JP2005002417A - 薄膜形成方法、薄膜形成装置及び高機能性薄膜 - Google Patents

薄膜形成方法、薄膜形成装置及び高機能性薄膜 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の移送方向に生じる不均一部分を均一化することの出来る薄膜形成方法及び薄膜形成装置、更に、該薄膜形成方法及び薄膜形成装置を用いて得られた高機能性薄膜を提供する。
【解決手段】対向電極の間に形成される放電空間にガスを供給し、該放電空間に高周波電圧を印加して、ガスを励起してプラズマを発生させ、一方の電極面と平行して相対的に移動する基材を該励起したガスに晒し、該基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、該対向電極の間隙を部分的に変化させる均一化手段により、薄膜の幅手方向の膜厚を均一化することを特徴とする薄膜形成方法。
【選択図】 図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧プラズマ放電処理方法によって基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法及び薄膜形成装置に関し、さらに詳しくは、基材上の薄膜の幅手方向の膜厚変動を制御する薄膜形成方法及び薄膜形成装置とこれを用いて得られる高機能性薄膜に関する。
【0002】
【従来技術】
現在、一例に過ぎないが、LSI、半導体、表示デバイス、磁気記録デバイス、光電変換デバイス、ジョセフソンデバイス、太陽電池、光熱変換デバイス等の各種製品には、基材上に高機能性の薄膜を設けた材料が多数用いられている。
【0003】
これら高機能性の薄膜とは、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、エレクトロクロミック膜、蛍光膜、超伝導膜、誘電体膜、太陽電池膜、反射防止膜、耐摩耗性膜、光学干渉膜、反射膜、帯電防止膜、導電膜、防汚膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜、電磁波遮蔽膜、赤外線遮蔽膜、紫外線吸収膜、潤滑膜、形状記憶膜、磁気記録膜、発光素子膜、生体適合膜、耐食性膜、触媒膜、ガスセンサ膜、装飾膜等のことである。
【0004】
従来、このような高機能性の薄膜は、塗布法に代表される湿式製膜法か、あるいは、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法によって、形成されている。
【0005】
近年、例えば、大気圧プラズマ放電処理薄膜形成法が、上記湿式製膜法に比べてより高性能な薄膜が得られること、且つ、真空を用いた乾式製膜法に比べて生産性が高いこと等から、考案され実用化されつつある(例えば、特許文献1参照。)。大気圧プラズマ放電処理方法の最大のメリットは、真空にする必要がないので、塗布法と同様に連続製膜が可能であることである。
【0006】
高機能性の薄膜を形成する際、基材全面にわたって均一な膜厚であることが望ましいことはもちろんである。特に、反射防止膜のような光学薄膜は、膜厚の精度がそのまま膜性能となるため、よりハイレベルな膜厚均一性が求められる。
【0007】
塗布法では、幅手方向に長さを有する塗布液供給ヘッドから、前記幅手方向と交差する方向に搬送される基材上に塗布液を供給して塗布を行うが、膜厚を均一にするための主たる方法は、前記幅手方向にわたって塗布液供給量を均一に保つことである。
【0008】
塗布法に比べ、大気圧プラズマ放電による連続製膜法では、膜厚を均一にすることが難しいことが知られている。製膜原料である放電プラズマを電極の幅手方向にわたって均一に発生させればよいことは理論的には分かるが、現在、その放電プラズマの発生メカニズム自体がよく解明されていない。また、放電プラズマの発生に影響する因子も、放電ガス濃度、放電ガス流速、放電間隙、印加電圧(単位:V)、印加出力(単位:W)、印加電流(単位:A)、放電空間の圧力、放電空間の温度等、様々な因子が存在し、どの因子をどの程度制御することが、膜厚均一性に対して効果的な条件であるか判明していないのが現状である。
【0009】
大気圧プラズマ放電処理による薄膜形成法において、膜厚均一化に関しては、電極誘電体に多孔質体を用い、ガスを多孔質体を通して導入することにより、ガスが放電空間で均一に分布するようにする方法(例えば、特許文献2参照。)、平行平板型の電極に挟まれた空間に、その電極幅における流速変動巾が±20%以下の流速のもとに反応ガスを導入する方法(例えば、特許文献3参照。)、対向電極間の放電空間を固体誘電体からなる遮断壁で囲むことにより、処理用ガスを電極巾方向に略均一に供給する方法(例えば、特許文献4参照。)等、電極の幅手方向にわたって均一にガスを供給する各種方法が提案されている。
【0010】
また、基材に製膜された膜厚をオンラインで測定し、その膜厚測定値をもとにフィードバック制御して膜厚を均一にする方法(例えば、特許文献5参照。)も提案されているが、これは経時による基材の搬送方向と電極の幅手方向とが交差する方向における電界変動を、周波数や電圧で制御するというものであり、この方法では、幅手方向の膜厚均一性を得ることはできない。
【0011】
上記特許文献2〜5に記載の方法に従って、連続処理により薄膜形成する場合、幅手方向の膜厚均一化を行うことは極めて難しいことが判明した。すなわち、上記各方法によって、電極の幅手方向で均一にガスを供給できたとしても、幅手方向の放電プラズマの均一化には不十分な可能性がある。
【0012】
同様な考え方で、電界を電極の幅手方向で均一に印加するため、対向電極の間隙長を幅手方向で均一に調整する方法が考えられるが、大気圧プラズマ処理装置では、対向電極の間隙長が1〜5mmと非常に狭いためこれが難しい。しかし、この僅かな間隙長の変動が、膜厚均一性に大きく影響を与えてしまうのも事実である。また、たとえ電極の間隙長を幅手方向で均一にできたとしても、電極がプラズマに晒されると、熱変形が起こり、長期にわたって均一な間隙長を維持することが難しい。このような現象に対しては、いくら装置精度を上げても、解決しにくい問題である。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−48626号公報
【0014】
【特許文献2】
特開平6−2149号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平11−236676号公報
【0016】
【特許文献4】
特開2000−82595号公報
【0017】
【特許文献5】
特開2001−181850号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、大気圧プラズマ放電による薄膜形成方法において、膜厚均一化を達成することができる薄膜形成方法および薄膜形成装置と、それを用いて得られる高機能性薄膜を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0020】
1.大気圧もしくはその近傍の圧力下、幅手方向に長さを有する放電空間に薄膜形成ガスを含有するガスを供給し、前記放電空間に高周波電界を印加して前記ガスを励起し、前記放電空間の幅手方向に対し交差する方向に移動する基材を、前記励起したガスに晒すことにより、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記放電空間の放電条件を構成する因子の少なくとも一つを、前記幅手方向の少なくとも一部において変化させ、前記基材上に形成される薄膜の幅手方向の膜厚を均一化することを特徴とする薄膜形成方法。
【0021】
2.前記基材上に形成された薄膜の幅手方向の膜厚分布を検出し、前記検出した結果に基づいて、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた部分の前記因子を、ずれた厚さに応じて変化させることを特徴とする前記1項に記載の薄膜形成方法。
【0022】
3.前記膜厚分布の検出が、エリプソメータまたは分光反射率測定機によって行われることを特徴とする前記2項に記載の薄膜形成方法。
【0023】
4.前記因子が、前記放電空間を構成する対向電極の間隙長であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0024】
5.前記間隙長を、前記幅手方向で連続的に変化させることを特徴とする前記4項に記載の薄膜形成方法。
【0025】
6.前記対向電極の間隙長の変化を、前記対向電極に埋め込まれたヒートボルト、前記対向電極に埋め込まれたプッシュプルボルトおよび前記対向電極と一体に取り付けられた熱変形プレートから選ばれる少なくとも一つにより行うことを特徴とする前記4または5項に記載の薄膜形成方法。
【0026】
7.前記因子が、前記放電空間に供給されるガス流量であることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0027】
8.前記ガス流量を、前記幅手方向で連続的に変化させることを特徴とする前記7項に記載の薄膜形成方法。
【0028】
9.前記ガス流量の変化を、前記ガスを前記放電空間に供給する複数のガス供給管に設けられたバルブまたはガス供給口の近傍に設けられたチョークバーの少なくとも一方により行うことを特徴とする前記8項に記載の薄膜形成方法。
【0029】
10.前記放電空間に薄膜形成ガスを供給するガス供給口が、前記幅手方向に開口を有するスリットから構成され、スリットの幅を幅手方向で連続的に変化させてガス供給することを特徴とする前記1〜9項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
【0030】
11.前記スリットの幅の調整手段が、スリットを構成する部材に埋め込まれたヒートボルト、スリット構成部材に埋め込まれたプッシュプルボルト及びスリット構成部材と一体となって取り付けられた熱変形プレートから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記10項に記載の薄膜形成方法。
【0031】
12.前記1〜11項のいずれか1項に記載の薄膜形成方法により作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
【0032】
13.大気圧もしくはその近傍の圧力下、基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、幅手方向に長さを有する対向電極、前記対向電極間にガスを供給するガス供給手段、前記対向電極間に高周波電界を印加する高周波電界印加手段、前記幅手方向に対して交差する方向に基材を搬送させる搬送手段および前記対向電極間の放電条件を構成する因子の少なくとも一つを、前記幅手方向の少なくとも一部において変化させ、前記基材上に形成される薄膜の幅手方向の膜厚を均一化する調整手段を有することを特徴とする薄膜形成装置。
【0033】
14.前記基材上に形成された薄膜の前記幅手方向の膜厚分布を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された検出結果において、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた部分の前記因子を、ずれた厚さに応じて変化させるように前記調整手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする前記13項に記載の薄膜形成装置。
【0034】
15.前記検出手段が、エリプソメータまたは分光反射率測定機であることを特徴とする前記14項に記載の薄膜形成装置。
【0035】
16.前記調整手段が、前記幅手方向の少なくとも一部において前記対向電極の間隙長を変化させる間隙長調整手段であることを特徴とする前記13〜15項のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
【0036】
17.前記間隙長調整手段が、電極に埋め込まれたヒートボルト、電極に埋め込まれたプッシュプルボルト及び電極と一体型に取り付けた熱変形プレートから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする前記16項に記載の薄膜形成装置。
【0037】
18.前記調整手段が、前記幅手方向の少なくとも一部において前記ガス供給手段から供給されるガス流量を変化させるガス流量調整手段であることを特徴とする前記13または14項に記載の薄膜形成装置。
【0038】
19.前記ガス流量調整手段が、複数のガス供給管に設けられたバルブまたはガス供給口近傍に複数設けられたチョークバーであることを特徴とする前記18項に記載の薄膜形成装置。
【0039】
20.前記対向電極は第1電極および第2電極を対向させてなり、前記高周波電界印加手段は、第1の高周波電解を印加する第1電源および第2の高周波電解を印加する第2電源を有し、前記第1電源は前記第1電極に、前記第2電源は前記第2電極に接続されていることを特徴とする前記13〜19項のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
【0040】
21.前記13〜20項のいずれか1項に記載の薄膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
【0041】
以下、本発明を詳述する。
本発明の薄膜形成方法は、基本的には大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間(対向電極間)にガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加し、ガスを励起してプラズマ状態とし、このプラズマ状態のガスに基材を晒すことにより、基材の表面に薄膜を形成するものである。ここでいう大気圧もしくはその近傍の圧力とは、20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
【0042】
前記ガスは、放電ガスと薄膜を形成する薄膜形成性ガスとを含んでいる。
以下、図を参照しながら、本発明の薄膜形成装置(大気圧プラズマ放電処理装置)の詳細について説明する。
【0043】
図1は、本発明の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
図中、参照符号の10はプラズマ放電容器、11は複数個から構成される角筒型の印加電極、12は印加電極11と対向して配置され、基材Fを搭載する架台としても機能するアース電極である。印加電極11およびアース電極12の対向面にて放電空間13が構成されている。アース電極12は図中の矢印の方向に往復運動するように構成されている。アース電極12を印加電極11に対して往復運動させることにより、放電空間13より大きい面積の製膜が可能となる。また、往復方向(基材の搬送方向)の放電の不均一があった場合にも、これを均す効果があり、結果として往復方向における均一製膜が可能となる。
【0044】
放電空間13に供給されるガスGは、放電ガスおよび薄膜形成ガスを含んでいる。ガスGは、図示しないガス供給手段からガス供給管を通してプラズマ放電容器10内に充填される。ガス供給管の出口が図中のガス供給口25である。ガスGは、プラズマ放電容器10内に載置されたメッシュ26を通過することによって、流速が均一化される。
【0045】
電極に接続された高周波電源21から、高周波電界を印加すると、放電空間13においてガスGが励起する。励起したガスGに基材Fが晒され、該基材F上に薄膜が形成される。薄膜形成中、ここでは図示していないが、電極温度調節手段により電極を適切な温度に加熱または冷却することが好ましい。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成が変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。
【0046】
図2は、本発明の薄膜形成装置の別の一例を示す概略図である。図2の装置は、アース電極であるロール電極と印加電極である複数の棒状電極により放電空間が形成されている。それぞれの電極には、周波数の異なる電源を接続し、2種の高周波電界を重畳するようになっている。2種の高周波電界をそれぞれ第1の高周波電界と第2の高周波電界とすると、第1の高周波電界の周波数ωより前記第2の高周波電界の周波数ωが高く、且つ、前記第1の高周波電界の強さV、前記第2の高周波電界の強さVおよび放電開始電界の強さIVとの関係が、V≧IV>VまたはV>IV≧Vを満たすことが好ましい。このような高周波電界の重畳により、たとえ放電開始電界強度が高い窒素のような放電ガスを使用した場合でも、安定に均一な放電を得ることが出来る。
【0047】
図中、参照符号の130はプラズマ放電処理装置、140は2つの高周波電源を有する高周波電界印加手段、150はガス供給手段、160は電極温度調節手段である。
【0048】
また、135はロール電極、136は角筒型電極群であり、これらで放電空間132が形成されている。ロール電極135には第1電極141から周波数ωであって電界強度Vをの第1の高周波電界を、また、角筒型電極群136には第2電源142から周波数ωであって電界強度Vの第2の高周波電界を印加する。
【0049】
第1電源141とロール電極135との間には第1フィルタ143が、第2電源142と角筒型電極群136との間には第2フィルタ144が設置されている。第1フィルタ143は、第1電源141からロール電極135への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源142から角筒型電極群136への第の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする。本発明において、かかる性質のあるフィルタであれば制限無く使用出来る。
【0050】
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルタとして使用出来る。
【0051】
本発明において、上記のような性質のあるフィルタであれば制限無く使用出来る。例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアースすることでフィルタとして使用出来る。
【0052】
ガス供給手段150のガス供給装置151により発生させたガスGは、流量を制御してガス供給口152よりプラズマ放電処理容器131内に導入される。放電空間132及びプラズマ放電処理容器131内をガスGで満たされる。
【0053】
長尺の基材Fは、図示しない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール164を経てニップロール165で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール電極135に接触したまま巻き回しながら角筒型電極群136との間に移送される。ロール電極135と角筒型電極群136との両方から高周波電界をかけると、対向電極間(放電空間)132で放電プラズマが発生する。基材Fはロール電極135に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスに晒され、それにより薄膜が形成される。基材Fは、ニップロール166、ガイドロール167を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0054】
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口153より排出される。
薄膜形成中、ロール電極135及び角筒型電極群136を加熱または冷却するために、電極温度調節手段160で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管161を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、165及び166はプラズマ放電処理容器131と外界とを仕切る仕切板である。
【0055】
図3は、図2に示したロール電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0056】
図3において、ロール電極135は、導電性の金属質母材135Aとその上に誘電体135Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御するため、温度調節用の媒体(例えば、水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
【0057】
図4は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0058】
図4において、角筒型電極136は、導電性の金属質母材136Aに対し、図3同様の誘電体136Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
【0059】
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積は、回転するロール電極135に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0060】
図2に示した角筒型電極136は、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
【0061】
図3及び4において、ロール電極135及び角筒型電極136は、それぞれ導電性の金属質母材135A及び136Aの上に誘電体135B及び136Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0062】
導電性の金属質母材135A及び136Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0063】
以上は、本発明の薄膜形成装置の基本的な事項についての説明である。
次に、本発明の薄膜形成装置の調整手段について説明する。調整手段は、放電空間の放電条件を構成する因子の少なくとも一つを、幅手方向の少なくとも一部において変化させ、前記基材上に形成される薄膜の幅手方向の膜厚を均一化する手段である。本発明において幅手方向とは、基材の搬送方向に対して交差する方向である。通常は、基材の搬送方向に対し直交する方向である。電極は、この幅手方向にわたって電極の長さを有する。
【0064】
本発明に係る調整手段は、形成された薄膜の幅手方向にわたって、連続もしくは不連続に複数箇所、膜厚を測定し(膜厚分布を検出し)、この検出結果において、目標膜厚から、所定の厚さ以上ずれた部分の前記因子を、前記ずれた厚さに応じて変化させる。つまり、膜厚の異常部分を修正して膜厚を目標値に対し均一化するものである。
【0065】
例えば、上記図2で説明したような長尺フィルム基材を連続搬送して薄膜形成する場合、オンラインで膜厚測定し、その結果をコンピュータで解析し、調整手段にフィードバックして、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた異常部分の装置部品を前記ずれた厚さに応じて駆動し、放電条件を調整する方法や、上記図1で説明したような枚葉基材(非連続基材)への薄膜形成の場合、オフラインで膜厚分布を測定した結果を基に、手動で調整手段を操作し、異常部分の修正をする方法等を挙げることが出来る。膜厚分布の測定は、オンラインでも、オフラインでも何れで行ってもよいが、オンラインで行うことが好ましい。幅手方向の膜厚の測定は、J.A.Woollam社製エリプソメータ(M−44)、大塚電子(株)製の膜厚測定システムMCPDシリーズ(MCPD検出器と光ファイバーの組み合わせ)やFILMETRICS社製薄膜測定装置F20−UV等で物理膜厚を測定することが出来る。
【0066】
幅手方向の膜厚の異常部分というのは、電極の長さ方向(基材が移動する方向に対して直交する方向)において放電状態が他と異なっている部分を意味し、これは基材の移動方向に連続的に発生してしまう。部分的な異常な膜厚は、スジ状凸の部分があるもの、幅手方向に厚さの傾きがあるもの、凹んだ堀のようなもの等様々である。
【0067】
本発明において、調整手段としては、次のようなものを挙げることが出来る。
《A:局部的に電極間隙を広げたり、狭めたりして変化させるタイプ》
A−1:対向電極の少なくとも一方の電極の幅手方向に渡って複数箇所埋め込まれたヒートボルト
A−2:対向電極の少なくとも一方の電極の幅手方向に渡って複数埋め込まれたプッシュプルボルト
A−3:対向電極の少なくとも一方の電極に一体型に取り付けた熱変形プレート
A−4:対向電極の間隙を連続的に広げる、または、狭める手段
《B:局部的に放電空間に供給するガスの供給量を変化させるタイプ》
B−1:幅手方向に複数設けたガス供給口の各バルブ
B−2:幅手方向にガス供給スリットを設け、該スリットを構成する壁に複数設けたチョークバー
B−3:幅手方向にガス供給スリットを設け、スリット幅を連続的に広げる、または、狭める手段
B−4:幅手方向にガス供給スリットを設け、該スリットを構成する対向部材の少なくとも一方に、幅手方向にわたって複数埋め込まれたヒートボルト
B−5:幅手方向にガス供給スリットを設け、該スリットを構成する対向部材の少なくとも一方に、幅手方向にわたって複数埋め込まれたプッシュプルボルト
B−6:幅手方向にガス供給スリットを設け、該スリットを構成する対向部材の少なくとも一方に、一体型で取り付けた熱変形プレート
等を挙げることが出来、何れも好ましく用いられ、それぞれ異常な状態に対応して使い分ければよい。上記の手段は、二つ以上組み合わせて行ってもよい。また本発明は、上記の手段に限定されない。
【0068】
以下、図を参照しながら、本発明に係る各調整手段について説明する。
図5は、電極の幅手方向にわたって、複数箇所埋め込まれたヒートボルトを調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。つまり、上述のA−1項を説明する図である。図5では片側電極のみの場合を図示したが、両方の電極がこのような態様であってもよい。
【0069】
電極200の長手方向(幅手方向)に複数本のヒートボルト202が、渡しプレート201を介して埋め込まれていている。膜厚分布に不均一部分がある位置、あるいは、その近傍に対応するヒートボルト202を、加熱あるいは冷却することにより、そのヒートボルト202の膨張あるいは収縮により該電極の底面(放電面)が、対向する電極に対して法線方向(図の下方向)に凸になったり、あるいは凹になったりする。これにより、部分的に電極間隙が微変動し、膜厚の不均一性を解消することが出来る。なお、電極200の200Aは金属母材、また200Bは誘電体、203はねじ、204は埋め込まれたねじを有するヒートボルトの先端、205はねじ本体のヘッド部、206は給電ケーブルである。また渡しプレート201としては、電極200より非常に剛性が大きい材質のものを用いる。ここでいう剛性は、一般にはヤング率で表される。
【0070】
図6は、幅手方向にわたって複数埋め込まれたプッシュプルボルトを調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。つまり、上述のA−2項を説明する図である。図6では、片側電極のみの場合を図示したが、両方の電極がこのような態様であってもよい。
【0071】
図6の調整手段は、図5のヒートボルト202に代えて、プッシュプルボルト212を用いたものである。
【0072】
幅手方向に膜厚の不均一部分がある位置、あるいは、その近傍に対応する電極210のプッシュプルボルト212を押すか、あるいは引くことにより、そのプッシュプルボルト212の移動量により、該電極の底面が、対向する電極に対して法線方向(図の下方向)に凸になったり、あるいは凹になったりする。これにより、部分的に電極間隙が微変動し、移動方向の不均一性を解消することが出来る。なお、電極210の210Aは金属母材、また210Bは誘電体被覆である。また、渡しプレート211としては、電極210より非常に剛性が大きい材質のものが使われている。プッシュプルボルト212のフランジ212は、自動的に回転するが、手動で行ってもよい。
【0073】
本発明では、調整手段の1つとして熱変形プレートを用いることのでき、以下に、熱変形プレートによる電極変形方法の一例を示す。
【0074】
1:電極と熱変形プレートとのそれぞれの温度差を利用する方法
2:電極と熱変形プレートとのそれぞれの熱膨張係数の差を利用する方法
3:熱変形プレート自身が変形を起こし、その変形に伴い電極を変形する方法
なお、上記3項においては、熱変形プレートの剛性は、電極の剛性より大きくすることで、電極の変形を大きくすることができる、ここでいう剛性とは、材料のヤング率で表される。
【0075】
図7は、一体型に取り付けた熱変形プレートを調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。つまり、前述のA−3項を説明する図である。図7では、片側電極のみの場合を図示したが、両方の電極がこのような態様であってもよい。
【0076】
熱変形プレート221が電極220の上に固着しており、電極220の幅手の片方の端(図では左端)から保温媒体▲1▼223を供給し、電極220内のジャケット222内を保温媒体で満たすし、もう片側から排出させる。一方、保温媒体▲1▼223と異なった温度の保温媒体▲2▼226を熱変形プレート端(図では左端)から供給し、保温媒体▲2▼226をジャケット225を通過させる。このとき、電極220と熱変形プレート221との温度差で電極が変形する。電極220の変形は保温媒体の温度及び流量により、変形位置および変形量を変化させることが出来る。保温媒体▲1▼223の温度が保温媒体▲2▼226よりも高い場合には、電極220の端側が放電空間に対して反る形となり、逆に保温媒体▲1▼223の温度が保温媒体▲2▼226よりも低い場合には、電極220の中央付近が放電空間に対して凹むようになり、電極220の変形をさせることが出来る。なお、220Aは金属母材、また220Bは誘電体である。また、224は電極220と熱変形プレート221とを留めるボルトである。224及び227は保温媒体の流出を表している。
【0077】
図8は、一方の電極を他方の電極に対して傾斜させ、対向電極の間隙を連続的に広げる手段を調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。すなわち、前述のA−4項の態様を説明するものである。
【0078】
図8において、電極231と電極232とは対向電極を形成している。初期設定の電極間隙をdとしたとき、電極間隙の図面右側を広げ、右端の電極間隙をdとする。これにより、放電空間233での励起ガス濃度を変化させ、薄膜形成することにより、膜厚を均一化する。なお、235はガス供給口、236はガス均等化のメッシュ、Fは基材である。
【0079】
電極231は、放電間隙方向に移動する治具によって保持されており、放電間隙の幅手方向(電極長手方向)で移動量を変えることができる。移動手段としては特に制限はなく、例えば、押しボルトやスペーサーを挟む方法が考えられ、また移動は手動で行っても、電気信号等を用いて自動で行ってもよい。
【0080】
図9および10は、幅手方向に複数設けたガス供給口の各バルブを調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。すなわち、前述のB−1項の態様を示すものである。図9は側断面図、図10は斜視図である。ここでは、放電空間を形成する対向電極のうち、複数の電極から構成され、ガス供給のためのスリットを形成している側の電極のみを示してある。
【0081】
図9において、図中上側の2つの電極240と下側の電極241とで対向電極を構成しており、その間が放電空間245となっている。上側の2つの電極240は、ガスGを放電空間245に供給するスリット242を形成している。スリット242は、図示しないガス供給手段とガス供給管243にて接続されており、ガス供給管243には流量調整のためのバルブ244が付設されている。ガス供給管243のスリット242側の出口がガス供給口246である。ガラス板等の基材Fは、下側の電極(架台電極)241上に載置され、電極241ごと図中矢印方向に往復移動するように構成されている。放電空間245で励起されたガスG°にさらされることにより、基材Fの上に薄膜が形成されるが、当該製膜に先だって形成された薄膜の膜厚分布情報に基づき、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた位置のバルブ244の開度を変更し、膜厚を均一化する。ここでは、下側の電極241を、平板電極としたが、当然ながら前述の図2に記載されているフィルムを巻き回しながら移送するロール電極に置き換えてもよい。なお、240A及び241Aは金属母材、240B及び241Bは誘電体である。また、本図においては、高周波電源等については省略してある。
【0082】
図10は、電極の幅手方向にわたって具備された複数のガス供給管およびバルブを斜視したものである。図10における参照符号は、図9のものと同じである。
【0083】
バルブ244は、一般に気体の流量を調節出来るのであれば、制限無く使用出来る。本発明において、バルブ付きガス供給管はガスを供給するスリットに対し、できるだけ多く設置されていることが好ましく、それぞれ微妙なガス流量の制御を出来ることが好ましい。
【0084】
図11及び図12は、幅手方向にガス供給スリットを設け、該スリットを構成する壁に複数設けたチョークバーを調整手段として有する電極の一例を示す概略図である。すなわち、前述のB−2項の態様を示すものである。図11は斜視図、図12はチョークバーを設けたスリット壁の一部の側断面図である。ここでは、放電空間を形成する対向電極のうち、2つの電極から構成され、該2つの電極がガス供給のためのスリットを形成している側の電極のみを示してある。
【0085】
図11において、2つの電極250で形成されたスリットを図中上側に延長するように2つの壁253が対向して設けられており、図示しないガス供給手段に接続している。該ガス供給手段から前記壁253間および前記2つの電極250で形成されたスリットをガスが通過し、図示しない下部の放電空間に供給される。前記壁の電極側の端部であるガス供給口より若干上側に、電極の幅手方向にわたり複数のチョークバー252が並置されている。チョークバー252は、前記壁間のガス流れを妨げる体積を持っているものであればよく、その形は丸い棒状のものでも平たい板状のものであってもよい。
【0086】
図12は、前記2つの壁とチョークバーを示す側断面図である。チョークバー252は、一方の壁253を貫通するように設けられ、図中左右方向に動かすことにより、ガスの流路を遮蔽したり解放したりし、ガス流量を調節する。
【0087】
図13は、ガス供給口のスリットの幅を変化させて、幅手方向にガス流量を調節出来る均一化手段を有する電極を例示した概略的斜視図である。
【0088】
図13は、幅手方向にガス供給スリットを設け、スリット幅を連続的に広げる、または、狭める手段を調整手段として有する電極の一例であり、前述のB−3項の態様を示すものである。ここでは、放電空間を形成する対向電極のうち、2つの電極から構成され、該2つの電極がガス供給のためのスリットを形成している側の電極のみを示してある。
【0089】
2つの電極260で形成されるスリットを図中上側に延長するように2つの壁263が対向して設けられており、図示しないガス供給手段に接続している。該ガス供給手段から前記壁263間および前記2つの電極260で形成されたスリットをガスが通過し、図示しない下部の放電空間に供給される。壁263の任意の位置にスリット幅を自在に変化させることが出来る装置が設けられ、膜厚測定からの情報またはプロファイルグラフデータに基づいて、自動的もしくは手動的に操作出来るようになっている。なお、スリット幅を自在に変化させることが出来る装置としては、前述の放電間隙を調整する方法と同様の装置を用いることができ、スリット間隙方向に移動する治具により保持され、スリット間隙幅手方向で移動量を変更することができるものである。
【0090】
本発明においては、長尺フィルム等を基材として連続的に薄膜を形成する場合、放電空間から搬出された薄膜の膜厚を幅手方向に、走査型のオンライン膜厚計で測定して、その膜厚分布の検出結果を、上述のような調整手段にフィードバックする。フィードバック指令に基づき、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた位置において、ずれた厚さに応じて調整手段を操作し、それ以降の薄膜の膜厚分布が均一化するように、放電条件を構成する因子の少なくとも一つを修正する。
【0091】
具体的には、予め調整量と膜厚との関係を求めた検量線を作成し、この検量線に基づき調整量を設定する。ただし、調整後でも膜厚が目標膜厚範囲にならない場合には、更に調整を加え、最終的に目標膜厚範囲内となるように調整を逐次行うことが望ましい。
【0092】
次に、放電空間に供給するガスについて説明する。
供給するガスは、放電ガスおよび薄膜形成ガスを含有する。放電ガスと薄膜形成ガスは、放電空間に供給する前に混合して供給してもよいし、別々でもかまわない。更に、酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素等の添加ガス(または補助ガス)を加えて薄膜形成を迅速にまた、強固に行うことの出来き、ガスの一成分として混合させるのが好ましい。
【0093】
放電ガスとは、薄膜形成可能な放電を起こすことの出来るガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、好ましいのは安全性、コストなどの点から窒素である。放電ガスの50〜100体積%が窒素ガスであることが好ましい。このとき、放電ガスとして窒素以外の放電ガスとしては、希ガスを50体積%未満含有することもできる。また、放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有することが好ましい。
【0094】
薄膜形成ガスとは、それ自身励起して活性となり、基材上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料ガスのことである。
【0095】
本発明に有用な薄膜形成ガスとしては、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等を挙げることが出来る。
【0096】
本発明において取り扱いの問題から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも一つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。
【0097】
本発明において、薄膜形成ガスに使用する有機金属化合物、ハロゲン化金属、金属水素化合物の金属として、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることが出来る。
【0098】
本発明の薄膜形成方法で、上記のような有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等の金属化合物を放電ガスと共に使用することにより様々な高機能性薄膜を得ることが出来る。
【0099】
本発明の薄膜形成方法及び装置において、対向電極の間隙は、0.5〜30mmが好ましいが、装置精度が十分確保できれば0.5mm未満であってもよく、0.5〜5mmであることがより好ましく、この領域でもより大きな効果を発揮する。しかし、均一な放電が保てれば30mmを超える電極間隙であってもよいという場合もある。本発明において、薄膜形成中、プラズマ状態のガスによる発熱で電極が膨張して電極間隙の距離が変化し易く、電極全幅にわたって電極間隙を決められた間隔に維持することはかなり難しいのが現状である。
【0100】
本発明の薄膜形成方法において、使用される基材としては、長尺のフィルム状、板状、レンズ状など薄膜をその表面に形成することができる形状であれば特に限定されない。
【0101】
本発明において、フィルム状の基材としては例えば、セルロースエステル(セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等)、ポリエステル(ポリエチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネート等)、ポリスチレン(シンジオタクティックポリスチレン等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、セロファン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、コポリエチレンビニルアルコール、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート等のフィルムを挙げることが出来る。
【0102】
また、ガラス板の基材としては、その材質は特に制限ないが、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、超高純度ガラス、クリスタルガラス等を挙げることが出来る。
【0103】
これらの基材の上に、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂等を塗設した後、その上に本発明の薄膜形成方法に従って、所望の薄膜を形成することも出来る。
【0104】
なお、本発明に有用な大気圧プラズマ放電処理方法及び装置を用いて、本発明に使用する調整手段を用いる技術により、基材表面の親水化、疎水化、エッチング等の表面処理の均一化を行うことが出来る。
【0105】
その他、本発明に用いることのできる技術としては、例えば、国際公開第02/48428号パンフレットに記載されているものがある。
【0106】
【実施例】
以下、本発明を具体的な実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、高機能性薄膜の形成方法の一例として、反射防止膜を有する反射防止フィルムの薄膜形成方法について説明する。
【0107】
〔評価〕
SiO薄膜を形成した比較例1及び実施例1に関しては、J.A.Woollam社製エリプソメータ(M−44)を用いて、370mm×470mmガラス基材の幅手方向5mm間隔、長手方向10mm間隔にマトリックス状に約800箇所測定しそれぞれの物理膜厚を得た。電極の同じ位置での基材の幅手方向の目標膜厚からの差異の平均値の膜厚を求め、プロファイルのグラフに表した。
【0108】
また、反射防止層を設けた反射防止フィルム(比較例2、3、実施例2、3)については、大塚電子社製の分光反射率測定機MCPD−3000を用いて、薄膜形成されている移送中の基材を連続的に幅手方向にスキャンしながら測定し、最低反射率の幅手方向のプロファイルをグラフに表した。
【0109】
比較例1
図1に示すような薄膜形成装置を用いた。ただし、調整手段を用いずに、SiO薄膜を形成した。
【0110】
〔電極の作製〕
次のように電極を作製した。長さ470mm、幅80mm、高さ80mmの、肉厚10mm(中空のジャケット)のチタン合金T64製の3個の角筒型電極を以下のように作製した。該3個共、角筒型電極の全表面に大気圧プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆した。その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。最終的な誘電体の空隙率は5体積%であった。この時の誘電体層のSiO含有率は75mol%であった。また、最終的な誘電体の膜厚は、1mm(膜厚変動±1%以内)、誘電体の比誘電率は10であった。更に、導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は、1.6×10−6/℃であり、また耐熱温度は250℃であった。
【0111】
一方、移動可能な架台型電極は長さ1050mm、幅700mm、厚さ100mm、肉厚10mmで温度制御出来るように中空になっているチタン合金T64の導電性の金属質母材を用い、架台型電極の上面に上記同様の誘電体を被覆した。性質も上記同様であった。
【0112】
〔薄膜形成〕
図1に示すような薄膜形成装置を用いて、下記に示す製膜条件のもと、SiO膜を基材上に形成した。基材は、ソーダライムガラス(巾370mm×長さ470mm×厚み0.5mm)を用い、架台型電極上に載せて吸引によりガラス基材を架台型電極に密着させ、架台型電極を往復移送させて、ガラス基材の全面積にSiO薄膜を目標の膜厚になるように形成させた。
【0113】
〈ガス組成〉
放電ガス:ヘリウム 98.8体積%
添加ガス:酸素 1.0体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン蒸気 0.2体積%
薄膜形成ガスは常温液体のため、放電ガスをキャリアとしてリンテック製の気化装置を用いて気化して得た。
【0114】
〈放電条件〉
高周波電源として周波数13.56MHzの1周波数高周波電圧印加方式を用いた。電力密度を1.2W/cmとした。また、対向電極間(放電空間)の圧力は103kPaとした。
【0115】
3個の角筒型電極の間の2カ所のスリット幅をそれぞれ2mmとして平行になるように固定し、3個の角筒型電極に上記高周波電源を結線した。架台型電極にはアースを接地した。
【0116】
対向電極間隙(3個の角筒型電極の下面と架台型電極上面との距離)の設定値は、基材の移動方向に対して直角の方向(角筒型電極の長さ方向)に1.00mm基準とした。薄膜形成前の実際の間隙は、最大間隙と最小間隙の差が0.01mm以下とした。
【0117】
プラズマ放電範囲は、ガラス基材にプラズマ放電端部の影響を避けるため、ガラス基材幅より両端から50mmずつ広く放電させた。
【0118】
架台型電極の移動速度を12m/min、移動ストロークを800mm、移動回数は往復30回として薄膜形成を行い、得られた比較例1の幅手方向の膜厚のプロファイルを、図14に示す。
【0119】
(結果)
薄膜形成前の対向電極間隙を1.00±0.01mmとしたが、実際往復30回薄膜形成した後には、膜厚のばらつき量が最大で8.4%であり、平均膜厚(本実施例では、この平均膜厚を目標膜厚とする)の±2.5nm(±4.2%)の分布が形成された。また、プロファイルから平均膜厚からのズレは、幅手でほぼ右肩上がりの膜厚分布になっていることが確認された。
【0120】
実施例1
比較例1で使用した薄膜形成装置を使用した。ただし、図8で説明したような前記A−4の調整手段(対向電極の間隙を連続的に広げる、または、狭める手段)により、電極間隙を調整して製膜を行った。比較例1のデータから、角筒型電極と架台型電極との間隙を左側を1.09mmに、また右側に1.00mmに設定し、予め求めた放電間隙傾け量と膜厚変化量との検量線と、測定した膜厚ズレ量から放電間隙傾き量を演算し、図8のように角筒型電極を傾斜させた。比較例1と同様に薄膜形成し、得られた実施例1の幅手方向の膜厚のプロファイルを、図15に示す。
【0121】
(結果)
図14と図15の各幅手方向の膜厚のプロファイルを比較すると、対向電極間隙を角筒型電極を傾斜させて膜厚の均一化を図った実施例1による図15は、そのプロファイルのグラフから平均膜厚(57nm)からのずれが、電極の幅手方向すべてにわたって±2.0%以下の均一化されたSiO薄膜が得られ、本発明の均一化手段が有効であることがわかった。
【0122】
比較例2
図2に示した薄膜形成装置3基を連続して設置した。ただし、調整手段は、作動させなかった。基材として、コニカタックKC8UX2MW(コニカ製セルローストリアセテートフィルム、666mm幅、1500m巻き)を使用し、反射防止フィルムを作製した。薄膜形成前に、下記クリアハードコート層を塗設した。
【0123】
〈クリアハードコート層の塗設〉
上記コニカタックKC8UX2MWの表面上に、下記のクリアハードコート層(紫外線硬化樹脂層)用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層塗布液を調製し、これをマイクログラビアコーターを用いて塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線を150mJ/cm照射して塗布層を硬化させ、厚さ5μmのクリアハードコート層を形成した。
【0124】
《クリアハードコート層用塗布液》
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(ジメトキシベンゾフェノン) 4質量部
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
〔電極の作製〕
前述の図2のプラズマ放電処理装置において、誘電体で被覆したロール電極及び同様に誘電体を被覆した複数の角型電極のセットを以下のように作製した。
【0125】
第1電極となるロール電極は、冷却水による冷却手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、ロール径1000mmφとなるようにした。
【0126】
封孔処理及び被覆した誘電体表面研磨は比較例1と同様に行い、Rmax5μmとした。最終的な誘電体の空隙率(貫通性のある空隙率)はほぼ0体積%、このときの誘電体層のSiO含有率は75mol%、また、最終的な誘電体の膜厚は1mm、誘電体の比誘電率は10であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は1.7×10−4で、耐熱温度は260℃であった。
【0127】
一方、第2電極の角型電極は、角型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する角筒電極群とした。この角型電極の誘電体については上記ロール電極のものと、誘電体表面のRmax、誘電体層のSiO含有率、また誘電体の膜厚と比誘電率、金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差、更に電極の耐熱温度は、第1電極とほぼ同じ物性値はに仕上がった。この角形電極に、図6に示したような電極の幅手方向に鋼鉄製の渡しプレートを取り付け、該渡しプレートと角型電極にプッシュプルボルトを10本設置した。
【0128】
このプッシュプルボルト付きの角型電極をロール電極のまわりに、対向電極間隙を1.00±0.01mmとして25本配置した。該角型電極群の放電総面積は、68cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×25本(電極の数)=6800cmであった。
【0129】
〈反射防止層薄膜の形成〉
プラズマ放電中、第1電極(ロール電極)及び第2電極(プッシュプルボルト付きの角型電極群)が80℃になるように調節保温し、ロール電極はドライブで回転させて次のように薄膜形成を行った。3基とも第1電源には5kHz及び第2電源には13.56MHzを使用した。なお、高周波電源については、第1電源の電界強度(V)、第2電源の電界強度(V)、この放電空間における放電開始電界強度(IV)との関係がV>IV>Vになるよう電解を調整した。なお、何れもフィルタは各印加電極からの電流が逆流しないようなものを設置した。対向電極間(放電空間)の圧力は103kPaとし、下記のガスをそれぞれの放電空間及びプラズマ放電処理装置内部に満たし、上記クリアハードコート層塗設済み基材のクリアハードコート層の上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に連続してプラズマ放電薄膜形成を行い、目標膜厚を、中屈折率層については77nm(n=1.70)、高屈折率層については65nm(n=1.85)、また低屈折率層については95nm(n=1.45)となるように、3層積層の反射防止フィルムを作製した。
【0130】
Figure 2005002417
上記のように薄膜形成した反射防止フィルムの基材フィルムの幅手方向の反射率を、大塚電子社製の分光反射率測定機MCPD−3000で薄膜形成されている移送中の基材を連続的に幅手方向にスキャンしながら測定し、得られた比較例2の最低反射率の幅手方向のプロファイルを、図16に示す。
【0131】
(結果)
図16より明らかなように、幅手方向において、最低反射率が平均値(平均最低反射率)よりも約0.05%ずれていた。なお、この時の目標値は、最低反射率分布として、最低平均反射率(0.1)±0.02である。
【0132】
実施例2
上記比較例2において、予め求めた調整量と最低反射率変化量との検量線に基づいて、比較例2で幅手方向に膜厚が異常な位置(例えば、220mm位置)に相当する角型電極に付いているプッシュプルボルトを回転し、部分的に膜厚を調整した他は比較例2と同様に行い、同様にして得られた実施例2の幅手方向の最低反射率のプロファイルを、図17に示す。
【0133】
(結果)
図17からわかるように、プッシュプルボルトの調整後に薄膜形成した反射防止フィルムは、ほぼ目標値の反射率(目標値からのずれ0.02%以下)のものが得られ、本発明の均一化手段が有効であることがわかった。
【0134】
比較例3
比較例2のプッシュプルボルト付きの角形電極を、図10のような幅手方向のガスの流量を部分的に修正する複数のバルブによる調整手段を有する電極とした以外は、比較例2と同様に反射防止フィルムを作製した。なお、この比較例3における角筒型電極は、図2に示した角筒型電極群と同様に配列されており、該角筒型電極群の電極と電極との間にのスリットを上部に延長して壁で囲い、角筒型電極の幅手方向に10個のバルブを図9のように設置した。また、全てのバルブは同じ一定の開度にしてある。
【0135】
連続的に移送している薄膜形成された反射防止フィルムの反射防止層の幅手方向の最低反射率を、比較例2と同様の分光反射率測定機にてスキャンし、得られた比較例3の最低反射率の幅手方向のプロファイルを、図18に示す。
【0136】
(結果)
図18からわかるように、基材フィルムの幅手方向の右側から1/3の位置(450〜480mm位置)に平均最低反射率より0.05%凹んだ箇所があった。
【0137】
実施例3
比較例3において、予め求めたバルブの開度と最低反射率変化量との検量線に基づいて、比較例3で凹んだ位置に相当する箇所の全てのバルブ(3基の薄膜形成装置のその箇所に相当する位置の全てのバルブ)の開度を自動的に調整して、薄膜形成を続けた。分光反射率測定機により、移送している反射防止フィルムの幅手方向の最低反射率をスキャンし、得られた実施例3の最低反射率の幅手方向のプロファイルを、図19に示す。
【0138】
(結果)
図19からわかるように、バルブの開度を適宜変更して膜厚分布を調整した実施例3の反射防止フィルムは、全幅における最低反射率がほぼ平均最低反射率に近く、本発明の均一化手段が有効であることがわかった。
【0139】
【発明の効果】
本発明により、基材の移送方向に生じる不均一部分を均一化することができる薄膜形成方法及び薄膜形成装置を提供することができ、更に、本発明の薄膜形成方法及び薄膜形成装置を用いて得られた高機能性薄膜を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の薄膜形成装置の別の一例を示す概略図である。
【図3】図2に示したロール電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図4】図2に示されている角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図5】電極の幅手方向を部分的にヒートボルトによる対向電極間隙の制御手段を有する電極の一例を示す概略的正面図である。
【図6】電極の長手方向を部分的にプッシュプルボルトによる対向電極間隙の制御手段を有する電極の一例を示す概略的正面図である。
【図7】電極に固着されている熱変形プレートを有する対向電極間隙の制御手段を有する電極の一例を示す概略的正面図である。
【図8】対向電極間隙を、一方の電極を傾け楔形にした対向電極を示した概略的正面図である。
【図9】電極間のスリットの長手方向に供給するガスの流量を部分的に修正するバルブの均一化手段を有する電極を示す概略的斜視図である。
【図10】図9の複数のバルブの均一化手段を有する電極を立体的に見た概略的斜視図である。
【図11】本発明に有用な電極間スリットの長手方向にガスの流量を部分的に修正する複数のチョークバーの均一化手段を有する電極を例示した概略的斜視図である。
【図12】ガス供給口内にあるチョークバーの様子を示す概略的断面図である。
【図13】ガス供給口のスリットの幅を変化させて、長手方向にガス流量を調節出来る均一化手段を有する電極を例示した概略的斜視図である。
【図14】比較例1の幅手方向の膜厚のプロファイルである。
【図15】実施例1の幅手方向の膜厚のプロファイルである。
【図16】比較例2の幅手方向の最低反射率のプロファイルである。
【図17】実施例2の幅手方向の最低反射率のプロファイルである。
【図18】比較例3の幅手方向の最低反射率のプロファイルである。
【図19】実施例3の幅手方向の最低反射率のプロファイルである。
【符号の説明】
240、241 電極
242 スリット
243 ガス供給管
244 バルブ
245 放電空間
246 ガス供給口
G ガス
F 基材

Claims (21)

  1. 大気圧もしくはその近傍の圧力下、幅手方向に長さを有する放電空間に薄膜形成ガスを含有するガスを供給し、前記放電空間に高周波電界を印加して前記ガスを励起し、前記放電空間の幅手方向に対し交差する方向に移動する基材を、前記励起したガスに晒すことにより、前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
    前記放電空間の放電条件を構成する因子の少なくとも一つを、前記幅手方向の少なくとも一部において変化させ、前記基材上に形成される薄膜の幅手方向の膜厚を均一化することを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記基材上に形成された薄膜の幅手方向の膜厚分布を検出し、前記検出した結果に基づいて、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた部分の前記因子を、ずれた厚さに応じて変化させることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 前記膜厚分布の検出が、エリプソメータまたは分光反射率測定機によって行われることを特徴とする請求項2に記載の薄膜形成方法。
  4. 前記因子が、前記放電空間を構成する対向電極の間隙長であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  5. 前記間隙長を、前記幅手方向で連続的に変化させることを特徴とする請求項4に記載の薄膜形成方法。
  6. 前記対向電極の間隙長の変化を、前記対向電極に埋め込まれたヒートボルト、前記対向電極に埋め込まれたプッシュプルボルトおよび前記対向電極と一体に取り付けられた熱変形プレートから選ばれる少なくとも一つにより行うことを特徴とする請求項4または5に記載の薄膜形成方法。
  7. 前記因子が、前記放電空間に供給されるガス流量であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  8. 前記ガス流量を、前記幅手方向で連続的に変化させることを特徴とする請求項7に記載の薄膜形成方法。
  9. 前記ガス流量の変化を、前記ガスを前記放電空間に供給する複数のガス供給管に設けられたバルブまたはガス供給口の近傍に設けられたチョークバーの少なくとも一方により行うことを特徴とする請求項8に記載の薄膜形成方法。
  10. 前記放電空間に薄膜形成ガスを供給するガス供給口が、前記幅手方向に開口を有するスリットから構成され、スリットの幅を幅手方向で連続的に変化させてガス供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の薄膜形成方法。
  11. 前記スリットの幅の調整手段が、スリットを構成する部材に埋め込まれたヒートボルト、スリット構成部材に埋め込まれたプッシュプルボルト及びスリット構成部材と一体となって取り付けられた熱変形プレートから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項10に記載の薄膜形成方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の薄膜形成方法により作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
  13. 大気圧もしくはその近傍の圧力下、基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、幅手方向に長さを有する対向電極、前記対向電極間にガスを供給するガス供給手段、前記対向電極間に高周波電界を印加する高周波電界印加手段、前記幅手方向に対して交差する方向に基材を搬送させる搬送手段および前記対向電極間の放電条件を構成する因子の少なくとも一つを、前記幅手方向の少なくとも一部において変化させ、前記基材上に形成される薄膜の幅手方向の膜厚を均一化する調整手段を有することを特徴とする薄膜形成装置。
  14. 前記基材上に形成された薄膜の前記幅手方向の膜厚分布を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された検出結果において、目標膜厚から所定の厚さ以上ずれた部分の前記因子を、ずれた厚さに応じて変化させるように前記調整手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする請求項13に記載の薄膜形成装置。
  15. 前記検出手段が、エリプソメータまたは分光反射率測定機であることを特徴とする請求項14に記載の薄膜形成装置。
  16. 前記調整手段が、前記幅手方向の少なくとも一部において前記対向電極の間隙長を変化させる間隙長調整手段であることを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
  17. 前記間隙長調整手段が、電極に埋め込まれたヒートボルト、電極に埋め込まれたプッシュプルボルト及び電極と一体型に取り付けた熱変形プレートから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項16に記載の薄膜形成装置。
  18. 前記調整手段が、前記幅手方向の少なくとも一部において前記ガス供給手段から供給されるガス流量を変化させるガス流量調整手段であることを特徴とする請求項13または14に記載の薄膜形成装置。
  19. 前記ガス流量調整手段が、複数のガス供給管に設けられたバルブまたはガス供給口近傍に複数設けられたチョークバーであることを特徴とする請求項18に記載の薄膜形成装置。
  20. 前記対向電極は第1電極および第2電極を対向させてなり、前記高周波電界印加手段は、第1の高周波電解を印加する第1電源および第2の高周波電解を印加する第2電源を有し、前記第1電源は前記第1電極に、前記第2電源は前記第2電極に接続されていることを特徴とする請求項13〜19のいずれか1項に記載の薄膜形成装置。
  21. 請求項13〜20のいずれか1項に記載の薄膜形成装置を用いて作製されたことを特徴とする高機能性薄膜。
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