JP2004538265A - α−ケト酸誘導体を使用して3−セファロスポラン酸誘導体を製造する方法 - Google Patents
α−ケト酸誘導体を使用して3−セファロスポラン酸誘導体を製造する方法Info
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Abstract
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【表45】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【表46】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法。
式IVの化合物が、セファロスポリンC抗生物質およびその誘導体の製造に使用される。
式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【表45】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【表46】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法。
式IVの化合物が、セファロスポリンC抗生物質およびその誘導体の製造に使用される。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−ラクタム抗生物質の製造に使用される3−セファロスポリンC誘導体を製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、α−ケト酸中間体を使用して、3−アセトキシメチル−7−アミノ−セフ−3−エム−カルボン酸の3−チオール化誘導体(3−チオール化−7−ACA)を製造する、酵素による方法に関する。α−ケト酸またはα−オキソ酸は重要な生物薬剤学化合物である。
【背景技術】
【0002】
必須アミノ酸のオキソ酸は、機能性食品として(Pszcola,DE,Food Technol.52,30,1998)、また窒素蓄積疾患の治療のための治療剤として(Schaefer et al.,Kidney Int.Suppl.27,S136,1989;Buro et al,Biotechnol.Bioeng.44,1288,1994)、重要性を高めつつある。もう一つの重要な用途は、セファロスポリンC(3−アセトキシメチル−7β−(D−5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)セフ−3−エム−4−カルボン酸)からの、7−アミノセファロスポラン酸の製造(Savidge,TA;Biotechnology of Industrial Antibiotics,p171,Marcel Dekker,New York,1984)である。この転換は、DE 3447023号明細書(Hoechst)に記載されているように、Bacillus licheniforms ATCC 9945からのD−アミノ酸トランスアミナーゼによって実施することができ、該酵素は、セファロスポリンCをα−ケト酸によってα−ケトアジピル−7−ACAと、対応するD−α−アミノ酸とに転換する。この転換は、アミノ基転移反応であり、過酸化水素の放出なしで、セファロスポリンCのアミノ基が非酸化的にケト基に転換される。しかし、EP 0315786号明細書に述べられているように、前記酵素の活性は低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
3−チオール化−7−ACAセファロスポラン酸誘導体を製造する化学的な方法は、公知である(US 3,367,933号、BE 718,824号)が、いくつかの欠点があり、たとえば低温反応条件、高価で毒性の溶剤または試薬の使用、および工業的規模での工程実施を困難にする中間体の化学的不安定性、などの欠点がある。
【0004】
7−ACAにいたる化学的方法の欠点を克服するために、代替法として、セファロスポリンCの酵素による開裂が提案されている。セファロスポリンCの7´−アミノアジピン側鎖の直接的一ステップ除去が、特異性のセファロスポリンアシラーゼの使用によって可能である(FR 2,241,557号、US 4,774,179号、EP 283,248号、WO 9512680号、WO 9616174号)。しかし、これらの方法は、US 5,296,358号明細書に述べられているように、再現性がないことが多く、また低収率と長い反応時間という特性を有する。この方法(セファスポリンCの7−ACAへの一ステップでの転換)の工業的応用はいまのところまだ報告されていない(Parmar et al,Crit.Rev.Biotechnol.18,1,1998)。
【0005】
他方、セファロスポリンCを二つの酵素ステップによって7−ACAに転換する方法は、工業的な見地から重要である。第一段階は、いろいろな供給源(Trigonopsis variabilis、GB 1,272,769号;Rhodotorula gracilis、EP 0,517,200号;またはFusarium solari M−0718,EP 0,364,275号)からのD−アミノ酸オキシダーゼ(E.C. 1.4.3.3、以下DAAOと略記する)を使用することから成る。DAAOは、分子酸素の存在下で、セファロスポリンCのD−5−アミド−カルボキシペンタノイル側鎖を酸化して、7β−(5−カルボキシ−5−オキソペンタ−アミド)−セフ−3−エム−カルボン酸(または、α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸、以下ではα−ケトアジピル−7−ACAと略記する)と過酸化水素とを生成する。この過酸化水素は、α−ケトアジピル−7−ACAから化学的にカルボキシル基を除去して7β−(4−カルボキシブタンアミド)−セフ−3−エム−4−カルボン酸(または、グルタリル−7−アミノセファロスポラン酸、以下では「GL−7−ACA」と略記する)にする。
【0006】
第二段階においては、GL−7−ACAに対して特異性のあるアシラーゼすなわちグルタリル−7−アシラーゼ(E.C.3.5.1.3)が使用される。このアシラーゼは、たとえば、E.coliにおいて過剰に発現したPseudomonasタイプの微生物のアシラーゼ(US 3,960,662号、EP 0496993号)であり、GL−7−ACAからアシル基を除去して、7−アミノ−セフ−3−エム−4−カルボン酸(または7−アミノセファロスポラン酸、以下では「7−ACA」と略記する)にする。
【0007】
この二ステップの、7−ACAを得るための酵素による方法は、すでに工業的規模で使用されている(Conlon et al.Biotechnol.Bioeng.46,510,1995)。
【0008】
酵素による方法におけるもう一つの進展がEP 0846695に記載されており、この方法においては、固体グルタリル−7−ACAが、一つのイオウまたは酸素原子を有するかまたは有しない、少なくとも一つの窒素を有する複素環基と、反応させられて、3−修飾グルタリル−7−ACAが生成される。これらの3−誘導体は、対応する3−複素環チオメチル−7−ACA誘導体に、酵素転換される。
【0009】
この手順は酵素−化学−酵素(ECE)法と名づけることができる。というのは、分離されたGL−7−ACAが可溶化セファロスポリンCのバイオ転換によって得られ、次にGL−7−ACAが複素環チオールと反応し、最後に3−複素環チオ誘導体がGL−7−ACAアシラーゼによって酵素処理されるからである。WO 9535020号明細書に記載されているように、この方法の問題点は、GL−7−ACAの分離が必要であるということであり、GL−7−ACAは水溶性が大きいため、この方法には技術的な困難が伴い、また費用がかかる。
【0010】
もう一つの問題は、残留複素環チオールによる生体触媒の“失活(poisoning)”のため、酵素がわずか2、3回しか再使用できないということである。この失活効果は、使用されたチオールの一つ、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール(MMTD)に関して詳しく報告されている(Won et al,App.Biochem.Biotech.69,1,1998)。
【0011】
無細胞抽出液からのD−アミノ酸オキシダーゼ(D−AAO)を用いるか(GB 1,272,769号、Glaxo)、またはイーストTrigonopsis variabilisもしくはRhodotorula glutinis(EP 0517200号)のトルエン活性化(透過性にした(permeabilised))細胞(GB 1,385,685号)内のD−アミノ酸オキシダーゼを用いるかして、有気性の条件下で、セファロスポリンCのD−アジパミド側鎖を酸化脱アミノすることによりα−ケトアジピル−7−ACAを得ることが、報告されている。この反応においては、分子酸素が電子アクセプターとして作用して、過酸化水素に転換され、この過酸化水素は、α−ケトアジピル−7−ACAと化学反応し、そのカルボキシル基を除去してグルタリル−7−ACAを生じる。前記イーストの場合に生成される大量のカタラーゼが存在する場合、過酸化水素は、分解して、水と分子酸素になり、α−ケトアジピル−7−ACAとグルタリル−7−ACAとの混合物が生じる。α−ケトアジピル−7−ACAは非常に不安定で(GB 1,385,685号)、急速に分解して未知の生成物を生じ、したがって、イーストおよび菌株(strain)によるが、グルタリル−7−ACAの収率が90〜95%から60〜70%に低下する(Parmar et al,Crit.Rev.Biotechnol.18,1,1998;Rietharst,W.and Riechert,A,Chimia 53,600,1999)。そのため、工業的な応用はまだ報告されていない。
【0012】
したがって、3−チオール化−7−ACAセファロスポラン酸誘導体の工業的規模での製造のための効率的な改良された方法が必要である。さらに、重要な生物薬剤学的化合物である安定なα−ケト酸誘導体の単離が有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【化20】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化21】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0014】
好ましくは、式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、式IVの化合物に、酵素転換される。もっとも好ましくは、この酵素系は同時固定化(co−immobilised)D−アミノ酸オキシダーゼおよびカタラーゼから成る。
【0015】
好ましくは、酵素による転換は、分子酸素の存在下で、絶対圧1〜5bar、pH6.5〜8.0、温度15〜30℃において、30〜180分の時間にわたって実施される。
【0016】
好ましくは、この方法は、反応混合物から、酵素系を、好ましくはろ過によって、分離するステップを含む。
【0017】
本発明の一つの実施態様においては、この方法は、式IVの化合物を精製するステップを含む。
【0018】
もっとも好ましくは、式IVの化合物は吸着カラムを用いて精製される。好ましくは、酵素は、適当な架橋剤により、適当な固体担体に同時固定化される。酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形とすることができる。
【0019】
好ましくは、酵素プロセスは、酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。好ましくは、酵素プロセスは、カラム中で実施される。もっとも好ましくは、この方法は酵素を再使用のために回収するステップを含む。
【0020】
本発明の一つの実施態様においては、式IVの化合物は、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用される。
【0021】
好ましくは、式IIIおよびIVの化合物のR基は、少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを有する複素環基である。もっとも好ましくは、Rは、チエニル、ジアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの任意の誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルから成るグループの一つ以上から選択される複素環基である。
【0022】
本発明は、本発明の方法によって製造される式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体を提供する。
【0023】
本発明は、
式
【化22】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルである化合物、
を提供する。
【0024】
本発明は、
式
【化23】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが1−メチル−1H−テトラゾル−5−イルである化合物を提供する。
【0025】
本発明は、また、セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法での中間体としての式IVの化合物の使用あるいは用途(use)をも提供する。
【0026】
本発明は、また、セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法における、式
【化24】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イルである中間体化合物の使用あるいは用途、
をも提供する。
【0027】
本発明は、さらに、
本発明のセファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの化合物
【化25】
を生成させるステップを含み、
式Iにおいて、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
を提供する。
【0028】
好ましくは、式IVの化合物が、グルタリル−7−ACA アシラーゼを用いて、酵素転換させられて、式Iの化合物が生成され、もっとも好ましくは、酵素による処理は、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施される。好ましくは、酵素は、適当な架橋剤によって適当な固体担体に固定化される。
【0029】
好ましくは、酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形である。
【0030】
本発明の一つの実施態様においては、酵素による処理は、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。好ましくは、酵素プロセスはカラム中で実施される。もっとも好ましくは、本発明の方法は、再使用のために酵素を回収するステップを含む。
【0031】
本発明は、また、セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式Iの化合物の使用をも提供する。
【0032】
本発明は、さらに、
3−チオール化セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの化合物
【化26】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化27】
に、酵素によって転換させ、
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの3−チオール化7−ACA
化合物
【化28】
を生成させる、
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
を提供する。
【0033】
本発明の一つの実施態様においては、式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、一つのステップで式Iの化合物に酵素転換される。もっとも好ましく
は、酵素系は、固定化グルタリル−7−ACA アシラーゼの存在下の同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼという組合せから成る。好ましくは、酵素による処理は、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施される。もっとも好ましくは、酵素は、適当な架橋剤によって適当な固体担体に同時固定化される。
【0034】
好ましくは、酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形である。
【0035】
もっとも好ましくは、酵素プロセスは、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。
【0036】
好ましくは、酵素プロセスはカラム中で実施される。もっとも好ましくは、この方法は、再使用のために酵素を回収するステップを含む。
【0037】
本発明の一つの実施態様においては、式IIIの化合物は、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用される。
【0038】
本発明は、また、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
セファロスポリンCを、一般式IIのチオール化合物
R−SH II
と反応させて、式IIIの3−チオール化セファロスポリン化合物
【化29】
を生成させ、
式IIIの化合物の生成後に、過剰な式IIのチオールを除去する、
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
をも提供する。
【0039】
本発明の一つの実施態様においては、過剰なチオールは陰イオン交換樹脂への吸着によって除去される。好ましくは、陰イオン交換樹脂は架橋アクリルコポリマー構造を有する微孔質樹脂である。もっとも好ましくは、陰イオン交換樹脂は8%の架橋結合を含むチアルキルベンジルアンモニウム官能基から成る。この樹脂は、クロリド、ヒドロキシ、ホスフェート、またはアセテートサイクル(cycle)内にあることができる。
【0040】
本発明のもう一つの実施態様においては、過剰なチオールは結晶化によって除去される。好ましくは、この結晶化は酸性pHで実施される。
【0041】
本発明のさらに別の実施態様においては、過剰なチオールは、結晶化とそれに続く陰イオン交換樹脂による吸着とによって除去される。
【0042】
好ましくは、セファロスポリンCは水性媒質中にある。もっとも好ましくは、セファロスポリンCはセファロスポリンC濃厚溶液の形である。
【0043】
好ましくは、反応は、pH5.5〜8.0、温度60〜80℃で、1〜8時間にわたって実施される。もっとも好ましくは、反応は、pH約6.0、温度約65℃で実施される。
【0044】
本発明の一つの実施態様においては、チオール化合物は1〜5mol/(1molのセファロスポリンC)の量だけ存在する。
【0045】
好ましくは、Rは少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを含む複素環基である。もっとも好ましくは、Rは、チエニル、ジアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルの一つ以上から選択される複素環基である。
【0046】
本発明は、
式IIIの化合物
【化30】
であって、
Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基である、
ことを特徴とする化合物、
を提供する。
【0047】
本発明は、
式
【化31】
の化合物、すなわち式IIIにおいて、Rが5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イルであることを特徴とする化合物、
を提供する。
【0048】
さらに、本発明は、
式
【化32】
の化合物、すなわち式IIIにおいて、Rが1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−チアジン−3−イルであることを特徴とする化合物、
を提供する。
【0049】
本発明は、また、セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式IIIの化合物の使用あるいは用途をも提供する。
【0050】
本発明の一つの実施態様においては、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
前述の方法によって得られる、式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【化33】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化34】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0051】
本発明の一つの実施態様においては、
この方法が、さらに、
式IVの3−チオール化α−ケトアジピル7−ACA化合物
【化35】
を酵素によって転換させて、式Iの3−チオール化7−ACA化合物
【化36】
を生成させるステップを含み、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである。
【0052】
本発明のもう一つの実施態様においては、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物
【化37】
を酵素によって転換させて、式Iの化合物
【化38】
を生成させるステップを含み、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0053】
好ましくは、式IVの化合物をグルタリル−7−ACA アシラーゼによって酵素転換させて式Iの化合物を生成させる。
【0054】
もっとも好ましくは、式I、III、およびIVの化合物は、固体の形である
か、または該化合物の非毒性塩の形である。
【0055】
本発明は、
セファロスポリンC抗生物質およびその誘導体を製造する方法であって、
上で定めた式III、IV、およびIの化合物を生成させ、
そのあと、該化合物を酵素処理する、
ことから成ることを特徴とする方法、
を提供する。
【0056】
抗生物質は、セファゾリン、セファゼドン、セフォペラゾン、セファマンドール、セファトリアジン、セフォティアム、およびセフトリアクソンのうち一つ以上のものとすることができる。
【0057】
ここでの発見によれば、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系の存在下で、3−チオール化セファロスポリンC誘導体を酵素処理して、α−ケト酸誘導体にすることができる。これらのα−ケト酸誘導体は単離したときに安定であるということがわかった。したがって、一ステップまたは二つの連続酵素ステップによる、3−チオール化−7−ACA誘導体を得るための新しい改良された方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
本発明は、セファロスポリンCから式Iの化合物を製造する改良された効率的な方法に関する。
【化39】
この式において、Rは少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2は両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つは水素原子であり、他はアシルドナーである。
【0059】
本発明の方法は、新しい安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体中間体の生成に関する。あるいは、本発明は、中間体の生成なしで一回の単容器反応で実施することもできる。
【0060】
ここでの意外な発見によれば、セファロスポリンCの3−チオール化誘導体はカタラーゼの存在下でのD−アミノ酸オキシダーゼによる酵素処理反応のための非常に良い基質である。
【0061】
式IIIの3−チオール化−セファロスポリンC誘導体
【化40】
がセファロスポリンCから製造される。セファロスポリンC溶液は精製または粗製の形のものとすることができる。このセファロスポリンCは、セファロスポリンCの任意の非毒性塩の形とすることができる。
【0062】
3´位の求核置換反応(the reaction of nucleophilic substitution in the 3’ position)が、複素環チオールと任意の非毒性セファロスポリンC塩とを水に溶解させた水性媒質中で、水溶性塩、たとえばアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、または好ましくはアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩、を形成する塩基性化合物の添加によって実施される。一般に、前記のようにして生成される塩のほかに、任意の市販のセファロスポリンC塩と複素環チオールとを、本発明の方法において、方法の基本構成を変更することなく使用することができる。
【0063】
複素環チオールとセファロスポリンCとを別々の反応容器内でまたは一緒に溶解させたあと、両反応物を同じ反応器内で混合するが、その前または後に、溶液をpH値5.5〜7.0で約65〜80℃の温度に加熱する。
【0064】
反応が開始したら、温度とpHをそれぞれ好ましくは約65℃と6.0に、約1〜4時間にわたって維持する。
【0065】
複素環チオール/セファロスポリンCのモル比は、反応の収率に関して重要な変数であり、使用するそれぞれの複素環チオールに対して最適化しなければならない。このモル比は、1.0〜4.0であり、好ましくは約4である。
【0066】
ここでの観察によれば、これらのモル比において、セファロスポリンCは、チオールを含まないセファロスポリンC溶液の場合に比して、きわめて安定で、少ししかβ−ラクタム環分解を起こさない。チオールを含まない場合、セファロスポリンCは、80℃で、40分以内に完全に分解する。
【0067】
セファロスポリンCの濃度が初期量の2%を下回ったら、反応混合物を、強鉱酸(strong mineral acids)たとえばハロゲン化水素または酸素酸による、pHの3.0〜5.5好ましくは約5.2への酸性化ありまたはなしで、約2〜10℃の温度に冷却する。
【0068】
この酸性化ステップにより、場合によっては、複素環チオールの結晶化が起こり、新たな反応のための再使用の可能性も与えられる。
【0069】
式IIIの化合物が生成されたら、過剰なチオール基を選択的に除去することにより、式IIIのセファロスポリンC誘導体を、非常に低濃度の(<0.2mg/ml)の複素環チオールしか含まない、非常に高い純度で得ることができる。強陰イオン交換体Amberlite IRA−400(Rohm and Haas製)による高度に選択的な除去手順を使用する。この方法はいくつかの利点を有する。この方法により、式IIIの化合物を、次の工程ステップにおいて、酵素の失活なしで基質として使用することができる。したがって、酵素を反復使用することができる。さらに、この方法は、毒性試薬の使用を必要とせず、また中間体の分離を必要としないため、連続工程で実施することができる。
【0070】
いろいろな樹脂といろいろなタイプのクロマトグラフィーとが、工業的規模で使用できる。
【0071】
吸着、親水性−疎水性相互作用、陽イオン交換、および陰イオン交換にもとづいて、四種類の樹脂に分けて、いくつかの樹脂を試験した。吸着に関して試験したすべての樹脂(Amberlite XAD−761、Amberlite 7HP、Amberlite 16HP、およびAmberlite XAD−4)は、同様の結果を与え、溶出液は22〜38%の複素環チオールを含んでいた。疎水性−親水性相互作用樹脂Sephadex LH−20は、チオールを保持していなかった(<5%)。同様な状況は、陽イオン交換体Amberlite(登録商標) IRC−50、IR−120、およびIR−200に関しても見られた。しかし、陰イオン交換体は、弱陰イオン交換体(Amberlite IRA−93)の場合、57〜60%複素環チオールの最高の結合能力を有することがわかった。
【0072】
ここでの観察によれば、8%の架橋結合を含むトリアルキルベンジルアンモニウム官能基を有する強微孔質(ゲルタイプI)陰イオン(塩基性)交換樹脂Amberlite IRA−400が、最高の複素環チオール結合(92〜98%)と3´位複素環チオメチルセファロスポリンC誘導体の小さな結合(2〜15%、第一サイクルでは15%よりも小で、その後のサイクルでは5%よりも小)を与えた。
【0073】
そのような微孔質樹脂はいくつかの利点を与える。これらの樹脂は、あまり壊れやすくなく、取扱いにそれほど注意する必要がなく、また大きな負荷能力を有する。これらの樹脂は不連続気孔を有しないので、溶質イオンは、粒子を通って拡散して交換部位と相互作用する。前記樹脂の総交換能力は、1.4meq/mlの程度である。
【0074】
ここでの意外な発見によれば、Amberlite IRA−400は、セファロスポリンCの3´−複素環チオメチル誘導体に対しては、グルタリル−7−ACAおよび7−ACAの同じ誘導体に対してよりも、小さな結合能力を有する。実際、MMTDによって製造されたグルタリル−7−ACAの3´−複素環チオメチル誘導体は、カラムに76.3%のレベルで結合した。同じ結果は、MMTDによる、7−ACAの3´−複素環チオメチル誘導体の場合にも見られ、この誘導体は、カラムに92.7%のレベルで結合した。これら三つの同類β−ラクタム化合物に対するAmberlite IRA−400の予想外の挙動は、グルタリル−7−ACAおよび7−ACAと異なり、セファロスポリンCの側鎖の5位にイオン化可能なアミノ基が存在することによると考えられる。
【0075】
本発明の方法による複素環チオールの除去は、カラムからの溶出液を修飾セファロスポリンCの分離なしで酵素処理に使用することができるため、工業的規模の場合に特に有利であり、このやり方は、不純物がカラムに束縛されていてβ−ラクタム誘導体が水によって簡単に溶出するため、セファロスポリン中間体の分野に対して新しいコンセプトをもたらすものである。
【0076】
β−ラクタム誘導体が溶出された(<5%が束縛されて残留している)ならば、一般に、カラムを、いろいろな量の有機溶剤好ましくは10〜20%のアセトニトリルを含む強鉱酸たとえばハロゲン化水素の1.5N溶液によって再生させる。溶出液のチオール濃度が0.2mg/mlよりも大きい場合、3N HClと40%のアセトニトリルとによる強力な再生を実施することができる。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【0077】
複素環チオールの溶出後、このチオールを濃縮して再使用する。次のサイクルの前に、カラムを脱イオン水ですすいで、過剰な再生剤を除去する。最初の層体積のすすぎは、再生に使用する流量で実施すべきである。あとは吸着流量で実施する。
【0078】
式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、式IVの新しい安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体に酵素転換される。
【化41】
ここで、Rは、少なくとも一つの窒素原子を含み、一つのイオウまたは酸素原子を含むかまたは含まない複素環基である。
【0079】
同じ固体担体に同時固定化した酵素(D−AAOとカタラーゼ)の使用により、別々の担体による場合よりも、より十分な過酸化水素除去が可能になる。両酵素からなる生体触媒は、反応媒質から容易に回収することができ、何回も繰返し使用することができる。これは、工業的なプロセスの場合、必要欠くべからざる特性である。
【0080】
本発明のもう一つの工業的な利点は、強陰イオン交換樹脂(Amberlite(登録商標) IRA−400、Rohm and Haas製)によるクロマトグラフィーのあと、式IIIの化合物を含む化学溶液を、同時固定化酵素を含む酵素反応器に運ぶのが容易である、ということである。そのため、工程を、セファロスポリンCから化合物IVまで、単一の液体流で連続的に実施することができる。
【0081】
酵素による処理段階は、下記のようないくつかのやり方で実施することができる。
1)過剰な複素環チオールの除去と固定化D−AAOによるアミノ基酸化除去とのない化学反応。これらの条件下では、化合物IVが全β−ラクタムの約35〜40%まで蓄積し、これは、非修飾セファロスポリンCを使用する場合に生成されるα−ケトアジピル−7−ACAの5〜10%の蓄積よりも大きい。これは、化合物IVの安定性を示している。
2)上記1)と同じであるが、カタラーゼを含む。これらの条件下では、化合物IVの濃度が、溶液中の全β−ラクタムの70〜75%に達し、3−チオール化グルタリル−7−ACA(T´X´G)の濃度は10%よりも小である。しかし、固定化酵素およびカタラーゼは、高濃度(1mg/ml以上)の複素環チオールの存在のために、2、3サイクル以内に失活してしまう。
3)イオン交換クロマトグラフィーによる過剰な複素環チオールの除去と、同じ固体担体へのD−AAOとカタラーゼとの同時固定化とによる、化学反応。これらの条件下では、化合物IVは、使用pHによるが、全β−ラクタムの約80〜90%蓄積する。pH約6.5の場合、化合物IVは安定性が高く、蓄積は90%に達するが、D−AAOは活性が小さい(大量の生体触媒が必要である)。pH7.25付近では、酵素はより活性であるが、化合物IVは安定性が低く、蓄積は80%である。好ましいpHは、6.75であり、この場合には、D−AAO活性の最小限の低下と、化合物IVの良好な安定性とが得られる。
【0082】
前記のことからわかるように、手順3)が他よりも有利であるが、二つの酵素(D−AAOとカタラーゼ)を同時固定化して良好な生体触媒を得るためには、いくつかのパラメータを考慮する必要がある。
a)二つの酵素の供給源。本発明におけるD−AAOは微生物のスペインコレクション(CECT,Valencia,Spain)から得られたTrigonopss variabilis CBS 4091 から得られる。このイーストを、D−AAOを生じる条件下で成長させ(Kubicek et al,J.Appl.Biochem.7;104;1985)、酵素を、Szwjcer et al(Biotechnol.Lett.7,1,1985)が述べているような、30〜55%の硫酸アンモニウム分別によって精製した。アミノ酸オキシダーゼは、また、Rodotorula gracilis由来のものとすることもできる。Micrococcus lisodeikticus由来のカタラーゼを、商業的供給源(Fluka,Madrid,Spain)から得ることができるが、Aspergillas niger由来のものとすることもできる。
b)使用する固体担体。酵素を固定化するのに、いくつかの担体を使用することができる。もっとも普通のものは、Amberlite(登録商標)IRA 900(第四アミン官能基を有する強塩基性ポリスチレン樹脂)、Duolite(登録商標)A365(第一官能基を有する弱塩基性ポリスチレン樹脂)、Duolite(登録商標)A568(中程度の塩基性の縮重合フェノールホルムアルデヒド樹脂)、BrCN-活性化Sepharose(登録商標)、ビニルSepharose(登録商標)、およびEupergit C(登録商標)(ポリアクリル構造を土台とするもので、特にオキシラン末端基を有する)である。Eupergitのうち、市販されている二種類がCとC250Lである(Rohm Pharma)。後者のタイプが、高分子量酵素の結合のために特に適当である。オキシラン基の含有率が、Eupergit Cにおける0.93%に比して、少なくとも0.36%であるからである。このC250Lタイプは、工業的な生体触媒工程に使用した場合、顕著な特性を示す。担体の形態、すなわちその狭い粒子寸法分布(200μm)と高い機械的安定性とが、撹拌タンク反応器における良好な特性のもとである。このタイプは、撹拌システムにおいて機械的に破壊されず、また反応サイクルの終わりにおけるろ過が迅速かつ非常に簡単に実施される。pHとイオン強度との変化が基質(matrix)の膨潤に影響を与えない。さらに、このEupergit C250Lは、これまで固定化D−アミノ酸オキシダーゼおよびカタラーゼの固定化に使用されたことがない。
c)カタラーゼ単位/D−AAO単位の比。この比は、通常100よりも大きいが、効率的な過酸化水素の除去のために、好ましくは約1500である。一単位のD−AAOは、pH8.0、25℃で、基質としてセファロスポリンCを使用したとき、一分あたり1μmolのO2を分解する酵素の量であると定義される。一単位のカタラーゼは、pH7.0、25℃で、一分あたり1μmolの過酸化水素を分解する酵素の量であると定義される。
d)同時固定化の手順。いくつかの固定化プロトコルが使用できる。本発明で選択する一つの手順は、L−α−グリセロールホスフェートオキシダーゼをカタラーゼと同時固定化する、Cramer and Steckham(Tetrahedron,45,14645,1997)による方法を改変したものである。通常、Erlenmeyerフラスコ内で、100mgのEupergit C(登録商標)250Lを、1.5mlの共役(coupling)緩衝液(1.0Mリン酸カリウム緩衝液pH8.0)に懸濁させる。次に、10〜40UのD−AAOと10〜20kUのカタラーゼ(Fluka,cat♯60634)を、ゆっくりと加える。この混合物を穏やかにゆすりながら、16h間定温放置する。固定化手順のあと、ビーズをガラスフリットによって分離し、4℃の100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0を使用して、数回洗浄する。
【0083】
同時固定化が終了したら、化合物IIIの化合物IVへの酵素による転換を、化合物IIIを約0.0016〜0.004mol含み、複素環チオールを0.2mg/mlよりも少なく含む水溶液を用いて実施する。この溶液は、3−チオール化セファロスポリンC(化合物III)とセファロスポリンCの3アセトキシ基の求核置換に使用された複素環チオールの残留物とを含む溶液を、強陰イオン交換体たとえばAmberlite(登録商標)IRA−400(Rohm and Haas)のカラムに通すことにより、得られる。この溶出液のpHは、セファロスポリン(cephalosporanic)化合物が塩基性pH値では不安定であるため、約6.5〜8.0好ましくは6.75に調節される。
【0084】
前述のような化合物IIIを含む溶液を、同時固定化D−AAO/カタラーゼ(通常20〜40U/gのD−AAOと通常10〜30kU/gのカタラーゼ)を含む湿潤Eupergit C250Lを入れたバイオリアクターに投入する。反応温度は、15〜35℃に固定することができ、通常は20℃に固定する。
【0085】
酸化によるアミノ基除去に必要な分子酸素を、約400rpmの適当な機械的撹拌を加えながら、底部ディフューザーから、0.01〜1体積/溶液体積/分(vvm)、好ましくは0.1vvmの流量で、溶液内に吹き込む。このバイオリアクター構成は、固定化酵素を含むろ過カラムの場合、化合物IVの収率を低下させる分子酸素拡散の問題を避けるために好ましい。pHは、自動滴定器を用いて、高濃度有機または無機塩基溶液好ましくは3Mアンモニアの添加により、6.75に滴定する。
【0086】
転換は、HPLCによって制御し、化合物IIIの転換率が97%よりも大きくなったとき、反応を停止させ、溶液をろ過する。この転換に必要な時間は、作業条件によって変わるが、0.5〜3時間の程度であり、通常は約1時間である。
【0087】
必要な場合には、化合物IVの分離を、酵素反応で使用したものと同じ塩基により上記溶液のpHを約4.5〜6.0好ましくは5.0に低下させて、吸着樹脂Amberlite XAD−2を充填したカラムに投入することによって、実施する。化合物IVの溶出は、一時間あたり2〜3層体積の流量の水によって行う。HPLC純度90〜95%よりも大の、化合物IVを含む画分を、保存し、凍結乾燥する。
【0088】
次に、式IVの化合物を、グルタリル−7−ACA アシラーゼによる酵素処理により、式Iの化合物に転換する。
【0089】
セファロスポリンCから式Iの化合物を製造する本発明の方法は、一回の一容器反応によっても実施することができる。この場合、式IIIの化合物を含む陰イオン交換カラムからのろ液を、グルタリル−7−ACA アシラーゼの存在下で、D−AAOとカタラーゼとを含む固定化酵素系によって、式Iの化合物に酵素転換する。このようにして製造された式Iの化合物のHPLC純度は、約95%であった。この工程は容易かつ効率的に実施される。
【0090】
本発明の二つの実施態様(一容器または二ステップ)により、3−チオール化−7−ACA誘導体が容易かつ経済的に製造される。これらの化合物は、たとえばペニシリンGアシラーゼによる後続の酵素処理により、半合成β−ラクタム抗生物質の製造に使用することができる。これらのβ−ラクタム構成物質の例としては、セファゾリン、セファゼドン、セフォペラゾン、セファマンドール、セファトリアジン、セフォティアム、およびセフトリアクソンの一つ以上を挙げることができる。
【0091】
下記の実施例は本発明の説明を意図するものであるが、本発明の一般性を限定するものではない。
【0092】
実施例1〜5は、セファロスポリンCからの、式IIIの3−チオール化−7−ACA誘導体の製造を示す。
【0093】
実施例6〜8は、式IIIの3−チオール化セファロスポリンC誘導体から、式IVの3−チオール化α−ケトアジピル−7−ACA誘導体を製造する、酵素による方法を示す。
【0094】
実施例9〜11は、式IIIの3−チオール化誘導体から、式IVの安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体の生成を経由して、式Iの3−チオール化−7−ACA誘導体(TXA)を製造する、酵素による方法を示す。
【0095】
実施例12〜14は、一ステップ(一容器)で、式IIIの3−チオール化誘導体から、式Iの3−チオール化−7−ACA誘導体を製造する、酵素による方法を示す。
【実施例1】
【0096】
7−β−(5−アミノ−カルボキシペンタンアミド)−3−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル チオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(TDC)の製造。
【0097】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、31.73g(0.24mol)の2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(MMTD)を加え、撹拌しながら、この反応器を約65℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約10gの炭酸ナトリウムの添加により、約6.0に調節した。
【0098】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液(HPLCによる純度98%)を作った。MMTDが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約65℃で240分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が2%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。下記の反応速度が観察された。
【0099】
【表1】
【0100】
次に、反応混合物を約4℃に冷却した。この温度で、過剰なMMTDの結晶化が開始した。撹拌(150rpm)しながら、37%の塩酸(hydrochloride acid)により、pHを5.2まで酸性化し、結晶化を完了させるために、ゆっくりと撹拌(50rpm)しながら、60分放置した。
【0101】
沈殿したMMTDをろ過し、減圧下、35℃で乾燥した。23gの回収MMTDが得られ(HPLCによる純度99%)、回収率は約95%であった。
【0102】
0.042molのTDCとMMTD0.016molとを含むろ液(825ml)のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=180ml)に投入した。投入のあと、投入TDCの97%(HPLCによる純度94%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約100ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留MMTDは0.0009mol(<0.2mg/ml)であり、これは、pHの減少による結晶化後の残留MMTDの6%よりも少ない。この低レベルのMMTD(化学反応後のもとのMMTDの1%よりも小)により、TDCの酵素処理が可能になる。
【0103】
通常、カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。必要であれば(MMTD>0.2mg/ml)、樹脂を、40%のアセトニトリルを含む、1lの3M HClを用いて強再生することができる。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【0104】
pH5.0のTDC溶液の特性をさらに調べるために、該溶液を、Amberlite XAD−2吸着カラムに投入し、該カラムを水で洗浄した。洗浄後、樹脂に水による溶出処理を行い、25mlの部分をいくつか保存した。98.5%(HPLCによる)TDCを含む画分を、凍結乾燥し、分析して下記の結果を得た。
【0105】
生成物C17H20N5O6S3・2H2O(TDC)の元素分析結果
計算:C 37.42、H 4.43、N 12.84、S 17.63
実験:C 37.27、H 4.3、N 13.11、S 17.51
【0106】
【化42】
【実施例2】
【0107】
比較例:いろいろなカラムにおける、7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル チオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸の製造
【0108】
TDC誘導体を実施例1のようにして製造し、該誘導体を含むろ液を、いろいろなタイプの樹脂に投入した。
【0109】
カラム使用の第一サイクルにおける100mlの水での洗浄後、下記のデータが得られた。
【0110】
【表2】
【0111】
Amberlite IRA−400が最善の結果を与えた。TDCの大量の溶出が見られ、MMTDの溶出は少ない。他の陰イオン交換カラムを使用すると、MMTDも大量に溶出する。他の陰イオン交換体は、チオールとTDC双方の大量の結合を示した。
【実施例3】
【0112】
Amberlite IRA−400に対するTDCの特異性
【0113】
グルタリル−7−ACAと7−ACAとを出発原料として使用し、実施例1のようにして、グルタリル−7−ACA誘導体(TDG)と7−ACA誘導体(7−TDA)を製造した。Amberlite IRA−400のろ液から下記のデータが得られた。
【0114】
【表3】
【0115】
TDCの場合と異なり、TDGとTDAは、どちらもMMTDと同様に、Amberlite IRA−400に結合したままになると思われる。
【実施例4】
【0116】
7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZC)の製造
【0117】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、28.16g(0.24mol)の5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)を加え、撹拌しながら、この反応器を約70℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約12gの炭酸ナトリウムの添加により、約5.7〜5.8に調節した。
【0118】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol、HPLCによる純度98%)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液を作った。MMTZが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約70℃で120分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が3%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。
【0119】
【表4】
【0120】
反応混合物を約4℃に冷却したが、pHを低下させた場合でも、過剰なMMTZの結晶化は開始しなかった。MMTZからのTZC誘導体0.04molとMMTZ0.19molとを含む溶液のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=150ml)に投入した。カラムの第一パスのあと、残留MMTZは初期値の13%よりも多かった(0.032mol)。
【0121】
そのため、溶出液を、上記と同じ条件の別のAmberlite IRA−400(層体積=60ml)カラムに投入し、MMTZの濃度を低下させた。
【0122】
投入のあと、投入TZCの97%(HPLCによる純度87%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約90ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留MMTZの濃度は0.0013molであり、これは、化学反応後のもとのMMTZの1%よりも少ない。MMTZのこの低レベルのため、酵素の失活なしで前記誘導体を酵素処理することが可能になる。
【0123】
カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【実施例5】
【0124】
7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTC)の製造
【0125】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、37.96g(0.24mol)の2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(以下、TTZと略記する)を加え、撹拌しながら、この反応器を約75℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約12gの炭酸ナトリウムの添加により、約6.7に調節した。
【0126】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol、HPLCによる純度98%)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液を作った。TTZが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約75℃で75分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が2%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。
【0127】
【表5】
【0128】
反応混合物を約4℃に冷却したが、pHを低下させた場合でも、過剰なTTZの結晶化は開始しなかった。0.036molのTTCと0.19molのTTZとを含む溶液のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=209ml)に投入した。第一カラム後、残留TTZは0.015molであった。
【0129】
そのため、溶出液を、上記と同じ条件の別のAmberlite IRA−400カラム(層体積同じ)に投入し、TTZの濃度を低下させた。
【0130】
投入のあと、投入TTCの60%(HPLCによる純度90%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約120ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留TTZの濃度は0.00096molであり、これは、化学反応後のもとのTTZの1%よりも少ない。TTZのこのレベルのため、酵素の失活なしで誘導体を酵素処理することが可能になる。
【0131】
カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【実施例6】
【0132】
7β−(5−カルボキシ−5−オキソペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(TDK)の製造
【0133】
0.0035molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル]−チオメチル]セファロスポラン酸(TDC)(HPLC純度94.3%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアゾアゾール(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(80ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0134】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0135】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0136】
転換を、逆相カラムNucleosil 120 3−C18 125×8×4mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、4%のアセトニトリルを含むpH5.5の20mM酢酸アンモニウム(acetate ammonium)であり、また260nm検出を行う。7.0分で、TDCが現れ、8.5分で、TDK、11.5分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TDG)が現れた。
【0137】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0138】
【表6】
【0139】
残留TDCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0140】
TDKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度95%以上(HPLC)のTDKを含む25mlの画分を保存し、凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化(equilibration)により、カラムは再使用できるようになる。
【0141】
【化43】
【実施例7】
【0142】
7β−(5カルボキシ−5−オキソペンタンアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZK)の製造
【0143】
0.0039molの7−(5´−アミドアジパミド)−3−[1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル]−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZC)(HPLC純度90.1%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(100ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0144】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0145】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0146】
転換を、逆相カラムNucleosil 120 3−C18 125×8×4mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、4%のアセトニトリルを含むpH5.5の20mM酢酸アンモニウムであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TZCが現れ、3.6分で、TZK、4.6分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TZG)が現れた。
【0147】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0148】
【表7】
【0149】
残留TZCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0150】
TZKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度93%以上(HPLC)のTZKを含む25mlの画分を保存し、あとで凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化により、カラムは再使用できるようになる。
【0151】
【化44】
【実施例8】
【0152】
7β−(5カルボキシ−5−オキソペンタンアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTK)の製造
【0153】
0.0016molの7β−(5−アミノ5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTC)(HPLC純度89.86%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0154】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0155】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0156】
転換を、カラムEclipse(登録商標)XDB−C8 5μm 4.6×150mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM TBHS(硫酸水素テトラブチルアンモニウム)と15mMのリン酸二水素カリウムとを含む35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.6分で、TTCが現れ、5.5分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TTG)が現れ、6.6分で、TTKが現れた。
【0157】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0158】
【表8】
【0159】
残留TTCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0160】
TTKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度90%以上(HPLC)のTTKを含む25mlの画分を保存し、あとで凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化により、カラムは再使用できるようになる。
【0161】
【化45】
【実施例9】
【0162】
7−アミノ−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TDA)の合成
【0163】
0.0011molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下、TDCと略記する)(HPLC純度94.01%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾル(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0164】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0165】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0166】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TDCが、10.9分で、TDKが、8.1分で、TDGが、それぞれ現れた。
【0167】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0168】
【表9】
【0169】
残留TDCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度88.27%のTDKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0170】
このTDK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0171】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。4.1分で、TDAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0172】
【表10】
【0173】
残留TDKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度88.59%のTDAを含んでいた。
【実施例10】
【0174】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZA)の合成
【0175】
0.00195molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(TZC)(HPLC純度91.74%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0176】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0177】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0178】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.1分で、TZCが、5.0分で、TZKが、4.3分で、TZGが、それぞれ現れた。
【0179】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0180】
【表11】
【0181】
残留TZCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度82.42%のTZKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0182】
このTZK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0183】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。2.5分で、TZAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0184】
【表12】
【0185】
残留TZKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度80.77%のTZAを含んでいた。
【実施例11】
【0186】
7−アミノ−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTA)の合成
【0187】
0.0014molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(以下、TTCと略記する)(HPLC純度92.2%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0188】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0189】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0190】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.4分で、TTCが、6.1分で、TTKが、5.5分で、TTGが、それぞれ現れた。
【0191】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0192】
【表13】
【0193】
残留TTCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度90.0%のTTKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0194】
このTTK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0195】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。2.9分で、TTAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0196】
【表14】
【0197】
残留TTKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度78.40%のTTAを含んでいた。
【実施例12】
【0198】
7−アミノ−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TDA)の単一ステップでの合成
【0199】
0.0014molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下ではTDCと略記する)(HPLC純度95.41%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0200】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0201】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0202】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TDCが、10.9分で、TDKが、8.1分で、TDGが、4.1分でTDAが、それぞれ現れた。
【0203】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0204】
【表15】
【0205】
残留TDKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度95.13%のTDAを含んでいた。
【実施例13】
【0206】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZA)の単一ステップでの合成
【0207】
0.00195molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下、TZCと略記する)(HPLC純度93.55%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0208】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0209】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで7.25になるように滴定した。
【0210】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.1分で、TZCが、5.0分で、TZKが、4.3分で、TZGが、2.5分で、TZAが、それぞれ現れた。
【0211】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0212】
【表16】
【0213】
残留TZKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度78.17%のTZAを含んでいた。
【実施例14】
【0214】
7−アミノ−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTA)の単一ステップでの合成
【0215】
0.0016molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(以下、TTCと略記する)(HPLC純度91.1%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0216】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0217】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0218】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.4分で、TTCが、6.1分で、TTKが、5.5分で、TTGが、2.9分で、TTAが、それぞれ現れた。
【0219】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0220】
【表17】
【0221】
残留TTKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度88.69%のTTAを含んでいた。
【0222】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、前記実施形態は細部においては変更することができる。
【0001】
本発明は、β−ラクタム抗生物質の製造に使用される3−セファロスポリンC誘導体を製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、α−ケト酸中間体を使用して、3−アセトキシメチル−7−アミノ−セフ−3−エム−カルボン酸の3−チオール化誘導体(3−チオール化−7−ACA)を製造する、酵素による方法に関する。α−ケト酸またはα−オキソ酸は重要な生物薬剤学化合物である。
【背景技術】
【0002】
必須アミノ酸のオキソ酸は、機能性食品として(Pszcola,DE,Food Technol.52,30,1998)、また窒素蓄積疾患の治療のための治療剤として(Schaefer et al.,Kidney Int.Suppl.27,S136,1989;Buro et al,Biotechnol.Bioeng.44,1288,1994)、重要性を高めつつある。もう一つの重要な用途は、セファロスポリンC(3−アセトキシメチル−7β−(D−5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)セフ−3−エム−4−カルボン酸)からの、7−アミノセファロスポラン酸の製造(Savidge,TA;Biotechnology of Industrial Antibiotics,p171,Marcel Dekker,New York,1984)である。この転換は、DE 3447023号明細書(Hoechst)に記載されているように、Bacillus licheniforms ATCC 9945からのD−アミノ酸トランスアミナーゼによって実施することができ、該酵素は、セファロスポリンCをα−ケト酸によってα−ケトアジピル−7−ACAと、対応するD−α−アミノ酸とに転換する。この転換は、アミノ基転移反応であり、過酸化水素の放出なしで、セファロスポリンCのアミノ基が非酸化的にケト基に転換される。しかし、EP 0315786号明細書に述べられているように、前記酵素の活性は低い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
3−チオール化−7−ACAセファロスポラン酸誘導体を製造する化学的な方法は、公知である(US 3,367,933号、BE 718,824号)が、いくつかの欠点があり、たとえば低温反応条件、高価で毒性の溶剤または試薬の使用、および工業的規模での工程実施を困難にする中間体の化学的不安定性、などの欠点がある。
【0004】
7−ACAにいたる化学的方法の欠点を克服するために、代替法として、セファロスポリンCの酵素による開裂が提案されている。セファロスポリンCの7´−アミノアジピン側鎖の直接的一ステップ除去が、特異性のセファロスポリンアシラーゼの使用によって可能である(FR 2,241,557号、US 4,774,179号、EP 283,248号、WO 9512680号、WO 9616174号)。しかし、これらの方法は、US 5,296,358号明細書に述べられているように、再現性がないことが多く、また低収率と長い反応時間という特性を有する。この方法(セファスポリンCの7−ACAへの一ステップでの転換)の工業的応用はいまのところまだ報告されていない(Parmar et al,Crit.Rev.Biotechnol.18,1,1998)。
【0005】
他方、セファロスポリンCを二つの酵素ステップによって7−ACAに転換する方法は、工業的な見地から重要である。第一段階は、いろいろな供給源(Trigonopsis variabilis、GB 1,272,769号;Rhodotorula gracilis、EP 0,517,200号;またはFusarium solari M−0718,EP 0,364,275号)からのD−アミノ酸オキシダーゼ(E.C. 1.4.3.3、以下DAAOと略記する)を使用することから成る。DAAOは、分子酸素の存在下で、セファロスポリンCのD−5−アミド−カルボキシペンタノイル側鎖を酸化して、7β−(5−カルボキシ−5−オキソペンタ−アミド)−セフ−3−エム−カルボン酸(または、α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸、以下ではα−ケトアジピル−7−ACAと略記する)と過酸化水素とを生成する。この過酸化水素は、α−ケトアジピル−7−ACAから化学的にカルボキシル基を除去して7β−(4−カルボキシブタンアミド)−セフ−3−エム−4−カルボン酸(または、グルタリル−7−アミノセファロスポラン酸、以下では「GL−7−ACA」と略記する)にする。
【0006】
第二段階においては、GL−7−ACAに対して特異性のあるアシラーゼすなわちグルタリル−7−アシラーゼ(E.C.3.5.1.3)が使用される。このアシラーゼは、たとえば、E.coliにおいて過剰に発現したPseudomonasタイプの微生物のアシラーゼ(US 3,960,662号、EP 0496993号)であり、GL−7−ACAからアシル基を除去して、7−アミノ−セフ−3−エム−4−カルボン酸(または7−アミノセファロスポラン酸、以下では「7−ACA」と略記する)にする。
【0007】
この二ステップの、7−ACAを得るための酵素による方法は、すでに工業的規模で使用されている(Conlon et al.Biotechnol.Bioeng.46,510,1995)。
【0008】
酵素による方法におけるもう一つの進展がEP 0846695に記載されており、この方法においては、固体グルタリル−7−ACAが、一つのイオウまたは酸素原子を有するかまたは有しない、少なくとも一つの窒素を有する複素環基と、反応させられて、3−修飾グルタリル−7−ACAが生成される。これらの3−誘導体は、対応する3−複素環チオメチル−7−ACA誘導体に、酵素転換される。
【0009】
この手順は酵素−化学−酵素(ECE)法と名づけることができる。というのは、分離されたGL−7−ACAが可溶化セファロスポリンCのバイオ転換によって得られ、次にGL−7−ACAが複素環チオールと反応し、最後に3−複素環チオ誘導体がGL−7−ACAアシラーゼによって酵素処理されるからである。WO 9535020号明細書に記載されているように、この方法の問題点は、GL−7−ACAの分離が必要であるということであり、GL−7−ACAは水溶性が大きいため、この方法には技術的な困難が伴い、また費用がかかる。
【0010】
もう一つの問題は、残留複素環チオールによる生体触媒の“失活(poisoning)”のため、酵素がわずか2、3回しか再使用できないということである。この失活効果は、使用されたチオールの一つ、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール(MMTD)に関して詳しく報告されている(Won et al,App.Biochem.Biotech.69,1,1998)。
【0011】
無細胞抽出液からのD−アミノ酸オキシダーゼ(D−AAO)を用いるか(GB 1,272,769号、Glaxo)、またはイーストTrigonopsis variabilisもしくはRhodotorula glutinis(EP 0517200号)のトルエン活性化(透過性にした(permeabilised))細胞(GB 1,385,685号)内のD−アミノ酸オキシダーゼを用いるかして、有気性の条件下で、セファロスポリンCのD−アジパミド側鎖を酸化脱アミノすることによりα−ケトアジピル−7−ACAを得ることが、報告されている。この反応においては、分子酸素が電子アクセプターとして作用して、過酸化水素に転換され、この過酸化水素は、α−ケトアジピル−7−ACAと化学反応し、そのカルボキシル基を除去してグルタリル−7−ACAを生じる。前記イーストの場合に生成される大量のカタラーゼが存在する場合、過酸化水素は、分解して、水と分子酸素になり、α−ケトアジピル−7−ACAとグルタリル−7−ACAとの混合物が生じる。α−ケトアジピル−7−ACAは非常に不安定で(GB 1,385,685号)、急速に分解して未知の生成物を生じ、したがって、イーストおよび菌株(strain)によるが、グルタリル−7−ACAの収率が90〜95%から60〜70%に低下する(Parmar et al,Crit.Rev.Biotechnol.18,1,1998;Rietharst,W.and Riechert,A,Chimia 53,600,1999)。そのため、工業的な応用はまだ報告されていない。
【0012】
したがって、3−チオール化−7−ACAセファロスポラン酸誘導体の工業的規模での製造のための効率的な改良された方法が必要である。さらに、重要な生物薬剤学的化合物である安定なα−ケト酸誘導体の単離が有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【化20】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化21】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0014】
好ましくは、式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、式IVの化合物に、酵素転換される。もっとも好ましくは、この酵素系は同時固定化(co−immobilised)D−アミノ酸オキシダーゼおよびカタラーゼから成る。
【0015】
好ましくは、酵素による転換は、分子酸素の存在下で、絶対圧1〜5bar、pH6.5〜8.0、温度15〜30℃において、30〜180分の時間にわたって実施される。
【0016】
好ましくは、この方法は、反応混合物から、酵素系を、好ましくはろ過によって、分離するステップを含む。
【0017】
本発明の一つの実施態様においては、この方法は、式IVの化合物を精製するステップを含む。
【0018】
もっとも好ましくは、式IVの化合物は吸着カラムを用いて精製される。好ましくは、酵素は、適当な架橋剤により、適当な固体担体に同時固定化される。酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形とすることができる。
【0019】
好ましくは、酵素プロセスは、酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。好ましくは、酵素プロセスは、カラム中で実施される。もっとも好ましくは、この方法は酵素を再使用のために回収するステップを含む。
【0020】
本発明の一つの実施態様においては、式IVの化合物は、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用される。
【0021】
好ましくは、式IIIおよびIVの化合物のR基は、少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを有する複素環基である。もっとも好ましくは、Rは、チエニル、ジアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの任意の誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルから成るグループの一つ以上から選択される複素環基である。
【0022】
本発明は、本発明の方法によって製造される式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体を提供する。
【0023】
本発明は、
式
【化22】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルである化合物、
を提供する。
【0024】
本発明は、
式
【化23】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが1−メチル−1H−テトラゾル−5−イルである化合物を提供する。
【0025】
本発明は、また、セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法での中間体としての式IVの化合物の使用あるいは用途(use)をも提供する。
【0026】
本発明は、また、セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法における、式
【化24】
を有する、すなわち、式IVにおいて、Rが5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イルである中間体化合物の使用あるいは用途、
をも提供する。
【0027】
本発明は、さらに、
本発明のセファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの化合物
【化25】
を生成させるステップを含み、
式Iにおいて、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
を提供する。
【0028】
好ましくは、式IVの化合物が、グルタリル−7−ACA アシラーゼを用いて、酵素転換させられて、式Iの化合物が生成され、もっとも好ましくは、酵素による処理は、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施される。好ましくは、酵素は、適当な架橋剤によって適当な固体担体に固定化される。
【0029】
好ましくは、酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形である。
【0030】
本発明の一つの実施態様においては、酵素による処理は、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。好ましくは、酵素プロセスはカラム中で実施される。もっとも好ましくは、本発明の方法は、再使用のために酵素を回収するステップを含む。
【0031】
本発明は、また、セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式Iの化合物の使用をも提供する。
【0032】
本発明は、さらに、
3−チオール化セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの化合物
【化26】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化27】
に、酵素によって転換させ、
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの3−チオール化7−ACA
化合物
【化28】
を生成させる、
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
を提供する。
【0033】
本発明の一つの実施態様においては、式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、一つのステップで式Iの化合物に酵素転換される。もっとも好ましく
は、酵素系は、固定化グルタリル−7−ACA アシラーゼの存在下の同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼという組合せから成る。好ましくは、酵素による処理は、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施される。もっとも好ましくは、酵素は、適当な架橋剤によって適当な固体担体に同時固定化される。
【0034】
好ましくは、酵素は、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形である。
【0035】
もっとも好ましくは、酵素プロセスは、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施される。
【0036】
好ましくは、酵素プロセスはカラム中で実施される。もっとも好ましくは、この方法は、再使用のために酵素を回収するステップを含む。
【0037】
本発明の一つの実施態様においては、式IIIの化合物は、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用される。
【0038】
本発明は、また、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
セファロスポリンCを、一般式IIのチオール化合物
R−SH II
と反応させて、式IIIの3−チオール化セファロスポリン化合物
【化29】
を生成させ、
式IIIの化合物の生成後に、過剰な式IIのチオールを除去する、
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
をも提供する。
【0039】
本発明の一つの実施態様においては、過剰なチオールは陰イオン交換樹脂への吸着によって除去される。好ましくは、陰イオン交換樹脂は架橋アクリルコポリマー構造を有する微孔質樹脂である。もっとも好ましくは、陰イオン交換樹脂は8%の架橋結合を含むチアルキルベンジルアンモニウム官能基から成る。この樹脂は、クロリド、ヒドロキシ、ホスフェート、またはアセテートサイクル(cycle)内にあることができる。
【0040】
本発明のもう一つの実施態様においては、過剰なチオールは結晶化によって除去される。好ましくは、この結晶化は酸性pHで実施される。
【0041】
本発明のさらに別の実施態様においては、過剰なチオールは、結晶化とそれに続く陰イオン交換樹脂による吸着とによって除去される。
【0042】
好ましくは、セファロスポリンCは水性媒質中にある。もっとも好ましくは、セファロスポリンCはセファロスポリンC濃厚溶液の形である。
【0043】
好ましくは、反応は、pH5.5〜8.0、温度60〜80℃で、1〜8時間にわたって実施される。もっとも好ましくは、反応は、pH約6.0、温度約65℃で実施される。
【0044】
本発明の一つの実施態様においては、チオール化合物は1〜5mol/(1molのセファロスポリンC)の量だけ存在する。
【0045】
好ましくは、Rは少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを含む複素環基である。もっとも好ましくは、Rは、チエニル、ジアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルの一つ以上から選択される複素環基である。
【0046】
本発明は、
式IIIの化合物
【化30】
であって、
Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基である、
ことを特徴とする化合物、
を提供する。
【0047】
本発明は、
式
【化31】
の化合物、すなわち式IIIにおいて、Rが5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イルであることを特徴とする化合物、
を提供する。
【0048】
さらに、本発明は、
式
【化32】
の化合物、すなわち式IIIにおいて、Rが1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−チアジン−3−イルであることを特徴とする化合物、
を提供する。
【0049】
本発明は、また、セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式IIIの化合物の使用あるいは用途をも提供する。
【0050】
本発明の一つの実施態様においては、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
前述の方法によって得られる、式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
【化33】
を、式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体
【化34】
に、酵素によって、転換するステップから成り、
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0051】
本発明の一つの実施態様においては、
この方法が、さらに、
式IVの3−チオール化α−ケトアジピル7−ACA化合物
【化35】
を酵素によって転換させて、式Iの3−チオール化7−ACA化合物
【化36】
を生成させるステップを含み、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである。
【0052】
本発明のもう一つの実施態様においては、
セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物
【化37】
を酵素によって転換させて、式Iの化合物
【化38】
を生成させるステップを含み、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法、
が提供される。
【0053】
好ましくは、式IVの化合物をグルタリル−7−ACA アシラーゼによって酵素転換させて式Iの化合物を生成させる。
【0054】
もっとも好ましくは、式I、III、およびIVの化合物は、固体の形である
か、または該化合物の非毒性塩の形である。
【0055】
本発明は、
セファロスポリンC抗生物質およびその誘導体を製造する方法であって、
上で定めた式III、IV、およびIの化合物を生成させ、
そのあと、該化合物を酵素処理する、
ことから成ることを特徴とする方法、
を提供する。
【0056】
抗生物質は、セファゾリン、セファゼドン、セフォペラゾン、セファマンドール、セファトリアジン、セフォティアム、およびセフトリアクソンのうち一つ以上のものとすることができる。
【0057】
ここでの発見によれば、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系の存在下で、3−チオール化セファロスポリンC誘導体を酵素処理して、α−ケト酸誘導体にすることができる。これらのα−ケト酸誘導体は単離したときに安定であるということがわかった。したがって、一ステップまたは二つの連続酵素ステップによる、3−チオール化−7−ACA誘導体を得るための新しい改良された方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
本発明は、セファロスポリンCから式Iの化合物を製造する改良された効率的な方法に関する。
【化39】
この式において、Rは少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2は両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つは水素原子であり、他はアシルドナーである。
【0059】
本発明の方法は、新しい安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体中間体の生成に関する。あるいは、本発明は、中間体の生成なしで一回の単容器反応で実施することもできる。
【0060】
ここでの意外な発見によれば、セファロスポリンCの3−チオール化誘導体はカタラーゼの存在下でのD−アミノ酸オキシダーゼによる酵素処理反応のための非常に良い基質である。
【0061】
式IIIの3−チオール化−セファロスポリンC誘導体
【化40】
がセファロスポリンCから製造される。セファロスポリンC溶液は精製または粗製の形のものとすることができる。このセファロスポリンCは、セファロスポリンCの任意の非毒性塩の形とすることができる。
【0062】
3´位の求核置換反応(the reaction of nucleophilic substitution in the 3’ position)が、複素環チオールと任意の非毒性セファロスポリンC塩とを水に溶解させた水性媒質中で、水溶性塩、たとえばアルカリ金属水酸化物、水酸化アンモニウム、または好ましくはアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩、を形成する塩基性化合物の添加によって実施される。一般に、前記のようにして生成される塩のほかに、任意の市販のセファロスポリンC塩と複素環チオールとを、本発明の方法において、方法の基本構成を変更することなく使用することができる。
【0063】
複素環チオールとセファロスポリンCとを別々の反応容器内でまたは一緒に溶解させたあと、両反応物を同じ反応器内で混合するが、その前または後に、溶液をpH値5.5〜7.0で約65〜80℃の温度に加熱する。
【0064】
反応が開始したら、温度とpHをそれぞれ好ましくは約65℃と6.0に、約1〜4時間にわたって維持する。
【0065】
複素環チオール/セファロスポリンCのモル比は、反応の収率に関して重要な変数であり、使用するそれぞれの複素環チオールに対して最適化しなければならない。このモル比は、1.0〜4.0であり、好ましくは約4である。
【0066】
ここでの観察によれば、これらのモル比において、セファロスポリンCは、チオールを含まないセファロスポリンC溶液の場合に比して、きわめて安定で、少ししかβ−ラクタム環分解を起こさない。チオールを含まない場合、セファロスポリンCは、80℃で、40分以内に完全に分解する。
【0067】
セファロスポリンCの濃度が初期量の2%を下回ったら、反応混合物を、強鉱酸(strong mineral acids)たとえばハロゲン化水素または酸素酸による、pHの3.0〜5.5好ましくは約5.2への酸性化ありまたはなしで、約2〜10℃の温度に冷却する。
【0068】
この酸性化ステップにより、場合によっては、複素環チオールの結晶化が起こり、新たな反応のための再使用の可能性も与えられる。
【0069】
式IIIの化合物が生成されたら、過剰なチオール基を選択的に除去することにより、式IIIのセファロスポリンC誘導体を、非常に低濃度の(<0.2mg/ml)の複素環チオールしか含まない、非常に高い純度で得ることができる。強陰イオン交換体Amberlite IRA−400(Rohm and Haas製)による高度に選択的な除去手順を使用する。この方法はいくつかの利点を有する。この方法により、式IIIの化合物を、次の工程ステップにおいて、酵素の失活なしで基質として使用することができる。したがって、酵素を反復使用することができる。さらに、この方法は、毒性試薬の使用を必要とせず、また中間体の分離を必要としないため、連続工程で実施することができる。
【0070】
いろいろな樹脂といろいろなタイプのクロマトグラフィーとが、工業的規模で使用できる。
【0071】
吸着、親水性−疎水性相互作用、陽イオン交換、および陰イオン交換にもとづいて、四種類の樹脂に分けて、いくつかの樹脂を試験した。吸着に関して試験したすべての樹脂(Amberlite XAD−761、Amberlite 7HP、Amberlite 16HP、およびAmberlite XAD−4)は、同様の結果を与え、溶出液は22〜38%の複素環チオールを含んでいた。疎水性−親水性相互作用樹脂Sephadex LH−20は、チオールを保持していなかった(<5%)。同様な状況は、陽イオン交換体Amberlite(登録商標) IRC−50、IR−120、およびIR−200に関しても見られた。しかし、陰イオン交換体は、弱陰イオン交換体(Amberlite IRA−93)の場合、57〜60%複素環チオールの最高の結合能力を有することがわかった。
【0072】
ここでの観察によれば、8%の架橋結合を含むトリアルキルベンジルアンモニウム官能基を有する強微孔質(ゲルタイプI)陰イオン(塩基性)交換樹脂Amberlite IRA−400が、最高の複素環チオール結合(92〜98%)と3´位複素環チオメチルセファロスポリンC誘導体の小さな結合(2〜15%、第一サイクルでは15%よりも小で、その後のサイクルでは5%よりも小)を与えた。
【0073】
そのような微孔質樹脂はいくつかの利点を与える。これらの樹脂は、あまり壊れやすくなく、取扱いにそれほど注意する必要がなく、また大きな負荷能力を有する。これらの樹脂は不連続気孔を有しないので、溶質イオンは、粒子を通って拡散して交換部位と相互作用する。前記樹脂の総交換能力は、1.4meq/mlの程度である。
【0074】
ここでの意外な発見によれば、Amberlite IRA−400は、セファロスポリンCの3´−複素環チオメチル誘導体に対しては、グルタリル−7−ACAおよび7−ACAの同じ誘導体に対してよりも、小さな結合能力を有する。実際、MMTDによって製造されたグルタリル−7−ACAの3´−複素環チオメチル誘導体は、カラムに76.3%のレベルで結合した。同じ結果は、MMTDによる、7−ACAの3´−複素環チオメチル誘導体の場合にも見られ、この誘導体は、カラムに92.7%のレベルで結合した。これら三つの同類β−ラクタム化合物に対するAmberlite IRA−400の予想外の挙動は、グルタリル−7−ACAおよび7−ACAと異なり、セファロスポリンCの側鎖の5位にイオン化可能なアミノ基が存在することによると考えられる。
【0075】
本発明の方法による複素環チオールの除去は、カラムからの溶出液を修飾セファロスポリンCの分離なしで酵素処理に使用することができるため、工業的規模の場合に特に有利であり、このやり方は、不純物がカラムに束縛されていてβ−ラクタム誘導体が水によって簡単に溶出するため、セファロスポリン中間体の分野に対して新しいコンセプトをもたらすものである。
【0076】
β−ラクタム誘導体が溶出された(<5%が束縛されて残留している)ならば、一般に、カラムを、いろいろな量の有機溶剤好ましくは10〜20%のアセトニトリルを含む強鉱酸たとえばハロゲン化水素の1.5N溶液によって再生させる。溶出液のチオール濃度が0.2mg/mlよりも大きい場合、3N HClと40%のアセトニトリルとによる強力な再生を実施することができる。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【0077】
複素環チオールの溶出後、このチオールを濃縮して再使用する。次のサイクルの前に、カラムを脱イオン水ですすいで、過剰な再生剤を除去する。最初の層体積のすすぎは、再生に使用する流量で実施すべきである。あとは吸着流量で実施する。
【0078】
式IIIの化合物は、固定化酵素系によって、式IVの新しい安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体に酵素転換される。
【化41】
ここで、Rは、少なくとも一つの窒素原子を含み、一つのイオウまたは酸素原子を含むかまたは含まない複素環基である。
【0079】
同じ固体担体に同時固定化した酵素(D−AAOとカタラーゼ)の使用により、別々の担体による場合よりも、より十分な過酸化水素除去が可能になる。両酵素からなる生体触媒は、反応媒質から容易に回収することができ、何回も繰返し使用することができる。これは、工業的なプロセスの場合、必要欠くべからざる特性である。
【0080】
本発明のもう一つの工業的な利点は、強陰イオン交換樹脂(Amberlite(登録商標) IRA−400、Rohm and Haas製)によるクロマトグラフィーのあと、式IIIの化合物を含む化学溶液を、同時固定化酵素を含む酵素反応器に運ぶのが容易である、ということである。そのため、工程を、セファロスポリンCから化合物IVまで、単一の液体流で連続的に実施することができる。
【0081】
酵素による処理段階は、下記のようないくつかのやり方で実施することができる。
1)過剰な複素環チオールの除去と固定化D−AAOによるアミノ基酸化除去とのない化学反応。これらの条件下では、化合物IVが全β−ラクタムの約35〜40%まで蓄積し、これは、非修飾セファロスポリンCを使用する場合に生成されるα−ケトアジピル−7−ACAの5〜10%の蓄積よりも大きい。これは、化合物IVの安定性を示している。
2)上記1)と同じであるが、カタラーゼを含む。これらの条件下では、化合物IVの濃度が、溶液中の全β−ラクタムの70〜75%に達し、3−チオール化グルタリル−7−ACA(T´X´G)の濃度は10%よりも小である。しかし、固定化酵素およびカタラーゼは、高濃度(1mg/ml以上)の複素環チオールの存在のために、2、3サイクル以内に失活してしまう。
3)イオン交換クロマトグラフィーによる過剰な複素環チオールの除去と、同じ固体担体へのD−AAOとカタラーゼとの同時固定化とによる、化学反応。これらの条件下では、化合物IVは、使用pHによるが、全β−ラクタムの約80〜90%蓄積する。pH約6.5の場合、化合物IVは安定性が高く、蓄積は90%に達するが、D−AAOは活性が小さい(大量の生体触媒が必要である)。pH7.25付近では、酵素はより活性であるが、化合物IVは安定性が低く、蓄積は80%である。好ましいpHは、6.75であり、この場合には、D−AAO活性の最小限の低下と、化合物IVの良好な安定性とが得られる。
【0082】
前記のことからわかるように、手順3)が他よりも有利であるが、二つの酵素(D−AAOとカタラーゼ)を同時固定化して良好な生体触媒を得るためには、いくつかのパラメータを考慮する必要がある。
a)二つの酵素の供給源。本発明におけるD−AAOは微生物のスペインコレクション(CECT,Valencia,Spain)から得られたTrigonopss variabilis CBS 4091 から得られる。このイーストを、D−AAOを生じる条件下で成長させ(Kubicek et al,J.Appl.Biochem.7;104;1985)、酵素を、Szwjcer et al(Biotechnol.Lett.7,1,1985)が述べているような、30〜55%の硫酸アンモニウム分別によって精製した。アミノ酸オキシダーゼは、また、Rodotorula gracilis由来のものとすることもできる。Micrococcus lisodeikticus由来のカタラーゼを、商業的供給源(Fluka,Madrid,Spain)から得ることができるが、Aspergillas niger由来のものとすることもできる。
b)使用する固体担体。酵素を固定化するのに、いくつかの担体を使用することができる。もっとも普通のものは、Amberlite(登録商標)IRA 900(第四アミン官能基を有する強塩基性ポリスチレン樹脂)、Duolite(登録商標)A365(第一官能基を有する弱塩基性ポリスチレン樹脂)、Duolite(登録商標)A568(中程度の塩基性の縮重合フェノールホルムアルデヒド樹脂)、BrCN-活性化Sepharose(登録商標)、ビニルSepharose(登録商標)、およびEupergit C(登録商標)(ポリアクリル構造を土台とするもので、特にオキシラン末端基を有する)である。Eupergitのうち、市販されている二種類がCとC250Lである(Rohm Pharma)。後者のタイプが、高分子量酵素の結合のために特に適当である。オキシラン基の含有率が、Eupergit Cにおける0.93%に比して、少なくとも0.36%であるからである。このC250Lタイプは、工業的な生体触媒工程に使用した場合、顕著な特性を示す。担体の形態、すなわちその狭い粒子寸法分布(200μm)と高い機械的安定性とが、撹拌タンク反応器における良好な特性のもとである。このタイプは、撹拌システムにおいて機械的に破壊されず、また反応サイクルの終わりにおけるろ過が迅速かつ非常に簡単に実施される。pHとイオン強度との変化が基質(matrix)の膨潤に影響を与えない。さらに、このEupergit C250Lは、これまで固定化D−アミノ酸オキシダーゼおよびカタラーゼの固定化に使用されたことがない。
c)カタラーゼ単位/D−AAO単位の比。この比は、通常100よりも大きいが、効率的な過酸化水素の除去のために、好ましくは約1500である。一単位のD−AAOは、pH8.0、25℃で、基質としてセファロスポリンCを使用したとき、一分あたり1μmolのO2を分解する酵素の量であると定義される。一単位のカタラーゼは、pH7.0、25℃で、一分あたり1μmolの過酸化水素を分解する酵素の量であると定義される。
d)同時固定化の手順。いくつかの固定化プロトコルが使用できる。本発明で選択する一つの手順は、L−α−グリセロールホスフェートオキシダーゼをカタラーゼと同時固定化する、Cramer and Steckham(Tetrahedron,45,14645,1997)による方法を改変したものである。通常、Erlenmeyerフラスコ内で、100mgのEupergit C(登録商標)250Lを、1.5mlの共役(coupling)緩衝液(1.0Mリン酸カリウム緩衝液pH8.0)に懸濁させる。次に、10〜40UのD−AAOと10〜20kUのカタラーゼ(Fluka,cat♯60634)を、ゆっくりと加える。この混合物を穏やかにゆすりながら、16h間定温放置する。固定化手順のあと、ビーズをガラスフリットによって分離し、4℃の100mMリン酸カリウム緩衝液pH7.0を使用して、数回洗浄する。
【0083】
同時固定化が終了したら、化合物IIIの化合物IVへの酵素による転換を、化合物IIIを約0.0016〜0.004mol含み、複素環チオールを0.2mg/mlよりも少なく含む水溶液を用いて実施する。この溶液は、3−チオール化セファロスポリンC(化合物III)とセファロスポリンCの3アセトキシ基の求核置換に使用された複素環チオールの残留物とを含む溶液を、強陰イオン交換体たとえばAmberlite(登録商標)IRA−400(Rohm and Haas)のカラムに通すことにより、得られる。この溶出液のpHは、セファロスポリン(cephalosporanic)化合物が塩基性pH値では不安定であるため、約6.5〜8.0好ましくは6.75に調節される。
【0084】
前述のような化合物IIIを含む溶液を、同時固定化D−AAO/カタラーゼ(通常20〜40U/gのD−AAOと通常10〜30kU/gのカタラーゼ)を含む湿潤Eupergit C250Lを入れたバイオリアクターに投入する。反応温度は、15〜35℃に固定することができ、通常は20℃に固定する。
【0085】
酸化によるアミノ基除去に必要な分子酸素を、約400rpmの適当な機械的撹拌を加えながら、底部ディフューザーから、0.01〜1体積/溶液体積/分(vvm)、好ましくは0.1vvmの流量で、溶液内に吹き込む。このバイオリアクター構成は、固定化酵素を含むろ過カラムの場合、化合物IVの収率を低下させる分子酸素拡散の問題を避けるために好ましい。pHは、自動滴定器を用いて、高濃度有機または無機塩基溶液好ましくは3Mアンモニアの添加により、6.75に滴定する。
【0086】
転換は、HPLCによって制御し、化合物IIIの転換率が97%よりも大きくなったとき、反応を停止させ、溶液をろ過する。この転換に必要な時間は、作業条件によって変わるが、0.5〜3時間の程度であり、通常は約1時間である。
【0087】
必要な場合には、化合物IVの分離を、酵素反応で使用したものと同じ塩基により上記溶液のpHを約4.5〜6.0好ましくは5.0に低下させて、吸着樹脂Amberlite XAD−2を充填したカラムに投入することによって、実施する。化合物IVの溶出は、一時間あたり2〜3層体積の流量の水によって行う。HPLC純度90〜95%よりも大の、化合物IVを含む画分を、保存し、凍結乾燥する。
【0088】
次に、式IVの化合物を、グルタリル−7−ACA アシラーゼによる酵素処理により、式Iの化合物に転換する。
【0089】
セファロスポリンCから式Iの化合物を製造する本発明の方法は、一回の一容器反応によっても実施することができる。この場合、式IIIの化合物を含む陰イオン交換カラムからのろ液を、グルタリル−7−ACA アシラーゼの存在下で、D−AAOとカタラーゼとを含む固定化酵素系によって、式Iの化合物に酵素転換する。このようにして製造された式Iの化合物のHPLC純度は、約95%であった。この工程は容易かつ効率的に実施される。
【0090】
本発明の二つの実施態様(一容器または二ステップ)により、3−チオール化−7−ACA誘導体が容易かつ経済的に製造される。これらの化合物は、たとえばペニシリンGアシラーゼによる後続の酵素処理により、半合成β−ラクタム抗生物質の製造に使用することができる。これらのβ−ラクタム構成物質の例としては、セファゾリン、セファゼドン、セフォペラゾン、セファマンドール、セファトリアジン、セフォティアム、およびセフトリアクソンの一つ以上を挙げることができる。
【0091】
下記の実施例は本発明の説明を意図するものであるが、本発明の一般性を限定するものではない。
【0092】
実施例1〜5は、セファロスポリンCからの、式IIIの3−チオール化−7−ACA誘導体の製造を示す。
【0093】
実施例6〜8は、式IIIの3−チオール化セファロスポリンC誘導体から、式IVの3−チオール化α−ケトアジピル−7−ACA誘導体を製造する、酵素による方法を示す。
【0094】
実施例9〜11は、式IIIの3−チオール化誘導体から、式IVの安定なα−ケトアジピル−7−ACA誘導体の生成を経由して、式Iの3−チオール化−7−ACA誘導体(TXA)を製造する、酵素による方法を示す。
【0095】
実施例12〜14は、一ステップ(一容器)で、式IIIの3−チオール化誘導体から、式Iの3−チオール化−7−ACA誘導体を製造する、酵素による方法を示す。
【実施例1】
【0096】
7−β−(5−アミノ−カルボキシペンタンアミド)−3−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル チオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸(TDC)の製造。
【0097】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、31.73g(0.24mol)の2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(MMTD)を加え、撹拌しながら、この反応器を約65℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約10gの炭酸ナトリウムの添加により、約6.0に調節した。
【0098】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液(HPLCによる純度98%)を作った。MMTDが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約65℃で240分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が2%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。下記の反応速度が観察された。
【0099】
【表1】
【0100】
次に、反応混合物を約4℃に冷却した。この温度で、過剰なMMTDの結晶化が開始した。撹拌(150rpm)しながら、37%の塩酸(hydrochloride acid)により、pHを5.2まで酸性化し、結晶化を完了させるために、ゆっくりと撹拌(50rpm)しながら、60分放置した。
【0101】
沈殿したMMTDをろ過し、減圧下、35℃で乾燥した。23gの回収MMTDが得られ(HPLCによる純度99%)、回収率は約95%であった。
【0102】
0.042molのTDCとMMTD0.016molとを含むろ液(825ml)のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=180ml)に投入した。投入のあと、投入TDCの97%(HPLCによる純度94%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約100ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留MMTDは0.0009mol(<0.2mg/ml)であり、これは、pHの減少による結晶化後の残留MMTDの6%よりも少ない。この低レベルのMMTD(化学反応後のもとのMMTDの1%よりも小)により、TDCの酵素処理が可能になる。
【0103】
通常、カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。必要であれば(MMTD>0.2mg/ml)、樹脂を、40%のアセトニトリルを含む、1lの3M HClを用いて強再生することができる。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【0104】
pH5.0のTDC溶液の特性をさらに調べるために、該溶液を、Amberlite XAD−2吸着カラムに投入し、該カラムを水で洗浄した。洗浄後、樹脂に水による溶出処理を行い、25mlの部分をいくつか保存した。98.5%(HPLCによる)TDCを含む画分を、凍結乾燥し、分析して下記の結果を得た。
【0105】
生成物C17H20N5O6S3・2H2O(TDC)の元素分析結果
計算:C 37.42、H 4.43、N 12.84、S 17.63
実験:C 37.27、H 4.3、N 13.11、S 17.51
【0106】
【化42】
【実施例2】
【0107】
比較例:いろいろなカラムにおける、7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル チオメチル)−3−セフェム−4−カルボン酸の製造
【0108】
TDC誘導体を実施例1のようにして製造し、該誘導体を含むろ液を、いろいろなタイプの樹脂に投入した。
【0109】
カラム使用の第一サイクルにおける100mlの水での洗浄後、下記のデータが得られた。
【0110】
【表2】
【0111】
Amberlite IRA−400が最善の結果を与えた。TDCの大量の溶出が見られ、MMTDの溶出は少ない。他の陰イオン交換カラムを使用すると、MMTDも大量に溶出する。他の陰イオン交換体は、チオールとTDC双方の大量の結合を示した。
【実施例3】
【0112】
Amberlite IRA−400に対するTDCの特異性
【0113】
グルタリル−7−ACAと7−ACAとを出発原料として使用し、実施例1のようにして、グルタリル−7−ACA誘導体(TDG)と7−ACA誘導体(7−TDA)を製造した。Amberlite IRA−400のろ液から下記のデータが得られた。
【0114】
【表3】
【0115】
TDCの場合と異なり、TDGとTDAは、どちらもMMTDと同様に、Amberlite IRA−400に結合したままになると思われる。
【実施例4】
【0116】
7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZC)の製造
【0117】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、28.16g(0.24mol)の5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)を加え、撹拌しながら、この反応器を約70℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約12gの炭酸ナトリウムの添加により、約5.7〜5.8に調節した。
【0118】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol、HPLCによる純度98%)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液を作った。MMTZが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約70℃で120分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が3%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。
【0119】
【表4】
【0120】
反応混合物を約4℃に冷却したが、pHを低下させた場合でも、過剰なMMTZの結晶化は開始しなかった。MMTZからのTZC誘導体0.04molとMMTZ0.19molとを含む溶液のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=150ml)に投入した。カラムの第一パスのあと、残留MMTZは初期値の13%よりも多かった(0.032mol)。
【0121】
そのため、溶出液を、上記と同じ条件の別のAmberlite IRA−400(層体積=60ml)カラムに投入し、MMTZの濃度を低下させた。
【0122】
投入のあと、投入TZCの97%(HPLCによる純度87%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約90ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留MMTZの濃度は0.0013molであり、これは、化学反応後のもとのMMTZの1%よりも少ない。MMTZのこの低レベルのため、酵素の失活なしで前記誘導体を酵素処理することが可能になる。
【0123】
カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【実施例5】
【0124】
7−β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタンアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTC)の製造
【0125】
600mlの脱イオン水を入れたガラス内張り反応器に、37.96g(0.24mol)の2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(以下、TTZと略記する)を加え、撹拌しながら、この反応器を約75℃の温度に加熱した。混合物のpHを、約12gの炭酸ナトリウムの添加により、約6.7に調節した。
【0126】
別のガラス内張りフラスコで、33.23gのナトリウムセファロスポリンC(75%遊離酸、0.06mol、HPLCによる純度98%)を200mlの水に溶解させることによって、ナトリウムセファロスポリンCの濃厚溶液を作った。TTZが溶解してから、このセファロスポリンC濃厚溶液を加えて、混合物を約75℃で75分撹拌した。このとき、セファロスポリンC濃度が2%よりも低くなるまで、反応速度を制御した。
【0127】
【表5】
【0128】
反応混合物を約4℃に冷却したが、pHを低下させた場合でも、過剰なTTZの結晶化は開始しなかった。0.036molのTTCと0.19molのTTZとを含む溶液のpHを、3Mのアンモニアによって7.25に調節し、20ml/minの流量の脱イオン水で覆われた、クロリドサイクル内にあるAmberlite IRA−400カラム(層体積=209ml)に投入した。第一カラム後、残留TTZは0.015molであった。
【0129】
そのため、溶出液を、上記と同じ条件の別のAmberlite IRA−400カラム(層体積同じ)に投入し、TTZの濃度を低下させた。
【0130】
投入のあと、投入TTCの60%(HPLCによる純度90%)が回収されるまで、カラムを脱イオン水(約120ml)で洗浄した。流出液のpHは、約5.4であり、3Mのアンモニアにより中和して7.0にした。残留TTZの濃度は0.00096molであり、これは、化学反応後のもとのTTZの1%よりも少ない。TTZのこのレベルのため、酵素の失活なしで誘導体を酵素処理することが可能になる。
【0131】
カラムを10%のアセトニトリルを含む1lの1.5M HClで再生してから、2lの脱イオン水で洗浄してすすぎ、過剰な再生がなされないようにした。あるいは、1.5M HClと1.0N NaOHとによる再生も可能である。
【実施例6】
【0132】
7β−(5−カルボキシ−5−オキソペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(TDK)の製造
【0133】
0.0035molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル]−チオメチル]セファロスポラン酸(TDC)(HPLC純度94.3%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアゾアゾール(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(80ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0134】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0135】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0136】
転換を、逆相カラムNucleosil 120 3−C18 125×8×4mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、4%のアセトニトリルを含むpH5.5の20mM酢酸アンモニウム(acetate ammonium)であり、また260nm検出を行う。7.0分で、TDCが現れ、8.5分で、TDK、11.5分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TDG)が現れた。
【0137】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0138】
【表6】
【0139】
残留TDCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0140】
TDKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度95%以上(HPLC)のTDKを含む25mlの画分を保存し、凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化(equilibration)により、カラムは再使用できるようになる。
【0141】
【化43】
【実施例7】
【0142】
7β−(5カルボキシ−5−オキソペンタンアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZK)の製造
【0143】
0.0039molの7−(5´−アミドアジパミド)−3−[1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル]−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZC)(HPLC純度90.1%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(100ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0144】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0145】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0146】
転換を、逆相カラムNucleosil 120 3−C18 125×8×4mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、4%のアセトニトリルを含むpH5.5の20mM酢酸アンモニウムであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TZCが現れ、3.6分で、TZK、4.6分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TZG)が現れた。
【0147】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0148】
【表7】
【0149】
残留TZCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0150】
TZKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度93%以上(HPLC)のTZKを含む25mlの画分を保存し、あとで凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化により、カラムは再使用できるようになる。
【0151】
【化44】
【実施例8】
【0152】
7β−(5カルボキシ−5−オキソペンタンアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTK)の製造
【0153】
0.0016molの7β−(5−アミノ5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTC)(HPLC純度89.86%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0154】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(11.77UのDAAO/gと15kUのカタラーゼ/g)を含む30.76gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0155】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0156】
転換を、カラムEclipse(登録商標)XDB−C8 5μm 4.6×150mmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM TBHS(硫酸水素テトラブチルアンモニウム)と15mMのリン酸二水素カリウムとを含む35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.6分で、TTCが現れ、5.5分で、3−チオール化グルタリル−7−ACA中間体(TTG)が現れ、6.6分で、TTKが現れた。
【0157】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0158】
【表8】
【0159】
残留TTCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、反応溶液をろ過した。
【0160】
TTKを分離するために、得られた溶液を、3Mのアンモニアによって、pH5.0に調節し、40gの吸着樹脂Amberlite XAD−2(68.7mlの層体積)を充填したカラムを通過させた。溶出は、流量200ml/h(約3層体積/時間)の水によって実施した。純度90%以上(HPLC)のTTKを含む25mlの画分を保存し、あとで凍結乾燥して、目標生成物を固体の形で得て、分析に供した。溶出プロセスのあと、吸着剤表面を、2層体積の再生溶液(25%メタノール水溶液、3層体積/時間の流量)によって再活性化させた。カラムが再使用できるようにするために、この溶液をカラムから除去した。過剰な水(約15層体積)による平衡化により、カラムは再使用できるようになる。
【0161】
【化45】
【実施例9】
【0162】
7−アミノ−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TDA)の合成
【0163】
0.0011molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下、TDCと略記する)(HPLC純度94.01%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾル(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0164】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0165】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0166】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TDCが、10.9分で、TDKが、8.1分で、TDGが、それぞれ現れた。
【0167】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0168】
【表9】
【0169】
残留TDCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度88.27%のTDKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0170】
このTDK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0171】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。4.1分で、TDAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0172】
【表10】
【0173】
残留TDKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度88.59%のTDAを含んでいた。
【実施例10】
【0174】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZA)の合成
【0175】
0.00195molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(TZC)(HPLC純度91.74%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0176】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0177】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0178】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.1分で、TZCが、5.0分で、TZKが、4.3分で、TZGが、それぞれ現れた。
【0179】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0180】
【表11】
【0181】
残留TZCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度82.42%のTZKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0182】
このTZK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0183】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。2.5分で、TZAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0184】
【表12】
【0185】
残留TZKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度80.77%のTZAを含んでいた。
【実施例11】
【0186】
7−アミノ−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTA)の合成
【0187】
0.0014molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(以下、TTCと略記する)(HPLC純度92.2%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH6.75に調節した。
【0188】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0189】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、6.75になるように滴定した。
【0190】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.4分で、TTCが、6.1分で、TTKが、5.5分で、TTGが、それぞれ現れた。
【0191】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0192】
【表13】
【0193】
残留TTCの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させ、HPLC純度90.0%のTTKを含む反応溶液をろ過し、3MのアンモニアによってpHを7.25に調節した。
【0194】
このTTK溶液を、23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)を入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。転換は、20℃、400rpm、絶対圧1barで実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0195】
転換を、前記条件下で、HPLCによって制御した。2.9分で、TTAが現れた。反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0196】
【表14】
【0197】
残留TTKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度78.40%のTTAを含んでいた。
【実施例12】
【0198】
7−アミノ−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TDA)の単一ステップでの合成
【0199】
0.0014molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下ではTDCと略記する)(HPLC純度95.41%)と、0.2mg/mlよりも少ない2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール(MMTD)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0200】
このTDC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0201】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0202】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。3.0分で、TDCが、10.9分で、TDKが、8.1分で、TDGが、4.1分でTDAが、それぞれ現れた。
【0203】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0204】
【表15】
【0205】
残留TDKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度95.13%のTDAを含んでいた。
【実施例13】
【0206】
7−アミノ−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TZA)の単一ステップでの合成
【0207】
0.00195molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル)−チオメチル]セファロスポラン酸(以下、TZCと略記する)(HPLC純度93.55%)と、0.2mg/mlよりも少ない5−メルカプト−1−メチルテトラゾール(MMTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0208】
このTZC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0209】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで7.25になるように滴定した。
【0210】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.1分で、TZCが、5.0分で、TZKが、4.3分で、TZGが、2.5分で、TZAが、それぞれ現れた。
【0211】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0212】
【表16】
【0213】
残留TZKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度78.17%のTZAを含んでいた。
【実施例14】
【0214】
7−アミノ−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(TTA)の単一ステップでの合成
【0215】
0.0016molの7β−(5−アミノ−5−カルボキシペンタアミド)−3−[(1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イル)−チオメチル]−セファロスポラン酸(以下、TTCと略記する)(HPLC純度91.1%)と、0.2mg/mlよりも少ない2,5−ジヒドロ−3−メルカプト−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン(TTZ)とを含む、強陰イオン交換体Amberlite(登録商標)IRA−400からのろ液(50ml)を、3Mのアンモニアによって、pH7.25に調節した。
【0216】
このTTC溶液を、同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼ系(25UのDAAO/gと30kUのカタラーゼ/g)を含む16gの湿潤Eupergit C250Lと23gの湿潤グルタリル−7−ACA アシラーゼ(87U/g)とを入れた0.125lの撹拌ガラス容器に投入した。
【0217】
転換は、20℃、400rpmで、底部ディフューザーから絶対圧1barの流量0.1vol/vol/minの酸素流を送りながら、実施した。pHを、自動滴定器により、3Mのアンモニアで、7.25になるように滴定した。
【0218】
転換を、逆相カラムEclipse XDB−C8 150mm×4.6mmID×5μmによるHPLCによって制御した。移動相は、1ml/minの、10mM 硫酸水素テトラブチルアンモニウムと15mMのリン酸二水素カリウムとを含むpH6.5の35%メタノールであり、また260nm検出を行う。2.4分で、TTCが、6.1分で、TTKが、5.5分で、TTGが、2.9分で、TTAが、それぞれ現れた。
【0219】
反応混合物から酵素を除いた代表サンプルを採取した。得られた結果を、全β−ラクタムに対する百分率で、下記の表に示す。
【0220】
【表17】
【0221】
残留TTKの割合が3%よりも小さくなったとき、反応を停止させた。反応溶液は、HPLC純度88.69%のTTAを含んでいた。
【0222】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、前記実施形態は細部においては変更することができる。
Claims (65)
- セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法。 - 式IIIの化合物が、固定化酵素系によって、式IVの化合物に、酵素転換されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 酵素系が同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼおよびカタラーゼから成ることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 酵素による転換が、分子酸素の存在下で、絶対圧1〜5bar、pH6.5〜8.0、温度15〜30℃において、30〜180分の時間にわたって、実施されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 反応混合物から、酵素系を、好ましくはろ過によって、分離するステップを含むことを特徴とする請求項1から4の中のいずれか1つに記載の方法。
- 式IVの化合物を精製するステップを含むことを特徴とする請求項1から5の中のいずれか1つに記載の方法。
- 式IVの化合物が吸着カラムを用いて精製されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
- 酵素が、適当な架橋剤により、固体担体に同時固定化されることを特徴とする請求項1から7の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素が、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
- 酵素プロセスが、酵素を基質水溶液中に分散維持して実施されることを特徴とする請求項1から9の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素プロセスが、カラム中で実施されることを特徴とする請求項1から10の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素を再使用のために回収するステップを含むことを特徴とする請求項1から11の中のいずれか1つに記載の方法。
- 式IVの化合物が、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用されることを特徴とする請求項1から12の中のいずれか1つに記載の方法。
- Rが、少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを有する複素環基であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- Rが、チエニル、ジアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの任意の誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−1H−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルから成るグループの一つ以上から選択される複素環基であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 請求項1から15の中のいずれか1つに記載の方法によって製造されることを特徴とする式IVの3−チオール化−α−ケトアジピル−7−アミノセファロスポラン酸誘導体。
- 式
- 式
- セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法での中間体としての式IVの化合物の使用。
- セファロスポリンC抗生物質の製造のための方法における、式
- 請求項1から18の中のいずれか1つに記載の、セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの化合物
式Iにおいて、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法。 - 式IVの化合物が、グルタリル−7−ACA アシラーゼを用いて、酵素転換させられて、式Iの化合物が生成されることを特徴とする請求項21に記載の
方法。 - 酵素による処理が、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施されることを特徴とする請求項21または22に記載の方法。
- 酵素が、適当な架橋剤によって適当な固体担体に固定化されることを特徴とする請求項21から23の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素が、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形であることを特徴とする請求項24に記載の方法。
- 酵素による処理が、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施されることを特徴とする請求項21から25の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素プロセスがカラム中で実施されることを特徴とする請求項21から26の中のいずれか1つに記載の方法。
- 再使用のために酵素を回収するステップを含むことを特徴とする請求項21から27の中のいずれか1つに記載の方法。
- セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式I
の化合物の使用。 - 3−チオール化セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IIIの化合物
式IVの化合物を酵素によって転換させて、式Iの3−チオール化7−ACA
化合物
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法。 - 式IIIの化合物が、固定化酵素系によって、一つのステップで式Iの化合
物に酵素転換されることを特徴とする請求項30に記載の方法。 - 酵素系が、固定化グルタリル−7−ACA アシラーゼの存在下の同時固定化D−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼという組合せから成ることを特徴とする請求項31に記載の方法。
- 酵素による処理が、温度約20℃、pH6.5〜8.0で実施されることを特徴とする請求項30から32の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素が、適当な架橋剤によって適当な固体担体に同時固定化されることを特徴とする請求項30から33の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素が、生体触媒としての使用に適した寸法の結晶の形であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
- 酵素プロセスが、該酵素を基質水溶液中に分散維持して実施されることを特徴とする請求項30から35の中のいずれか1つに記載の方法。
- 酵素プロセスがカラム中で実施されることを特徴とする請求項30から36の中のいずれか1つに記載の方法。
- 再使用のために酵素を回収するステップを含むことを特徴とする請求項30から37の中のいずれか1つに記載の方法。
- 式IIIの化合物が、有用な誘導体を得るための連続プロセスにおいて、精製なしで使用されることを特徴とする請求項30から38の中のいずれか1つに記載の方法。
- セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
セファロスポリンCを、一般式IIのチオール化合物
R−SH II
と反応させて、式IIIの3−チオール化セファロスポリン化合物
式IIIの化合物の生成後に、過剰な式IIのチオールを除去する、
各ステップから成り、
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法。 - 過剰なチオールが陰イオン交換樹脂への吸着によって除去されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
- 陰イオン交換樹脂が架橋アクリルコポリマー構造を有する微孔質樹脂であることを特徴とする請求項41に記載の方法。
- 陰イオン交換樹脂が8%の架橋結合を含むチアルキルベンジルアンモニウム官能基から成ることを特徴とする請求項42に記載の方法。
- 樹脂が、クロリド、ヒドロキシ、ホスフェート、またはアセテートサイクル内にあることを特徴とする請求項41または42に記載の方法。
- 過剰なチオールが結晶化によって除去されることを特徴とする請求項40に記載の方法。
- 結晶化が酸性pHで実施されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
- 過剰なチオールが、結晶化とそれに続く陰イオン交換樹脂による吸着とによって除去されることを特徴とする請求項40から46の中のいずれか1つに記載の方法。
- セファロスポリンCが水性媒質中にあることを特徴とする請求項40から47の中のいずれか1つに記載の方法。
- セファロスポリンCがセファロスポリンC濃厚溶液の形であることを特徴とする請求項40から48の中のいずれか1つに記載の方法。
- 反応が、pH5.5〜8.0、温度60〜80℃で、1〜8時間にわたって実施されることを特徴とする請求項40から49の中のいずれか1つに記載の方法。
- 反応が、pH約6.0、温度約65℃で実施されることを特徴とする請求項40から50の中のいずれか1つに記載の方法。
- チオール化合物が1〜5mol/(1molのセファロスポリンC)の量だけ存在することを特徴とする請求項40から51の中のいずれか1つに記載の方法。
- Rが少なくとも一つの窒素原子と随意の一つのイオウまたは酸素原子とを含む複素環基であることを特徴とする請求項40から52の中のいずれか1つに記載の方法。
- Rが、チエニル、ジアゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、またはこれらの誘導体、好ましくは5−メチル−1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1−メチル−テトラゾル−5−イル、もしくは1,2,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−5,6−ジオキソ−1,2,4−トリアジン−3−イルの一つ以上から選択される複素環基であることを特徴とする請求項40から53の中のいずれか1つに記載の方法。
- 式IIIの化合物
請求項40から54の中のいずれか1つに記載の方法によって得られる、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基である、
ことを特徴とする化合物。 - 式
- 式
- セファロスポリンC誘導体の製造のための方法における中間体としての式IIIの化合物の使用。
- セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
請求項40から54の中のいずれか1つに記載の方法によって得られる、式IIIの3−チオール化セファロスポリンC化合物
ここで、Rが少なくとも一つの窒素原子を有する複素環基である、
ことを特徴とする方法。 - 式IVの3−チオール化α−ケトアジピル7−ACA化合物
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする請求項59に記載の方法。 - セファロスポラン酸誘導体を製造する方法であって、
式IVの化合物
前記各式において、Rが少なくとも一つの窒素原子を含む複素環基であり、R1とR2が両方とも水素原子であるか、またはこれらの一つが水素原子であり、他がアシルドナーである、
ことを特徴とする方法。 - 式IVの化合物をグルタリル−7−ACA アシラーゼによって酵素転換させて式Iの化合物を生成させることを特徴とする請求項61に記載の方法。
- 式I、III、およびIVの化合物が、固体の形であるか、または該化合物の
非毒性塩の形であることを特徴とする請求項1から62の中のいずれか1つに記載の方法。 - セファロスポリンC抗生物質およびその誘導体を製造する方法であって、
請求項1から63の中のいずれか1つに定められている式III、IV、およびIの化合物を生成させ、
そのあと、該化合物を酵素処理する、
ことから成ることを特徴とする方法。 - 抗生物質が、セファゾリン、セファゼドン、セフォペラゾン、セファマンドール、セファトリアジン、セフォティアム、およびセフトリアクソンであることを特徴とする請求項64に記載の方法。
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