JP2005016076A - 梁構造、構造物およびその施工方法 - Google Patents

梁構造、構造物およびその施工方法 Download PDF

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Yukinobu Kurose
行信 黒瀬
Nobuyuki Maeda
信之 前田
Masahiro Asai
政宏 浅井
Yoshio Endo
芳雄 遠藤
Hideto Saito
秀人 齋藤
Haruo Nakazawa
春生 中澤
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Abstract

【課題】鉄筋コンクリート造の梁の梁成を大きくすることなく大スパンに形成することができる梁構造を提供するとともに、居住性に優れた鉄筋コンクリート造を主体構造としつつ、大スパンをローコストで実現し、広い居室空間を確保して高商品化を図ることができる構造物およびその施工方法を提供することを目的する。
【解決手段】プレキャストコンクリートからなる梁下部10と現場打ちコンクリートからなる梁上部11とが積層されて形成される梁構造であって、梁下部10の内部には、複数の第1の下主筋12と、複数の第1の下主筋12を囲う複数の第1のあばら筋13の下部と、第1の下主筋12に平行するPC鋼材14とがそれぞれ埋設され、梁上部11の内部には、梁下部10の上面から突出した第1のあばら筋13の上部と、第1の下主筋12と平行に延在して第1のあばら筋13の上部内を挿通する複数の第1の上主筋16とがそれぞれ埋設されている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレキャストコンクリートと現場打ちコンクリートとからなる梁構造、およびその梁構造を有する梁が備えられている構造物およびその施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄筋コンクリート造の構造物は、鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造に比べてコストが低く、また遮音性や風揺れ抵抗性等を十分に確保することができる。このため、高層集合住宅の構造形式としては、コストおよび居住性(遮音性や風揺れ抵抗性等)を考慮すると鉄筋コンクリート造が最適であり、鉄筋コンクリート造からなる高層集合住宅は数多く構築されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、鉄骨鉄筋コンクリート造の構造物は、梁内に鉄骨材が組み込まれており、梁剛性は大きいため、柱の間隔を大きくあけて大スパンに形成することができ、柱形が出ない広い内部空間を形成することができる。また、鉄骨造の構造物は、梁が鉄骨材によって形成されているため、梁成は小さくなり、内部空間の高さを高く確保することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−118097号公報 (第2−3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の鉄筋コンクリート造の構造物では、柱形が内部居住空間に出ないように大スパンにすると、梁コンクリートにひび割れが生じ易くなり、これを防止するには梁成を大きくしなければならないという問題が存在する。また、上記した従来の鉄骨鉄筋コンクリート造の構造物では、梁成が大きくなるとともにコストが高いという問題が存在する。さらに、上記した従来の鉄骨造の構造物では、壁などをALCパネルによって形成される場合が多く、遮音性が鉄筋コンクリート造より劣るという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、鉄筋コンクリート造の梁の梁成を大きくすることなく大スパンに形成することができる梁構造を提供することを目的としている。また、居住性に優れた鉄筋コンクリート造を主体構造としつつ、柱の間隔が大きくあいた大スパンをローコストで実現し、柱形や梁形が居室空間内に出ないようにして広い居室空間を確保し、高商品化を図ることができる構造物およびその施工方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、プレキャストコンクリートからなる梁下部と現場打ちコンクリートからなる梁上部とが積層されて形成される梁構造であって、前記梁下部の内部には、複数の第1の下主筋と、該複数の第1の下主筋を囲う複数の第1のあばら筋の下部と、該第1の下主筋に平行するPC鋼材とがそれぞれ埋設され、前記梁上部の内部には、前記梁下部の上面から突出した前記第1のあばら筋の上部と、前記第1の下主筋と平行に延在して前記第1のあばら筋の上部内を挿通する複数の第1の上主筋とがそれぞれ埋設されていることを特徴としている。
【0008】
このような特徴により、梁下部および梁上部はそれぞれ鉄筋コンクリート造で形成され、梁下部にはPC鋼材によってプレストレスが与えられる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の梁構造を有する梁と、該梁が間に架設されている鉄筋コンクリート造からなる複数の柱とが備えられた構造物において、前記梁は、前記梁構造からなる梁中央部と、現場打ち鉄筋コンクリート造からなる梁端部とから構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、構造物を構成する柱および梁はそれぞれ鉄筋コンクリート造となる。また、引張力によってひび割れが生じ易い梁中央部は、予めプレストレスが与えられて圧縮力が与えられた梁下部と梁下部に一体に形成された梁上部とによって形成されており、降伏ヒンジが生じ易い梁端部はプレストレスを期待しない鉄筋コンクリート造で形成されている。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の構造物において、前記梁端部内には、前記梁の軸方向に延在する複数の第2の下主筋および複数の第2の上主筋と、該第2の下主筋および該第2の上主筋を囲う複数の第2のあばら筋とがそれぞれ埋設され、前記第1の下主筋は前記第2の下主筋に接続され、前記第1の上主筋は前記第2の上主筋に接続されていることを特徴としている。
【0012】
このような特徴により、第1の下主筋と第2の下主筋、および第1の上主筋と第2の上主筋とはそれぞれ接合され、梁中央部と梁端部とは剛に接合される。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の構造物において、前記梁端部は前記梁中央部より大きい断面に形成されているとともに、前記第2の下主筋または前記第2の上主筋のうちの少なくとも一方は、前記第1の下主筋または前記第1の上主筋より多く配筋されていることを特徴としている。
【0014】
このような特徴により、梁端部の剛性は大きくなり、梁中央部の両端に降伏ヒンジが生じるようになる。また、梁端部に降伏ヒンジが形成されず、梁成が大きくとれるので、この部分に設備用の開口(梁貫通孔)を設けることが可能となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項2から4のいずれかに記載の構造物において、前記梁下部は段差状に形成され、該梁下部内には前記梁の形状に沿って屈曲されたシース管が埋設され、該シース管内には前記PC鋼材が挿通され、該PC鋼材の両端部は前記梁下部の両端にそれぞれ定着する定着具に接合されていることを特徴としている。
【0016】
このような特徴により、水廻りの設備が上方に設けられて梁に段差が設けられた場合でも、梁下部にプレストレスが与えられる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の梁構造を有する梁と、該梁が間に架設された鉄筋コンクリート造からなる複数の柱とが備えられている構造物の施工方法において、予め、複数の第1の下主筋と、該複数の第1の下主筋を囲う複数の第1のあばら筋と、該第1の下主筋に平行するPC鋼材とが内部に埋設されたプレキャストコンクリートからなる梁下部を形成するとともに、該梁下部のコンクリート打設の前或いは後に前記PC鋼材を緊張して該梁下部にプレストレスを与え、次に、該梁下部を前記柱の間に配置するとともに、前記第1の下主筋と平行に延在する複数の第1の上主筋を前記第1のあばら筋の上部内に挿通し、前記梁下部の上方にコンクリートを打設して梁上部を形成することを特徴としている。
【0018】
このような特徴により、予め形成され梁下部にはプレストレスが与えられているため、梁を形成する際の現場での作業工程は、梁下部を配置し、第1の上主筋を第1のあばら筋の上部内に挿通し、梁下部上にコンクリートを打設するだけでよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る梁構造、構造物およびその施工方法の第1、第2、第3、第4の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、高層の構造物1の平面図である。図1に示すように、構造物1は、外周に配置された複数の外柱2と、構造物1内に配置された中柱3と、隣り合う外柱2の間および外柱2と中柱3の間にそれぞれ架設された複数の梁4と、対向する梁4で囲まれる範囲に形成されたスラブ5とから構成されている。複数の梁4は、長さ10m以下の短い小スパン梁6と長さ10m以上の長い大スパン梁7とから構成されている。外柱2、中柱3、スラブ5および小スパン梁6はそれぞれ鉄筋コンクリート造で形成されており、構造物1は主体構造が鉄筋コンクリート構造で形成されている。
【0022】
図2は大スパン梁7を表す断面図である。図1、図2に示すように、複数の大スパン梁7は隣り合う外柱2の間、或いは外柱2と中柱3との間にそれぞれ架設されている。大スパン梁7は、中央の梁中央部8と両端の梁端部9とから構成されている。
【0023】
図3(a)は梁中央部8の断面図である。図2、図3(a)に示すように、梁中央部8は、プレキャストコンクリートからなる梁下部10と、現場打ちコンクリートからなる梁上部11とが積層されて形成されている。梁下部10はスラブ5の底面より下方に配置され、梁上部11はスラブ5内に一体に形成されている。
【0024】
梁下部10の内部には、大スパン梁7の軸方向に延在する複数の第1の下主筋12と、複数の第1の下主筋12を囲う矩形の複数の第1のあばら筋13と、第1の下主筋12に平行して大スパン梁7の軸方向に延在する複数のPC鋼材14と、中央の第1の下主筋12を囲う矩形の複数の第1の中子筋15とがそれぞれ埋設されている。
【0025】
複数の第1の下主筋12は1段または2段で梁下部10の下部内に配置されており、複数の第1の下主筋12は矩形輪状の第1のあばら筋13の下部内にそれぞれ挿通されている。また、第1の下主筋12の両端部は、梁下部10の両端面から梁端部9内にそれぞれ突出されている。第1のあばら筋13は閉鎖型に形成されており、第1のあばら筋13は大スパン梁7の軸方向に所定の間隔をあけて複数配設されている。複数の第1のあばら筋13の上部は、梁下部10の上面から梁上部11内にそれぞれ突出されている。
【0026】
また、複数の第1のあばら筋13には第1の中子筋15がそれぞれ重ねられており、第1の中子筋15は第1のあばら筋13と同間隔で配置されている。第1の中子筋15の下部には中央に位置する第1の下主筋12が挿通されており、複数の第1の中子筋15の上部は梁下部10の上面から梁上部11内にそれぞれ突出されている。PC鋼材14は、第1の下主筋12の上方に複数配置されており、第1のあばら筋13内或いは第1の中子筋15内に挿通されている。
【0027】
梁上部11の内部には、梁下部10の上面から突出した第1のあばら筋13の上部と、梁下部10の上面から突出した第1の中子筋15の上部と、第1の下主筋12と平行に延在する複数の第1の上主筋16とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の上主筋16は1段または2段で配置されており、第1のあばら筋13の上部内および第1の中子筋15の上部内にそれぞれ挿通されている。また、第1の上主筋16の両端部は、梁端部9内に貫入されている。
【0028】
図3(b)は梁端部9の断面図である。図2、図3(b)に示すように、梁端部9は現場打ちの鉄筋コンクリート造から構成されており、梁端部9の内部には、大スパン梁7の軸方向に延在する複数の第2の下主筋17および複数の第2の上主筋18と、第2の下主筋17および第2の上主筋18を囲う複数の第2のあばら筋19と、中央の第2の下主筋17および第2の上主筋18を囲う矩形の複数の第2の中子筋20とがそれぞれ埋設されている。
【0029】
第2の下主筋17および第2の上主筋18の外柱2側或いは中柱3側の一端部は、外柱2の仕口部2a内或いは中柱3の仕口部3a内にそれぞれ定着されている。また、第2の下主筋17および第2の上主筋18の他端部は、梁端部9内に配置された鉄筋継手21を介して第1の下主筋12および第1の上主筋16にそれぞれ接続されている。
【0030】
次に、上記した構成からなる構造物1の施工方法について説明する。
【0031】
図2、図3(a)に示すように、予め、工場などでプレキャストコンクリートからなる梁下部10を形成する。梁下部10は、図示せぬ製作台上にPC鋼材14を緊張した状態で配置し、PC鋼材14の下方に複数の第1の下主筋12をPC鋼材14と平行に配設し、この第1の下主筋12に第1のあばら筋13および第1の中子筋15を所定の間隔をあけて複数配筋し、周りを図示せぬ形枠を建て込んだ後にコンクリートを打設して形成する。つまり、梁下部10はいわゆるプレテンション方式によって製作し、現場に搬入する前に梁下部10にプレストレス(圧縮力)を与えておく。また、PC鋼材14は打設されたコンクリートが固化した後に梁下部10の両端面のところで切断する。第1の下主筋12の端部は梁下部10の両端面から側方に突出させておき、第1のあばら筋13および第1の中子筋15の上部は梁下部10の上面から上方に突出させておく。
【0032】
次に、外柱2および中柱3の図示せぬ柱鉄筋を配筋し、この柱鉄筋の周りに図示せぬ柱形枠を建て込む。そして、小スパンの隣り合う外柱2の間、および外柱2と中柱3との間に小スパン梁6の図示せぬ梁形枠を架設する。また、製作された梁下部10を現場に搬入し、大スパンの隣り合う外柱2の間、および外柱2と中柱3との間に梁下部10をそれぞれ配置する。そして、外柱2の仕口部2aと梁下部10との間、および中柱3の仕口部3aと梁下部10との間に、梁端部9の図示せぬ梁形枠を建て込む。また、対向する図示せぬ梁形枠の間にスラブ5の図示せぬスラブ形枠を隙間なく敷設する。スラブ形枠の縁部は、梁形枠の上端部に載せられ、或いは梁下部10の側面に当接されて固定されている。
【0033】
次に、小スパン梁6の梁形枠内に小スパン梁6の図示せぬ鉄筋材を配筋するとともに、梁端部9の梁形枠内に複数の第2の下主筋17、第2の上主筋18、第2のあばら筋19および第2の中子筋20をそれぞれ配筋する。第2の下主筋17および第2の上主筋18は小スパン梁6の軸方向にそれぞれ延在させる。複数の第2のあばら筋19および第2の中子筋20を所定の間隔で配設し、第2のあばら筋19および第2の中子筋20が第2の下主筋17および第2の上主筋18を囲うように配筋する。第2の下主筋17および第2の上主筋18の一端部は、外柱2或いは中柱3の中に配置する。また、第2の下主筋17の他端部は梁下部10の端面から突出した第1の下主筋12の先端部に鉄筋継手21を介して接合し、第2の上主筋18の他端部は梁下部10の端面から突出した第1の上主筋16の先端部に鉄筋継手21を介して接合する。
【0034】
次に、外柱2の仕口部2aおよび中柱3の仕口部3aの図示せぬ仕口フープ筋を配筋するとともに、スラブ5の図示せぬスラブ筋をスラブ形枠の上に配筋する。そして、外柱2および中柱3の柱形枠内と、小スパン梁6の梁形枠内と、梁端部9の梁形枠内と、梁下部10の上方と、スラブ5のスラブ形枠内とにコンクリートをそれぞれ打設して、外柱2、中柱3、小スパン梁6、大スパン梁7およびスラブ5を一体に形成する。
【0035】
上記した構成からなる大スパン梁7の梁構造によれば、梁下部10および梁上部11はそれぞれ鉄筋コンクリート造で形成され、梁下部10にはPC鋼材14によってプレストレスが与えられる。これによって、安価な鉄筋コンクリート造で大スパンに架けられる大スパン梁7を形成するとき、大スパン梁7の断面形状を大きくすることなく、大スパン梁7の下部に発生し易いひび割れを防止することができ、コストダウンを図るとともに梁下空間を大きくすることができる。
【0036】
また、上記した構成からなる構造物1およびその施工方法によれば、構造物1を構成する外柱2、中柱3、スラブ5、小スパン梁6および大スパン梁7はそれぞれ安価な鉄筋コンクリート造となる。これによって、構造物1の施工費用を低減することができる。また、引張力によってひび割れが生じ易い梁中央部8は、予めプレストレスが与えられた梁下部10と梁下部10に一体に形成された梁上部11とによって形成されており、降伏ヒンジが生じ易い梁端部9はプレストレスを期待しない鉄筋コンクリート造で形成されている。これによって、梁下部10のプレストレスが引張力に対向して大スパン梁7下部のひび割れを防ぐことができ、また大地震時の降伏ヒンジを防止することができる。
【0037】
また、第1の下主筋12と第2の下主筋17、および第1の上主筋16と第2の上主筋18とはそれぞれ鉄筋継手21を介して接続されているため、梁中央部8と梁端部9とは剛に接合される。これによって、梁中央部8と梁端部9とを一体に形成することができる。
【0038】
また、梁下部10は予め形成され、この梁下部10にはプレストレスが与えられているため、大スパン梁7の梁中央部8を形成する際の現場での作業工程は、梁下部10を隣り合う外柱2の間、或いは外柱2と中柱3との間に配置し、第1の上主筋16を第1のあばら筋13の上部内および第1の中子筋15の上部内にそれぞれ挿通し、梁下部10上にコンクリートを打設するだけでよい。これによって、現場での配筋作業は簡易になり工期短縮を図ることができる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0040】
図4は、隣り合う外柱100の間、或いは外柱100と中柱101との間に架設されている大スパン梁102を表す断面図である。図4に示すように、大スパン梁102は、プレキャストコンクリートからなる梁下部103と、現場打ちコンクリートからなる梁上部104とが積層されて形成されている。梁下部103の両端部は、外柱100の仕口部100a内、或いは中柱101の仕口部101a内に、外柱100の仕口部100a内或いは中柱101の仕口部101a内に配筋された図示せぬ仕口鉄筋に干渉しない程度まで貫入されている。
【0041】
梁下部103の内部には、大スパン梁102の軸方向に延在する複数の第1の下主筋105と、複数の第1の下主筋105を囲う矩形の複数の第1のあばら筋106と、第1の下主筋105に平行して大スパン梁102の軸方向に延在する複数のPC鋼材107とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の下主筋105は第1のあばら筋106の下部内にそれぞれ挿通されており、第1の下主筋105の両端部は、梁下部103の両端面からそれぞれ突出され、外柱100の仕口部100a内、或いは中柱101の仕口部101a内にそれぞれ定着されている。
【0042】
また、第1のあばら筋106は大スパン梁102の軸方向に所定の間隔をあけて複数配設されており、複数の第1のあばら筋106の上部は、梁下部103の上面から梁上部104内にそれぞれ突出されている。PC鋼材107は、第1の下主筋105の上方に複数配置されており、第1のあばら筋106内に挿通されている。
【0043】
梁上部104の内部には、梁下部103の上面から突出した第1のあばら筋106の上部と、第1の下主筋105と平行に延在する複数の第1の上主筋108とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の上主筋108は、第1のあばら筋106の上部内にそれぞれ挿通されている。第1の上主筋108の両端部は、外柱100の仕口部100a内、或いは中柱101の仕口部101a内にそれぞれ定着されている。
【0044】
上記した構成からなる大スパン梁102を有する構造物によれば、梁下部103は大スパン梁102のコンクリート形枠になり、大スパン梁102を形成する際の形枠を省略することができる。これによって、コストダウンを図ることができるとともに、工期の短縮を図ることができる。
【0045】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0046】
図5は、隣り合う外柱200の間、或いは外柱200と中柱201との間に架設されている大スパン梁202を表す断面図である。図5に示すように、大スパン梁202は、中央の梁中央部203と両端の梁端部204とから構成されており、梁端部204の断面が梁中央部203の断面より大きくなるように、梁端部204の梁成は梁中央部203の梁成より大きく形成されている。
【0047】
梁中央部203は、プレキャストコンクリートからなる梁下部205と、現場打ちコンクリートからなる梁上部206とが積層されて形成されている。梁下部205の内部には、大スパン梁202の軸方向に延在する複数の第1の下主筋207と、複数の第1の下主筋207を囲う矩形の複数の第1のあばら筋208と、第1の下主筋207に平行して大スパン梁202の軸方向に延在する複数のPC鋼材209とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の下主筋207は第1のあばら筋208の下部内にそれぞれ挿通されており、第1の下主筋207の両端部は梁下部205の両端面から梁端部204内にそれぞれ突出されている。また、第1のあばら筋208は大スパン梁202の軸方向に所定の間隔をあけて複数配設されており、複数の第1のあばら筋208の上部は、梁下部205の上面から梁上部206内にそれぞれ突出されている。PC鋼材209は、第1の下主筋207の上方に複数配置されており、第1のあばら筋208内に挿通されている。
【0048】
梁上部206の内部には、梁下部205の上面から突出した第1のあばら筋208の上部と、第1の下主筋207と平行に延在する複数の第1の上主筋210とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の上主筋210は、第1のあばら筋208の上部内にそれぞれ挿通されている。第1の上主筋210の両端部は、梁端部204内に貫入されている。
【0049】
梁端部204は現場打ちの鉄筋コンクリート造から構成されており、梁端部204の内部には、大スパン梁202の軸方向に延在する複数の第2の下主筋211および複数の第2の上主筋212と、第2の下主筋211および第2の上主筋212を囲う複数の第2のあばら筋213とがそれぞれ埋設されている。第2の下主筋211は第1の下主筋207より多く配筋されており、第2の上主筋212は第1の上主筋210より多く配筋されている。第2の下主筋211および第2の上主筋212の外柱200側或いは中柱201側の一端部は、外柱200の仕口部200a或いは中柱201の仕口部201aにそれぞれ定着されている。
【0050】
また、複数の第2の下主筋211のうち第1の下主筋207と同軸上の第2の下主筋211の他端部は、第1の下主筋207の先端部と鉄筋継手により接合されており、複数の第2の上主筋212のうち第1の上主筋210と同軸上の第2の上主筋212の他端部は、第1の上主筋210の先端部と鉄筋継手により接合されている。一方、その他の第2の下主筋211および第2の上主筋212の他端部は、梁中央部203内には貫入されず、梁端部204内に納められている。
【0051】
上記した構成からなる大スパン梁202を有する構造物によれば、梁端部204の剛性は大きくなるため、梁端部204は非ヒンジ帯となり、梁中央部203の両端部は降伏ヒンジ帯となる。これによって、大地震等の時には梁中央部203の両端で降伏ヒンジが生じるようになり、設備配管用の梁貫通孔を梁端部204に設けることができる。
【0052】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0053】
図6は、隣り合う外柱300の間、或いは外柱300と中柱301との間に架設されている大スパン梁302を表す断面図である。図5に示すように、大スパン梁302は、中央の梁中央部303と両端の鉄筋コンクリート造の梁端部304とから構成されており、梁中央部303(大スパン梁302)は中央が段差状に形成されている。梁中央部303は、プレキャストコンクリートからなる梁下部305と、現場打ちコンクリートからなる梁上部306とが積層されて形成されており、梁下部305および梁上部306はそれぞれ段差状に形成されている。
【0054】
梁下部305は中央の段差部305aを挟んで高部305bと低部305cとに振り分けられている。高部305b側および低部305c側の梁下部305の内部には、大スパン梁302の軸方向に延在する複数の第1の下主筋307と、複数の第1の下主筋307を囲う矩形の複数の第1のあばら筋308と、管状のシース管309内にそれぞれ挿通されている複数のPC鋼材310とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の下主筋307は第1のあばら筋308の下部内にそれぞれ挿通されており、第1の下主筋307の両端部は梁下部305の両端面から梁端部304内にそれぞれ突出されている。また、第1のあばら筋308は大スパン梁302の軸方向に所定の間隔をあけて複数配設されており、複数の第1のあばら筋308の上部は、梁下部305の上面から梁上部306内にそれぞれ突出されている。
【0055】
PC鋼材310は、段差部305aで梁下部305(大スパン梁302)の形状に合わせて屈曲されている。梁下部305はいわゆるポイントテンション方式によりプレストレスが与えられており、PC鋼材310の両端部には、梁下部305の両端にそれぞれ定着する定着具312が接合されている。梁下部305の段差部305aには、大スパン梁302の軸方向に延在する段差筋313が配筋されており、段差筋313は段差部305aの縦面から突出され、低部305c側の梁上部306内に貫入されている。
【0056】
高部305b側および低部305c側の梁上部306の内部には、梁下部305の上面から突出した第1のあばら筋308の上部と、第1の下主筋307と平行に延在する複数の第1の上主筋314とがそれぞれ埋設されている。複数の第1の上主筋314は、第1のあばら筋308の上部内にそれぞれ挿通されており、第1の上主筋314の外柱300側或いは中柱301側の一端部は、梁端部304内に貫入されている。高部305b側の第1の上主筋314の他端部は、段差部305a内から突出せず、段差部305a内に納められている。低部305c側の第1の上主筋314の他端部は、突出された段差筋313の先端に接続されている。
【0057】
上記した構成からなる大スパン梁302を有する構造物によれば、大スパン梁302に段差が設けられた場合でも、大スパン梁302は所定の剛性を確保されるとともに、梁下部305にプレストレスが与えられる。これによって、水廻りの設備が上方に設けられて段差が必要な場合にも適用することができる。
【0058】
以上、本発明に係る梁構造および構造物の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した第1、第2、第3、第4の実施の形態では、第2の下主筋17、105、207、307および第2の上主筋18、108、210、314は、外柱2、100、200、300の仕口部2a、100a、200a、300aの中、或いは中柱3、101、201、301の仕口部3a、101a、201a、301aの中にそれぞれ定着されているが、本発明は、第2の下主筋17、105、207、307および第2の上主筋18、108、210、314の一端部を、外柱2、100、200、300或いは中柱3、101、201、301を挟んで反対側に形成されて当該大スパン梁7、102、202、302の同軸方向に延在する隣接する梁の梁鉄筋に接合してもよく、また第2の下主筋17、105、207、307および第2の上主筋18、108、210、314と隣接する梁の梁鉄筋とを一本の鉄筋材で形成してもよい。
【0059】
また、上記した第1の実施の形態では、第1の下主筋12と第2の下主筋17、および第1の上主筋16と第2の上主筋18とは、鉄筋継手21を介してそれぞれ接合されているが、第1の下主筋12と第2の下主筋17、および第1の上主筋16と第2の上主筋18とをそれぞれ一本の鉄筋材で形成させてもよく、これによって、第1の下主筋12と第2の下主筋17、および第1の上主筋16と第2の上主筋18とを接続する手間を省くことができる。
【0060】
また、上記した第1、第2、第3の実施の形態では、梁下部10、103、205には、いわゆるプレテンション方式によってプレストレスが与えられているが、本発明は、予め工場にて梁下部10、103、205にいわゆるポストテンション方式によってプレストレスを与えてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上、説明した本発明に係る請求項1記載の梁構造によれば、梁下部および梁上部はそれぞれ鉄筋コンクリート造で形成され、梁下部にはPC鋼材によってプレストレスが与えられるため、安価な鉄筋コンクリート造の梁を大スパンに架けるとき、梁の断面形状を大きくすることなく、梁の下部に発生し易いひび割れを防止することができ、コストダウンを図るとともに梁下空間を大きくすることができる。
【0062】
また、本発明に係る請求項2記載の構造物によれば、構造物の主体構造は鉄筋コンクリート造となるため、構造物の施工費用を低減することができる。また、引張力によってひび割れが生じ易い梁中央部は、予めプレストレスが与えられた梁下部と梁下部に一体に形成された梁上部とによって形成されており、降伏ヒンジが生じ易い梁端部は、プレストレスを期待しない鉄筋コンクリート造で形成されているため、梁下部のプレストレスが引張力に対向して梁下部のひび割れを防ぐことができ、また大地震時の降伏ヒンジを防止することができる。
【0063】
また、本発明に係る請求項3記載の構造物によれば、第1の下主筋と第2の下主筋、および第1の上主筋と第2の上主筋とはそれぞれ接続されているため、梁中央部と梁端部とは剛に接合され、梁中央部と梁端部とを一体に形成することができる。
【0064】
また、本発明に係る請求項4記載の構造物によれば、梁端部の断面は梁中央部より大きく、且つ梁端部内の鉄筋量は梁中央部内より多く配筋されているため、梁端部の剛性は大きくなり、梁端部は非ヒンジ帯となり、梁中央部の両端部は降伏ヒンジ帯となる。これによって、大地震等の時には梁中央部の両端で降伏ヒンジが生じるようになり、設備配管用の梁貫通孔を梁端部に設けることができる。
【0065】
また、本発明に係る請求項5記載の構造物によれば、梁に段差が設けられた場合でも、梁は所定の剛性を確保されるとともに、梁下部にプレストレスが与えられるため、水廻りの設備が上方に設けられて段差が必要な場合にも大スパンに架けることができる。
【0066】
また、本発明に係る請求項6記載の構造物によれば、予めプレストレスが与えられている梁下部が形成され、梁中央部を形成する際の現場での作業工程は、梁下部を隣り合う柱の間に配置し、第1の上主筋を第1のあばら筋の上部内の上部内に挿通し、梁下部上にコンクリートを打設するだけでよいため、現場での配筋作業は簡易になり工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明する全体平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明する梁の側断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明する梁の断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を説明する梁の側断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を説明する梁の側断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を説明する梁の側断面図である。
【符号の説明】
1 構造物
2、100、200、300 外柱(柱)
3、101、201、301 中柱(柱)
4 梁
7、102、202、302 大スパン梁(梁)
8、203、303 梁中央部
9、204、304 梁端部
10、103、205、305 梁下部
11、104、206、306 梁上部
12、105、207、307 第1の下主筋
13、106、208、308 第1のあばら筋
14、107、209、310 PC鋼材
16、108、210、314 第1の上主筋
17、211 第2の下主筋
18、212 第2の上主筋
19、213 第2のあばら筋
309 シース管
312 定着具

Claims (6)

  1. プレキャストコンクリートからなる梁下部と現場打ちコンクリートからなる梁上部とが積層されて形成される梁構造であって、
    前記梁下部の内部には、複数の第1の下主筋と、該複数の第1の下主筋を囲う複数の第1のあばら筋の下部と、該第1の下主筋に平行するPC鋼材とがそれぞれ埋設され、
    前記梁上部の内部には、前記梁下部の上面から突出した前記第1のあばら筋の上部と、前記第1の下主筋と平行に延在して前記第1のあばら筋の上部内を挿通する複数の第1の上主筋とがそれぞれ埋設されていることを特徴とする梁構造。
  2. 請求項1記載の梁構造を有する梁と、該梁が間に架設されている鉄筋コンクリート造からなる複数の柱とが備えられた構造物において、
    前記梁は、前記梁構造からなる梁中央部と、現場打ち鉄筋コンクリート造からなる梁端部とから構成されていることを特徴とする構造物。
  3. 請求項2記載の構造物において、
    前記梁端部内には、前記梁の軸方向に延在する複数の第2の下主筋および複数の第2の上主筋と、該第2の下主筋および該第2の上主筋を囲う複数の第2のあばら筋とがそれぞれ埋設され、前記第1の下主筋は前記第2の下主筋に接続され、前記第1の上主筋は前記第2の上主筋に接続されていることを特徴とする構造物。
  4. 請求項2または3記載の構造物において、
    前記梁端部は前記梁中央部より大きい断面に形成されているとともに、前記第2の下主筋または前記第2の上主筋のうちの少なくとも一方は、前記第1の下主筋または前記第1の上主筋より多く配筋されていることを特徴とする構造物。
  5. 請求項2から4のいずれかに記載の構造物において、
    前記梁下部は段差状に形成され、該梁下部内には前記梁の形状に沿って屈曲されたシース管が埋設され、該シース管内には前記PC鋼材が挿通され、該PC鋼材の両端部は前記梁下部の両端にそれぞれ定着する定着具に接合されていることを特徴とする構造物。
  6. 請求項1記載の梁構造を有する梁と、該梁が間に架設された鉄筋コンクリート造からなる複数の柱とが備えられている構造物の施工方法において、
    予め、複数の第1の下主筋と、該複数の第1の下主筋を囲う複数の第1のあばら筋と、該第1の下主筋に平行するPC鋼材とが内部に埋設されたプレキャストコンクリートからなる梁下部を形成するとともに、該梁下部のコンクリート打設の前或いは後に前記PC鋼材を緊張して該梁下部にプレストレスを与え、
    次に、該梁下部を前記柱の間に配置するとともに、前記第1の下主筋と平行に延在する複数の第1の上主筋を前記第1のあばら筋の上部内に挿通し、前記梁下部の上方にコンクリートを打設して梁上部を形成することを特徴とする構造物の施工方法。
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