JP2005014512A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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大二 岡村
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Abstract

【課題】微量なアルミニウムイオンが、製造時においてインク中に不純物として残留したり、機器を構成している材料から溶出して、インク中に混入した場合等において、該アルミニウムイオンに起因して起こり得るインクの着弾不良等の問題を解決したインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構としてワイパーが設けられているインクジェット記録装置において、上記ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布するための手段が設けられており、且つ、該キレート剤がインクタンク以外から供給されるように構成されているインクジェット記録装置。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録によって得られる画像の画質向上は目覚ましく、いまや、高画質の代名詞である銀塩写真の画質に匹敵する高精細画像が得られるまでになってきている。一方、そのような高画質記録に使用されるインクでは、これまで以上に、その品質が厳重に管理されることが要求されている。これに対する技術としては、例えば、インク中における、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、アルミニウム、ケイ素の総和を20ppm以下にして、不純物の含有量を低減し、これによって、ノズルの目詰まり性の向上や、熱をインク吐出のエネルギーとするサーマルインクジェット記録時のコゲーションの発生の抑制を達成した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この場合には、インクは、それぞれに精製された原材料を調合することによって製造され、不純物濃度が上記の範囲内となるように管理されている。
【0003】
上記したように、製造時においてインクの品質を厳重に管理する一方で、その使用時において生じる恐れのある、インクタンク等の記録ユニットを構成する物質からの溶出物質によるインクへの汚染を防ぐための技術も種々検討されている。中でも、インクタンク中に配置された吸収体から不純物が溶出し、インク中に混入することが知られているが、これに対しては、例えば、インクタンク中の吸収体から溶出するケイ素量と、安定なインクジェット記録との間の関係を規定した技術がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
又、例えば、インク中に、トリカルボン酸及びトリカルボン酸の塩を含有させることで、サーマルインクジェット記録時のコゲーションの解決手段とする技術も提案がある(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
更に、前記したように、最近のインクジェット記録物に対する銀塩写真に匹敵するような高画質化への要求に伴って、記録装置においても、記録ヘッドのインク吐出口の微細化や、インク液滴の媒体への着弾精度の向上等が、必須の要件となってきている。又、インク(インクタンク等に収納された状態等も含む)の長期保存や、高温下での保存性能も重要な問題である。
【0006】
【特許文献1】
特公平3−48953号公報
【特許文献2】
特開平11−198399号公報
【特許文献3】
特開平11−315238号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような、インクの性能目標、品質管理の元で検討を行っていく過程で、保存試験を行ったインクタンクを用いて印字性能試験を行った所、特定の条件下で、インクの着弾精度が乱れるという問題が発生した。この原因を解析したところ、詳細は不明な部分があるが、サーマルインクジェット記録時のコゲーションが原因ではなく、インク中に含まれる非常に微量なアルミニウムイオンによって、着弾不良が起こっていることが分かった。又、この現象は、インク中にアルミニウムイオンを微量に添加した試験用インクでも再現することがわかり、インク中のアルミニウムイオンと印字不良との間に相関があることが確認された。
【0008】
従って、本発明の目的は、微量なアルミニウムイオンが、製造時においてインク中に不純物として残留したり、機器を構成している材料から溶出して、インク中に混入した場合等において、該アルミニウムイオンに起因して起こり得るインクの着弾不良等の問題を解決したインクジェット記録装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構としてワイパーが設けられているインクジェット記録装置において、上記ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布するための手段が設けられており、且つ、該キレート剤がインクタンク以外から供給されるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置である。
【0010】
本発明にかかるインクジェット記録装置の好ましい形態は、下記の[2]〜[4]が挙げられる。[2]ワイパー上に塗布された際におけるキレート剤の量が、ワイパー上に0.1μg/mm以上100,000μg/mm以下の範囲で存在するように塗布される構成を有する上記[1]に記載のインクジェット記録装置。[3]上記したキレート剤が、トリカルボン酸塩である上記[1]又は[2]に記載のインクジェット記録装置。[4]トリカルボン酸塩が、クエン酸三ナトリウムである上記[3]に記載のインクジェット記録装置。
【0011】
更に、本発明にかかるインクジェット記録装置の好ましい形態は、下記の[5]〜[6]が挙げられる。[5]更に、1又は複数のインクが独立して使用されており、その中の少なくとも1のインク中に、アルミニウムイオンが0.1ppm以上5.0ppm以下の範囲で含有されている上記[1]〜[4]の何れかに記載のインクジェット記録装置。[6]1又は複数のインクが、ポリオレフィンを材料とするインク吸収体を用いたインクタンクに収容されている上記[1]〜[5]の何れかに記載のインクジェット記録装置。[7]アルミニウムイオンが、インク中に不純物として存在している上記[5]に記載のインクジェット記録装置。[8]アルミニウムイオンが、インクが接する部材に使用されるポリオレフィンの中和剤からの溶出成分であるアルミニウムイオンを含む上記[5]〜[7]の何れかに記載のインクジェット記録装置。[9]1又は複数のインクのpHが、6〜10の範囲に調整されている上記[5]〜[8]の何れかに記載のインクジェット記録装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、上記した従来技術の課題を解決すべく、インク中に含まれてくる非常に微量なアルミニウムイオンによって着弾不良が起こるという現象を防止させるための有効な手段について鋭意検討した結果、インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構としてワイパーを備える構成を採用し、該ワイパー上に、キレート剤を含む溶液を塗布する構成とすれば、安定したインクジェット記録が行えるインクジェット記録装置とできることを見いだして本発明に至った。特に、使用するインク中にアルミニウムイオンが不純物として微量な量含有されている場合に、インクジェット記録装置の構成を上記のようにすることによって顕著な効果が得られることがわかった。
【0013】
本発明者らは、インクジェット記録装置の構成を上記のようにすることで、安定したインクジェット記録が達成される理由について下記のように考えている。先に述べたように、インクジェット記録装置に使用するインク中に微量なアルミニウムイオンが含有されていると、着弾不良が起こり、形成される画像に印字不良となって表れる。これに対して、上記したように、インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構として備えられたワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布しておくと、該インクジェット記録装置によって画像を形成する際に、ワイピング動作によって記録ヘッドのクリーニングが行われるが、インク中に不純物として混入しているアルミニウムイオンに、ワイパー上のキレート剤が作用して錯体を形成(キレート作用)し、これによって、アルミニウムイオンの不安定な溶解度に基づく現象が有効に抑制され、安定したインクジェット記録が達成されたものと推測している。
【0014】
以下に、本発明にかかるインクジェット記録装置の具体的な構成について説明する。
(インクジェット記録装置)
本発明にかかるインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構としてワイパーを有し、該ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布する手段が設けられており、且つ、該キレート剤がインクタンク以外から供給されることを特徴とする。本発明にかかるインクジェット記録装置は、上記した構成を有し、インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構として備えられているワイパー上にキレート剤を含む溶液が塗布される構成を有するため、インクジェット記録装置に用いるインク中にアルミニウムイオンが含有されている場合にも、安定したインクジェット記録を行うことができる。
【0015】
具体的には、インクジェット記録装置を使用する際に生じるヘッドをクリーニングする際のワイピング動作によって、ワイパー上に塗布されたキレート剤が、画像形成に用いられるインク中に混入し、該キレート剤がインク中のアルミニウムイオンと錯体を形成(キレート作用)し、この結果、アルミニウムイオンの不安定な溶解度に基づく着弾不良といった現象が抑制されるものと推測される。特に、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物の析出がヘッドのインク吐出口近傍で起こった場合に着弾不良等の問題を引き起こすと考えられるが、本発明にかかるインクジェット記録装置では、吐出口側からキレート剤をインク中に混入させるので、より効果的に上記した課題が解決される。
【0016】
以下に、より具体的に本発明のインクジェット記録装置の一例を説明する。先ず、図1は、熱エネルギーを利用したインクジェット記録装置のインクジェット記録ヘッドのクリーニング機構として設けたワイパーの一例の模式図である。5はワイパーを示し、6は、該ワイパー5上にキレート剤を含む溶液を塗布する手段を示す。図1に示した例では、6は、キレート剤を含む溶液が含浸された状態の吸収体である。図1に示したように、ワイパー5がワイピング動作を行わないとき、即ち、待機状態のときは、吸収体6がワイパー5の上部に接するように構成されている(図1(a)参照)。このため、ワイピング動作を行うときには、ワイパー5は、吸収体6と接触しながらワイピング動作に入るので(図1(b)参照)、ワイパー5上部にキレート剤を含む溶液7が塗布された状態となる(図1(c)参照)。そして、この状態でヘッド部1のクリーニング動作が行われるため、図1(d)に示したように、このクリーニング動作中に、ワイパー5上に塗布されたキレート剤を含む溶液7がインク3中に混入する。この結果、ヘッド部1のノズル4付近に存在するアルミニウムイオンは、溶液7中のキレート剤と反応して錯体を形成し可溶化するので、アルミニウム化合物の析出が抑えられることになる。又、ワイパー5上にキレート剤を含む溶液7を塗布する手段については、勿論、上記した具体例に限られるものではない。
【0017】
上記した方法に対して、キレート剤を直接インクに添加することによってアルミニウム化合物の析出を抑制する方法も考えられる。しかし、インクの種類によっては、インク組成の相性等から、キレート剤を含有させると他の性能が劣化する等の弊害を引き起こす場合もある。そこで、本発明では、インク中にキレート剤を含有させるのではなく、例えば、上記したような方法で、ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布させることによって、アルミニウムイオンの不安定な溶解度に基づいて生じる着弾不良等の現象を抑制する。
【0018】
(キレート剤)
本発明で用いることのできるキレート剤の具体例を挙げると、例えば、アリザリン、クペロン、クロモトロープ酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、タイロン、二燐酸、エチレンジアミン、ジメチルグリオキシム、2,2’−ビピリジン、α,α−フリルジオキシム、キサントゲン酸、ジエチルジチオカルバミン酸、トルエン−3,4−ジチオール、o−アミノフェノール、オキシン、キナルジン酸、サリチルアルドキシム、ニトロソR酸、2−ニトロソ−5−ジメチルアミノフェノール、1−ニトロソ−2−ナフトール、マグネソン、ジエチレントリアミン、2,2’,2’’−テルピリジル、1,2,3−トリアミノプロパン、エリオクロムブラックT、ムレキシド、4−(2−チアゾリルアゾ)−レゾルシン、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、チオジエチルアミン、ポルフィリン類、トリエチレンテトラミン、トリエタノールアミン、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンペンタミン、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、trans−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、メチルチモールブルー、ムレキシド、2−ヒドロキシ−1−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−3−ナフトエ酸、1−(2−ピリジルアゾ)−2−ナフトール、クレゾールフタレインコンプレクソン、ピロカテコールバイオレット、キシレノールオレンジ、の各化合物等が挙げられる。上記のようなキレート試薬は、単独でも或いは混合物としても使用することができる。これらの中でも特にトリカルボン酸塩が望ましく、その中でも、特に、クエン酸三ナトリウム等のクエン酸塩が望ましい。
【0019】
キレート剤を含む溶液の濃度としては、溶液がワイパー上に塗布されたときに、ワイパー上にキレート剤が、0.1μg/mm以上100,000μg/mm以下の範囲で存在することとなるように構成することが好ましい。より好ましくは、ワイパー上にキレート剤が、1.0μg/mm以上25,000μg/mm以下の範囲で存在することとなるように、適宜な濃度に構成することが好ましい。又、キレート剤を含む溶液は、例えば、図1に示したようにして、ワイピング動作によってインクの吐出口からインク中に混入したときに、インク中の色材を不安定化させたり、インクの吐出性能を悪化させないような物性に調整したものであることが好ましい。キレート剤が0.1μg/mm未満であると、効果が不十分となり易く、100,000μg/mmより多いと、インクジェット用ヘッドの寿命の低下等の弊害が発生してしまうことがある。尚、溶液中のキレート剤は、液クロマトグラフィー等の常法によって定量することができる。
【0020】
(インク中のアルミニウムイオン)
本発明は、インクジェット記録に用いられるインク中に微量のアルミニウムイオンが含まれている場合に生じる着弾不良等の不具合を解消し、安定した印字を達成することを目的とする。従って、使用するインク中に、微量のアルミニウムイオンが含まれていることを前提としている。本発明者らの詳細な検討によれば、アルミニウムイオンが0.1ppm以上インク中に存在している場合に、着弾不良等の不具合が起こり得ることが判明した。尚、本発明でいうppmはインク1キログラム中のアルミニウムイオンの質量「mg/kg」を意味する。
【0021】
インクジェット用の水性インクは、製造の際に、水として純水を使用し、色材等の各原材料も精製したものを用いており、インク中の無機イオンの量は厳密に管理されているのが一般的である。本発明は、上記したような製品管理が充分に行われているにもかかわらず、製造の際に除去することが難しく、インク中に不純物として残留するアルミニウムイオンによって生じる着弾不良等の不具合の解決を課題としている。
【0022】
更に、製造の際に、インク中のアルミニウムイオン量が厳密に管理されている場合であっても、インクジェット記録装置を構成している部品からアルミニウムが溶出し、インク中に混入することが考えられる。例えば、特許第2704894号公報に記載されているように、ポリオレフィンプラスチックの中和剤にハイドロタルサイトのようなアルミニウム化合物を用いる場合があり、これが原因となって、インク中に微量のアルミニウムイオンが混入してくることが考えられる。本発明では、特に、インク中に0.1ppm以上5.0ppm以下という微量なアルミニウムイオンの含有に対して、有効な解決方法を提案する。アルミニウムイオンが0.1ppm以上5.0ppm以下であると、本発明の効果を特に顕著に得ることができる。尚、インク中のアルミニウムイオンは、プラズマ発光分光分析装置等を用いて、定量することができる。
【0023】
ここで、本発明では、インク中の無機イオンの中でアルミニウムイオンについてのみ限定しているのは、製造時における混入を除去することが難しいということもあるが、アルミニウムイオンは、水酸化アルミニウムとして析出しやすい性質を有するものであることにもよる。インクジェット記録装置のヘッドのノズル部等に、このような析出物が析出した場合には、インクの着弾不良を引き起こす場合がある。これに対して、本発明では、製造時に除去できずに不純物として残留したり、インクが接する使用部材からインク中に混入したと考えられる、0.1ppm以上5.0ppm以下の範囲の微量のアルミニウムイオンが存在しているインクをインクジェット記録装置に用いた場合においても、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物の析出が有効に抑制される構成をとることで、インクの着弾不良の問題が回避する。
【0024】
(ポリオレフィンを材料とするインク吸収体)
本発明にかかるインクジェット記録装置では、ポリオレフィンを材料とするインク吸収体が用いられているインクタンクにインクを収容されたものを用いた場合に、理由は不明であるが、より顕著な効果が得られる。
【0025】
(インクの物性)
本発明で使用するインクは、pHが6〜10に調整されたものであることが好ましい。インクのpHがこの範囲内である場合に、先に挙げたようなキレート剤によって効果的にアルミニウムの可溶化が行われるからである。
【0026】
(インクジェット記録方法)
前記したような構成を有する本発明にかかるインクジェット記録装置に好適なインクジェット記録方式としては、記録信号に応じてインクを微小なオリフィスから液滴を飛翔させて記録を行うインクジェット記録方法、とりわけオンデマンド型インクジェット記録方法が挙げられる。本発明にかかるインクジェット記録装置は、かかるインクジェット記録方式のものである場合に、より優れた効果が発揮される。オンデマンド型インクジェット記録方法としては、例えば、プリンターヘッドに配列された発熱抵抗素子のヒーターによる熱エネルギーを用いて記録を行うサーマルインクジェット記録方法、プリンターヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行うピエゾインクジェット記録方法等が挙げられる。又、その詳細な理由は明らかではないが、これらの中でも、サーマルインクジェット記録方法を用いたインクジェット記録装置とした場合において、特に優れた効果が得られた。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。尚、以下の記載で、「部」及び「%」とあるものは特に断らない限り質量基準である。
(インクセットの調製)
表1に示した組成の各成分を充分に混合溶解した後、ポアサイズ0.2μmフィルター(富士フイルム製)で加圧濾過し、シアン、マゼンタ、イエローの3種類のインクをそれぞれ調製した。次に、調製した3種類のインクに、各インク中に、アルミニウムイオンが表1に示した量だけ含有されたものとなるように、アルミニウムイオン換算でアルミン酸ナトリウムをそれぞれ添加した。そして、これらの3種類のインクを独立に組み合わせてインクセットとした。尚、上記で調製した各インク中のアルミニウムイオンの定量は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP)によって行った。
【0028】
Figure 2005014512
【0029】
(キレート剤を含む溶液)
以下の成分を混合し、充分攪拌して溶解後、ポアサイズ0.2μmのポアフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過して、キレート剤を含む溶液(以下、キレート剤含有液と呼ぶ)を調製した。
・グリセリン 50部
・エチレングリコール 14部
・クエン酸三ナトリウム 1部
・水 35部
【0030】
<実施例1>
上記で調製したインクセットを用いて印字の耐久試験を行った。インクジェット記録装置には、ワイパー部に溶液の塗布機構を備えたBJ S300(キヤノン(株)製)の改造機を用いた。該BJ S300は、記録信号に応じた熱エネルギーをインクに付与することによりインクを吐出させるオンデマンド型マルチ記録ヘッドを有するカラーインクジェットプリンタである。そして、先ず、試験を行う前に、このインクジェット記録装置のワイパー部に、上記で調製したキレート剤含有液を塗布した。その際、キレート剤含有液のワイパー上の塗布量を10,000μg/mmとした。即ち、この場合におけるワイパー部上のキレート剤の存在量は、100μg/mmとなる。
【0031】
<実施例2>
実施例1で使用したインクセットを構成する表1に示した組成の3種類のインクに、アルミン酸ナトリウムを添加しない代わりに、これらのインクをインクタンクに収納し、これを60℃の環境下で1週間保存した後のインクセットを用いた以外は実施例1と同様にして、印字の耐久試験を行った。上記で使用したインクタンクは、ポリオレフィンを材料とするインク吸収体を用いたものである。本実施例でも、印字耐久を行う前に実施例1で行ったと同様にキレート剤含有液をワイパー上に同様の量、塗布することを行った。尚、60℃環境下で1週間保存した後の各インクタンクからインクを抜き取り、アルミニウムイオンの量を定量したところ、0.25ppmであった。
【0032】
<比較例1>
実施例1で使用したインクセットを用い、ワイパーへの溶液の塗布機構が設けられていない、先に説明したBJ S300を用いて印字の耐久試験を行った。
【0033】
<比較例2>
実施例1で使用した、各インクにアルミン酸ナトリウムを添加しない代わりに、インクタンクに収納し、60℃の環境下で1週間保存した後のインクセットを用いた以外は比較例1と同様にして、印字の耐久試験を行った。即ち、上記で使用したインクタンクは、ポリオレフィンを材料とするインク吸収体を用いたものである。又、印字の耐久試験は、比較例1と同様にワイパーへの溶液の塗布機構が設けられていないBJ S300を用いて行った。尚、保存後の各インクタンクからインクを抜き取り、アルミニウムイオンの量を定量したところ、0.25ppmであった。
【0034】
(評価)
実施例1、2及び比較例1、2の各構成で、カラーインクジェットプリンタ(商品名:BJ S300、キヤノン(株)製)或いはその改造機に、各インクセットを搭載して、各色7.5%の印字密度の記録画像を3,500枚まで印字耐久して、記録物及びインク吐出性の評価を行った。尚、実施例1及び比較例1で使用したインクセットも、実施例2及び比較例2で使用したポリオレフィン製のインク吸収体を内包させたカラーインク用インクタンクに各インクを注入したものを用いた。該インクジェットプリンターは、カラーインクのインクセット(インク3種)を内包したカラーインク用インクタンクとブラックインクを内包したブラックインク用インクタンクを搭載するインクジェットプリンターであり、ブラックインク用インクタンクは、BJ S300専用市販ブラックインクカートリッジを使用した。又、各試験は、30℃/80%RH環境下で行った。印字耐久試験の結果を以下の判断基準で評価し、表2にまとめて示した。
【0035】
○:インクセットを構成する全てのインクで、最後まで良好な記録物が得られ、インク吐出性に問題は見あたらなかった。
×:インクセットを構成する何れかのインクで、途中から記録物に乱れが生じ、インク吐出性に問題が生じた。
【0036】
Figure 2005014512
【0037】
上記の結果から、ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布することによって、インク中に微量のアルミニウムイオンが混入していた場合に、アルミニウム化合物の析出が抑制され、良好な吐出性を保つことができ、安定したインクジェット記録が達成できることが確認できた。
【0038】
【発明の効果】
上記した通り、本発明によれば、製造時に不純物として残留した微量なアルミニウムイオンが存在するインクを、インクジェット記録に使用した場合に起こり得る着弾不良等の問題が有効に解決されたインクジェット記録装置が提供される。又、本発明によれば、微量なアルミニウムイオンがインクジェット記録に用いる部材から溶出した場合に、溶出物によって起こり得る着弾不良等の問題が有効に解決されたインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるインクジェット記録装置のワイパークリーニング状況の一実施形態を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:記録ヘッド(ヘッド部)
2:ヘッドフェイス面
3:インク
4:インク吐出口(ノズル)
5:ワイパー
6:キレート剤を含む溶液の保持部材
7:キレート剤を含む溶液

Claims (9)

  1. インクジェット記録ヘッドのクリーニング機構としてワイパーが設けられているインクジェット記録装置において、上記ワイパー上にキレート剤を含む溶液を塗布するための手段が設けられており、且つ、該キレート剤がインクタンク以外から供給されるように構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. ワイパー上に塗布された際におけるキレート剤の量が、ワイパー上に0.1μg/mm以上100,000μg/mm以下の範囲で存在するように塗布される構成を有する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. キレート剤が、トリカルボン酸塩である請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. トリカルボン酸塩が、クエン酸三ナトリウムである請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 更に、1又は複数のインクが独立して使用されており、その中の少なくとも1のインク中に、アルミニウムイオンが0.1ppm以上5.0ppm以下の範囲で含有されている請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 1又は複数のインクが、ポリオレフィンを材料とするインク吸収体を用いたインクタンクに収容されている請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. アルミニウムイオンが、インク中に不純物として存在している請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  8. アルミニウムイオンが、インクが接する部材に使用されるポリオレフィンの中和剤からの溶出成分であるアルミニウムイオンを含む請求項5〜7の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 1又は複数のインクのpHが、6〜10の範囲に調整されている請求項5〜8の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
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