JP2005002286A - ポリウレタン接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】イソシアネートモノマーの残留量が非常に少ないポリウレタン接着剤の提供。
【解決手段】ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる流動性付与剤もしくは軟化剤10〜40重量部とからなり、接着剤中のイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤。
【選択図】 なし
【解決手段】ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる流動性付与剤もしくは軟化剤10〜40重量部とからなり、接着剤中のイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とするポリウレタン接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウレタンプレポリマーを主成分とするポリウレタン接着剤において接着剤中に残存するイソシアネートモノマーの残留量をできる限り少なくすること、即ち、接着剤からイソシアネートモノマーが揮発しないことが望まれている。
【0003】
上記問題を解決するために単官能基化合物(ターミネーター)を用いて、多官能イソシアネートモノマーを化学的に修飾することによりイソシアネートモノマーの揮発性を低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では樹脂組成物に含まれるイソシアネートモノマーの残留量を低減させることができない場合がある。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−504350号公報
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、イソシアネートモノマーの残留量が非常に少ないポリウレタン接着剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる流動性付与剤もしくは軟化剤10〜40重量部とからなり、接着剤中のジイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤である。
【0007】
請求項2記載の発明は、ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる増粘剤もしくはホットメルト性付与樹脂10〜40重量部とからなり、接着剤中のジイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤である。
【0008】
請求項3記載の発明は、イソシアネートモノマーがメタフェニレンジイソシアネートである請求項1又は2に記載のポリウレタン接着剤である。
【0009】
本発明におけるポリウレタン接着剤は、湿気により架橋反応が進行する湿気硬化型接着剤であり、これらは室温で液体もしくは固体であり、主成分として含有するウレタンプレポリマーは分子鎖中にウレタン結合を有しており分子末端には反応性の高いイソシアネート基を有している。
【0010】
接着剤が液状である場合は、常温もしくは流動性を高めるために接着剤を加熱して適度な流動状態で使用される。塗布された接着剤は被着体の接合の後、周囲環境からの湿気によってイソシアネート基が活性化されウレタンプレポリマー同士が架橋して有機溶剤に対する難溶性成分(ゲル成分)を多く含む接着剤硬化物を形成する。
また、接着剤が固体である場合は、ホットメルト接着剤として用いられ、加熱溶融させて流動性を付与させた状態で使用される。一旦溶融させた接着剤は被着体が接合された後に、室温環境下で冷却され短時間で流動性を失い固化する。固化した接着剤はウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基が周囲環境からの湿気によって活性化されウレタンプレポリマー同士が架橋して有機溶剤に対する難溶性成分(ゲル成分)を多く含む接着剤硬化物を形成する。
【0011】
本発明において用いられるウレタンプレポリマーとは、分子末端に水酸基を有するポリオールと、分子末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの付加反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物の総称である。
【0012】
上記分子末端に水酸基を有するポリオールとしては、ポリウレタンの製造に通常用いられている従来より公知のポリオールを使用することができる。このようなポリオールの例としてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは2官能のポリオールが好適に用いられる。より具体的には、上記ポリエステルポリオールとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピクリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオールや、又 それ以外にε−カプロラクタムを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオールが挙げられる。
【0013】
上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、上記ポリアルキレンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられ、上記ポリカーボネートポリオールとしてはポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。上述したこれらのポリオールは単独で用いられても良く、2種以上を混合して用いられても良い。
【0014】
また、上記ポリイソシアネートとしては、2官能のポリイソシアネートが好適に用いられ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの液状変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネートのうち蒸気圧や毒性、扱いやすさの面からジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその変性物が好ましい。また、MDIはイソシアネートモノマー残留量を低減指せにくいが、本発明によれば、効果的に低減させることができる。
【0015】
上記ウレタンプレポリマーの合成方法としては特に限定されないが、例えば、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、ポリオール中の水酸基(OH)に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基(NCO)の比率(NCO/OH)がモル比で1.5〜2.5の割合で混合し、窒素気流中で、80〜100℃程度の温度で3〜5時間程度反応させる方法が好適である。NCO/OH(モル比)が1.5未満であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎて、湿気硬化型接着剤に用いることができないことがある。NCO/OH(モル比)が2.5を超えると、本発明のポリウレタン樹脂組成物の硬化時に発泡が起こり易くなって硬化物の凝集力が低下し、充分な接着強度を得られないことがある。
【0016】
また上記ポリウレタン接着剤には必要に応じて、ウレタンプレポリマーと非相溶の熱可塑性樹脂、例えば、SBS,SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性ゴムやPP、PE、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂等が添加されてもよい。これらの熱可塑性樹脂を添加することにより接着剤硬化物の強度を高めることができる。
また、融点もしくは軟化点が低いウレタンプレポリマーにこれらの熱可塑性樹脂を添加することによりウレタンプレポリマーの融点もしくは軟化点をホットメルト型接着剤の使用温度にまで上昇させることができるので、ウレタン接着剤にホットメルト性を付与することもできる。
【0017】
本発明における軟化剤もしくは流動性付与剤は、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる樹脂である。活性水素を持たない樹脂とは、ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と反応する官能基を持たない樹脂のことであり、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有さない樹脂のことである。具体的には、末端をエステル化したポリエステル樹脂、アクリル樹脂、末端をアルキル化したポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0018】
また、数平均分子量が300〜10000である低分子量重合体であるので溶剤や汎用可塑剤などに比べて揮発性が低くウレタン接着剤から揮発して接着剤の性状を変化させることがない。さらに極性ポリマーであるので、ポリエチレン等の非極性ポリマーと異なりウレタンプレポリマーに溶解しやすく多量に添加しても接着剤の接着特性を低下させることがない。
【0019】
本発明における増粘剤もしくはホットメルト性付与剤は、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量ポリマーからなる樹脂である。活性水素を持たない樹脂とは、ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と反応する官能基を持たない樹脂のことであり、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有さない樹脂のことである。具体的には、末端をエステル化したポリエステル樹脂、アクリル樹脂、末端をアルキル化したポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0020】
また、数平均分子量が300〜10000である低分子量重合体であるので溶剤や汎用可塑剤などに比べて揮発性が低くウレタン接着剤から揮発して接着剤の性状を変化させることがない。さらに極性ポリマーであるので、ポリエチレン等の非極性ポリマーと異なりウレタンプレポリマーに溶解しやすく多量に添加しても接着剤の接着特性を低下させることがない。
【0021】
なお、本発明においてウレタン接着剤を液状接着剤とする場合には、上記極性ポリマーを増粘剤もしくは流動性付与剤として用いる。ここで、ウレタンプレポリマーよりも粘度が高い液状樹脂、半固形樹脂、固形樹脂などは増粘剤として用いることができ、ウレタンプレポリマーよりも粘度が低い液状樹脂は流動性付与剤として用いることができる。
また、ウレタン接着剤をホットメルト型接着剤とする場合は上記極性モノマーをホットメルト性付与樹脂もしくは軟化剤として用いる。ここで、ホットメルト型接着剤として溶融させる温度におけるウレタンプレポリマーの粘度よりも粘度が高い樹脂は増粘剤として用いることができ、ウレタンプレポリマーよりも粘度が低い樹脂は軟化剤として用いることができる。なお、これらの樹脂は接着剤を溶融させる温度で溶融状態となる樹脂であれば常温で液状、半固形、固形のいずれの樹脂であってもよい。
【0022】
本発明にかかるポリウレタン接着剤には必要に応じて、パラフィンワックスもしくはマイクロクリスタリンワックス等のワックス類、無機及び有機充填剤、3級アミンや有機金属化合物等の湿気硬化反応触媒が添加されてあってもよい。
【0023】
(作用)
本発明のウレタン接着剤は、流動性の比較的低い固形あるいは粘度の高いウレタンプレポリマーに対して活性水素を持たない軟化剤もしくは流動性付与剤を多量に含有することにより、ウレタンプレポリマーに残留するイソシアネートモノマーがウレタン接着剤の粘度が著しく増加することなく希釈され、ウレタン接着剤として適切な粘度となるとともに接着剤に含まれるイソシアネートモノマーの残留量が低減される。
【0024】
また、流動性の比較的高い粘度の低い液状のウレタンプレポリマーに対して活性水素基を持たない増粘剤もしくはホットメルト性付与樹脂を多量に含有することにより、ウレタンプレポリマーに残留するイソシアネートモノマーがウレタン接着剤の粘度が著しく増加することなく希釈され、ウレタン接着剤として適切な粘度となるとともに接着剤に含まれるイソシアネートモノマーの残留量が低減される。
なお、適当な粘度のウレタンプレポリマーに対しては、軟化剤と増粘剤とを併用して用いることによりウレタン接着剤の粘度を適当な範囲に保ったままウレタンプレポリマーが希釈される。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例は下記表で示される配合表に従って配合された。そして得られた接着剤に残留するMDI残存量を測定した。なお、MDI残存量は残留するイソシアネートモノマーとウレタンプレポリマーがもつイソシアネート基をメタノールと反応させ接着剤中に存在するイソシアネート基のすべてを化学的に修飾した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて残留するMDIに由来するピーク面積を測定し接着剤中の残留量を算出した。
【0026】
実施例1
ポリエステルポリオール(日本ユピカ社製、商品名:PX−2216D、融点105℃、水酸基価32)950重量部と軟化剤(分子末端がエステル化されたポリエステルオリゴマー(伊藤製油社製、商品名:MAR))50重量部と安定剤(トリフェニルフォスフェート(略称:TPP))10重量部を120℃にて加熱溶融し、1.3Pa以下に減圧した環境下で30分間脱水した。
しかる後、組成物を100℃まで加熱した後、窒素雰囲気下でジフェニルメタンジイソシアネート(略称:MDI)[三菱化学社製、商品名:Isonatel125M]135重量部を添加した。混合物を2時間溶融混合した後、960Paに減圧した環境下で組成物を20分間攪拌して脱泡を行い、常温環境下で冷却して常温で固形のウレタン接着剤を得た。
【0027】
実施例2
数平均分子量約10,000のポリエチルアクリレート50重量部を軟化剤としたこと以外は実施例1と同様にしてウレタン接着剤を調整した。得られたウレタン接着剤は常温で固体であった。
【0028】
〔評価〕
上記で得られた接着剤について、100℃での粘度、MDI残存量を測定した。結果を表1に纏めた。
(粘度)
接着剤を100℃に加熱し、B型粘度計にて粘度を測定した。
(MDI残存量)
接着剤中に残留するイソシアネートモノマーとウレタンプレポリマーがもつイソシアネート基をメタノールと反応させ接着剤中に存在するイソシアネート基のすべてを化学的に修飾した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて残留するMDIに由来するピーク面積を測定し接着剤中の残留量を算出した。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1および実施例2はウレタンプレポリマーが希釈され接着剤に残留するMDIの残留濃度が低く100℃で適度な粘度の溶融樹脂となるのでホットメルト型接着剤として適当な樹脂組成物であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のウレタン接着剤は、残留イソシアネートモノマー濃度が低く、接着剤として適当な粘度を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを主成分とするポリウレタン接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウレタンプレポリマーを主成分とするポリウレタン接着剤において接着剤中に残存するイソシアネートモノマーの残留量をできる限り少なくすること、即ち、接着剤からイソシアネートモノマーが揮発しないことが望まれている。
【0003】
上記問題を解決するために単官能基化合物(ターミネーター)を用いて、多官能イソシアネートモノマーを化学的に修飾することによりイソシアネートモノマーの揮発性を低減する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では樹脂組成物に含まれるイソシアネートモノマーの残留量を低減させることができない場合がある。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−504350号公報
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は、イソシアネートモノマーの残留量が非常に少ないポリウレタン接着剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる流動性付与剤もしくは軟化剤10〜40重量部とからなり、接着剤中のジイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤である。
【0007】
請求項2記載の発明は、ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる増粘剤もしくはホットメルト性付与樹脂10〜40重量部とからなり、接着剤中のジイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であるポリウレタン接着剤である。
【0008】
請求項3記載の発明は、イソシアネートモノマーがメタフェニレンジイソシアネートである請求項1又は2に記載のポリウレタン接着剤である。
【0009】
本発明におけるポリウレタン接着剤は、湿気により架橋反応が進行する湿気硬化型接着剤であり、これらは室温で液体もしくは固体であり、主成分として含有するウレタンプレポリマーは分子鎖中にウレタン結合を有しており分子末端には反応性の高いイソシアネート基を有している。
【0010】
接着剤が液状である場合は、常温もしくは流動性を高めるために接着剤を加熱して適度な流動状態で使用される。塗布された接着剤は被着体の接合の後、周囲環境からの湿気によってイソシアネート基が活性化されウレタンプレポリマー同士が架橋して有機溶剤に対する難溶性成分(ゲル成分)を多く含む接着剤硬化物を形成する。
また、接着剤が固体である場合は、ホットメルト接着剤として用いられ、加熱溶融させて流動性を付与させた状態で使用される。一旦溶融させた接着剤は被着体が接合された後に、室温環境下で冷却され短時間で流動性を失い固化する。固化した接着剤はウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基が周囲環境からの湿気によって活性化されウレタンプレポリマー同士が架橋して有機溶剤に対する難溶性成分(ゲル成分)を多く含む接着剤硬化物を形成する。
【0011】
本発明において用いられるウレタンプレポリマーとは、分子末端に水酸基を有するポリオールと、分子末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの付加反応により得られる末端にイソシアネート基を有する化合物の総称である。
【0012】
上記分子末端に水酸基を有するポリオールとしては、ポリウレタンの製造に通常用いられている従来より公知のポリオールを使用することができる。このようなポリオールの例としてはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリアルキレンポリオール及びポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは2官能のポリオールが好適に用いられる。より具体的には、上記ポリエステルポリオールとしては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン−1,5−ジカルボン酸、ナフタリン−2,6−ジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピクリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボン酸等のジカルボン酸と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール等のポリオールとの反応により得られるポリエステルポリオールや、又 それ以外にε−カプロラクタムを開環重合して得られるポリ−ε−カプロラクトンポリオールが挙げられる。
【0013】
上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコール等が挙げられ、上記ポリアルキレンポリオールとしてはポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール、水素化ポリイソプレンポリオール等が挙げられ、上記ポリカーボネートポリオールとしてはポリヘキサメチレンカーボネートポリオール、ポリシクロヘキサンジメチレンカーボネートポリオール等が挙げられる。上述したこれらのポリオールは単独で用いられても良く、2種以上を混合して用いられても良い。
【0014】
また、上記ポリイソシアネートとしては、2官能のポリイソシアネートが好適に用いられ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートの液状変性物、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネートのうち蒸気圧や毒性、扱いやすさの面からジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその変性物が好ましい。また、MDIはイソシアネートモノマー残留量を低減指せにくいが、本発明によれば、効果的に低減させることができる。
【0015】
上記ウレタンプレポリマーの合成方法としては特に限定されないが、例えば、ポリオールとポリイソシアネート化合物とを、ポリオール中の水酸基(OH)に対するポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基(NCO)の比率(NCO/OH)がモル比で1.5〜2.5の割合で混合し、窒素気流中で、80〜100℃程度の温度で3〜5時間程度反応させる方法が好適である。NCO/OH(モル比)が1.5未満であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎて、湿気硬化型接着剤に用いることができないことがある。NCO/OH(モル比)が2.5を超えると、本発明のポリウレタン樹脂組成物の硬化時に発泡が起こり易くなって硬化物の凝集力が低下し、充分な接着強度を得られないことがある。
【0016】
また上記ポリウレタン接着剤には必要に応じて、ウレタンプレポリマーと非相溶の熱可塑性樹脂、例えば、SBS,SIS、SEBS、SEPS等の熱可塑性ゴムやPP、PE、α−オレフィン共重合体等のポリオレフィン樹脂等が添加されてもよい。これらの熱可塑性樹脂を添加することにより接着剤硬化物の強度を高めることができる。
また、融点もしくは軟化点が低いウレタンプレポリマーにこれらの熱可塑性樹脂を添加することによりウレタンプレポリマーの融点もしくは軟化点をホットメルト型接着剤の使用温度にまで上昇させることができるので、ウレタン接着剤にホットメルト性を付与することもできる。
【0017】
本発明における軟化剤もしくは流動性付与剤は、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる樹脂である。活性水素を持たない樹脂とは、ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と反応する官能基を持たない樹脂のことであり、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有さない樹脂のことである。具体的には、末端をエステル化したポリエステル樹脂、アクリル樹脂、末端をアルキル化したポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0018】
また、数平均分子量が300〜10000である低分子量重合体であるので溶剤や汎用可塑剤などに比べて揮発性が低くウレタン接着剤から揮発して接着剤の性状を変化させることがない。さらに極性ポリマーであるので、ポリエチレン等の非極性ポリマーと異なりウレタンプレポリマーに溶解しやすく多量に添加しても接着剤の接着特性を低下させることがない。
【0019】
本発明における増粘剤もしくはホットメルト性付与剤は、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量ポリマーからなる樹脂である。活性水素を持たない樹脂とは、ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基と反応する官能基を持たない樹脂のことであり、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を有さない樹脂のことである。具体的には、末端をエステル化したポリエステル樹脂、アクリル樹脂、末端をアルキル化したポリエーテルポリオール、等が挙げられる。
【0020】
また、数平均分子量が300〜10000である低分子量重合体であるので溶剤や汎用可塑剤などに比べて揮発性が低くウレタン接着剤から揮発して接着剤の性状を変化させることがない。さらに極性ポリマーであるので、ポリエチレン等の非極性ポリマーと異なりウレタンプレポリマーに溶解しやすく多量に添加しても接着剤の接着特性を低下させることがない。
【0021】
なお、本発明においてウレタン接着剤を液状接着剤とする場合には、上記極性ポリマーを増粘剤もしくは流動性付与剤として用いる。ここで、ウレタンプレポリマーよりも粘度が高い液状樹脂、半固形樹脂、固形樹脂などは増粘剤として用いることができ、ウレタンプレポリマーよりも粘度が低い液状樹脂は流動性付与剤として用いることができる。
また、ウレタン接着剤をホットメルト型接着剤とする場合は上記極性モノマーをホットメルト性付与樹脂もしくは軟化剤として用いる。ここで、ホットメルト型接着剤として溶融させる温度におけるウレタンプレポリマーの粘度よりも粘度が高い樹脂は増粘剤として用いることができ、ウレタンプレポリマーよりも粘度が低い樹脂は軟化剤として用いることができる。なお、これらの樹脂は接着剤を溶融させる温度で溶融状態となる樹脂であれば常温で液状、半固形、固形のいずれの樹脂であってもよい。
【0022】
本発明にかかるポリウレタン接着剤には必要に応じて、パラフィンワックスもしくはマイクロクリスタリンワックス等のワックス類、無機及び有機充填剤、3級アミンや有機金属化合物等の湿気硬化反応触媒が添加されてあってもよい。
【0023】
(作用)
本発明のウレタン接着剤は、流動性の比較的低い固形あるいは粘度の高いウレタンプレポリマーに対して活性水素を持たない軟化剤もしくは流動性付与剤を多量に含有することにより、ウレタンプレポリマーに残留するイソシアネートモノマーがウレタン接着剤の粘度が著しく増加することなく希釈され、ウレタン接着剤として適切な粘度となるとともに接着剤に含まれるイソシアネートモノマーの残留量が低減される。
【0024】
また、流動性の比較的高い粘度の低い液状のウレタンプレポリマーに対して活性水素基を持たない増粘剤もしくはホットメルト性付与樹脂を多量に含有することにより、ウレタンプレポリマーに残留するイソシアネートモノマーがウレタン接着剤の粘度が著しく増加することなく希釈され、ウレタン接着剤として適切な粘度となるとともに接着剤に含まれるイソシアネートモノマーの残留量が低減される。
なお、適当な粘度のウレタンプレポリマーに対しては、軟化剤と増粘剤とを併用して用いることによりウレタン接着剤の粘度を適当な範囲に保ったままウレタンプレポリマーが希釈される。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例および比較例は下記表で示される配合表に従って配合された。そして得られた接着剤に残留するMDI残存量を測定した。なお、MDI残存量は残留するイソシアネートモノマーとウレタンプレポリマーがもつイソシアネート基をメタノールと反応させ接着剤中に存在するイソシアネート基のすべてを化学的に修飾した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて残留するMDIに由来するピーク面積を測定し接着剤中の残留量を算出した。
【0026】
実施例1
ポリエステルポリオール(日本ユピカ社製、商品名:PX−2216D、融点105℃、水酸基価32)950重量部と軟化剤(分子末端がエステル化されたポリエステルオリゴマー(伊藤製油社製、商品名:MAR))50重量部と安定剤(トリフェニルフォスフェート(略称:TPP))10重量部を120℃にて加熱溶融し、1.3Pa以下に減圧した環境下で30分間脱水した。
しかる後、組成物を100℃まで加熱した後、窒素雰囲気下でジフェニルメタンジイソシアネート(略称:MDI)[三菱化学社製、商品名:Isonatel125M]135重量部を添加した。混合物を2時間溶融混合した後、960Paに減圧した環境下で組成物を20分間攪拌して脱泡を行い、常温環境下で冷却して常温で固形のウレタン接着剤を得た。
【0027】
実施例2
数平均分子量約10,000のポリエチルアクリレート50重量部を軟化剤としたこと以外は実施例1と同様にしてウレタン接着剤を調整した。得られたウレタン接着剤は常温で固体であった。
【0028】
〔評価〕
上記で得られた接着剤について、100℃での粘度、MDI残存量を測定した。結果を表1に纏めた。
(粘度)
接着剤を100℃に加熱し、B型粘度計にて粘度を測定した。
(MDI残存量)
接着剤中に残留するイソシアネートモノマーとウレタンプレポリマーがもつイソシアネート基をメタノールと反応させ接着剤中に存在するイソシアネート基のすべてを化学的に修飾した後、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて残留するMDIに由来するピーク面積を測定し接着剤中の残留量を算出した。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1および実施例2はウレタンプレポリマーが希釈され接着剤に残留するMDIの残留濃度が低く100℃で適度な粘度の溶融樹脂となるのでホットメルト型接着剤として適当な樹脂組成物であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のウレタン接着剤は、残留イソシアネートモノマー濃度が低く、接着剤として適当な粘度を有する。
Claims (3)
- ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる流動性付与剤もしくは軟化剤10〜40重量部とからなり、接着剤中のイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であることを特徴とするポリウレタン接着剤。
- ウレタンプレポリマー100重量部と、活性水素を持たず数平均分子量が300〜10000である低分子量極性ポリマーからなる増粘剤もしくはホットメルト性付与樹脂10〜40重量部とからなり、接着剤中のイソシアネートモノマー量が0.01〜4重量%であることを特徴とするポリウレタン接着剤。
- イソシアネートモノマーがメタフェニレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタン接着剤。
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2003
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