及び増幅して信号を生成するX線検出器において、前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、前記放射線が前記収集電極に沿って入射し、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の目的と更なる特徴は、以下、添付図面を参照して説明される実施の形態において明らかになるであろう。
【0013】
【本発明の実施の形態】
まず、本発明の実施の形態を説明する前に、気体の電離による放射線計測である電離箱と比例計数管について簡単に説明する。
【0014】
電離箱500は、図6に示すように、2枚の平行に置かれた電極間(収集電極502と設置電極504)にガスを封入し、電極間に数100Vの電圧を印加した構造をしている。ここで、図6は、電子箱500の原理を示す概略断面図である。X線501が電極502及び504間に入射し、ガスがX線501を吸収すると、電子イオン506対が作られる。作られた電子は正電極502に引かれ、電流計508でその電流量が測定される。従って、測定された電流とガスで吸収されたX線501量は比例する。
【0015】
比例計数管600は、収集電極602に高電圧を印加し、X線601の吸収で作られた電子を加速して他の分子に衝突させて、さらに電子を複数生成させて増幅するものである。一般には、小さい電圧で大きな電場を得るために、図7に示すように、円筒形の容器の中心にワイヤ602を貼った構造をしており、円筒形内部にガスが満たされている。ここで、図7は、比例計数管600を示す概略断面図である。円筒形の容器は接地され、ワイヤには正の電圧+HVが印加され、電子を収集する正電極となっている。ガスがX線601を吸収すると、電離箱500同様、電子イオン対606が生成され、電子は中心のワイヤ602に向かう。ワイヤ602の近傍で電界強度が増加し、ワイヤ602近傍に近づいた電子606は、他のガス分子に衝突し電子イオン対を生成し、いわゆる電子イオンなだれがおきる。増幅された電子がワイヤ602に収集され、その電流量が電圧に変換され電圧計608で測定される。この増幅作用のある領域はワイヤ602のごく近傍だけであり、その領域でX線601が吸収さる確率は低く無視できるため、比例計数管600も電離箱500同様、測定された電流とガスで吸収されたX線601量は比例する。
【0016】
以下、図1を参照して本実施形態のX線検出器100の原理について説明する。ここで、図1は、X線検出器100の原理を説明するための概略断面図である。X線検出器100は、収集電極106及び107と設置電極105との間に(本実施形態ではクリプトン)ガスを封入した構成を有し、図8の容器521及びX線検出器522に置換されるものである。
【0017】
図1に示すように、収集電極が2つの電極106及び107に分割され、入射側の電極106の長さをLa、後ろ側の電極の長さ107をLtとすると、La<Ltである。入射側の電極106に入射したX線強度をI0とすると、電極106の位置に対応したガスで吸収されたX線量Iaは、uをX線101に対するガスの線吸収係数とすると、以下の数式1で与えられる。
【0018】
【数1】
【0019】
次に、電極107の位置に対応したガスで吸収されたX線量Itは、電極106を透過してきたX線量が、電極107の位置に吸収される量Itであるから、以下の数式2で与えられる。
【0020】
【数2】
【0021】
従って、両者の差分は、以下の数式3で与えられる。
【0022】
【数3】
【0023】
ガスの線吸収係数uは、波長とガスの種類、圧力によって変化する。ガスの種類と圧力が一定の場合、線吸収係数uは入射するX線101の波長のみに依存するので、信号Rは波長のみに依存することになる。
【0024】
Kr等の貴ガスは校正にしばしば使用されるが、これらのガスは、吸収端に近傍に、共鳴吸収の鋭い吸収線が表れることがある。しかし、この共鳴吸収線は、高分解能の分光器でないと観察できず、低分解能の分光器では、なだらかな吸収端が観察されるだけである。これら2つの、高分解能と低分解能の分光器に、本発明を応用する場合について説明する。
【0025】
まず低分解能の校正について説明する。電極106及び107のそれぞれの長さが、La=2.5cm、Lt=10cmで、Krガス1.33x103Paを封入した電離箱に、80〜100eVのX線101を入射させた場合、信号Rは図4の実線のようになる。これは、破線で示された従来の信号より本発明の信号の方が、エネルギーに対する信号の変化が大きく、校正の分解能が高いことを示している。更に、吸収端の前後で、信号の正負が変わる条件を選べば、エネルギー校正がしやすくなる。吸収端の前後で信号の正負を変化させる条件は、吸収端より高エネルギーでIa>It、低エネルギーでIa<It、となればよい。従って、高エネルギーと低エネルギー側のガスの線吸収係数をそれぞれ、uhとulとすれば、以下の数式4及び数式5が満足されるように電極106の長さLa、電極107の長さLt、線吸収係数を選択すればよい。
【0026】
【数4】
【0027】
【数5】
【0028】
なお、線吸収係数ulは、ガスの質量吸収係数をu、分子量をMと、ガスの圧力をp(Pa)すれば、以下の数式6で表すことができるので、ガスの圧力を調整することで、LaとLtを適切な値にすることができる。
【0029】
【数6】
【0030】
また、100eVの低エネルギーX線の空気や窓のX線透過率は極めて低い。空気(1気圧)の100eVのX線透過率は極めて低く、1mmで0.3%である。1umの有機膜を用いても、その透過率は20%程度である。窓は1um程度の有機膜で、その透過率は、0.7%程度である。そのため、本実施形態ではX線101の光路はすべて真空としている。
【0031】
次に高分解能の分光器の校正について説明する。La=2.5cm、Lt=30cmで、Krガス1.33x103Paを封入した電離箱で、観察される信号を図5に示す。破線が従来の吸収のみの信号で、実線が式3で示される本発明の信号Rである。破線をみると分かるように、従来の図4には見られない吸収線が、図5には観察される。従来の吸収ピークに比べ、本発明のピークの形状は非常に鋭く、高精度にピーク位置が求められることが分かる。
【0032】
さらに、従来は、ピーク位置を求めるのに、信号Sを適当な関数でフィッテングしてピークエネルギーEpを求めるのであるが、本発明の信号Rは0となるエネルギーE1とE2を透過するので、Ep=(E1+E2)/2で、ピーク位置を求めることができる。この点からも校正の精度が向上する。
【0033】
【実施例】
【実施例1】
図2に本発明の第1の実施例のX線検出器100Aを示す。図2において、101はX線、102は窓、103はガスを封入した容器、104はKrガス、105は負電極、106は前方の収集電極、107は後方の収集電極、108は弁、109は連通管、110はガス導入口であり、チャンバー113は、容器103を設置し、X線101が減衰しないように真空に引ける構造となっている。
【0034】
容器103内の前方の空間111でX線101の吸収によって作られた電子は収集電極106に、後方の空間112でX線の吸収によって作られた電子は収集電極107に集められる。更に、収集電極106と107で収集された電子は、不図示の回路によって、電流として測定できる様になっている。収集電極106と107で収集された電流は、IaとItとする。
【0035】
まず、ガス導入口110側の弁108を閉め、チャンバー側の連通管109を開ける。これによって、ガスを封入する容器103内部の圧力とチャンバー113の圧力が等しくなる。X線101の光路であるチャンバー113を真空に引く。このとき、弁108と連通管109を通して、容器103内も真空に引かれるので、窓102に差圧が掛からない。チャンバー113と容器103内が真空に引かれたら、弁108の連通管109側を閉めガス導入口110側を開けて、必要な圧力になるまで、徐々にKrガスを導入される。
【0036】
チャンバー113の外側に配置される図示しない回折格子が所定の角度に設定され、X線101が窓102を通して、Krガス104が満たされた容器103内に入射する。その時の回折格子の角度をθ1とする。入射したX線の一部は、容器103の前方部分の空間111でKrガスに吸収されると、電子イオン対を作り、電子が、電位が高い方へ引かれ、収集電極106で収集され信号Iaとして得られる。
【0037】
容器103の前方部分で吸収されなかったX線の多くは、容器103の後方部分で吸収され、収集電極である収集電極収集され信号Itとして得られ、両者の差分から次式から求められる。
【0038】
【数7】
【0039】
次に、回折格子(不図示)がθ2になるように回転し、X線が容器103内に入射し、前述のようにR(θ2)が求められる。このようにして、各エネルギーのX線に対してR(θ)が求められる。R=0となる角度θ0は、図4の実線のグラフから、90.5eVであり、角度θ0が90.5eVと校正される。
【0040】
本実施例は、1枚の窓102のみを使用するので、十分高いX線強度が得られる。かかるX線検出器によれば、収集電極を分割することで、エネルギーに対する信号の変化を大きくし、校正の分解能を高くすることができる。また、吸収端の前後で、信号の正負が変わる条件を選べば、エネルギー校正が容易となる。それにより、吸収端の位置を正確に求められ、X線のエネルギーの変化に対する信号を大きくとることが可能となる。その結果、X線検出器の校正精度を向上させることが実現できる。
【0041】
【実施例2】
図3は、本発明の第2の実施例のX線検出器100Bを示している。101はX線、102aは窓、103aはガスを封入した容器で接地されている。104はKrガス、106aは前方の収集電極であるワイヤ、107aは後方の収集電極であるワイヤである。ワイヤ106aと107aの間は、絶縁物114によって絶縁されている。更に、106aと107aは各々高圧電源に接続されている。110aはガス導入口である。
【0042】
容器103a内の前方の空間111aでX線101の吸収によって作られた電子はワイヤ106aに、後方の空間112aでX線101の吸収によって作られた電子はワイヤ107aに集められる。更に、ワイヤ106aと107aで収集された電子は、図6と同様に、不図示の回路によって、ワイヤ106aと107aで収集された電子量、即ち、電流を測定できる様になっている。ワイヤ106aと107aで収集された電流は、IaとItとする。
【0043】
以上の構成において、容器103内部が、ガス導入口110aを通して一度真空に引かれたのち、再びガス導入口110aを通して、容器内の圧力が1.33x103Paになるまで、Krガスが導入される。
【0044】
回折格子(不図示)が所定の角度に設定され、X線101が窓102aを通して、Krガス104が満たされた容器103内に入射する。その時の回折格子の角度をθ1とする。入射したX線の一部は、容器103の前方部分の空間111aでKrガスに吸収されると電子イオン対を作り、電子が円筒の中心部分に引かれ、中心付近で、電子が増幅されて、収集電極であるワイヤ106aに収集され、信号Iaとして得られる。
【0045】
容器103の前方部分で吸収されなかったX線の多くは、容器103の後方部分で吸収され、収集電極であるワイヤ107a収集され信号Itとして得られ、両者の差分Rが数式7によって与えられる。
【0046】
次に、回折格子(不図示)がθ2になるように回転し、X線が容器3内に入射し、前述のようにR(θ2)が求められる。このようにして、各エネルギーのX線に対してR(θ)が求められる。R=0となる角度θ0は、図4の実線のグラフから、90.5eVであり、角度θ0が90.5eVと校正される。
【0047】
比例計数管の増幅率は、ガス圧力と印加する電圧、容器とワイヤの大きさで決まる。しかし、増幅率が上げるためにガス圧力を上げようとすると、X線の吸収が大きくなり、前方のワイヤ106aの長さが短くなりすぎ、設計が困難となることがある。その場合、Krガスより、吸収率が小さく、校正すべきエネルギー領域に吸収端をもたないHeガスやHガスをKrに混ぜても良い。その場合、主にKrガスがX線を吸収し、他のガスが電子を増幅する役を果たすことになる。
【0048】
上述の実施例によれば、信号の正負が変化するので、吸収端の位置を正確に求められ、X線のエネルギーの変化に対する信号変化を大きくとることができる。また、X線を透過する窓を一枚のみ使用するので、2枚使用する従来の構成よりもガスを透過したX線強度が高くなり、ガスに入射する前のX線強度モニタが不用になる。これにより、X線強度が小さい場合、外部に設けた検出器によるX線強度で割り付ける必要がなく、統計誤差が小さくできる。これらより、高精度で校正することが可能なX線検出器を提供することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施形態及び実施例ではX線及びクリプトンを例に説明したが、本発明は他の放射線及び他の種類のガスを適用することもできる。
【0050】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例のX線検出器の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例のX線検出器の概略断面図である。
【図3】本発明のX線検出器の原理を説明するための概略断面図である。
【図4】従来及び本実施例のX線検出器の信号強度とX線のエネルギーとの関係を示すグラフである。
【図5】従来及び本実施例のX線検出器の信号強度とX線のエネルギーとの関係を示すグラフである。
【図6】従来の電子箱の原理を示す概略断面図である。
【図7】従来の比例計数管を示す概略断面図である。
【図8】従来のX線分光器の概略断面図である。
【符号の説明】
101 X線
102 窓
103 容器
104 クリプトンガス
106、106a 入射側の収集電極
107、107a 後ろ側の収集電極
Claims (6)
- 放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足及び増幅して信号を生成する放射線検出器において、
前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、前記放射線が前記収集電極に沿って入射し、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とする放射線検出器。 - 放射線が気体に吸収された際に放出される電子を補足して気体に吸収される放射線量を測定するX線検出器において、
前記電子を補足する収集電極が少なくとも2つ以上に分割され、入射側の前記収集電極が、当該入射側の前記収集電極に対して前記放射線の進行方向の後ろ側の前記収集電極よりも短いことを特徴とするX線検出器。 - 前記収集電極を収納し、前記放射線が入射する一の窓を有する容器を有することを特徴とする実施態様1又は2記載のX線検出器。
- 分光器を利用して放射線の入射角を調節することによって抽出される特定のエネルギーの前記放射線を請求項1又は2記載のX線検出器に導入するステップと、
前記気体の透過率が変化する境界としての吸収端に対応する前記放射線のエネルギーを使用して前記分光器による前記放射線の入射角の調整を校正するステップとを有する前記分光器の校正方法。 - 気体を封入する容器内部と外側を連通させて、光路中を真空に引くステップを更に有することを特徴とする実施態様4に記載の方法。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されずその要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、本実施形態及び実施例ではX線及びクリプトンを例に説明したが、本発明は他の放射線及び他の種類のガスを適用することもできる。
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KR100805887B1 (ko) | 2006-12-26 | 2008-02-20 | 한국표준과학연구원 | 방사능 교정용 자동화 장치 |
WO2011045411A1 (en) * | 2009-10-15 | 2011-04-21 | Eos Imaging | A radiographic imaging device and a detector for a radiographic imaging device |
JP2013186014A (ja) * | 2012-03-09 | 2013-09-19 | Hitachi Ltd | 放射線検出器の校正方法および放射線監視装置 |
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- 2003-06-23 JP JP2003178686A patent/JP2005016988A/ja active Pending
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