JP2005012411A - 無線通信装置 - Google Patents

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佳邦 伊藤
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Abstract

【課題】送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止できるTDD方式の無線通信装置を提供する。
【解決手段】屋外装置において、ASK変調済みのTDD切替信号を規定のサンプルレートでディジタル変換して絶対値を取った後、サンプル時間毎にキャリア周期分の当該絶対値の総和を求め、当該総和と予め設定された閾値とを比較し、比較結果に基づいて復調済みのTDD切替信号を出力すると共に、復調済みのTDD切替信号について、同一の値が継続して出力される期間をサンプル時間でカウントし、当該カウント結果と、屋内装置で生成されるTDD切替信号の送信期間又は受信期間をサンプル時間でカウントした場合のカウント数である設定カウント値とを比較し、比較結果に基づいて閾値を調整するTDDタイミング補正回路26を設けたTDD方式の無線通信装置である。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に加入者系無線アクセスシステム(Fixed Wireless Access System:FWA)に用いられる、TDD(Time Division Duplex)方式の無線通信装置に係り、特に送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止できる無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通信事業者設備(基幹回線及び基地局)と、企業ユーザやSOHO(Small Office,Home Office)と呼ばれる個人事業者や、一般家庭ユーザ等の加入者局(子局)とを無線でつなぐ通信システムとして加入者系無線アクセスシステム(Fixed Wireless Access System:FWA)が実用化されている。当該システムは、基地局−子局間のデータ通信に、復信方式としてTDD(Time Division Duplex)方式を用いる場合がある。TDDは、時間を分割して全二重通信を行う通信方式である。
【0003】
加入者系無線アクセスシステムにおける加入者宅(子局)は、概略として、無線信号の送受信を行うアンテナと、加入者端末と、加入者端末で入出力されるデータを無線送受信するための無線通信装置とから構成されている。
企業ユーザや集合住宅等において上記システムを利用する場合、ビル内各所に複数設置された加入者端末をLAN等で接続し、当該LANに接続される無線通信装置からビルの屋上などに設置されたアンテナを介して無線信号を送受信する利用方法が考えられる。しかしながら、上記方法では、無線通信装置とアンテナの距離が長くなる。
【0004】
一般的に加入者系無線アクセスシステムでは、無線周波数として準ミリ波、ミリ波帯が用いられるため、アンテナだけを屋上に設置して無線周波数のままケーブルを取り回し、室内に設置された無線通信装置に接続させると、通信信号の損失は多大となり、通信として成立しなくなる。また、低損失のケーブルはコストがかかるという難点があった。
【0005】
上記難点の解消のため、加入者局(子局)では、無線通信装置を、屋内装置(In Door Unit:IDU)と、屋外装置(Out Door Unit:ODU)とに分割し、屋内装置と屋外装置とを同軸ケーブルで接続した構成を一般的に採用している。
上記構成において、屋内装置はインターネットやLAN等と接続される形で室内に設置され、屋外装置はビルの屋外等に設置され、さらに屋外装置にはアンテナが接続される。そして屋内装置及び屋外装置は、同軸ケーブルで接続される。
【0006】
上述したように、無線周波数のままケーブルを取り回すと、長いケーブルが必要となり、通信信号の損失は多大となる。そこで屋内装置と屋外装置の間では、数〜数百MHz程度の中間周波数帯で通信を行い、屋外装置において中間周波数−無線周波数の変換を行う周波数変換装置を設置し、通信信号の損失を防止している。
また、無線通信装置における各種通信制御は、通常は屋内装置によって行われる。例えば加入者系無線アクセスシステムがTDD方式を採用している場合には、屋内装置は、加入者局(子局)における通信信号の送受信のタイミングを制御するための装置を備えておき、当該装置を用いて、屋内装置及び屋外装置の各部に対して通信信号の送受信のタイミングの切替制御を行っている。
【0007】
TDD方式を採用する無線通信装置として、平成15年1月17日公開の特開2003−18075号「無線通信装置」(出願人:株式会社日立国際電気、発明者:斉藤広隆)が提案されている。
上記装置は、屋内装置が、主制御回路において通信動作タイミングの基準となる基本信号を生成し、送受信データの主信号とは異なる周波数で同軸ケーブルを介して屋外装置へ送信し、屋外装置が、TDDタイミング制御回路で屋内装置からの基本信号に従って無線通信動作のタイミングを制御する複数の制御信号を生成し、送受信機で上記制御信号に従って無線通信動作を行うものであり、無線通信装置の構成及び設置作業を簡略化し、信頼性を向上できることを特徴としている。
【0008】
また、平成14年5月24日公開の特開2002−152291号「ASK通信装置」(出願人:富士通株式会社、発明者:鷺保雄他)では、屋内装置と屋外装置との間を一本の同軸ケーブルで接続し、屋内装置において制御信号をASK(Amplitude Shift Keying)方式によって変調して伝送し、屋外装置において当該制御信号を復調して再生する通信装置が提案されている。
また、平成14年10月4日公開の特開2002−290263号「無線通信装置」(出願人:株式会社日立国際電気、発明者:斉藤広隆他)では、屋内装置及び屋外装置における可変利得増幅器の利得をそれぞれ制御することで、送信と受信との両方向での同軸ケーブルの伝送損失を補償する無線通信装置が提案されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2003−18075号公報(第4−5頁、第1−2図)
【特許文献2】
特開2002−152291号公報(第3−4頁、第1図)
【特許文献3】
特開2002−290263号公報(第4−6頁、第1図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のTDD方式の無線通信装置では、屋外装置において、送受信機能の切り替えが適正に行われず、無線通信の品質が劣化するという問題点があった。
【0011】
従来の一般的なTDD方式の無線通信装置について、図8を用いて説明する。図8は、従来の一般的なTDD方式の無線通信装置の構成ブロック図である。
図8の無線通信装置は、主として屋内装置(図ではIDU)1と、屋外装置(図ではODU)2と、アンテナ3とから構成されている。このうち、アンテナ3は、屋外装置2に取り付けられており、屋内装置1と屋外装置2とは、一本の同軸ケーブル4で接続されている。
【0012】
図8において、屋内装置1には、送信部11と、受信部12と、TDDスイッチ13と、主制御回路14と、ASK発生回路15と、デュープレクサ16が備えられている。また、屋外装置2には、デュープレクサ21と、TDDスイッチ22と、送信系23と、受信系24と、TDDスイッチ25と、ASK検波回路28とが備えられている。
【0013】
まず、屋内装置1の各部について説明する。
送信部11は、送信データを中間周波数の搬送波で変調し、送信信号としてTDDスイッチ13に出力するものであり、受信部12は、屋外装置2から出力された、中間周波数の受信信号を復調し、受信データとして出力するものである。尚、図8では、送信信号及び受信信号を、主信号と総称している。
【0014】
TDDスイッチ13は、後述する主制御回路14から出力されるTDD切替信号に基づいて、デュープレクサ16の接続先を、送信部11又は受信部12のいずれかに切り替えるものである。TDDスイッチ13の接続先が送信部11の場合には、送信部11からの送信信号がデュープレクサ16に出力され、接続先が受信部12の場合には、デュープレクサ16から出力される、屋外装置12からの受信信号が受信部12に出力される。
【0015】
図8の無線通信装置は、無線通信にあたってTDD方式を採用しており、無線信号の送受信制御を規定のタイミングで交互に切り替えて行っている。このためTDDスイッチ13は、TDD切替信号の値に応じて、デュープレクサ16の接続先を送信部11又は受信部12に交互に切り替える制御を行う。後述する屋外装置2におけるTDDスイッチも、同様の制御を行う。
【0016】
主制御回路14は、無線通信装置全体の制御を司るものであり、自発的に又は屋外装置2から送信される制御信号に基づいて、対応する制御信号を生成し、無線通信装置の各部へ出力するものである。
特にTDD方式での送受信のタイミングの切り替えに関しては、主制御回路14は、TDD切替信号を生成し、TDDスイッチ13及び後述するASK発生回路15に出力する。
【0017】
TDD切替信号は、広帯域の周波数成分を有する矩形波の信号である。また、TDD切替信号は、ONのときに”1”を、OFFのときに”0”の値を取るものとし、ON及びOFFの状態が、交互に現れるものとなっている。また、ON及びOFFの状態は、それぞれ規定時間続くものとなっている。
上記時間幅は、図8の無線通信装置で送信を行うための期間(以下、送信期間)と、受信を行うための期間(以下、受信期間)を表すものとなっている。
【0018】
ASK発生回路15は、主制御回路14からのTDD切替信号に対し、任意の周波数のキャリア信号を用いてASK変調を行い、変調後のTDD切替信号(図ではTDD切替信号(変換済))としてデュープレクサ16に出力する。
ASK変調方式とは、データの”1”、”0”に対応して搬送波をオン、オフ変調する方式であり、比較的簡単な構成で実現できることが知られている。
【0019】
上述したように、TDD切替信号は広帯域の矩形波であるため、後述するデュープレクサ16において、そのまま送信信号と重畳されて屋外装置2に送信されると、屋外装置2において、送信信号を無線周波数で変調する際に上記切替信号が雑音成分となり、送信信号の品質が劣化する。
このため屋内装置2は、ASK発生回路15を用いて、TDD切替信号を、送信部11で用いる中間周波数と異なる任意の周波数のキャリア信号によってASK変調させ、変調後の信号を送信信号に重畳させ屋外装置2に送信させている。
ASK発生回路15の詳細な構成については、後述する。
【0020】
デュープレクサ16は、TDDスイッチ13からの送信信号と、ASK発生回路15からの変調後のTDD切替信号とを重畳し、同軸ケーブル4を用いて屋外装置2に送信し、また同軸ケーブル4を介して送信される、屋外装置2からの信号を周波数別に分離し、当該信号に含まれる受信信号をTDDスイッチ13に出力する結合器である。
【0021】
また、デュープレクサ16は、送信時には、TDD切替信号の他に、屋外装置2に対する制御信号を送信信号に重畳して屋外装置2に送信する。上記制御信号は、主制御回路14から出力され、屋内装置1内の変調手段(図示せず)によって任意の周波数でASK変調され、デュープレクサ16に出力されるものである。上記制御信号も広帯域の矩形波であるため、屋外装置2への送信時には、予めASK変調する必要がある。
【0022】
屋外装置2に対する制御信号には、例えば屋外装置2の生存確認の制御命令や、屋外装置2の温度取得の制御命令が含まれる。上記制御信号は、屋外装置2において復調された後、屋外装置2の動作監視手段(図示せず)に出力され、上記制御信号に対応した、屋外装置2に関する情報が収集される。
【0023】
また、デュープレクサ16は、送信時には、さらに屋外装置2用の電源の直流信号も送信信号に重畳して屋外装置2に送信しており、屋外装置2への電源を供給している。
以後、デュープレクサ16から送信される、TDD切替信号や制御信号等が重畳された送信信号を、重畳送信信号と称する。
【0024】
また、デュープレクサ16は、受信時には、屋外装置2からの信号を周波数分離して変調された制御信号を抽出し、屋内装置1内の復調手段(図示せず)に出力する。上記復調手段は、制御信号を復調して主制御回路14に出力する。主制御回路14は、受信した制御信号に含まれる制御情報に基づいて、新たな制御信号を生成し、屋外装置2へ送信する。
【0025】
屋外装置2からの制御信号は、屋外装置2における動作監視手段から出力されるものであり、例えば屋外装置2の生存情報、屋外装置2の温度情報、屋外装置2で用いられるPLL(Phase Locked Loop)シンセサイザ等の障害情報等が含まれる。上記制御情報は、後述するように、屋外装置2において、任意の周波数で変調された後、デュープレクサ21で受信信号に重畳されて、屋内装置1に送信される。
【0026】
ここで、ASK発生回路15の詳細な構成について、図9を用いて説明する。図9は、ASK発生回路15の構成ブロック図である。
図9のASK発生回路15は、AND回路(図ではAND論理)151と、コンデンサ152と、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter:BPF)153とを備えている。
【0027】
図9において、AND回路151は、主制御回路14から出力されるTDD切替信号と、発振器(図示せず)から出力される任意の周波数のキャリア信号との論理積を求め、結果をコンデンサ152に出力する。AND回路151においてTDD切替信号とキャリア信号との論理積が求められることで、TDD切替信号に対してキャリア信号によるASK変調が行われる。
【0028】
コンデンサ152は、AND回路151から出力される、ASK変調されたTDD切替信号から直流成分を除去し、バンドパスフィルタ153に出力する。コンデンサ152において直流成分が除去されることで、上記信号から雑音となる成分が取り除かれる。
【0029】
バンドパスフィルタ153は、キャリア信号の周波数成分のみを透過するフィルタであり、コンデンサ152からの信号に対し、当該周波数成分以外を除去してデュープレクサ16に出力する。
【0030】
次に、屋外装置2の各部について説明する。
デュープレクサ21は、同軸ケーブル4によって屋内装置1のデュープレクサ16と接続されており、屋内装置1からの重畳送信信号を周波数別に分離し、当該信号に含まれる送信信号をTDDスイッチ22に、同じく当該信号に含まれるTDD切替信号をASK検波回路28に出力し、またTDDスイッチ22からの受信信号と、動作監視手段から出力される制御信号とを重畳し、同軸ケーブル4を用いて屋内装置1に送信する結合器である。
【0031】
また、デュープレクサ21は、送信時には、重畳送信信号を周波数分離して屋内装置1からの変調された制御信号を抽出し、屋外装置2内の復調手段(図示せず)にも出力する。上記復調手段は、変調された制御信号を復調して動作監視手段に出力する。動作監視手段は、上記制御信号に含まれる制御命令に基づいて、屋外装置2に関する情報(制御情報)を収集し、当該情報を制御信号として屋外装置2内の変調手段(図示せず)に出力する。
【0032】
また、デュープレクサ21は、受信時には、動作監視手段から出力される制御信号を受信信号に重畳して屋内装置1に送信する。
屋外装置2の制御信号も広帯域の矩形波であるため、屋内装置1への送信時には、予めASK変調する必要がある。動作監視手段から出力された制御信号は、変調手段によって任意の周波数でASK変調され、制御信号として、デュープレクサ21に出力される。上記制御信号は、上記屋内装置1における各部の説明の通り、屋内装置1において復調され、主制御回路14に出力される。
以後、デュープレクサ21から送信される、制御信号が重畳された受信信号を、重畳受信信号と称する。
【0033】
TDDスイッチ22は、後述するASK検波回路28から出力されるTDD切替信号に基づいて、デュープレクサ16の接続先を、送信系23又は受信系24のいずれかに切り替えるものである。TDDスイッチ22の接続先が送信系23の場合には、屋内装置1からの送信信号は送信系23に出力され、接続先が受信系24の場合には、受信系24からの受信信号はデュープレクサ21に出力される。
【0034】
送信系23は、TDDスイッチ22から出力される、屋内装置1からの送信信号を無線周波数に変換して、無線送信信号として出力するものである。送信系23は、無線送信信号をTDDスイッチ25を介してアンテナ3へ出力する。
送信系23は、中間周波数の送信信号又は無線送信信号を増幅するための増幅器、無線周波数変換のための乗算器及びPLLシンセサイザとで構成することができる。
【0035】
受信系24は、TDDスイッチ25から出力される、アンテナ3で受信された無線受信信号を中間周波数で変換して、受信信号として出力するものである。受信系24は、受信信号をTDDスイッチ22を介してデュープレクサ21へ出力する。
受信系24は、中間周波数の受信信号又は無線受信信号を増幅するための増幅器、中間周波数変換のための乗算器及びPLLシンセサイザとで構成することができる。
【0036】
TDDスイッチ25は、後述するASK検波回路28から出力されるTDD切替信号に基づいて、アンテナ3の接続先を、送信系23又は受信系24のいずれかに切り替えるものである。TDDスイッチ25は。接続先が送信系23の場合には、送信系23からの無線送信信号がアンテナ3に出力され、接続先が受信系24の場合には、アンテナ3から出力される無線受信信号が受信系24に出力すされる。
【0037】
ASK検波回路28は、デュープレクサ21から出力されるASK変調済みのTDD切替信号を復調し、復調したTDD切替信号(図ではTDD切替信号(復調済))をTDDスイッチ22及び25に出力するものである。
【0038】
ここで、ASK検波回路28の詳細な構成について、図10を用いて説明する。図10は、ASK検波回路28の構成ブロック図である。
図10のASK検波回路28は、バンドパスフィルタ(図ではBPF)281と、ログアンプ282と、比較器283とを備えている。
【0039】
図10において、バンドパスフィルタ281は、TDD切替信号のASK変調で用いられたキャリア信号の周波数成分の信号のみを透過するフィルタであり、上記TDD切替信号に対し、当該周波数成分以外の雑音成分を除去して、ログアンプ282に出力する。
【0040】
ログアンプ282は、バンドパスフィルタ281からの変調済みのTDD切替信号の包絡線検波を行い、結果を比較器283に出力する。ログアンプ282は、具体的には、TDD切替信号のレベルを対数変換し、当該信号を元の矩形波に近づけることで、包絡線検波を行う。
【0041】
比較器283は、ログアンプ282におけるTDD切替信号の包絡線検波結果と、予め設定されているレベルの閾値とを比較し、検波結果のレベルが閾値よりも大きい場合には”1”を、小さい場合には”0”を表す矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号として出力する。
【0042】
図8において、アンテナ3は、屋外装置2のTDDスイッチ25と接続されており、無線信号の送受信を行う。すなわち、アンテナ3は、受信した無線信号を無線受信信号としてTDDスイッチ25に出力し、TDDスイッチ25から出力される無線送信信号を無線信号として送信する。
【0043】
次に、図8の無線通信装置における、TDD切替信号の制御動作について説明する。
図8において、屋内装置1の主制御回路14から出力されるTDD切替信号は、TDDスイッチ13及びASK発生回路15に出力される。TDDスイッチ13は、TDD切替信号の値に基づいて、デュープレクサ16の接続先を、送信部11又は受信部12のいずれかに切り替える。
【0044】
ASK発生回路15に入力されたTDD切替信号は、図9に示すように、AND回路151においてキャリア信号との論理積が求められ、キャリア信号によるASK変調が行われる。
そしてASK変調されたTDD切替信号は、コンデンサ152によって直流成分が除去され、さらにバンドパスフィルタ153によって、キャリア信号の周波数成分のみが透過される。バンドパスフィルタ153で透過された信号は、変調済みのTDD切替信号として、デュープレクサ16に出力される。
【0045】
デュープレクサ16は、変調済みのTDD切替信号を、送信部11からの送信信号に重畳して、重畳送信信号として同軸ケーブル4を通して屋外装置2に送信する。デュープレクサ16は、TDD切替信号の他に、屋外装置2に対する制御信号や、屋外装置2用電源の直流信号等も共に重畳して、屋外装置2に送信する。
【0046】
屋外装置2に送信された重畳送信信号は、デュープレクサ21において周波数分離が行われ、送信信号はTDDスイッチ22に、変調済みのTDD切替信号はASK検波回路28に出力される。このうちASK検波回路28に出力された変調済みのTDD切替信号は、図10に示すように、バンドパスフィルタ281においてキャリア信号の周波数成分のみが透過され、ログアンプ282に出力される。
【0047】
変調済みのTDD切替信号は、ログアンプ282によって包絡線検波が行われ、さらに比較器283において、予め設定されたレベルの閾値との比較が行われる。比較器283は、閾値と比較して、検波結果のレベルが閾値よりも大きい場合には”1”を、小さい場合には”0”の矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号としてTDDスイッチ22及び25に出力する。
【0048】
TDDスイッチ22は、TDD切替信号の値に基づいて、デュープレクサ21の接続先を、送信系23又は受信部24のいずれかに切り替える。また、TDDスイッチ25は、TDD切替信号の値に基づいて、アンテナ3の接続先を、送信系23又は受信系24のいずれかに切り替える。
【0049】
屋内装置1からTDD切替信号が屋外装置2に送信されることにより、屋内装置1におけるTDDスイッチ13と、屋外装置2におけるTDDスイッチ22及び25は、図8の無線通信装置が送信機又は受信機として機能するよう、TDD切替信号の値に応じて接続先が切り替わる。
【0050】
例えば、TDD切替信号の値が”1”の場合、TDDスイッチ13が送信部11に、TDDスイッチ22が送信系23に、TDDスイッチ25が送信系23に、それぞれ接続され、図8の無線通信装置は送信機として機能する。同様に、TDD切替信号の値が”0”の場合、TDDスイッチ13が受信部11に、TDDスイッチ22が受信系24に、TDDスイッチ25が受信系24に、それぞれ接続され、図8の無線通信装置は受信機として機能する。
上述したTDD切替信号の動作制御によって、図8の無線通信装置では、送受信機能の切り替えが行われ、TDD方式による無線通信を実現できる。
【0051】
尚、次世代FWAシステムでは、TDD切替信号の搬送波周波数は5MHz、屋内装置1から屋外装置2への制御信号の搬送波周波数は1.25MHz、屋外装置2から屋内装置1への制御信号の搬送波周波数は312kHzの仕様となっている。
【0052】
しかしながら、図8の無線通信装置では、屋外装置2のASK検波回路28において、TDD切替信号が適正に復調されないため、送受信機能の切り替えが適正に行われない問題点があった。
上記問題点について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、図8の無線通信装置におけるTDD切替信号の状態の遷移を示した説明図であり、図12は、図8の無線通信装置における、TDD切替信号の復調結果による送受信タイミングの影響を示した説明図である。
【0053】
屋内装置1の主制御回路14から出力されるTDD切替信号の波形は、図11(a)に示されるような矩形波となる。上述したように、TDD切替信号は屋内装置1において、キャリア信号によるASK変調が行われた後、送信信号と重畳されて屋外装置2に送信される。ASK変調後のTDD切替信号は、元のTDD切替信号での値が”1”の期間において、キャリア信号の正弦波が表れる波形となる。
【0054】
屋外装置2において、ASK検波回路28に入力されたTDD切替信号は、バンドパスフィルタ281によって透過された後、ログアンプ282で包絡線検波が行われる。
ところがログアンプ282は、信号のレベルに対して対数を取ることで包絡線を検波する構成となっているため、検波結果のうち、TDD切替信号の立ち上がり時及び立ち下がり時においては、図11(b)に示すように、曲線状の波形、すなわち”なまり”が発生してしまう。
【0055】
図11(b)に示すような検波結果が入力されると、比較器283は、設定されている閾値によっては、TDD切替信号の正規の立ち上がり及び立ち下がりを検出することができない事態が発生する。
この結果、比較器283から出力される、復調済みのTDD切替信号は、図11(c)に示すように、上記立ち上がり時よりもずれたタイミングで、”1”を出力したり、元のTDD切替信号とは異なる期間で、”1”が出力され続けることになる。よって、比較器283は、適正にTDD切替信号を復調することができない。
【0056】
比較器283がTDD切替信号を適正に復調する場合には、復調済みのTDD切替信号は図12(a)に示される矩形波のようになる。TDDスイッチ22及び25は、当該信号に基づいて屋内装置1のTDDスイッチ13と同期して切替制御を行うため、無線通信装置は適正なタイミングで送信機能及び受信機能を実現することができ、所望の通信結果を得ることができる。
【0057】
しかし、比較器283から、図11(c)に示すような復調結果が出力されると、元のTDD切替信号よりも”1”の期間が長い場合、すなわち送信期間が長い場合には、図12(b)に示されるように、受信のための期間が斜線で示された分だけ浸食される。このため、図8の無線通信装置は、無線信号の受信の途中で送信機能に切り替わることになり、受信データに欠落が生じ、無線通信の品質が劣化する。
【0058】
これとは逆に、元のTDD切替信号よりも”1”の期間が短い場合、すなわち送信期間が短い場合には、図12(c)に示されるように、送信のための期間が斜線で示された分だけ浸食される。このため、図8の無線通信装置は、データ送信の途中で受信機能に切り替わることになり、送信信号においてデータの欠落が生じ、無線通信の品質が劣化する。
【0059】
上述した問題点を解消するための方法として、比較器283からの復調済みのTDD切替信号における送信期間及び受信期間が、元のTDD切替信号の対応する期間と等しくなるように、比較器283の閾値を最適な値に調整する方法が考えられる。
しかしながら、上記閾値は、屋内装置1又は屋外装置2の個体差によるパラメータ補正、同軸ケーブル4の長さの変更や、ログアンプ282の温度特性による出力電圧値の変化等も考慮して、無線通信装置別に決定する必要がある。このため、上記閾値の調整は多大な労力を伴うものとなり、実用的ではない。
【0060】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、調整作業を要することなく送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止できるTDD方式の無線通信装置を提供することを目的とする。
【0061】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、TDD方式の無線通信装置において、無線通信制御を司る屋内装置と、無線通信動作を行う屋外装置とを有し、屋内装置は、屋内装置及び屋外装置における送信期間と受信期間を表す矩形波であるTDD切替信号を作成し、TDD切替信号を任意の周波数のキャリア信号でASK変調して屋外装置に送信し、屋外装置は、ASK変調されたTDD切替信号を復調し、復調されたTDD切替信号に基づいて無線通信の送受信を切り替えるTDD方式の無線通信装置であって、屋外装置が、ASK変調されたTDD切替信号を、特定のサンプルレートでディジタル変換して出力するADコンバータと、ディジタル変換されたTDD切替信号の絶対値を取得してサンプル時間毎に出力する絶対値変換回路と、絶対値をキャリア信号の一周期分加算して出力する加算部と、予め設定された閾値と、加算器からの加算結果とを比較し、当該比較結果を、復調済みのTDD切替信号として出力する比較器と、復調済みのTDD切替信号における送信期間又は受信期間をサンプルレートでカウントするカウンタと、カウンタでのカウント結果と、屋内装置で作成されるTDD切替信号における送信期間又は受信期間に基づく設定カウント値とを比較し、比較結果に応じて比較器の閾値を調整する判定器とを有するTDDタイミング補正回路を備え、TDDタイミング補正回路から出力される復調済みのTDD切替信号に基づいて、無線通信の送受信を切り替える屋外装置であり、送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止することができる。
【0062】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また機能の一部又は全部をソフトウェアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0063】
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置は、ASK変調済みのTDD切替信号を規定のサンプルレートでディジタル変換して絶対値を取った後、サンプル時間毎にキャリア周期分の当該絶対値の総和を求め、当該総和と予め設定された閾値とを比較し、比較結果に基づいて復調済みのTDD切替信号を出力すると共に、復調済みのTDD切替信号について、同一の値が継続して出力される期間をサンプル時間でカウントし、当該カウント結果と、屋内装置1で生成されるTDD切替信号の送信期間又は受信期間をサンプル時間でカウントした場合のカウント数である設定カウント値とを比較し、比較結果に基づいて閾値を調整するTDDタイミング補正回路を屋外装置に設けたものであり、これにより送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止することができる。
【0064】
また、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置は、ASK変調済みのTDD切替信号を規定のサンプルレートでディジタル変換して絶対値を取った後、サンプルレートで出力される当該絶対値を累積加算して、キャリア周期分の絶対値の総和を当該周期毎に求め、当該総和と予め設定された閾値とを比較し、比較結果に基づいて復調済みのTDD切替信号を出力すると共に、復調済みのTDD切替信号について、同一の値が出力される期間を上記サンプルレートでカウントし、当該カウント結果と、予め設定されたカウンタ値とを比較し、比較結果に基づいて閾値を調整するTDDタイミング補正回路を屋外装置に設けたものであり、これにより第1の実施の形態に係る無線通信装置の効果に加え、屋外装置の回路規模を縮小することができる。
【0065】
尚、請求項における加算部は、図2の遅延素子264−1〜264−(N=1)及び加算器265、図6の加算器271、遅延素子272、切替器273及びラッチ274にそれぞれ相当する。
【0066】
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置(以下、第1の装置)の構成について、従来の無線通信装置との相違点を中心に、図1及び図2を用いて説明する。図1は、第1の装置の構成ブロック図であり、図2は、第1の装置の屋外装置2に設けられる、第1のTDDタイミング補正回路26の構成ブロック図である。尚、図8に示す、従来の一般的な無線通信装置の各部と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
第1の装置は、屋外装置2において、TDD検波回路28の代わりに、TDDタイミング補正回路26を設けた点が、図8の無線通信装置と異なる。また、TDDタイミング補正回路26以外の各部の構成については、図8の無線通信装置における対応する部分の構成と同一であるため、説明は省略する。
【0067】
次に、本発明の特徴である、TDDタイミング補正回路26の構成について、図2を用いて説明する。
図2に示すように、TDDタイミング補正回路26は、バンドパスフィルタ(図ではBPF)261と、ADコンバータ262と、絶対値変換器263と、遅延素子264−1〜264−(N−1)と、加算器265と、比較器266と、カウンタ267と、判定器268を備えている。
【0068】
バンドパスフィルタ261は、図8におけるTDD検波回路28におけるバンドパスフィルタ281と同様、TDD切替信号のASK変調で用いられたキャリア信号の周波数成分の信号のみを透過するフィルタであり、上記TDD切替信号に対し、当該周波数成分以外の雑音成分を除去して、ADコンバータ262に出力する。
【0069】
ADコンバータ262は、バンドパスフィルタ261から出力された変調済みのTDD切替信号をデジタル変換し、絶対値変換器263に出力する。
ADコンバータ262は、キャリア信号の周波数のN倍のサンプルレートによって、TDD切替信号のデジタル変換を行う。
尚、Nは2より大であることが望ましい。ASK変調済みのTDD切替信号には、キャリア信号の正弦波が含まれており、上記のようにNを設定することで、ADコンバータ262において、当該正弦波の振幅が0となる時点でのみディジタル変換されるのを防ぐことができる。
また、ADコンバータ262には、サンプル時間毎に発振する発振器(図示せず)からのクロック信号が入力され、ADコンバータ262は、当該信号に基づいてディジタル変換を行う。
【0070】
絶対値変換器263は、ADコンバータ262から出力される、ディジタルデータのTDD切替信号について絶対値を取得し、取得結果を遅延素子264−1に出力すると共に、加算器265に出力する。
【0071】
遅延素子264−1〜264−(N−1)は、ディジタルデータを格納し、ADコンバータ262におけるサンプル時間だけ遅延させて出力する遅延レジスタで構成される。遅延素子264−1〜264−(N−1)は、直列に接続されており、絶対値変換器263から出力されるTDD切替信号の絶対値を格納し、サンプル時間毎に次段の遅延素子及び加算器265に出力し、新たに絶対値変換器263又は前段の遅延素子から出力される絶対値を格納する。
ADコンバータ262と同様に、遅延素子264−1〜264−(N−1)にもクロック信号が入力され、遅延素子264−1〜264−(N−1)は、当該信号に基づいて、絶対値の出力動作を行う。
【0072】
加算器265は、絶対値変換器263及び遅延素子264−1〜264−(N−1)から出力されるTDD切替信号の絶対値を加算し、加算結果を比較器266に出力する。絶対値変換器263及び遅延素子264−1〜264−(N−1)からは、サンプル時間毎に絶対値が出力されるため、加算器265は、サンプル時間毎にキャリア信号の一周期分の絶対値の総和を算出する。
【0073】
比較器266は、加算器265からサンプル時間毎に出力されるTDD切替信号の絶対値の総和と、予め設定された閾値とを比較し、上記総和が閾値よりも大きい場合には、”1”を、小さい場合には”0”の矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号(図ではTDD切替信号(復調済))として、屋外装置2のTDDスイッチ22及び25に出力する。また、復調済みのTDD切替信号は、カウンタ267及び判定器268にも出力される
また、比較器266には、判定器268から閾値の調整のための制御信号(以下、閾値調整信号)が入力され、比較器266は、当該信号に基づき、閾値を調整して、新たな閾値を設定する。
【0074】
カウンタ267は、復調済みのTDD切替信号の送信期間又は受信期間の長さをカウントするものである。
カウンタ267は具体的に、比較器266から出力される、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わった時点でカウント値を0にリセットしてカウントを開始する。カウンタ267は、発振器から入力されるクロック信号と同期して、上記カウント動作を行う。
そしてカウント動作中に、再びTDD切替信号の値が切り替わると、カウンタ267は、それまでのカウント値を記憶した後にカウント値をリセットし、切り替わった値について新たなカウント動作を開始する。
【0075】
判定器268は、カウンタ267でカウントされた送信期間又は受信期間の長さに基づき、比較器266における閾値を調整する制御を行うものである。
判定器268は具体的に、比較器266から出力される、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わると、カウンタ267から、切り替わる前の値のカウント値を読み込む。
そして判定器268は、読み込んだカウント値と、予め設定されている設定カウント値との比較を行い、比較結果に基づいて、比較器266で設定されている閾値の値の調整方法を決定し、当該調整方法にしたがって閾値を調整する旨の閾値調整信号を比較器266に出力する。
判定器268における閾値の調整方法については、後述する。
【0076】
次に、第1の装置におけるTDD切替信号の制御動作について説明する。尚、上記動作の説明において、TDD切替信号の値が”1”の期間は、第1の装置における送信期間であることを示し、”0”の期間は、受信期間であることを示すものとする。
図1において、屋内装置1の主制御回路14から出力されるTDD切替信号は、TDDスイッチ13及びASK発生回路15に出力される。TDDスイッチ13は、TDD切替信号の値に基づいて、デュープレクサ16の接続先を、送信部11又は受信部12のいずれかに切り替える。
また、ASK発生回路15に入力されたTDD切替信号は、ASK変調された後、デュープレクサ16に出力される。ASK発生回路15におけるTDD切替信号のASK変調の動作については、図8の無線通信装置の場合と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
デュープレクサ16は、変調済みのTDD切替信号を、送信部11からの送信信号に重畳して、重畳送信信号として同軸ケーブル4を通して屋外装置2に送信する。デュープレクサ16は、TDD切替信号の他に、屋外装置2に対する制御信号や、屋外装置2用電源の直流信号等も共に重畳して、屋外装置2に送信する。
【0078】
屋外装置2に送信された送信信号は、デュープレクサ21において周波数分離が行われ、送信信号はTDDスイッチ22に、変調済みのTDD切替信号はTDDタイミング補正回路26に出力される。
このうちTDDタイミング補正回路26に出力された送信信号は、図2に示すように、まずバンドパスフィルタ261に入力される。バンドパスフィルタ261において、送信信号は、キャリア信号の周波数成分のみが透過され、変調済みのTDD切替信号がADコンバータ262に出力される。
【0079】
ADコンバータ262において、TDD切替信号は、発振器からのクロック信号に同期して、キャリア信号の周波数のN倍のサンプルレートでディジタル変換が行われる。そしてディジタル変換されたTDD切替信号は、絶対値変換器263においてその絶対値が取得され、遅延素子264−1(図では遅延素子1)及び加算器265に出力される。ADコンバータ262では、サンプル時間毎にTDD切替信号のディジタル変換が行われるため、絶対値変換器263からも、TDD切替信号の絶対値がサンプル時間毎に出力される。
【0080】
遅延素子264−1に出力されたTDD切替信号の絶対値は、サンプル時間だけ遅延素子264−1に格納された後、次段の遅延素子264−2(図では遅延素子2)及び加算器265に出力される。以後、TDD切替信号の絶対値は、サンプル時間毎に次段の遅延素子へシフト出力されると共に加算器265へ出力される。そして最後段の遅延素子264−(N−1)(図では遅延素子N−1)は、格納された絶対値を加算器265に出力する。
【0081】
加算器265に出力されたTDD切替信号の絶対値は、加算器265によって当該絶対値の総和が求められ、比較器266に出力される。
ここで加算器265に出力されるTDD切替信号の絶対値と、加算器265における加算結果の関係について、図3を用いて説明する。図3は、TDDタイミング補正回路26におけるTDD切替信号の絶対値及び加算器265の加算結果の出力タイミングのチャート図である。
尚、図3では、ADコンバータ262のサンプルレートは、キャリア信号の周波数のN=4倍とし、遅延素子の数はN−1=3個として説明している。また、全ての遅延素子には前もって絶対値が記憶されていないものとする。
【0082】
図3において、絶対値変換器263からは、TDD切替信号の絶対値が、図3(a)に示すクロック信号に同期して出力される。図3(b)に示すように、絶対値変換器263は、サンプル時間毎に絶対値D1、D2、D3…を遅延素子1及び加算器265に出力する。
そして遅延素子1は、絶対値変換器263から出力された絶対値を記憶し、図3(c)に示すように、絶対値変換器263よりも屋内装置1サンプル時間遅れて、記憶された絶対値を遅延素子2及び加算器265に出力する。そして遅延素子2は、図3(d)に示すように、絶対値変換器263よりも2サンプル時間遅れて、記憶された絶対値を遅延素子3及び加算器265に出力し、遅延素子3は、図3(e)に示すように、絶対値変換器263よりも3サンプル時間遅れて、記憶された絶対値を加算器265に出力する。
【0083】
一方、加算器265は、図3(f)に示すように、サンプル時間毎に入力される絶対値について総和を求め、比較器266に出力するが、サンプル時間t3までは、全ての遅延素子から絶対値が出力されるわけではないため、出力のあった絶対値について総和を求めることになる。
そしてサンプル時間t4のときに初めて、絶対値変換器263及び遅延素子1〜3から同時に絶対値が加算器265に出力され、加算器265はキャリア信号の一周期分の絶対値についての総和を求めることができる。以後も絶対値変換器263及び遅延素子1〜3全てから絶対値が出力されるため、加算器265はキャリア信号の一周期分の絶対値の総和をサンプル時間毎に算出し続けることになる。
【0084】
図2において、加算器265から比較器266に出力された絶対値の総和は、比較器266において、予め設定された閾値と比較される。そして総和が閾値よりも大きい場合には、”1”を、小さい場合には”0”の矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号として、屋外装置2のTDDスイッチ22及び25に出力されると共に、カウンタ267及び判定器268にも出力される。
【0085】
ここで比較器266で設定される閾値について、図4を用いて説明する。図4は、ASK変調されたTDD切替信号の波形図である。
課題で説明したように、ASK変調では、変調対象のデータの”1”、”0”に対応して搬送波をオン、オフ変調する方式が用いられている。よって、雑音成分が全く存在しない場合には、ASK変調されたTDD切替信号は、図4(a)に示すような波形となる。図4(a)において、「正弦波」と示された期間は、元のTDD切替信号の値が”1”の期間であり、この期間にはキャリア信号の正弦波が現れる。また、元のTDD切替信号の値が”0”の期間においては、変調後の信号のレベルは0となる。
【0086】
しかしながら、実際の通信信号には通常、雑音成分が含まれるものであり、ASK変調後の波形も図4(b)のようになる。図4(b)に示す波形では、元のTDD切替信号の値が”0”の期間において、キャリア信号よりもレベルの小さい「雑音成分」が存在する。
図4(b)のような波形のTDD切替信号について、正弦波の現れる期間と現れない期間を正確に復調するため、比較器266では、閾値として、雑音成分の絶対値についてのキャリア信号の一周期分の総和よりも大きな値が設定されている。
【0087】
以下、閾値の具体的な決定方法について説明する。
図2のTDDタイミング補正回路26において、ADコンバータ262は、ASK変調後のTDD切替信号について、値が”0”の期間において雑音成分が存在しない場合には、ディジタル変換結果として、0レベルに対応するデータを出力する。
【0088】
一方、雑音成分が存在する場合には、”0”の期間に、微少なレベルの信号が存在することになるため、ADコンバータ261は、まず当該レベルに対応するデータを得る。そして当該データについて、1が検出された下位ビット数を測定して、これを雑音成分のディジタル変換結果として出力する。
例えば、あるサンプル時間における微少レベルに対し、得られたデータの下位3ビットに1が存在する場合、上記方法によれば、ADコンバータ262は、雑音成分のディジタル変換結果として±3を出力する。
【0089】
ADコンバータ261によるディジタル変換結果は、絶対値変換器262において絶対値が取得されるため、上記雑音成分の絶対値は、3となる。上記雑音成分が、TDD切替信号において均等に存在するとすれば、N=4の場合には、加算器265における雑音成分の総和の最大値は、3×4=12となる。
このような場合、比較器266の閾値として12よりも大きい値を設定することで、比較器266は、各サンプル時間において、誤って雑音成分を復調することなく、元のTDD切替信号における”1”の値の期間を正確に復調できる。
【0090】
比較器266から出力される復調済みのTDD切替信号は、TDDタイミング補正回路26において、カウンタ267及び判定器268に出力される。カウンタ267は、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わった時点、つまり値が”1”から”0”に切り替わった時点と、その逆に切り替わった時点でカウント値を0にリセットしてカウントを開始する。カウンタ267には、発振器からのクロック信号も入力され、カウンタ267は、当該クロック信号と同期してカウント動作を行う。すなわちカウンタ267は、TDD切替信号が同一の値を出力し続ける期間を、クロック信号を基準としてカウントする。
そしてカウント動作中に、再びTDD切替信号の値が切り替わると、カウンタ267は、それまでのカウント値を記憶して当該カウント値をリセットし、切り替わった値について新たなカウント動作を開始する。カウンタ267は、上述したカウント動作を繰り返し行う。
【0091】
また、判定器268は、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わると、カウンタ267で記憶されている、切り替わる前の値についてのカウント値を読み込む。
そして、判定器268は、読み込んだカウント値と、予め設定された設定カウント値との比較を行い、比較結果に基づいて、比較器266で設定されている閾値の調整方法を決定する。
【0092】
以下、判定器268における閾値の調整方法について、図5を用いて説明する。図5は、判定器268における閾値の調整値の決定方法のフローチャート図である。尚、図5のフローチャート図は、送信期間のカウント結果に基づいて、閾値を調整する場合の例を示している。
判定器268は、TDD切替信号の値が”1”から”0”に切り替わったことを認知すると、カウンタ267から、カウンタ267で記憶されている、切り替わる前の値についてのカウント値を読み込む(S11)。
【0093】
次に判定器268は、読み込んだカウント値と、判定器268に予め設定されている設定カウント値とを比較する。
設定カウント値とは、屋内装置1で生成される、元のTDD切替信号における送信期間又は受信期間をクロック信号でカウントした場合のカウント値のことである。例えば送信期間が1.1msであり、クロック信号が9MHzの場合、当該送信期間に対応する設定カウント値は9900となる。TDD方式では、送信期間又は受信期間は予め決まっているため、規定の設定カウント値を予め判定器268に設定することができる。
したがって、比較器266においてTDD切替信号の復調が適正に行われていれば、カウンタ267から読み込まれるカウント値は、常に設定カウント値と等しくなる。
【0094】
第1の装置で採用するTDD方式において、送信期間及び受信期間が同一である場合には、設定カウント値は両方の期間について一種類だけ決めればよいが、送信期間と受信期間が異なる場合には、設定カウント値をそれぞれの期間について設定し、TDD切替信号の値に応じて設定カウント値を選択して比較する必要がある。
【0095】
比較の結果、読み込まれたカウント値が、設定カウント値よりも小さい場合(S12のYesの場合)、判定器268は、比較器266の閾値を1だけ減算する旨の閾値調整信号を、比較器266に出力する(S13)。比較器266は、上記閾値調整信号に基づいて、閾値を1だけ減算して新たな閾値を設定し、以後、この閾値によってTDD切替信号の復調を行う。
【0096】
読み込まれたカウント値が、設定カウント値よりも小さいものでなく(S12のNoの場合)、設定カウント値よりも大きい場合(S14のYesの場合)、判定器268は、比較器266の閾値を1だけ加算する旨の閾値調整信号を、比較器266に出力する(S15)。比較器266は、上記閾値調整信号に基づいて、閾値を1だけ加算して新たな閾値を設定し、以後、この閾値によってTDD切替信号の復調を行う。
【0097】
処理S14において、読み込まれたカウント値が、設定カウント値よりも大きいものでない場合には(処理S14のNoの場合)、当該カウント値は、設定カウント値と等しいため、閾値の調整は行わない。
【0098】
判定器268で読み込まれたカウント値(復調された送信期間)が、設定カウント値よりも小さいということは、比較器266は、閾値が大きく設定されているため、元のTDD切替信号における送信期間を実際よりも短く判断して、TDD切替信号を復調していると考えられる。
逆に上記カウント値(復調された送信期間)が、設定カウント値よりも大きい場合、比較器266は、予め設定されている閾値が小さいため、元のTDD切替信号における送信期間を実際よりも長く判断して、TDD切替信号を復調していると考えられる。
【0099】
よって判定器268は、上記カウント値が大きい場合には閾値を大きくし、上記カウント値が小さい場合には閾値を小さくするような閾値調整信号を比較器266に出力しており、これにより比較器266の閾値を最適化でき、比較器266はTDD切替信号の送信期間及び受信期間を正確に復調できる。
【0100】
判定器268において、受信期間を基に閾値を調整する場合には、カウント値の大小に対応する閾値の増減が逆になる。すなわち、図5のフローチャート図において、カウント値が受信期間に対応する設定カウント値よりも大きい場合には、閾値が小さく設定されているため、処理S13では、判定器268は、閾値を1だけ加算する旨の閾値調整信号を比較器266に出力する。
また、カウント値が受信期間に対応する設定カウント値よりも小さい場合には、閾値が大きく設定されているため、処理S15では、判定器268は、閾値を1だけ減算する旨の閾値調整信号を比較器266に出力する。
尚、図5では閾値の調整量を1としているが、当該調整量は、無線通信の環境等を考慮して、異なる値としてもよい。
【0101】
比較器266からTDDタイミング補正回路26外に出力された、復調済みのTDD切替信号は、TDDスイッチ22及び25に出力される。TDDスイッチ22及び25は、図8の無線通信装置の場合と同様、TDDスイッチ13と共に、TDD切替信号の値に基づき、交互に接続先を切り替える制御を行う。
上述したTDD切替信号の動作制御によって、第1の装置では、送受信機能の切り替えが行われ、TDD方式による無線通信を実現できる。
【0102】
上述したように、第1の装置によれば、TDDタイミング補正回路26を屋外装置2に設け、当該回路において、ASK変調されたTDD切替信号を規定のサンプルレートでディジタル変換して絶対値を取得した後、加算器265によってサンプル時間毎にキャリア信号の一周期分の絶対値の総和を求め、比較器266によって当該総和と、予め設定された閾値とを比較し、総和が閾値よりも大きい場合には”1”の値を、総和が閾値よりも小さい場合には”0”の値を取る矩形波を復調済みのTDD切替信号として出力し、カウンタ267によって、復調済みのTDD切替信号について、同一の値が継続して出力される期間をサンプルレートでカウントし、判定器268によって、カウンタ267におけるカウント値と、送信期間又は受信期間における最大カウント数である設定カウント値とを比較し、カウント値が設定カウント値よりも小さければ、判定器268の閾値を減少させる閾値調整信号を、カウント値が設定カウント値よりも大きければ、判定器268の閾値を増加させる閾値調整信号を判定器268に出力するようにしたことで、TDD方式の送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止できる効果がある。
【0103】
特に、TDDタイミング補正回路26は、図8のASK検波回路28と異なり、ASK変調済みのTDD切替信号を歪まさずに、復調処理に用いることができるため、元のTDD切替信号における送受信の期間及びタイミングを忠実に再現して復調できる。また、比較器266における閾値は、キャリア信号の一周期分の雑音成分の総和よりも大きな値としているため、誤って雑音成分を復調するおそれはない。
【0104】
また、判定器268は、復調済みのTDD切替信号について、同一の値が継続して出力される期間のカウント値に基づいて、復調結果の適否を判断し、復調結果が適切でないと判断すると、比較器266における閾値を調整する制御を行う。これにより、TDDタイミング補正回路26は、通信環境等によらず最適な閾値を容易に得ることができ、常にTDD切替信号における送受信の期間及びタイミングを忠実に再現して復調することができる。
よって、第1の装置は、元のTDD切替信号の送信期間及び受信期間にしたがい、屋外装置2のTDDスイッチ22及び25の切替制御が行われるため、適正なタイミングで送信機能及び受信機能を実現することができ、送受信データが欠落することなく、所望の通信結果を得ることができる。
【0105】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置(以下、第2の装置)について、第1の装置との相違点を中心に説明する。第2の装置の構成は、屋外装置2において、第1のTDDタイミング補正回路26の代わりに、図6に示す、第2のTDDタイミング補正回路27を設けた点を除いて、第1の装置の構成と同じである。
【0106】
まず、第2の装置に用いる第2のTDDタイミング補正回路27(以下、第2の回路)について、第1のTDDタイミング補正回路26(以下、第1の回路)との相違点を中心に説明する。図6は、第2の回路の構成ブロック図である。尚、第1の回路の各部と同一の構成については、同一の符号を付して説明する。
【0107】
図2に示すように、第1の回路は、キャリア信号の一周期分のTDD切替信号の絶対値を保持するため、ADコンバータ261におけるディジタル変換のサンプルレートに対応して、遅延素子264を設ける必要がある。よって、TDD切替信号のサンプル数を増やす場合には、これに応じて遅延素子264も増やす必要があるため、第1の回路全体の規模が増大してしまう。
【0108】
そこで、第2の回路は、キャリア信号の周期分の加算を累積加算で実施する加算手段を設けている。
したがって第2の回路は、キャリア信号の周期分の絶対値を保持するための遅延素子が必要がないため、サンプルレートによらず回路規模を一定に保つことができ、第1の回路と比較して、回路規模を縮小することができる。
【0109】
図6に示すように、第2の回路は、BPF261と、ADコンバータ262と、絶対値変換回路263と、加算器271と、遅延素子272と、切替器273と、ラッチ274と、比較器275と、カウンタ267と、判定器268とを備えている。
【0110】
以下、第2の回路の各部のうち、第1の回路と相違する構成部分について説明する。
加算器271は、絶対値変換器263から出力される、ディジタルデータのTDD切替信号の絶対値と、後述する切替器273から出力される、上記絶対値の累積加算結果との加算を行い、新たな累積加算結果を遅延素子272及びラッチ274に出力する。絶対値変換器263からは、サンプル時間毎に絶対値が出力され、また切替器273からも、サンプル時間毎に累積加算結果が出力されるため、加算器265は、サンプル時間毎に累積加算結果を算出する。
遅延素子272は、加算器271から出力されるTDD切替信号の絶対値の累積加算結果を格納し、サンプル時間だけ遅延させ、切替器273に出力する。
【0111】
切替器273は、屋外装置2におけるスイッチ制御部(図示せず)から出力されるスイッチ制御信号(図ではSW制御信号)に基づいて、”0”値又は遅延素子272からの累積加算結果のいずれかを、上記絶対値の累積加算結果として加算器271に出力する。
上記スイッチ制御信号は、クロック信号のNクロック毎、すなわちキャリア信号の一周期毎に、累積加算結果をリセットする旨の情報が含まれており、切替器273は、当該情報を認識すると、内部のスイッチを端子bに切り替えて、”0”値を加算器271に出力し、それ以外では、上記スイッチを端子aに切り替えて、遅延素子272からの累積加算結果を加算器271に出力する。
【0112】
ラッチ274は、加算器271から出力される新たな累積加算結果を格納する。またラッチ274は、第2の発振器(図示せず)から出力される、キャリア信号と同一周期の1/Nクロック信号に基づいて、格納されている累積加算結果をラッチして比較器275に出力する。したがって、ラッチ274は、TDD切替信号の絶対値について、キャリア信号の一周期分の累積加算結果(以下、周期加算結果)を比較器275に出力する。
【0113】
比較器275は、ラッチ274からキャリア信号の周期毎に出力される周期加算結果と、予め設定された閾値とを比較し、上記加算結果が閾値よりも大きい場合には、”1”を、小さい場合には”0”の矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号(図ではTDD切替信号(復調済))として、屋外装置2のTDDスイッチ22及び25に出力する。また、復調済みのTDD切替信号は、カウンタ267及び判定器268にも出力される。
また、比較器275には、判定器268から閾値調整信号が入力され、比較器266は、当該信号に基づき、閾値を調整して、新たな閾値を設定する。
【0114】
次に、第2の装置におけるTDD切替信号の制御動作について、第1の装置との相違点を中心に、図6及び図7を用いて説明する。図7は、第2の回路における各部の出力信号及び制御信号のタイミングのチャート図である。
尚、図7も、ADコンバータ262のサンプルレートは、キャリア信号の周波数のN=4倍として説明している。また、遅延素子272には前もって絶対値が記憶されていないものとする。
【0115】
第2の装置における、屋内装置1から屋外装置2へのTDD切替信号の送信については、第1の装置と同様であるため、説明は省略する。
屋外装置2に送信された送信信号は、図1のデュープレクサ21において周波数分離が行われ、送信信号はTDDスイッチ22に、変調済みのTDD切替信号はTDDタイミング補正回路27に出力される。
【0116】
このうちASK検波回路26に出力された送信信号は、図6に示すように、バンドパスフィルタ261によって、キャリア信号の周波数成分のみが透過され、ADコンバータ262によって、キャリア信号の周波数のN倍のサンプルレートでディジタル変換が行われ、絶対値変換回路263によって、その絶対値が取得され、加算器271に出力される。バンドパスフィルタ261、ADコンバータ262及び絶対値変換器263は、第1の装置と同一の構成であるため、動作の詳細な説明は省略する。
ADコンバータ262は、図7(a)に示すクロック信号に同期して、サンプル時間毎にディジタル変換を行うため、絶対値変換器263からの出力も、図7(b)に示すように、サンプル時間毎に行われる。
【0117】
絶対値変換器263から出力された、TDD切替信号の絶対値は、加算器271に入力されると、切替器273から出力される絶対値の累積加算結果と加算され、新たな累積加算結果として遅延素子272及びラッチ274に出力される。加算器271において、新たな累積加算結果は、サンプル時間毎に求められ、遅延素子272及びラッチ274に出力される。
【0118】
遅延素子272に出力された累積加算結果は、サンプル時間遅延された後、切替器273に出力される。切替器273は、スイッチ制御信号に基づいて、加算器271に出力する累積加算結果を決定する。
スイッチ制御信号の波形は、図7(c)に示すように、クロック信号のNクロック毎にONとなり、それ以外はOFFとなっている。切替器273は、スイッチ制御信号がONの場合には、内部のスイッチを端子aに切り替え、累積加算結果として”0”値を加算器271に出力する。すなわち切替器273は、”0”値を出力することで、これまでの絶対値の累積加算結果をリセットして、加算器271に新たな累積加算を開始させる。
また、切替器273は、スイッチ制御信号がOFFの場合には、内部のスイッチを端子bに切り替え、累積加算結果として、遅延素子272からの累積加算結果を加算器271に出力する。
【0119】
図7において、例えば、絶対値変換器263からD1が出力され、同じサンプル時間にスイッチ制御信号がONとなり、切替器273から”0”値が出力された場合、加算器271は、これらを加算して、累積加算結果としてD1を出力する。当該加算結果は、図7(d)に示すように、サンプル時間遅延されて、切替器273から出力される。
そして次のサンプル時間に、絶対値変換器263からD2が出力されると、同じサンプル時間にスイッチ制御信号はOFFとなり、切替器273からは、1サンプル時間前の累積加算結果、すなわちD1が出力され、加算器271は、これらを加算して、累積加算結果としてD1+D2を出力する。上記動作は、次にスイッチ制御信号がONとなるまで繰り返される。
【0120】
よってTDDタイミング補正回路27は、加算器271、遅延素子272及び切替器273のループによって、キャリア信号の一周期の間、TDD切替信号の絶対値の累積加算を継続して行い、上記絶対値の累積加算結果である周期加算結果をラッチ274に出力することができる。
【0121】
図6において、加算器273からの累積加算結果は、遅延素子272の他に、ラッチ274にも出力され、格納される。ラッチ274には、1/Nクロック信号も入力され、ラッチ274は、当該信号に基づき、格納されている累積加算結果を比較器275に出力する。
【0122】
1/Nクロック信号は、図7(e)に示すように、Nクロック、すなわちキャリア周波数と同じ周期で発振するものであり、立ち上がりのタイミングは、図7(c)のスイッチ制御信号のONと同一である。ラッチ274は、1/Nクロック信号の立ち上がりに同期して、格納されている周期加算結果を比較器275に出力する。
例えば、図7(e)における、1/Nクロック信号の二回目の立ち上がり時には、ラッチ274には周期加算結果D1+D2+D3+D4が格納されており、図7(f)に示すように、当該結果が比較器275に出力される。ラッチ274は、以後の立ち上がり時にも同様の動作を行う。よって、ラッチ274は、キャリア信号の周期毎に、周期加算結果を比較器275に出力することができる。
【0123】
図6において、ラッチ274から比較器275に出力された周期加算結果は、比較器275において、予め設定された閾値と比較される。そして当該加算結果が閾値よりも大きい場合には、”1”を、小さい場合には”0”の矩形波を生成し、復調済みのTDD切替信号として、屋外装置2のTDDスイッチ22及び25に出力すると共に、カウンタ267及び判定器268にも出力する。
第2の装置の比較器275において、設定されている閾値は第1の装置の比較器266のものと同一であるが、周期加算結果はキャリア信号の周期毎に出力されるものであるため、当該閾値との比較はキャリア信号の周期毎に行われる。
【0124】
また、カウンタ267及び判定器268は、復調済みのTDD切替信号に基づいて、第1の装置と同様の動作を行う。
すなわちカウンタ267は、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わった時点でカウント値を0にリセットしてカウントを開始し、カウント動作中に、再びTDD切替信号の値が切り替わると、それまでのカウント値を記憶した後にカウント値をリセットし、切り替わった値について新たなカウント動作を開始する。
【0125】
また、判定器268は、復調済みのTDD切替信号の値を監視し、TDD切替信号の値が切り替わると、カウンタ267から、切り替わる前の値のカウント値を読み込む。そして、読み込んだカウント値と、予め設定されている設定カウント値との比較を行い、比較結果に基づいて、比較器275で設定されている閾値の値の調整方法を第1の装置の場合と同様に決定し、当該調整方法にしたがって閾値を調整する旨の閾値調整信号を比較器275に出力する。
【0126】
比較器275からTDDタイミング補正回路27外に出力された、復調済みのTDD切替信号は、TDDスイッチ22及び25に出力される。TDDスイッチ22及び25は、第1の装置の場合と同様、TDDスイッチ13と共に、TDD切替信号の値に基づき、交互に接続先を切り替える制御を行う。
上述したTDD切替信号の動作制御によって、第2の装置では、送受信機能の切り替えが行われ、TDD方式による無線通信を実現できる。
【0127】
上述したように、第2の装置によれば、TDDタイミング補正回路27を屋外装置2に設け、当該回路において、ASK変調されたTDD切替信号を規定のサンプルレートでディジタル変換して絶対値を取得した後、加算器271、遅延素子272及び切替器273によってサンプル時間毎にキャリア信号の一周期分の絶対値の累積加算結果を求め、比較器275によって当該累積加算結果と、予め設定された閾値とを比較し、総和が閾値よりも大きい場合には”1”の値を、総和が閾値よりも小さい場合には”0”の値を取る矩形波を復調済みのTDD切替信号として出力するようにしたことで、第1の装置におけるTDDタイミング補正回路26と比較して、遅延素子の数を低減することができ、第1の装置の効果に加え、屋外装置の回路規模を縮小できる効果がある。
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、TDD方式の無線通信装置において、TDD方式の無線通信装置において、無線通信制御を司る屋内装置と、無線通信動作を行う屋外装置とを有し、屋内装置は、屋内装置及び屋外装置における送信期間と受信期間を表す矩形波であるTDD切替信号を作成し、TDD切替信号を任意の周波数のキャリア信号でASK変調して屋外装置に送信し、屋外装置は、ASK変調されたTDD切替信号を復調し、復調されたTDD切替信号に基づいて無線通信の送受信を切り替えるTDD方式の無線通信装置であって、屋外装置が、ASK変調されたTDD切替信号を、特定のサンプルレートでディジタル変換して出力するADコンバータと、ディジタル変換されたTDD切替信号の絶対値を取得してサンプル時間毎に出力する絶対値変換回路と、絶対値をキャリア信号の一周期分加算して出力する加算部と、予め設定された閾値と、加算器からの加算結果とを比較し、当該比較結果を、復調済みのTDD切替信号として出力する比較器と、復調済みのTDD切替信号における送信期間又は受信期間をサンプルレートでカウントするカウンタと、カウンタでのカウント結果と、屋内装置で作成されるTDD切替信号における送信期間又は受信期間に基づく設定カウント値とを比較し、比較結果に応じて比較器の閾値を調整する判定器とを有するTDDタイミング補正回路を備え、TDDタイミング補正回路から出力される復調済みのTDD切替信号に基づいて、無線通信の送受信を切り替える屋外装置としたTDD方式の無線通信装置としているので、送受信タイミングの切替を適正に行い、通信品質の劣化を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信装置の屋外装置に設けられる、第1のTDDタイミング補正回路26の構成ブロック図である。
【図3】TDDタイミング補正回路26におけるTDD切替信号の絶対値及び加算器265の加算結果の出力タイミングのチャート図である。
【図4】ASK変調されたTDD切替信号の波形図である。
【図5】判定器268における閾値の調整値の決定方法のフローチャート図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信装置の屋外装置に設けられる、第2のTDDタイミング補正回路27の構成ブロック図である。
【図7】TDDタイミング補正回路27における各部の出力信号及び制御信号のタイミングのチャート図である。
【図8】従来の一般的なTDD方式の無線通信装置の構成ブロック図である。
【図9】ASK発生回路15の構成ブロック図である。
【図10】ASK検波回路28の構成ブロック図である。
【図11】図8の無線通信装置におけるTDD切替信号の状態の遷移を示した説明図である。
【図12】図8の無線通信装置における、TDD切替信号の復調結果による送受信タイミングの影響を示した説明図である。
【符号の説明】
1…屋内装置、 2…屋外装置、 3…アンテナ、 4…同軸ケーブル、 11…送信部、 12…受信部、 13,22,25…TDDスイッチ、 14…主制御回路、 15…ASK発生回路、 16,21…デュープレクサ、 23…送信系、 24…受信系、 26,27…TDDタイミング補正回路、 28…ASK検波回路

Claims (1)

  1. 無線通信制御を司る屋内装置と、無線通信動作を行う屋外装置とを有し、前記屋内装置は、前記屋内装置及び前記屋外装置における送信期間と受信期間を表す矩形波であるTDD切替信号を作成し、前記TDD切替信号を任意の周波数のキャリア信号でASK変調して前記屋外装置に送信し、前記屋外装置は、前記ASK変調されたTDD切替信号を復調し、復調されたTDD切替信号に基づいて無線通信の送受信を切り替えるTDD方式の無線通信装置であって、
    前記屋外装置が、ASK変調されたTDD切替信号を、特定のサンプルレートでディジタル変換して出力するADコンバータと、
    前記ディジタル変換されたTDD切替信号の絶対値を取得してサンプル時間毎に出力する絶対値変換回路と、
    前記絶対値を前記キャリア信号の一周期分加算して出力する加算部と、
    予め設定された閾値と、前記加算器からの加算結果とを比較し、当該比較結果を、復調済みのTDD切替信号として出力する比較器と、
    前記復調済みのTDD切替信号における送信期間又は受信期間を前記サンプルレートでカウントするカウンタと、
    前記カウンタでのカウント結果と、前記屋内装置で作成されるTDD切替信号における送信期間又は受信期間に基づく設定カウント値とを比較し、比較結果に応じて前記比較器の閾値を調整する判定器とを有するTDDタイミング補正回路を備え、
    前記TDDタイミング補正回路から出力される復調済みのTDD切替信号に基づいて、無線通信の送受信を切り替える屋外装置であることを特徴とするTDD方式の無線通信装置。
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